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JPH06116054A - セラミックス多孔体およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス多孔体およびその製造方法

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Publication number
JPH06116054A
JPH06116054A JP4292194A JP29219492A JPH06116054A JP H06116054 A JPH06116054 A JP H06116054A JP 4292194 A JP4292194 A JP 4292194A JP 29219492 A JP29219492 A JP 29219492A JP H06116054 A JPH06116054 A JP H06116054A
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JP
Japan
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sialon
porous body
ceramic
powder
sintered body
Prior art date
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Application number
JP4292194A
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English (en)
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JP3697670B2 (ja
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Tomohiko Ogata
知彦 尾形
Shuji Furuno
修治 古野
Takashi Taniguchi
孝 谷口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
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Publication of JPH06116054A publication Critical patent/JPH06116054A/ja
Application granted granted Critical
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/04Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof by dissolving-out added substances
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00474Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00793Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 as filters or diaphragms
    • C04B2111/00801Membranes; Diaphragms
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B2111/0081Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 as catalysts or catalyst carriers

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Abstract

(57)【要約】 【構成】(1) 複数の自形のサイアロン結晶粒子からな
り、結晶どうしが互いに交絡した組織を有することを特
徴とするセラミックス多孔体。 (2) 複数の自形のサイアロン結晶粒子を含むセラミック
ス焼結体に、エッチング処理を施し、多孔体とすること
を特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。 【効果】本発明により得られたセラミックス多孔体は、
耐熱性に優れ、熱膨張率のきわめて小さい材料となって
おり、耐熱衝撃性に極めて優れる。さらに、機械的強度
も兼ね供えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス多孔体お
よびその製造方法に関し、特に耐熱性、低熱膨張係数、
機械的強度、化学的安定性が要求される高温触媒用の担
体として有望視される。高温触媒としては、自動車排ガ
ス浄化、触媒燃焼ヒーター、ガスタービン用燃焼触媒、
マニホールド用自動車触媒、ディーゼル用トラップ触媒
などに特に好適である。
【0002】さらに、膜(分離膜、選択透過膜)、形状
選択性結晶担体(モレキュラシーブ)などとしても好適
に用いられる。
【0003】
【従来技術】多孔質セラミックスとしてよく知られてい
るものに、アルミナ、シリカ、アルミナシリカ、チタニ
ア、コーディライトなどがある。これらのセラミックス
は、一般的に700 〜800 ℃までの耐熱性がよく、化学的
安定性にもすぐれているため、それぞれのもつ物理的、
化学的特性に応じて各種用途で触媒担体として利用され
ている。
【0004】最近は、とりわけNOX の抑制あるいはエ
ネルギー効率の改善といった立場から、燃焼触媒担体の
改良が行われている。従来自動車排ガス処理、触媒燃焼
用として使用されてきたアルミナコーティングのコーデ
ィライトハニカムでは、耐熱性に限界があり、1000℃を
越える高温ではアルミナが焼結し、表面積を小さくして
しまう欠点がある。また、1316℃以上では、アルミナと
コーディライトが反応して熱膨張係数の高いムライトを
生成してしまうという欠点もある。さらに、コーディラ
イトの最高使用温度は、融点が1400℃ということから13
00℃が限度であり、高温燃焼触媒用には、コーディライ
トに勝る耐熱性と、これと同等以上の熱衝撃性をもった
ハニカム構造体が必要とされる。
【0005】また、従来の多孔質セラミックスというの
は、焼結過程における条件によって気孔率を制御して得
る場合がほとんどであり、その細孔は空隙とこれを結ぶ
孔路の繰り返しのパターンである。そしてその骨格は、
粒子が粒界を介して結合したもので、組織的に不連続で
あり、脆弱な構造を有する欠点があった。
【0006】一方、多孔質セラミックスの1つとして知
られている多孔質ガラスにおいては、この多孔質ガラス
の分離相による製造方法を採っているが、多孔質ガラス
においても、耐熱性が低いといった問題点を有してい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記従来
技術の欠点を解決し、耐熱性、化学的安定性および機械
的強度を兼ね備えたセラミックス多孔体およびその製造
方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、下記の構成を有する。 「(1) 複数の自形のサイアロン結晶粒子からなり、結晶
どうしが互いに交絡した組織を有することを特徴とする
セラミックス多孔体。
【0009】(2)サイアロン結晶粒子を含むセラミック
ス焼結体に、エッチング処理を施し、多孔体とすること
を特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。」 本発明のサイアロン結晶粒子は、焼結中の反応によって
自形の結晶が生成する。この自形のサイアロン結晶粒子
は、きわめて耐熱性に優れ、高温ガス雰囲気下で化学的
に安定であり、さらに、得られる焼結体組織が交絡組織
であり、機械的に高強度であるといった特性を有する。
従来技術の欄で述べた従来の焼結法による多孔質セラミ
ックスの骨格は、粒子が粒界を介して結合したもので、
組織的に不連続であり、脆弱な構造を有するのに対し、
本発明のセラミックス多孔体の細孔構造は、くびれのな
い均一な細孔と三次元的な交絡組織によって強固な骨格
を形成している。ここで、本発明において、交絡した組
織を有するとは、2個以上のサイアロン結晶粒子が、少
なくとも一点で交わっていることを意味する(すなわ
ち、すべてが平行である場合は含まない)。
【0010】本発明の自形のサイアロン結晶粒子として
は、柱状のものが得られ易く、その交絡構造を形成する
上で好ましい。また、本発明のセラミックス多孔体は、
複数の自形のサイアロン結晶粒子からなるが、サイアロ
ン結晶粒子の種類としては、同じ種類であっても、2種
類以上の粒子からなってもよい。
【0011】本発明の多孔体における気孔率は、特に限
定されるものではなく目的に応じて制御することができ
るが、表面積が充分大きく、圧損の小さい機能的な触媒
担体が得られることから、10〜70体積%であることが望
ましく、さらに、30〜60体積%であることが望ましい。
【0012】本発明のセラミックス多孔体の製造方法に
おいては、サイアロンを含むセラミックス組成原料を、
サイアロン生成温度以上で焼結反応し、次いで、必要に
より熱処理反応することによって、サイアロン結晶粒子
の分離相を生じせしめ、その後、化学的にエッチング処
理をすることにより、サイアロン結晶粒子以外の相を除
くことにより、ミクロな細孔を有するセラミックス多孔
体を得ることができる。以下に、製造方法について詳細
に述べる。 (1) 混合粉末の調合工程 本発明のセラミックス多孔体は、サイアロン結晶粒子を
生成させるのに、SiO2 およびAlNを出発原料とす
ることにより、例えば、3SiO2 +3AlN→Si3
Al3 6 3 に示すように、焼結中にサイアロン生成
反応を生じせしめることができる。
【0013】粉末の調合工程において、原料となるSi
2 粉末とAlN粉末の他にSi34 粉末、さらに少
量のY2 3 粉末を含む混合粉末を調整することも可能
である。すなわち、生成サイアロンをSi3 4 および
/またはSi2 ON2 の粒界相成分として設計する場合
には、Si3 4 粉末を添加し、焼結助剤として緻密化
を促進させるためにY2 3 を添加する。SiO2 / A
lN系で元素の拡散を伴う焼結が、より速やかに、か
つ、より一様に行なわれるためには、粒子径はいずれも
2.0μm 以下であることが好ましい。
【0014】SiO2 粉末は非晶質であることが望まし
く、調整するセラミックス粉末の混合比率は、AlN粉
末に対するSiO2 のモル比で0.5〜4であることが
望ましい。非晶質のSiO2 が好ましく用いられるの
は、生成するサイアロン結晶粒子の大部分を非晶質と
し、熱処理によって結晶化度を制御することが比較的容
易なためである。Si3 4 を添加する場合は、50重
量%以下が望ましい。この理由は、Si3 4 は、はじ
めから組成の確定した結晶相であり、サイアロン結晶粒
子分離相に関係しないパラメータと考えられるので、気
孔率の制御にほとんど寄与しない。したがって、これが
50重量%を超えると気孔率が小さい領域の多孔体しか
作りえないことになるためである。さらに、焼結助剤と
して、Y2 3 粉末を1〜5重量%で添加するときわめ
て焼結性が向上し、緻密化が促進されるめた好ましい。
【0015】混合操作は、乾式でも湿式でもよいが、混
合粉末の分散をより一様に行なわせるため、湿式混合法
によるのが望ましい。たとえば、混合粉末にイソプロピ
ルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコー
ル、ジメチルスルホキシドなどの有機分散媒を加え、ア
トリションミル、ボールミルなどにて、よく混合、粉砕
する。
【0016】これによって、二次凝集がよく拡散し、一
次粒子がきわめて均一に分散した混合粉末が得られる。
混合、粉砕後は、ロータリーエバポレータなどにて減圧
乾燥する。エバポレータは自然乾燥や恒温乾燥で生じや
すい比重差による偏析を防止することができる。 (2) 成形工程と焼結工程 本発明においては、次に上述のように調整した混合粉末
を焼結するが、これには2つの方法がある。
【0017】1つは、混合粉末を、乾式静水圧成形法、
金型成形法、湿式スリップキャスティング法、射出成形
法等を用いて所望の形状に成形した後、その成形体を加
圧または無加圧下で焼結する方法である。
【0018】もう1つは、混合粉末を成形することな
く、ホットプレス法や熱間静水圧成形(HIP)法等を
用いて加圧焼結する方法である。いずれの場合にも、焼
結は非酸化性雰囲気、たとえば、窒素ガスやアルゴンガ
ス等の不活性ガス雰囲気か、一酸化炭素ガスや水素ガス
等の還元性ガス雰囲気、または、0.1Torr 以下の減圧雰
囲気下で行うことが好ましい。焼結温度は、調整したセ
ラミックス粉末の混合比率、平均粒子径や前述した第3
成分の添加の有無及び添加量や焼結条件に応じて決まる
が、概ね1300〜1700℃の範囲内であることが好ましい。
【0019】焼結においては、温度分布ができないよ
う、 5〜10℃/分の速度で焼結温度まで上昇させ、その
温度に所望の時間保持して焼結することが好ましい。加
圧をともなう焼結の場合には、加圧は昇温前から行なっ
てもよく、昇温速度に合わせて徐々に加圧してもよい
し、また昇温中は全く加圧しないで、所定の焼結温度に
達した時点で加圧するようにしてもよい。
【0020】上述した組成、プロセス条件を検討し、焼
結体組織のうちサイアロン結晶粒子が主として、Si3
Al3 3 5 などのSi6-z Alz z 8-z (zは
4以下の自然数とする)で代表されるβ型サイアロン、
特定の金属と固溶してなるMx Si12Al1216
16(xは0.4 以下の整数を示す)で代表されるα型サイ
アロン、その他上記一般式に従わないシリコンアルミニ
ウム酸窒化物からなるサイアロン系化合物(Si2 Al
3 7 N、Si6 Al10214 、Si3 Al3
3+1.5X5-X 、Si3 Al2.674 4 、Si3 Al7
3 9 、Si12Al18398 、Al6 Si6 8
9 、Si3 Al3 3 5 、Si6 Al10214 、S
2 Al3 7 Nなど)、Al3 3 N、Al2 SiO
5 、Al6Si2 13、Al2 3 、Si2 ON2 、お
よびSi3 4 などのうち1種または2種以上の化合物
が原子的なレベルで混合した形の組織からなるセラミッ
クス多孔体が合成される。
【0021】得られた焼結体組織は、X線回折、ラマン
分光、分析電子顕微鏡および電子線回折などにより結晶
解析可能であり、一部の結晶質部分と大部分の非晶質部
分からなるサイアロン結晶粒子が得られる。この段階で
の非晶質部分は、通常40〜70体積%である。
【0022】上述した焼結工程によって、緻密なサイア
ロン結晶粒子焼結体が得られるが、さらに焼結時の冷却
過程または焼結後の熱処理によって、焼結体中の非晶質
部分を結晶化する工程を加える。
【0023】この際の結晶化は、1200〜1650℃で、30分
から48時間の範囲で大気中または不活性ガス雰囲気また
は0.1Torr 以下の減圧下で熱処理することが好まし
い。
【0024】なお、SiO2 およびAlNを原料として
反応を伴う焼結を行う際、特に次の方法を採ることが好
ましい。
【0025】まず、焼結の際の昇温速度は、ガラスの軟
化点や融点を考慮し、5 〜10℃/分の範囲でゆっくりと
行うことが望ましい(ガラスは、セラミックスに比べて
融点が低いので、急激に加熱すると表面と内部で大きな
温度差が生じ、内部の気泡が外に抜けられずに残留し、
焼結体は多孔質状態になってしまうことがある)。
【0026】原料組成比を変えることによる、具体的な
サイアロン焼結体の製造方法例を以下に示す。
【0027】まず、SiO2 / AlNの原料組成比を0.
5 〜1.5 とした場合の例を次に示す。
【0028】生成サイアロン結晶粒子としては、Si3
Al3 3 5 などの一般式がSi6-z Alz z
8-z (zは4以下の自然数を示す)で表わされるβ型サ
イアロンの他に、Si3 Al7 3 9 、Si12Al18
398 などアルミナ固溶量の多いサイアロンが生成し
やすい。
【0029】なお、原料組成SiO2 / AlN比が極端
に1より小さい場合は、SiO2 が少なすぎて、サイア
ロンの合成反応が起こりにくく、大部分はAlNのまま
残る傾向がある。
【0030】また、SiO2 / AlNの原料組成を1.5
〜4 とした場合の例を次に示す。
【0031】生成サイアロン結晶粒子としては、Si3
Al3 3+1.5X5-X 、Si12Al18398 およびS
2 Al3 7 Nなどが生成する。
【0032】またこの範囲において、Y2 3 、Ln2
3 などのランタン族元素酸化物、MgO、CaOなど
のアルカリ土類元素酸化物を少量添加することによっ
て、これらの金属元素と固溶してなるMx Si12Al12
1616(xは0.4 以下の整数)で代表されるα型サイ
アロンを合成することもできる。特にSi O2 の組成比
が多い場合には、Y2 3 などの添加によって、α型サ
イアロンが優先して析出する。また、Si O2 / AlN
が極端に大きくなると、残留Si O2 の量が多過ぎてサ
イアロン組成の焼結体が得られにくい傾向がある。さら
に、非晶質および結晶化したシリカ(Si O2 )が粒界
に存在し、焼結助剤として添加したY2 3 はガーネッ
トを粒界に形成する。焼結助剤としての同じような効果
は、上記Y2 3 の他に、CeO2 、ランタン系などの
希土類元素酸化物、MgO、CaOなどのアルカリ土類
元素酸化物にも認められる。
【0033】このようにして得られた焼結体について、
エッチング処理し、サイアロン結晶粒子以外の相を溶出
除去することにより、ミクロのセラミックス多孔体が得
られる。この場合のエッチング処理とは、アルカリ溶液
処理、酸溶液処理などがあり、アルカリ溶液、酸溶液な
どに、浸漬などすることにより、析出した分離相を溶出
除去する工程をいう。アルカリ溶液処理として、例えば
水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液などの強ア
ルカリ溶液を用いた場合、比較的短時間で処理可能であ
り、1〜2時間程度である。さらに、上記強アルカリを
融点まで加熱した融液に浸漬して処理を行うと、いっそ
う短時間(数分間)で分相が溶出除去できる。また、強
酸溶液としては、熱濃硫酸、硝酸、王水および弗酸など
が用いられる。
【0034】原料粉末として、Si3 4 、SiO2
AlNおよびY2 3 の混合粉末を用いた場合、焼結時
および熱処理過程において、SiO2 およびAlNとの
間で、たとえば、3SiO2 +3AlN→Si3 Al3
3 3 の反応が生じ、サイアロン結晶粒子がが生成さ
れる。
【0035】以上のとおり、本発明のサイアロン多孔体
において、前段階として得られた緻密質のサイアロンセ
ラミックスは、結晶質と非晶質の部分が絡まりあった構
造を有しており、化学処理で非晶質部分を除去すること
によって目的の多孔質構造が得られる。結晶相と非晶相
(分離相)の大きさは熱力学的因子によって決定される
から、組成を一定にすれば相分離を起こさせる熱処理の
温度と時間によって制御することが可能であり、結果と
して、種々の大きさの細孔を有する多孔質サイアロンセ
ラミックスを設計することができる。この結晶粒子の大
きさは、例えば、焼結温度1500℃で、柱状の短軸径が0.
1 〜0.2 μm、長軸径が2 〜4 μmである。また、1600
℃では、短軸径が0.3 〜0.4 μm、長軸径が5 〜6 μm
となる。
【0036】窒化珪素を複合する場合では、サイアロン
が窒化珪素と窒化珪素の隙間に生成して粒界を形成す
る。Si3 4 表面はSi2 ON2 および/またはSi
2 からなり、AlNとも反応しやすいので、サイアロ
ンとSi3 4 は整合性良く、粒界相を連続的に形成し
ていると考えられる。また、一部はSiO2 およびAl
2 3 を主成分としたガラス相となることもある。
【0037】Si3 4 を用いない系では、生成サイア
ロンが主成分となり、上述の自形の結晶質部分と非晶質
部分からなるが、一部でSiO2 およびAl2 3 を主
成分とした非晶質相となる場合もある。
【0038】本発明の方法により得られたセラミックス
多孔体は、前述のとおり、優れた強度を有し、また、常
温から800 ℃の温度域において、2.0 ×10-6/K以下の平
均熱膨脹係数を有する。
【0039】これら材料の特徴を活かした応用分野とし
て、耐熱性、低熱膨張係数、機械的強度、化学的安定性
が要求される自動車排ガス浄化、触媒燃焼ヒーター、ガ
スタービン用燃焼触媒、マニホールド用自動車触媒、デ
ィーゼル用トラップ触媒などの高温触媒用のハニカム担
体がある。
【0040】さらに、サイアロンはその表面に存在する
シラノール基による働きで、表面化学修飾による表面設
計が容易であり、疎水化したり、荷電基を導入したりす
ることも可能である。
【0041】
【実施例】
実施例1 平均粒子径が1.2 μm の非晶質SiO2 粉末と平均粒子
径が0.3 μm のAlN粉末とを、モル比で1:1になる
ように調製し、さらにY2 3 を1重量%添加した。こ
の調合された粉末をSi3 4 ボールを粉砕メディアと
するボールミルを用いてエタノール中にて12時間粉砕混
合し、乾燥後原料粉末を得た。
【0042】次に、上記粉末を1ton/cm 2 にて金型プレ
ス成形し、毎分3リットルのN2 気流中にて1500℃、2
時間常圧にて焼結した。得られた焼結体をX線回折によ
って同定したところ、結晶質のSi2 Al3 7 Nおよ
びSi12Al18398 が確認された。また分析電子顕
微鏡による電子線回折の結果、全体の60体積%は非晶質
相であることが分った。その微構造は、柱状の結晶相が
交絡したモザイク組織であり、間隙に非晶質相が存在し
た複雑構造を有する。この場合の非晶質相についてはラ
マン分光分析の結果、アルミナ固溶量の小さく、結晶化
度の低いサイアロンやY2 Si2 7 であることが判明
した。
【0043】この焼結体の曲げ強度は、平均37kgf/m
m2 、ビッカース硬度1280、破壊靭性2.4MPa・m 1/2
あった。熱膨張測定の結果、20℃から30℃までの平均値
は、1.4×10-6/Kであった。
【0044】さらに、この焼結体を320 ℃で溶融した水
酸化ナトリウム(Na OH)中に浸漬し、非晶質相を溶
出除去して、サイアロン多孔体を得た。図1にその写真
を示す。得られた多孔体の常温強度は12kgf/mm2 、1
360℃における強度は8kgf/mm2 、熱膨脹係数は1.
5×10-6/k(20〜800℃における平均値)であっ
た。 実施例2 平均粒子径が0.3 μmのSi3 4 粉末を20重量%、
平均粒子径が1.2 μmの非晶質SiO2 粉末を80重量
%と、平均粒子径が0.3 μm のAlN粉末とを、SiO
2 に対してモル比で2:1になるように調製し、さらに
全体の 1重量%となるように平均粒子径0.2 μm のY2
3 粉末を添加調合する。この調合粉末をSi3 4
ールを粉砕メディアとするボールミルを用いてエタノー
ル中にて12時間粉砕混合後、乾燥して原料粉末を得た。
【0045】次に、上記粉末を毎分3 リットルのN2
流中、1550℃にて2時間常圧で焼結した。この時の加圧
力は20MPa とした。得られた焼結体をサイアロンを結晶
化するために、1400℃で6 時間熱処理を行った。
【0046】得られた焼結体をX線回折によって同定し
たところ、結晶質のSi3 4 、Si2 ON2 およびS
12Al18398 が確認された。また分析電子顕微鏡
による電子線回折の結果、全体の50体積%は非晶質相で
あることが分った。その微構造は、柱状の結晶相が交絡
したモザイク組織であり、間隙に非晶質相が存在した複
雑構造を有する。この場合の非晶質相についてはラマン
分光分析の結果、アルミナ固溶量の小さく、結晶化度の
低いサイアロンやY2 Si2 7 であることがわかっ
た。
【0047】得られた焼結体の曲げ強度は、平均95kgf/
mm2 、ビッカース硬度1850、破壊靭性5.9MPa・ m 1/2
あった。熱膨張測定の結果、20℃から30℃までの平均値
は、0.7 ×10-6/Kであった。
【0048】さらに、この焼結体から10×10×1 (mm)
の試験片を切出し、160 ℃の熱濃硫酸(H2 SO4 )中
に約1時間浸漬し、非晶質相を溶出除去して、サイアロ
ン多孔体を得た。
【0049】得られた多孔体の常温強度は18kgf/m
m2 、1350℃における強度は15kgf/mm2 、熱膨脹
係数は1.8×10-6/k(20〜800℃における平均
値)であった。
【0050】
【発明の効果】本発明により得られたセラミックス多孔
体は、耐熱性に優れ、熱膨張率のきわめて小さい材料と
なっており、耐熱衝撃性に極めて優れる。さらに、機械
的強度も兼ね供えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例1により得られたサイア
ロン多孔体の結晶構造を示す写真である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の自形のサイアロン結晶粒子からな
    り、結晶どうしが互いに交絡した組織を有することを特
    徴とするセラミックス多孔体。
  2. 【請求項2】該結晶粒子が、柱状晶であることを特徴と
    する請求項1記載のセラミックス多孔体。
  3. 【請求項3】気孔率が10体積%以上、70体積%以下
    の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の
    セラミックス多孔体。
  4. 【請求項4】該サイアロン結晶粒子が、主として、一般
    式Si6-z Alz z 8-z (zは、4以下の自然数を
    示す)で代表されるβ型サイアロン系であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス多
    孔体。
  5. 【請求項5】該サイアロン結晶粒子が、主として、一般
    式Mx Si12Al121616(MはLi 、Y、Ca 、M
    g およびLn (La 、Ce を除くランタニド金属)から
    選ばれ、xは0.4以下の整数を示す)で表されるα型
    サイアロン系であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のセラミックス多孔体。
  6. 【請求項6】該サイアロン結晶粒子が、主として、Si
    2 Al3 7 N、Si6Al10214 、Si3 Al3
    3+1.5X5-X 、Si3 Al2.674 4 、Si3 Al
    7 3 9 、Si12Al18398 、Al6 Si6 8
    9 、Si3Al3 3 5 、Si6 Al10214
    Si2 Al3 7 N、Si2 ON2 およびSi3 4
    ら選ばれた2種以上の化合物からなることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス多孔体。
  7. 【請求項7】複数の自形のサイアロン結晶粒子を含むセ
    ラミックス焼結体に、エッチング処理を施し、多孔体と
    することを特徴とするセラミックス多孔体の製造方法。
  8. 【請求項8】気孔率が10体積%以上、70体積%以下
    の範囲であることを特徴とする請求項7記載のセラミッ
    クス多孔体の製造方法。
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