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JPH05170947A - ポリシラン単分子膜およびポリシラン累積膜 - Google Patents

ポリシラン単分子膜およびポリシラン累積膜

Info

Publication number
JPH05170947A
JPH05170947A JP4098601A JP9860192A JPH05170947A JP H05170947 A JPH05170947 A JP H05170947A JP 4098601 A JP4098601 A JP 4098601A JP 9860192 A JP9860192 A JP 9860192A JP H05170947 A JPH05170947 A JP H05170947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysilane
film
group
substrate
monomolecular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4098601A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuji Hayase
修二 早瀬
Yoshihiko Nakano
義彦 中野
Yukikimi Mikogami
▲ゆき▼公 御子神
Akira Yoshizumi
章 善積
Shinji Murai
伸次 村井
Rikako Kani
利佳子 可児
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP4098601A priority Critical patent/JPH05170947A/ja
Publication of JPH05170947A publication Critical patent/JPH05170947A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】均一性および規則性に優れたポリシラン薄膜を
提供することを目的とする。 【構成】下記反復単位を有するポリシランによって形成
される単分子膜、およびこの単分子膜が累積されてなる
ポリシラン累積膜からなる。 【化1】 (R1 は、炭素数 1〜24の置換もしくは非置換アルキル
基、または炭素数 6〜24の置換もしくは非置換アリール
基を表し、R2 は、炭素数 1〜24の2価の有機基を表
し、Xは、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、またはア
ミド結合、エステル結合、カルバメート結合、およびカ
ーボネート結合から成る群より選ばれた少なくとも一種
を有する親水基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホールおよび電荷の移
動層、フォトリソグラフィに使用される感光性材料、非
線形光学材料、圧電材料、焦電材料等の各種材料に応用
可能なポリシラン単分子膜および累積膜に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリシランは、例えば、導電性材料、セ
ラミックス用プレカーサ、フォトコンダクタ材料、半導
体材料、非線形光学材料等の分野における応用が進めら
れており、興味深い物質となっている。
【0003】従来より、ポリシランは、薄膜化させるこ
とによって上記各種材料に使用される。この薄膜化の方
法としては、スピンコート法が広く行われている。即
ち、Si−Si主鎖を有するポリシランを有機溶媒に溶
解してポリマー溶液を調製し、該ポリマー溶液をスピナ
ーにより各種の基板上に塗布した後、溶媒を蒸発させる
ことによって、ポリシラン薄膜を形成する。
【0004】しかしながら、上記方法は製膜における構
造制御性が劣るため、特に厚さ 0.1μm以下のポリシラ
ン薄膜を基板上に形成した場合、得られたポリシラン薄
膜は、分子配向の均一性および規則性に欠けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、均一性および規則性に優れた
ポリシラン薄膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記目
的は、下記化3に示す一般式(1)で表される反復単位
を有するポリシランによって形成されるポリシラン単分
子膜によって達成される。
【0007】
【化3】 式中、R1 ,R2 ,Xは夫々以下のものを示す。
【0008】R1 :炭素数 1〜24の置換もしくは非置換
アルキル基、または炭素数 6〜24の置換もしくは非置換
アリール基。
【0009】R2 :炭素数 1〜24の2価の有機基。
【0010】X:水酸基、アミノ基、カルボン酸基、ま
たはアミド結合、エステル結合、カルバメート結合、お
よびカーボネート結合から成る群より選ばれた少なくと
も一種を有する親水基。
【0011】また、本発明の上記目的は、下記化4に示
す一般式(1)で表される反復単位を有するポリシラン
によって形成されるポリシラン単分子膜が、累積されて
なるポリシラン累積膜によっても達成される。
【0012】
【化4】 式中、R1 ,R2 ,Xは夫々以下のものを示す。
【0013】R1 :炭素数 1〜24の置換もしくは非置換
アルキル基、または炭素数 6〜24の置換もしくは非置換
アリール基。
【0014】R2 :炭素数 1〜24の2価の有機基。
【0015】X:水酸基、アミノ基、カルボン酸基、ま
たはアミド結合、エステル結合、カルバメート結合、お
よびカーボネート結合から成る群より選ばれた少なくと
も一種を有する親水基。
【0016】尚、これらポリシラン単分子膜および累積
膜は、その製膜プロセスにおける条件等を適宜制御する
ことによって、所定の膜厚および特性を備えたポリシラ
ン薄膜として形成され得る。
【0017】本発明では、ポリシラン薄膜に相当する単
分子膜およびこの単分子膜が累積されてなる累積膜が、
一方の側鎖に特定の親水基Xを、他方の側鎖に特定の疎
水基R1 を夫々有する上記一般式(1)で表される反復
単位(以下、反復単位(1)と記す)を有する両親媒性
のポリシランによって形成されている。特に、前記親水
基Xは、好ましくは、水酸基等の水素結合性基を有す
る。
【0018】従って、本発明のポリシラン単分子膜で
は、膜を構成するポリシラン分子において、例えば、下
記化5に示す式(2)に示すような分子内水素結合、並
びに式(3)に示すような分子間水素結合が形成され、
Si−Si主鎖方向およびSi−Si主鎖方向に対して
直交する方向における強度が夫々向上する。また、当該
ポリシラン分子は、これら水素結合によって、規則性を
もってパッキングされ、更に、これら分子の高分子液晶
性によって、膜全体に亘って高秩序に配列される。この
ように、本発明のポリシラン単分子膜では、特に二次元
的に優れた規則性、均一性、および強度等の性能が達成
される。
【0019】一方、本発明のポリシラン累積膜は、上述
したような単分子膜が累積されたものであり、互いに接
する単分子膜間においても同様の分子間水素結合が形成
される。この結果、当該ポリシラン累積膜では、上述し
たような各単分子膜における性能に加えて、更に膜厚方
向においても性能が向上され、特に三次元的に優れた規
則性、均一性、および強度等の性能が達成される。
【0020】
【化5】 以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】本発明で使用され得る反復単位(1)を有
する両親媒性のポリシランの具体例としては、後掲する
表A(化9〜化44)に示す重合体および共重合体が挙
げられる。
【0022】これら反復単位(1)を有するポリシラン
は、一般的には、マクロモレキュールズ(Macromolecul
es),22(1989)2933頁、同21(1988)304 頁に記載の
方法等によって容易に合成することができる。具体的に
は、例えば、前記反復単位(1)においてXが水酸基を
有する親水基であるようなポリシランは、シリル基によ
って保護された水酸基を有するジクロロシラン誘導体
を、有機溶媒中で金属ナトリウムとの反応によって重縮
合させた後、保護基を加水分解によって除去することに
よって合成される。
【0023】また、前記反復単位(1)においてXがエ
ステル結合、カーボネート結合、またはカルバメート結
合等を有する親水基であるようなポリシラン、例えば、
XがOCOR,OCOOR,OCONHR(Rは1価の
有機基)等の親水基であるようなポリシランは、上述し
たように合成される側鎖に水酸基を有するポリシラン
と、アミン化合物、イソシアネート化合物等の適切な化
合物とを反応させることによって得ることができる。但
しこの場合、得られるポリシランの側鎖には、通常、不
可避的に未反応の水酸基が残存する。即ち、実質的に
は、Xが水酸基を有する親水基であるような反復単位
(1)と、Xが前記エステル結合等の水酸基から誘導さ
れる結合を有する親水基であるような反復単位(1)と
を含む共重合体が得られる。また、このような共重合
体、例えば後掲の表Aで挙げられた共重合体を、上記反
応の条件を適宜変化させることによって、あらゆる共重
合体組成で意図的に合成することもできる。
【0024】本発明のポリシラン単分子膜および累積膜
では、前記反復単位(1)を有するポリシランに加え、
更に、該ポリシランの一部が、下記化6〜7に示す化合
物や、ポルフィリン化合物、ビオロゲン化合物のような
電荷移動錯体を形成する化合物によって置換されたポリ
マーも使用され得る。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】 このような置換されたポリシランの例を、後掲する表B
(化45)に列挙する。
【0027】この場合、当該置換されたポリシランと、
上述したような反復単位(1)を有するポリシランと
が、結合して共重合体を構成してもよく、また単なる混
合物を形成してもよい。これらポリシランの共重合体ま
たはポリシラン混合物を使用して形成されたポリシラン
単分子膜および累積膜は、前記電荷移動錯体を形成する
化合物によって膜を構成する分子が分極しているため、
ホールおよび電荷の移動層として特に好適である。
【0028】本発明のポリシラン単分子膜および累積膜
は、多種に亘る一般的な製膜プロセスによって形成され
得る。特に好ましくは、反復単位(1)を有するポリシ
ラン両親媒性を利用するLB法(ラングミュア -ブロジ
ェット法)によって、LB単分子膜またはLB累積膜と
して製膜され得る。
【0029】当該LB法によるプロセスについて詳述す
れば、まず、前記反復単位(1)を有するポリシランを
適切な有機溶媒に溶解し、得られたポリマー溶液を水等
の液体に滴下してその液面上に展開する。このとき、当
該ポリシランでは、親水基(反復単位(1)におけるX
側)が液面に接し、一方疎水基(反復単位(1)におけ
るR1 側)が液面から遠ざかるような配向をとるため、
非常に安定した単分子膜が形成される。
【0030】次に、該単分子膜を所定の表面圧に圧縮
し、その表面積を制御して表面圧を一定に保ちながら、
予め疎水化処理等を施した基板を単分子膜表面に対して
垂直方向に浸漬し、その後引き上げる。この際、基板の
浸漬時もしくは引き上げ時、またはその両方において、
基板上に前記単分子膜が転写され、反復単位(1)を有
するポリシランのLB単分子膜またはLB累積膜が形成
される。更に、このような基板を浸漬する操作を複数回
行うことにより、基板上に前記ポリシランのLB単分子
膜またはLB累積膜が層状に累積され、所望の膜厚を有
するLB累積膜を形成することができる。
【0031】以上のようなLB法による製膜操作は、一
般的なLB膜形成装置を用いて行うことができる。
【0032】本発明では、前記反復単位(1)を有する
ポリシランが両親媒性であるため、LB法による製膜プ
ロセスを採用した場合、液面上における安定な単分子膜
の状態を経て、高秩序にポリシラン分子の配向および配
列が制御された上で、基板上にLB単分子膜またはLB
累積膜が形成される。従って、これらポリシランのLB
単分子膜および累積膜では、特に膜厚 0.1μm 以下の場
合、LB法と、前述したようなポリシランにおいて形成
される分子内および分子間の水素結合との相乗効果によ
って、更に優れた均一性、規則性が達成される。
【0033】尚、本発明において、LB法によってポリ
シラン単分子膜または累積膜を形成する場合、反復単位
(1)を有するポリシラン、例えば表Aに挙げたポリシ
ランであって、疎水基R1 の少なくとも1個の水素原子
がフッ素原子またはフッ素原子を含む基によって置換さ
れているポリシランを使用することが好ましい。当該ポ
リシランは、R1 がフッ素原子によって更に強力な疎水
基となっており、他方の側鎖における親水基Xとの相互
作用で、LB法において液面上に非常に安定な単分子膜
を形成することができる。この結果、最終的に得られる
LB単分子膜および累積膜では、ポリシラン分子がより
高秩序に配向および配列している。
【0034】また、本発明においてLB法が採用される
場合、反復単位(1)を有するポリシラン、例えば表A
に挙げたポリシランであって、疎水基R1 が炭素数 4〜
24の置換もしくは非置換アルキル基であるポリシランを
使用することも好ましい。当該ポリシランの分子は、L
B法において、特定の疎水基を有するため、基板が液面
上から引き上げられた時に生ずるシェアにより、当該引
き上げ方向に強く配向する。この結果、最終的に得られ
るLB単分子膜およびLB累積膜は、膜内でポリシラン
分子が一方向に高度に配向した構造を有する薄膜となり
得る。
【0035】更に、本発明のポリシラン単分子膜および
累積膜は、他の有機物または無機物の薄膜と組み合わさ
れることによって、高機能性の薄膜素子を提供すること
ができる。
【0036】特に、前記反復単位(1)を有するポリシ
ランによって形成される単分子膜または累積膜と、当該
ポリシランの主鎖に対して電子的に相互作用することが
可能な有機分子とを有する有機薄膜とが順次積層されて
なる有機薄膜素子は、優れた機能を具備し、ホールおよ
び電荷の移動層等に好適である。以下、この有機薄膜素
子について説明する。
【0037】当該有機薄膜素子は、一般的に、基板上に
おいて上述したような2種類の薄膜の形成を順次、例え
ば交互に行うことによって、これら薄膜が積層されたも
のである。これら薄膜のうち、前記ポリシラン単分子膜
または累積膜は、好ましくは、上記同様に前記反復単位
(1)を有するポリシランの有機溶液を使用したLB法
に従って形成される。一方、前記有機薄膜については、
前記ポリシラン膜と同様のLB法、またはCVD(chem
ical vapor deposition )法等に従って形成される。具
体的には、例えば、まず基板上にLB法によって前記ポ
リシランのLB単分子膜またはLB累積膜を形成した
後、この膜上にLB法またはCVD法によって前記有機
薄膜を形成して、これら薄膜による積層構造を形成す
る。
【0038】尚、前記有機薄膜素子では、ポリシラン単
分子膜または累積膜と、有機薄膜との積層構造におい
て、何れの薄膜が基板と接する層として形成されてもよ
い。更に、LB法によるポリシランの単分子膜または累
積膜の形成、およびLB法またはCVD法等による有機
薄膜の形成を交互に複数回行うことにより、基板上にこ
れらを複数周期に亘って積層してもよい。
【0039】前記有機薄膜素子において、反復単位
(1)を有するポリシランの主鎖と電子的に相互作用す
ることが可能な有機分子を含む有機薄膜は、例えば、π
電子を有する化合物またはローンペア電子を有する化合
物によって形成され得る。その具体例としては、金属フ
タロシアニン、非金属フタロシアニン、モノアゾ色素お
よびビスアゾ色素等のアゾ系染料、ペリレン系顔料、イ
ンジゴイド染料、キナクリドン顔料、アントラキノン
類、多環キノン類、シアニン色素、キサンテン色素、ポ
リビニルカルバゾール、トリニトロフルオレノン、ピリ
リウム塩、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキ
サゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール
化合物、チアジアゾール化合物、イミノ化合物、ケタジ
ン化合物、エナミン化合物、アミジン化合物、スチルベ
ン化合物、ブタジエン化合物、カルバゾール化合物、7,
7,8,8-テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)、およ
び下記化8に示す化合物等が挙げられる。
【0040】
【化8】 このような有機薄膜素子では、ポリシラン単分子膜また
は累積膜において、前述したように優れた分子の均一性
および規則性が達成されている。更に、このポリシラン
薄膜と、該ポリシランの主鎖に対して電子的に相互作用
することが可能な有機分子とを有する有機薄膜とが積層
されて構成されていることにより、導電性、電荷、ホー
ルの移動度等の性能が向上され、またこれら薄膜間での
分子レベルでの相互作用によって、超格子が形成され得
ることも推定される。
【0041】一方、本発明のポリシラン単分子膜または
累積膜と、他の無機物の薄膜とが交互に積層された多層
構造を有する薄膜素子も優れた特性を示す。当該薄膜素
子においても、好ましくは、前記ポリシラン単分子膜ま
たは累積膜はLB法で、前記無機物の薄膜はLB法また
はCVD法等の一般的なプロセスに従って、夫々形成さ
れる。当該無機物の具体例としては、シリコン、セレ
ン、CdS、CdSe、ZeO、ZnO、CdSSe等
が挙げられる。
【0042】また、本発明のポリシラン単分子膜および
累積膜は、液晶表示素子における配向膜、即ち液晶分子
の配向状態を制御する膜として好適である。液晶表示素
子は、一定距離を隔て対向して配置された一対の基板
と、これら夫々の基板の対向面を被覆する配向膜と、前
記基板間に前記配向膜を介して封入された液晶とを具備
した構造を有する。このような構造において、前記配向
膜の少なくとも一方に、前記ポリシラン単分子膜または
累積膜を適用することができる。
【0043】具体的な方法としては、透明電極および駆
動素子が形成された基板上に、前記反復単位(1)を有
するポリシランを使用し、好ましくはLB法に従ってポ
リシランのLB単分子膜またはLB累積膜を形成する。
続いて、これら基板一組を、前記単分子膜または累積膜
側を対向面として配置し、更に液晶を封入して、上述し
たような構造の液晶表示素子を形成する。
【0044】この場合、基板上のポリシラン単分子膜ま
たは累積膜では、その分子(Si−Si主鎖)が、例え
ばLB法による基板の引上げ方向に高秩序で配向および
配列しており、またSi−Si主鎖の方向に沿って大き
な分極率を有する。従って、当該液晶表示素子では、S
i−Si主鎖の方向に沿って封入された液晶分子が強く
配向する。このように、本発明のポリシラン単分子膜ま
たは累積膜は、液晶表示素子において、基板上で特定の
処理を施すことなく、液晶分子の配向を高秩序に制御す
ることができ、配向膜として極めて優れた性能を示す。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
る。
【0046】尚、これら実施例および比較例の記載中、
略号で記される化合物を、後掲する表C(化46〜化5
5)に列挙する。 実施例1 金属ナトリウム 3.5gをトルエン 100ml中に分散させ
た。これに、化合物(M−1)32.1gを 100℃において
トルエン 100mlに溶解した溶液を滴下し、 110℃で 1時
間反応させた。反応終了後、未反応のナトリウム、およ
び塩化ナトリウム等を濾別し、濾液を減圧下で濃縮し
た。この濃縮液にメタノール 200mlを加え、1時間攪拌
した後、不溶物を濾別した。更に、この濾液を濃縮し、
トルエン中に注ぐことによって、白色ポリマーを得た。
この白色ポリマーを生成物を同様に5度精製した後、得
られた生成物を再びメタノールに溶解させ、塩を取り除
くため水中に滴下し、前記生成物を沈殿させた。同様の
操作を5度繰り返した後、減圧下で前記生成物を乾燥し
て、ポリシラン(P−1)(平均分子量200,000)を得
た。
【0047】次に、ポリシラン(P−1)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を水
面上に展開して単分子膜を形成した。続いて、予め水面
(単分子膜面)に対して垂直方向に浸漬させたシリコン
ウェハ基板を、水面上に引き上げることによって前記単
分子膜を基板上に転写させ、LB単分子膜を形成した。
当該ポリシランのLB単分子膜について、基板の引上
げ方向と、この方向に対して垂直な方向とについて偏光
UV吸収を測定したところ、前者の方向におけるUV吸
収の方が大きかった。この結果より、当該単分子膜にお
いては、ポリシラン(P−1)のSi−Si主鎖は、前
記基板の引上げ方向に配向していることが判った。 実施例2 実施例1で合成したポリシラン(P−1)を、テトラヒ
ドロフラン(THF)100mlに溶解し、これに、トリエ
チルアミン0.04モルおよび無水マレイン酸 0.1モルをT
HF 100mlに溶解した溶液を加えた。該溶液を塩酸の希
薄水溶液に注ぎ、ポリシラン(P−2)(平均分子量20
0,000)を得た。
【0048】次に、ポリシラン(P−2)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を使
用し、実施例1と同様の方法に従って、基板表面にポリ
シランのLB単分子膜を形成した。
【0049】当該ポリシランのLB単分子膜について、
基板の引上げ方向と、この方向に対して垂直な方向とに
ついて偏光UV吸収を測定したところ、前者の方向にお
けるUV吸収の方が大きかった。この結果より、当該単
分子膜において、ポリシラン(P−2)のSi−Si主
鎖は、前記基板の引上げ方向に配向していることが判っ
た。 実施例3 金属ナトリウム 3.5gをトルエン 100ml中に分散させ
た。これに、化合物(M−2)32gを加え、 100℃にお
いて 1時間反応させた。反応終了後、実施例1と同様に
して未反応のナトリウム、および塩化ナトリウム等を濾
別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液をメタノー
ル中に注ぎ、ポリマーを精製した。
【0050】得られたポリマー 1gをTHF 200mlに溶
解させ、これにn-Bu4 NF 1モル溶液 5ccを加え、室
温で10分間反応させることによって、イソプロピルジメ
チルシリル基を分解させた。この生成物を塩酸の希薄水
溶液で洗浄し、ポリシラン(P−3)(平均分子量7,00
0)を得た。
【0051】次に、ポリシラン(P−3)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を使
用し、実施例1と同様の方法に従って、基板表面にポリ
シランのLB単分子膜を形成した。
【0052】当該ポリシランのLB単分子膜について、
基板の引上げ方向と、この方向に対して垂直な方向とに
ついて偏光UV吸収を測定したところ、UV吸収に異方
性が見られた。この結果より、当該単分子膜において
は、ポリシラン(P−3)のSi−Si主鎖が配向して
いることが判った。 実施例4 金属ナトリウム 3.5gをトルエン 100ml中に分散させ
た。これに、化合物(M−3)32gを加え、 100℃にお
いて 1時間反応させた。反応終了後、実施例1と同様に
して未反応のナトリウム、および塩化ナトリウム等を濾
別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液をメタノー
ル中に注ぎ、ポリマー(PX−1)を精製した。
【0053】得られたポリマー(PX−1) 1gをTH
F 200mlに溶解させ、これにn-Bu4 NF 1モル溶液 5
ccを加え、室温で10分間反応させることによって、t-ブ
チルジメチルシリル基を分解させた。この生成物を塩酸
の希薄水溶液で洗浄し、ポリシラン(P−4)(平均分
子量 250,000) を得た。
【0054】次に、ポリシラン(P−4)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を使
用し、実施例1と同様の方法に従って、基板表面にポリ
シランのLB単分子膜を形成した。
【0055】当該ポリシランのLB単分子膜について、
基板の引上げ方向と、同方向に対して垂直な方向とにつ
いて偏光UV吸収を測定したところ、UV吸収に異方性
が見られた。この結果より、当該単分子膜においては、
ポリシラン(P−4)のSi−Si主鎖が基板の引上げ
方向に配向していることが判った。 比較例1 実施例4で得られたポリマー(PX−1)30mgを、シク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を
使用し、実施例1と同様の方法に従って、基板表面にL
B単分子膜を形成した。
【0056】当該LB単分子膜について、基板の引上げ
方向と、同方向に対して垂直な方向とについて偏光UV
吸収を測定したところ、UV吸収には異方性が見られな
かった。この結果より、当該単分子膜において、ポリマ
ー(PX−1)のSi−Si主鎖が特定の方向に配向し
ていないことが判った。 実施例5 実施例1と同様の方法によって、ポリシラン(P−1)
(平均分子量200,000)を合成した。
【0057】次に、ポリシラン(P−1)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を水
面上に展開して単分子膜を形成した。続いて、シリコン
ウェハ基板を水面(単分子膜面)に対して垂直方向に浸
漬させた後、基板を水面上に引き上げた。更に、該操作
を繰り返して行ったが、この際、基板を引き上げた時に
のみ基板上に単分子膜が累積された。こうして、上記操
作を10回繰り返すことにより、基板上に10層の単分子膜
を再現性よく累積できた。
【0058】上記の如く形成されたポリシラン累積膜
(LB累積膜)について、その表面をSEMで観察した
ところ、膜の欠陥もなく、均一な膜が製膜されているこ
とが確認された。
【0059】また、このポリシラン累積膜に対し、パタ
ーニング用マスクを介してエレクトロンビームを照射し
た。この後、 0.6%の水酸化テトラメチルアンモニウム
水溶液で現像したところ、 0.2μmのパターン(ライン
およびスペース)が解像されており、当該ポリシラン累
積膜がPEPにおけるレジスト膜として好適に利用でき
ることが判った。 実施例6 実施例2と同様の方法によって、ポリシラン(P−2)
(平均分子量200,000)を合成した。
【0060】次に、ポリマー(P−2)30mgをシクロヘ
キサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を使用
し、実施例5と同様の方法に従って、基板表面に膜厚約
300A(オングストロム,以下同様)のポリシラン累積
膜(LB累積膜)を形成した。
【0061】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0062】また、このポリシラン累積膜について、3
次の非線形光学特性を測定したところ、χ(3) = 2.0×
10-12 esu であり、当該ポリシラン累積膜は非線形光学
素子への応用が可能であることが判った。 実施例7 実施例3と同様の方法によって、ポリシラン(P−3)
(平均分子量7,000 )を合成した。
【0063】次に、ポリシラン(P−3)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を使
用し、実施例5と同様の方法に従って、基板表面に膜厚
約 500Aのポリシラン累積膜(LB累積膜)を形成し
た。
【0064】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一な膜が製膜されていることが確認され
た。
【0065】また、このポリシランポリシラン累積膜に
ついて、タイムオフフライト法によりホールの移動度を
測定した。この結果、10-5cm2 /V.sec.の値を示し、当
該ポリシラン累積膜がホールの移動層として好適に機能
することが判った。 実施例8 メタ(i-プロペニル)フェノール 135gおよびt-ブチル
ジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500g
に溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮し
て蒸留し化合物(G−1)を得た。続いて、化合物(G
−1) 248g、化合物(S−1) 197g、および塩化白
金酸 5gを、 150℃で 3時間反応させた後、蒸留して化
合物(M−4)を得た。
【0066】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−4)44.5gを
65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、 4時間反応させ(M−4)をポリマー化した。反応
終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の
不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液
をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0067】得られたポリマー10gをTHF(テトラヒ
ドロフラン) 500mlに溶解させ、これにテトラブチルア
ンモニウムフルオライドの 1MTHF溶液54ccを加え、
室温で10分間反応させることによって、t-ブチルジメチ
ルシリル基を分解させた。この反応溶液を塩酸の希薄水
溶液で洗浄し、分離したTHF層を濃縮した。生成物を
トルエン中に滴下し、ポリシラン(P−5)(平均分子
量12,000)を得た。
【0068】次に、ポリシラン(P−5)3.74gをTH
F 100mlに溶解させ、これにトリエチルアミン1.01gお
よび化合物(F−1)1.00gをTHF 100mlに溶解させ
た溶液を室温で滴下した。滴下終了後、ポリマー溶液を
水中にあけ、白色ポリマーを得た。この白色ポリマーを
乾燥した後メタノールに溶解させ、トルエン中に滴下し
てポリマーを精製した。続いて、このポリマーを乾燥し
た後メタノール中に溶解させ、更に水中に滴下してポリ
マーを沈殿させ、充分に水洗することにより、ポリシラ
ン(PF−1)を得た。
【0069】得られたポリシラン(PF−1)30mgをシ
クロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上
に展開して単分子膜を形成した。続いて、シリコンウェ
ハ基板を水面(単分子膜面)に対して、垂直方向に浸漬
させた後水面上に引上げた。この操作を繰り返すことに
よって、即ちLB法によるプロセスによって、基板上に
ポリシラン(PF−1)が12層累積されたポリシラン累
積膜を形成した。
【0070】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。 実施例9 メタブロモフェノール(G−2) 171gおよびt-ブチル
ジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500g
に溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮し
て蒸留し、化合物(G−3)を得た。続いて、化合物
(G−3) 285gおよびMg24gから合成されたグリニ
ヤ試薬(エーテル中)を、(S−2)240 gに滴下し、
滴下終了後4時間還流させた。生成した塩を濾取し、濾
液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M−5)
を得た。
【0071】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−5)43.7gを
65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、 4時間反応させ(M−5)をポリマー化した。反応
終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の
不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液
をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0072】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液55ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−6)(平均分子量15,000)を得た。
【0073】次に、ポリシラン(P−6)3.74gをTH
F 100mlに溶解させ、これにトリエチルアミン1.01gお
よび化合物(F−2)1.40gをTHF 100mlに溶解させ
た溶液を室温で滴下した。滴下終了後、ポリマー溶液を
水中にあけ、白色ポリマーを得た。この白色ポリマーを
乾燥した後メタノールに溶解させ、トルエン中に滴下し
てポリマーを精製した。続いて、このポリマーを乾燥し
た後メタノール中に溶解させ、更に水中に滴下してポリ
マーを沈殿させ、充分に水洗することによりポリシラン
(PF−2)を得た。
【0074】得られたポリシラン(PF−2)30mgをシ
クロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上
に展開して単分子膜を形成した。続いて、実施例8と同
様の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上
にポリシラン(PF−2)が累積されたポリシラン累積
膜(膜厚 200オングストローム)を形成した。
【0075】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。 実施例10 金属ナトリウム 3.5gをトルエン 100ml中に分散させ
た。これに、化合物(M−6)32gを加え、65℃におい
て 1時間反応させ(M−6)をポリマー化した。反応終
了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の不
溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液を
メタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0076】得られたポリマー 1gをTHF 200mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液 5ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、i-プロピルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−7)(平均分子量 7,000)を得た。
【0077】次に、ポリシラン(P−7)3.55gをTH
F 100mlに溶解させ、これに化合物(F−3)2.64g、
18クラウン6 3g、および炭酸カリウム1.38gをTH
F 100mlに分散させた溶液を加え、室温で一昼夜攪拌し
た。この後、ポリマー溶液を水中に滴下し、沈殿物を得
た。該沈殿物を乾燥した後、トルエンに溶解させ、エタ
ノール中に滴下してポリシラン(PF−3)を得た。
【0078】得られたポリシラン(PF−3)30mgをシ
クロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上
に展開して単分子膜を形成した。続いて、実施例8と同
様の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上
にポリシラン(PF−3)が15層累積されたポリシラン
累積膜を形成した。
【0079】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0080】また、当該ポリシラン累積膜について、タ
イムオフフライト法によりホールの移動度を測定した。
この結果、10-4cm2 /V.sec.の値を示し、このポリシラ
ン累積膜がホールの移動層として好適に機能することが
判った。
【0081】更に、当該ポリシラン累積膜について、3
次の非線形感受率を測定したところ、10-11 esu の値が
得られ良好な光線形光学特性を有することが確認され
た。 実施例11 メタブロモフェノール(G−2) 171gおよびt-ブチル
ジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500g
に溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮し
て蒸留し、化合物(G−3)を得た。続いて、化合物
(G−3) 285g、およびMg24gから合成されたグリ
ニヤ試薬(エーテル中)を(S−3)381 gに滴下し、
滴下終了後4時間還流させた。生成した塩を濾取し、濾
液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M−7)
を得た。
【0082】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−7)55.3gを
65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、 4時間反応させ(M−7)をポリマー化した。反応
終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の
不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液
をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0083】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液54ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−8)(平均分子量15,000)を得た。
【0084】次に、ポリシラン(P−8) 4.8gをTH
F 100mlに溶解させ、これにフェニルイソシアネート
(F−4) 1.2gおよびテトラエチルアミン 0,2mlをT
HF 100mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で 3時間反
応させた。反応終了後、ポリマー溶液を水中に注ぎ、沈
殿物を得た。該沈殿物を乾燥した後トルエンに溶解さ
せ、更にエタノール中に滴下してポリシラン(PF−
4)を得た。
【0085】得られたポリシラン(PF−4)30mgをシ
クロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上
に展開して単分子膜を形成した。別途、TCNQ(7,7,
8,8-テトラシアノキノンジメタン)の単分子膜を形成し
た。続いて、これら単分子膜を使用して、実施例8と同
様の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上
にポリシラン(PF−4)およびTCNQを夫々20層交
互に積層した。
【0086】上記の如く形成された積層構造体につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0087】また、当該積層構造体について、導電率を
測定したところ10-4Ωcmの値が得られた。 実施例12 6-ブロモ1-ヘキサノール(G−4) 181gおよびt-ブチ
ルジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500
gに溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下し
た。 3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃
縮して蒸留し、化合物(G−5)を得た。続いて、化合
物(G−5) 295g、およびMg24gから合成されたグ
リニヤ試薬(エーテル中)を(S−3)240 gに滴下
し、滴下終了後 4時間還流させた。生成した塩を濾取
し、濾液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M
−8)を得た。
【0088】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−8)56.2gを
65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、 4時間反応させ(M−8)をポリマー化した。反応
終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の
不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液
をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0089】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液54ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−9)(平均分子量12,000)を得た。
【0090】次に、ポリシラン(P−9) 4.9gをTH
F 100mlに溶解させ、これにフェニルイソシアネート
(F−4) 1.2gおよびテトラエチルアミン 0,2mlをT
HF 100mlに溶解させた溶液を滴下し、室温で 3時間反
応させた。反応終了後、ポリマー溶液を水中に注ぎ、沈
殿物を得た。該沈殿物を乾燥した後トルエンに溶解さ
せ、更にエタノール中に滴下してポリシラン(PF−
5)を得た。
【0091】得られた(PF−5)30mgをシクロヘキサ
ノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に展開して
単分子膜を形成した。続いて、これら単分子膜を使用し
て、実施例8と同様の方法、即ちLB法によるプロセス
によって、基板上に(PF−5)が20層累積されたポリ
シラン累積膜を形成した。
【0092】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0093】また、当該累積膜について、タイムオフフ
ライト法によりホールの移動度を測定した。この結果、
10-4cm2 /V.sec.の値を示し、当該累積膜がホールの移
動層として好適に機能することが判った。
【0094】更に、当該ポリシラン累積膜の3次の非線
形感受率を測定したところ、LB法による基板の引上げ
方向については10-11 esu の値が、該引上げ方向と垂直
方向には10-13 esu の値が夫々得られた。この結果よ
り、このポリシラン累積膜には異方性のあることが判っ
た。 実施例13 メタ(i-プロペニル)フェノール 135gおよびt-ブチル
ジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500g
に溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮し
て蒸留し、化合物(G−1)を得た。続いて、化合物
(G−1) 248g、化合物(S−4) 157g、および塩
化白金酸 5gを、 150℃で 3時間反応させた後、蒸留し
て化合物(M−9)を得た。
【0095】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−9)40.5gを
65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、 4時間反応させ(M−9)をポリマー化した。反応
終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等の
不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮液
をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0096】得られたポリマー10gをTHF(テトラヒ
ドロフラン) 500mlに溶解させ、これにテトラブチルア
ンモニウムフルオライドの 1MTHF溶液54ccを加え、
室温で10分間反応させることによって、t-ブチルジメチ
ルシリル基を分解させた。この反応溶液を塩酸の希薄水
溶液で洗浄し、分離したTHF層を濃縮した。生成物を
トルエン中に滴下し、ポリシラン(P−10)(平均分
子量 120,000)を得た。
【0097】次に、ポリシラン(P−10)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に
展開して単分子膜を形成した。続いて、シリコンウェハ
基板を水面(単分子膜面)に対して、垂直方向に浸漬さ
せた後水面上に引上げた。この操作を繰り返すことによ
って、即ちLB法によるプロセスによって、基板上にポ
リシラン(P−10)が12層累積されたポリシラン累積
膜を形成した。
【0098】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 335nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜においてポリシラン(P−10)のS
i−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強く
配向していることが判った。 実施例14 ポリシラン(P−10)3.34gをTHF 100mlに溶解さ
せ、これにトリエチルアミン1.01gおよび化合物(F−
1)1.00gをTHF 100mlに溶解させた溶液を室温で滴
下した。滴下終了後、ポリマー溶液を水中にあけ、白色
ポリマーを得た。この白色ポリマーを乾燥した後メタノ
ールに溶解させ、トルエン中に滴下してポリマーを精製
した。続いて、このポリマーを乾燥した後メタノール中
に溶解させ、更に水中に滴下してポリマーを沈殿させ、
充分に水洗することにより、ポリシラン(PF−6)を
得た。
【0099】次に、ポリシラン(PF−6)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に
展開して単分子膜を形成した。続いて、実施例13と同
様の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上
にポリシラン(PF−6)が15層累積されたポリシラン
累積膜を形成した。
【0100】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0101】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 335nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(PF−6)の
Si−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強
く配向していることが判った。 実施例15 メタブロモフェノール(G−2) 171gおよびt-ブチル
ジメチルシリルクロライド 160gを脱水エーテル 500g
に溶解させ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
3時間還流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮し
て蒸留し、化合物(G−3)を得た。続いて、化合物
(G−3) 285g、およびMg24gから合成されたグリ
ニヤ試薬(エーテル中)を(S−5)220 gに滴下し、
滴下終了後4時間還流させた。生成した塩を濾取し、濾
液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M−1
0)を得た。
【0102】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−10)39.0g
を65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、4時間反応させ(M−10)をポリマー化した。反
応終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等
の不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮
液をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0103】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液55ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−3)(平均分子量 150,000)を得た。
【0104】次に、ポリシラン(P−3)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に展
開して単分子膜を形成した。続いて、実施例13と同様
の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上に
ポリシラン(P−3)が累積されたポリシラン累積膜
(膜厚 200オングストローム)を形成した。
【0105】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0106】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 340nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(P−3)のS
i−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強く
配向していることが判った。 実施例16 ポリシラン(P−3)3.19gをTHF 100mlに溶解さ
せ、これにトリエチルアミン1.01gおよびフェニルイソ
シアネート(F−4)1.19gをTHF 100mlに溶解させ
た溶液を室温で滴下した。滴下終了後、ポリマー溶液を
水中にあけ、白色ポリマーを得た。この白色ポリマーを
乾燥した後メタノールに溶解させ、トルエン中に滴下し
てポリマーを精製した。続いて、このポリマーを乾燥し
た後メタノール中に溶解させ、更に水中に滴下してポリ
マーを沈殿させ、充分に水洗することにより、ポリシラ
ン(PF−7)を得た。
【0107】次に、(PF−7)30mgをシクロヘキサノ
ン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に展開して単
分子膜を形成した。続いて、実施例13と同様の方法、
即ちLB法によるプロセスによって、基板上にポリシラ
ン(PF−7)が累積されたポリシラン累積膜(膜厚 2
00オングストローム)を形成した。
【0108】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0109】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 340nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(PF−7)の
Si−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強
く配向していることが判った。 実施例17 化合物(G−3) 285g、およびMg24gから合成され
たグリニヤ試薬(エーテル中)を(S−6)192 gに滴
下し、滴下終了後 4時間還流させた。生成した塩を濾取
し、濾液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M
−3)を得た。
【0110】次に、金属ナトリウム 3.5gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−3)36gを加
えて、 4時間反応させ(M−3)をポリマー化した。反
応終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等
の不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮
液をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0111】得られたポリマー 1gをTHF 200mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液 5ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−4)(平均分子量 250,000)を得た。
【0112】次に、ポリシラン(P−4)30mgをシクロ
ヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に展
開して単分子膜を形成した。続いて、これら単分子膜を
使用して、実施例13と同様の方法、即ちLB法による
プロセスによって、即ちLB法によるプロセスによっ
て、基板上にポリシラン(P−4)が累積されたポリシ
ラン累積膜(膜厚 200オングストローム)を形成した。
【0113】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0114】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 340nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(P−4)のS
i−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強く
配向していることが判った。 実施例18 パラブロモフェノール 171gおよびt-ブチルジメチルシ
リルクロライド 160gを脱水エーテル 500gに溶解さ
せ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。 3時間還
流した後、生成した塩を濾取し、濾液を濃縮して蒸留
し、化合物(G−6)を得た。続いて、化合物(G−
6) 285g、Mg24gから合成されたグリニヤ試薬(エ
ーテル中)を(S−3)381 gに滴下し、滴下終了後 4
時間還流させた。生成した塩を濾取し、濾液を濃縮して
濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M−11)を得た。
【0115】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−11)55.3g
を65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、4時間反応させ(M−11)をポリマー化した。反
応終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等
の不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮
液をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0116】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニムフルオライドの
1MTHF溶液54ccを加え、室温で10分間反応させるこ
とによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させた。
この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離したT
HF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、ポリ
シラン(P−11)(平均分子量15,000)を得た。
【0117】次に、ポリシラン(P−11)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に
展開して単分子膜を形成した。続いて、実施例13と同
様の方法、即ちLB法によるプロセスによって、基板上
に(P−11)が累積されたポリシラン累積膜(膜厚 2
00オングストローム)を形成した。
【0118】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0119】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 303nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(P−11)の
Si−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強
く配向していることが判った。
【0120】また、当該ポリシラン累積膜について、3
次の非線形感受率を測定したところ、LB法による基板
の引上げ方向では 2×10-11 esu の値が、基板の引上げ
方向と垂直方向では 2×10-13 esu の値が夫々得られ
た。即ち、このポリシラン累積膜には非線形光学特性に
関して異方性のあることが判った。 実施例19 ポリシラン(P−11) 4.8gをTHF 100mlに溶解さ
せ、これにフェニルイソシアネート(F−4) 1.2gお
よびテトラエチルアミン 0,2mlをTHF 100mlに溶解さ
せた溶液を滴下し、室温で 3時間反応させた。反応終了
後、ポリマー溶液を水中に注ぎ、沈殿物を得た。該沈殿
物を乾燥した後トルエンに溶解させ、更にエタノール中
に滴下してポリシラン(PF−8)を得た。
【0121】次に、ポリシラン(PF−8)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に
展開して単分子膜を形成した。別途、TCNQの単分子
膜を水面上に形成した。続いて、これら単分子膜を使用
して、実施例13と同様の方法、即ちLB法によるプロ
セスによって、基板上にポリシラン(PF−8)および
TCNQを夫々20層交互に積層した。
【0122】上記の如く形成された積層構造について、
その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もなく、
ほぼ均一に製膜されていることが確認された。 実施例20 6-ブロモ1-ヘキサノール 181gおよびt-ブチルジメチル
シリルクロライド 160gを脱水エーテル 500gに溶解さ
せ、更にトリエチルアミン 101gを滴下した。
【0123】3時間還流した後、生成した塩を濾取し、
濾液を濃縮して蒸留し化合物(G−5)を得た。続い
て、化合物(G−5) 295g、Mg24gから合成された
グリニヤ試薬(エーテル中)を(S−5)220 gに滴下
し、滴下終了後 4時間還流させた。生成した塩を濾取
し、濾液を濃縮して濃縮物を減圧下で蒸留し化合物(M
−12)を得た。
【0124】次に、金属ナトリウム 5.0gをトルエン 1
00ml中に分散させ、これに、化合物(M−12)28.6g
を65℃においてトルエン 100mlに溶解させた溶液を滴下
し、4時間反応させ(M−12)をポリマー化した。反
応終了後、未反応のナトリウムおよび塩化ナトリウム等
の不溶物を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。この濃縮
液をメタノール中に注ぎポリマーを精製した。
【0125】得られたポリマー10gをTHF 500mlに溶
解させ、これにテトラブチルアンモニウムフルオライド
の 1MTHF溶液54ccを加え、室温で10分間反応させる
ことによって、t-ブチルジメチルシリル基を分解させ
た。この反応溶液を塩酸の希薄水溶液で洗浄し、分離し
たTHF層を濃縮した。生成物をトルエン中に滴下し、
ポリシラン(P−12)(平均分子量12,000)を得た。
【0126】次に、ポリシラン(P−12)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該溶液を水面上に
展開して単分子膜を形成した。続いて、これら単分子膜
を使用して、実施例13と同様の方法、即ちLB法によ
るプロセスによって、基板上に(P−12)が20層積層
されたポリシラン累積膜を形成した。
【0127】上記の如く形成されたポリシラン累積膜に
ついて、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥
もなく、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0128】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 335nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(P−12)の
Si−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強
く配向していることが判った。 実施例21 ポリシラン(P−13)30mgをシクロヘキサノン 1リッ
トルに溶解させ、該溶液を水面上に展開して単分子膜を
形成した。続いて、これら単分子膜を使用して、実施例
13と同様の方法、即ちLB法によるプロセスによっ
て、基板上にポリシラン(P−13)が20層累積された
ポリシラン累積膜を形成した。
【0129】上記の如く形成された累積膜について、そ
の表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もなく、ほ
ぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0130】このLB法により基板上に形成されたポリ
シラン累積膜において、水面からの基板の引上げ方向に
モーメントを有する波長 345nmの偏光UV吸収は、基板
の引上げ方向に垂直なモーメントを有する同様の偏光U
V吸収に比べて極めて大きかった。この結果より、当該
ポリシラン累積膜において、ポリシラン(P−13)の
Si−Si主鎖は、LB法による基板の引上げ方向に強
く配向していることが判った。 比較例2 ポリシラン(PX−2)30mgをクロロホルム 1リットル
に溶解させ、該溶液を水面上に展開したが、単分子膜を
形成することができなかった。 実施例22 実施例1で合成されたポリシラン(P−1)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させ、該ポリマー溶液を
水面上に展開して単分子膜を形成した。続いて、シリコ
ンウェハ基板を水面(単分子膜面)に対して垂直方向に
浸漬させた後、基板を水面上に引き上げた(操作1)。
【0131】また、フタロシアニン30mgをクロロホルム
1リットルに溶解させ、この溶液を水面上に展開して単
分子膜を形成した。続いて、シリコンウェハ基板を水面
(単分子膜面)に対して垂直方向に浸漬させた後、基板
を水面上に引き上げた(操作2)。
【0132】以上の操作1および操作2を交互に繰り返
して行い、基板上にポリシラン(P−1)とフタロシア
ニンとを交互に累積させ、ポリシラン単分子膜と有機薄
膜とが夫々12層積層された有機薄膜素子を形成した。
【0133】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。 実施例23 実施例2で合成されたポリシラン(P−2)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解した。該ポリマー溶液、
およびまた有機物としてフタロシアニンを使用し、実施
例22と同様の方法に従って、基板上にポリシラン薄膜
とフタロシアニンを含有する有機薄膜とが積層された総
膜厚約 200オングストロームの有機薄膜素子を形成し
た。
【0134】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一に製膜されていることが確認された。
【0135】また、当該有機薄膜素子の光感度を測定し
たところ 3.5lux sec.の起電力が得られた。 実施例24 実施例3で合成されたポリシラン(P−3)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させた。該ポリマー溶
液、および有機物としてC60(フラーレー分子)を使用
し、実施例22と同様の方法に従って、基板上にポリシ
ラン単分子膜とC60を含有する有機薄膜とが夫々50層積
層された有機薄膜素子を形成した。
【0136】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一な膜が製膜されていることが確認された。
【0137】また、当該有機薄膜素子について、タイム
オフフライト法によりホールの移動度を測定した。この
結果、10-4cm2 /V.sec.の値を示し、ホールの移動層と
して好適に機能することが判った。
【0138】更に、当該薄膜素子の3次の非線形感受率
を測定したところ、10-11 esu の値が得られ、優れた非
線形光学特性が確認された。 実施例25 ポリシラン(P−2)30mgをシクロヘキサノン 1リット
ルに溶解させた溶液、および有機物としてTCNQ(7,
7,8,8-テトラシアノキノンジメタン)を使用し、実施例
22と同様の方法に従って、基板上にポリシラン単分子
膜とTCNQを含有する有機薄膜とが夫々20層積層され
た有機薄膜素子を形成した。
【0139】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一な膜が製膜されていることが確認された。
【0140】また、当該有機薄膜素子について導電率を
測定したところ10-4Ωcmの値が得られ、高い導電性を有
することが判った。 実施例26 ポリシラン(P−2)30mgをシクロヘキサノン 1リット
ルに溶解させたポリマー溶液、および有機物として化合
物(K−1)を使用し、実施例22と同様の方法に従っ
て、基板上にポリシラン単分子膜と(K−1)を含有す
る有機薄膜とが夫々20層累積された有機薄膜素子を形成
した。
【0141】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一な膜が製膜されていることが確認された。
【0142】また、当該有機薄膜素子について、タイム
オフフライト法によりホールの移動度を測定した。この
結果、10-4cm2 /V.sec.の値を示し、ホールの移動層と
して好適に機能することが判った。 実施例27 実施例4で合成されたポリシラン(P−4)30mgをシク
ロヘキサノン 1リットルに溶解させたポリマー、および
有機物としてフタロシアニンを使用し、実施例22と同
様の方法に従って、基板上にポリシラン単分子膜とフタ
ロシアニンを含有する有機薄膜とが夫々20層積層された
有機薄膜素子を形成した。
【0143】上記の如く形成された有機薄膜素子につい
て、その表面をSEMで観察したところ、膜の欠陥もな
く、ほぼ均一な膜が製膜されていることが確認された。
【0144】また、当該有機薄膜素子の3次の非線形感
受率を測定したところ、LB法による基板の引上げ方向
については10-11 esu の値が、該引上げ方向と垂直方向
には10-13 esu の値が夫々得られた。即ち、この有機薄
膜素子には異方性のあることが判った。
【0145】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のポリシラ
ン単分子膜および累積膜では、優れた規則性および均一
性が実現されており、これに起因して、上述したように
様々な特性を示す。従って、本発明のポリシラン単分子
膜および累積膜は、ホールおよび電荷の移動層、フォト
リソグラフィに使用される感光性材料、EL素子、光遅
延素子、センサー等の有機薄膜素子に使用される半導体
材料、非線形光学材料、絶縁材料、圧電材料、焦電材料
等の多種に亘る機能性材料に応用が可能であり、その工
業的価値は極めて大きい。
【0146】〔表 A〕
【0147】
【化9】
【0148】
【化10】
【0149】
【化11】
【0150】
【化12】
【0151】
【化13】
【0152】
【化14】
【0153】
【化15】
【0154】
【化16】
【0155】
【化17】
【0156】
【化18】
【0157】
【化19】
【0158】
【化20】
【0159】
【化21】
【0160】
【化22】
【0161】
【化23】
【0162】
【化24】
【0163】
【化25】
【0164】
【化26】
【0165】
【化27】
【0166】
【化28】
【0167】
【化29】
【0168】
【化30】
【0169】
【化31】
【0170】
【化32】
【0171】
【化33】
【0172】
【化34】
【0173】
【化35】
【0174】
【化36】
【0175】
【化37】
【0176】
【化38】
【0177】
【化39】
【0178】
【化40】
【0179】
【化41】
【0180】
【化42】
【0181】
【化43】
【0182】
【化44】 (表A中、nは重合度を、xおよびyは共重合体組成を
夫々表す。) 〔表 B〕
【0183】
【化45】 (表B中、nは重合度を表す。) 〔表 C〕
【0184】
【化46】
【0185】
【化47】
【0186】
【化48】
【0187】
【化49】
【0188】
【化50】
【0189】
【化51】
【0190】
【化52】
【0191】
【化53】
【0192】
【化54】
【0193】
【化55】 (表C中、nは重合度を、xおよびyは共重合体組成を
夫々表す。)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/35 504 7246−2K H01L 29/28 8728−4M // B01D 71/70 8822−4D C08L 83:00 (31)優先権主張番号 特願平3−278031 (32)優先日 平3(1991)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 善積 章 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 村井 伸次 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 可児 利佳子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1に示す一般式(1)で表される
    反復単位を有するポリシランによって形成されるポリシ
    ラン単分子膜。 【化1】 式中、R1 ,R2 ,Xは夫々以下のものを示す。 R1 :炭素数 1〜24の置換もしくは非置換アルキル基、
    または炭素数 6〜24の置換もしくは非置換アリール基。 R2 :炭素数 1〜24の2価の有機基。 X:水酸基、アミノ基、カルボン酸基、またはアミド結
    合、エステル結合、カルバメート結合、およびカーボネ
    ート結合から成る群より選ばれた少なくとも一種を有す
    る親水基。
  2. 【請求項2】 下記化2に示す一般式(1)で表される
    反復単位を有するポリシランによって形成されるポリシ
    ラン単分子膜が、累積されてなるポリシラン累積膜。 【化2】 式中、R1 ,R2 ,Xは夫々以下のものを示す。 R1 :炭素数 1〜24の置換もしくは非置換アルキル基、
    または炭素数 6〜24の置換もしくは非置換アリール基。 R2 :炭素数 1〜24の2価の有機基。 X:水酸基、アミノ基、カルボン酸基、またはアミド結
    合、エステル結合、カルバメート結合、およびカーボネ
    ート結合から成る群より選ばれた少なくとも一種を有す
    る親水基。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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