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JPH05295121A - 残留揮発性成分の低減されたポリフェニレンエーテル樹脂粉体およびその製造方法 - Google Patents

残留揮発性成分の低減されたポリフェニレンエーテル樹脂粉体およびその製造方法

Info

Publication number
JPH05295121A
JPH05295121A JP9623792A JP9623792A JPH05295121A JP H05295121 A JPH05295121 A JP H05295121A JP 9623792 A JP9623792 A JP 9623792A JP 9623792 A JP9623792 A JP 9623792A JP H05295121 A JPH05295121 A JP H05295121A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
xylene
polyphenylene ether
resin powder
ether resin
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9623792A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Mitsui
昭 三井
Shigeki Takayama
茂樹 高山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP9623792A priority Critical patent/JPH05295121A/ja
Publication of JPH05295121A publication Critical patent/JPH05295121A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Polyethers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 化学式C8 10で表される芳香族炭化水素の
残存溶剤量の少ないポリフェニレンエーテル樹脂粉体と
その製造方法を提供する。 【構成】 ポリフェニレンエーテル樹脂重合体に対して
親和性の高い溶剤であるp−キシレンとm−キシレンが
合計して70wt%以上で、且つm−キシレン/p−キ
シレン重量比が0.5以下である組成の有機溶剤を使用
することにより、ポリフェニレンエーテル樹脂重合体の
洗浄、乾燥工程で該有機溶剤の残存量が少ないポリフェ
ニレンエーテル樹脂粉体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、残留揮発性成分の低減
されたポリフェニレンエーテル樹脂粉体に関する。さら
には、ポリフェニレンエーテル重合体に対する良溶剤と
して、p−キシレン、若しくはp−キシレンとm−キシ
レンの特定の含有比率を有する有機溶剤を使用すること
を特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂粉体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にポリフェニレンエーテル樹脂粉体
の製造方法は有機溶剤中で次の一般式(1)、
【0003】
【化1】
【0004】(式中R1 ,R2 ,R3 ,R4 は各々独立
に水素、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、ア
リール基、置換アリール基である。)で表されるフェノ
ール類を、金属の塩と各種アミンとの組み合わせからな
る触媒を用いて、酸化重合する方法(特公昭42−31
95号公報、特公昭45−23555号公報、特開昭6
4−33131号公報等)が良く知られている。重合体
溶液よりポリフェニレンエーテル樹脂を粉体として回
収、精製するには、先ず使用された触媒を抽出または分
解した後、あるいはこの操作と同時にメタノール等の非
溶剤と接触させることによりポリフェニレンエーテル重
合体粒子を含むスラリーとし、これを濾過や遠心分離等
の方法を用いて溶剤と分離し、得られた含溶剤ポリフェ
ニレンエーテル樹脂粉体を乾燥機等で乾燥させ、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂の粉体として得る方法が一般的で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなポリフェニ
レンエーテル樹脂粉体の製造方法に於いては、得られた
ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中にポリフェニレンエ
ーテル樹脂粉体に対して親和性の高い溶剤が残留し、押
出や成形といった溶融操作時においてこれらが揮散する
事によって作業上の危険性が増大する原因となってい
た。またポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中のこれ
らの残留溶剤等の揮発性成分は成形品の表面外観を悪化
させるのみならず、成形品の物理的、機械的性質を悪化
させる。ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中の残留溶剤
量が多いとこのような悪影響が生じることが多い。
【0006】ポリフェニレンエーテル樹脂粉体に対して
親和性の高い残留溶剤を、更にポリフェニレンエーテル
樹脂粉体中から除去せしめる方法として、何度もポリフ
ェニレンエーテル樹脂粉体をポリフェニレンエーテルに
対して親和性の低い溶剤で洗浄する方法は、設備、ある
いは使用する洗浄溶剤のコストや時間的制約の面から好
ましくない。また含溶剤ポリフェニレンエーテル樹脂粉
体の乾燥時に乾燥温度を上げる方法は乾燥機の能力、あ
るいはポリフェニレンエーテル樹脂の品質等の制約から
おのずから限界がある。即ち、残留溶剤等の揮発性成分
の含量を低下させようとして乾燥温度を上げると得られ
たポリフェニレンエーテル樹脂の品質が著しく低下し好
ましくない。また低温で長時間乾燥させる方法は生産性
の面から不利である。
【0007】またポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
を何度もベント付押出機で押出すような方法もコストや
時間的制約の面から好ましくなく、なによりも何度も熱
履歴を受けることによる物理的、機械的性質の変化が起
こるため本質的な解決方法にはなっていない。例えば、
特開平2−202918号公報には脱揮押出を行う際に
水を注入して揮発性物質を減少させる方法が開示されて
いるが、水の注入のための設備や脱揮押出を行うために
操作が煩雑となり好ましくなく、またこの方法で得られ
る樹脂組成物は物理的性質の低下が起こる。
【0008】このようなことからポリフェニレンエーテ
ル樹脂粉体中の残留溶剤量が非常に少なく安全で物理
的、機械的性質の向上したポリフェニレンエーテル樹脂
粉体が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリフェ
ニレンエーテル重合体に対して親和性の高い有機溶剤と
して、化学式C8 10で表される芳香族炭化水素を含む
有機溶剤を使用するポリフェニレンエーテル樹脂粉体の
製造方法に於いて、より残留溶剤量の少ないポリフェニ
レンエーテル樹脂粉体の製造方法について鋭意努力を重
ねた結果、驚くべき事にポリフェニレンエーテル重合体
に対して親和性の高い良溶剤として、p−キシレンとm
−キシレンを合計して70wt%以上であり、且つm−
キシレン/p−キシレン重量比が、0.5以下である組
成の有機溶剤を使用することにより、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂の優れた性質を保持しつつ、非常に簡単に効
率よく、特にポリフェニレンエーテル重合体の洗浄、乾
燥工程においてポリフェニレンエーテル樹脂粉体から良
好な生産性で有機溶剤を除去することが可能であること
が判明した。
【0010】即ち、本発明は、ポリフェニレンエーテル
樹脂粉体中に含まれる化学式C8 10で表される芳香族
炭化水素の組成が、p−キシレンとm−キシレンを合計
して60wt%以上であり、且つm−キシレン/p−キ
シレン重量比が、0.5以下であることを特徴とするポ
リフェニレンエーテル樹脂粉体及びポリフェニレンエー
テル重合体に対する良溶剤として、p−キシレンとm−
キシレンを合計して70wt%以上であり、且つm−キ
シレン/p−キシレン重量比が、0.5以下である組成
の有機溶剤を使用することを特徴とする該ポリフェニレ
ンエーテル樹脂粉体の製造方法を提供するものである。
【0011】又、得られるポリフェニレンエーテル樹脂
粉体は化学式C8 10で表される芳香族炭化水素が50
00ppm以下となっている。本発明によって得られた
このようなポリフェニレンエーテル樹脂粉体は特別な脱
揮装置付きの押出機等を用いなくても最終組成物中の残
留揮発分を低く抑えることが可能で、作業上の危険性を
大幅に軽減させる事が可能であり、またポリフェニレン
エーテル系樹脂系成形品の優れた物理的、機械的性質を
損なうことなく、表面外観に優れた成形品を得ることが
できる。
【0012】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
におけるポリフェニレンエーテル重合体の構造はその末
端基を除き、繰り返し単位としてフェニレンエーテルユ
ニットを含有するものとして定義され、特に限定はな
い。その代表的なものは一般式(2)、
【0013】
【化2】
【0014】(式中R1 〜R4 は一般式(1)で表した
ものと同様である。)で表されるフェニレンエーテルユ
ニットからなっている。代表的なポリフェニレンエーテ
ル単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル
−6−エチル1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニ
レン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニ
レン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0015】ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,
6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェ
ノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合
体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−
クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構
造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体等
が挙げられる。また、本発明のポリフェニレンエーテル
重合体中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリ
フェニレンエーテル重合体中に存在させてもよいことが
提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニット
を部分構造として含んでいても構わない。少量共存させ
てもよい部分構造として提案されているものの例として
は、特開平1−297428号公報及び特開昭63−3
01222号公報に記載されている、2−(ジアルキル
アミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニッ
トや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチ
ル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げ
られる。また、ポリフェニレンエーテル重合体の主鎖中
にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
【0016】これらのポリフェニレンエーテル重合体を
得る製造方法は前述したように、有機溶剤中で一般式
(1)で表されるフェノール類を、金属の塩と各種アミ
ンとの組み合わせからなる触媒を用いて、酸化重合する
方法が良く知られている。一般にこれらの重合に使用す
る有機溶剤としては、被酸化フェノール類に比較して酸
化されにくく、且つ反応過程の中間で生成すると考えら
れる各種ラジカルに対して反応性を有しない化合物であ
る限り特に制限は無いが、フェノール誘導体を溶解し、
重合触媒の一部または全部を溶解するものが好ましい。
即ち、ポリマーの良溶剤単独、もしくはポリマーの良溶
剤と触媒の良溶剤の併用により、2種またはそれ以上の
組み合わせで溶剤を構成するのが好ましい。このポリマ
ーの良溶剤と触媒の良溶剤との組み合わせ比率により、
重合形式は溶液重合法にもなるし、ポリフェニレンエー
テル重合体に対する貧溶剤比率を増やせば重合後期に重
合体が析出するスラリー重合法にもなる。
【0017】本発明においてはこのポリマーに対する良
溶剤の組成が重要である。即ち、本発明においてはポリ
フェニレンエーテル重合体に対する良溶剤として、p−
キシレンとm−キシレンを合計して70wt%以上であ
り、かつm−キシレン/p−キシレン重量比が、0.5
以下である組成の有機溶剤を使用できる。一般にp−キ
シレンとm−キシレンはいずれも化学式C8 10で表さ
れる芳香族炭化水素であって、このほかの異性体として
はエチルベンゼン、o−キシレンがあるのは周知の事実
である。これらの混合物は一般にキシレンの名称で知ら
れているが、その製造方法によって分解系、改質系に分
けられる。これらの組成の代表値を表1(一般市販キシ
レン組成代表値)に示した。またその他の成分としてス
チレン等の不純物を少量含んでいる。
【0018】
【表1】
【0019】またメルク・インデックス・テンス・エデ
ィションの9891ページには市販のキシレンはo−、
m−、p−キシレンの混合物でm−異性体が主成分であ
ると記載されている。本発明においてはこのような市販
のキシレンではなく、特定の組成の溶剤を用いることが
特徴である。即ち、ポリフェニレンエーテル重合体に対
する良溶剤としてp−キシレンとm−キシレンの合計が
70wt%以上であり、かつm−キシレン/p−キシレ
ン重量比が、0.5以下であるような組成の有機溶剤を
使用することができるが、残りの溶剤の化学種や組成は
特に制限はない。価格等の経済性を考えてo−キシレン
やエチルベンゼンやトルエン等がしばしば用いられる。
また本発明に於いては、単独にp−キシレンを使用する
ことも可能であり、この場合にはやや製造コストが高い
ものの、本発明が解決しようとする課題に対する性能は
非常に高くなる。
【0020】本発明によるポリフェニレンエーテル重合
体に対する良溶剤としてこの様な特定の組成になってい
る有機溶剤を使用した場合において、フェノール類の酸
化重合に対する重合活性、選択性は非常に高くバッチ重
合法、連続重合法のいずれにもまた溶液重合法、重合後
期にポリマーが析出するスラリー重合法等いずれの重合
方法にも適用できる。
【0021】また本発明においては触媒に対する良溶剤
としては特に限定されることはなく例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−
ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、酢酸エチル、蟻酸エステル等のエ
ステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルの様
なエーテル類等を使用することができる。
【0022】反応系に4級アンモニウム塩、界面活性剤
等を反応速度向上、あるいは重合体の粒径制御等の目的
で添加することができる。一般に反応混合物からポリフ
ェニレンエーテル樹脂を回収、精製するには、通常、塩
酸や酢酸等の酸またはエチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、ニトロポリ酢酸等のキレート剤を反応混合物に加
えて触媒を失活させた後、生成した重合体を分離して、
メタノール等のポリフェニレンエーテル重合体を溶解し
ない溶剤で洗浄後、得られた含溶剤ポリフェニレンエー
テル樹脂を乾燥機等で乾燥させ、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂の粉体として得る方法が採られていることが多
い。
【0023】本発明においてはこれらの既知の方法を用
いてポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得ることが出来
るが、驚くべき事に、ポリフェニレンエーテル樹脂に対
する良溶剤としてp−キシレンとm−キシレンの合計が
70wt%以上であり、かつm−キシレン/p−キシレ
ン重量比が、0.5以下であるような組成の有機溶剤を
使用した場合には、反応混合物からポリフェニレンエー
テル樹脂を回収、精製する工程において、特にポリフェ
ニレンエーテル樹脂の洗浄、乾燥工程において非常に良
好な効率で、ポリフェニレンエーテル樹脂中からこれら
の溶剤を除去することができる。即ち、本発明によれば
化学式C8 10で表される芳香族炭化水素を5000p
pm以下含み、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中に含
まれる化学式C8 10で表される芳香族炭化水素の組成
が、p−キシレンとm−キシレンを合計して60wt%
以上であり、且つm−キシレン/p−キシレン重量比
が、0.5以下である様なポリフェニレンエーテル樹脂
粉体を、前述したような含溶剤ポリフェニレンエーテル
樹脂粉体の乾燥時に乾燥温度を上げる方法や、何度もポ
リフェニレンエーテル樹脂粉体をポリフェニレンエーテ
ルに対して親和性の低い溶剤で洗浄する方法、若しくは
低温で長時間かけて乾燥させる方法等、ポリフェニレン
エーテル樹脂の品質を損なう方法や、効率的でない方法
を使用する事無く得ることが可能となった。
【0024】本発明のもう一つの目的は本発明による方
法で製造されたポリフェニレンエーテル樹脂粉体であ
る。本発明による方法で製造されたポリフェニレンエー
テル樹脂粉体中には、化学式C8 10で表される芳香族
炭化水素が5000ppm以下含まれていて、その組成
はp−キシレンとm−キシレンを合計すると60wt%
以上であり、且つm−キシレン/p−キシレン重量比
が、0.5以下である。
【0025】本発明によるポリフェニレンエーテル樹脂
粉体中の化学式C8 10で表される芳香族炭化水素の5
000ppm以下の含量とその組成は重要である。即
ち、p−キシレンとm−キシレンを合計すると60wt
%以上であり、かつm−キシレン/p−キシレン重量比
が、0.5以下である組成の化学式C8 10で表される
芳香族炭化水素が5000ppm以下である場合には、
特別な脱揮装置付きの押出機等を使用する必要がなく操
作上非常に安全であり、溶融操作を非常に簡便にするこ
とが可能となる。また成形時の要求や食品用途などの特
定の条件にまで揮発分を低減させたい場合には、p−キ
シレンとm−キシレンとの合計が60wt%以上であ
り、且つm−キシレン/p−キシレン重量比が、0.5
以下である組成の化学式C8 10で表される芳香族炭化
水素を含有していれば、脱揮を伴う溶融操作時において
も極めて残留溶剤が揮発し易くなり、例えば脱揮装置付
きの押出機を用いて一回押し出す事によって簡単に達成
可能である。
【0026】本発明においてはポリフェニレンエーテル
樹脂粉体中の揮発性成分量を極めて低いレベルに抑える
という目的に対して、化学式C8 10で表される芳香族
炭化水素中の好ましくない異性体はエチルベンゼンとo
−キシレンである。これらの異性体の存在量が合わせて
40wt%を超えると、特にポリフェニレンエーテル樹
脂の精製、乾燥工程においてポリフェニレンエーテル重
合体中からこれらの溶剤を除去する効率が著しく低下し
好ましくない。このためエチルベンゼンとo−キシレン
の存在量は低い方が良い。より好ましくは化学式C8
10で表される芳香族炭化水素中に存在するエチルベンゼ
ンとo−キシレンの存在量は合わせて30wt%以下で
ある。
【0027】この様な化学式C8 10で表される芳香族
炭化水素中の異性体の存在量を特定することによる揮発
生成分の除去効果については、エンサイクロペディア
オブポリマー サイエンス アンド テクノロジー N
o.3に記載されているような溶剤と溶質の親和性の程
度を示す溶解度パラメーター(SP値)が各キシレン異
性体、エチルベンゼンの各成分でほぼ同じであり、従来
の知見からは、予測することができなかったことであ
る。
【0028】
【実施例】次に、工業的に非常に重要なポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルついて本発明
を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によっ
てなんら制限されるものではない。実施例では化学式C
8 10で表される芳香族炭化水素異性体混合物を混合キ
シレンと称し、このなかにはo−キシレン、m−キシレ
ン、p−キシレン、エチルベンゼンを含むものとする。
【0029】なお測定は以下の条件で行った。 重合体中に含まれる化学式C8 10で表される芳香族
炭化水素中の異性体の量はガスクロマトグラフィーにて
定量した。 ポリフェニレンエーテルの色調はカラー・インデック
スで定義し以下のように測定する。
【0030】310℃で圧縮成形したポリフェニレンエ
ーテル0.5gをクロロホルムに溶解し、全量を10m
lとし、25℃にてこの溶液の480nmにおける吸光
度を測定し下記式で算出する。このカラー・インデック
スの値はポリフェニレンエーテルの熱酸化の程度を評価
する手段として使用され、値の低い方が加熱によるポリ
フェニレンエーテルの着色が少なく色調に優れる事を意
味する。
【0031】
【数1】
【0032】ここで、A480 :480nmでの吸光度、
a:セル長(cm)、b:溶液濃度(g/ml)
【0033】
【実施例1】ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レン)エーテルは特開昭64−33131号公報に記載
されている方法に従って重合を実施した。使用した反応
溶剤の組成は混合キシレン:n−ブタノール:メタノー
ルが重量比で60:20:20であった。ここで使用し
た混合キシレンの組成は、エチルベンゼン15wt%、
o−キシレン10wt%、m−キシレン20wt%、p
−キシレン55wt%からなっていた。2,6−キシレ
ノールの濃度は20wt%であった。銅塩とジブチルア
ミンの存在下酸化カップリング重合し、50℃において
反応混合物の5倍容量のメタノールで洗浄、濾別し、重
合体乾燥重量100部に対し90部の溶剤を含んだ含溶
剤ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エー
テルを得た。この時、重合体乾燥重量100部に対し1
5.5部の混合キシレンを含んでいた。
【0034】この含溶剤ポリ(2,6−ジメチル−1,
4−フェニレン)エーテルを、120℃窒素気流下にお
いて3時間静置乾燥させた。この製造したポリフェニレ
ンエーテル樹脂粉体中には4500ppmの混合キシレ
ンを含んでいた。残留した混合キシレンの組成はエチル
ベンゼン22.5wt%、o−キシレン15.3wt
%、m−キシレン16.8wt%、p−キシレン45.
4wt%からなっていた。又このポリフェニレンエーテ
ルのカラー・インデックスは2.8であった。
【0035】
【実施例2】使用した混合キシレンの組成が、エチルベ
ンゼン5wt%、o−キシレン5wt%、m−キシレン
15wt%、p−キシレン75wt%であった以外は実
施例1と同様に行い、重合体乾燥重量100部に対し9
0部の溶剤を含んだ含溶剤ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテルを得た。
【0036】この時(濾過後)、重合体乾燥重量100
部に対し10.2部の混合キシレンを含んでいた。この
含溶剤ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)
エーテルを、実施例1と同様にして乾燥させた。この製
造したポリフェニレンエーテル樹脂粉体中には1200
ppmの混合キシレンを含んでいた。残留した混合キシ
レンの組成はエチルベンゼン12.3wt%、o−キシ
レン9.8wt%、m−キシレン12.9wt%、p−
キシレン65.0wt%からなっていた。
【0037】
【実施例3】溶剤として混合キシレンの代わりに純度9
9.5wt%のp−キシレンを使用した以外は実施例1
と同様に行い、重合体乾燥重量100部に対し、90部
の溶剤を含んだ含溶剤ポリ(2,6−ジメチル−1,4
−フェニレン)エーテルを得た。
【0038】この時(濾過後)、重合体乾燥重量100
部に対し6.12部のp−キシレンを含んでいた。この
含溶剤ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)
エーテルを、実施例1と同様にして乾燥させた。この製
造したポリフェニレンエーテル樹脂粉体中には990p
pmのp−キシレンを含んでいた。
【0039】
【比較例1】使用した混合キシレンの組成が、エチルベ
ンゼン44wt%、o−キシレン12wt%、m−キシ
レン31wt%、p−キシレン13wt%であった以外
は実施例1と同様に行い、重合体乾燥重量100部に対
し90部の溶剤を含んだ含溶剤ポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレン)エーテルを得た。
【0040】この時、重合体乾燥重量100部に対し2
3.5部の混合キシレンを含んでいた。この含溶剤ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
を、実施例1と同様にして乾燥させた。この製造したポ
リフェニレンエーテル樹脂粉体中には25000ppm
の混合キシレンを含んでいた。残留した混合キシレンの
組成はエチルベンゼン68.8wt%、o−キシレン1
7.1wt%、m−キシレン10.2wt%、p−キシ
レン3.9wt%からなっていた。
【0041】
【比較例2】使用した混合キシレンの組成が、エチルベ
ンゼン75wt%、o−キシレン15wt%、m−キシ
レン5wt%、p−キシレン5wt%からなっていた以
外は実施例1と同様に行い、重合体乾燥重量100部に
対し90部の溶剤を含んだ含溶剤ポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレン)エーテルを得た。
【0042】この時、重合体乾燥重量100部に対し2
5.7部の混合キシレンを含んでいた。この含溶剤ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル
を、実施例1と同様にして乾燥させた。この製造したポ
リフェニレンエーテル樹脂粉体中には34500ppm
の混合キシレンを含んでいた。残留した混合キシレンの
組成はエチルベンゼン82.0wt%、o−キシレン1
4.3wt%、m−キシレン2.1wt%、p−キシレ
ン1.6wt%からなっていた。
【0043】
【比較例3】比較例1で製造したポリフェニレンエーテ
ル樹脂粉体を実施例1と同様の4500ppmまで乾燥
させるために、更に120℃窒素気流下において乾燥さ
せたところ更に12時間を要した。このポリフェニレン
エーテルのカラー・インデックスは4.4であった。
【0044】実施例1、2、3は、本発明による組成の
溶剤を使用してポリフェニレンエーテル樹脂粉体を製造
しているために比較例1、2、3と比較して洗浄、およ
び乾燥時におけるポリフェニレンエーテル樹脂中から混
合キシレンが極めて効率よく除去されていることが判
る。
【0045】
【応用例】実施例1、2、3及び比較例1、2で製造し
たポリフェニレンエーテル樹脂粉体を用いて成形品の表
面外観(シルバーストリークス)の試験を行った。各々
の例で製造したポリフェニレンエーテル樹脂粉体57重
量部にスチレン系樹脂(旭化成工業(株)製、商品名ス
タイロン)43重量部を配合し、ミキサーで良く混合し
た後、30mm二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM−
30)で溶融混練押出を行い、ストランドをペレタイザ
ーで切断しペレット状の樹脂組成物を得た。押出の際、
特にベント等の脱揮操作は行わなかった。
【0046】次いでこのペレットを射出成形機(東芝機
械(株)製IS80C)を用いて樹脂組成物を成形温度
290℃、金型温度80℃で10分間シリンダー内に滞
留させて成形し、厚さ2mm、幅5cm、長さ9cmの
試験片サンプルを5枚作製し、シルバーストリークスの
発生した数を数えた。結果を表2に示す。表2に明らか
なように実施例1、2、3で製造したポリフェニレンエ
ーテル樹脂粉体を使用して作製した成形品にはシルバー
ストリークスが観察されないのに対し、比較例1、2で
製造したポリフェニレンエーテル樹脂粉体を使用して作
製した成形品には著しいシルバーストリークスが観察さ
れている事が判る。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上、述べたように本発明によれば、ポ
リフェニレンエーテルの良溶剤として化学式C8 10
表される芳香族炭化水素の特定の異性体含有比率を有す
る混合物を使用することによって、反応混合物からポリ
フェニレンエーテル樹脂を回収、精製する工程におい
て、特にポリフェニレンエーテル重合体の洗浄、乾燥工
程において非常に良好な効率で、ポリフェニレンエーテ
ル重合体中からポリフェニレンエーテル重合体に対して
親和性の高い残留溶剤を除去することができ、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂粉体中の残留溶剤量が非常に少なく
安全で、成形品の表面外観や物理的、機械的性質の向上
したポリフェニレンエーテル樹脂を提供することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中に含
    まれる化学式C8 10で表される芳香族炭化水素の組成
    が、p−キシレンとm−キシレンを合計して60wt%
    以上であり、かつm−キシレン/p−キシレン重量比
    が、0.5以下であることを特徴とするポリフェニレン
    エーテル樹脂粉体。
  2. 【請求項2】 ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中に含
    まれる化学式C8 10で表される芳香族炭化水素が、p
    −キシレンである特許請求項1記載のポリフェニレンエ
    ーテル樹脂粉体。
  3. 【請求項3】 ポリフェニレンエーテル樹脂粉体中に含
    まれる化学式C8 10で表される芳香族炭化水素が50
    00ppm以下である特許請求項1記載のポリフェニレ
    ンエーテル樹脂粉体。
  4. 【請求項4】 ポリフェニレンエーテル重合体に対する
    良溶剤として、p−キシレンとm−キシレンを合計して
    70wt%以上であり、かつm−キシレン/p−キシレ
    ン重量比が、0.5以下である組成の有機溶剤を使用す
    ることを特徴とする特許請求項1記載のポリフェニレン
    エーテル樹脂粉体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリフェニレンエーテル重合体に対する
    良溶剤として、p−キシレンを使用することを特徴とす
    る特許請求項1記載のポリフェニレンエーテル樹脂粉体
    の製造方法。
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