JPH0338280B2 - - Google Patents
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- JPH0338280B2 JPH0338280B2 JP57002187A JP218782A JPH0338280B2 JP H0338280 B2 JPH0338280 B2 JP H0338280B2 JP 57002187 A JP57002187 A JP 57002187A JP 218782 A JP218782 A JP 218782A JP H0338280 B2 JPH0338280 B2 JP H0338280B2
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- Japan
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- cyclosporin
- ser
- meleu
- residue
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- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
本発明は新規なシクロスポリン、その製造法、
医薬活性剤としてのその用途およびそれを含む医
薬組成物に関する。 シクロスポリンは一群の構造的に特色のある、
環状のポリ−N−メチル化ウンデカペプチドから
なり、有用な薬用的活性、特に免疫抑制活性と抗
炎症活性を有するものである。シクロスポリンは
天然に産するシクロスポリン、例えばシクロスポ
リンA、B、C、DおよびG、並びにそれの化学
的修飾誘導体、例えば対応するジヒドロシクロス
ポリンとがある(例えば米国特許第4117118号、
同第4210518号および同第4108985号並びに西ドイ
ツ特許公開第2819094号および同第2941080号参
照)。シクロスポリンA、B、C、DおよびGは
その群の実例となるもので、便宜的には次の一般
式により表わされる。 〔式中、“MeC9”は一般式で表わされる所謂
“C9−アミノ酸”残基であり、 (こゝで、2−、3−および4−位はそれぞれS
−、R−およびR−配位を有し、また−X−Y−
は−CH=CH−(トランス)である)、またAは
シクロスポリンAの場合には−α−Abu−であ
り、シクロスポリンBの場合には−Ala−であ
り、シクロスポリンCの場合には−Thr−であ
り、シクロスポリンDの場合には−Val−であ
り、またシクロスポリンGの場合には−NorVal
−である。〕 なお、本明細書を通じて、略号例えば−Ala
−、−Sar−、−MeVal−、−NorVal−等により表
わされるアミノ酸残基は、従来の慣例に従つて、
特に言及しない限り(L)−配位を持つものと理解す
べきである。はじめに“Me”がついている残基
の略号はN−メチル化残基を表わす。シクロスポ
リン分子の個々の残基には、従来技術に従つて、
時計廻りで1−位の残基−MeC9−から出発して
番号をつけてある。本明細書を通じて、同じナン
バリング方式が個々の残基の位置を示すのに使用
されている。 ジヒドロシクロスポリンの場合には、−MeC9
−残基(一般式)の−X−Y−は−CH2−CH2
−である。例えばイソ−シクロスポリンでは、−
MeC9−残基は、11−位にある隣接−MeVal−の
−CO−基に、2−位のN原子の代りに3−位に
あるその0原子を介して結合している。 最近まで、シクロスポリンの製造法としては、
発酵法と、得られたシクロスポリン発酵生成物の
化学的変性法とが知られているに過ぎなかつた。
しかし現在では、シクロスポリン製造のための全
合成的方法が利用可能である。この方法は日本特
許出願第020779/1981号、ヨーロツパ特許出願第
818100430号(公告番号第0034567号)および1981
年9月3日出願のアメリカ出願第299103号に記載
されており、これらの内容を引用して説明に代え
る。 全合成的方法の基本的特色は、初めて、(シス
型とトランス型の両者と、ジヒドロ型をした)
“C9−アミノ酸”、対応する〔2R、3S、4S〕−エ
ナンチオマ−およびこれら化合物のN−デスメチ
ル誘導体を立体化学的に純粋な形で得る手段を提
供したことであり、これら化合物はいづれも従来
単離された状態であるいは単離可能な状態では知
られていなかつたものである。 全合成的方法に従い、これら新規化合物は通常
保護されたあるいは活性化された形で、一連のオ
ープンチエイン状ウンデカペプチドの合成をさら
に実施するための中間体として使用される。なお
これらウンデカペプチドは最終的には環化して製
品シクロスポリンを生ずべきものである。ウンデ
カペプチド合成並びに環化は、上記参考文献に開
示された特別な方法に従い実施される。従つて全
合成的方法は、“C9−アミン酸”が上記N−デス
メチル誘導体で置換されたシクロスポリン、エナ
ンチオマ−等を得る手段を提供する。 本発明に従い、2−位および/あるいは8−位
にある残基が規定したタイプのアミノ酸残基によ
り置換された、有用な薬理的性質を持つ新規シク
ロスポリンが得られることが見出された。 本発明に従うシクロスポリンは式で表わされ
るものである。 〔式中、Z1はアリルあるいはエチル、Z2はヒドロ
キシメチル、あるいはZ1がアリルの場合はメチル
であり、−X−Y−は−CH=CH−(トランス)
あるいは−CH2−CH2−である。〕 本発明に従う具体的シクロスポリンは式にお
いてZ1、Z2および−X−Y−が次の如きものであ
る。 () Z1はアリル、Z2はメチルおよび−X−Y−
は−CH=CH−(トランス)である; () Z1はエチル、Z2はヒドロキシメチルおよび
−X−Y−は−CH=CH−(トランス)であ
る;および () Z1はエチル、Z2はヒドロキシメチルおよび
−X−Y−は−CH2−CH2−である。 本明細書を通じ、今後これら化合物を()
“Allylgly −シクロスポリン”、()“(D)−Ser
−シクロスポリン”および()“(D)−Ser
−ジヒドロシクロスポリン”とそれぞれ呼称す
る。 本発明に従うシクロスポリンは前記全合成的方
法により製造できる。さらに驚くべきことには次
の事が発見された。すなわち、上記一般式で−
X−Y−が−CH=CH−(トランス)である化合
物もまた、例えば上記米国特許第4117118号でシ
クロスポリンA製造のために開示された発酵法
を、−Allylgly−あるいは−(D)−Ser用アミノ酸前
駆体を培養地に加えることによつて変形すること
により製造できる。そしてこの場合、−Allylgly
−はシクロスポリンの分子中に、具体的には2−
位に組み込まれ、また−(D)−Ser−は具体的には
8−位に組み込まれることが見出された。本発明
に従うシクロスポリンはさらに、当該技術で公知
の方法により化学的修飾あるいは相互変換にかけ
ることができる。 従つて他の見地から、本発明は本発明に従うシ
クロスポリンの製造法をも提供するもので、この
方法は次の工程からなる。 () (a) O原子を保護した形態にある本発明に従
うシクロスポリンからO−原子保護基を取り
除くか、あるいは (b) 本発明に従うシクロスポリンを得るのに
必要な配列を持ちかつN−末端として前記シ
クロスポリンの8−位にある残基から始まる
直鎖状ウンデカペプチド(このウンデカペプ
チドは保護されていないあるいはO原子を保
護した形態にある)を環化し、次いで必要あ
る場合には(a)の工程を実施するか、あ
るいは () 上で定義した如き式で−X−Y−が−
CH=CH−(トランス)であるシクロスポリン
の製造には、(a)(L)−あるいは(D、L)−アリ
ルグリシン、(b)(D)−あるいは(D、L)−セリ
ン、あるいは(c)アミノ酸(a)および(b)の混合物を
含む栄養培地と接触させながら、シクロスポリ
ンAを生成する菌株を培養し、次いで培養地か
らかくして得られる式のシクロスポリンを単
離するか、あるいは () 本発明に従うシクロスポリン、例えば(
a)、(b)あるいは()に従つて得られた
シクロスポリンを化学的に修飾して、例えば式
で−X−Y−が−CH=CH−(トランス)で
あり、Z1が式に対して与えられた意味を持
ち、Z2がヒドロキシメチルであるシクロスポリ
ンを水素添加して、式で−X−Y−が−CH2
−CH2−であり、Z1がエチルであり対応するシ
クロスポリンを得る工程からなる。 工程(b)での使用に適したウンデカペプチ
ドは、例えばそのフローチヤートに関連して、
上述の日本、ヨーロツパおよび米国の特許出願第
020779/1981号、818100430号および299103号に
記載された方法に類似した方法で、シクロスポリ
ン分子の残基8ないし11からなるペプチド配列
と、残基1ないし7からなるペプチド配列を結合
させて得ることができるが、この場合2−位およ
び/あるいは8−位の残基は要望があればそれぞ
れ−Allylgly−あるいは−(D)−Ser−で置換する
ことができる。β−ヒドロキシ−α−アミノ酸残
基が8−位に存在する場合には、これはO原子を
保護した形態、例えばO−t−ブチル誘導体の形
態をしているのが適当である。工程(b)の環
化は前記特許出願に記載の特別の方法で実施させ
るが、O原子保護基が例えば8−位〔工程(
a)〕に存在する場合には、ペプチド化学の技術
分野で公知の方法に従い最終的にこの保護基を除
去する。一般的操作を特に、次の実施例1におけ
る“(D)−Ser −シクロスポリン”の合成とその
フローチヤートについて説明する。 工程()の方法で使用するのに好ましい菌株
はTolypocladium inflatum(G ams)種の
NRRL 8044株で、その培養菌は米国イリノイ州
ペノリアにあるUnited States Department of
Agriculture(Northern Research and
Develop−ment Division)に委託されたが、一
般の人々が自由に入手できる。この株の他の培養
菌は、FRI FERM−P No.2796というコードナ
ンバーをつけて、日本国千葉県千葉市稲毛にある
微生物工業技術研究所に委託された。前記菌株は
本来、Trichoderma polysporum(Link ex
Pers.)種に属するものとして分類されたもので、
その形態学的特性並びに予備培養菌および二次培
養菌の製造および保存法は、例えば米国特許明細
書第1491509号にすべて記載されている。 本発明の方法に従い、シクロスポリンAを生成
する菌株は温度約27℃で約2週間、添加した(D)−
あるいは(D、L)−セリン、あるいは添加した
(L)−(D、L)−アリルグルシンあるいはそれらの
混合物の存在下、前述の英国特許明細書第
1491509号あるいは次の実施例2および3に記載
した如き培養地中に保持するのが適当である。ア
ミノ酸前駆体は、培養地1リツトリ当り約1乃至
15g、より好ましくは約4乃至約10g、最に好ま
しくは約8gの量を添加するのが適当である。 培養に続いて、培養菌を収穫し、次いで得られ
た式のシクロスポリン、例えば“(D)−Ser −
あるいはAllylgly −シクロスポリン”を公知の
技術に従つて、例えば分生胞子と菌糸体を粉砕し
次いで抽出的および/あるいは吸収的単離を実施
することにより抽出する。最初に得られる粗シク
ロスポリンでは次いで、他のシクロスポリン混入
物からの分離、特に混入するシクロスポリンA、
B、C、Dおよび/あるいはGからの分離を達成
するため、例えばクロマトグラフおよび/あるい
は再結晶により精製することができる。 本発明に従うシクロスポリン、例えば工程(
a)、(b)あるいは()に従つて得られるシ
クロスポリンは、必要があれば、次いで当該分野
で公知の技術に従つて、特に工程()における
如く水素添加によつて化学的変成にかけ、例えば
“(D)−Ser −シクロスポリン”の場合には、“(D)
−Ser −ジヒドロシクロスポリン”を得ること
ができる。β−ビニレン−α−アミノ酸が2−位
に存在する場合は、これは同時に還元されて、例
えば−Allylgly−の場合には−NorVal−を生ず
る。 水素添加は、天然に生ずるシクロスポリン、例
えばシクロスポリンCおよびDを対応するジヒド
ロ誘導体に還元するための公知方法に類似した方
法で、例えば、英国特許明細書第1567201号に開
示された一般的方法に従つて接触的水素添加によ
り実施することができる。水素添加は、中性のPH
条件下、温度約20乃至約30℃、圧力は常圧あるい
はそれより僅かに高い圧力で、不活性溶媒あるい
は稀釈剤の存在下に白金あるいは好ましくはパラ
ジウム(例えばパラジウム炭素)の如き触媒の存
在下で実施するのが適当である。適当な溶媒には
酢酸エチルおよびメタノールやイソプロパノール
の如き低級脂肪属アルコールがある。生じた水素
添加生成物は公知の方法、例えばクロマトグラフ
により精製することができる。 次の実施例は本発明の方法を説明するものであ
る。次の略号を使用する。 BOC=t−ブチルオキシカルボニル Bzl=ベンジルオキシカルボニル −(D)−Ser(O−tBu)−=O原子がt−ブチルで
保護された形をした−(D)−Ser−。 −MeC9=次式で表わされる残基。 −MeDHC9−=次式で表わされる残基。 実施例 1 “(D)−Ser −シクロスポリン”の全合成 (1a) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−
MeLeu−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu
−Val−MeLeu−Ala−Bzl. 標題化合物を以下の頁に示すフローチヤートに
従つて製造する。工程Aは、出願番号がそれぞれ
第020779/1981号、818100430号および299103号
である前述の日本、ヨーロツパおよび米国特許出
願の実施例1m乃至1rと類似して実施され、工程
Bは同じく実施例1a乃至1lと全く同様に実施す
る。 (1b) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−
MeLeu−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu
−Val−MeLeu−Ala−OH. 実施例(1a)の表題化合物3.56gをエタノール
70mlに溶解し、0.2N NaOH水溶液13.2mlを加え
られる。反応混合物を16時間0℃に放置する。得
られる透明液に1N塩酸を加えてPHを5に調節し、
40℃で減圧下に蒸発乾固する。残渣を塩化メチレ
ン300mlと脱ミネラル水150ml中に取り、振盪す
る。有機相を分離後、水相をさらに150mlの塩化
メチレンと共に振盪する。塩化メチレン抽出液を
一緒にしてNa2SO4上で乾燥し、タルクを通して
過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残留生成物
をシリカゲル(0.062〜0.2mm)200gを用い、塩
化メチレン/15%メタノールを溶出液としてクロ
マトグラフにより精製し、溶離した液を30mlづつ
の留分にして集める。標題化合物を留分13乃至45
から純粋な形で回収する。〔α〕20 D=−164.7°、c
=0.95(CHCl3中)。
医薬活性剤としてのその用途およびそれを含む医
薬組成物に関する。 シクロスポリンは一群の構造的に特色のある、
環状のポリ−N−メチル化ウンデカペプチドから
なり、有用な薬用的活性、特に免疫抑制活性と抗
炎症活性を有するものである。シクロスポリンは
天然に産するシクロスポリン、例えばシクロスポ
リンA、B、C、DおよびG、並びにそれの化学
的修飾誘導体、例えば対応するジヒドロシクロス
ポリンとがある(例えば米国特許第4117118号、
同第4210518号および同第4108985号並びに西ドイ
ツ特許公開第2819094号および同第2941080号参
照)。シクロスポリンA、B、C、DおよびGは
その群の実例となるもので、便宜的には次の一般
式により表わされる。 〔式中、“MeC9”は一般式で表わされる所謂
“C9−アミノ酸”残基であり、 (こゝで、2−、3−および4−位はそれぞれS
−、R−およびR−配位を有し、また−X−Y−
は−CH=CH−(トランス)である)、またAは
シクロスポリンAの場合には−α−Abu−であ
り、シクロスポリンBの場合には−Ala−であ
り、シクロスポリンCの場合には−Thr−であ
り、シクロスポリンDの場合には−Val−であ
り、またシクロスポリンGの場合には−NorVal
−である。〕 なお、本明細書を通じて、略号例えば−Ala
−、−Sar−、−MeVal−、−NorVal−等により表
わされるアミノ酸残基は、従来の慣例に従つて、
特に言及しない限り(L)−配位を持つものと理解す
べきである。はじめに“Me”がついている残基
の略号はN−メチル化残基を表わす。シクロスポ
リン分子の個々の残基には、従来技術に従つて、
時計廻りで1−位の残基−MeC9−から出発して
番号をつけてある。本明細書を通じて、同じナン
バリング方式が個々の残基の位置を示すのに使用
されている。 ジヒドロシクロスポリンの場合には、−MeC9
−残基(一般式)の−X−Y−は−CH2−CH2
−である。例えばイソ−シクロスポリンでは、−
MeC9−残基は、11−位にある隣接−MeVal−の
−CO−基に、2−位のN原子の代りに3−位に
あるその0原子を介して結合している。 最近まで、シクロスポリンの製造法としては、
発酵法と、得られたシクロスポリン発酵生成物の
化学的変性法とが知られているに過ぎなかつた。
しかし現在では、シクロスポリン製造のための全
合成的方法が利用可能である。この方法は日本特
許出願第020779/1981号、ヨーロツパ特許出願第
818100430号(公告番号第0034567号)および1981
年9月3日出願のアメリカ出願第299103号に記載
されており、これらの内容を引用して説明に代え
る。 全合成的方法の基本的特色は、初めて、(シス
型とトランス型の両者と、ジヒドロ型をした)
“C9−アミノ酸”、対応する〔2R、3S、4S〕−エ
ナンチオマ−およびこれら化合物のN−デスメチ
ル誘導体を立体化学的に純粋な形で得る手段を提
供したことであり、これら化合物はいづれも従来
単離された状態であるいは単離可能な状態では知
られていなかつたものである。 全合成的方法に従い、これら新規化合物は通常
保護されたあるいは活性化された形で、一連のオ
ープンチエイン状ウンデカペプチドの合成をさら
に実施するための中間体として使用される。なお
これらウンデカペプチドは最終的には環化して製
品シクロスポリンを生ずべきものである。ウンデ
カペプチド合成並びに環化は、上記参考文献に開
示された特別な方法に従い実施される。従つて全
合成的方法は、“C9−アミン酸”が上記N−デス
メチル誘導体で置換されたシクロスポリン、エナ
ンチオマ−等を得る手段を提供する。 本発明に従い、2−位および/あるいは8−位
にある残基が規定したタイプのアミノ酸残基によ
り置換された、有用な薬理的性質を持つ新規シク
ロスポリンが得られることが見出された。 本発明に従うシクロスポリンは式で表わされ
るものである。 〔式中、Z1はアリルあるいはエチル、Z2はヒドロ
キシメチル、あるいはZ1がアリルの場合はメチル
であり、−X−Y−は−CH=CH−(トランス)
あるいは−CH2−CH2−である。〕 本発明に従う具体的シクロスポリンは式にお
いてZ1、Z2および−X−Y−が次の如きものであ
る。 () Z1はアリル、Z2はメチルおよび−X−Y−
は−CH=CH−(トランス)である; () Z1はエチル、Z2はヒドロキシメチルおよび
−X−Y−は−CH=CH−(トランス)であ
る;および () Z1はエチル、Z2はヒドロキシメチルおよび
−X−Y−は−CH2−CH2−である。 本明細書を通じ、今後これら化合物を()
“Allylgly −シクロスポリン”、()“(D)−Ser
−シクロスポリン”および()“(D)−Ser
−ジヒドロシクロスポリン”とそれぞれ呼称す
る。 本発明に従うシクロスポリンは前記全合成的方
法により製造できる。さらに驚くべきことには次
の事が発見された。すなわち、上記一般式で−
X−Y−が−CH=CH−(トランス)である化合
物もまた、例えば上記米国特許第4117118号でシ
クロスポリンA製造のために開示された発酵法
を、−Allylgly−あるいは−(D)−Ser用アミノ酸前
駆体を培養地に加えることによつて変形すること
により製造できる。そしてこの場合、−Allylgly
−はシクロスポリンの分子中に、具体的には2−
位に組み込まれ、また−(D)−Ser−は具体的には
8−位に組み込まれることが見出された。本発明
に従うシクロスポリンはさらに、当該技術で公知
の方法により化学的修飾あるいは相互変換にかけ
ることができる。 従つて他の見地から、本発明は本発明に従うシ
クロスポリンの製造法をも提供するもので、この
方法は次の工程からなる。 () (a) O原子を保護した形態にある本発明に従
うシクロスポリンからO−原子保護基を取り
除くか、あるいは (b) 本発明に従うシクロスポリンを得るのに
必要な配列を持ちかつN−末端として前記シ
クロスポリンの8−位にある残基から始まる
直鎖状ウンデカペプチド(このウンデカペプ
チドは保護されていないあるいはO原子を保
護した形態にある)を環化し、次いで必要あ
る場合には(a)の工程を実施するか、あ
るいは () 上で定義した如き式で−X−Y−が−
CH=CH−(トランス)であるシクロスポリン
の製造には、(a)(L)−あるいは(D、L)−アリ
ルグリシン、(b)(D)−あるいは(D、L)−セリ
ン、あるいは(c)アミノ酸(a)および(b)の混合物を
含む栄養培地と接触させながら、シクロスポリ
ンAを生成する菌株を培養し、次いで培養地か
らかくして得られる式のシクロスポリンを単
離するか、あるいは () 本発明に従うシクロスポリン、例えば(
a)、(b)あるいは()に従つて得られた
シクロスポリンを化学的に修飾して、例えば式
で−X−Y−が−CH=CH−(トランス)で
あり、Z1が式に対して与えられた意味を持
ち、Z2がヒドロキシメチルであるシクロスポリ
ンを水素添加して、式で−X−Y−が−CH2
−CH2−であり、Z1がエチルであり対応するシ
クロスポリンを得る工程からなる。 工程(b)での使用に適したウンデカペプチ
ドは、例えばそのフローチヤートに関連して、
上述の日本、ヨーロツパおよび米国の特許出願第
020779/1981号、818100430号および299103号に
記載された方法に類似した方法で、シクロスポリ
ン分子の残基8ないし11からなるペプチド配列
と、残基1ないし7からなるペプチド配列を結合
させて得ることができるが、この場合2−位およ
び/あるいは8−位の残基は要望があればそれぞ
れ−Allylgly−あるいは−(D)−Ser−で置換する
ことができる。β−ヒドロキシ−α−アミノ酸残
基が8−位に存在する場合には、これはO原子を
保護した形態、例えばO−t−ブチル誘導体の形
態をしているのが適当である。工程(b)の環
化は前記特許出願に記載の特別の方法で実施させ
るが、O原子保護基が例えば8−位〔工程(
a)〕に存在する場合には、ペプチド化学の技術
分野で公知の方法に従い最終的にこの保護基を除
去する。一般的操作を特に、次の実施例1におけ
る“(D)−Ser −シクロスポリン”の合成とその
フローチヤートについて説明する。 工程()の方法で使用するのに好ましい菌株
はTolypocladium inflatum(G ams)種の
NRRL 8044株で、その培養菌は米国イリノイ州
ペノリアにあるUnited States Department of
Agriculture(Northern Research and
Develop−ment Division)に委託されたが、一
般の人々が自由に入手できる。この株の他の培養
菌は、FRI FERM−P No.2796というコードナ
ンバーをつけて、日本国千葉県千葉市稲毛にある
微生物工業技術研究所に委託された。前記菌株は
本来、Trichoderma polysporum(Link ex
Pers.)種に属するものとして分類されたもので、
その形態学的特性並びに予備培養菌および二次培
養菌の製造および保存法は、例えば米国特許明細
書第1491509号にすべて記載されている。 本発明の方法に従い、シクロスポリンAを生成
する菌株は温度約27℃で約2週間、添加した(D)−
あるいは(D、L)−セリン、あるいは添加した
(L)−(D、L)−アリルグルシンあるいはそれらの
混合物の存在下、前述の英国特許明細書第
1491509号あるいは次の実施例2および3に記載
した如き培養地中に保持するのが適当である。ア
ミノ酸前駆体は、培養地1リツトリ当り約1乃至
15g、より好ましくは約4乃至約10g、最に好ま
しくは約8gの量を添加するのが適当である。 培養に続いて、培養菌を収穫し、次いで得られ
た式のシクロスポリン、例えば“(D)−Ser −
あるいはAllylgly −シクロスポリン”を公知の
技術に従つて、例えば分生胞子と菌糸体を粉砕し
次いで抽出的および/あるいは吸収的単離を実施
することにより抽出する。最初に得られる粗シク
ロスポリンでは次いで、他のシクロスポリン混入
物からの分離、特に混入するシクロスポリンA、
B、C、Dおよび/あるいはGからの分離を達成
するため、例えばクロマトグラフおよび/あるい
は再結晶により精製することができる。 本発明に従うシクロスポリン、例えば工程(
a)、(b)あるいは()に従つて得られるシ
クロスポリンは、必要があれば、次いで当該分野
で公知の技術に従つて、特に工程()における
如く水素添加によつて化学的変成にかけ、例えば
“(D)−Ser −シクロスポリン”の場合には、“(D)
−Ser −ジヒドロシクロスポリン”を得ること
ができる。β−ビニレン−α−アミノ酸が2−位
に存在する場合は、これは同時に還元されて、例
えば−Allylgly−の場合には−NorVal−を生ず
る。 水素添加は、天然に生ずるシクロスポリン、例
えばシクロスポリンCおよびDを対応するジヒド
ロ誘導体に還元するための公知方法に類似した方
法で、例えば、英国特許明細書第1567201号に開
示された一般的方法に従つて接触的水素添加によ
り実施することができる。水素添加は、中性のPH
条件下、温度約20乃至約30℃、圧力は常圧あるい
はそれより僅かに高い圧力で、不活性溶媒あるい
は稀釈剤の存在下に白金あるいは好ましくはパラ
ジウム(例えばパラジウム炭素)の如き触媒の存
在下で実施するのが適当である。適当な溶媒には
酢酸エチルおよびメタノールやイソプロパノール
の如き低級脂肪属アルコールがある。生じた水素
添加生成物は公知の方法、例えばクロマトグラフ
により精製することができる。 次の実施例は本発明の方法を説明するものであ
る。次の略号を使用する。 BOC=t−ブチルオキシカルボニル Bzl=ベンジルオキシカルボニル −(D)−Ser(O−tBu)−=O原子がt−ブチルで
保護された形をした−(D)−Ser−。 −MeC9=次式で表わされる残基。 −MeDHC9−=次式で表わされる残基。 実施例 1 “(D)−Ser −シクロスポリン”の全合成 (1a) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−
MeLeu−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu
−Val−MeLeu−Ala−Bzl. 標題化合物を以下の頁に示すフローチヤートに
従つて製造する。工程Aは、出願番号がそれぞれ
第020779/1981号、818100430号および299103号
である前述の日本、ヨーロツパおよび米国特許出
願の実施例1m乃至1rと類似して実施され、工程
Bは同じく実施例1a乃至1lと全く同様に実施す
る。 (1b) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−
MeLeu−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu
−Val−MeLeu−Ala−OH. 実施例(1a)の表題化合物3.56gをエタノール
70mlに溶解し、0.2N NaOH水溶液13.2mlを加え
られる。反応混合物を16時間0℃に放置する。得
られる透明液に1N塩酸を加えてPHを5に調節し、
40℃で減圧下に蒸発乾固する。残渣を塩化メチレ
ン300mlと脱ミネラル水150ml中に取り、振盪す
る。有機相を分離後、水相をさらに150mlの塩化
メチレンと共に振盪する。塩化メチレン抽出液を
一緒にしてNa2SO4上で乾燥し、タルクを通して
過し、溶媒を減圧下で蒸発させる。残留生成物
をシリカゲル(0.062〜0.2mm)200gを用い、塩
化メチレン/15%メタノールを溶出液としてクロ
マトグラフにより精製し、溶離した液を30mlづつ
の留分にして集める。標題化合物を留分13乃至45
から純粋な形で回収する。〔α〕20 D=−164.7°、c
=0.95(CHCl3中)。
【表】
(1c) H−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−MeLeu
−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu−Val
−MeLeu−Ala−OH. 実施例(1b)の粉末状生成物1.9gを−20℃に
予め冷却した三弗化酢酸7ml中に入れ、渦巻状に
撹拌して溶解させる。溶液を−20℃に11/4時間
放置し、分液漏斗を通して、氷、飽和重炭酸ソー
ダ液200mlおよび塩化メチレン300mlからなる混合
物中に注入する。振盪後は水相は非酸性でなけれ
ばならない。塩化メチレン300mlで2回抽出後、
一緒にした有機相をNa2SO4上で乾燥し、過し
蒸発させる。残渣を、塩化メチレン/15%メタノ
ールを溶出液としてシリカゲル(0.063〜0.2mm)
150g上クロマトグラフにより精製し、溶離した
液は25mlづつの留分にして集める。標題化合物を
画分25乃至90から純粋な形で回収する。〔α〕20 D=
−156°、c=0.96(CHCl3中)。 (1d) “(D)−Ser(O−tBu) −cyclosporin” 実施例(1c)の生成物250mgを、塩化カルシウ
ム管を取付けた50mlフラスコ中、塩化メチレン10
mlに溶解する。CH2Cl21mlに溶解したN−メチル
モルフオリン70.4mg(0.077ml)を加え、次いで
CH2Cl21mlに溶解したプロパンフオスフオン酸無
水物49.4mgを加える。反応混合物を22℃で21時間
撹拌する。得られた溶液を塩化メチレン200mlに
て稀釈し、分液漏斗中にて重炭酸ソーダ溶液100
mlと共に振盪する。水溶液を再度塩化メチレン
100mlにて抽出し、有機相をNa2SO4上にて乾燥
し、過し、溶媒を蒸発させる。残渣を、塩化メ
チレン/5%メタノールを溶出液としてシリカゲ
ル(0.063〜0.2mm)150g上クロマトグラフによ
り精製し、溶離した液を25mlづつの留分にして集
める。標題化合物を留分13乃至14から純粋な形で
回収する。〔α〕20 D=−203°、c=0.95(CHCl3中)
。 (1e) “(D)−Ser −cyclosporin” 実施例(1d)の生成物345mgを三弗化酢酸2ml
に溶解し、0℃で6時間放置する。反応混合物を
塩化メチレン150mlにて稀釈し、分液漏斗中氷/
重炭酸ソーダ溶液100mlと共に振盪する。アルカ
リ生水相を分離し、塩化メチレン200mlで再抽出
する。塩化メチレン抽出液を一緒にしてNa2SO4
上で乾燥し、過し、溶媒を真空下で完全に蒸発
させる。残渣を、塩化メチレン/5%メタノール
を溶出液としてシリカゲル(0.063〜0.2mm)250
g上クロマトグラフにより精製し、溶離した液を
25mlづつの留分にして集める。表題化合物を留分
42乃至52から純粋な形で回収する。Rf〔クロロフ
オルム/アセトン(1:1)〕=0.39。 実施例 2 “(D)−Ser −ジヒドロシクロスポリンの全合
成 標題化合物を、実施例(1a)のフローチヤー
トの1−位にある−MeC9−の代りに−MeDHC9
−を用いる以外は実施例1と同じようにして製造
する。合成の最後の3工程における生成物は次に
示す如き特性を持つ。 (a) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−MeLeu
−MeVal−MeDHC9−Abu−Sar−MeLeu−
Val−MeLeu−Ala−OH:〔α〕20 D=−153°、c
=0.85(クロロフオルム中)。 (b) H−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−MeLeu−
MeVal−MeDHC9−Abu−Sar−MeLeu−Val
−MeLeu−Ala−OH:〔α〕20 D=−154.8°、c=
0.92(MeOH中)。 (c) “(D)−Ser(O−tBu) −
dihydrocyclosporin”:〔α〕20 D=−205°、c=
1.03(CHCl3中)。 (d) “(D)−Ser −dihydrocyclosporin”:〔α〕20 D
=−241°、c=1.0(CHCl3中)。 実施例 3 “(D)−Ser −ジシクロスポリンの微生物学的
製造 (3a) 1リツトル当り、グルコース50g、(D)−セ
リン8g、K2HDO40.75g、MgSO4・7H2O0.5
g、CaCl2・6H2O0.1gおよびリンゴ酸アンモ
ニウム8gを含む栄養培地10リツトルに、予備
培養から得られた菌株NRRL 8044の分生胞子
と菌糸体の懸濁液1リツトルを接種する。接種
培地を100個のエーレンマイヤーフラスコに100
mlづつ満たし、次いで27℃で14日間、回転速度
180rpmの撹拌機で培養する。菌糸体を培養地
から分離し、Turrax装置を用い、90%メタノ
ール4.5リツトルにて粉砕撹拌を2回実施して
抽出する。粉砕した菌糸体を吸引過して溶媒
から分離し、再度前述した如く90%メタノール
で2回処理する。液を合し、真空下温度40℃
にて、蒸気が主として水だけからなる迄蒸発濃
縮する。得られる混合物を食塩にて飽和し、毎
回3リツトルの酢酸エチルにて3回抽出し、次
いで差酸エチル溶液を合し、硫酸ソーダ上にて
乾燥し、真空下温度40℃にて蒸発濃縮する。得
られる残渣を、クロロフオルム/2%メタノー
ルを溶出液としてシリカゲル(“メルク”製シ
リカゲル、粒度0.04〜0.063mm)440g上クロマ
トグラフにかけ、300mlづつの画分にして集め
る。画分41乃至53を合し、真空下で蒸発させ、
次いで残渣(242mg)をメタノール1mlに溶解
し、水(39%)/メタノール(5%)/アセト
ニトリル(56%)を溶離液として、高圧クロマ
トグラフ用カラム(RP8、直径8mm、長さ25
cm、温度70℃、流速10ml/min、圧力160気圧)
にて125μづつクロマトグラフにかけ純粋な
“(D)−Ser −シクロスポリン”77mgを得る。
Rf〔クロロフオルム/アセトン(1:1)〕=
0.39。NMR分光によつて実施例(1e)の生成
物と同一であることが確認される。 (3b) 上記方法のための予備培養菌は次の如く製
造する。 接種用に使用する胞子と菌糸体の懸濁液を始
めに単離した菌株NRRL 8044の培養から作
り、脱鉱物水1リツトル当り麦芽エキス20g、
寒天20gおよび酵母エキス4gを含む寒天培地
上、27℃21日間培養する。この培養菌の胞子を
生理的食塩溶液中に取り、最終濃度が5×106
胞子/mlになるようにする。この懸濁液10ml
を、(D)−セリン成分は例外として、実施例
(3a)の培養地と同じ組成を持つ栄養溶液1リ
ツトルの接種に用い、培養を27℃で3日間回転
式振盪器(200r.p.m)で実施する。発酵溶液を
最終培養用の接種培地として使用する。 実施例 4 “Allylgly −シクロスポリンの微生物学的製
造 1リツトル当りグルコース50g、(D、L)−ア
リルグリシン8g、K2HPO40.75g、MgSO4・
7H2O0.5g、CaCl2・6H2O0.1gおよびリンゴ酸
アンモニウム8gを含む栄養培地に、菌株
NRRL 8044(実施例3に記載の方法で製造した)
の予備培養菌500mlを接種する。接種培地を50個
のエ−レンマイヤ−フラスコに100mlづつ満たし、
次いで27℃で14日間、回転速度180r.p.m.の撹拌
器で培養する。菌糸体ろ培養地から分離し、
Turrax装置を用い、90%メタノール4.5リツトル
にて粉砕撹拌を2回実施して抽出する。粉砕した
菌糸体を吸引過して溶媒から分離し、再度前述
した如く90%メタノールで2回処理する。液を
合し、真空下温度40℃にて、蒸気が主として水だ
けからなる迄蒸発濃縮する。得られる混合物を食
塩にて飽和し、毎回3リツトルの酢酸エチルにて
3回抽出し、次いで酢酸エチル溶液を合し、硫酸
ソーダ上にて乾燥し、真空下温度40℃にて蒸発濃
縮する。 得られる残渣を、クロロフオルム/2%メタノ
ールを溶出液としてシリカゲル(“メルク”製シ
リカゲル、粒度0.04〜0.063mm)320g上クロマト
グラフにかけ、0.5〜1.0リツトルづゝの画分にし
て集める。画分9と10を合し、真空下蒸発させて
油状残渣2.9gを得る。残渣を、クロロフオル
ム/1〜2%メタノールを溶出液として、シリカ
ゲル240g上クロマトグラフにかけ、20mlづつの
画分にして集める、画分257乃至261を合し、真空
下蒸発濃縮して準純粋の“Allylgly −シクロス
ポリン”460mgからなる残渣を得る。この残渣を
メタノール1mlに溶解し、水(35%)/メタノー
ル(15%)/アセトニトリル(50%)を溶出液と
して、高圧クロマトグラフ用カラム(RP8、直径
8mm、長さ25cm、温度70℃、流速10ml/min、圧
力160気圧)中を125μづつ通過させて濃縮
“Allylgly −シクロスポリン”191mgを得る。最
後のクロマトグラフの工程を繰返して純粋の形の
“Allylgly −シクロスポリン”87mgを得る。 Rf〔ガラス上シリカゲル、クロロフオルム/アセ
トン(1:1)〕=0.69 〔ガラス上シリカゲル、クロロフオルム/メタ
ノール(9:1)〕=0.66 本発明に従うシクロスポリンは、例えば次の標
準試験にて示される如く、有用な薬理的、特に免
疫抑制活性と抗炎症活性を示す。 1 免疫抑制活性 1.1 ゲル中試験管内局所溶血現象〔R.I.Mishell
およびR.W.Dutton、J.Exp.Medicine、126、
423−442(1967)〕。 本発明に従うシクロスポリンは、濃度0.1
乃至10.0μg/mlで未処理対照と比較して溶
血阻止帯を示す。 1.2 JanossyとGreavesに従うリンパ球刺激試験
〔Clin.Exp.Immunol.、9、483、(1971)お
よび10、525(1972)〕: 本発明に従うシクロスポリンは、濃度0.3
乃至3.0μg/mlで未処理対照と比較してコン
カナバリンA刺激によるRNA−合成(H3−
サイミジン同化の抑制)、細胞増殖およびマ
ウス脾リンパ球内胚子発生を抑制する。 2 抗炎症活性 抗炎症活性は、適当量の投与で、ラツトにおけ
るフロインド補助液関節炎潜伏期試験およびラツ
トにおけるフロインド補助液関節炎−治療試験に
て示すことができる。 その免疫抑制活性の点から見て、本発明に従う
シクロスポリンは、免疫応答の減少を必要とする
病気や状態の予防および治療に使用するのが望ま
しい。従つて、本発明のシクロスポリンは、例え
ば自己免疫病気の治療あるいは移植、例えば皮
膚、骨髄および腎臓移植の拒絶防止に際してリン
パ球や免疫細胞の増殖を抑制するのに使用でき
る。 その抗炎症活性の点から見て、本発明に従うシ
クロスポリンは、炎症状態例えば関節炎や、慢性
進行性多発関節炎(polyarthritis chronica
progrediente)の如きリユーマチ性病気の治療に
使用することが望ましい。 本発明による新規シクロスポリンの毒性水準
は、一般に、天然源から得られ市販されている公
知シクロスポリンの毒性とほぼ同じか僅かに少な
い程度である。 前述の事項に従い、本発明は他の見地から、医
薬として用いるための、すなわち治療を用いるた
めの、そして特に前述した如き治療や予防法にお
いて用いるための前述した如き、式で表わされ
るシクロスポリンを提供する。 前述した用途、特に免疫抑制用としての用途に
は、必要な1日当りの投与量は約50〜900mg、例
えば約75〜600mg、好ましくは約200〜400mgの範
囲内にあり、また経口投与に適した剤型は固体状
あるいは液状の医薬用稀釈剤あるいは担体と混合
した約25〜300mgのシクロスポリンからなる。 本発明に従う好ましいシクロスポリン、すなわ
ち“Allylgly −シクロスポリン”と“(D)−Ser
−シクロスポリン”について、上記1.1乃至1.3
の試験で得られた結果を次に示す。
−MeVal−MeC9−Abu−Sar−MeLeu−Val
−MeLeu−Ala−OH. 実施例(1b)の粉末状生成物1.9gを−20℃に
予め冷却した三弗化酢酸7ml中に入れ、渦巻状に
撹拌して溶解させる。溶液を−20℃に11/4時間
放置し、分液漏斗を通して、氷、飽和重炭酸ソー
ダ液200mlおよび塩化メチレン300mlからなる混合
物中に注入する。振盪後は水相は非酸性でなけれ
ばならない。塩化メチレン300mlで2回抽出後、
一緒にした有機相をNa2SO4上で乾燥し、過し
蒸発させる。残渣を、塩化メチレン/15%メタノ
ールを溶出液としてシリカゲル(0.063〜0.2mm)
150g上クロマトグラフにより精製し、溶離した
液は25mlづつの留分にして集める。標題化合物を
画分25乃至90から純粋な形で回収する。〔α〕20 D=
−156°、c=0.96(CHCl3中)。 (1d) “(D)−Ser(O−tBu) −cyclosporin” 実施例(1c)の生成物250mgを、塩化カルシウ
ム管を取付けた50mlフラスコ中、塩化メチレン10
mlに溶解する。CH2Cl21mlに溶解したN−メチル
モルフオリン70.4mg(0.077ml)を加え、次いで
CH2Cl21mlに溶解したプロパンフオスフオン酸無
水物49.4mgを加える。反応混合物を22℃で21時間
撹拌する。得られた溶液を塩化メチレン200mlに
て稀釈し、分液漏斗中にて重炭酸ソーダ溶液100
mlと共に振盪する。水溶液を再度塩化メチレン
100mlにて抽出し、有機相をNa2SO4上にて乾燥
し、過し、溶媒を蒸発させる。残渣を、塩化メ
チレン/5%メタノールを溶出液としてシリカゲ
ル(0.063〜0.2mm)150g上クロマトグラフによ
り精製し、溶離した液を25mlづつの留分にして集
める。標題化合物を留分13乃至14から純粋な形で
回収する。〔α〕20 D=−203°、c=0.95(CHCl3中)
。 (1e) “(D)−Ser −cyclosporin” 実施例(1d)の生成物345mgを三弗化酢酸2ml
に溶解し、0℃で6時間放置する。反応混合物を
塩化メチレン150mlにて稀釈し、分液漏斗中氷/
重炭酸ソーダ溶液100mlと共に振盪する。アルカ
リ生水相を分離し、塩化メチレン200mlで再抽出
する。塩化メチレン抽出液を一緒にしてNa2SO4
上で乾燥し、過し、溶媒を真空下で完全に蒸発
させる。残渣を、塩化メチレン/5%メタノール
を溶出液としてシリカゲル(0.063〜0.2mm)250
g上クロマトグラフにより精製し、溶離した液を
25mlづつの留分にして集める。表題化合物を留分
42乃至52から純粋な形で回収する。Rf〔クロロフ
オルム/アセトン(1:1)〕=0.39。 実施例 2 “(D)−Ser −ジヒドロシクロスポリンの全合
成 標題化合物を、実施例(1a)のフローチヤー
トの1−位にある−MeC9−の代りに−MeDHC9
−を用いる以外は実施例1と同じようにして製造
する。合成の最後の3工程における生成物は次に
示す如き特性を持つ。 (a) Boc−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−MeLeu
−MeVal−MeDHC9−Abu−Sar−MeLeu−
Val−MeLeu−Ala−OH:〔α〕20 D=−153°、c
=0.85(クロロフオルム中)。 (b) H−(D)−Ser(O−tBu)−MeLeu−MeLeu−
MeVal−MeDHC9−Abu−Sar−MeLeu−Val
−MeLeu−Ala−OH:〔α〕20 D=−154.8°、c=
0.92(MeOH中)。 (c) “(D)−Ser(O−tBu) −
dihydrocyclosporin”:〔α〕20 D=−205°、c=
1.03(CHCl3中)。 (d) “(D)−Ser −dihydrocyclosporin”:〔α〕20 D
=−241°、c=1.0(CHCl3中)。 実施例 3 “(D)−Ser −ジシクロスポリンの微生物学的
製造 (3a) 1リツトル当り、グルコース50g、(D)−セ
リン8g、K2HDO40.75g、MgSO4・7H2O0.5
g、CaCl2・6H2O0.1gおよびリンゴ酸アンモ
ニウム8gを含む栄養培地10リツトルに、予備
培養から得られた菌株NRRL 8044の分生胞子
と菌糸体の懸濁液1リツトルを接種する。接種
培地を100個のエーレンマイヤーフラスコに100
mlづつ満たし、次いで27℃で14日間、回転速度
180rpmの撹拌機で培養する。菌糸体を培養地
から分離し、Turrax装置を用い、90%メタノ
ール4.5リツトルにて粉砕撹拌を2回実施して
抽出する。粉砕した菌糸体を吸引過して溶媒
から分離し、再度前述した如く90%メタノール
で2回処理する。液を合し、真空下温度40℃
にて、蒸気が主として水だけからなる迄蒸発濃
縮する。得られる混合物を食塩にて飽和し、毎
回3リツトルの酢酸エチルにて3回抽出し、次
いで差酸エチル溶液を合し、硫酸ソーダ上にて
乾燥し、真空下温度40℃にて蒸発濃縮する。得
られる残渣を、クロロフオルム/2%メタノー
ルを溶出液としてシリカゲル(“メルク”製シ
リカゲル、粒度0.04〜0.063mm)440g上クロマ
トグラフにかけ、300mlづつの画分にして集め
る。画分41乃至53を合し、真空下で蒸発させ、
次いで残渣(242mg)をメタノール1mlに溶解
し、水(39%)/メタノール(5%)/アセト
ニトリル(56%)を溶離液として、高圧クロマ
トグラフ用カラム(RP8、直径8mm、長さ25
cm、温度70℃、流速10ml/min、圧力160気圧)
にて125μづつクロマトグラフにかけ純粋な
“(D)−Ser −シクロスポリン”77mgを得る。
Rf〔クロロフオルム/アセトン(1:1)〕=
0.39。NMR分光によつて実施例(1e)の生成
物と同一であることが確認される。 (3b) 上記方法のための予備培養菌は次の如く製
造する。 接種用に使用する胞子と菌糸体の懸濁液を始
めに単離した菌株NRRL 8044の培養から作
り、脱鉱物水1リツトル当り麦芽エキス20g、
寒天20gおよび酵母エキス4gを含む寒天培地
上、27℃21日間培養する。この培養菌の胞子を
生理的食塩溶液中に取り、最終濃度が5×106
胞子/mlになるようにする。この懸濁液10ml
を、(D)−セリン成分は例外として、実施例
(3a)の培養地と同じ組成を持つ栄養溶液1リ
ツトルの接種に用い、培養を27℃で3日間回転
式振盪器(200r.p.m)で実施する。発酵溶液を
最終培養用の接種培地として使用する。 実施例 4 “Allylgly −シクロスポリンの微生物学的製
造 1リツトル当りグルコース50g、(D、L)−ア
リルグリシン8g、K2HPO40.75g、MgSO4・
7H2O0.5g、CaCl2・6H2O0.1gおよびリンゴ酸
アンモニウム8gを含む栄養培地に、菌株
NRRL 8044(実施例3に記載の方法で製造した)
の予備培養菌500mlを接種する。接種培地を50個
のエ−レンマイヤ−フラスコに100mlづつ満たし、
次いで27℃で14日間、回転速度180r.p.m.の撹拌
器で培養する。菌糸体ろ培養地から分離し、
Turrax装置を用い、90%メタノール4.5リツトル
にて粉砕撹拌を2回実施して抽出する。粉砕した
菌糸体を吸引過して溶媒から分離し、再度前述
した如く90%メタノールで2回処理する。液を
合し、真空下温度40℃にて、蒸気が主として水だ
けからなる迄蒸発濃縮する。得られる混合物を食
塩にて飽和し、毎回3リツトルの酢酸エチルにて
3回抽出し、次いで酢酸エチル溶液を合し、硫酸
ソーダ上にて乾燥し、真空下温度40℃にて蒸発濃
縮する。 得られる残渣を、クロロフオルム/2%メタノ
ールを溶出液としてシリカゲル(“メルク”製シ
リカゲル、粒度0.04〜0.063mm)320g上クロマト
グラフにかけ、0.5〜1.0リツトルづゝの画分にし
て集める。画分9と10を合し、真空下蒸発させて
油状残渣2.9gを得る。残渣を、クロロフオル
ム/1〜2%メタノールを溶出液として、シリカ
ゲル240g上クロマトグラフにかけ、20mlづつの
画分にして集める、画分257乃至261を合し、真空
下蒸発濃縮して準純粋の“Allylgly −シクロス
ポリン”460mgからなる残渣を得る。この残渣を
メタノール1mlに溶解し、水(35%)/メタノー
ル(15%)/アセトニトリル(50%)を溶出液と
して、高圧クロマトグラフ用カラム(RP8、直径
8mm、長さ25cm、温度70℃、流速10ml/min、圧
力160気圧)中を125μづつ通過させて濃縮
“Allylgly −シクロスポリン”191mgを得る。最
後のクロマトグラフの工程を繰返して純粋の形の
“Allylgly −シクロスポリン”87mgを得る。 Rf〔ガラス上シリカゲル、クロロフオルム/アセ
トン(1:1)〕=0.69 〔ガラス上シリカゲル、クロロフオルム/メタ
ノール(9:1)〕=0.66 本発明に従うシクロスポリンは、例えば次の標
準試験にて示される如く、有用な薬理的、特に免
疫抑制活性と抗炎症活性を示す。 1 免疫抑制活性 1.1 ゲル中試験管内局所溶血現象〔R.I.Mishell
およびR.W.Dutton、J.Exp.Medicine、126、
423−442(1967)〕。 本発明に従うシクロスポリンは、濃度0.1
乃至10.0μg/mlで未処理対照と比較して溶
血阻止帯を示す。 1.2 JanossyとGreavesに従うリンパ球刺激試験
〔Clin.Exp.Immunol.、9、483、(1971)お
よび10、525(1972)〕: 本発明に従うシクロスポリンは、濃度0.3
乃至3.0μg/mlで未処理対照と比較してコン
カナバリンA刺激によるRNA−合成(H3−
サイミジン同化の抑制)、細胞増殖およびマ
ウス脾リンパ球内胚子発生を抑制する。 2 抗炎症活性 抗炎症活性は、適当量の投与で、ラツトにおけ
るフロインド補助液関節炎潜伏期試験およびラツ
トにおけるフロインド補助液関節炎−治療試験に
て示すことができる。 その免疫抑制活性の点から見て、本発明に従う
シクロスポリンは、免疫応答の減少を必要とする
病気や状態の予防および治療に使用するのが望ま
しい。従つて、本発明のシクロスポリンは、例え
ば自己免疫病気の治療あるいは移植、例えば皮
膚、骨髄および腎臓移植の拒絶防止に際してリン
パ球や免疫細胞の増殖を抑制するのに使用でき
る。 その抗炎症活性の点から見て、本発明に従うシ
クロスポリンは、炎症状態例えば関節炎や、慢性
進行性多発関節炎(polyarthritis chronica
progrediente)の如きリユーマチ性病気の治療に
使用することが望ましい。 本発明による新規シクロスポリンの毒性水準
は、一般に、天然源から得られ市販されている公
知シクロスポリンの毒性とほぼ同じか僅かに少な
い程度である。 前述の事項に従い、本発明は他の見地から、医
薬として用いるための、すなわち治療を用いるた
めの、そして特に前述した如き治療や予防法にお
いて用いるための前述した如き、式で表わされ
るシクロスポリンを提供する。 前述した用途、特に免疫抑制用としての用途に
は、必要な1日当りの投与量は約50〜900mg、例
えば約75〜600mg、好ましくは約200〜400mgの範
囲内にあり、また経口投与に適した剤型は固体状
あるいは液状の医薬用稀釈剤あるいは担体と混合
した約25〜300mgのシクロスポリンからなる。 本発明に従う好ましいシクロスポリン、すなわ
ち“Allylgly −シクロスポリン”と“(D)−Ser
−シクロスポリン”について、上記1.1乃至1.3
の試験で得られた結果を次に示す。
【表】
全述の事項に従い、本発明はまた、前述した如
きシクロスポリン、特に式で表わされるシクロ
スポリンと医薬的に受入れ可能な稀釈剤あるいは
担体とからなる医薬組成物をも提供する。 本発明に従う好ましい医薬組成物は、単環状ペ
プチドとして本発明に従うシクロスポリンを用
い、既知の方法、例えば特開昭54−132223号の技
術に従つて作ることができる。 その概要を示すと次の通りである。 本発明による好ましい製剤は、例えば有効成分
としての薬理学的に活性なシクロスポリンと、下
記成分 (a) 天然植物油トリグリセリドとポリアルキレン
ポリオールのエステル交換生成物、 (b) エタノールおよび (c) 植物油 を含む担体からなる医薬組成物である。 成分(a)は常法の方法、たとえば米国特許明細書
第3288824号に開示されたように製造することが
できる。このエステルはコーン油、アーモンド
油、落花生油、オリーブ油および/またはパーム
油のような天然油2モル部分と分子量200〜800の
ポリエチレングリコール1モル部のエステル交換
生成物であつてもよい。このようなエステルはフ
ランス国、ブーローニユ・シユル・セーヌ、エタ
ブリスマン・ガツトホツセから商品名ラブラフイ
ル(LABRAFIL)〔フイーダー(Fieder)、レキ
シコン・デル・ヒルフストツフエ(Lexicon der
Hilfstoffe)320頁、1971年参照〕で市販され入
手しうる。好ましいエステルは、不飽和天然油に
由来するもの、たとえばトリグリセリドオレエー
トポリエチレン混合物であるラブラフイル
M1944CSである。(ラブラフイルは商標である。〕 上記の組成物はまた、例えば(d)飽和脂肪酸トリ
グリセリドのような別の成分を1種またはそれ以
上含むことができる。このような成分(d)は常法の
方法で、たとえば炭素数8〜12の鎖長を有する脂
肪酸を用いて得ることができる。一般にこれらの
グリセリドは2以下の沃素価を有している。この
ようなグリセリドの例としては、西ドイツ国ビツ
テン/ルール、デイナミツト・ノーベルからの商
品名ミグリオール(MIGLYOL)、特にミグリオ
ール(MIGLYOL)812、または西ドイツ国デユ
ツセルドルフ、ヘンケルからの商品名ミリトール
(MIRITOL)318として市販され入手しうるもの
が挙げられる。(ミグリオールおよびミリトール
は商標である。) 本発明による医薬組成物中に存在する成分の好
ましい全濃度ならびに個々の成分の重量比は、な
かんずく、用いる個々の成分により、特にその溶
媒/可溶化効果、用いる個々のシクロスポリン、
最終組成物に望まれるシクロスポリンの濃度およ
び存在する他の医薬用賦形剤の溶媒/可溶化効果
により異なる。一般に好ましい成分(a)〔および、
存在するなら(d)〕対ペプチドの重量比は、全成分
10部対ペプチド0.2〜10部であり、または好まし
くはペプチド1〜10重量部、好適にはペプチド1
〜7重量部である。 成分(a)および(d)が共に存在する場合は、成分(a)
対成分(b)の重量比は、たとえば1:1〜1:2で
あつてよい。 本発明の医薬組成物は薬理学的に活性なシクロ
スポリンを、前に定義した成分(a)、(b)および(c)
〔並びに所望による他の成分例えば(d)〕からなる
液体担体と混合することにより製造することがで
きる。成分の1つが固体である場合は、約70℃ま
での温度を用いて、その中に有効成分を溶解し得
る液体溶融物を製造し得る。組成物を冷却し、次
いでたとえば粉砕することができる。 本発明の医薬組成物は、所望により薬用賦形剤
と共に、常法の方法で経口または非経口投与に適
した形に製剤することができる。これらは液体形
であるのが好ましい。 好ましい組成物は次のものである。 (a) ドリンク溶液、たとえば実施例1、 (b) ドリンク乳剤、 (c) 注射液、 (d) カプセルに充填された溶液。 成分(b)および(c)は、合わせて全組成物の60%迄
の濃度で存在することができる。成分(b)であるエ
タノールの含量は、たとえば全組成物で計算した
非経口組成物には2〜5%、経口組成物には1〜
20%であつてよい。成分(c)であるオリーブ油また
はコーン油のような植物油の経口および非経口組
成物の両者における含量は、たとえば組成物の総
重量に対して35−60重量%である。 製剤の一例としてドリンク溶液の製造を示すと
次の通りである。 シクロスポリン200mgを撹拌しながらラブラフ
イルM1944CSとエタノールの混合物(重量40:
15)1mlに25℃で溶解する。オリーブ油またはコ
ーン油0.4mlを加える。得られる混合物を濾過し、
小さいバイアルに充填する。 最終溶液は、ラブラフイル10重量部に、シクロ
スポリン3重量部、エタノール3重量部およびオ
リーブ油またはコーン油5重量部を含有する。
きシクロスポリン、特に式で表わされるシクロ
スポリンと医薬的に受入れ可能な稀釈剤あるいは
担体とからなる医薬組成物をも提供する。 本発明に従う好ましい医薬組成物は、単環状ペ
プチドとして本発明に従うシクロスポリンを用
い、既知の方法、例えば特開昭54−132223号の技
術に従つて作ることができる。 その概要を示すと次の通りである。 本発明による好ましい製剤は、例えば有効成分
としての薬理学的に活性なシクロスポリンと、下
記成分 (a) 天然植物油トリグリセリドとポリアルキレン
ポリオールのエステル交換生成物、 (b) エタノールおよび (c) 植物油 を含む担体からなる医薬組成物である。 成分(a)は常法の方法、たとえば米国特許明細書
第3288824号に開示されたように製造することが
できる。このエステルはコーン油、アーモンド
油、落花生油、オリーブ油および/またはパーム
油のような天然油2モル部分と分子量200〜800の
ポリエチレングリコール1モル部のエステル交換
生成物であつてもよい。このようなエステルはフ
ランス国、ブーローニユ・シユル・セーヌ、エタ
ブリスマン・ガツトホツセから商品名ラブラフイ
ル(LABRAFIL)〔フイーダー(Fieder)、レキ
シコン・デル・ヒルフストツフエ(Lexicon der
Hilfstoffe)320頁、1971年参照〕で市販され入
手しうる。好ましいエステルは、不飽和天然油に
由来するもの、たとえばトリグリセリドオレエー
トポリエチレン混合物であるラブラフイル
M1944CSである。(ラブラフイルは商標である。〕 上記の組成物はまた、例えば(d)飽和脂肪酸トリ
グリセリドのような別の成分を1種またはそれ以
上含むことができる。このような成分(d)は常法の
方法で、たとえば炭素数8〜12の鎖長を有する脂
肪酸を用いて得ることができる。一般にこれらの
グリセリドは2以下の沃素価を有している。この
ようなグリセリドの例としては、西ドイツ国ビツ
テン/ルール、デイナミツト・ノーベルからの商
品名ミグリオール(MIGLYOL)、特にミグリオ
ール(MIGLYOL)812、または西ドイツ国デユ
ツセルドルフ、ヘンケルからの商品名ミリトール
(MIRITOL)318として市販され入手しうるもの
が挙げられる。(ミグリオールおよびミリトール
は商標である。) 本発明による医薬組成物中に存在する成分の好
ましい全濃度ならびに個々の成分の重量比は、な
かんずく、用いる個々の成分により、特にその溶
媒/可溶化効果、用いる個々のシクロスポリン、
最終組成物に望まれるシクロスポリンの濃度およ
び存在する他の医薬用賦形剤の溶媒/可溶化効果
により異なる。一般に好ましい成分(a)〔および、
存在するなら(d)〕対ペプチドの重量比は、全成分
10部対ペプチド0.2〜10部であり、または好まし
くはペプチド1〜10重量部、好適にはペプチド1
〜7重量部である。 成分(a)および(d)が共に存在する場合は、成分(a)
対成分(b)の重量比は、たとえば1:1〜1:2で
あつてよい。 本発明の医薬組成物は薬理学的に活性なシクロ
スポリンを、前に定義した成分(a)、(b)および(c)
〔並びに所望による他の成分例えば(d)〕からなる
液体担体と混合することにより製造することがで
きる。成分の1つが固体である場合は、約70℃ま
での温度を用いて、その中に有効成分を溶解し得
る液体溶融物を製造し得る。組成物を冷却し、次
いでたとえば粉砕することができる。 本発明の医薬組成物は、所望により薬用賦形剤
と共に、常法の方法で経口または非経口投与に適
した形に製剤することができる。これらは液体形
であるのが好ましい。 好ましい組成物は次のものである。 (a) ドリンク溶液、たとえば実施例1、 (b) ドリンク乳剤、 (c) 注射液、 (d) カプセルに充填された溶液。 成分(b)および(c)は、合わせて全組成物の60%迄
の濃度で存在することができる。成分(b)であるエ
タノールの含量は、たとえば全組成物で計算した
非経口組成物には2〜5%、経口組成物には1〜
20%であつてよい。成分(c)であるオリーブ油また
はコーン油のような植物油の経口および非経口組
成物の両者における含量は、たとえば組成物の総
重量に対して35−60重量%である。 製剤の一例としてドリンク溶液の製造を示すと
次の通りである。 シクロスポリン200mgを撹拌しながらラブラフ
イルM1944CSとエタノールの混合物(重量40:
15)1mlに25℃で溶解する。オリーブ油またはコ
ーン油0.4mlを加える。得られる混合物を濾過し、
小さいバイアルに充填する。 最終溶液は、ラブラフイル10重量部に、シクロ
スポリン3重量部、エタノール3重量部およびオ
リーブ油またはコーン油5重量部を含有する。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 式で表わされるシクロスポリン。 〔式中、Z1はアリルあるいはエチル、Z2はヒドロ
キシメチル、あるいはZ1がアリルの場合はメチル
であり、−X−Y−は−CH=CH−(トランス)
あるいは−CH2−CH2−である。〕 2 “(D)−Ser −シクロスポリン”である特許
請求の範囲第1項記載のシクロスポリン。 3 “(D)−Ser −ジヒドロシクロスポリン”で
ある特許請求の範囲第1項記載のシクロスポリ
ン。 4 “Allylgly −シクロスポリン”である特許
請求の範囲第1項記載のシクロスポリン。 5 有効成分として式で表わされるシクロスポ
リンを含む免疫抑制剤。 〔式中、Z1はアリルあるいはエチル、Z2はヒドロ
キシメチル、あるいはZ1がアリルの場合はメチル
であり、−X−Y−は−CH=CH−(トランス)
あるいは−CH2−CH2−である。〕
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
GB8100566 | 1981-01-09 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57140753A JPS57140753A (en) | 1982-08-31 |
JPH0338280B2 true JPH0338280B2 (ja) | 1991-06-10 |
Family
ID=10518881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP57002187A Granted JPS57140753A (en) | 1981-01-09 | 1982-01-08 | Novel cyclosporine |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57140753A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH667274A5 (de) * | 1984-03-23 | 1988-09-30 | Sandoz Ag | Cyclosporine, ihre herstellung und diese enthaltende pharmazeutische zusammensetzungen. |
EP1603512A2 (en) * | 2003-03-17 | 2005-12-14 | Albany Molecular Research, Inc. | Novel cyclosporins |
US7361636B2 (en) * | 2004-10-06 | 2008-04-22 | Amr Technology, Inc. | Cyclosporin alkynes and their utility as pharmaceutical agents |
-
1982
- 1982-01-08 JP JP57002187A patent/JPS57140753A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57140753A (en) | 1982-08-31 |
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