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JPH06105863A - 眼内手術装置 - Google Patents

眼内手術装置

Info

Publication number
JPH06105863A
JPH06105863A JP4275436A JP27543692A JPH06105863A JP H06105863 A JPH06105863 A JP H06105863A JP 4275436 A JP4275436 A JP 4275436A JP 27543692 A JP27543692 A JP 27543692A JP H06105863 A JPH06105863 A JP H06105863A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
probe
laser light
intraocular
light source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4275436A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Kobayashi
克彦 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Topcon Corp
Original Assignee
Topcon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Topcon Corp filed Critical Topcon Corp
Priority to JP4275436A priority Critical patent/JPH06105863A/ja
Publication of JPH06105863A publication Critical patent/JPH06105863A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Laser Surgery Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 [目的] 本発明は白内障の手術等に使用される眼内手
術装置に係わり、特に、照射対象を切断するためにレー
ザ光が射出される先端部が、故障事故等により破壊され
た場合でも、ファイバー部と眼内組織とが接触しない様
に構成された眼内手術装置を提供することを目的とす
る。 [構成] 本発明は、ファイバー部が、水の吸収ピーク
に対応する波長のレーザ光源からの光をハンドピースま
で導き、被覆部がプローブを眼内に挿入した際に、ファ
イバー部が露出しない様になっており、先端部には、無
水石英ファイバー又は前記波長付近で反射率の高い金属
コーティングが施されたサファイアロッドの何れかが接
続され、照射対象を切断するためのレーザ光が射出され
る様になっている。また本発明はレーザ光源を、波長
2.9μm付近の赤外レーザ光源とし、ファイバー部
は、ジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバーにする
こともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、白内障の手術等に使用
される眼内手術装置に係わり、特に、照射対象を切断す
るためにレーザ光が射出される先端部が、故障事故等に
より破壊された場合でも、ファイバー部と眼内組織とが
接触しない様に構成された眼内手術装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】水晶体が濁ってしまった白内障の患者に
対しては、水晶体を透明化させる有効な治療剤は現在の
ところ存在しておらず、視力の低下を回復させるために
は手術を行わなければならない。
【0003】近年白内障の手術方法として、超音波乳化
吸引術が広く実施されている。この超音波乳化吸引術は
柔らかい水晶体核に限られるという制限があったが、水
晶体核分割法が提唱され、硬い水晶体核に対しても超音
波乳化吸引術が実施される様になっている。
【0004】即ち水晶体核分割法は、超音波乳化吸引手
術の術前に、積層状になっている水晶体核の層間に灌流
液を一定量ずつ注入し、層間の分離と、水晶体核の軟化
を図るものである。そして超音波乳化吸引術は、灌流液
を注入しながら27〜55KHz程度の超音波を印加し
て振動させることにより、キャビテーションを発生さ
せ、その機械的破壊作用により白内障水晶体組織を破壊
し、乳化された水晶体核組織と灌流液とを吸引するもの
である。
【0005】比較的柔らかい水晶体核に対しては、ま
ず、水晶体前嚢を切開し、超音波乳化吸引法により白内
障水晶体組織を破壊する。そして残された水晶体嚢内に
人工水晶体を挿入する手術が行われている。この水晶体
前嚢を切開する方式は、円形切開法が広く使用されてい
る。この方式は開口部が対称であり、前嚢辺縁に亀裂が
入りにくく、眼組織への障害が少ないからである。
【0006】更に白内障が進行し、比較的硬くなった水
晶体核に対しては、従来では、水晶体前嚢の切開も超音
波乳化吸引法も行わず、水晶体嚢を全て摘出する嚢内摘
出術(全摘手術)が実施されていた。しかしながら嚢内
摘出術は、水晶体嚢が残らないため、人工水晶体を安定
した状態で眼内に固定することができないという問題が
あった。このため、細い線材の先端を超音波により振動
させ、先端から灌流液BSS(BALANCED SA
LT SOLUTION)を注入し、水晶体核の層間を
剥離させる水力学的分離法(HYDRODELINEA
TION)が実施されている。
【0007】眼内の白内障水晶体組織を除去するため
に、レーザー光を使用したハンドピースが開発されてい
る。(特開平1−299546号)このハンドピース
は、ハンドピース本体と、水の吸収ピークに対応する波
長を有するレーザー光を伝達させる手段と、灌流液を灌
流させるための灌流手段と、レーザー光により蒸散され
た組織を吸引するための吸引手段とから構成されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の円
形切開の成否は、切開部を如何に真円に近づけるか、そ
して切開部をきれいに、かつ他の眼組織に侵襲を防ぐか
にかかっており、これは手術者の経験と熟練度に大きく
依存される。そして、この円形切開が満足に行われなか
った場合には、チン氏帯の破損、水晶体嚢の破損等が生
じる恐れがあり、更に超音波乳化吸引法による手術や眼
内レンズの挿入等にも悪影響を与えるという問題点があ
った。
【0009】即ち手術者の技術が未熟であると、前嚢切
開時に嚢に亀裂を生じさせる場合があり、更に切開部の
形状が円形とならなかったり、円形であっても開口縁が
ギザギザとなれば、後に実施される超音波乳化吸引法に
よる手術中等で、水晶体嚢に不均一な応力がかかり、水
晶体嚢に亀裂が生じチン氏帯が破損するという心配があ
った。そして前嚢切開部が非対称になっている場合に
は、挿入した眼内レンズが、手術後に光学中心を保てず
不安定となるという問題点があった。
【0010】そして白内障が進行し、比較的硬くなった
水晶体核に対しては、水力学的分離法(HYDRODE
LINEATION)が実施されるが、この場合には水
晶体前嚢円形切開を行うための注射針の先端を曲げた特
殊なメスから、水力学的分離法(HYDRODELIN
EATION)を実施する装置のプローブへと、患者の
眼内に挿入する器具を入れ換えなければならないという
問題点があった。この眼内に挿入する器具の交換は、手
術時間が長くなるだけでなく、充分な注意を払わねば角
膜内皮を損傷する心配があるという問題点があった。更
に、超音波の振動が長時間におよぶと、発生したキャビ
テーションにより角膜内皮障害を生じるという問題点が
あった。
【0011】また上述のレーザー光を使用したハンドピ
ースは、波長2.9μm付近の赤外レーザー光の導光手
段として、ジルコニウム系フッ化物ファイバーが使用さ
れている。そしてファイバーエンドプローブの先端に
は、ファイバー端面保護を目的としてサファイヤウイン
ドウを形成しているが、このサファイヤウインドウの外
周からレーザー光が漏れ出してレーザーエネルギが失わ
れるだけでなく、レーザー光が、サファイヤウインドウ
を固定しているホルダーとの境界で熱エネルギに変換さ
れ、サファイヤウインドウが破壊される心配があるとい
う問題点があった。更にジルコニウム系フッ化物ファイ
バーは人体に対して無害とは言えず、このファイバーが
眼内の生体組織に触れる恐れがあるという問題点があっ
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
案出されたもので、眼内に挿入するプローブが設けられ
たハンドピースを有する眼内手術装置において、水の吸
収ピークに対応する波長のレーザ光源からの光を前記ハ
ンドピースまで導くためのファイバー部と、前記プロー
ブを眼内に挿入した際に、前記ファイバー部が露出しな
い様にするための被覆部と、前記ファイバー部の端部
に、無水石英ファイバー又は前記波長付近で反射率の高
い金属コーティングが施されたサファイアロッドの何れ
かを前記ハンドピース内部で接続し、照射対象を切断す
るために前記レーザ光を射出する様に形成された先端部
とを有し、この先端部は、故障事故等によりレーザ光源
の光によって破壊された場合においても、前記ファイバ
ー部と眼内組織とが接触しない様に構成されている。
【0013】また本発明はレーザ光源を、波長2.9μ
m付近の赤外レーザ光源とし、前記ファイバー部は、ジ
ルコニウム系のフッ化物ガラスファイバーから構成する
こともできる。
【0014】更に本発明は、前記レーザ光源を、波長
2.9μm付近の赤外レーザ光源とし、前記ファイバー
部は、内面を波長2.9μm付近での反射率が高い金属
で覆い、外面を樹脂でコーティングした石英チューブか
ら構成することもできる。
【0015】そして本発明は、前記プローブを、前記フ
ァイバー部からのレーザ光を照射して形成された傷部
に、液体を注入し対象物を剥離させる潅流部を有するも
のを採用することもできる。
【0016】また本発明は、眼内に挿入するプローブが
設けられたハンドピースを有する眼内手術装置におい
て、水の吸収ピークに対応する波長のレーザ光を発する
光源と、該レーザ光源からのレーザ光をファイバー部の
一端に入射させる入射光学系と、レーザ光が入射するフ
ァイバー部の一端に冷却された気体を吹き付ける冷却部
と、前記プローブを眼内に挿入した際に前記ファイバー
部が露出しない様に、これを被覆する被覆部と、前記フ
ァイバー部の端部に、無水石英ファイバー又は前記波長
付近で反射率の高い金属コーティングが施されたサファ
イアロッドの何れかを前記ハンドピース内部で接続し、
照射対象を切断するために前記レーザ光を射出する様に
形成された先端部とを有し、この先端部は、故障事故等
によりレーザ光源の光によって破壊された場合において
も、前記ファイバー部と眼内組織とが接触しない様に構
成することもできる。
【0017】
【作用】以上の様に構成された本発明は、眼内に挿入す
るプローブが設けられたハンドピースを有する眼内手術
装置であって、ファイバー部が、水の吸収ピークに対応
する波長のレーザ光源からの光をハンドピースまで導
き、被覆部がプローブを眼内に挿入した際に、ファイバ
ー部が露出しない様にしている。先端部が、ファイバー
部の端部に、無水石英ファイバー又は前記波長付近で反
射率の高い金属コーティングが施されたサファイアロッ
ドの何れかを前記ハンドピース内部で接続し、照射対象
を切断するためにレーザ光を射出する様になっている。
そして先端部は、故障事故等によりレーザ光源の光によ
って破壊された場合においても、ファイバー部と眼内組
織とが接触しない様になっている。
【0018】また本発明はレーザ光源を、波長2.9μ
m付近の赤外レーザ光源とし、ファイバー部は、ジルコ
ニウム系のフッ化物ガラスファイバーにすることもでき
る。
【0019】更に本発明はファイバー部を、内面を波長
2.9μm付近での反射率が高い金属で覆い、外面を樹
脂でコーティングした石英チューブにすることもでき
る。
【0020】そして本発明プローブを、ファイバー部か
らのレーザ光を照射して形成された傷部に、液体を注入
し対象物を剥離させる潅流部を有するものにすることも
できる。
【0021】また本発明は、光源が水の吸収ピークに対
応する波長のレーザ光を発し、入射光学系が、レーザ光
源からのレーザ光をファイバー部の一端に入射させ、冷
却部が、レーザ光が入射するファイバー部の一端に冷却
された気体を吹き付ける様にすることもできる。
【0022】
【実施例】
【0023】本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。
【0024】図1に示す様に本実施例の眼内手術装置1
は、ハンドピース2と、フレキシブルチューブ3と、シ
リンダー4と、ファイバー5と、赤外レーザー光源6と
から構成されている。
【0025】ハンドピース2には眼内プローブ21が形
成されており、この眼内プローブ21の内部には、ファ
イバーエンドプローブ22が挿通されている。この眼内
プローブ21の先端部には灌流液射出口211が形成さ
れており、この灌流液射出口211には、ファイバーエ
ンドプローブ22の先端部が露出されている。眼内プロ
ーブ21は、フレキシブルチューブ3を介してシリンダ
ー4と連通されており、シリンダー4から圧送された灌
流液を灌流液射出口211から放出できる様に構成され
ている。本実施例の眼内プローブ21は、ステンレスチ
ューブから構成されているが、他の材料から形成された
チューブを採用してもよい。ファイバーエンドプローブ
22は、ファイバー5を介して赤外レーザー光源6に連
結されており、赤外レーザー光源6で発生した赤外レー
ザー光を、灌流液射出口211に露出されているファイ
バーエンドプローブ22の先端部まで導く様になってい
る。そしてファイバーエンドプローブ22の先端部から
射出されたレーザー光により、水晶体前嚢円形切開を行
うことができる。なお、この円形切開部は傷部に該当す
るものである。
【0026】シリンダー4は、灌流液を圧送するための
ものであり、灌流液をフレキシブルチューブ3を介して
眼内プローブ21に圧送することが可能であれば、何れ
のポンプ手段を採用することができる。灌流液は、BS
S(BALANCED SALT SOLUTION)
と呼ばれる水晶体内に注入する液体であり、水力学的分
離法(HYDRODELINEATION)を実施する
ためのものである。なおシリンダー4とフレキシブルチ
ューブ3と眼内プローブ21とが、灌流部に該当するも
のである。
【0027】赤外レーザー光源6は、波長2.9μm付
近の赤外レーザを発生させるものである。本実施例で
は、ErYAG(エルビウムイットリウム アルミニウ
ム ガーネット)レーザー光源が採用されているが、そ
の他のレーザー発生光源を使用することができる。
【0028】ここで、生体組織に対する赤外レーザー光
について詳細に説明する。
【0029】レーザー光は、その波長、エネルギーやパ
ワーの強度、連続波であるかパルス波であるか等の相違
等により、生体に対して異なった作用を与える。これら
の作用の特徴から、PHOTOCHEMICAL、TH
ERMAL、PHOTOABLATIVE、ELECT
ROーMECHANICALの4領域に分類され、レー
ザーメスとして使用されるのはTHERMAL領域であ
る。
【0030】レーザーを照射した生体組織の温度が上昇
するのは、フォトンを吸収して低い励起状態になった分
子の回転振動帯が自然放出を行わない時に、分子の温度
が急速に上昇するためである。そしてレーザー光の波
長、照射時間、照射面積の組合せが、エネルギーの到達
深度や組織の到達温度を決定するので、細胞の活性抑制
から、タンパク質の融解、凝固、炭化、蒸散に至るまで
をコントロールすることができる。
【0031】例えばArレーザーは、数10msecの
照射で、網膜脈絡膜の温度を60〜70℃に上昇させて
凝固させることができ、連続波の炭酸ガスレーザーは、
生体組織の温度を100℃以上に上昇させ、周囲に炭化
層を作りながら組織を蒸散するので、止血効果が期待さ
れる切開手術に用いられる。
【0032】更に生体組織の主要な構成成分である水の
吸収ピークと一致する波長のレーザーを、ハイピークパ
ワー、超短パルス幅で作用させると、殆ど熱的損傷を与
えることなく生体組織を切除することができる。そして
水は、波長2.9μm付近に強い吸収のピークを持って
おり、この付近の波長で発振するHFレーザー(マルチ
スペクトル2.74〜2.96μm)や、Er/YAGレ
ーザー(波長2.936μm)を用いれば、殆ど熱的損
傷を与えることなく生体組織を切除することができる。
【0033】そして切除部に隣接した組織に対して、タ
ンパク質変性や凝固等などの顕著な熱的損傷を与えるこ
となく、目的の生体組織のみを蒸散させることのできる
条件として、波長2.9μm付近の赤外レーザー光にお
いては、EXPOSUREDULATION TIME
が1.7μSEC以下であることが知られている。
【0034】従って波長2.9μm付近であり、パルス
幅が1.7μSEC以下の赤外レーザー光を用いれば、
従来の金属性メスによる切開と同様な切開処理を行うこ
とができる。特に本実施例の様な眼内手術装置1では、
ファイバーエンドプローブ22の先端部から射出される
赤外レーザーの射出径をできるだけ小さくすることによ
り、精密な手術に対応することができる。
【0035】次に図2に基づいて、ハンドピース2を詳
細に説明する。図2はハンドピース2の断面図であり、
ハンドピース2内部の略中央部には眼内プローブ21が
挿通されており、この眼内プローブ21には、フレキシ
ブルチューブ3が接続されている。この眼内プローブ2
1内には、フレキシブルチューブ3から供給された灌流
液(BSS)が流れる様になっている。更に眼内プロー
ブ21内には、ファイバーエンドプローブ22が配置さ
れている。このファイバーエンドプローブ22は、ファ
イバー先端保護部材221と、このファイバー先端保護
部材221の外周部を被覆するための被覆部222とか
らなっている。そしてファイバー先端保護部材221と
ファイバー5とは、被覆部222内で、かつ、ハンドピ
ース2の内部において結合されており、赤外レーザー光
源6からの赤外レーザーを、ファイバー先端保護部材2
21の先端部まで導光する様になっている。本実施例の
被覆部222は、ステンレスチューブから構成されてい
るが、その他の材料から形成してもよい。
【0036】なおファイバー先端保護部材221は、先
端部に該当するものである。
【0037】次に図3及び図4に基づいて、ファイバー
5がジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー51で
ある場合を説明する。図3は、ファイバーエンドプロー
ブ22の断面図を示すものであり、ファイバー先端保護
部材221にはサファイアロッド221aが採用されて
いる。このサファイアロッド221aの外周面には、
金、銀、アルミニウム等を蒸着すると共に保護コーティ
ングを施した反射層2211が形成されている。この反
射層2211は、波長2.9μm付近の光を効率よく反
射する様になっている。更に、サファイアロッド221
aに形成された反射層2211と、被覆部222とは、
適宜の接着剤2212で固定されている。
【0038】サファイアロッド221aは、波長2.9
μm付近の赤外レーザー光の透過率が極めて良好なサフ
ァイヤから構成されており、軸方向の長さが10mm以
上となっており、かつ、ジルコニウム系のフッ化物ガラ
スファイバー51は、ハンドピース2の内部において接
続されている。なぜならば、ジルコニウム系のフッ化物
ガラスファイバーは人体に対して無害ではないため、故
障事故等により破壊された場合でも生体組織に触れるこ
とは避けなければならず、このためサファイアロッド2
21aは充分な軸方向の長さが必要となるからである。
なお、ジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー51
は、コア部511とクラッド部512とから構成されて
いる。
【0039】そしてサファイアロッド221aには、波
長2.9μm付近の光に対する反射層2211が形成さ
れているので、サファイアロッド221aの外周部に存
在する接着剤2212等で吸収される波長2.9μm付
近の赤外レーザー光のエネルギを最小限に抑制し、サフ
ァイアロッド221a及びその外周部で発生する熱を減
少させている。この結果、サファイアロッド221aの
破損を防止し、眼球に対する熱の影響を最小限にするこ
とができるという効果がある。
【0040】なおファイバー5は、ファイバー部に該当
するものである。
【0041】なお、角膜内皮に対する衝撃波(ショック
ウエーブ)の影響を最小限にするために、波長2.9μ
m付近の赤外レーザー光をパルス状に照射する場合に
は、1回のパルスによって照射されるエネルギーは、最
小限にすることが望ましい。しかしながら波長2.9μ
m付近の赤外レーザー光により、生体組織を蒸散させる
のに必要なエネルギー密度は、2J/cm2 となって
おり、このエネルギー密度以下では切開を行うことがで
きない。従って、生体組織を蒸散させると共に、衝撃波
(ショックウエーブ)の影響を最小限にするためには、
赤外レーザー光の照射面積を極力小さくする必要があ
る。
【0042】本実施例では、サファイアロッド221a
の直径は80μmから250μm程度となっているの
で、この場合のレーザー照射による眼球に対する熱影響
を理論的に考察することとする。
【0043】サファイアロッド221aの断面積Ar
は、
【0044】 π*(80/2*10-42≦Ar≦π*(250/2*10-42 5*10-5 ≦Ar≦ 4.9*10-4 ( cm2
【0045】となる。
【0046】従って、生体組織を蒸散させるのに必要な
エネルギー密度は、2J/cm2を用いて、印加される
エネルギーEは、2J/cm2 * Ar であるから、
【0047】0.1mJ≦E≦1.0mJ
【0048】となる。
【0049】更に眼球の直径を24mmとすれば、眼球
の体積は7.2cm3 であり、水晶体前嚢に対して直径
5mmの円形切開を行うとすれば、切開長Sは、
【0050】S=5*π=15.7mm
【0051】となり、この円形切開に必要なパルスの数
は、
【0052】 (15.7/(80*10-3))=196 (サファイ
アロッド221aの直径が80μmの場合)
【0053】 (15.7/(250*10-3))=63 (サファイ
アロッド221aの直径が250μmの場合)
【0054】となる。そして、この場合の眼球全体の温
度上昇は、
【0055】 ((0.1*10-3*4.2)cal*196)/7.2=0.011℃ (サファイアロッド221aの直径が80μmの場合)
【0056】 ((1.0*10-3*4.2)cal*63)/7.2=0.037℃ (サファイアロッド221aの直径が250μmの場
合)
【0057】となり、本実施例の眼内手術装置1による
水晶体前嚢の円形切開では、眼球に対する熱の悪影響を
殆ど無視することができる。
【0058】同様に硬化した水晶体核の細分化の処理を
引続き実施しても、眼球に対する熱の悪影響は極めて少
ないものである。そして赤外レーザー光照射時の1パル
ス当りのエネルギも極めて少ないので、衝撃波(ショッ
クウェーブ)に対する影響も殆ど無視することができ
る。
【0059】次に図4に基づいて、ファイバー5がジル
コニウム系のフッ化物ガラスファイバー51であり、フ
ァイバー先端保護部材221にはサファイアロッド22
1aに代えて、無水石英ファイバー221bを使用した
変形例を説明する。無水石英ファイバー221bは、コ
ア部2213とクラッド部2214とからなっており、
被覆部222とは、適宜の接着剤2212で固定されて
いる。なおその他の構成は、図3の実施例と同様である
から説明を省略する。
【0060】次に図5及び図6に基づいて、ファイバー
5をジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー51に
代えて、内面を波長2.9μm付近での反射率が高い金
属で覆い、外面を樹脂でコーティングした石英チューブ
52を採用した変形例を説明する。図5に示す様に本変
形例では、ファイバー先端保護部材221にはサファイ
アロッド221aが採用され、このサファイアロッド2
21aには石英チューブ52が連接されている。この石
英チューブ52は、内面に、金、銀、アルミニウム等を
蒸着された金属反射層521が形成されている。この反
射層2211は、波長2.9μm付近の光を効率よく反
射する様になっている。更に石英チューブ52の外面に
は、適宜の樹脂でコーティングがされている。
【0061】本変形例ではファイバー5が、人体に対し
て影響の少ない石英チューブ52が採用されているの
で、サファイアロッド221aの軸方向の長さは10m
m以下であってもよい。なお、その他の構成は、図3の
実施例と同様であるから説明を省略する。
【0062】更に図6は、ファイバー5に石英チューブ
52を採用し、ファイバー先端保護部材221にはサフ
ァイアロッド221aに代えて、無水石英ファイバー2
21bを使用した変形例である。無水石英ファイバー2
21bの構成は、図4の変形例の構成と同様であり、そ
の他の構成は、図3の実施例と同様であるから説明を省
略する。
【0063】次に図7は、ジルコニウム系のフッ化物ガ
ラスファイバー51の赤外レーザー入射端を示す図であ
る。ジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー51
は、コア部511とクラッド部512とコーティング部
513とから構成されており、パルス状の赤外レーザー
光は、ジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー51
の一端に入射させる入射光学系により、コア部511に
集光される。このため、パルス状の赤外レーザー光が入
射されるに従い、コア部511の温度が上昇する。ジル
コニウム系のフッ化物ガラスの融点は比較的低いので、
放置すればコア部511が融解してしまうという問題点
がある。そこで、ジルコニウム系のフッ化物ガラスファ
イバー51の赤外レーザー入射端に向かって、適宜のノ
ズル手段7より、ドライエアーやドライ窒素を吹き付
け、コア部511を冷却する様に構成することができ
る。
【0064】この結果、コア部511が冷却され、ジル
コニウム系のフッ化物ガラスファイバー51が融解する
ことがないという効果がある。
【0065】なおジルコニウム系のフッ化物ガラスファ
イバー51に限らず、金属反射層521が形成された石
英チューブ52に対しても、同様に、適宜のノズル手段
7より、ドライエアーやドライ窒素を吹き付け、冷却さ
せることができる。またノズル手段7は、冷却部に該当
するものである。
【0066】以上の様に構成された本実施例の眼内手術
装置1の使用方法を説明する。本実施例では、白内障の
手術に適用した場合について説明する。強膜或は強角膜
の切開口より、眼内プローブ21を前房内に挿入し、フ
ァイバーエンドプローブ22の先端部を水晶体前嚢に軽
く接触させながら、赤外レーザー光をパルス状に照射す
る。この状態を保ちながら、水晶体前嚢上でファイバー
エンドプローブ22の先端部を円環を描く様に移動させ
れば、水晶体前嚢上には、赤外レーザー光の1回毎のパ
ルス照射によって得られたピンホールが連続的に円環状
に形成される。そして、この円環に囲まれた内側の嚢を
取り除けば、水晶体前嚢に円形開口が完成する。この円
形開口の切開を、CCC(CONTINUOUS CI
RCULAR CAPSULORHEXIS)と呼んで
いる。
【0067】そして水晶体核が比較的柔らかい場合に
は、次に、超音波プローブによる水晶体核の乳化吸引を
おこなう。
【0068】また進行した白内障であって、水晶体核が
硬化している場合には、CCCにより作成した水晶体前
嚢の円形開口から眼内プローブ21を水晶体核内に挿入
する。そしてパルス的な赤外レーザー光をファイバーエ
ンドプローブ22の先端部から射出して、水晶体核に微
小な切開を作成する。更に、その微少な切開口に対し
て、灌流液射出口211から灌流液(BSS)を圧入さ
せ、水晶体核の層間分離を行うことができる。なおパル
ス状の赤外レーザー光の照射を繰り返すことにより、硬
化した水晶体核の細分化を行うこともできる。
【0069】次に細分化された水晶体核は、超音波プロ
ーブによる短時間の乳化吸引、或は吸引のみを行うこと
により、水晶体前嚢内から除去することができる。
【0070】なおファイバー部が、サファイアをコアと
するステッピングファイバーで構成した場合には、サフ
ァイアは人体に無害であるため、この端部に無水石英フ
ァイバー等を特に接続することなく、先端部まで延長し
て使用すればよい。
【0071】
【効果】以上の様に構成された本発明は、水の吸収ピー
クに対応する波長のレーザ光源からの光を前記ハンドピ
ースまで導くためのファイバー部と、前記プローブを眼
内に挿入した際に、前記ファイバー部が露出しない様に
するための被覆部と、前記ファイバー部の端部に、無水
石英ファイバー又は前記波長付近で反射率の高い金属コ
ーティングが施されたサファイアロッドの何れかを前記
ハンドピース内部で接続し、照射対象を切断するために
前記レーザ光を射出する様に形成された先端部とを有
し、この先端部は、故障事故等によりレーザ光源の光に
よって破壊された場合においても、前記ファイバー部と
眼内組織とが接触しない様に構成されているので、前嚢
円形切開を行うための注射針の先端を曲げた特殊なメス
から、水力学的分離法(HYDRODELINEATI
ON)を実施する装置のプローブへと、患者の眼内に挿
入する器具を入れ換える必要がない。そして眼球に対す
るダメージを最小限に押さえることができるという卓越
した効果がある。更に先端部が、故障事故等により破壊
された場合でも、ファイバー部と眼内組織とが接触しな
い様に構成されているので、安全性が高いという効果が
ある。
【0071】また液体を注入する灌流部を備えれば、C
CC(CONTINUOUS CIRCULAR CA
PSULORHEXIS)と、進行した白内障眼に於け
る硬化した水晶体核の層間剥離、細分化の手術を短時間
で行うことができるという効果がある。
【0072】そして本発明は、レーザ光源からのレーザ
光をファイバー部の一端に入射させる入射光学系と、レ
ーザ光が入射するファイバー部の一端に冷却された気体
を吹き付ける冷却部とを備えることもできるので、レー
ザーエネルギにより、ファイバー部が融解することを防
止することができるという効果がある。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である眼内手術装置1の構成を
示す図である。
【図2】本実施例のハンドピース2の断面図である。
【図3】本実施例のファイバーエンドプローブ22の断
面図である。
【図4】無水石英ファイバー221bを使用した変形例
を説明する図である。
【図5】石英チューブ52を使用した変形例を説明する
図である。
【図6】無水石英ファイバー221bと石英チューブ5
2を使用した変形例を説明する図である。
【図7】本実施例の冷却部を説明する図である。
【符号の説明】
1 眼内手術装置 2 ハンドピース 21 眼内プローブ 211 灌流液射出口 22 ファイバーエンドプローブ 221 ファイバー先端保護部材 221a サファイアロッド 221b 無水石英ファイバー 2211 反射層 2212 接着剤 2213 コア部 2214 クラッド部 222 被覆部 3 フレキシブルチューブ 4 シリンダー 5 ファイバー 51 ジルコニウム系のフッ化物ガラスファイバー 52 石英チューブ 521 金属反射層 6 赤外レーザー光源

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 眼内に挿入するプローブが設けられたハ
    ンドピースを有する眼内手術装置において、水の吸収ピ
    ークに対応する波長のレーザ光源からの光を前記ハンド
    ピースまで導くためのファイバー部と、前記プローブを
    眼内に挿入した際に、前記ファイバー部が露出しない様
    にするための被覆部と、前記ファイバー部の端部に、無
    水石英ファイバー又は前記波長付近で反射率の高い金属
    コーティングが施されたサファイアロッドの何れかを前
    記ハンドピース内部で接続し、照射対象を切断するため
    に前記レーザ光を射出する様に形成された先端部とを有
    し、この先端部は、故障事故等によりレーザ光源の光に
    よって破壊された場合においても、前記ファイバー部と
    眼内組織とが接触しない様に構成したことを特徴とする
    眼内手術装置。
  2. 【請求項2】 前記レーザ光源は、波長2.9μm付近
    の赤外レーザ光源であり、前記ファイバー部は、ジルコ
    ニウム系のフッ化物ガラスファイバーから構成されてい
    る請求項1記載の眼内手術装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光源は、波長2.9μm付近
    の赤外レーザ光源であり、前記ファイバー部は、内面を
    波長2.9μm付近での反射率が高い金属で覆い、外面
    を樹脂でコーティングした石英チューブから構成されて
    いる請求項1記載の眼内手術装置。
  4. 【請求項4】 前記プローブには、前記ファイバー部か
    らのレーザ光を照射して形成された傷部に、液体を注入
    し対象物を剥離させる潅流部を有する請求項1記載の眼
    内手術装置。
  5. 【請求項5】 眼内に挿入するプローブが設けられたハ
    ンドピースを有する眼内手術装置において、水の吸収ピ
    ークに対応する波長のレーザ光を発する光源と、該レー
    ザ光源からのレーザ光をファイバー部の一端に入射させ
    る入射光学系と、レーザ光が入射するファイバー部の一
    端に冷却された気体を吹き付ける冷却部と、前記プロー
    ブを眼内に挿入した際に前記ファイバー部が露出しない
    様に、これを被覆する被覆部と、前記ファイバー部の端
    部に、無水石英ファイバー又は前記波長付近で反射率の
    高い金属コーティングが施されたサファイアロッドの何
    れかを前記ハンドピース内部で接続し、照射対象を切断
    するために前記レーザ光を射出する様に形成された先端
    部とを有し、この先端部は、故障事故等によりレーザ光
    源の光によって破壊された場合においても、前記ファイ
    バー部と眼内組織とが接触しない様に構成したことを特
    徴とする眼内手術装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111479534A (zh) * 2017-12-12 2020-07-31 爱尔康公司 热鲁棒性激光探针组件

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111479534A (zh) * 2017-12-12 2020-07-31 爱尔康公司 热鲁棒性激光探针组件
CN111479534B (zh) * 2017-12-12 2023-02-17 爱尔康公司 热鲁棒性激光探针组件

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