JPH05172662A - トルクセンサ - Google Patents
トルクセンサInfo
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- JPH05172662A JPH05172662A JP34558891A JP34558891A JPH05172662A JP H05172662 A JPH05172662 A JP H05172662A JP 34558891 A JP34558891 A JP 34558891A JP 34558891 A JP34558891 A JP 34558891A JP H05172662 A JPH05172662 A JP H05172662A
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- Japan
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- torque
- magnetic
- shaft
- film
- magnetic metal
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 下地の磁気的影響がなくしかも高剪断応力に
耐え、正確なトルク検出を行う。 【構成】 シャフト30の表面には、非磁性膜304を
介し磁性金属膜306を積層蒸着する。そして、この蒸
着はレーザ蒸着によって行う。そこで、これら膜30
4、306はシャフト30に強固に固着され、高剪断応
力(10kgf/mm2 )のトルク印加によっても破壊
されることがない。そして、非磁性膜304を1μm以
上とすることによって、磁性体からなるシャフト30の
歪みに応じた影響が磁界に出ることを防止することがで
き、正確なトルク検出を行うことができる。
耐え、正確なトルク検出を行う。 【構成】 シャフト30の表面には、非磁性膜304を
介し磁性金属膜306を積層蒸着する。そして、この蒸
着はレーザ蒸着によって行う。そこで、これら膜30
4、306はシャフト30に強固に固着され、高剪断応
力(10kgf/mm2 )のトルク印加によっても破壊
されることがない。そして、非磁性膜304を1μm以
上とすることによって、磁性体からなるシャフト30の
歪みに応じた影響が磁界に出ることを防止することがで
き、正確なトルク検出を行うことができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トルク伝達軸に固定さ
れた磁性金属の磁気特性の変化を利用してトルク伝達軸
に伝達されるトルクを検出するトルクセンサに関する。
れた磁性金属の磁気特性の変化を利用してトルク伝達軸
に伝達されるトルクを検出するトルクセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の計測制御技術に伴い各種の分野に
おいて機器の動作状態を検出し、この検出結果を動作制
御に利用することが行われている。例えば、動力機械に
おいてその出力トルクを正確に把握することにより、そ
の機械の動作制御を向上することができる。
おいて機器の動作状態を検出し、この検出結果を動作制
御に利用することが行われている。例えば、動力機械に
おいてその出力トルクを正確に把握することにより、そ
の機械の動作制御を向上することができる。
【0003】そこで、動力機械の出力軸(トルク伝達
軸)が伝達するトルクを検出することが考えられるが、
トルク伝達軸は通常回転するものであり、非接触で検出
することが望ましい。そこで、磁性金属の歪みに応じた
磁気特性の変化を利用するトルクセンサが提案されてい
る。このトルクセンサでは、トルク伝達軸に磁歪を有す
る磁性金属膜を固定する。トルク伝達軸は、そこに伝達
されるトルクに応じた歪みが生じる。このため、軸に固
定された磁性金属膜も伝達トルクに応じて歪むことにな
り、磁歪を有する磁性金属膜は歪みに応じて磁気特性が
変化する。したがって、磁性金属膜が所定の磁界中にお
いてあれば、磁気特性の変化に応じた変化が磁界に現れ
る。そこで、電磁石等により雰囲気に一定の磁界を形成
しておき、磁性金属膜近傍の磁界を他の検出コイルにお
いて検出すれば、伝達トルクに応じた変化を検出するこ
とができ、これに基づいてトルク伝達軸における伝達ト
ルクを検出することができる。
軸)が伝達するトルクを検出することが考えられるが、
トルク伝達軸は通常回転するものであり、非接触で検出
することが望ましい。そこで、磁性金属の歪みに応じた
磁気特性の変化を利用するトルクセンサが提案されてい
る。このトルクセンサでは、トルク伝達軸に磁歪を有す
る磁性金属膜を固定する。トルク伝達軸は、そこに伝達
されるトルクに応じた歪みが生じる。このため、軸に固
定された磁性金属膜も伝達トルクに応じて歪むことにな
り、磁歪を有する磁性金属膜は歪みに応じて磁気特性が
変化する。したがって、磁性金属膜が所定の磁界中にお
いてあれば、磁気特性の変化に応じた変化が磁界に現れ
る。そこで、電磁石等により雰囲気に一定の磁界を形成
しておき、磁性金属膜近傍の磁界を他の検出コイルにお
いて検出すれば、伝達トルクに応じた変化を検出するこ
とができ、これに基づいてトルク伝達軸における伝達ト
ルクを検出することができる。
【0004】そして、このような手法により、トルクを
検出するためには、磁性金属膜をトルク伝達軸に固定す
ることが必要となる。例えば、特開昭59−61731
号公報には、トルク伝達軸の外周面にアモルファス磁性
金属薄帯を接着剤で固定することが示されており、また
特開昭60−42628号公報には、アモルファス磁性
金属膜をトルク伝達軸の外周面に気相成長法(スパッタ
法)により固着させることが示されている。これらの方
法により、トルク伝達軸に磁歪を有する磁性金属膜を確
実に固定できれば、トルク伝達軸に伝達されるトルクを
非接触で検出することができる。
検出するためには、磁性金属膜をトルク伝達軸に固定す
ることが必要となる。例えば、特開昭59−61731
号公報には、トルク伝達軸の外周面にアモルファス磁性
金属薄帯を接着剤で固定することが示されており、また
特開昭60−42628号公報には、アモルファス磁性
金属膜をトルク伝達軸の外周面に気相成長法(スパッタ
法)により固着させることが示されている。これらの方
法により、トルク伝達軸に磁歪を有する磁性金属膜を確
実に固定できれば、トルク伝達軸に伝達されるトルクを
非接触で検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の磁性金属膜においては、次のような問題点
があった。すなわち、上述のアモルファス磁性金属薄帯
をトルク伝達軸の外周面に接着剤にて固着したものにお
いては、(a)トルクの繰返し印加によって、経時的に
接着が緩み、アモルファス磁性金属薄帯に伝達される応
力が変化する。このため、検出すべきトルクの値に変動
を来たし、正確なトルクを検出できなくなる、(b)接
着剤の剪断応力の限界があり(数kgf/mm2 程度ま
で)、高剪断応力(10kgf/mm2 以上)を印加し
た場合には、トルク伝達軸の外周面からアモルファス磁
性金属薄体が剥離してしまう、という問題点があった。
ような従来の磁性金属膜においては、次のような問題点
があった。すなわち、上述のアモルファス磁性金属薄帯
をトルク伝達軸の外周面に接着剤にて固着したものにお
いては、(a)トルクの繰返し印加によって、経時的に
接着が緩み、アモルファス磁性金属薄帯に伝達される応
力が変化する。このため、検出すべきトルクの値に変動
を来たし、正確なトルクを検出できなくなる、(b)接
着剤の剪断応力の限界があり(数kgf/mm2 程度ま
で)、高剪断応力(10kgf/mm2 以上)を印加し
た場合には、トルク伝達軸の外周面からアモルファス磁
性金属薄体が剥離してしまう、という問題点があった。
【0006】すなわち、図11及び図12には、このア
モルファス磁性金属薄帯をシャフトの外周に張り付けた
場合におけるトルク検出結果を示す。このように、10
00回の繰返しのトルク印加の後には、検出結果にヒス
テリシス特性が現れ、好適なトルク測定を行えないこと
が理解される。これは、繰返し印加により、アモルファ
ス金属膜がシャフトより剥れたことに起因するものと考
えられる。
モルファス磁性金属薄帯をシャフトの外周に張り付けた
場合におけるトルク検出結果を示す。このように、10
00回の繰返しのトルク印加の後には、検出結果にヒス
テリシス特性が現れ、好適なトルク測定を行えないこと
が理解される。これは、繰返し印加により、アモルファ
ス金属膜がシャフトより剥れたことに起因するものと考
えられる。
【0007】また、アモルファス磁性金属膜をトルク伝
達軸の外周面に直接気相成長法(スパッタ法)を用いて
固着させた場合には、トルク伝達軸からの磁気的影響を
除去することができず、トルク検出感度が劣化するとい
う問題があった。すなわち、トルク伝達軸は、通常鉄な
どの磁性体から構成される。このため、トルク伝達軸自
体の磁気歪みが検出値に影響し、正確なトルク検出を行
うことができなかった。
達軸の外周面に直接気相成長法(スパッタ法)を用いて
固着させた場合には、トルク伝達軸からの磁気的影響を
除去することができず、トルク検出感度が劣化するとい
う問題があった。すなわち、トルク伝達軸は、通常鉄な
どの磁性体から構成される。このため、トルク伝達軸自
体の磁気歪みが検出値に影響し、正確なトルク検出を行
うことができなかった。
【0008】一方、トルク伝達軸からの磁気的影響を完
全に除去するためには、アモルファス磁性金属膜の厚さ
を5μm以上とすればよい。ところが、このような厚膜
は物理的に形成が困難であり、このためトルク伝達軸か
らの磁気的影響を除去することができなかった。
全に除去するためには、アモルファス磁性金属膜の厚さ
を5μm以上とすればよい。ところが、このような厚膜
は物理的に形成が困難であり、このためトルク伝達軸か
らの磁気的影響を除去することができなかった。
【0009】本発明は、上記問題点を解決することを課
題としてなされたものであり、膜の剥離を生じることな
く、かつトルク伝達軸などの磁性金属膜の下地の影響を
除去することができるトルクセンサを提供することを目
的とする。
題としてなされたものであり、膜の剥離を生じることな
く、かつトルク伝達軸などの磁性金属膜の下地の影響を
除去することができるトルクセンサを提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、トルク伝達軸
に固定された磁性金属の磁気特性の変化を利用して前記
トルク伝達軸に伝達されるトルクを検出するトルクセン
サにおいて、前記トルク伝達軸の表面上にレーザ蒸着に
より形成された非磁性膜と、この非磁性膜上にレーザ蒸
着により形成された磁性金属膜とを有することを特徴と
する。
に固定された磁性金属の磁気特性の変化を利用して前記
トルク伝達軸に伝達されるトルクを検出するトルクセン
サにおいて、前記トルク伝達軸の表面上にレーザ蒸着に
より形成された非磁性膜と、この非磁性膜上にレーザ蒸
着により形成された磁性金属膜とを有することを特徴と
する。
【0011】
【作用】このように、本発明においては、トルク伝達軸
と磁性金属膜の間に、非磁性膜が形成されている。従っ
て、この非磁性膜により、トルク伝達軸の歪みに応じた
周辺磁界に対する影響を除去することができる。このた
め、トルク伝達軸の伝達トルクに応じて、磁性金属膜が
歪み、この磁性金属膜の歪みに応じた磁気特性の変化を
検出することで、正確なトルク検出を行うことができ
る。ここで、非磁性膜は、酸化物、例えばAl2 O3 層
をCO2 レーザ蒸着法によってトルク伝達軸の外周面上
に蒸着固定する。そして、その後磁性金属をエキシマ
(あるいはYAG(イットリウム アルミニウム ガー
ネット)レーザ蒸着法によって積層固着する。なお、非
磁性膜の厚さは1μm以上が好適であり、磁性金属膜は
2μm以上が好適である。そして、膜形成にレーザ蒸着
法を用いたため、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法などの他の気相成長法を用いた場合と比較
して、磁性金属膜とトルク伝達軸との接着強度が強く、
高剪断応力に耐え得ると共に、経時的な剥離などの生じ
るおそれがない。なお、このようにレーザ蒸着法により
接着強度が強くなるのは、蒸発粒子のエネルギーが高
く、蒸着時における粒子の注入効果によるものと考えら
れている。
と磁性金属膜の間に、非磁性膜が形成されている。従っ
て、この非磁性膜により、トルク伝達軸の歪みに応じた
周辺磁界に対する影響を除去することができる。このた
め、トルク伝達軸の伝達トルクに応じて、磁性金属膜が
歪み、この磁性金属膜の歪みに応じた磁気特性の変化を
検出することで、正確なトルク検出を行うことができ
る。ここで、非磁性膜は、酸化物、例えばAl2 O3 層
をCO2 レーザ蒸着法によってトルク伝達軸の外周面上
に蒸着固定する。そして、その後磁性金属をエキシマ
(あるいはYAG(イットリウム アルミニウム ガー
ネット)レーザ蒸着法によって積層固着する。なお、非
磁性膜の厚さは1μm以上が好適であり、磁性金属膜は
2μm以上が好適である。そして、膜形成にレーザ蒸着
法を用いたため、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法などの他の気相成長法を用いた場合と比較
して、磁性金属膜とトルク伝達軸との接着強度が強く、
高剪断応力に耐え得ると共に、経時的な剥離などの生じ
るおそれがない。なお、このようにレーザ蒸着法により
接着強度が強くなるのは、蒸発粒子のエネルギーが高
く、蒸着時における粒子の注入効果によるものと考えら
れている。
【0012】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例につい
て説明する。
て説明する。
【0013】膜形成装置の構成 まず、本発明に係るトルクセンサの磁性金属膜および非
磁性金属膜の形成について説明する。図1は、これらの
膜を形成するためのレーザ蒸着装置であり、真空チャン
バ10と、この真空チャンバ10からの排気を行うター
ボポンプ12及びロータリーポンプ14と、レーザ光源
16を有している。そして、真空チャンバ10、ターゲ
ット20及びシャフト30を固定する。この状態で、タ
ーボポンプ12及びロータリポンプ14により、真空チ
ャンバ10内を所定の真空状態とした後、レーザ光源1
6よりレーザ光Lをターゲット20に照射する。これに
よって、ターゲット20の構成物質が蒸発し、これがシ
ャフト30の表面に蒸着される。
磁性金属膜の形成について説明する。図1は、これらの
膜を形成するためのレーザ蒸着装置であり、真空チャン
バ10と、この真空チャンバ10からの排気を行うター
ボポンプ12及びロータリーポンプ14と、レーザ光源
16を有している。そして、真空チャンバ10、ターゲ
ット20及びシャフト30を固定する。この状態で、タ
ーボポンプ12及びロータリポンプ14により、真空チ
ャンバ10内を所定の真空状態とした後、レーザ光源1
6よりレーザ光Lをターゲット20に照射する。これに
よって、ターゲット20の構成物質が蒸発し、これがシ
ャフト30の表面に蒸着される。
【0014】そして、シャフト30は、真空チャンバ1
0内において、図2に示すような保持機構40に保持さ
れている。すなわち、この保持機構40は、架台402
上において、シャフト30を回転及び軸方向に移動自在
としている。このために、架台402上には、スライド
用凸条404が設けられ、このスライド用凸条404を
またいで、一対の軸受部材406、408が摺動自在に
設けられている。この軸受部材406、408の間に
は、シャフト30が回転自在に軸支され、シャフト30
の軸受部材406側には、モータ410の出力軸が接続
されている。従って、このモータ410を回転すること
により、シャフト30を回転することができる。
0内において、図2に示すような保持機構40に保持さ
れている。すなわち、この保持機構40は、架台402
上において、シャフト30を回転及び軸方向に移動自在
としている。このために、架台402上には、スライド
用凸条404が設けられ、このスライド用凸条404を
またいで、一対の軸受部材406、408が摺動自在に
設けられている。この軸受部材406、408の間に
は、シャフト30が回転自在に軸支され、シャフト30
の軸受部材406側には、モータ410の出力軸が接続
されている。従って、このモータ410を回転すること
により、シャフト30を回転することができる。
【0015】また、モータ410は、軸受部材406に
固定されると共に、この軸受部材406は、連結材41
2によってラック414に接続されており、このラック
414はモータ416によって回転されるピニオン41
8にかみ合っている。従って、モータ416を回転する
ことにより、ラック414が移動し、軸受部材406、
408及びシャフト30がその軸方向に移動することと
なる。
固定されると共に、この軸受部材406は、連結材41
2によってラック414に接続されており、このラック
414はモータ416によって回転されるピニオン41
8にかみ合っている。従って、モータ416を回転する
ことにより、ラック414が移動し、軸受部材406、
408及びシャフト30がその軸方向に移動することと
なる。
【0016】膜の蒸着 上述のようなレーザ蒸着装置を用いて、本実施例のトル
クセンサを形成することについて説明する。
クセンサを形成することについて説明する。
【0017】まず、真空チャンバ10内を1×10-6T
orr以下の真空に排気した後、シャフト30の外周面
に、Al2 O3 層を炭酸ガス(CO2 )レーザを用いた
蒸着法によって蒸着し、非磁性膜を形成する。ここで、
CO2 レーザは、入力パワー300W、波長10.6μ
mの連続波を使用するものを用いた。また、シャフト1
0には、SCM400Hシャフト(クロムモリブデン鋼
シャフト,直径35mm)を用い、シャフト30の表面
に非磁性膜を1μm形成した。
orr以下の真空に排気した後、シャフト30の外周面
に、Al2 O3 層を炭酸ガス(CO2 )レーザを用いた
蒸着法によって蒸着し、非磁性膜を形成する。ここで、
CO2 レーザは、入力パワー300W、波長10.6μ
mの連続波を使用するものを用いた。また、シャフト1
0には、SCM400Hシャフト(クロムモリブデン鋼
シャフト,直径35mm)を用い、シャフト30の表面
に非磁性膜を1μm形成した。
【0018】その後、レーザ光源16の射出レーザ光を
エキシマレーザに変更し、エキシマレーザ蒸着法によっ
て磁性金属(FeSiB)の磁性金属膜を2μm積層固
着させた。ここで、エキシマには、KrFエキシマレー
ザ(波長248nm、パルス幅16nsec、パルス周
波数100パルス/sec、パルスエネルギー250m
J、照射パワー密度約50J/cm2 )を用い、磁性金
属には、Fe75Si8 B17を用いた。なお、CO2 レー
ザのスポット径は、φ1.5μm、レーザパワー密度は
1.7×104 W/cm2 であった。
エキシマレーザに変更し、エキシマレーザ蒸着法によっ
て磁性金属(FeSiB)の磁性金属膜を2μm積層固
着させた。ここで、エキシマには、KrFエキシマレー
ザ(波長248nm、パルス幅16nsec、パルス周
波数100パルス/sec、パルスエネルギー250m
J、照射パワー密度約50J/cm2 )を用い、磁性金
属には、Fe75Si8 B17を用いた。なお、CO2 レー
ザのスポット径は、φ1.5μm、レーザパワー密度は
1.7×104 W/cm2 であった。
【0019】そして、このような膜の蒸着の際には、膜
厚が一様になるように、図2におけるモータ410、4
16を駆動し、シャフト30を回転及びスライドさせ
た。さらに、このような磁性金属膜及び非磁性金属膜の
蒸着の後、10-6〜10-5Torrの真空中において、
200℃、30分間のアニール処理を行い、磁性金属膜
の内部応力の緩和、磁気特性の改善を行った。
厚が一様になるように、図2におけるモータ410、4
16を駆動し、シャフト30を回転及びスライドさせ
た。さらに、このような磁性金属膜及び非磁性金属膜の
蒸着の後、10-6〜10-5Torrの真空中において、
200℃、30分間のアニール処理を行い、磁性金属膜
の内部応力の緩和、磁気特性の改善を行った。
【0020】このようにして得られた膜について、トル
クの繰り返し印加による強度測定を行ったところ、密着
強度は12kgf/mm2 以上であることが分った。こ
れより、薄膜の密着強度は、従来の接着剤による場合に
比べ10倍以上、スパッタ法による膜に比べ3倍以上で
あることが分った。
クの繰り返し印加による強度測定を行ったところ、密着
強度は12kgf/mm2 以上であることが分った。こ
れより、薄膜の密着強度は、従来の接着剤による場合に
比べ10倍以上、スパッタ法による膜に比べ3倍以上で
あることが分った。
【0021】トルクセンサの構成 次に、図3に、上述のようにして構成された薄膜の構成
を示す。すなわち、シャフト30の外周面には、酸化ア
ルミニウムからなる非磁性膜304が形成され、この上
にFe75Si8 B17からなる磁性金属膜306が形成さ
れている。
を示す。すなわち、シャフト30の外周面には、酸化ア
ルミニウムからなる非磁性膜304が形成され、この上
にFe75Si8 B17からなる磁性金属膜306が形成さ
れている。
【0022】そして、実際のトルクセンサを構成する場
合には、図4に示すように、膜300に対し、2つのU
字型の磁心502及び504を直交して配置する。この
U字型の磁心502及び504と膜とのギャップはそれ
ぞれ200μmとする。そして、この磁心502には、
励磁コイル506を巻回し、ここに所定の励磁電源50
8からの電力を供給する。一方、磁心504には検出コ
イル510を巻回し、この両端に電圧計512を取り付
ける。従って、励磁コイル506に所定の電流を流し、
膜300の近傍に一定の磁界を形成しておき、検出コイ
ル510に発生する電圧を電圧計512で検出すること
により、シャフト30に印加されているトルクが検出さ
れることとなる。
合には、図4に示すように、膜300に対し、2つのU
字型の磁心502及び504を直交して配置する。この
U字型の磁心502及び504と膜とのギャップはそれ
ぞれ200μmとする。そして、この磁心502には、
励磁コイル506を巻回し、ここに所定の励磁電源50
8からの電力を供給する。一方、磁心504には検出コ
イル510を巻回し、この両端に電圧計512を取り付
ける。従って、励磁コイル506に所定の電流を流し、
膜300の近傍に一定の磁界を形成しておき、検出コイ
ル510に発生する電圧を電圧計512で検出すること
により、シャフト30に印加されているトルクが検出さ
れることとなる。
【0023】検出結果 励磁コイル506に、200kHzの交流を印加して、
シャフト30のトルク出力を電圧計512によって測定
した。その結果を図5及び図6に示す。なお、このとき
の励磁電流は400mAであった。図5は、成膜後にお
ける処理結果を示すものであり、図4に示すように、ね
じり試験器によってシャフト30に対しTqのねじりト
ルクを印加すると、ねじり方向において+σ:+σの引
張り応力が印加され、ねじり方向と直交する方向におい
て−σ:−σの圧縮応力が生じる。そして、膜300
は、このような応力によって歪み、これによって磁気特
性が変化する。この磁気特性の変化が検出コイル510
において検出する電圧として現れる。その結果が図5で
あり、トルクと検出電圧に良好な直線関係があることが
理解される。
シャフト30のトルク出力を電圧計512によって測定
した。その結果を図5及び図6に示す。なお、このとき
の励磁電流は400mAであった。図5は、成膜後にお
ける処理結果を示すものであり、図4に示すように、ね
じり試験器によってシャフト30に対しTqのねじりト
ルクを印加すると、ねじり方向において+σ:+σの引
張り応力が印加され、ねじり方向と直交する方向におい
て−σ:−σの圧縮応力が生じる。そして、膜300
は、このような応力によって歪み、これによって磁気特
性が変化する。この磁気特性の変化が検出コイル510
において検出する電圧として現れる。その結果が図5で
あり、トルクと検出電圧に良好な直線関係があることが
理解される。
【0024】また、図6は、トルク±150kgfm
(最表面剪断応力18kgf/mm2 )を1000回繰
返し印加した後の結果である。これより、本実施例の検
査によれば、出力値はほとんど変動がなく、良好なトル
ク検出を行えることが理解される。
(最表面剪断応力18kgf/mm2 )を1000回繰
返し印加した後の結果である。これより、本実施例の検
査によれば、出力値はほとんど変動がなく、良好なトル
ク検出を行えることが理解される。
【0025】次に、図7及び図8は、非磁性膜304の
厚さを0.7μmとした比較例についての測定結果であ
る。このように非磁性膜を1μm以下とした場合には、
シャフト30の歪みに応じた変化が検出コイルの出力に
現れ、トルクと出力の関係が非線形となり、好ましくな
いことが理解される。
厚さを0.7μmとした比較例についての測定結果であ
る。このように非磁性膜を1μm以下とした場合には、
シャフト30の歪みに応じた変化が検出コイルの出力に
現れ、トルクと出力の関係が非線形となり、好ましくな
いことが理解される。
【0026】また、図9及び図10は、非磁性膜304
を全く設けずにシャフト30の外周に直接磁性膜を固着
させた場合の比較例の測定結果である。これより、磁性
体で構成されたシャフトのねじりにおける影響が出力値
に出て、トルクと出力が非線形となり、良好な出力トル
ク測定が行えないことが理解される。
を全く設けずにシャフト30の外周に直接磁性膜を固着
させた場合の比較例の測定結果である。これより、磁性
体で構成されたシャフトのねじりにおける影響が出力値
に出て、トルクと出力が非線形となり、良好な出力トル
ク測定が行えないことが理解される。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るトル
クセンサによれば、下地(シャフト自体)のトルク変動
に係る磁気的変化の影響を除去し、常に正確なトルク検
出を行うことができる。しかも、高剪断応力(10kg
f/mm2 以上)のトルク印加にも耐え得るトルクセン
サを提供することができる。
クセンサによれば、下地(シャフト自体)のトルク変動
に係る磁気的変化の影響を除去し、常に正確なトルク検
出を行うことができる。しかも、高剪断応力(10kg
f/mm2 以上)のトルク印加にも耐え得るトルクセン
サを提供することができる。
【図1】本発明に係るトルクセンサの形成に利用するレ
ーザ蒸着装置の構成を示す図である。
ーザ蒸着装置の構成を示す図である。
【図2】同レーザ蒸着装置におけるシャフト保持機構の
構成を示す図である。
構成を示す図である。
【図3】実施例の薄膜の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係るトルクセンサの構成を示
す図である。
す図である。
【図5】実施例のトルクと出力の関係を示す図である。
【図6】所定回数のトルク印加後におけるトルクと出力
の関係を示す図である。
の関係を示す図である。
【図7】非磁性膜が0.7μmとした場合のトルクと出
力の関係を示す図である。
力の関係を示す図である。
【図8】図7と同一の構成例における繰返し印加後のト
ルクと出力の関係を示す図である。
ルクと出力の関係を示す図である。
【図9】非磁性膜を省略し、磁性膜をシャフトに直接取
り付けた場合のトルクと出力の関係を示す図である。
り付けた場合のトルクと出力の関係を示す図である。
【図10】図9と同一の構成例における繰返し印加後の
トルクと出力の関係を示す図である。
トルクと出力の関係を示す図である。
【図11】従来のアモルファス磁性金属薄帯をシャフト
に取り付けた場合のトルクと出力の関係を示す図であ
る。
に取り付けた場合のトルクと出力の関係を示す図であ
る。
【図12】図11に示した例の繰返し印加後のトルクと
出力の関係を示す図である。
出力の関係を示す図である。
300 膜 304 非磁性膜 306 磁性金属膜 30 シャフト
Claims (1)
- 【請求項1】トルク伝達軸に固定された磁性金属の磁気
特性の変化を利用して前記トルク伝達軸に伝達されるト
ルクを検出するトルクセンサにおいて、 前記トルク伝達軸の表面上にレーザ蒸着により形成され
た非磁性膜と、 この非磁性膜上にレーザ蒸着により形成された磁性金属
膜と、 を有することを特徴とするトルクセンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34558891A JPH05172662A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | トルクセンサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34558891A JPH05172662A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | トルクセンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05172662A true JPH05172662A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=18377613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34558891A Pending JPH05172662A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | トルクセンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05172662A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007333704A (ja) * | 2006-06-19 | 2007-12-27 | Honda Motor Co Ltd | 磁歪式トルクセンサの製造方法と電動パワーステアリング装置 |
JP2009115761A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-05-28 | Honda Motor Co Ltd | 磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 |
JP4892153B2 (ja) * | 1999-12-14 | 2012-03-07 | エービービー アクチボラゲット | トルクセンサ |
-
1991
- 1991-12-26 JP JP34558891A patent/JPH05172662A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4892153B2 (ja) * | 1999-12-14 | 2012-03-07 | エービービー アクチボラゲット | トルクセンサ |
JP2007333704A (ja) * | 2006-06-19 | 2007-12-27 | Honda Motor Co Ltd | 磁歪式トルクセンサの製造方法と電動パワーステアリング装置 |
JP2009115761A (ja) * | 2007-11-09 | 2009-05-28 | Honda Motor Co Ltd | 磁歪式トルクセンサおよび電動パワーステアリング装置 |
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