JPH05219975A - タベルソニン誘導体の製造方法 - Google Patents
タベルソニン誘導体の製造方法Info
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- JPH05219975A JPH05219975A JP4026551A JP2655192A JPH05219975A JP H05219975 A JPH05219975 A JP H05219975A JP 4026551 A JP4026551 A JP 4026551A JP 2655192 A JP2655192 A JP 2655192A JP H05219975 A JPH05219975 A JP H05219975A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 アスピドスペルマ型インドールアルカロイド
を産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培
養培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を
行ない、培養物よりタベルソニン誘導体を採取すること
を特徴とするタベルソニン誘導体の製造方法。タベルソ
ニン誘導体収量を増加させるため、アスコルビン酸、A
TPを更に添加して培養するタベルソニン誘導体の製造
方法。 【効果】 本発明方法は、タベルソニン誘導体の生産を
可能にする。
を産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培
養培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を
行ない、培養物よりタベルソニン誘導体を採取すること
を特徴とするタベルソニン誘導体の製造方法。タベルソ
ニン誘導体収量を増加させるため、アスコルビン酸、A
TPを更に添加して培養するタベルソニン誘導体の製造
方法。 【効果】 本発明方法は、タベルソニン誘導体の生産を
可能にする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急性白血病、悪性リン
パ種等の治療薬として重要なビンクリスチンやビンブラ
スチンの生合成中間体と考えられるタベルソニン誘導体
の製造方法に関する。
パ種等の治療薬として重要なビンクリスチンやビンブラ
スチンの生合成中間体と考えられるタベルソニン誘導体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タベルソニンは、キョウチクトウ科チョ
ウジソウ属の多年生植物であるチョウジソウ(Amsonia e
lliptica Roem. et. Schult)やアメリカチョウジソウ
(A.tabernaemontana Walt)の種子に多く含まれているア
スピドスペルマ型インドールアルカロイドである。急性
白血病、悪性リンパ種等の治療薬として重要なビンクリ
スチン(Vincristine) やビンブラスチン(Vinblastine)
は、ビンドリンとカサランチンを構成単位としてなる二
量体であり、タベルソニンはビンドリンの生合成中間体
であると考えられている。現在、ビンクリスチン又はビ
ンブラスチンの製造は、天然の又は栽培された植物体中
から採取されており、植物の培養細胞を利用した方法は
知られていない。更に、ニチニチソウのカルス培養より
ビンドリン生産が認められた例もない。もし、タベルソ
ニンから上述したビンドリンなどのタベルソニン誘導体
の合成が組織培養を利用して行なうことができれば、ビ
ンクリスチンやビンブラスチンの化学合成原料になるの
で有利である。
ウジソウ属の多年生植物であるチョウジソウ(Amsonia e
lliptica Roem. et. Schult)やアメリカチョウジソウ
(A.tabernaemontana Walt)の種子に多く含まれているア
スピドスペルマ型インドールアルカロイドである。急性
白血病、悪性リンパ種等の治療薬として重要なビンクリ
スチン(Vincristine) やビンブラスチン(Vinblastine)
は、ビンドリンとカサランチンを構成単位としてなる二
量体であり、タベルソニンはビンドリンの生合成中間体
であると考えられている。現在、ビンクリスチン又はビ
ンブラスチンの製造は、天然の又は栽培された植物体中
から採取されており、植物の培養細胞を利用した方法は
知られていない。更に、ニチニチソウのカルス培養より
ビンドリン生産が認められた例もない。もし、タベルソ
ニンから上述したビンドリンなどのタベルソニン誘導体
の合成が組織培養を利用して行なうことができれば、ビ
ンクリスチンやビンブラスチンの化学合成原料になるの
で有利である。
【0003】一方、ニチニチソウの組織培養によるタベ
ルソニン誘導体生産の先行技術としては、特開平2-1339
0 号公報にニチニチソウ培養細胞又は茎葉器官の培養培
地中にタベルソニンを添加してタベルソニン誘導体を得
る方法が記載されている。しかしながら、特開平2-1339
0 号公報の実施例に記載のタベルソニン誘導体はロクネ
リシン及びロクネリニンであり、これらの物質は、V.DE
LUCAらの報告〔J. Plant Physiol. 125, 147-156(198
6)〕するタベルソニンからビンドリンへの生合成系路上
の物質とは異なる。ビンドリン生合成経路上のタベルソ
ニン誘導体としては、16−ヒドロキシタベルソニン、16
−メトキシタベルソニン、16−メトキシ−2,3−ジヒ
ドロ−3−ヒドロキシタベルソニン、4−デスアセトキ
シビンドリン、デアセチルビンドリンが挙げられるが、
これらの物質を生産する例についてはこれまで知られて
いない。
ルソニン誘導体生産の先行技術としては、特開平2-1339
0 号公報にニチニチソウ培養細胞又は茎葉器官の培養培
地中にタベルソニンを添加してタベルソニン誘導体を得
る方法が記載されている。しかしながら、特開平2-1339
0 号公報の実施例に記載のタベルソニン誘導体はロクネ
リシン及びロクネリニンであり、これらの物質は、V.DE
LUCAらの報告〔J. Plant Physiol. 125, 147-156(198
6)〕するタベルソニンからビンドリンへの生合成系路上
の物質とは異なる。ビンドリン生合成経路上のタベルソ
ニン誘導体としては、16−ヒドロキシタベルソニン、16
−メトキシタベルソニン、16−メトキシ−2,3−ジヒ
ドロ−3−ヒドロキシタベルソニン、4−デスアセトキ
シビンドリン、デアセチルビンドリンが挙げられるが、
これらの物質を生産する例についてはこれまで知られて
いない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、植物組織培
養により、タベルソニン誘導体を簡便に製造する方法を
提供することを目的とする。
養により、タベルソニン誘導体を簡便に製造する方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、アスピドスペルマ型インドールアルカロイドを
産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培養
培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を行
なうと、培養物中にタベルソニン誘導体が生産されるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
の結果、アスピドスペルマ型インドールアルカロイドを
産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培養
培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を行
なうと、培養物中にタベルソニン誘導体が生産されるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明のタベルソニン誘導体の製造
方法は、アスピドスペルマ型インドールアルカロイドを
産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培養
培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を行
ない、培養物よりタベルソニン誘導体を採取することを
特徴とするものである。本発明の製造方法において組織
培養し、生産されるタベルソニン誘導体としては、例え
ば16−ヒドロキシタベルソニン、16−メトキシタベ
ルソニン等が挙げられる。
方法は、アスピドスペルマ型インドールアルカロイドを
産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組織培養
培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培養を行
ない、培養物よりタベルソニン誘導体を採取することを
特徴とするものである。本発明の製造方法において組織
培養し、生産されるタベルソニン誘導体としては、例え
ば16−ヒドロキシタベルソニン、16−メトキシタベ
ルソニン等が挙げられる。
【0007】本発明の製造方法において組織培養に用い
られるアスピドスペルマ型インドールアルカロイドを産
生する植物としては、タベルソニン、16−ヒドロキシ
タベルソニン、16−メトキシタベルソニン、ビンドリ
ン等のアスピドスペルマ型インドールアルカロイドを産
生する植物であれば特に制限はなく、例えばニチニチソ
ウ属植物のリトル・ブライト・アイ品種(Catharanthus
roseus var. Little Bright Eye)、ジー・ドン品種(C.r
oseus G. Don) 、リトル・デリカタ品種(C.roseus cv.
Little Delicata)等;チョウジソウ属植物のAmsonia te
bernaemontana,Walt等が挙げられる。
られるアスピドスペルマ型インドールアルカロイドを産
生する植物としては、タベルソニン、16−ヒドロキシ
タベルソニン、16−メトキシタベルソニン、ビンドリ
ン等のアスピドスペルマ型インドールアルカロイドを産
生する植物であれば特に制限はなく、例えばニチニチソ
ウ属植物のリトル・ブライト・アイ品種(Catharanthus
roseus var. Little Bright Eye)、ジー・ドン品種(C.r
oseus G. Don) 、リトル・デリカタ品種(C.roseus cv.
Little Delicata)等;チョウジソウ属植物のAmsonia te
bernaemontana,Walt等が挙げられる。
【0008】前記植物の組織培養は、本発明により2−
オキソグルタル酸のみを添加するか、更にアスコルビン
酸及び/又はアデノシン三リン酸(以下「ATP」とい
う。)を添加する以外は、従来普通の手段によって行な
うことができる。2−オキソグルタル酸は、培地におけ
る濃度が 1〜50mM、好ましくは 5〜20mM、アスコルビン
酸は、培地における濃度が0.05〜2mM 、好ましくは0.1
〜1mM 、ATPは、培地における濃度が0.01〜5mM 、好
ましくは0.05〜0.5mM になる量で使用される。
オキソグルタル酸のみを添加するか、更にアスコルビン
酸及び/又はアデノシン三リン酸(以下「ATP」とい
う。)を添加する以外は、従来普通の手段によって行な
うことができる。2−オキソグルタル酸は、培地におけ
る濃度が 1〜50mM、好ましくは 5〜20mM、アスコルビン
酸は、培地における濃度が0.05〜2mM 、好ましくは0.1
〜1mM 、ATPは、培地における濃度が0.01〜5mM 、好
ましくは0.05〜0.5mM になる量で使用される。
【0009】従来、インドールアルカロイド産生植物の
組織培養において培地添加物として2−オキソグルタル
酸は使用されなかったので、2−オキソグルタル酸の使
用によりタベルソニン誘導体の生産が認められることは
容易に予想できなかった。本発明で使用される培地は、
前記2−オキソグルタル酸、アスコルビン酸、ATPの
他に、普通の培地成分を含有する。このような成分とし
て一般に炭素源及び無機成分が用いられ、これに植物ホ
ルモン類、ビタミン類を添加し、更に必要に応じてアミ
ノ酸類を添加することができる。炭素源としては、シュ
クロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコ
ース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、デンプ
ンあるいはこれら糖源の2種類以上を適当な比率で混合
したものを使用できる。
組織培養において培地添加物として2−オキソグルタル
酸は使用されなかったので、2−オキソグルタル酸の使
用によりタベルソニン誘導体の生産が認められることは
容易に予想できなかった。本発明で使用される培地は、
前記2−オキソグルタル酸、アスコルビン酸、ATPの
他に、普通の培地成分を含有する。このような成分とし
て一般に炭素源及び無機成分が用いられ、これに植物ホ
ルモン類、ビタミン類を添加し、更に必要に応じてアミ
ノ酸類を添加することができる。炭素源としては、シュ
クロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコ
ース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、デンプ
ンあるいはこれら糖源の2種類以上を適当な比率で混合
したものを使用できる。
【0010】無機成分としては、例えばリン、窒素、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マン
ガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウ
ム、ヨウ素、コバルト等が挙げられ、これらの成分は、
例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウ
ム、塩化カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水
素カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、
硫酸亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、
三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の
化合物として添加できる。
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マン
ガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウ
ム、ヨウ素、コバルト等が挙げられ、これらの成分は、
例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウ
ム、塩化カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水
素カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸
ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、
硫酸亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、
三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の
化合物として添加できる。
【0011】植物ホルモンとしては、例えばインドール
酢酸(IAA) 、ナフタレン酢酸(NAA)、p−クロロフェノ
キシイソ酪酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-
D) 等のオーキシン類、カイネチン、ゼアチン、ジヒド
ロゼアチン等のサイトカイニン類が用いられる。ビタミ
ン類としては、例えばビオチン、チアミン(ビタミンB
1 )、ピリドキシン(ビタミンB6 )、パントテン酸、
イノシトール、ニコチン酸等が用いられる。
酢酸(IAA) 、ナフタレン酢酸(NAA)、p−クロロフェノ
キシイソ酪酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-
D) 等のオーキシン類、カイネチン、ゼアチン、ジヒド
ロゼアチン等のサイトカイニン類が用いられる。ビタミ
ン類としては、例えばビオチン、チアミン(ビタミンB
1 )、ピリドキシン(ビタミンB6 )、パントテン酸、
イノシトール、ニコチン酸等が用いられる。
【0012】アミノ酸類としては、例えばグリシン、ア
ラニン、グルタミン、システイン等を添加できる。一般
に前記の各成分は、炭素源が約1 〜約30g/l 、無機成分
が約0.1 μM ないし100mM 、植物ホルモン類が約0.01〜
約10μM 、ビタミン類及びアミノ酸類がそれぞれ約0.1
〜約100mg/l の濃度で用いられる。
ラニン、グルタミン、システイン等を添加できる。一般
に前記の各成分は、炭素源が約1 〜約30g/l 、無機成分
が約0.1 μM ないし100mM 、植物ホルモン類が約0.01〜
約10μM 、ビタミン類及びアミノ酸類がそれぞれ約0.1
〜約100mg/l の濃度で用いられる。
【0013】本発明の組織培養に用いられる培地として
は、従来から知られている植物の組織培養に用いられる
培地、例えばムラシゲ・スクーグ(1962 年) 〔Murashig
e &Skoog 〕の培地、リンスマイヤー・スクーグ(1965
年) 〔Linsmaier Skoog 〕の培地、ホワイト(1954 年)
〔White 〕の培地、ガンボルグ〔Gamborg 〕のB−5培
地、三井のM−9培地等に前記の植物ホルモンを添加
し、更に必要に応じて前記した炭素源、ビタミン類、ア
ミノ酸等を添加して調製される培地を例示できるが、こ
の中でも特にムラシゲ・スクーグの培地を用いて調製さ
れる培地が好ましい。
は、従来から知られている植物の組織培養に用いられる
培地、例えばムラシゲ・スクーグ(1962 年) 〔Murashig
e &Skoog 〕の培地、リンスマイヤー・スクーグ(1965
年) 〔Linsmaier Skoog 〕の培地、ホワイト(1954 年)
〔White 〕の培地、ガンボルグ〔Gamborg 〕のB−5培
地、三井のM−9培地等に前記の植物ホルモンを添加
し、更に必要に応じて前記した炭素源、ビタミン類、ア
ミノ酸等を添加して調製される培地を例示できるが、こ
の中でも特にムラシゲ・スクーグの培地を用いて調製さ
れる培地が好ましい。
【0014】本発明には液体培地及び寒天やゲランガム
等を通常0.1 〜1 %含有する固形培地のいずれも使用で
きるが、通常は液体培地が好ましい。本発明の組織培養
においては、上記植物の根、生長点、葉、茎、種子、花
粉、葯、がく等の組織片又は細胞、あるいはこれらを本
発明による培地あるいは他の従来の培地によって組織培
養して得られる培養細胞又は培養組織あるいはプラスミ
ドの導入によって形質転換したクラウンゴール組織を使
用することができる。これらの組織又は細胞を本発明に
より2−オキソグルタル酸を添加した培地を用いて組織
培養すると、無添加では得られなかったタベルソニン誘
導体を含有する培養組織又は培養細胞が得られる。この
培養組織又は培養細胞から、メタノール等の有機溶媒に
よる抽出によってタベルソニン誘導体を分離することが
できる。
等を通常0.1 〜1 %含有する固形培地のいずれも使用で
きるが、通常は液体培地が好ましい。本発明の組織培養
においては、上記植物の根、生長点、葉、茎、種子、花
粉、葯、がく等の組織片又は細胞、あるいはこれらを本
発明による培地あるいは他の従来の培地によって組織培
養して得られる培養細胞又は培養組織あるいはプラスミ
ドの導入によって形質転換したクラウンゴール組織を使
用することができる。これらの組織又は細胞を本発明に
より2−オキソグルタル酸を添加した培地を用いて組織
培養すると、無添加では得られなかったタベルソニン誘
導体を含有する培養組織又は培養細胞が得られる。この
培養組織又は培養細胞から、メタノール等の有機溶媒に
よる抽出によってタベルソニン誘導体を分離することが
できる。
【0015】本発明の組織培養の好ましい一例として
は、次の方法が挙げられる。先ず、ニチニチソウ属に属
する植物の植物体、例えば根、生長点、葉、茎、種子等
から採取される植物片を殺菌処理後、寒天で固めたムラ
シゲ・スクーグの固体培地上に置床し、10〜35℃で7 〜
30日程度経過させて組織片の一部をカルス化させる。こ
のようにして得られたカルスを継代培養すると生育速度
が漸次高まり安定化したカルスが得られる。このカルス
を増殖に適した液体培地、例えばムラシゲ・スクーグの
液体培地に移して増殖させる。液体培地において更に生
育速度が高められる。この安定化した培養細胞を、本発
明により2−オキソグルタル酸を含有する液体培地に添
加して培養する。
は、次の方法が挙げられる。先ず、ニチニチソウ属に属
する植物の植物体、例えば根、生長点、葉、茎、種子等
から採取される植物片を殺菌処理後、寒天で固めたムラ
シゲ・スクーグの固体培地上に置床し、10〜35℃で7 〜
30日程度経過させて組織片の一部をカルス化させる。こ
のようにして得られたカルスを継代培養すると生育速度
が漸次高まり安定化したカルスが得られる。このカルス
を増殖に適した液体培地、例えばムラシゲ・スクーグの
液体培地に移して増殖させる。液体培地において更に生
育速度が高められる。この安定化した培養細胞を、本発
明により2−オキソグルタル酸を含有する液体培地に添
加して培養する。
【0016】本発明の組織培養における2−オキソグル
タル酸、アスコルビン酸、ATPの添加時期としては、
培養開始7日目以降で添加効果が認められるが、9日目
以降が好適である。本発明の組織培養における培養温度
としては、通常は約10〜約35℃、特に約23〜28℃が好適
である。約10℃未満では増殖速度が小さく、約35℃より
高くても同様に増殖速度が小さい。本発明の組織培養を
行なうに当たっては、光は必ずしも必要ではないが、光
の照射はタベルソニン誘導体の生成を妨げない。
タル酸、アスコルビン酸、ATPの添加時期としては、
培養開始7日目以降で添加効果が認められるが、9日目
以降が好適である。本発明の組織培養における培養温度
としては、通常は約10〜約35℃、特に約23〜28℃が好適
である。約10℃未満では増殖速度が小さく、約35℃より
高くても同様に増殖速度が小さい。本発明の組織培養を
行なうに当たっては、光は必ずしも必要ではないが、光
の照射はタベルソニン誘導体の生成を妨げない。
【0017】本発明の製造方法において液体培地を用い
た場合には、培養終了後に培養組織又は培養細胞をデカ
ンテーション又は濾過等の方法によって培地から分離
し、このものから目的とするタベルソニン誘導体を有機
溶媒による抽出等の方法によって分離することができ
る。
た場合には、培養終了後に培養組織又は培養細胞をデカ
ンテーション又は濾過等の方法によって培地から分離
し、このものから目的とするタベルソニン誘導体を有機
溶媒による抽出等の方法によって分離することができ
る。
【0018】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に
限定されるものではない。
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0019】
【実施例1】ナフタレン酢酸及びカイネチンをそれぞれ
1ppm及び0.1ppmの濃度になるように添加したムラシゲ・
スクーグの寒天培地(寒天1重量%)に、前もって2%
アンチホルミン溶液又は70%エタノール溶液等で滅菌処
理したニチニチソウ(Catharanthus roseus var. Littl
e Bright, マダカスガル原産)の葯の一部を置床し、25
℃で暗所にて静置培養してニチニチソウカルスを得た。
次に、このカルスを、上記の2成分を同じ濃度で添加し
たムラシゲ・スクーグの液体培地でロータリーシェーカ
ー上で旋回培養(振幅25mm、100rpm)し、7 日毎に植え
つぎ、該カルスの生育速度を速め、安定化したニチニチ
ソウ培養細胞を得た。
1ppm及び0.1ppmの濃度になるように添加したムラシゲ・
スクーグの寒天培地(寒天1重量%)に、前もって2%
アンチホルミン溶液又は70%エタノール溶液等で滅菌処
理したニチニチソウ(Catharanthus roseus var. Littl
e Bright, マダカスガル原産)の葯の一部を置床し、25
℃で暗所にて静置培養してニチニチソウカルスを得た。
次に、このカルスを、上記の2成分を同じ濃度で添加し
たムラシゲ・スクーグの液体培地でロータリーシェーカ
ー上で旋回培養(振幅25mm、100rpm)し、7 日毎に植え
つぎ、該カルスの生育速度を速め、安定化したニチニチ
ソウ培養細胞を得た。
【0020】このようにして得られた培養細胞1.6g(新
鮮重)を、ナフタレン酢酸及びカイネチンをそれぞれ1p
pm及び0.1ppmの濃度になるように添加したムラシゲ・ス
クーグの液体培地45ml入りの300 容三角フラスコに移し
て、25℃で振盪培養し、培養9日目に2−オキソグルタ
ル酸を10mMの濃度になるよう添加し、更に5日間25℃で
振盪培養した。
鮮重)を、ナフタレン酢酸及びカイネチンをそれぞれ1p
pm及び0.1ppmの濃度になるように添加したムラシゲ・ス
クーグの液体培地45ml入りの300 容三角フラスコに移し
て、25℃で振盪培養し、培養9日目に2−オキソグルタ
ル酸を10mMの濃度になるよう添加し、更に5日間25℃で
振盪培養した。
【0021】培養終了後、ニチニチソウ培養細胞を濾過
により採取し、40℃で1夜風乾した後、その乾燥重量を
測定し、液体培地1L当たりの培養細胞の生育重量を求め
た。得られた乾燥カルスからメタノール等を用いてタベ
ルソニン誘導体を抽出し、高速液体クロマトグラフィー
を用いて標準品タベルソニンと比較定量することによっ
てアルカロイド収量を測定した。その結果を表1に示
す。
により採取し、40℃で1夜風乾した後、その乾燥重量を
測定し、液体培地1L当たりの培養細胞の生育重量を求め
た。得られた乾燥カルスからメタノール等を用いてタベ
ルソニン誘導体を抽出し、高速液体クロマトグラフィー
を用いて標準品タベルソニンと比較定量することによっ
てアルカロイド収量を測定した。その結果を表1に示
す。
【0022】〔比較例1〕実施例1において、2−オキ
ソグルタル酸を添加しない培地を用いた以外は該実施例
と同様に操作した。その結果を表1に示す。
ソグルタル酸を添加しない培地を用いた以外は該実施例
と同様に操作した。その結果を表1に示す。
【0023】
【実施例2】実施例1において、更にアスコルビン酸を
添加した培地を用いた以外は該実施例と同様に操作し
た。その結果を表1に示す。 〔比較例2〕実施例2において、アスコルビン酸のみを
添加した培地を用いた以外は該実施例と同様に操作し
た。その結果を表1に示す。
添加した培地を用いた以外は該実施例と同様に操作し
た。その結果を表1に示す。 〔比較例2〕実施例2において、アスコルビン酸のみを
添加した培地を用いた以外は該実施例と同様に操作し
た。その結果を表1に示す。
【0024】
【実施例3】実施例1において、更にATPを添加した
培地を用いた以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。 〔比較例3〕実施例3において、ATPのみを添加した
培地を用いた以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。
培地を用いた以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。 〔比較例3〕実施例3において、ATPのみを添加した
培地を用いた以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。
【0025】
【実施例4】実施例1において、更にアスコルビン酸及
びATPを添加した培地を用いた以外は該実施例と同様
に操作した。その結果を表1に示す。
びATPを添加した培地を用いた以外は該実施例と同様
に操作した。その結果を表1に示す。
【0026】
【実施例5】実施例4において、2−オキソグルタル
酸、アスコルビン酸及びATPの添加時期を培養開始7
日目とする以外は該実施例と同様に操作した。その結果
を表1に示す。
酸、アスコルビン酸及びATPの添加時期を培養開始7
日目とする以外は該実施例と同様に操作した。その結果
を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例6】実施例1において、得られた乾燥カルスか
らメタノール等を用いてタベルソニン誘導体を抽出した
後、高速液体クロマトグラフィーを用いて分取した以外
は該実施例と同様に操作した。分取した画分について質
量分析、TLCについて分析した結果、表2に示す通り
タベルソニンが水酸化された16−ヒドロキシタベルソ
ニンであることが判明した。
らメタノール等を用いてタベルソニン誘導体を抽出した
後、高速液体クロマトグラフィーを用いて分取した以外
は該実施例と同様に操作した。分取した画分について質
量分析、TLCについて分析した結果、表2に示す通り
タベルソニンが水酸化された16−ヒドロキシタベルソ
ニンであることが判明した。
【0029】 表2 MS 352(M+) TLC Rf値(ジエチルエーテル:n−ヘキサン=1:1) 0.36 Rf値(酢酸エチル:エチルアルコール=3:1) 0.94 セリックアンモニウムサルフェートによる発色 青色
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、アスピドスペルマ型イ
ンドールアルカロイド産生植物の組織培養によって、タ
ベルソニン誘導体の合成が簡便に行えるようになった。
タベルソニン誘導体は、医薬品として重要なビンクリス
チンやビンブラスチンの中間体であると考えられるの
で、本発明により、ビンクリスチンやビンブラスチンの
化学合成のための原料を容易に提供できるようになっ
た。
ンドールアルカロイド産生植物の組織培養によって、タ
ベルソニン誘導体の合成が簡便に行えるようになった。
タベルソニン誘導体は、医薬品として重要なビンクリス
チンやビンブラスチンの中間体であると考えられるの
で、本発明により、ビンクリスチンやビンブラスチンの
化学合成のための原料を容易に提供できるようになっ
た。
Claims (4)
- 【請求項1】 アスピドスペルマ型インドールアルカロ
イドを産生する植物の培養細胞又は茎葉器官培養株の組
織培養培地中に2−オキソグルタル酸を添加して組織培
養を行ない、培養物よりタベルソニン誘導体を採取する
ことを特徴とするタベルソニン誘導体の製造方法。 - 【請求項2】 アスピドスペルマ型インドールアルカロ
イドを産生する植物がニチニチソウ属植物であることを
特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 培地中に、更にアスコルビン酸及び/又
はアデノシン三リン酸を添加して培養することを特徴と
する請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 2−オキソグルタル酸、並びにアスコル
ビン酸及び/又はアデノシン三リン酸の添加時期が培養
開始7日目以降であることを特徴とする請求項3記載の
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4026551A JPH05219975A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | タベルソニン誘導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4026551A JPH05219975A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | タベルソニン誘導体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05219975A true JPH05219975A (ja) | 1993-08-31 |
Family
ID=12196662
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4026551A Pending JPH05219975A (ja) | 1992-02-13 | 1992-02-13 | タベルソニン誘導体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05219975A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0892117A (ja) * | 1994-07-11 | 1996-04-09 | L'oreal Sa | ニチニチソウ種子からの抽出物、その取得方法及びこれを含有する組成物 |
-
1992
- 1992-02-13 JP JP4026551A patent/JPH05219975A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0892117A (ja) * | 1994-07-11 | 1996-04-09 | L'oreal Sa | ニチニチソウ種子からの抽出物、その取得方法及びこれを含有する組成物 |
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