JPH0320504B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0320504B2 JPH0320504B2 JP63318067A JP31806788A JPH0320504B2 JP H0320504 B2 JPH0320504 B2 JP H0320504B2 JP 63318067 A JP63318067 A JP 63318067A JP 31806788 A JP31806788 A JP 31806788A JP H0320504 B2 JPH0320504 B2 JP H0320504B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fibers
- fiber
- nonwoven fabric
- polymer
- entangled nonwoven
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Nonwoven Fabrics (AREA)
Description
<産業上の利用分野>
本発明は伸縮性に優れた繊維絡合不織布に関す
るものである。更に詳しくは、繊維の絡合性に優
れ、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構造
変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大き
い伸長性を有し、かつ伸縮性に富み、充実感のあ
る柔軟な風合いであつて、人工皮革の基体として
適した繊維絡合不織布に関するものである。 <従来の技術> 従来、伸縮性に優れた繊維絡合不織布として、
ポリウレタンをフラツシユ紡糸で得た短繊維の流
れを堆積し、自己膠着などの方法で繊維交点を接
着した不織布が既に作られている。また、ポリウ
レタンを紡糸して得た長繊維を堆積して得たスパ
ンポンド法の不織布が特開昭52−81177号公報に、
伸縮性があり、かつ強さのある不織布として、非
弾性繊維に弾性繊維5〜80重量%混繊して得た不
織布が特開昭48−18579号公報に、非弾性ポリマ
ーと弾性ポリマーを複合紡糸して得た複合繊維を
用いて繊維絡合不織布とし、次いで、複合繊維を
各成分に剥離する方法が特開昭52−85575号公報
に、そして、弾性ポリマーと非弾性ポリマーを混
合紡糸して得た混合繊維と2種類の非弾性ポリマ
ーを混合紡糸して得た混合繊維とを混繊し、不織
布を作り、混合繊維中の非弾性ポリマーの少なく
とも1種類を溶解し、次いで溶解した非弾性ポリ
マー溶液をそのまま不織布内に凝固させる皮革様
シートの製造方法が特公昭40−2792号公報に提案
されている。 <発明が解決しようとする課題> 従来の繊維絡合不織布の製造方法では、非弾性
ポリマーからなる繊維の不織布の場合には、僅か
な伸長、例えば不織布を10%伸長した程度でも繊
維絡合組織の変形を生じ、元の状態に回復するこ
とはない。一方、ポリウレタンエラストマーのよ
うな弾性ポリマーからなる繊維の不織布の場合に
は、ある程度の伸長範囲までは伸縮挙動を示す
が、弾性ポリマーからなる繊維を用いて均質な繊
維ウエブを作ること、更に良好な絡合処理を行う
ことは極めて困難である。更に、弾性ポリマーか
らなる繊維と非弾性ポリマーからなる繊維は、繊
維の剛性、伸長性及び曲げ弾性率などが比較にな
らないほど大きな差を有しているため、両繊維を
混繊すること、そして、カードに掛けることはも
とより、良好な繊維ウエブを作ることは全く困難
である。また、非弾性ポリマーと弾性ポリマーを
複合紡糸して得た複合繊維を用いて繊維絡合不織
布を作り、その後、各成分に剥離する不織布の製
造方法があるが、この方法では非弾性繊維と弾性
繊維とが同じ状態で拘束されてしまい十分な伸縮
性が得られない。 また、従来のように、弾性重合体を含有せしめ
た非弾性繊維の繊維絡合不織布では、絡合繊維の
固定点間に生ずる変形の範囲で伸縮性があり、そ
の範囲は大きいものでない。 本発明は繊維の絡合性に優れ、繰り返し伸長変
形を行つても、実質的に構造変形あるいは構造破
壊を生じない伸長範囲が大きく、かつ伸縮性に富
み、充実感のある柔軟な風合いであつて、伸縮性
を有する人工皮革の基体として適した繊維絡合不
織布を提供するにある。 <課題を解決するための手段> 本発明はポリウレタンエラストマーを主体とす
る弾性ポリマーAからなり極細繊維束繊維もしく
は微細空間を有する繊維である変成弾性繊維Aの
短繊維と非弾性ポリマーBからなり極細繊維束繊
維もしくは微細空間を有する繊維である変成非弾
性繊維Bの短繊維とが混練され、三次元絡合して
なる繊維絡合不織布であつて、該不織布内の繊維
の絡合状態が、変成非弾性繊維Bは緊張した絡合
状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲して緩ん
だ組織構造に絡合してなることを特徴とする繊維
絡合不織布である。 更に、本発明はポリウレタンエラストマーを主
体とする弾性ポリマーAからなり極細繊維束繊維
もしくは微細空間を有する繊維である変成弾性繊
維Aの短繊維と非弾性ポリマーBからなり極細繊
維束繊維もしくは微細空間を有する繊維である変
成非弾性繊維Bの短繊維とが混繊され、三次元絡
合してなる繊維絡合不織布であつて、該不織布内
の繊維の絡合状態が、変成非弾性繊維Bは緊張し
た絡合状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲し
て緩んだ組織構造に絡合してなる繊維絡合不織布
の繊維絡合空間に、弾性ポリマーを主体とする重
合体が含有してなることを特徴とする繊維絡合不
織布である。 即ち、本発明の伸縮性に富む繊維絡合不織布
は、ポリウレタンエラストマーを主体とする弾性
ポリマーAと、該弾性ポリマーAとは溶解性ある
いは分解性を異にする少なくとも1種類の非弾性
ポリマーCからなる多成分繊維の短繊維と、溶
解性あるいは分解性を異にする少なくとも2種類
の非弾性ポリマーB,Dからなる多成分繊維の
短繊維とを所定の割合で混繊し、繊維ウエブを形
成し、繊維の三次元絡合処理を施して繊維絡合不
織布とし、次いで以下の(1),(2)および(3)の工程、 (1) 多成分繊維は大きく収縮するが、多成分繊
維は低収縮あるいは非収縮である条件下で、
繊維絡合不織布の面積を10〜80%収縮させる工
程、 (2) 多成分繊維から非弾性ポリマーCおよび多
成分繊維から少なくとも1種類の非弾性ポリ
マーDを除去するあるいは多成分繊維を各成
分に分割する工程、 (3) 弾性ポリマーを主体とする重合体の溶液ある
いは分散液を不織布に含浸し、固化する工程、 の少なくとも2工程を組み合わせて処理する、即
ち、工程(1)→工程(2)、工程(2)→工程(1)、工程(1)と
工程(2)を同時に、更に、工程(1)→工程(2)→工程
(3)、工程(1)→工程(3)→工程(2)または工程(1)と工程
(2)を同時→工程(3)を行う、のいずれかの工程順序
で処理し、次いで、80〜170℃の温度で少なくと
も3分間加熱処理することにより、ポリウレタン
エラストマーを主体とする弾性ポリマーAからな
る極細繊維束繊維あるいは微細空間を有する繊維
である変成弾性繊維Aおよび非弾性ポリマーBか
らなる極細繊維束繊維あるいは微細空間を有する
繊維である変成非弾性繊維Bの繊維絡合不織布ま
たは弾性ポリマーを主体とする重合体を含有した
繊維絡合不織布としたことを特徴とする伸縮性に
優れた繊維絡合不織布の製造方法である。 本発明の伸縮性繊維絡合不織布を構成する原料
繊維は、ポリウレタンエラストマーを主体とする
弾性ポリマーAと、該弾性ポリマーAとは溶解性
あるはい分解性を異にする少なくとも1種類の非
弾性ポリマーCを紡糸して得た多成分繊維と、
溶解性あるいは分解性を異にする少なくとも2種
類の非弾性ポリマーB,Dを紡糸して得た多成分
繊維を用いる。本発明では多成分繊維を用い
ることによつて、繊維の伸長挙動、剛性、曲げ弾
性率などの物性が多成分繊維と近似あるいは同
じ範囲に入るため、両繊維の混繊性、カーデイン
グ性が良く、均質性の良好な繊維ウエブが得ら
れ、更にニードルパンチング法、高圧流体噴射法
等による三次元繊維絡合法で良好な繊維の絡合状
態を得ることができる。 なお、本発明において弾性ポリマーとは、該弾
性ポリマーを紡糸して得た繊維を、室温において
50%伸長し、伸長を解除して1分後の伸長弾性回
復率が90%以上であるポリマーを示し、非弾性ポ
リマーとは、同様にして測定した伸長弾性回復率
が50%以下の低伸長弾性回復率または室温におい
て限界伸長率が50%に達しないポリマーを示して
いる。 本発明に使用する多成分繊維の弾性ポリマー
Aは、例えば、平均分子量500〜3500のポエステ
ルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステ
ルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポ
リカーボネートジオールなどのポリマージオール
の群から選ばれた少なくとも1種類と、芳香環を
有するジイソシアネート、脂肪族系あるいは脂環
族系ジイソシアネートなどの有機ジイソシアネー
トの群から選ばれた少なくとも1種類と、低分子
ジオール、脂肪族系あるいは脂環族系ジアミン、
ヒドラジン、芳香環を有するジアミンなどの活性
水素原子と2個有する鎖伸長剤の群から選ばれた
少なくとも1種類とを反応させて得たポリウレタ
ンエラストマーから選ばれた少なくとも1種類の
ポリウレタンエラストマーである。更に、必要に
応じてポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共
役ジエン系重合体、その他紡糸可能な弾性ポリマ
ーを混合したポリウレタンエラストマーを主体と
した弾性ポリマーである。 一方、多成分繊維の非弾性ポリマーCは、弾
性ポリマーAとは溶剤あるいは分解剤を異にする
溶剤あるいは分解剤で処理して除去できるポリマ
ーで、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合
体、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレ
フイン類、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリス
チレンまたはスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル
または塩化ビニル共重合体、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリカーボネートなどの群から選ばれた
少なくとも1種類のポリマーである。 そして、多成分繊維の製造法は、弾性ポリマ
ーAと、該弾性ポリマーとは溶剤あるいは分解剤
を異にする非弾性ポリマーCであつて、熱成型温
度範囲が重なつているポリマーを組み合わせる、
または共通溶媒あるいは相溶性のある溶媒で溶解
でき、かつ紡糸に要する時間内では溶解状態が保
たれていて、紡糸および繊維中の非弾性ポリマー
の除去に支障を来す反応や相互作用を生じないポ
リマーの組み合わせ、例えば、ポリウレタン・ポ
リオレフインあるいはオレフイン共重合体、ポリ
ウレタン・ポリスチレンあるいはスチレン共重合
体、ポリウレタン・ポリオレフイン/ポリスチレ
ン、ポリウレタン・ポリアミドあるいはポリエス
テル、ポリウレタン/共役ジエン系重合体・ポリ
スチレンあるいはスチレン共重合体などが挙げら
れる。そして、多成分繊維中に占める弾性ポリマ
ーAの比率は30〜80重量%、好ましくは40〜70重
量%である。選ばれた弾性ポリマーAと非弾性ポ
リマーCは、共通溶剤に溶解して湿式紡糸法ある
いは乾式紡糸法で紡糸するまたは共通溶融温度で
溶融紡糸する。即ち、弾性ポリマーAと非弾性ポ
リマーCを、同一溶解系で溶解しあるいは同一溶
融系で溶融してて紡糸する方法、異なる溶解系で
溶解しあるいは異なる溶融系で溶融して、交互に
多数層張り合わせ型あるいは一方が分散媒成分と
なり、他方が多数の分散成分となつた海島型また
は複合型の繊維断面形状を形成する構造の紡糸頭
あるいは紡糸口金で合流して紡糸する方法によつ
て多成分繊維を製造する(なお、後述の多成分
繊維の製造も同様の紡糸法である)。次いで、
多成分繊維は乾熱、湿熱あるいは加温水などの
条件下で紡糸原繊維の少なくとも2倍に延伸する
ことが好ましい。延伸倍率が高いと高収縮繊維が
得られ、繊維絡合不織布にした場合にも充実感の
高い、伸縮性の大きいものが得られる。延伸繊維
は捲縮を掛け、繊維長20〜100mmに切断して多成
分繊維の短繊維を得る。この多成分繊維は弾
性ポリマーによる弾性挙動が抑制され、通常の非
弾性繊維、とりわけ多成分繊維の剛性、伸長挙
動などの繊維物性の範囲に入るものとなるため、
多成分繊維と同じに取り扱うことができる。 また、繊維絡合不織布を構成するもう一方の多
成分繊維の繊維成分として利用する非弾性ポリ
マーBは、例えば、ポリエチレンテレフタレート
あるいはエチレンテレフタレート共重合体、ポリ
ブチレンテレフタレートあるいはブチレンテレフ
タレート共重合体などのポリエステル、ナイロン
−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン
−12、芳香環を含むポリアミドなどのポリアミ
ド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフイン、エチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化
物、ポリビニルアルコール、アクリル系共重合体
などの群から選ばれた少なくとも1種類のポリマ
ーである。一方、最終的に除去されるポリマーD
としては、溶剤可溶あるいは分解剤で分解するポ
リマーで、例えば、ポリエチレンあるいはエチレ
ン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体あるい
はその部分鹸化物、ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニルあるいは塩化ビ
ニル共重合体などの群から選ばれた少なくとも1
種類のポリマーである。そして、繊維成分として
利用する非弾性ポリマーBと除去成分の非弾性ポ
リマーDを組み合わせて紡糸する。しかし、多成
分繊維が分割型繊維の場合は、相溶性の小さい
あるいは相溶性のない、かつ物理的性質の異なる
少なくとも2種類の非弾性ポリマーBを組み合わ
せて紡糸する。具体的なポリマーの組み合わせ
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート・ポリ
エチレンあるいはエチレン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート・ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ
エチレンあるいはエチレン共重合体、ポリブチレ
ンテレフタレート・ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ナイロン−6あるいはナイロン−
610・ポリエチレンあるいはエチレン共重合体、
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレ
ンテレフタレート・ナイロン−6あるいはナイロ
ン−610、ポリプロピレン・ポリスチレンあるい
はポリエチレンなどが挙げられる。そして、繊維
成分としての非弾性ポリマーBの比率は40〜85重
量%である。紡糸法は前述の多成分繊維と同様
にして紡糸し、延伸し、捲縮し、切断して多成分
繊維の短繊維を得る。 次に、多成分繊維と多成分繊維を混繊す
る。混繊比率は繊維絡合不織布の所望する物性に
よつて決定されるが、一般には多成分繊維が15
〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲であ
る。多成分繊維が少ないと伸縮性は小さいが柔
軟性のものになり、多成分繊維が多いと伸縮性
は大きくなり充実感が大きくなる。また、必要に
応じて再生セルロース繊維、天然繊維、化学繊維
を伸縮性を妨げない範囲、おおよそ25重量%以下
で混繊してもよい。 多成分繊維と多成分繊維を混繊したのち、
カードで解繊し、ウエバーを通してランダムウエ
ブまたはクロスラツプウエブを形成し、得られた
繊維ウエブは所望の重さ、厚さに積層する。繊維
ウエブの重量は一般に100〜2000g/m2の範囲で
ある。次いで、繊維ウエブは公知の手段で繊維の
三次元絡合処理を施して繊維絡合不織布とする。
好ましい繊維の絡合方法はニードルパンチング
法、高圧水流噴射法の単独処理あるいは併合処理
により三次元絡合させる。一般に、ニードルパン
チング法ではパンチ数200〜2500パンチ/cm2の範
囲の処理であり、また高圧水流噴射法では水圧15
〜100Kg/cm2の柱状流で3〜10回の範囲の処理で
あり、繊維の三次元絡合は十分に施されているこ
とが伸縮性と充実感のうえで好ましい。 得られた繊維絡合不織布に十分な伸縮性を付与
するためには、繊維絡合不織布に収縮をさせなけ
ればならない。収縮処理法は乾熱雰囲気、湿熱雰
囲気あるいは熱水中で、多成分繊維は十分に収
縮するが多成分繊維は低収縮あるいは非収縮で
ある条件下で処理して、繊維絡合不織布の面積を
10〜80%収縮させる。この繊維絡合不織布の収縮
処理は、多成分繊維から非弾性ポリマー成分を除
去する前であつても、除去した後でもあるいは不
織布中に弾性重合体が含有されていてもよいが、
それぞれの場合で条件を設定することによつて目
的の収縮範囲は得られる。この収縮処理により多
成分繊維あるいはそれから得られた弾性ポリマ
ーAからなる変成弾性繊維Aは大きく収縮し、そ
れにつられて多成分繊維あるいはそれから得ら
れた非弾性ポリマーBからなる変成非弾性繊維B
は折られたり、曲げられたりして不織布内では緩
んだ状態の繊維組織構造になつている。 この繊維絡合不織布の収縮率は収縮処理条件
(例えば、温度、時間、張力等)でも調節はでき
るが、繊維絡合不織布の潜在収縮能(最大収縮
率)は、不織布を構成する多成分繊維の弾性ポ
リマーの種類、ポリマーの分子構造、紡糸条件、
延伸倍率、繊度等によつて支配され、一方、多成
分繊維の非弾性ポリマーの種類、配向度、繊度
等に基づく繊維の曲げ剛性、そして、多成分繊維
と多成分繊維との混繊比率によつて、主とし
て決まる。従つて、これらの条件を変えることに
より、繊維絡合不織布の収縮率を任意に変えるこ
とが出来る。 また、繊維絡合不織布に伸縮性を付与するため
には、多成分繊維の非弾性ポリマー繊維成分を
除去して、極細繊維束繊維あるいは微細空間を有
する繊維の変成弾性繊維Aとせねばならない。一
方、多成分繊維の少なくとも1種類の非弾性ポ
リマー繊維成分を除去して、繊維形態を極細繊維
束繊維あるいは微細空間を有する繊維の変成非弾
性繊維Bとするか、あるいは多成分繊維も各成
分に剥離分割して極細繊維束繊維の変成非弾性繊
維Bとすることによつて一層柔軟で伸縮性に富む
繊維絡合不織布となる。非弾性ポリマー繊維成分
の除去方法は、弾性ポリマー繊維成分および利用
非弾性ポリマー繊維成分の非溶剤あるいは非分解
剤であつて他の繊維成分の溶剤あるいは分解剤で
処理することによつて行われる。例えば、ポリウ
レタン・ポリオレフインあるいはポリスチレンの
繊維ではトルエン、トリクロルエチレン、パーク
ロロエチレンなど、ポリウレタン・ポリアミドの
繊維では塩化カルシウム・メタノール溶液、ポリ
ウンタン・ポリ塩化ビニル系の繊維ではシクロヘ
キサノンなどである。このように、多成分繊維か
ら1成分を除去して得た繊維あるいは多成分繊維
を処理して多数の極細繊維に分割して得た繊維
を、本発明では「変成繊維」と称する。変成繊維
は最終製品において、例えば、ポリウレタン繊維
のように膠着して明確な極細繊維束繊維の形態あ
るいは微細空間を有する繊維の形態をとらない繊
維であつても、変成された繊維であることが明確
な繊維であればよい。 多成分繊維から変成繊維にする工程は、多成分
繊維と多成分繊維とを同一工程で行うことで
も、別々の工程で行うことでもよく、更には、繊
維絡合不織布に弾性ポリマーを含有させた後でも
よい。しかし、工程の簡略さから同一工程で行う
ことが好ましい。 本発明の変成された繊維からなる繊維絡合不織
布は、繊維絡合不織布に伸ばす力が掛けられた場
合、初期には専ら変成弾性繊維Aを伸ばす力だけ
であるから大きな力は要しない、そして変成非弾
性繊維Bの変形が始まるようになつて徐々に大き
な力を要するようになる。従つて、繊維絡合不織
布の交絡による固定や、変成弾性繊維Aの膠着に
よる繊維間の固定あるいはバインダーによる固定
が外れるまでの範囲、すなわち、構造破壊が生ず
るまでの範囲が広く、その間は実質的に構造破壊
を生ずることなく伸縮性が付与できる。 また、本発明の繊維絡合不織布には伸縮性を阻
害しない範囲で弾性重合体からなるバインダー樹
脂を含有することもよい。バインダー樹脂として
用いられる弾性重合体は、例えば、ポリエステル
ジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル
エーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリ
カーボネートジオールなどのポリマージオールの
群から選ばれた少なくとも1種類と、有機ジイソ
シアネートの少なくとも1種類と、活性水素原子
を少なくとも2個有する低分子化合物を鎖伸長剤
として反応させて得たポリウレタン、アクリル酸
またはアクリル酸エステルの重合体あるいは共重
合体、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共
役ジエン系重合体、スチレン・ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体など
の群から選ばれた少なくとも1種類の弾性重合体
である。弾性重合体は繊維を侵さない溶剤に溶解
した溶液あるいは分散剤に分散させた分散液を用
いて不織布に含浸し、繊維および弾性重合体を侵
さない溶剤−非溶剤、非溶剤中あるいは塩水溶液
処理するまたは溶剤あるいは分散剤を蒸発処理す
ることによつて固化する。繊維絡合不織布に弾性
重合体を含有させることによつて、繊維絡合不織
布柔軟性、伸縮性及び風合いなどの性能の範囲を
広げることができる。 本発明の繊維絡合不織布は所望の厚みにスライ
ス分割して、一定の厚みにしたり、一面あるいは
両面をサンドペーパーなどでバフイングして一定
の厚みにしたり、またはそのままの厚みの繊維絡
合不織布を製品として用いる。本発明の繊維絡合
不織布は弾性ポリマーからなる変成弾性繊維A
と、非弾性ポリマーからなる変成非弾性繊維Bの
各短繊維がほぼ均一に混繊され三次元絡合されて
なり、繊維の絡合状態が変成非弾性繊維Bは緊張
した絡合状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲
して全体として緩んだ組織構造に絡み合つている
不織布あるいはその不織布内に弾性重合体を含有
してなる不織布である。そして、この組織構造の
状態を確認する一つの手段として、繊維絡合不織
布から一方の繊維を除去した後の不織布の形状で
知ることができる。すなわち、弾性ポリマーの変
成弾性繊維Aを溶解あるいは分解して除去する
と、非弾性ポリマーの変成非弾性繊維Bの繊維絡
合不織布は緊張が解除されて、収縮処理前の面積
近くにまで拡大する。一方、不織布の非弾性ポリ
マーの変成非弾性繊維Bを溶解あるいは分解して
除去すると、弾性ポリマーの変成弾性繊維Aの繊
維絡合不織布は殆ど面積変化を生じることがない
かあるいは小さい面積変化に留まることから知る
ことができる。上記の繊維絡合不織布の構造によ
つて、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構
造変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大
きい伸長性、通常約15〜50%の伸長を有し、かつ
伸縮性に富み、充実感のある柔軟な風合いのもの
となる。 本発明の繊維絡合不織布は、表面にアイロン掛
けを行つて平滑面としたり、表面に弾性重合体の
被膜を形成あるいは皮膜を付与して銀面に仕上げ
て、銀付皮革様シートとしたり、表面に繊維立毛
処理を施して仕上げてスエード調皮革様シートと
することができる。 本発明の繊維絡合不織布はサポーター、バンド
類、医療用品、衣料用あるいは衣料用パーツ、皮
革様シートとしてインテリア用、外衣用、カーシ
ート、その他多くの有用な用途を有している。 <実施例> 次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の部および%はこと
わりのない限り、重量に関するものである。 実施例1〜4、比較例1、2 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)40部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍に延伸し、
捲縮し、繊維長51mmに切断して繊度6デニールの
ステープル繊維(以下繊維1と称す)得た。一
方、ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)50
部と低密度ポリエチレン50部からなり、ポリエチ
レンが海成分となつた2成分繊維を溶融紡糸法で
作り、延伸、熱処理、捲縮し、繊維長51mmに切断
して繊度4デニールのステープル繊維(以下繊維
1と称す)を得た。 次いで繊維1及び繊維1を第1表に示した比
率で混繊し、カードにかけて開繊した後、ランダ
ムウエバーでランダムウエブを形成し、針番手
#40の針で繊維ウエブを両面から交互に合計560
パンチ/cm2のニードルパンチングによる三次元絡
合処理を行い、重さ約400g/m2の繊維絡合不織
布を作つた。この繊維絡合不織布をテフロンコー
テイングシート上に載置し、無緊張状態で135℃
の熱風中で熱処理して繊維絡合不織布に収縮を付
与した。 収縮処理した繊維絡合不織布を約80℃の熱パー
クロルエチレン中に浸漬−絞りを繰り返してポリ
エチレンを溶解除去した後、風乾して溶剤を除去
し、約130℃の熱風中で乾燥熱処理を施して、ポ
リウレタン繊維同士の接している部分に膠着によ
る接着点を形成させた。得られた繊維絡合不織布
はポリウレタン変成繊維とナイロン−6極細繊維
束繊維が良好な混繊状態で存在し、ポリエチレン
を溶解した繊維はしなやかになり、絡合結節点が
多くできていて良好な伸縮性が得られ、30%伸長
しても構造変形を生じなかつた。得られた繊維絡
合不織布の状態を第1表に示した。 本発明の繊維絡合不織布は柔軟性があり、繊維
絡合不織布特有の繊維質感が少ないあるいはない
ものであつた。実施例1及び2の厚物試料は表面
にアイロン掛けして平滑面とし、着色したものは
カジユアルシユーズ用として使用出来る素材であ
る。また、薄物にしてサポーターに使用出来る素
材である。実施例3及び4の試料は表面に毛羽立
て処理を施して、スエード類似の素材が得られ
る。
るものである。更に詳しくは、繊維の絡合性に優
れ、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構造
変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大き
い伸長性を有し、かつ伸縮性に富み、充実感のあ
る柔軟な風合いであつて、人工皮革の基体として
適した繊維絡合不織布に関するものである。 <従来の技術> 従来、伸縮性に優れた繊維絡合不織布として、
ポリウレタンをフラツシユ紡糸で得た短繊維の流
れを堆積し、自己膠着などの方法で繊維交点を接
着した不織布が既に作られている。また、ポリウ
レタンを紡糸して得た長繊維を堆積して得たスパ
ンポンド法の不織布が特開昭52−81177号公報に、
伸縮性があり、かつ強さのある不織布として、非
弾性繊維に弾性繊維5〜80重量%混繊して得た不
織布が特開昭48−18579号公報に、非弾性ポリマ
ーと弾性ポリマーを複合紡糸して得た複合繊維を
用いて繊維絡合不織布とし、次いで、複合繊維を
各成分に剥離する方法が特開昭52−85575号公報
に、そして、弾性ポリマーと非弾性ポリマーを混
合紡糸して得た混合繊維と2種類の非弾性ポリマ
ーを混合紡糸して得た混合繊維とを混繊し、不織
布を作り、混合繊維中の非弾性ポリマーの少なく
とも1種類を溶解し、次いで溶解した非弾性ポリ
マー溶液をそのまま不織布内に凝固させる皮革様
シートの製造方法が特公昭40−2792号公報に提案
されている。 <発明が解決しようとする課題> 従来の繊維絡合不織布の製造方法では、非弾性
ポリマーからなる繊維の不織布の場合には、僅か
な伸長、例えば不織布を10%伸長した程度でも繊
維絡合組織の変形を生じ、元の状態に回復するこ
とはない。一方、ポリウレタンエラストマーのよ
うな弾性ポリマーからなる繊維の不織布の場合に
は、ある程度の伸長範囲までは伸縮挙動を示す
が、弾性ポリマーからなる繊維を用いて均質な繊
維ウエブを作ること、更に良好な絡合処理を行う
ことは極めて困難である。更に、弾性ポリマーか
らなる繊維と非弾性ポリマーからなる繊維は、繊
維の剛性、伸長性及び曲げ弾性率などが比較にな
らないほど大きな差を有しているため、両繊維を
混繊すること、そして、カードに掛けることはも
とより、良好な繊維ウエブを作ることは全く困難
である。また、非弾性ポリマーと弾性ポリマーを
複合紡糸して得た複合繊維を用いて繊維絡合不織
布を作り、その後、各成分に剥離する不織布の製
造方法があるが、この方法では非弾性繊維と弾性
繊維とが同じ状態で拘束されてしまい十分な伸縮
性が得られない。 また、従来のように、弾性重合体を含有せしめ
た非弾性繊維の繊維絡合不織布では、絡合繊維の
固定点間に生ずる変形の範囲で伸縮性があり、そ
の範囲は大きいものでない。 本発明は繊維の絡合性に優れ、繰り返し伸長変
形を行つても、実質的に構造変形あるいは構造破
壊を生じない伸長範囲が大きく、かつ伸縮性に富
み、充実感のある柔軟な風合いであつて、伸縮性
を有する人工皮革の基体として適した繊維絡合不
織布を提供するにある。 <課題を解決するための手段> 本発明はポリウレタンエラストマーを主体とす
る弾性ポリマーAからなり極細繊維束繊維もしく
は微細空間を有する繊維である変成弾性繊維Aの
短繊維と非弾性ポリマーBからなり極細繊維束繊
維もしくは微細空間を有する繊維である変成非弾
性繊維Bの短繊維とが混練され、三次元絡合して
なる繊維絡合不織布であつて、該不織布内の繊維
の絡合状態が、変成非弾性繊維Bは緊張した絡合
状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲して緩ん
だ組織構造に絡合してなることを特徴とする繊維
絡合不織布である。 更に、本発明はポリウレタンエラストマーを主
体とする弾性ポリマーAからなり極細繊維束繊維
もしくは微細空間を有する繊維である変成弾性繊
維Aの短繊維と非弾性ポリマーBからなり極細繊
維束繊維もしくは微細空間を有する繊維である変
成非弾性繊維Bの短繊維とが混繊され、三次元絡
合してなる繊維絡合不織布であつて、該不織布内
の繊維の絡合状態が、変成非弾性繊維Bは緊張し
た絡合状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲し
て緩んだ組織構造に絡合してなる繊維絡合不織布
の繊維絡合空間に、弾性ポリマーを主体とする重
合体が含有してなることを特徴とする繊維絡合不
織布である。 即ち、本発明の伸縮性に富む繊維絡合不織布
は、ポリウレタンエラストマーを主体とする弾性
ポリマーAと、該弾性ポリマーAとは溶解性ある
いは分解性を異にする少なくとも1種類の非弾性
ポリマーCからなる多成分繊維の短繊維と、溶
解性あるいは分解性を異にする少なくとも2種類
の非弾性ポリマーB,Dからなる多成分繊維の
短繊維とを所定の割合で混繊し、繊維ウエブを形
成し、繊維の三次元絡合処理を施して繊維絡合不
織布とし、次いで以下の(1),(2)および(3)の工程、 (1) 多成分繊維は大きく収縮するが、多成分繊
維は低収縮あるいは非収縮である条件下で、
繊維絡合不織布の面積を10〜80%収縮させる工
程、 (2) 多成分繊維から非弾性ポリマーCおよび多
成分繊維から少なくとも1種類の非弾性ポリ
マーDを除去するあるいは多成分繊維を各成
分に分割する工程、 (3) 弾性ポリマーを主体とする重合体の溶液ある
いは分散液を不織布に含浸し、固化する工程、 の少なくとも2工程を組み合わせて処理する、即
ち、工程(1)→工程(2)、工程(2)→工程(1)、工程(1)と
工程(2)を同時に、更に、工程(1)→工程(2)→工程
(3)、工程(1)→工程(3)→工程(2)または工程(1)と工程
(2)を同時→工程(3)を行う、のいずれかの工程順序
で処理し、次いで、80〜170℃の温度で少なくと
も3分間加熱処理することにより、ポリウレタン
エラストマーを主体とする弾性ポリマーAからな
る極細繊維束繊維あるいは微細空間を有する繊維
である変成弾性繊維Aおよび非弾性ポリマーBか
らなる極細繊維束繊維あるいは微細空間を有する
繊維である変成非弾性繊維Bの繊維絡合不織布ま
たは弾性ポリマーを主体とする重合体を含有した
繊維絡合不織布としたことを特徴とする伸縮性に
優れた繊維絡合不織布の製造方法である。 本発明の伸縮性繊維絡合不織布を構成する原料
繊維は、ポリウレタンエラストマーを主体とする
弾性ポリマーAと、該弾性ポリマーAとは溶解性
あるはい分解性を異にする少なくとも1種類の非
弾性ポリマーCを紡糸して得た多成分繊維と、
溶解性あるいは分解性を異にする少なくとも2種
類の非弾性ポリマーB,Dを紡糸して得た多成分
繊維を用いる。本発明では多成分繊維を用い
ることによつて、繊維の伸長挙動、剛性、曲げ弾
性率などの物性が多成分繊維と近似あるいは同
じ範囲に入るため、両繊維の混繊性、カーデイン
グ性が良く、均質性の良好な繊維ウエブが得ら
れ、更にニードルパンチング法、高圧流体噴射法
等による三次元繊維絡合法で良好な繊維の絡合状
態を得ることができる。 なお、本発明において弾性ポリマーとは、該弾
性ポリマーを紡糸して得た繊維を、室温において
50%伸長し、伸長を解除して1分後の伸長弾性回
復率が90%以上であるポリマーを示し、非弾性ポ
リマーとは、同様にして測定した伸長弾性回復率
が50%以下の低伸長弾性回復率または室温におい
て限界伸長率が50%に達しないポリマーを示して
いる。 本発明に使用する多成分繊維の弾性ポリマー
Aは、例えば、平均分子量500〜3500のポエステ
ルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステ
ルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポ
リカーボネートジオールなどのポリマージオール
の群から選ばれた少なくとも1種類と、芳香環を
有するジイソシアネート、脂肪族系あるいは脂環
族系ジイソシアネートなどの有機ジイソシアネー
トの群から選ばれた少なくとも1種類と、低分子
ジオール、脂肪族系あるいは脂環族系ジアミン、
ヒドラジン、芳香環を有するジアミンなどの活性
水素原子と2個有する鎖伸長剤の群から選ばれた
少なくとも1種類とを反応させて得たポリウレタ
ンエラストマーから選ばれた少なくとも1種類の
ポリウレタンエラストマーである。更に、必要に
応じてポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共
役ジエン系重合体、その他紡糸可能な弾性ポリマ
ーを混合したポリウレタンエラストマーを主体と
した弾性ポリマーである。 一方、多成分繊維の非弾性ポリマーCは、弾
性ポリマーAとは溶剤あるいは分解剤を異にする
溶剤あるいは分解剤で処理して除去できるポリマ
ーで、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合
体、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレ
フイン類、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリス
チレンまたはスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル
または塩化ビニル共重合体、ポリエステル、ポリ
アミド、ポリカーボネートなどの群から選ばれた
少なくとも1種類のポリマーである。 そして、多成分繊維の製造法は、弾性ポリマ
ーAと、該弾性ポリマーとは溶剤あるいは分解剤
を異にする非弾性ポリマーCであつて、熱成型温
度範囲が重なつているポリマーを組み合わせる、
または共通溶媒あるいは相溶性のある溶媒で溶解
でき、かつ紡糸に要する時間内では溶解状態が保
たれていて、紡糸および繊維中の非弾性ポリマー
の除去に支障を来す反応や相互作用を生じないポ
リマーの組み合わせ、例えば、ポリウレタン・ポ
リオレフインあるいはオレフイン共重合体、ポリ
ウレタン・ポリスチレンあるいはスチレン共重合
体、ポリウレタン・ポリオレフイン/ポリスチレ
ン、ポリウレタン・ポリアミドあるいはポリエス
テル、ポリウレタン/共役ジエン系重合体・ポリ
スチレンあるいはスチレン共重合体などが挙げら
れる。そして、多成分繊維中に占める弾性ポリマ
ーAの比率は30〜80重量%、好ましくは40〜70重
量%である。選ばれた弾性ポリマーAと非弾性ポ
リマーCは、共通溶剤に溶解して湿式紡糸法ある
いは乾式紡糸法で紡糸するまたは共通溶融温度で
溶融紡糸する。即ち、弾性ポリマーAと非弾性ポ
リマーCを、同一溶解系で溶解しあるいは同一溶
融系で溶融してて紡糸する方法、異なる溶解系で
溶解しあるいは異なる溶融系で溶融して、交互に
多数層張り合わせ型あるいは一方が分散媒成分と
なり、他方が多数の分散成分となつた海島型また
は複合型の繊維断面形状を形成する構造の紡糸頭
あるいは紡糸口金で合流して紡糸する方法によつ
て多成分繊維を製造する(なお、後述の多成分
繊維の製造も同様の紡糸法である)。次いで、
多成分繊維は乾熱、湿熱あるいは加温水などの
条件下で紡糸原繊維の少なくとも2倍に延伸する
ことが好ましい。延伸倍率が高いと高収縮繊維が
得られ、繊維絡合不織布にした場合にも充実感の
高い、伸縮性の大きいものが得られる。延伸繊維
は捲縮を掛け、繊維長20〜100mmに切断して多成
分繊維の短繊維を得る。この多成分繊維は弾
性ポリマーによる弾性挙動が抑制され、通常の非
弾性繊維、とりわけ多成分繊維の剛性、伸長挙
動などの繊維物性の範囲に入るものとなるため、
多成分繊維と同じに取り扱うことができる。 また、繊維絡合不織布を構成するもう一方の多
成分繊維の繊維成分として利用する非弾性ポリ
マーBは、例えば、ポリエチレンテレフタレート
あるいはエチレンテレフタレート共重合体、ポリ
ブチレンテレフタレートあるいはブチレンテレフ
タレート共重合体などのポリエステル、ナイロン
−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン
−12、芳香環を含むポリアミドなどのポリアミ
ド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフイン、エチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化
物、ポリビニルアルコール、アクリル系共重合体
などの群から選ばれた少なくとも1種類のポリマ
ーである。一方、最終的に除去されるポリマーD
としては、溶剤可溶あるいは分解剤で分解するポ
リマーで、例えば、ポリエチレンあるいはエチレ
ン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体あるい
はその部分鹸化物、ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリビ
ニルアルコール、ポリ塩化ビニルあるいは塩化ビ
ニル共重合体などの群から選ばれた少なくとも1
種類のポリマーである。そして、繊維成分として
利用する非弾性ポリマーBと除去成分の非弾性ポ
リマーDを組み合わせて紡糸する。しかし、多成
分繊維が分割型繊維の場合は、相溶性の小さい
あるいは相溶性のない、かつ物理的性質の異なる
少なくとも2種類の非弾性ポリマーBを組み合わ
せて紡糸する。具体的なポリマーの組み合わせ
は、例えば、ポリエチレンテレフタレート・ポリ
エチレンあるいはエチレン共重合体、ポリエチレ
ンテレフタレート・ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ
エチレンあるいはエチレン共重合体、ポリブチレ
ンテレフタレート・ポリスチレンあるいはスチレ
ン共重合体、ナイロン−6あるいはナイロン−
610・ポリエチレンあるいはエチレン共重合体、
ポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレ
ンテレフタレート・ナイロン−6あるいはナイロ
ン−610、ポリプロピレン・ポリスチレンあるい
はポリエチレンなどが挙げられる。そして、繊維
成分としての非弾性ポリマーBの比率は40〜85重
量%である。紡糸法は前述の多成分繊維と同様
にして紡糸し、延伸し、捲縮し、切断して多成分
繊維の短繊維を得る。 次に、多成分繊維と多成分繊維を混繊す
る。混繊比率は繊維絡合不織布の所望する物性に
よつて決定されるが、一般には多成分繊維が15
〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲であ
る。多成分繊維が少ないと伸縮性は小さいが柔
軟性のものになり、多成分繊維が多いと伸縮性
は大きくなり充実感が大きくなる。また、必要に
応じて再生セルロース繊維、天然繊維、化学繊維
を伸縮性を妨げない範囲、おおよそ25重量%以下
で混繊してもよい。 多成分繊維と多成分繊維を混繊したのち、
カードで解繊し、ウエバーを通してランダムウエ
ブまたはクロスラツプウエブを形成し、得られた
繊維ウエブは所望の重さ、厚さに積層する。繊維
ウエブの重量は一般に100〜2000g/m2の範囲で
ある。次いで、繊維ウエブは公知の手段で繊維の
三次元絡合処理を施して繊維絡合不織布とする。
好ましい繊維の絡合方法はニードルパンチング
法、高圧水流噴射法の単独処理あるいは併合処理
により三次元絡合させる。一般に、ニードルパン
チング法ではパンチ数200〜2500パンチ/cm2の範
囲の処理であり、また高圧水流噴射法では水圧15
〜100Kg/cm2の柱状流で3〜10回の範囲の処理で
あり、繊維の三次元絡合は十分に施されているこ
とが伸縮性と充実感のうえで好ましい。 得られた繊維絡合不織布に十分な伸縮性を付与
するためには、繊維絡合不織布に収縮をさせなけ
ればならない。収縮処理法は乾熱雰囲気、湿熱雰
囲気あるいは熱水中で、多成分繊維は十分に収
縮するが多成分繊維は低収縮あるいは非収縮で
ある条件下で処理して、繊維絡合不織布の面積を
10〜80%収縮させる。この繊維絡合不織布の収縮
処理は、多成分繊維から非弾性ポリマー成分を除
去する前であつても、除去した後でもあるいは不
織布中に弾性重合体が含有されていてもよいが、
それぞれの場合で条件を設定することによつて目
的の収縮範囲は得られる。この収縮処理により多
成分繊維あるいはそれから得られた弾性ポリマ
ーAからなる変成弾性繊維Aは大きく収縮し、そ
れにつられて多成分繊維あるいはそれから得ら
れた非弾性ポリマーBからなる変成非弾性繊維B
は折られたり、曲げられたりして不織布内では緩
んだ状態の繊維組織構造になつている。 この繊維絡合不織布の収縮率は収縮処理条件
(例えば、温度、時間、張力等)でも調節はでき
るが、繊維絡合不織布の潜在収縮能(最大収縮
率)は、不織布を構成する多成分繊維の弾性ポ
リマーの種類、ポリマーの分子構造、紡糸条件、
延伸倍率、繊度等によつて支配され、一方、多成
分繊維の非弾性ポリマーの種類、配向度、繊度
等に基づく繊維の曲げ剛性、そして、多成分繊維
と多成分繊維との混繊比率によつて、主とし
て決まる。従つて、これらの条件を変えることに
より、繊維絡合不織布の収縮率を任意に変えるこ
とが出来る。 また、繊維絡合不織布に伸縮性を付与するため
には、多成分繊維の非弾性ポリマー繊維成分を
除去して、極細繊維束繊維あるいは微細空間を有
する繊維の変成弾性繊維Aとせねばならない。一
方、多成分繊維の少なくとも1種類の非弾性ポ
リマー繊維成分を除去して、繊維形態を極細繊維
束繊維あるいは微細空間を有する繊維の変成非弾
性繊維Bとするか、あるいは多成分繊維も各成
分に剥離分割して極細繊維束繊維の変成非弾性繊
維Bとすることによつて一層柔軟で伸縮性に富む
繊維絡合不織布となる。非弾性ポリマー繊維成分
の除去方法は、弾性ポリマー繊維成分および利用
非弾性ポリマー繊維成分の非溶剤あるいは非分解
剤であつて他の繊維成分の溶剤あるいは分解剤で
処理することによつて行われる。例えば、ポリウ
レタン・ポリオレフインあるいはポリスチレンの
繊維ではトルエン、トリクロルエチレン、パーク
ロロエチレンなど、ポリウレタン・ポリアミドの
繊維では塩化カルシウム・メタノール溶液、ポリ
ウンタン・ポリ塩化ビニル系の繊維ではシクロヘ
キサノンなどである。このように、多成分繊維か
ら1成分を除去して得た繊維あるいは多成分繊維
を処理して多数の極細繊維に分割して得た繊維
を、本発明では「変成繊維」と称する。変成繊維
は最終製品において、例えば、ポリウレタン繊維
のように膠着して明確な極細繊維束繊維の形態あ
るいは微細空間を有する繊維の形態をとらない繊
維であつても、変成された繊維であることが明確
な繊維であればよい。 多成分繊維から変成繊維にする工程は、多成分
繊維と多成分繊維とを同一工程で行うことで
も、別々の工程で行うことでもよく、更には、繊
維絡合不織布に弾性ポリマーを含有させた後でも
よい。しかし、工程の簡略さから同一工程で行う
ことが好ましい。 本発明の変成された繊維からなる繊維絡合不織
布は、繊維絡合不織布に伸ばす力が掛けられた場
合、初期には専ら変成弾性繊維Aを伸ばす力だけ
であるから大きな力は要しない、そして変成非弾
性繊維Bの変形が始まるようになつて徐々に大き
な力を要するようになる。従つて、繊維絡合不織
布の交絡による固定や、変成弾性繊維Aの膠着に
よる繊維間の固定あるいはバインダーによる固定
が外れるまでの範囲、すなわち、構造破壊が生ず
るまでの範囲が広く、その間は実質的に構造破壊
を生ずることなく伸縮性が付与できる。 また、本発明の繊維絡合不織布には伸縮性を阻
害しない範囲で弾性重合体からなるバインダー樹
脂を含有することもよい。バインダー樹脂として
用いられる弾性重合体は、例えば、ポリエステル
ジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル
エーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリ
カーボネートジオールなどのポリマージオールの
群から選ばれた少なくとも1種類と、有機ジイソ
シアネートの少なくとも1種類と、活性水素原子
を少なくとも2個有する低分子化合物を鎖伸長剤
として反応させて得たポリウレタン、アクリル酸
またはアクリル酸エステルの重合体あるいは共重
合体、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどの共
役ジエン系重合体、スチレン・ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体など
の群から選ばれた少なくとも1種類の弾性重合体
である。弾性重合体は繊維を侵さない溶剤に溶解
した溶液あるいは分散剤に分散させた分散液を用
いて不織布に含浸し、繊維および弾性重合体を侵
さない溶剤−非溶剤、非溶剤中あるいは塩水溶液
処理するまたは溶剤あるいは分散剤を蒸発処理す
ることによつて固化する。繊維絡合不織布に弾性
重合体を含有させることによつて、繊維絡合不織
布柔軟性、伸縮性及び風合いなどの性能の範囲を
広げることができる。 本発明の繊維絡合不織布は所望の厚みにスライ
ス分割して、一定の厚みにしたり、一面あるいは
両面をサンドペーパーなどでバフイングして一定
の厚みにしたり、またはそのままの厚みの繊維絡
合不織布を製品として用いる。本発明の繊維絡合
不織布は弾性ポリマーからなる変成弾性繊維A
と、非弾性ポリマーからなる変成非弾性繊維Bの
各短繊維がほぼ均一に混繊され三次元絡合されて
なり、繊維の絡合状態が変成非弾性繊維Bは緊張
した絡合状態の変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲
して全体として緩んだ組織構造に絡み合つている
不織布あるいはその不織布内に弾性重合体を含有
してなる不織布である。そして、この組織構造の
状態を確認する一つの手段として、繊維絡合不織
布から一方の繊維を除去した後の不織布の形状で
知ることができる。すなわち、弾性ポリマーの変
成弾性繊維Aを溶解あるいは分解して除去する
と、非弾性ポリマーの変成非弾性繊維Bの繊維絡
合不織布は緊張が解除されて、収縮処理前の面積
近くにまで拡大する。一方、不織布の非弾性ポリ
マーの変成非弾性繊維Bを溶解あるいは分解して
除去すると、弾性ポリマーの変成弾性繊維Aの繊
維絡合不織布は殆ど面積変化を生じることがない
かあるいは小さい面積変化に留まることから知る
ことができる。上記の繊維絡合不織布の構造によ
つて、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構
造変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大
きい伸長性、通常約15〜50%の伸長を有し、かつ
伸縮性に富み、充実感のある柔軟な風合いのもの
となる。 本発明の繊維絡合不織布は、表面にアイロン掛
けを行つて平滑面としたり、表面に弾性重合体の
被膜を形成あるいは皮膜を付与して銀面に仕上げ
て、銀付皮革様シートとしたり、表面に繊維立毛
処理を施して仕上げてスエード調皮革様シートと
することができる。 本発明の繊維絡合不織布はサポーター、バンド
類、医療用品、衣料用あるいは衣料用パーツ、皮
革様シートとしてインテリア用、外衣用、カーシ
ート、その他多くの有用な用途を有している。 <実施例> 次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例中の部および%はこと
わりのない限り、重量に関するものである。 実施例1〜4、比較例1、2 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)40部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍に延伸し、
捲縮し、繊維長51mmに切断して繊度6デニールの
ステープル繊維(以下繊維1と称す)得た。一
方、ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)50
部と低密度ポリエチレン50部からなり、ポリエチ
レンが海成分となつた2成分繊維を溶融紡糸法で
作り、延伸、熱処理、捲縮し、繊維長51mmに切断
して繊度4デニールのステープル繊維(以下繊維
1と称す)を得た。 次いで繊維1及び繊維1を第1表に示した比
率で混繊し、カードにかけて開繊した後、ランダ
ムウエバーでランダムウエブを形成し、針番手
#40の針で繊維ウエブを両面から交互に合計560
パンチ/cm2のニードルパンチングによる三次元絡
合処理を行い、重さ約400g/m2の繊維絡合不織
布を作つた。この繊維絡合不織布をテフロンコー
テイングシート上に載置し、無緊張状態で135℃
の熱風中で熱処理して繊維絡合不織布に収縮を付
与した。 収縮処理した繊維絡合不織布を約80℃の熱パー
クロルエチレン中に浸漬−絞りを繰り返してポリ
エチレンを溶解除去した後、風乾して溶剤を除去
し、約130℃の熱風中で乾燥熱処理を施して、ポ
リウレタン繊維同士の接している部分に膠着によ
る接着点を形成させた。得られた繊維絡合不織布
はポリウレタン変成繊維とナイロン−6極細繊維
束繊維が良好な混繊状態で存在し、ポリエチレン
を溶解した繊維はしなやかになり、絡合結節点が
多くできていて良好な伸縮性が得られ、30%伸長
しても構造変形を生じなかつた。得られた繊維絡
合不織布の状態を第1表に示した。 本発明の繊維絡合不織布は柔軟性があり、繊維
絡合不織布特有の繊維質感が少ないあるいはない
ものであつた。実施例1及び2の厚物試料は表面
にアイロン掛けして平滑面とし、着色したものは
カジユアルシユーズ用として使用出来る素材であ
る。また、薄物にしてサポーターに使用出来る素
材である。実施例3及び4の試料は表面に毛羽立
て処理を施して、スエード類似の素材が得られ
る。
【表】
上記の実施例で得られた繊維絡合不織布を拡大
して観察した結果、ポリウレタン変成繊維は緊張
した状態にあるのに対して、ナイロン−6極細繊
維束繊維は緩んだ状態を有していた。一方、比較
例の繊維絡合不織布ではこのような状態が観察さ
れなかつた。 実施例5〜7、比較例3 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部とスチレン共重合体(50%伸長せず)
40部からなる2成分繊維を溶融紡糸法で作り、
2.5倍に延伸し、捲縮、繊維長51mmに切断して繊
度6デニールのステーブル繊維(以下繊維2と
称す)を得た。一方ポリエチレンテレフタレート
(伸長弾性回復率50%未満)50部と低密度ポリエ
チレン50部からなり、ポリエチレンが海成分とな
つた2成分繊維を溶融紡糸法で作り、延伸、熱処
理、捲縮、繊維長51mmに切断して繊度4デニール
の非収縮性ステープル繊維(以下繊維2と称す)
を得た。 次いで繊維2および繊維2を第2表に示した
比率で混繊し、カードにかけて解繊した後、クロ
スラツプウエブを形成し、針番手#40の針で繊維
ウエブを両面から交互に合計700パンチ/cm2のニ
ードルパンチングによる三次元絡合処理を行い、
重さ約750g/m2の繊維絡合不織布を作つた。こ
の繊維絡合不織布を約85℃の熱パークロルエチレ
ン中に無緊張状態で導入し、繊維中のスチレン共
重合体とポリエチレンの溶解除去と繊維絡合不織
布の収縮を同一処理工程で行つた。溶液を絞液除
去後プレスして約80℃の熱風中で乾燥した。得ら
れた繊維絡合不織布はポリウレタン繊維同士の接
している部分に膠着による接着点を形成してお
り、更にポリウレタン繊維と極細ポリエチレンテ
レフタレート繊維束繊維が良好な混繊状態でしな
やかであるため繊維絡合結節点が多くできていて
良好な伸縮性を示し、30%伸長しても構造変形を
生じなかつた。得られた繊維絡合不織布の状態を
第2表に示した。 これら実施例で得られた繊維絡合不織布の繊維
の状態を拡大して観察したところ、実施例1〜4
と同様であつた。
して観察した結果、ポリウレタン変成繊維は緊張
した状態にあるのに対して、ナイロン−6極細繊
維束繊維は緩んだ状態を有していた。一方、比較
例の繊維絡合不織布ではこのような状態が観察さ
れなかつた。 実施例5〜7、比較例3 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部とスチレン共重合体(50%伸長せず)
40部からなる2成分繊維を溶融紡糸法で作り、
2.5倍に延伸し、捲縮、繊維長51mmに切断して繊
度6デニールのステーブル繊維(以下繊維2と
称す)を得た。一方ポリエチレンテレフタレート
(伸長弾性回復率50%未満)50部と低密度ポリエ
チレン50部からなり、ポリエチレンが海成分とな
つた2成分繊維を溶融紡糸法で作り、延伸、熱処
理、捲縮、繊維長51mmに切断して繊度4デニール
の非収縮性ステープル繊維(以下繊維2と称す)
を得た。 次いで繊維2および繊維2を第2表に示した
比率で混繊し、カードにかけて解繊した後、クロ
スラツプウエブを形成し、針番手#40の針で繊維
ウエブを両面から交互に合計700パンチ/cm2のニ
ードルパンチングによる三次元絡合処理を行い、
重さ約750g/m2の繊維絡合不織布を作つた。こ
の繊維絡合不織布を約85℃の熱パークロルエチレ
ン中に無緊張状態で導入し、繊維中のスチレン共
重合体とポリエチレンの溶解除去と繊維絡合不織
布の収縮を同一処理工程で行つた。溶液を絞液除
去後プレスして約80℃の熱風中で乾燥した。得ら
れた繊維絡合不織布はポリウレタン繊維同士の接
している部分に膠着による接着点を形成してお
り、更にポリウレタン繊維と極細ポリエチレンテ
レフタレート繊維束繊維が良好な混繊状態でしな
やかであるため繊維絡合結節点が多くできていて
良好な伸縮性を示し、30%伸長しても構造変形を
生じなかつた。得られた繊維絡合不織布の状態を
第2表に示した。 これら実施例で得られた繊維絡合不織布の繊維
の状態を拡大して観察したところ、実施例1〜4
と同様であつた。
【表】
実施例8〜11、比較例4
ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)50部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)50部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍延伸、捲
縮、切断して、繊度6デニール、繊維長51mmの原
綿(以下繊維3と称す)を得た。 一方、ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)
50部と上記低密度ポリエチレン50部からなり、ポ
リエチレンが海成分となつた2成分繊維を溶融紡
糸法で作り、延伸、捲縮、切断して、繊度4デニ
ール、繊維長51mmの原綿(以下繊維3と称す)
を得た。 次いで繊維3を40部と繊維3を60部を混繊
し、カードを通してランダムウエバーでランダム
ウエブを作り、#40のニードルでウエブを両面か
ら交互に合計420パンチ/cm2のニードルパンチに
よる三次元絡合処理を行い、重さ約500g/m2の
繊維絡合不織布を作つた。この繊維絡合不織布を
固形分濃度4%のポリウレタン水分散液中に浸漬
した後、搾液ロールで含液率80%に搾液した。そ
して、テフロンコーテイングを施したシート上に
載置し、実質的に無緊張状態で130℃の熱風乾燥
機で乾燥した。乾燥した繊維絡合不織布は縦、横
方向とも長さで約35%収縮(面積収縮率約57%)
していた。 次いで80℃のパークロルエチレン中に繊維絡合
不織布を浸漬して繊維3及び3中のポリエチレ
ンを溶解除去し、約80℃の熱風乾燥機で乾燥し
た。得られたポリウレタン含有繊維絡合不織布は
ポリウレタンとナイロン−6の微細デニール繊維
の収束状繊維がよく絡合した重さ約630g/m2、
最終面積収縮率約60%のシート状物であつた。こ
のシート状物の厚さのほぼ中央付近をバンドマシ
ンナイフでスライスし、2分割した後、ポリビニ
ルアルコール5%濃度の水溶液を含浸し、乾燥
し、続いて行うシート状物の処理における伸びを
抑えた。そしてサンドペーパーでスライス面をバ
フイングして厚みを均一にした後、表面をバフイ
ングして厚み0.6mmの繊維立毛を有するスエード
調表面にした。得られたシート状物を金属錯塩染
料濃度2%owf.、温度90℃、時間60分で染色し、
乾燥した後、もみ処理、表面をブラツシングして
スエード調人工皮革を得た(実施例8の試料)。
この人工皮革はライテイング効果を有し、両方向
に高い伸縮性をもち、かつ極めて柔軟性に富んで
おり、しわが生じ難いものであつた。 上記と同一の製造法において、繊維3と繊維
3の混繊比率を第3表の如く種々変えてスエー
ド調人工皮革を作つた。得られた人工皮革の特性
を第3表に示した。更に、各実施例の試料および
比較例の試料を30%伸長−回復を10回繰り返した
後、33時間放置して回復率を求めた結果、実施例
8〜11の試料は99〜100%回復したのに対して比
較例4の試料は58%であつた。
100%)50部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)50部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍延伸、捲
縮、切断して、繊度6デニール、繊維長51mmの原
綿(以下繊維3と称す)を得た。 一方、ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)
50部と上記低密度ポリエチレン50部からなり、ポ
リエチレンが海成分となつた2成分繊維を溶融紡
糸法で作り、延伸、捲縮、切断して、繊度4デニ
ール、繊維長51mmの原綿(以下繊維3と称す)
を得た。 次いで繊維3を40部と繊維3を60部を混繊
し、カードを通してランダムウエバーでランダム
ウエブを作り、#40のニードルでウエブを両面か
ら交互に合計420パンチ/cm2のニードルパンチに
よる三次元絡合処理を行い、重さ約500g/m2の
繊維絡合不織布を作つた。この繊維絡合不織布を
固形分濃度4%のポリウレタン水分散液中に浸漬
した後、搾液ロールで含液率80%に搾液した。そ
して、テフロンコーテイングを施したシート上に
載置し、実質的に無緊張状態で130℃の熱風乾燥
機で乾燥した。乾燥した繊維絡合不織布は縦、横
方向とも長さで約35%収縮(面積収縮率約57%)
していた。 次いで80℃のパークロルエチレン中に繊維絡合
不織布を浸漬して繊維3及び3中のポリエチレ
ンを溶解除去し、約80℃の熱風乾燥機で乾燥し
た。得られたポリウレタン含有繊維絡合不織布は
ポリウレタンとナイロン−6の微細デニール繊維
の収束状繊維がよく絡合した重さ約630g/m2、
最終面積収縮率約60%のシート状物であつた。こ
のシート状物の厚さのほぼ中央付近をバンドマシ
ンナイフでスライスし、2分割した後、ポリビニ
ルアルコール5%濃度の水溶液を含浸し、乾燥
し、続いて行うシート状物の処理における伸びを
抑えた。そしてサンドペーパーでスライス面をバ
フイングして厚みを均一にした後、表面をバフイ
ングして厚み0.6mmの繊維立毛を有するスエード
調表面にした。得られたシート状物を金属錯塩染
料濃度2%owf.、温度90℃、時間60分で染色し、
乾燥した後、もみ処理、表面をブラツシングして
スエード調人工皮革を得た(実施例8の試料)。
この人工皮革はライテイング効果を有し、両方向
に高い伸縮性をもち、かつ極めて柔軟性に富んで
おり、しわが生じ難いものであつた。 上記と同一の製造法において、繊維3と繊維
3の混繊比率を第3表の如く種々変えてスエー
ド調人工皮革を作つた。得られた人工皮革の特性
を第3表に示した。更に、各実施例の試料および
比較例の試料を30%伸長−回復を10回繰り返した
後、33時間放置して回復率を求めた結果、実施例
8〜11の試料は99〜100%回復したのに対して比
較例4の試料は58%であつた。
【表】
【表】
また、実施例10の人工皮革は極めて充実感に富
み、50%伸長に対しても95%の弾性回復率を示し
た。しかし、この人工皮革は、いわゆるスエード
調人工皮革とするには立毛が少ないので、表面を
120℃のフラツトロール面に接触させて平滑化処
理した後、ポリウレタン20%水分散液をグラビア
ロールで塗布し、更にポリウレタン10%溶液をグ
ラビアロールで塗布した。そして、ポリウレタン
塗布面を加熱エンボスロールでエンボシングして
銀付き人工皮革とした。この人工皮革は充実感と
伸縮性に優れ、靴甲皮用素材に適していた。 これらの実施例で得られた人工皮革の内部の繊
維の状態を拡大して観察した結果、ポリエステル
系ポリウレタンからなる繊維(集束体)はバイン
ダー樹脂による固定点または交絡による固定点の
間において緊張状態にあるのに対してナイロン−
6からなる極細繊維束繊維は緩んだ状態にあるこ
とが確認された。 実施例 12 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部とポリスチレン(50%伸長せず)40
部を溶融紡糸して得た繊度6デニールの2成分系
繊維(以下繊維4と称す)、およびポリエチレン
テレフタレート(伸長弾性回復率50%未満)50部
と前記低密度ポリエチレン50部を溶融紡糸して得
たポリエチレンが海成分である繊度4デニールの
2成分繊維(以下繊維4と称す)を用い、この
繊維4を30部および繊維4を70部混繊し、ラン
ダムウエブを作り、ニードルパンチングにより三
次元絡合して絡合絡合不織布とした後、温度90℃
のパークロルエエチレンで繊維中のポリスチレン
とポリエチレンを溶解除去し、約80℃の熱風乾燥
機で乾燥した。得られた繊維絡合不織布は面積収
縮率約30%の収縮を生じていた。得られた繊維絡
合不織布にバインダー樹脂として固形分濃度4%
のポリウレタン水分散液を約100%含浸し、テフ
ロンコーテイングを施したシート上に載置し、無
緊張状態で温度130℃の熱風乾燥機で乾燥した。
得られた繊維絡合不織布に実施例10と同様の表面
処理および造面・仕上げを行い銀付き人工皮革を
作つた。この人工皮革はやや反発性が大きいが柔
軟性及び伸縮性に富んだ素材であつた。また、こ
の人工皮革の内部の繊維の状態は、実施例8〜11
と同様、ポリウレタン繊維が緊張状態にあるのに
対してポリエチレンテレフタレート極細繊維束繊
維は緩んだ状態であつた。 比較例 5 比較のために、実施例12で得た繊維4を温水
槽に通して自由収縮した後、実施例12と同様にし
て、ランダムウエブとし、そして繊維絡合不織布
を作り、ポリスチレンおよびポリエチレンを溶解
除去し、熱風下で処理した後、バインダー樹脂を
付与した。得られた繊維絡合不織布には実質的に
収縮が生じていなかつた。 この繊維絡合不織布から得られた人工皮革は反
発性が大きいが伸縮性が小さく、30%伸長した場
合の回復率は68%にすぎず、構造破壊が生じてい
た。また、この繊維絡合不織布の繊維の状態を拡
大して観察したところ、ポリウレタンからなる繊
維とポリエチレンテレフタレートからなる繊維の
間において緊張状態にほとんど差が認められなか
つた。 実施例 13 低密度ポリエチレン40部とポリエステル系ポリ
ウレタン(伸長弾性回復率100%)60部を溶融紡
糸して得た繊度6デニールの2成分繊維(以下繊
維5と称す)、および低密度ポリエチレン50部と
ナイロン−6を50部を溶融紡糸して得たポリエチ
レンが海成分となつている繊度4デデニールの2
成分繊維(以下繊維5と称す)を用い、この繊
維5を20部および繊維5を80部を混繊し、クロ
スラツプウエブを作り、ニードルパンチングによ
り三次元絡合して繊維絡合不織布とした後、布帛
上に載置して135℃の熱風乾燥機に通して熱処理
した。得られた繊維絡合不織布は面積収縮率が約
20%、見掛け密度0.40、繊維構成ポリエチレンの
一部が繊維交点において融着し、やや板状の硬さ
を有するものとなつた。この熱処理した繊維絡合
不織布にポリエーテル系ポリウレタン濃度10%の
ジメチルホルムアミド溶液(但し、この溶液には
水が1%含まれている。水が1%含まれているこ
とにより、繊維を構成しているポリウレタンが溶
媒のジメチルホルムアミドにより侵されず、また
溶液中のポリウレタンも実質的に凝固しない。)
を飽充させた後ジメチルホルムアミド30%水溶液
に浸漬して凝固し、温度90℃のトルエン中でポリ
エチレンを溶解除去した。得られた繊維絡合不織
布をサンドペーパーでバフイングし、染色処理、
柔軟化処理、フラツシング等の仕上げ処理を施し
てスエード調人工皮革を得た。 この人工皮革は極めて立毛性に優れ、毛羽密度
が高く、ライテイング効果の大きいものであり、
更に柔軟性、伸縮性および充実感に富んだもの
で、衣料用、特にスポーツ衣料用に適した素材で
あつた。また、この人工皮革も、その内部の繊維
の状態は実施例8〜11と同様であつた。 <発明の効果> 本発明の繊維絡合不織布は極細繊維束繊維また
は/および微細空間を有する繊維に変成された変
成繊維の三次元絡合で構成され、繊維の絡合性に
優れ、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構
造変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大
きい伸長性を有し、かつ伸長性に富み、充実感の
ある柔軟な風合いであつて、人工皮革の基体とし
て適した繊維絡合不織布である。 更に、本発明の繊維絡合不織布は、表面に立毛
処理を施すことによつて、極細繊維立毛密度の高
いスエード調表面の高伸縮性人工皮革が、また表
面に弾性重合体の皮膜層を付与して、銀面層に仕
上げることによつて、高伸縮性銀付き人工皮革が
得られる。
み、50%伸長に対しても95%の弾性回復率を示し
た。しかし、この人工皮革は、いわゆるスエード
調人工皮革とするには立毛が少ないので、表面を
120℃のフラツトロール面に接触させて平滑化処
理した後、ポリウレタン20%水分散液をグラビア
ロールで塗布し、更にポリウレタン10%溶液をグ
ラビアロールで塗布した。そして、ポリウレタン
塗布面を加熱エンボスロールでエンボシングして
銀付き人工皮革とした。この人工皮革は充実感と
伸縮性に優れ、靴甲皮用素材に適していた。 これらの実施例で得られた人工皮革の内部の繊
維の状態を拡大して観察した結果、ポリエステル
系ポリウレタンからなる繊維(集束体)はバイン
ダー樹脂による固定点または交絡による固定点の
間において緊張状態にあるのに対してナイロン−
6からなる極細繊維束繊維は緩んだ状態にあるこ
とが確認された。 実施例 12 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部とポリスチレン(50%伸長せず)40
部を溶融紡糸して得た繊度6デニールの2成分系
繊維(以下繊維4と称す)、およびポリエチレン
テレフタレート(伸長弾性回復率50%未満)50部
と前記低密度ポリエチレン50部を溶融紡糸して得
たポリエチレンが海成分である繊度4デニールの
2成分繊維(以下繊維4と称す)を用い、この
繊維4を30部および繊維4を70部混繊し、ラン
ダムウエブを作り、ニードルパンチングにより三
次元絡合して絡合絡合不織布とした後、温度90℃
のパークロルエエチレンで繊維中のポリスチレン
とポリエチレンを溶解除去し、約80℃の熱風乾燥
機で乾燥した。得られた繊維絡合不織布は面積収
縮率約30%の収縮を生じていた。得られた繊維絡
合不織布にバインダー樹脂として固形分濃度4%
のポリウレタン水分散液を約100%含浸し、テフ
ロンコーテイングを施したシート上に載置し、無
緊張状態で温度130℃の熱風乾燥機で乾燥した。
得られた繊維絡合不織布に実施例10と同様の表面
処理および造面・仕上げを行い銀付き人工皮革を
作つた。この人工皮革はやや反発性が大きいが柔
軟性及び伸縮性に富んだ素材であつた。また、こ
の人工皮革の内部の繊維の状態は、実施例8〜11
と同様、ポリウレタン繊維が緊張状態にあるのに
対してポリエチレンテレフタレート極細繊維束繊
維は緩んだ状態であつた。 比較例 5 比較のために、実施例12で得た繊維4を温水
槽に通して自由収縮した後、実施例12と同様にし
て、ランダムウエブとし、そして繊維絡合不織布
を作り、ポリスチレンおよびポリエチレンを溶解
除去し、熱風下で処理した後、バインダー樹脂を
付与した。得られた繊維絡合不織布には実質的に
収縮が生じていなかつた。 この繊維絡合不織布から得られた人工皮革は反
発性が大きいが伸縮性が小さく、30%伸長した場
合の回復率は68%にすぎず、構造破壊が生じてい
た。また、この繊維絡合不織布の繊維の状態を拡
大して観察したところ、ポリウレタンからなる繊
維とポリエチレンテレフタレートからなる繊維の
間において緊張状態にほとんど差が認められなか
つた。 実施例 13 低密度ポリエチレン40部とポリエステル系ポリ
ウレタン(伸長弾性回復率100%)60部を溶融紡
糸して得た繊度6デニールの2成分繊維(以下繊
維5と称す)、および低密度ポリエチレン50部と
ナイロン−6を50部を溶融紡糸して得たポリエチ
レンが海成分となつている繊度4デデニールの2
成分繊維(以下繊維5と称す)を用い、この繊
維5を20部および繊維5を80部を混繊し、クロ
スラツプウエブを作り、ニードルパンチングによ
り三次元絡合して繊維絡合不織布とした後、布帛
上に載置して135℃の熱風乾燥機に通して熱処理
した。得られた繊維絡合不織布は面積収縮率が約
20%、見掛け密度0.40、繊維構成ポリエチレンの
一部が繊維交点において融着し、やや板状の硬さ
を有するものとなつた。この熱処理した繊維絡合
不織布にポリエーテル系ポリウレタン濃度10%の
ジメチルホルムアミド溶液(但し、この溶液には
水が1%含まれている。水が1%含まれているこ
とにより、繊維を構成しているポリウレタンが溶
媒のジメチルホルムアミドにより侵されず、また
溶液中のポリウレタンも実質的に凝固しない。)
を飽充させた後ジメチルホルムアミド30%水溶液
に浸漬して凝固し、温度90℃のトルエン中でポリ
エチレンを溶解除去した。得られた繊維絡合不織
布をサンドペーパーでバフイングし、染色処理、
柔軟化処理、フラツシング等の仕上げ処理を施し
てスエード調人工皮革を得た。 この人工皮革は極めて立毛性に優れ、毛羽密度
が高く、ライテイング効果の大きいものであり、
更に柔軟性、伸縮性および充実感に富んだもの
で、衣料用、特にスポーツ衣料用に適した素材で
あつた。また、この人工皮革も、その内部の繊維
の状態は実施例8〜11と同様であつた。 <発明の効果> 本発明の繊維絡合不織布は極細繊維束繊維また
は/および微細空間を有する繊維に変成された変
成繊維の三次元絡合で構成され、繊維の絡合性に
優れ、繰り返し伸長変形を行つても、実質的に構
造変形あるいは構造破壊を生じない伸長範囲が大
きい伸長性を有し、かつ伸長性に富み、充実感の
ある柔軟な風合いであつて、人工皮革の基体とし
て適した繊維絡合不織布である。 更に、本発明の繊維絡合不織布は、表面に立毛
処理を施すことによつて、極細繊維立毛密度の高
いスエード調表面の高伸縮性人工皮革が、また表
面に弾性重合体の皮膜層を付与して、銀面層に仕
上げることによつて、高伸縮性銀付き人工皮革が
得られる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ポリウレタンエラストマーを主体とする弾性
ポリマーAからなり極細繊維束繊維もしくは微細
空間を有する繊維である変成弾性繊維Aの短繊維
と非弾性ポリマーBからなり極細繊維束繊維もし
くは微細空間を有する繊維である変成非弾性繊維
Bの短繊維とが混繊され、三次元絡合してなる繊
維絡合不織布であつて、該不織布内の繊維の絡合
状態が、変成非弾性繊維Bは緊張した絡合状態の
変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲して緩んだ組織
構造に絡合してなることを特徴とする繊維絡合不
織布。 2 ポリウレタンエラストマーを主体とする弾性
ポリマーAからなり極細繊維束繊維もしくは微細
空間を有する繊維である変成弾性繊維Aの短繊維
と非弾性ポリマーBからなり極細繊維束繊維もし
くは微細空間を有する繊維である変成非弾性繊維
Bの短繊維とが混繊され、三次元絡合してなる繊
維絡合不織布であつて、該不織布内の繊維の絡合
状態が、変成非弾性繊維Bは緊張した絡合状態の
変成弾性繊維Aにより屈折・屈曲して緩んだ組織
構造に絡合してなる繊維絡合不織布の繊維絡合空
間に、弾性ポリマーを主体とする重合体が含有し
てなることを特徴とする繊維絡合不織布。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63318067A JPH0214056A (ja) | 1988-12-15 | 1988-12-15 | 繊維絡合不織布 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63318067A JPH0214056A (ja) | 1988-12-15 | 1988-12-15 | 繊維絡合不織布 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58084481A Division JPS59211666A (ja) | 1983-05-13 | 1983-05-13 | 伸縮性良好な絡合不織布の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0214056A JPH0214056A (ja) | 1990-01-18 |
JPH0320504B2 true JPH0320504B2 (ja) | 1991-03-19 |
Family
ID=18095113
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63318067A Granted JPH0214056A (ja) | 1988-12-15 | 1988-12-15 | 繊維絡合不織布 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0214056A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7829486B2 (en) | 2003-02-06 | 2010-11-09 | Kuraray Co., Ltd. | Stretchable leather-like sheet substrate and process for producing same |
BR112016005399B1 (pt) * | 2013-09-13 | 2022-09-06 | The Lycra Company Uk Limited | Estrutura laminada e método para preparar uma estrutura laminada |
DE102015212417B4 (de) * | 2015-07-02 | 2020-02-20 | Sgl Carbon Se | Verwendung von dünnen Carbonfaservliesen hergestellt durch einen Horizontalspaltprozess |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5221479A (en) * | 1975-06-06 | 1977-02-18 | Procter & Gamble | Manufacturing method and apparatus for randomm arranged bonded continuous filament cloth |
-
1988
- 1988-12-15 JP JP63318067A patent/JPH0214056A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5221479A (en) * | 1975-06-06 | 1977-02-18 | Procter & Gamble | Manufacturing method and apparatus for randomm arranged bonded continuous filament cloth |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0214056A (ja) | 1990-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4419549B2 (ja) | 極細短繊維不織布および皮革様シート状物ならびにそれらの製造方法 | |
JP4204707B2 (ja) | 人工皮革用繊維質基体およびこれを用いた人工皮革 | |
KR20080083317A (ko) | 인공 피혁용 기재 및 그 제조 방법 | |
JPH0762302B2 (ja) | 繊維絡合体およびその製造法 | |
KR101084414B1 (ko) | 신축성을 갖는 피혁 모양 시트 기체 및 그의 제조방법 | |
JP6583276B2 (ja) | シート状物とその製造方法 | |
KR20050021265A (ko) | 인공 피혁 및 그 제조 방법 | |
JP3366504B2 (ja) | 柔軟なヌバック調人工皮革及びその製造方法 | |
JP3128333B2 (ja) | 柔軟なスエード調人工皮革及びその製造方法 | |
JPH0320504B2 (ja) | ||
JP3103434B2 (ja) | 柔軟なスエード調人工皮革及び製造方法 | |
JP3215739B2 (ja) | 極細繊維シートの起毛方法 | |
JP3939378B2 (ja) | 立毛シート及びその製造方法 | |
JPH0141742B2 (ja) | ||
JPS59211664A (ja) | 伸縮性良好なシ−ト物およびその製造方法 | |
TWI342351B (en) | Leather-like sheet and production method thereof | |
JP2001131877A (ja) | 人工皮革基体 | |
JP2001214377A (ja) | 皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP2001192976A (ja) | 人工皮革用基材およびその製造方法 | |
JP4429751B2 (ja) | 伸縮性を有する皮革様シート基体およびその製造方法 | |
JPS6045625A (ja) | 超交絡層を有する不織ヤ−ン | |
JP2001214378A (ja) | 皮革様シートおよびその製造方法 | |
JP2004197232A (ja) | 皮革様シート状物およびその製造方法 | |
JP2003193375A (ja) | ストレッチ性人工皮革およびその製造方法 | |
JPH01229882A (ja) | 人工皮革用基体の製造法 |