[go: up one dir, main page]

JPH04200557A - 生体用インプラント材料 - Google Patents

生体用インプラント材料

Info

Publication number
JPH04200557A
JPH04200557A JP2336099A JP33609990A JPH04200557A JP H04200557 A JPH04200557 A JP H04200557A JP 2336099 A JP2336099 A JP 2336099A JP 33609990 A JP33609990 A JP 33609990A JP H04200557 A JPH04200557 A JP H04200557A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium
layer
nitrogen
base material
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2336099A
Other languages
English (en)
Inventor
Keizo Kimura
木村 啓造
Shigeo Aoyanagi
重郎 青柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KOKI BUSSAN KK
Original Assignee
KOKI BUSSAN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KOKI BUSSAN KK filed Critical KOKI BUSSAN KK
Priority to JP2336099A priority Critical patent/JPH04200557A/ja
Publication of JPH04200557A publication Critical patent/JPH04200557A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は生体用インプラント材料に関するものである。
詳しく述べると本発明は、本発明は、生体適合性に優れ
かつ長期間安定した性能を発揮し得る生体用インプラン
ト材料に関するものである。
(従来の技術) チタンまたはチタン合金(以下、チタン材と称する。)
は、鉄鋼材料に匹敵する強度を有するとともにステンレ
ス鋼以上の耐蝕性を示し、さらに比重か鉄鋼の約1/2
と小さいため比強度の優れた軽量強力材料である。また
チタンの生体適合性は、他の金属に見られない独特のも
のである。すなわち、体内組織および体液はチタンには
とんと影響を及はさす、一方、チタンも組織に対してわ
ずかな影響を及はすにすぎず、他の金属の場合とは異な
り、炎症、過敏症、アレルギーあるいは組織拒絶反応を
起こす原因となることはな(、さらに血液と接触しても
凝固反応を引起すことも少ないものである。なお、この
ような生体適合性は純チタンのみならず、例えばT 1
−6AΩ−4Vaなとのチタン合金においても同様に見
られ、臨床的にも応用されている。
このため近年、このようなチタンを例えば人工骨、人工
関節、人工歯根などのような硬組織代替物、あるいは心
臓ペースメーカーのハウジング、人工心臓弁などのよう
な人工臓器等の生体用インプラント材料として用いるこ
とが提唱されている。
なお、上記したような生体適合性は純チタンのみならず
、例えばT 1−6AΩ−4Vaなどのチタン合金にお
いても同様に見られ、臨床的にも応用されている。
しかしながら、チタン材は、上記したような優れた生体
適合性、強度、耐蝕性、軽量性等の特性を有する反面、
表面硬度が十分ではないために、表面が傷付き易くまた
耐磨耗性にも劣るものであり、従ってこのようなチタン
材により゛構成される生体用インプラント材料の使用寿
命の低下、摩耗粉による問題等を生じるものであった。
このようなチタン材よりなる生体用インプラント材料の
表面硬度の問題に対処するために、種々の表面改質法が
試みられている。チタン材の表面改質技術としては、既
に開発されているCVD法やPVD法を応用して、窒化
チタン(T i N)、炭化チタン(TiC)、硼化チ
タン(T i B)あるいはこれらの複合物質であるチ
タン化合物などの薄い被膜を表面に被着させたり(例え
ば特開昭62−122669号)、反応性ガス等を用い
る接触反応を応用して窒素、炭素、酸素、硼素などの硬
化元素をチタン材の表面より反応浸透させて表面に窒化
チタン、炭化チタン、硼化チタン、−酸化チタン(T 
i O)あるいはこれらの複合化合物である炭窒化チタ
ン(TiCN)などの薄いチタンの安定化合物層を形成
させるとともに、表面より内部に向ってチタン母材に窒
素、炭素、酸素、硼素などの硬化元素を拡散固溶させる
技術が知られている。
しかしながら、チタン材の表面にチタン化合物を直接被
着させる表面改質では、母材と被膜との境界における材
質の物性値の不連続が極めて大きいために使用中の密着
性が不足する場合がある。
このためインプラント材料としての過酷な使用条件下で
は長年月にわたる使用期間を通じてミクロ的なひずみ分
布の不均一などを生じる結果、被膜が剥離してしまう恐
れがあった。
また、接触反応を応用して安定化合物層を形成させる表
面改質では、比較的高温度での反応・拡散を行なわせる
必要がある。すなわちチタンの表面は保護性酸化膜によ
り覆われており、接触反応を進めるための反応温度は低
温度では反応性に乏しく、また処理時間が長期化し生産
性が低下するために、できるかぎり高温度とすることが
望まれている。例えば窒素ガスとの直接反応においては
、従来、反応のために好ましい加熱温度は850℃以上
とされていた。なお、加熱温度の上限は加熱炉の維持管
理や運転エネルギーコスト等の観点から1050℃が限
度とされていた。従゛って、この表面改質処理において
チタン母材も高温度に加熱され、この際チタン母材は高
温加熱に伴なう汚染劣化の危険に曝されるとともに、加
熱による内部の金属組織の変化や結晶粒が粗大化すると
いったことがもたらされる。このようなミクロ的な金属
組織の変化やチタンのα=β変態を含む熱履歴は、母材
のチタン材の材質に影響を与え、強度や靭性などの機械
的性質を低下させてしまうといった問題があった。
ところで、チタンと上記のような硬化元素との安定化合
物の硬さはマイクロビッカーズ硬さ(Hv)か2000
〜3000程度で、チタン材の硬さ100〜400に比
べると極めて硬く、結晶形やその他の各種物性値も全く
異なっている。
しかしながら、生体用インプラント材料としては、この
ように極めて硬いHv2000〜3000という硬度を
必要とせず、調質された特殊鋼のレベルであるHv70
0〜1000程度であっても十分であるようなものも数
多くあり、このような場合においては、安定した表面改
質層を有するとともに母材であるチタン材の特性の低下
の少ないことが望まれていた。
(発明が解決しようとする課題) 従って本発明は、新規な生体用インプラント材料を提供
することを目的とする。本発明はまた、表面硬度、耐磨
耗性、生体適合性、イオン溶出性などの表面特性に優れ
るとともにチタン系母材の機械的特性、特に靭性を低下
させることな(保持する生体用インプラント材料を提供
することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸口的は、チタンまたはチタン合金よりなる母材の
表面に、亜窒化チタンを主体とする表面改質層および該
表面改質層に接する下層部位に位置しチタン母材に窒素
原子を拡散・固溶させた窒素拡散硬化層からなる表面層
を0.3〜100μmの平均厚さで有することを特徴と
するイオン溶出を抑えた生体用インプラント材料により
達成される。
(作用)     ゛ このように本発明の生体用インプラント材料は、表面に
亜窒化チタンを主体とする表面改質層および該表面改質
層に接する下層部位に位置しチタン母材に窒素原子を傾
斜組成を以て拡散・固溶させた窒素拡散硬化層からなる
表面層を有するチタン材によって構成されるものである
窒素濃度12.75%、1100℃以下の領域に存在す
る亜窒化チタンは、窒化チタンと同様に各種水溶液の化
学環境においても極めて安定であり一般的に何ら処理を
施されていないチタン材よりも良好な耐蝕性を示す。ま
たその硬さはマイクロビッカース硬さ(Hv)1400
〜1500程度と極めて硬い。実際、本発明に係わる生
体インプラント材料における亜窒化チタンを主体とする
表面被膜の硬さは、処理温度、保持時間等の処理条件の
さらに細かな違いにより変動するため、測定値に幅があ
るが、HV800〜1500程度である。この硬さは何
ら処理を施していないチタン材の硬さであるHvlOO
〜400に比べるとはるかに大きく、焼入れなどの調質
処理を施した特殊鋼の硬さに匹敵するないしはそれ以上
の硬さであり、生体用インプラント材料の表面硬度とし
て十分なものであると考えられる。
また本発明の生体用インプラント材料においては、チタ
ン母材と表面改質層の界面の組成は窒素拡散硬化層とし
て連続的に推移していているために、表面層の母材との
密着性は良好である。
さらに、このような亜窒化チタンを主成分とする表面改
質層および窒素拡散層からなる表面層は、チタン材を高
純度の窒素ガス雰囲気下で740〜820°C程度に加
熱保持することによって形成することができる。周知の
ように、チタン(純チタン)には880°Cにα=βの
相変態があり、また金属組織においてβ相領域では急激
な結晶粒の成長か起り、結晶粒か粗大化する。β相領域
に保持された粗大粒は冷却の過程で粗大な針状晶を生じ
、機械的性質において靭性に関与する材料特性が劣化す
ることが知られている。またチタン合金のα=β相変態
温度は、合金組成すなわち配合元素の種類とその配合量
によって変化する。゛ここで酸素や窒素などのα安定型
元素はαコβ相変態温度を高温側に移行させるが、大部
分の金属元素はβ安定型元素で、鉄、コバルト、ニッケ
ルなどの金属元素の配合によりα=β相変態温度は低温
側に移行する。実用チタン合金ではα=β相変態温度を
調節するためにα安定型元素とβ安定型元素を同時に配
合して変態温度の調節を行なっている。チタン材に熱履
歴を加えながらも靭性に関与する材料特性の低下を抑制
するためには変態温度以上の加熱は無論、変態温度の直
下であっても可能な限り低い温度を選ぶことが肝要であ
る。本発明の生体用インプラント材料の表面層は、前記
したように比較的低温領域で形成されるものであるため
、本発明の生体用インプラント材料において、チタン材
の持つ本来の靭性は確保されることとなる。
本発明の生体用インプラント材料にいて母材として用い
られるチタン材としては、生理的に安全なものであれば
特に限定されるものではなく、純チタン以外にも、α型
、α−β型あるいはβ型の各種チタン合金が用いられ得
、具体的には例えばT 1−6Aρ−4Vあるいは酸素
0.13%以下、鉄0.25%以下のT 1−6AΩ−
4V  ELIなどの合金が好ましく挙げられる。
しかして、本発明の生体用インプラント材料においては
、第1図に模式するように、前記したようなチタン材1
の表面には亜窒化チタンを主成分とする表面改質層2お
よび該表面改質層2に接する下層部位に位置しチタン母
材に窒素原子を傾斜組成、すなわち表面側の表面改質層
2の直下では窒素濃度が大で、母材側の窒素拡散層3の
終点で母材に接する部位の窒素濃度は小(母材とほぼ同
じ)となり、この間は窒素濃度が連続的に変化するよう
拡散・固溶させた窒素拡散硬化層3からなる表面層4が
形成されている。
この表面層4の厚さは、0.3〜100μm1より好ま
しくは0. 3〜30μmである。すなわち、この表面
層4の厚さが0.3μm未満であると、チタン材の十分
な表面改質がなされず、表面硬度1、耐磨耗性、イオン
溶出性などが所望のものとならない虞れが大きく、一方
、表面層4の厚さを100μmよりも大きいものとして
も、100μm以下の厚さの場合と表面改質効果が実質
的に変らず、作製に非常に長持間を要することとなるた
め経済的に不利であるばかりでなく、チタン母材を加熱
条件下に長持間曝すことによる母材物性の低下の虞れが
あるためである。なお、この表面層4のうち表面改質層
2の厚さは、表面層4の厚さの大小によっても左右され
るが、0.3〜0゜8μm程度であり、残部か窒素拡散
硬化層3である。
表面改質層2には、主成分となる亜窒化チタン(T 1
2 N)の他に、窒化チタン(T i N)の存在が見
られるか、窒化チタンの存在量は極めて少ない。
また本発明の生体用インプラント材料において、表面改
質層2の表面粗さは母材の結晶粉炭の影響を受けるため
、母材の結晶粒の大きさを10〜80μmに調整してお
くことにより、本処理による表面粗度は生体適合性の上
から好ましいものとなり、生体用インプラント材料の生
体適合性かより良好なものとなると考えられる。
また窒素拡散硬化層3において、チタン母材に固溶・拡
散した窒素原子の濃度は、表面改質層2より離れる程小
さくなる、すなわち深さに反比例するものであり、この
ように最表面の表面改質層2から窒素拡散硬化層3とし
て連続的に組成が推移してチタン母材に至るために表面
層4は過酷な条件下においても母材より剥離する虞れは
極めて少ない。
このような本発明の生体用インプラント材料を得るには
、まず粉末焼結、鋳造あるいは鍛造などの任意の成形方
法により上記のごときチタンないしはチタン合金からな
る成形品を作製し、必要に応じて精密加工を行ない所望
形状となし、さらに必要により洗浄処理を施す。続いて
このようにして所望形状となされたチタン材よりなる成
形品を、窒素ガス雰囲気中で740°C〜820℃、よ
り好ましくは750〜800℃、さらに好ましくは77
0℃〜790℃の温度範囲に加熱保持することにより成
形品表面に上記のような表面層を形成する。なお、この
窒素ガス雰囲気中での処理温度が740℃未満であると
チタンと窒素との反応が十分に進行せず、長持間かけて
もチタン材の表面硬度が向上せず、一方処理温度が82
0°Cを越えると、チタン材の表面には窒化チタン(T
 i N)を多(含む改質層が形成されるようになり、
短時間の処理によっても十分な表面硬度が得られるもの
となるが、一方でこのような温度域における加熱はチタ
ン材のミクロ的な金属組織の粗大化をもたらし、機械的
強度や靭性などの特性を低下させてしまい、本発明の意
図するインプラント材料を得ることができない。
またこのチタンHの表面改質処理において、反応時にお
ける窒素カス雰囲気は、チタン材を汚染しないような高
純度であることが必要である。さらに窒素カス雰囲気の
圧力は、5〜760 Torr。
より好ましくは76〜760 Torr程度とされる。
さらにこのようなチタン材の表面改質方法において、加
熱保持時間は、処理温度によっても左右されるが、1〜
30時間、生産性を考慮するとより好ましくは4〜16
時間程度とされる。加熱処理温度か同一であった場合、
亜窒化チタンを主体とする表面改質層の厚さやその含有
量は、保持時間に依存し、その時間が長くなる程太き(
なる。
次に、本発明の生体用インプラント材料の特性を具体的
に説明するためにいくつかの参考データを示す。
参考例1および参考例2 チタン(工業用純チタン)からなる厚さl m m 。
長さ15mm、幅10rnmの板状試料(参考例1)お
よびチタン合金(Ti−6Aρ−4V)からなる同形状
の板状試料(参考例2)をそれぞれ真空炉中に入れ、そ
して高真空(10−5Torr以下)を維持するように
排気しながら、参考例1の試料については750℃まで
、また参考例2の試料については800℃まで約り0℃
/分の速度で昇温加熱した。炉内温度が所望温度に達し
たらこの温度で一定に保持しながら、炉内雰囲気を高純
度の窒素ガスで置換して窒素ガス圧760Torrとし
、そのまま参考例1の試料については25時間、参考例
2の試料については9時間にわたって加熱保持し、その
後500℃までは約20°C/分の降温速度で冷却し、
以降は炉冷(自然放冷)した。
このようにして表面改質処理を行なった板状試料の表面
組成をX線回折によって調べた。得られた結果を第2図
に示す。なおX線回折はモノクロメータによるCu  
K  線を用いて行なった。
α 第2図において、横軸はX線回折条件として銅の特性線
を使った時の回折角を、また縦軸は各結晶面からの回折
線の相対濃度をそれぞれ示すものである。第2図(a)
は参考例1の純チタン試料から得られた回折パターン、
第2図(b)は参考例2のチタン合金試料から得られた
回折パターンであり、また第2図(C)〜(e)はそれ
ぞれ評価の指針を与えるための標準組成のT i 2 
N %TiNおよびチタン(α−Ti)のX線回折パタ
ーンである。
第2図から明らかなように参考例ユおよび参考例2のい
ずれの回折パターンにおいても、主に存在する物質はT
 L 2 N相で、重複してTiNおよびα−Tiから
の回折線が認められるがいずれも微弱である。
なおチタン材と窒素ガスとの反応を利用する表面改質処
理において、加熱保持温度を高くするとTiN相が生成
し易くなってX線回折パターンにおいてはTiN相に特
有なイオン結晶構造が明瞭となり、1050℃での処理
では主成分かTiN相となる。一方、加熱保持温度を低
くするとチタン材と窒素ガスとの反応かほとんど起らな
いため、700°Cでの処理ではチタン材の表面に生成
するチタン窒化物の総量がわずかであるため、X線回折
パターンにおいてTiN相やT 12 N相からの回折
線が微弱で、窒化は不十分であり表面硬さは不足するこ
ととなる。
参考例3〜5および比較例1〜2 チタン(工業用純チタン)からなる厚さ1mm、長さ1
5mm、幅10mmの板状試料およびチタン合金(T 
1−6Aρ−4V)からなる同形状の板状試料(参考例
2)をそれぞれ真空炉中に入れ、そして高真空(10−
”Torr以下)を維゛持するように排気しながら、純
チタンの試料については750℃まで(参考例3)、ま
たチタン合金の試料については700℃(比較例1)、
750℃(参考例4) 、800℃(参考例5)、85
0°C(比較例2)まで約り0℃/分の速度で昇温加熱
した。
炉内温度が所望温度に達したらこの温度で一定に保持し
ながら、炉内雰囲気を高純度の窒素ガスで置換して窒素
ガス圧760Torrとし、そのまま1〜16時間にわ
たって加熱保持し、その後500℃までは約り0℃/分
の降温速度で冷却し、以降は炉冷した。
このようにして表面改質処理を行なった板状試料の表面
硬さをマイクロビッカース硬度計を用いて測定した。得
られた結果を第3図に示す。
第3図において縦軸はマイクロビッカース硬さ(Hv)
を、横軸は加熱保持時間をそれぞれ示すものである。
第3図に示す結果から明かなように、加熱保持温度か高
くなるに従い、また加熱保持時間か長くなるに従い表面
硬度が大となっているか、処理温度が700℃(比較例
1)ではチタン材と窒素ガスとの反応が不足するために
、十分な硬さが得られなかった。これに対し処理温度か
750℃以上(参考例3〜5および比較例2)ではほぼ
Hv800〜1500程度の硬さとなって調質した特殊
鋼の硬さに匹敵するまたはそれ以上の硬さとなった。
参考例6〜7および比較例3 チタン(工業用純チタン)の1mm厚さの板材より小型
の板状引張試験片(全長が45mmで、平行部の幅およ
び長さが4mmX12mmである)を切出し、この試験
片を真空炉中に入れ、そして高真空(10−5Torr
以下)を維持するように排気しながら、750℃(参考
例6) 、800℃(参考例7)および850°C(比
較例3)まで、約り0℃/分の速度で昇温加熱した。炉
内温度が所望温度に達したらこの温度で一定に保持しな
がら、炉内雰囲気を高純度の窒素ガスで置換して窒素ガ
ス圧を760 Torrとし、そのまま1〜16時間に
わたって加熱保持し、その後500℃までは約り0℃/
分の降温速度で冷却し、以降は炉冷した。
このようにして表面改質処理を行なった試験片に対して
引張り強さ、伸びおよび破断モードの観察を行なった。
第4図は上記表面改質処理を施された純チタンの試験片
の引張試験データを示す図である。第4図において縦軸
はそれぞれ伸びおよび引張強さを示し、横軸は加熱保持
時間をそれぞれ示す。
第4図に示す結果から明かなように、引張強さはいずれ
も32〜34 k g f /mm2程度で、加熱温度
が高い程、また保持時間が長い程大となる傾向が見られ
る。一方、伸びについては引張強さとは逆の傾向にあり
、750℃(参考例6)および800°C(参考例7)
で処理したものは未処理のものとほぼ同様の特性を示し
、母材の靭性が保たれているが、850℃で処理したも
の(比較例3)は加熱保持時間が長くなると著しく伸び
値が低下する。
また破断後の破面観察によれば、850℃で処理したも
の(比較例3)では、破断部にネッキングが認められず
、脆性破断モードを示すとともに、引張試験片の平行部
には引張軸に直角方向のヒビ割れが多数観察された。
なお、チタン合金(Ti −6AN−4V)の場合にお
いても純チタンの場合とほぼ同様の傾向が見られ、75
0℃および800°Cで処理したものは未処理のものと
ほぼ同様の引張強さ・伸びを示し、母材の靭性が保たれ
ているが、850℃で処理したものの破断モードは脆性
的な様相を示し、伸び値も低下する。
参考例8および9 チタン(工業用純チタン)からなる厚さ5 m m 。
直径30mmの円板状試料(参考例8)およびチタン合
金(T i −6A、Q  4V)からなる同形状の円
板状試料(参考例9)をそれぞれ真空炉中に入れ、そし
て高真空(10−5Torr以下)を維持するように排
気しながら、750℃まで約り0℃/分の速度で昇温加
熱した。炉内温度が750℃に達したらこの温度で一定
に保持しながら、炉内雰囲気を高純度の窒素ガスで置換
して窒素ガス圧760Torrとし、そのまま9時間に
わたって加熱保持し、その後500℃までは約り0℃/
分の降温速度で冷却し、その後は炉冷した。
このように表面改質処理を施した試料の切断面における
表面から内部への硬さの変化をマイクロビッカース硬度
計を用いて調べた。得られた結果を第5図に示す。
第5図において、縦軸はマイクロビッカース硬さを、横
軸は表面からの距離(μm)をそれぞれ示すものである
第5図に示すように、表面改質処理を施した純チタン材
(参考例8)では、表面より30μm付近まで窒素原子
の固溶拡散によると思われる硬化が見られ、母材の硬さ
であるHv約170に向って表面より漸次硬度が低下し
ている。一方、表面改質処理を施したチタン合金材(参
考例9)では、表面より10μm付近まで窒素原子の固
溶拡散によると思われる硬化が見らる。いずれの素材に
おいても硬さの移行は連続的で表面硬化層と母材との密
着性は良好である。
参考例10〜11および比較例4〜5 チタン(工業用純チタン)粉末およびチタン合金(Ti
−6Aρ−4V)粉末をそれぞれ真空炉中に入れ、そし
て高真空(10−5Torr以下)を維持するように排
気しながら、750℃まで約り0℃/分の速度で昇温加
熱した。炉内温度が750℃に達したらこの温度で一定
に保持しながら、炉内雰囲気を高純度の窒素ガスで置換
して窒素ガス圧760 Torrとし、そのまま18時
間にわたって加熱保持し、その後500℃までは約り0
℃/分の降温速度で冷却し、その後は炉冷した。
このように表面改質処理を施した純チタン(参考例10
)およびチタン合金(参考例11)ならびに未処理の純
チタン(比較例4)およびチタン合金(比較例5)を、
第1表に示す量で40℃に加熱した5%塩酸、5%リン
酸、5%酢酸および純水中に浸漬し、振盪を加えながら
6時間保持した。その後、処理液を濾過し、200m1
に調整し、各処理液中のTi、Aρ、■の濃度を調べた
得られた結果を第2表に示す。なお、処理液中の濃度は
発光分析装置(■CP)を用いて分析し、検量線法によ
り濃度を測定した。また未処理の純チタンおよびチタン
合金と塩酸との組合せにおいて、Tiには発光強度が飽
和してしまったために1000倍希釈液を、また開祖合
せにおいてAρ、■には10倍希釈液を測定に用いた。
第1表 なお、表面処理を行なったものについては、この表面処
理による重量増分を補正した。
第2表に示す結果から明らかなように、本発明に係わる
表面処理を施したもの(参考例10および11)は、各
種環境において安定しており、そのイオン溶出性は未処
理のもの(比較例4および5)と比較して同等ないしそ
れ以上に優れたものであった。
(発明の効果) 以上述べたように本発明の生体用インプラント材料は、
チタンまたはチタン合金よりなる母材の表面に、亜窒化
チタンを主体とする表面改質層および該表面改質層に接
する下層部位に位置しチタン母材に窒素原子を拡散・固
溶させた窒素拡散硬化層からなる表面層を0.3〜10
0μmの平均厚さで有することを特徴とするものであり
、生体用インプラント材料として必要とされる特性、す
なわち、表面硬度、耐磨耗性、生体適合性、靭性、耐蝕
性、軽量性等に優れるものであるために、人工骨、人工
関節、人工歯根などのような硬組織代替物、あるいは心
臓ペースメーカーのハウジンク、人工心臓弁なとのよう
な人工臓器等として好適に応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の生体用インプラント材料の表面近傍
の構成を模式的に示す断面図、第2図は本発明の生体用
インプラント材料に係わる参考例の表面のX線回折パタ
ーンおよびその評価の指針となる標準組成のTi2N、
TiNおよびα −TiのX線回折パターン、第3図は
未発明の生体用インプラント材料に係わる参考例、およ
び比較例の表面硬度と加熱保持時間との関係を示すグラ
フ、第4図は本発明の生体用インプラント材料に係わる
参考例、および比較例の引張強さおよび伸びと加熱保持
時間との関係を示すグラフであり、また第5図は本発明
の生体用インプラント材料に係わる参考例の表面から内
部への硬度の推移を示すグラフである。 1・・・チタン材、2・・・表面改質層、3・・・窒素
拡散硬化層、4・・・表面層。 特許出願人  亘起物産株式会社 代理人   弁理士 八 1) 幹 雄(他1名)p、
面のX椙勿り竹ベグーン − I司折弓 ′三;          ノン−a 万づこnヌcg
;134寸 ヒ め 関イ本已 −スnロ り烹5イ琢待Rそ1丁A      (hr
)第4図

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)チタンまたはチタン合金よりなる母材の表面に、
    亜窒化チタンを主体とする表面改質層および該表面改質
    層に接する下層部位に位置しチタン母材に窒素原子を傾
    斜組成を以て拡散・固溶させた窒素拡散硬化層からなる
    表面層を0.3〜100μmの平均厚さで有することを
    特徴とするイオン溶出を抑えた生体用インプラント材料
JP2336099A 1990-11-30 1990-11-30 生体用インプラント材料 Pending JPH04200557A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2336099A JPH04200557A (ja) 1990-11-30 1990-11-30 生体用インプラント材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2336099A JPH04200557A (ja) 1990-11-30 1990-11-30 生体用インプラント材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04200557A true JPH04200557A (ja) 1992-07-21

Family

ID=18295686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2336099A Pending JPH04200557A (ja) 1990-11-30 1990-11-30 生体用インプラント材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04200557A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0726387A (ja) * 1993-07-09 1995-01-27 Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd チタン又はチタン合金の表面改質方法
WO1996025960A1 (de) * 1995-02-22 1996-08-29 Miladin Lazarov Implantat
JP2008506532A (ja) * 2004-07-09 2008-03-06 フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ チタン合金の形の耐摩耗性でかつ疲労抵抗性の縁層を製造するための方法および該方法により製造された構成部分
JP2015519470A (ja) * 2012-03-23 2015-07-09 コリア インスティテュート オブ マシーナリィ アンド マテリアルズ チタンに硬質層を形成する方法及びこれにより形成された硬質層を有するチタン合金

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0726387A (ja) * 1993-07-09 1995-01-27 Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd チタン又はチタン合金の表面改質方法
WO1996025960A1 (de) * 1995-02-22 1996-08-29 Miladin Lazarov Implantat
JP2008506532A (ja) * 2004-07-09 2008-03-06 フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ チタン合金の形の耐摩耗性でかつ疲労抵抗性の縁層を製造するための方法および該方法により製造された構成部分
JP2015519470A (ja) * 2012-03-23 2015-07-09 コリア インスティテュート オブ マシーナリィ アンド マテリアルズ チタンに硬質層を形成する方法及びこれにより形成された硬質層を有するチタン合金

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bachani et al. Fabrication of TiZrNbTaFeN high-entropy alloys coatings by HiPIMS: Effect of nitrogen flow rate on the microstructural development, mechanical and tribological performance, electrical properties and corrosion characteristics
JP6469444B2 (ja) 生物医学装置用のチタン合金を製造する方法
Zhao et al. Effect of Mo addition on structures and properties of FeCoNiCrMn high entropy alloy film by direct current magnetron sputtering
Günen et al. Effect of the boriding environment on the wear response of laser-clad AlCoCrFeNi high entropy alloy coatings
Zarka et al. A systematic study of β-type Ti-based PVD coatings on magnesium for biomedical application
US5443663A (en) Plasma nitrided titanium and titanium alloy products
US5820707A (en) Composite article, alloy and method
Xu et al. Corrosion behavior of Ti–Nb–Ta–Zr–Fe alloy for biomedical applications in Ringer's solution
CZ265496A3 (en) Composite product, alloy and process
Kim et al. Effects of TiN coating on the corrosion of nanostructured Ti–30Ta–xZr alloys for dental implants
CN104583446A (zh) 长效抗菌金属表面及其制备方法
EP0931848B1 (en) Titanium-base decoration member and method for curing the same
Zhang et al. Enhancement of wear and corrosion resistance of low modulus β-type Zr-20Nb-xTi (x= 0, 3) dental alloys through thermal oxidation treatment
Yu et al. Effect of C/N incorporation on structural and crystallographic properties of TaNbZr coatings deposited by double-glow plasma surface alloying on Ti-alloy substrate
Yamaguchi et al. Mechanical properties and microstructures of cast dental Ti-Fe alloys
Gao et al. Influence of temperature on the phase structure, surface morphology, mechanical and tribological properties of Ti–N coatings prepared by MPCVD
JPH04200557A (ja) 生体用インプラント材料
Suliman et al. Effect of niobium nitride coating by magnetron sputtering on corrosion resistance of biodegradable magnesium-Strontium alloy
Oh et al. Cytocompatibility and electrochemical properties of Ti–Au alloys for biomedical applications
EP2602337A1 (en) Cast base for biomedical use formed of cobalt/chromium-based alloy and having excellent diffusion hardening treatability, sliding alloy member for biomedical use and artificial joint
López et al. Surface analysis of a heat-treated, Al-containing, iron-based superalloy
Hsu et al. Structure and grindability of cast Ti–5Cr–xFe alloys
KR20080105304A (ko) 치과 임플란트용 합금의 질화티타늄 코팅방법
Saedon et al. Formation of S phase layer on medical grade AISI 316LVM via low-temperature hybrid gas diffusion process
Pohrelyuk et al. Formation of oxynitride layers on titanium alloys by gas diffusion treatment