以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態では、作業機械の一例として、フロント作業機を備える油圧ショベルを例示して説明するが、これに限られず、GNSSなどによる測位結果を用いて作業を行う他の作業機械においても本発明を適用することが可能である。
図1は、本実施の形態に係る作業機械の一例である油圧ショベル1の外観を模式的に示す図である。また、図2は、油圧ショベル1全体の動作を制御する制御システムのうちマシンガイダンスシステム200の関連構成を抜き出して示す機能ブロック図である。
図1において、油圧ショベル1は、垂直方向にそれぞれ回動する複数の被駆動部材(ブーム6、アーム7、バケット8)を連結して構成された多関節型のフロント作業機(作業装置)5と、車体を構成する上部旋回体3及び下部走行体2とを備え、上部旋回体3は下部走行体2に対して旋回可能に設けられている。
フロント作業機5のブーム6の基端は上部旋回体3の前部に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム7の一端はブーム6の基端とは異なる端部(先端)に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム7の他端にはバケット8が垂直方向に回動可能に支持されている。ブーム6、アーム7、バケット8、上部旋回体3、及び下部走行体2は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11、旋回モータ(図示せず)、及び左右の走行モータ(図示せず)によりそれぞれ駆動される。
車体(詳しくは上部旋回体3)、ブーム6、アーム7、及びバケット8には、それぞれ慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)21~24が配置されている。以降、これらの慣性計測装置21~24を区別する必要が有る場合は、それぞれ、車体慣性計測装置21、ブーム慣性計測装置22、アーム慣性計測装置23、及びバケット慣性計測装置24と称する。
慣性計測装置21~24は、角速度及び加速度を計測するものである。慣性計測装置21~24が配置された上部旋回体3及び被駆動部材6~8が静止している場合を考えると、慣性計測装置21~24に設定されたIMU座標系における重力加速度の方向(つまり、鉛直下向き方向)と、慣性計測装置21~24の取り付け状態(つまり、慣性計測装置21~24と上部旋回体3及び被駆動部材6~8との相対的な位置関係)とに基づいて、上部旋回体3及び被駆動部材6~8の向き(対地角度)を姿勢情報として検出することができる。
慣性計測装置21の検出結果からは、上部旋回体3の前後方向の傾斜角度(ピッチ角度)や左右方向の傾斜角度(ロール角度)を算出することができる。また、慣性計測装置21~24の検出結果からは、上部旋回体3及び被駆動部材6~8のそれぞれの相対角度、すなわち、上部旋回体3に対するブーム6の回転角(ブーム角度)、ブーム6に対するアーム7の回転角(アーム角度)、及び、アーム7に対するバケット8の回転角(バケット角度)をそれぞれ算出することができる。また、慣性計測装置21で検出される角速度に基づいて上部旋回体3の旋回角度を検出することができる。すなわち、慣性計測装置21~24は、上部旋回体3及び被駆動部材6~8の相対角度を検出する角度検出器ともいえる。なお、上部旋回体3の旋回部や被駆動部材6~8の結合部などに慣性計測装置21~24に代えて角度検出装置を用いても良い。ここで、慣性計測装置21~24は、油圧ショベル1の姿勢に関する情報である姿勢情報を計測して出力する姿勢情報計測装置を構成している。
上部旋回体3の上部前方には、オペレータが搭乗する運転室4が配置されている。運転室4には、複数の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11、旋回モータ、走行モータ)を操作するための操作信号を出力する複数の操作レバー(図示せず)が設けられており、複数の油圧アクチュエータの操作がそれぞれ割り当てられている。
また、運転室4には、オペレータに情報を通知する機能と、オペレータによる情報の入力を可能とする機能を有する表示装置36が配置されている。表示装置36の画面には、例えば、表層に形成されたタッチパネルが設けられており、このタッチパネルの機能によりオペレータからの入力を受け付けることができる。
上部旋回体3上部の、例えば、運転室4の後方には、GNSS(Global Navigation Satellite System)による測位のための2個のGNSSアンテナ31,32が配置されている。GNSSアンテナ31,32は、上空を飛行している測位衛星から出力される航法信号を受信して、GNSS受信機33(図2参照)に送る。GNSS受信機33は、GNSSアンテナ31,32で受信した航法信号に基づいてGNSSアンテナ31,32の地球座標系における位置を演算して位置情報として出力する。なお、施工現場に設定される現場座標系と地球座標系とは容易に変換可能であり、地球座標系における位置は現場座標系における位置と同義であるといえる。
GNSSアンテナ31,32の上部旋回体3に対する相対位置は固定かつ既知であるため、GNSSアンテナ31,32で計測される位置情報から油圧ショベル1の地球座標系における位置を算出することができる。また、2つのGNSSアンテナ31,32でそれぞれ計測される位置情報の偏差から、GNSSアンテナ31,32間の方向ベクトルを算出することができ、上部旋回体131の向きを算出することができる。
ここで、GNSSアンテナ31,32を含むGNSS受信機33は、作業機械である油圧ショベル1の施工現場における位置を計測し、計測結果を位置情報として出力する位置計測装置を構成している。
また、例えば、運転室4の後側面上部には、RTK(Real time kinematic)測位に用いる補正データ(以降、RTK補正データと称する)を基準局から受信するための無線機34が配置されている。
図3は、基準局としての機能を有する外部システム38の一例を示す図である。
図3に示すように、外部システム38は、GNSSによる測位のためのGNSSアンテナ39と、GNSSアンテナ39で受信した航法信号に基づいてGNSSアンテナ39の地球座標系における位置を演算し、演算結果に示されるGNSSアンテナ39の位置と予め高精度に別途計測されたGNSSアンテナ39の位置とに基づいてRTK補正データを生成するGNSS受信機40と、GNSS受信機40で生成したRTK補正データを無線機アンテナ41aを介して出力する無線機41とを有している。
図2に示すように、マシンガイダンスシステム200は、GNSS受信機33、無線機34、コントローラ35、表示装置36、慣性計測装置21~24、及びこれらの関連部材により構成されている。また、コントローラ35には、外部記憶媒体(記憶装置)37が接続されている。外部記憶媒体(記憶装置)37には、施工現場の目標形状である三次元設計データ、施工現場を含む周辺地域の三次元地形データ、及び、三次元地形データの範囲に含まれる地形以外の構造物の位置及び形状を示す三次元構造物データが記憶されている。
マシンガイダンスシステム200は、無線機34の無線機アンテナ34aによって基準局から受信したRTK補正データと、GNSSアンテナ31,32によって測位衛星から受信した航法信号に基づいてGNSS受信機33で演算された位置および向きの情報と、慣性計測装置21~24からの姿勢情報と、外部記憶媒体37に記憶された情報とに基づいて、コントローラ35により、油圧ショベル1の位置や姿勢、作業具(バケット8)の先端位置などを演算するコントローラ35を備えている。コントローラ35は、例えば、作業目標面とバケット8との距離を演算し、演算結果を表示装置36に出力して表示させる。
図示しないが、コントローラ35は、処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、処理装置が実行するプログラム、及びそのプログラムの実行に必要なデータ等が格納される記憶装置(例えばROM、RAM等の半導体メモリ、或いは、バードディスクドライブなど)を有するコンピュータ相当のハードウェアである。なお、コントローラ35がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(field-programmable gate array)などの集積回路を用いて構成されている場合には、コントローラ35の機能の一部または全部は、これら集積回路によって実現されてもよい。
コントローラ35は、油圧ショベル1の位置姿勢と三次元設計データの位置関係を演算し、オペレータへの作業支援を行うマシンガイダンス部35aと、施工現場全体のGNSS測位の信頼度を演算する測位信頼度演算部35bと、油圧ショベル1の位置におけるGNSS測位の信頼度を演算する自己位置信頼度演算部35cと、油圧ショベル1のバケット8の先端の位置座標データとGNSS測位の信頼度データをと紐づけて記録する施工情報記録部35dとを備えている。
図4は、マシンガイダンス部35aの処理機能をGNSS受信機33の一部機能を含む関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
図4において、GNSS受信機33は、無線機34を介してRTK補正データを受信するRTK補正データ受信部100と、GNSSアンテナ31,32を介して航法信号を受信する衛星信号受信部101と、衛星信号強度や衛星配置などに基づいて位置演算に使用する測位衛星を選択する衛星選択部102と、GNSSアンテナ31の位置及びGNSSアンテナ31からGNSSアンテナ32へのベクトルを演算するGNSS位置・ベクトル演算部103とを有している。
また、図4において、マシンガイダンス部35aは、車体に設けられた慣性計測装置21からの姿勢情報に基づいて車体の姿勢を演算する車体姿勢演算部104と、フロント作業機5に設けられた慣性計測装置22~24からの姿勢情報に基づいてフロント作業機5の姿勢を演算するフロント姿勢演算部105と、外部記憶媒体37に記憶された三次元設計データ(施工現場の目標形状)37aを取得する三次元設計データ取得部106と、GNSS受信機33からの演算結果と車体姿勢演算部104からの演算結果とに基づいて車体の現場座標系における位置と姿勢とを演算する車体位置姿勢演算部107と、車体位置姿勢演算部107の演算結果とフロント姿勢演算部105からの演算結果とを統合して、フロント作業機5を含む油圧ショベル1全体の現場座標系における位置と姿勢とを出力する位置姿勢統合部108と、位置姿勢統合部108からの情報と三次元設計データ取得部106からの情報とに基づいて、フロント作業機5を含むように設定する作業平面における三次元設計データ37aの断面を演算する断面演算部109と、位置姿勢統合部108からの情報と断面演算部109からの演算結果とに基づいて、三次元設計データから得られる作業目標面とフロント作業機5との距離(具体的には、作業目標面とバケット8の爪先の距離)を演算し、表示装置36に表示させる距離演算部110とを備えている。
マシンガイダンス部35aでは、高精度の位置情報を必要とするため、GNSS受信機33でRTK測位を行って算出した位置情報を用いる。RTK補正データ受信部100は、基準局(外部システム)38で生成されて一定周期で送信されるRTK補正データを無線機34を介して受信する。
GNSS受信機33では、無線機34を介して受信されるRTK補正データと、GNSSアンテナ31,32により受信される測位衛星からの信号に基づいて、アンテナ31の三次元位置とアンテナ31からアンテナ32へのベクトルをRTK測位を行う。このRTK測位によって、アンテナ31の三次元位置及びアンテナ31からアンテナ32へのベクトルが高精度で計測される。
コントローラ35は、入力された各種データに基づき、一般的なベクトル演算と座標変換を行って、油圧ショベル1の位置及び姿勢と、バケット8の先端の三次元位置を演算する。また、油圧ショベル1の位置及び姿勢と外部記憶媒体37から入力した三次元設計データ37aに基づいて、三次元設計データ37aの断面形状及び、バケット8の先端と目標面の距離を演算する。
コントローラ35による演算結果を表示装置36へ出力することにより、オペレータは、高精度に計測された油圧ショベル1と三次元設計データとの位置関係を参照することができるため、土砂の整形作業を高い品質で行うことができる。
図5は、測位信頼度演算部35bの処理機能をGNSS受信機33の一部機能を含む関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
図5において、GNSS受信機33は、無線機34を介して各測位衛星の衛星軌道情報を受信する衛星軌道情報受信部111を有している。衛星軌道情報受信部111は、例えば、基準局(外部システム38)のGNSS受信機40に記憶され、無線機41を介して送信された衛星軌道情報を無線機34を介して受信している。
また、図5において、測位信頼度演算部35bは、外部記憶媒体37に記憶された構造物位置・形状データ(すなわち、三次元地形データ、三次元構造物データ)37bを取得し、逐次記憶されている施工現場の現状の地形を表す現況地形データ300と統合する構造物・地形データ取得部112と、外部記憶媒体37に記憶された三次元設計データ(施工現場の目標形状)37aを取得する三次元設計データ取得部106(マシンガイダンス部35a等と共用の機能部)と、三次元設計データ取得部106で取得した三次元設計データ37aの座標範囲に基づいて、施工現場を予め定めた大きさの複数の領域(ブロック)に分割し、分割した複数の領域のそれぞれについて代表位置(例えば、重心位置)を取得する代表位置座標取得部113と、構造物位置・形状データ37bと衛星軌道情報とに基づいて、代表位置座標取得部113で取得した複数の領域のそれぞれの代表位置における任意の時間の可視衛星(すなわち、当該代表位置において航法信号を受信可能な測位衛星)を特定する可視衛星特定部114と、可視衛星特定部114を介して得られる構造物位置・形状データ37bと衛星軌道情報とに基づき、可視衛星特定部114で特定した可視衛星について、GNSS受信機33による測位精度に係る情報(例えば、精度指標の一つである位置精度低下率(PDOP:Position Dilution of Precision))を複数の領域の代表位置についてそれぞれ演算する測位精度演算部115と、測位精度に係る情報(例えば、位置精度低下率:PDOP)と複数の領域のそれぞれの代表位置とを紐づけて示す測位信頼度マップを生成し、表示装置36に出力して表示させる測位信頼度マップ生成部116とを有している。
図8~図10は、測位信頼度演算部35bの処理内容を示すフローチャートであり、図8は代表位置座標取得部の処理内容を示すフローチャート、図9は構造物・地形データ取得部112の処理内容を示すフローチャート、図10は可視衛星特定部、測位精度演算部、及び測位信頼度マップ生成部の処理内容を示すフローチャートである。
測位信頼度演算部35bは、油圧ショベル1の作業エリアである施工現場全体におけるGNSS測位の信頼度を算出するため、各領域の代表位置における衛星配置をGNSS受信機33を介して予め取得している。
図8に示すように、測位信頼度演算部35bは、まず、三次元設計データ37aを取得し(ステップS100)、三次元設計データ37aの平面座標(=作業エリア)を予め定めた大きさの領域に分割し、各領域の代表位置の座標を取得する(ステップS110)。
また、図9に示すように、測位信頼度演算部35bは、構造物位置・形状データ(すなわち、三次元地形データ、三次元構造物データ)37bを取得する(ステップS200)。各代表位置における可視衛星を特定するためには、測位衛星の信号を遮蔽する障害物の情報が必要となる。施工現場では、現場周囲の構造物や現場の地形が障害物となる。これら障害物のデータはそれぞれ取得方法が異なっており、現場周囲の構造物は日々大きく変わらないため外部記憶媒体37に構造物の位置及び形状データを示す構造物位置・形状データ37bを持たせておくことでコントローラ35はこの情報を取得することができる。
また、図示しない記憶領域に保持している現況地形データ300を読み出して取得する(ステップS210)。現場の地形は作業によって時々刻々と変化するため、油圧ショベル1のバケット8の先端の位置データを現況地形データ300としてコントローラ35内に保持しておく。
続いて、構造物位置・形状データ37bと現況地形データ300とを統合する(ステップS220)。このように情報を統合することで、施工現場内の各代表位置において測位衛星からの航法信号を遮る可能性のある障害物の形状と位置の情報を得ることができる。
また、図10に示すように、測位信頼度演算部35bは、衛星軌道情報を取得する(ステップS300)。各作業位置における衛星配置を取得するため、GNSS受信機33の無線機34を介して外部システム38からすべての測位衛星に係る衛星軌道情報を取得する。ここで、衛星軌道情報とは、各測位衛星の飛行起動と、過去及び未来の各時刻における位置を示す情報であり、測位衛星の管理者等により予め特定されて公開されている情報である。なお、各測位衛星は地球の周囲を一定の周期で周回しているため、数時間後の衛星軌道情報(衛星配置の時系列データ)をあらかじめ取得することもできる。
続いて、測位衛星の配置情報、各代表位置の座標、及び、障害物の形状データから、各代表位置における可視衛星を特定する(ステップS310)。
本実施の形態においては、複数の領域の各代表位置と測位衛星の位置とを結ぶ直線の間に障害物が存在しない場合においては、その測位衛星を可視衛星とする。例えば、ある測位衛星の位置をPi、作業位置をpi、障害物の形状を構成するある面の法線をn、頂点をそれぞれa、b、cとすると、下記の(式1)~(式3)を用いて交差判定を行うことにより、その測位衛星が可視衛星であるか否かを判定することができる。
ここで、R(t)は障害物の形状を構成するある面と衛星Piから作業位置piへの直線が交差する交点の座標であり、tは衛星Piから交点R(t)までの距離を表す。また、u、vはそれぞれ面の内側に交点R(t)が存在するかどうかを判定するための変数である。
続いて、可視衛星の位置情報を用いて各代表位置の位置精度低下率(PDOP)を演算する(ステップS320)。
位置精度低下率(PDOP)は、衛星配置に起因するGNSS測位の精度指標として広く用いられており、下記の(式4)により求めることができる。
ここで、上記(式4)のσxx^2、σyy^2、σzz^2は、下記の(式5)及び(式6)により求められる。
上記の(式5)及び(式6)では、衛星位置と作業位置の幾何学的な位置関係により求められる共分散行列Gのトレースを用いている。なお、上記(式6)のEL、AZはそれぞれ衛星の位置を表す仰角と方位角である。
続いて、得られた各代表位置の位置精度低下率(PDOP)を複数の領域のそれぞれと紐づけて測位信頼度マップを生成する(ステップS330)。なお、位置精度低下率(PDOP)は、衛星配置の時系列データ(衛星軌道情報)を用いることで、同様の手順により、現在の値だけではなく、数時間後の値を演算することも可能である。すなわち、任意の日時・時刻の測位信頼度マップを生成することができる。
図13は、表示装置36における測位信頼度マップの表示の一例を示す図である。
図13に示すように、表示装置36には、施工現場における三次元設計データ37aの俯瞰図123に、施工現場における油圧ショベル1の位置や向きを示すショベルアイコン124が重畳表示されている。ショベルアイコン124は、例えば、マシンガイダンス部35aから出力される油圧ショベル1の位置姿勢に基づいて描画されるため、三次元設計データ37aの俯瞰図123とショベルアイコン124の位置関係は正しく表示されている。また、信頼度マップ125は、三次元設計データ37aの俯瞰図123に重畳表示されており、各領域(ブロック)の代表位置の位置精度低下率(PDOP)が、例えば、位置精度低下率に対応する色情報などを用いて描画されている。なお、本実施の形態においては、ハッチング等により位置精度低下率を例示している。また、時刻調整バー126が表示されており、オペレータによって時刻調整バー126の126aが操作されることにより、現在から数時間後(任意の時間)のある時点における位置精度低下率(PDOP)を反映した測位信頼度マップに表示を切り換えることができる。
以上のように、オペレータは現在および数時間後(任意の時刻)の施工現場全体について、各位置における衛星測位の信頼度を知ることができるので、最適な段取り(作業位置の経路)を検討することができ、作業効率を向上することができる。
図6は、自己位置信頼度演算部35cの処理機能をGNSS受信機33の一部機能を含む関連構成とともに抜き出して示す機能ブロック図である。
図6において、GNSS受信機33は、アンテナ31の位置のばらつき(位置分散データ)を演算する位置分散演算部117を有している。
また、図6において、自己位置信頼度演算部35cは、GNSS受信機33から位置分散データを取得する位置分散取得部118と、外部記憶媒体37に記憶された三次元設計データ(施工現場の目標形状)37aを取得する三次元設計データ取得部106と、GNSS受信機33からの演算結果と車体姿勢演算部104からの演算結果とに基づいて車体の現場座標系における位置と姿勢とを演算する車体位置姿勢演算部107と、車体位置姿勢演算部107の演算結果とフロント姿勢演算部105からの演算結果とを統合して、フロント作業機5を含む油圧ショベル1全体の現場座標系における位置と姿勢とを出力する位置姿勢統合部108と、三次元設計データ取得部106で取得した三次元設計データ37aと位置姿勢統合部108で統合した油圧ショベル1の位置及び姿勢の情報とから、三次元設計データ37aを構成する多数の面のうち油圧ショベル1の作業対象となる目標面を取得する目標面取得部119と、位置分散取得部118で取得した位置分散データと目標面取得部119で取得した目標面と車体位置姿勢演算部107で算出した車体の位置及び姿勢(すなわち、マシンガイダンス部35aが演算する油圧ショベル1の方向ベクトル)とに基づいて、目標面に対する作業具(バケット8)の鉛直方向(高さ方向)の位置の誤差(目標面とバケットとの距離の誤差)である推定鉛直誤差を演算する推定鉛直誤差演算部120とを有している。なお、三次元設計データ取得部106、車体位置姿勢演算部107、位置姿勢統合部108は、マシンガイダンス部35a等との共用の機能部である。
図11は、自己位置信頼度演算部35cの処理内容を示すフローチャートである。
自己位置信頼度演算部35cは、油圧ショベル1の目標面の掘削精度に対するGNSS測位の精度の影響を掘削方向である鉛直方向の誤差として算出する機能部である。
図11に示すように自己位置信頼度演算部35cは、まず、三次元設計データ37aを取得し(ステップS400)、バケット8の先端位置を取得して(ステップS410)、これらの情報から、多数の面により構成される三次元設計データ37aのうち油圧ショベル1の現在の作業対象である目標面を特定し、目標面のデータを取得する(ステップS420)。なお、本実施の形態においては、目標面をシステムが自動で特定する場合を例示しているが、オペレータが手動で選択するように構成してもよい。
掘削作業を行う場合、油圧ショベル1のバケット8の先端は目標面上にあるため、バケット8の先端の位置から鉛直方向に引いた直線と三次元設計データ37aを構成する面との交差判定を行うことで、現在の作業対象である目標面を特定することができる。目標面の特定は、衛星信号と障害物の交差判定と同様に上記の(式1)~(式3)を代用することにより実現することができる。なお、特定した目標面と隣接する隣接面について、目標面の法線ベクトルと隣接面の法線ベクトルが一致している場合は隣接面を目標面の一部として扱う。
続いて、油圧ショベル1の方向ベクトル、作業対象の目標面、及び、GNSS受信機33が演算するアンテナ31の位置分散データを取得し(ステップS430)、現在の油圧ショベル1の位置における衛星測位の信頼度を表す推定鉛直誤差を算出する(ステップS440)。
推定鉛直誤差の算出は、下記の(式7)及び(式8)により行う。
まず、上記の(式7)により、水平分散σxx,σyyを用いて水平方向の誤差Ehを求める。誤差Ehは、一般的に指標として用いられている2DRMSとしている。次に、上記の(式8)により、鉛直分散σzzと上記の(式7)で算出した水平誤差Ehとを用いてバケット8と目標面との距離の推定鉛直誤差Edを求める。目標面の勾配θmは、フロント作業機5(ブーム6、アーム7、バケット8)を通る平面と目標面とのなす交線の対地角度である。
なお、上記の(式7)及び(式8)では、水平位置分散と鉛直位置分散とを用いてバケット8と目標面との距離を算出したが、GNSS受信機33は、アンテナ間のベクトル(基線ベクトル)から方位角と方位角分散も演算する。そこで、上記のバケット8と目標面との鉛直距離の推定鉛直誤差Edを求める際に、水平位置分散に加えて方位角分散を用いてバケット8の水平位置の誤差を算出してもよい。
図14は、表示装置36における推定鉛直誤差の表示の一例を示す図である。
図14に示すように、表示装置36には、マシンガイダンス部35aが出力するバケット8の先端から目標面までの距離を表す数値情報127と、距離を表示面積と色で表すライトバー128とが表示されている。
自己位置信頼度演算部35cから出力される推定鉛直誤差129は、距離を表す数値情報127に付加して表示されている。なお、図示しないが、ライトバー128の色情報を推定鉛直誤差の大きさに応じて変化させてもよい。
以上のように構成することにより、オペレータはバケット8の先端から目標面までの距離情報をどの程度信頼すべきかを判断することができる。また、もし、推定鉛直誤差が施工現場に求められる精度を超えるような値だった場合は、測位信頼度演算部35bが出力する信頼度マップを確認し、施工の段取りを再検討することができる。
図7は、施工情報記録部35dの処理機能を示す機能ブロック図である。
図7において、施工情報記録部35dは、車体位置姿勢演算部107の演算結果とフロント姿勢演算部105からの演算結果とを統合して、フロント作業機5を含む油圧ショベル1全体の現場座標系における位置と姿勢とを出力する位置姿勢統合部108と、位置分散取得部118で取得した位置分散データと目標面取得部119で取得した目標面と車体位置姿勢演算部107で算出した車体の位置及び姿勢(すなわち、マシンガイダンス部35aが演算する油圧ショベル1の方向ベクトル)とに基づいて、目標面に対する作業具(バケット8)の推定鉛直誤差を演算する推定鉛直誤差演算部120と、可視衛星特定部114を介して得られる構造物位置・形状データ37bと衛星軌道情報とに基づき、可視衛星特定部114で特定した可視衛星について、GNSS受信機33による測位精度に係る情報(例えば、精度指標の一つである位置精度低下率(PDOP:Position Dilution of Precision))を複数の領域の代表位置についてそれぞれ演算する測位精度演算部115と、現在の油圧ショベル1のバケット8の先端の位置座標に基づいて、施工現場の現状の土砂の形状を表す現況地形データ300を更新するか否かを判定する現況地形データ更新判定部121と、現況地形データ300を更新する際にGNSS測位の信頼度を合わせて記録する現況地形・測位信頼度記録部122とを有している。なお、位置姿勢統合部108、測位精度演算部115、現況地形データ300は、マシンガイダンス部35a、測位信頼度演算部35b、自己位置信頼度演算部35c等との共用の機能部である。
図12は、施工情報記録部35dの処理内容を示すフローチャートである。
施工情報記録部35dは、油圧ショベル1の掘削作業により変化した現況地形の形状を表す三次元位置データを、バケット8の先端の位置座標を用いて計測し、バケット8の先端の位置座標と測位信頼度演算部35bが演算する位置精度低下率(PDOP)及び自己位置信頼度演算部35cが出力する推定鉛直誤差を紐づけて記録する機能部である。
図12に示すように、まず、施工情報記録部35dは、マシンガイダンス部35aが演算するバケット8の先端の位置座標データ(現在位置座標と呼ぶ)を取得する(ステップS500)。
続いて、現在位置座標のXY座標における現況地形データ(過去位置座標と称する)を取得し(ステップS510)、現在位置座標のZ座標値と過去位置座標のZ座標の値とを比較して、現況地形データ300を更新するか否かを判定する(ステップS520)。ステップS520においては、現在位置座標のZ成分が過去位置座標のZ成分より小さい場合は、現況地形データ300を現在位置座標に更新する(YES)と判断する。また、現在位置座標のZ成分が過去位置座標のZ成分より大きい場合は、現況地形データ300を現在位置座標に更新しない(NO)と判断する。
ステップS520での判定結果がYESの場合、すなわち、現況地形データを更新すると判定した場合には、位置精度低下率(PDOP)及び推定鉛直誤差(すなわち、測位信頼度)を取得し(ステップS530)、現在位置座標とその時の位置精度低下率(PDOP)及び推定鉛直誤差(すなわち、測位信頼度)を現況地形データと紐づけてコントローラ35の図示しない記憶領域に現況地形データ300として記録する(ステップS540)。
以上のように構成することにより、コントローラ35内に記録された施工履歴情報は、外部記憶媒体37へと出力され、オペレータ及び施工管理者は施工履歴情報を油圧ショベル1の稼働データとして活用することができる。すなわち、油圧ショベル1によって整形された現況地形とその形状の信頼度を参照することができるため、現況地形データ300を出来形管理等に用いるかどうかを判断することができる。
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
情報化施工において油圧ショベルなどの作業機械による施工精度は測位精度に大きく影響を受ける。このため、作業機械の利用者が作業の段取りを行う際には、作業機械の測位精度を考慮する必要がある。しかしながら、GNSSによる測位精度は、作業現場における作業機械や測位衛星の位置、作業現場の環境などによって変化するため、作業の段取りを適切に設定することは容易ではない。また、作業の段取りを適切に設定することができない場合には、施工全体の効率の低下が懸念される。
これに対して、本実施の形態においては、下部走行体と、下部走行体に旋回可能に設けられ、下部走行体と共に車体を構成する上部旋回体と、作業具を含む複数の被駆動部材が互いに回動可能に連結されて構成され、上部旋回体に回動可能に支持された作業装置と、上部旋回体および複数の被駆動部材のそれぞれの姿勢情報を計測する姿勢情報計測装置と、測位衛星からの航法信号に基づいて車体の施工現場における位置および向きを演算する位置計測装置と、施工現場の目標形状である設計データ、施工現場を含む周辺地域の地形データ、及び、地形データの範囲に含まれる構造物の位置及び形状を示す構造物データを記憶する記憶装置と、位置計測装置からの演算結果、及び、姿勢情報計測装置からの姿勢情報に基づいて、設計データから得られる作業目標面と作業装置の先端に設けられた作業具との距離を演算するコントローラとを備えた作業機械において、コントローラは、設計データに基づいて施工現場を複数の領域に分割し、分割した複数の領域のそれぞれについて代表位置を設定し、測位衛星の軌道情報と地形データと構造物データとに基づいて、位置計測装置による測位精度を複数の領域の代表位置についてそれぞれ演算し、測位精度と複数の領域のそれぞれの代表位置とを紐づけて示す測位信頼度マップを生成するように構成したので、GNSSの測位精度に係る情報を作業機械の利用者に適切に提供することにより作業の段取りを支援し、施工全体の効率化を図ることができる。
すなわち、マシンガイダンス部35aが演算する作業支援情報と合わせてGNSS測位の信頼度を施工現場全体と現在の機械位置について得ることができる。その結果、オペレータは現在の作業を継続すべきかどうかの判断および他の作業位置への移動を検討できるため、段取りの効率が向上し、ひいては作業全体の効率を向上することが可能となる。
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。