[go: up one dir, main page]

JPH05320970A - イオン交換膜電解槽 - Google Patents

イオン交換膜電解槽

Info

Publication number
JPH05320970A
JPH05320970A JP4125883A JP12588392A JPH05320970A JP H05320970 A JPH05320970 A JP H05320970A JP 4125883 A JP4125883 A JP 4125883A JP 12588392 A JP12588392 A JP 12588392A JP H05320970 A JPH05320970 A JP H05320970A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
chamber
exchange membrane
partition
electrolytic cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4125883A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3110555B2 (ja
Inventor
Hiroshi Goto
弘 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ThyssenKrupp Nucera Japan Ltd
Original Assignee
Chlorine Engineers Corp Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chlorine Engineers Corp Ltd filed Critical Chlorine Engineers Corp Ltd
Priority to JP04125883A priority Critical patent/JP3110555B2/ja
Publication of JPH05320970A publication Critical patent/JPH05320970A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3110555B2 publication Critical patent/JP3110555B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極室内での圧力変動を減少させ、イオン交
換膜の振動を防止する。 【構成】 イオン交換膜電解槽の電極室の上部に電極お
よび隔壁と間隔を設けて一端が閉鎖された断面がU字状
の上面が開口したU型管路12を有し、管路の電極側の
側壁14と電極室の上部壁15との間に間隙16を形成
し、U型管路の電極室の隔壁側の上部の側面には隔壁と
管路との間に形成される空間23との連通路17を設け
るとともに、管路の他端は電解槽の側壁部に設けた排出
ノズル19に結合したイオン交換膜電解槽。 【効果】 電極室内の圧力変動が小さくなり、イオン交
換膜を長寿命化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解槽に関し、とくにイ
オン交換膜法塩化アルカリ電解槽の如く電解反応によっ
て発生した気泡を含む電解液の電極室上部における気液
分離に特徴を有する電解槽に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換膜法フィルタープレス型電解
槽は食塩水の電気分解による塩素と苛性ソーダの製造を
始めとして、有機電解、海水電解等に広く用いられてい
る。フィルタープレス型電解槽は陽極室と陰極室の隔壁
を、導電部材を介してあるいは圧接等の手段により電気
的及び機械的に結合した複極式電解槽ユニットを陽イオ
ン交換膜を挟持して多数積層し、両端には陽極あるいは
陰極のいずれかを片面に有する端部電解槽ユニットを積
層して油圧式プレス等で固定した複極式フィルタープレ
ス型電解槽があり、また額縁状の電極室枠の両面に陽極
もしくは陰極を有する陽極室ユニットと陰極室ユニット
を陽イオン交換膜を介して多数積層し、両端部には片面
のみ陽極または陰極を有する端部極室ユニットを積層し
た単極式フィルタープレス型電解槽がある。
【0003】イオン交換膜法食塩電解槽においては陽極
では塩素ガスが発生し、陰極では高濃度の水酸化ナトリ
ウムと水素が生成するので陽極室には表面に安定な不働
態化被膜を形成する耐食性の優れたチタンあるいはその
合金を使用しており、陰極室には水素を吸収して脆化す
るチタンに代えて耐アルカリ性のニッケル、ステンレス
等の鉄系の金属あるいはその合金を使用している。ま
た、それぞれの電極室には隔壁に結合した導電リブに陽
極と陰極を取り付けており、側壁には電解液供給ノズル
と濃度が低下もしくは上昇した電解液、電解反応の生成
物である気体、気泡を混合した電解液の排出ノズルが設
けられている。
【0004】陽極にはチタン等の多孔板、エキスパンデ
ッドメタル等を基材としてその表面にルテニウム、イリ
ジウム、パラジウム等の白金族の金属の酸化物等を被覆
した陽極が用いられている。陰極には鉄、ステンレス又
はニッケル等の多孔板、エキスパンデッドメタル等を基
材として、その表面をニッケル系、白金族金属系等の陰
極触媒物質によって被覆した陰極が使用されている。ま
た、イオン交換膜には、スルホン酸基、カルボン酸基等
を有するフッ素樹脂系の陽イオン交換膜が使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フィルタープレス式イ
オン交換膜法電解槽において、食塩の電気分解などのよ
うに気体が発生する電気分解反応を行うと、気泡を含む
陽極液又は陰極液を電極室から抜き出す時気泡に起因す
る電極室内圧力の変動が生じる。一般に用いられている
縦型の塩化アルカリ電解槽の電極室内における陽極液又
は陰極液は電極で発生した気泡によって上部ほど気泡の
割合である気泡率が増大し、電極室液の上層部近くにな
ると気泡が集合して泡沫層となり最上部に泡沫から分離
した気体からなる気相を形成している。その結果、電極
室上部より電解液及び発生気体を排出しようとすると流
出状態は気液混相、液相と気相が入り混じった気泡流、
管路を閉塞するプラグ流、波状流などによる電極室内圧
力を変動させる複雑な流れを生じる。特に陽極室側で形
成される塩素気泡は、塩水粘度、表面張力などに起因し
て、陰極室側で苛性ソーダと水素から形成される水素気
泡に比べて気泡が消えにくく、陽極室内の圧力変動を引
き起こす。このため、陽極室内の圧力変動は、電解条件
によって異なるが50〜200mmH2 O、場合によっ
ては300mmH2 Oを超え、イオン交換膜を常時振動
させて電極面と接触したり離れることを繰り返し、陽イ
オン交換膜の表面に摩擦による傷を生じ、また振動によ
る疲労のために陽イオン交換膜に亀裂が生じることが起
こる。その結果、陽イオン交換膜の特性が劣化するとと
もに、一般には電極室内の圧力が高い陰極室内から陽極
室内へ流入するアルカリによる電極の損傷を生じて電極
の寿命に悪影響を及ぼすこととなる。
【0006】そこで、食塩水のイオン交換膜法電解槽に
おいては、陰極室の圧力を陽極室圧力の変動最大値より
大きく保って膜を常時陽極面に圧着して振動を防止する
方法、電極室上部に電解液面より高いチャンバーを設
け、チャンバー内に気液分離ゾーンを形成し、チャンバ
ー内において自然消泡して波状流、成層流として側壁の
排出ノズルより取り出す方法、実開平2−17013号
に示されている如き電極室上壁にその内面より30mm
以上内部に開口させ、ノズル内の液流速が0.5乃至2
0m/secとなるノズルを設ける方法等が提案されて
いる。
【0007】しかしながら、陽極室圧力変動の最大値よ
り大きい圧力を陰極室に付加する方法は膜がエキスパン
デッドメタルもしくは多孔板からなる陽極表面を常に過
度に圧着し、陽極の開孔部に食い込むため塩素発生の陽
極過電圧を大きくし電解槽電圧を数〜10数mV高めて
電力の損失を招くだけでなく、長期的にみれば陰極側か
ら逆泳動するアルカリによる陽極の触媒活性被覆の浸食
も、陰極加圧の圧力が小さい場合に比して大きく電極の
寿命を短くする欠点がある。
【0008】電極室の上部を高くして気液分離ゾーンを
設ける方法は圧力変動防止に有効であるが、電極室の容
量の増加分の材料費、加工費が高価となるきらいがあ
る。さらに、電極室の上部の壁面より排出ノズルを差し
込む方法は、発生ガス量と電極室内での電解液の循環量
の比率によって、排出ノズルの大きさ等を定める必要が
あるために電解槽の運転の自由度が小さく、また複極式
電解槽ではとくに、排出ノズルを通して流れるリーク電
流による腐食防止の対策が必要となる。
【0009】さらに、排出ノズルによる方法では、電極
室の上部のイオン交換膜の表面が乾燥状態となり、陽イ
オン交換膜を透過する気体状の塩素によって陽イオン交
換膜が悪影響を受けるので、電極室の上部の隔壁面に陽
イオン交換膜表面を湿潤状態に保持するための電解液の
溢流する堰を溶接等によって設ける必要であることがが
明らかにされている(「ソーダと塩素」第41巻第4号
第18ページ(1990年4月))。
【0010】一方、複極式電解槽の鍋状の電極室をチタ
ン、ニッケル、ステンレス等の薄板を使用して金型プレ
スにより製作する方法は、製造が容易であり量産性が大
であるため、電解槽のコスト低減に極めて有効であるの
で好ましい製作方法であるが、これに気液分離チャンバ
ーを継ぎ足したり、堰等を溶接によって取り付けること
はプレス成型の特徴を失うこととなる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、構造が簡単
で製作費用を低減出来るチタン、ニッケル、ステンレス
等の薄板を使用して金型プレスにより成形した電極室隔
壁に溶接加工を施さずに電極室上部の電解反応領域にお
いて気液分離し電極室内での圧力変動を減少させ、陽イ
オン交換膜の振動を防止する手段を鋭意追求した結果本
発明に至ったものである。
【0012】本発明の電解槽は電極室の上部に、一端が
閉鎖された断面がU字状の上面が開口した管路を有し、
管路の電極側には上部の壁面との間に方形オリフィス状
の間隙を形成し、管路の電極室の隔壁側の上部の側面に
は隔壁と管路との間に形成される空間との連通路を設け
るとともに、管路の他端は電解槽の側壁部に設けたノズ
ルに結合した電解槽である。
【0013】すなわち、電極室の上部に一端が閉鎖され
た断面がU字状の上面が開口した管路を設けているの
で、電極室の上部空間が狭められる結果、気泡を含む電
解液の流路が狭くなり、気泡は接触合一拡大して、電極
室の上部の壁面と管路の側壁との間で形成された狭い間
隙から圧縮されて管路中へ流入する。流入の際気泡の多
くは圧縮と圧力の変化によって破裂して管路内を残留す
る泡沫を含む電解液と気体が排出ノズルに向かって流れ
る。また、管路中において気泡が泡沫に閉塞された場合
には管路の側壁に設けた連通路によってU型管路と隔壁
との間に形成された空間へ気体を流入させ排出ノズルに
バイパスさせるようにしたものである。
【0014】以下に図面を参照して、本発明をさらに詳
細に説明する。図1は、複極式電解槽ユニットの一部を
切り欠いた平面図を示し、図2は図1をA−A線で切断
した断面図を示す。複極式の電解槽ユニット1は、炭素
鋼等の剛体で成形された額縁状フレーム2を骨格として
左右に陽極室3と陰極室4が形成されており、チタンま
たはチタン合金などの薄板を鍋状に加工した陽極室側の
隔壁5と鉄、ステンレス、ニッケル等の薄板を同様に鍋
状に加工した陰極室側の隔壁6を結合部7で電気的およ
び機械的に結合している。陽極室、陰極室には隔壁に結
合した導電リブ8、9に、それぞれ白金族の金属あるい
は酸化物を含有する被覆を形成した陽極10とニッケル
系、白金族系の陰極活性物質を被覆した陰極11が取り
付けられており、電極室の上部にはU型管路12、13
が設けられている。U型管路は、電極および隔壁と間隔
を設けて取り付けられており、U型管路の電極面側の側
壁14と電極室の上部壁15の間には、上昇した電解液
および気泡が流入する狭い間隙16が形成されており、
U型管路の隔壁側の壁面には連通路17が設けられてい
る。
【0015】また、U型管路の一端は電解槽ユニットの
側壁部18に取り付けた電解液および気体を外部へ取り
出すための排出ノズル19に結合され、電解槽ユニット
の下部には電解液の供給ノズル20が取り付けられてお
り、電解槽ユニットの側壁には電解槽ユニットを架台に
取り付ける取り付けアームが設けられている。
【0016】図3は、U型管路を電解液の排出ノズルか
ら電解槽内部へ取り付ける図を示している。電解槽ユニ
ットの側壁部18に設けた排出ノズル19にU型管路1
2、13を取り付けている。U型管路は電解槽中での電
蝕を防止するために、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の
合成樹脂を用いることが好ましい。U型管路はガスケッ
ト21を介して排出ノズル19に取り付けられており、
電極を取り付ける導電リブ8にはU型管路のガイドとな
る切り欠き部22を形成している。また、U型管路の側
壁には連通路17が設けられている。
【0017】図4は、複極式の電解槽を示す図であり、
5個の複極式の電解槽ユニット1と端部陽極ユニット2
3と端部陰極ユニット24から組み立てられており、各
電解槽ユニットの間には、陽イオン交換膜25を取り付
けて架台26に載置して油圧プレス、タイロッド等によ
って固定しており、電解槽ユニット側壁の排出ノズル1
9、供給ノズル20に管路を結合し、両端部の電解槽ユ
ニットに電解電流を供給している。
【0018】図5は、本発明の電解槽に設けたU型管路
への電解液の流れを説明する図である。U型管路は、電
極室の全体にわたり気液混相状態の電解液の上昇流を均
整化するとともに、電極室の隔壁側空間27に液面28
を保持し、気体のバイパス流路を形成するためには、電
極室の両側壁間の長さと相応する高さを必要とする。ま
た、U型の管路の側壁の高さは電極側の電解液の上昇路
において気泡の合一を促進する距離すなわち高さが必要
であり、電流密度3kA/m2 、温度85℃、塩水濃度
200g/lの標準的な電解条件のもとでの実験により
求めた結果では、電解槽の液面深さに対して4%以上好
ましくは5%以上必要であることがわかった。
【0019】陽極室の電解空間部29は電解液の塩水中
を塩素気泡群が複雑な流体抵抗を受けつつも自由上昇し
ている領域であるが、上昇流がU型管路によって区切ら
れた部分に達すると気泡の大部分は電極側空間30の流
路に入って液と共に上昇するのに対し、隔壁側空間27
には気液の上昇はなく液面28が形成される。隔壁側空
間に液面28を形成し、電極側空間に上昇流を形成する
ためには、電極側の空間が隔壁側の空間より2倍以上大
きいことが必要であり、隔壁側空間の大きさは毛細管現
象を生じない範囲で狭い程好ましく、2〜4mmとする
ことが好ましい。また、図5に示すように、U型管路の
両側の液面の高さには差が形成される。
【0020】これは、電極室内では電極側の方を主に発
生気体の気泡が上昇するので、隔壁側の領域の電解液の
密度と電極側の密度に差を生じ、その結果U型管路と隔
壁との間に形成した空間の液面はU型管路の電極側に形
成されるからである。U型管路の幅は電解液供給量と気
体の発生量に見合う気液を管路に流入させ、排出ノズル
に混乱なく移動させるのに必要な流路断面積を形成する
ことが必要であり、10mm以上とすることが好まし
い。またU型管路の高さは、大きいほど電解液の流れる
流路面積が大きくなるが、反面導電リブを通じての電極
上端への電流分配が不十分となる可能性があるので、U
型管路の高さは60〜100mmとすることが好まし
い。とくに、本発明の電解槽ではU型管路と隔壁の間に
気相の空間を設けて発生気体のバイパスを形成したの
で、U型管路の幅を小さくすることが可能となる。
【0021】また、電極側空間を上昇した気液混相流は
電極室の上部の壁面に達し、電極室の上部の壁面とU型
管路の電極側の側壁の上部によって形成された間隙から
U型管路中へ流入し、間隙を通過の際に多くの気泡は破
裂し、泡末を含んだ電解液がU型管路中へ、U型管路か
ら排出ノズルを通じて外部へ取り出されるが、U型管路
の側壁と電極室の上部壁との間で形成される間隙は、3
〜6mmとすることが適当であり、さらに4〜5mmと
することが好ましく、3mm以下となると流路抵抗が大
きくなり、逆に圧力変動が大きくなるので好ましくな
く、間隙が大きいと電極室内の圧力変動が大きくなって
好ましくない。
【0022】
【作用】本発明の電解槽は、電極室の上部に一端が閉鎖
された断面がU字状の上面が開口した管路を隔壁および
電極から間隔をおいて設け、電極との間隔を気泡を含む
電解液の流路、隔壁との間隔を気体のバイパス流路とし
ているので、電極室上部の気泡は電極と管路の狭められ
た流路で合一拡大して電極室の上部の壁面と管路の側壁
との間で形成された狭い間隙から管路中へ流入し、流入
の際の圧縮と膨張の圧力変化を受けてその多くは破裂し
て気液分離される。また、管路内を排出ノズルに向かっ
て流れる泡沫を含む電解液と気体の流れの中で、泡沫が
気体をせき止めて圧力が高まった場合には管路の隔壁側
の形成した連通路から隔壁との間に形成された空間へ気
体を流出して電極室内の圧力の変化を減少させることが
できるので、陽イオン交換膜の振動による悪影響が防止
可能である。
【0023】
【実施例】
実施例1 厚み1mmのチタン板とステンレス板をプレス金型によ
り縦140cm×横93.5cm×深さ3cmの陽極室
と陰極室を成型し、これにU型管路を固定するための切
り欠きを上端に設けた厚み4mm、幅3cm、長さ13
0cmのチタン及びステンレスの導電リブを電極室横幅
の中心から18cmの間隔で5本を溶接で取り付け、両
極室側壁の下部に電解液供給ノズルとして電極室と同材
質で内径13mm、外径17.3mm、長さ100mm
のフランジ付短管を取り付け、電解液と電解生成気体の
排出ノズルとして電極室と同材質の厚み1.5mm縦
6.5cm×横3cm×長さ10cmのフランジ付角型
パイプを溶接して取りつけた。 次いで、額縁状の枠体
と陽極室および陰極室を、陽極室側に取り付けたチタン
と銅とのクラッド体と陰極室側の隔壁を特開平3−24
0984号に記載されているように、半田を用いて電気
炉内でろう付けを行って両電極室の隔壁を結合するとと
もに額縁状の枠体を一体化した。
【0024】しかる後、厚み1mmのチタン板から得ら
れた開口率が35%のエキスパンデッドメタルに貴金属
酸化物を含有する陽極活性被覆を施した縦1.399m
×横0.933m電解有効面積1.3m2 の陽極(ペル
メレック電極(株)製)と厚み1.5mmのステンレス
板から得られた開口率37%のエキスパンデッドメタル
にニッケル系の活性陰極被覆を施した、陽極と同寸法の
陰極を導電リブにスポット溶接して複極式電解槽ユニッ
トを製造した。
【0025】また陽極室と陰極室がそれぞれ単独の端部
陽極ユニットと端部陰極ユニットを製作し、3個の複極
式電解槽ユニットをフランジ面に耐食性ガスケットを設
けて、両端部には端部陽極ユニットと端部陰極ユニット
を設けてイオン交換膜を挟持して積層した。電極間間隔
は2mmとし、陽イオン交換膜としてNafionN9
54(デュポン社商品名)を4枚有する複極式電解槽を
組み立てた。
【0026】次いで、フッ素樹脂製の厚み1.5mm、
高さ57mm、幅18mm、全長1025mm、上部開
口部長さ93mmであり、隔壁側の側壁には5mmの孔
を3個有するU型管路を、電極室の上部壁面とU型管路
の側壁との間隔を5mmとし、電極面との間隔を8m
m、隔壁との間隔を4mmとなるように挿入し、排出用
ノズルと結合した。
【0027】各ノズルには、電解液供給用主管と電解液
及び生成気体排出用主管にフッ素樹脂製フレキシブルチ
ューブを介して接続し、直流電源と電解槽の陽極端子、
陰極端子とを接続して電解槽を完成させた。陰極室には
純水を供給し、陽極室には300g/lの食塩水を供給
し、陰極室からは32%の苛性ソーダを、陽極室からは
食塩水濃度を200g/lの戻り食塩水を取り出し、電
解槽温度85℃、電解電流5.2kA、電流密度3kA
/m2 で通電し30日間運転した。この間の苛性ソーダ
の生成電流効率は96.2%、4対の電解槽ユニットの
平均槽電圧3.05Vであり、陽極室内圧力変動は15
mmH2 O以内で極めて安定した状態であった。
【0028】次いで高負荷電解条件における圧力変動状
況確認を目的として電流密度4kA/m2 、塩水供給量
を戻り塩水を循環させることにより標準供給量の2〜4
倍量に増加して陽極室内圧力変動を測定し、結果を表1
に示す。また、電解槽の運転を停止して、陽イオン交換
膜を点検したが変色、変質などの異常は全く見られなか
った。
【0029】実施例2 実施例1のU型管路の電極側の側壁と陽極室の上部壁面
との間隔を10mmとしたU型管路を取り付けた点を除
いて、実施例1と同様の条件で15日間運転した結果電
流効率は95.6%、平均槽電圧は3.06Vであり、
初期電解性能は実施例1とほぼ同等であった。陽極室内
圧の変動を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に
示す。また、運転停止後の陽イオン交換膜の上部には幅
約5mmの変色がみられた。 実施例3 実施例1のU型管路の電極側の側壁と陽極室の上部壁面
との間隔を15mmとしたU型管路を取り付けた点を除
いて、実施例1と同様の条件で15日間運転した結果電
流効率は95.2%、平均槽電圧は3.09Vであり、
初期電解性能は実施例1とほぼ同等であった。陽極室内
圧の変動を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に
示す。また、運転停止後の陽イオン交換膜の上部には幅
約10mmの塩素によるとみられる変色が観察された。
【0030】
【表1】
【0031】比較例1 実施例2の電解槽よりU型管路を取り除き、実施例2で
使用した陽イオン交換膜を使用して電解槽の再組立を行
い、実施例2と同様の条件で15日間運転した。電流効
率は94.8%、平均槽電圧は3.11Vで電解性能の
低下が認められた。又、陽極室内圧力は−10〜120
mmH2 Oの範囲で常時変動し実施例2より更に大き
く、排出ノズルにおいてプラグ流が生じ、間欠流出現象
が見られた。
【0032】運転の停止後に陽イオン交換膜を点検した
ところ、陽イオン交換膜の上部には幅約100mmの茶
褐色の変色が見られ排出ノズルの下辺より35mm下ま
で変色と直径約2mmの小ブリスターが散在し、又やす
り状の活性陰極表面に触れたと見られる黒褐色の変色と
擦過傷が一部に見られた。
【0033】比較例2 U型管路に代えて、高さ57mm、横幅18mmのL字
型の部材の上端と電極室上壁との間隔を5mm、電極と
の間隔を8mmとして電極室隔壁に溶接して取りつけた
上、電極室側壁の排出ノズルを改造して櫃底部の位置に
内径25mm×外径27.2mmの排出ノズルを設け電
極を修復して電解槽に組み込みその他実施例−1と同じ
標準電解条件のもとで15日間運転した。
【0034】電流効率は95.8%、槽電圧は3.08
Vであた。電極室内圧力は−20〜180mmH2 Oの
範囲で大きく変動し排出ノズルからの気液の流出状態は
典型的な間欠的プラグ流デアッタ。電流効率及び循環倍
率を夫々4KA/M2,3倍に変えた条件での圧力変動
は−40〜200mmH2 Oに増加した。開槽した膜の
上部には活性陰極に触れたと見られる黒褐色の変化が見
られた。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電解槽
は、電極室隔壁等に直接溶接を行って構成する他の圧力
変動抑制方法に代わり、電解液と生成ガスの混合流体を
取り出す排出ノズルからU型管路を挿入する簡単な手段
によって、電極室内の圧力の変動とこれによるイオン交
換膜の振動を防止し、イオン交換膜および電極を長寿命
化することができる。またU型管路として、合成樹脂製
の部材を使用するならば、漏洩電流を減少することも可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す複極式電解槽ユニット
一部を切り欠いた平面図である。
【図2】図1におけるA−A線の断面図である。
【図3】U型管路を電解槽ユニットの側壁から電解槽内
部への取り付けを説明する図である。
【図4】複極式の電解槽を示す図である。
【図5】本発明の電解槽に設けたU型管路への電解液の
流れを説明する図である。
【符号の説明】
1…電解槽ユニット、2…額縁状フレーム、3…陽極
室、4…陰極室、5…陽極室側の隔壁、6…陰極室側の
隔壁、7…結合部、8、9…導電リブ、10…陽極、1
1…陰極、12、13…U型管路、14…U型管路の電
極面側の側壁、15…電極室の上部壁、16…間隙、1
7…連通路、18…側壁部、19…排出ノズル、20…
供給ノズル、21…ガスケット、22…切り欠き部、2
3…端部陽極ユニット、24…端部陰極ユニット、25
…陽イオン交換膜、26…架台、27…隔壁側空間、2
8…液面、29…電解空間部、30…電極側空間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽側壁上部の排出ノズルより電解液
    と発生ガスを排出するイオン交換膜電解槽において、電
    極室の上部に電極および隔壁と間隔を設けて一端が閉鎖
    された断面がU字状の上面が開口したU型管路を有し、
    U型管路の電極側の側壁と上部の壁面との間に間隙を形
    成し、管路の電極室の隔壁側の上部の側面には隔壁と管
    路との間に形成される空間との連通路を設けるととも
    に、管路の他端は電解槽の側壁部に設けたノズルに結合
    したことを特徴とするイオン交換膜電解槽。
  2. 【請求項2】 U型管路が合成樹脂製であり、U型管路
    を電極支持用の導電リブに設けた切り欠き部によって電
    極および隔壁との間隔を固定したことを特徴とする請求
    項1記載のイオン交換膜電解槽。
JP04125883A 1992-05-19 1992-05-19 イオン交換膜電解槽 Expired - Lifetime JP3110555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04125883A JP3110555B2 (ja) 1992-05-19 1992-05-19 イオン交換膜電解槽

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04125883A JP3110555B2 (ja) 1992-05-19 1992-05-19 イオン交換膜電解槽

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10200729A Division JP3110720B2 (ja) 1998-07-15 1998-07-15 イオン交換膜電解槽における気液分離方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05320970A true JPH05320970A (ja) 1993-12-07
JP3110555B2 JP3110555B2 (ja) 2000-11-20

Family

ID=14921287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04125883A Expired - Lifetime JP3110555B2 (ja) 1992-05-19 1992-05-19 イオン交換膜電解槽

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3110555B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001016398A1 (fr) * 1999-08-27 2001-03-08 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellule unitaire destinee a une cuve electrolytique comprenant une solution aqueuse metallique de chlorure alcalin
JP2007088469A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Siltronic Ag エピタキシャルシリコンウェハおよびエピタキシャルシリコンウェハの製造方法
US8337443B2 (en) 2007-05-11 2012-12-25 Masanori Harada Apparatus for correcting an ingrown nail
CN106835185A (zh) * 2017-04-07 2017-06-13 河北华普化工设备科技有限公司 过硫酸盐电解生产装置
JP2019065392A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 株式会社Lixil ガス回収装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001016398A1 (fr) * 1999-08-27 2001-03-08 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Cellule unitaire destinee a une cuve electrolytique comprenant une solution aqueuse metallique de chlorure alcalin
US6773561B1 (en) 1999-08-27 2004-08-10 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Unit cell for alkali chloride metal aqueous solution electrolytic tank
JP2007088469A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Siltronic Ag エピタキシャルシリコンウェハおよびエピタキシャルシリコンウェハの製造方法
JP4589283B2 (ja) * 2005-09-22 2010-12-01 ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト エピタキシャルシリコンウェハの製造方法
US8337443B2 (en) 2007-05-11 2012-12-25 Masanori Harada Apparatus for correcting an ingrown nail
CN106835185A (zh) * 2017-04-07 2017-06-13 河北华普化工设备科技有限公司 过硫酸盐电解生产装置
CN106835185B (zh) * 2017-04-07 2018-07-10 河北华普化工设备科技有限公司 过硫酸盐电解生产装置
JP2019065392A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 株式会社Lixil ガス回収装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3110555B2 (ja) 2000-11-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI71356C (fi) Elektrodstruktur foer anvaendning i elektrolytisk cell
US4417960A (en) Novel electrolyzer and process
CA1258443A (en) Electrolysis apparatus with horizontally disposed electrodes
RU2709541C2 (ru) Электродное устройство, электродные узлы и электролизеры
EP0991794B1 (en) Ion exchange membrane bipolar electrolyzer
US20160312370A1 (en) Electrochemical cell without an electrolyte-impermeable barrier
JPS629674B2 (ja)
JPH0561356B2 (ja)
KR100558405B1 (ko) 이온 교환막 전해조
JP3110720B2 (ja) イオン交換膜電解槽における気液分離方法
JP3110555B2 (ja) イオン交換膜電解槽
JP2013076151A (ja) 電解セル及び電解槽
FI56557C (fi) Diafragmacell med ett flertal avdelningar foer framstaellning av klor och alkalimetallhydroxid
JPH11106977A (ja) 複極型イオン交換膜電解槽
JPS63140093A (ja) 気体生成電解槽用電極構造
US4256562A (en) Unitary filter press cell circuit
JPS63134685A (ja) 電解槽
JP3229266B2 (ja) 複極式フィルタープレス型電解槽
JPS6342710B2 (ja)
JP6499151B2 (ja) 電解槽
JP3204322B2 (ja) 塩化アルカリの電解方法
JP2816029B2 (ja) 複極式フィルタープレス型電解槽
JP6294991B1 (ja) 複極式電解槽
JP3212318B2 (ja) 単極型イオン交換膜電解槽
JPS6327432B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080914

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080914

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080914

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080914

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120914

Year of fee payment: 12