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JPH06125734A - 蛋白調味液の製法 - Google Patents

蛋白調味液の製法

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Publication number
JPH06125734A
JPH06125734A JP4283139A JP28313992A JPH06125734A JP H06125734 A JPH06125734 A JP H06125734A JP 4283139 A JP4283139 A JP 4283139A JP 28313992 A JP28313992 A JP 28313992A JP H06125734 A JPH06125734 A JP H06125734A
Authority
JP
Japan
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koji
protein
enzyme
solution
raw material
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Granted
Application number
JP4283139A
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English (en)
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JP2932130B2 (ja
Inventor
Keiichi Kubota
啓一 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HANKYU KYOEI BUSSAN Inc
Original Assignee
HANKYU KYOEI BUSSAN Inc
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Publication date
Application filed by HANKYU KYOEI BUSSAN Inc filed Critical HANKYU KYOEI BUSSAN Inc
Priority to JP4283139A priority Critical patent/JP2932130B2/ja
Publication of JPH06125734A publication Critical patent/JPH06125734A/ja
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Publication of JP2932130B2 publication Critical patent/JP2932130B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、微生物を固体培養した麹の有機溶媒
浸漬物から得られ、上記麹の自己消化によるエキソ型ペ
プチダーゼ酵素を含有する酵素剤、及び動植物性蛋白質
原料に、蛋白可溶化酵素を作用させ、次いで上記エキソ
型ペプチダーゼ酵素含有酵素剤を作用させる蛋白調味液
の製法を提供する。 【効果】本発明酵素剤は、苦みのない蛋白分解物の製造
に適しており、これを利用して得られる調味液は、苦み
がないことに加えて無塩且つ安全で、旨味性が良好でコ
クのある優れた味を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエキソ型ペプチダーゼを
含む酵素剤及びこれを用いた新しい蛋白調味液、より詳
しくは蛋白質分解物であるアミノ酸乃至苦みのないオリ
ゴペプチドを呈味成分とし、殊に旨味の主体であるグル
タミン酸等の含量を著しく向上させ得、しかも無塩の蛋
白調味液の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来より、醤油、味噌等の蛋白
質分解物を呈味成分とする調味液は知られているが、之
等はかなり多量の食塩の利用を必須としており、これが
製品の利用面で種々の制約を受ける原因となっている。
即ち、一般に醤油は、蒸煮大豆を主とする麹原料に種麹
を接種して麹を製し、これに塩水を混ぜて仕込みを行な
い、得られるもろみを発酵させて生揚げ醤油として製造
されるが、上記麹の仕込みの際には、麹由来の微生物
(雑菌等)の繁殖による腐敗をおさえ、もろみの発酵、
熟成が良好に行なわれるように、通常約23%前後の高
濃度の食塩を利用しており、これが一方では醤油特有の
味を出す反面、製品の塩濃度を16〜17%の高濃度と
し、その用途に制約を受ける原因となっている。
【0003】また従来より、動植物性蛋白原料に蛋白可
溶化酵素を作用させて動植物エキスを製造する方法は知
られているが、かかる蛋白可溶化酵素の利用では、得ら
れるエキスが苦みを有するという致命的な欠点があり、
調味液としての利用は困難である。上記苦みはエキソ型
プロテアーゼの利用により消去できるが、エキソ型プロ
テアーゼ自体、その分離、精製が非常に困難であり、今
だ製品化されるには至っておらず、勿論かかる酵素が上
記動植物性蛋白原料からの調味液の製造に利用された例
はない。
【0004】一方、動植物蛋白の加水分解物(HAP、
HVP)、即ち塩酸で動植物蛋白を分解させた調味料も
従来より知られており、インスタント食品等に用いられ
る天然調味料の一部(補助調味料)として、その需要が
次第に増大してきている。しかるに、かかるHAP、H
VPについては、最近、上記蛋白質を塩酸で加水分解す
る際にできる有機塩素系の副生成物と考えられる変異原
物質、即ち遺伝子に傷を付け細胞に突然変異を起こさせ
る物質を含むものがあることが確認され、その安全性が
問題となりつつある。
【0005】従って、本発明の目的は、上記HVP、H
APに代わって安全であり、しかも無塩であり且つ苦み
がなく、呈味性の優れた新しい調味液を提供する点にあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かねてよ
りこの種動植物性蛋白原料の酵素加水分解物からなる調
味液につき鋭意研究を重ねた結果、先に食用動物性蛋白
質原料に蛋白可溶化酵素と醤油麹の自己消化液を作用さ
せることによって、呈味性が良好でしかも苦みのないオ
リゴペプチドを呈味成分とする品質良好な調味液を提供
する方法を開発した(特公平4−20581号公報参
照)。
【0007】上記調味液は確かに呈味性が良好なもので
はあるが、尚食塩濃度が高く、この点では醤油と同様で
あった。
【0008】しかるに、引き続く研究において、上記麹
をエチルアルコール等の有機溶媒に浸漬して自己消化さ
せる時には、無塩条件下でも腐敗のおそれがなく、しか
も非常に優れた酵素活性を発揮するエキソ型ペプチダー
ゼが得られ、これは上記目的の無塩調味液の製造に有効
であり、その利用によって目的とする品質良好な所望の
無塩調味液が得られるという新しい事実を発見した。ま
た本発明者らは、上記アルコール浸漬による自己消化
は、醤油麹に限らず、その他の各種微生物の固体培養物
にも適用でき、之等の場合も同様に優れた酵素活性を発
揮し得るエキソ型ペプチダーゼを主として含む自己消化
物が得られ、之等の利用によって所望の無塩調味液が製
造できるという事実をも見出した。本発明はかかる新し
い知見に基いて完成されたものである。
【0009】即ち、本発明は微生物を固体培養した麹の
有機溶媒浸漬物から得られ、上記麹の自己消化によるエ
キソ型ペプチダーゼ酵素を含有することを特徴とする酵
素剤、及び動植物性蛋白原料に、蛋白可溶化酵素を作用
させ、次いで上記酵素剤を作用させることを特徴とする
蛋白調味液の製法に係わる。
【0010】本発明酵素剤は、エキソ型ペプチダーゼ活
性の優れたものであり、特に苦みのない調味液の製造に
適している。
【0011】また本発明調味液は、苦みがないことは勿
論のこと、無塩且つ安全であり、濃縮してエキスとする
こともでき、広範な各種の加工食品乃至食品素材、例え
ばインスタント食品、練り製品、ハム・ソーセージ、漬
物、ドレッシング、ソース、飲料等の各種用途に幅広く
適用して、呈味性向上をはかり得、更に蛋白性栄養の補
給等を行ない得る。殊に、醤油麹からの本発明酵素剤
は、後述する実施例にも示す通り、これを動植物性蛋白
原料に適用することによって、旨味の主体であるグルタ
ミン酸等の含量の向上した、コクのある非常に優れた味
を呈する無塩調味液を製造することができる。
【0012】以下、本発明酵素剤の製法につき詳述すれ
ば、本発明酵素剤は、微生物を固体培養した麹の有機溶
媒浸漬物から得られる。ここで上記微生物を固体培養し
た麹の代表例としては、従来よりよく知られている各種
の醤油麹や味噌麹、例えば濃口醤油麹、淡口醤油麹、溜
醤油麹等を例示できる。これは蒸煮大豆を主とする麹原
料に種麹として麹菌、即ちアスペルギルス オリーゼ
(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ソーヤ(As
pergillus sojae )等のアスペルギルス属に属する菌を
接種培養させたものであるが、本発明では、これに限ら
ず、その他の従来から食用に供されることのよく知られ
ている各種の微生物、例えばアスペルギルス ニガー
(Aspergillus niger )や、ペニシリウム属(Penicill
ium 、代表的にはカツオブシに付着するPenicillium ci
trinum等)、リゾプス属(Rhizopus、テンペに用いられ
るRizopus niveus等)、バチルス属(Bacillus、練製品
等に利用されるBacillus subtilis 等)等の固体培養
物、即ちそれらの麹をも同様に有利に利用できる。また
上記バチルス属の固体培養物には納豆類も包含される。
之等各種微生物の培養のための固体培地は、醤油麹と同
様の大豆等であってもよく、また之等各菌の生育に支障
をきたさない各種の栄養素、例えば各種蛋白質、糖質、
繊維類等を適宜選択して含有させて、之等原料に由来す
る特徴をもたせたものであってもよい。
【0013】上記各麹の有機溶媒浸漬物は、各麹を適当
な有機溶媒溶液に浸漬して調整される。ここで有機溶媒
としては、通常エタノールが好適に利用できるが、特に
これに限定されることなく、例えばイソプロパノール等
であってもよい。之等有機溶媒は、通常最終濃度が約5
〜20%、好ましくは6〜15%程度となる範囲で利用
されるのが好適である。
【0014】上記麹を出麹重量の約1〜3倍量の上記有
機溶媒に浸漬し、これを20℃以下、通常0〜20℃、
好ましくは約5〜15℃の温度条件下に、5〜20日間
程度、好ましくは約7〜10日間自己消化させることに
より、本発明の所望の酵素剤を得ることができる。しか
して、温度条件が20℃を上回る場合は、上記自己消化
が無塩条件下で行なわれるものであるため、尚腐敗微生
物の増殖を完全には避け得ず、所望の酵素剤製品を得る
ことは困難となるおそれがある。
【0015】かくして、本発明所望のエキソ型ペプチダ
ーゼを主成分として含む酵素剤を得ることができる。勿
論これは必要に応じて、公知の各種方法により後処理等
を行なって精製することができる。
【0016】次いで、本発明調味液の製法につき詳述す
れば、該調味液は、動植物性蛋白質原料に、蛋白可溶化
酵素を作用させ、次いで上記のごとくして得られる本発
明酵素剤を作用させることにより製造できる。
【0017】ここで原料として用いられる動植物性蛋白
質としては、蛋白質を含み食用に供される各種のもの、
例えば小麦グルテンに代表される穀物類やコーンミール
等の植物性食用原料、魚介類、食肉類、之等の加工副産
物、例えば魚介類、食肉の加工の際に生じる端肉類、か
つお節や煮干等の製造の際の煮汁等の動物性食用原料を
例示できる。之等は酵素の作用に適した水性液、即ち水
溶液、水分散液、懸濁液等の形態で用いられ、特に好ま
しくは蛋白質の溶解を容易とするためにアルカリ溶液の
形態に調製されるのが望ましい。
【0018】上記動植物性蛋白原料に作用させる一方の
酵素剤である蛋白可溶化酵素としては、この分野で慣用
されている公知の各種のものをいずれも利用できる。そ
の代表例は、エンド型プロテアーゼであり、これには例
えば細菌、カビ、酵母、放線菌等の各種微生物起源のプ
ロテアーゼや、レンニン、パンクレアチン等の動物起源
のプロテアーゼや、パパイン、ブロメライン、フアイシ
ン等の植物起源のプロテアーゼ等が包含される。之等は
勿論その1種を単独で利用することもでき、2種以上を
併用することもできる。上記蛋白可溶化酵素としては、
また原料液のpH条件に応じて、アルカリプロテアー
ゼ、中性プロテアーゼ及び酸性プロテアーゼのそれぞれ
を使用することができ、更に之等各酵素の種類に応じ
て、原料液のpHを之等各酵素の活性が最もよく発揮さ
れ得るpHに調整することもできる。上記酵素の使用量
は、用いる酵素の種類等に応じて適宜決定でき、特に制
限されるものではないが、通常対蛋白質g当り、約50
0〜10000単位、好ましくは2000〜8000単
位程度の範囲から選ばれるのがよい。尚、上記活性単位
は、特にエンド型中性プロテアーゼの場合は、ミルクカ
ゼインを基質とし、pH7.0、30℃で1分間に1μ
gのチロシン相当量の分解物を生成する力価を1単位と
して計算したものである。
【0019】本発明方法においては、まず上記動植物性
蛋白原料に上記可溶化酵素剤を作用させる。これは、一
般には、上記適当量の酵素を原料に適用して、通常約4
0〜65℃、好ましくは約50〜60℃下に、約1〜5
時間程度作用させることにより実施され、かくして可及
的に多量の蛋白質をアミノ酸平均鎖長が3〜15程度
(トリクロール酢酸最終濃度0.17モルで可溶)のオ
リゴペプチドに加水分解することができる。
【0020】本発明方法においては、上記加水分解終了
後、一旦用いた酵素を失活させ、その後、本発明の麹の
自己消化によるエキソ型ペプチダーゼを主とする酵素剤
(麹の自己消化液)を作用させる。この酵素剤を作用さ
せる液のpHは、原料の種類及び先の蛋白可溶化酵素を
作用させた条件等により異なるが、一般には該酵素剤の
活性発現に適した酸性乃至中性を呈しており、特に調整
の必要はない。勿論、所望により、この工程で用いられ
る酵素の作用に適したpH条件に調整することもでき
る。上記麹の自己消化液の使用量は、適宜決定できる
が、通常動植物性蛋白質原料1g当り約0.1〜2g程
度の範囲から選ばれるのが適当である。また該麹自己消
化液を作用させる条件としは、一般には40〜45℃程
度、1〜5時間程度が好ましい。かくして、本発明所期
の苦みのない呈味性の優れた調味液を製造できる。
【0021】本発明方法は、上述したようにまず原料液
に蛋白可溶化酵素を作用させ、次いで麹の自己消化液を
作用させるものであるが、場合によっては、両酵素を原
料と同時に仕込んで1工程で両酵素をそれぞれ原料に作
用させて、所望の調味液を収得することもでき、かかる
方法もまた本発明に包含される。
【0022】かくして得られる本発明の調味液は、その
ままで各種用途に利用することもでき、また必要に応じ
て更に公知の各種方法に従い後処理等を行なって、各種
用途に適した製品とすることもできる。
【0023】上記後処理手段としては、例えば以下の各
手段及びそれらの組み合わせを適宜採用することができ
る。
【0024】(1)遠心分離、濾過等による固液分離処
理によって、固形物等を除去する。
【0025】(2)加熱処理(通常70〜100℃で5
〜30分程度)により使用酵素を失活させる。
【0026】(3)活性炭処理等の精製を行なって不要
な臭等を除去する。
【0027】(4)固形分濃度30〜70%程度となる
ように濃縮する。
【0028】(5)例えばスプレードライ等の乾燥手段
によって粉末状調味料とする。
【0029】
【発明の効果】本発明の麹の有機溶媒を用いた自己消化
液は、特に苦みのない調味液の製造に適したエキソ型ペ
プチダーゼを主成分として含有しており、しかも該酵素
の活性が非常に高く、短い時間で効率よく所望の蛋白加
水分解を行なうことができる。
【0030】また、上記酵素を用いた本発明方法によれ
ば、短時間(通常半日以内)で、苦みがなく無塩且つ安
全で、旨味の主体であるグルタミン酸等の含量が高く、
コクのある非常に優れた味を呈する品質良好な調味液を
製造できる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため参考
例及び実施例を挙げる。
【0032】尚、各例における調味液の成分分析は以下
に示す方法により行なった。
【0033】(1)T.N(全窒素分、g/dl) ケルダール法による。
【0034】(2)F.N(ホルモール窒素、g/d
l) ホルモール滴定法による。
【0035】(3)食塩含量 モール法による。
【0036】
【参考例1】醤油麹エチルアルコール自己消化液の製造 濃口醤油麹1kgを2倍量の20%エチルアルコール中
に浸漬し、5〜10℃で7日間放置して麹の自己消化液
を得た。
【0037】
【試験例1】醤油麹のアルコールによる自己消化液の特
性 本発明に従う麹のアルコール浸漬物における麹中酵素の
活性発現を、通常の醤油麹(食塩存在下)の場合と比較
して次の通り調べた。
【0038】即ち、醤油麹(濃口醤油麹)5gを水中に
ホモジナイズして100mlとし、得られる液を、食塩
水溶液(終濃度16%)又はエチルアルコール溶液(終
濃度15%)でホモジナイズして、酵素液を調製し、之
等のそれぞれを、所定濃度の食塩又はアルコールを含む
各基質液に作用させて、それぞれの酵素活性を調べた。
各酵素活性は次の方法により求めて表示した。
【0039】〈プロテアーゼ活性〉中性プロテアーゼの
場合は前述した通りであり、酸性プロテアーゼの場合
は、pHを3.0とする以外は上記中性プロテアーゼと
同様にして力価を求めた。
【0040】〈カルボキシペプチダーゼ(ACP)活
性〉カルボベンゾキシ−グルタミル−チロシン(Cbz
−Glu−Tyr)を基質とし、30℃、60分間に1
μgのチロシンを生成する活性を1単位とする。
【0041】〈ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
活性〉ロイシル−グリシル−グリシン(Leu−Gly
−Gly)を基質とし、30℃、1分間に1μモルのア
ミノ酸(グルタミン酸として計算)を遊離する活性を1
単位とする。
【0042】〈グルタミナーゼ活性〉L−グルタミン酸
を基質とし、37℃、60分間に生成するグルタミン酸
のmg数を単位とする。
【0043】得られた結果を下記表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】尚、表1において各酵素活性は、水を基準
(100)とした相対活性にて表わしたものであり、該
基準における各酵素活性(単位/g)は上記基準値の下
に括弧を付して表示した。
【0046】上記表1より、本発明に従う醤油麹のアル
コール浸漬物は、食塩利用の場合に比して、いずれの酵
素の場合もそれらの活性が顕著に向上していることが明
らかである。殊にグルタミナーゼ活性は、食塩利用の場
合、わずか5%に過ぎないのに対して本発明に従うアル
コール利用の場合、実に95%となっており、これは実
質的に活性阻害乃至低下のないものであることが明らか
であり、これが呈味性の優れた調味液の製造に非常に役
立つ有効なものであると確認できる。
【0047】
【参考例2】リゾープス属麹のイソプロピルアルコール
自己消化液の製造 リゾープス属麹を次の通り調製した。即ち、コーン蛋白
粒50%、小麦麸42%及びコーンスターチ8%(但し
コーンスターチは加水の一部に酵素液化して混入した)
からなる原料20kgに、等量の水を加えたものを麹原
料とし、これを加圧蒸気殺菌後、冷却し、これに種菌と
してのRhizopou niveus を接種、植菌後、30〜35℃
で2日間を要して麹式培養した。
【0048】次いで、出麹に20%イソプロピルアルコ
ール溶液30リットルを加え、5〜10℃で10日間放
置してリゾープス属麹の自己消化液を得た。
【0049】
【実施例1】小麦グルテンからの本発明調味液の製造 小麦生グルテン(蛋白含有量約25%)10kg、苛性
ソーダ(顆粒)32g、蛋白可溶化酵素剤(オリエンタ
ーゼ22B、上田化学工業(株)製、細菌アルカリプロ
テアーゼ)68g及び水10リットルを混合してpH1
0.5の原料−酵素混合液を調製し、これを60℃で3
時間放置して小麦生グルテンに酵素を作用させた後、9
0℃で15分間加熱して酵素を失活させた。
【0050】次いで得られた液に参考例1で得られた酵
素剤(醤油麹エチルアルコール自己消化液)2.5kg
を加え、45℃で4時間反応させ、その後、90℃で1
0分間加熱して、調味液(原液)を得た。
【0051】得られた原液に、活性炭2kg及び濾過助
剤としてのパーライト1kgを加え、小型フィルタープ
レスを用いて濾過して、濾液14.5リットルを得た。
このもののT.Nは2.8%であった。
【0052】次いで上記濾液を真空濃縮して、濃縮調味
液4.8リットルを得た。このものは、T.N8.4
%、F.N2.7%、pH6.7であり、その食塩含量
は0.08%であった。
【0053】以上より、アルコールを用いて自己消化さ
せた醤油麹の利用によれば、優れた品質の調味液が得ら
れることが明らかである。
【0054】
【実施例2】コーンミールからの本発明調味液の製造 コーンミール原液(蛋白含有量約15%)60kg、苛
性ソーダ液(40%)300ml及び蛋白可溶化酵素剤
(オリエンターゼ22B)250gを混合して原料−酵
素混合液(pH9.5)を調製し、これを60℃で3時
間放置してコーンミールに酵素を作用させた後、45℃
に冷却し、冷却液に、参考例2で得られたリゾープス属
麹のイソプロピルアルコールによる自己消化液10.8
kgを加え、45℃で3時間反応させ、その後、90℃
で15分間加熱して、調味液(原液)を得た。
【0055】得られた調味液原液に、活性炭6kg及び
濾過助剤としてのパーライト3kgを加え、小型フィル
タープレスを用いて濾過して、濾液43リットルを得
た。このもののT.Nは3.0%であった。
【0056】次いで上記濾液を真空濃縮して、濃縮調味
液14.5リットルを得た。このものは、T.N8.8
%、F.N2.9%、pH6.8であり、その食塩含量
は0.06%であった。
【0057】また、得られた調味液は、呈味成分の主体
であるグルタミン酸量が高く、優れた呈味性を有するも
のであった。
【0058】
【実施例3】カツオエキスからの本発明調味液の製造 カツオエキス(蛋白含有量約40%)20kg、苛性ソ
ーダ水溶液(40%)400ml及び蛋白可溶化酵素剤
(オリエンターゼ90N、上田化学工業(株)製、細菌
中性プロテアーゼ)50gを混合してpH8.5の原料
−酵素混合液を調製し、これを60℃で3時間放置して
カツオエキスに酵素を作用させた後、45℃に冷却し、
得られた液に参考例1で得られた酵素剤(醤油麹エチル
アルコール自己消化液)6kgを加え、45℃で3時間
反応させ、その後、90℃で15分間加熱して、調味液
(原液)を得た。
【0059】得られた原液に、活性炭1.5kg及び濾
過助剤としてのパーライト1.5kgを加え、小型フィ
ルタープレスを用いて濾過して、濾液38リットルを得
た。このもののT.Nは3.6%であった。
【0060】次いで上記濾液を真空濃縮して、濃縮調味
液18.5リットルを得た。このものは、T.N7.4
%、F.N3.2%、pH6.5、食塩含量は2.02
%であり、呈味性の優れたものであった。
【0061】上記で得られた本発明調味液につきそのア
ミノ酸分析を、アミノ酸アナライザー(日立製作所製、
835型高速アミノ酸分析計)を用いて行なった。
【0062】得られた結果を、T.N1.0当りのアミ
リ酸量(mg/dl)にて、下記表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】表2より、本発明調味液はカツオエキスの
構成アミノ酸組成に応じたアミノ酸組成を有しており、
殊にヒスチジン、タウリン、グルタミン酸等の含量が高
く、良好な旨味を有することが判る。
【0065】
【実施例4】鮭魚体からの本発明調味液の製造 鮭魚体約3.2kgを解体し、肉質部のみをミキサーに
て粉砕して蛋白含有量約20%)の粉砕物を得た。
【0066】上記鮭魚体粉砕物2kg、苛性ソーダ水溶
液(5N)600ml、水400ml及び蛋白可溶化酵
素剤(オリエンターゼ22B)11gを混合してpH
7.7の原料−酵素混合液を調製し、これを60℃で2
時間放置して鮭魚体に酵素を作用させた後、45℃に冷
却し、得られた液に参考例1で得られた酵素剤(醤油麹
エチルアルコール自己消化液)400gを加え、45℃
で3時間反応させ、その後、90℃で15分間加熱し
て、調味液(原液)を得た。
【0067】得られた原液に、活性炭200g及び濾過
助剤としてのパーライト200gを加え、ヌッツエを用
いて濾過して、濾液2.1リットルを得た。このものの
T.Nは1.9%であった。
【0068】次いで上記濾液を真空濃縮して、濃縮調味
液0.6リットルを得た。このものは、T.N6.5
%、F.N2.7%、pH6.8、食塩含量は0.04
%であ、呈味性の優れたものであった。
【0069】上記各実施例で得られた本発明調味液につ
き、之等の旨味を8人のパネラーにより下記基準に従う
3段階評価させ、それぞれの官能検査を行なった。
【0070】評点1…旨味を感じない 評点2…旨味を少し感じる 評点3…旨味を強く感じる その結果(8人の合計評点で表示)は下記表3の通りで
あり、いずれの調味液も旨味の強いものであることが明
らかである。
【0071】
【表3】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微生物を固体培養した麹の有機溶媒浸漬物
    から得られ、上記麹の自己消化によるエキソ型ペプチダ
    ーゼ酵素を含有することを特徴とする酵素剤。
  2. 【請求項2】動植物性蛋白質原料に、蛋白可溶化酵素を
    作用させ、次いで請求項1に記載の酵素剤を作用させる
    ことを特徴とする蛋白調味液の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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