JPH0594761A - 電界放出型真空管及びその製造方法 - Google Patents
電界放出型真空管及びその製造方法Info
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- JPH0594761A JPH0594761A JP25524391A JP25524391A JPH0594761A JP H0594761 A JPH0594761 A JP H0594761A JP 25524391 A JP25524391 A JP 25524391A JP 25524391 A JP25524391 A JP 25524391A JP H0594761 A JPH0594761 A JP H0594761A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 再現性や動作特性を向上することができ、ま
た、製造工程や装置を簡略化、小型化して量産性を向上
することができる電界放出型真空管及びその製造方法を
提供する。 【構成】 n型シリコン基板を用いた基板電極10上に
は、電子放出源であるモリブデン金属製の円錐状の複数
の冷陰極11が形成されている。冷陰極11の周囲の基板電
極10上にはシリコン酸化膜の絶縁層12が積層されてい
る。そして、これらの冷陰極11、絶縁層12を覆って陽極
層13が設けられている。陽極層13は絶縁層12の基板電極
10と反対側の面上に積層され、冷陰極11と対向する部分
に円錐状の窪み14が形成されおり、この窪み14即ち陽極
層13と冷陰極11との間隙は真空状態となっている。陽極
層13の材料は冷陰極11と同一のものが使用される。
た、製造工程や装置を簡略化、小型化して量産性を向上
することができる電界放出型真空管及びその製造方法を
提供する。 【構成】 n型シリコン基板を用いた基板電極10上に
は、電子放出源であるモリブデン金属製の円錐状の複数
の冷陰極11が形成されている。冷陰極11の周囲の基板電
極10上にはシリコン酸化膜の絶縁層12が積層されてい
る。そして、これらの冷陰極11、絶縁層12を覆って陽極
層13が設けられている。陽極層13は絶縁層12の基板電極
10と反対側の面上に積層され、冷陰極11と対向する部分
に円錐状の窪み14が形成されおり、この窪み14即ち陽極
層13と冷陰極11との間隙は真空状態となっている。陽極
層13の材料は冷陰極11と同一のものが使用される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界放出の原理により
電子を放出する電子放出源を含んだ電界放出型真空管及
びその製造方法に関する。
電子を放出する電子放出源を含んだ電界放出型真空管及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路又は薄膜の分野において
用いられている微細加工技術により、高電界において電
子を放出する電界放出型真空管製造技術の進歩はめざま
しく、特に極めて小型な構造を有する電界放出型冷陰極
が製造されている。この種の電界放出型冷陰極は、3極
管型の超小型電子管又は超小型電子銃を構成する主要部
品の内、最も基本的な電子放出デバイスである。
用いられている微細加工技術により、高電界において電
子を放出する電界放出型真空管製造技術の進歩はめざま
しく、特に極めて小型な構造を有する電界放出型冷陰極
が製造されている。この種の電界放出型冷陰極は、3極
管型の超小型電子管又は超小型電子銃を構成する主要部
品の内、最も基本的な電子放出デバイスである。
【0003】多数の電子放出デバイスを含む電界放出型
真空管は、例えば微小3極管や薄型表示素子等の構成要
素として考案されたもので、電界放出型真空管の動作及
び製造方法は、スタンフォード リサーチ インスティ
チュート(Stanford Research Institute )のシー.エ
ー.スピント(C.A.Spindt)らによるジャーナル オブ
アプライド フィジックス( Journal of Applied P
hysics)の第47巻、12号、5248〜5263項(1976年12月)
に発表された研究報告及び米国特許第3,789,471 号によ
り公知である。
真空管は、例えば微小3極管や薄型表示素子等の構成要
素として考案されたもので、電界放出型真空管の動作及
び製造方法は、スタンフォード リサーチ インスティ
チュート(Stanford Research Institute )のシー.エ
ー.スピント(C.A.Spindt)らによるジャーナル オブ
アプライド フィジックス( Journal of Applied P
hysics)の第47巻、12号、5248〜5263項(1976年12月)
に発表された研究報告及び米国特許第3,789,471 号によ
り公知である。
【0004】このデバイスは、電界放出の原理により電
子を放出する冷陰極と、冷陰極に電界を印加して電子を
放出させるために正電圧を印加する電界印加電極である
ゲート電極とを備えており、その動作原理によりこれら
は真空中に保持する必要がある。
子を放出する冷陰極と、冷陰極に電界を印加して電子を
放出させるために正電圧を印加する電界印加電極である
ゲート電極とを備えており、その動作原理によりこれら
は真空中に保持する必要がある。
【0005】図5は、スピント(Spindt)等により提案
された従来の電界放出型真空管の構成を示し、図6は、
その製造方法を示す。
された従来の電界放出型真空管の構成を示し、図6は、
その製造方法を示す。
【0006】図5に示すように、基板電極30上には、電
子放出源である円錐状の冷陰極31が形成されている。こ
の図には1つの冷陰極しか示していないが、一般に、複
数の冷陰極31がリニアアレイ状又はマトリクス状に基板
電極上に形成される。冷陰極31の周囲には絶縁層32を介
して薄膜状のゲート電極33が形成されており、更に、こ
れらの冷陰極31、ゲート電極33を覆って陽極34が設けら
れている。陽極34と冷陰極31及びゲート電極33等との間
隙は真空状態となっている。
子放出源である円錐状の冷陰極31が形成されている。こ
の図には1つの冷陰極しか示していないが、一般に、複
数の冷陰極31がリニアアレイ状又はマトリクス状に基板
電極上に形成される。冷陰極31の周囲には絶縁層32を介
して薄膜状のゲート電極33が形成されており、更に、こ
れらの冷陰極31、ゲート電極33を覆って陽極34が設けら
れている。陽極34と冷陰極31及びゲート電極33等との間
隙は真空状態となっている。
【0007】冷陰極31とゲート電極33との間及び冷陰極
31と陽極34との間に電圧が印加されると、それらの間に
高電界が発生し、電界放出の原理により冷陰極31から電
子が放出される。
31と陽極34との間に電圧が印加されると、それらの間に
高電界が発生し、電界放出の原理により冷陰極31から電
子が放出される。
【0008】次に、図6を参照してこの電界放出型真空
管の製造方法を説明すると、先ず、図6(A)に示すよ
うに基板電極30である半導体(例えばシリコン)の基板
の表面に絶縁層(例えばSiO2 )32a 及びゲート電極
層33a を順次積層する。次に、ゲート電極層33a の上に
レジストを塗布してこのレジストに所望のパターンを焼
き付け、現像処理を行って、図6(B)に示すようにレ
ジストパターン35を形成し、ゲート電極層33a の一部を
露出させる。
管の製造方法を説明すると、先ず、図6(A)に示すよ
うに基板電極30である半導体(例えばシリコン)の基板
の表面に絶縁層(例えばSiO2 )32a 及びゲート電極
層33a を順次積層する。次に、ゲート電極層33a の上に
レジストを塗布してこのレジストに所望のパターンを焼
き付け、現像処理を行って、図6(B)に示すようにレ
ジストパターン35を形成し、ゲート電極層33a の一部を
露出させる。
【0009】レジストパターン35から露出したゲート電
極層33a 及び絶縁層32a を順次エッチングにより除去
し、微小な穴36を形成する。この穴36は図6(C)に示
すようにゲート電極層33a 及び絶縁層32a を貫通してお
り、基板電極30の表面によって一端を塞がれている。電
子放出部即ち冷陰極を構成する金属材料をこの穴36の開
口面に対して垂直に蒸着すると、図6(D)に示すよう
に円錐状の冷陰極31が穴36内の基板電極30上に形成され
る。この際、冷陰極31を構成する金属材料の層31a が穴
36の開口径を縮小しながらゲート電極層35上に堆積する
が、この堆積層31a をリフトオフ法により除去すると、
図6(E)に示すような電界放出型真空管が構成され
る。
極層33a 及び絶縁層32a を順次エッチングにより除去
し、微小な穴36を形成する。この穴36は図6(C)に示
すようにゲート電極層33a 及び絶縁層32a を貫通してお
り、基板電極30の表面によって一端を塞がれている。電
子放出部即ち冷陰極を構成する金属材料をこの穴36の開
口面に対して垂直に蒸着すると、図6(D)に示すよう
に円錐状の冷陰極31が穴36内の基板電極30上に形成され
る。この際、冷陰極31を構成する金属材料の層31a が穴
36の開口径を縮小しながらゲート電極層35上に堆積する
が、この堆積層31a をリフトオフ法により除去すると、
図6(E)に示すような電界放出型真空管が構成され
る。
【0010】更に、図6(F)に示すように複数の冷陰
極31及びゲート電極33等を、陽極34となるプレート状の
導体34で覆い、その内部の真空引きして封止し、集積型
の真空管を製造する。
極31及びゲート電極33等を、陽極34となるプレート状の
導体34で覆い、その内部の真空引きして封止し、集積型
の真空管を製造する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように従来の電界放出型真空管では、素子の製造工程
と真空封止工程とが別々に行われ、素子の真空封止工程
に移行する前にリフトオフ等の工程を経るので、素子が
大気に触れて大気中に含まれるガスが電子放出源(冷陰
極)31の表面に吸着され、素子の動作特性や再現性が低
下するという問題点がある。更に、工程が複雑であるた
め量産性の障害ともなる。また、素子を形成した後同一
の真空槽内で真空封止を行うようにすることも可能であ
るが、製造装置の構成が複雑化及び大型化するという問
題が発生する。
たように従来の電界放出型真空管では、素子の製造工程
と真空封止工程とが別々に行われ、素子の真空封止工程
に移行する前にリフトオフ等の工程を経るので、素子が
大気に触れて大気中に含まれるガスが電子放出源(冷陰
極)31の表面に吸着され、素子の動作特性や再現性が低
下するという問題点がある。更に、工程が複雑であるた
め量産性の障害ともなる。また、素子を形成した後同一
の真空槽内で真空封止を行うようにすることも可能であ
るが、製造装置の構成が複雑化及び大型化するという問
題が発生する。
【0012】従って、本発明は、電界放出型真空管の再
現性及び動作特性を向上することができ、また、製造工
程及び製造装置を簡略化、小型化して量産性を向上する
ことが可能な電界放出型真空管及びその製造方法を提供
するものである。
現性及び動作特性を向上することができ、また、製造工
程及び製造装置を簡略化、小型化して量産性を向上する
ことが可能な電界放出型真空管及びその製造方法を提供
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基板電
極と、この基板電極に電気的に接続されており、基板電
極の上に形成された複数の電子放出源と、これらの電子
放出源が設けられた基板電極の面に対向して設けられか
つ電子放出源を真空封止する陽極層とを備えており、陽
極層の材料が電子放出源の材料と同一である電界放出型
真空管が提供される。
極と、この基板電極に電気的に接続されており、基板電
極の上に形成された複数の電子放出源と、これらの電子
放出源が設けられた基板電極の面に対向して設けられか
つ電子放出源を真空封止する陽極層とを備えており、陽
極層の材料が電子放出源の材料と同一である電界放出型
真空管が提供される。
【0014】さらに、本発明によれば、半導体又は金属
から成る基板電極表面に、複数の電子放出源及び電子放
出源の上部を覆う陽極層を同一の蒸着源を用いた真空蒸
着法で形成し、電子放出源を真空封止する電界放出型真
空管の製造方法が提供される。
から成る基板電極表面に、複数の電子放出源及び電子放
出源の上部を覆う陽極層を同一の蒸着源を用いた真空蒸
着法で形成し、電子放出源を真空封止する電界放出型真
空管の製造方法が提供される。
【0015】
【作用】電子放出源である冷陰極と陽極層とが同一の材
料で構成されているので、同一の工程で形成され得る。
具体的には、真空蒸着法を用い同一の蒸着源によって電
子放出源である冷陰極と陽極層とが同時に蒸着される。
更に、冷陰極と陽極層とを形成する際に、冷陰極の周囲
が陽極層によって真空封止される。従って、これによっ
て電界放出型真空管の冷陰極周囲が大気に触れて大気中
に含まれるガスが冷陰極の表面に吸着することを防止す
ることができる。
料で構成されているので、同一の工程で形成され得る。
具体的には、真空蒸着法を用い同一の蒸着源によって電
子放出源である冷陰極と陽極層とが同時に蒸着される。
更に、冷陰極と陽極層とを形成する際に、冷陰極の周囲
が陽極層によって真空封止される。従って、これによっ
て電界放出型真空管の冷陰極周囲が大気に触れて大気中
に含まれるガスが冷陰極の表面に吸着することを防止す
ることができる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
する。
【0017】図1は、本発明による電界放出型真空管の
一実施例の構成を示す要部側面断面図であり、図2はそ
の製造方法を示す要部側面断面図である。
一実施例の構成を示す要部側面断面図であり、図2はそ
の製造方法を示す要部側面断面図である。
【0018】図1に示すように、n型シリコン基板を用
いた基板電極10上には、電子放出源であるモリブデン金
属製の円錐状の冷陰極11が形成されている。図には1つ
の冷陰極しか示していないが、複数の冷陰極11がリニア
アレイ状又はマトリクス状に基板電極10上に形成され
る。冷陰極11の材料としては、熱的及び機械的に優れ、
並びに仕事関数の小さいものであれば、特にモリブデン
に限られるものではない。
いた基板電極10上には、電子放出源であるモリブデン金
属製の円錐状の冷陰極11が形成されている。図には1つ
の冷陰極しか示していないが、複数の冷陰極11がリニア
アレイ状又はマトリクス状に基板電極10上に形成され
る。冷陰極11の材料としては、熱的及び機械的に優れ、
並びに仕事関数の小さいものであれば、特にモリブデン
に限られるものではない。
【0019】冷陰極11の周囲の基板電極10上にはシリコ
ン酸化膜(SiO2 )の絶縁層12が積層されている。そ
して、これらの冷陰極11、絶縁層12を覆って陽極層13が
設けられている。陽極層13は絶縁層12の基板電極10と反
対側の面上に積層され、冷陰極11と対向する部分に円錐
状の窪み14が形成されおり、この窪み14即ち陽極層13と
冷陰極11との間隙は真空状態となっている。陽極層13の
材料は冷陰極11と同一のものが使用される。
ン酸化膜(SiO2 )の絶縁層12が積層されている。そ
して、これらの冷陰極11、絶縁層12を覆って陽極層13が
設けられている。陽極層13は絶縁層12の基板電極10と反
対側の面上に積層され、冷陰極11と対向する部分に円錐
状の窪み14が形成されおり、この窪み14即ち陽極層13と
冷陰極11との間隙は真空状態となっている。陽極層13の
材料は冷陰極11と同一のものが使用される。
【0020】本実施例の電界放出型真空管は二極管で構
成されている。このような構成において、冷陰極11と陽
極層13との間にそれぞれマイナス、プラスの電圧が印加
されると、その間に高電界が発生し、電界放出の原理に
より冷陰極11から電子が放出されるので、微小な二極管
を構成することができる。
成されている。このような構成において、冷陰極11と陽
極層13との間にそれぞれマイナス、プラスの電圧が印加
されると、その間に高電界が発生し、電界放出の原理に
より冷陰極11から電子が放出されるので、微小な二極管
を構成することができる。
【0021】次に、図2を参照して電界放出型真空管の
製造方法の一実施例について説明する。図2(A)〜
(E)の断面図は製造工程の各段階を示している。
製造方法の一実施例について説明する。図2(A)〜
(E)の断面図は製造工程の各段階を示している。
【0022】先ず、図2(A)に示すように比抵抗ρ=
0.01〜0.02Ω・cmのn型シリコン基板10の表
面に、絶縁層12となる二酸化シリコン層12a を厚さが1
μmになるように熱酸化により形成する。この二酸化シ
リコン層12a の表面に、レジストをスピナを用いて塗布
してこのレジストに所望のパターンを焼き付け、現像処
理を行って、図2(B)に示すようにレジストパターン
15を形成し、二酸化シリコン層12a の一部を露出させ
る。
0.01〜0.02Ω・cmのn型シリコン基板10の表
面に、絶縁層12となる二酸化シリコン層12a を厚さが1
μmになるように熱酸化により形成する。この二酸化シ
リコン層12a の表面に、レジストをスピナを用いて塗布
してこのレジストに所望のパターンを焼き付け、現像処
理を行って、図2(B)に示すようにレジストパターン
15を形成し、二酸化シリコン層12a の一部を露出させ
る。
【0023】次に、反応性イオンエッチングにより二酸
化シリコン層12a の露出した領域をエッチングし、二酸
化シリコン層12a を貫通する穴16を形成し、基板電極で
あるシリコン基板10の表面を露出させて、図2(C)に
示す構造を得る。
化シリコン層12a の露出した領域をエッチングし、二酸
化シリコン層12a を貫通する穴16を形成し、基板電極で
あるシリコン基板10の表面を露出させて、図2(C)に
示す構造を得る。
【0024】絶縁層12上のレジストパターン15を酸素ガ
スによるアッシングにより除去した後、これら全体を真
空蒸着装置内に設置して冷陰極11及び陽極層13の材料で
あるモリブデンを蒸着源として、図2(D)に示す矢印
Aの示す方向から穴16の開口部に対してモリブデンを蒸
着すると、図2(E)に示すように円錐状の冷陰極11が
穴16内の基板電極10上に形成されるとともに、同時に、
モリブデンが穴16の開口径を縮小しながら二酸化シリコ
ン層12上に堆積して陽極層13が冷陰極11を真空封止する
ように形成される。この際、モリブデンが穴16の開口径
を縮小しながら二酸化シリコン層12上に積層されるの
で、冷陰極11が円錐状に形成される。この場合、冷陰極
11が基板電極10上に形成されて穴16の開口が塞がった
後、モリブデンを更に0.5μm程度堆積することによ
り真空封止を行う。
スによるアッシングにより除去した後、これら全体を真
空蒸着装置内に設置して冷陰極11及び陽極層13の材料で
あるモリブデンを蒸着源として、図2(D)に示す矢印
Aの示す方向から穴16の開口部に対してモリブデンを蒸
着すると、図2(E)に示すように円錐状の冷陰極11が
穴16内の基板電極10上に形成されるとともに、同時に、
モリブデンが穴16の開口径を縮小しながら二酸化シリコ
ン層12上に堆積して陽極層13が冷陰極11を真空封止する
ように形成される。この際、モリブデンが穴16の開口径
を縮小しながら二酸化シリコン層12上に積層されるの
で、冷陰極11が円錐状に形成される。この場合、冷陰極
11が基板電極10上に形成されて穴16の開口が塞がった
後、モリブデンを更に0.5μm程度堆積することによ
り真空封止を行う。
【0025】従って、上記実施例によれば、冷陰極11と
陽極層13とを同一の材料で同一の製造工程において形成
するので、素子全体が大気に触れて大気中のガスが電子
放出源すなわち冷陰極11の表面に吸着することを防止し
て、素子の再現性や動作特性を向上することができ、ま
た、製造工程及び製造装置を簡略化、小型化して量産性
を向上することができる。
陽極層13とを同一の材料で同一の製造工程において形成
するので、素子全体が大気に触れて大気中のガスが電子
放出源すなわち冷陰極11の表面に吸着することを防止し
て、素子の再現性や動作特性を向上することができ、ま
た、製造工程及び製造装置を簡略化、小型化して量産性
を向上することができる。
【0026】次に、図3及び図4を参照して本発明の他
の実施例を説明する。
の実施例を説明する。
【0027】図3は、電界放出型真空管の他の実施例の
構成を示す要部側面断面図であり、図4はその製造方法
を示す要部側面断面図である。
構成を示す要部側面断面図であり、図4はその製造方法
を示す要部側面断面図である。
【0028】図3に示すように、n型シリコン基板を用
いた基板電極20上には、電子放出源であるモリブデン金
属製の円錐状の冷陰極21が形成されている。図には1つ
の冷陰極しか示していないが、複数の冷陰極21がリニア
アレイ状又はマトリクス状に基板電極20上に形成され
る。冷陰極11の材料としては、熱的及び機械的に優れ、
並びに仕事関数の小さいものであれば、特にモリブデン
に限られるものではない。
いた基板電極20上には、電子放出源であるモリブデン金
属製の円錐状の冷陰極21が形成されている。図には1つ
の冷陰極しか示していないが、複数の冷陰極21がリニア
アレイ状又はマトリクス状に基板電極20上に形成され
る。冷陰極11の材料としては、熱的及び機械的に優れ、
並びに仕事関数の小さいものであれば、特にモリブデン
に限られるものではない。
【0029】冷陰極21の周囲の基板電極20上にはシリコ
ン酸化膜(SiO2 )の絶縁層22が積層されている。絶
縁層22の基板電極20とは反対側の面上にはゲート電極層
23及び絶縁層24がこの順番で積層されている。そして、
これらの冷陰極21及び絶縁層24等を覆って陽極層25が設
けられている。陽極層25は絶縁層24の基板電極20と反対
側の面上に積層され、陽極層25の冷陰極21と対向する部
分に円錐状の窪み26が形成されおり、この窪み26即ち陽
極層25と冷陰極21との間隙は真空状態となっている。陽
極層25の材料は冷陰極21と同一のものが使用される。
ン酸化膜(SiO2 )の絶縁層22が積層されている。絶
縁層22の基板電極20とは反対側の面上にはゲート電極層
23及び絶縁層24がこの順番で積層されている。そして、
これらの冷陰極21及び絶縁層24等を覆って陽極層25が設
けられている。陽極層25は絶縁層24の基板電極20と反対
側の面上に積層され、陽極層25の冷陰極21と対向する部
分に円錐状の窪み26が形成されおり、この窪み26即ち陽
極層25と冷陰極21との間隙は真空状態となっている。陽
極層25の材料は冷陰極21と同一のものが使用される。
【0030】本実施例の真空管は三極管で構成されてい
る。冷陰極21にマイナスの電圧が印加され、ゲート電極
層23と陽極層25とに共にプラスの電圧が印加されると、
電界放出の原理により冷陰極21から電子が放出されるの
で、微小な三極管を構成することができる。
る。冷陰極21にマイナスの電圧が印加され、ゲート電極
層23と陽極層25とに共にプラスの電圧が印加されると、
電界放出の原理により冷陰極21から電子が放出されるの
で、微小な三極管を構成することができる。
【0031】次に、図4を参照して電界放出型真空管の
製造方法の一実施例について説明する。図4(A)〜
(E)の断面図は製造工程の各段階を示している。
製造方法の一実施例について説明する。図4(A)〜
(E)の断面図は製造工程の各段階を示している。
【0032】先ず、図4(A)に示すように、比抵抗ρ
=0.01〜0.02Ω・cmのn型シリコン基板を用
いた基板電極20の表面に、絶縁層となる二酸化シリコン
層22a を厚さが1μmになるように熱酸化により形成
し、次いで、真空蒸着装置を用いて二酸化シリコン層22
a の上にゲート電極層となるモリブデン膜23a を厚さが
0.3μm程度で形成し、次に、同一の真空蒸着装置の
チャンバ内で絶縁層となる二酸化シリコン膜24a を厚さ
が0.5μm程度で堆積する。
=0.01〜0.02Ω・cmのn型シリコン基板を用
いた基板電極20の表面に、絶縁層となる二酸化シリコン
層22a を厚さが1μmになるように熱酸化により形成
し、次いで、真空蒸着装置を用いて二酸化シリコン層22
a の上にゲート電極層となるモリブデン膜23a を厚さが
0.3μm程度で形成し、次に、同一の真空蒸着装置の
チャンバ内で絶縁層となる二酸化シリコン膜24a を厚さ
が0.5μm程度で堆積する。
【0033】次に、第1の実施例と同様に、図4(B)
に示すように、二酸化シリコン膜24a の表面に、レジス
トをスピナを用いて塗布してこのレジストに所望のパタ
ーンを焼き付け、現像処理を行ってレジストパターン27
を形成し、最上層の二酸化シリコン膜24a の一部を露出
させる。そして、反応性イオンエッチングにより露出し
た領域をエッチングし、図4(C)に示すような穴28を
二酸化シリコン膜24a、モリブデン膜23a 及び二酸化シ
リコン層22a を貫通して形成し、基板電極20表面を露出
させる。即ち、穴28の一端は基板電極20表面は塞がれて
おり、他端は図中上部へと開口している。そして、絶縁
層24上のレジストパターン27を酸素ガスによるアッシン
グにより除去する。
に示すように、二酸化シリコン膜24a の表面に、レジス
トをスピナを用いて塗布してこのレジストに所望のパタ
ーンを焼き付け、現像処理を行ってレジストパターン27
を形成し、最上層の二酸化シリコン膜24a の一部を露出
させる。そして、反応性イオンエッチングにより露出し
た領域をエッチングし、図4(C)に示すような穴28を
二酸化シリコン膜24a、モリブデン膜23a 及び二酸化シ
リコン層22a を貫通して形成し、基板電極20表面を露出
させる。即ち、穴28の一端は基板電極20表面は塞がれて
おり、他端は図中上部へと開口している。そして、絶縁
層24上のレジストパターン27を酸素ガスによるアッシン
グにより除去する。
【0034】図4(C)で形成したものを真空蒸着装置
内に設置して、冷陰極21及び陽極層25の材料であるモリ
ブデンを蒸着源として、図4(D)に示す矢印Bの示す
方向から穴28の開口部に対してモリブデンを蒸着する
と、図4(E)に示すように円錐状の冷陰極21が穴28内
の基板電極20上に形成されるとともに、モリブデンの陽
極層25が穴28の開口径を縮小しながら絶縁層24に堆積し
て、冷陰極21を真空封止するように形成される。この
際、モリブデンが穴28の開口径を縮小しながら絶縁層24
上に積層されるので、冷陰極21が円錐状に形成される。
この場合、冷陰極21が基板電極20上に形成されて穴28の
開口が塞がった後、モリブデンを0.5μm程度堆積す
ることにより真空封止を行う。
内に設置して、冷陰極21及び陽極層25の材料であるモリ
ブデンを蒸着源として、図4(D)に示す矢印Bの示す
方向から穴28の開口部に対してモリブデンを蒸着する
と、図4(E)に示すように円錐状の冷陰極21が穴28内
の基板電極20上に形成されるとともに、モリブデンの陽
極層25が穴28の開口径を縮小しながら絶縁層24に堆積し
て、冷陰極21を真空封止するように形成される。この
際、モリブデンが穴28の開口径を縮小しながら絶縁層24
上に積層されるので、冷陰極21が円錐状に形成される。
この場合、冷陰極21が基板電極20上に形成されて穴28の
開口が塞がった後、モリブデンを0.5μm程度堆積す
ることにより真空封止を行う。
【0035】従って、上記実施例においても同様に、冷
陰極21と陽極層25とを同一の材料で同一の製造工程にお
いて形成するので、素子全体が大気に触れて大気中のガ
スが電子放出源すなわち冷陰極21の表面に吸着すること
を防止して、素子の再現性や動作特性を向上することが
でき、また、製造工程及び製造装置を簡略化、小型化し
て量産性を向上することができる。
陰極21と陽極層25とを同一の材料で同一の製造工程にお
いて形成するので、素子全体が大気に触れて大気中のガ
スが電子放出源すなわち冷陰極21の表面に吸着すること
を防止して、素子の再現性や動作特性を向上することが
でき、また、製造工程及び製造装置を簡略化、小型化し
て量産性を向上することができる。
【0036】上記実施例において、基板電極としてn型
シリコン基板を使用したが、これに限られるものではな
く、p型シリコン基板等の半導体材料又は支持体を介し
て形成された導体薄膜を使用してもよい。また、絶縁層
として二酸化シリコンを使用したが、同等の性能を有す
る材料であればこれに限られるものではない。
シリコン基板を使用したが、これに限られるものではな
く、p型シリコン基板等の半導体材料又は支持体を介し
て形成された導体薄膜を使用してもよい。また、絶縁層
として二酸化シリコンを使用したが、同等の性能を有す
る材料であればこれに限られるものではない。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、電子放
出源である冷陰極と陽極層とが同一の材料で構成されて
いるので、同一の工程で形成され得る。具体的には、真
空蒸着法を用い同一の蒸着源によって電子放出源である
冷陰極と陽極層とが同時に蒸着される。更に、冷陰極と
陽極層とを形成する際に、冷陰極の周囲が陽極層によっ
て真空封止される。従って、電界放出型真空管の冷陰極
周囲が大気に触れて大気中に含まれるガスが冷陰極の表
面に吸着することを防止することができる。これによっ
て、電界放出型真空管の再現性や動作特性を向上するこ
とができ、また、電界放出型真空管の製造工程や装置を
簡略化、小型化して量産性を向上することができる。
出源である冷陰極と陽極層とが同一の材料で構成されて
いるので、同一の工程で形成され得る。具体的には、真
空蒸着法を用い同一の蒸着源によって電子放出源である
冷陰極と陽極層とが同時に蒸着される。更に、冷陰極と
陽極層とを形成する際に、冷陰極の周囲が陽極層によっ
て真空封止される。従って、電界放出型真空管の冷陰極
周囲が大気に触れて大気中に含まれるガスが冷陰極の表
面に吸着することを防止することができる。これによっ
て、電界放出型真空管の再現性や動作特性を向上するこ
とができ、また、電界放出型真空管の製造工程や装置を
簡略化、小型化して量産性を向上することができる。
【図1】本発明に係る電界放出型真空管の一実施例の要
部側面断面図である。
部側面断面図である。
【図2】図1に示す電界放出型真空管の製造方法を示す
要部側面断面図である。
要部側面断面図である。
【図3】本発明に係る電界放出型真空管の他の実施例の
要部側面断面図である。
要部側面断面図である。
【図4】図3に示す電界放出型真空管の製造方法を示す
要部側面断面図である。
要部側面断面図である。
【図5】従来の電界放出型真空管の一例の要部側面断面
図である。
図である。
【図6】図5の電界放出型真空管の製造方法を示す要部
側面断面図である。
側面断面図である。
11、21 冷陰極 12、22、24 絶縁層 23 ゲート電極 13、25 陽極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤木 裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ヤープ株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 基板電極と、該基板電極に電気的に接続
されており、該基板電極の上に形成された複数の電子放
出源と、該電子放出源が形成された側の前記基板電極の
表面に対向して設けられかつ前記電子放出源を真空封止
する陽極層とを備えており、該陽極層の材料が前記電子
放出源の材料と同一であることを特徴とする電界放出型
真空管。 - 【請求項2】 半導体又は金属から成る基板電極表面
に、複数の電子放出源及び該電子放出源の上部を覆う陽
極層を同一の蒸着源を用いた真空蒸着法で形成し、前記
電子放出源を真空封止することを特徴とする電界放出型
真空管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25524391A JPH0594761A (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 電界放出型真空管及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25524391A JPH0594761A (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 電界放出型真空管及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0594761A true JPH0594761A (ja) | 1993-04-16 |
Family
ID=17276029
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25524391A Pending JPH0594761A (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 電界放出型真空管及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0594761A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009532836A (ja) * | 2006-04-05 | 2009-09-10 | コミツサリア タ レネルジー アトミーク | 微細構造素子の面に開口したキャビティの保護方法 |
CN104396103A (zh) * | 2012-08-09 | 2015-03-04 | 立山科学工业株式会社 | 静电保护元件及其制造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03194829A (ja) * | 1989-12-22 | 1991-08-26 | Nec Corp | 微小真空三極管とその製造方法 |
JPH03261040A (ja) * | 1990-03-09 | 1991-11-20 | Mitsubishi Electric Corp | マイクロ真空管およびその製造方法 |
JPH04292832A (ja) * | 1991-03-20 | 1992-10-16 | Sony Corp | マイクロ真空素子の製造方法 |
-
1991
- 1991-10-02 JP JP25524391A patent/JPH0594761A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03194829A (ja) * | 1989-12-22 | 1991-08-26 | Nec Corp | 微小真空三極管とその製造方法 |
JPH03261040A (ja) * | 1990-03-09 | 1991-11-20 | Mitsubishi Electric Corp | マイクロ真空管およびその製造方法 |
JPH04292832A (ja) * | 1991-03-20 | 1992-10-16 | Sony Corp | マイクロ真空素子の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009532836A (ja) * | 2006-04-05 | 2009-09-10 | コミツサリア タ レネルジー アトミーク | 微細構造素子の面に開口したキャビティの保護方法 |
CN104396103A (zh) * | 2012-08-09 | 2015-03-04 | 立山科学工业株式会社 | 静电保护元件及其制造方法 |
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