JPH0544524U - 積層不織布、それを用いたクツシヨン材及び衣料用パツド材 - Google Patents
積層不織布、それを用いたクツシヨン材及び衣料用パツド材Info
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- JPH0544524U JPH0544524U JP1411192U JP1411192U JPH0544524U JP H0544524 U JPH0544524 U JP H0544524U JP 1411192 U JP1411192 U JP 1411192U JP 1411192 U JP1411192 U JP 1411192U JP H0544524 U JPH0544524 U JP H0544524U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 弾性回復性が優れ、成型性、保形性が良く、
へたりが生じにくく、通気性が改良され、かつ強度低下
の少ない、軽い積層不織布、それを用いたクッション材
及び衣料用パッド材を提供する。 【構成】 多数枚の不織布シート1をその積層方向がシ
ート状積層体5Aまたは5Bの長さ又は幅方向になるよ
うに積層してなるシート状積層体5A及び5Bのそれぞ
れの不織布シート1の配列方向(A−A´方向とB−B
´方向)のなす角度がバイアス方向(この場合90度)
となるようにシート状積層体5Aならびに5Bをその厚
さ方向に積層した積層不織布。
へたりが生じにくく、通気性が改良され、かつ強度低下
の少ない、軽い積層不織布、それを用いたクッション材
及び衣料用パッド材を提供する。 【構成】 多数枚の不織布シート1をその積層方向がシ
ート状積層体5Aまたは5Bの長さ又は幅方向になるよ
うに積層してなるシート状積層体5A及び5Bのそれぞ
れの不織布シート1の配列方向(A−A´方向とB−B
´方向)のなす角度がバイアス方向(この場合90度)
となるようにシート状積層体5Aならびに5Bをその厚
さ方向に積層した積層不織布。
Description
【0001】
本考案は、積層不織布に関するものである。特に衣料用部材、クッション材等 に好ましく用いられる弾性回復性、保形性の優れた積層不織布及びそれを用いた クッション材ならびに衣料用パッド材に関する。
【0002】
従来より、特定の不織布シート状物を2層ないし3層に積層した積層不織布は ブラジャーのカップ用基材その他の衣料用などのパッド材あるいはクッション材 などとして提案されている。(実開昭54−20910号、実開昭59−113 383号、特開昭56−134251号、特開平1−174659号)。
【0003】 しかし、これらの積層不織布は、複数枚の不織布シートを厚さ方向に重ねて積 層するものが大部分であり、従って、通常、積層不織布を構成するそれぞれの不 織布シートの構成繊維は、主として当該不織布シートの面方向に配向されており 、全体として厚さ方向に配向されているとは言えないものが大部分であるので、 積層不織布においてもそれらを構成する繊維は当該積層不織布の面方向に大部分 が配向されており、全体として厚さ方向に配向されているとは言えないものであ る。また、面方向に沿って繊維はほぼ均一な密度で配置されており、従って面方 向に沿って繊維の存在密度が異なるような構造(例えばハニカム構造に類似した 構造)にするようなことは配慮されていない。
【0004】
従来の積層不織布においては、上述のように構成繊維は、当該不織布シートの 面方向に主として配向されており、そのため、種々の提案がなされているにもか かわらず、厚さ方向の弾性回復性に優れ、また例えばブラジャーのカップ基材の 如く成型した場合の成型性、保形性の等の点で満足でき、へたりや形崩れの生じ にくい不織布は得られていないのが現状である。また、面方向に沿って繊維はほ ぼ均一な密度で配置されており、従って通気性も必ずしも十分優れいているとは 言いがたいと言った問題点がある。
【0005】 本考案は、かかる従来の不織布の上記問題点を解決し、弾性回復性が優れ、成 型性、保形性が良く、従ってへたりが生じにくく、通気性が改良され、かつ強度 低下の少ない、軽い積層不織布及びそれを用いた感触の良好なクッション材なら びに衣料用パッド材などを提供することを目的とする。
【0006】
前記課題を達成するために本考案の積層不織布は次の構成を有する。 (1)不織布シートの積層体からなるシート状積層体であって、該シート状積 層体を構成する不織布シートの積層方向が該シート状積層体の長さ又は幅方向で あるシート状積層体を、少なくとも2枚以上、該シート状積層体の不織布シート の配列方向が、その上層または下層に積層された前記シート状積層体の不織布シ ートの配列方向とバイアス方向になるように積層してなる積層不織布。
【0007】 (2)シート状積層体が、不織布シートを蛇腹状に折り畳んで、その接触する 面同志が接合されてなるシート状積層体である前記(1)項に記載の積層不織布 。
【0008】 (3)シート状積層体が、多数枚の不織布シートをその積層方向が該シート状 積層体の長さ又は幅方向になるように多数枚積層してなるシート状積層体である 前記(1)項に記載の積層不織布。
【0009】 (4)バイアス方向の角度が90〜20度である前記(1)〜(3)項のいず れかに記載の積層不織布。 (5)不織布シートを構成する繊維間の一部が熱接着性繊維で熱接着されてな る前記(1)〜(4)項のいずれかに記載の積層不織布。
【0010】 (6)不織布シートを構成する繊維間の一部が接着性バインダーで接着されて なる前記(1)〜(4)項のいずれかに記載の積層不織布。 (7)不織布シートを構成する繊維の少なくとも一部が卷縮性繊維である前記 (1)〜(6)項のいずれかに記載の積層不織布。
【0011】 (8)熱接着性繊維が熱接着性成分を鞘とし、それより融点の高い成分を芯と する芯鞘型複合繊維である前記(5)項または(7)項のいずれかに記載の積層 不織布。
【0012】 (9)シート状積層体同志の接着がホットメルト型接着材で接着されてなる前 記(1)〜(8)項のいずれかに記載の積層不織布。 (10)積層不織布の厚さが2〜30mmである前記(1)〜(9)項のいず れかに記載の積層不織布。
【0013】 (11)積層不織布の厚さが10〜170mmである前記(1)〜(9)項の いずれかに記載の積層不織布。 (12)シート状積層体を構成する不織布シートの構成繊維が、太い繊維とそ れより細い繊維とからなる前記(1)〜(11)項のいずれかに記載の積層不織 布。
【0014】 (13)太い繊維が3〜100デニールであり、細い繊維が前記太い繊維より もデニールが小さく且つ0.1〜30デニールである前記(12)項に記載の積 層不織布。
【0015】 (14)積層不織布を構成するシート状積層体の少なくとも1枚は太い繊維か ら構成されたシート状積層体であり、シート状積層体の他の少なくとも1枚は前 記太い繊維より細い繊維から構成されたシート状積層体である前記(1)〜(1 1)項のいずれかに記載の積層不織布。
【0016】 (15)太い繊維が3〜100デニールであり、細い繊維が前記太い繊維より もデニールが小さく且つ0.1〜30デニールである前記(14)項に記載の積 層不織布。
【0017】 (16)前記(14)項に記載の積層不織布からなり、前記積層不織布を構成 する複数枚のシート状積層体のうち前記積層不織布の少なくとも最外層に位置す るシート状積層体の少なくとも1つのシート状積層体が細い繊維から構成された シート状積層体であり、当該細い繊維から構成されたシート状積層体が、人体に 接する方向側に配置されてなるクッション材。
【0018】 (17)前記(14)項に記載の積層不織布からなり、前記積層不織布を構成 する複数枚のシート状積層体のうち前記積層不織布の少なくとも最外層に位置す るシート状積層体の少なくとも1つのシート状積層体が細い繊維から構成された シート状積層体であり、当該細い繊維から構成されたシート状積層体が、人体に 接する方向側に配置されてなる衣料用パッド材。
【0019】
本考案の前記(1)項に記載の積層不織布は、不織布シートの積層体からなる シート状積層体であって、該シート状積層体を構成する不織布シートの積層方向 が該シート状積層体の長さ又は幅方向であるシート状積層体を、少なくとも2枚 以上、該シート状積層体の不織布シートの配列方向が、その上層または下層に積 層された前記シート状積層体の不織布シートの配列方向とバイアス方向になるよ うに積層されているので、不織布シートのシート面がシート状積層体厚み方向に ほぼ直立したような形で配列しており、構成繊維が厚み方向に主として配向した 形となり、弾性回復性が優れ、成型性、保形性が良くなるものと考えられる。ま た、該シート状積層体を構成する不織布シートの積層方向が該シート状積層体の 長さ又は幅方向であるので、シート状積層体の面方向に沿って不織布シートの積 層境界面部分でやや繊維密度が小さくなり不織布シート自体の部分はその積層境 界面部分に比べて繊維密度が高いので、あたかもハニカム構造に類似したような 構造になり、繊維密度が小さくなる部分が存在するので通気性も良好になる。
【0020】 また、シート状積層体自体は不織布シートの積層面部分で接合されてはいるが その部分の繊維の絡み合いは少ないので当該不織布シートの積層方向に引っ張ら れると、積層境界面部分から剥がれやすいが、本考案においては、シート状積層 体を、少なくとも2枚以上、該シート状積層体の不織布シートの配列方向が、そ の上層または下層に積層された前記シート状積層体の不織布シートの配列方向と バイアス方向になるように積層されているので、かかる強度の低下が防止できる 。
【0021】 また、前記(2)項に記載したように本考案の積層不織布において、シート状 積層体が、不織布シートを蛇腹状に折り畳んで、その接触する面同志が接合され てなるシート状積層体とすることにより、弾性回復性が更に改良され、強度低下 もより少くすることができる。
【0022】 また、前記(3)項に記載したように本考案の積層不織布において、シート状 積層体が、多数枚の不織布シートをその積層方向が該シート状積層体の長さ又は 幅方向になるように多数枚積層してなるシート状積層体とすることにより、厚み の厚いシート状積層体を製造しておいて、それを所定の厚みのものにスライスし て複数枚のシート状積層体を容易に製造することができコスト面で有利になる。 また、通気性の点でも好ましい。
【0023】 また、前記(4)項に記載したように本考案の積層不織布において、バイアス 方向の角度が90〜20度にすることにより、比較的強度の低下の少い積層不織 布とすることができ好ましい。
【0024】 また、前記(5)項に記載したように本考案の積層不織布において、不織布シ ートを構成する繊維間の一部が熱接着性繊維で熱接着された構成とすることによ り、通気性の低下が少く、粘着感などの不快感も少く、強度の高い積層不織布を 得ることができ好ましい。
【0025】 また、前記(6)項に記載したように本考案の積層不織布において、不織布シ ートを構成する繊維間の一部が接着性バインダーで接着された構成とすることに より、強度の高い積層不織布とすることができる。
【0026】 また、前記(7)項に記載したように本考案の積層不織布において、不織布シ ートを構成する繊維の少なくとも一部が卷縮性繊維とすることにより、より一層 弾性が優れ、また弾性回復性の優れた積層不織布とすることができ好ましい。
【0027】 また、前記(8)項に記載したように本考案の積層不織布において、熱接着性 繊維が熱接着性成分を鞘とし、それより融点の高い成分を芯とする芯鞘型複合繊 維を用いることにより、強度が大きく、しかも通気性の低下が少く、風合が良好 な積層不織布とすることができ好ましい。
【0028】 また、前記(9)項に記載したように本考案の積層不織布において、シート状 積層体同志の接着がホットメルト型接着材で接着された態様とすることにより、 風合の低下が少く、強度の良好な積層不織布とすることができ好ましい。
【0029】 また、前記(10)項に記載したように本考案の積層不織布において、積層不 織布の厚さが2〜30mmとすることにより、例えば、ブラジャー用カップ基材 、乳漏れ防止用カップ基材、水着のバストカップ用基材、紳士用の局部に対応す る保持パッド基材、被服などの肩パッド基材、ヒップパッド基材、サイドパッド 基材、マタニティ等の腹部パッド基材、プロテクター用パッド基材、マスク用基 材、靴の中敷基材、靴底基材、靴の甲部の基材などの人体着用基材として使用し た場合に柔軟性が良好であり、成形加工も容易な不織布積層物とすることができ 好ましい。
【0030】 また、前記(11)項に記載したように本考案の積層不織布において、積層不 織布の厚さが10〜170mmとすることにより、例えば、座布団、敷き布団、 ベット基材、ソファー基材などのクッション材として使用する場合に優れた弾性 回復性、底付き感の改良された適度のクッション性を有する不織布積層物とする ことができ好ましい。
【0031】 また、前記(12)項に記載したように本考案の積層不織布において、シート 状積層体を構成する不織布シートの構成繊維が、太い繊維とそれより細い繊維と からなるいわゆるデニールミックスとすることにより、細い繊維が太い繊維の間 隙に入り込みやすく、より緻密になるので、繊維間の接着箇所が増大し、太い繊 維のみの場合に比べて不織布強度の向上が計れると共に、不織布同志の接着性も 向上させることができ、また、風合もより向上でき、好ましい。
【0032】 また、この場合に前記(13)項に記載したように前記太い繊維が3〜100 デニールであり、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小さく且つ0.1〜 30デニールであることが、弾性回復性、成型性、保形性が良く、従ってへたり が生じにくく、通気性、強度、柔軟性などのバランスを保ちながら、前記接着性 が改善され、好ましい。
【0033】 また、前記(14)項に記載したように本考案の積層不織布において、積層不 織布を構成するシート状積層体の少なくとも1枚は太い繊維から構成されたシー ト状積層体であり、シート状積層体の他の少なくとも1枚は前記太い繊維より細 い繊維から構成されたシート状積層体とすることにより、これらのシート状積層 体が、前述の様にバイアス方向に積層される場合に、その接着力が改善されると 共に、太い繊維から構成されたシート状積層体は一般に大きな空隙を有しており 、また、細い繊維から構成されたシート状積層体は一般に小さな空隙を有してい るので、細い繊維から構成されたシート状積層体は毛細管現象により、汗などの 水分を吸い上げて、太い繊維から構成されたシート状積層体はこれらの水分を放 出しやすく、透湿性をより改善することができ、好ましい。また、細い繊維から 構成されたシート状積層体は比較的弱い圧力に対しても微妙に圧縮され、太い繊 維から構成されたシート状積層体は比較的強い圧力がかからないと圧縮されない ので、比較的弱い圧力が作用しても好ましい弾力性を発揮でき、且つ比較的強い 圧力がかかった場合でも、太い繊維から構成されたシート状積層体がこの圧力を 受け止めることが出来るので、良好な弾力性を発揮することができ、好ましい。
【0034】 また、この場合に前記(15)項に記載したように前記太い繊維が3〜100 デニールであり、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小さく且つ0.1〜 30デニールであることが、弾性回復性、成型性、保形性が良く、従ってへたり が生じにくく、通気性、強度、柔軟性などのバランスを保ちながら、前記接着性 、透湿性、弾力性が改善され、好ましい。
【0035】 本考案の前記(16)項に記載のクッション材は、前記(14)項に記載の積 層不織布からなり、前記積層不織布を構成する複数枚のシート状積層体のうち前 記積層不織布の少なくとも最外層に位置するシート状積層体の少なくとも1つの シート状積層体が細い繊維から構成されたシート状積層体であり、当該細い繊維 から構成されたシート状積層体が、人体に接する方向側に配置されているので、 前述の弾力性などの作用に加えて感触が柔らかく良好で、クッション材として好 適な性質を有する。
【0036】 本考案の前記(17)項に記載の衣料用パッド材は、前記(14)項に記載の 積層不織布からなり、前記積層不織布を構成する複数枚のシート状積層体のうち 前記積層不織布の少なくとも最外層に位置するシート状積層体の少なくとも1つ のシート状積層体が細い繊維から構成されたシート状積層体であり、当該細い繊 維から構成されたシート状積層体が、人体に接する方向側に配置されているので 、前述の透湿性などの作用に加えて、感触が柔らかく肌触りの良好な衣料用パッ ド材とすることができる。
【0037】
本考案で言う積層不織布を構成する素材である不織布シートとしては、通常用 いられている不織布シートを用いることができる。
【0038】 図1に出発原料として使用する不織布シートの1例の斜視図を示す。 図1において1は不織布シート、2は不織布シートを構成している繊維を概略 的に示したものである。
【0039】 不織布シート1を構成する繊維2としては各種の繊維を用いることができ、特 に制限するものではないが、代表例としては、ナイロン6、ナイロン66等のポ リアミド繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリプロ ピレンなどのポリオレフィン繊維などである。もちろん他の繊維も用いることが でき、また、レーヨンなどの半合成繊維や、綿、ウールその他の獣毛などの天然 繊維を併用することも場合によっては好ましい。
【0040】 これらの繊維はフィラメント(長繊維)でもステープルファイバー(短繊維) でも良く、短繊維を用いる場合には特に限定するものではないが、長さが25〜 105mm、好ましくは35〜75mm程度のものが用いられる。
【0041】 また、繊維の太さも目的や用途によっても異なるので、目的や用途に応じて選 定すれば良く、特に制限するものではないが、適度の柔軟性と、弾性回復性など の点から0.1〜100d(デニール)程度が用いられるが、好ましくは0.1 〜30d、特に好ましくは1〜20d程度である。
【0042】 前記(12)項に記載し、また、前記作用の項でも説明したように、本考案の 積層不織布において、シート状積層体を構成する不織布シートの構成繊維を、太 い繊維とそれより細い繊維とからなるいわゆるデニールミックスとすることがよ り好ましく、この場合には、前記太い繊維が3〜100デニール、より好ましく は10〜100デニールであり、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小さ く且つ0.1〜30デニール、より好ましくは1〜30デニールであることが好 ましい。
【0043】 デニールミックスとする場合には、太い繊維とそれより細い繊維との使用割合 は、用いる繊維の種類や、本考案の積層不織布の使用目的などに応じて、自由に 選定すれば良く、特に制限はないが、前者5〜95重量%、後者95〜5重量% 程度の範囲が、デニールミックスをすることによる利点が効果的に発揮されるの で好ましい。
【0044】 また、本考案の不織布シートを構成する繊維としては単繊維を用いても良く複 合繊維を用いても良い。また、巻縮性繊維を少なくとも一部に用いることは、柔 軟性と、弾性回復性などの点から特に好ましい。また必要に応じて中空繊維を用 いることも好ましい。
【0045】 不織布シートは、通常これらを構成する繊維間の交絡部分の少なくとも一部が 接着されているのが一般的であり、この接着成分として、不織布を構成する繊維 より融点の低い低融点の熱接着性繊維や、或いは低融点成分と通常の繊維成分と からなる芯鞘型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維などの熱接着性複合繊維 を用いることもできる。また、通常不織布に用いられている接着性バインダーに より接着されたものでも良い。
【0046】 熱接着性繊維としては、特に制限するものではなく、不織布シートを構成する 繊維の種類に応じて適宜の融点を有するものを選定すれば良い。代表的には、ナ イロン12、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチ レンないしはこれらの共重合体からなる繊維が挙げられる。
【0047】 これらの熱接着性繊維を用いる場合は、目的とする不織布の強度、風合などを 考慮して適宜選定すれば良く、特に制限するものではないが、例えば不織布シー トを構成する繊維に対し、熱接着性繊維30〜70重量%好ましくは50重量% 以上程度の範囲で選定すれば良い。
【0048】 熱接着性複合繊維を用いることは特に好ましく、この場合低融点成分としては 前述した熱接着性繊維と同様の材料を用いることができる。特に芯鞘型複合繊維 が好ましく用いられ、例えば芯成分がナイロン6またはナイロン66と鞘成分が ナイロン12またはその共重合体からなる芯鞘型複合繊維、芯成分がポリエチレ ンテレフタレートと鞘成分がポリブチレンテレフタレートまたはその共重合体、 あるいはポリエチレンアジペートまたはその共重合体からなる芯鞘型複合繊維、 芯成分がポリプロピレンと鞘成分がポリエチレンまたはその共重合体からなる芯 鞘型複合繊維などが代表例として挙げられる。
【0049】 これらの複合繊維を用いる場合は、複合繊維自体も不織布シートの構成繊維と なるので、特に制限するものではないが、例えば不織布シートを構成する通常の 繊維(非熱接着性繊維)0〜70重量%に対し、熱接着性複合繊維30〜100 重量%の範囲で用いることが出来る。熱接着性複合繊維を用いることにより、熱 接着性複合繊維の一部である低融点成分のみ(例えば芯鞘型複合繊維などの鞘部 など)が溶融して接着効果を発揮するのみであり、通常の繊維成分となる非熱接 着性成分(例えば芯鞘型複合繊維などの芯部など)は溶融しないので、通気性や 風合を損なうことなく、又、不快な粘着感もなく、十分な不織布シートの強度を 達成することができ好ましい。
【0050】 接着性バインダーを用いる場合には、不織布製造の際に用いられる接着性バイ ンダーであれば特に制限はなく、例えば、ポリアクリル系のエマルジョン、ポリ エステル系バインダー、ポリウレタン系バインダー、ポリ酢酸ビニルやポリ酢酸 ビニル共重合体バインダー、合成ゴム系バインダー(例えばアクリロニトリル− ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム)など各種のものがあ げられる。
【0051】 バインダーを用いる場合は、熱接着性のものが好ましい。また、使用量も目的 に応じて適宜調整すれば良く、不織布構成繊維に対して例えば10〜60重量% 、好ましくは30〜50重量%の範囲で強度、風合を損なわないように選定すれ ば良い。
【0052】 通常上記で説明した不織布シートは、その構成繊維2は主として繊維が不織布 シートの面方向に配向する傾向になってしまい、主として厚さ方向には配向しに くい。
【0053】 次に、本考案で言うシート状積層体について説明する。 特にシート状積層体の製造法を制限するものではないが、例えば本考案で用い るシート状積層体は次のような方法で製造することが出来る。
【0054】 すなわち図1で説明したような不織布シート1の連続シートを図2にその側面 図で製造途中の状態を示すように蛇腹状あるいはヒダ折り状に折り畳み、必要に 応じて適宜の接着剤を面3及び4に付与し、折り畳み方向に押圧して面3及び4 を相互に接触させ熱風その他の適宜の手段で加熱して接合する。すでに熱接着性 繊維や、熱接着性複合繊維、熱接着性バインダーが不織布シート1に含有されて いる場合は、特に面3、4に接着剤を付与しなくてもよい。
【0055】 この様にして得られた、シート状積層体5の一例の斜視図を図3に示した。 図3から明らかなように、シート状積層体5を構成する不織布シート1の積層 方向(T−T´方向)が該シート状積層体5の長さ方向(又は幅方向)であるシ ート状積層体5を得る。この場合不織布シート1の構成繊維は、シート状積層体 5の厚さ方向(X−X´方向)にも向いた状態になる。すなわち不織布シート1 が厚さ方向に立った状態となるので、構成繊維の厚さ方向に向いた状態を増加さ せることができる。
【0056】 図3に示したように1枚の連続した不織布シート1から1枚のシート状積層体 5を得た場合は、特に厚さ方向に繊維が配向していることとも相俟って、厚さ方 向の弾性回復性のより優れたシート状積層体が得られる。尚、図3において7は 積層境界面部分を示している。
【0057】 また、別のシート状積層体の一例、及びその製造法の一例を次に図4〜図6を 用いて説明する。 図4はシート状積層体の製造途中の状態を示す側面図である。すなわち図1で 説明したような不織布シート1を図4にその側面図で製造途中の状態を示すよう に図2と同様にして蛇腹状またはヒダ折り状に折り畳む、図2の場合と異なる点 は、折畳み幅をかなり大きく取ったことである。図2と同様にして必要に応じて 適宜の接着剤を面3及び4に付与し、折り畳み方向に押圧して面3及び4を相互 に接触させ加熱して接合する。すでに熱接着性繊維や、熱接着性複合繊維、熱接 着性バインダーが不織布シート1に含有されている場合は、特に面3、4に接着 剤を付与しなくてもよい事は、図2、図3の場合と同様である。また、図示して いないが、折り畳み幅に匹敵する大きさの複数枚の不織布シートを重ね合わせ同 様に加熱押圧して接合してもよい。加熱は熱風その他適宜の手段で加熱すること ができる。
【0058】 この様にして得られた積層体6の一例を図5にその側面図の状態で示す。得ら れた積層体6を次に例えば点線G、H、I、J、K、L、Mに沿って所望の厚さ になるようスライスする。この様にして得られた本考案で用いるシート状積層体 5の一例の斜視図を図6に示した。
【0059】 図6から明らかなように、シート状積層体5を構成する不織布シート1の積層 方向(T−T´方向)が該シート状積層体5の長さ方向(又は幅方向)であるシ ート状積層体5を得る。この場合不織布シート1の構成繊維は、シート状積層体 5の厚さ方向(X−X´方向)にも向いた状態になる。すなわち不織布シート1 が厚さ方向に立った状態となるので、構成繊維の厚さ方向に向いた状態を増加さ せることができる。従って、厚さ方向の弾性回復性の優れたシート状積層体が得 られる。尚、図6において7は積層境界面部分を示す。
【0060】 次に本考案の積層不織布について説明する。 図3や図6で示したようなシート状積層体5は、厚さ方向の弾性回復性が優れ 、また、シート状積層体5を構成する不織布シート1の積層境界面部分7でやや 繊維密度が小さくなり、一方不織布シート1自体の部分はその積層境界面部分7 に比べて繊維密度が高いので、あたかもハニカム構造に類似したような構造にな り、繊維密度が小さくなる部分が存在するので通気性も良好になるという特性を 有するが、不織布シート1の積層方向(T−T´方向)に引っ張られると、積層 境界面部分7のところから剥がれやすいという強度面での問題がある。
【0061】 本考案の積層不織布は、この問題点を改良するため、シート状積層体5を2枚 以上積層して用いる。その場合シート状積層体5の不織布シート1の配列方向( 図3、図6ではA−A´方向)が、その上層または下層に積層された前記シート 状積層体の不織布シートの配列方向とバイアス方向になるように積層する。
【0062】 本考案の積層不織布の例の斜視図を図7、図8に示す。 図7はシート状積層体5Aと5Bの2枚を積層した本考案の一実施例の積層不 織布の斜視図を示すものである。
【0063】 図7において、シート状積層体5Aの不織布シート1の配列方向はA−A´方 向であり、シート状積層体5Bの不織布シート1の配列方向はB−B´方向であ る。このA−A´方向とB−B´方向のなす角度がバイアス方向(A−A´方向 とB−B´方向が交差する方向)となるようにシート状積層体5Aならびに5B をその厚さ方向に積層する。
【0064】 バイアス方向としてはA−A´方向とB−B´方向のなす角度が20〜90度 程度が用いられ、好ましくは70〜90度であり、目的に応じてこの角度を選定 することができる。一般的には90度に近ければ近いほど各方向への強度がバラ ンスしやすいという点からは好ましい。図7の場合はシート状積層体5Aの不織 布シート1の配列方向(A−A´方向)とシート状積層体5Bの不織布シート1 の配列方向(B−B´方向)とのなす角度が90度の場合の例を示している。
【0065】 シート状積層体5Aとシート状積層体5Bとの積層面の接着は、適宜の接着剤 が用いられるが、ホットメルト型の接着剤、特に熱接着性繊維の薄い不織布状の シート状物が、風合の低下も少くしっかりと接着出来るので好ましく用いられる 。
【0066】 図8はシート状積層体5Aと5B及び5Cの3枚を積層した構成を有する本考 案の積層不織布の一実施例の斜視図を示すものである。 シート状積層体5Aの上層並びに下層にシート状積層体5Aに対し、不織布シ ート1の配列方向が互いに90度になるようにシート状積層体5B、5Cが積層 されている。
【0067】 また、図7、図8に示したような本考案の積層不織布、あるいは、図示してい ないが、更に多数枚のシート状積層体がバイアス方向に積層された本考案の積層 不織布において、積層不織布を構成するシート状積層体の少なくとも1枚は太い 繊維から構成されたシート状積層体であり、シート状積層体の他の少なくとも1 枚は前記太い繊維より細い繊維から構成されたシート状積層体とすることにより 、例えば、図7に於いて、シート状積層体5Aを太い繊維から構成されたシート 状積層体とし、シート状積層体5Bを細い繊維から構成されたシート状積層体と するとか、図8に於いて、シート状積層体5Bと5Cを細い繊維から構成された シート状積層体とし、シート状積層体5Aを太い繊維から構成されたシート状積 層体とするとか、シート状積層体5Bと5Aを細い繊維から構成されたシート状 積層体とし、シート状積層体5Cを太い繊維から構成されたシート状積層体とす るとか、シート状積層体5Bと5Aを太い繊維から構成されたシート状積層体と し、シート状積層体5Cを細い繊維から構成されたシート状積層体とするとか、 あるいはシート状積層体5Bと5Cを太い繊維から構成されたシート状積層体と し、シート状積層体5Aを細い繊維から構成されたシート状積層体とすることに よって、これらのシート状積層体が、前述の様にバイアス方向に積層される場合 に、その接着力が改善されると共に、太い繊維から構成されたシート状積層体は 一般に大きな空隙を有しており、また、細い繊維から構成されたシート状積層体 は一般に小さな空隙を有しているので、細い繊維から構成されたシート状積層体 は毛細管現象により、汗などの水分を吸い上げて、太い繊維から構成されたシー ト状積層体はこれらの水分を放出しやすく、透湿性をより改善することができ、 好ましい。また、細い繊維から構成されたシート状積層体は比較的弱い圧力に対 しても微妙に圧縮され、太い繊維から構成されたシート状積層体は比較的強い圧 力がかからないと圧縮されないので、比較的弱い圧力が作用しても好ましい弾力 性を発揮でき、且つ比較的強い圧力がかかった場合でも、太い繊維から構成され たシート状積層体がこの圧力を受け止めることが出来るので、良好な弾力性を発 揮することができ、好ましい。
【0068】 また、この場合に前記したように前記太い繊維が3〜100デニール、より好 ましくは5〜20デニールであり、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小 さく且つ0.1〜30デニール、より好ましくは0.1〜15デニールであるこ とが、弾性回復性、成型性、保形性が良く、従ってへたりが生じにくく、通気性 、強度、柔軟性などのバランスを保ちながら、前記接着性、透湿性、弾力性が改 善され、好ましい。また、この場合必要に応じて、本考案の目的を阻害しない範 囲で、太い繊維から構成されたシート状積層体の構成繊維に、適宜細い繊維を併 用して用いてもよく、また、前記細い繊維から構成されたシート状積層体の構成 繊維に、適宜太い繊維を併用して用いてもよい。
【0069】 また、必要に応じて本考案の積層不織布の少なくとも片面に、他のシート状物 (例えば織物、編物、不織布、フイルム状物など)を適宜積層して用いてもよい 。
【0070】 上記で説明したような本考案の積層不織布は、弾性回復性が優れ、成型性、保 形性が良く、従ってへたりが生じにくく、通気性が改良され、かつ強度低下の少 ない、また、積層境界面部分は繊維密度が必然的にやや小さくなることと、弾性 回復性が良いので薄くすることができ、従って軽い積層不織布とすることができ るので、例えば、ブラジャー用カップ基材、乳漏れ防止用カップ基材、水着のバ ストカップ用基材、紳士用の局部に対応する保持パッド基材、被服などの肩パッ ド基材、ヒップパッド基材、サイドパッド基材、マタニティ等の腹部パッド基材 、プロテクター用パッド基材、マスク用基材、靴の中敷基材、靴底基材、靴の甲 部の基材などの衣料用パッド材、人体着用基材(本考案ではこれらを総称して衣 料用パッド材と称する。)などの広範囲の用途に使用できる。これらの用途に使 用する場合に用途によっては本考案の積層不織布を平面状のまま使用する場合も あるし、また、必要な形にカットして立体状に縫製したり、プレスや熱成形によ って成形して用いることもできる。例えばブラジャーのカップに成形した場合に 、カップの中心部の膨らんだ部分は洗濯などで変形を受けやすいし、着用した場 合に外部からの力がかかってへこんだ場合でも弾性回復性が優れているので、変 形が容易に回復し、乳房の保形効果を保持することができる。また、厚み方向の クッション性にも優れており着用感の点でも良いものが得られる。また、通気性 も良く、ムレたりすることが少い。前述のように強度も改善されているので、加 工の際に掛かる応力にも十分耐えることができ、洗濯にも耐えられる十分な強度 を有する。また、厚み方向にも繊維が配向しているシート状積層体を用いている ので、成型性も良好で、外観の優れた成形物とすることができる。
【0071】 これらの衣料用パッド材に適用する本考案の積層不織布の厚さは、用途や使用 目的によって異なるが通常2〜30mm程度が好ましい。 また上記のような特性を利用して本考案の積層不織布は、前述したように椅子 やソファーあるいは座布団、ベット、敷き布団などのクッション材その他の用途 に好適に適用できる。
【0072】 これらのクッション材に適用する本考案の積層不織布の厚さは、用途や使用目 的によって異なるが通常10〜200mm程度、より好ましくは10〜170m m程度が好ましい。
【0073】 図9は本考案の衣料用のパツド材の一種であるブラジャー用カップ基材の断面 模式図である。 このブラジャー用カップ基材は、前述した太い繊維から構成されたシート状積 層体5Dと細い繊維から構成されたシート状積層体5Eとからなる本考案の積層 不織布が、当該細い繊維から構成されたシート状積層体5Eが人体に接する方向 側の配置になるように成形されているので、細い繊維から構成されたシート状積 層体5Eは、汗などの水分を毛細管現象で吸い込みやすく、一方、太い繊維から 構成されたシート状積層体5Dは、5Eに比べて比較的大きな空隙を有しており 、従って、シート状積層体5Eで吸い上げられた水分を人体の外側に蒸発などで 放出しやすくなる前述した透湿性などの作用に加えて、細い繊維から構成された シート状積層体5Eが人体に接する方向側に配置されているので感触が柔らかく 肌触りの良好なブラジャー用カップ基材とすることができる。しかも、通気性、 厚さ方向の優れた弾性回復性によるカップとしての良好な保形性を有し、へたり や型崩れが少なく、また、カップに成形する場合に細部まで型に応じた良好な成 型が可能となる成型性を有するカップとすることが出来る。
【0074】 また、図示は省略しているが、これとほぼ同様の構成で例えば肩パッドなどに 適する形状に成形した場合は、上記と同様な透湿性、通気性、厚さ方向の優れた 弾性回復性、良好な保形性を有し、へたりや型崩れが少ない肩パッドととするこ とが出来る。
【0075】 上記の例はパッド材としてブラジャーなどのカップや肩パッドについて説明し たが、本考案はこれらの少数の具体例のみに限定されるものではなく、前述した 各種のパッド材などに適用できることは極めて容易に理解されるところである。
【0076】 次に、クッション材の一例として、図10に座布団に本考案の積層不織布を適 用した場合の座布団の模式的略断面図を示した。 図10に示した座布団は、クッションカバー10で形成された空間内に、クッ ション材として前述した太い繊維から構成されたシート状積層体5Dの上下に細 い繊維から構成されたシート状積層体5E、5Fが積層されてなる本考案の積層 不織布が挿入された構造となっている。
【0077】 この例では細い繊維から構成されたシート状積層体5E、5Fは比較的弱い圧 力に対しても微妙に圧縮され、太い繊維から構成されたシート状積層体5Dは比 較的強い圧力がかからないと圧縮されないので、比較的弱い圧力が作用しても好 ましい弾力性を発揮でき、且つ比較的強い圧力がかかった場合でも、太い繊維か ら構成されたシート状積層体5Dがこの圧力を受け止めることが出来るので、良 好なクッション性を発揮することができる。また、この場合は、細い繊維から構 成されたシート状積層体5Eまたは5Fが人体に接する方向側に配置されている ので感触が柔らかく、座り心地の良いクッション材とすることができる。この構 造の物を同様に敷き布団として適用することも可能である。
【0078】 また、クッション材の別の一例として、図11に敷き布団に本考案の積層不織 布を適用した場合の敷き布団の模式的略断面図をを示した。 図11に示した敷き布団は、布団カバー11で形成された空間内に、クッショ ン材として前述した細い繊維から構成されたシート状積層体5Gの下にシート状 積層体5Gの構成繊維より太い繊維から構成されたシート状積層体5Hが積層さ れ、更にその下にシート状積層体5Hの構成繊維より更に太い繊維から構成され たシート状積層体5Iが積層されてなる本考案の積層不織布が挿入された構造と なっている。
【0079】 この例では細い繊維から構成されたシート状積層体5Gは比較的弱い圧力に対 しても微妙に圧縮され、それより太い繊維から構成されたシート状積層体5Hは より強い圧力に対して対応でき、最下層の最も太い繊維から構成されたシート状 積層体5Iは更に強い圧力に対して対応するので、好ましい弾力性を発揮でき、 且つ、敷き布団として健康的に良いといわれている適宜の硬さを保持することが でき、敷き布団として好適である。また、この場合は、細い繊維から構成された シート状積層体5G側が人体に接する方向側に配置されているので感触が柔らか く、寝心地の良い敷き布団とすることができる。この構造の物を同様にベットの クッション材や座布団として適用することも可能である。
【0080】 上記の例はクッション材として座布団や敷き布団の例に適用した場合について 説明したが、本考案はこれらの少数の具体例のみに限定されるものではなく、前 述した各種のクッション材などに適用できることは極めて容易に理解されるとこ ろである。
【0081】
本考案は弾性回復性が優れ、成型性、保形性が良く、従ってへたりが生じにく く、通気性が改良され、かつ強度低下の少ない、軽い積層不織布を提供できる。
【0082】 また、前述したように本考案の積層不織布において、シート状積層体が、不織 布シートを蛇腹状に折り畳んで、その接触する面同志が接合されてなるシート状 積層体とすることにより、弾性回復性が更に改良され、強度低下もより少くする ことができる。
【0083】 また、前述したように本考案の積層不織布において、シート状積層体が、多数 枚の不織布シートをその積層方向が該シート状積層体の長さ又は幅方向になるよ うに多数枚積層してなるシート状積層体とすることにより、厚みの厚いシート状 積層体を製造しておいて、それを所定の厚みのものにスライスして複数枚のシー ト状積層体を容易に製造することができコスト面で有利になる。また、通気性の 点でもより好ましい。
【0084】 また、前述したように本考案の積層不織布において、バイアス方向の角度が9 0〜20度にすることにより、強度の低下の少い積層不織布とすることができ好 ましい。
【0085】 また、前述したように本考案の積層不織布において、不織布シートを構成する 繊維間の一部が熱接着性繊維で熱接着された構成とすることにより、通気性の低 下が少く、粘着感などの不快感も少く、強度の高い積層不織布を得ることができ 好ましい。
【0086】 また、前述したように本考案の積層不織布において、不織布シートを構成する 繊維間の一部が接着性バインダーで接着された構成とすることにより、強度の高 い積層不織布とすることができる。
【0087】 また、前述したように本考案の積層不織布において、不織布シートを構成する 繊維の少なくとも一部が卷縮性繊維とすることにより、より一層弾性が優れ、ま た弾性回復性の優れた積層不織布とすることができ好ましい。
【0088】 また、前述したように本考案の積層不織布において、熱接着性繊維が熱接着性 成分を鞘とし、それより融点の高い成分を芯とする芯鞘型複合繊維を用いること により、強度が大きく、しかも通気性の低下が少く、風合が良好な積層不織布と することができ好ましい。
【0089】 また、前述したように本考案の積層不織布において、シート状積層体同志の接 着がホットメルト型接着材で接着された態様とすることにより、風合の低下が少 く、強度の良好な積層不織布とすることができ好ましい。
【0090】 また、前述したように本考案の積層不織布において、積層不織布の厚さが2〜 30mmとすることにより、衣料用パッド材として使用した場合に柔軟性が良好 であり、成形加工も容易な積層不織布とすることができ好ましい。
【0091】 また、前述したように本考案の積層不織布において、積層不織布の厚さが10 〜170mmとすることにより、クッション材として使用する場合に優れた弾性 回復性、底付き感の改良された適度のクッション性を有する積層不織布とするこ とができ好ましい。
【0092】 また、前述したように本考案の積層不織布において、シート状積層体を構成す る不織布シートの構成繊維が、太い繊維とそれより細い繊維とからなるいわゆる デニールミックスとすることにより、不織布強度の向上が計れると共に、不織布 同志の接着性も向上させることができまた風合も良好になり好ましい。
【0093】 また、この場合に前記太い繊維が3〜100デニールであり、細い繊維が前記 太い繊維よりもデニールが小さく且つ0.1〜30デニールとすることにより、 弾性回復性、成型性、保形性が良く、従ってへたりが生じにくく、通気性、強度 、柔軟性などのバランスを保ちながら、前記接着性が改善され、好ましい。
【0094】 また、前述したように本考案の積層不織布において、積層不織布を構成するシ ート状積層体の少なくとも1枚は太い繊維から構成されたシート状積層体であり 、シート状積層体の他の少なくとも1枚は前記太い繊維より細い繊維から構成さ れたシート状積層体とすることにより、これらのシート状積層体が、前述の様に バイアス方向に積層される場合に、その接着力が改善されると共に、透湿性をよ り改善することができ、好ましい。また、より良好な弾力性を発揮することがで き、好ましい。
【0095】 また、この場合に前記太い繊維が3〜100デニールであり、細い繊維が前記 太い繊維よりもデニールが小さく且つ0.1〜30デニールとすることにより、 弾性回復性、成型性、保形性が良く、従ってへたりが生じにくく、通気性、強度 、柔軟性などのバランスを保ちながら、前記接着性、透湿性、弾力性が改善され 、好ましい。
【0096】 本考案のクッション材は、前述の弾力性などの効果に加えて感触が柔らかく良 好なクッション材を提供できる。 本考案の衣料用パッド材は、弾性回復性が優れ、成型性、保形性、透湿性など が良好で、感触が柔らかく肌触りの良好な衣料用パッド材とすることができる。
【図1】本考案の出発原料として使用する不織布シート
の1例の斜視図である。
の1例の斜視図である。
【図2】本考案で用いるシート状積層体の製造途中の中
間状態を示す側面図である。
間状態を示す側面図である。
【図3】本考案で用いるシート状積層体の一例の斜視図
である。
である。
【図4】本考案で用いるシート状積層体の製造途中の状
態を示す側面図である。
態を示す側面図である。
【図5】本考案で用いるシート状積層体の製造途中の状
態得られる積層体の側面図である。
態得られる積層体の側面図である。
【図6】本考案で用いるシート状積層体の別の一例の斜
視図である。
視図である。
【図7】本考案の一実施例の積層不織布の斜視図であ
る。
る。
【図8】本考案の別の一実施例の積層不織布の斜視図で
ある。
ある。
【図9】本考案の一実施例のブラジャー用カップ基材の
断面模式図である。
断面模式図である。
【図10】本考案の一実施例の座布団の模式的略断面図
である。
である。
【図11】本考案の一実施例の敷き布団の模式的略断面
図である。
図である。
1 不織布シート 2 構成繊維 3 不織布シートの面 4 不織布シートの面 5 シート状積層体 5A シート状積層体 5B シート状積層体 5C シート状積層体 5D 太い繊維から構成されたシート状積層体 5E 細い繊維から構成されたシート状積層体 5F 細い繊維から構成されたシート状積層体 5G 細い繊維から構成されたシート状積層体 5H 5Gの構成繊維より太い繊維から構成されたシー
ト状積層体 5I 5Hの構成繊維より太い繊維から構成されたシー
ト状積層体 6 積層体 7 積層境界面部分 10 クッションカバー 11 布団カバー
ト状積層体 5I 5Hの構成繊維より太い繊維から構成されたシー
ト状積層体 6 積層体 7 積層境界面部分 10 クッションカバー 11 布団カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/40 7199−3B 1/54 B 7199−3B Q 7199−3B 1/70 7199−3B
Claims (17)
- 【請求項1】 不織布シートの積層体からなるシート状
積層体であって、該シート状積層体を構成する不織布シ
ートの積層方向が該シート状積層体の長さ又は幅方向で
あるシート状積層体を、少なくとも2枚以上、該シート
状積層体の不織布シートの配列方向が、その上層または
下層に積層された前記シート状積層体の不織布シートの
配列方向とバイアス方向になるように積層してなる積層
不織布。 - 【請求項2】 シート状積層体が、不織布シートを蛇腹
状に折り畳んで、その接触する面同志が接合されてなる
シート状積層体である請求項1に記載の積層不織布。 - 【請求項3】 シート状積層体が、多数枚の不織布シー
トをその積層方向が該シート状積層体の長さ又は幅方向
になるように多数枚積層してなるシート状積層体である
請求項1に記載の積層不織布。 - 【請求項4】 バイアス方向の角度が90〜20度であ
る請求項1〜3のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項5】 不織布シートを構成する繊維間の一部が
熱接着性繊維で熱接着されてなる請求項1〜4のいずれ
かに記載の積層不織布。 - 【請求項6】 不織布シートを構成する繊維間の一部が
接着性バインダーで接着されてなる請求項1〜4のいず
れかに記載の積層不織布。 - 【請求項7】 不織布シートを構成する繊維の少なくと
も一部が卷縮性繊維である請求項1〜6のいずれかに記
載の積層不織布。 - 【請求項8】 熱接着性繊維が熱接着性成分を鞘とし、
それより融点の高い成分を芯とする芯鞘型複合繊維であ
る請求項5または7のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項9】 シート状積層体同志の接着がホットメル
ト型接着材で接着されてなる請求項1〜8のいずれかに
記載の積層不織布。 - 【請求項10】 積層不織布の厚さが2〜30mmであ
る請求項1〜9のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項11】 積層不織布の厚さが10〜170mm
である請求項1〜9のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項12】 シート状積層体を構成する不織布シー
トの構成繊維が、太い繊維とそれより細い繊維とからな
る請求項1〜11のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項13】 太い繊維が3〜100デニールであ
り、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小さく且
つ0.1〜30デニールである請求項12に記載の積層
不織布。 - 【請求項14】 積層不織布を構成するシート状積層体
の少なくとも1枚は太い繊維から構成されたシート状積
層体であり、シート状積層体の他の少なくとも1枚は前
記太い繊維より細い繊維から構成されたシート状積層体
である請求項1〜11のいずれかに記載の積層不織布。 - 【請求項15】 太い繊維が3〜100デニールであ
り、細い繊維が前記太い繊維よりもデニールが小さく且
つ0.1〜30デニールである請求項14に記載の積層
不織布。 - 【請求項16】 請求項14に記載の積層不織布からな
り、前記積層不織布を構成する複数枚のシート状積層体
のうち前記積層不織布の少なくとも最外層に位置するシ
ート状積層体の少なくとも1つのシート状積層体が細い
繊維から構成されたシート状積層体であり、当該細い繊
維から構成されたシート状積層体が、人体に接する方向
側に配置されてなるクッション材。 - 【請求項17】 請求項14に記載の積層不織布からな
り、前記積層不織布を構成する複数枚のシート状積層体
のうち前記積層不織布の少なくとも最外層に位置するシ
ート状積層体の少なくとも1つのシート状積層体が細い
繊維から構成されたシート状積層体であり、当該細い繊
維から構成されたシート状積層体が、人体に接する方向
側に配置されてなる衣料用パッド材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1411192U JPH0544524U (ja) | 1991-10-01 | 1992-03-17 | 積層不織布、それを用いたクツシヨン材及び衣料用パツド材 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7962491 | 1991-10-01 | ||
JP3-79624 | 1991-10-01 | ||
JP1411192U JPH0544524U (ja) | 1991-10-01 | 1992-03-17 | 積層不織布、それを用いたクツシヨン材及び衣料用パツド材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0544524U true JPH0544524U (ja) | 1993-06-15 |
Family
ID=26350012
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1411192U Pending JPH0544524U (ja) | 1991-10-01 | 1992-03-17 | 積層不織布、それを用いたクツシヨン材及び衣料用パツド材 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0544524U (ja) |
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