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JPH05227980A - 発酵法によるバニリンおよびその関連化合物の製造法 - Google Patents

発酵法によるバニリンおよびその関連化合物の製造法

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Publication number
JPH05227980A
JPH05227980A JP3533892A JP3533892A JPH05227980A JP H05227980 A JPH05227980 A JP H05227980A JP 3533892 A JP3533892 A JP 3533892A JP 3533892 A JP3533892 A JP 3533892A JP H05227980 A JPH05227980 A JP H05227980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eugenol
vanillin
alcohol
coniferyl
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3533892A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Washisu
幸夫 鷲巣
Tetsushi Aida
哲史 合田
Naomi Hashimoto
直美 橋本
Tsuneyoshi Kanisawa
恒好 蟹沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
Takasago Perfumery Industry Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takasago International Corp, Takasago Perfumery Industry Co filed Critical Takasago International Corp
Priority to JP3533892A priority Critical patent/JPH05227980A/ja
Publication of JPH05227980A publication Critical patent/JPH05227980A/ja
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 シュウドモナス属に属する変異株を、オイゲ
ノールの存在下に培養し、培地中にバニリン並びにその
関連化合物であるコニフェリルアルコール、コニフェリ
ルアルデヒド、フェルラ酸またはバニリルアルコールの
中から選ばれる一種以上の化合物を生成、蓄積せしめ、
これを採取することを特徴とする発酵法によるバニリン
およびその関連化合物の製造法。 【構成】 オイゲノールを原料としてバニリンおよびそ
の関連化合物を効率よく製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シュウドモナス属に属
する変異株を用いる発酵法によるバニリン並びにその関
連化合物であるコニフェリルアルコール、コニフェリル
アルデヒド、フェルラ酸およびバニリルアルコールの中
から選ばれる一種以上の化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】バニリンは、食品香料に大量に用いられ
ている他、医薬品原料としても有用な化合物である。コ
ニフェリルアルコール、コニフェリルアルデヒドおよび
バニリルアルコールも香料またはその原料として使用さ
れ、フェルラ酸は医薬品原料などに使用されている。
【0003】これらの化合物は天然に存在するが、天然
物からの抽出では費用がかかりすぎるため、工業的規模
では、化学的合成手段によって製造されているのが現状
である。従来より知られている微生物を用いる発酵法に
よる製造法としては、セレイシア属、クレブシレア属、
またはエンテロバクター属に属する微生物を利用してオ
イゲノールおよび/またはイソオイゲノールからバニリ
ンを得る方法(特開平3−30683号公報)、シュウ
ドモナス属に属する特定の微生物を利用してスチレン誘
導体からバニリンなどのアルデヒド類を得る方法(特開
平2−200192号公報)、アースロバクター・グロ
ビホルミスを利用してn−オイゲノールからコニフェリ
ルアルデヒドを得る方法(特開昭62−190092号
公報)が開示されている。また、K.Tadasaらは、コリネ
バクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物およ
びシュウドモナス(Pseudomonas) 属に属する微生物が、
オイゲノールを酸化的に分解すること、さらに、その分
解過程は、式1に示したようにオイゲノールからコニフ
ェリルアルコール、コニフェリルアルデヒド、フェルラ
酸、バニリン、バニリン酸、プロトカテキュ酸を順に経
るものであることを報告している〔Agric.Biol.Chem.,
41巻 (6) 925〜929 頁 (1977) およびAgric.Biol.Che
m., 47巻 (11) 2639〜2640頁 (1983) 〕。
【0004】
【化1】
【0005】本発明者は、K.Tadasaらが報告した2種類
の菌株のうちオイゲノールを資化する能力がより強い菌
株であるシュウドモナス属に属する微生物を、上記文献
に記載されている方法で土壌から分離、確認し、得られ
た菌株によるオイゲノールの変換を高速液体クロマトグ
ラフィー(HPLCと略す)で経時的に測定した。この
結果、上記経路を確認することができたが、この変換速
度は非常に早く、大部分がコニフェリルアルコールから
バニリン酸にまで直ちに変換してしまい、分解過程にあ
るバニリン等の有用化合物を得ることはできなかった。
また、この菌株は、オイゲノール0.2%以上の存在下では
生育できず、生成物を多量に得るために原料であるオイ
ゲノールの量を増加することができないという欠点を有
していた。
【0006】さらに、本発明者は、自然界に存在する他
のいくつかの微生物についてもオイゲノールを資化する
能力を検索したが、いずれの微生物も、上記のシュウド
モナス属に属する微生物と同じくオイゲノールが直ちに
バニリン酸あるいはプロトカテキュ酸にまで変換される
か、もしくは、ベンゼン環が開環してしまい、バニリン
等を効率よく蓄積する微生物を見出すことはできなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、オ
イゲノールを酸化分解してバニリン並びにその関連化合
物であるコニフェリルアルコール、コニフェリルアルデ
ヒド、フェルラ酸およびバニリルアルコールを効率よく
生成、蓄積し得る変異株を調製し、得られた変異株を用
いる発酵法によって、オイゲノールを原料としてバニリ
ンおよびその関連化合物を製造する方法の提供を課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
を解決するために鋭意検討をした結果、上記のK.Tadasa
ら記載の文献に従い土壌から分離、確認したシュウドモ
ナス属に属する微生物を親株とし、これに変異誘導操作
を施すことにより所望の性質を有する変異株を調製し、
当該変異株を用いる発酵法を採用することにより上記課
題を解決し得ることを見出した。
【0009】すなわち本発明は、シュウドモナス属に属
し、唯一の炭素源としてオイゲノールで生育でき、バニ
リン、バニリン酸、またはバニリルアルコールでは生育
できないかあるいは極めて生育が悪く、かつオイゲノー
ルを酸化分解して、バニリン、コニフェリルアルコー
ル、コニフェリルアルデヒド、フェルラ酸、およびバニ
リルアルコールの中から選ばれる一種以上の化合物を生
産する性質を有する変異株を、オイゲノールの存在下に
培養し、培地中にバニリン、コニフェリルアルコール、
コニフェリルアルデヒド、フェルラ酸、およびバニリル
アルコールの中から選ばれる一種以上の化合物を生成、
蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする発酵法に
よるバニリン、コニフェリルアルコール、コニフェリル
アルデヒド、フェルラ酸、およびバニリルアルコールの
中から選ばれる一種以上の化合物の製造法を提供するも
のである。
【0010】本発明において使用される変異株は、上記
のごとくシュウドモナス属に属し、唯一の炭素源として
オイゲノールで生育でき、バニリン、バニリン酸、また
はバニリルアルコールでは生育できないかあるいは極め
て生育が悪く、かつ、オイゲノールを酸化分解してバニ
リン並びにその関連化合物であるコニフェリルアルコー
ル、コニフェリルアルデヒド、フェルラ酸およびバニリ
ルアルコールの中から選ばれる一種以上の化合物を生産
する性質を有する。そしてさらに、以下のような菌学的
性質を有する。 (a)形態 (1)細胞の形および大きさ:桿菌、0.6 ×1.1 μm (2)鞭毛:なし (3)グラム染色性:陰性 (b)生理学的性質 (1)硝酸塩の還元:陽性 (2)インドールの生成:陰性 (3)グルコースの酸性化:陰性 (4)ウレアーゼ:陽性 (5)オキシダーゼ:陽性 (6)アルギニンジヒドラーゼ:陽性 (7)β−グルコシダーゼ:陰性 (8)プロテアーゼ:陽性 (9)β−ガラクトシダーゼ:陰性 (c)炭素化合物の資化性 (1)L−アラビノース :− (2)D−グルコース :+ (3)D−マンノース :− (4)D−マンニット :+ (5)N−アセチル−D−グルコサミン:+ (6)マルトース :− (7)グルコン酸カリウム :+ (8)n−カプリン酸 :+ (9)アジピン酸 :+ (10)dl−リンゴ酸 :+ (11)クエン酸ナトリウム :+ (12)酢酸フェニル :− この変異株は、前に示したK.Tadasaらの方法〔Agric.Bi
ol.Chem., 41巻 (6) 925〜929 頁 (1977) およびAgric.
Biol.Chem., 47巻 (11) 2639〜2640頁 (1983)〕に従
い、土壌から分離、確認されるオイゲノールを資化する
シュウドモナス属に属する微生物を親株として変異誘導
を行うことによって得ることができる。この親株を分離
し得る土壌は、特に限定されるものでなく、ごく一般の
土壌でよいが、オイゲノールを含有する植物、例えばチ
ョウジ(Syzygium aromaticum )などが生えている土壌
であれば、目的とする親株が高い確率で分離される。そ
して、得られた親株に通常の変異誘導操作、例えば、紫
外線照射、あるいは、N−メチル−N´−ニトロ−N−
ニトロソグアニジン(NTGと略す)、ヘミ硫酸プロフ
ラビン、硫酸ジメチルなどの化学薬剤処理を単独に、ま
たは適宜組み合わせて施すことにより所望の性質を有す
る変異株を誘導することができる。さらに、サイト−ス
ペシフィックミュータジェネシス(Site-Specific Mutag
enesis) [Proc.Natl.Acad., 82巻, 5662-5666頁(198
4)]等の遺伝子工学的手法を駆使して親株の遺伝子の特
定部位を改変することにより、当該変異株を誘導するこ
とも可能である。そして、上記変異処理を施した菌体に
所望する変異株の性質に応じた選択圧をかけることによ
り本発明方法に使用する変異株を得ることができる。か
かる選択圧は、可能な限り当該変異株を分離するのに確
実かつ効率的であることが好ましいのはもちろんであ
る。例えば、変異処理した菌体を唯一の炭素源としてオ
イゲノールを含む最少培地上で培養し、唯一の炭素源と
して各々オイゲノールまたはバニリンを含む最少培地上
にレプリカする。次いで、唯一の炭素源としてオイゲノ
ールでは生育できるが、バニリンでは生育できないかあ
るいは極めて生育が悪いコロニーを分離することによっ
て、当該変異株を得ることができる。本例示方法におい
ては、最少培地に含む唯一の炭素源としてバニリンの他
に、バニリン酸、フェルラ酸またはバニリルアルコール
であってもよい。これらの炭素源は、最終的に製造を企
図する化合物がバニリンおよびその関連化合物のうちの
何れであるかによって選択するべきである。また、唯一
の炭素源として、コニフェリルアルコール、コニフェリ
ルアルデヒドを用いることもできるが、これらの化合物
は非常に高価であるので、上記した他の化合物を用いる
方が好ましい。
【0011】次に本発明で使用する変異株の変異誘導法
を以下の実験例にて具体的に示す。 [実験例] (1)本発明者は、前記K.Tadasaら記載の文献に開示さ
れた方法により、一般土壌からオイゲノールを酸化的に
バニリン酸にまで即時分解するシュウドモナス属に属す
る微生物を分離し、当該微生物を本発明に使用する変異
株の親株とした。なお、この親株TK−1112は、工業技
術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第12776号(F
ERN P−12776)として寄託されている。この親株
を、唯一の炭素源としてオイゲノールを含む最少寒天平
板培地で培養し、生育した菌体を集めて無菌水に懸濁
し、シャーレ上に105〜106個/mlの菌体を含むよ
うに調整した後、攪拌しながら、約255nmの殺菌灯
から23cm離して20秒間紫外線照射を行った。照射
後、菌体懸濁液40μlを、唯一の炭素源としてオイゲ
ノールを含む最少寒天平板培地に塗布し、30℃で2日
間培養した。出現したコロニーを、唯一の炭素源として
オイゲノール、バニリン、バニリン酸、またはバニリル
アルコールを各々に含む最少寒天平板培地にレプリカし
た。30℃で2日間培養後、オイゲノール含有最少寒天
平板培地に生育し他の最少培地には生育しなかったコロ
ニーを選択・分離した。なお、本実験例において用いた
最少寒天平板培地の組成を表1に示す。
【0012】 表 1 最少寒天平板培地の組成(1リットル当たり) ──────────────────────────────── リン酸一カリウム 2.0 g 硫酸アンモニウム 1.0 g 硫酸マグネシウム(7水塩) 0.05g 硫酸第一鉄(7水塩) 0.01g オイゲノール(またはバニリン、バニリン酸、 1.0 ml バニリルアルコール) アガロースHGS(ナカライテスク株式会社製のもの) 7.5g ──────────────────────────────── 以上の組成物を蒸留水1リットルに溶解し、水酸化ナト
リウムでpH7.2〜7.3に調整した後、121℃で10分間殺菌
して用いた。
【0013】上記紫外線照射処理を3回繰り返した後、
次の処理工程(2)に付した。 (2)紫外線照射処理を3回繰り返した菌体を前記
(1)と同様にして、105〜106 個/mlの菌体を
含むように調製し、この菌体懸濁液1mlに50〜20
0μg/mlの数段階の濃度になるようにNTG水溶液
を加え、室温で各々30〜60分間保持した。このNT
G処理を行った菌体をよく水洗した後、蒸留水1mlに
懸濁させ、このうち50μlを、唯一の炭素源としてオ
イゲノールを含む(1)と同じ最少寒天平板培地に塗布
し、30℃で2日間培養した。出現したコロニーから
(1)と同様にしてオイゲノール含有最少培地に生育し
他の最少培地には生育しないものを選択した。このNT
G処理を2回繰り返した後、さらにNTGに代えて硫酸
ジメチルを用いた以外は上記と同様の硫酸ジメチル処理
を1回行い、さらに(1)の紫外線照射処理を2回行っ
た。そして、得られた変異株を唯一の炭素源としてオイ
ゲノールを含む最少培地に坂口フラスコを用いて振盪培
養し、得られた変異株によるオイゲノールの変換をHP
LCで経時的に測定して、バニリン酸への変換速度が遅
く、バニリン並びにその関連化合物であるコニフェリル
アルコール、コニフェリルアルデヒド、フェルラ酸およ
びバニリルアルコールを生成、蓄積する菌株を選択し
た。
【0014】このうち最も高濃度のオイゲノールを資化
することができ、かつ、バニリン生産能の高い菌株TK
−2102を選んだ。本菌株は、工業技術院微生物工業
技術研究所に微工研菌寄第12689号(FERM P
−12689)として寄託されている。本菌株によるオ
イゲノールの変換をHPLCで経時的に測定した結果を
図1に示す。また、比較例として親株によるオイゲノー
ルの変換を同様にして測定した結果を図2に示す。
【0015】図2においては、親株がオイゲノールを消
費するのに同期して培地中のコニフェニルアルコールは
一時的に増加するものの、バニリンはもちろん、他の有
用な関連化合物であるコニフェリルアルデヒド、フェル
ラ酸、およびバニリルアルコールをHPLCで検出する
ことができず(図示せず)、相当量のバニリン酸と微量
のプロトカテク酸が検出されたのみであった。これに対
して変異株を用いた図1においては、オイゲノールの消
費に同期してコニフェニルアルコールはもちろん、バニ
リン、コニフェリルアルデヒド、及びフェルラ酸を相当
量HPLCで検出することができた。
【0016】この結果より、変異誘導操作により、バニ
リン並びにその関連化合物であるコニフェリルアルコー
ル、コニフェリルアルデヒド、フェルラ酸およびバニリ
ルアルコールの中から選ばれる一種以上の化合物を生
成、蓄積する変異株が得られたことが明らかになった。
本発明のバニリンおよびその関連化合物の製造法は、こ
のようにして得られた変異株を、オイゲノールの存在下
に培養し、培地中に目的化合物を生成、蓄積せしめ、こ
れを採取することにより実施される。
【0017】好適には、培地は、炭素源としてオイゲノ
ールを含有し、さらに窒素源、無機塩類、その他必要に
応じてアミノ酸、ビタミン、核酸等の有機微量栄養素を
含有する栄養培地を使用する。炭素源としては、オイゲ
ノールの他に、グルコースのような糖類、酢酸のような
有機酸類、エタノールのようなアルコール類を併用する
こともできるが、オイゲノールを資化する能力を最大と
するためには、オイゲノールのみを炭素源とするのが好
ましい。オイゲノールの培地への添加濃度は、1.5重量
%程度の高濃度でも可能であるが、バニリンおよびその
関連化合物の収率を考慮した場合、約0.1〜0.8重量%
とするのが好ましい。
【0018】窒素源としては、例えばアンモニウム塩
類、硝酸塩類のような無機窒素源あるいは尿素のような
有機窒素源が使用される。無機塩類としては、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウムまたは鉄の塩
類が使用できる。培養条件は充分な通気下とし、温度は
15〜45℃、特に好適には25〜40℃、培地のpH
は5.5〜7.5の範囲とし、回転または往復振盪装置
中、あるいは、攪拌及び通気装置付きの発酵装置で行う
のが好ましい。培養はバッチ式、半連続式、あるいは連
続的のいずれでも実施することができる。また、その他
の公知の方法、例えば天然高分子などによって包括した
固定化菌体を用いることによっても培養することができ
る。培養時間は、バニリン並びにその関連化合物である
コニフェリルアルコール、コニフェリルアルデヒド、フ
ェルラ酸およびバニリルアルコールのうち目的とする化
合物が最大量に達する時間を選べばよく、例えばバニリ
ンが最大量に達するまでの時間は、培養条件、特にオイ
ゲノールの量および培養温度によって異なるが、バッチ
式の場合培養開始から8〜100時間である。
【0019】培養液からバニリンおよびその関連化合物
を採取する方法は、公知の方法に従って行えばよく、培
養液から菌体を分離、除去した後、例えば酢酸エチルの
ような有機溶剤で抽出して、化学分割による酸性化合物
と中性化合物の分離、さらにシリカゲルカラムクロマト
グラフィーによる各化合物の分離によって行うことがで
きる。また、培養液を直接吸着樹脂を通して吸着させた
後、有機溶剤および水によって分離させれば容易に採取
することができる。
【0020】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではな
い。
【0021】
【実施例1】容量500mlの坂口フラスコに蒸留水1
00ml、オイゲノール0.1ml(培地中のオイゲノ
ールの濃度0.1v/v%、オイゲノールの比重=1.
066より換算して約0.11w/v%)、硫酸アンモ
ニウム0.1g、リン酸一カリウム0.2g、硫酸マグ
ネシウム0.005gおよび硫酸第一鉄0.001gを
加え、水酸化ナトリウムでpH7.2〜7.3に調整し
た後、121℃で10分間殺菌した。冷却後、変異株T
K−2102を接種し、37℃、150回/分に設定し
た往復振盪装置で培養した。培養液中のバニリン含有量
をHPLCで経時的に測定して、培養後9時間後にバニ
リン318mg/リットル、バニリルアルコール102
mg/リットル、フェルラ酸51mg/リットルが生成
していることを確認した。このようにして得られたバニ
リンなどを含む培養液1リットルを、遠心分離によって
菌体除去した後、50gの吸着樹脂DAIAION H
P20(三菱化成株式会社製)を充填したカラムに流し
入れた。フェルラ酸は吸着せずにそのまま流出した。次
いで蒸留水1リットルで洗浄した後、10%エタノール
水溶液を1リットル流し、バニリルアルコールを回収し
た。さらに30%エタノール水溶液を1.5リットル流
し、バニリンを回収した。尚、各化合物を回収した後の
樹脂は、日本薬局方規定のエタノール1リットルと蒸留
水1リットルで洗浄し、繰り返し使用した。各化合物を
回収した溶液は、各々エタノールと水を除去して、バニ
リン280mg、バニリルアルコール100mg、フェ
ルラ酸48mgを得た。
【0022】
【実施例2】容量2リットルの坂口フラスコに蒸留水5
00ml、オイゲノール1.5ml(培地中のオイゲノ
ールの濃度0.3v/v%、オイゲノールの比重=1.
066より換算して約0.32w/v%)、硝酸アンモ
ニウム0.5g、リン酸一カリウム0.5g、リン酸二
ナトリウム5.0g、硫酸マグネシウム0.1g、塩化
カルシウム0.05g、硫酸第一鉄0.05g、硫酸マ
ンガン0.3mgおよびモリブデン酸ナトリウム0.3
mgを加え、水酸化ナトリウムでpH7.2〜7.3に
調整した後、121℃で10分間殺菌した。冷却後、変
異株TK−2102を接種し、37℃、150回/分に
設定した往復振盪装置で培養した。培養液中のバニリン
含有量をHPLCで経時的に測定して、培養後72時間
後にコニフェリルアルコール1050mg/リットル、
バニリン460mg/リットル、バニリルアルコール4
40mg/リットル、コニフェリルアルデヒド270m
g/リットルが生成していることを確認した。このよう
にして得られたバニリンなどを含む培養液1リットル
を、遠心分離によって菌体除去した後、酢酸エチル1リ
ットルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液(pH8)
100mlで洗浄後、酢酸エチル層を濃縮した。濃縮液
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、展開溶
媒としてペンタン:エーテル=7:3(容量比)の混合
液100mlを流した後、エーテル200mlを流して
粗バニリン溶液を得た。エーテル除去後、少量のエタノ
ールに溶解し、徐々に冷却してバニリンの結晶350m
gを得た。バニリンの結晶を除去したエタノール溶液
を、50gの吸着樹脂DAIAION HP20(三菱
化成株式会社製)を充填したカラムに流し入れた。この
ものに5%エタノール水溶液を1リットル流し、バニリ
ルアルコールを回収した。次いで25%エタノール水溶
液を1リットル流し、コニフェリルアルコールを回収
し、さらに、40%エタノール水溶液を1リットル流
し、コニフェリルアルデヒドを回収した。各化合物を回
収した溶液は、各々エタノールと水を除去して、コニフ
ェリルアルコール780mg、バニリルアルコール32
0mg、コニフェリルアルデヒド190mgを得た。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法によれば、オイゲノールを
原料としてバニリン並びにその関連化合物であるコニフ
ェリルアルコール、コニフェリルアルデヒド、フェルラ
酸およびバニリルアルコールの中から選ばれる一種以上
の化合物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オイゲノール変換菌として変異株TK−210
2を用いた場合のオイゲノールの経時変化
【図2】オイゲノール変換菌として親株TK−1112
を用いた場合のオイゲノールの経時変化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (72)発明者 蟹沢 恒好 東京都大田区蒲田5丁目36番31号 高砂香 料工業株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュウドモナス属に属し、唯一の炭素源
    としてオイゲノールで生育でき、バニリン、バニリン
    酸、またはバニリルアルコールでは生育できないかある
    いは極めて生育が悪く、かつオイゲノールを酸化分解し
    てバニリン、コニフェリルアルコール、コニフェリルア
    ルデヒド、フェルラ酸、およびバニリルアルコールの中
    から選ばれる一種以上の化合物を生産する性質を有する
    変異株を、オイゲノールの存在下に培養し、培地中にバ
    ニリン、コニフェリルアルコール、コニフェリルアルデ
    ヒド、フェルラ酸、およびバニリルアルコールの中から
    選ばれる一種以上の化合物を生成、蓄積せしめ、これを
    採取することを特徴とする発酵法によるバニリン、コニ
    フェリルアルコール、コニフェリルアルデヒド、フェル
    ラ酸、およびバニリルアルコールの中から選ばれる一種
    以上の化合物の製造法。
JP3533892A 1992-02-21 1992-02-21 発酵法によるバニリンおよびその関連化合物の製造法 Pending JPH05227980A (ja)

Priority Applications (1)

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JP3533892A JPH05227980A (ja) 1992-02-21 1992-02-21 発酵法によるバニリンおよびその関連化合物の製造法

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JP3533892A JPH05227980A (ja) 1992-02-21 1992-02-21 発酵法によるバニリンおよびその関連化合物の製造法

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JPH05227980A true JPH05227980A (ja) 1993-09-07

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ID=12439065

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