JPH0223177Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は車両用シート構造、詳しくは衝突時
などにおいて車両が急停止した場合に生じるサブ
マリン現象を防止するとともに、座り心地の良い
着座が得られる車両用シート構造に関する。

（従来技術） 車両が衝突した場合などにおいて急停止して
も、乗員はシートベルトを使用しているから、ハ
ンドル、インストルメントパネル、フロントガラ
スなどの前部材に衝突して負傷する事態が回避さ
れるけれども、乗員の臀部が座面を前方に滑動し
て座面から滑落し上体部が沈み込むサブマリン現
象が生じる。

このような現象を防止するために、通常の着座
状態において臀部の前部に相当する位置に、臀部
の滑動を阻止する凸部を設けた部材をシートフレ
ームに配置することが考えられるけれども、この
ように構成した場合、サブマリン現象を防止でき
ても、着座時に臀部や大腿付根部などに違和感が
生じて座り心地が悪くなる。

そこで、着座時の違和感がなく、しかもサブマ
リン現象を防止し得るようになされた車両用シー
ト装置が実開昭58−62949号公報に提案されてい
る。

この先行技術のシート構造は、座部の前後方向
にのびる両サイドフレーム間に、座部の前端に向
つて上昇して形成される凸部を有した補強プレー
トを配設した構造になつている。

つまり、通常の着座状態において、臀部から大
きく離れたシートの前端部に上方へ突出する凸部
を設けた構成としている。

したがつて、通常の着座時、臀部の違和感がな
く、座り心地が良くなるけれども、凸部が座部の
前端部に設けられているので、臀部の位置から凸
部までの距離が長くなる。

そのために、車両の衝突時などの急停止時に、
長い距離を加速度的に滑動する臀部を受け止めて
座面から滑落するのを防止しなければならないか
ら、上記凸部をシートフレームよりも相当に高く
突出させて形成する必要がある。

しかし、車両のフロアパネルからシートの座面
までの高さは、良好な座り心地を確保するために
略一定の高さに設定されるから、凸部をシートフ
レームよりも高く突出させることで、凸部上側の
クツシヨン材の厚さが薄くなり、通常の着座時に
臀部の違和感は少いとしても、大腿部に違和感が
生じ、結局座り心地が悪くなる問題を有してい
る。

（考案の目的） この考案は上記従来の問題を解決するためにな
されたもので、サブマリン現象を防止するととも
に座り心地のよい着座が得られる車両用シート構
造を提供することを目的とする。

（考案の構成） 上記目的を達成するため、この考案は座部と背
もたれ部とからなる車両用シートにおいて、上記
座部の内部に平面四角状のシートフレームが設け
られ、このシートフレームを構成する前側フレー
ムに補強プレートの前端部が接合され、この接合
部の後方に全幅にわたつて上方へ突出する山形状
の凸部が形成されるとともに、補強プレートの後
部にシートの車体後方に向けて広がる腕部が形成
されており、この腕部の先端がそれぞれ上記サイ
ドフレームに接合された構成としている。

したがつて、車両の急停止時に臀部が座部の面
上を滑動前進しても、補強プレートの車体後方に
向けて広がる腕部、つまり着座時の臀部の位置か
ら前方に向けて狭くなつている腕部によつて除々
に強く制動し、加速度的な滑動を抑制したのち座
部の前端部では山形状の凸部によつてさらに制動
することでサブマリン現象を防止する。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にしたがつて説
明する。

第１図はこの考案に係る車両用シート構造の側
面図を示し、図において、シート１は座部２とこ
の座部２に取付けられた前後に傾動可能な背もた
れ部３を有し、フロアパネル４上に前後に移動自
在に取り付けられている。

座部２の内部にシートフレーム５が設けられて
いる。このシートフレーム５は第２図ないし第３
図に示すように平面四角状に形成され、車体幅方
向にのびる前側フレーム５Ａと、該前側フレーム
５Ａの両側端部に連続して設けられ車体後方にの
びるサイドフレーム５Ｂ，５Ｂを有し、サイドフ
レーム５Ｂ，５Ｂの後端部は後側フレーム５Ｃに
よつて接続されている。上記各フレーム５Ａ，５
Ｂ，５Ｂ，５Ｃは断面コ字状に形成されている。

６は補強プレートで、その前端部６Ａが上記シ
ートフレーム５における前側フレーム５Ａの下辺
部５Ｘの面上に載置されて、たとえばスポツト溶
接によつて前側フレーム５Ａに接合されている。

補強プレート６には上記前側フレーム５Ａへの
接合部の後方に、全幅にわたつて上方へ突出する
山形状の凸部６Ｂが形成されている。そして、こ
の山形状の凸部６Ｂの後側には、シート１の後方
に向けて広がる１対の腕部６Ｃ，６Ｃが形成さ
れ、これら腕部６Ｃ，６Ｃの先端６Ｘがせれぞれ
サイドフレーム５Ｂ，５Ｂの下辺部５Ｘの上面に
載置され、たとえばスポツト溶接によつて接合さ
れている。

上記構成において、補強プレート６に形成され
ている山形状の凸部６Ｂは、シートフレーム５の
前側フレーム５Ａへの接合部の後方、つまり通常
の着座状態において臀部から離れた座部２の前端
側に形成されているから、臀部の違和感がなく、
座り心地がよい。

一方、車両の急停止時に臀部が座部２の面上を
滑動前進しても、補強プレート６の山形状の凸部
６Ｂの後部に形成された車体後方に向けて広がる
腕部６Ｃ，６Ｃによつて徐々に強く制動し、加速
度的な滑動を抑制したのち、座部２の前端部では
山形状の凸部６Ｂによつてさらに制動されるか
ら、臀部が座部２から滑落するサブマリン現象が
防止される。

さらに、腕部６Ｃ，６Ｃによつて臀部の加速度
的な滑動が抑制されるから、山形状の凸部６Ｂを
低く形成でき、山形状の凸部６Ｂ上側のクツシヨ
ン材（図示せず）を厚く確保できるので座り心地
がよくなる。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案によれば、サブ
マリン現象を防止するとともに座り心地のよい着
座が得られる利点を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る車両用シート構造の側
面図、第２図はシートフレームと補強プレートの
平面図、第３図は同側面図、第４図は同斜視図で
ある。 １……シート、２……座部、３……背もたれ
部、５……シートフレーム、５Ａ……前側フレー
ム、５Ｂ，５Ｂ……両サイドフレーム、６……補
強プレート、６Ａ……前端部、６Ｂ……山形状の
凸部、６Ｃ，６Ｃ……腕部、６Ｘ……先端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 座部と背もたれ部とからなる車両用シートにお
   いて、上記座部の内部に平面四角状のシートフレ
   ームが設けられ、このシートフレームを構成する
   前側フレームに補強プレートの前端部が接合さ
   れ、この接合部の後方に略全幅にわたつて上方へ
   突出する山形状の凸部が形成されるとともに、該
   補強プレートの後部にシートの車体後方に向けて
   広がる腕部が形成されており、この腕部の先端が
   それぞれ上記シートフレームの両サイドフレーム
   に接合されていることを特徴とする車両用シート
   構造。