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JPH056592A - 光磁気記録/再生方法および装置 - Google Patents

光磁気記録/再生方法および装置

Info

Publication number
JPH056592A
JPH056592A JP18775591A JP18775591A JPH056592A JP H056592 A JPH056592 A JP H056592A JP 18775591 A JP18775591 A JP 18775591A JP 18775591 A JP18775591 A JP 18775591A JP H056592 A JPH056592 A JP H056592A
Authority
JP
Japan
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recording
magnetic field
medium
correction
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18775591A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Shimokawato
聡 下川渡
Hiroshi Miyazawa
沢 弘 宮
Toshiaki Mikoshiba
俊 明 御子柴
Hiroshi Ito
藤 浩 伊
Masaya Ishida
田 方 哉 石
Shoji Hoshina
科 彰 治 保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP18775591A priority Critical patent/JPH056592A/ja
Priority to KR1019910013937A priority patent/KR920005087A/ko
Priority to DE69128058T priority patent/DE69128058T2/de
Priority to EP91307583A priority patent/EP0472377B1/en
Publication of JPH056592A publication Critical patent/JPH056592A/ja
Priority to US08/055,795 priority patent/US5325345A/en
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体の垂直磁化膜へのデータの熱磁気記録に
おいて、不必要な磁区の形成や消し残り磁区の発生を抑
制する。 【構成】 媒体11がモータ12により回転駆動され
る。媒体11が磁石14からの記録磁界を通過する時、
光ヘッド13から記録光を照射し、それにより媒体11
の垂直磁化膜中にデータがバブル磁区として記録され
る。この記録を行う位置とは異る位置において、媒体1
1は磁石15の発生する修正磁界を通過し、それにより
不必要な磁区や消し残りの磁区が消滅する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザビーム等の収束光
の熱エネルギーを磁界中で磁性層に作用させることによ
り情報の熱磁気記録を行ない、あるいは、その記録され
た情報を磁気光学効果を用いて再生する(これらを「光
磁気記録/再生」と総称する)ための方法および装置に
関わる。
【0002】
【従来の技術】近年、書き換え可能な光記録方式の一つ
として、記録媒体の垂直磁化膜を記録層に用いる光磁気
記録方式の研究が盛んに行なわれ、製品化されるに至っ
ている。情報の書き込み動作は熱磁気記録によって行な
われる。即ち一定の、またはパルス状に変調したレーザ
光等のエネルギービームを、変調磁界または静磁界中で
記録層に集光して記録領域を加熱する。加熱された記録
層と外部磁界との磁気的な相互作用により、情報に応じ
た反転磁区が記録層内に形成されて記録動作が完了す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来技術
による記録では、記録媒体の不均一性やフォーカシング
の誤差等により、本来形成されるべきでない反転磁区が
誤って形成されたり、あるいは記録磁区の形状に歪みが
生じるなどし、記録ノイズとして再生信号品質に悪影響
を及ぼしてしまう問題点がある。また消去動作を必要と
しないいわゆるダイレクトオーバライトの場合、新たな
記録を行なった後では前に記録してあった情報の痕跡を
残してはならないのにもかかわらず、反転磁区が消し残
りとして残ってしまうことがある。
【0004】本発明は上述した課題を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、熱磁気記録の
際に、記録ノイズの原因となる不必要な反転磁区の形成
もしくは記録磁区形状の歪の発生を抑制し、あるいは、
光磁気再生の前にそうした不必要な反転磁区もしくは磁
区形状の歪を除去できる光磁気記録/再生方法および装
置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、記録媒体に設
けられた垂直磁化膜にデータを記録する方法において、
前記記録媒体に記録光と記録磁界とを同時に印加するこ
とにより、前記垂直磁化膜中に前記データの記録として
のバブル磁区(複数形)を形成する記録過程と、前記記
録過程後、前記垂直磁化膜の膜面に垂直方向に修正磁界
を印加する修正過程とを有することを特徴とする光磁気
記録方法を提供する。
【0006】また、本発明は、記録媒体に設けられた垂
直磁化膜にデータを記録する装置において、前記記録媒
体を移動させる移動手段と、前記記録媒体の移動経路中
の所定位置に配置され、前記記録媒体に記録光と記録磁
界とを印加して、前記垂直磁化膜中に前記データの記録
としてのバブル磁区を形成する記録手段と、前記移動経
路に沿って前記記録手段の下流に配置され、前記垂直磁
化膜にその膜面とは垂直方向の修正磁界を印加する修正
手段とを有することを特徴とする光磁気記録装置を提供
する。
【0007】また、本発明は記録媒体に設けられた垂直
磁化膜中のバブル磁区として記録されているデータを再
生する方法において、前記垂直磁化膜の膜面に垂直方向
に修正磁界を印加する修正過程と、前記修正過程後、前
記記録媒体に再生光と再生磁界とを同時に印加すること
により、光磁気効果を利用して前記データを読みとる過
程とを有することを特徴とする光磁気再生方法を提供す
る。
【0008】さらに、本発明は、記録媒体に設けられた
垂直磁化膜中にバブル磁区として記録されているデータ
を再生する装置において、前記記録媒体を移動させる移
動手段と、前記記録媒体の移動経路の所定位置に配置さ
れ、前記垂直磁化膜に再生光と再生磁界とを印加して、
前記データを光磁気効果を利用して読み取る再生手段
と、前記移動経路に沿った前記再生手段の上流に配置さ
れ、前記垂直磁化膜にその膜面と垂直方向の修正磁界を
印加する修正手段とを有することを特徴とする光磁気再
生装置を提供する。
【0009】
【作用】垂直磁化膜のバブル磁区理論は磁気バブルメモ
リの応用に向けて古くから研究されている。バブル磁区
理論によれば、反磁界の影響が無視できる条件下におい
て、外部磁界のない状態では、磁壁抗磁力をHc、飽和
磁化をMs、円筒磁壁エネルギー密度をσB とすると、
単一層の垂直磁化膜中に安定に存在しうる最小のバブル
磁区半径Rは、 R=σB /2MsHc (1) と表現できる。この(1)式は、Rより小さい半径のバ
ブル磁区は磁壁エネルギーに起因する圧縮力により潰れ
てしまい、存在できないことを意味している。一方、膜
面と垂直な修正磁界Hsを印加した状態では、最小安定
磁区半径Rは、 R=σB /{2Ms(Hc−Hs)} (2) となる。ここでHsの符号はバブル磁区の磁化の向きと
は逆向きを正と定義した。この(2)式より修正磁界H
sを保磁力Hcより小さい範囲で適当に選ぶことによ
り、最小安定磁区半径を無磁界の場合よりも大きくする
ことができることがわかる。
【0010】同様なことは互いに交換結合した複数の磁
性層においても成り立つ。この場合、単一層の場合の上
記考察に加え、さらに磁性層間の界面磁壁エネルギー密
度σw を考慮することによって、最小安定磁区半径を決
定することができる。
【0011】したがって、垂直磁化膜にバブル磁区とし
て情報記憶させる熱磁気記録においては、単層膜の場合
にも交換結合した複数層膜の場合にも、記録を行なった
後適当な強度の磁界Hsを印加することによって、任意
のサイズ以下の反転磁区だけを消滅させることが可能に
なる。
【0012】一方、熱磁気記録における記録磁区形状の
歪は、記録が熱的に非平衡な状態で行なわれることに原
因がある。熱的な平衡状態においては、磁壁エネルギー
w と、磁化と外部磁界との相互作用のエネルギーEH
と反磁界エネルギーEM の総和が最小となるように磁区
は形作られ、一般には磁壁の総延長をできるかぎり短く
するような磁区形状に落ち着く。従って、熱磁気記録の
終った後、膜面に垂直な方向に適当な磁界を印加して磁
壁抗磁力Hcを越える磁壁の駆動力を与えることによ
り、熱的に非平衡な熱磁気記録過程を経て作られた記録
磁区の歪んだ形状を、歪の小さい磁区形状に再成形する
ことが可能である。
【0013】以上のように記録後の適当強度の磁界印加
によって、記録の不完全を修正できるという概念は全く
新しい概念である。この新規な概念に基づき、本発明の
装置は、記録媒体に一般的な熱磁気記録方法で情報を記
録した後、その情報を再生するまでの間(例えば、回転
される円盤状記録媒体が記録後一回転する間)に、記録
媒体に垂直磁界を印加して、光ヘッドとは異なる位置に
おいて、記憶を担う反転磁区を制御する。
【0014】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明
する。
【0015】〔第1実施例〕図1に本発明の熱磁気記録
装置の一実施例を示す。図1において、円盤状の光磁気
記録媒体11がモータのような回転機構12によって回
転させられる。媒体11は記録層として単層の垂直磁化
膜を有し、この記録層はその各トラック毎に一方向に予
め磁化されている。媒体11は、電磁石14の発生する
記録磁界中を通過する間に、媒体11をはさんで電磁石
14と対向するように配された半導体レーザを光源とす
る光ヘッド13から集束された記録光の照射を受け、そ
れにより媒体11の記録層にデータの熱磁気記録が行わ
れる。電磁石14はドライバ17を通じて制御回路18
によって制御されて、記録磁界の強度を一定に保持す
る。光ヘッド13は光ヘッドドライバ19によって駆動
されて、記録光をその強度がデータに応じてハイレベル
又はローレベルになるように変調する。それにより、記
録層中にデータを記録した磁区(記録磁区)が形成され
る。
【0016】データの記録の後直ちに、媒体11は、光
ヘッド13とは異る位置で媒体11をはさむように配さ
れた電磁石15の発生する修正磁界の中を通過する。電
磁石15はドライバ19を通じて制御回路20により制
御されて、一定強度の修正磁界を発生する。この修正磁
界の方向は、記録層の膜面(媒体11の盤面)と垂直で
ある。この方向は記録磁区の磁化の方向と同方向でも逆
方向でもよい。この修正磁界を印加することにより、記
録磁区の形状の歪が是正されることが期待できる。
【0017】媒体11に記録されたデータを再生する時
には、媒体11が回転させられ、電磁石14の発生する
再生磁界中を通過する時に光ヘッド13から再生光が照
射され、光磁気効果を利用してデータが読み取られる。
再生磁界及び再生光の強度も、それぞれ制御回路18及
び光ヘッドドライバ19によって制御される。
【0018】記録及び再生磁界を発生する電磁石14
は、反転可能な永久磁石に代えてもよい。
【0019】この装置において、発明者らは媒体11の
盤面と記録光のレーザスポットの相対速度を5.6m/
sec 、記録光の変調周波数(記録周波数)3.7MHz 、
記録光のパルス幅60nsec、対物出射パルス強度6.0
mW、記録磁界の強度を250Oeとして記録を行ない、次
いで記録磁化と同方向で強度が4000Oeの修正磁界を
印加し、その後に対物出射レーザ強度1.0mWの連続光
を用いて再生を試みた。その結果、再生信号のパワース
ペクトルの記録周波数におけるキャリアレベルは−2.
5dBm 、その近傍のノイズレベルは−53.3dBm で、
良好な再生を行なうことができる。一方比較のために、
同様の条件で記録後に修磁界印加を行なわずに再生を試
みたところ、キャリアレベルにおいては−2.4dBm と
ほとんど差が認められないが、ノイズレベルは−50.
1dBm と本発明による実施例と比べ約3dBの上昇が確認
された。このように、本発明によれば従来技術に比べ記
録ノイズを低減できることがわかる。なお、同様な結果
は記録磁区の磁化と逆向きに修正磁界を印加した場合に
も得られた。
【0020】〔第2実施例〕この実施例は、特開平1−
125747号公報に開示されているようなダイレクト
オーバライト方式に本発明を適用したもので、図1に示
されたものと基本的同構成の装置を用いる。
【0021】図1において、電磁石14の発生する記録
磁界は一定の強度に制御される。一方、光ヘッド13か
らの記録光は、図2に示すように相対的に長幅でエネル
ギー密度の低いパルス(記録パルスという)と、相対的
に短幅でエネルギー密度の高いパルス(消去パルスとい
う)との組合せ、に変調される。記録パルスはデジタル
データの「1」(又は「0」)に、消去パルスはデジタ
ルデータの「0」(又は「1」)に対応する。変調方法
として、例えば記録媒体11に予め形成されたクロック
ピットから生成されるチャンネルクロックに同期して、
変調するような方法を採ることにより、媒体11の以前
から形成されている記録磁区に対し、一致したタイミン
グをもって記録パルス及び消去パルスが照射される。記
録パルスが照射された部分では新たな記録磁区が形成さ
れ、消去パルスが照射された部分では以前の記録磁区が
消去され、それによりダイレクトオーバライトが実現す
る。
【0022】ダイレクトオーバライトの後、媒体11は
電磁石15の発生する修正磁界中を通過する。修正磁界
の方向は、記録磁区の磁化の向きと逆向きである。
【0023】データの再生は、第1実施例の場合と同様
に光磁気効果を利用した一般的な方法で行える。
【0024】記録及び再生磁界を発生する電磁石14
は、固定された又は反転可能な永久磁石に代えてもよ
い。
【0025】この実施例における、修正磁界の効用につ
いて以下に詳しく説明する。
【0026】特開平1−125747号公報は、消去パ
ルスの照射によって形成する磁区の半径が、前述の
(1)式により規定される最小安定磁区半径Rよりも小
さくなるように、磁性体、消去パルス、記録磁界等の条
件を選ぶことにより、ダイレクトオーバライトが完全に
実現できることを開示している。ところが記録層として
一般的な希土−遷移金属系合金薄膜においては、最小安
定磁区半径Rは0.05μm程度で、記録パルスの照射
によって十分に大きな記録磁区が形成できるような強度
の記録磁界下では、消去パルスの条件を変えるだけでは
これほど小さな磁区を形成することが事実上不可能であ
る。従って、消去パルスの照射により形成された小さな
磁区が消えずに記録ノイズとして残存する(以下、消し
残り磁区という)。
【0027】本実施例では、消し残り磁区を有する媒体
に記録磁区の磁化と逆向き、即ち消し残り磁区と逆向き
の修正磁界Heが印加されると、最小安定磁区半径Rは
前述の(2)式により決まる大きさとなる。この(2)
式によれば、修正磁界Heを保磁力Hcより小さい範囲
で適当に選ぶことにより、最小安定磁区半径Rを無磁界
の場合よりも大きくすることができる。したがって、記
録パルスによって形成される磁区径が(2)式の最小安
定磁区半径Rよりも大きく、且つ、消去パルスによって
形成される磁区径がそれよりも小さければ、消し残り磁
区のみを外部磁界によって消滅させることができる。な
お、このように磁区半径の比を十分大きくするために
は、図2に示したように、消去パルスは記録パルスより
もパルス幅が短く、且つエネルギー密度が高い単独の光
パルスにすることが効果的である。
【0028】記録パルス及び消去パルスのパルス幅と強
度の具体的な値は記録媒体の膜構成や構造、あるいは記
録媒体の回転数により異なってくる。また、記録磁界と
修正磁界の大きさも場合によって異なるが、実用的な観
点からは記録磁界は100〜600Oe程度、修正磁界は
3000〜6000Oe程度が好ましい。
【0029】この実施例では、TbFeCo、DyFe
Co、NdDyFeCo等の希土類遷移金属非晶質膜
や、Co/Pt等の貴金属コバルト系の組成変調周期多
層膜のような垂直磁化膜を記録層とした記録媒体が使用
できる。
【0030】本実施例についての評価試験のために、媒
体11として図3に示すごとき直径90mmのポリカーボ
ネート基板21上にSi3 4 膜22、TbFeCo膜
(記録層)23、Si3 4 膜24を各々膜厚80nm、
90nm、80nmで順次積層し、次いで紫外線硬化樹脂か
らなる保護層25をコーティングしたものを用意した。
この記録媒体11と図1の装置を用いて媒体回転数毎分
1800回転、記録磁界200Oe、修正磁界5000Oe
で光変調方式によるデジタル記録を行なった。媒体11
の記録層23は、室温においては希土類元素の副格子磁
化が優勢で、室温とキュリー温度の間に補償点を有す
る、いわゆる希土類リッチの膜なので、記録磁界と修正
磁界は同方向とした。記録光は、消去パルスの対物出射
レーザ出力が14mW、そのパルス幅が20nsec、記録パ
ルスの対物出射レーザ出力が8mW、そのパルス幅90ns
ecとなるように変調した。
【0031】以上に述べた条件の下で、まず4/11コ
ードにデジタル変調したランダムパターンを記録媒体に
書き込み、次に同じく4/11コードのランダムパター
ンを記録し、再生信号のバイトエラーレートを測定した
ところ、6×10-6であった。この値は媒体ノイズや媒
体の欠陥に起因するエラーと同水準であり、良好にダイ
レクトオーバライトが行なわれたことを示している。一
方、比較のために修正磁界がゼロの従来方法による記録
を行ない、上述と同様の評価試験を行なったところ、消
し残り磁区が原因と思われる3×10-3程度のバイトエ
ラーが観測された。
【0032】次に偏光顕微鏡を用いてこれら本発明の方
法で記録を行なった記録媒体と、従来の方法で記録した
記録媒体の磁区観察を行なった。その結果、前者では、
意図的に形成した記録磁区以外には反転磁区が観測され
なかったのに対して、後者では、意図的な記録磁区間に
直径0.2μm程度の微小な消し残り磁区と思われる反
転磁区が観測された。
【0033】〔第3実施例〕図1に示した第1又は第2
実施例の装置において、修正磁界の発生源たる電磁石1
5は永久磁石に代えてもよい。図4はそのように変形し
た実施例の構成を示す。この第3の実施例において、媒
体11をはさむように配された永久磁石26により媒体
11の盤面に垂直方向の修正磁界が発生される。電磁石
14は、固定された又は反転可能な永久磁石に代えても
よい。
【0034】〔第4実施例〕図5に第4実施例の装置を
示す。この装置では、媒体31へのデータの記録は、デ
ータに従って強度変調された記録磁界中で一定強度の記
録光を照射することにより行なう。これはダイレクトオ
ーバライトの一種である。
【0035】媒体31は単層の垂直磁化膜を記録層とし
て有する円盤である。媒体31は回転機構32により回
転させられ、磁気ヘッド33から発生する変調された記
録磁界を通過中に、光ヘッド34からの集光された記録
光の照射を受け、それにより記録が行われる。磁気ヘッ
ド33は磁気ヘッドドライバ36により制御されて、記
録磁界の強度と方向をデータに応じて変化させ、それに
より記録磁界は正の矩形パルスと負の矩形パルスとの組
合せに変調される。光ヘッド34は光ヘッドドライバ3
7により制御されて、記録光の強度を一定に保つ。媒体
31の記録層には、記録磁界の変調された方向に従って
互いに逆方向に磁化された記録磁区が形成される。
【0036】記録後直ちに、媒体31は、光ヘッドとは
異なる位置に配された2つの永久磁石38,39がそれ
ぞれ形成する第1及び第2の修正磁界中を順に通過す
る。これら第1及び第2の修正磁界の方向は、媒体31
の壁面つまり記録層の膜面に垂直であり、かつ互いに逆
方向である。これら修正磁界の主たる効用として、ダイ
レクトオーバライトの際に消え残った以前の記録磁区
(消し残り磁区)が消去されることが期待できる。記録
磁区の磁化方向が互いに逆の2方向であるため、互いに
逆方向の第1及び第2の修正磁界が採用されている。し
かし、1つの方向の修正磁界のみ採用しても、ある程度
の効用は期待できるであろう。尚、永久磁石38,39
は電磁石に代えてもよい。
【0037】この実施例におけるデータの再生は、光磁
気効果を利用した一般的な方法によって行える。
【0038】この実施についての評価試験を以下の条件
で行なった。即ち、媒体31の盤面と記録光のレーザス
ポットの相対速度が5.6m/sec 、記録光の対物出射
レーザ光強度が8.0mWの条件下で、2.0MHz で変調
した200Oeの変調記録磁界を用いた記録と3.7MHz
で変調した同強度の記録磁界を用いた記録とを交互に行
ない、対物出射レーザ強度1.0mWの再生光で再生し
た。第1及び第2の修正磁界の強度は共に3000Oeと
した。この試験を様々な温度条件下で行なった。その結
果、消し残り等の不都合は全く観測されなかった。
【0039】一方、比較のために第1及び第2の修正磁
界の強度をゼロとして同様の評価試験を行なったとこ
ろ、以前高い環境温度で記録した領域に比較的低温の環
境でオーバライトした場合、以前の記録磁区の側縁部分
の消し残りが原因と思われるノイズ成分が再生信号中に
観測された。
【0040】〔第5実施例〕この実施例は、特開昭62
−175948等に開示されているような交換結合した
多層の磁性膜を有する記録媒体を用いる光変調オーバラ
イト方式(一種のダイレクトオーバライト方式)に本発
明を適用したもので、その装置構成を図6に示す。
【0041】図6において、トラッキングサーボ用の案
内溝を有する円盤状の媒体41はモータ等の回転機構4
2によって回転させられる。その回転方向(矢印)に沿
って、修正磁界を発生する永久磁石46、初期化磁界を
発生する永久磁石44、光ヘッドドライバ47により駆
動される光ヘッド45が順次配置される。また記録/再
生磁界を発生する永久磁石45が媒体41をはさんで光
ヘッド43と対向するように配される。媒体41は、そ
の回転にともなって、永久磁石46からの修正磁界、永
久磁石44からの初期化磁界及び永久磁石45からの記
録/再生磁界の中を順に繰り返し通過することになる。
修正磁界、初期化磁界及び記録/再生磁界の方向は媒体
41の盤面に垂直である。修正磁界は初期化磁界とは逆
方向である。
【0042】記録動作においては、媒体11が磁石45
からの記録/再生磁界中を通る間、光ヘッド43からデ
ータに従ってローレベルとハイレベルとに強度変調され
た記録光(レーザビーム)が照射される。
【0043】再生動作においては、媒体11が磁石45
からの記録/再生磁界中を通過中に、光ヘッド43から
所定レベルの再生光(レーザビーム)が照射され、光磁
気効果を利用して光ヘッド43により媒体41からデー
タが読み取られる。
【0044】なお、永久磁石44,45,46はそれぞ
れ電磁石に代えてもよい。
【0045】この実施例におけるダイレクトオーバライ
トの原理を以下に説明する。
【0046】記録媒体41は、室温において互いに交換
結合した記録層と呼ぶ第1の磁性層と補助層と呼ぶ第2
の磁性層とから成る交換結合二層膜を有する。記録層
は、相対的に大きい保磁力を室温で有し、かつ低いキュ
リー点をもつ。一方、補助層は相対的に小さい室温での
保磁力と高いキュリー点とをもつ。
【0047】まず、適切な大きさの初期化磁界を印加す
ることによって、記録層の磁化の方向を変化させること
なく、補助層の磁化の方向のみを一方向に揃える。この
後、適切な大きさの記録磁界を印加すると同時に、相対
的に低い媒体温度を生じさせるローレベルのレーザ光の
照射(以下L記録という)、または相対的に高い媒体温
度を生じさせるハイレベルのレーザ光の照射(以下H記
録という)をデータに従って選択的に行う。L記録で
は、補助層の磁化の向きは変化せず、記録層の磁化は、
補助層の磁化に対して交換結合エネルギーが低くなるよ
うになる。H記録では、記録磁界により補助層の磁化の
向きが反転し、次いで記録層の磁化は補助層の磁化に対
して交換結合エネルギーが低くなるような状態になる。
結果として、記録層の磁化の方向としてデータが記録さ
れる。
【0048】再び初期化磁界を印加することにより、補
助層の磁化のみが一方向に揃えられる。
【0049】ところで、このダイレクトオーバライト方
式を深く検討した結果、L記録において消し残り磁区が
生じたことが判った。図7(a)〜(c)にL記録を行
った時の各層の見かけの磁化の方向を矢印で示す。な
お、図7(a)〜(c)は、記録層51が室温において
遷移金属磁気モーメントリッチの希土類遷移金属合金フ
ェリ磁性膜であり、補助層52が室温とキュリー温度の
間に補償温度のある希土類金属磁気モーメントリッチの
希土類遷移金属合金のフェリ磁性膜である場合を示す。
【0050】L記録が理想的に行われたならば、図7
(a)に示す様に、記録層51の磁化は補助層52に対
して界面磁壁がない方向を向く。しかし、実際には図7
(b)または図7(c)に示すように記録層51内に消
し残った反転磁区53又は54がしばしば観測される。
消し残り磁区53又は54が生じる原因は、記録媒体の
磁気特性のゆらぎやフォーカスサーボの追従遅れ等によ
り、記録層の一部分では補助層の磁化による転写が行わ
れず微小磁区を形成したり、あるいは初期化過程におい
て補助層に未反転領域が残留することにあると考えられ
る。この消し残りを防止するために、L記録のレーザ光
強度を大きくしたり、初期化磁界を大きくすることが考
えられ、これらの方法によればある程度の改善は認めら
れる。しかし、前者ではL記録に適切なレーザ光強度の
許容範囲が狭くなるという欠点がある。また、後者の方
法では記録装置の設計上の制約から大きな初期化磁界を
発生させることが困難なため、実用的な方法ではない。
さらに、再生信号品質を向上させるために記録層に高い
キュリー温度の磁性膜を用いたいという要求がある。こ
の要求を満たすためには、L記録に必要なレーザパワー
が高くなってしまうという問題点がある。
【0051】図6に示した本実施例の装置では、ダイレ
クトオーバライトがなされた後、媒体41は磁石46の
発生する修正磁界と磁石44の発生する初期化磁界とを
通過する。これがL記録における消し残り磁区の消去に
貢献する。
【0052】この消し残り磁区消去の原理について以下
に詳しく説明する。
【0053】特開昭62−175948号公報や特開昭
63−153752号公報に開示されているように、媒
体の室温における磁気特性は次の(3)式を満たす必要
がある。
【0054】 σw /2Ms22 <Hc2<Hc1 (3) ここに、σw は記録層と補助層間の界面磁壁エネルギー
密度、Ms2は補助層の飽和磁化、h2 は補助層の膜厚、
c1は記録層の保磁力、Hc2は補助層の保磁力である。
【0055】前述のように、L記録における消し残り磁
区は、図7(b)または図7(c)のような状態になっ
ている。
【0056】まず、図7(b)のタイプの消し残り磁区
53に、図8(a)に示すように初期化磁界とは逆向き
の修正磁界Hs を印加した場合について考察する。いま
記録層51中の円筒磁壁の磁壁エネルギー密度をσB
記録層51の飽和磁化をMs1、記録層51の膜厚を
1 、消し残り磁区53の半径をRとする。修正磁界強
度Hs が 0<Hs <Hc2+σw /2Ms22 (4) を満たすときは、真円と仮定した円筒磁区に関する、反
磁界の項を無視したバブル磁区理論による簡単な考察に
より、消し残り磁区53の半径Rが R<σB 1 /{−σw +2Ms11 (Hc1−Hs )} (5) を満たすとき、消し残り磁区53は消滅して、図8
(b)のような正しい状態に移行することがわかる。ま
た、修正磁界強度Hs が 0<Hc2+σw /2Ms22 <Hs <Hc1+σw /2Ms11 (6) を満たすときは、消し残り磁区の半径Rが R<σB 1 /{σw +2Ms11 (Hc1−Hs )} (7) を満たすときには、補助層52が一様に磁化された図8
(c)の状態を経て、図8(d)に示す磁化状態になる
ことがわかる。この後、初期化磁界HIniを印加するこ
とにより図8(b)の正しい状態に移行する。
【0057】一方、図7(c)のタイプの消し残り磁区
54の場合、修正磁界強度Hs が(4)式を満たすとき
は、修正磁界を通過しただけでは直ちに消し残り磁区5
4は消滅しないが、初期化磁界を通過すると補助層52
が一様に磁化され図7(b)の状態となるため、媒体4
1の更なる回転に伴う2度目の修正磁界の印加により、
上述したケースと同じ経過をたどって消し残り磁区54
は(5)式にしたがって消滅する。また、修正磁界強度
s が(6)式を満たすときは、先に考察した図7
(b)のタイプと同じ経過をたどって、消し残り磁区5
4は(7)式にしたがって消滅する。
【0058】なお、H記録により形成された反転磁区
(記録磁区)の修正磁界及び初期化磁界を通過する直後
および直前の状態は、各々図7(b)、図7(c)の消
し残り磁区とは、磁区径がより大きい点を除いて相似形
の形状をとる。したがって、この記録磁区も上述の磁区
理論にしたがってふるまうので、記録磁区径が大きく
(5)式および(7)式を満たさない場合には、記録磁
区の消滅は起こらない。したがって、(5)式および
(7)式に従って、径が比較的小さい消し残り磁区は消
滅し、径が比較的大きい記録磁区は消滅させないような
適当な大きさの修正磁界強度Hs を選択することが肝要
である。
【0059】ところで、修正磁界による消し残り磁区の
消滅は、修正磁界強度Hs が(4)式の範囲にあるとき
にも(6)式の範囲にあるときにも実現させ得る。しか
し、(5)式と(7)式からわかるように、消し残りの
磁気消滅は、(4)式を満たす場合の方がはるかに小さ
な修正磁界で実現することができる。したがって、実用
的には(4)式を満たす場合の方が好ましい。
【0060】さて、この交換結合多層膜を用いた光変調
オーバライト方式において重要な点は、記録光の照射に
先だち補助層は一様に磁化しておく必要があることであ
る。つまり、次の記録動作にはいるまでに、初期化磁界
の印加を行っておく必要がある。従って、上述した
(4)式を満たす修正磁界の印加による消し残り磁区の
消滅とダイレクトオーバライトを両立するためには、記
録光の照射後、次の記録または再生を行う直前までに、
媒体に修正磁界と初期化磁界を順に印加する必要があ
る。
【0061】図9は補助層の磁化曲線のマイナーループ
を示す。以上に述べたように、補助層の異なる二つの反
転磁界の大きさH1 、H2 を図2のように定義すると、
記録光を媒体に照射した後、0<Hs <H1 の範囲にあ
る初期化磁界とは逆向きの修正磁界Hs と、H1 より大
きい初期化磁界とを順次印加することにより、消し残り
磁区を抑制した良好なダイレクトオーバライトを実現す
ることができる。実用的な効果を得るための修正磁界強
度Hs の下限は、用いる記録媒体によって異なるが、一
般的には500〜1000Oe程度である。
【0062】以上説明した消し残り磁区消去の原理は、
その説明に用いたものとは異るタイプの交換結合膜や、
2層間の磁壁エネルギーを抑制するのに有効な中間層を
備えた記録媒体についても同様に適用できる。
【0063】この原理に従がい、図6の実施例において
は、記録光を照射した後最低1回転、場合によっては2
回転する間に全ての記録に要する動作は完了する。
【0064】この実施例についての評価試験のために、
図10に示すように樹脂基板61に80nm厚の保護層6
2、50nm厚の記録層63、100nm厚の補助層64及
び80nm厚の保護層65を順に積層した記録媒体を用意
した。ここで、記録層63には室温で遷移金属の副格子
磁化が優勢(TMリッチ)なNdDyTbFeCoを、
補助層64には希土類金属の副格子磁化の優勢(REリ
ッチ)なDyFeCoを、保護層65にはAlSiNを
用いた。このような構成を有し、かつ磁気特性の異なる
2種類の媒体(媒体A、媒体B)を用意した。各媒体試
料の記録層63、補助層64の見かけの保磁力Hm 、H
r を表1に示す。ここで見かけの保磁力とは、記録層6
3と補助層64が交換結合した結果、単層膜での保磁力
からシフトした後の量をさす。ただし補助層64につい
ては、磁化曲線のマイナーループの反転磁界のうち、絶
対値の大きい方(すなわち図9におけるH1 )の値をさ
す。
【0065】 これらの媒体は上述したように、記録層63がTMリッ
チ、補助層64がREリッチな組成からなる。
【0066】この場合、初期化磁界は記録磁界と同一の
方向に印加し、修正磁界は記録磁界とは逆方向に印加す
る。
【0067】L記録におけるレーザパワーの許容範囲、
すなわちパワーマージンの評価を、予め7MHz の信号を
記録した後2MHz の信号をオーバーライトしたとき、消
え残った7MHz の信号の強度をスペクトラムアナライザ
ーで測定することによりおこなった。記録/再生時の記
録媒体のレーザスポットに対する相対移動速度は15m
/sec とし、レーザ波長を780nmとし、H記録のレー
ザパワーを15mWとした。
【0068】図11(a)及び(b)はそれぞれ、媒体
A及び媒体Bのオーバライト後の消し残り信号強度レベ
ルを、L記録のレーザパワーに対してプロットしたもの
である。ここで、初期化磁界は4.0kOe であり、修正
磁界は2.0kOe と4.0kOe の2水準を用いた。比較
のために修正磁界を印加しない従来方法による場合もあ
わせて図示した。図11(a)と(b)より適当な強度
の修正磁界を印加することによりL記録のパワーマージ
ンが拡大することがわかる。特に、媒体A,Bいずれに
関しても、修正磁界強度が2.0kOe のときには、許容
できるレーザパワーの最小値は約1.5mW低下し、L記
録のパワーマージンの拡大に有効であることが明らかで
ある。
【0069】次に、修正磁界を0.0Oeから7.0kOe
まで0.5kOe 毎に変えたときの、L記録で許容できる
レーザパワーの最小値をPL の変化を、媒体A及びBに
ついてそれぞれ図12(a)及び(b)に示す。ここ
で、初期化磁界は4.0kOe である。図12(a),
(b)と表1から明らかなように、修正磁界が0.0Oe
から補助層の見かけの保磁力(Hr )まで増加する間、
L は低下を続け、修正磁界がHr を越えるとPL はふ
たたび修正磁界ゼロ時の値付近まで不連続にもどり、そ
こから緩やかに減少する。したがって修正磁界は、特に
r 以下の領域で、PL の低下すなわちL記録のパワー
マージンの拡大に大きく寄与することがわかる。
【0070】この実施例において、さらに、L記録のパ
ワーマージンならびにL記録感度を悪化させることな
く、記録層のキュリー温度を上げることにより媒体のカ
ー回転角を上げることができることを明らかにするため
の試験を行った。記録媒体については、図10において
記録層63として50nm厚のNdDyTbFeCoを、
補助層64として100nm厚のDyFeCoを、保護層
62、65として80nm厚のAlSiNを各々用いた。
このように構成され、かつ磁気特性の異なる2種類の媒
体(媒体C、媒体D)を用意した。いずれの媒体も記録
層63はTMリッチであり、補助層64はREリッチで
ある。また、補助層64の組成は媒体C,D共に同一と
した。これらの媒体の記録層63のキュリー温度Tc
および記録層63と補助層64の見かけの保磁力Hm
r を表2に示す。
【0071】 これらの媒体は共に記録層がTMリッチ、補助層がR
Eリッチな組成からなるので、初期化磁界は記録磁界と
同一の方向に印加し、また修正磁界は記録磁界と逆方向
に印加する。記録/再生時の媒体面の相対移動速度は1
7m/sec とし、予め記録した7MHz の信号上に2MHz
の信号をオーバライトした。H記録のレーザパワーは1
5mWに固定し、初期化磁界は4.0kOe とした。修正磁
界強度は2.0kOe で、比較のために修正磁界0.0kO
e の場合についても調べた。
【0072】表3には、上述の試験の結果得られた、L
記録の許容された最少のレーザパワーPL とオーバライ
トした信号の搬送波対雑音比(C/N比)を示す。
【0073】 表 3 媒 体 C 媒 体 D 修正磁界 PL C/N比 PL C/N比 0.0kOe 4.8mW 53dB 5.3mW 55dB 2.0kOe 4.3mW 53dB 4.7mW 55dB 表3から、記録層のキュリー温度が高い媒体Dの方がC
/N比が高いことがわかる。一方、記録層のキュリー温
度が高い媒体Dの方がPL も高いことがわかる。ところ
が、キュリー温度が高い媒体Dであっても、修正磁界を
導入した場合、媒体Cを修正磁界なしに記録した場合に
相当するまでPL を下げることが可能になる。これは、
L記録のレーザパワーに対する感度が高まることを意味
する。つまり、修正磁界を用いることにより、L記録に
おけるパワーマージンならびに記録感度を悪化させるこ
となく、記録層のキュリー温度を上げることにより、カ
ー回転角を増大させ、媒体のC/N比を上げることが可
能であることが証明された。
【0074】さらに、図10に示す磁性層63〜64が
それぞれTbFeCo、TbFeCoCr、DyTbF
eCo、NdDyFeCo、SmDyFeCo、PrD
yFeCo等の成分からなる媒体に関しても、上述した
ものと同様の傾向の結果が得られた。
【0075】〔第6実施例〕図13は、図6の第5実施
例を変形した第6実施例を示す。この実施例では、媒体
41の回転方向に沿って第2の修正磁界発生用の永久磁
石48、第1の修正磁界発生用の永久磁石46及び初期
化磁界発生用の永久磁石44が順に配置されている。な
お、これら永久磁石48,46,44は電磁石に代えて
もよい。第2の修正磁界及び初期化磁界は同方向であ
り、これらに対して第1の修正磁界は逆方向である。媒
体41は、その回転に伴って、磁石48からの第2修正
磁界、磁石46からの第1修正磁界、磁石44からの初
期化磁界及び磁石45からの記録/再生磁界を順にくり
返し通過する。
【0076】記録/再生の動作は第5実施例と同様であ
る。
【0077】この実施例では、第1修正磁界の印加の直
前、直後でこの第1修正磁界とは逆方向の磁界が印加さ
れるため、記録光を照射した後1回転する間に記録に要
する全ての動作は完了する。
【0078】この実施例の評価試験のために、図10に
おける記録層63として50nm厚のNdDyTbFeC
oを、補助層64として100nm厚のDyFeCoを、
保護層62,65としてそれぞれ80nm厚のAlSiN
を用いて、磁気特性の異なる2種類の媒体(媒体E,
F)を用意した。これらの媒体の記録層63と補助層6
4の見かけの保磁力Hm 、Hr を表4に示す。
【0079】 いずれの媒体も記録層63はTMリッチ、補助層64
はREリッチである。したがって、第2修正磁界と初期
化磁界は記録再生磁界と同一の方向に印加し、第1修正
磁界は記録/再生磁界とは逆方向に印加することにな
る。
【0080】図14(a)、(b)は各々媒体E,Fに
ついて、記録/再生時の媒体線速17m/sec 、レーザ
波長780nm、H記録のレーザパワー15mWで予め記録
した7MHz の信号上に2MHz の信号をオーバライトした
ときの消し残りの信号強度レベルを、L記録のレーザパ
ワーに対してプロットしたものである。ここで第2修正
磁界及び初期化磁界はともに4.0kOe とし、第1修正
磁界は2.0kOe とした。比較のために修正磁界を印加
しない従来方法によるものも図示した。図14(a)、
(b)によれば適当な大きさの修正磁界を印加すること
により、L記録にて許容されるレーザーパワーの最小値
L を1.5mW以上低減できることがわかる。
【0081】ところで、この評価試験では、記録動作が
完了後直ちに1トラックジャンプをおこない、記録動作
から再生動作に移る間に、第2修正磁界、第1修正磁
界、初期化磁界を順に1回だけ記録領域に印加したあと
で再生をおこなった。したがって、記録後1回の回転
で、図7(b)のタイプの消し残り磁区53だけでなく
図7(c)のタイプの消し残り磁区54も消去されるこ
とが期待できる。比較のために第2修正磁界のない場合
(第5実施例に対応)及び第2及び第1界修正磁界のな
い場合(従来方法に対応)の両方について、媒体Eを用
いて消し残り信号のL記録レーザパワー依存性の測定を
おこなった。その結果を図15に示す。図15におい
て、グラフ(a)は第2修正磁界のない場合、グラフ
(b)は第2及び第1修正磁界が共にない場合、グラフ
(c)は第2及び第1修正磁界が共にある場合の結果を
示す。これによれば、グラフ(b)に比べてグラフ
(a)は許容されるL記録パワーの最小値がより低く、
L記録のパワーマージンがより広いことがわかる。グラ
フ(a)と(c)を比較したとき、許容されるL記録パ
ワーの最小値には差が認められないが、消し残りの信号
レベルに約5dBの差があることがわかる。すなわち、こ
の実施例は、第5実施例では1回の回転で消去できない
図7(c)のタイプの消し残り磁区54を、第2修正磁
界をさらに導入することにより、1回の回転で良好に消
去したと考えられる。
【0082】さらに、図10に示す磁性層63〜64が
それぞれTbFeCo、TbFeCoCr、DyTbF
eCo、NdDyFeCo、SmDyFeCo、PrD
yFeCo等の成分からなる媒体に関しても、上述した
ものと同様の傾向の結果が得られた。
【0083】以上の各実施例は、記録及び再生の再動作
が行える装置である。しかし、これら実施例はいずれ
も、記録専用機又は再生専用機としても使えることは勿
論である。これら実施例に共通する特徴は、修正磁界の
媒体への印加が、記録動作の後、再生動作の前、又は記
録動作と再生動作との間の時期に行われることである。
【0084】以上、本発明のいくつかの実施例を説明し
た。これらの実施例はそれのみに本発明の範囲を限定す
るものではなく、他の種々の変形及び変更が本発明の要
旨を逸脱することなく可能である。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、データの記録後又は記
録したデータの再生前に、修正磁界を媒体に印加するの
で、その修正磁界の作用により、消し残り磁区又は記録
磁区の形状の歪みといった記録ノイズを除去することが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録/再生装置の第1及び第2実施例
の構成を示すブロック図。
【図2】第2実施例における記録光の変調された強度の
波形を示す図。
【図3】第2実施例の評価試験に用いた媒体の構造を示
す断面図。
【図4】第1又は第2実施例を変形した第3実施例の構
成を示すブロック線図。
【図5】本発明の第4実施例の構成を示す斜視図。
【図6】本発明の第5実施例の構成を示す斜視図。
【図7】第5実施例において、消し残り磁区が生じる過
程を示す模式図。
【図8】第5実施例において、消し残り磁区が消去され
る過程を示す模式図。
【図9】第5実施例に用いられる媒体の補助層の磁化曲
線のマイナーループを示す図。
【図10】第5実施例の評価検討に用いた媒体の構造を
示す断面図。
【図11】第5実施例の評価試験結果を示す図。
【図12】第5実施例の評価試験結果を示す図。
【図13】第5実施例を変形した第6実施例の構成を示
す斜視図。
【図14】第6実施例の評価試験結果を示す図。
【図15】第6実施例の評価試験結果を示す図。
【符号の説明】
11,31,41 記録媒体 13,34,43 光ヘッド 14 記録/再生磁界発生用電磁石 33 記録/再生磁界発生用磁気ヘッド 45 記録/再生磁界発生用永久磁石 15 修正磁界発生用電磁石 26,46 修正磁界発生用永久磁石 44 初期化磁界発生用永久磁石 48 第2の修正磁界発生用永久磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊 藤 浩 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 石 田 方 哉 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 保 科 彰 治 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録媒体に設けられた垂直磁化膜にデータ
    を記録する方法において、前記記録媒体に記録光と記録
    磁界とを同時に印加することにより、前記垂直磁化膜中
    に前記データの記録としてのバブル磁区を形成する記録
    過程と、前記記録過程後、前記垂直磁化膜の膜面に垂直
    方向に修正磁界を印加する修正過程とを有することを特
    徴とする光磁気記録方法。
  2. 【請求項2】記録媒体に設けられた垂直磁化膜にデータ
    を記録する装置において、前記記録媒体を移動させる移
    動手段と、前記記録媒体の移動経路中の所定位置に配置
    され、前記記録媒体に記録光と記録磁界とを印加して、
    前記垂直磁化膜中に前記データの記録としてのバブル磁
    区を形成する記録手段と、前記移動経路に沿って前記記
    録手段の下流に配置され、前記垂直磁化膜にその膜面と
    は垂直方向の修正磁界を印加する修正手段とを有するこ
    とを特徴とする光磁気記録装置。
  3. 【請求項3】記録媒体に設けられた垂直磁化膜中のバブ
    ル磁区として記録されているデータを再生する方法にお
    いて、前記垂直磁化膜の膜面に垂直方向に修正磁界を印
    加する修正過程と、前記修正過程後、前記記録媒体に再
    生光と再生磁界とを同時に印加することにより、光磁気
    効果を利用して前記データを読みとる過程とを有するこ
    とを特徴とする光磁気再生方法。
  4. 【請求項4】記録媒体に設けられた垂直磁化膜中にバブ
    ル磁区として記録されているデータを再生する装置にお
    いて、前記記録媒体を移動させる移動手段と、前記記録
    媒体の移動経路の所定位置に配置され、前記垂直磁化膜
    に再生光と再生磁界とを印加して、前記データを光磁気
    効果を利用して読み取る再生手段と、前記移動経路に沿
    った前記再生手段の上流に配置され、前記垂直磁化膜に
    その膜面と垂直方向の修正磁界を印加する修正手段とを
    有することを特徴とする光磁気再生装置。
JP18775591A 1990-08-17 1991-07-26 光磁気記録/再生方法および装置 Pending JPH056592A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007165516A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd チップ形ネットワーク電子部品の製造方法

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