JPH0236519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば携帯可能な人工膵臓に適用す
ることができる薬剤注入装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

シリンジポンプは、通常、シリンジと該シリン
ジ内を移動するピストン部材と該ピストン部材を
移動操作する駆動機構とから構成されていて、シ
リンジの容積とピストン部材の移動ストロークに
より注入量（吐出量）を精度よく設定でき、少量
の液体を定量供給するのに適した構造になつてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点） このため、例えばインシユリンを長時間かけて
少量ずつ注入する携帯型人工膵臓の薬剤注入装置
としてシリンジポンプを利用することが考えられ
るが、この場合には携帯に適するように小型化す
る必要がある。

しかし、シリンジポンプでは、シリンジの容積
及びピストン部材の移動ストロークによつて注入
量が決まるため、これらを変えないようにして携
帯に適するように小型化しなければならず、小型
化が困難であつた。

本考案の目的は、シリンジの容積やピストン部
材の移動ストロークを変えることなく小型化し得
る薬剤注入装置を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案者等は、シリンジの容量及びピストン部
材の移動ストロークを変えることなくポンプ全体
を少型化すべく鋭意研究の結果、ピストン部材を
中空状に形成して、該中空部内に駆動機構を収納
することによりシリンジポンプ全体を容易に小径
化できることを見出し、本考案をなすに至つた。

すなわち、本考案は、シリンジと、該シリンジ
内を移動するピストン部材と、該ピストン部材を
移動操作する駆動機構とを具備してなる薬剤注入
装置において、 前記ピストン部材を中空状に形成して、該中空
部内に前記駆動機構を収納し、該駆動機構の駆動
軸にピストン部材と軸線方向に移動可能で周方向
に係合して駆動モータの回転をピストン部材に伝
動するヘツドギヤを設け、かつピストン部材の外
周面に雌ネジ部に螺合する雄ネジ部を設けて、ピ
ストン部材がシリンジ内において回転しつつ軸線
方向に移動するように構成してなることを特徴と
している。

〔作用〕

駆動機構の設置スペースが省略されて、全体が
小型化される。駆動モータを回転すると、ヘツド
ギヤを介してピストン部材が回転駆動されて、雌
ネジ部材と雄ネジ部との螺合により該ピストン部
材がシリンジ内を回転しつつ軸線方向に移動す
る。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図は本考案の注入装置を携帯型人工膵臓に
適用した実施例を示している。図中符号１は携帯
型人工膵臓のケースで、シリンジ５とピストン部
材６と駆動機構４とから構成された薬剤注入装置
２と、該注入装置２の駆動機構７を制御するマイ
クロコンピユータからなる制御部３と、該制御部
３の電源となる電池４が収納されている。

第２図は薬剤注入装置２を詳細に示している。
同図によると、薬剤注入装置２のピストン部材６
は、シリンジ５内を軸線方向に移動するピストン
部８と、該ピストン部８を移動操作するピストン
ロツド部９とに分離して構成されている。ピスト
ン部８の周面にはシリンジ５との間の気密性を保
持するためのＯリング１０が設けられている。こ
のピストン部８は、第１図に示すようにシリンジ
５の一端開口部５ａに嵌合されており、シリンジ
５と共に使い捨てされる。

ピストンロツド部９の外周面には二分割可能な
雌ネジ部材１１（図面では二分割した状態を示し
ている）に螺合する雄ネジ部１２が形成されてい
て、駆動機構７により回転駆動されると、雌ネジ
部材１１と雄ネジ部１２との螺合により回転しつ
つ軸線方向に移動する。

また、ピストンロツド部９の内部は中空状に形
成されていて、該中空部１４内に駆動機構７が収
納されている。すなわち、駆動機構７を中空部１
４内に収納することにより、全体の小型化を図つ
ている。この中空部１４の内周面には、軸線方向
に延びるキー溝１４ａが複数本（図面では４本）
形成されている。

駆動機構７は、減速機付き駆動モータ１５と該
駆動モータ１５の駆動軸１６に固定したヘツドギ
ヤ１７とから構成されている。このヘツドギヤ１
７の周面には軸線方向に延びるキー溝１７ａが周
方向に適宜間隔をおいて複数本（図面では４本）
形成されていて、該キー溝１７ａに固定したキー
１８が中空部１４のキー溝１４ａに軸線方向に移
動可能に係合して駆動モータ１５の回転をピスト
ンロツド部９に伝達するようになつている。な
お、駆動モータ１５の端部には固定板１５ａが設
けられていて、該固定板１５ａを介してケース１
内に固定される。

なお、上記雌ネジ部材１１は、コ字状のホルダ
ー１９ａを介してシリンジ５の一端部位置の固定
板１９ｂ，１９ｂ間に配置される。

また、電池４，４は電池ボツクス２０内にセツ
トされていて、該電池ボツクス２０と制御部３と
の間にスイツチ２１が配置されている。また、ピ
ストンロツド部９の一端部位置には時間等の表示
部２２が配置されている。

次に上記実施例の作用を説明する。

制御部３には予め薬液の注入時間、注入量等の
情報が入力されていて、シリンジ５内に所定量の
インシユリン等の薬液を充填して動作させると、
該情報に従つて駆動モータ１５を制御する。

駆動モータ１５が動作すると、ヘツドギヤ１７
を介してピストンロツド部９に回転が伝達され、
該ピストンロツド部９が雌ネジ部材１１及びピス
トンホルダー１３に案内されて第１図に示す状態
から回転しつつシリンジ５の一端開口部５ａから
進入してピストン部８を前進させる。このとき、
ピストンロツド部９からピストン部８に直線運動
と共に回転運動が作用するが、両者の接触部にお
いてスリツプが生じてピストン部８には回転運動
が殆ど伝わらず、ピストン部８は回転することな
くシリンジ５内を前進する。ピストン部８がシリ
ンジ５の他端部側まで移動すると、制御部３から
の停止信号で駆動モータ１５が停止し、薬液の注
入が終了する。

このようにして薬液の注入が終了したら、コ字
状のホルダー１９ａを外して雌ネジ部材１１を二
分割し、雌ネジ部材１１と雄ネジ部材１２との螺
合状態を解除する。これにより、ピストンロツド
部９を手動で後退させて第１図に示す状態に戻す
ことができる。第１図に示す状態に戻したら、コ
字状のホルダー１９ａで再び雌ネジ部材１１を一
体化して雄ネジ部１２と螺合させる。

シリンジ５とピストン部８（シリンジ５の他端
部側に移動している）はケース１から外して破棄
し、新品のシリンジ５とピストン部８と交換す
る。

上記実施例において、シリンジ５に予め薬剤を
封入しておくことも容易にできる。また、上記実
施例では、人工膵臓に適用したので、ピストン部
８とピストンロツド部９を分離して構成し、ピス
トン部８はシリンジ５と共に使い捨てにしたが、
減菌、殺菌等を必要としない他の用途に使用する
場合はピストン部８とピストンロツド部９を一体
に構成してもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、ピストン
部材の内部を中空状に形成して、該中空部内に駆
動機構を収納し、該駆動機構の駆動軸にピストン
部材と軸線方向に移動可能で周方向に係合して駆
動モータの回転をピストン部材に伝動するヘツド
ギヤを設け、かつピストン部材の外周面に雌ネジ
部に螺合するネジ部を設けて、ピストン部材がシ
リンジ内において回転しつつ軸線方向に移動する
ように構成してなるので、従来のシリンジポンプ
に比して駆動機構の設置スペースが省略できて、
注入量を確保して携帯可能な小型化が容易に行え
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は一部切欠して示した平面図、第２図は一部切欠
して示した分解斜視図である。 ５……シリンジ、６……ピストン部材（ピスト
ン部８、ピストンロツド部９）、７……駆動機構、
１１……雌ネジ部材、１２……雄ネジ部材、１５
……駆動モータ、１７……ヘツドギヤ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シリンジと、該シリンジ内を移動するピストン
   部材と、該ピストン部材を移動操作する駆動機構
   とを具備してなる注入装置において、 前記ピストン部材を中空状に形成して、該中空
   部内に前記駆動機構を収納し、該駆動機構の駆動
   軸にピストン部材と軸線方向に移動可能で周方向
   に係合して駆動モータの回転をピストン部材に伝
   動するヘツドギヤを設け、かつピストン部材の外
   周面に雌ネジ部材に螺合する雄ネジ部を設けて、
   ピストン部材がシリンジ内において回転しつつ軸
   線方向に移動するように構成してなることを特徴
   とする薬剤注入装置。