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JPH05239043A - 酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離方法 - Google Patents

酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離方法

Info

Publication number
JPH05239043A
JPH05239043A JP25642391A JP25642391A JPH05239043A JP H05239043 A JPH05239043 A JP H05239043A JP 25642391 A JP25642391 A JP 25642391A JP 25642391 A JP25642391 A JP 25642391A JP H05239043 A JPH05239043 A JP H05239043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acetic acid
cyclohexene oxide
distillation
cyclohexene
azeotropic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25642391A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Yokota
滋 横田
Kunio Tagawa
邦雄 田川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP25642391A priority Critical patent/JPH05239043A/ja
Publication of JPH05239043A publication Critical patent/JPH05239043A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】工業的に実施していく場合、プロセス的にシン
プルな有機過酸による直接酸化の方法で製造されたシク
ロヘキセンオキシドと反応粗液中に存在する酢酸とを効
率良く分離する方法を開発すること。 【構成】シクロヘキセンを過酢酸でエポキシ化してシク
ロヘキセンオキシドを製造した反応粗液から、酢酸と共
沸する化合物を共存させて、酢酸とシクロヘキセンオキ
シドを蒸留分離する。 【効果】本発明の方法により、酢酸と共沸する化合物を
用いて、酢酸と沸点差が小さくしかも酢酸との反応性が
高いために従来蒸留分離の非常に難しかったシクロヘキ
センオキシドを効率良く分離精製することが可能になっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸とシクロヘキセンオ
キシドの分離方法に関する。
【0002】シクロヘキセンオキシドは、染料、医薬用
の中間体及び農薬関係の殺ダニ剤の原料として重要な化
合物である。
【0003】
【従来の技術】これまでにシクロヘキセンオキシドの製
造方法として、 (1)シクロヘキセンと次亜塩素酸との反応によって、
2−クロルシクロヘキサノ−ルを生成させたのち、アル
カリで処理してエポキシ化する方法(例えば、BUL
L.SOC.CHIM(4)、37,1454(192
5)等) (2)過蟻酸,過酢酸あるいは過プロピオン酸などの有
機過酸を用いて直接酸化する方法(例えば、学会誌「油
化学」36巻、No.6、P.436〜440等)
(3)触媒の存在下、過酸化水素あるいはハイドロパ−
オキシドで酸化する方法(例えば、特開昭49−124
003、特開昭52−211、特開昭62−23077
8等) (4)モリブデン錯体などの触媒の存在下、液相空気酸
化する方法(例えば、特開昭50−149645、特開
昭52−3036等) が知られている。
【0004】上記の方法の中で、(1)の次亜塩素酸を
使った方法が工業的に実施されているが、反応系に塩素
が存在するため、装置腐食の問題や製品中への塩素の混
入等の問題が生じていた。しかも、反応が2段で行われ
るため、簡単な反応の割にプロセスが複雑となってい
た。
【0005】(2)の有機過酸を用いて直接酸化する方
法は反応が1段で進行し、反応速度も非常に速く、また
触媒を用いないため工業的実施して行く場合に、触媒分
離工程が不要である等メリットが非常に大きい。
【0006】本発明者らは、上記の工業的に実施してい
く場合、プロセス的にシンプルな有機過酸による直接酸
化の方法について、実際に工業的に使用されている有機
過酸の一つである過酢酸を用いて検討を行い、高い反応
収率でシクロヘキセンオキシドの得られる条件を見い出
だし、既に特許出願している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反応に
より生成したシクロヘキセンオキシドの精製方法につい
て検討を行なったところ、通常の蒸留による精製方法で
は収率良く製品シクロヘキセンオキシドを得ることがで
きないことが判明した。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、工業的に実施していく
場合、プロセス的にシンプルな有機過酸による直接酸化
の方法で製造されたシクロヘキセンオキシドと反応粗液
中に存在する酢酸とを効率良く分離する方法を開発する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
「シクロヘキセンを過酢酸でエポキシ化してシクロヘキ
センオキシドを製造した反応粗液から、酢酸と共沸する
化合物を共存させて、酢酸とシクロヘキセンオキシドを
高収率で蒸留分離することを特徴とする酢酸とシクロヘ
キセンオキシドの分離方法」である。以下に、本発明の
酢酸とシクロヘキセンオキシドを高収率で蒸留分離する
方法を詳細に説明する。
【0010】本発明者らは以前一段の反応でシクロヘキ
センからシクロヘキセンオキシドを効率良く製造する方
法を提案し特許出願しているが、製造したシクロヘキセ
ンオキシドを通常の蒸留法で分離しようとすると、エポ
キシ化剤である過酢酸中に含まれている酢酸(760m
mHgで沸点118℃)やエポキシ化反応後に副生する
酢酸と生成したシクロヘキセンオキシド(760mmH
gで沸点129℃)との沸点差(760mmHgで約1
1℃)が小さいために蒸留収率が著しく低くなる。ま
た、さらに悪い事には酢酸とシクロヘキセンオキシドと
の反応性が高いために、蒸留中に反応していっそう蒸留
収率を悪くする結果になっている(反応式1)。
【0011】酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離方法
の概略としては、第1塔目の蒸留塔で反応粗液と酢酸と
共沸する化合物とから酢酸を共沸混合物として塔頂側に
留出させ、シクロヘキセンオキシドを釜液(または缶出
液)中に混合物として得る。そして、第1塔の釜液(ま
たは缶出液)中に混合物として得られたシクロヘキセン
オキシドを第2塔目以降で精製する。本発明は、第1塔
目の蒸留塔で反応粗液と酢酸と共沸する化合物とから酢
酸を共沸混合物として塔頂側に留出させ、シクロヘキセ
ンオキシドを釜液(または缶出液)中に混合物として得
るための酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離方法に関
するものである。
【0012】以下、順を追って発明の内容を説明して行
く。
【0013】反応粗液中のシクロヘキセンオキシド対す
る酢酸と共沸する化合物の仕込み量は、蒸留圧力におけ
る共沸組成(共沸組成は圧力によって異なる)になるの
に必要な量の少なくとも1モル倍を超える量、より好ま
しくは1.1〜3モル倍量範囲で使用される。
【0014】1モル倍量より少ないと共沸で留出してこ
ない酢酸が温度の一番高い釜に落ちて、(反応式1)で
シクロヘキセンオキシドと反応してシクロヘキセンオキ
シド蒸留収率を著しく悪くする。また、酢酸と共沸する
化合物の仕込み量が多すぎると、酢酸の共沸分離時及び
シクロヘキセンオキシド精製時の加熱蒸気代がかかる一
方なので好ましくない。
【0015】酢酸と共沸する化合物の仕込み段は、原料
反応粗液と同一仕込み段に仕込んでも良いし、別々の段
に仕込んでも良いが、より好ましくは酢酸より低沸点の
酢酸と共沸する化合物の場合には、原料反応粗液仕込み
段より下の段に仕込むのが好ましい。酢酸と共沸する化
合物としてはトルエン(760mmHgで共沸温度11
0.6℃、共沸組成酢酸28.1wt%・トルエン7
1.9wt%)、エチルベンゼン(760mmHgで共
沸温度114.65℃、共沸組成酢酸66wt%・エチ
ルベンゼン34wt%)、o−キシレン(760mmH
gで共沸温度116.0℃、共沸組成酢酸76wt%・
o−キシレン24wt%)、m−キシレン(760mm
Hgで共沸温度115.35℃、共沸組成酢酸72.5
wt%・m−キシレン27.5wt%)、p−キシレン
(760mmHgで共沸温度115.25℃、共沸組成
酢酸72wt%・p−キシレン28wt%)、n−ヘプ
タン(760mmHgで共沸温度95℃、共沸組成酢酸
17wt%・n−ヘプタン83wt%)、シクロヘキセ
ン(760mmHgで共沸温度81.8℃、共沸組成酢
酸6.5wt%・シクロヘキセン93.5wt%)など
が挙げられる。
【0016】蒸留圧力はリボイラ−の温度を出来るだけ
下げて、副反応を抑制するために蒸留圧力は出来るだけ
下げたほうが好ましいが、コンデンサ−の能力や冷媒の
種類により異なるり、通常10〜100mmHgの塔頂
圧力で行なわれ、より好ましくは20〜50mmHgの
塔頂圧力で行なうのが好ましい。蒸留圧力を下げ過ぎる
と、コンデンサ−の能力や冷媒の種類によっては、低沸
物(特に過酢酸の低沸溶媒(酢酸エチルなど)や未反応
シクロヘキセンなど)が捕集しきれなくなるため、コン
デンサ−の能力や冷媒の種類に見合った蒸留圧力を選ぶ
必要がある。
【0017】蒸留方式としては、バッチ方式でも連続方
式でもよいが、蒸留塔内を含め釜の温度が一番高いため
に、バッチ方式だと釜における滞留時間が長すぎるた
め、(反応式1)の副反応が起きやすく、連続方式に比
べるとシクロヘキセンオキシドの収率が低くなるので連
続蒸留で行うのが好ましい。
【0018】また、連続方式の場合でもサ−モサイホン
式リボイラ−の容量は、原料粗液仕込み量や蒸留塔の塔
径にもよるが、可能な限り小さいものを用いるのが好ま
しい。したがって、場合によってはサ−モサイホン式リ
ボイラ−の代わりに、薄膜蒸発器のような液の滞留時間
を出来るだけ短くできるような蒸発器をリボイラ−とし
て用いてもよい。
【0019】共沸蒸留により酢酸を除去した高沸物を含
むシクロヘキセンオキシドと過剰の酢酸と共沸する化合
物はさらにバッチ蒸留もしくは連続蒸留により過剰の酢
酸と共沸する化合物及び高沸物を分離し、純粋なシクロ
ヘキセンオキシドを得る。
【0020】具体的には、バッチ蒸留の場合過剰の酢酸
と共沸する化合物を留出させた後、シクロヘキセンオキ
シドを留出させて製品を得る。また、連続蒸留の場合第
1塔目で過剰の酢酸と共沸する化合物留出させ、缶出液
を第2塔目に仕込んでシクロヘキセンオキシドを留出さ
せて製品を得る。第2塔目はバッチ蒸留塔であっても、
連続蒸留塔であっても良い。なお、バッチ蒸留(または
連続蒸留)前に薄膜蒸発器などを使って、高沸物を除去
した後にその留出液を上記の方法によりバッチ蒸留(ま
たは連続蒸留)し、シクロヘキセンオキシドを得ても良
い。
【0021】次に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。
【0022】
【実施例1】温水バス、撹拌装置、温度計、コンデンサ
−及び過酢酸を連続的に仕込むポンプを備えた10Lガ
ラス製丸底フラスコにシクロヘキセン1010gを張り
込み、攪拌機で攪拌しながら、温水バスに漬け反応器内
の液温が30℃になるよう昇温した。昇温後、過酢酸2
9.2wt%及び酢酸約6wt%を含有する酢酸エチル
溶液3830gを、反応器内の液温が30℃になるよう
保ちながら、2時間かけて仕込み、更に1時間30℃に
保持した。
【0023】反応終了後、反応器内の反応粗液を取り出
して、ガスクロマトグラフィ−による分析を行なった。
その結果、シクロヘキセンの転化率は97.2%で、シ
クロヘキセン基準のシクロヘキセンオキシドの収率は9
4.2%で、シクロヘキセン基準のシクロヘキセンオキ
シドの選択率は96.9%であった。
【0024】上記の手順により製造した原料反応粗液を
以下の精製実験に使用したが、保存中に酢酸とシクロヘ
キセンオキシドが反応して、若干経時変化するため原料
反応粗液中のシクロヘキセンオキシド濃度は若干低下し
たものを使用している。
【0025】
【実施例2】容量100mリットルのサ−モサイホン式
リボイラ−を備えた40mmφ40段オ−ルダショウ蒸
留塔を使って、釜から20段目にシクロヘキセンを過酢
酸でエポキシ化した反応粗液を66.5g/hrで仕込
み、釜から10段目にトルエンを62.6g/hrで仕
込み、塔頂圧力が30mmHgとなるようにコントロ−
ルしながら還流比1で連続蒸留した。その結果、塔頂側
より酢酸11.7wt%を含む液108.0g/hrが
留出し、塔頂側に留出したシクロヘキセンオキシドは痕
跡量であり、ボトム側よりシクロヘキセンオキシド5
7.6wt%を含む液19.4g/hrが得られ、ボト
ム側に酢酸は全く検出されなかった。シクロヘキセンオ
キシドの缶出率は93.0%であった。
【0026】
【比較例1】容量100mリットルのサ−モサイホン式
リボイラ−を備えた40mmφ40段オ−ルダショウ蒸
留塔を使って、実施例1で得られる原料反応粗液から共
沸剤を用いないで、シクロヘキセンオキシドの精製を試
みた。釜から23段目にシクロヘキセンを過酢酸でエポ
キシ化した反応粗液を182g/hrで仕込み、塔頂圧
力が30mmHgとなるようにコントロ−ルしながら還
流比3で連続蒸留した。その結果、塔頂側より酢酸2
6.7wt%を含む液109.0g/hr、ボトム側よ
りシクロヘキセンオキシド45.9wt%を含む液5
5.5g/hrが得られた。それとは別に、トラップ液
17.5g/hrが得られた。シクロヘキセンオキシド
の缶出率は77.5%であった。
【0027】この比較例は通常実験室的に使用される段
数の多い塔を用いても、酢酸と共沸する化合物を共沸剤
として用いないと、酢酸の沸点(760mmHgで11
8℃)とシクロヘキセンオキシドの沸点(760mmH
gで129℃)が近いために酢酸とシクロヘキセンオキ
シドを蒸留分離できないことを示している。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法により、酢酸と共沸する化
合物を用いて、酢酸と沸点差が小さくしかも酢酸との反
応性が高いために従来蒸留分離の非常に難しかったシク
ロヘキセンオキシドを効率良く蒸留分離することが可能
になった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離
方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸とシクロヘキセンオ
キシドの分離方法に関する。
【0002】シクロヘキセンオキシドは、染料、医薬用
の中間体及び農薬関係の殺ダニ剤の原料として重要な化
合物である。
【0003】
【従来の技術】これまでにシクロヘキセンオキシドの製
造方法として、 (1)シクロヘキセンと次亜塩素酸との反応によって、
2−クロルシクロヘキサノ−ルを生成させたのち、アル
カリで処理してエポキシ化する方法(例えば、BUL
L.SOC.CHIM(4)、37,1454(192
5)等) (2)過蟻酸,過酢酸あるいは過プロピオン酸などの有
機過酸を用いて直接酸化する方法(例えば、学会誌「油
化学」36巻、No.6、P.436〜440等)
(3)触媒の存在下、過酸化水素あるいはハイドロパ−
オキシドで酸化する方法(例えば、特開昭49−124
003、特開昭52−211、特開昭62−23077
8等) (4)モリブデン錯体などの触媒の存在下、液相空気酸
化する方法(例えば、特開昭50−149645、特開
昭52−3036等) が知られている。
【0004】上記の方法の中で、(1)の次亜塩素酸を
使った方法が工業的に実施されているが、反応系に塩素
が存在するため、装置腐食の問題や製品中への塩素の混
入等の問題が生じていた。しかも、反応が2段で行われ
るため、簡単な反応の割にプロセスが複雑となってい
た。
【0005】(2)の有機過酸を用いて直接酸化する方
法は反応が1段で進行し、反応速度も非常に速く、また
触媒を用いないため工業的実施して行く場合に、触媒分
離工程が不要である等メリットが非常に大きい。
【0006】本発明者らは、上記の工業的に実施してい
く場合、プロセス的にシンプルな有機過酸による直接酸
化の方法について、実際に工業的に使用されている有機
過酸の一つである過酢酸を用いて検討を行い、高い反応
収率でシクロヘキセンオキシドの得られる条件を見い出
だし、既に特許出願している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反応に
より生成したシクロヘキセンオキシドの精製方法につい
て検討を行なったところ、通常の蒸留による精製方法で
は収率良く製品シクロヘキセンオキシドを得ることがで
きないことが判明した。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、工業的に実施していく
場合、プロセス的にシンプルな有機過酸による直接酸化
の方法で製造されたシクロヘキセンオキシドと反応粗液
中に存在する酢酸とを効率良く分離する方法を開発する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
「シクロヘキセンを過酢酸でエポキシ化してシクロヘキ
センオキシドを製造した反応粗液から、酢酸と共沸する
化合物を共存させて、酢酸とシクロヘキセンオキシドを
高収率で蒸留分離することを特徴とする酢酸とシクロヘ
キセンオキシドの分離方法」である。以下に、本発明の
酢酸とシクロヘキセンオキシドを高収率で蒸留分離する
方法を詳細に説明する。
【0010】本発明者らは以前一段の反応でシクロヘキ
センからシクロヘキセンオキシドを効率良く製造する方
法を提案し特許出願しているが、製造したシクロヘキセ
ンオキシドを通常の蒸留法で分離しようとすると、エポ
キシ化剤である過酢酸中に含まれている酢酸(760m
mHgで沸点118℃)やエポキシ化反応後に副生する
酢酸と生成したシクロヘキセンオキシド(760mmH
gで沸点129℃)との沸点差(760mmHgで約1
1℃)が小さいために蒸留収率が著しく低くなる。ま
た、さらに悪い事には酢酸とシクロヘキセンオキシドと
の反応性が高いために、蒸留中に反応していっそう蒸留
収率を悪くする結果になっている(下記反応式1参
照)。
【0011】
【化1】 酢酸とシクロヘキセンオキシドの分離方法の概略として
は、第1塔目の蒸留塔で反応粗液と酢酸と共沸する化合
物とから酢酸を共沸混合物として塔頂側に留出させ、シ
クロヘキセンオキシドを釜液(または缶出液)中に混合
物として得る。そして、第1塔の釜液(または缶出液)
中に混合物として得られたシクロヘキセンオキシドを第
2塔目以降で精製する。本発明は、第1塔目の蒸留塔で
反応粗液と酢酸と共沸する化合物とから酢酸を共沸混合
物として塔頂側に留出させ、シクロヘキセンオキシドを
釜液(または缶出液)中に混合物として得るための酢酸
とシクロヘキセンオキシドの分離方法に関するものであ
る。
【0012】以下、順を追って発明の内容を説明して行
く。
【0013】反応粗液中のシクロヘキセンオキシド対す
る酢酸と共沸する化合物の仕込み量は、蒸留圧力におけ
る共沸組成(共沸組成は圧力によって異なる)になるの
に必要な量の少なくとも1モル倍を超える量、より好ま
しくは1.1〜3モル倍量範囲で使用される。
【0014】1モル倍量より少ないと共沸で留出してこ
ない酢酸が温度の一番高い釜に落ちて、(反応式1)で
シクロヘキセンオキシドと反応してシクロヘキセンオキ
シド蒸留収率を著しく悪くする。また、酢酸と共沸する
化合物の仕込み量が多すぎると、酢酸の共沸分離時及び
シクロヘキセンオキシド精製時の加熱蒸気代がかかる一
方なので好ましくない。
【0015】酢酸と共沸する化合物の仕込み段は、原料
反応粗液と同一仕込み段に仕込んでも良いし、別々の段
に仕込んでも良いが、より好ましくは酢酸より低沸点の
酢酸と共沸する化合物の場合には、原料反応粗液仕込み
段より下の段に仕込むのが好ましい。酢酸と共沸する化
合物としてはトルエン(760mmHgで共沸温度11
0.6℃、共沸組成酢酸28.1wt%・トルエン7
1.9wt%)、エチルベンゼン(760mmHgで共
沸温度114.65℃、共沸組成酢酸66wt%・エチ
ルベンゼン34wt%)、o−キシレン(760mmH
gで共沸温度116.0℃、共沸組成酢酸76wt%・
o−キシレン24wt%)、m−キシレン(760mm
Hgで共沸温度115.35℃、共沸組成酢酸72.5
wt%・m−キシレン27.5wt%)、p−キシレン
(760mmHgで共沸温度115.25℃、共沸組成
酢酸72wt%・p−キシレン28wt%)、n−ヘプ
タン(760mmHgで共沸温度95℃、共沸組成酢酸
17wt%・n−ヘプタン83wt%)、シクロヘキセ
ン(760mmHgで共沸温度81.8℃、共沸組成酢
酸6.5wt%・シクロヘキセン93.5wt%)など
が挙げられる。
【0016】蒸留圧力はリボイラ−の温度を出来るだけ
下げて、副反応を抑制するために蒸留圧力は出来るだけ
下げたほうが好ましいが、コンデンサ−の能力や冷媒の
種類により異なり、通常10〜100mmHgの塔頂圧
力で行なわれ、より好ましくは20〜50mmHgの塔
頂圧力で行なうのが好ましい。蒸留圧力を下げ過ぎる
と、コンデンサ−の能力や冷媒の種類によっては、低沸
物(特に過酢酸の低沸溶媒(酢酸エチルなど)や未反応
シクロヘキセンなど)が捕集しきれなくなるため、コン
デンサ−の能力や冷媒の種類に見合った蒸留圧力を選ぶ
必要がある。
【0017】蒸留方式としては、バッチ方式でも連続方
式でもよいが、蒸留塔内を含め釜の温度が一番高いため
に、バッチ方式だと釜における滞留時間が長すぎるた
め、(反応式1)の副反応が起きやすく、連続方式に比
べるとシクロヘキセンオキシドの収率が低くなるので連
続蒸留で行うのが好ましい。
【0018】また、連続方式の場合でもサ−モサイホン
式リボイラ−の容量は、原料粗液仕込み量や蒸留塔の塔
径にもよるが、可能な限り小さいものを用いるのが好ま
しい。したがって、場合によってはサ−モサイホン式リ
ボイラ−の代わりに、薄膜蒸発器のような液の滞留時間
を出来るだけ短くできるような蒸発器をリボイラ−とし
て用いてもよい。
【0019】共沸蒸留により酢酸を除去した高沸物を含
むシクロヘキセンオキシドと過剰の酢酸と共沸する化合
物はさらにバッチ蒸留もしくは連続蒸留により過剰の酢
酸と共沸する化合物及び高沸物を分離し、純粋なシクロ
ヘキセンオキシドを得る。
【0020】具体的には、バッチ蒸留の場合過剰の酢酸
と共沸する化合物を留出させた後、シクロヘキセンオキ
シドを留出させて製品を得る。また、連続蒸留の場合第
1塔目で過剰の酢酸と共沸する化合物を留出させ、缶出
液を第2塔目に仕込んでシクロヘキセンオキシドを留出
させて製品を得る。第2塔目はバッチ蒸留塔であって
も、連続蒸留塔であっても良い。なお、バッチ蒸留(ま
たは連続蒸留)前に薄膜蒸発器などを使って、高沸物を
除去した後にその留出液を上記の方法によりバッチ蒸留
(または連続蒸留)し、シクロヘキセンオキシドを得て
も良い。
【0021】次に、実施例を挙げて本発明を説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。
【0022】
【実施例1】温水バス、撹拌装置、温度計、コンデンサ
−及び過酢酸を連続的に仕込むポンプを備えた10Lガ
ラス製丸底フラスコにシクロヘキセン1010gを張り
込み、攪拌機で攪拌しながら、温水バスに漬け反応器内
の液温が30℃になるよう昇温した。昇温後、過酢酸2
9.2wt%及び酢酸約6wt%を含有する酢酸エチル
溶液3830gを、反応器内の液温が30℃になるよう
保ちながら、2時間かけて仕込み、更に1時間30℃に
保持した。
【0023】反応終了後、反応器内の反応粗液を取り出
して、ガスクロマトグラフィ−による分析を行なった。
その結果、シクロヘキセンの転化率は97.2%で、シ
クロヘキセン基準のシクロヘキセンオキシドの収率は9
4.2%で、シクロヘキセン基準のシクロヘキセンオキ
シドの選択率は96.9%であった。
【0024】上記の手順により製造した原料反応粗液を
以下の精製実験に使用したが、保存中に酢酸とシクロヘ
キセンオキシドが反応して、若干経時変化するため原料
反応粗液中のシクロヘキセンオキシド濃度は若干低下し
たものを使用している。
【0025】
【実施例2】容量100mリットルのサ−モサイホン式
リボイラ−を備えた40mmφ40段オ−ルダショウ蒸
留塔を使って、釜から20段目にシクロヘキセンを過酢
酸でエポキシ化した反応粗液を66.5g/hrで仕込
み、釜から10段目にトルエンを62.6g/hrで仕
込み、塔頂圧力が30mmHgとなるようにコントロ−
ルしながら還流比1で連続蒸留した。その結果、塔頂側
より酢酸11.7wt%を含む液108.0g/hrが
留出し、塔頂側に留出したシクロヘキセンオキシドは痕
跡量であり、ボトム側よりシクロヘキセンオキシド5
7.6wt%を含む液19.4g/hrが得られ、ボト
ム側に酢酸は全く検出されなかった。シクロヘキセンオ
キシドの缶出率は93.0%であった。
【0026】
【比較例1】容量100mリットルのサ−モサイホン式
リボイラ−を備えた40mmφ40段オ−ルダショウ蒸
留塔を使って、実施例1で得られる原料反応粗液から共
沸剤を用いないで、シクロヘキセンオキシドの精製を試
みた。釜から23段目にシクロヘキセンを過酢酸でエポ
キシ化した反応粗液を182g/hrで仕込み、塔頂圧
力が30mmHgとなるようにコントロ−ルしながら還
流比3で連続蒸留した。その結果、塔頂側より酢酸2
6.7wt%を含む液109.0g/hr、ボトム側よ
りシクロヘキセンオキシド45.9wt%を含む液5
5.5g/hrが得られた。それとは別に、トラップ液
17.5g/hrが得られた。シクロヘキセンオキシド
の缶出率は77.5%であった。
【0027】この比較例は通常実験室的に使用される段
数の多い塔を用いても、酢酸と共沸する化合物を共沸剤
として用いないと、酢酸の沸点(760mmHgで11
8℃)とシクロヘキセンオキシドの沸点(760mmH
gで129℃)が近いために酢酸とシクロヘキセンオキ
シドを蒸留分離できないことを示している。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法により、酢酸と共沸する化
合物を用いて、酢酸と沸点差が小さくしかも酢酸との反
応性が高いために従来蒸留分離の非常に難しかったシク
ロヘキセンオキシドを効率良く蒸留分離することが可能
になった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 303/04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロヘキセンを過酢酸でエポキシ化し
    てシクロヘキセンオキシドを製造した反応粗液から、酢
    酸と共沸する化合物を共存させて酢酸とシクロヘキセン
    オキシドを蒸留分離することを特徴とする酢酸とシクロ
    ヘキセンオキシドの分離方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004035558A1 (ja) * 2002-09-05 2004-04-29 Daicel Chemical Industries, Ltd. 脂環式ジエポキシ化合物の製造方法、硬化性エポキシ樹脂組成物、電子部品封止用エポキシ樹脂組成物、電気絶縁油用安定剤、および電気絶縁用注型エポキシ樹脂組成物
US7786224B2 (en) * 2001-03-23 2010-08-31 Daicel Chemical Industries, Ltd Liquid composition of alicyclic diepoxide, curing agent and/or curing accelerator

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US7781543B2 (en) 2002-09-05 2010-08-24 Daicel Chemical Industries, Ltd. Curable alicyclic diepoxy resin composition

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