JPH0360468B2 - - Google Patents
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- JPH0360468B2 JPH0360468B2 JP11052485A JP11052485A JPH0360468B2 JP H0360468 B2 JPH0360468 B2 JP H0360468B2 JP 11052485 A JP11052485 A JP 11052485A JP 11052485 A JP11052485 A JP 11052485A JP H0360468 B2 JPH0360468 B2 JP H0360468B2
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- Japan
- Prior art keywords
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- milk
- protein
- exchange resin
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は改質ホエー蛋白濃縮物の製造法に関す
るものである。 更に詳細には、本発明は、β−ラクトグロブリ
ンが低減されてなる改質蛋白濃縮物の製造法に関
するものである。 (従来技術) 一般に、チーズ製造において生成するホエーは
牛乳中の脂肪とカゼインを除く大部分の水溶性成
分を含有している。ホエー中は大量に含まれる乳
糖は、ホエーから容易に結晶化され、分離されて
食用や薬用に利用されてきた。 そして、過剰の乳糖を分離し、更に残存する塩
類を脱塩により分離除去したホエー蛋白濃縮物は
多くの場合そのままの状態で食品素材として利用
されているが、含用されている各種蛋白質の特徴
を生かした高度の有効利用はなされていない。 その理由の1つとしてホエー中の蛋白にはβ−
ラクトグロブリン(以下β−Lgと記す)が多量
に存在していることが挙げられる。即ちホエー蛋
白を育児用調製粉乳等の蛋白源として利用するこ
とは、乳児の蛋白利用効率上好ましいが、β−
Lgは母乳にはほとんど存在しない蛋白であり、
乳児の個体差によつてはアレルゲンとして利用す
ることもある。 それ故β−Lgを低減或は除去したホエー蛋白
を得ることは工業生産技術として期待されるとこ
ろであつた。 そこで、従来、ホエーからβ−Lgを除去して
ホエー蛋白の有効利用をはかろうとする試みが多
くなされている。次に、それらの公知技術及びそ
の問題点を列記する。 1 高分子多荷電解質による共沈法〔ジエー・ヒ
ダルゴ(J.Hidalgo)等ジヤーナル・オブ・デ
アリー・サイエンス(J.Dairy Sci.).,54,
1270(1971).並びにエヌ・メラコウリス(N.
Melachouris)によるジヤーナル・オブ・アグ
リカルチユラル・フード・ケミストリー(J.
Agr.Food Chem,).,20,798(1972).〕 これらの方法は添加した高分子多荷電解質の
濃度とPHの調整によつてα−ラクトアルブミン
(以下α−Laと話す)とは反応させないでβ−
Lgと共沈分離させる方法である。 この方法の問題点は、共沈に当り微量ではあ
るが、異物質成分である高分子多荷電解質の残
留があり好ましくない。 2 塩析法 〔ジエー・マツクデー・アームストロング
(J.McD.Armstrong)等ビオヒミカ・エト・ビ
オフイジカ・アクタ(Biochim.et.Biophys.
Acta).,147、60(1967).〕この方法において、
乳ホエーにおいて塩類を添加した場合、α−
Laとβ−Lgとは溶解度が異なり、PH3.5におい
て硫酸アンモニウム濃度約27%でα−Laは沈
澱し、β−Lgは溶解している。これを濾過或
は遠心より分別するという方法である。 この方法では、高純度の分離採取に適するが
硫酸アンモニウムを多量に使用するためにコス
ト高となり工業的手段とはなり得ない。 3 分子篩分別法 〔エー・リユングクイスト(Å.
Ljungquist)等プレパラテイブ・バイオケミス
トリ(Preparative Biochemistry).,5,131.
(1975)或は特開昭56−36494;ルワク・ロジエ
(フランス)等〕 これらの方法は、前者は分子量の差によるゲ
ル濾過法、後者は膜による限外濾過によつて分
別する方法で、例えば平均の分画分子量が
25000程度の膜でホエーを処理すればβ−Lgは
濃縮され、α−Laは濾過分離される。 然し実現問題として検討の結果、工業的に使
用する膜の孔のサイズにはバラツキがあり、適
確な分別は困難であつた。またゲル濾過ではゲ
ル材料が高価であること、カラム内での各種ト
ラブルが発生し、好ましくなかつた。 4 イオン交換クロマトグラフイー法〔ヤグチ
(Yaguchi)等、ジヤーナル・オブ・デアリ
ー・サイエンス(J.Dairy Science).,44、589
(1961).〕 本法はホエーをイオン交換体の層に通液し静
電的な力によつて担体に蛋白を吸着させる。次
にこの吸着蛋白を適切な塩濃度勾配或はPH勾配
によつて溶出展開させα−Laとβ−Lgを分別
採取する方法である。 この方法は、比較的実用性のある方法である
が樹脂の価格が高く、樹脂の汚れ、再生の点に
問題がある。 5 等電点分離法〔シー・エツチ・アムンドソン
(C.H.Amundson),ホエー・プロダクツ・コ
ンフアレンス(Whey Products Confernce)
オクトーバー(October)21〜22(1980)シカ
ゴ・イリノイス(Chicago Illinois)〕 この方法は本発明と類似する点もある。一般
に可溶性蛋白は、分子内に多数の極性基を有し
ており、等電点PHにおいて溶解度は最小とな
る。このとき溶液中に塩類が存在するとそれら
の陰・陽イオンが蛋白の極性基と結合してその
溶液度に影響を与えることになる。ホエー蛋白
の場合α−Laもβ−Lgも等電点PHは4.5付近で
ありこのPHにおいて塩濃度或は溶液温度を調整
することによつて両者を分別することができ
る。同文献の7頁では、ホエーをUF濃縮し、
PHを4.65に調整し、電気透析脱塩し、更にPHを
4.65に再調整して生ずる沈澱をβ−Lg画分とし
て遠心分離したと記している。しかし、この方
法は加熱工程を含まない点及びβ−Lg画分を
沈澱としている点で本発明とは根本的に異なる
ものである。更にこの方法を実験によつて追試
した結果では、α−Laとβ−Lgとの明確な分
離ができなかつた。 (発明の構成) 本発明は乳ホエー又は乳ホエー蛋白濃縮物から
無機塩類を90%以上除去脱塩し、得られた脱塩液
のPHを3.6〜5.0に調整し、次いでこれを40〜80℃
に加熱し、生成した沈澱部分を採取することを特
徴とするβ−Lgが低減されてなる改質蛋白濃縮
物の製造法である。 (発明が解決しようとする問題点) 人乳と牛乳の蛋白画分を分析例に基いて比較す
ると表−1の通りである。
るものである。 更に詳細には、本発明は、β−ラクトグロブリ
ンが低減されてなる改質蛋白濃縮物の製造法に関
するものである。 (従来技術) 一般に、チーズ製造において生成するホエーは
牛乳中の脂肪とカゼインを除く大部分の水溶性成
分を含有している。ホエー中は大量に含まれる乳
糖は、ホエーから容易に結晶化され、分離されて
食用や薬用に利用されてきた。 そして、過剰の乳糖を分離し、更に残存する塩
類を脱塩により分離除去したホエー蛋白濃縮物は
多くの場合そのままの状態で食品素材として利用
されているが、含用されている各種蛋白質の特徴
を生かした高度の有効利用はなされていない。 その理由の1つとしてホエー中の蛋白にはβ−
ラクトグロブリン(以下β−Lgと記す)が多量
に存在していることが挙げられる。即ちホエー蛋
白を育児用調製粉乳等の蛋白源として利用するこ
とは、乳児の蛋白利用効率上好ましいが、β−
Lgは母乳にはほとんど存在しない蛋白であり、
乳児の個体差によつてはアレルゲンとして利用す
ることもある。 それ故β−Lgを低減或は除去したホエー蛋白
を得ることは工業生産技術として期待されるとこ
ろであつた。 そこで、従来、ホエーからβ−Lgを除去して
ホエー蛋白の有効利用をはかろうとする試みが多
くなされている。次に、それらの公知技術及びそ
の問題点を列記する。 1 高分子多荷電解質による共沈法〔ジエー・ヒ
ダルゴ(J.Hidalgo)等ジヤーナル・オブ・デ
アリー・サイエンス(J.Dairy Sci.).,54,
1270(1971).並びにエヌ・メラコウリス(N.
Melachouris)によるジヤーナル・オブ・アグ
リカルチユラル・フード・ケミストリー(J.
Agr.Food Chem,).,20,798(1972).〕 これらの方法は添加した高分子多荷電解質の
濃度とPHの調整によつてα−ラクトアルブミン
(以下α−Laと話す)とは反応させないでβ−
Lgと共沈分離させる方法である。 この方法の問題点は、共沈に当り微量ではあ
るが、異物質成分である高分子多荷電解質の残
留があり好ましくない。 2 塩析法 〔ジエー・マツクデー・アームストロング
(J.McD.Armstrong)等ビオヒミカ・エト・ビ
オフイジカ・アクタ(Biochim.et.Biophys.
Acta).,147、60(1967).〕この方法において、
乳ホエーにおいて塩類を添加した場合、α−
Laとβ−Lgとは溶解度が異なり、PH3.5におい
て硫酸アンモニウム濃度約27%でα−Laは沈
澱し、β−Lgは溶解している。これを濾過或
は遠心より分別するという方法である。 この方法では、高純度の分離採取に適するが
硫酸アンモニウムを多量に使用するためにコス
ト高となり工業的手段とはなり得ない。 3 分子篩分別法 〔エー・リユングクイスト(Å.
Ljungquist)等プレパラテイブ・バイオケミス
トリ(Preparative Biochemistry).,5,131.
(1975)或は特開昭56−36494;ルワク・ロジエ
(フランス)等〕 これらの方法は、前者は分子量の差によるゲ
ル濾過法、後者は膜による限外濾過によつて分
別する方法で、例えば平均の分画分子量が
25000程度の膜でホエーを処理すればβ−Lgは
濃縮され、α−Laは濾過分離される。 然し実現問題として検討の結果、工業的に使
用する膜の孔のサイズにはバラツキがあり、適
確な分別は困難であつた。またゲル濾過ではゲ
ル材料が高価であること、カラム内での各種ト
ラブルが発生し、好ましくなかつた。 4 イオン交換クロマトグラフイー法〔ヤグチ
(Yaguchi)等、ジヤーナル・オブ・デアリ
ー・サイエンス(J.Dairy Science).,44、589
(1961).〕 本法はホエーをイオン交換体の層に通液し静
電的な力によつて担体に蛋白を吸着させる。次
にこの吸着蛋白を適切な塩濃度勾配或はPH勾配
によつて溶出展開させα−Laとβ−Lgを分別
採取する方法である。 この方法は、比較的実用性のある方法である
が樹脂の価格が高く、樹脂の汚れ、再生の点に
問題がある。 5 等電点分離法〔シー・エツチ・アムンドソン
(C.H.Amundson),ホエー・プロダクツ・コ
ンフアレンス(Whey Products Confernce)
オクトーバー(October)21〜22(1980)シカ
ゴ・イリノイス(Chicago Illinois)〕 この方法は本発明と類似する点もある。一般
に可溶性蛋白は、分子内に多数の極性基を有し
ており、等電点PHにおいて溶解度は最小とな
る。このとき溶液中に塩類が存在するとそれら
の陰・陽イオンが蛋白の極性基と結合してその
溶液度に影響を与えることになる。ホエー蛋白
の場合α−Laもβ−Lgも等電点PHは4.5付近で
ありこのPHにおいて塩濃度或は溶液温度を調整
することによつて両者を分別することができ
る。同文献の7頁では、ホエーをUF濃縮し、
PHを4.65に調整し、電気透析脱塩し、更にPHを
4.65に再調整して生ずる沈澱をβ−Lg画分とし
て遠心分離したと記している。しかし、この方
法は加熱工程を含まない点及びβ−Lg画分を
沈澱としている点で本発明とは根本的に異なる
ものである。更にこの方法を実験によつて追試
した結果では、α−Laとβ−Lgとの明確な分
離ができなかつた。 (発明の構成) 本発明は乳ホエー又は乳ホエー蛋白濃縮物から
無機塩類を90%以上除去脱塩し、得られた脱塩液
のPHを3.6〜5.0に調整し、次いでこれを40〜80℃
に加熱し、生成した沈澱部分を採取することを特
徴とするβ−Lgが低減されてなる改質蛋白濃縮
物の製造法である。 (発明が解決しようとする問題点) 人乳と牛乳の蛋白画分を分析例に基いて比較す
ると表−1の通りである。
【表】
表−1から明らかなように、牛乳ではカゼイン
の構成比が人乳に比較して著しく大きく、また、
牛乳にはβ−Lgが蛋白質の14.8%も含まれている
が人乳には全く含まれていない。 また表−1の示すβ−Lgが時として乳児のア
レルゲンとなることもあり得るのでホエーを育児
用調製粉乳等に利用しようとするときは、可能な
限りβ−Lgが除去或は減少されたホエー蛋白濃
縮物を使用することがのぞましい。 (問題点を解決するための手段) 本発明では、まず、乳ホエー又は乳ホエー蛋白
濃縮物から無機塩類を90%以上、好ましくは98%
以上脱塩する。脱塩にはイオン交換樹脂、例えば
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の複床式カ
ラムを使用するのがよい。無機塩類の脱塩が90%
以上であるとα−Laの沈澱率を60%以上に、ま
た脱塩が98%以上であるとα−Laの沈澱率を90
%以上にすることができる。 次いで、脱塩ホエーのPHを3.6〜5.0に、好まし
くはPH4.2〜4.4に調整する。 一般にホエーのPHは6.3程度であり、これをイ
オン交換樹脂によつて98%程度脱塩するとPHはほ
ぼ4.0に低下する。この脱塩ホエーをPH3.6〜5.0、
好ましくはPH4.2〜4.4に調整する。PH3.6〜5.0で、
加熱によつて55%以上のα−Laの沈澱は得られ
るが、PH4.2〜4.4の調整では80%以上のα−Laの
沈澱が得られる。 PH3.6〜5.0の脱塩ホエーは40〜80℃、好ましく
は45〜70℃に加熱する。加熱した液はそのままの
温度で1時間程度放置すると、α−Laの沈澱が
生成するので、これを遠心分離によつてペースト
状の沈澱物と上清に分けることができる。 上清には大部分のβ−Lgと乳糖が移行存在し
ており、この上清を限外濾過膜法によつて濃縮し
てゆくと乳糖及び水は膜を透過し、β−Lgは膜
に阻止されて、大部分がβ−Lgからなる濃縮物
を得ることができる。更にこれを濃縮、乾燥する
ことによつてβ−Lg製品を得ることができる。 他方、沈澱部分には大部分のα−La及びその
他の乳蛋白を含有しているが、β−Lgの含有率
は極めて低い。沈澱物は水に懸濁させ、アルカリ
で中性にして溶解、加熱殺菌を行ない、次いで濃
縮、乾燥し、β−Lg含有率の極めて低いホエー
蛋白濃縮物を粉状で調製することができる。 得られたホエー蛋白濃縮物は、β−Lgをほと
んど含有していないので、育児用調製粉乳等やそ
の他の食品に蛋白原料として有効に利用すること
ができるものである。 次に本発明の試験例及び実施例を示す。 試験例 1 チーズホエー(PH6.4)をイオン交換樹脂塔
(アンバーライト社製の陽イオン交換樹脂である
IR−120B及び陰イオン交換樹脂であるIRA−410
を充填した複床式のカラム)に通液した。処理液
は原液に比して98%脱塩されていた。この98%脱
塩液に未脱塩の原液を適宜混合し、50%、80%、
90%、95%、98%の5段階脱塩度のホエーを調製
した。これらのホエーを用いて各々のホエーのPH
を4.3に調整し、それぞれ60℃に加熱し1時間保
持した後10000G、10分間遠心分離し、沈澱部分
を採取した。ここで得られた5種類の沈澱部分を
分析し、原チーズホエー中のβ−Lgとα−Laが、
どの程度沈澱したかを調べた結果が表−2であ
る。脱塩度は90%以上、効率等を勘案し好ましく
は98%程度が工業的に最も適すると判断された。 試験例 2 試験例1にて調整した98%脱塩度のホエーを用
いて、これを5つに区分し、PHを3.6、4.0、4.3、
4.6、5.0の5段階に調整し、加熱条件及び沈澱部
分の採取方法は試験1と同一にして原ホエー中の
β−Lgとα−Laの沈澱率を調べた結果が表−3
の通りであり、β−Lgの沈澱を押さえつつα−
Laを収率よく沈澱させる本発明の目的に最も適
するPHは4.3付近であることが確認された。 なおPHの調整には10%水酸化ナトリウム水溶液
及び10%塩酸を使用した。 試験例 3 試験例1にて調整した98%脱塩度ホエーをPH
4.3に調整し、これを加熱した。加熱条件を20℃、
40℃、60℃、70℃、80℃、100℃の6段階として
各温度にて60分間保持し、遠心分離して沈澱部分
を試験例1と同一にして採取した。原ホエー中の
β−Lgとα−Laの沈澱率を調べた結果が表−4
の通りである。β−Lg沈澱率の低い範囲でα−
Laの沈澱率が高い条件は、60℃付近であつた。
保持時間を60分以内に短縮すれば60℃〜80℃の温
度領域においてもβ−Lgの沈澱率を低くおさえ
ることはできたが、逆にα−Laの沈澱率の増加
はほとんど期待できないので、求める沈澱部分の
性状を考慮して60℃−60分保持条件を実用上最も
好ましいと判断した。
の構成比が人乳に比較して著しく大きく、また、
牛乳にはβ−Lgが蛋白質の14.8%も含まれている
が人乳には全く含まれていない。 また表−1の示すβ−Lgが時として乳児のア
レルゲンとなることもあり得るのでホエーを育児
用調製粉乳等に利用しようとするときは、可能な
限りβ−Lgが除去或は減少されたホエー蛋白濃
縮物を使用することがのぞましい。 (問題点を解決するための手段) 本発明では、まず、乳ホエー又は乳ホエー蛋白
濃縮物から無機塩類を90%以上、好ましくは98%
以上脱塩する。脱塩にはイオン交換樹脂、例えば
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の複床式カ
ラムを使用するのがよい。無機塩類の脱塩が90%
以上であるとα−Laの沈澱率を60%以上に、ま
た脱塩が98%以上であるとα−Laの沈澱率を90
%以上にすることができる。 次いで、脱塩ホエーのPHを3.6〜5.0に、好まし
くはPH4.2〜4.4に調整する。 一般にホエーのPHは6.3程度であり、これをイ
オン交換樹脂によつて98%程度脱塩するとPHはほ
ぼ4.0に低下する。この脱塩ホエーをPH3.6〜5.0、
好ましくはPH4.2〜4.4に調整する。PH3.6〜5.0で、
加熱によつて55%以上のα−Laの沈澱は得られ
るが、PH4.2〜4.4の調整では80%以上のα−Laの
沈澱が得られる。 PH3.6〜5.0の脱塩ホエーは40〜80℃、好ましく
は45〜70℃に加熱する。加熱した液はそのままの
温度で1時間程度放置すると、α−Laの沈澱が
生成するので、これを遠心分離によつてペースト
状の沈澱物と上清に分けることができる。 上清には大部分のβ−Lgと乳糖が移行存在し
ており、この上清を限外濾過膜法によつて濃縮し
てゆくと乳糖及び水は膜を透過し、β−Lgは膜
に阻止されて、大部分がβ−Lgからなる濃縮物
を得ることができる。更にこれを濃縮、乾燥する
ことによつてβ−Lg製品を得ることができる。 他方、沈澱部分には大部分のα−La及びその
他の乳蛋白を含有しているが、β−Lgの含有率
は極めて低い。沈澱物は水に懸濁させ、アルカリ
で中性にして溶解、加熱殺菌を行ない、次いで濃
縮、乾燥し、β−Lg含有率の極めて低いホエー
蛋白濃縮物を粉状で調製することができる。 得られたホエー蛋白濃縮物は、β−Lgをほと
んど含有していないので、育児用調製粉乳等やそ
の他の食品に蛋白原料として有効に利用すること
ができるものである。 次に本発明の試験例及び実施例を示す。 試験例 1 チーズホエー(PH6.4)をイオン交換樹脂塔
(アンバーライト社製の陽イオン交換樹脂である
IR−120B及び陰イオン交換樹脂であるIRA−410
を充填した複床式のカラム)に通液した。処理液
は原液に比して98%脱塩されていた。この98%脱
塩液に未脱塩の原液を適宜混合し、50%、80%、
90%、95%、98%の5段階脱塩度のホエーを調製
した。これらのホエーを用いて各々のホエーのPH
を4.3に調整し、それぞれ60℃に加熱し1時間保
持した後10000G、10分間遠心分離し、沈澱部分
を採取した。ここで得られた5種類の沈澱部分を
分析し、原チーズホエー中のβ−Lgとα−Laが、
どの程度沈澱したかを調べた結果が表−2であ
る。脱塩度は90%以上、効率等を勘案し好ましく
は98%程度が工業的に最も適すると判断された。 試験例 2 試験例1にて調整した98%脱塩度のホエーを用
いて、これを5つに区分し、PHを3.6、4.0、4.3、
4.6、5.0の5段階に調整し、加熱条件及び沈澱部
分の採取方法は試験1と同一にして原ホエー中の
β−Lgとα−Laの沈澱率を調べた結果が表−3
の通りであり、β−Lgの沈澱を押さえつつα−
Laを収率よく沈澱させる本発明の目的に最も適
するPHは4.3付近であることが確認された。 なおPHの調整には10%水酸化ナトリウム水溶液
及び10%塩酸を使用した。 試験例 3 試験例1にて調整した98%脱塩度ホエーをPH
4.3に調整し、これを加熱した。加熱条件を20℃、
40℃、60℃、70℃、80℃、100℃の6段階として
各温度にて60分間保持し、遠心分離して沈澱部分
を試験例1と同一にして採取した。原ホエー中の
β−Lgとα−Laの沈澱率を調べた結果が表−4
の通りである。β−Lg沈澱率の低い範囲でα−
Laの沈澱率が高い条件は、60℃付近であつた。
保持時間を60分以内に短縮すれば60℃〜80℃の温
度領域においてもβ−Lgの沈澱率を低くおさえ
ることはできたが、逆にα−Laの沈澱率の増加
はほとんど期待できないので、求める沈澱部分の
性状を考慮して60℃−60分保持条件を実用上最も
好ましいと判断した。
【表】
【表】
【表】
実施例 1
牛乳10000Kgを処理してゴーダチーズを製造す
る際に分離されたPH6.3のチーズホエー9000Kgを
使用し、全量をイオン交換樹脂塔に通液させた。
イオン交換樹脂塔にはアンバーライト社製陽イオ
ン交換樹脂であるIR−120Bと陰イオン交換樹脂
であるIRA−410を複床式カラムに充填し、ホエ
ーを流下通液した。電気伝導度は通過前
6000μS/cmから通液後120μS/cmまで低下しPHは
6.3から4.0に低下した。脱塩率は98%であつた。 得られた脱塩ホエーのPHを、10%水酸化ナトリ
ウム水溶液を用いて4.25に調整した。 得られたPH調整脱塩ホエーをジヤケツト加熱機
及び撹拌機をそなえたタンク中で60℃に加熱し、
1時間保持した。 次いで、このPH調整脱塩ホエーを40℃に冷却
し、アルフアラバル社製MRPX−418型遠心分離
機にて沈澱部分と上清部分に分離した。 ここで使用した原料ホエー、並びに分離した上
清部分、沈澱部分それぞれの分析値及び各量的関
係を表−5、6、7に示す。 得られた沈澱部分を10%NaOH水溶液にて中
和した後、常法に従つて殺菌、濃縮、噴霧乾燥
し、脱β−Lg、脱塩、減乳糖の改質ホエー蛋白
粉末を得た。 得られた改質ホエー蛋白粉末は育児用の粉乳、
その他の食品に添加利用される。 一方、上清部分は常法に従つて殺菌、濃縮、乾
燥してβ−Lg画分の多い脱塩ホエー粉末を得る
ことができる。 これは通常の乳成分同様に食品原料素材として
利用される。 なお、上記上清部分を、限外濾過濃縮して過剰
の乳糖を濾過分離すればβ−Lg濃縮物が得られ
る。これは特殊な食品原料素材として栄養食品或
は一般食品の製造に有効に利用することができ
る。 また、瀘液中の乳糖を精製採取する場合は、通
常の方法で瀘液を濃縮、冷却、結晶化、遠心分離
することによつて目的物を得る。
る際に分離されたPH6.3のチーズホエー9000Kgを
使用し、全量をイオン交換樹脂塔に通液させた。
イオン交換樹脂塔にはアンバーライト社製陽イオ
ン交換樹脂であるIR−120Bと陰イオン交換樹脂
であるIRA−410を複床式カラムに充填し、ホエ
ーを流下通液した。電気伝導度は通過前
6000μS/cmから通液後120μS/cmまで低下しPHは
6.3から4.0に低下した。脱塩率は98%であつた。 得られた脱塩ホエーのPHを、10%水酸化ナトリ
ウム水溶液を用いて4.25に調整した。 得られたPH調整脱塩ホエーをジヤケツト加熱機
及び撹拌機をそなえたタンク中で60℃に加熱し、
1時間保持した。 次いで、このPH調整脱塩ホエーを40℃に冷却
し、アルフアラバル社製MRPX−418型遠心分離
機にて沈澱部分と上清部分に分離した。 ここで使用した原料ホエー、並びに分離した上
清部分、沈澱部分それぞれの分析値及び各量的関
係を表−5、6、7に示す。 得られた沈澱部分を10%NaOH水溶液にて中
和した後、常法に従つて殺菌、濃縮、噴霧乾燥
し、脱β−Lg、脱塩、減乳糖の改質ホエー蛋白
粉末を得た。 得られた改質ホエー蛋白粉末は育児用の粉乳、
その他の食品に添加利用される。 一方、上清部分は常法に従つて殺菌、濃縮、乾
燥してβ−Lg画分の多い脱塩ホエー粉末を得る
ことができる。 これは通常の乳成分同様に食品原料素材として
利用される。 なお、上記上清部分を、限外濾過濃縮して過剰
の乳糖を濾過分離すればβ−Lg濃縮物が得られ
る。これは特殊な食品原料素材として栄養食品或
は一般食品の製造に有効に利用することができ
る。 また、瀘液中の乳糖を精製採取する場合は、通
常の方法で瀘液を濃縮、冷却、結晶化、遠心分離
することによつて目的物を得る。
【表】
【表】
【表】
【表】
(発明の効果)
本発明の方法により乳ホエー又は乳ホエー蛋白
濃縮物から製造した改質ホエー蛋白濃縮物は牛乳
に較べてβ−Lgが極めて少なく、α−Laが比較
的に多いため人乳中のホエー蛋白の組成に近似し
ており、例えば本発明による改質ホエー蛋白濃縮
物の蛋白6部にカゼインの蛋白4部を加えて可溶
化し、脂質、糖質及びその他の微量成分を添加し
て、成分のバランスを人乳に近似させることによ
り従来実用化されていなかつた蛋白の組成をも人
乳に近づけることが可能となつたのである。
濃縮物から製造した改質ホエー蛋白濃縮物は牛乳
に較べてβ−Lgが極めて少なく、α−Laが比較
的に多いため人乳中のホエー蛋白の組成に近似し
ており、例えば本発明による改質ホエー蛋白濃縮
物の蛋白6部にカゼインの蛋白4部を加えて可溶
化し、脂質、糖質及びその他の微量成分を添加し
て、成分のバランスを人乳に近似させることによ
り従来実用化されていなかつた蛋白の組成をも人
乳に近づけることが可能となつたのである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 乳ホエー又は乳ホエー蛋白濃縮物から無機塩
類を90%以上脱塩し、得られた脱塩ホエーのPHを
3.6〜5.0に調整し、次いでこれを40〜80℃に加熱
し、生成した沈澱部分を採取することを特徴とす
るβ−ラクトグロブリンが低減されてなる改質蛋
白濃縮物の製造法。 2 脱塩がイオン交換樹脂による脱塩である特許
請求の範囲第1項記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11052485A JPS61268138A (ja) | 1985-05-24 | 1985-05-24 | 改質ホエ−蛋白濃縮物の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11052485A JPS61268138A (ja) | 1985-05-24 | 1985-05-24 | 改質ホエ−蛋白濃縮物の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61268138A JPS61268138A (ja) | 1986-11-27 |
JPH0360468B2 true JPH0360468B2 (ja) | 1991-09-13 |
Family
ID=14537983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11052485A Granted JPS61268138A (ja) | 1985-05-24 | 1985-05-24 | 改質ホエ−蛋白濃縮物の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61268138A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1994012053A1 (en) * | 1992-11-30 | 1994-06-09 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Low-phosphorus whey protein, process for producing the same, hydrolyzate of purified low-phosphorus whey protein, and process for producing the same |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA1335765C (en) * | 1987-05-14 | 1995-06-06 | Robert John Pearce | Whey protein fractions |
EP0347237B1 (en) * | 1988-06-16 | 1994-04-20 | Unilever Plc | Edible plastic compostitions |
JP2794305B2 (ja) * | 1988-07-20 | 1998-09-03 | 明治乳業株式会社 | 牛乳乳清蛋白質中のβ―ラクトログロブリンの選択的酵素分解方法 |
JP2802436B2 (ja) * | 1989-05-19 | 1998-09-24 | 雪印乳業株式会社 | 骨疾患治療・予防剤 |
DE4002204A1 (de) * | 1990-01-26 | 1991-08-01 | Westfalen Milchwerke | Diaetetisches nahrungsmittel fuer patienten mit niereninsuffizienz |
JP3065116B2 (ja) * | 1991-02-25 | 2000-07-12 | 株式会社第一化成 | 透明な乳清タンパク質加工品の製造法 |
JP2622789B2 (ja) * | 1992-02-18 | 1997-06-18 | 雪印乳業株式会社 | ホエーからα−ラクトアルブミン含有量の高い画分を製造する方法及び該画分を含有せしめてなる母乳代替物または栄養組成物 |
ATE154200T1 (de) * | 1992-12-23 | 1997-06-15 | Campina Melkunie Bv | Verfahren zur gewinnung von alpha-lactalbumin und beta-lactoglobulin aus einem molkeproteinprodukt |
US5747647A (en) * | 1994-06-15 | 1998-05-05 | Dairygold Technologies Limited | Process for the fractionation of whey constituents |
US20220202048A1 (en) | 2018-06-27 | 2022-06-30 | Arla Foods Amba | Ph neutral beta-lactoglobulin beverage preparation |
WO2020002422A1 (en) * | 2018-06-27 | 2020-01-02 | Arla Foods Amba | Novel method for preparing alpha-lactalbumin-enriched compositions, related products and uses e.g. in infant formulas |
-
1985
- 1985-05-24 JP JP11052485A patent/JPS61268138A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1994012053A1 (en) * | 1992-11-30 | 1994-06-09 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Low-phosphorus whey protein, process for producing the same, hydrolyzate of purified low-phosphorus whey protein, and process for producing the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61268138A (ja) | 1986-11-27 |
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