JPH0586452B2 - - Google Patents
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- JPH0586452B2 JPH0586452B2 JP17192187A JP17192187A JPH0586452B2 JP H0586452 B2 JPH0586452 B2 JP H0586452B2 JP 17192187 A JP17192187 A JP 17192187A JP 17192187 A JP17192187 A JP 17192187A JP H0586452 B2 JPH0586452 B2 JP H0586452B2
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Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、コードワイヤー等の素線として使
用される伸線用高炭素鋼線材、特に、伸線性に優
れ伸線後の到達強度の著しく高い伸線用高炭素鋼
線材、の製造方法に関する。 (従来の技術) 素線材を冷間伸線し、線径を数分の一から数十
分の一にすると同時に強度を高めた鋼線を一般に
伸線強化鋼線という。伸線強化鋼線の用途の代表
的なものであるコードワイヤー(スチールスコー
ド)には、高延性と高強度とが要求されるが、な
かでも自動車タイヤ用コードワイヤーでは400Kg
f/mm2級の超高強度が要望されるようになつてき
た。 伸線強化鋼線の強度(最終の冷間伸線工程後に
得られる引張強さ、一般に到達強度という)は、
素材である高炭素鋼線材が冷間加工(伸線)され
ていく間の加工強化によつて得られる。従つて、
到達強度を高くするためには、素材となる高炭素
鋼線材ができるだけ大きな冷間加工に耐えるこ
と、即ち、伸線性に優れていること、が必要であ
る。 従来、コードワイヤー程度の線径までの伸線で
得られる到達強度は、およそ340Kgf/mm2程度が
限界とされていた。しかし、前記のとおり近年、
一層の高強度化が要請され、そのための素線、即
ち、伸線用高炭素鋼線材にも伸線性の向上が強く
求められている。 伸線強化鋼線の到達強度は、素線のパテンテイ
ング強度(パテンテイング後の引張強さ)と伸線
性に依存することは周知である。そして、パテン
テイング強度と伸線性は、ともにパテンテイング
組織の影響をうけることも知られている。パテン
テイング組織というのは、具体的にいえば、パー
ライト組織のラメラ間隔と結晶粒度(ブロツクサ
イズ)である。従来、パーライトラメラ間隔と伸
線性との関係については、比較的よく研究され、
いくつかの具体的な提案もなされている。(例え
ば、本発明者らが出願した特開昭61−186118号参
照。)しかしながら、パーライトブロツクサイズ
については、詳細な検討は未だなされておらず、
とくに伸線強化の最重要因子である伸線性に及ぼ
す影響は明らかにされていない。従来、パーライ
トブロツクサイズは、その制御が難しいこともあ
つて、高炭素鋼線材の特性改善に利用されること
は少なく、ただ粗粒化防止のために高温加熱をさ
ける(細粒パテンテイング組織をうるために、加
熱温度を下げる)という程度の対策が採られてい
るにすぎない。ただこれだけの対策では、伸線性
の向上と伸線強化に顕著な効果を期待することは
できない。 (発明が解決しようとする問題点) パテンテイング組織のパーライトブロツクサイ
ズは、パテンテイング強度と伸線性の双方に影響
し、ひいては、伸線後の最終製品の強度に影響す
る。本発明は、超高強度のコードワイヤーなどの
素材となる高炭素鋼線材に、理想的なパテンテイ
ング組織、特に伸線性の向上に最も効果的な微細
パーライトブロツクサイズを有するパテンテイン
グ組織、を付与する高炭素鋼線材の製造方法の提
供を目的とする。更には、望ましい組織とするた
めの素材鋼の組成、加工および熱処理条件を明ら
かにし、それらの実際的な実施方法を提供するこ
とを目的とする。 (問題点を解決するための手段) 本発明者は、伸線強化に及ぼすパテンテイング
組織の影響、特に、伸線性とパーライトブロツク
サイズとの関係を詳細に検討した。その結果、パ
ーライトブロツクサイズを従来知られているもの
よりはるかに細かくすることによつて、伸線性を
大きく向上させうることを知つた。 ここで伸線性とは、正確には下記で定義される
「伸線限界加工度」である。 伸線限界加工度=n(Ao/An) 但し、Aoは伸線前の線材の断面積、Anは伸線
後の絞り値が20%以上で、かつ断線直前のダイス
を通過した線材の断面積である。また、温間加工
度Rdは次の式で定義される。 Rd(%)=温間加工前の断面積−温間加工後の断面積
/温間加工前の断面積×100 本発明者は、従来高炭素鋼線材の特性改善に利
用されることの少ないNb,Bを活用した素材鋼
の化学組成と、適正に選定された熱処理と加工の
条件を組合せて、パーライトブロツクサイズを制
御した高伸線性高炭素鋼線材の製造方法を開発し
た。ここに、本発明は、 「重量%で、C:0.7〜0.9%、B:0.001〜
0.005%,およびNb:0.05〜0.2%を含有する鋼線
をオーステナイト域の温度から200℃/秒以上の
冷却速度で550〜650℃の温度域に急冷し、この温
度域で20%以上の加工を行い、その後オーステナ
イト温度域に再加熱し、次いで鉛浴中でパテンテ
イングすることを特徴とする伸線用高炭素鋼線材
の製造方法」をその要旨とする。 第1図は、本発明の方法を従来のパテンテイン
グ法と対比して概念的に示したヒートパターンで
ある。実線が本発明方法で、点線が従来法であ
る。このヒートパターンについては、後に詳述す
る。 まず、本発明において、鋼線の化学組成を前記
のように選定した理由は次のとおりである。 Cは、最終製品に必要な強度、特にコードワイ
ヤーで380〜400Kgf/mm2という高強度を確保する
ためには0.7%以上の含有量が必要である。しか
し、0.9%を超えると初析セメンタイトが発生し
伸線限界加工度が低下するため、かえつて到達強
度が下がる。 Bは、従来のパテンテイング法では結晶粒度に
及ぼす影響は明瞭でない。しかし、本発明方法に
よる場合、後述するNbとの複合添加はパテンテ
イング組織の微細化に顕著な効果を現し、伸線限
界加工度の向上に大きく寄与する。 第2図は、C:0.80%、Nb:0.07%とし、B含
有量を変えた鋼から図中に記載の条件で2.0mmφ
の線材を製造し、B含有量と伸線限界加工度との
関係を調べた結果である。第2図に明らかなよう
に、Bを0.001%以上含有させることによつて、
伸線限界加工度は著しく改善される。0.001%未
満ではその効果は不確かで、一方0.005%を超え
てもその効果は飽和し、むしろ熱間脆性を増大さ
せるおそれがある。 Nbは、高温域ではオーステナイト粒を微細化
するとともに変態後の結晶粒度を小さくする。特
にBと複合添加し、後述する本発明のプロセスで
加工したとき、第3図に示すように、伸線限界加
工度を上げる効果が大きい。第3図は、素材鋼の
Bを0.0015%と一定にして、前述の第2図と同様
の調査を行つた結果である。Nb0.005%以上の含
有量で伸線限界加工度の改善効果が明瞭である。
但し、Nbが0.2%を超えると、未固溶の粗大炭化
物の量が増加し伸線限界加工度はかえつて低下す
る。 C,BおよびNb以外の元素については、特別
の制約はない。Si,Mn,Al,N等は通常この種
の高炭素鋼に含有されている範囲でよい。標準的
な含有量を示すと下記のとおりである。 Si:およそ0.20%、Mn:およそ0.40%、Sol.
Al:およそ0.001%以下、N:およそ0.01%以下。 上記の標準成分のほかにも、例えば、Cr,V,
Zr等の合金成分を、必要に応じて含有させても
良い。不純物であるP,Sはできるだけ少ないほ
うがよい。コードワイヤーのような最終製品にな
る高炭素鋼線材では、それぞれ0.01%以下に抑え
ることが望まれる。 次に、本発明のプロセス(第1図のヒートパタ
ーン参照)について説明する。本発明の工程は、
ビレツト(またはブルーム)を熱間圧延して得た
およそ5.5mmφの線材を2.3mmφ程度に粗伸線した
素線材を出発材料とする。この素線材を200℃/
秒以上の冷却速度で550〜650℃の温度域まで急冷
する。この時急冷するのは、過冷オーステナイト
を十分に生じさせるためである。ここで生成した
過冷オーステナイトに次工程で加工歪を与えオー
ステナイトの再結晶を遅らせ、再加熱のときに再
結晶させてオーステナイト粒を微細化する。従つ
て、この急冷の速度はパテンテイング組織に影響
し、ひいては伸線限界加工度に影響する。第4図
がこの冷却速度と伸線限界加工度との関係をみた
もので、200℃/秒以上の冷却速度とすることに
よつて、伸線限界加工度の向上効果が確保される
ことが明らかである。 550〜650℃の温度域に冷却された素線材には、
この温度域で20%以上の加工が施される。この温
度加工度は、先に示したRdで定義する。 加工を加える温度範囲を上記のように選ぶのは
次ぎの理由による。即ち、加工中の再結晶を遅ら
せるためには、加工温度はMs点以上のできるだ
け低い温度がよい。しかし、この温度が低い程、
過冷オーステナイトを得ることが難しく、加熱再
結晶後のオーステナイトの細粒化が不十分とな
り、結果として伸線限界加工度が低くなる。一
方、加工温度が高くなると、加工中の再結晶が多
くなり、やはりオーステナイトの細粒化が不十分
となる。 第5図は、上記加工温度と伸線限界加工度との
関係を示すものである。550〜650が適正範囲であ
ることが明瞭に示されている。 第6図は、550〜650℃の温度域での加工度と伸
線限界加工度との関係を示す。Rd20%以上で伸
線限界加工度5.0以上が確保されている。 なお、この温間加工の具体的方法については、
好ましい実施態様として、後に詳しく述べる。 加工終了後は、550℃以下に下げることなく、
直ちにオーステナイト温度域に再加熱する。この
再加熱は加工歪をうけた過冷オーステナイトを再
結晶させ、微細化するのが目的である。オーステ
ナイト域よりも低い温度での再加熱では、パーラ
イト変態が起こり、しかも、高温でのパーライト
変態になるから粗大なラメラ組織となつて強度
(TS)、延性(RA)、伸線限界加工度の全てが悪
化する。これを、第7図に示す。(第7図の試験
条件は、C:0.8%、Ni:0.07%、B:0.0015%の
線材で、温間加工度Rd:20%、加工温度:600
℃、鉛浴温度:600℃、である。) 次に、550〜650℃での過冷オーステナイトの加
工方法について述べる。 この温間加工は、Rd≧20%が確保される限り、
加工の方法を問わない。通常行われているダイス
による引き抜き加工、ロールによる圧延、ロール
ベンデイング、等が採用できる。前述のような、
オーステナイト域からの適切な冷却速度と厳密な
加工温度範囲を確保して操業するには、以下に説
明する方法が推奨される。 まずそのひとつは、表面温度をコントロールで
きる調整冷却装置をもつロールを使用し、素線材
のオーステナイト域からの急冷と、急冷後の加工
とを一挙に行う方法である。 第8図イは、この方法を実施するラインの略図
であり、同図ロはこのラインで処理されていく線
材のヒートパターンを示すものである。図示のよ
うに、左端入側Eから送り込まれる線材9は、加
熱炉1でオーステナイト域(例えば、900℃)に
加熱された後、上下一対の水平ロール2に入る。
このロール2は、第9図に詳しく示すように、冷
却水通路10を有し、冷却水調節弁4、測温装置
(例えば、放射温度計)5、コントローラー6と
からなる温度調整機構を備えている。従つて、こ
のロール2に接触した線材は、直ちに冷却が始ま
るとともに必要な圧下が加えられて、前記20%以
上の加工が施される。 水平ロール2を出た線材の温度は測温装置5で
その温度が測定され、その測定値はコントーラー
6に送られる。ここで、予め設定された温度と測
定値との対比、両温度の偏差に基づく制御信号の
発信があり、この信号によつて冷却水調節弁4の
開度調整がなされる。かくして、水平ロール2に
おける加工温度は、本発明方法の重要な条件であ
る550〜650℃の範囲におさめることが容易にな
る。更に、水平ロール2を出た後の線材温度を見
ながら、左右一対の竪ロール3で圧下を加えるこ
ともできる。第8図ロのヒートパターンはその例
を示しており、二対のロールによる加工がいずれ
も550〜650℃の範囲で行われている。 加工後の線材は、つづいて加熱炉7においてオ
ーステナイト温度域に再加熱され、次いで鉛浴8
でパテンテイングされる。 上記の装置を用いるプロセスでは、線材に較べ
て圧倒的に熱容量の大きいロールで接触冷却が行
われるから、過冷オーステナイト組織を得ること
は容易である。しかも、このロールでの加工(圧
延)の温度の調整も容易であるから、前述した本
発明の目的を達成するのに好適である。 本発明方法を実施するいま一つの望ましい態様
は、550〜650℃での加工を温度調整の可能な保温
室の中で行うプロセスである。第10図がそのた
めの一連のラインを示すものである。このライン
では、線材入側Eの加熱炉1の次に油冷槽11が
あり、ここでオーステナイト温度域から550〜650
℃への冷却が行われる。ここで得られた過冷オー
ステナイトの加工は、次の保温室12内で適当な
加工装置(図示の例ではロールベンダー13,1
3′)を用いて行われる。保温室12には、室内
温度測定装置14があり、また入口温度および出
口温度をそれぞれ測定する装置(例えば、放射温
度計15)が設けられている。それらの測定値は
マイクロコンピユーター15に入力される。 マイクロコンピユーター15には、予め加工装
置(ロールベンダー)の加工量、線材の径、線材
の送り速度、基準加工温度、その他所要の設定値
が入力されており、これらの値と前記の測定値と
の対比により必要な制御信号の発信がなされる。
この制御信号はコントローラー6に入力され、こ
れにより、ヒーター16による保温室内の温度調
整は自動的に行われる。保温室12を出た線材は
ピンチロール17を経て、再加熱炉7、鉛浴8で
所定の処理がなされるのは前記第8図のラインに
おけると同じである。 第8図の例では、加工装置(ロール)が冷却装
置を有する特殊なものになるが、保温室というよ
うな設備は不用である。一方、第10図の例で
は、保温室が必要な代わりに、加工装置自体は、
既存のものを使用することができる。本発明の方
法の実施にあたつては、過冷オーステナイトの加
工温度を適正範囲に制御することが重要であるか
ら、上記のように冷却や加工温度の自動制御機構
をもつ装置を採用するのが望ましい。 以下、実施例によつて本発明の効果を具体的に
説明する。 (実施例) 真空溶解炉を用いて第1表に示す12種の鋼を各
200Kg溶製し、熱間圧延によつて5.5mmφの線材と
し、伸線によつて2.25mmφの素線とした。 上記の素線を第2表記載の加熱加工条件で処理
し、鉛浴中に浸漬してパテンテイングを行つた。
得られたパテンテイング線材について、パーライ
トブロツクサイズ、引張強さ、および絞りを測定
した。更に、これらを連続伸線装置により伸線限
界まで連続伸線した。伸線限界は、連続伸線を始
める前に採取したカツトサンプルについて、引張
試験での絞り(RA)が20%以下になるパスを求
め、その一つ前のパスをそれと定めた。
用される伸線用高炭素鋼線材、特に、伸線性に優
れ伸線後の到達強度の著しく高い伸線用高炭素鋼
線材、の製造方法に関する。 (従来の技術) 素線材を冷間伸線し、線径を数分の一から数十
分の一にすると同時に強度を高めた鋼線を一般に
伸線強化鋼線という。伸線強化鋼線の用途の代表
的なものであるコードワイヤー(スチールスコー
ド)には、高延性と高強度とが要求されるが、な
かでも自動車タイヤ用コードワイヤーでは400Kg
f/mm2級の超高強度が要望されるようになつてき
た。 伸線強化鋼線の強度(最終の冷間伸線工程後に
得られる引張強さ、一般に到達強度という)は、
素材である高炭素鋼線材が冷間加工(伸線)され
ていく間の加工強化によつて得られる。従つて、
到達強度を高くするためには、素材となる高炭素
鋼線材ができるだけ大きな冷間加工に耐えるこ
と、即ち、伸線性に優れていること、が必要であ
る。 従来、コードワイヤー程度の線径までの伸線で
得られる到達強度は、およそ340Kgf/mm2程度が
限界とされていた。しかし、前記のとおり近年、
一層の高強度化が要請され、そのための素線、即
ち、伸線用高炭素鋼線材にも伸線性の向上が強く
求められている。 伸線強化鋼線の到達強度は、素線のパテンテイ
ング強度(パテンテイング後の引張強さ)と伸線
性に依存することは周知である。そして、パテン
テイング強度と伸線性は、ともにパテンテイング
組織の影響をうけることも知られている。パテン
テイング組織というのは、具体的にいえば、パー
ライト組織のラメラ間隔と結晶粒度(ブロツクサ
イズ)である。従来、パーライトラメラ間隔と伸
線性との関係については、比較的よく研究され、
いくつかの具体的な提案もなされている。(例え
ば、本発明者らが出願した特開昭61−186118号参
照。)しかしながら、パーライトブロツクサイズ
については、詳細な検討は未だなされておらず、
とくに伸線強化の最重要因子である伸線性に及ぼ
す影響は明らかにされていない。従来、パーライ
トブロツクサイズは、その制御が難しいこともあ
つて、高炭素鋼線材の特性改善に利用されること
は少なく、ただ粗粒化防止のために高温加熱をさ
ける(細粒パテンテイング組織をうるために、加
熱温度を下げる)という程度の対策が採られてい
るにすぎない。ただこれだけの対策では、伸線性
の向上と伸線強化に顕著な効果を期待することは
できない。 (発明が解決しようとする問題点) パテンテイング組織のパーライトブロツクサイ
ズは、パテンテイング強度と伸線性の双方に影響
し、ひいては、伸線後の最終製品の強度に影響す
る。本発明は、超高強度のコードワイヤーなどの
素材となる高炭素鋼線材に、理想的なパテンテイ
ング組織、特に伸線性の向上に最も効果的な微細
パーライトブロツクサイズを有するパテンテイン
グ組織、を付与する高炭素鋼線材の製造方法の提
供を目的とする。更には、望ましい組織とするた
めの素材鋼の組成、加工および熱処理条件を明ら
かにし、それらの実際的な実施方法を提供するこ
とを目的とする。 (問題点を解決するための手段) 本発明者は、伸線強化に及ぼすパテンテイング
組織の影響、特に、伸線性とパーライトブロツク
サイズとの関係を詳細に検討した。その結果、パ
ーライトブロツクサイズを従来知られているもの
よりはるかに細かくすることによつて、伸線性を
大きく向上させうることを知つた。 ここで伸線性とは、正確には下記で定義される
「伸線限界加工度」である。 伸線限界加工度=n(Ao/An) 但し、Aoは伸線前の線材の断面積、Anは伸線
後の絞り値が20%以上で、かつ断線直前のダイス
を通過した線材の断面積である。また、温間加工
度Rdは次の式で定義される。 Rd(%)=温間加工前の断面積−温間加工後の断面積
/温間加工前の断面積×100 本発明者は、従来高炭素鋼線材の特性改善に利
用されることの少ないNb,Bを活用した素材鋼
の化学組成と、適正に選定された熱処理と加工の
条件を組合せて、パーライトブロツクサイズを制
御した高伸線性高炭素鋼線材の製造方法を開発し
た。ここに、本発明は、 「重量%で、C:0.7〜0.9%、B:0.001〜
0.005%,およびNb:0.05〜0.2%を含有する鋼線
をオーステナイト域の温度から200℃/秒以上の
冷却速度で550〜650℃の温度域に急冷し、この温
度域で20%以上の加工を行い、その後オーステナ
イト温度域に再加熱し、次いで鉛浴中でパテンテ
イングすることを特徴とする伸線用高炭素鋼線材
の製造方法」をその要旨とする。 第1図は、本発明の方法を従来のパテンテイン
グ法と対比して概念的に示したヒートパターンで
ある。実線が本発明方法で、点線が従来法であ
る。このヒートパターンについては、後に詳述す
る。 まず、本発明において、鋼線の化学組成を前記
のように選定した理由は次のとおりである。 Cは、最終製品に必要な強度、特にコードワイ
ヤーで380〜400Kgf/mm2という高強度を確保する
ためには0.7%以上の含有量が必要である。しか
し、0.9%を超えると初析セメンタイトが発生し
伸線限界加工度が低下するため、かえつて到達強
度が下がる。 Bは、従来のパテンテイング法では結晶粒度に
及ぼす影響は明瞭でない。しかし、本発明方法に
よる場合、後述するNbとの複合添加はパテンテ
イング組織の微細化に顕著な効果を現し、伸線限
界加工度の向上に大きく寄与する。 第2図は、C:0.80%、Nb:0.07%とし、B含
有量を変えた鋼から図中に記載の条件で2.0mmφ
の線材を製造し、B含有量と伸線限界加工度との
関係を調べた結果である。第2図に明らかなよう
に、Bを0.001%以上含有させることによつて、
伸線限界加工度は著しく改善される。0.001%未
満ではその効果は不確かで、一方0.005%を超え
てもその効果は飽和し、むしろ熱間脆性を増大さ
せるおそれがある。 Nbは、高温域ではオーステナイト粒を微細化
するとともに変態後の結晶粒度を小さくする。特
にBと複合添加し、後述する本発明のプロセスで
加工したとき、第3図に示すように、伸線限界加
工度を上げる効果が大きい。第3図は、素材鋼の
Bを0.0015%と一定にして、前述の第2図と同様
の調査を行つた結果である。Nb0.005%以上の含
有量で伸線限界加工度の改善効果が明瞭である。
但し、Nbが0.2%を超えると、未固溶の粗大炭化
物の量が増加し伸線限界加工度はかえつて低下す
る。 C,BおよびNb以外の元素については、特別
の制約はない。Si,Mn,Al,N等は通常この種
の高炭素鋼に含有されている範囲でよい。標準的
な含有量を示すと下記のとおりである。 Si:およそ0.20%、Mn:およそ0.40%、Sol.
Al:およそ0.001%以下、N:およそ0.01%以下。 上記の標準成分のほかにも、例えば、Cr,V,
Zr等の合金成分を、必要に応じて含有させても
良い。不純物であるP,Sはできるだけ少ないほ
うがよい。コードワイヤーのような最終製品にな
る高炭素鋼線材では、それぞれ0.01%以下に抑え
ることが望まれる。 次に、本発明のプロセス(第1図のヒートパタ
ーン参照)について説明する。本発明の工程は、
ビレツト(またはブルーム)を熱間圧延して得た
およそ5.5mmφの線材を2.3mmφ程度に粗伸線した
素線材を出発材料とする。この素線材を200℃/
秒以上の冷却速度で550〜650℃の温度域まで急冷
する。この時急冷するのは、過冷オーステナイト
を十分に生じさせるためである。ここで生成した
過冷オーステナイトに次工程で加工歪を与えオー
ステナイトの再結晶を遅らせ、再加熱のときに再
結晶させてオーステナイト粒を微細化する。従つ
て、この急冷の速度はパテンテイング組織に影響
し、ひいては伸線限界加工度に影響する。第4図
がこの冷却速度と伸線限界加工度との関係をみた
もので、200℃/秒以上の冷却速度とすることに
よつて、伸線限界加工度の向上効果が確保される
ことが明らかである。 550〜650℃の温度域に冷却された素線材には、
この温度域で20%以上の加工が施される。この温
度加工度は、先に示したRdで定義する。 加工を加える温度範囲を上記のように選ぶのは
次ぎの理由による。即ち、加工中の再結晶を遅ら
せるためには、加工温度はMs点以上のできるだ
け低い温度がよい。しかし、この温度が低い程、
過冷オーステナイトを得ることが難しく、加熱再
結晶後のオーステナイトの細粒化が不十分とな
り、結果として伸線限界加工度が低くなる。一
方、加工温度が高くなると、加工中の再結晶が多
くなり、やはりオーステナイトの細粒化が不十分
となる。 第5図は、上記加工温度と伸線限界加工度との
関係を示すものである。550〜650が適正範囲であ
ることが明瞭に示されている。 第6図は、550〜650℃の温度域での加工度と伸
線限界加工度との関係を示す。Rd20%以上で伸
線限界加工度5.0以上が確保されている。 なお、この温間加工の具体的方法については、
好ましい実施態様として、後に詳しく述べる。 加工終了後は、550℃以下に下げることなく、
直ちにオーステナイト温度域に再加熱する。この
再加熱は加工歪をうけた過冷オーステナイトを再
結晶させ、微細化するのが目的である。オーステ
ナイト域よりも低い温度での再加熱では、パーラ
イト変態が起こり、しかも、高温でのパーライト
変態になるから粗大なラメラ組織となつて強度
(TS)、延性(RA)、伸線限界加工度の全てが悪
化する。これを、第7図に示す。(第7図の試験
条件は、C:0.8%、Ni:0.07%、B:0.0015%の
線材で、温間加工度Rd:20%、加工温度:600
℃、鉛浴温度:600℃、である。) 次に、550〜650℃での過冷オーステナイトの加
工方法について述べる。 この温間加工は、Rd≧20%が確保される限り、
加工の方法を問わない。通常行われているダイス
による引き抜き加工、ロールによる圧延、ロール
ベンデイング、等が採用できる。前述のような、
オーステナイト域からの適切な冷却速度と厳密な
加工温度範囲を確保して操業するには、以下に説
明する方法が推奨される。 まずそのひとつは、表面温度をコントロールで
きる調整冷却装置をもつロールを使用し、素線材
のオーステナイト域からの急冷と、急冷後の加工
とを一挙に行う方法である。 第8図イは、この方法を実施するラインの略図
であり、同図ロはこのラインで処理されていく線
材のヒートパターンを示すものである。図示のよ
うに、左端入側Eから送り込まれる線材9は、加
熱炉1でオーステナイト域(例えば、900℃)に
加熱された後、上下一対の水平ロール2に入る。
このロール2は、第9図に詳しく示すように、冷
却水通路10を有し、冷却水調節弁4、測温装置
(例えば、放射温度計)5、コントローラー6と
からなる温度調整機構を備えている。従つて、こ
のロール2に接触した線材は、直ちに冷却が始ま
るとともに必要な圧下が加えられて、前記20%以
上の加工が施される。 水平ロール2を出た線材の温度は測温装置5で
その温度が測定され、その測定値はコントーラー
6に送られる。ここで、予め設定された温度と測
定値との対比、両温度の偏差に基づく制御信号の
発信があり、この信号によつて冷却水調節弁4の
開度調整がなされる。かくして、水平ロール2に
おける加工温度は、本発明方法の重要な条件であ
る550〜650℃の範囲におさめることが容易にな
る。更に、水平ロール2を出た後の線材温度を見
ながら、左右一対の竪ロール3で圧下を加えるこ
ともできる。第8図ロのヒートパターンはその例
を示しており、二対のロールによる加工がいずれ
も550〜650℃の範囲で行われている。 加工後の線材は、つづいて加熱炉7においてオ
ーステナイト温度域に再加熱され、次いで鉛浴8
でパテンテイングされる。 上記の装置を用いるプロセスでは、線材に較べ
て圧倒的に熱容量の大きいロールで接触冷却が行
われるから、過冷オーステナイト組織を得ること
は容易である。しかも、このロールでの加工(圧
延)の温度の調整も容易であるから、前述した本
発明の目的を達成するのに好適である。 本発明方法を実施するいま一つの望ましい態様
は、550〜650℃での加工を温度調整の可能な保温
室の中で行うプロセスである。第10図がそのた
めの一連のラインを示すものである。このライン
では、線材入側Eの加熱炉1の次に油冷槽11が
あり、ここでオーステナイト温度域から550〜650
℃への冷却が行われる。ここで得られた過冷オー
ステナイトの加工は、次の保温室12内で適当な
加工装置(図示の例ではロールベンダー13,1
3′)を用いて行われる。保温室12には、室内
温度測定装置14があり、また入口温度および出
口温度をそれぞれ測定する装置(例えば、放射温
度計15)が設けられている。それらの測定値は
マイクロコンピユーター15に入力される。 マイクロコンピユーター15には、予め加工装
置(ロールベンダー)の加工量、線材の径、線材
の送り速度、基準加工温度、その他所要の設定値
が入力されており、これらの値と前記の測定値と
の対比により必要な制御信号の発信がなされる。
この制御信号はコントローラー6に入力され、こ
れにより、ヒーター16による保温室内の温度調
整は自動的に行われる。保温室12を出た線材は
ピンチロール17を経て、再加熱炉7、鉛浴8で
所定の処理がなされるのは前記第8図のラインに
おけると同じである。 第8図の例では、加工装置(ロール)が冷却装
置を有する特殊なものになるが、保温室というよ
うな設備は不用である。一方、第10図の例で
は、保温室が必要な代わりに、加工装置自体は、
既存のものを使用することができる。本発明の方
法の実施にあたつては、過冷オーステナイトの加
工温度を適正範囲に制御することが重要であるか
ら、上記のように冷却や加工温度の自動制御機構
をもつ装置を採用するのが望ましい。 以下、実施例によつて本発明の効果を具体的に
説明する。 (実施例) 真空溶解炉を用いて第1表に示す12種の鋼を各
200Kg溶製し、熱間圧延によつて5.5mmφの線材と
し、伸線によつて2.25mmφの素線とした。 上記の素線を第2表記載の加熱加工条件で処理
し、鉛浴中に浸漬してパテンテイングを行つた。
得られたパテンテイング線材について、パーライ
トブロツクサイズ、引張強さ、および絞りを測定
した。更に、これらを連続伸線装置により伸線限
界まで連続伸線した。伸線限界は、連続伸線を始
める前に採取したカツトサンプルについて、引張
試験での絞り(RA)が20%以下になるパスを求
め、その一つ前のパスをそれと定めた。
【表】
【表】
(注) *は本発明で定める範囲から外れていることを
示す。
第2表に前記パテンテイング材の特性ととも
に、これを伸線した後の伸線強化鋼線の特性(引
張強さ、絞り)を示す。 試験番号(No.)1〜4は素材のC含有量の影響
をみたものである。No.1はCが0.62%と低いため
限界加工度、伸線後の引張強さ(到達強度)とも
満足すべき値ではない。No.4は反対にC含有量が
高すぎて初析セメンタイトの影響がでて、限界加
工度、到達強度が低くなつている。No.2,3はC
含有量が適正範囲にあり、目標到達強度の380Kg
f/mm2を超えている。 No.5〜11ではBとNbの影響をみた。No.5と6
はそれぞれBおよびNbを単独に含有するもので
ある。いずれも限界加工度、到達強度が低く、単
独添加では効果がない。また、No.7はBとNbの
複合添加ではあるが、その量が適当でないため、
やはり所期の効果は得られていない。これに対し
て、No.8〜11は、限界加工度、到達強度とも高い
値を示し、本発明によるBとNbの適正量の複合
添加の効果が実証されている。 No.12〜22は加工熱処理の条件の影響をみたもの
である。No.12は、オーステナイト域からの冷却速
度が小さく、過冷オーステナイトが十分にえられ
ていないためパーライトブロツクサイズが小さく
ならず、結果として限界加工度、到達強度が低
い。No.15は過冷オーステナイトの加工度が小さ
く、ためにパーライトブロツクサイズの微細化が
できずに限界加工度、到達強度の向上が不十分で
ある。No.18と21は過冷オーステナイトの加工温度
が不適当(前者では低くすぎ、後者では高すぎ
る)なために、いずれもパーライトブロツクサイ
ズの微細化が不十分で伸線後の特性は劣る。更
に、No.22はパテンテイング後の再加熱温度をオー
ステナイト温度域より低い700℃とした例である
が、これは得られたパーライトのラメラが粗大化
し、パテンテイング材の強度が低く、そのため伸
線後の到達強度も低い。 これらに対して、オーステナイト域からの冷却
速度、過冷オーステナイトの加工温度およびその
加工度、更に再加熱温度のすべてが本発明で定め
る範囲内にあるNo.13,14,16,17,19,20では、
パテンテイング材のパーライトブロツクサイズが
十分に微細化されており、限界加工度が高く伸線
後の引張強さはいずれも380Kgf/mm2以上となつ
ており、なかには400Kgf/mm2を超えるものも得
られている。 上記実施例の結果から、素材鋼線の化学組成、
加熱、冷却、加工、再加熱のすべての条件を本発
明で定める条件を満たすように選ぶことが重要で
あり、それによつて、伸線後の到達強度が380Kg
f/mm2以上となる優れた伸線用高炭素鋼線材が得
られることがわかる。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明は特定の合金成分
を含有する高炭素鋼に、温間加工と熱処理とを巧
みに組み合わせて施し、パーライトブロツクサイ
ズを微細化することにより、400Kgf/mm2級の伸
線強化鋼線を製造可能としたもので、産業上の効
果はきわめて大きい。
示す。
第2表に前記パテンテイング材の特性ととも
に、これを伸線した後の伸線強化鋼線の特性(引
張強さ、絞り)を示す。 試験番号(No.)1〜4は素材のC含有量の影響
をみたものである。No.1はCが0.62%と低いため
限界加工度、伸線後の引張強さ(到達強度)とも
満足すべき値ではない。No.4は反対にC含有量が
高すぎて初析セメンタイトの影響がでて、限界加
工度、到達強度が低くなつている。No.2,3はC
含有量が適正範囲にあり、目標到達強度の380Kg
f/mm2を超えている。 No.5〜11ではBとNbの影響をみた。No.5と6
はそれぞれBおよびNbを単独に含有するもので
ある。いずれも限界加工度、到達強度が低く、単
独添加では効果がない。また、No.7はBとNbの
複合添加ではあるが、その量が適当でないため、
やはり所期の効果は得られていない。これに対し
て、No.8〜11は、限界加工度、到達強度とも高い
値を示し、本発明によるBとNbの適正量の複合
添加の効果が実証されている。 No.12〜22は加工熱処理の条件の影響をみたもの
である。No.12は、オーステナイト域からの冷却速
度が小さく、過冷オーステナイトが十分にえられ
ていないためパーライトブロツクサイズが小さく
ならず、結果として限界加工度、到達強度が低
い。No.15は過冷オーステナイトの加工度が小さ
く、ためにパーライトブロツクサイズの微細化が
できずに限界加工度、到達強度の向上が不十分で
ある。No.18と21は過冷オーステナイトの加工温度
が不適当(前者では低くすぎ、後者では高すぎ
る)なために、いずれもパーライトブロツクサイ
ズの微細化が不十分で伸線後の特性は劣る。更
に、No.22はパテンテイング後の再加熱温度をオー
ステナイト温度域より低い700℃とした例である
が、これは得られたパーライトのラメラが粗大化
し、パテンテイング材の強度が低く、そのため伸
線後の到達強度も低い。 これらに対して、オーステナイト域からの冷却
速度、過冷オーステナイトの加工温度およびその
加工度、更に再加熱温度のすべてが本発明で定め
る範囲内にあるNo.13,14,16,17,19,20では、
パテンテイング材のパーライトブロツクサイズが
十分に微細化されており、限界加工度が高く伸線
後の引張強さはいずれも380Kgf/mm2以上となつ
ており、なかには400Kgf/mm2を超えるものも得
られている。 上記実施例の結果から、素材鋼線の化学組成、
加熱、冷却、加工、再加熱のすべての条件を本発
明で定める条件を満たすように選ぶことが重要で
あり、それによつて、伸線後の到達強度が380Kg
f/mm2以上となる優れた伸線用高炭素鋼線材が得
られることがわかる。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明は特定の合金成分
を含有する高炭素鋼に、温間加工と熱処理とを巧
みに組み合わせて施し、パーライトブロツクサイ
ズを微細化することにより、400Kgf/mm2級の伸
線強化鋼線を製造可能としたもので、産業上の効
果はきわめて大きい。
第1図は、本発明方法と従来の方法とを対比し
て示したヒートパターン図、第2図および第3図
は、それぞれ素線材のBとNbの含有量と伸線限
界加工度との関係を示す図、第4図〜第7図は、
加工、熱処理の諸条件と伸線限界加工度との関係
を示す図、第8図と第9図は、本発明方法を実施
するのに好適な加工、熱処理ラインの説明図、第
10図は、同じく他の加工、熱処理ラインの説明
図、である。
て示したヒートパターン図、第2図および第3図
は、それぞれ素線材のBとNbの含有量と伸線限
界加工度との関係を示す図、第4図〜第7図は、
加工、熱処理の諸条件と伸線限界加工度との関係
を示す図、第8図と第9図は、本発明方法を実施
するのに好適な加工、熱処理ラインの説明図、第
10図は、同じく他の加工、熱処理ラインの説明
図、である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、C:0.7〜0.9%、B:0.001〜
0.005%,およびNb:0.05〜0.2%を含有する鋼線
をオーステナイト域の温度から200℃/秒以上の
冷却速度で550〜650℃の温度域に急冷し、この温
度域で20%以上の加工を行い、その後オーステナ
イト温度域に再加熱し、次いで鉛浴中でパテンテ
イングすることを特徴とする伸線用高炭素鋼線材
の製造方法。 2 オーステナイト温度域から550〜650℃の温度
域への冷却とこの温度域での加工とを、表面温度
が調整できるロールを用いて行うことを特徴とす
る特許請求の範囲第1項記載の伸線用高炭素鋼線
材の製造方法。 3 550〜650℃の温度域での加工を温度調整可能
な保温室中に置かれたベンデイングローラーによ
つて行うことを特徴とする特許請求の範囲第1項
記載の伸線用高炭素鋼線材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17192187A JPS6415322A (en) | 1987-07-09 | 1987-07-09 | Production of high carbon steel wire rod for drawing |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17192187A JPS6415322A (en) | 1987-07-09 | 1987-07-09 | Production of high carbon steel wire rod for drawing |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6415322A JPS6415322A (en) | 1989-01-19 |
JPH0586452B2 true JPH0586452B2 (ja) | 1993-12-13 |
Family
ID=15932317
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17192187A Granted JPS6415322A (en) | 1987-07-09 | 1987-07-09 | Production of high carbon steel wire rod for drawing |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6415322A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03240919A (ja) * | 1990-02-15 | 1991-10-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 伸線用鋼線材の製造方法 |
-
1987
- 1987-07-09 JP JP17192187A patent/JPS6415322A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6415322A (en) | 1989-01-19 |
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