JPH033747B2 - - Google Patents
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- JPH033747B2 JPH033747B2 JP19279285A JP19279285A JPH033747B2 JP H033747 B2 JPH033747 B2 JP H033747B2 JP 19279285 A JP19279285 A JP 19279285A JP 19279285 A JP19279285 A JP 19279285A JP H033747 B2 JPH033747 B2 JP H033747B2
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(産業上の利用分野)
本発明は、高純度炭酸リチウムの製造方法に関
するものである。 さらに詳しくは、粗炭酸リチウムを原料とし
て、特にケイ素及び陰イオン不純物の極めて少い
高純度炭酸リチウムを製造する方法に関するもの
である。 高純度炭酸リチウムは、近年TV,VTR等に
用いられる表面弾性波素子、光変調器、光スイツ
チ及び光導波路等のオプトエレクトロニクス素子
の構成部材であるタンタル酸リチウム、ニオブ酸
リチウム等の強誘電体単結晶あるいは薄膜の原料
として成長の著しいものである。 しかるに斯かる目的に供される炭酸リチウム
は、一般的な工業用あるいは試薬用グレードの炭
酸リチウムに比較しはるかに高純度である事が必
要であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷
移元素等の陽イオン不純物の含有量が少いことは
勿論、特にケイ素並びにフツ素塩素、硫酸根、硝
酸根等の陰イオン不純物の含有量も少ない事が要
求されている。 本発明は、表面弾性波素子、特に結晶のゆらぎ
すら問題とされるオプトエレクトロニクス素子製
造に好適なケイ素、陰イオン不純物含有量の極め
て少い高純度炭酸リチウムの製造方法を提供する
ものである。 (従来の技術) 従来、粗リチウム化合物、一般には粗炭酸リチ
ウムより高純度の炭酸リチウムを得る方法として
再結晶法、再沈澱法、イオン交換処理法、隔膜電
解法等が知られている。再結晶法は粗炭酸リチウ
ムを水に飽和濃度に溶解し、加熱、減圧等の操作
により水分を除去し炭酸リチウムを析出すること
により粗炭酸リチウム中の不純物を除去し高純度
炭酸リチウムを得るものである。また特開昭57−
95827号公報には粗炭酸リチウムをギ酸と反応さ
せギ酸リチウムを生成せしめ、ギ酸リチウムの溶
解、再結晶を繰り返すことにより精製し、精製ギ
酸リチウムにアンモニア性塩基下で二酸化炭素で
処理し高純度炭酸リチウムを得る方法が開示され
ている。しかしながらこれらの再結晶法では、溶
液中に小量コロイダルシリカあるいはケイ酸塩の
形で存在するケイ素は溶解・ろ過で除去できず、
また溶解性が小さい為炭酸リチウム再結晶時に炭
酸リチウムと共析し易すく、ケイ素不純物含量を
5ppm程度以下にできないという欠点がある。さ
らにこれ等の方法は結晶化、溶解、結晶化の繰り
返し操作が必要であるため、多大の蒸気と熱量を
要し、又操作も煩雑でありコストも比較的高くな
る等の欠点を有している。 一方、再沈澱法としては、粗炭酸リチウムと石
灰乳とを反応させ水酸化リチウムを生成し、不純
物を炭酸塩として炭酸カルシウム沈澱とともに除
去し、ついで精製水酸化リチウムと二酸化炭素を
反応させ高純度炭酸リチウムを得る方法が知られ
ている(米国特許第4207297号公報)。 しかしながら、この方法では高純度の石灰乳が
必要であり、工業用あるいは試薬用の生石灰、水
酸化カルシウムには種々の不純物、特に数10ppm
(以後ppm、%はすべて重量基準である。)から数
100ppmのケイ素が含有されているのが通常で、
精製炭酸リチウムに10数ppmから数10ppmのケイ
素の汚染・混入が避けられないという難点を有し
ている。また、イオン交換処理法は、塩化アルカ
リ水溶液を陽イオン交換樹脂あるいはキレート樹
脂と通液、接触させ塩化アルカリ水溶液中のカル
シウム、マグネシウム、鉄等の多価金属陽イオン
を吸着除去し精製する方法であり、一般的にはイ
オン交換膜電解に供する塩水の前処理として良く
知られている(例えば、特開昭56−69220号公報、
特開昭55−113614号公報、特開昭54−2998号公報
等)。 しかしながら、これらの方法は塩化アルカリ水
溶液中の多価陽イオンの吸着・除去には有効であ
るが良く知られているように明確な陽イオン性を
示さないコロイダルシリカ、ケイ酸塩等のケイ素
不純分を除去することは全くといつて良いほど不
十分であり、また塩素、硫酸根、硝酸根等の陰イ
オン不純物を除去することは不可能なものとされ
ている。 そこで、特開昭54−43174号公報には炭酸リチ
ウムと硫酸を反応せしめて硫酸リチウムを得、こ
れを隔膜法により電解せしめることにより、陰極
側に高純度水酸化リチウムを、陽極側に硫酸を生
成せしめ、硫酸を循環使用する方法が提案されて
いる。 しかしながら、この方法でも難水溶性である炭
酸リチウムの溶解に硫酸等の鉱酸を用いるため陽
極液中には大量の硫酸陰イオンが存在し、たとえ
カチオン透過性の高い陽イオン交換膜を用いても
水酸化リチウム水溶液中への多量の硫酸陰イオン
の混入、さらには該水酸化リチウム水溶液を原料
として製造した炭酸リチウムの陰イオンによる汚
染はさけられない。 さらに陽極側の液性は腐食性の強い高濃度硫酸
性水溶液となるため電解槽および装置に高価は耐
食性部材を必要とし経済性に劣るという欠点を有
し、未だ不満足なものであつた。 (発明が解決しようとする問題点) 斯かる現状において、本発明者等が解決しよう
とする問題点、即ち本発明の目的は、粗炭酸リチ
ウムから電子工業、オプトエレクトロニクス分野
に好適なケイ素及び塩素、硫酸根、硝酸根等の陰
イオン不純物含有量の極めて少ない高純度炭酸リ
チウムの新規な製造方法を提供することにある。 (問題点を解決する為の手段) 本発明は、難水溶性炭酸リチウムを不純物陰イ
オンの汚染原因となる硫酸、塩酸等の鉱酸を用い
ることなく、炭酸リチウムスラリーと二酸化炭素
とを反応せしめ、炭酸リチウムを水溶性炭酸水素
リチウムにし溶解させ、ついで陽イオン交換膜で
仕切られた陽極液室、陰極液室の2室よりなる電
解槽を用い、陽極液室に該炭酸水素リチウム水溶
液を循環し、一方陰極液室には水酸化リチウム水
溶液を循環し、炭酸水素リチウムを電解すること
により陰極液室に水酸化リチウムを生成せしめ、
ついで該水酸化リチウム水溶液を必要により多価
金属イオンを除去したのち、二酸化炭素と反応さ
せ炭酸リチウム粉末を析出せしめることにより前
記目的を達成するものである。 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明において使用する原料は、工業用あるい
は試薬用グレードの低純度炭酸リチウムあるいは
スポジユメン、レピドライト等の鉱石を一次処理
した不純物含有粗炭酸リチウム等が好適である。
炭酸リチウムは25℃、80℃の水に対する溶解度が
それぞれ1.28%、0.84%と小さい難水溶性無機化
合物であり、炭酸リチウム水溶液のままで精製処
理することは装置スケール当りの生産性が低く実
際的でない。本発明においては、撹拌機、ガス吹
きこみ管を有する耐圧反応槽を用い粗炭酸リチウ
ムを水中にスラリー状に分散させ、十分撹拌混合
しながら二酸化炭素を吹き込む炭酸リチウムと反
応させ、炭酸水素リチウムを生成せしめ炭酸リチ
ウムを水に溶解させることが好適である。炭酸水
素リチウムの水溶液中の濃度は低温かつ二酸化炭
素圧力が高いほど大きくなるが、常温、二酸化炭
素1気圧の条件下で約10%の濃度までも溶解し、
炭酸リチウムよりはるかに水に可溶性である。本
発明の溶解方法は有機酸、鉱酸、石灰乳等を用い
ず、比較的純度をあげることの容易な二酸化炭素
ガスを用い、また炭酸水素陰イオンは鉱酸等の陰
イオンと異なり容易に炭酸陰イオンに変換できる
ものであるため、従来の溶解方法に比較しはるか
にケイ素、陰イオン等の不純物汚染の少い非汚染
溶解法である。本発明の方法での溶解炭酸水素リ
チウム水溶液の濃度は室温での炭酸水素リチウム
の安定性により10%以下より好ましくは8.5%以
下である。 ついで得られた炭酸水素リチウム水溶液をフイ
ルターろ過等により不溶解性フミン質、炭酸塩等
を分離除去したのち、イオン交換膜電解に供す
る。 本発明の方法で炭酸水素リチウム水溶液を電解
し、水酸化リチウムを生成せしめる装置は電解
槽、直流発生電源、付属循環系等からなるもので
ある。循環系は通常の装置、すなわちパイプ、ポ
ンプ、貯蔵用タンク、弁、冷却器及び発生ガス分
離器等より構成される。 電解槽は、陽イオン交換膜を仕切られた陽極液
室、陰極液室の2室よりなり、陽極液室には陽
極、陰極液室には陰極がある所謂2室法を用い、
セル数は1セルでも複数のセルよりなる多セル型
でもさしつかえない。 陽極液室、陰極液室はそれぞれ独立した液循環
系を有する。電解槽に用いる陽イオン交換膜はポ
リスチレン−ジビニルベンゼン共重合体母体ある
いはフツ素系重合体母体に、スルホン酸基、カル
ボキシル基、燐酸基、フエノール性水酸基等の陽
イオン交換基を含有するものが好適に用いられ
る。陽極としては、例えばチタンやタンタル等の
耐食性芯材に白金やルテニウムをメツキした耐食
性電極を使用し、陰極としては例えばニツケル、
ステンレス等の電極が使用できる。 炭酸水素リチウムの電解は、陽極液室へ炭酸水
素リチウム水溶液を循環し、陰極液室には水ある
いは希薄水酸化リチウム水溶液を循環しながら陽
極、陰極間に直流電流を流すことにより行われ
る。陽極液室の炭酸水素リチウムは電解されリチ
ウムイオンは陽イオン交換膜を通り陰極液室に移
動し陰極液室で(イ)の反応により水酸化リチウムと
なる。 (イ) Li++H2O+e-→LiOH+1/2H2↑ 一方、炭酸水素陰イオンは陽極液室で(ロ)の反応に
より二酸化炭素ガスと酸素ガスと水に分解され
る。 (ロ) HCO3 -→CO2+1/4O2+1/2H2O+e- 本発明においては電解に際し、原料炭酸リチウ
ム中に不純物として存在する塩素、硫酸根、硝酸
根、燐酸根等の陰イオンは比較的わずかでありま
たマイナスの電価を有するため陽極にひかれ、さ
らに陽イオン交換膜を通過できず陽極液室中に残
るため、陰極液室には陰イオン不純物のほとんど
ない高純度水酸化リチウムが得られる。また原料
炭酸リチウム中にコロイダルシリカあるいはケイ
酸塩の形で存在するケイ素不純物は炭酸水素リチ
ウム水溶液中でどのような形態で存在するか正確
には不明であるが、明確な陽イオン性を示さない
ためほとんど陽イオン交換膜を通過して陰極液室
に移動することがなく、陰極液室にはケイ素不純
物も実質的にない高純度水酸化リチウムが得られ
る。 また、本発明の方法は、PH7〜8.5の腐食性の
小さい炭酸水素リチウム水溶液をイオン交換膜電
解するものであり、また陽極液室で発生するガス
も毒性の小さい二酸化炭素ガスであるため、電解
時の装置の腐食、材質による汚染が小さく、また
特殊な廃ガス処理の必要のない利点を有してい
る。 電解槽中での、炭酸水素リチウム水溶液の濃度
は1〜8.5%が適当である。濃度が前記範囲より
低い場合には、定電流電解をするために非常に高
い電圧を必要とし実際的には電解不能となり、逆
に前記範囲を越える場合には電解中に炭酸水素リ
チウムの分解により生じる炭酸リチウムが一部陽
極液室内で析出する虞れがあるので好ましくな
い。 電解にともない、陰極液側には水酸化リチウム
が生成し水酸化リチウム濃度が増加する。水酸化
リチウム濃度が所定の値を保つように陰極液側へ
水を補給しつつ水酸化リチウム水溶液をとりだす
連続操作により、あるいは陰極液側に水あるいは
希薄水酸化リチウム水溶液を循環し所定の水酸化
リチウム濃度になつた後とりだす回分操作によつ
ても高純度水酸化リチウム水溶液を得ることがで
きる。とりだす水酸化リチウム水溶液濃度は2〜
10%より好ましくは4〜7%である。濃度が2%
より低い場合には水酸化リチウム水溶液より炭酸
リチウムを析出させる場合、晶析収率が低くな
り、逆に10%を越える場合には陰極液室より陽極
液室への水酸基の拡散が大きくなり電解時の電流
効率が悪化する。電解開始時の陰極液室の液性は
上述のように水でもよいが開始時の電解電圧を低
くするため0.1%以上の希薄水酸化リチウム水溶
液の方が好ましい。 電解時における電解電圧は3〜15V、電流密度
1〜50A/dm2程度が適当である。又、電解時に
おける陽極液室、陰極液室を循環する溶液の温度
は40℃以下より好ましくは30℃以下にする必要が
ある。液温が長時間40℃を越えて運転すると陽極
液室での重炭酸水素リチウムの分解が徐々におこ
り、陽極液室内への炭酸リチウムが析出する為で
ある。 つぎに、電解により得られた水酸化リチウム水
溶液を公知の陽イオン交換樹脂、キレート樹脂を
充填したカラムに通液し、カルシウム、マグネシ
ウム、鉄等の多価金属陽イオン不純物を除去す
る。ついで撹拌機、ガス吹き込み口を備えた耐圧
晶析槽を用い、水酸化リチウム水溶液と二酸化炭
素ガスとを反応させ水酸化リチウムを炭酸リチウ
ムに変化させ析出させる。得られた炭酸リチウム
スラリーより炭酸リチウムを良く知られた分離手
段により分離回収し、洗浄、乾燥し精製炭酸リチ
ウムを得る。 本発明の方法によれば、不純物ケイ素の含有量
が1ppm以下、より典型的には0.5ppm以下であ
り、又塩素、硫酸根、硝酸根等の陰イオン不純物
の含有量がそれぞれ1ppm以下の実質的に該陰イ
オン不純物を含有しない高純度炭酸リチウムを得
ることができる。 (実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例 1 撹拌機、二酸化炭素ガス吹き込み管を備えた内
容積120の耐圧反応槽を用い、超純水80、不
純物として塩素530ppm、硫酸根1350ppm、硝酸
根50ppm、ケイ素30ppmを含有する粗炭酸リチウ
ム3.9Kgを仕込み、スラリー状に分散させた。 撹拌しながら二酸化炭素吹き込み管より反応槽
へ圧力3Kg/cm2の二酸化炭素ガスを流速6.5/
minで3.5時間連続的に吹きこみ、炭酸リチウム
と反応させた。反応中の反応応槽内圧力は0.3
Kg/cm2であり、吹きこみ終了時に圧力は2.5Kg/
cm2まで上昇した。反応後、炭酸リチウムはほぼ全
量溶解し、濃度8.4%の炭酸水素リチウム水溶液
が85得られた。 炭酸水素リチウム水溶液を0.2μmテフロンカー
トリツジフイルターで不溶解分をろ別し電解装置
の陽極液貯蔵タンクへ移送した。この操作により
ケイ素、陰イオン不純物の含有量の減少は認めら
れなかつた。 電解槽として、陽イオン交換膜で仕切られた陽
極液室、陰極液室の2室を有する2室型電解槽を
用いた。有効膜面積は10dm2であつた。 陽イオン交換膜はスルホン酸基を管能基としポ
リスチレンジビニルベンゼン共重合体を母体とす
るネオセプタC66−10F(徳山曹達社商品名)を用
い、陽極はチタンに白金メツキをした電極を、陰
極にはsus304を用いた。 陰極液貯蔵タンクへは0.1%水酸化リチウム水
溶液を30調整した。 陽極液室へ炭酸水素リチウム水溶液を循環し、
陰極液室へ水酸化リチウム水溶液を循環すると同
時に電流密度15A/dm2にて電解を開始した。電
解槽への循環量は各室の流速線速度が10cm/sec
以上で両液室の内圧がほぼ同等となるように選定
した。電解中の陽極液、陰極液の温度は冷却器に
より40℃以下になるようにした。 電解槽電圧7.1Vで23時間電解を行い、濃度4.9
%の水酸化リチウム水溶液39を得た。電流効率
は62%であつた。得られた水酸化リチウム水溶液
をイミノジ酢酸基を官能基とするキレート樹脂に
通液後、30晶析槽を用い水酸化リチウム水溶液
20と二酸化炭素と反応させ炭酸リチウムを晶析
した。炭酸リチウムを遠心分離機で分離し超純水
で洗浄し80℃真空乾燥機にて乾燥した。 晶析回収率は71.2%であつた。得られた炭酸リ
チウムを分析した結果、ケイ素0.4ppm、塩素、
硫酸根、硝酸根はそれぞれ1ppm以下であつた。 実施例 2,8 実施例1において、陽イオン交換膜としてスル
ホン酸基を有しフツ素系重合体母体とする膜(ナ
フイオン324:デユポン社商品名)、フツ素重合体
をを母体とし膜の一方の面にスルホン酸基を他の
面にカルボキシル基を有する膜(ナフイオン
901:デユポン社商品名)を用いる以外は実施例
1と同様にして粗炭酸リチウムの精製を行つた。
実験結果の電流効率、精製炭酸リチウム中の不純
物含有量を第1表に示す。
するものである。 さらに詳しくは、粗炭酸リチウムを原料とし
て、特にケイ素及び陰イオン不純物の極めて少い
高純度炭酸リチウムを製造する方法に関するもの
である。 高純度炭酸リチウムは、近年TV,VTR等に
用いられる表面弾性波素子、光変調器、光スイツ
チ及び光導波路等のオプトエレクトロニクス素子
の構成部材であるタンタル酸リチウム、ニオブ酸
リチウム等の強誘電体単結晶あるいは薄膜の原料
として成長の著しいものである。 しかるに斯かる目的に供される炭酸リチウム
は、一般的な工業用あるいは試薬用グレードの炭
酸リチウムに比較しはるかに高純度である事が必
要であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷
移元素等の陽イオン不純物の含有量が少いことは
勿論、特にケイ素並びにフツ素塩素、硫酸根、硝
酸根等の陰イオン不純物の含有量も少ない事が要
求されている。 本発明は、表面弾性波素子、特に結晶のゆらぎ
すら問題とされるオプトエレクトロニクス素子製
造に好適なケイ素、陰イオン不純物含有量の極め
て少い高純度炭酸リチウムの製造方法を提供する
ものである。 (従来の技術) 従来、粗リチウム化合物、一般には粗炭酸リチ
ウムより高純度の炭酸リチウムを得る方法として
再結晶法、再沈澱法、イオン交換処理法、隔膜電
解法等が知られている。再結晶法は粗炭酸リチウ
ムを水に飽和濃度に溶解し、加熱、減圧等の操作
により水分を除去し炭酸リチウムを析出すること
により粗炭酸リチウム中の不純物を除去し高純度
炭酸リチウムを得るものである。また特開昭57−
95827号公報には粗炭酸リチウムをギ酸と反応さ
せギ酸リチウムを生成せしめ、ギ酸リチウムの溶
解、再結晶を繰り返すことにより精製し、精製ギ
酸リチウムにアンモニア性塩基下で二酸化炭素で
処理し高純度炭酸リチウムを得る方法が開示され
ている。しかしながらこれらの再結晶法では、溶
液中に小量コロイダルシリカあるいはケイ酸塩の
形で存在するケイ素は溶解・ろ過で除去できず、
また溶解性が小さい為炭酸リチウム再結晶時に炭
酸リチウムと共析し易すく、ケイ素不純物含量を
5ppm程度以下にできないという欠点がある。さ
らにこれ等の方法は結晶化、溶解、結晶化の繰り
返し操作が必要であるため、多大の蒸気と熱量を
要し、又操作も煩雑でありコストも比較的高くな
る等の欠点を有している。 一方、再沈澱法としては、粗炭酸リチウムと石
灰乳とを反応させ水酸化リチウムを生成し、不純
物を炭酸塩として炭酸カルシウム沈澱とともに除
去し、ついで精製水酸化リチウムと二酸化炭素を
反応させ高純度炭酸リチウムを得る方法が知られ
ている(米国特許第4207297号公報)。 しかしながら、この方法では高純度の石灰乳が
必要であり、工業用あるいは試薬用の生石灰、水
酸化カルシウムには種々の不純物、特に数10ppm
(以後ppm、%はすべて重量基準である。)から数
100ppmのケイ素が含有されているのが通常で、
精製炭酸リチウムに10数ppmから数10ppmのケイ
素の汚染・混入が避けられないという難点を有し
ている。また、イオン交換処理法は、塩化アルカ
リ水溶液を陽イオン交換樹脂あるいはキレート樹
脂と通液、接触させ塩化アルカリ水溶液中のカル
シウム、マグネシウム、鉄等の多価金属陽イオン
を吸着除去し精製する方法であり、一般的にはイ
オン交換膜電解に供する塩水の前処理として良く
知られている(例えば、特開昭56−69220号公報、
特開昭55−113614号公報、特開昭54−2998号公報
等)。 しかしながら、これらの方法は塩化アルカリ水
溶液中の多価陽イオンの吸着・除去には有効であ
るが良く知られているように明確な陽イオン性を
示さないコロイダルシリカ、ケイ酸塩等のケイ素
不純分を除去することは全くといつて良いほど不
十分であり、また塩素、硫酸根、硝酸根等の陰イ
オン不純物を除去することは不可能なものとされ
ている。 そこで、特開昭54−43174号公報には炭酸リチ
ウムと硫酸を反応せしめて硫酸リチウムを得、こ
れを隔膜法により電解せしめることにより、陰極
側に高純度水酸化リチウムを、陽極側に硫酸を生
成せしめ、硫酸を循環使用する方法が提案されて
いる。 しかしながら、この方法でも難水溶性である炭
酸リチウムの溶解に硫酸等の鉱酸を用いるため陽
極液中には大量の硫酸陰イオンが存在し、たとえ
カチオン透過性の高い陽イオン交換膜を用いても
水酸化リチウム水溶液中への多量の硫酸陰イオン
の混入、さらには該水酸化リチウム水溶液を原料
として製造した炭酸リチウムの陰イオンによる汚
染はさけられない。 さらに陽極側の液性は腐食性の強い高濃度硫酸
性水溶液となるため電解槽および装置に高価は耐
食性部材を必要とし経済性に劣るという欠点を有
し、未だ不満足なものであつた。 (発明が解決しようとする問題点) 斯かる現状において、本発明者等が解決しよう
とする問題点、即ち本発明の目的は、粗炭酸リチ
ウムから電子工業、オプトエレクトロニクス分野
に好適なケイ素及び塩素、硫酸根、硝酸根等の陰
イオン不純物含有量の極めて少ない高純度炭酸リ
チウムの新規な製造方法を提供することにある。 (問題点を解決する為の手段) 本発明は、難水溶性炭酸リチウムを不純物陰イ
オンの汚染原因となる硫酸、塩酸等の鉱酸を用い
ることなく、炭酸リチウムスラリーと二酸化炭素
とを反応せしめ、炭酸リチウムを水溶性炭酸水素
リチウムにし溶解させ、ついで陽イオン交換膜で
仕切られた陽極液室、陰極液室の2室よりなる電
解槽を用い、陽極液室に該炭酸水素リチウム水溶
液を循環し、一方陰極液室には水酸化リチウム水
溶液を循環し、炭酸水素リチウムを電解すること
により陰極液室に水酸化リチウムを生成せしめ、
ついで該水酸化リチウム水溶液を必要により多価
金属イオンを除去したのち、二酸化炭素と反応さ
せ炭酸リチウム粉末を析出せしめることにより前
記目的を達成するものである。 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明において使用する原料は、工業用あるい
は試薬用グレードの低純度炭酸リチウムあるいは
スポジユメン、レピドライト等の鉱石を一次処理
した不純物含有粗炭酸リチウム等が好適である。
炭酸リチウムは25℃、80℃の水に対する溶解度が
それぞれ1.28%、0.84%と小さい難水溶性無機化
合物であり、炭酸リチウム水溶液のままで精製処
理することは装置スケール当りの生産性が低く実
際的でない。本発明においては、撹拌機、ガス吹
きこみ管を有する耐圧反応槽を用い粗炭酸リチウ
ムを水中にスラリー状に分散させ、十分撹拌混合
しながら二酸化炭素を吹き込む炭酸リチウムと反
応させ、炭酸水素リチウムを生成せしめ炭酸リチ
ウムを水に溶解させることが好適である。炭酸水
素リチウムの水溶液中の濃度は低温かつ二酸化炭
素圧力が高いほど大きくなるが、常温、二酸化炭
素1気圧の条件下で約10%の濃度までも溶解し、
炭酸リチウムよりはるかに水に可溶性である。本
発明の溶解方法は有機酸、鉱酸、石灰乳等を用い
ず、比較的純度をあげることの容易な二酸化炭素
ガスを用い、また炭酸水素陰イオンは鉱酸等の陰
イオンと異なり容易に炭酸陰イオンに変換できる
ものであるため、従来の溶解方法に比較しはるか
にケイ素、陰イオン等の不純物汚染の少い非汚染
溶解法である。本発明の方法での溶解炭酸水素リ
チウム水溶液の濃度は室温での炭酸水素リチウム
の安定性により10%以下より好ましくは8.5%以
下である。 ついで得られた炭酸水素リチウム水溶液をフイ
ルターろ過等により不溶解性フミン質、炭酸塩等
を分離除去したのち、イオン交換膜電解に供す
る。 本発明の方法で炭酸水素リチウム水溶液を電解
し、水酸化リチウムを生成せしめる装置は電解
槽、直流発生電源、付属循環系等からなるもので
ある。循環系は通常の装置、すなわちパイプ、ポ
ンプ、貯蔵用タンク、弁、冷却器及び発生ガス分
離器等より構成される。 電解槽は、陽イオン交換膜を仕切られた陽極液
室、陰極液室の2室よりなり、陽極液室には陽
極、陰極液室には陰極がある所謂2室法を用い、
セル数は1セルでも複数のセルよりなる多セル型
でもさしつかえない。 陽極液室、陰極液室はそれぞれ独立した液循環
系を有する。電解槽に用いる陽イオン交換膜はポ
リスチレン−ジビニルベンゼン共重合体母体ある
いはフツ素系重合体母体に、スルホン酸基、カル
ボキシル基、燐酸基、フエノール性水酸基等の陽
イオン交換基を含有するものが好適に用いられ
る。陽極としては、例えばチタンやタンタル等の
耐食性芯材に白金やルテニウムをメツキした耐食
性電極を使用し、陰極としては例えばニツケル、
ステンレス等の電極が使用できる。 炭酸水素リチウムの電解は、陽極液室へ炭酸水
素リチウム水溶液を循環し、陰極液室には水ある
いは希薄水酸化リチウム水溶液を循環しながら陽
極、陰極間に直流電流を流すことにより行われ
る。陽極液室の炭酸水素リチウムは電解されリチ
ウムイオンは陽イオン交換膜を通り陰極液室に移
動し陰極液室で(イ)の反応により水酸化リチウムと
なる。 (イ) Li++H2O+e-→LiOH+1/2H2↑ 一方、炭酸水素陰イオンは陽極液室で(ロ)の反応に
より二酸化炭素ガスと酸素ガスと水に分解され
る。 (ロ) HCO3 -→CO2+1/4O2+1/2H2O+e- 本発明においては電解に際し、原料炭酸リチウ
ム中に不純物として存在する塩素、硫酸根、硝酸
根、燐酸根等の陰イオンは比較的わずかでありま
たマイナスの電価を有するため陽極にひかれ、さ
らに陽イオン交換膜を通過できず陽極液室中に残
るため、陰極液室には陰イオン不純物のほとんど
ない高純度水酸化リチウムが得られる。また原料
炭酸リチウム中にコロイダルシリカあるいはケイ
酸塩の形で存在するケイ素不純物は炭酸水素リチ
ウム水溶液中でどのような形態で存在するか正確
には不明であるが、明確な陽イオン性を示さない
ためほとんど陽イオン交換膜を通過して陰極液室
に移動することがなく、陰極液室にはケイ素不純
物も実質的にない高純度水酸化リチウムが得られ
る。 また、本発明の方法は、PH7〜8.5の腐食性の
小さい炭酸水素リチウム水溶液をイオン交換膜電
解するものであり、また陽極液室で発生するガス
も毒性の小さい二酸化炭素ガスであるため、電解
時の装置の腐食、材質による汚染が小さく、また
特殊な廃ガス処理の必要のない利点を有してい
る。 電解槽中での、炭酸水素リチウム水溶液の濃度
は1〜8.5%が適当である。濃度が前記範囲より
低い場合には、定電流電解をするために非常に高
い電圧を必要とし実際的には電解不能となり、逆
に前記範囲を越える場合には電解中に炭酸水素リ
チウムの分解により生じる炭酸リチウムが一部陽
極液室内で析出する虞れがあるので好ましくな
い。 電解にともない、陰極液側には水酸化リチウム
が生成し水酸化リチウム濃度が増加する。水酸化
リチウム濃度が所定の値を保つように陰極液側へ
水を補給しつつ水酸化リチウム水溶液をとりだす
連続操作により、あるいは陰極液側に水あるいは
希薄水酸化リチウム水溶液を循環し所定の水酸化
リチウム濃度になつた後とりだす回分操作によつ
ても高純度水酸化リチウム水溶液を得ることがで
きる。とりだす水酸化リチウム水溶液濃度は2〜
10%より好ましくは4〜7%である。濃度が2%
より低い場合には水酸化リチウム水溶液より炭酸
リチウムを析出させる場合、晶析収率が低くな
り、逆に10%を越える場合には陰極液室より陽極
液室への水酸基の拡散が大きくなり電解時の電流
効率が悪化する。電解開始時の陰極液室の液性は
上述のように水でもよいが開始時の電解電圧を低
くするため0.1%以上の希薄水酸化リチウム水溶
液の方が好ましい。 電解時における電解電圧は3〜15V、電流密度
1〜50A/dm2程度が適当である。又、電解時に
おける陽極液室、陰極液室を循環する溶液の温度
は40℃以下より好ましくは30℃以下にする必要が
ある。液温が長時間40℃を越えて運転すると陽極
液室での重炭酸水素リチウムの分解が徐々におこ
り、陽極液室内への炭酸リチウムが析出する為で
ある。 つぎに、電解により得られた水酸化リチウム水
溶液を公知の陽イオン交換樹脂、キレート樹脂を
充填したカラムに通液し、カルシウム、マグネシ
ウム、鉄等の多価金属陽イオン不純物を除去す
る。ついで撹拌機、ガス吹き込み口を備えた耐圧
晶析槽を用い、水酸化リチウム水溶液と二酸化炭
素ガスとを反応させ水酸化リチウムを炭酸リチウ
ムに変化させ析出させる。得られた炭酸リチウム
スラリーより炭酸リチウムを良く知られた分離手
段により分離回収し、洗浄、乾燥し精製炭酸リチ
ウムを得る。 本発明の方法によれば、不純物ケイ素の含有量
が1ppm以下、より典型的には0.5ppm以下であ
り、又塩素、硫酸根、硝酸根等の陰イオン不純物
の含有量がそれぞれ1ppm以下の実質的に該陰イ
オン不純物を含有しない高純度炭酸リチウムを得
ることができる。 (実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例 1 撹拌機、二酸化炭素ガス吹き込み管を備えた内
容積120の耐圧反応槽を用い、超純水80、不
純物として塩素530ppm、硫酸根1350ppm、硝酸
根50ppm、ケイ素30ppmを含有する粗炭酸リチウ
ム3.9Kgを仕込み、スラリー状に分散させた。 撹拌しながら二酸化炭素吹き込み管より反応槽
へ圧力3Kg/cm2の二酸化炭素ガスを流速6.5/
minで3.5時間連続的に吹きこみ、炭酸リチウム
と反応させた。反応中の反応応槽内圧力は0.3
Kg/cm2であり、吹きこみ終了時に圧力は2.5Kg/
cm2まで上昇した。反応後、炭酸リチウムはほぼ全
量溶解し、濃度8.4%の炭酸水素リチウム水溶液
が85得られた。 炭酸水素リチウム水溶液を0.2μmテフロンカー
トリツジフイルターで不溶解分をろ別し電解装置
の陽極液貯蔵タンクへ移送した。この操作により
ケイ素、陰イオン不純物の含有量の減少は認めら
れなかつた。 電解槽として、陽イオン交換膜で仕切られた陽
極液室、陰極液室の2室を有する2室型電解槽を
用いた。有効膜面積は10dm2であつた。 陽イオン交換膜はスルホン酸基を管能基としポ
リスチレンジビニルベンゼン共重合体を母体とす
るネオセプタC66−10F(徳山曹達社商品名)を用
い、陽極はチタンに白金メツキをした電極を、陰
極にはsus304を用いた。 陰極液貯蔵タンクへは0.1%水酸化リチウム水
溶液を30調整した。 陽極液室へ炭酸水素リチウム水溶液を循環し、
陰極液室へ水酸化リチウム水溶液を循環すると同
時に電流密度15A/dm2にて電解を開始した。電
解槽への循環量は各室の流速線速度が10cm/sec
以上で両液室の内圧がほぼ同等となるように選定
した。電解中の陽極液、陰極液の温度は冷却器に
より40℃以下になるようにした。 電解槽電圧7.1Vで23時間電解を行い、濃度4.9
%の水酸化リチウム水溶液39を得た。電流効率
は62%であつた。得られた水酸化リチウム水溶液
をイミノジ酢酸基を官能基とするキレート樹脂に
通液後、30晶析槽を用い水酸化リチウム水溶液
20と二酸化炭素と反応させ炭酸リチウムを晶析
した。炭酸リチウムを遠心分離機で分離し超純水
で洗浄し80℃真空乾燥機にて乾燥した。 晶析回収率は71.2%であつた。得られた炭酸リ
チウムを分析した結果、ケイ素0.4ppm、塩素、
硫酸根、硝酸根はそれぞれ1ppm以下であつた。 実施例 2,8 実施例1において、陽イオン交換膜としてスル
ホン酸基を有しフツ素系重合体母体とする膜(ナ
フイオン324:デユポン社商品名)、フツ素重合体
をを母体とし膜の一方の面にスルホン酸基を他の
面にカルボキシル基を有する膜(ナフイオン
901:デユポン社商品名)を用いる以外は実施例
1と同様にして粗炭酸リチウムの精製を行つた。
実験結果の電流効率、精製炭酸リチウム中の不純
物含有量を第1表に示す。
【表】
実施例 4
実施例1において不純物としてケイ素215ppm、
塩素810ppm、硫酸根2600ppm、硝酸根200ppmを
含有する粗炭酸リチウムを用いる以外は実施例1
と同様にして粗炭酸リチウムの精製を行つた。 電流効率は61%であり精製炭酸リチウム中のケ
イ素は0.7ppmであり、塩素、硫酸根、硝酸根は
それぞれ1ppm以下であつた。 実施例 5 実施例1において、陰極液貯蔵タンクへ入れる
0.1%水酸化リチウム水溶液の量を15とする以
外は実施例1と同様にして粗炭酸リチウムの精製
を行ない7.1%水酸化リチウム水溶液23.4を得
た。電流効率は54%であつた。精製炭酸リチウム
中の不純物含有量はケイ素が0.5ppmであり塩素、
硫酸根、硝酸根はそれぞれ1ppm以下であつた。 実施例 6 実施例1において、電流密度を30A/dm2にし
電解時間を13時間にする以外は実施例1と同様に
して粗炭酸リチウムの精製を行ない4.9%の水酸
化リチウム水溶液41を得た。 電流効率は58%であり、又電解槽電圧は12.3V
であつた。 精製炭酸リチウム中の不純物含有量は、ケイ素
が0.4ppmであり、塩素硫酸根、硝酸根はそれぞ
れ1PPm以下であつた。 (発明の効果) 本発明は上記より明らかな如く次に述べる効果
を有する。 粗炭酸リチウムを二酸化炭素ガスを用い非汚
染的に溶解し、炭酸水素リチウムをイオン交換
膜電解することにより、従来の精製方法では全
く困難であつたケイ素、陰イオン不純物の除去
を可能にし、電子工業、オプトエレクトロクス
分野に好適なケイ素1ppm以下、陰イオン不純
物1ppm以下の高純度炭酸リチウムが得ること
ができる。 本発明の方法は、腐食性の少い炭酸水素リチ
ウムのイオン交換膜電解であり、また陽極液室
の発生ガスが毒性、腐食性の少い二酸化炭素ガ
ス、酸素ガスであるため、装置に高価な耐食材
料を使用する必要がなく、廃ガスの特別な除害
設備も不要であり設備費が低減でき経済性に優
れる。
塩素810ppm、硫酸根2600ppm、硝酸根200ppmを
含有する粗炭酸リチウムを用いる以外は実施例1
と同様にして粗炭酸リチウムの精製を行つた。 電流効率は61%であり精製炭酸リチウム中のケ
イ素は0.7ppmであり、塩素、硫酸根、硝酸根は
それぞれ1ppm以下であつた。 実施例 5 実施例1において、陰極液貯蔵タンクへ入れる
0.1%水酸化リチウム水溶液の量を15とする以
外は実施例1と同様にして粗炭酸リチウムの精製
を行ない7.1%水酸化リチウム水溶液23.4を得
た。電流効率は54%であつた。精製炭酸リチウム
中の不純物含有量はケイ素が0.5ppmであり塩素、
硫酸根、硝酸根はそれぞれ1ppm以下であつた。 実施例 6 実施例1において、電流密度を30A/dm2にし
電解時間を13時間にする以外は実施例1と同様に
して粗炭酸リチウムの精製を行ない4.9%の水酸
化リチウム水溶液41を得た。 電流効率は58%であり、又電解槽電圧は12.3V
であつた。 精製炭酸リチウム中の不純物含有量は、ケイ素
が0.4ppmであり、塩素硫酸根、硝酸根はそれぞ
れ1PPm以下であつた。 (発明の効果) 本発明は上記より明らかな如く次に述べる効果
を有する。 粗炭酸リチウムを二酸化炭素ガスを用い非汚
染的に溶解し、炭酸水素リチウムをイオン交換
膜電解することにより、従来の精製方法では全
く困難であつたケイ素、陰イオン不純物の除去
を可能にし、電子工業、オプトエレクトロクス
分野に好適なケイ素1ppm以下、陰イオン不純
物1ppm以下の高純度炭酸リチウムが得ること
ができる。 本発明の方法は、腐食性の少い炭酸水素リチ
ウムのイオン交換膜電解であり、また陽極液室
の発生ガスが毒性、腐食性の少い二酸化炭素ガ
ス、酸素ガスであるため、装置に高価な耐食材
料を使用する必要がなく、廃ガスの特別な除害
設備も不要であり設備費が低減でき経済性に優
れる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 粗炭酸リチウムと水とからなるスラリーに、
二酸化炭素を反応せしめて得た炭酸水素リチウム
水溶液を、陽イオン交換膜で仕切つた陽極室及び
陰極室を有する電解槽を用い、陽極室には炭酸水
素リチウム水溶液を、陰極室には水又は希薄水酸
化リチウム水溶液を通液しつつ電気分解を行い、
該陰極室に生成した水酸化リチウム水溶液をとり
出して二酸化炭素と反応させて炭酸リチウム粉末
を析出せしめることを特徴とする高純度炭酸リチ
ウムの製造方法。 2 陽極室の炭酸水素リチウム水溶液の濃度が10
重量%以下であることを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の高純度炭酸リチウムの製造方法。 3 陰極室からとりだす水酸化リチウム水溶液の
濃度が2〜10重量%であることを特徴とする特許
請求の範囲第1項記載の高純度炭酸リチウムの製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19279285A JPS62161973A (ja) | 1985-08-30 | 1985-08-30 | 高純度炭酸リチウムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19279285A JPS62161973A (ja) | 1985-08-30 | 1985-08-30 | 高純度炭酸リチウムの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62161973A JPS62161973A (ja) | 1987-07-17 |
JPH033747B2 true JPH033747B2 (ja) | 1991-01-21 |
Family
ID=16297071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19279285A Granted JPS62161973A (ja) | 1985-08-30 | 1985-08-30 | 高純度炭酸リチウムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62161973A (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6048507A (en) * | 1997-12-09 | 2000-04-11 | Limtech | Process for the purification of lithium carbonate |
DE19809420A1 (de) * | 1998-03-05 | 1999-09-09 | Basf Ag | Verfahren zur Herstellung von hochreinen Lithiumsalzen |
JP4896109B2 (ja) * | 2008-10-24 | 2012-03-14 | 日本化学工業株式会社 | 高純度炭酸リチウムの製造方法 |
JP4896108B2 (ja) * | 2008-10-24 | 2012-03-14 | 日本化学工業株式会社 | 高純度炭酸リチウムの製造方法 |
CN102947225A (zh) * | 2010-02-17 | 2013-02-27 | 辛博尔股份有限公司 | 高纯碳酸锂和其它高纯含锂化合物的制备方法 |
US8431005B1 (en) | 2010-06-24 | 2013-04-30 | Western Lithium Corporation | Production of lithium and potassium compounds |
JP5481450B2 (ja) * | 2010-09-27 | 2014-04-23 | Jx日鉱日石金属株式会社 | 炭酸リチウムの精製方法 |
JP5769409B2 (ja) * | 2010-12-13 | 2015-08-26 | 株式会社アストム | 水酸化リチウムの製造方法 |
JP5872788B2 (ja) * | 2011-04-26 | 2016-03-01 | Dowaエコシステム株式会社 | 炭酸リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの製造装置 |
EP2841623B1 (en) * | 2012-04-23 | 2020-10-28 | Nemaska Lithium Inc. | Processes for preparing lithium hydroxide |
JP5367190B1 (ja) * | 2013-03-08 | 2013-12-11 | 株式会社アストム | 水酸化リチウムの製造方法 |
JP2015157753A (ja) * | 2015-04-07 | 2015-09-03 | シンボル インコーポレイテッド | 塩化リチウムから炭酸リチウムを製造する方法 |
CN110127730A (zh) * | 2019-04-23 | 2019-08-16 | 北京点域科技有限公司 | 一种电池级碳酸锂的制备工艺 |
CN110817910A (zh) * | 2019-12-18 | 2020-02-21 | 甘肃睿思科新材料有限公司 | 一种工业级碳酸锂提纯制备电池级碳酸锂的方法 |
-
1985
- 1985-08-30 JP JP19279285A patent/JPS62161973A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62161973A (ja) | 1987-07-17 |
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