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JPH05311559A - 新規高性能クッション構造体およびその製造方法 - Google Patents

新規高性能クッション構造体およびその製造方法

Info

Publication number
JPH05311559A
JPH05311559A JP4137543A JP13754392A JPH05311559A JP H05311559 A JPH05311559 A JP H05311559A JP 4137543 A JP4137543 A JP 4137543A JP 13754392 A JP13754392 A JP 13754392A JP H05311559 A JPH05311559 A JP H05311559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic
fiber
cushion structure
heat
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4137543A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Yoshida
吉田  誠
Motohiro Kitagawa
元洋 北川
Nobuo Takahashi
信男 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP4137543A priority Critical patent/JPH05311559A/ja
Publication of JPH05311559A publication Critical patent/JPH05311559A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Mattresses And Other Support Structures For Chairs And Beds (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)
  • Preliminary Treatment Of Fibers (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 クッション性、耐久性、安定性、通気性が高
く、ムレと、加工ムラが少く、加工の多様化がはかりや
すく、短い工程で製造しやすいクッション材の提供。 【構成】 短繊維集合体中には、短繊維を構成するポリ
エステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有す
る繊維表面に露出した弾性複合繊維が分散・混入された
熱可塑性エラストマーと、非弾性ポリエステルとからな
り、(A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに
熱融着により形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱
固着点、および(B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリエ
ステル系短繊維とが交叉した状態で熱融着により形成さ
れた準全方位的可撓性熱固着点とが散在し、かつ複合繊
維群にあって、その長手方向に沿って紡錘状の節部をク
ッション構造体1g当り2×104 個以上存在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非弾性ポリエステル系
捲縮短繊維をマトリックスとし、その中に弾性複合繊維
による熱固着点を散在させた高反撥性高耐久性新規クッ
ション構造体並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家具、ベッドなどに用いられるクッショ
ン構造体の分野においては、発泡ウレタンフォーム、非
弾性ポリエステル系捲縮短繊維詰綿、ポリエステル系捲
縮短繊維を接着した樹脂綿や固綿などが使用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発泡ウ
レタンフォームは、その製造中に使用される薬品等の取
り扱いが難しく、かつフロンを排出するという問題があ
る。また、得られた発泡ウレタンフォームの圧縮特性は
圧縮初期が硬く、その後急に沈み込むという独特の特性
を示すために、クッション性に乏しいばかりか、底突き
感が大きいという欠点がある。しかも、該フォームは通
気性に乏しいので蒸れやすく、クッション構造体として
好まれないことが多い。さらに、ウレタンフォームは軟
らかく、かつ発泡しているために、圧縮に対する反撥力
に乏しいという欠点がある。反撥力を上げるためには、
ウレタンフォームの密度を高くすればよいわけである
が、この場合は重量が増え、かつ通気性がさらに悪化す
るという致命的欠陥が生じる。次に、非弾性ポリエステ
ル系短繊維詰綿においては、集合体構造が固定されてい
ないため、使用中に形が崩れ易く、構成短繊維が移動し
たり、該短繊維の捲縮がへたったりして嵩性や反撥性が
大きく低下するという欠点がある。
【0004】一方、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集
合体を樹脂(例えばアクリル酸エステルポリマー)や、
マトリックス短繊維を構成するポリマーの融点よりも低
い融点を有するポリマーで構成されるバインダー繊維
(特開昭58―31150号公報)で固着した樹脂綿や
固綿などでは、固着力が弱く、ポリマー皮膜の伸度が小
さく、かつ伸張に対する回復性が低いために固着点の耐
久性が低く、使用中に固着点に変形を受けると破壊され
たり、変形に対して回復が悪く、その結果形態安定性や
反撥性が大巾に低下する。また、固着点は伸度が小さい
ポリマーで固く、モービリティがないため、クッション
性に乏しいものしか得られない。クッション性を高める
ための一手段として、特開昭62―102712号公報
には、ポリエステル系捲縮短繊維の交叉部を発泡ウレタ
ンのバインダーで固着したクッション構造体が提案され
ている。しかし、ここでは溶液型の架橋性ウレタンを含
浸しているので、加工斑が発生し易く、そのため処理液
の取扱いが煩雑である、ウレタンとポリエステル繊維と
の接着性が低い、バインダーが架橋されるため伸度が低
くなり変形で破壊されやすく、更に樹脂部が発泡してい
る場合には変形が部分的に集中しやすいので、繊維交叉
部の発泡ウレタンが大変形したときにさらに破壊されや
すく、耐久性が低いなどといった問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、特に短繊維同
士の交叉点における固着状態を著しく安定化させ、それ
によりクッション性、および圧縮反撥性、圧縮耐久性並
びに圧縮回復性が非常に改善された、新規な高性能クッ
ション構造体を提供しようとするものである。
【0006】さらに、本発明は、加工斑が発生しない、
より簡便な方法で、上記のクッション構造体を提供しよ
うとするものである。
【0007】本発明による新規なクッション構造体は、
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス
とし、密度が0.005〜0.10g/cm3 、厚さが5
mm以上であるクッション構造体において、該短繊維集合
体中には、短繊維を構成するポリエステルポリマーの融
点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマ
ーと、非弾性ポリエステルからなり、前者が少なくとも
繊維表面に露出した弾性複合繊維(コンジュゲート・ス
テープルファイバー)が分散・混入され、その際該クッ
ション構造体中には、(A)該弾性複合繊維同士が交叉
した状態で互いに熱融着により形成されたアメーバー状
全方位的可撓性熱固着点、および(B)該弾性複合繊維
と該非弾性ポリエステル系短繊維とが交叉した状態で熱
融着により形成された準全方位的可撓性熱固着点とが散
在し、かつ、隣り合う可撓性熱固着点の間((A)―
(A)間、(A)―(B)間、および(B)―(B)
間)に存在する弾性複合繊維群にあって、複合繊維には
その長手方向に沿って紡錘状の節部が、クッション構造
体1g当り2×104 個以上存在することを特徴とする
ものである。
【0008】また、本発明による上記の新規クッション
構造体の製造方法は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維
と、該非弾性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリ
エステルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有す
る熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからな
り、前者が繊維表面の少なくとも1/2を占める弾性複
合繊維とを混綿して、少なくとも30cm3 /gの嵩性を
有するウェッブを形成することにより弾性複合繊維同士
間、および該非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と弾性複
合繊維との間に立体的繊維交叉点を形成せしめた後、該
ポリエステルポリマーの融点より低く、そして該エラス
トマーの融点より25〜80℃高い温度で熱処理して、
より好ましくは、弾性複合繊維を構成する熱可塑性エラ
ストマーの溶融粘度を4×103 poise以下とし
て、これら繊維交叉点のうちの少なくとも一部の繊維交
叉点を熱融着させることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】本発明を具体的により詳細に説明する。図1
(図6をトレースしたもの)において、1はクッション
構造体のマトリックスとなる非弾性ポリエステル系捲縮
短繊維、2は該短繊維を構成するポリエステルポリマー
の融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラス
トマーと、非弾性ポリエステルとからなり、前者が少な
くとも繊維表面に露出した弾性複合繊維であり、マトリ
ックス中に分散混入されている状態を示している。この
図を通して、特徴的なことは、クッション構造体中に
は、 (A)で示されるような、弾性複合繊維2同士が交叉
した状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により形
成されたアメーバー状全方位的可撓性熱固着点、および (B)で示されるような、弾性複合繊維2と、該非弾
性ポリエステル系短繊維1とが交叉した状態で、エラス
トマー成分の熱融着により形成された準全方位的可撓性
熱固着点とが散在すること(つまり、マトリックスとな
る短繊維同士の固着点は存在しない)、さらには 隣り合う可撓性熱固着点間((A)―(A)間、
(A)―(B)間、および(B)―(B)間)に存在す
る弾性複合繊維群にあって、弾性繊維には長手方向に沿
って非常に多くの紡錘状の節部3が存在することであ
る。
【0010】ここで、“全方位的可撓性熱固着点”と
は、クッション構造体に荷重が加えられたとき、したが
って該固着点にも荷重が加えられたとき、この固着点が
荷重の方向に沿って自由自在に変形可能であり、かつ回
復可能であるような可撓性を有する熱固着点を意味す
る。そして、この熱固着点は2つに分類され、一つは上
記(A)で示されるように、弾性複合繊維同士が交叉し
た状態で熱可塑性エラストマー同士の熱融着により発生
するアメーバー状のもの、他の一つは(B)で示される
ように弾性複合繊維2中の熱可塑性エラストマー成分と
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維1とが、45°〜90
°の交叉角θで交叉した状態で生じる熱固着点である。
【0011】アメーバー状全方位的可撓性熱固着点およ
び準全方位的可撓性熱固着点形成に寄与する紡錘状の節
部の特徴について述べる。
【0012】アメーバー状全方位的可撓性熱固着点や準
全方位的可撓性熱固着点は、複合繊維の表面に露出した
熱可塑性エラストマーが加熱によって溶融し、溶融粘度
とその表面張力、非弾性ポリエステルとの親和性によっ
て繊維軸方向の移動が生じるものである。そしてこの融
着に関与しなかった所が紡錘状の節部として残ることに
なる。従ってこの紡錘状の節部の数が多ければ多いほど
より理想的なアメーバー状全方位的熱固着点や、準全方
位的熱固着点の形成される確率が増加する所となる。従
って検討の結果少なくとも2×104 個/g(構造体1
g当り2×104 個)は紡錘状の節部が残されることが
必要で、更に好ましくは5×104 個/g(構造体1g
当り5×104 個)である。
【0013】もちろんこの紡錘状節部の形状も重要で、
ここでいう紡錘状節部の形状は、紡錘をつらぬく繊維の
紡錘の根元の繊維の直径r1 に対する紡錘の最も直径r
2 の大きい所との比I=r2 /rが1.5以上のものを
いう。更に好ましくはI=2.0以上に成長させること
が好ましい。
【0014】これらの紡錘の形成には、加工時における
熱可塑性エラストマーの溶融粘度が大きく関係し加工時
に4×103 poise以下にするようポリマー組成や
加工温度を選定することが好ましい。この溶融粘度が4
×103 poise以上ではI=1.5以上に成長した
紡錘状の節部の発生頻度が小さくなってしまい、アメー
バー状全方位的可撓性熱固着点や、準全方位的可撓性熱
固着点が形成されにくく、また該可撓性熱固着点の物性
も低く、クッション材としても反撥性や耐久性が低くな
ってしまう。
【0015】ところで、マトリックス中に分散・混入さ
れた弾性複合繊維2は確率的にこのもの同士、又は非弾
性ポリエステル系捲縮短繊維1と交叉した状態をつく
り、この状態で熱融着処理されるとき、該弾性複合繊維
2の長手方向に沿って、3で示される紡錘状の節部が間
歇的に発生することが判明した。この節部3は弾性複合
繊維2の一構成成分である熱可塑性エラストマーが、溶
融粘度、表面張力および複合繊維成分の熱可塑性エラス
トマーのもう一方の成分に対する親和力などの関係で繊
維軸方向に移動して生じるものであって、前記(A)、
(B)の可撓性熱固着点が形成される際に、それらの繊
維交叉点には流動状態の熱可塑性エラストマーが移動・
凝集して、アメーバー状ないし準アメーバー状の固着点
が形成されるのである。つまり、(A)のように、弾性
複合繊維同士の熱融着によって生じる熱固着点は、結局
紡錘状の節部3同士の熱融着となるので、アメーバー状
形状を呈するに至り、他方、(B)の熱固着点の形成に
際しては、前記紡錘状の節部3は単独で非弾性捲縮短繊
維1を固着するので、(A)のアメーバー形状との比較
においては、準アメーバー形状のものということができ
る。従ってこのアメーバー状および準全方位的可撓性熱
固着点の形成には、この紡錘状節部の形成挙動が大きく
影響し、クッション構造体のクッション性能にも重大な
影響を及ぼす。
【0016】紡錘状の節部3が数多く発生することは熱
可塑性エラストマーの局所的移動・凝集によって生じる
という現象によりクッション構造体中における可撓性熱
固着点(A)、(B)の形成確率がそれだけ増加するこ
とを意味する。勿論、融着に関与しなかった紡錘状の節
部3はそのまま残り、結果的には熱固着点(A)―
(A)、(A)―(B)および(B)―(B)の間は、
紡錘状の節部を一部残した弾性複合繊維により連結され
る。つまりこの数が多いほど(A)(B)の熱固着点の
形成は増加し、クッション性能は向上する。
【0017】上記のような可撓性熱固着点を形成するに
際しては、クッション構造体自身の密度も関係してく
る。この密度が0.10g/cm3 よりも高くなると、繊
維密度が過度に高くなり熱可塑性エラストマー同士が過
密に相互融着しやすくなる。もちろん互いに複合繊維同
士が近くなりすぎ融合してしまい紡錘状の節部は出来に
くくなる。したがって、このような構造のものは厚み方
向の弾力性が著しく低下し、通気性も極度に小さくな
り、また蒸れやすくなり、最早クッション構造体として
供し得なくなる。
【0018】一方、この密度が0.005g/cm3 未満
になると、このような構造体では反撥性が乏しくなり、
マトリックスとなる非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の
構成本数が少なくなる。その結果、該構造体に荷重が加
えられると一本一本の繊維に歪や応力がかかり過ぎて、
構造体そのものが変形し易く耐久性もなくなるので、ク
ッション構造体として供し得ない。
【0019】この点、特開昭58―197312号公報
や特開昭52―85575号公報では、大部分の弾性複
合繊維同士を実質的に断面方向から観て平行状態で互い
に相互融着させることが推奨されている。しかし、本発
明においてはこのような事態は絶対に避けるべきであ
る。
【0020】ここで、本発明のクッション構造体を、従
来のクッション構造体と比較すると、両者の間には次の
ような顕著な差異がある。
【0021】従来品においては、例えばマトリックスを
構成する非弾性捲縮短繊維同士の交叉点のみが非繊維で
ある樹脂、あるいは溶液型の架橋性ウレタンで固着さ
れ、しかも紡錘状の節部が存在することは少ない。これ
に対して、本発明のクッション構造体においては複合繊
維にのみ多数の紡錘状節部を発生させるために、マトリ
ックスを構成する捲縮短繊維同士の交叉点には固着点が
形成されることはなく、該固着点は弾性複合繊維同士の
交叉点および弾性複合繊維とマトリックスを構成する捲
縮短繊維との交叉点においてのみ弾性複合繊維中の熱可
塑性エラストマーの熱融着により形成される。さらに、
低融点非弾性ポリマーを融着成分とする複合繊維をバイ
ンダーとして用いたクッション構造体においては、弾性
複合繊維に紡錘状の節部の発生が少なく熱固着点は点接
着的形状に近く、本発明のようなアメーバー状の形をと
ることはない。しかもこの固着点は非可撓性であり、こ
れら固着点間に存在するバインダー繊維自身にも紡錘状
の節部を有することなく、また変形からの回復性に乏し
いものである。本発明のそれは、全方位的な可撓性を呈
するものであり、かつこれらの可撓性固着点間は変形回
復性に富んだ弾性複合繊維によって連結されている。
【0022】以上のことから、本発明のクッション構造
体中には、複合繊維の紡錘状の節部により形成された全
方位的可撓性を呈する熱固着点(A)および(B)、さ
らにはこれらの熱固着点を連絡する弾性複合繊維が存在
し三次元的弾性構造をなしているので、圧縮反撥性並び
に圧縮回復性に優れたクッション構造体が実現されるこ
とになる。
【0023】ここで、本発明の全方位的可撓性熱固着点
(A)の特徴について触れておく。
【0024】該点は複合繊維中の熱可塑性エラストマー
の移動・凝集によって生じるものであるので、繊維の交
叉点を広範囲に覆い、かつその表面は平滑である。ま
た、繊維の交叉点外周では双曲線のような曲面を呈す
る。したがって、 (i)応力集中がない。 (ii)強度、伸度は著しく向上するので繰り返し圧縮に
対しても破壊されることがない。 (iii )圧縮に対して変形し難い(変形に対する反撥が
強い)。 (iv)一旦変形されたときは、どの方向にも(全方位的
に)変形し易い。 (v)また、如何なる方向からの変形に対しても、円滑
に回復し易い。 (iv)隣り合う熱固着点は互いに弾性複合繊維で連絡さ
れているので、熱固着点が変位しても元の位置に戻り易
い。
【0025】一方、準全方位的可撓性熱固着点(B)
も、その程度は、(A)の熱固着点に比べて劣るものの
同様の傾向を示すことは容易に理解されるところであ
る。
【0026】次に、本発明のクッション構造体に付随す
る要件について述べる。
【0027】先ず、アメーバー状全方位的可撓性熱固着
点は、W/Dが2.0〜4.0の範囲にあることが好ま
しい。ここにWは熱固着点の巾であって、図2に示され
るように、W1 とW2 の平均値である。Dは熱固着に関
与する弾性複合繊維の平均直径であり、各直径は図2に
示すように固着点の根元に隣接する部分の直径(d1
2 、d3 およびd4 )である。また、これら熱固着点
の間に位置する弾性複合繊維には、多くの紡錘状の節部
3が存在する。さらにこれら熱固着点の間に位置する弾
性複合繊維は図1に見られるように、ループ状に弯曲し
た形で、あるいは時としてコイル状弾性捲縮を発現し
た形で存在することがある。
【0028】本発明における全方位的ないし準全方位的
可撓性熱固着点(以下、両者を総称して単に“熱固着
点”と呼ぶことがある)は、クッション構造体に荷重
(圧縮力)が加わった際の応力、歪に呼応して自在に変
形して、これら応力、歪を分散させることによって、マ
トリックスを構成する捲縮短繊維に加わる応力・歪を軽
減する機能を有するものであるから、該熱固着点の物性
も見落とすわけにはいかない。これらの物性としては、
後で定義する破断強度、破断伸度および10%伸長弾性
回復率が挙げられる。破断強度としては、0.3g/de
〜5.0g/deの範囲にあることが好ましい。この破断
強度が0.3g/de未満ではクッション構造体に圧縮の
大変形(例えば初期の厚みの75%等)が加わった場
合、熱固着点が破壊され易くなって、耐久性、形態安定
性が低下する懸念がある。
【0029】一方、熱固着点の強度が5g/deを越える
場合は、かなりの高温での融着加工となり、その結果マ
トリックスを構成する捲縮短繊維自体の物性が劣化す
る。
【0030】破断伸度については、15〜200%の範
囲にあることが好ましい。破断伸度が15%未満では、
クッション構造体に圧縮による大変形が加わった場合、
これら熱固着点にはさらに大きな変位やズレが生じるば
かりか、交叉角θも変形限界を越えて変化して、結局固
着点は破壊され易くなってしまう。
【0031】一方、この伸度が100%を越えると同様
の変位が加わった際に熱固着点のズレが起こり易く、こ
のため耐久性も低下するおそれがある。
【0032】さらに、10%伸長弾性回復率について
は、80%以上、特に80〜95%の範囲にあることが
好ましい。この10%伸長弾性率が80%未満では熱固
着点に応力や変位が生じた際に、変形に対する回復性が
低下して、繰返し圧縮に対する耐久性や寸法安定性が悪
くなるおそれがある。
【0033】本発明において、マトリックスを構成する
非弾性ポリエステル系捲縮短繊維は、通常のポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
ヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテ
レフタレート、ポリ―1,4―ジメチルシクロヘキサン
テレフタレート、ポリピバロラクトンまたはこれらの共
重合エステルからなる短繊維ないしそれら繊維の混綿
体、または上記のポリマー成分のうちの2種以上からな
る複合繊維等である。単繊維の断面形状は、円形、偏
平、異型または中空のいずれであってもよい。また、そ
の単繊維の太さは2〜500デニール、特に6〜300
デニールの範囲にあることが好ましい。この単繊維の太
さが小さいと、クッション構造体の密度が高くなって構
造体自身の弾力性が低下する場合が多い。また、単繊維
の太さが大きすぎると、取扱い性、特にウェッブの形成
性が悪化する。また構成本数も少なくなりすぎて、弾性
複合繊維との間に形成される交叉点の数が少なくなり、
クッション構造体の弾力性が発現しにくくなると同時に
耐久性も低下するおそれがある。更には風合も粗硬にな
りすぎる。
【0034】一方、本発明で重要な役割を果す熱固着点
を形成するために用いられる弾性複合繊維は、熱可塑性
エラストマーと非弾性ポリエステルとで形成される。そ
の際、前者が繊維表面の少なくとも1/2を占めるもの
が好ましい。重量割合でいえば、前者と後者が複合比率
で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当であ
る。弾性複合繊維の形態としては、サイド・バイ・サイ
ド、シース・コア型のいずれであってもよいが、好まし
いのは後者である。このシース・コア型においては、勿
論非弾性ポリエステルがコアとなるが、このコアは同心
円状あるいは偏心状にあってもよい。特に偏心型のもの
にあっては、コイル状弾性捲縮が発現するので、より好
ましい。
【0035】熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレ
タン系エラストマーやポリエステル系エラストマーが好
ましい。
【0036】一方、ポリウレタン系エラストマーとして
は、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオー
ル、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポ
リエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロ
キシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機
ジイソシアネート、例えばp,p′―ジフェニルメタン
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、2,6―ジ
イソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例
えばグリコール、アミノアルコールあるいはトリオール
との反応により得られるポリマーである。これらのポリ
マーのうち、特に好ましいものはポリオールとしてポリ
テトラメチレングリコール、またはポリ―ε―カプロラ
クトンあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウ
レタンである。この場合、有機ジイソシアネートとして
はp,p′―ジフェニルメタンジイソシアネートが好適
である。また、鎖伸長剤としては、p,p′―ビスヒド
ロキシエトキシベンゼンおよび1,4―ブタンジオール
が好適である。もちろんポリマー中には各種安定剤、紫
外線吸収剤、微粒子状の金属や酸化物による増粘や増粘
分岐剤、有機可塑剤による減粘剤、艶消剤、着色剤、そ
の他の各種改良剤等の添加剤は必要な場合が多く、溶融
粘度は4×103 poise以下になるよう設計する必
要がある。
【0037】ポリエステル系エラストマーとしては、熱
可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(ア
ルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとし
て共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合
体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタ
ル酸、ナフタレン―2,6―ジカルボン酸、ナフタレン
―2,7―ジカルボン酸、ジフェニル―4,4′―ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3―スル
ホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、
1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカル
ボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン
酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸
またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた
ジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4―ブタンジオ
ール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオール、ある
いは1,1―シクロヘキサンジメタノール、1,4―シ
クロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノ
ール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成
性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1
種、および平均分子量が約400〜5000程度の、ポ
リエチレングリコール、ポリ(1,2―および1,3―
プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレ
ンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒ
ドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三
元共重合体である。
【0038】しかしながら、非弾性ポリエステル系捲縮
短繊維との接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポ
リブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、
ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとす
るブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好まし
い。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステ
ル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオー
ル成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテ
レフタレートである。勿論、この酸成分の一部(通常3
0モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボ
ン酸成分で置換されていてもよく、同様にグリコール成
分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール
成分以外のジオキシ成分で置換されていてもよい。
【0039】また、ソフトセグメントを構成するポリエ
ーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分
で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリ
マー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、微粒子状の金
属や酸化物による増粘や増粘分岐剤、有機可塑剤による
減粘剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要
に応じて配合されていてもよい。通常熱可塑性エラスト
マーは他の一般的低融点ポリマーに比べ、融点以上では
粘度が低く、分解しやすいため繊維化の紡調安定のため
増粘剤や分解を防ぐため安定剤等を入れることが多い。
そしてこれらの熱可塑性エラストマーは加工時4×10
3 poise以下となるよう設定する必要がある。
【0040】前記ポリエステル系エラストマーの重合度
は、固有粘度で0.8〜1.7、特に0.9〜1.5の
範囲にあることが好ましい。この固有粘度が低すぎる
と、マトリックスを構成する非弾性ポリエステル系捲縮
短繊維とで形成される熱固着点が破壊され易くなる。一
方、この粘度が高すぎると、熱融着時に溶融粘度が下が
りにくく紡錘状の節部が形成されにくくなる。
【0041】熱可塑性エラストマーの基本的特性として
は、後で定義する破断伸度が500%以上が好ましく、
更に好ましくは800%以上である。この伸度が低すぎ
ると、クッション構造体が圧縮されその変形が熱固着点
におよんだとき、この部分の結合が破壊され易くなる。
【0042】一方、熱可塑性エラストマーの300%の
伸長応力は0.8kg/mm2 以下が好ましく、更に好まし
くは0.6kg/mm2 以下である。この応力が大きすぎる
と、熱固着点が、クッション構造体に加わる力を分散し
にくくなり、クッション構造体が圧縮されたとき、その
力で該熱固着点が破壊されるおそれがあるか、あるいは
破壊されない場合でもマトリックスを構成する非弾性ポ
リエステル系捲縮短繊維までを歪ませたり、捲縮をへた
らしてしまうことがある。
【0043】また、熱可塑性エラストマーの300%伸
長回復率は60%以上が好ましく、さらに好ましくは7
0%以上である。この伸長回復率が低いと、クッション
構造体が圧縮されて熱固着点は変形しても、もとの状態
に戻りにくくなるおそれがある。
【0044】これらの熱可塑性エラストマーは、該非弾
性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリマーよりも
低融点であり、成長した紡錘状節部を多く生成させ、か
つ熱固着点の形成のための融着処理時に該捲縮短繊維の
捲縮を熱的にへたらせないものであることが必要であ
る。この意味から、その融点は該短繊維を構成するポリ
マーの融点より40℃以上、特に60℃以上低いことが
好ましい。かかる熱可塑性エラストマーの融点は例えば
130〜190℃の範囲の温度であることができる。
【0045】この融点差が40℃より少ないと、以下に
述べる融着加工時の熱処理温度が高くなり過ぎて、非弾
性ポリエステル系捲縮短繊維の捲縮のへたりを惹起し、
また該捲縮短繊維の力学的特性を低下させてしまう。な
お、熱可塑性エラストマーについて、その融点が明確に
観察されないときは、融点を軟化点をもって代替する。
【0046】一方、上記の熱可塑性エラストマーの相手
方成分として用いられる非弾性ポリエステルとしては、
既に述べたような、マトリックスを形成する捲縮短繊維
を構成するポリエステルポリマーが採用されるが、その
なかでも、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく
採用される。
【0047】上述の複合繊維は、クッション構造体の重
量を基準として、10〜70%、好ましくは20〜60
%の範囲で分散・混入される。この分散・混入率が低す
ぎると、熱固着点の数が少なくなり、クッション構造体
が変形し易くなったり、弾力性、反撥性および耐久性が
低いものになりかねない。
【0048】一方、この分散・混入率が高すぎると、反
撥性を与える非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の構成本
数があまりにも少なくなり、構造体としての反撥性が不
足してくる。
【0049】また、クッション構造体は、厚み方向に圧
縮されて反撥する材料であるから、その性能を発揮する
には、少なくとも5mm以上、好ましくは10mm以上、更
に好ましくは20mm以上の厚みを有していることが好ま
しい。このように、厚みは通常5〜30cm程度である
が、ある場合には約1〜2mに達する場合もある。
【0050】本発明のクッション構造体の製造に際して
は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、該非弾性ポリ
エステル系捲縮短繊維を構成するポリエステルポリマー
の融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラス
トマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が繊維表
面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊維とを混綿し
て、少なくとも30cm3 /gの嵩性を有するウェッブを
形成することにより、複合繊維同士間、および該非弾性
ポリエステル系捲縮短繊維と複合繊維間に立体的な繊維
交叉点を形成せしめた後、該エラストマーの融点より2
5〜80℃高い温度で熱処理して、繊維交絡点の少なく
とも一部を熱融着させる。
【0051】更に詳しくは、捲縮が付与され、50cm3
/g、好ましくは80cm3 /gの嵩高性を有する非弾性
ポリエステル系短繊維塊(ないしウェッブ)と、好まし
くは捲縮を発現した弾性複合繊維塊とをカードを通して
両者が均一に混綿されたウェッブを得る。このような混
綿により、ウェッブには弾性複合繊維同士、および該複
合繊維と非弾性ポリエステル系捲縮短繊維間には無数の
繊維交叉点が形成される。次に、このようなウェッブを
所定の密度になるように金型に入れ、ポリエステルポリ
マーの融点よりも低くそして弾性複合繊維中の熱可塑性
エラストマーの融点(または流動開始点)より10〜8
0℃高い温度で溶融粘度が4×103 poise以下に
なるような条件で融着処理することにより、上記弾性複
合繊維により多くの紡錘状の節部を形成させ繊維交叉点
でエラストマー成分が融着され、既に述べた(A)のア
メーバー状全方位的可撓性熱固着点および(B)の準全
方位的可撓性熱固着点を形成するものである。特に熱可
塑性エラストマーは融点より高い温度で、他の低融点ポ
リマーに比べ溶融粘度が落ちやすく、特に上記熱固着点
や紡錘状の節部を形成しやすい。
【0052】ここで、立体的な繊維交叉点とは、文字通
り、ウェッブの厚み方向と平行な面に対して90°未満
の角度で存在する交叉点のことである。勿論、このウェ
ッブにおいては、ウェッブの水平面と平行な面にも多数
の繊維交叉点が同時に生じる。しかし、これらはクッシ
ョン構造体に比べて密度がはるかに高い人工皮革のよう
な集合体(例えば不織布)にむしろ特徴的に見られる。
この点、本発明の方法にあっては、上記の平面的繊維交
叉点に加えて、ウェッブ密度を30cm3 /g以上とする
ことにより、立体的繊維交叉点を形成させる点に特徴が
ある。そして、熱融着処理後に0.1g/cm3 以下のク
ッション構造体が形成されたときにも、この立体的繊維
交叉点の大半は維持されている。
【0053】非弾性ポリエステル系捲縮短繊維、弾性複
合繊維は公知の紡糸法によって得ることができる。その
際、用いるポリマー、単繊維太さ、両者の混合比率等に
ついては、既に説明したとおりである。唯、双方の繊維
共、紡出後1.5倍以上延伸されていることが好まし
い。延伸された繊維により構成したクッション構造体
は、延伸されていない繊維を用いたクッション構造体に
比べて反撥性に優れ、へたりもすくない。この理由とし
ては、延伸をうけ短繊維化され弛緩状態になる過程で非
晶部の緩和が起り非晶部がランダム化し、より弾性の優
れた繊維構造になり、それが溶融固化後も維持されやす
いためと推察される。また、弾性複合繊維は熱収縮が低
い方がよい。熱収縮が高いと、熱融着時に熱可塑性エラ
ストマーが溶融するまでに著しく収縮してしまい、繊維
交叉点のうち熱固着点に転化される数が減少する。弾性
複合繊維の熱収縮を低下させるには、延伸後に40〜1
20℃の温度で20秒以上熱処理すればよい。
【0054】短繊維に付与する捲縮は、押込捲縮で十分
である。その場合の捲縮数としては5〜15ケ/inch
(JIS L1045により測定)が好ましく、8〜1
2ケ/inch(同)がより好ましい。しかしながら、夫々
の繊維の紡出時に異方冷却等の手段により繊維構造に異
方性を与えて潜在捲縮能を付与してから、更に押込捲縮
を施すことも有用である。
【0055】
【効果】本発明のクッション構造体は、発泡ウレタンフ
ォームに比べて圧縮における初期の硬さがなく、反撥性
が非常に大きく、かつ圧縮量にほぼ比例して大きくなる
ため底突き感が極めて少ない。しかも、構造体自体が低
密度であるため、通気性が高く蒸れる心配もない。
【0056】また、繰り返し圧縮に対する耐久性に関し
ても、熱固着点が破壊されにくく、変形した場合でも除
重後原形に戻り易く、その圧縮耐久性も大変優れてい
る。
【0057】一方、この構造体の製造に際しては、短繊
維のウェッブを乾熱処理するだけの簡単で短い工程で均
一なクッション構造体が得られ、しかも構造体におい
て、部分的に硬さを変えたり、厚み方向の硬さを変える
ことも繊維の混率や繊維の構成あるいは、密度を変える
ことによって簡単にできる。
【0058】従って、本発明のクッション構造体は、ク
ッション性、反撥性、耐久性および回復性に優れ、しか
も通気性が高いので蒸れにくいという特徴がある。ま
た、製造に際しても、加工のムラが出来にくく、加工で
の多様化も図りやすく、しかも短い工程で製造できる。
したがって、この構造体の利用範囲は、各種のクッショ
ン材、例えば家具、ベッド、寝具、各種座席のクッショ
ン材用として好適である。
【0059】本発明において、各種パラメーターは、以
下の測定法に従う。
【0060】
【実施例】本発明を、更に実施例により説明する。
【0061】実施例中下記の測定が行なわれた。
【0062】熱固着点の破断強度および破断伸度の測定 クッション構造体において、2本の繊維が45°〜90
°の交叉角で交叉し、かつ交叉点が固着された部分を異
なる2本の繊維を含むようにしてサンプリングを行う。
次に、熱固着点をほぼ中央にし互いに固着してつながっ
た該2本の異なる繊維を試料長2mmの間隔で引張り試験
機のつかみ部に取り付け2mm/分のスピードで引張り、
初荷重0.3gをかけた時の伸びを緩みとして読み、さ
らに試料を引張り、試料の固着点が破壊するまでの最大
荷重(g)およびそのときの伸びを測定し、次式により
熱固着点の破断強度および破断伸度を算出した。破断強
度を算出する試験回数は、ランダムにサンプリングされ
た固着点(A)を10個、および固着点(B)を10個
とで試料数n=20とし、その平均値で表わす。
((A):(B)の個数1:1)
【0063】破断強度(g/de)=[切断時の荷重
(g)]/[試料中の2本の短繊維の平均デニール] 破断伸度(%)=[(E2 −E1 )/(L+E1 )]×
100 E1 ;緩み(mm) E2 ;最大応力時の伸び(mm) L ;つかみ間隔(mm)
【0064】熱固着点の10%伸長弾性回復率の測定 熱固着点の破断強力、破断伸度の測定の場合と同じよう
にサンプリング、サンプル取付けを行い、初荷重0.3
gをかけた所をL0 の試長とし引張りを2mm/分でスタ
ートする。試長に対し10%伸度になるまで引張り後、
直ちに同じスピードで除重し、除重した状態で2分間放
置後再び同じスピードで引張る。最初の0.3gの初荷
重のかかった試長と、再度引張り0.3gの荷重のかか
った時の試長の差l(mm)から次式により10%伸長弾
性回復率を求めた。試験回数およびサンプリングは前記
の破断強度の測定の場合と同様とする。
【0065】10%伸長弾性回復率=(1−l/l0
×100(%) l0 ;10%伸長長さ(mm)=L0 ×0.1 l ;残留伸び(mm) (最初の0.3g初荷重をかけた時の試長−2回目の
0.3g荷重のかかった時の試長)
【0066】クッション材の厚みと密度の測定 平板状に調整されたクッション構造体の目付(g/
2 )を測定し、0.5g/cm2 の荷重下での厚み(c
m)を測定し密度(g/cm3 )を算出した。
【0067】ポリエステル弾性体の固有粘度の測定 ポリエステル弾性体をフェノールとテトラクロルエタン
との等重量混合溶剤を用いて、35℃で極限粘度を測定
した。
【0068】ウェッブの嵩性の測定 短繊維をウェッブ化し重ね合わせて目付を1000g/
2 として切り出したサンプルに10g/cm2 の荷重を
1分間かけ、解放1分後に0.5g/cm2 の荷重下で厚
みを測定し嵩性(cm3 /g)を算出した。
【0069】熱可塑性ポリマーの物性の測定 (1)測定用フィルムの作成 ポリマーを300℃の窒素雰囲気中で溶融し、脱泡後1
00℃でクリアランスが0.5mmに設定された1組の金
属ローラ間を20m/min で通して圧延し、厚み約0.
5mmのフィルムを得た。そのフィルムから縦方向に5mm
の幅で長さが50mmのサンプルを打抜いて熱可塑性ポリ
マーの物性測定用フィルムとした。
【0070】(2)破断伸度の測定 物性測定用フィルムを試長50mmとし、引張スピードを
50mm/min として破断伸度を測定した。
【0071】(3)300%伸長応力の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その時の応力を
サンプルの初期の断面積(厚み×幅)で割り、算出した
値を300%、伸長応力(kg/mm2 )とした。
【0072】(4)300%伸長回復率の測定 物性測定用フィルムの試長を50mmとし、引張スピード
を50mm/min として300%引張り、その後、スピー
ド50mm/min で元の零点に戻し2分間放置後に再び引
張スピード50mm/min で引張った。初期の応力の立上
りと放置後の立上り(2g応力)から試料の緩み長さ
(mm)を求め、伸長量150mmに対する比率(%)を
(1―緩み長さ/150)×100(%)により算出
し、300%伸長回復率とした。
【0073】(5)融点 Du Pont 社製、熱示差分析計990型を使用し、昇温速
度20℃/分で測定し、融解ピーク温度を求めた。
【0074】(6)軟化点 微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポ
リマーを2枚のカバーガラスの間に挟み、ピンセットで
軽く抑えながら、昇温速度約10℃/分で昇温し、ポリ
マーの熱変化を観察する。その際ポリマーが軟化して流
動し始めた温度を、軟化点とする。
【0075】(7)溶融粘度(MV) 加工温度の温度で熱可塑性エラストマーに、剪断速度1
0〜10000 sec-1の範囲でみかけの溶融粘度(M
V)を測定し、剪断速度1000 sec-1の溶融粘度(M
V)を算出した。
【0076】クッション構造体中の紡錘状節部の個数
(個/g) クッション構造体を鋭利な刃物で薄くスライスカット
し、重量mgを計り(約0.01g)顕微鏡下で紡錘状節
部の数Nを数える(n=5)。
【0077】一方クッション構造体を電子顕微鏡でラン
ダムに紡錘状節部を撮影(×350倍)し(n=10
0)、紡錘状節部をつらぬく繊維の紡錘の根元の直径r
1 と紡錘の最も太い所の直径r2 との比率I=r2 /r
1 =1.5以上のものと、I=r2 /r1 =1.5以下
のものの比率Rを出し、N×R/m(個/g)を算出し
た。
【0078】クッション材の圧縮反撥性と圧縮耐久性の
測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで1cm圧縮しその応力(初期応力)を測
定し、これを圧縮反撥性とした。測定後に800g/cm
2 の荷重で10秒間圧縮したのち除重して5秒間放置の
操作を360回繰り返し、24時間後再び圧縮応力を測
定した。この初期応力に対する繰り返し圧縮後の応力の
比率%をクッション材の圧縮耐久性とした。
【0079】クッション構造体の圧縮回復性の測定 平板状に調整された密度0.035g/cm3 、厚み5cm
のクッション構造体を断面積20cm2 の平坦な下面を有
する円柱ロッドで500g/cm2 の荷重になるまで10
0mm/分スピードで圧縮した後、直ちに100mm/分の
スピードで除重し、この測定によって描き出された圧縮
長―応力の曲線(図3)から得られる面積より圧縮回復
性(Rc)を算出した。 圧縮回復性(RC)%=[(ODABによって囲まれる面積)
/(OCABによって囲まれる面積)]×100
【0080】
【実施例1】ジメチルテレフタレートとイソジメチルテ
レフタレートを80/20(モル%)で混合しブチレン
グリコールとを反応させ、得られたポリブチレン系テレ
フタレート38%(重量%)低重合物に更にポリブチレ
ングリコール(分子量2000)62%(重量%)と加
熱ブロック共重合反応させ、ポリエーテルポリエステル
ブロック共重合エラストマーを得、次に所定の添加剤の
他に更に有機可塑系の減粘剤を適量混合した。この熱可
塑性エラストマーの固有粘度は1.0、融点155℃、
フィルムでの破断伸度は1420%、300%伸長応力
は0.3kg/mm 2 、300%伸長回復率は73%であっ
た。
【0081】この熱可塑性エラストマーをシースに、ポ
リブチレンテレフタレートをコアに、コア/シースの重
量比で50/50になるように常法により紡糸した。な
お、この複合繊維は、偏心シース・コア型複合繊維であ
る。この繊維を2.0倍に延伸し押込み捲縮を付与した
のち64mmに切断した。乾燥後、油剤を付与した。な
お、ここで得られた弾性複合繊維の単繊維の太さは6デ
ニールであった。
【0082】この弾性複合繊維40%(重量)と、常法
により得られた単繊維の太さが14デニール、繊維長が
64mm、捲縮数が9ケ/inchの中空断面ポリエチレンテ
レフタレート短繊維(ウェッブ嵩112cm3 /g、ポリ
エチレンテレフタレートの融点259℃)60%(重
量)とをカードにより混綿し、嵩性が69cm3 /gのウ
ェッブを得た。このウェッブを重ね、厚み5cm、密度
0.035g/cm3 になるように平板型の金型に入れ、
200℃で5分間熱処理して、平板型のクッション材を
得た(熱可塑性エラストマーは、クッション構造体中で
(20重量%)を占める。
【0083】このクッション構造体を電子顕微鏡で詳し
く観察したところ、図6〜7に示される構造を呈してお
り、弾性複合繊維には非常に多くの紡錘状の節部が発生
し弾性複合繊維同士の交叉点が熱可塑性エラストマーに
より融着一体化されてアメーバー状の熱固着点が散在状
態で形成されていること(図1および図2)、さらに非
弾性ポリエステル系捲縮短繊維と弾性複合繊維との交叉
点が同様に熱可塑性エラストマーにより融着一体化され
て熱固着部(図1および図2)が散在状態で形成されて
いることが観察された。さらにクッション構造体中の紡
錘状の節部は1.6×106 個/gであった。ちなみに
I=2.2であった。(A)の熱固着点のW/D(n=
20)は3.40であった。また、(A)および(B)
を含めた熱固着点の破断強度は0.8g/deで破断伸度
は73%、10%伸張弾性率は97%であった。そし
て、クッション構造体の密度は0.035g/cm3 と低
く、弾性複合繊維同士が立体的に緊密に相互融着してい
る部分が相当数見受けられた。なお、この熱可塑性エラ
ストマーの200℃における溶融粘度は680pois
eであった。
【0084】従って、クッション構造体の通気性は非常
に優れていた。また、このクッション構造体は、ウレタ
ンフォームに見られるような圧縮に対する初期の硬さも
なく、クッション性に優れていた。さらに圧縮反撥性お
よび圧縮耐久性は夫々8.5kgおよび89%といずれも
高く、また圧縮回復性は82%までに改善されており、
極めて理想的なクッション構造体であった。
【0085】
【比較例1】実施例1と同様にして所定の添加剤を加え
たブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマ
ーを得た。
【0086】この熱可塑性エラストマーの固有粘度は
1.0、融点155℃、フィルムでの破断伸度は150
0%、300%伸長応力は0.25kg/mm2 、300%
伸張回復率は76%であった。
【0087】このポリマーを用いて実施例1と同様に複
合繊維を得た。ここで単繊維の太さは6デニールでカッ
ト長は64mmであった。次いで実施例1と同様にしてク
ッション構造体を得た。
【0088】このクッション構造体を電子顕微鏡で観察
した所、紡錘状の節部の発生が少なく、ちなみにI=
1.40でR=30%であり、紡錘状節部は1.0×1
3 個/gでありやや少なかった。
【0089】しかし、弾性複合繊維同士の交叉点が熱可
塑性エラストマーにより融着一体化されてアメーバー状
の熱固着点が散在状態で形成され、さらに非弾性ポリエ
ステル系捲縮短繊維と弾性複合繊維との交叉点が同様に
熱可塑性エラストマーにより融着一体化されて熱固着部
が散在され観察された。しかし(A)の熱固着部はW/
D=3.2、また(A)および(B)を含めた熱固着点
の破断伸度は62%、10%伸張弾性率は92%とやや
低目であった。
【0090】一方、この熱可塑性エラストマーの200
℃での溶融粘度は4.5×103 poiseとやや高
く、圧縮反撥性は4kg、圧縮耐久性は60%とやや低目
であった。また圧縮回復性も72%とやや低かった。
【0091】
【比較例2,3】実施例1と同様にして所定の添加剤を
加えたブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラス
トマーを得た。このポリマーに更に増粘剤として0.1
mmの金属酸化物を小量加えて増粘した。
【0092】このポリマーを用いて実施例1と同様にク
ッション構造体を得た。このクッション構造体を電子顕
微鏡で観察した所、紡錘状の節部の発生は少なく(I=
1.3)、Rも極めて小さく紡錘状節部は7.1×10
個/gであり、このポリマーの溶融粘度は8.1×10
3 poiseであった。
【0093】一方、弾性繊維同士の交叉部が熱可塑性エ
ラストマーにより融着一体化され、アメーバー状の熱固
着部が散在していたがW/D=2.5であった。もちろ
ん弾性繊維と非弾性ポリエステル系捲縮短繊維との交叉
点も同様に熱固着一体化されていた。しかし(A)
(B)の熱固着部の破断伸度は48%、10%、伸張弾
性率は70%であった。
【0094】また得られたクッション構造体の圧縮反発
力は3.1kg、圧縮耐久性は62%であった。いずれも
クッション性能としては低かった。比較例3として熱処
理温度を222℃とした以外は同様にしてクッション構
造体を得た。しかしこのクッション構造体は黄変して弾
性がなく圧縮耐久性は30%と低かった。
【0095】
【実施例2】実施例1と同様にしてブロック共重合ポリ
エーテルポリエステルエラストマーを得、このポリマー
を用いて実施例1と同様にして複合繊維6デニール、カ
ット長64mmを得た。次いで実施例1と加工温度を22
0℃チッソ置換中で成型加工した以外は実施例1と同様
にしてクッション構造体を得た。
【0096】このクッション構造体を電子顕微鏡で観察
したところ複合繊維には多くの紡錘状節部が発生し、弾
性複合繊維同士の交叉点が熱可塑性エラストマーにより
融着一体化されアメーバー状の熱固着点が散在状態で存
在し、さらに非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と弾性複
合繊維との交叉点が同様に熱可塑性エラストマーにより
融着一体化されて熱固着部が散在していた。(A)の熱
固着部のW/Dは3.30であり、(A)(B)を含め
た熱固着点の破断強度は1.2g/de、破断伸度は65
%であった。そして70%伸張弾性率は96%であっ
た。
【0097】一方この構造体中の紡錘状節部は1.2×
105 個/gであった。またこの熱可塑性エラストマー
の220℃での溶融粘度は2×103 poiseであっ
た。
【0098】このクッション構造体は通気性が優れ弾力
性もよく圧縮反撥性は6.5kg、圧縮耐久性は78%と
高く、圧縮回復性は77%であり優れたクッション材で
あった。
【0099】
【比較例4】比較例4として加工温度を170℃とした
以外は実施例2と同様に加工した。このクッション構造
体を電子顕微鏡で観察したところ紡錘状の節部はみられ
なかった。但し紡錘になりそうなものはI=1.2でや
やみられた。しかし、ムラが大きかった。この加工温度
での溶融粘度は1.4×104 poiseであった。ア
メーバー状の熱固着点が散在していたがW/D=2.2
と低目であった。(A),(B)の熱固着点の破断伸度
は20%であり10%伸張弾性率は65%であった。
【0100】また得られたクッション構造体の圧縮反撥
弾性は、2.5kg、圧縮耐久性は52%であり、圧縮回
復性は55%であり、クッション性能はやや劣るもので
あった。
【0101】
【実施例3】テレフタル酸とイソフタル酸とを70/3
0(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールと
を重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート50
%(重量%)を更にポリブチレングリコール(分子量2
000)50(重量%)と加熱反応させ、ブロック共重
合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この
時所定の添加剤は用いなかった。この熱可塑性エラスト
マーの固有粘度は1.5、融点150℃、フィルムでの
破断伸度は1850%、300%伸長応力は0.2kg/
mm2 、300%伸張回復率は78%であった。
【0102】その他は熱処理温度を200℃とした以外
は実施例1と同様にしてクッション構造体を得た。
【0103】このクッション構造体を観察すると弾性複
合繊維同士のアメーバー状の熱固着点や弾性複合繊維と
非弾性ポリエステルの交叉部も融着一体化されていた。
(A)の熱固着点のW/D=3.2であった。また紡錘
状節部も多く観察された。
【0104】この紡錘状節部は1.9×104 個/gで
あった。この時の190℃における溶融粘度は2.8×
103 であった。また(A)および(B)を含めた熱固
着点の強度と伸度はそれぞれ0.9g/deおよび64
%、10%伸張弾性率は96%であった。
【0105】このクッション構造体の圧縮反撥性は5.
5kg、圧縮耐久性は70%といずれも高く、圧縮回復性
は75%で良好であった。
【0106】以上の実施例、比較例について、熱可塑性
エラストマーの溶融粘度と紡錘状節部との関係並びに紡
錘状節部とクッション構造体の圧縮反発力との関係を整
理して示したのが、それぞれ図4および図5である。
【0107】
【参考例】テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40
(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールと
ジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合
したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。こ
のポリマーの固有粘度は0.5であった。融点は明確で
ないが、100℃付近から軟化して流動し始めたので、
この110℃をもって軟化点とした。このフィルムの強
度は実施例1と同程度であったが破断伸度は5%と低く
硬いポリマーであった。
【0108】このポリマーを複合繊維のシース成分とし
て用いることと熱処理温度を通常用いられる温度以上の
180℃とすること以外は、実施例1と同じ方法でクッ
ション構造体を得た。得られたクッション構造体の結合
形態を電子顕微鏡で観察したところ、本発明でいうアメ
ーバー状の熱固着点程のものは見受けられず、また紡錘
状の節部も認めることはできなかった。因みに、(A)
の熱固着点のW/Dは1.7であった。また(A)およ
び(B)を含めた熱固着点の破断強度は0.3g/de、
破断伸度は4%であった。従って熱固着点の10%伸張
弾性率は測定不可能であった。この温度における溶融粘
度は1.7×104 poiseであった。
【0109】このクッション構造体のクッション性は悪
く、初回の圧縮反撥性は6kgと高かったが、2回目以降
の圧縮では、圧縮反撥性が大巾に低下した。実際に、圧
縮耐久性および圧縮回復性を調べてみると、夫々25%
および50%であり、耐久性に極めて問題のあるクッシ
ョン構造体であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクッション構造体の断面図で、図6の
電子顕微鏡写真(50倍)から写したもの。
【図2】本発明のクッション構造体中に、特異な固着点
として散在するアメーバー状可撓性熱固着点の正面図で
あって、図7の電子顕微鏡写真(350倍)から写した
もの。
【図3】クッション構造体の圧縮回復性を算出するため
に用いるグラフ。
【図4】弾性複合繊維の一構成成分である熱可塑性エラ
ストマーの溶融粘度と、生成する紡錘状節部の数との関
係を示すグラフ。
【図5】紡錘状節部と、クッション構造体の圧縮反発力
との関係を示すグラフ。
【図6】本発明のクッション構造体の構造を示す電子顕
微鏡写真(50倍)。
【図7】本発明のクッション構造体中に散在するアメー
バー状可撓性熱固着点および準可撓性熱固着点の電子顕
微鏡写真(350倍)。
【符号の説明】
1 非弾性ポリエステル系捲縮短繊維 2 弾性複合繊維 3 紡錘状の節部 ループ A アメーバー状可撓性熱固着点 B 準可撓性熱固着点 θ 弾性複合繊維同士の交叉角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B68G 5/00 6908−3K D01G 25/00 A 7152−3B D04H 1/42 T 7199−3B 1/50 7199−3B D05B 13/02 7152−3B // B29L 31:44 4F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体
    をマトリックスとし、密度が0.005〜0.10g/
    cm3 、厚さが5mm以上であるクッション構造体におい
    て、該短繊維集合体中には、短繊維を構成するポリエス
    テルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱
    可塑性エラストマーと、非弾性ポリエステルとからな
    り、前者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合繊維
    が分散・混入され、その際、該クッション構造体中に
    は、(A)該弾性複合繊維同士が交叉した状態で互いに
    熱融着により形成されたアメーバー状全方位的可撓性熱
    固着点、および(B)該弾性複合繊維と該非弾性ポリエ
    ステル系短繊維とが交叉した状態で熱融着により形成さ
    れた準全方位的可撓性熱固着点とが散在し、かつ隣り合
    う可撓性熱固着点の間((A)―(A)間、(A)―
    (B)間および(B)―(B)間)に存在する複合繊維
    群にあって、複合繊維にはその長手方向に沿って紡錘状
    の節部が、クッション構造体1g当り2×104 個以上
    存在することを特徴とするクッション構造体。
  2. 【請求項2】 非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と、該
    非弾性ポリエステル系捲縮短繊維を構成するポリエステ
    ルポリマーの融点より40℃以上低い融点を有する熱可
    塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前
    者が繊維表面の少なくとも1/2を占める弾性複合繊維
    とを混綿して、少なくとも30cm3 /gの嵩性を有する
    ウェッブを形成することにより複合繊維同士間、および
    該非弾性ポリエステル系捲縮短繊維と複合繊維との間に
    立体的な繊維交叉点を形成せしめた後、該ポリエステル
    ポリマーの融点よりも低くそして該エラストマーの融点
    より25〜80℃高い温度で熱処理して、これら繊維交
    絡点のうちの少なくとも一部の繊維交絡点を熱融着させ
    ることを特徴とする新規高性能クッション構造体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーの溶融粘度を4×
    103 poise以下に保持して熱処理することを特徴
    とする請求項 記載のクッション構造体の製造方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07222882A (ja) * 1994-02-08 1995-08-22 Teijin Ltd 繊維集合体の成型クッション体を製造する方法
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JP2018150656A (ja) * 2017-03-14 2018-09-27 花王株式会社 不織布

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