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JPH06177688A - オーディオ信号処理装置 - Google Patents

オーディオ信号処理装置

Info

Publication number
JPH06177688A
JPH06177688A JP5188489A JP18848993A JPH06177688A JP H06177688 A JPH06177688 A JP H06177688A JP 5188489 A JP5188489 A JP 5188489A JP 18848993 A JP18848993 A JP 18848993A JP H06177688 A JPH06177688 A JP H06177688A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveform
audio signal
signal
signal processing
analysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5188489A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Hibino
昌弘 日比野
Masanori Sato
雅宣 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP5188489A priority Critical patent/JPH06177688A/ja
Priority to CA002107320A priority patent/CA2107320C/en
Priority to KR1019930020535A priority patent/KR0129429B1/ko
Publication of JPH06177688A publication Critical patent/JPH06177688A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B20/00Signal processing not specific to the method of recording or reproducing; Circuits therefor
    • G11B20/02Analogue recording or reproducing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)
  • Stereophonic System (AREA)
  • Reverberation, Karaoke And Other Acoustics (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)
  • Control Of Amplification And Gain Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 広範囲の音楽に対して好適な再生音を提供す
るオーディオ信号処理装置を得る。 【構成】 低域通過フィルタ4および高域通過フィルタ
5は、オーディオ信号を低音域信号と高音域信号とに帯
域分割する。波高値分析器6は、低音域信号の波高値を
分析する。また、遅延部15a〜15dは、低音域信号
および高音域信号を遅延させる。電圧制御型増幅器7
は、波高値分析器6の分析結果に応じて遅延部15a,
15bの出力のレベルを圧縮する。混合回路11は、圧
縮された低音域信号と遅延部15c,15dからの高音
域信号とを混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両等に搭載され、
オーディオ再生信号の最適化処理を行うオーディオ信号
処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からオーディオ再生装置において種
々の音質調整機能が案出され、現在、それらの機能と使
用者の使い勝手とを関連させながら、オーディオ再生装
置は、オーディオシステム全体として音質向上を図る方
向にある。特に、車両に搭載されるオーディオシステム
において、走行騒音に起因する聴感における低音域の音
量感不足を補うための機能が実現されている。例えば、
低音域ブースト機能、車室の音響特性を補正するための
グラフィックイコライザ機能、聴音心理におけるラウド
ネス特性を補正する目的で用いられる音量調整に連動し
て周波数特性を変化させるオートラウドネス機能などが
実用に供されている。
【0003】図26は従来の車両用オーディオシステム
の構成を示す構成図である。ここでは、4スピーカ搭載
システムを示す。図において、1はCDプレーヤやカセ
ットテーププレーヤ等のオーディオ再生装置、2は上述
した低音域ブースト機能、ラウドネスコントロール機
能、グラフィックイコライザ機能等を有しオーディオ再
生装置1からのステレオ信号に対して信号処理を施すオ
ーディオ信号処理回路、21〜24は車室200内に設
置されたスピーカ、31〜34はオーディオ再生装置2
からの信号を増幅して対応するスピーカに与える電力増
幅器(パワーアンプ)である。
【0004】次に動作について説明する。オーディオ再
生装置1は、オーディオ記録媒体からステレオ信号を再
生し、それをオーディオ信号処理回路2に出力する。オ
ーディオ信号処理回路2は、上述した各機能によってス
テレオ信号に信号処理を施し、処理後の信号を各パワー
アンプ31〜34に分配する。各パワーアンプ31〜3
4は、入力した信号を電力増幅し、各スピーカ21〜2
4に出力する。各スピーカ21〜24は、入力信号にも
とづいて音声出力を行なう。以上のようにして、車室2
00を音場としてオーディオが再生される。
【0005】しかし、車両用オーディオシステムでは、
スピーカ21〜24の大きさ、重量および取付位置に制
約があり、その制約によって重低音の再生能力に限界が
生ずる。この限界(許容能力)を越える信号がスピーカ
21〜24に印加されると、音が歪んでしまい、不快な
音場が提供されることになる。そこで、オーディオ信号
処理装置2が最大出力電圧を規定し、パワーアンプ31
〜34の出力電圧がスピーカ21〜24の許容入力を越
えないように制御している。
【0006】あるいは、パワーアンプ31〜34が電源
電圧でクリップされる特性を利用して、スピーカ21〜
24に過大な入力が加わらないような工夫も採用されて
いる。しかし、その場合には、スピーカ21〜24にお
ける歪みは抑制されるが、パワーアンプ31〜34にお
いて大きな歪みが生ずるので、聴感音質は劣化する。
【0007】従来の車両用オーディオシステムにおいて
は、以上のような構成によって、全体としてバランスの
よい再生能力を引き出すような工夫がなされている。し
かし、コンパクトディスクに代表されるディジタルオー
ディオ媒体からの信号のようにダイナミックレンジの広
いものを再生する場合には、再生能力の点で問題が生ず
る。さらに、クラシック音楽からハードロック音楽に至
るさまざまなジャンルの音楽を再生する場合には、問題
はさらに大きくなる。
【0008】例えば、ハードロック系の音楽信号では、
図27(a)に示す周波数スペクトラムからわかるよう
に、40Hz〜100Hzの重低音域の成分が極端に大
きい。図27(b)に示す時間波形においても、低音域
成分による波高の突出がある。このような波形の音楽信
号を従来の考え方によるシステムによって再生すると、
重低音域の成分の存在によってパワーアンプやスピーカ
において歪みが生じ、その結果、歪んだ再生音が発生す
ることになる。
【0009】歪みを防止するために、一般に、全体の増
幅率を抑えた回路設計が行われる。しかし、そのような
設計にもとづくシステムにおいては、クラシックやポッ
プス系の音楽信号を再生した場合に、録音レベルが低い
こともあって、音量調整レベルを最大にした時でも迫力
のない物足りない音が再生されることになる。
【0010】このような問題に対処するために、非線形
増幅手段によってオーディオ信号増幅時に波形圧縮を行
うことによりレベルが過大な波形のレベル抑制を行っ
て、スピーカへの過大入力を防ぐオーディオ信号処理装
置が提案されている。そのようなオーディオ信号処理装
置の典型的なものとして、上述したパワーアンプの電源
電圧クリップ特性を非線形特性として利用したものがあ
る。しかし、上述したように、パワーアンプの電源電圧
クリップ特性を利用したものによると、非線形の程度に
応じて歪みの量は変わるが、スピーカにおける歪みを抑
制する代わりに、パワーアンプ部分で音質が劣化してし
まう。
【0011】そこで、パワーアンプにおける非線形特性
を利用するのではなく、図28に示すように、オーディ
オ信号処理回路2とパワーアンプ31,32との間に非
線形増幅手段である波形圧縮回路10を設け、オーディ
オ信号増幅時に波形圧縮回路10によって波形圧縮を行
い、レベルが過大な波形のレベル抑制を行う方式が提案
されている。なお、ここでは、2スピーカシステムを例
にする。
【0012】波形圧縮回路10の具体的な構成例とし
て、図29に示すものがある。この構成において、オー
ディオ信号処理回路2からの入力信号が増幅器11で増
幅された後、検波器12で検波される。検波器12から
の検波信号は時定数回路13で所定の時定数をもって平
滑される。よって、時定数回路13から、平均の検出レ
ベルが出力される。電圧制御型増幅器14は、その検出
レベルに応じて増幅率を変化させ、その増幅率で入力信
号を増幅してパワーアンプ31,32に出力信号として
供給する。
【0013】波形圧縮回路10の他の具体的な構成例と
して、図30に示すような実開昭63−35311号公
報に示されたものがある。この構成において、出力信号
が増幅器11で増幅された後、検波器12で検波され
る。検波器12からの検波信号は時定数回路13で所定
の時定数をもって平滑され、時定数回路13から、平均
の検出レベルが出力される。電圧制御型増幅器14は、
その検出レベルに応じて増幅率を変化させ、その増幅率
で入力信号を増幅して出力する。低域通過フィルタ回路
17は、電圧制御型増幅器(VCA)14の出力の低音
域成分を通過させる。また、高域通過フィルタ回路15
は、オーディオ信号処理回路2からの入力信号の高音域
成分を通過させる。そして、合成回路16は、低域通過
フィルタ回路17の出力と高域通過フィルタ回路15の
出力とを合成してパワーアンプ31,32に出力信号と
して供給する。
【0014】図29に示す波形圧縮回路10は入力信号
を対象としてレベル検出を行い、図30に示す波形圧縮
回路10は出力信号を対象として信号処理を行うという
違いはあるものの、ともに信号処理のためのレベル検出
の対象として全帯域のオーディオ信号を用いる。また、
検出レベルとして出力されるのは、所定の時定数をもっ
て平滑された平均レベルである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来のオーディオ信号
処理装置は以上のように構成されているので、全帯域信
号をレベル検出の対象としていることから、本来波形圧
縮の必要のない高音域部分のレベルに反応して波形圧縮
が行われることがある。よって、音質劣化や、必要以上
に音を弱くする音抜けを起こしやすいという問題点があ
った。
【0016】また、平均レベルに応じて波形圧縮を行う
ことから、図27に示すロック系の音楽信号波形によく
見られるような減衰振動に対して、立ち上がりの最大波
高値の部分での非線形歪みを波形圧縮によって回避する
ことができないという問題点があった。
【0017】なお、他の先行技術として、米国特許第4
398061号公報に示されたものがあり、その公報に
は、オーディオ信号波形におけるゼロクロス点間のピー
ク値を検出し、ゼロクロス点間の波形をピーク値に応じ
て圧縮する方式が開示されている。そのような方式によ
れば、オーディオ信号再生系の非線形特性と波高過大と
による歪みを十分に抑制することが可能である。しか
し、全帯域信号をピーク検出の対象としていることか
ら、中高音域の突出した波高値成分に対しても圧縮が行
われることになり、その結果、やはり、音抜けの現象が
現れることがあり聴感上の違和感は免れない。
【0018】以上に説明したように、従来の車両用オー
ディオシステムにおけるオーディオ信号処理装置による
と、広範囲のオーディオソースについて好適な聴取音を
得ることができない。この最大の要因は、音楽信号の形
態についての知見および再生音に対する歪み感覚とは何
であるかという心理音響学の知見を活かした信号処理方
式の設計がなされていないことである。
【0019】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、音楽ジャンルの違いが音楽信号
中の低音域成分に現れることを利用して広範囲の音楽に
対して好適な再生音を提供するオーディオ信号処理装置
を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
るオーディオ信号処理装置は、オーディオ信号を低音域
信号と高音域信号とに帯域分割する帯域分割フィルタ手
段と、この帯域分割フィルタ手段による分割で得られた
低音域信号の波高値を分析する波形分析手段と、この波
形分析手段の分析結果に応じて低音域信号の波形のレベ
ルを圧縮する波形圧縮手段と、この波形圧縮手段で圧縮
された低音域信号と帯域分割フィルタ手段からの高音域
信号とを混合する混合手段とを備えたものである。
【0021】請求項2記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、オーディオ信号を低音域信号と高音域信号
とに帯域分割する帯域分割フィルタ手段と、この帯域分
割フィルタ手段による分割で得られた低音域信号の波高
値を分析する波形分析手段と、この波形分析手段の分析
処理に要する時間を包含する時間の遅延を帯域分割フィ
ルタ手段からの低音域信号および高音域信号に与える遅
延手段と、波形分析手段の分析結果に応じて、遅延手段
で遅延された低音域信号の波形のレベルを圧縮する波形
圧縮手段と、この波形圧縮手段で圧縮された低音域信号
と遅延手段で遅延された高音域信号とを混合する混合手
段とを備えたものである。
【0022】請求項3記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項1または請求項2記載のオーディオ
信号処理装置において、オーディオ信号のレベルを調整
する音量調整手段と、この音量調整手段による調整度を
波形分析手段の分析結果に反映する圧縮度合い制御手段
をさらに備えたものである。
【0023】請求項4記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項1、請求項2または請求項3記載の
オーディオ信号処理装置において、帯域分割フィルタ手
段、波形分析手段、および波形圧縮手段がディジタル処
理回路で構成されたものである。
【0024】請求項5記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項4記載のオーディオ信号処理装置に
おいて、帯域分割フィルタ手段がディジタルミラーフィ
ルタで構成されたものである。
【0025】請求項6記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項4記載のオーディオ信号処理装置に
おいて、帯域分割フィルタ手段、波形分析手段、および
波形圧縮手段はディジタル信号処理集積回路で構成され
たものである。
【0026】請求項7記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項4、請求項5または請求項6記載の
オーディオ信号処理装置において、遅延手段における遅
延量が、5ミリ秒ないし100ミリ秒に設定されている
ものである。
【0027】請求項8記載の発明に係るオーディオ信号
処理装置は、請求項4、請求項5または請求項6記載の
オーディオ信号処理装置において、波形分析手段が波形
のゼロクロス点間を単位として波形分析を行うものであ
る。
【0028】そして、請求項9記載の発明に係るオーデ
ィオ信号処理装置は、請求項4、請求項5または請求項
6記載のオーディオ信号処理装置において、波形分析手
段が固定時間内の各波形を単位として波形分析を行うも
のである。
【0029】
【作用】請求項1記載の発明における波形分析手段は、
オーディオ信号の低音域の信号のみの波高値を分析す
る。そして、波形圧縮手段は、オーディオ信号の低音域
の信号の波高値に応じて低音域の信号のレベルを圧縮す
る。
【0030】請求項2記載の発明における遅延手段は、
波形分析手段の分析結果が分析対象の波形に反映される
ように、帯域分割フィルタ手段からの信号を遅延させ
る。
【0031】請求項3記載の発明における圧縮度合い制
御手段は、波形分析手段の分析結果に音量調整手段の調
整度を加味して、波形圧縮手段により効果的な圧縮を行
わせる。
【0032】請求項4記載の発明における各手段は、デ
ィジタル処理回路で構成される。よって、帯域分割フィ
ルタ手段がディジタルフィルタで構成され、より厳密な
オーディオ信号の帯域分割を実現する。
【0033】請求項5記載の発明における帯域分割フィ
ルタ手段はディジタルミラーフィルタで構成され、オー
ディオ信号の帯域分割をさらに厳密に実現する。
【0034】請求項6記載の発明における各手段は、デ
ィジタル信号処理集積回路で構成され、装置全体の回路
構成を簡略化する。
【0035】請求項7記載の発明における遅延手段はオ
ーディオ信号の特性に見合った遅延量を入力信号に与
え、再生音の不自然感を抑制する。
【0036】請求項8記載の発明における波形分析手段
は、ゼロクロス点間を1分析期間とし、ある分析期間と
次の分析期間との間で波形歪みが生じないようにする。
【0037】そして、請求項9記載の発明における波形
分析手段は、分析期間を固定とし、回路の簡略化を実現
する。
【0038】
【実施例】実施例1.図1はこの発明の第1の発明を適
用した実施例によるオーディオ信号処理装置を含む車両
用オーディオシステムの構成を示す構成図である。図に
おいて、1はCDプレーヤやカセットテーププレーヤ等
のオーディオ再生装置、2は低音域ブースト機能、ラウ
ドネスコントロール機能、グラフィックイコライザ機能
等を有しオーディオ再生装置1からのステレオ信号に対
して信号処理を施すオーディオ信号処理回路、3は音量
調整器、4は音量調整器3で音量調整されたオーディオ
信号の低音域を通過させる低域通過フィルタ、5は音量
調整器3で音量調整されたオーディオ信号の高音域を通
過させる高域通過フィルタ、6は低音域のオーディオ信
号の波高値を分析する波高分析器、7は波高分析器6の
出力に応じて低域通過フィルタ4の出力信号を増幅する
電圧制御型増幅器(VCA)、8は電圧制御型増幅器7
の出力と高域通過フィルタ5の出力とを混合するととも
に、パワーアンプ31〜33に信号を分配する混合分配
回路、21〜24は車室200内に設置されたスピーカ
である。
【0039】なお、低域通過フィルタ4および高域通過
フィルタ5は帯域分割フィルタの実現例であり、波高分
析器6は波形分析手段の実現例である。また、電圧制御
型増幅器7は波形圧縮手段の実現例であり、混合分配回
路8は混合手段の実現例である。
【0040】ここで、このような構成の根拠となる音響
心理学上の知見について説明する。人間の音量感覚は、
音の周波数と音圧レベルとの双方に依存する。音量感覚
に対する研究結果は色々と報告されているが、基本的に
は、人間の音量感覚は、図2に示す特性を示す。図2に
おいて縦軸は音圧レベルを示す。この図は、所定の周波
数(例えば、1kHz)における音圧レベルと等しい大き
さに聞こえる他の周波数における各音圧レベルをプロッ
トして得られたものである。
【0041】図2に示す特性によると、聴感音圧が10
0dBを越える音量では、中低音域の感度はほぼ平坦であ
る。小さい音量では、低音域の感度がかなり鈍くなる。
一般に、静かな部屋で音楽鑑賞を行っている場合の聴取
音量は、平均して80dB前後と考えられる。60dB〜1
00dB付近では、100Hz以下の周波数における感度
は、1kHz付近における感度に対して5dB〜20dB鈍
い。車両の車室200では、100Hz以下の走行騒音成
分が大きいので、低音域の音量感度はますます悪くな
る。
【0042】従って、図3にスペクトラム分布を示すよ
うに低音域成分が特に大きいということのないクラシッ
ク系やポップス系の音楽信号に対して、車両の走行状態
において、低音域ブーストのような対感度補正が必要に
なる。しかし、図4にスペクトラム分布を示すように低
音域成分が大きいロック系の音楽信号に対しては、大音
量で聴く場合には、必ずしも低音域ブーストを実行する
必要はない。
【0043】以上の心理音響学の知見にもとづけば、音
量感の補正は、音楽のジャンルに応じて、また、聴取レ
ベルに応じて実行される必要があることがわかる。図1
に示すオーディオ信号処理装置は、そのような知見にも
とづいて構成されているものである。
【0044】次に図1に示すオーディオ信号処理装置の
動作について説明する。オーディオ再生装置1は、オー
ディオ記録媒体からステレオ信号を再生し、それをオー
ディオ信号処理回路2に出力する。オーディオ信号処理
回路2は、従来の場合と同様に、低音域ブースト機能、
車室の音響特性を補正するためのグラフィックイコライ
ザ機能、聴音心理におけるラウドネス特性を補正する目
的で用いられる音量調整に連動して周波数特性を変化さ
せるオートラウドネス機能によって、ステレオ信号に信
号処理を施し、処理後の信号を音量調整器3に出力す
る。音量調整器3は、使用者の音量設定操作に応じて、
入力された信号に対して音量調整処理を施す。
【0045】音量調整器3の出力は、低域通過フィルタ
4および高域通過フィルタ5に送られる。低域通過フィ
ルタ4は、音量調整器3から入力した信号のうち低域成
分を通過させる。入力した信号は、一般に、帯域20Hz
〜20kHzのオーディオ信号であるが、低域通過フィル
タ4の遮断周波数は、100Hz〜200Hzに設定され
る。高域通過フィルタ5は、低域通過フィルタ4の特性
と補完関係にある特性を有し、音量調整器3から入力し
た信号のうち高域成分を通過させる。なお、低域通過フ
ィルタ4および高域通過フィルタ5は、2次のアクティ
ブフィルタであってもよい。また、両者の遮断特性の相
補性ができるだけ確保されていることが望ましい。
【0046】低域通過フィルタ4の出力信号は、波高分
析器6および電圧制御型増幅器7に送られる。波高分析
器6は、所定の時間間隔で低域通過フィルタ4の出力信
号のピーク検出を行う。そして、入力した信号のピーク
レベルと所定のレベルとを比較し、その比較結果に応じ
た波形圧縮の程度に相当する制御電圧を電圧制御型増幅
器7に出力する。そして、電圧制御型増幅器7は、制御
電圧に従って低域通過フィルタ4が出力した信号を制御
電圧に従ってレベル圧縮する。
【0047】図5は波高分析器6の具体的な回路構成の
一例を示すブロック図である。ただし、ここでは、ステ
レオ2チャネルのうちの1チャネルについてのみ示され
ている。図において、40は演算増幅器41,42、ダ
イオード43、ピークホールド用のコンデンサ44およ
びリセット用のアナログスイッチ45で構成されるピー
クホールド回路である。
【0048】低域通過フィルタ4からの入力信号は演算
増幅器41の非反転入力端子に接続される。演算増幅器
41の出力は、ダイオード43を介してピークホールド
用のコンデンサ44に加えられるとともに演算増幅器4
2の非反転入力端子に加えられる。演算増幅器42の出
力は、波高値検出出力になるとともに、各演算増幅器4
1,42の反転入力端子に帰還される。
【0049】50は演算増幅器51、ダイオード52,
53、抵抗素子54〜57およびコンデンサ58で構成
されるパルス発生回路である。2つの抵抗56,57の
直列体は電源E1の両極間に接続される。抵抗56,5
7の接続点は演算増幅器51の反転入力端子に接続され
る。演算増幅器51の出力は、リセットパルス発生回路
50の出力になるとともに、非反転入力端子に帰還され
る。また、演算増幅器51の出力端子と非反転入力端子
との間に抵抗素子55とダイオード52の直列体が接続
され、ダイオード52はダイオード53と逆並列接続さ
れている。演算増幅器51の非反転入力端子は、コンデ
ンサ58を介して接地されている。
【0050】以上のような演算増幅器51、ダイオード
52,53、コンデンサ58および抵抗素子54〜57
の接続によって非安定マルチバイブレータが構成され、
この非安定マルチバイブレータは、抵抗素子55の抵抗
値とコンデンサ58の容量で決まる周期のパルス列を出
力する。各パルスは、リセットパルスとなってピークホ
ールド回路40のリセット用のアナログスイッチ45を
駆動する。
【0051】ピークホールド回路40において、ピーク
ホールド用のコンデンサ44は入力信号のピーク値を保
持するが、リセットパルス発生回路50からのリセット
パルスによってアナログスイッチ45が導通するとリセ
ットされる。従って、リセットパルスの周期はピーク検
出の周期に等しい。すなわち、非安定マルチバイブレー
タのパルス出力周期は、所望のピーク検出の周期に等し
くなるように設定される。
【0052】この周期は5ms〜100msの間の値に設定
されることが望ましい。なぜなら、波高値分析対象のオ
ーディオ信号は、100Hz〜200Hzの間の値を遮断周
波数とした低域通過フィルタ4によって帯域分割された
成分のうちの低音域成分である。よって、波高分析器6
に入力される信号の上限周波数はたかだか200Hzであ
る。そして、その上限周波数の信号の周期は5msであ
る。波高値分析はこの波形1周期を対象とすればよいの
で、ピーク検出周期は5ms以上とされればよい。
【0053】また、オーディオ信号の下限周波数は、コ
ンパクトディスクのようなディジタル媒体からの信号を
考えた場合、10Hz程度とみなせば十分である。その下
限周波数の信号の周期は100msである。従って、ピー
ク検出周期の上限は100msでよいことになる。実際に
は、取り扱う音楽記録媒体の種類やコスト等を考慮し
て、5ms〜100msの間の妥当な値に設定される。
【0054】図6は電圧制御型増幅器7の具体的な回路
構成の一例を示すブロック図である。ここでも、ステレ
オ2チャネルのうちの1チャネルについてのみ示されて
いる。図に示すように、波高分析器6の検出出力は、抵
抗素子63を介して入力SCとしてフォトカプラなどの
光電変換素子61に印加される。光電変換素子61は、
発光ダイオード611と受光素子612とで構成され
る。また、低域通過フィルタ4の出力が、入力SL とし
て演算増幅器62の非反転入力端子に印加される。演算
増幅器62の非反転入力端子は抵抗素子65を介して接
地されている。演算増幅器62の反転入力端子は抵抗素
子64を介して接地される。光電変換素子61の受光素
子612は、演算増幅器62の出力端子と反転入力端子
との間に接続されている。
【0055】このように構成された電圧制御型増幅器7
において、波高検出器6からの検出出力に応じて、発光
ダイオード611の光量が変化する。それに伴って受光
素子612の抵抗値が変化する。すなわち、演算増幅器
62の帰還抵抗の値が変化する。よって、波高検出器6
の検出出力に応じて増幅率が変化する。具体的には、波
高値検出出力が大きくなるほど、増幅率は小さくなり、
波形のレベル圧縮が行われることになる。そして、演算
増幅器62の出力は、電圧制御型増幅器7の出力となっ
て混合分配回路8に与えられる。混合分配回路8は、
R,L各チャネルの電圧制御型増幅器7の出力信号と高
域通過フィルタ5の出力信号とを混合し、混合されたL
信号を各パワーアンプ31,33に分配し、混合された
R信号を各パワーアンプ32,34に分配する。各パワ
ーアンプ31〜34は、入力した信号を電力増幅し、各
スピーカ21〜24に出力する。
【0056】次に図7に示す具体的波形についてオーデ
ィオ信号処理回路の作用を説明する。図7(A)はロッ
ク系のオーディオ信号を処理した場合の波形の変化過程
の一例を示すものである。ロック系音楽の特徴はベース
楽器が頻繁に使用されることであり、そのオーディオ信
号には、200Hz以下の低音域の成分が非常に多く含ま
れる。すなわち、その波形は、例えば、波形aのように
なる。この波形の信号が低域通過フィルタ4に入力され
ると、低域通過フィルタ4から波形bの信号が出力され
る。また、高域通過フィルタ5からは波形cの信号が出
力される。
【0057】波高分析器6は波形bを分析して波高値を
出力し、電圧制御型増幅器7はその波高値に応じた波形
圧縮を行う。この例では、波形bの信号は、そのレベル
が約1/2に圧縮され、波形dの信号になっている。な
お、高周波成分の波形cは未処理の波形eである。混合
分配回路8は、波形圧縮を受けた波形dの信号と高周波
成分の波形eの信号とを混合して所望の波形fの信号を
生成する。
【0058】図7(B)はポップス系音楽のオーディオ
信号の波形の変化過程の一例を示すものである。ポップ
ス系の音楽の特徴はボーカル音域が大部分を占めること
であり、波形gに示すように、重低音部分が極端に大き
いということはない。よって、低域通過フィルタ4を通
過した波形hの信号の波高値はさほど大きくなく、電圧
制御型増幅器7は、入力信号とほとんど同じ波形jの信
号を出力する。また、高域通過フィルタ5からは波形i
の信号が出力され、混合分配回路8には、未処理の波形
kが入力される。混合分配回路8は波形jの信号と高周
波成分の波形kの信号とを混合して波形mの信号を生成
するが、その信号波形は、低域通過フィルタ4および高
域通過フィルタ5に入力した信号の波形gと同等であ
る。
【0059】図7(C)はポップス系音楽の低音域ブー
ストを受けたオーディオ信号の波形の変化過程の一例を
示すものである。この場合には、オーディオ信号処理回
路2によって低音域が強調されている。使用者が車両の
走行中等に音量を上げるような操作を行うと、音量調整
器3によってレベルの上がったオーディオ信号が出力さ
れる。すなわち、波形gよりもレベルの高い波形nの信
号が、低域通過フィルタ4および高域通過フィルタ5に
与えられる。
【0060】低音域が強調されているので、低域通過フ
ィルタ4から波形oの信号が出力される。よって、波高
分析器6は波形oを分析して波高値を出力し、電圧制御
型増幅器7はその波高値に応じた波形圧縮を行う。この
例では、波形oの信号は、そのレベルがやや圧縮され、
波形qの信号になっている。また、高域通過フィルタ5
からは波形pの信号が出力され、混合分配回路8には、
未処理の波形rが入力される。混合分配回路8は、波形
圧縮を受けた波形qの信号と高周波成分の波形rの信号
とを混合して所望の波形sの信号を生成する。
【0061】以上のように、このオーディオ処理装置
は、音楽ソースが様々に変化しても、また、低音域ブー
ストなどの前処理の有無にかかわらず、入力された各オ
ーディオ信号に適応した処理を行う。従って、ポップス
系やクラッシック系のオーディオ信号に対して不必要な
波形圧縮を施すことがない。従来の装置は、全音域の信
号をレベル検出対象として波形圧縮を行っていたので、
各オーディオ信号に適応した処理を行うことはできなか
った。
【0062】実施例2.図8はこの発明の第2の実施例
によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図であ
る。図1に示す装置において、電圧制御型増幅器7が増
幅対象とする信号は、波高分析器6が波高値分析対象と
した信号よりも1分析期間分遅れた時点のものである。
電圧制御型増幅器7が増幅対象にする信号が、波高分析
器6が波高値検出対象とした信号と一致すれば、波高値
分析効果はより大きい。
【0063】図8示す装置は、波高値分析をより効果的
にする構成を有している。すなわち、図1に示された構
成に対して、低域通過フィルタ4と電圧制御型増幅器7
との間に遅延部15a,15bが追加されている。ま
た、高域通過フィルタ5と混合回路11との間に遅延部
15c,15dが追加されている。各遅延部15a〜1
5dの遅延量は、波高分析器6における1分析期間分に
相当する量である。なお、ここでは、2スピーカシステ
ムを例にとる。よって、図1に示す混合分配回路8に代
えて混合回路11が設けられている。また、遅延部15
a〜15dは請求項2に記載された遅延手段の実現例で
ある。
【0064】次に動作について説明する。オーディオ再
生装置1は、オーディオ記録媒体からステレオ信号を再
生し、それをオーディオ信号処理回路2に出力する。オ
ーディオ信号処理回路2は、低音域ブースト機能、車室
の音響特性を補正するためのグラフィックイコライザ機
能、聴音心理におけるラウドネス特性を補正する目的で
用いられる音量調整に連動して周波数特性を変化させる
オートラウドネス機能によって、ステレオ信号に信号処
理を施し、処理後の信号を音量調整器3に出力する。音
量調整器3は、使用者の音量設定操作に応じて、入力さ
れた信号に対して音量調整処理を施す。
【0065】音量調整器3の出力は、低域通過フィルタ
4および高域通過フィルタ5に送られる。低域通過フィ
ルタ4は、音量調整器3から入力した信号のうち低域成
分を通過させる。低域通過フィルタ4の遮断周波数は、
第1の実施例の場合と同様、100Hz〜200Hzに設定
される。高域通過フィルタ5は、低域通過フィルタ4の
特性と補完関係にある特性を有し、音量調整器3から入
力した信号のうち高域成分を通過させる。
【0066】低域通過フィルタ4の出力信号のうちL信
号は、波高分析器6および遅延部15aに送られる。ま
た、R信号は、波高分析器6および遅延部15bに送ら
れる。波高分析器6は、第1の実施例の場合と同様、5
ms〜100msの時間間隔で低域通過フィルタ4の出力信
号のピーク検出を行う。そして、入力した信号のピーク
レベルと所定のレベルとを比較し、その比較結果に応じ
た波形圧縮の程度に相当する電圧を電圧制御型増幅器7
に出力する。なお、波高分析器6の詳細構成および動作
は第1の実施例の場合と同様であるから、ここでは詳細
な説明を省略する。
【0067】遅延部15a,15bは、低域通過フィル
タ4の出力信号を1分析期間分遅延させて電圧制御型増
幅器7に出力する。電圧制御型増幅器7は、制御電圧に
従って遅延部15a,15bが出力した信号を制御電圧
に従ってレベル圧縮する。そして、圧縮された信号を混
合回路11に出力する。なお、電圧制御型増幅器7の詳
細構成および動作も第1の実施例の場合と同様であるか
ら、ここでは詳細な説明を省略する。
【0068】また、遅延部15c,15dは、高域通過
フィルタ5の出力信号を1分析周期分遅延させて混合回
路11に出力する。混合回路11は、R,L各チャネル
の電圧制御型増幅器7の出力信号と遅延部15c,15
dの出力信号とを混合し、混合されたL信号をパワーア
ンプ31に出力し、混合されたR信号をパワーアンプ3
2に分配する。各パワーアンプ31,32は、入力した
信号を電力増幅し、各スピーカ21,22に出力する。
【0069】このように、オーディオ信号を波形分析の
時間だけ遅らせることにより、分析結果と、その結果が
適用されるオーディオ信号との整合がとれ、異音感のよ
り小さい再生音を提供することができる。
【0070】なお、図8に示すオーディオ信号処理装置
および図1に示すオーディオ信号処理装置において、波
高分析器6および電圧制御型増幅器7が、オーディオ信
号処理回路2および音量調整器3の後段に配置されてい
るので、SN特性が若干劣化する。その劣化を防止する
ために波高分析器6および電圧制御型増幅器7をオーデ
ィオ信号処理回路2および音量調整器3の前段に配置す
ることも考えられるが、そのようにしたのでは、聴取音
量条件を加味した波高値検出および波形圧縮ができず、
この発明の目的は達成されない。
【0071】実施例3.図9はこの発明の第3の実施例
によるオーディオ信号処理装置を含む車両用オーディオ
システムの構成を示す構成図である。図において、3A
はマイクロコンピュータの制御のもとにオーディオ信号
の増幅を行って分配回路13に出力する電子ボリュー
ム、9はA−D変換器を内蔵し、音量調整信号Cvとそ
れに対応した電圧の調整信号Vrとを発生するマイクロ
コンピュータ、10は波高値分析器6からの信号Vpと
マイクロコンピュータ9からの調整信号Vrとを乗算す
る乗算器、11は混合回路、12はマイクロコンピュー
タ9からの音量調整信号Cvに従って混合回路11の出
力信号について低音域ブースト処理を行い、処理後の信
号を電子ボリューム3Aに出力する低音域ブースト回
路、14は使用者が音量調整指示等を入力するための操
作部である。
【0072】なお、マイクロコンピュータ9および電子
ボリューム3Aは請求項3に記載された音量調整手段の
実現例であり、乗算器10は圧縮度合い制御手段の実現
例である。
【0073】次に動作について説明する。オーディオ再
生装置1は、オーディオ記録媒体からステレオ信号を再
生し、それを低域通過フィルタ4および高域通過フィル
タ5に出力する。低域通過フィルタ4は、入力した信号
のうち低音域成分を通過させる。高域通過フィルタ5
は、入力した信号のうち高音域成分を通過させる。
【0074】波高分析器6は、第1の実施例の場合と同
様に動作して、波高値相当電圧の信号Vpを出力する。
この信号Vpは、この場合には、乗算器10に入力され
る。乗算器10は、波高分析器6からの信号Vpとマイ
クロコンピュータ9からの調整信号Vrとを乗算し、乗
算結果を、波形圧縮の程度に相当する制御電圧として電
圧制御型増幅器7に出力する。電圧制御型増幅器7は、
第1の実施例の場合と同様に動作して低音域のオーディ
オ信号の波形圧縮を行う。
【0075】電圧制御型増幅器7は、図6に示した具体
的な構成からわかるように、制御電圧が大きくなると増
幅率が低下する。マイクロコンピュータ9からの調整信
号Vrは、使用者が入力した音量指示量に対応したもの
である。よって、波高分析器6からの信号Vpに変化が
なくても、使用者による音量指示量が大きければ波形圧
縮の程度は大きい。また、使用者による音量指示量に変
化がなくても、波高分析器6からの信号Vpが大きけれ
ば、すなわち、低音域のオーディオ信号の波高値が大き
ければ波形圧縮の程度は大きい。そして、低音域のオー
ディオ信号の波高値が大きく、かつ、使用者による音量
指示量が大きければ波形圧縮の程度はより大きい。
【0076】電圧制御型増幅器7の出力と高域通過フィ
ルタ5の出力とは、混合回路11で混合された後、低音
域ブースト回路12に送られる。低音域ブースト回路1
2は、例えば、図10に示すように構成される。図10
に示すものは、オートラウドネス補正機能を含む低音域
ブースト回路である。なお、ここでは、1チャネルのみ
示すが、実際には、左右2チャネルについてこの回路が
設けられる。
【0077】図10に示す低音域ブースト回路12にお
いて、混合回路11からのオーディオ信号Linは、いわ
ゆるバッファアンプとして作用する演算増幅器71の非
反転入力端子に印加される。演算増幅器71の出力は、
抵抗素子75を介して演算増幅器72の非反転入力端子
に印加されるとともに、演算増幅器71の反転入力端子
に帰還される。
【0078】演算増幅器72の出力は、低音域ブースト
回路12の出力となって電子ボリューム3Aに与えられ
るとともに、抵抗素子77を介して反転入力端子に帰還
される。また、演算増幅器72の反転入力端子と非反転
入力端子との間には、マイクロコンピュータ9からの音
量調整信号Cvを制御入力とするアナログスイッチ73
が設けられる。アナログスイッチ73は、抵抗素子74
とインダクタ76との直列体を介して接地された可動端
子73aと、反転入力端子と非反転入力端子との間に挿
入された抵抗素子の複数のタップから引き出された各固
定端子73bとで構成されている。演算増幅器72に印
加されたオーディオ信号は、アナログスイッチ73のス
イッチ状態に応じた抵抗値、インダクタンス、および抵
抗素子77による負帰還抵抗値で決まる低音域ブースト
特性が付与される。
【0079】マイクロコンピュータ9は、使用者が入力
した音量指示量を示す音量調整信号Cvを低音域ブース
ト回路12に出力している。低音域ブースト回路12の
アナログスイッチ73は、音量調整信号Cvの示す値に
応じて可動端子73aの位置を変化させる。よって、共
振抵抗値が変化するので低音域ブースト特性が変化す
る。そして、低音域ブースト回路12の出力は、電子ボ
リューム3Aに与えられる。
【0080】電子ボリューム3Aは、マイクロコンピュ
ータ9からの音量調整信号Cvが示す値に応じて入力信
号を増幅し、増幅後の信号を分配回路13に出力する。
分配回路13は、電子ボリューム3AからのL信号を各
パワーアンプ31,33に分配し、R信号を各パワーア
ンプ32,34に分配する。各パワーアンプ31〜34
は、入力した信号を電力増幅し、各スピーカ21〜24
に出力する。
【0081】以上のように、波高分析器6からの信号V
pと調整信号Vrとの積が大きい場合には電圧制御型増
幅器7の増幅率の減少度合いは大きく、積が小さい場合
には、増幅率の減少度合いは小さい。すなわち、オーデ
ィオ信号の低域成分の波高値が大きく、かつ、音量調整
信号のレベルが高い場合には、波形圧縮の程度はより高
くなる。この実施例によるオーディオ信号処理装置も、
ロック系の音楽ソースなどの低音域成分の過大な音楽ソ
ースについては波形圧縮が行われ、クラシック系の音楽
ソースについては波形圧縮が行われないといった、音楽
ジャンルに適応した処理を実現する。また、この場合に
は、使用者の音量調整指示をも加味した処理が実現され
る。さらに、この場合には、音量調節を行う電子ボリュ
ーム3Aが回路全体の中の後段に配置されているので、
オーディオ信号処理装置の存在に起因するオーディオ信
号のSN比の劣化は小さい。
【0082】実施例4.図11はこの発明の第4の実施
例によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図で
ある。この場合には、図9に示された構成に対して、低
域通過フィルタ4と電圧制御型増幅器7との間に遅延部
15a,15bが追加されている。また、高域通過フィ
ルタ5と混合回路11との間に遅延部15c,15dが
追加されている。各遅延部15a〜15dは、第2の実
施例で示されたものと同等のものであり、その遅延量
は、波高分析器6における1分析期間分に相当する量で
ある。なお、ここでは、2スピーカシステムを例にと
る。よって、図9に示されている分配回路13はここで
は設けられていない。
【0083】次に動作について説明する。オーディオ再
生装置1は、オーディオ記録媒体からステレオ信号を再
生し、それを低域通過フィルタ4および高域通過フィル
タ5に出力する。低域通過フィルタ4は、入力した信号
のうち低音域成分を通過させる。高域通過フィルタ5
は、入力した信号のうち高音域成分を通過させる。
【0084】波高分析器6、マイクロコンピュータ9お
よび乗算器10は、第3の実施例の場合と同様に動作
し、乗算器10は、波形圧縮の程度に相当する制御電圧
として電圧制御型増幅器7に出力する。電圧制御型増幅
器7は、上記各実施例の場合と同様に動作して低音域の
オーディオ信号の波形圧縮を行う。
【0085】遅延部15aおよび遅延部15bは、第2
の実施例の場合と同様に、低域通過フィルタ4の出力信
号を1分析周期分遅延させて電圧制御型増幅器7に出力
する。電圧制御型増幅器7は、乗算器10からの制御電
圧に従って遅延部15a,15bが出力した信号を制御
電圧に従ってレベル圧縮する。また、遅延部15c,1
5dは、高域通過フィルタ5の出力信号を1分析周期分
遅延させて混合回路11に出力する。
【0086】以後の動作は第3の実施例の場合と同様で
あるから、ここでは以後の動作説明を省略する。この実
施例によるオーディオ信号処理装置は、第3の実施例に
よる装置によって得られる効果を呈するとともに、オー
ディオ信号を波形分析の時間だけ遅らせることにより、
分析結果と、その結果が適用されるオーディオ信号との
整合をとり、異音感のより小さい再生音を提供する。
【0087】実施例5.図12はこの発明の第5の実施
例によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図で
ある。上記各実施例によるオーディオ信号処理装置にお
いては、原理的には、波形歪みが僅少で低音域以外の音
域で音質が変化することはない。しかし、アナログ回路
による低域通過フィルタ4および高域通過フィルタ5を
用いた場合には、回路部品の定数のばらつき等によって
周波数帯域の分割精度が悪くなり、その結果、音質が劣
化することがある。これに対して、ディジタルフィルタ
などのディジタル回路を用いてディジタル信号処理によ
って周波数帯域分割や波形圧縮を行えば、処理の精度が
演算語長などに依存するものの、ばらつきのない精度の
よい処理が実現できる。この実施例によるオーディオ信
号処理装置は、そのような考え方にもとづいて構成され
たものである。
【0088】図12において、80はオーディオ再生装
置1からのオーディオ信号をA−D変換するA−D変換
器、81は2つのクォダラティブミラーフィルタ(QM
F)81a,81bを有し周波数帯域分割を行うディジ
タル帯域分割回路である。ここで、QMF81aはL信
号の帯域分割を行うものであり、QMF81bはR信号
の帯域分割を行うものである。88はディジタル処理に
よって低音域成分の波高値検出を行うディジタル波高検
出器、89はディジタル処理によって波形圧縮を行うデ
ィジタル波形圧縮器である。
【0089】また、83は2つのQMF83a,83b
を有しディジタル波形圧縮器89の出力とQMF81
a,81bの出力とを混合するディジタル混合回路、8
5はディジタル混合回路83の出力について音量調節、
分配等の処理を行うディジタル処理回路、86,87は
ディジタル処理回路85の出力をD−A変換してパワー
アンプ(図示せず)に供給するD−A変換器である。9
0は音量調整信号をディジタル処理回路85に与える等
の処理を行うコントローラである。なお、ここでは、4
スピーカシステムを想定している。このオーディオ信号
処理装置は第1の実施例によるオーディオ信号処理装置
をディジタル化したものであるが、帯域分割処理と混合
処理にQMFを用いることが重要な点である。
【0090】なお、ディジタル帯域分割回路81は帯域
分割フィルタ手段の実現例であり、ディジタル波高検出
器88は波形分析手段の実現例である。また、ディジタ
ル波形圧縮器89は波形圧縮手段の実現例であり、ディ
ジタル混合回路83は混合手段の実現例である。
【0091】次に動作について説明する。オーディオ再
生装置1からのオーディオ信号は、A−D変換器80で
A−D変換された後、ディジタル帯域分割回路81に与
えられる。ディジタル帯域分割回路81において、QM
F81aは、オーディオ信号のL信号の帯域分割を行
う。そして、低域出力をディジタル波高検出器88に送
り、高域出力をディジタル混合回路83に送る。また、
QMF81bは、オーディオ信号のR信号の帯域分割を
行う。
【0092】各QMF81a,81bの具体的な構成例
を図13に示す。図に示すように、QMF81a,81
bは、帯域を2等分する対象係数FIRフィルタであ
り、n(nは奇数)個の縦続に接続された遅延器101
1 〜101n 、各遅延器1011 〜101n の出力側お
よび入力端子のそれぞれに接続された乗算器1030
103n 、奇数番目の乗算出力(奇数番目のタップ出
力)を加算するための加算器1023 ,1025 ,・・
・,102n 、偶数番目の乗算出力(偶数番目のタップ
出力)を加算するための加算器1022 ,1024 ,・
・・,102(n-1)、加算器102n の出力を加算器1
02(n-1) の出力から減算して高域出力を生成する減算
器102H 、ならびに加算器102(n-1) の出力と加算
器102n の出力と加算して低域出力を生成する加算器
102L とで構成される。
【0093】ここで、乗算器1030 〜103n の乗算
係数は順にa0 ,a1 ,・・・,an であり、
【0094】an-i =ai (iは自然数) の関係を満たしている。
【0095】このように構成されたQMFにおいて、奇
数番目の各タップ出力の加算と偶数番目の各タップ出力
の加算を別々に行い結果を一つおきに取り出すことによ
り、高域出力と低域出力とが同時に得られる。そして、
低域出力はディジタル波高検出器88に送られ、高域出
力はディジタル混合回路83に送られる。
【0096】ディジタル波高検出器88は、図1に示さ
れた波高分析器6と同様の処理によって制御信号を出力
する。ただし、処理はディジタル処理による。また、デ
ィジタル波形圧縮器89は、図1に示された電圧制御型
増幅器7と同様の処理によって圧縮された低域成分を出
力する。ただし、処理はディジタル処理による。
【0097】そして、ディジタル混合器83において、
QMF83aは、ディジタル波形圧縮器89から出力さ
れたL信号の低域成分とQMF81aから出力されたL
信号の高域成分とを混合する。また、QMF83bは、
ディジタル波形圧縮器89から出力されたR信号の低域
成分とQMF81bから出力されたR信号の高域成分と
を混合する。
【0098】各QMF83a,83bの具体的な構成例
を図14に示す。図に示すように、QMF83a,83
bは、ディジタル帯域分割回路81からの高域出力をデ
ィジタル波形圧縮器89からの低域出力から減算する減
算器101H 、加算器101H の出力側で縦続に接続さ
れた各遅延器1011 〜101n-1 、ディジタル波形圧
縮器89からの低域出力にディジタル帯域分割回路81
からの高域出力を加算する加算器101L 、加算器10
L の出力側で縦続に接続された各遅延器1011 〜1
01n 、加算器101H の出力および各遅延器1011
〜101n の1つおきの各出力のそれぞれに接続された
乗算器1030 〜103n 、各乗算出力を加算するため
の加算器1021 〜102n 、ならびに加算器1021
〜102n による加算値を1/2にする係数器104で
構成される。
【0099】乗算器1030 〜103n の乗算係数は順
にa0 ,a1 ,・・・,an であり、 an-i =ai (iは自然数) の関係を満たしている。
【0100】このように構成されたQMF83a,83
bに、入力ディジタル信号の1個おきに「0」を補間し
て標本化周波数をもとに戻した信号を入力すれば、高域
成分と低域成分とが合成されたディジタル信号が復元さ
れる。
【0101】ディジタル処理回路85は、ディジタル混
合回路83からの信号について音量調整等を行った後、
D−A変換器86とD−A変換器87とに信号分配す
る。D−A変換器86,87は、ディジタル処理回路8
5の出力をD−A変換してパワーアンプ(図示せず)に
供給する
【0102】以上のようにオーディオ信号の周波数帯域
分割のためのフィルタおよび高域と低域の合成のための
フィルタに対称性のあるQMFを用いたので、復元精度
の高い信号処理が実現される。このような構成によれ
ば、ポップス系やクラッシク系のオーディオ信号のよう
な周波数スペクトラムに極端な変動のない信号について
は、圧縮処理が実行されないとともに帯域分割と合成の
際の劣化が生じないので、あたかも信号処理回路が存在
しないかのような忠実な再生が実現される。周波数帯域
分割のためのフィルタとしてアナログフィルタを用いた
場合には、圧縮処理が実行されない場合であっても、帯
域分割と合成の際の信号劣化が避けられないことが多い
ので再生音はやや劣化してしまうことが多い。
【0103】実施例6.第5の実施例によるオーディオ
信号処理装置においては、図13および図14に示すよ
うに、多数の遅延器および乗算器が必要とされるので、
フィルタ処理に相当の時間がかかる。例えば、入力信号
に対して処理後の信号が100ms以上遅れてしまうとい
う場合も予想される。
【0104】そこで、波形伝送の忠実度を若干犠牲にし
ても簡略化された回路を得ることを優先する場合には、
QMF81a,81bに代えて、図15に示すIIRフ
ィルタを用いてもよい。なお、全体構成は、図12に示
されたものおいて、QMF81a,81b,83a,8
3bが除かれたものとなる。
【0105】図15に示すように、遅延器1010 〜1
014 、乗算器1031 〜1034および加算器102
の個数は大幅に低減されている。従って、演算時間も大
幅に短くなり、例えば、100ms以下と短くできる。ま
た、ディジタル混合回路85は、単なる加算器で実現さ
れる。このように、ディジタル信号処理回路の規模およ
びコストが大幅に小さくなる。
【0106】実施例7.図16はこの発明の第7の実施
例によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図で
ある。このオーディオ信号処理回路は、図12に示され
たものに対して、ディジタル帯域分割回路81とディジ
タル波形圧縮器89およびディジタル混合回路83との
間にディジタル遅延器82a〜82dが挿入されたもの
である。ディジタル遅延器82a〜82dの遅延量は、
ディジタル波高検出器88の処理時間(信号入力から処
理結果出力までの時間)と等しくなるように設定され
る。
【0107】ディジタル帯域分割回路81による周波数
帯域分割、ディジタル波高検出器88による波高検出処
理、ディジタル波形圧縮器89による波形圧縮処理、お
よびディジタル混合器83による混合処理等は、第5の
実施例による装置における動作と同じである。また、デ
ィジタル遅延器82a〜82dは、第2の実施例による
装置および第4の実施例による装置における遅延器15
a〜15dと同様に作用する。従って、第2の実施例お
よび第4の実施例の場合と同様、分析結果と、その結果
が適用されるオーディオ信号との整合がとれ、異音感の
より小さい再生音を提供することができる。
【0108】実施例8.図17はこの発明の第8の実施
例によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図で
ある。図12に示す装置および図16に示す装置におい
て、ディジタル帯域分割回路81、ディジタル波高検出
器88、ディジタル波形圧縮器89、およびディジタル
混合回路85は、それぞれ個別のディジタル回路で構成
されていた。また、図16に示す装置においては、さら
に、ディジタル遅延器82a〜82dが個別のディジタ
ル回路で構成されていた。それに対して、この実施例に
よるオーディオ信号処理装置では、それらの回路はディ
ジタル信号処理集積回路(以下、DSPという。)で実
現されている。
【0109】DSP100は、ディジタル帯域分割回路
81、ディジタル波高検出器88、ディジタル波形圧縮
器89、ディジタル混合回路85、およびディジタル遅
延器82a〜82dの機能をプログラムによる処理手順
で実現する。従って、このオーディオ信号処理装置の動
作は、図12に示す第5の実施例によるオーディオ信号
処理装置の動作、または図16に示す第7の実施例によ
るオーディオ信号処理装置の動作と同じであり、詳しい
動作説明をここでは省略する。
【0110】このように、ディジタル処理をDSP10
0に集積化することにより、回路が簡略化される。ま
た、波形圧縮以外の音量調整やイコライジング等の調整
処理の制御をマイクロコンピュータによるコントローラ
90が行い、その制御の下での調整信号処理もDSP1
00が行うようにすれば、さらに回路の簡略化が図れ
る。なお、ディジタル遅延器82a〜82dを用いない
構成、すなわち、図12に示す第5の実施例によるオー
ディオ信号処理装置をDSP100で集積化する場合に
は、当然、DSP100に、ディジタル遅延器82a〜
82dの機能を実現するプログラムは必要とされない。
【0111】実施例9.図18はこの発明の第9の実施
例によるオーディオ信号処理装置の構成を示す構成図で
ある。このオーディオ信号処理装置は、ディジタル遅延
器82a〜82dをDSP100の外付けメモリによる
信号遅延処理手段101で実現している。よって、DS
P100は、ディジタル帯域分割回路81、ディジタル
波高検出器88、ディジタル波形圧縮器89、およびデ
ィジタル混合回路85の各機能、すなわち、演算処理機
能(遅延機能以外の処理)のみを実行する。
【0112】このように、演算処理機能を実現する部分
と遅延機能を実現する部分とを分離することにより、D
SP100のプログラムを削減することができ、その結
果、DSP100の大規模化が防止される。よって、全
体としての回路規模は小さくなり、より好適なものが得
られる。なお、信号遅延処理手段(メモリ)101を構
成するメモリの容量は、波高値分析にかかる時間長であ
る1分析期間、実用上は5ms〜100msの範囲内の時間
における波形サンプルを記憶する容量のものとするとよ
い。
【0113】次に、波高値の分析開始から波形の圧縮処
理完了までのディジタル信号処理の具体的な内容につい
て説明する。なお、以下の処理は、図18に示すDSP
100とメモリ101を用いた場合を想定するが、図1
7に示すDSP100を用いたものにも適用できる。ま
た、図16に示すオーディオ信号装置にも適用できる。
さらに、以下の処理における一時記憶処理(遅延処理)
をスキップすれば図12に示すオーディオ信号処理装置
にも適用できる。
【0114】まず、図19のフローチャートにもとづい
てディジタル信号処理の全体的な流れについて説明す
る。オーディオ再生装置1が再生を開始すると、A−D
変換器80はオーディオ信号のA−D変換を行い、オー
ディオ信号をサンプル波形デ−タとして出力する。DS
P100は、波形データを取り込み(ステップST1
1)、QMF等による帯域分割処理を行う(ステップS
T12)。そして、帯域分割後の低音域の波形データと
高音域の波形データとがメモリ101に書き込まれる
(ステップST13,14)。なお、図16に示すオー
ディオ信号処理装置では、ディジタル帯域分割回路81
がステップST11,ST12の処理を行う。また、A
−D変換器80からの波形データはディジタル遅延器8
2a,82dに送られる。
【0115】DSP100は、低音域成分の各波形デー
タについて波高値分析を行い(ステップST15)、分
析結果である波高値に応じた圧縮率を算定する(ステッ
プST16)。なお、図16に示すオーディオ信号処理
装置では、ディジタル波高値検出器88がステップST
15,ST16の処理を行う。
【0116】次いで、DSP100は、メモリ101内
の低音域の波形データについて圧縮率に応じた圧縮処理
を行う(ステップST17)。なお、図16に示すオー
ディオ信号処理装置では、ディジタル波形圧縮器83が
ディジタル遅延器82a,82bからの波形データにつ
いてステップST17の処理を行う。
【0117】そして、DSP100は、圧縮後の波形デ
ータとメモリ101内の高音域の波形データとをQMF
等によって合成し(ステップST18)、合成後の波形
データをD−A変換器86に出力する(ステップST1
9)。なお、図16に示すオーディオ信号処理装置で
は、ディジタル混合回路83が、圧縮後の波形データと
ディジタル遅延器82c,82dからの高音域の波形デ
ータについてステップST18,ST19の処理を行
う。
【0118】ここで、帯域分割後の各波形デ−タは、メ
モリ101に一時記憶され、あるいは、ディジタル遅延
器82a〜82dで遅延され、波高値分析開始から波形
圧縮開始までの時間分だけ待たされることになる。従っ
て、圧縮すべき波形データが確実に圧縮される。このよ
うな処理対象のデータを待たせる手法は、一種の予測分
析法として音声分析合成などの分野ではよく知られてい
る。しかし、オーディオ再生系のシステム最適化につな
がる信号処理方式に予測分割法を適用すれば、従来のシ
ステムでは得られない特有の効果が生ずる。
【0119】以上の処理に沿った具体的な波形例の信号
の時間的な推移を図20のタイミング図を参照して説明
する。A−D変換器80から、(h)に示すサンプル波
形取り込みスタート時点(t=0)を起点として(a)
に示す波形データが出力されたとする。すると、帯域分
割処理によって、(b)に示す低音域の波形データと
(c)に示す高音域の波形データが得られる。このと
き、帯域分割処理にτ1 の時間がかかったとする。
【0120】そして、(i),(j)に示すように、1
フレーム分の低音域の波形データを対象として波高値分
析が行われる。よって、処理時間はτ1 〜τ2 である。
分析結果に応じて、(k)に示すタイミングで圧縮率算
定が行われる。
【0121】メモリ101あるいはディジタル遅延器8
2a,82bから、(d)に示すように1フレーム分遅
延した低音域の波形データが出力される。それらの波形
データについて、(l)に示すタイミングで波形圧縮が
実行される。波形圧縮は、1波形データごとに実行され
る。よって、(f)に示すように圧縮された波形データ
が出力される。また、メモリ101あるいはディジタル
遅延器82c,82dから、(e)に示すように1フレ
ーム分遅延した高音域の波形データが出力される。よっ
て、波形圧縮された低音域の波形データと高音域の波形
データとが、(m)に示すタイミングで合成され、
(g)に示すように合成データが出力される。
【0122】以後、1フレームごとに以上の処理が繰り
返される。ここで、帯域分割に要する時間τ1 は極力短
い方がよいが、図13,図14に示すQMFを用いた場
合には相当の時間がかかる。IIRフィルタを用いた場
合には、QMFを用いた場合に比べて1/10以下に小
さくすることができる。よって、その場合には、オーデ
ィオ再生装置1からパワーアンプまでの経路におけるオ
ーディオ信号の遅延はほぼメモリ101における遅延に
等しくなり、大きくても100ms程度になる。
【0123】実施例10.次に、波形圧縮のためのより
効果的な予測分析方法について、図21および図22に
示す具体的な例について説明する。図21は分析手順を
示すフローチャートであり、図19における分析圧縮処
理に相当する。図22はオーディオ信号波形例を示す波
形図であり、(a)は処理前の波形、(b)は処理後の
波形を示す。なお、ここでは、図18に示すオーディオ
信号処理装置を用いた場合を想定するが、図16または
図17に示す装置にもこの方法は適用可能である。
【0124】DSP100は、波高値のゼロ点(あるい
はそれに近い点)から次のゼロ点までの低音域の波形デ
ータを1フレームのデータとする。すなわち、ディジタ
ルオーディオ波形における隣接ゼロ点間を分析時間長と
する。よって、DSP100は、低音域の波形データか
らゼロ点を検出すると1フレームの波高値の分析を開始
する。
【0125】ゼロ点は、サンプル波形データの符号が反
転する点として容易に得られる。図22に示す例では、
分析時間長は、T0 〜T1 間、T1 〜T2 間などとな
る。DSP100は、1分析時間内の波形データを対象
として、しきい値レベルVS を越える波形データがある
かどうか判定する(ステップST22)。しきい値レベ
ルVS は、オーディオシステムの線形領域特性等にもと
づいてあらかじめ定められた値である。しきい値レベル
S を越える波形データの発生時点をTS 点とする。
【0126】TS 点が存在する場合には、それらの点の
中から波高値が最大(絶対値での最大)の点を抽出し、
その点における波高値VP を得る(ステップST23,
ST24)。そして、圧縮率に対応するゲイン係数Gを
|VS /VP |として算出する(ステップST25)。
一方、TS 点が存在しない場合には、圧縮の必要がない
ということで、ゲイン係数G=1と設定する(ステップ
ST23,ST26)。なお、ステップST22〜ST
26の処理は、図16に示すオーディオ信号処理装置で
は、ディジタル波高検出器88によって実行される。
【0127】DSP100は、メモリ101から、後述
する滞留時間経過後に1フレーム分の低音域の波形デー
タを読み出す。そして、各波形データにゲイン係数Gを
掛けて圧縮された低音域の波形データを作成する。な
お、メモリ101中のデータに対してゲイン係数Gを掛
けて、滞留時間経過後に圧縮された低音域の波形データ
を読み出すように構成してもよい。また、図16に示す
オーディオ信号処理装置では、ステップST27の処理
は、ディジタル波形圧縮器83によって実行される。
【0128】図22(a)に示す波形では、T2 〜T3
間にしきい値レベルVS を越える波形データが存在し、
時点TP において最大値VP が生じている。それ以外の
ゼロ点間には、しきい値レベルVS を越える波形データ
は存在しない。従って、波形圧縮はT2 〜T3 間につい
てのみ実行され、図22(b)に示すように、T2 〜T
3 間の最大波高値がVS となっている波形データが出力
される。
【0129】このように、ゼロ点間を分析時間長とする
ことにより、圧縮後の波形において連続性が保たれ波形
歪みが抑制される。なお、実際には、図22(b)に示
す波形は、図22(a)に示す波形よりも、メモリ10
1における滞留時間だけ、あるいはディジタル遅延器8
2a〜82dの遅延量だけ遅延している。ここで、例え
ば、オーディオ信号に含まれる最低周波数成分を20Hz
とみなすと、その周波数の正弦波のゼロ点間は25msで
ある。よって、遅延量を25msに設定しておけば、その
遅延量を越える期間に及ぶフレームはないので、波形分
析に問題は生じない。
【0130】実施例11.波形圧縮処理において、圧縮
処理における波形歪みをより低減するために、図23に
示すように、分析時間長を、あるゼロ点から次の次のゼ
ロ点までとしてもよい。すなわち、波形がゼロレベルを
クロスする各点のうち、クロス方向が同一(正→負ある
いは負→正)の隣接ゼロ点間を1フレームとする。な
お、図23(a)は処理前の波形を示し、図23(B)
は処理後の波形を示す。DSP100あるいはディジタ
ル波高検出器88は、この場合には、ゼロ点から次の次
のゼル点までの間の波形データを波高値検出およびゲイ
ン係数算出の対象とする。具体的な処理手順は、第10
の実施例の場合と同じである。
【0131】この場合には、波形圧縮の対象の1区間
は、波形の正および負の領域を包含するので、すなわ
ち、1波長に相当する区間となるので、第10の実施例
の場合に比べて広がっている。しかし、このように分析
時間を設定することにより、波形圧縮による高調波歪み
をより小さくすることができる。ただし、メモリ101
の容量は実施例10の場合よりも2倍程度に増加する。
【0132】実施例12.上記各実施例による波形圧縮
処理は、いずれも、波形の形態の違いによって分析時間
長が変化するいわゆる可変長フレームによる処理であっ
た。しかし、分析時間を固定長フレームによることもで
きる。固定長フレームに対応した固定長の分析時間は、
すでに述べたように、5ms〜100msの値とするのがよ
い。以下、図24のフローチャートおよび図25の波形
図を参照して処理内容について説明する。ここでは、図
17に示すオーディオ信号処理装置を想定して説明す
る。しかし、図16、図18に示す装置にもこの方法は
適用可能である。
【0133】オーディオ再生装置1が再生を開始する
と、DSP100は帯域分割処理、波高値分析処理等を
開始する。なお、DSP100は、初期設定時に、しき
い値レベルVS を設定し、前フレームゲイン係数G-1
「1」を設定しておく。波高値分析処理において、DS
P100は、帯域処理部分からの1フレーム分の波形デ
ータを受け取る(ステップST31)。そして、各波形
データからゼロ点を検出する(ステップST32)。な
お、1フレームの開始点を始端点、終了点を終端点とい
う。また、ゼロ点をTi (i≧0)とする。そして、D
SP100は、始端点からT0 までの波形データにゲイ
ン係数G-1を掛ける(ステップST33)。
【0134】次に、DSP100は、T0 点から終端点
までの波形データ中にしきい値レベルVS を越えるもの
があるかどうか検出する(ステップST34)。しきい
値レベルVS を越える波形データの存在する時点をTS
とする。TS 点があった場合には、それらの点における
波形データのうちの最大値(絶対値での最大値)VP
抽出する(ステップST35,37)。そして、圧縮率
に相当するゲイン係数Gとして|VS /VP |を設定す
る(ステップST38)。TS 点がない場合には、圧縮
しないことを意味する「1」を設定する(ステップST
36)。
【0135】次いで、T0 点から終端点までの各波形デ
ータにゲイン係数Gを掛ける(ステップST39)。ま
た、次のフレームにおいて用いられるフレームゲイン係
数G-1として、現フレームのゲイン係数Gを設定する
(ステップST40)。例えば、図25(a)に示す波
形があった場合、以上の処理によって図25(b)に示
す波形が得られる。すなわち、T0 点から終端点までの
波形は、約80%に圧縮されている。そして、T0 点か
ら終端点までに適用される圧縮率は、次フレームの最初
のゼロ点T1 まで適用される。なお、実際には、図25
(b)に示す波形は、図25(a)に示す波形よりも遅
れている。
【0136】このように、ゼロ点を検出しゼロ点間を同
一圧縮率で処理することにより、上記各実施例の場合と
同様、波形の連続性が保たれ波形歪みを最小とすること
ができる。よって、音質の劣化は小さい。さらに、分析
時間長が固定長であるからDSP100における波形デ
ータの遅延時間は分析時間長と同一である。よって、サ
ンプル波形の入出力に関する制御が簡単化され、回路構
成が簡略化される。
【0137】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、オーディオ信号処理装置が、オーディオ信号の低
音域の信号のみの波高値を分析し、オーディオ信号の低
音域の信号の波高値に応じて低音域の信号のレベルを圧
縮するように構成したので、ジャンルの異なる様々な音
楽ソースのそれぞれに対して好適な聴取音を提供できる
ものが得られる効果がある。さらに、オーディオ信号波
形に適応した処理を行っているので、圧縮の必要のない
音楽ソースに対して、あるいは、圧縮の必要のない聴取
条件においては忠実な再生が保証されるという効果もあ
る。
【0138】請求項2記載の記載の発明によれば、オー
ディオ信号処理装置が、オーディオ信号の低音域の信号
のみの波高値を分析し、オーディオ信号の低音域の信号
の波高値に応じて低音域の信号のレベルを圧縮する構成
に対して、さらに、分析結果が分析対象の波形に反映さ
れるように、帯域分割フィルタ手段からの信号を遅延さ
せる構成としたので、請求項1記載の発明による効果に
加えて、より厳密な波形圧縮処理が行えるという効果も
得られる。
【0139】請求項3記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、オーディオ信号のレベルを調整する音
量調整手段と、この音量調整手段による調整度を波形分
析手段の分析結果に反映する圧縮度合い制御手段をさら
に備えた構成となっているので、使用者の音量調整指令
を加味した波形圧縮処理ができる効果がある。また、オ
ーディオ信号レベルを大きく変化させるための要素であ
る音量調整部分を装置における後段に配置でき、この装
置の存在によるSN比の劣化を抑えることができる効果
がある。
【0140】請求項4記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、帯域分割フィルタ手段、波形分析手
段、および波形圧縮手段がディジタル処理回路によるも
のとなっている構成であるから、上記各効果に加えて、
帯域分割や波形圧縮を精度よく行えるという効果も得ら
れる。
【0141】請求項5記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、帯域分割フィルタ手段がディジタルミ
ラーフィルタによるものとなっている構成であるから、
帯域分割がより精密に実行され、ポップス系やクラシッ
ク系のオーディオ信号のように周波数スペクトラムにお
ける変動が小さい信号を処理する場合で圧縮処理が必要
でないときに、この装置が存在しないかのような忠実な
信号再生が実行されるという効果がある。
【0142】請求項6記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、帯域分割フィルタ手段、波形分析手
段、および波形圧縮手段はディジタル信号処理集積回路
によるものとなっている構成であるから、装置規模が小
さく、低価格のものが得られる効果がある。
【0143】請求項7記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、遅延手段における遅延量が5ミリ秒な
いし100ミリ秒に設定されている構成であるから、波
形圧縮や信号遅延に伴う再生音の不自然さを抑制できる
ものが得られる効果がある。
【0144】請求項8記載の発明によれば、オーディオ
信号処理装置が、波形分析手段が波形のゼロクロス点間
を単位として波形分析を行うものとなっている構成であ
るから、圧縮処理後の合成信号の波形において連続性が
保たれ、波形歪みを抑制できるものが得られる効果があ
る。
【0145】そして、請求項9記載の発明によれば、オ
ーディオ信号処理装置が、波形分析手段が固定時間内の
各波形を単位として波形分析を行うものとなっている構
成であるから、波形データの取り込みと出力に関する処
理が簡単化され、その結果、回路構成が簡略化されたも
のが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例によるオーディオ信号
処理装置を含む車両用オーディオシステムの構成を示す
構成図である。
【図2】周波数−音圧レベル曲線を示す説明図である。
【図3】クラシック系やポップス系のオーディオ信号の
スペクトラム分布を示す分布図である。
【図4】ロック系の音楽信号のスペクトラム分布を示す
分布図である。
【図5】波高分析器の構成例を示す回路図である。
【図6】電圧制御型増幅器のの構成例を示す回路図であ
る。
【図7】オーディオ信号の波形の変化過程を示す波形図
である。
【図8】この発明の第2の実施例によるオーディオ信号
処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の第3の実施例によるオーディオ信号
処理装置を含む車両用オーディオシステムの構成を示す
構成図である。
【図10】低音域ブースト回路の構成例を示す回路図で
ある。
【図11】この発明の第4の実施例によるオーディオ信
号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の第5の実施例によるオーディオ信
号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】帯域分割に用いられるクォダラティブミラー
フィルタの構成例を示す回路図である。
【図14】信号合成に用いられるクォダラティブミラー
フィルタの構成例を示す回路図である。
【図15】IIRフィルタの構成例を示す回路図であ
る。
【図16】この発明の第7の実施例によるオーディオ信
号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図17】この発明の第8の実施例によるオーディオ信
号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の第9の実施例によるオーディオ信
号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図19】波形分析および波形圧縮の処理を示すフロー
チャートである。
【図20】波形分析および波形圧縮の処理過程を示す波
形図である。
【図21】この発明の第10の実施例による波形分析処
理を示すフローチャートである。
【図22】この発明の第10の実施例における波形分析
処理の結果を示す波形図である。
【図23】この発明の第11の実施例における波形分析
処理の結果を示す波形図である。
【図24】この発明の第12の実施例による波形分析処
理を示すフローチャートである。
【図25】この発明の第12の実施例における波形分析
処理の結果を示す波形図である。
【図26】従来のオーディオ信号処理装置を含む車両用
オーディオシステムの構成を示す構成図である。
【図27】(a)はハードロック系の音楽信号の周波数
スペクトラムを示すスペクトラム図である。(b)はハ
ードロック系の音楽信号の時間波形を示す波形図であ
る。
【図28】従来の改良されたオーディオ信号処理装置を
示すブロック図である。
【図29】従来の波形圧縮回路の構成を示すブロック図
である。
【図30】従来の他の波形圧縮回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【符号の説明】
3A 電子ボリューム(音量調整手段) 4 低域通過フィルタ(帯域分割フィルタ手段) 5 高域通過フィルタ(帯域分割フィルタ手段) 6 波高分析器(波形分析手段) 7 電圧制御型増幅器(波形圧縮手段) 8 混合分配回路(混合手段) 9 マイクロコンピュータ(音量調整手段) 10 乗算器(圧縮度合い制御手段) 15a〜15d 遅延部(遅延手段) 81 ディジタル帯域分割回路(帯域分割フィルタ手
段) 81a〜81b QMF(ディジタルミラーフィルタ) 83 ディジタル混合回路(混合手段) 88 ディジタル波高検出器(波形分析手段) 89 ディジタル波形圧縮器(波形圧縮手段) 100 DSP(ディジタル信号処理集積回路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04S 1/00 D 8421−5H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーディオ信号を低音域信号と高音域信
    号とに帯域分割する帯域分割フィルタ手段と、この帯域
    分割フィルタ手段による分割で得られた低音域信号の波
    高値を分析する波形分析手段と、この波形分析手段の分
    析結果に応じて低音域信号の波形のレベルを圧縮する波
    形圧縮手段と、この波形圧縮手段で圧縮された低音域信
    号と前記高音域信号とを混合する混合手段とを備えたオ
    ーディオ信号処理装置。
  2. 【請求項2】 オーディオ信号を低音域信号と高音域信
    号とに帯域分割する帯域分割フィルタ手段と、この帯域
    分割フィルタ手段による分割で得られた低音域信号の波
    高値を分析する波形分析手段と、この波形分析手段の分
    析処理に要する時間を包含する時間の遅延を前記低音域
    信号および高音域信号に与える遅延手段と、前記波形分
    析手段の分析結果に応じて、遅延手段で遅延された低音
    域信号の波形のレベルを圧縮する波形圧縮手段と、この
    波形圧縮手段で圧縮された低音域信号と前記遅延手段で
    遅延された高音域信号とを混合する混合手段とを備えた
    オーディオ信号処理装置。
  3. 【請求項3】 オーディオ信号のレベルを調整する音量
    調整手段と、この音量調整手段による調整度を波形分析
    手段の分析結果に反映する圧縮度合い制御手段をさらに
    備えた請求項1または請求項2記載のオーディオ信号処
    理装置。
  4. 【請求項4】 帯域分割フィルタ手段、波形分析手段、
    および波形圧縮手段はディジタル処理回路で構成された
    請求項1、請求項2および請求項3いずれか1項記載の
    オーディオ信号処理装置。
  5. 【請求項5】 帯域分割フィルタ手段はディジタルミラ
    ーフィルタで構成された請求項4記載のオーディオ信号
    処理装置。
  6. 【請求項6】 帯域分割フィルタ手段、波形分析手段、
    および波形圧縮手段はディジタル信号処理集積回路で構
    成された請求項4記載のオーディオ信号処理装置。
  7. 【請求項7】 遅延手段における遅延量は、5ミリ秒な
    いし100ミリ秒である請求項4、請求項5および請求
    項6いずれか1項記載のオーディオ信号処理装置。
  8. 【請求項8】 波形分析手段は波形のゼロクロス点間を
    単位として波形分析を行う請求項4、請求項5および請
    求項6いずれか1項記載のオーディオ信号処理装置。
  9. 【請求項9】 波形分析手段は固定時間内の各波形を単
    位として波形分析を行う請求項4、請求項5および請求
    項6いずれか1項記載のオーディオ信号処理装置。
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