JPH06106507A - 木質系複合材の製造方法 - Google Patents
木質系複合材の製造方法Info
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- JPH06106507A JPH06106507A JP25940692A JP25940692A JPH06106507A JP H06106507 A JPH06106507 A JP H06106507A JP 25940692 A JP25940692 A JP 25940692A JP 25940692 A JP25940692 A JP 25940692A JP H06106507 A JPH06106507 A JP H06106507A
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- Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】木質複合材に木質材の特性を損なわずに寸法安
定性と耐久性とを付与すると共に、短時間で圧密化処理
ができるようにする。 【構成】アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリル
のうちの少なくとも一種5〜95重量%と、アクリロニ
トリルおよびメタアクリロニトリルのうちの少なくとも
一種と共重合可能なビニルモノマーおよびオリゴマーの
うちの少なくとも一種95〜5重量%とを混合して、混
合溶液を調整する。混合溶液を木質材に含浸させる。木
質材中の混合溶液を重合させた後に加熱加圧により木質
材を圧密化処理するか、または混合溶液を重合させると
同時に加熱加圧により木質材を圧密化処理することによ
り、木質系複合材を得る。混合溶液は必要に応じて極性
溶剤5〜70重量%を加える。
定性と耐久性とを付与すると共に、短時間で圧密化処理
ができるようにする。 【構成】アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリル
のうちの少なくとも一種5〜95重量%と、アクリロニ
トリルおよびメタアクリロニトリルのうちの少なくとも
一種と共重合可能なビニルモノマーおよびオリゴマーの
うちの少なくとも一種95〜5重量%とを混合して、混
合溶液を調整する。混合溶液を木質材に含浸させる。木
質材中の混合溶液を重合させた後に加熱加圧により木質
材を圧密化処理するか、または混合溶液を重合させると
同時に加熱加圧により木質材を圧密化処理することによ
り、木質系複合材を得る。混合溶液は必要に応じて極性
溶剤5〜70重量%を加える。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は寸法安定性、耐久性にす
ぐれた木質系複合材に関するものである。
ぐれた木質系複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木材の高付加価値化の方法の一つに、圧
密化処理がある。この圧密化処理は、木材全体あるいは
木材の表層部に圧力を加えることにより、木材を縮小変
形させる手法として知られている。この手法により得ら
れる圧密化処理木材は、木材の天然の優雅な風合い、木
理を生かしたうえに、強度、表面硬度、耐摩耗性等を向
上させた材料として、内装材や家具等に使用することが
提案されている。
密化処理がある。この圧密化処理は、木材全体あるいは
木材の表層部に圧力を加えることにより、木材を縮小変
形させる手法として知られている。この手法により得ら
れる圧密化処理木材は、木材の天然の優雅な風合い、木
理を生かしたうえに、強度、表面硬度、耐摩耗性等を向
上させた材料として、内装材や家具等に使用することが
提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらは上記
の特徴を具備する反面、いくつかの欠点を持ち合わせて
いる。すなわち、圧密化処理木材は木材全体あるいは木
材表層部を高密度化するものであり、その表面物性が優
れている反面、処理後に木材内に多大な残留応力が存在
するため、使用時における水分や熱等の影響により、木
材に加えられた圧縮変形が回復し、寸法安定性や耐久性
が十分でないというに問題があった。
の特徴を具備する反面、いくつかの欠点を持ち合わせて
いる。すなわち、圧密化処理木材は木材全体あるいは木
材表層部を高密度化するものであり、その表面物性が優
れている反面、処理後に木材内に多大な残留応力が存在
するため、使用時における水分や熱等の影響により、木
材に加えられた圧縮変形が回復し、寸法安定性や耐久性
が十分でないというに問題があった。
【0004】従来より、この問題点を改善する方法とし
て、水溶性のフェノール樹脂初期縮合物を含浸させて硬
化させる方法が提案されている。この方法は、木材に変
形を加えた後、フェノール樹脂初期縮合物を硬化させる
ことにより、その変形を固定するものであるが、木材に
残留する応力を取り除く方法ではないために寸法安定性
や耐久性の問題を充分に解消することができなかった。
また、この方法は、フェノール樹脂初期縮合物を硬化さ
せ、圧密化処理するために加熱、加圧下で長時間処理す
る必要があり、しかも、この方法で得られた成形品は脆
いという問題もあった。
て、水溶性のフェノール樹脂初期縮合物を含浸させて硬
化させる方法が提案されている。この方法は、木材に変
形を加えた後、フェノール樹脂初期縮合物を硬化させる
ことにより、その変形を固定するものであるが、木材に
残留する応力を取り除く方法ではないために寸法安定性
や耐久性の問題を充分に解消することができなかった。
また、この方法は、フェノール樹脂初期縮合物を硬化さ
せ、圧密化処理するために加熱、加圧下で長時間処理す
る必要があり、しかも、この方法で得られた成形品は脆
いという問題もあった。
【0005】本発明は、かかる問題点に鑑みてなされた
ものであって、木質複合材に木質材の特性を損なわずに
寸法安定性と耐久性とを付与すると共に、短時間で圧密
化処理ができるようにすることを目的とする。
ものであって、木質複合材に木質材の特性を損なわずに
寸法安定性と耐久性とを付与すると共に、短時間で圧密
化処理ができるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために種々研究を重ねた結果、特定のモノマ
ーと、これと共重合可能な他のモノマーやオリゴマーか
らなる混合溶液を木質材に含浸し、該含浸した混合溶液
を重合せしめた後に圧密化処理するかまたは重合させる
と同時に圧密化処理することにより、木質材が共重合体
と相容して熱可塑化されて、圧密化処理後の残留応力が
減少すると共に成形形状が安定化することを見出し、本
発明を完成した。
を達成するために種々研究を重ねた結果、特定のモノマ
ーと、これと共重合可能な他のモノマーやオリゴマーか
らなる混合溶液を木質材に含浸し、該含浸した混合溶液
を重合せしめた後に圧密化処理するかまたは重合させる
と同時に圧密化処理することにより、木質材が共重合体
と相容して熱可塑化されて、圧密化処理後の残留応力が
減少すると共に成形形状が安定化することを見出し、本
発明を完成した。
【0007】具体的には、請求項1に係る発明の木質系
複合材の製造方法は、アクリロニトリルおよびメタアク
リロニトリルのうちの少なくとも一種5〜95重量%
と、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルのう
ちの少なくとも一種と共重合可能なビニルモノマーおよ
びオリゴマーのうちの少なくとも一種95〜5重量%と
が混合されてなる混合溶液を木質材に含浸させた後、該
木質材中の上記混合溶液を重合させた後に加熱加圧によ
り上記木質材を圧密化処理するか、または上記混合溶液
を重合させると同時に加熱加圧により上記木質材を圧密
化処理することにより、木質複合材を得る構成とする。
複合材の製造方法は、アクリロニトリルおよびメタアク
リロニトリルのうちの少なくとも一種5〜95重量%
と、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルのう
ちの少なくとも一種と共重合可能なビニルモノマーおよ
びオリゴマーのうちの少なくとも一種95〜5重量%と
が混合されてなる混合溶液を木質材に含浸させた後、該
木質材中の上記混合溶液を重合させた後に加熱加圧によ
り上記木質材を圧密化処理するか、または上記混合溶液
を重合させると同時に加熱加圧により上記木質材を圧密
化処理することにより、木質複合材を得る構成とする。
【0008】木質材としては、針葉樹、広葉樹のいずれ
であってもよく、また、国産材、外国産材の区別なく用
いられる。また、原木、丸太、あるいは角柱、円柱、板
状製材、単板等のあらゆる形態の木材を対象とする。
であってもよく、また、国産材、外国産材の区別なく用
いられる。また、原木、丸太、あるいは角柱、円柱、板
状製材、単板等のあらゆる形態の木材を対象とする。
【0009】また、木質材は、必要に応じて、含水率の
範囲を設定することが可能であり、含水率6%以下の乾
燥した木質材は勿論、所謂気乾含水率と呼ばれる6〜1
5%のものや、生材と呼ばれる35%以上の含水率を有
するものも利用が可能である。
範囲を設定することが可能であり、含水率6%以下の乾
燥した木質材は勿論、所謂気乾含水率と呼ばれる6〜1
5%のものや、生材と呼ばれる35%以上の含水率を有
するものも利用が可能である。
【0010】本発明とにおけるアクリロニトリルまたは
メタアクリロニトリルは、通常の市販品を用い、これら
の一種を単独で、またはこれらを混合して使用しても良
い。
メタアクリロニトリルは、通常の市販品を用い、これら
の一種を単独で、またはこれらを混合して使用しても良
い。
【0011】アクリロニトリルおよびメタアクリロニト
リルモノマーのうちの少なくとも一種である特定のモノ
マーと共重合可能な他のモノマーとしては、スチレン、
酢酸ビニル、メチルメタアクリレート、エチルメタアク
リレート、n−ブチルメタアクリレート、2−エチルヘ
キシルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート
等のメタアクリル酸エステル系、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート等
のアクリル酸エステル系等が挙げられ、また、これらモ
ノマーを変性したものであってもよい。
リルモノマーのうちの少なくとも一種である特定のモノ
マーと共重合可能な他のモノマーとしては、スチレン、
酢酸ビニル、メチルメタアクリレート、エチルメタアク
リレート、n−ブチルメタアクリレート、2−エチルヘ
キシルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート
等のメタアクリル酸エステル系、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート等
のアクリル酸エステル系等が挙げられ、また、これらモ
ノマーを変性したものであってもよい。
【0012】上記特定のモノマーと共重合可能なオリゴ
マーとしては、上記特定モノマーや上記特定のモノマー
と共重合可能な他のモノマーについての単独重合体や共
重合体等でオリゴマーの分子量に相当するものの他、ポ
リウレタンやエポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステ
ル等の末端にアクリル基やビニル基のついたもの等を用
いることができる。
マーとしては、上記特定モノマーや上記特定のモノマー
と共重合可能な他のモノマーについての単独重合体や共
重合体等でオリゴマーの分子量に相当するものの他、ポ
リウレタンやエポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステ
ル等の末端にアクリル基やビニル基のついたもの等を用
いることができる。
【0013】これらのモノマーやオリゴマーは単独もし
くは混合物として用いることが可能で、必要な物性等に
応じて配合して用いる。
くは混合物として用いることが可能で、必要な物性等に
応じて配合して用いる。
【0014】上記混合溶液は、上記特定のモノマーと他
のモノマーやオリゴマー等との配合割合が、5重量%以
上で95重量%以下の範囲内で選択される。5重量%未
満ではリグノセルロース系材料との相容性が悪くなり、
十分な強度が得られない一方、95重量%を越えると成
形が困難になるからである。
のモノマーやオリゴマー等との配合割合が、5重量%以
上で95重量%以下の範囲内で選択される。5重量%未
満ではリグノセルロース系材料との相容性が悪くなり、
十分な強度が得られない一方、95重量%を越えると成
形が困難になるからである。
【0015】混合溶液を木質材に含浸させる際には、こ
の混合溶液を単独で含浸させてもよいが、請求項2に係
る発明として、混合溶液に適宜の極性溶剤を添加しても
よい。特に、木質材に対する混合溶液の浸透性が低い場
合、あるいは低い樹脂含量の物を得るときには、極性溶
剤を用いることが好ましい。
の混合溶液を単独で含浸させてもよいが、請求項2に係
る発明として、混合溶液に適宜の極性溶剤を添加しても
よい。特に、木質材に対する混合溶液の浸透性が低い場
合、あるいは低い樹脂含量の物を得るときには、極性溶
剤を用いることが好ましい。
【0016】ここで用いる極性溶剤としては、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類
や、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の
セルロース溶剤等が挙げられる。この極性溶剤の添加量
は、5〜70重量%程度である。
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類
や、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の
セルロース溶剤等が挙げられる。この極性溶剤の添加量
は、5〜70重量%程度である。
【0017】混合溶液の重合には、必要に応じて重合開
始剤を用いても良い。この重合開始剤としては、特定モ
ノマー、他のモノマー、オリゴマーの種類に応じて選択
し、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化
物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩、アゾイソブチロニトリル等が挙げられる。また、ナ
フテン酸コバルト等の硬化促進剤を用いたり、レドック
ス系の重合機構を採用しても良い。
始剤を用いても良い。この重合開始剤としては、特定モ
ノマー、他のモノマー、オリゴマーの種類に応じて選択
し、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化
物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩、アゾイソブチロニトリル等が挙げられる。また、ナ
フテン酸コバルト等の硬化促進剤を用いたり、レドック
ス系の重合機構を採用しても良い。
【0018】混合溶液の木質材への含浸は、木質材全体
に常法により含浸させることもできれば、その表層部だ
けに塗布等により含浸させることもできる。
に常法により含浸させることもできれば、その表層部だ
けに塗布等により含浸させることもできる。
【0019】圧密化処理は、常法により、木質材の全体
または表層部だけに行う。
または表層部だけに行う。
【0020】次に、本発明に係る木質系複合材の製造方
法の一実施例を説明する。
法の一実施例を説明する。
【0021】上記特定モノマーと、上記他のモノマーお
よびオリゴマーのうちの少なくとも一種とを混合して混
合溶液を調整する。混合溶液には、必要に応じてメタノ
ール等の極性溶剤、重合開始剤および重合禁止剤等を添
加する。木材単板等の木質材を減圧装置に設置し、減圧
下で混合溶液を供給した後常圧に戻して木質材に含浸さ
せる。
よびオリゴマーのうちの少なくとも一種とを混合して混
合溶液を調整する。混合溶液には、必要に応じてメタノ
ール等の極性溶剤、重合開始剤および重合禁止剤等を添
加する。木材単板等の木質材を減圧装置に設置し、減圧
下で混合溶液を供給した後常圧に戻して木質材に含浸さ
せる。
【0022】次に、常圧下において混合溶液を重合させ
る。該重合は、常温〜150℃の温度で10分間から数
時間で達成される。この後、必要に応じて加熱乾燥、減
圧乾燥等の乾燥処理を施して、残留モノマーまたは溶媒
を除去することにより、木質材中に特定のポリマーが保
持された重合処理材を得る。この重合処理材中のポリマ
ーの保持率は、樹種や処理条件により異なるが、20〜
250重量%程度のものが望ましい。
る。該重合は、常温〜150℃の温度で10分間から数
時間で達成される。この後、必要に応じて加熱乾燥、減
圧乾燥等の乾燥処理を施して、残留モノマーまたは溶媒
を除去することにより、木質材中に特定のポリマーが保
持された重合処理材を得る。この重合処理材中のポリマ
ーの保持率は、樹種や処理条件により異なるが、20〜
250重量%程度のものが望ましい。
【0023】最後に、重合処理材を圧密化処理する。圧
密化処理は、140〜180℃に加熱したホットプレス
により数分間予備加熱後、加圧して行う。その後、冷却
して木質系複合材を得ることができる。この場合、必要
に応じて金型等を用いてもよい。圧密化処理材の圧縮セ
ット率は、金属製等のディスタンスバーを用いて調整す
る。この圧密化処理材の圧縮セット率は、樹種や処理条
件により異なるが、5〜60%程度である。
密化処理は、140〜180℃に加熱したホットプレス
により数分間予備加熱後、加圧して行う。その後、冷却
して木質系複合材を得ることができる。この場合、必要
に応じて金型等を用いてもよい。圧密化処理材の圧縮セ
ット率は、金属製等のディスタンスバーを用いて調整す
る。この圧密化処理材の圧縮セット率は、樹種や処理条
件により異なるが、5〜60%程度である。
【0024】なお、ポリマー保持率の算出は、上記重合
処理材および未処理材をそれぞれ80℃で16時間乾燥
処理して重量を求め、両重量より下記の式にて算出し
た。
処理材および未処理材をそれぞれ80℃で16時間乾燥
処理して重量を求め、両重量より下記の式にて算出し
た。
【0025】 ポリマー保持率(重量%)=(Xt−X)/X×100 Xt:重合処理材の重量 X :未処理材の重量 また、圧縮セット率の算出は、圧縮前および圧縮後の木
質系複合材をそれぞれ80℃で16時間乾燥処理して体
積を求め、両体積より下記の式にて算出した。 圧縮セット率(%)=(V−Vt)/V×100 Vt:圧縮後の体積 V :圧縮前の体積
質系複合材をそれぞれ80℃で16時間乾燥処理して体
積を求め、両体積より下記の式にて算出した。 圧縮セット率(%)=(V−Vt)/V×100 Vt:圧縮後の体積 V :圧縮前の体積
【0026】
【効果】以上のように、本発明によれば、木質材に対し
て上記混合溶液を含浸させ、該混合溶液を重合させるの
で、木質材が該木質材と相容性の高いポリマーを保持し
て熱可塑化された木質系複合材を短時間で製造すること
ができる。
て上記混合溶液を含浸させ、該混合溶液を重合させるの
で、木質材が該木質材と相容性の高いポリマーを保持し
て熱可塑化された木質系複合材を短時間で製造すること
ができる。
【0027】また、木質系複合材は木質材がポリマーと
相容して熱可塑化されているため、木質系複合材から圧
密化処理時に発生する応力及び圧縮処理後に残存する応
力を取り除くことができ、寸法安定性を向上することが
できると共に、剛性および靭性等の力学的性質をも向上
することができる。熱可塑性を有することにより、木質
系複合材は圧密化処理後にも、曲面等の種々の形状に容
易に成形することができる。
相容して熱可塑化されているため、木質系複合材から圧
密化処理時に発生する応力及び圧縮処理後に残存する応
力を取り除くことができ、寸法安定性を向上することが
できると共に、剛性および靭性等の力学的性質をも向上
することができる。熱可塑性を有することにより、木質
系複合材は圧密化処理後にも、曲面等の種々の形状に容
易に成形することができる。
【0028】また、得られた木質系複合材は吸水性や吸
水膨潤率が小さいので、吸水によって強度が低下するこ
とが少なく、湿潤と乾燥との両雰囲気に晒される環境に
おいても耐久性を有する。このため、本発明に係る木質
系熱可塑性複合材は、あらゆる用途に利用することがで
き、とくに、常に湿気と乾燥に見まわれる外壁、内壁や
床材その他寸法安定性が高度に要求される建築材料等に
最適である。
水膨潤率が小さいので、吸水によって強度が低下するこ
とが少なく、湿潤と乾燥との両雰囲気に晒される環境に
おいても耐久性を有する。このため、本発明に係る木質
系熱可塑性複合材は、あらゆる用途に利用することがで
き、とくに、常に湿気と乾燥に見まわれる外壁、内壁や
床材その他寸法安定性が高度に要求される建築材料等に
最適である。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。なお、以下の実施例および比較例で使用した含
浸液は、それぞれ下記の方法で調製したものである。
明する。なお、以下の実施例および比較例で使用した含
浸液は、それぞれ下記の方法で調製したものである。
【0030】含浸液A:アクリロニトリル3.4g、ス
チレン6.6gからなる混合溶液。
チレン6.6gからなる混合溶液。
【0031】含浸液B:アクリロニトリル1.8g、ス
チレン8.2gからなる混合溶液。
チレン8.2gからなる混合溶液。
【0032】含浸液C:アクリロニトリル5.0g、ス
チレン5.0gからなる混合溶液。
チレン5.0gからなる混合溶液。
【0033】含浸液D:アクリロニトリル3.4g、ス
チレン6.6g、メタノール2.0gからなる混合溶
液。
チレン6.6g、メタノール2.0gからなる混合溶
液。
【0034】含浸液E:アクリロニトリル3.4g、ス
チレン6.6g、メタノール5.0gからなる混合溶
液。
チレン6.6g、メタノール5.0gからなる混合溶
液。
【0035】含浸液F:スチレン10.0gからなる処
理液。
理液。
【0036】[実施例1]接線方向4mm、半径方向3
0mm、繊維方向35mmに寸法取りしたヒノキ材を耐
圧容器中に入れて10mmHgに減圧した。この耐圧容
器中に、含浸液Aに過酸化ベンゾイル0.1gを溶解さ
せた処理液を投入し、5分間減圧含浸させた後、常圧に
戻して10分間静置してさらに含浸を促進し、その後耐
圧容器より取り出した。
0mm、繊維方向35mmに寸法取りしたヒノキ材を耐
圧容器中に入れて10mmHgに減圧した。この耐圧容
器中に、含浸液Aに過酸化ベンゾイル0.1gを溶解さ
せた処理液を投入し、5分間減圧含浸させた後、常圧に
戻して10分間静置してさらに含浸を促進し、その後耐
圧容器より取り出した。
【0037】この含浸処理材をアルミニウム箔によりラ
ッピングして後、60℃の乾燥機中で20時間加熱して
重合させ、重合処理材の試料を得た。ポリマー保持率
は、103.2重量%であった。
ッピングして後、60℃の乾燥機中で20時間加熱して
重合させ、重合処理材の試料を得た。ポリマー保持率
は、103.2重量%であった。
【0038】重合処理材を、ホットプレスにより180
℃で約3分間圧密化処理を行い、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体が保持された木質系複合材の試料を得
た。得られた木質系複合材の圧縮セット率は13.7%
であった。
℃で約3分間圧密化処理を行い、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体が保持された木質系複合材の試料を得
た。得られた木質系複合材の圧縮セット率は13.7%
であった。
【0039】[実施例2]、[実施例3]実施例2およ
び実施例3は、含浸液Aの代わりに、それぞれ含浸液B
と含浸液Cとを用いて、実施例1と同様の操作を行い、
木質系複合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合
処理材のポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セッ
ト率の測定結果は下記の表1に示すとおりであった。
び実施例3は、含浸液Aの代わりに、それぞれ含浸液B
と含浸液Cとを用いて、実施例1と同様の操作を行い、
木質系複合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合
処理材のポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セッ
ト率の測定結果は下記の表1に示すとおりであった。
【0040】[比較例1]含浸液Aの代わりに、含浸液
Fを用いて、実施例1と同様の操作を行い、スチレンの
単独重合体が保持された木質系複合材の試料を得た。圧
密処理前の重合処理材のポリマー保持率および木質系複
合材の圧縮セット率の測定結果は下記の表1に示すとお
りであった。
Fを用いて、実施例1と同様の操作を行い、スチレンの
単独重合体が保持された木質系複合材の試料を得た。圧
密処理前の重合処理材のポリマー保持率および木質系複
合材の圧縮セット率の測定結果は下記の表1に示すとお
りであった。
【0041】[比較例2]接線方向4mm、半径方向3
0mm、繊維方向35mmに寸法取りしたヒノキ材を、
ホットプレスにより180℃で約3分間圧密化処理を行
い、まったく重合体が保持されていない木質系複合材の
試料を得た。得られた木質系複合材の圧縮セット率は下
記の表1に示すとおりであった。
0mm、繊維方向35mmに寸法取りしたヒノキ材を、
ホットプレスにより180℃で約3分間圧密化処理を行
い、まったく重合体が保持されていない木質系複合材の
試料を得た。得られた木質系複合材の圧縮セット率は下
記の表1に示すとおりであった。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、まったく重合体
が保持されていない比較例2に係る試料、単独重合体が
保持されている比較例1に係る試料、共重合体が保持さ
れている本発明の実施例に係る試料にいくにしたがって
圧密化による体積変化が小さくなり、さらに、本発明の
実施例1から実施例3までの試料のうちでは共重合体の
保持率が大きいほど体積変化が小さいことが分った。
が保持されていない比較例2に係る試料、単独重合体が
保持されている比較例1に係る試料、共重合体が保持さ
れている本発明の実施例に係る試料にいくにしたがって
圧密化による体積変化が小さくなり、さらに、本発明の
実施例1から実施例3までの試料のうちでは共重合体の
保持率が大きいほど体積変化が小さいことが分った。
【0044】[実施例4]ヒノキ材の代わりに、スギ材
を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、木質系複
合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合処理材の
ポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セット率の測
定結果は下記の表2に示すとおりであった。
を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、木質系複
合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合処理材の
ポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セット率の測
定結果は下記の表2に示すとおりであった。
【0045】[実施例5]、[実施例6]実施例5およ
び実施例6は、含浸液Aの代わりに、それぞれ含浸液D
〜含浸液Eを用いて、実施例1と同様の操作を行い、木
質系複合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合処
理材のポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セット
率の測定結果は下記の表2に示すとおりであった。
び実施例6は、含浸液Aの代わりに、それぞれ含浸液D
〜含浸液Eを用いて、実施例1と同様の操作を行い、木
質系複合材の試料を得た。これらの圧密処理前の重合処
理材のポリマー保持率および木質系複合材の圧縮セット
率の測定結果は下記の表2に示すとおりであった。
【0046】[比較例3]接線方向4mm、半径方向3
0mm、繊維方法35mmに寸法取りしたスギ材を、ホ
ットプレスにより180℃で圧密化処理を行った。得ら
れた木質系複合材の圧縮セット率を第2表に示す。
0mm、繊維方法35mmに寸法取りしたスギ材を、ホ
ットプレスにより180℃で圧密化処理を行った。得ら
れた木質系複合材の圧縮セット率を第2表に示す。
【0047】
【表2】
【0048】上記実施例1〜6および比較例1〜3に係
る各木質系複合材につき、次の方法にて吸水率を測定し
た。全乾状態の試料を20℃の水中に完全に浸漬して2
4時間放置し、放置後の重量(Xt)と放置前の全乾重
量(X)とから、下記の式にて算出した。
る各木質系複合材につき、次の方法にて吸水率を測定し
た。全乾状態の試料を20℃の水中に完全に浸漬して2
4時間放置し、放置後の重量(Xt)と放置前の全乾重
量(X)とから、下記の式にて算出した。
【0049】 吸水率(重量%)=(Xt−X)/X×100 さらに、上記実施例1〜6および比較例1〜3に係る各
木質系複合材につき、次の方法にて厚さ膨潤率を測定し
た。全乾状態の試料を20℃の水中に完全に浸漬して2
4時間放置し、放置後の体積(Yt)と放置前の全乾時
の体積(Y)とから、下記の式にて算出した。
木質系複合材につき、次の方法にて厚さ膨潤率を測定し
た。全乾状態の試料を20℃の水中に完全に浸漬して2
4時間放置し、放置後の体積(Yt)と放置前の全乾時
の体積(Y)とから、下記の式にて算出した。
【0050】 厚さ膨潤率(重量%)=(Yt−Y)/Y×100 上記吸水率および厚さ膨潤率の算出結果は下記の表3に
示すとおりであった。
示すとおりであった。
【0051】
【表3】
【0052】上記第3表の結果から明らかなように、実
施例1〜6に係る木質系複合材の試料は、すぐれた耐水
性、寸法安定性を示すことが分った。これに対して、比
較例1に係る試料では、疎水性モノマーのみで処理する
ことにより、吸水率は低下しているが、木質材に対する
相容性、可塑性が低いため、寸法安定性の指標となる良
好な厚さ膨潤率は得られていないことが分った。これに
対して、比較例2、3に係る試料では、圧密化処理によ
る圧縮変形はほとんど回復していることが分った。
施例1〜6に係る木質系複合材の試料は、すぐれた耐水
性、寸法安定性を示すことが分った。これに対して、比
較例1に係る試料では、疎水性モノマーのみで処理する
ことにより、吸水率は低下しているが、木質材に対する
相容性、可塑性が低いため、寸法安定性の指標となる良
好な厚さ膨潤率は得られていないことが分った。これに
対して、比較例2、3に係る試料では、圧密化処理によ
る圧縮変形はほとんど回復していることが分った。
【0053】また、実施例1に係る木質系複合材につ
き、曲面成形用の金型を用いて、160℃で2〜3分間
予備加熱後、約1分間熱圧して成形した結果、容易に曲
面成形物を得ることができた。このことから、本発明に
係る木質系複合材は、大きな可塑性を有して成形性に優
れていることを確認し得た。
き、曲面成形用の金型を用いて、160℃で2〜3分間
予備加熱後、約1分間熱圧して成形した結果、容易に曲
面成形物を得ることができた。このことから、本発明に
係る木質系複合材は、大きな可塑性を有して成形性に優
れていることを確認し得た。
Claims (2)
- 【請求項1】 アクリロニトリルおよびメタアクリロニ
トリルのうちの少なくとも一種5〜95重量%と、アク
リロニトリルおよびメタアクリロニトリルのうちの少な
くとも一種と共重合可能なビニルモノマーおよびオリゴ
マーのうちの少なくとも一種95〜5重量%とが混合さ
れてなる混合溶液を木質材に含浸させた後、 該木質材中の上記混合溶液を重合させた後に加熱加圧に
より上記木質材を圧密化処理するか、または上記混合溶
液を重合させると同時に加熱加圧により上記木質材を圧
密化処理することにより、木質複合材を得ることを特徴
とする木質系複合材の製造方法。 - 【請求項2】 アクリロニトリルおよびメタアクリロニ
トリルのうちの少なくとも一種5〜90重量%と、アク
リロニトリルおよびメタアクリロニトリルのうちの少な
くとも一種と共重合可能なビニルモノマーおよびオリゴ
マーのうちの少なくとも一種90〜5重量%と、極性溶
剤が5〜70重量%とが混合されてなる混合溶液を木質
材に含浸させた後、 該木質材中の上記混合溶液を重合させた後に加熱加圧に
より上記木質材を圧密化処理するか、または上記混合溶
液を重合させると同時に加熱加圧により上記木質材を圧
密化処理することにより、木質複合材を得ることを特徴
とする木質系複合材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25940692A JPH06106507A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 木質系複合材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25940692A JPH06106507A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 木質系複合材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06106507A true JPH06106507A (ja) | 1994-04-19 |
Family
ID=17333678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25940692A Pending JPH06106507A (ja) | 1992-09-29 | 1992-09-29 | 木質系複合材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06106507A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1048422A3 (en) * | 1999-04-19 | 2001-12-05 | Rohm And Haas Company | Compositions for the treatment of wood |
JP2008273000A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Abiosu Kk | 丸太材およびその他の多孔質材料の体積改質法 |
-
1992
- 1992-09-29 JP JP25940692A patent/JPH06106507A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1048422A3 (en) * | 1999-04-19 | 2001-12-05 | Rohm And Haas Company | Compositions for the treatment of wood |
JP2008273000A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-11-13 | Abiosu Kk | 丸太材およびその他の多孔質材料の体積改質法 |
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