JPH0426377B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、鉄道、道路等の高架橋スラブを連続
的に打設することのできる高架橋スラブの移動式
型枠工法に関するものである。

「従来の技術」 コンクリート高架橋等の工事は、殆ど同じ形状
の構造物を連続的に構築する工事であるため、そ
の型枠施工においては、工事の省力化と能率化の
上から、移動式型枠による工法が採用されるよう
になつてきた。

この種移動式型枠工法は、例えば特公昭56−
37363号公報に示されているように、支保工を組
んでその上に型枠を組立て、その型枠の移動を門
型クレーン等のような大型なクレーンを使つて行
うようにしている。そのため、特別大きなクレー
ンを設置しなければならないばかりでなく、その
クレーンの設置や移動のために広い専用敷地が必
要となり、経費も増大する。また、山間部や橋脚
が非常に高い場合には、大型クレーンの設置が極
めて困難となるので、そのような工事においては
移動式の型枠を使用することができず、旧来の手
組み、手払いによる非能率で多くの人手を要する
型枠施工にならざるを得ないという実情である。

「発明が解決しようとする問題点」 本発明者は、この種移動式型枠による工法の問
題点を解決するため、さきに、特開昭58−94504
号公報に示すような、型枠を走行移動させるよう
にした工法の開発を行つてきた。

本発明は、前記の発明を更に改善することによ
り、施工の経済性を一層向上させると共に、作業
の容易性と安全性と能率性とを高めることがで
き、更には使用する型枠装置の軽量化とコストの
低減が図れる新たな型枠工法を提供しようとする
ものである。

「問題点を解決するための手段」 本発明の移動式型枠工法を、実施例に対応する
図面を参照して説明すると、本発明は、高架橋ス
ラブ２の長さ方向に所定の間隔をおいて列設した
橋脚１，１′に、該橋脚１，１′に取付けのブラケ
ツト３，３を介して該スラブ２の巾方向に沿つた
型枠横動用レール４，４を架設すると共に、各橋
脚１，１の外面側に、上面にローラ６，６を設け
たブラケツト５を高架橋スラブ２の長さ方向に隔
設し、このローラ６，６上に、可動支持桁７を該
スラブ２の長さ方向に滑動自在に架設し、他方、
高架橋スラブ２の巾の数分割巾に形成した型枠体
１１を昇降調節自在に設けると共に、型枠横動用
レール４上を走行できる車輪９，９を設けた走行
型枠装置Ａを構成し、該走行型枠装置Ａの複数個
を前記の型枠横動用レール４上にその車輪９を介
して載架搬入して並置し、各走行型枠装置Ａをジ
ヤツキ１５の伸縮操作により型枠横動用レール４
上に車輪９に代わり台座１６を介して支持させ、
型枠体上にスラブコンクリートを打設し、該コン
クリートの硬化後、走行型枠装置Ａの型枠体１１
をコンクリートより剥離、降下させて、ジヤツキ
１５の伸縮操作により台座１６を除去して走行型
枠装置Ａを型枠横動用レール４上に車輪９を介し
て支持させ、各走行型枠装置Ａを前記型枠横動用
レール４上を移動させて、前記可動支持桁７の型
枠縦動用レール８，８上に載置した台車２０上に
移乗させ、各走行型枠装置Ａを台車２０により順
次つぎの施工橋脚１，１間に走行移動させ、該橋
脚１，１間の型枠横動用レール４，４上に移乗さ
せて走行、搬入することを特徴とするものであ
る。

「実施例」 以下、本発明の実施例について図面を参照して
説明する。

図において１，１′は施工する高架橋スラブ２
の巾方向に所定の間隔をおいて列設された橋脚
で、この一対の橋脚１，１′は高架橋スラブ２の
長さ方向に、ほぼ等間隔をおいて列設されてお
り、それら橋脚１，１′、１，１′……の上に高架
橋スラブ２を構築するのである。この高架橋スラ
ブ２は、その横断面からみると、一般的には、橋
脚１，１′間にある中央部分ａと、その両側にあ
つて橋脚１，１′より外方に突出した張出部分ｂ，
ｂとが連続した形となつている（第１図参照）。
本発明の実施例は、このような高架橋スラブ２の
施工を例として説明するが、しかし、本発明は、
前記の張出部分ｂ，ｂを持たないような高架橋ス
ラブの施工にも適用可能である。

高架橋スラブ２の巾方向に立設された各対の橋
脚１，１′の隣の対の橋脚１，１′との対向面側、
即ち橋脚１，１′のスラブ２の巾方向に沿う側面
の上部には、それぞれブラケツト３，３を取付
け、その上に高架橋スラブ２の巾方向に沿つて長
く形成した型枠横動用レール４，４を架設する。
このレール４は、その一端は橋脚１の外端で終わ
つているが、他端は他方の橋脚１′の外端より突
出し、高架橋スラブ２の張出部分ｂの外端近くま
で延長されている。なお、この型枠横動用レール
４は、図示のようにＩ形鋼自体を適用してもよ
く、或はＩ形鋼の上に別途レールを敷設したもの
でもよい。また、各対の橋脚の一方の橋脚１，１
の外面側にも、前記のブラケツト３より低い位置
にそれぞれブラケツト５，５が取付けられ、各ブ
ラケツト５，５の上面には、スラブ２の巾方向に
沿う軸回りに回動自在としたローラ６，６が設け
られている。そして、それらローラ６，６の上に
は、スラブ２の長さ方向に列設した橋脚１，１…
…間の２倍以上の長さを有する可動支持桁７がス
ラブ２の長さ方向に滑動自在に載架されており、
この可動支持桁７の上面には全長にわたり縦動用
レール８，８が形成されている。なお、このレー
ル８は図示のように可動支持桁７に使用のＩ形鋼
の上面をそのまま適用することができる。また、
前記のローラ６を設けたブラケツト５は必ずしも
橋脚１に取付けなくてよく、例えば地上より組み
上げた支保工等に取付けるようにしてもよい。こ
の場合、各ローラ６，６の間隔は各橋脚１，１の
間隔より短くてもよく、高架橋スラブ２の長さ方
向に隔設されていればよい。

Ａ，Ａ……はそれぞれ対向して架設された型枠
横動用レール４，４間に載架する走行型枠装置
で、各同様に形成されており、断面方形状をなし
た架台１０の両端部下面に前記の型枠横動用レー
ル４に係合して走行できる車輪９，９が着脱自在
に設けられ、また架台１０の上面部には、バタ材
にせき板を取付けた型枠体１１が、架台１０に上
下動調節自在に設けた調節ボルト１２，１２によ
り昇降自在に設けられた構造となつている。

このように構成した走行型枠装置Ａ，Ａ……
は、第１図、及び第５図イに示すように、列設の
橋脚１，１′、１，１′間を施工の単位区間とし
て、それらの橋脚１，１′に架設されて対向する
型枠横動用レール４，４上に車輪９，９を介して
載架し、レール４，４上を所定の位置まで走行移
動して並列させる。ついで、第５図ロのように、
架台１０とレール４との間にジヤツキ１５，１５
を介入し、ジヤツキ１５の伸長により架台１０を
杠上して車輪９，９を取外し、それに代わつてレ
ール４上に台座１６，１６を載置し、第５図のハ
のように、ジヤツキ１５を短縮してその台座１
６，１６上に架台１０を降下して支持させる。そ
して、第２図、第５図ニ及び第６図のように型枠
体１１を調節ボルト１２，１２の調節で所定の高
さ位置にセツトする。

また、可動支持桁７上には、所要高さの支保工
１３（第２図参照）を介して、高架橋スラブ２の
一方の張出部分ｂの下側にあてる張出型枠体１４
を架設すると共に、他方の張出部分ｂの下側に配
置した走行型枠装置Ａの型枠体１１上にも、この
張出部分ｂの下側にあてる張出型枠体１４を架設
する。

次に、それら型枠体１１，１１，１４，１４の
上に高架橋スラブ２の鉄筋を組立てコンクリート
を打設する。コンクリートの硬化後は、支保工１
３及びその上の型枠体１４を取除くと共に、各走
行型枠装置Ａの調節ボルト１２，１２を操作して
型枠体１１，１４をコンクリートより剥離、降下
させ、ついで再びジヤツキ１５，１５を架台１０
とレール４との間に介入して、前記同様の操作に
より、架台１０を車輪９，９を介してレール４，
４上に支持させる（第５図イ参照）。

そして、第３図のように、支持桁７のレール
８，８上に、型枠横動用レール４と平行な載置レ
ール１７に前記のレール８，８上を走行できる車
輪１８，１８を高さ調節装置１９を介して取付け
た台車２０を載置して、そのレール１７の延長上
に位置させると共に、そのレール１７の高さを高
さ調節装置１９の調節によりレール４の高さに合
わせる。次に、各走行型枠装置Ａ，Ａをその支持
桁７に近いものを、型枠横動用レール４，４上を
走行させて、第４図のように、その車輪９，９を
台車２０のレール１７上に移乗、載置させる。

続いて、台車２０，２０上に乗つた走行型枠装
置Ａを押進し、第７図に示すように、支持桁７上
を走行させ、次の施工区間である橋脚１，１間に
移動し、台車２０のレール１７，１７を次の区間
の橋脚に取付けた型枠横動用レール４，４に合致
させ、その走行型枠装置Ａを同レール４，４上に
移乗させて、次の橋脚１，１間に走行搬入し載架
するのである。

このようにして走行型枠装置Ａの移動が終えた
なら、台車２０，２０を元の位置に戻して次の走
行型枠装置Ａを台車２０，２０上に移乗させ、同
様にして次の橋脚１，１間に挿入架設し、上述の
作業を繰り返して走行型枠装置Ａ，Ａ……のすべ
ての移動を終えるのである。次いで、可動支持桁
７を各ブラケツト５，５のローラ６，６上を滑動
させて、更に次の径間に走行型枠装置Ａ，Ａ……
を移動させるための準備を終える。そして、各型
枠体１１，１１，１４，１４及び支保工１３を所
定の位置にセツトし、スラブ２の鉄筋組立、コン
クリート打設へと進める。

以上の方法を繰返すことにより、多径間の高架
橋スラブ２の施工を順次行うことができる。

なお、本実施例においては、可動支持桁７を橋
脚１の外面側だけに架設するようにしているが、
この可動支持桁７は他方の橋脚１′の外面側にも
架設することができる。そのようにすれば、高架
橋スラブの巾が非常に大きな場合等において好適
であり、施工能率を高めることができる。

また、走行型枠装置Ａを昇降させるジヤツキ１
５は架台１０に装着したままであつてもよく、更
に、車輪９も前記実施例のように着脱自在とせ
ず、固定式にしてもよく、その場合、台座１６は
車輪９に隣接して介在させればよい。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明工法は、列設した
各橋脚に、高架橋スラブの巾方向に沿う型枠移動
用レールを架設すると共に、高架橋スラブの長さ
方向にわたる可動支持桁を架設し、該スラブの巾
の数分割巾に形成した走行型枠装置を橋脚間の型
枠横動用レール上に並列載架してスラブコンクリ
ートを打設し、該コンクリートの硬化後は、各走
行型枠装置を型枠横動用レール上を走行移動させ
て、可動支持桁上を走行できる台車上に移乗さ
せ、台車の走行により走行型枠装置を次の施工橋
脚間に移動させて、該橋脚間の型枠横動用レール
上に載せて所定の位置に走行搬入するようにした
ので、施工橋脚間にセツトするスラブの型枠は、
施工の単位区間である橋脚間での施工の都度、組
立て解体をすることなく移動することができ、し
かも、その移動はすべて走行によるため、移動の
ためのクレーンの設置も必要なく、そして、型枠
装置は分割巾の小型、軽量であるため、走行移動
は容易、安全で能率よく行うことができる。ま
た、走行型枠装置は、その移動時だけに車輪を使
用し、コンクリートの打設時には台座を介して支
持するようにしたので、車輪も型枠装置の移動時
の荷重に耐えるだけのものでよいため、簡易、安
価なものとすることができ、型枠移動用車輪の経
費も節減することができる。更に、型枠装置を縦
動させる支持桁はスラブの長さ方向に滑動するよ
うにしたので、施工区間毎に支持桁を設置するこ
となく、支持桁架設の経費や労力が軽減できる
等、多くの優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明工法の一実施例を略示したもの
で、第１図は橋脚間に走行型枠装置を搬入並列し
た状態を示す正断面図、第２図は高架橋スラブの
型枠をセツトした状態を示す正断面図、第３図は
型枠を剥離し、支持桁上に台車を載置したところ
を示す正断面図、第４図は台車上に走行型枠装置
を移乗させたところを示す正断面図、第５図イ〜
ニは走行型枠装置の搬入から型枠セツト時までの
作業順序を示す正面図、第６図は走行型枠装置及
び支持桁の架設状態を示す側面図、第７図は走行
型枠装置を台車に移乗させて次の橋脚間に移乗さ
せたところを示す側面図である。 Ａ……走行型枠装置、１，１′……橋脚、２…
…高架橋スラブ、３，５……ブラケツト、４……
型枠横動用レール、７……可動支持桁、８……型
枠縦動用レール、９……車輪、１０……架台、１
１，１４……型枠体、１２……調節ボルト、１３
……支保工、１５……ジヤツキ、１６……台座、
１７……載置レール、１８……車輪、１９……高
さ調節装置、２０……台車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高架橋スラブの長さ方向に所定の間隔をおい
   て列設した橋脚に、該橋脚に取付けのブラケツト
   を介して該スラブの巾方向に沿つた型枠横動用レ
   ールを架設すると共に、各橋脚の外面側に、上面
   にローラを設けたブラケツトを高架橋スラブの長
   さ方向に隔設し、このローラ上に、可動支持桁を
   該スラブの長さ方向に滑動自在に架設し、他方、
   高架橋スラブの巾の数分割巾に形成した型枠体を
   昇降調節自在に設けると共に、型枠横動用レール
   上を走行できる車輪を設けた走行型枠装置を構成
   し、該走行型枠装置の複数個を前記の型枠横動用
   レール上にその車輪を介して載架搬入して並置
   し、各走行型枠装置をジヤツキの伸縮操作により
   型枠横動用レール上に車輪に代わり台座を介して
   支持させ、型枠体上にスラブコンクリートを打設
   し、該コンクリートの硬化後、走行型枠装置の型
   枠体をコンクリートより剥離、降下させてジヤツ
   キの伸縮操作により台座を除去して走行型枠装置
   を型枠横動用レール上に車輪を介して支持させ、
   各走行型枠装置を前記型枠横動用レール上を移動
   させて、前記可動支持桁の型枠縦動用レール上に
   載置した走行台車上に移乗させ、各走行型枠装置
   を走行台車により順次つぎの施工橋脚間に走行移
   動させ、該橋脚間の型枠横動用レール上に移乗さ
   せて走行、搬入することを特徴とする高架橋スラ
   ブの移動式型枠工法。