JPH05176781A - 4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2h)フラノンの製造法 - Google Patents
4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2h)フラノンの製造法Info
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- JPH05176781A JPH05176781A JP35683791A JP35683791A JPH05176781A JP H05176781 A JPH05176781 A JP H05176781A JP 35683791 A JP35683791 A JP 35683791A JP 35683791 A JP35683791 A JP 35683791A JP H05176781 A JPH05176781 A JP H05176781A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5
(又は2)メチル−3(2H)フラノンを効率良く製造
すること。 【構成】 大豆分離蛋白質や変性脱脂大豆などの高蛋白
質含有原料を蛋白質分解酵素、澱粉質分解酵素、植物細
胞壁崩壊酵素等の酵素によって泥状に分解し、次いで固
液分離して澄明な液体を得、これを限外濾過膜、透析
膜、逆浸透膜による膜分離法や、ゲル濾過法によって、
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離し、これ
を添加した培地に酵母を接種培養して、培地中に4−ヒ
ドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−
3(2H)フラノンを生成蓄積せしめる。
(又は2)メチル−3(2H)フラノンを効率良く製造
すること。 【構成】 大豆分離蛋白質や変性脱脂大豆などの高蛋白
質含有原料を蛋白質分解酵素、澱粉質分解酵素、植物細
胞壁崩壊酵素等の酵素によって泥状に分解し、次いで固
液分離して澄明な液体を得、これを限外濾過膜、透析
膜、逆浸透膜による膜分離法や、ゲル濾過法によって、
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離し、これ
を添加した培地に酵母を接種培養して、培地中に4−ヒ
ドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−
3(2H)フラノンを生成蓄積せしめる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、風味改良剤としての利
用が期待される4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−
5(又は2)メチル−3(2H)フラノン(以下、HE
MFということがある)を効率的に製造する方法に関す
る。
用が期待される4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−
5(又は2)メチル−3(2H)フラノン(以下、HE
MFということがある)を効率的に製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】HEMFは先に、本発明者らが醤油成分
についての研究中に醤油成分の1つとして醸造醤油より
見出したもので、これを醤油、ソース、塩味淋等に添加
すると、味の調和が損われることなくその鹹味が著しく
緩和された調味料が得られることから、食品の風味改良
剤、特に含塩調味料の鹹味緩和剤として利用が期待され
ている。従来、醤油麹に約10倍量の水を加え、高温で
数時間消化した後、煮沸し、濾過して得られた醤油麹消
化液に醤油酵母を接種、培養して、培地中にHEMFを
生成蓄積させることが知られている。
についての研究中に醤油成分の1つとして醸造醤油より
見出したもので、これを醤油、ソース、塩味淋等に添加
すると、味の調和が損われることなくその鹹味が著しく
緩和された調味料が得られることから、食品の風味改良
剤、特に含塩調味料の鹹味緩和剤として利用が期待され
ている。従来、醤油麹に約10倍量の水を加え、高温で
数時間消化した後、煮沸し、濾過して得られた醤油麹消
化液に醤油酵母を接種、培養して、培地中にHEMFを
生成蓄積させることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法は、
生成蓄積量が僅かに数ppm程度に過ぎないため工業的
に有利に利用できない欠点を有する。また、HEMFは
半年〜1年熟成させ得られた醸造醤油中に150〜40
0ppm存在することが知られている(昭和59年、日
本農芸化学会講演要旨集、第129頁参照)が、この醤
油中には確認されただけでも267の香気成分があるこ
とが知られ(日本醸造協会雑誌、第75巻、第9号、1
980年、第717〜728頁、「醤油の香り(2)」
参照)ている。従って、このように沢山の成分の中か
ら、目的とするHEMFのみを単離精製するには、操作
が繁雑となる欠点を有する。
生成蓄積量が僅かに数ppm程度に過ぎないため工業的
に有利に利用できない欠点を有する。また、HEMFは
半年〜1年熟成させ得られた醸造醤油中に150〜40
0ppm存在することが知られている(昭和59年、日
本農芸化学会講演要旨集、第129頁参照)が、この醤
油中には確認されただけでも267の香気成分があるこ
とが知られ(日本醸造協会雑誌、第75巻、第9号、1
980年、第717〜728頁、「醤油の香り(2)」
参照)ている。従って、このように沢山の成分の中か
ら、目的とするHEMFのみを単離精製するには、操作
が繁雑となる欠点を有する。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等はこ
のような現状に鑑み種々検討を重ねた結果、高蛋白質含
有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分
子量1000以下の物質を分離しこれを添加した培地
に、酵母を接種培養するときは、短期間に該培地中にH
EMFを生成蓄積させることができ、これを工業的に有
利に利用できることを知りこの知見に基いて本発明を完
成した。即ち、本発明は高蛋白質含有原料の酵素分解液
を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以下の
物質を分離しこれを含有した培地に、酵母を接種、培養
して、該培地中にHEMFを生成蓄積せしめることを特
徴とするHEMFの製造法である。
のような現状に鑑み種々検討を重ねた結果、高蛋白質含
有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分
子量1000以下の物質を分離しこれを添加した培地
に、酵母を接種培養するときは、短期間に該培地中にH
EMFを生成蓄積させることができ、これを工業的に有
利に利用できることを知りこの知見に基いて本発明を完
成した。即ち、本発明は高蛋白質含有原料の酵素分解液
を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以下の
物質を分離しこれを含有した培地に、酵母を接種、培養
して、該培地中にHEMFを生成蓄積せしめることを特
徴とするHEMFの製造法である。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。先ず、本発
明に用いられる酵母の栄養培地としては、高蛋白質含
有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分
子量1000以下の物質を分離したものを適宜な水分濃
度に調整したものをそのまま使用した培地、又は、通
常の酵母の培養に用いられる炭素源、窒素源、無機物そ
の他必要とする微量の栄養素を添加含有させた合成また
は天然の栄養培地に、上記高蛋白質含有原料の酵素分解
液を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以下
の物質を分離したものを添加した培地が挙げられる。
明に用いられる酵母の栄養培地としては、高蛋白質含
有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分
子量1000以下の物質を分離したものを適宜な水分濃
度に調整したものをそのまま使用した培地、又は、通
常の酵母の培養に用いられる炭素源、窒素源、無機物そ
の他必要とする微量の栄養素を添加含有させた合成また
は天然の栄養培地に、上記高蛋白質含有原料の酵素分解
液を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以下
の物質を分離したものを添加した培地が挙げられる。
【0006】上記合成または天然の培地における炭素源
としては、例えばグルコース、フラクトース、シューク
ロース、マルトース、マンノース、グリセロール、澱
粉、澱粉加水分解液、糖蜜、廃糖蜜等の炭水化物、ポリ
アルコール、ピルビン酸、フマール酸、乳酸、酢酸等の
有機酸、炭化水素、アルコール等の酵母が資化可能な炭
素源ならば何れでもよい。窒素源としては、アンモニ
ア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム等の各種の無機又は有機アン
モニウム塩類、尿素等の窒素含有物質、ペプトン、肉エ
キス、コーンスチープリカー等の窒素性有機物質等が用
いられる。
としては、例えばグルコース、フラクトース、シューク
ロース、マルトース、マンノース、グリセロール、澱
粉、澱粉加水分解液、糖蜜、廃糖蜜等の炭水化物、ポリ
アルコール、ピルビン酸、フマール酸、乳酸、酢酸等の
有機酸、炭化水素、アルコール等の酵母が資化可能な炭
素源ならば何れでもよい。窒素源としては、アンモニ
ア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム等の各種の無機又は有機アン
モニウム塩類、尿素等の窒素含有物質、ペプトン、肉エ
キス、コーンスチープリカー等の窒素性有機物質等が用
いられる。
【0007】また無機物としては、燐酸第二水素カリ等
の燐酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一
鉄等の各種金属イオンが用いられる。
の燐酸塩、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一
鉄等の各種金属イオンが用いられる。
【0008】そして具体的には、合成培地としてMay
er培地及び天然培地として醤油麹消化液培地等が挙げ
られる。
er培地及び天然培地として醤油麹消化液培地等が挙げ
られる。
【0009】次に本発明を実施するには、高蛋白質含有
原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分子
量1000以下の物質を分離しこれを適当な水分濃度に
調整(濃縮、または希釈)した培地、又は上記合成或い
は天然の栄養培地に対して、高蛋白質含有原料の酵素分
解液を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以
下の物質を分離したものを添加した培地に、酵母を接種
培養する。
原料の酵素分解液を分子ふるい処理し該分解液中の分子
量1000以下の物質を分離しこれを適当な水分濃度に
調整(濃縮、または希釈)した培地、又は上記合成或い
は天然の栄養培地に対して、高蛋白質含有原料の酵素分
解液を分子ふるい処理し該分解液中の分子量1000以
下の物質を分離したものを添加した培地に、酵母を接種
培養する。
【0010】高蛋白質含有原料としては、大豆、脱脂大
豆、大豆分離蛋白質、小麦グルテン、コーングルテン、
油糧種子蛋白質、小麦等が挙げられる。
豆、大豆分離蛋白質、小麦グルテン、コーングルテン、
油糧種子蛋白質、小麦等が挙げられる。
【0011】次に本発明で用いられる酵素としては、蛋
白質分解酵素;澱粉質分解酵素;セルラーゼ、ヘミセル
ラーゼ、ポリガラクチュロナーゼ等の植物細胞壁崩壊酵
素;等の一種または二種以上が挙げられる。
白質分解酵素;澱粉質分解酵素;セルラーゼ、ヘミセル
ラーゼ、ポリガラクチュロナーゼ等の植物細胞壁崩壊酵
素;等の一種または二種以上が挙げられる。
【0012】酵素の分解は、高蛋白質含有原料の加熱変
性物に対して酵素或いは麹(米麹、醤油麹、ふすま麹)
等を混和し、加水した後酵素或いは麹の作用温度範囲で
泥状になるまで充分に分解を行なう。
性物に対して酵素或いは麹(米麹、醤油麹、ふすま麹)
等を混和し、加水した後酵素或いは麹の作用温度範囲で
泥状になるまで充分に分解を行なう。
【0013】この分解液を、濾布または遠心分離等によ
り固液分離し得られる液体部分をゲル濾過法、並びに膜
(分子量1000以下の物質を分画し得る限外濾過膜、
透析膜、逆浸透圧膜)を用いる方法等により分子ふるい
処理をして、分子量1000以下の画分(物質)を集め
る。
り固液分離し得られる液体部分をゲル濾過法、並びに膜
(分子量1000以下の物質を分画し得る限外濾過膜、
透析膜、逆浸透圧膜)を用いる方法等により分子ふるい
処理をして、分子量1000以下の画分(物質)を集め
る。
【0014】本発明に於いて上記した高蛋白質含有原料
の酵素分解液中の分子量1000以下の物質を用いるこ
とは極めて重要であって、分子量が1000を越える物
質では、培地中にHEMFを著量生成蓄積せしめること
ができない(後述の比較例1及びその結果を示す表1参
照)。そして、高蛋白質含有原料の酵素分解液中の分子
量1000以下の物質の培地への添加量は、乾物重量換
算で0.1重量%以上、特に10〜60重量%が好まし
い。
の酵素分解液中の分子量1000以下の物質を用いるこ
とは極めて重要であって、分子量が1000を越える物
質では、培地中にHEMFを著量生成蓄積せしめること
ができない(後述の比較例1及びその結果を示す表1参
照)。そして、高蛋白質含有原料の酵素分解液中の分子
量1000以下の物質の培地への添加量は、乾物重量換
算で0.1重量%以上、特に10〜60重量%が好まし
い。
【0015】次に本発明に用いられる酵母としては、任
意の酵母が挙げられ、具体的には醤油酵母(Zygosaccha
romyces rouxii ATCC 13356 及びCandida etchell
siiIFO 10037、Candida versatilis IFO 10038)、
清酒酵母(Saccharomycescerevisae IFO 2106、同IFO
2164、同IFO 2342)、焼酎酵母(Saccharomycescere
visae IFO 0216)、ワイン酵母(Saccharomyces cer
evisae IFO 2245、同IFO 2254、シャンパン用酵母(S
accharomyces cerevisae IFO 2316)、シェリー用酵
母(Saccharomyces bayanus IFO 0262)、火酒用酵母
(ウォッカ用酵母)(Saccharomyces cerevisae IFO
0233)、石油酵母(Yarrowia lipolytica ATCC 44
601)が挙げられる。
意の酵母が挙げられ、具体的には醤油酵母(Zygosaccha
romyces rouxii ATCC 13356 及びCandida etchell
siiIFO 10037、Candida versatilis IFO 10038)、
清酒酵母(Saccharomycescerevisae IFO 2106、同IFO
2164、同IFO 2342)、焼酎酵母(Saccharomycescere
visae IFO 0216)、ワイン酵母(Saccharomyces cer
evisae IFO 2245、同IFO 2254、シャンパン用酵母(S
accharomyces cerevisae IFO 2316)、シェリー用酵
母(Saccharomyces bayanus IFO 0262)、火酒用酵母
(ウォッカ用酵母)(Saccharomyces cerevisae IFO
0233)、石油酵母(Yarrowia lipolytica ATCC 44
601)が挙げられる。
【0016】培養は、静置培養、振盪培養、通気攪拌深
部培養などの条件下に行なう。培養温度は20〜40℃
が好適である。また培養中は培地のpHを4〜7に維持
することがHEMFを著量生成蓄積せしめるために好ま
しい。培養時間は通常1〜10日間で、HEMFが最高
に生成蓄積される時期を見計って培養を終了する。こう
してHEMFが著量生成蓄積含有する培地(培養液)が
得られる。
部培養などの条件下に行なう。培養温度は20〜40℃
が好適である。また培養中は培地のpHを4〜7に維持
することがHEMFを著量生成蓄積せしめるために好ま
しい。培養時間は通常1〜10日間で、HEMFが最高
に生成蓄積される時期を見計って培養を終了する。こう
してHEMFが著量生成蓄積含有する培地(培養液)が
得られる。
【0017】これは、そのまま風味改良剤として用いて
も良いが、この培地からHEMFを公知の分離、採取手
段、例えば有機溶媒抽出、減圧蒸留、分子蒸留、または
これらの組合せ手段等により単離してもよい。
も良いが、この培地からHEMFを公知の分離、採取手
段、例えば有機溶媒抽出、減圧蒸留、分子蒸留、または
これらの組合せ手段等により単離してもよい。
【0018】以下実施例を示して本発明をより具体的に
説明する。
説明する。
【実施例1】 (1)酵素分解処理液の調製 蒸留水135mlに酸性プロテアーゼ「盛進製薬社製、
モルシン」0.5重量%、中性プロテアーゼ「大和化成
社製、サモアーゼ」0.5重量%、セルラーゼ「明治製
菓社製、メイセラーゼ」0.5重量%を添加溶解後、
0.45μmのフィルターで徐菌し、これに滅菌した大
豆分離蛋白質粉末30gを添加溶解し、37℃、24時
間保持し、酵素分解液を調製した。次いでこの分解液を
遠心分離(3,000rpm、10分)し、上澄液94
mlを得た。次いでこれを分画分子量(排除限界)10
00の透析チューブに入れ、容量2リットルの蒸留水に
懸垂し24時間透析し、これを合計3回繰返した。この
3回の透析によって、合計約5.8リットルの透析外液
(透過液)と約0.2リットルの透析内液を得た。この
透析外液と透析内液をそれぞれ減圧濃縮し、分画分子量
1000以下の画分の濃縮液100mlと、分画分子量
1000を越える画分の濃縮液100mlを得た。 (2)酵母の培養 上記分画分子量1000以下の画分の濃縮液をそのまま
酵母接種用の培地(但し醤油酵母用の場合は食塩含量を
17%に調製した)として使用し、この3mlを5ml
容ネジ口キャップ付きバイアルビンにとり、これに、表
1に記載の酵母をスラントから1白金耳接種し時々攪拌
しながら、30℃で1週間静置培養したところ、表1に
記載の如きHEMFを著量含有する培養液(実施例1)
を得た。
モルシン」0.5重量%、中性プロテアーゼ「大和化成
社製、サモアーゼ」0.5重量%、セルラーゼ「明治製
菓社製、メイセラーゼ」0.5重量%を添加溶解後、
0.45μmのフィルターで徐菌し、これに滅菌した大
豆分離蛋白質粉末30gを添加溶解し、37℃、24時
間保持し、酵素分解液を調製した。次いでこの分解液を
遠心分離(3,000rpm、10分)し、上澄液94
mlを得た。次いでこれを分画分子量(排除限界)10
00の透析チューブに入れ、容量2リットルの蒸留水に
懸垂し24時間透析し、これを合計3回繰返した。この
3回の透析によって、合計約5.8リットルの透析外液
(透過液)と約0.2リットルの透析内液を得た。この
透析外液と透析内液をそれぞれ減圧濃縮し、分画分子量
1000以下の画分の濃縮液100mlと、分画分子量
1000を越える画分の濃縮液100mlを得た。 (2)酵母の培養 上記分画分子量1000以下の画分の濃縮液をそのまま
酵母接種用の培地(但し醤油酵母用の場合は食塩含量を
17%に調製した)として使用し、この3mlを5ml
容ネジ口キャップ付きバイアルビンにとり、これに、表
1に記載の酵母をスラントから1白金耳接種し時々攪拌
しながら、30℃で1週間静置培養したところ、表1に
記載の如きHEMFを著量含有する培養液(実施例1)
を得た。
【0019】
【実施例2】 (1)栄養培地(醤油麹消化液培地)の調製 醤油麹100gを布袋に取り、蒸留水1000mlに加
え58℃で7.5時間保持し、次に5℃で1夜袋を吊り
下げ、消化液950ml(pH6.54)を得た。次に
これを2〜3分煮沸後濾紙で濾過し濾液885mlを得
た。これにグルコースを5重量%となるように加えて、
栄養培地とした(但し、醤油酵母用の場合は食塩含量を
17%に調製した)。 (2)酵母の培養 次に、上記実施例1のHEMFの製造法において得られ
た分画分子量1000以下の画分の濃縮液を3.7ml
とり、これを更に濃縮して乾固物としたものを上記で調
製した栄養培地(醤油麹消化液)2.0ml中に投入
し、酵母接種用の栄養培地を調製した。次に、この調製
した培地を5ml容ネジ口キャップ付きバイアルビンに
とり、これに、表1に記載の酵母をスラントから1白金
耳接種し、時々攪拌しながら、30℃で1週間静置培養
したところ、表1に記載の如き、HEMFを著量含有す
る培養液(実施例2)を得た。
え58℃で7.5時間保持し、次に5℃で1夜袋を吊り
下げ、消化液950ml(pH6.54)を得た。次に
これを2〜3分煮沸後濾紙で濾過し濾液885mlを得
た。これにグルコースを5重量%となるように加えて、
栄養培地とした(但し、醤油酵母用の場合は食塩含量を
17%に調製した)。 (2)酵母の培養 次に、上記実施例1のHEMFの製造法において得られ
た分画分子量1000以下の画分の濃縮液を3.7ml
とり、これを更に濃縮して乾固物としたものを上記で調
製した栄養培地(醤油麹消化液)2.0ml中に投入
し、酵母接種用の栄養培地を調製した。次に、この調製
した培地を5ml容ネジ口キャップ付きバイアルビンに
とり、これに、表1に記載の酵母をスラントから1白金
耳接種し、時々攪拌しながら、30℃で1週間静置培養
したところ、表1に記載の如き、HEMFを著量含有す
る培養液(実施例2)を得た。
【0020】
【比較例1】比較のため上記実施例2のHEMFの製造
法において、「透析外液(透過液)」に代えて「透析内
液(分画分子量1000以上の画分)」を用いる以外は
全く同様にして、HEMFを製造した。その結果を表1
に示す。
法において、「透析外液(透過液)」に代えて「透析内
液(分画分子量1000以上の画分)」を用いる以外は
全く同様にして、HEMFを製造した。その結果を表1
に示す。
【0021】
【比較例2】また、比較のため上記実施例2のHEMF
の製造法において、「透析外液(透過液)」に代えて
「酵素分解処理液」をそのまま用いる以外は全く同様に
して、HEMFを製造した。その結果を表1に示す。
の製造法において、「透析外液(透過液)」に代えて
「酵素分解処理液」をそのまま用いる以外は全く同様に
して、HEMFを製造した。その結果を表1に示す。
【0022】そして、上記実施例及び実験例で得られた
培養液中のHEMFをガスクロマトグラフィーにて分析
を行なった(Journal of Agricultural and Food Chemi
stryVol35 934(1991)参照)。また、上記実施例2及び
比較例2の培養液をそれぞれ高速液体クロマトグフィー
(HPLC)にて分析した。その結果をそれぞれ図1及び
図2に示す。
培養液中のHEMFをガスクロマトグラフィーにて分析
を行なった(Journal of Agricultural and Food Chemi
stryVol35 934(1991)参照)。また、上記実施例2及び
比較例2の培養液をそれぞれ高速液体クロマトグフィー
(HPLC)にて分析した。その結果をそれぞれ図1及び
図2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【実施例3】 (1)酵素分解処理液(液体栄養培地)の調製 蒸留水に酸性プロテアーゼ「盛進製薬社製、モルシン」
0.5重量%、セルラーゼ「協和醗酵社製、ドリセラー
ゼ」0.5重量%を添加溶解後、0.45μmのフィル
ターで徐菌し、酵素溶液を調製した。一方、通常の醤油
醸造法に従って脱脂大豆を細長い流路内を高速で流れる
圧力6kg/cm2、温度165℃の過熱水蒸気を以て
加熱し、変性処理脱脂大豆を得た(特公昭46−347
47号参照)。上記酵素溶液500mlに上記で得た加
熱変性脱脂大豆粉末100gを添加し、37℃、24時
間保持して、酵素分解液を調製した。次いで、この分解
液をナイロン濾布を用いて濾過し、澄明な液356ml
を得た。次いで、これを分画分子量1000の限外濾過
膜「アドバンテック東洋社製、L0010」にて処理
し、透過液を得た。 (2)酵母の培養 上記高蛋白質含有原料の酵素分解処理液(分画分子量1
000以下の画分)を3.0ml取りこれをそのまま酵
母接種用の培地として使用し、グルコースを5%、食塩
含量を17%に調製した後、5ml容ネジ口キャップ付
きバイアルビンにとり、これに表1に記載の酵母をスラ
ントから1白金耳接種し、時々攪拌しながら、30℃で
1週間静置培養したところ、表1に記載の如きHEMF
を著量含有する培養液(実施例3)を得た。
0.5重量%、セルラーゼ「協和醗酵社製、ドリセラー
ゼ」0.5重量%を添加溶解後、0.45μmのフィル
ターで徐菌し、酵素溶液を調製した。一方、通常の醤油
醸造法に従って脱脂大豆を細長い流路内を高速で流れる
圧力6kg/cm2、温度165℃の過熱水蒸気を以て
加熱し、変性処理脱脂大豆を得た(特公昭46−347
47号参照)。上記酵素溶液500mlに上記で得た加
熱変性脱脂大豆粉末100gを添加し、37℃、24時
間保持して、酵素分解液を調製した。次いで、この分解
液をナイロン濾布を用いて濾過し、澄明な液356ml
を得た。次いで、これを分画分子量1000の限外濾過
膜「アドバンテック東洋社製、L0010」にて処理
し、透過液を得た。 (2)酵母の培養 上記高蛋白質含有原料の酵素分解処理液(分画分子量1
000以下の画分)を3.0ml取りこれをそのまま酵
母接種用の培地として使用し、グルコースを5%、食塩
含量を17%に調製した後、5ml容ネジ口キャップ付
きバイアルビンにとり、これに表1に記載の酵母をスラ
ントから1白金耳接種し、時々攪拌しながら、30℃で
1週間静置培養したところ、表1に記載の如きHEMF
を著量含有する培養液(実施例3)を得た。
【0025】表1における比較例2の結果から、高蛋白
質含有原料の酵素分解液を分子ふるい処理することなく
そのまま他の栄養培地に添加含有せしめた培地に、酵母
を接種培養すると、該培地中にHEMFを生成蓄積せし
めることができるが、この場合得られる培養液には図2
の結果に示すように、非常に数多くの不純物質が含まれ
ているために、この中から目的とするHEMFを精製操
作が繁雑になる欠点を有する。また、表1における比較
例1の結果から、高蛋白質含有原料の酵素分解液を分子
ふるい処理し該分解液中の分子量1000を越える物質
を添加含有した培地に、酵母を接種培養しても、該培地
中にHEMFを著量生成蓄積させることができない。こ
れに対して表1における実施例1〜3の区分の結果か
ら、高蛋白質含有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離しこれを
含有した培地に、酵母を接種培養すると培地中にHEM
Fを著量生成蓄積せしめることができ、しかも図1の結
果が示すように、不純物質が殆ど含まれていないため
に、この中から目的とするHEMFの精製操作が非常に
簡単であることが判る。
質含有原料の酵素分解液を分子ふるい処理することなく
そのまま他の栄養培地に添加含有せしめた培地に、酵母
を接種培養すると、該培地中にHEMFを生成蓄積せし
めることができるが、この場合得られる培養液には図2
の結果に示すように、非常に数多くの不純物質が含まれ
ているために、この中から目的とするHEMFを精製操
作が繁雑になる欠点を有する。また、表1における比較
例1の結果から、高蛋白質含有原料の酵素分解液を分子
ふるい処理し該分解液中の分子量1000を越える物質
を添加含有した培地に、酵母を接種培養しても、該培地
中にHEMFを著量生成蓄積させることができない。こ
れに対して表1における実施例1〜3の区分の結果か
ら、高蛋白質含有原料の酵素分解液を分子ふるい処理し
該分解液中の分子量1000以下の物質を分離しこれを
含有した培地に、酵母を接種培養すると培地中にHEM
Fを著量生成蓄積せしめることができ、しかも図1の結
果が示すように、不純物質が殆ど含まれていないため
に、この中から目的とするHEMFの精製操作が非常に
簡単であることが判る。
【図1】実施例2で得られた培養液中のHEMFを高速
液体クロマトグフィー(HPLC)にて分析した結果を示
す。
液体クロマトグフィー(HPLC)にて分析した結果を示
す。
【図2】比較例2で得られた培養液中のHEMFを高速
液体クロマトグフィー(HPLC)にて分析した結果を示
す。
液体クロマトグフィー(HPLC)にて分析した結果を示
す。
Claims (1)
- 【請求項1】 高蛋白質含有原料の酵素分解液を分子ふ
るい処理し該分解液中の分子量1000以下の物質を分
離しこれを含有した培地に、酵母を接種培養して、該培
地中に4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は
2)メチル−3(2H)フラノンを生成蓄積せしめるこ
とを特徴とする4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−
5(又は2)メチル−3(2H)フラノンの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35683791A JPH05176781A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2h)フラノンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35683791A JPH05176781A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2h)フラノンの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05176781A true JPH05176781A (ja) | 1993-07-20 |
Family
ID=18451020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35683791A Pending JPH05176781A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | 4−ヒドロキシ−2(又は5)エチル−5(又は2)メチル−3(2h)フラノンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05176781A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010068734A (ja) * | 2008-09-17 | 2010-04-02 | Toyota Central R&D Labs Inc | 乳酸の製造方法及び乳酸発酵用添加剤 |
CN102250978A (zh) * | 2011-07-12 | 2011-11-23 | 江南大学 | 一种发酵法生产2(5)-乙基-4-羟基-5(2)-甲基-3(2h)-呋喃酮的方法 |
US9226515B2 (en) | 2004-02-03 | 2016-01-05 | Cargill, Incorporated | Protein concentrate and an aqueous stream containing water-soluble carbohydrates |
-
1991
- 1991-12-26 JP JP35683791A patent/JPH05176781A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9226515B2 (en) | 2004-02-03 | 2016-01-05 | Cargill, Incorporated | Protein concentrate and an aqueous stream containing water-soluble carbohydrates |
US10154679B2 (en) | 2004-02-03 | 2018-12-18 | Cargill, Incorporated | Protein concentrate and an aqueous stream containing water-soluble carbohydrates |
JP2010068734A (ja) * | 2008-09-17 | 2010-04-02 | Toyota Central R&D Labs Inc | 乳酸の製造方法及び乳酸発酵用添加剤 |
CN102250978A (zh) * | 2011-07-12 | 2011-11-23 | 江南大学 | 一种发酵法生产2(5)-乙基-4-羟基-5(2)-甲基-3(2h)-呋喃酮的方法 |
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