JPH06159280A - 空冷式二段無給油形スクリュー圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】雄ロータ５，雌ロータ６，ケーシング７を含む
一段圧縮機本体１及び二段圧縮機本体２と、空冷式のイ
ンタークーラ１９，アフタークーラ２３を含み、ケーシ
ング部のジャケットを不付けとし、ジャケットへクーラ
ントを流入させる装置、クーラントクーラを省略した。
さらに、ケーシング７の外壁に冷却フィン１６を設け
る。 【効果】圧縮機本体ケーシングのジャケットにクーラン
トを流入させる必要がなくなり、クーラントポンプ等の
クーラント循環機器，クーラントクーラが不要となり、
低コスト化，内部機器及び配管の簡素化，圧縮機パッケ
ージの小形化が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧縮機が二段に接続さ
れ、吐出ガスが冷却器により冷却されて利用機器に吐出
されるようになっている空冷式二段無給油形スクリュー
圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術は、特開平1−116297 号公報
に開示されており、圧縮機本体により圧縮されたガスを
空冷式の冷却器で冷却する構造となっており、さらに、
圧縮機本体のケーシングのジャケット内に冷却用の液体
（クーラント）を流通させ、圧縮機本体全体を冷却し、
このクーラントを空冷式冷却器により冷却する装置（ク
ーラントクーラ）及びクーラントポンプ等のクーラント
循環装置を設けていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、ケ
ーシングのジャケット内を冷却した後のクーラントと冷
却媒体である空気との温度差が小さく、クーラントクー
ラは大形化し、圧縮ガスを冷却する冷却器とほぼ同等の
伝熱面積を必要としていた。さらに、クーラントを機内
で循環させるためのクーラントポンプ等のクーラント循
環装置，クーラント循環系を保護するためのクーラント
温度リレー等の保護装置が必要であり、圧縮機パッケー
ジの小形化，パッケージ内部機器の簡素化が妨げられて
いた。

【０００４】本発明の目的は、圧縮機の冷却システムを
小形化，低コスト化するために、最適なケーシングの冷
却方法と構成をもって空冷式二段無給油形スクリュー圧
縮機を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の空冷式二段無給油形スクリュー圧縮機は、
互いに噛合う一対の雄雌のスクリューロータ，スクリュ
ーロータを収納するケーシング等から成る低圧段圧縮機
本体（一段圧縮機本体）及び高圧段圧縮機本体（二段圧
縮機本体）と、空冷式の低圧段側冷却器（インタークー
ラ）及び高圧段側冷却器（アフタークーラ）等で構成
し、さらに前記ケーシング部に圧縮機本体冷却用のジャ
ケット部を不付けとし、前記ジャケットへ冷却液（クー
ラント）を流入させ熱交換させる装置を省略した。

【０００６】また、前記空冷式二段無給油形スクリュー
圧縮機のケーシングの外壁に複数の冷却フィンを設け、
このフィン間、ケーシング外表面に冷却風を送る手段を
設ける。または設けない構造とした。

【０００７】

【作用】単段無給油形圧縮機では、一台の圧縮機本体の
みでガスを昇圧するので、吐出ガス温度が高く（約３５
０℃）となり、圧縮機全放熱量に対するケーシングジャ
ケット部での熱交換量の割合も高くなる。従って、ジャ
ケット部での熱交換が十分でない場合、吐出ガス温度上
昇，性能低下，ケーシング熱変形大による内部ギャップ
の大幅な増減，軸受内部温度上昇等の不具合が生じ易
い。一方、二段無給油形圧縮機では、直列の二台の圧縮
機本体でガスを昇圧するので各々の吐出ガス温度は単段
機程高くならず（約１５０℃〜２００℃）、圧縮機全放
熱量に対するケーシングジャケット部での熱交換量の割
合は低くなる。従って、液冷のジャケットを設けなくて
も、冷却フィンを設け、圧縮機本体を自然放冷あるいは
簡易的な強制空冷で不具合を防止でき、ジャケットへク
ーラント等の液体を流入させた場合と同等の性能を得る
ことができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の第一の実施例を図１ないし図
５により説明する。図３，図４に示されている様に、一
段圧縮機本体１と二段圧縮機本体２は、ギヤケーシング
３にフランジで結合され、このギヤケーシング３には増
速ギヤが収納され、原動機（図示せず）から軸動力が増
速ギヤへ伝達し、一段圧縮機本体１，二段圧縮機本体２
は駆動される。

【０００９】図１に示されている様に、一段圧縮機本体
１は、互いに噛合う雄ロータ５と雌ロータ６を収納する
ケーシング７，Ｓケーシング８と、雄ロータ５と雌ロー
タ６を支承するラジアル軸受９，１０，スラスト軸受１
１と、雄ロータ５と雌ロータ６のロータ歯溝部を互いに
非接触で同期回転させる二対のタイミングギヤ１２と、
ロータ歯溝部へ油の浸入を防止する軸封装置１３，１４
から構成される。雄ロータ５の軸端に取付けられたピニ
オンギヤへ１５へ軸動力が伝達され、雄ロータ５と雌ロ
ータ６とが同期回転することによりガスが圧縮され吐出
される。一方、二段圧縮機本体２も図１に示される様な
構造であり、ロータ径は一段側に比べて小さくなり、構
成部品もスケールダウンしたものとなる。

【００１０】従来技術では、図２に示す様に、ケーシン
グ７には、両ロータ５，６を覆う形で、圧縮機本体全体
をクーラント等の液体で冷却するためのジャケット１７
が設けられている。一方、本実施例では、図１に示す様
に、一段圧縮機本体１及び二段圧縮機本体２のケーシン
グ７の外壁には、複数の冷却フィン１６がその放熱面積
を大きくするように、両ロータ５，６の軸直角平面にほ
ぼ沿って形成される構造とした。放熱フィン１６は、ケ
ーシング７と別部品で構成しケーシングへ密着させる手
段も考えられるが、本実施例では、鋳鉄等の鋳物でケー
シング７と冷却フィン１６を一体で構成した。

【００１１】さらに、本実施例では、図３，図４に示す
様に、一段圧縮機本体１及び二段圧縮機本体２の外表面
あるいは冷却フィン部に強制的に冷却風を流さない自然
放熱方式とした。冷却フィン部で熱交換された空気は、
自然対流で、冷却フィン２０へ流れ排気口より機外へ排
出される。

【００１２】本実施例の空冷式二段無給油形圧縮機で
は、一段圧縮機本体１，二段圧縮機本体２の順でガスを
昇圧するので各々の吐出ガス温度は単段機程高くならず
（二段機は約１５０℃〜２００℃、単段機は約３５０
℃）、圧縮機全放熱量に対するケーシングジャケット部
での熱交換量の割合は単段機に比べてかなり低くなる。
従って、液冷のジャケットを設けなくても、一段圧縮機
本体１及び二段圧縮機本体２を自然放冷あるいは簡易的
な強制空冷で冷却すれば、吐出ガス温度上昇，ケーシン
グ変形大による内部ギャップ（ロータ間ギャップ等）の
大幅な増減，軸受内部温度上昇を防止でき、ジャケット
へクーラント等の液体を流入させた場合と同等の性能を
得ることができる。

【００１３】次に、本実施例の空冷冷却システムについ
て図３，図４，図５により説明する。図５は、本実施例
に関する空冷式二段無給油形スクリュー圧縮機の圧縮ガ
スの流れを示す説明図である。吸入絞り弁１８を経由し
た吸入ガスは、一段圧縮機本体１で、例えば、約３ｋｇ
／cm²ｇ 程度まで昇圧される。このガスは、インターク
ーラ１９に圧送され、インタークーラ１９で冷却ファン
２０により発生する冷却風で冷却され、ドレンセパレー
タ２１でドレンを分離された後、二段圧縮機本体２へ流
入する。ここで更に、９ｋｇ／cm²ｇ 程度まで昇圧され
高温となったガスは、逆止弁２２を経由し、アフターク
ーラ２３へ流入し、アフタークーラ２３で冷却ファン２
０により発生する冷却風により大気温度＋１５℃程度の
温度となって吐出口２４から機外へ供給される。一方、
油循環系は、ギヤケーシング３の下部の油溜め内の潤滑
油は、オイルポンプ２５に吸引加圧され、オイルクーラ
２６へ圧送され、オイルクーラ２６で冷却ファン２０に
より発生する冷却風により冷却される。さらに、オイル
クーラ２６よりオイルフィルタ２７に流入してろ過さ
れ、一段圧縮機本体１及び二段圧縮機本体２及びギヤケ
ーシング３内の軸受部，ギヤ噛合部へ供給される。

【００１４】従来技術では、圧縮機本体のケーシングの
ジャケット内に冷却用の液体（クーラント）を流通さ
せ、ケーシングを冷却しており、さらに、このクーラン
トを機内で循環させるためのクーラントポンプ等の循環
装置，クーラントを冷却するためのクーラントクーラ等
の冷却装置，クーラント循環系を保護するための各種リ
レー，クーラント循環経路内の目詰りを防止するクーラ
ントフィルタが必要であった。一方、本発明によれば、
圧縮機本体のケーシングにジャケットを設ける必要がな
くなり、以上のクーラント循環系の各機器を全て省略で
きるので、圧縮機内部構造の簡素化，圧縮機の低コスト
化が図れる。さらに、クーラントクーラを設ける必要が
なくなり、冷却器は、インタークーラ，アフタークー
ラ，オイルクーラの三種類のクーラのみで構成でき、冷
却システムの小形化，簡速化が図れ、さらに、圧縮機パ
ッケージの小形化が実現可能となる。

【００１５】次に、本発明の第二の実施例を図６により
説明する。図６には、一段圧縮機本体，二段圧縮機本体
の構造を示し、ケーシング７部に、ジャケット及び冷却
フィンを設けない例である。この場合、鋳物形状が簡素
化され、低コストで鋳物製作が可能となる。

【００１６】次に、本発明の第三の実施例を図７により
説明する。本実施例は、一段圧縮機本体１，二段圧縮機
本体２のケーシング外表面、及び冷却フィン部を冷却フ
ィンの冷却風により強制的に冷却する例である。ギヤケ
ーシング３にフランジ結合された一段圧縮機本体１，二
段圧縮機本体２の後方部等の周辺に第二冷却ファン３０
を設け、圧縮機パッケージ側面に冷却ファン用の吸気口
３１，ダクト３２を設ける。この様に構成することによ
り、圧縮機本体に発生する熱を冷却風により奪い去るこ
とができ、二段圧縮機の性能向上が図れる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、圧縮機の性能を低下さ
せることなく、圧縮機の冷却システムの小形化，圧縮機
の低コスト化を可能とした、簡素な配管及び構造を持っ
た空冷式二段無給油形スクリュー圧縮機を提供できる。

【００１８】具体的には、 (１) 圧縮機本体のケーシングにジャケットを設け、ク
ーラントを流入させる必要がなくなり、クーラントポン
プ，クーラントフィルタ等のクーラント循環系の機器を
全て省略できるので、圧縮機内部構造の簡素化，圧縮機
内配管の簡素化，圧縮機製作コストの低減等が可能とな
る。

【００１９】(２) クーラントクーラを設ける必要がな
くなり、冷却器は、インタークーラ，アフタークーラ，
オイルクーラの３種類のクーラのみで構成でき、空冷式
冷却システムの小形化，簡素化が図れ、圧縮機パッケー
ジの小形化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一の実施例の一段圧縮機本体，二段
圧縮機本体の断面図。

【図２】従来技術の例で圧縮機本体の断面図。

【図３】二段圧縮機の組立図。

【図４】二段圧縮機の組立図。

【図５】吐出ガス及び潤滑油の流れを示す説明図。

【図６】本発明の第二の実施例を示し、圧縮機本体の断
面図。

【図７】本発明の第三の実施例を示し、二段圧縮機の説
明図。

【符号の説明】

１…一段圧縮機本体、２…二段圧縮機本体、３…ギヤケ
ーシング、５…雄ロータ、６…雌ロータ、７…ケーシン
グ、１６…冷却フィン、１９…インタークーラ、２０…
冷却ファン、２３…アフタークーラ、２６…オイルクー
ラ、３０…第二冷却ファン。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 利一 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】互いに噛合う一対の雄雌スクリューロー
   タ、前記スクリューロータを収納するケーシングを含む
   低圧段圧縮機本体及び高圧段圧縮機本体と、空冷式の低
   圧段側冷却器及び高圧段側冷却器を備えた空冷二段無給
   油形スクリュー圧縮機において、前記ケーシングに圧縮
   機本体冷却用の液冷ジャケットを設けず、また、前記圧
   縮機本体の液冷手段を設けない構造としたことを特徴と
   する空冷式二段無給油形スクリュー圧縮機。