JPH0310579B2 - - Google Patents
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- JPH0310579B2 JPH0310579B2 JP8842684A JP8842684A JPH0310579B2 JP H0310579 B2 JPH0310579 B2 JP H0310579B2 JP 8842684 A JP8842684 A JP 8842684A JP 8842684 A JP8842684 A JP 8842684A JP H0310579 B2 JPH0310579 B2 JP H0310579B2
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Description
本発明は、オキシ水酸化鉄粒子を製造する方法
の改良に関するものである。 更に詳しくは、本発明は、粒子形状、粒度分
布、分酸性等の改良を目的とした楕円体(米粒
状)のオキシ水酸化鉄粒子の製法に関するもので
ある。 オキシ水酸化鉄は、黄色顔料や赤色顔料の原料
として、またマグネタイト、γ−酸化鉄、金属鉄
等の磁性材の原料として広く使用されている。顔
料、磁性材等においては、その粒子形状を含め、
顔料、磁性材等を塗料化する場合にこれらが高い
分散性を有していることが非常に重要である。 塗料化における分散性の良否は、原料であるオ
キシ水酸化鉄の粒子形状、粒度分布、分散性等に
大きく影響され、オキシ水酸化鉄の粒子形状が針
状であつたり、粒度分布幅が広かつたり、分散性
が悪かつたりするオキシ水酸化鉄を利用して顔
料、磁性材等を製造した場合はこれらを塗料化す
る場合の分散性が悪くなる。 それ故顔料、磁性材等の原料に使用するオキシ
水酸化鉄としては、分散性が良く、粒子の大きさ
が良く揃つた粒度分布幅の狭いものが望ましく、
また分酸性を良くするためには粒子長(長軸)が
0.05〜0.5μmで軸比が2〜5程度の米粒状のもの
が望ましい。また磁性材の用途においてはオキシ
水酸化鉄の還元、酸化等の熱処理時に凝集、焼結
等を生じさせないようなものが望ましい。 また磁性材、特に磁気テープ、フロツピーデイ
スク等の磁気記録媒体用の磁性材としては、針状
のγ−酸化鉄、金属鉄等が多用されているが、記
録の高密度化に対する要求に伴い、従来の面内磁
気記録方式にかえて垂直磁気記録方式の開発が進
められるにつれて磁性材の粒子形状も垂直磁気記
録方式に適したものを開発する必要が生じてい
る。 従来オキシ水酸化鉄の製法としては、すでに多
数の方法が提案されているが、その大部分は針状
のオキシ水酸化鉄の製造を目的としたものであ
り、これら方法で得られるオキシ水酸化鉄は顔
料、磁性材等の原料として多用されているが、一
般に軸比が10以上の針状で粒子の大きさも不揃い
で分散性もあまり良いものとはいえない。 一方米粒状のオキシ水酸化鉄の製造法に関して
は、例えば次のような方法が提案されている。 (1) 30℃以下の温度のアルカリ水溶液に第2鉄塩
溶液を加えて水酸化第2鉄を調製し、熟成した
後、120〜250℃の温度で水熱処理して米粒状の
オキシ水酸化鉄を得る方法(特開昭58−49693
号公報、特開昭58−49694号公報、特公昭53−
28158号公報等)。 (2) 第1鉄塩溶液に苛性ソーダ等の苛性アルカリ
溶液を加え50℃以下の温度で水酸化第1鉄を生
成させ、45〜70℃の温度で重炭酸アンモニウム
等の酸性炭酸塩を加えて炭酸第1鉄にし、次い
で酸素含有ガスを通気して炭酸第1鉄をオキシ
水酸化鉄にする方法(特開昭50−65499号公
報)、および特開昭49−42597号公報、特開昭49
−42598号公報、特開昭49−42599号公報等に記
載の方法。 しかしながら上記(1)および(2)の方法とも得られ
るオキシ水酸化鉄は、分散性が十分によいとはい
えず改良の余地がある。さらに(1)の方法において
は第1鉄塩と比較して高価な第2鉄塩を必要と
し、またオキシ水酸化鉄の粒度分布幅が広かつた
り、軸比が比較的に大きいなどの問題点があり、
また(2)の方法においても軸比が大きく微細な針状
に近い形状を有していたり、粒度分布幅も広い等
の問題点があり、これらの方法では、粒子長が
0.05〜0.5μm、軸比が5以下で、粒子長が平均粒
子長に対し±20%の範囲におさまるような粒度分
布幅の狭い分散性のよい米粒状のオキシ水酸化鉄
粒子を得ることは困難である。 本発明者らは、これらの実情に鑑み、顔料、磁
性材等の原料として使用されるオキシ水酸化鉄の
粒子形状、粒度分布、分散性等の改良することを
目的として米粒状オキシ水酸化鉄の製造に関し鋭
意研究を行つた結果、軸比を小さくし、粒度分布
幅を狭くするにはクロムの添加が有効であり、特
定の条件で(1)および(2)の方法を組合せると、きれ
いな粒子形状をした分散性のよい米粒状のオキシ
水酸化鉄を得ることができ、従来法の難点が改良
されることを知見し、本発明に到つた。 本発明は、第1鉄塩水溶液に50℃以下の温度で
苛性アルカリを加えて水酸化第1鉄を生成させる
際に水溶性クロム化合物を加えてクロム含有水酸
化第1鉄スラリを得る第1工程、該工程で得られ
たスラリに50℃以下の温度で重炭酸アンモニウム
を加えてクロム含有炭酸第1鉄を生成させた後、
酸素含有ガスを導入してクロム含有オキシ水酸化
鉄スラリを得る第2工程、および第2工程で得ら
れたスラリを120〜250℃の温度で水熱処理した
後、クロム含有オキシ水酸化鉄粒子を回収する第
3工程からなるオキシ水酸化鉄粒子の製法に関す
るものである。 本発明によると、分散性が非常に良い軸比が5
以下、特に2〜5で、粒子長が平均粒子長に対し
±20%の範囲におさまるような粒度分布幅の狭い
粒子形状の揃つた米粒状のオキシ水酸化鉄粒子が
得られる。また本発明によつて得られるオキシ水
酸化鉄粒子は、黄色顔料や赤色顔料の原料とし
て、またマグネタイト、γ−酸化鉄、金属鉄等の
磁性材の原料として好適であり、磁性材は垂直磁
気記録方式で使用される磁気記録媒体用に適して
いる。 次に本発明の構成について詳細に説明する。 〔第1工程〕 第1鉄塩水溶液に50℃以下の温度で苛性アルカ
リを加えて水酸化第1鉄を生成させる際に水溶性
クロム化合物を加えてクロム含有水酸化第1鉄ス
ラリにする。 第1鉄塩としては一般に硫酸第1鉄、塩化第1
鉄等が使用されるが、特に硫酸第1鉄が好適であ
る。苛性アルカリとしては苛性ソーダ、苛性カリ
等が使用される。水溶性クロム化合物としては一
般に硫酸クロム、硝酸クロム、塩化第1クロム等
が使用される。 水溶性クロム化合物は第1鉄塩の水溶液を調製
する際に加えるのが好ましいが、苛性アルカリを
加えた後に加えることもできる。水溶性クロム化
合物の添加量は、Cr/Fe(原子比)が0.001〜0.1、
好ましくは0.005〜0.05になるようにするのが望
ましく、少なすぎると軸比が大きくなつたり、粒
度分布幅が広くなつたりして水溶性クロム化合物
を添加した効果が十分でなく、多すぎると磁性材
にしたときの磁気特性に悪影響がある。 第1鉄塩水溶液は、第1鉄塩の濃度が0.1〜
1mol/になるように調製するのが適当である。 苛性アルカリは、その添加量が多すぎるとマグ
ネタイトが副生するので、一般には第1鉄塩に対
して1〜2倍当量になるように加えるのが望まし
い。苛性アルカリを加えてクロム含有水酸化第1
鉄スラリを得る際の温度は50℃以下、好ましくは
0〜45℃が、粒子長を0.05〜0.5μmの範囲内でコ
ントロールするうえで好適である。温度が高すぎ
ると粒子が長大になり易く、また経済的にみて温
度を過度に低くする利点はない。 第1鉄塩および水溶性クロム化合物は苛性アル
カリと反応して水酸化物となり、第1工程ではク
ロム含有水酸化第1鉄スラリが得られる。 〔第2工程〕 第1工程で得られたスラリに50℃以下の温度で
重炭酸アンモニウムを加えてクロム含有炭酸第1
鉄を生成させた後、酸素含有ガスを導入してクロ
ム含有オキシ水酸化鉄スラリにする。 重炭酸アンモニウムを加えてクロム含有炭酸第
1鉄を生成させる際の温度は50℃以下、好ましく
は0〜45℃にする必要がある。50℃より高い温度
では最終的に得られるクロム含有オキシ水酸化鉄
粒子の軸比が大きくなり易く、温度が低すぎると
反応の進行が遅くなる。 重炭酸アンモニウムの添加量は、水酸化第1鉄
に対して1〜2倍当量、好ましくは1.1〜1.5倍当
量が好適である。重炭酸アンモニウムの添加量が
少なすぎるとクロム含有炭酸第1鉄の生成が十分
でなく、過度に多く添加するのは経済的でない。
重炭酸アンモニウムを添加するとクロム含有オキ
シ水酸化鉄は反応してクロム含有炭酸第1鉄が生
成するが、重炭酸アンモニウム添加後、50℃以
下、好ましくは0〜45℃の温度で撹拌下に1〜10
時間程度熟成しするのが望ましい。 酸素含有ガスを導入してクロム含有炭酸第1鉄
を酸化し、クロム含有オキシ水酸化鉄スラリにす
る際の温度は、50℃以下、好ましくは0〜45℃が
均斉のとれたクロム含有オキシ水酸化鉄粒子にす
るうえで適当である。酸素含有ガスのスラリ中へ
の導入は、一般にスラリに酸素含有ガスを吹きこ
む方法が採用され、酸素含有ガスとしては一般に
空気が便利に使用される。酸素含有ガスの導入量
はFe+2の酸化速度に関係して生成するクロム含
有オキシ水酸化鉄粒子の大きさに影響し、Fe+2
の酸化速度が速すぎると粒子は微小になり、遅す
ぎると長大になる。従つて酸素含有ガスの導入量
を調節することによつて粒子の大きさをコントロ
ールすることができる。酸素含有ガスの導入量は
反応装置の形状や大きさによつて大きく変動し、
一概に定められないが、目的とする粒子の大きさ
に合わせて適宜調節するのがよい。 〔第3工程〕 第2工程で得られたクロム含有オキシ水酸化鉄
スラリを120〜250℃の温度で水熱処理した後、ク
ロム含有オキシ水酸化鉄粒子を回収する。 水熱処理は、120〜250℃、好ましくは150〜230
℃で行う必要があり、水熱処理によつてクロム含
有オキシ水酸化鉄の粒子形状、粒度分布、分散生
等がさらに改善されて均斉のとれた粒子になる。
水熱処理温度が低すぎると長時間要するだけでな
く水熱処理効果の発見が十分でなく、高すぎると
α−Fe2O3が生成するので好ましくない。水熱処
理時間は、一般には0.5〜5時間が適当である。 また水熱処理する場合、スラリのPHを10以上、
好ましくは10.5〜12に調節して行うのが効果的で
ある。PH調節には水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等の苛性アルカリが適当である。また水熱処
理する場合、スラリを0〜45℃で、5〜20時間程
度熟成させてから水熱処理すると粒子を均斉にす
るのに効果がある。 水熱処理には、一般にオートクレーブが採用さ
れる。 水熱処理した後のクロム含有オキシ水酸化鉄粒
子の回収は、通常の方法によつて、例えば水洗、
ろ過、乾燥等の操作によつて行うことができる。 実施例 1 内容20の円筒型反応器に、硫酸第1鉄
〔FeSO4・7H2O〕520.9gと硝酸クロム〔Cr
(NO3)3・9H2O〕7.5gとを蒸留水3に溶解し
た水溶液(Cr/Fe=0.01)を入れ、これに苛性
ソーダ〔NaOH〕165gを蒸留水1.5に溶解した
水溶液を温度40℃に保持しながら滴下し、十分に
撹拌してクロム含有水酸化第1鉄スラリを得た。
スラリ(40℃)に重炭酸アンモニウム
〔NH4HCO3〕163gを蒸留水3に溶解した水溶
液を加えた後スラリ温度を40℃にして5時間撹
拌、熟成し、クロム含有炭酸第1鉄スラリにし
た。 このようにして得られたクロム含有炭酸第1鉄
スラリを40℃に保持しながら空気5/minの流
量で5時間流通してクロム含有オキシ水酸化鉄ス
ラリにし、40℃で12時間熟成した。次いでこのス
ラリに苛性ソーダ300gを溶解し、20のオート
クレーブに仕込み、200℃で1時間水熱処理を施
した。 水熱処理後スラリを蒸留水でPH=8になるまで
洗浄し、過して100℃で15時間乾燥して米粒状
クロム含有オキシ水酸化鉄粒子を得た。 得られたクロム含有オキシ水酸化鉄粒子は、こ
れを透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子形状
を観察した。TEM写真での50本粒子の平均粒子
の長軸は0.21μmであり、軸比は3.9であつた。ま
た50本の粒子はすべて0.23〜0.18μmの範囲にあ
つた。またこのクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を
1%濃度で水に懸濁して、節目が1μmのフイル
ターで過したところ、すべて通過した。(過
率100%)。また比表面積を測定したところ18m2/
gであつた。 比較例 1 実施例1において、水熱処理を施さなかつたほ
かは、実施例1と同様にしてクロム含有オキシ水
酸化鉄粒子を得た。 比較例 2 実施例1において、硝酸クロムを添加しなかつ
たほかは、実施例1と同様にしてオキシ水酸化鉄
粒子を得た。 比較例 3 実施例1において、クロム含有炭酸第1鉄を生
成させる時の温度を70℃にしたほかは、実施例1
と同様にしてクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を得
た。 比較例 4 実施例1において、重炭酸アンモニウムを添加
しなかつたほかは、実施例1と同様にしてクロム
含有オキシ水酸化鉄粒子を得た。 比較例 5 実施例1において、水熱処理温度を280℃で行
つたほかは、実施例1と同様にしてクロム含有オ
キシ水酸化鉄粒子を得た。 比較例 6 実施例1において、クロム含有水酸化第1鉄を
生成させる時の温度を70℃にしたほかは、実施例
1と同様にしてクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を
得た。 比較例1〜6の結果は第1表に示す。 実施例 2〜9 実施例1において、硫酸第1鉄の使用量を
260.3g〔実施例2〕、Cr/Fe(原子比)を0.005
〔実施例3〕、NaOH添加温度を20℃〔実施例
4〕、NH4HCO3の使用量を263.5g〔実施例5〕、
NH4NCO3の添加時の温度を20℃〔実施例6〕、
空気流通時の温度を45℃〔実施例7〕、空気流量
を2.5/min〔実施例8〕、および水熱処理温度、
時間を180℃、3時間〔実施例9〕にかえたほか
は、実施例1と同様にして、クロム含有オキシ水
酸化鉄粒子を製造した。 結果は第1表に示す。 第1表からクロムを添加しなかつたり、クロム
を添加しても水熱処理しなかつたり、本発明の製
造条件の範囲外では、分散成が十分でなく、軸比
が大きく、粒度分布幅も広いことがわかる。
の改良に関するものである。 更に詳しくは、本発明は、粒子形状、粒度分
布、分酸性等の改良を目的とした楕円体(米粒
状)のオキシ水酸化鉄粒子の製法に関するもので
ある。 オキシ水酸化鉄は、黄色顔料や赤色顔料の原料
として、またマグネタイト、γ−酸化鉄、金属鉄
等の磁性材の原料として広く使用されている。顔
料、磁性材等においては、その粒子形状を含め、
顔料、磁性材等を塗料化する場合にこれらが高い
分散性を有していることが非常に重要である。 塗料化における分散性の良否は、原料であるオ
キシ水酸化鉄の粒子形状、粒度分布、分散性等に
大きく影響され、オキシ水酸化鉄の粒子形状が針
状であつたり、粒度分布幅が広かつたり、分散性
が悪かつたりするオキシ水酸化鉄を利用して顔
料、磁性材等を製造した場合はこれらを塗料化す
る場合の分散性が悪くなる。 それ故顔料、磁性材等の原料に使用するオキシ
水酸化鉄としては、分散性が良く、粒子の大きさ
が良く揃つた粒度分布幅の狭いものが望ましく、
また分酸性を良くするためには粒子長(長軸)が
0.05〜0.5μmで軸比が2〜5程度の米粒状のもの
が望ましい。また磁性材の用途においてはオキシ
水酸化鉄の還元、酸化等の熱処理時に凝集、焼結
等を生じさせないようなものが望ましい。 また磁性材、特に磁気テープ、フロツピーデイ
スク等の磁気記録媒体用の磁性材としては、針状
のγ−酸化鉄、金属鉄等が多用されているが、記
録の高密度化に対する要求に伴い、従来の面内磁
気記録方式にかえて垂直磁気記録方式の開発が進
められるにつれて磁性材の粒子形状も垂直磁気記
録方式に適したものを開発する必要が生じてい
る。 従来オキシ水酸化鉄の製法としては、すでに多
数の方法が提案されているが、その大部分は針状
のオキシ水酸化鉄の製造を目的としたものであ
り、これら方法で得られるオキシ水酸化鉄は顔
料、磁性材等の原料として多用されているが、一
般に軸比が10以上の針状で粒子の大きさも不揃い
で分散性もあまり良いものとはいえない。 一方米粒状のオキシ水酸化鉄の製造法に関して
は、例えば次のような方法が提案されている。 (1) 30℃以下の温度のアルカリ水溶液に第2鉄塩
溶液を加えて水酸化第2鉄を調製し、熟成した
後、120〜250℃の温度で水熱処理して米粒状の
オキシ水酸化鉄を得る方法(特開昭58−49693
号公報、特開昭58−49694号公報、特公昭53−
28158号公報等)。 (2) 第1鉄塩溶液に苛性ソーダ等の苛性アルカリ
溶液を加え50℃以下の温度で水酸化第1鉄を生
成させ、45〜70℃の温度で重炭酸アンモニウム
等の酸性炭酸塩を加えて炭酸第1鉄にし、次い
で酸素含有ガスを通気して炭酸第1鉄をオキシ
水酸化鉄にする方法(特開昭50−65499号公
報)、および特開昭49−42597号公報、特開昭49
−42598号公報、特開昭49−42599号公報等に記
載の方法。 しかしながら上記(1)および(2)の方法とも得られ
るオキシ水酸化鉄は、分散性が十分によいとはい
えず改良の余地がある。さらに(1)の方法において
は第1鉄塩と比較して高価な第2鉄塩を必要と
し、またオキシ水酸化鉄の粒度分布幅が広かつた
り、軸比が比較的に大きいなどの問題点があり、
また(2)の方法においても軸比が大きく微細な針状
に近い形状を有していたり、粒度分布幅も広い等
の問題点があり、これらの方法では、粒子長が
0.05〜0.5μm、軸比が5以下で、粒子長が平均粒
子長に対し±20%の範囲におさまるような粒度分
布幅の狭い分散性のよい米粒状のオキシ水酸化鉄
粒子を得ることは困難である。 本発明者らは、これらの実情に鑑み、顔料、磁
性材等の原料として使用されるオキシ水酸化鉄の
粒子形状、粒度分布、分散性等の改良することを
目的として米粒状オキシ水酸化鉄の製造に関し鋭
意研究を行つた結果、軸比を小さくし、粒度分布
幅を狭くするにはクロムの添加が有効であり、特
定の条件で(1)および(2)の方法を組合せると、きれ
いな粒子形状をした分散性のよい米粒状のオキシ
水酸化鉄を得ることができ、従来法の難点が改良
されることを知見し、本発明に到つた。 本発明は、第1鉄塩水溶液に50℃以下の温度で
苛性アルカリを加えて水酸化第1鉄を生成させる
際に水溶性クロム化合物を加えてクロム含有水酸
化第1鉄スラリを得る第1工程、該工程で得られ
たスラリに50℃以下の温度で重炭酸アンモニウム
を加えてクロム含有炭酸第1鉄を生成させた後、
酸素含有ガスを導入してクロム含有オキシ水酸化
鉄スラリを得る第2工程、および第2工程で得ら
れたスラリを120〜250℃の温度で水熱処理した
後、クロム含有オキシ水酸化鉄粒子を回収する第
3工程からなるオキシ水酸化鉄粒子の製法に関す
るものである。 本発明によると、分散性が非常に良い軸比が5
以下、特に2〜5で、粒子長が平均粒子長に対し
±20%の範囲におさまるような粒度分布幅の狭い
粒子形状の揃つた米粒状のオキシ水酸化鉄粒子が
得られる。また本発明によつて得られるオキシ水
酸化鉄粒子は、黄色顔料や赤色顔料の原料とし
て、またマグネタイト、γ−酸化鉄、金属鉄等の
磁性材の原料として好適であり、磁性材は垂直磁
気記録方式で使用される磁気記録媒体用に適して
いる。 次に本発明の構成について詳細に説明する。 〔第1工程〕 第1鉄塩水溶液に50℃以下の温度で苛性アルカ
リを加えて水酸化第1鉄を生成させる際に水溶性
クロム化合物を加えてクロム含有水酸化第1鉄ス
ラリにする。 第1鉄塩としては一般に硫酸第1鉄、塩化第1
鉄等が使用されるが、特に硫酸第1鉄が好適であ
る。苛性アルカリとしては苛性ソーダ、苛性カリ
等が使用される。水溶性クロム化合物としては一
般に硫酸クロム、硝酸クロム、塩化第1クロム等
が使用される。 水溶性クロム化合物は第1鉄塩の水溶液を調製
する際に加えるのが好ましいが、苛性アルカリを
加えた後に加えることもできる。水溶性クロム化
合物の添加量は、Cr/Fe(原子比)が0.001〜0.1、
好ましくは0.005〜0.05になるようにするのが望
ましく、少なすぎると軸比が大きくなつたり、粒
度分布幅が広くなつたりして水溶性クロム化合物
を添加した効果が十分でなく、多すぎると磁性材
にしたときの磁気特性に悪影響がある。 第1鉄塩水溶液は、第1鉄塩の濃度が0.1〜
1mol/になるように調製するのが適当である。 苛性アルカリは、その添加量が多すぎるとマグ
ネタイトが副生するので、一般には第1鉄塩に対
して1〜2倍当量になるように加えるのが望まし
い。苛性アルカリを加えてクロム含有水酸化第1
鉄スラリを得る際の温度は50℃以下、好ましくは
0〜45℃が、粒子長を0.05〜0.5μmの範囲内でコ
ントロールするうえで好適である。温度が高すぎ
ると粒子が長大になり易く、また経済的にみて温
度を過度に低くする利点はない。 第1鉄塩および水溶性クロム化合物は苛性アル
カリと反応して水酸化物となり、第1工程ではク
ロム含有水酸化第1鉄スラリが得られる。 〔第2工程〕 第1工程で得られたスラリに50℃以下の温度で
重炭酸アンモニウムを加えてクロム含有炭酸第1
鉄を生成させた後、酸素含有ガスを導入してクロ
ム含有オキシ水酸化鉄スラリにする。 重炭酸アンモニウムを加えてクロム含有炭酸第
1鉄を生成させる際の温度は50℃以下、好ましく
は0〜45℃にする必要がある。50℃より高い温度
では最終的に得られるクロム含有オキシ水酸化鉄
粒子の軸比が大きくなり易く、温度が低すぎると
反応の進行が遅くなる。 重炭酸アンモニウムの添加量は、水酸化第1鉄
に対して1〜2倍当量、好ましくは1.1〜1.5倍当
量が好適である。重炭酸アンモニウムの添加量が
少なすぎるとクロム含有炭酸第1鉄の生成が十分
でなく、過度に多く添加するのは経済的でない。
重炭酸アンモニウムを添加するとクロム含有オキ
シ水酸化鉄は反応してクロム含有炭酸第1鉄が生
成するが、重炭酸アンモニウム添加後、50℃以
下、好ましくは0〜45℃の温度で撹拌下に1〜10
時間程度熟成しするのが望ましい。 酸素含有ガスを導入してクロム含有炭酸第1鉄
を酸化し、クロム含有オキシ水酸化鉄スラリにす
る際の温度は、50℃以下、好ましくは0〜45℃が
均斉のとれたクロム含有オキシ水酸化鉄粒子にす
るうえで適当である。酸素含有ガスのスラリ中へ
の導入は、一般にスラリに酸素含有ガスを吹きこ
む方法が採用され、酸素含有ガスとしては一般に
空気が便利に使用される。酸素含有ガスの導入量
はFe+2の酸化速度に関係して生成するクロム含
有オキシ水酸化鉄粒子の大きさに影響し、Fe+2
の酸化速度が速すぎると粒子は微小になり、遅す
ぎると長大になる。従つて酸素含有ガスの導入量
を調節することによつて粒子の大きさをコントロ
ールすることができる。酸素含有ガスの導入量は
反応装置の形状や大きさによつて大きく変動し、
一概に定められないが、目的とする粒子の大きさ
に合わせて適宜調節するのがよい。 〔第3工程〕 第2工程で得られたクロム含有オキシ水酸化鉄
スラリを120〜250℃の温度で水熱処理した後、ク
ロム含有オキシ水酸化鉄粒子を回収する。 水熱処理は、120〜250℃、好ましくは150〜230
℃で行う必要があり、水熱処理によつてクロム含
有オキシ水酸化鉄の粒子形状、粒度分布、分散生
等がさらに改善されて均斉のとれた粒子になる。
水熱処理温度が低すぎると長時間要するだけでな
く水熱処理効果の発見が十分でなく、高すぎると
α−Fe2O3が生成するので好ましくない。水熱処
理時間は、一般には0.5〜5時間が適当である。 また水熱処理する場合、スラリのPHを10以上、
好ましくは10.5〜12に調節して行うのが効果的で
ある。PH調節には水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等の苛性アルカリが適当である。また水熱処
理する場合、スラリを0〜45℃で、5〜20時間程
度熟成させてから水熱処理すると粒子を均斉にす
るのに効果がある。 水熱処理には、一般にオートクレーブが採用さ
れる。 水熱処理した後のクロム含有オキシ水酸化鉄粒
子の回収は、通常の方法によつて、例えば水洗、
ろ過、乾燥等の操作によつて行うことができる。 実施例 1 内容20の円筒型反応器に、硫酸第1鉄
〔FeSO4・7H2O〕520.9gと硝酸クロム〔Cr
(NO3)3・9H2O〕7.5gとを蒸留水3に溶解し
た水溶液(Cr/Fe=0.01)を入れ、これに苛性
ソーダ〔NaOH〕165gを蒸留水1.5に溶解した
水溶液を温度40℃に保持しながら滴下し、十分に
撹拌してクロム含有水酸化第1鉄スラリを得た。
スラリ(40℃)に重炭酸アンモニウム
〔NH4HCO3〕163gを蒸留水3に溶解した水溶
液を加えた後スラリ温度を40℃にして5時間撹
拌、熟成し、クロム含有炭酸第1鉄スラリにし
た。 このようにして得られたクロム含有炭酸第1鉄
スラリを40℃に保持しながら空気5/minの流
量で5時間流通してクロム含有オキシ水酸化鉄ス
ラリにし、40℃で12時間熟成した。次いでこのス
ラリに苛性ソーダ300gを溶解し、20のオート
クレーブに仕込み、200℃で1時間水熱処理を施
した。 水熱処理後スラリを蒸留水でPH=8になるまで
洗浄し、過して100℃で15時間乾燥して米粒状
クロム含有オキシ水酸化鉄粒子を得た。 得られたクロム含有オキシ水酸化鉄粒子は、こ
れを透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子形状
を観察した。TEM写真での50本粒子の平均粒子
の長軸は0.21μmであり、軸比は3.9であつた。ま
た50本の粒子はすべて0.23〜0.18μmの範囲にあ
つた。またこのクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を
1%濃度で水に懸濁して、節目が1μmのフイル
ターで過したところ、すべて通過した。(過
率100%)。また比表面積を測定したところ18m2/
gであつた。 比較例 1 実施例1において、水熱処理を施さなかつたほ
かは、実施例1と同様にしてクロム含有オキシ水
酸化鉄粒子を得た。 比較例 2 実施例1において、硝酸クロムを添加しなかつ
たほかは、実施例1と同様にしてオキシ水酸化鉄
粒子を得た。 比較例 3 実施例1において、クロム含有炭酸第1鉄を生
成させる時の温度を70℃にしたほかは、実施例1
と同様にしてクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を得
た。 比較例 4 実施例1において、重炭酸アンモニウムを添加
しなかつたほかは、実施例1と同様にしてクロム
含有オキシ水酸化鉄粒子を得た。 比較例 5 実施例1において、水熱処理温度を280℃で行
つたほかは、実施例1と同様にしてクロム含有オ
キシ水酸化鉄粒子を得た。 比較例 6 実施例1において、クロム含有水酸化第1鉄を
生成させる時の温度を70℃にしたほかは、実施例
1と同様にしてクロム含有オキシ水酸化鉄粒子を
得た。 比較例1〜6の結果は第1表に示す。 実施例 2〜9 実施例1において、硫酸第1鉄の使用量を
260.3g〔実施例2〕、Cr/Fe(原子比)を0.005
〔実施例3〕、NaOH添加温度を20℃〔実施例
4〕、NH4HCO3の使用量を263.5g〔実施例5〕、
NH4NCO3の添加時の温度を20℃〔実施例6〕、
空気流通時の温度を45℃〔実施例7〕、空気流量
を2.5/min〔実施例8〕、および水熱処理温度、
時間を180℃、3時間〔実施例9〕にかえたほか
は、実施例1と同様にして、クロム含有オキシ水
酸化鉄粒子を製造した。 結果は第1表に示す。 第1表からクロムを添加しなかつたり、クロム
を添加しても水熱処理しなかつたり、本発明の製
造条件の範囲外では、分散成が十分でなく、軸比
が大きく、粒度分布幅も広いことがわかる。
【表】
Claims (1)
- 1 第1鉄塩水溶液に50℃以下の温度で苛性アル
カリを加えて水酸化第1鉄を生成させる際に水溶
性クロム化合物を加えてクロム含有水酸化第1鉄
スラリを得る第1工程、該工程で得られたスラリ
に50℃以下の温度で重炭酸アンモニウムを加えて
クロム含有炭酸第1鉄を生成させた後、酸素含有
ガスを導入してクロム含有オキシ水酸化鉄スラリ
を得る第2工程、および第2工程で得られたスラ
リを120〜250℃の温度で水熱処理した後、クロム
含有オキシ水酸化鉄粒子を回収する第3工程から
なるオキシ水酸化鉄粒子の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8842684A JPS60235725A (ja) | 1984-05-04 | 1984-05-04 | オキシ水酸化鉄粒子の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8842684A JPS60235725A (ja) | 1984-05-04 | 1984-05-04 | オキシ水酸化鉄粒子の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60235725A JPS60235725A (ja) | 1985-11-22 |
JPH0310579B2 true JPH0310579B2 (ja) | 1991-02-14 |
Family
ID=13942454
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8842684A Granted JPS60235725A (ja) | 1984-05-04 | 1984-05-04 | オキシ水酸化鉄粒子の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60235725A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102115206B (zh) * | 2010-12-31 | 2012-06-06 | 谢善情 | 用硫酸法生产钛白粉所得废酸生产碳酸亚铁和硫酸钠的方法 |
-
1984
- 1984-05-04 JP JP8842684A patent/JPS60235725A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60235725A (ja) | 1985-11-22 |
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