以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明するが、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
なお、以下ではステープラ200を含む図面に座標系を示す。直交座標系のXはステープラ200を構成する第1挟持部210と第2挟持部220の長手方向に沿い、長手方向Xと称する。Yは長手方向Xと交差する第1挟持部210等の幅方向に沿い、幅方向Yと称する。Zは、第2挟持部220等の高さ方向に沿い、高さ方向Zと称する。
<第1実施形態>
図1から図3は第1実施形態に係る医療システム1を構成するステープラ200を示す図である。図4、図5は医療器具100を用いた手技で使用されるステープラ300の説明に供する図である。図6、図7は医療器具100を示す図、図8は医療器具100の寸法を小さくした状態を示す図、図9は医療器具100の貫通孔11を示す拡大図である。
図10は、医療器具100を用いる処置方法のフローチャートを示し、図11~図17は医療システム1を構成する医療器具100を用いて大腸を一例として消化管の吻合を行う際を説明する図である。
医療システム1は、図11を参照して概説すれば、医療器具100と、吻合術の際に医療器具100と併用されるステープラ200と、を有する。
医療器具100は、図11~図17に示すように所定の生体器官同士を接合する手技(例えば、消化管の吻合術)に適用することができる。後述するように、本明細書の説明では医療器具100を使用した手技の例として大腸吻合術を説明するが、本発明に係る癒合促進デバイスを使用可能な部位は大腸に限定されない。
医療システム1は、図1、図4等に示すステープラ200、300によって大腸等を切離し、大腸等の第1被接合部位と第2被接合部位とを接合する際に使用される。医療システム1の説明にあたり、ステープラ200、300について説明する。
<ステープラ200>
ステープラ200は、大腸などの生体器官において癌等の部位を切除するために切断し、切断した面を自動的に縫合する際に用いられる。ステープラ200は、図1から図3に示すように第1挟持部210と、第2挟持部220と、操作部230と、を備える。ステープラ200はリニアステープラとも呼ばれ得る。以下、各部の構成について説明する。
第1挟持部210と第2挟持部220は、直線状の部材を備え、直線状の部材の一端部または端部近傍を回転軸Paとして回転可能に構成している(図3参照)。これにより、生体器官は第1挟持部210と第2挟持部220とによって挟持可能に構成している。
第1挟持部210は、ステープル(接合部材に相当)を放出するカートリッジを備えるように構成している。第1挟持部210において生体器官を挟持する側にはステープルの放出穴211を第2挟持部220と向かい合う面に複数設けている(図2参照)。
図2に示すように、幅方向Yにおける第1挟持部210の略中央付近には生体器官を切断する切断部212を設けている。切断部212は、長手方向Xに移動可能であって鋭利なナイフまたはカッター等を含む。図2では便宜上、上述したカッター等が走行可能な溝部を示している。
第2挟持部220は、第1挟持部210から放出されるステープルを受けとめるアンビル等を含む。これにより、第1挟持部210から放出されたステープルを折り返して生体器官の切断部位の一方と他方とが分離せず保持できるように切断部位の周辺を縫合することができる。
操作部230は、使用者の手指等によって把持可能に構成している。操作部230は、使用者の掌等と接触する本体部と、手指と接触し、本体部に回転可能に固定されたトリガー等を含む。使用者が操作部230を把持し、トリガー等を操作することで第1挟持部210と第2挟持部220による生体器官の挟持、第1挟持部210に設けられた切断部212による生体器官の切断、第1挟持部210の放出穴211からのステープルの放出等ができる。放出されたステープルにより、生体器官を自動的に接合する。
<ステープラ300>
ステープラ300は、生体組織における生体器官である一方の被接合部位(第1被接合部位)と第1被接合部位に対向する他方の被接合部位(第2被接合部位)とを自動的に接合する。ステープラ300は、図4等に示すように第1被接合部位及び第2被接合部位を介して医療器具100を挟み込み可能な第1係合器具310と第2係合器具370を備える。ステープラ300は、サーキュラーステープラと呼ばれ得る。以下、各部の構成について説明する。
第1係合器具310は図4、図5等に示すように医療器具100の生体組織への吻合時に医療器具100の一方の側に配置される。
第2係合器具370は、吻合時に医療器具100に対して第1係合器具310と反対側に配置される。第1係合器具310は、トロッカーと呼ばれ得るとともに、第2係合器具370はアンビルと呼ばれ得る。以下、詳述する。
<第1係合器具>
第1係合器具310は、図4、図5に示すように長尺部材320と、位置決め部330と、放出部340と、打抜き部350と、操作部360と、を備える。
長尺部材320は、第1係合器具310の本体に相当する。長尺部材320は、図5に示すように長手方向の先端において位置決め部330のシャフトを相対的に進退移動可能な空間Sを備える。なお、本明細書において長尺部材320の先端部において直線状に延びる方向を長手方向とする。長尺部材320は、ステープラ300の長手方向に交差する断面を中空の円形状に構成している。
長尺部材320は、本実施形態において長手方向に直線状に延在するとともに屈曲箇所を備えているが、後述する吻合機能と打抜き機能を実現できれば、長尺部材には屈曲箇所を設けなくてもよい。
位置決め部330は、長尺状のシャフトを備える。位置決め部330のシャフトは、図5に示すように長尺部材320の長手方向における先端において空間Sから相対的に進退移動自在に構成している。位置決め部330は、医療器具100の略中央に形成され得る孔部(図26のハッチング参照)と後述する第2係合器具370のシャフト410の内腔に挿入可能に構成している。
放出部340は、第1被接合部位と第2被接合部位とを吻合する複数のステープルを略環状に放出可能に構成している。放出部340は長尺部材320の長手方向における先端側において略円板状に形成している。放出部340は、長尺部材320の先端において周方向に沿ってステープルの放出箇所を複数設けることによって構成している。
打抜き部350は、長尺部材320の先端において放出部340よりも径方向の内方に配置し、吻合対象となる生体器官の放射方向内方を打ち抜くように構成している。打抜き部350は、図5に示すように放出部340よりも径方向の内方に生体器官を打ち抜く環状のブレードを備えるように構成している。打抜き部350の形状は、長手方向から平面視した際に真円に構成できるが、癒合促進に不要な部位を打抜ければ打抜き部350の形状は真円以外に楕円等であってもよい。
操作部360は、位置決め部330と放出部340と打抜き部350とを操作できるように構成している。操作部360は、図4に示すように回転部361と、ハンドル362と、を備える。
回転部361は、長尺部材320の長手方向における基端部(基端側)に設けている。回転部361は、長尺部材320の基端側における長手方向を回転軸として長尺部材320に対して回転可能に構成している。回転部361は、第2係合器具370が第1係合器具310と係合した状態において、長尺部材320に対して回転させることによって第1係合器具310と第2係合器具370とを相対的に接近離間できるように構成している。
ハンドル362は、長尺部材320の基端部(基端側)とともに使用者によって把持可能に構成している。ハンドル362は、回転軸363によって長尺部材320と回転可能に接続されている。ハンドル362は、使用者によって握られることによって回転軸363の周りに回転して長尺部材320と相対的に接近する。これにより、放出部340からステープルを放出し、長尺部材320の先端から打抜き部350の環状ブレードを突出できるように構成している。
<第2係合器具>
第2係合器具370は、吻合対象となる生体器官を介して第1係合器具310とともに医療器具100を挟み込み可能に構成している。第2係合器具370は、図5に示すようにヘッドと、当接部380と、シャフト410と、を備える。
ヘッドは、第1係合器具310と第2係合器具370とを係合させた際に第1係合器具310の長尺部材320の特に先端側に隣接して配置される。ヘッドは、本実施形態において図4、図5に示すように略円板形状に構成しており、断面形状が長尺部材320の円形状と同一又は類似する形状として構成している。
当接部380は、ヘッドの反対側に設けられ、放出部340から放出される複数のステープルと当接可能に構成している。当接部380は、ヘッドの長手方向(板厚方向)において第1係合器具310の側に設けている。当接部380は、放出部340から放出される複数のステープルと当接可能に構成している。放出部340から放出されたステープルは当接部380で当接し、変形することによって一方の生体器官と他方の生体器官とを吻合する。
シャフト410は、後述する医療器具100の略中央を挿通可能に構成している(図26のハッチング参照)。シャフト410は長手方向に交差する断面を中空の円形状に構成している。
シャフト410には第1係合器具310の位置決め部330のシャフトを収容する空間を設けている。シャフト410は、位置決め部330のシャフトと嵌合するように構成しており、これにより第1係合器具310と第2係合器具370との位置合わせが可能になる。
<医療器具100>
医療器具100は、吻合対象となる生体器官の間に配置され、扁平に構成するとともに複数の貫通孔11を形成している。医療器具100は、図6、図7、図9等に示すようにメッシュ状部材10と、接合部20と、固定部30と、を備える。
<メッシュ状部材>
メッシュ状部材10は、吻合対象となる生体器官の間に配置され、生体器官の吻合部に適用されることによって生体組織の癒合を促進する。メッシュ状部材10は、図6等に示すように扁平なシート状に構成している。
メッシュ状部材10は、図6に示すように第1部分12、13と第2部分14、15を備える。第1部分12、13および第2部分14、15については後述する。メッシュ状部材10には図9に示すように厚さ方向に挿通するように形成された貫通孔11を複数備える。メッシュ状部材10の貫通孔11の大きさについて例示すれば、好ましくは0.1~6mm、より好ましくは0.3~4mm、さらに好ましくは0.6~1.5mmである。メッシュ状部材10は、貫通孔11の寸法DとピッチPとの比が0.25以上40未満となるように構成できる。
メッシュ状部材10の厚み(図9に示す寸法T)は特に制限されないが、好ましくは0.05~0.3mmであり、より好ましくは0.1~0.2mmである。
メッシュ状部材10は、生分解性の材料で構成することができる。メッシュ状部材10の構成材料について特に制限はなく、例えば、生分解性樹脂が挙げられる。
具体的には、(1)脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体;(2)上記(1)を構成する一以上の単量体から構成される共重合体などが挙げられる。
すなわち、生分解性シートは、脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体、ならびに前記重合体を構成する一以上の単量体から構成される共重合体からなる群より選択される少なくとも一種の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
メッシュ状部材10は、図6に示すように第1部分12、13と、第2部分14、15と、を備える。
第1部分12、13と第2部分14、15は、本実施形態において各々略半円形形状を備えるように構成している。第1部分12、13と第2部分14、15は、ステープラ200と一体化した際に第1挟持部210または第2挟持部220からはみ出る(挟まれない)部位として構成している。第1部分12と第2部分14は、ステープラ200によって生体器官を切断した際に腸管等の一方の切断部位(後述する方法の説明において肛門側A2)を覆う。第1部分13と第2部分15はステープラ200によって生体器官を切断した際に腸管の他方の切断部位(口側A1)を覆う。
第1部分12、13と第2部分14、15は、生体器官を切断するまでステープラ200と一体化させることができる。一例として第1部分12、13はステープラ200の第1挟持部210の側でステープラ200と一体化させることができる。第2部分14、15はステープラ200の第2挟持部220の側でステープラ200と一体化させることができる。
第1部分12、13と第2部分14、15は、図6に示すように外周に略円弧状の部分を有するように構成している。これにより、第1部分12、13と第2部分14、15を備えたメッシュ状部材10をステープラ200によって切断した際に略円弧形状を生体器官の切断部位にフィットするように宛がうことができる。
メッシュ状部材10は、第1部分12、13および第2部分14、15に補強部16、17を設けるように構成している。補強部16、17は、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態からメッシュ状部材10の面方向への展開を補強する。
メッシュ状部材10は、最低限生体器官の切断部位と接触し得る環状部分を備えていればよいが、補強部16、17を設けることによってメッシュ状部材10を展開し、撚れや重なりを生じない状態に維持しやすくできる。補強部16、17の詳細については後述する。
また、メッシュ状部材10の外周においてもメッシュ状部材10の展開を容易にし、展開状態の維持も容易にするように外周補強部を設けることが好ましい。外周補強部は、PGA(ポリグリコール酸)、PLA(ポリ乳酸)、PLGA(ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、PDS(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)等の熱可塑性樹脂のような生体吸収性材料からなることが好ましい。外周補強部は、メッシュ状部材10の全周に設けてもよく、全周に設けなくてもよい。
<接合部>
接合部20はメッシュ状部材10に設けられ、ステープラ200のステープルによって第1部分12と第2部分14とを接合し、第1部分13と第2部分15とを接合する部位として構成している。第1部分12と第2部分14の接合について説明すると、メッシュ状部材10は、図6の第1部分12と第2部分14が、ステープラ200に挟まれた状態で重なるように折り曲げられる。その際、第1部分12の左側に位置する接合部20と第2部分14の左側に位置する接合部20が接合部材(ステープル)によって一体に接合されることによって、第1部分12と第2部分14が一体に接合される。第1部分13と第2部分15についても同様である。また、メッシュ状部材10の接合部20を貫く接合部材(ステープル)が、生体器官の吻合部位付近の切断部位も貫いて生体器官の吻合部位付近とメッシュ状部材10とを接合することにより、メッシュ状部材10を生体器官の切断部位に固定する。接合部20は、図6に示すように第1部分12と第2部分14の間および第1部分13と第2部分15の間に各々設けており、第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持される。接合部20は、一例として矩形に形成することができるが、これに限定されず、上記以外にも円、三角形、または星形に形成してもよい。
接合部20は、ステープラ200の第1挟持部210からステープルが放出されて打ち込まれることによって第1部分12、13と第2部分14、15を接合する。接合部20は、医療器具100をステープラ200と一体化させた際にステープラ200によって挟持される一方、第1部分12、13と第2部分14、15は挟持されない。メッシュ状部材10は、生体器官の切断後における接合部20の向きが第1部分12、13と第2部分14、15の向きとで異なるように形成される。
接合部20は、生体器官の切断部位と接触するように第1部分12、13において厚さのある円弧形状と帯形状の交差部位として図6では2か所設けることができる。接合部20は、第1部分12、13と同様に第2部分14、15においても厚さのある円弧形状と帯形状の交差部位として2か所設けることができる。第1部分12、13に設けられた接合部20と接合部20の間の部位は、連結することができ、接合部20と接合部20の間の連結部位を本明細書では補強部16と称する。補強部は、第1部分12、13における接合部20と接合部20の間の連結部位に加えて第1部分12、13の厚さのある円弧形状の内側chよりも径方向内方の部位に設けることができ、本明細書では当該部位を補強部17と称する。上述した補強部16、17は第2部分14、15においても同様に設けることができる。また、図6のように、第1部分12、13と第2部分14、15とが接合部20により連結されていてもよい。また、接合部20は、ステープラ200によって接合される部分の補強効果を高めるために、図6に示すようにメッシュ状部材10が癒合効果を発揮する部分として帯形状prを第1部分12、13および第2部分14、15の円弧形状より外方に形成していると好ましい。接合部20の材料、構造は、メッシュ状部材10と同じでも良いし、メッシュ状部材10とは別の接合に適した材料、構造とし、接合部20をメッシュ状部材10とは別の部材としても良い。
<固定部>
固定部30は、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態に固定する。メッシュ状部材10は、固定部30によって寸法を小さくした状態において体内(腹腔内)に挿入され、ステープラ200に一時的に一体化可能に構成している。固定部30は、本実施形態において図11に示すようにメッシュ状部材10の寸法が小さくなるようにメッシュ状部材10の少なくとも一部の形状を規制する長尺状の線状部材を備える。
固定部30に係る線状部材は、本実施形態において図7、図8に示すようにメッシュ状部材10の一部を挿通し、メッシュ状部材10をジグザグ状に折り畳んだ状態で切断部212が通過する第1挟持部210または第2挟持部220の外周を通るように配置される。このように固定部30に係る線状部材を配置することによって、メッシュ状部材10の寸法を小さくした状態が維持される。固定部30に係る線状部材は、第1挟持部210に第1部分12、13の寸法を小さくした状態で第1挟持部210に配置され、第2挟持部220に第2部分14、15の寸法を小さくした状態で第2挟持部220に配置される。
固定部30に係る線状部材は、ステープラ200の切断部212によって切断可能に構成している。これにより、生体器官を切断するまでは医療器具100のメッシュ状部材10をステープラ200と一体化した状態にできる。一方で、生体器官を切断した際には切断部212で固定部30の線状部材を切断することによって固定部30によるメッシュ状部材10の寸法を小さくした状態から扁平形状に展開できる。本明細書において「扁平形状」とは、メッシュ状部材10が寸法の小さくなった状態から完全に扁平な形状に変形する場合だけでなく、寸法の小さい状態から完全に扁平形状になりきらないものの、扁平形状に近づくようにメッシュ状部材10が変形した場合を含む。
固定部30に係る線状部材は、生体吸収性の糸、またはリボン状の部材が好ましい。固定部30に係る線状部材は、生体内に残り得るため、細い糸であるとより好ましい。固定部30に係る線状部材を鉗子等で回収する場合、材料は非生体吸収性の材料であってもよい。固定部30に係る線状部材は、第1挟持部210と第2挟持部220に対して1か所以上設けることが好ましい。
メッシュ状部材10の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した生分解性樹脂からなる繊維を作製し、当該繊維を用いてメッシュ形状のシートを製造する方法が挙げられる。生分解性樹脂からなる繊維を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。メッシュ状部材10は、上記の方法のうち1種のみを選択して用いてもよいし、2種以上を選択し適宜組み合わせてもよい。なお、メッシュ状部材10の製造方法のさらに別の例として、上述した生分解性樹脂からなる繊維を常法に従って紡糸し、得られた繊維をメッシュ状に編むことによって本発明に係る生分解性シートを製造する方法、該繊維を圧縮することによって該生分解性シートを製造する方法、該繊維を織らずに絡み合わせることによって該生分解性シートを製造する方法を挙げることができる。
メッシュ状部材10は、メッシュ状部材10を構成する生分解性樹脂等の構成材料によって生体反応を惹起させる。メッシュ状部材10は、この作用により、フィブリン等の生体成分の発現を誘導する。このようにして誘導された生体成分は、メッシュ状部材10の貫通孔11を貫通するようにして集積することで、癒合を促進することができる。したがって、接合対象となる生体器官同士の間に、医療器具100のメッシュ状部材10を配置することにより、上記のメカニズムによる癒合の促進が生じる。接合部20を含むメッシュ状部材10は上述した癒合促進効果があることが好ましい。
<処置方法>
次に医療器具100を用いた処置方法を説明する。
図10を参照して概説すれば、メッシュ状部材10の寸法を小さくした状態でステープラ200とともに腹腔内に挿入する(S101)。生体器官の吻合対象を切断するとともに、切断部位をメッシュ状部材10の第1部分12、13と第2部分14、15とで挟んで縫合する(S102)。吻合対象となる一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に医療器具100を配置して両者を相対的に接近させる(S103)。一方の被接合部位と他方の被接合部位との間で医療器具100のメッシュ状部材10を挟み込む(S104)。一方の被接合部位と他方の被接合部位の間にメッシュ状部材10を挟み込んだ状態で両者を吻合する(S105)。
上記処置方法により接合される生体器官及び生体器官における被接合部位は特に限定されず、任意に選択することができる。ただし、以下の説明では、大腸吻合術を例に挙げて説明する。また、以下に説明する各手技において、公知の手技手順や公知の接合装置については詳細な説明を適宜省略する。
以下、本明細書の説明において「生体器官の間にメッシュ状部材を配置する(以下、上記記載と言う)」とは、生体器官にメッシュ状部材が直接的に又は間接的に接触した状態で配置されることを意味し得る。
また、上記記載は生体器官との間に空間的な隙間が形成された状態でメッシュ状部材が配置されることを意味し得る。また、上記記載はその両方の状態でメッシュ状部材が配置されること(例えば、一方の生体器官にメッシュ状部材が接触し、他方の生体器官にはメッシュ状部材が接触していない状態で配置されること)を意味し得る。
また、本明細書の説明において「周辺」とは、厳密な範囲(領域)を規定するものではなく、処置の目的(生体器官同士の接合)を達成し得る限りにおいて、所定の範囲(領域)を意味する。
また、各処置方法において説明する手技手順は、処置の目的を達成し得る限りにおいて、順番を適宜入れ替えることが可能である。また、本明細書の説明において「相対的に接近させる」とは、接近させる対象となる2つ以上のものを、互いに接近させること、一方のみを他方のみに接近させることの両方を意味する。
本実施形態に係る処置方法において、接合対象となる生体器官は、癌腫瘍の切除に伴い切断された大腸である。具体的には、接合対象となる生体器官は、切断した大腸の口側A1と、切断した大腸の肛門側A2である。以下の説明では、切断した大腸の口側A1の口部周辺(一方の被接合部位)と、切断した大腸の肛門側A2の腸壁の一部(他方の被接合部位)を接合する手順を説明する。
まず、術者は、臍のあたりの周囲にポートという穴のような部位を形成し、患者のお腹を膨らませる。
次に、術者は、図11等に示すようにメッシュ状部材10をジグザグに折り畳むように変形させて寸法を小さくし、固定部30の線状部材で結ぶ等の操作を行うことで寸法が小さくなった状態を維持しながらメッシュ状部材10と第1挟持部210を一体化する。術者はステープラ200の第2挟持部220に対しても固定部30の線状部材によってメッシュ状部材10を一体化させる。なお、医療器具100はステープラ200と一体化した状態で販売等できるが、その場合、術者による上記操作は省略することができる。
次に、術者は、臍のあたりに切開部(図示省略)を形成し、そこから第1挟持部210と第2挟持部220を閉じた状態のステープラ200を腹腔内に挿入する(S101)。この操作により、ステープラ200と一体の医療器具100も腹腔内に挿入される。次に、術者は第1挟持部210と第2挟持部220を開き、第1挟持部210と第2挟持部220によって腸管(切断予定部位)を挟持する。この操作により、メッシュ状部材10の少なくとも一部が第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持される。次に、術者は操作部230を操作して第1挟持部210と第2挟持部220を閉じることで、放出穴211からステープルを第2挟持部220側に放出して切断予定部位の周辺を縫合しながら、切断部212を移動させて対象となる腸管等を切離する。
ステープラ200の切断部212による切断によって固定部30の線状部材が切断され、メッシュ状部材10がステープラ200と一体でなくなる。これにより、接合部20以外のメッシュ状部材10は寸法の小さい状態から展開するように変形して円弧形状に形成される。また、メッシュ状部材10は切断予定部位とともにステープラ200によって挟持され、ステープラ200からステープルを放出することによって第1部分12と第2部分14は切断部位の近傍とともに縫合(接合)され、第1部分13と第2部分15も切断部位の近傍とともに縫合(接合)される(S102)。また、接合部20は、第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持されることで接合部20以外のメッシュ状部材10に対して立ち上がるように形成される。メッシュ状部材10を構成する第1部分12と第2部分14は、接合部20がステープラ200によって接合されることで一体となり、略円形状に形成される。第1部分13と第2部分15についても同様である。第1部分12と第2部分14は、本説明において肛門側A2の切断部位を覆うように配置され、第1部分13と第2部分15は口側A1の切断部位を覆うように配置される(図14参照)。ここで術者は、メッシュ状部材10と一体でなくなったステープラ200を体内から抜去する。
次に、術者はメッシュ状部材10を配置した切断部位のうち、一方を取り除く。大腸吻合術は癌部位等のような切除したい部位が存在する場合に行われ、本説明では例示的に口側A1の切断部位pt1が一部取り除かれるものとする(図14参照)。この際に口側A1の切断部位に配置されたメッシュ状部材10の第1部分13と第2部分15は、取り除かれる一方、肛門側A2に配置された第1部分12と第2部分14は生体器官に留置される。
次に、術者は、口側A1の患部を体外に取り出して、大腸の口側A1にステープラ300の第2係合器具370を挿入する。術者は、第2係合器具370のヘッドを大腸の口側A1に挿入し、シャフト410を突出した状態で巾着縫合し、縫合部A11を形成する。縫合部A11の外表面は、縫合に伴い凸側に部分的に突出した形状となりうる。
次に、術者は、第2係合器具370が挿入された大腸の口側A1の生体組織を切開部から体内に収容する。
次に、術者は、大腸の肛門側A2に、ステープラ300の第1係合器具310を配置する。第1係合器具310を大腸の肛門側A2に配置(挿入)するのに伴って、大腸の肛門側A2及びメッシュ状部材10の第1部分12と第2部分14の間に貫通孔A21が形成される。なお、貫通孔A21を形成するタイミングは、第1係合器具310を配置した後であれば、特に限定されない。
次に、術者は、大腸の口側A1に対してメッシュ状部材10を保持した状態を維持しつつ、位置決め部330のシャフトと第2係合器具370のシャフト410とを離間した位置で係合させる。そして、回転部361を回転させて、図15、図16に示すように第1係合器具310と第2係合器具370を相対的に接近させる。これにより、大腸の口部周辺と大腸の腸壁とが相対的に接近する(S103)。
次に、術者は、第1係合器具310と第2係合器具370との間で、大腸の口側A1の口部周辺、医療器具100のメッシュ状部材10、大腸の肛門側A2の腸壁に形成した貫通孔A21周辺を挟み込む(S104)。
術者は、ステープラ300の操作部360のハンドル362を回転軸363の回りに回転させて打抜き部350の環状ブレードを突出させる。そして、第1係合器具310と第2係合器具370との間に挟まれた大腸の口側A1の一部、メッシュ状部材10の径方向内側、及び大腸の肛門側A2の一部を切除し、切除した部位の周囲をステープル(図示省略)により略環状に接合する(S105)。
次に、術者は、図17に示すように、ステープラ300を、例えば、大腸の肛門側A2から肛門を介して生体外へ取り出す。このとき、第1係合器具310の打抜き部350の外径dより内方側に構成された領域をステープラ300とともに生体外へ取り出す。これにより、医療器具100において打抜き部350よりも径方向の内方に位置する部位は体内に残らず、除去される。これにより、メッシュ状部材10は、略円形状から環状に形成される。
医療器具100のメッシュ状部材10が接合対象となる生体器官の間に挟み込まれて留置されることによって、メッシュ状部材10の貫通孔A21を通じて接合対象となる生体器官の癒合を促進させることができる。
このような処置方法によれば、シート状のメッシュ状部材10を第1被接合部位と第2被接合部位との間に挟み込ませるという簡便な方法により、吻合手技(例えば、消化管の吻合術)後の縫合不全等のリスクを低減させることができる。
以上説明したように本実施形態に係る医療器具100は、メッシュ状部材10と、接合部20と、を備える。メッシュ状部材10は、吻合対象となる生体器官の間に配置され、扁平であって複数の貫通孔11が形成され、第1部分12、13および第2部分14、15を備える。接合部20は、生体器官とメッシュ状部材10とをステープルによって接合する。メッシュ状部材10は、生体器官の吻合部に対応する略円弧状の部分を有する。また、医療器具100は、生体器官に切断部位を形成するとともに切断部位を縫合するステープラ200と医療システム1を構成し得る。
このように構成することによって、接合部20以外の第1部分12、13と第2部分14、15はステープラ200によって切断された生体器官の切断部位にフィットするように宛がうことができる。そのため、吻合対象となる生体器官を吻合する前の生体器官を切断する際に切断部位にシート状のメッシュ状部材10を効率的に配置することができる。
また、医療器具100は、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態に固定する固定部30を備える。ステープラ200や医療器具100を挿入する挿入路は比較的狭い。そのため、シート状のメッシュ状部材10の寸法を固定部30によって小さくすることによって、医療器具100を広げたままステープラ200と一緒に挿入する場合よりも医療器具100と一体化したステープラ200を腹腔内に挿入しやすくできる。
また、メッシュ状部材10は、固定部30によって寸法を小さくした状態において体内に挿入され、生体器官に切断部位を形成するとともに切断部位を縫合するステープラ200と一時的に一体化できる。これにより、ステープラ200の切断部212によって生体器官を切断した際に、医療器具100を切断部位近傍に配置でき、生体器官に切断部位を形成した際に切断部位にメッシュ状部材10を配置する作業を効率的に行うことができる。
また、メッシュ状部材10は、生体器官の吻合部に適用されることによって吻合部の癒合を促進する。これにより、癌等の部位が切除された部位の癒合を促進することができる。
また、メッシュ状部材10は、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態から面方向への展開を補強する補強部16、17を備える。これにより、メッシュ状部材10を寸法の小さくなった状態から扁平形状に展開しやすくでき、メッシュ状部材10を撚れや重なりが少ない状態で癒合したい部分に配置することができ、効果的に癒合を促進することができる。
また、固定部30は、メッシュ状部材10の面方向における寸法が小さくなるようにメッシュ状部材10の少なくとも一部の形状を規制する長尺状の線状部材を備えるように構成している。これにより、メッシュ状部材10を腹腔内に挿入しやすいようにメッシュ状部材10の寸法を小さくし易くできる。
また、固定部30の線状部材は切断可能であり、メッシュ状部材10は線状部材を切断することによって寸法が小さい状態から展開可能に構成している。そのため、固定部30に係る線状部材の切断という比較的簡単な操作でメッシュ状部材10を切断部位に宛がい易い形状に形成できる。また、線状部材が切断可能であることによって、メッシュ状部材10は寸法を小さくした状態から展開させることができ、メッシュ状部材10にヨレが生じることを防止または抑制できる。
(第1実施形態の変形例1)
図18は第1実施形態の変形例1に係る医療器具100aのメッシュ状部材10aを示す図、図19は図18に係るメッシュ状部材10aに固定部30に係る線状部材を配置した状態を示す図である。第1実施形態ではメッシュ状部材10が円形状に係る第1部分12、13と円形状に係る第2部分14、15を連結するように構成すると説明した。
ただし、ステープラ200による切断操作によってメッシュ状部材10を切断部位に宛がうことができれば、第1部分と第2部分の具体的態様は第1実施形態に限定されない。上記以外にも例えば、メッシュ状部材10aを、図18に示すように第1部分12、13の略円形状と第2部分14、15の略円形状を連結せずに別々に構成してもよい。
なお、医療器具100aのその他の構成、ステープラ200、300および医療器具100aによる処置方法は第1実施形態と同様である。例えば、メッシュ状部材10aにおいても第1実施形態と同様に補強部16、17を設けることができる。そのため、共通する構成の詳細な説明を省略する。
(第1実施形態の変形例2)
図20は第1実施形態の変形例2に係る医療器具100bを構成するメッシュ状部材10bを示す図、図21はメッシュ状部材10bに固定部30bに係る線状部材を配置した状態を示す図である。図22はメッシュ状部材10bをステープラ200上で展開させた状態を示す図である。
第1実施形態ではメッシュ状部材10の第1部分12、13と第2部分14、15をステープラ200の幅方向Yにおける両端部に配置したが、メッシュ状部材は以下のように構成することも可能である。なお、本変形例においてステープラ200、300は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
医療器具100bは、図21等に示すようにメッシュ状部材10bと、接合部20bと、固定部30bと、を備える。メッシュ状部材10bは、ステープラ200による切断前の形状として図20に示すように第1部分12と、第2部分14と、を備える。メッシュ状部材10bは、本変形例において第1部分12と第2部分14を接合部20bによって連結するように構成している。
すなわち、メッシュ状部材10bは、本変形例においてステープラ200のステープルによる接合前から接合部20bによって連結した状態となるように構成している。メッシュ状部材10bは、本変形例において図22に示すようにステープラ200の幅方向Yにおける片側、すなわち第1実施形態で説明した肛門側A2等の片側にのみ配置される。また、本変形例においてもメッシュ状部材10bには補強部16、17を設けることができる。
メッシュ状部材10bは、第1実施形態と同様にジグザグ等に折り畳まれた状態でステープラ200と一体化できる。メッシュ状部材10bは、切断部212によって切断した際に寸法の小さくなった状態から展開して第1部分12と第2部分14とが異なる方向を向くように変形させることができる(図22参照)。
固定部30bは、接合部20bによって連結された第1部分12と第2部分14とを折り畳んだ状態でステープラ200の第1挟持部210または第2挟持部220と一体化するように構成している。
なお、本変形例における医療器具100bを用いた処置方法ではステープラ200の幅方向Yにおける片側にメッシュ状部材10bが配置され(図22参照)、ステープラ200と一体化される。そして、ステープラ200による切断の際に固定部30bの線状部材が切断され、固定部30bの切断により第1部分12と第2部分14とは異なる方向に向かって展開される。その結果、腸管の肛門側A2の切断部位を覆うようにメッシュ状部材10bが宛がわれる。腸管の口側A1にメッシュ状部材10bは配置されない。その他は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、寸法の小さくなったメッシュ状部材10bをステープラ200と一体化した状態で体内に挿入し、展開させる際に、必要に応じて固定部30bに係る線状部材を鉗子等で取り外してもよい。
以上、説明したように本変形例では医療器具100bのメッシュ状部材10bがステープラ200の幅方向Yにおける片側にのみ配置される。その場合であっても切断部位のうち、切除する部位と反対側にメッシュ状部材10bを配置するようにメッシュ状部材10bとステープラ200を一体化すれば、ステープラ200による切断後にメッシュ状部材10bを切断部位に効率的に配置できる。
(第1実施形態の変形例3)
図23は、医療器具100cを構成するメッシュ状部材10cを示す図、図24はメッシュ状部材10cに固定部30cに係る線状部材を配置した状態を示す図、図25はメッシュ状部材10cをステープラ200上で展開した状態を示す図である。第1実施形態では略円形状の第1部分12、13と円形状の第2部分14、15とを連結してメッシュ状部材10を構成しているが、メッシュ状部材10cは以下のように構成することもできる。なお、ステープラ200、300は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
医療器具100cは、図24に示すようにメッシュ状部材10cと、接合部20と、固定部30cと、を備える。メッシュ状部材10cは、第1部分12と、第2部分14と、を備える。変形例2では接合部20bを基準に考えると、第1部分12を第2部分14に対して接合部20bの反対に位置するように配置している。
本変形例においてメッシュ状部材10cは、図23、図24に示すように第1部分12と第2部分14を接合部20の延在する方向に並べるように配置している。なお、本変形例においても第1実施形態等と同様にメッシュ状部材10cに補強部16、17を設けることができる。
接合部20は、帯状に形成することによって第1部分12と第2部分14とを連結するように構成している。
固定部30cは第1実施形態と同様に線状部材を含み、一例として第1部分12の面方向における寸法を小さくした状態でステープラ200の第1挟持部210の幅方向Yにおける外周に巻き回して一体化させる。固定部30cは、第2部分14の面方向における寸法を小さくした状態においてステープラ200の第2挟持部220の幅方向Yにおける外周に巻き回して一体化させるように構成している。
本変形例に係る医療器具100cを用いた処置方法では変形例2と同様にステープラ200の幅方向Yにおける片側のみから第1部分12と第2部分14がはみ出るように配置され、ステープラ200と一体化される(図25参照)。そして、ステープラ200によって生体器官の一部が切断・縫合される際に接合部20によって第1部分12と第2部分14とが略円形状をなすように接合されて生体器官と縫合され、第1部分12と第2部分14が切断部位を覆うように宛がわれる。本変形例では変形例2と同様に口側A1の切断部位にメッシュ状部材10cは配置されない。その他は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように本変形例では第1部分12と第2部分14とが接合部20に沿って並ぶように配置している。このようにメッシュ状部材10cが切断部位の一方のみに配置される場合でも変形例2と同様に、切除される側と反対の切断部位にメッシュ状部材10cを配置すれば、ステープラ200による切断後にメッシュ状部材10cを切断部位に効率的に配置できる。
(第1実施形態の変形例4)
図26は医療器具を構成するメッシュ状部材10dの第1部分または第2部分のいずれかであって補強部の変形例を示す図である(図面では例示的に第1部分12を示しているが、その他の部位についても同様である)。第1実施形態では第1部分12、13において幅のある円弧形状と帯形状の交差部位2か所を各々接合部20と称し、接合部20と接合部20の間の連結部位を補強部16と称すると説明したが、補強部16dは、ステープラ300の第2係合器具370のシャフト410に挿通されることを考慮して、接合部20と接合部20の間を連結した部位に切り欠き部Ndを設けてもよい(図26のハッチング部分参照)。なお、補強部16dの仕様は第1部分12、13だけでなく、第2部分14、15についても同様に設けることができる。また、補強部16d以外のメッシュ状部材10dの構成、接合部20、固定部30、およびステープラ200、300および医療器具を用いた処置方法は第1実施形態と同様である。そのため、共通する構成の説明を省略する。
(第1実施形態の変形例5)
図27は、医療器具を構成するメッシュ状部材10eの補強部の変形例を示す図である。第1実施形態では第1部分12、13における厚さのある円弧形状と帯形状の交差部位2か所を各々接合部20と称し、接合部20と接合部20の間の連結部位を補強部16と称し、第1部分12、13の厚さのある円弧形状の内側chより径方向内方を補強部17と称すると説明したが、本変形例において補強部は、図27に示すように第1実施形態における補強部17に相当する部位を設け、補強部16に相当する部位は設けず、切り欠き部Neとして構成してもよい。なお、補強部以外のメッシュ状部材10eの構成、接合部20、固定部30、およびステープラ200、300および医療器具を用いた処置方法は第1実施形態と同様である。そのため、共通する構成の説明を省略する。
(第1実施形態の変形例6)
図28は医療器具を構成するメッシュ状部材10fの補強部の変形例を示す図である。第1実施形態の変形例4では第1部分12、13の厚さのある円周形状と帯形状の交差部位2か所を接合部20と称し、接合部20と接合部20の間の連結部位である補強部16dにシャフト410が挿通可能な切り欠き部Ndを設けると説明した。また、第1実施形態では第1部分12、13の厚さのある円弧形状の内側chより径方向内方を補強部17と称すると説明した。
本変形例において補強部は、上記以外にも図28に示すように図26に示す補強部16dを設け、第1実施形態の補強部17に相当する部位を設けず、切り欠き部Nfとして構成してもよい。なお、補強部以外のメッシュ状部材10fの構成、接合部20、固定部30、およびステープラ200、300および医療器具を用いた処置方法は第1実施形態と同様である。そのため、共通する構成の説明を省略する。
(第1実施形態の変形例7、8、9)
図29、図30、図31は、メッシュ状部材10をステープラ200と一体化する際にメッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくする態様を示す図である。第1実施形態ではシート状のメッシュ状部材10をステープラ200の幅方向Yにおいてジグザグに折り畳むように変形させることによって面方向の寸法を小さくすると説明したが、ステープラ200を腹腔内へ挿入する際にメッシュ状部材の形状を完全な扁平形状よりも小さくできれば、メッシュ状部材の寸法を小さくする具体的態様はジグザグに限定されない。
上記以外にも変形例7について示す図29のように、ステープラ200の第1挟持部210または第2挟持部220を長手方向Xから見た際にステープラ200の外周にメッシュ状部材10を巻き付けるように構成してもよい。
また、変形例8について示す図30のように、高さ方向Zにおいてメッシュ状部材10を配置した第1挟持部210または第2挟持部220の側に渦巻を形成するようにメッシュ状部材10を巻き回してもよい。
また、変形例9について示す図31のように、変形例8と反対に、高さ方向Zにおいてメッシュ状部材10を配置した第1挟持部210または第2挟持部220と反対側に向けて渦巻が形成されるようにメッシュ状部材10を巻き回してもよい。
なお、変形例7、変形例8、変形例9に係る医療器具を用いた処置方法は長手方向Xから見た際に第1挟持部210と第2挟持部220の間の面を通るように固定部30の線状部材を第1挟持部210または第2挟持部220に巻き付ける点で共通する。
これにより、ステープラ200の切断部212が生体器官を切断した際に固定部30の線状部材を切断してメッシュ状部材10が図29、図30、図31のいずれかの形状から扁平形状に展開するように変形させることができる。その他は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(第1実施形態の変形例10)
図32から図34は第1実施形態の変形例10に係るメッシュ状部材10とステープラ200との一体化について説明する図である。第1実施形態では固定部30に係る線状部材を第1挟持部210または第2挟持部220に巻き付けることによって、メッシュ状部材10は面方向における寸法を小さくした状態でステープラ200と一体化される。
メッシュ状部材10とステープラ200の一体化についてはこれに加えて図32に示すように第1挟持部210と第2挟持部220の間のメッシュ状部材10との接触部分に脱着可能な接着剤sを設けるように構成してもよい。このような接着剤sは、ステープラ200の切断部212によって生体器官を切断した後にステープラ200を腸管から外す際にメッシュ状部材10がステープラ200から剥離される程度に接着力を調整することができる。
また、メッシュ状部材10とステープラ200の接触部分には接着剤sに加えてメッシュ状部材10のステープラ200に固定するとともに、一定の操作によってメッシュ状部材10のステープラ200からの離脱の起点となる切れ目tを設けてもよい(図34参照)。切れ目tの部分は、接着剤、テープなどでステープラ200に固定できる。切れ目tの部分の材料は生体吸収材性材料でもよく、非生体吸収性材料でもよい。
切れ目tの部分は、メッシュ状部材10と腸管との固定力よりも強度を弱く設定し、図34に示すように切れ込み、点線、または強度の弱い物質で構成できる。ステープラ200の切断部212によって生体器官を切断し、ステープラ200を腸管から外す際に切れ目tが切れて固定部30とメッシュ状部材10が分離するように設定することができる。切れ目tはステープラ200の長手方向Xにおける端部等において全面に設けてもよく、一部にのみ設けてもよい。切れ目tは、ステープラ200の第1挟持部210と第2挟持部220とが重なる部分の端部と基部、メッシュ状部材10の打抜き部350によって打ち抜かれる部分とステープラ200の側面に固定部分を設置する。接着剤sについてはメッシュ状部材10の打抜き部350によって打ち抜かれる部分とステープラ200の側面に設置できる。また、接着剤sはメッシュ状部材10の第1部分12、13、第2部分14、15の半円部分の中央付近にも設置できる。
なお、本変形例における接着剤sおよび切れ目t以外のメッシュ状部材10、接合部20、固定部30とステープラ200のその他の構成、およびステープラ300は第1実施形態と同様である。また、処置方法もメッシュ状部材10をステープラ200と一体化する際に接着剤sを用いたり、ステープラ200によって生体器官を切断した際に切れ目tに沿ってメッシュ状部材10をステープラ200から離脱させたりする操作を行う程度であるため、説明を省略する。
(第1実施形態の変形例11)
図35、図36、図37は第1実施形態の変形例11の説明に供する図である。第1実施形態では固定部30に係る線状部材を切断することによってメッシュ状部材10は面方向の寸法が小さくなった状態から展開すると説明したが、メッシュ状部材の面方向の寸法が小さい状態からメッシュ状部材を展開させる態様は以下のように構成することができる。なお、図35から図37はメッシュ状部材10kの第1部分12、13、第2部分14、15のいずれかを示している。
なお、本変形例はメッシュ状部材10k、接合部20、固定部30に加えて膨大部40および糸50を設けている。メッシュ状部材10kでは、補強部16、17を設けていないものの、メッシュ状部材10k、膨大部40および糸50以外の接合部20、固定部30、ステープラ200、300の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
膨大部40は、図35に示すようにメッシュ状部材10kの外周部にチューブ部材を設けるように構成している。膨大部40のチューブ部材は、流体を注入可能な注入口(図示省略)を備えるように構成している。膨大部40のチューブ部材は、第1部分12、13、および第2部分14、15の外周部分に一つずつ設けている。糸50は、膨大部40のチューブ部材をメッシュ状部材10kに縫い付けて接続し、メッシュ状部材10kに括り付けて固定している。
膨大部40のチューブ部材の内部空間に充填する流体は、水や生理食塩水等の液体または気体を挙げることができる。膨大部40のチューブ部材の材料は、膨張前に畳まれた状態を維持する観点から柔軟性のある非弾性素材が好ましい。また、膨大部40のチューブ部材は、糸や帯状の部材でメッシュ状部材10kに括りつけたり、脱着可能な接着性物質によって一体化させたりすることができる。膨大部40のチューブ部材をメッシュ状部材10に一体化する材料は生体吸収性材料が好ましいが、生体吸収性材料でなくてもよい。また、膨大部40のチューブ部材は、図35において一部材を第1部分12、13、第2部分14、15の外周の全周にわたって設けているが、これに限定されず、第1部分12、13、第2部分14、15の周囲の一部に部分的に配置してもよい。
<処置方法>
本変形例に係る医療器具を用いた処置方法は、ステープラ200による生体器官の切断・接合およびステープラ200の腹腔内からの抜去および癌部位などの除去までは第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
切断部位のうちの一方を除去したら、術者はステープラ300の放出部340によるステープルの放出までに、膨大部40のチューブ部材の注入口から流体を注入して膨大部40のチューブ部材を拡張させる。メッシュ状部材10kは、固定部30の線状部材が切断された状態で膨大部40のチューブ部材が拡張することによってメッシュ状部材10kの拡張が促進され、癒合させたい部位にメッシュ状部材10をより適切な状態で設置できる。膨大部40のチューブ部材の拡張が終了したら、術者は膨大部40のチューブ部材の拡張に用いた器具を腹腔内から抜去する。その後の操作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
なお、上記では膨大部40のチューブ部材に流体を収容する内部空間を設け、流体を内部空間に充填することによって膨大部40のチューブ部材が拡張してメッシュ状部材10kの展開が促進されると説明した。ただし、メッシュ状部材10kの展開の促進はこれに限定されない。上記以外にも、チューブ部材を膨潤性のゲルやビーズ等を透過膜チューブに配置してチューブ部材を代用し、水や生理食塩水、または生体器官に存在する水等に接触させることでチューブ部材を拡張させてメッシュ状部材10kの展開を促進させてもよい。
また、チューブ部材は、メッシュ状部材10kが展開する形状が記憶され、熱などをきっかけとして記憶された形状が復元されるように構成してもよい。また、チューブ部材は弾性部材を含み、固定部30に係る線状部材を切断するまで弾性部材の弾性が抑制され、線状部材の切断によって弾性力が復帰してメッシュ状部材10kが展開することを膨大部40のチューブ部材が促進させてもよい。
さらに、膨大部40のチューブ部材の配置は、メッシュ状部材10kの外周部に限定されず、図36、図37に示すようにメッシュ状部材10kの内周側に膨大部40mのチューブ部材を配置した状態でメッシュ状部材10kの展開を促進してもよい。図36ではメッシュ状部材10kが略紙面奥行方向に延びているような状態において膨大部40を拡張させることによって、メッシュ状部材10kが図37に示すようにおよそ紙面に沿うように変形する。この場合、チューブ材料とメッシュ状部材10kの接続は、接着剤を使用してメッシュ状部材10kと一体化させたり、糸、帯状部材などでメッシュ状部材10kに括り付けることで一体化させたりできる。このような部材は生体吸収性材料や非生体吸収性材料のいずれであってもよい。
(第1実施形態の変形例12)
図38はメッシュ状部材10pがステープラ200pと一体化している状態を示す図、図39はメッシュ状部材10pが一体化した状態から展開した状態を示す図である。図40はメッシュ状部材10pをステープラ200pに一体化する際のステープラ200pへの巻き付け方を示す図である。
第1実施形態ではステープラ200の第1挟持部210と第2挟持部220の各々とメッシュ状部材10に固定部30の線状部材を巻き付けることによってメッシュ状部材10をステープラ200と一体化すると説明したが、カッターを収容する第1挟持部210に対してメッシュ状部材10は以下のように一体化、および一体化の解除を行うことができる。
なお、本変形例において医療器具100pを構成するメッシュ状部材10pは、第1挟持部210pに対するメッシュ状部材10pの巻き付け方と固定部30pの線状部材のメッシュ状部材10pに対する挿通のさせ方が異なる程度である。その他は、第1実施形態に係る医療器具と同様である。また、ステープラ200pの第2挟持部220、操作部230、ステープラ300は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。このように、本変形例では第1挟持部210と第2挟持部220とで固定部の構成を変えるように構成している。また、図38から図40では説明の便宜上、他の図面と比べて第1挟持部210pと第2挟持部220の上下の配置を反転させている。
ステープラ200pの第1挟持部210pは、ステープルを放出する放出穴211と、図38に示すように生体器官を切断する切断部212pと、溝部213pと、を備える。放出穴211は、第1実施形態と同様に第2挟持部220に向かってステープルを放出可能に構成している。切断部212pは、溝部213pの近傍に配置され、溝部213pに沿うように移動可能に構成している。溝部213pには、第1挟持部210pと一体化するメッシュ状部材10pを巻き付けるように配置することができる(図38、図40参照)。メッシュ状部材10pは面方向における寸法を小さくした状態でメッシュ状部材10pが第1挟持部210の上で重なっている部分の一か所が固定部30pによって貫通されていることにより、第1挟持部210と一体に保持されている。固定部30pの線状部材は、図38に示すように溝部213pにおいて切断部212pの移動開始位置付近の端部では例示的に所定距離、溝部213pの内部に位置するように配置している。固定部30pの線状部材は、溝部213pの端部から所定距離離間した位置以降から切断部212pの移動終了位置付近の端部までは、溝部213pの内部を脱して、第1挟持部210pの外部において第1挟持部210pの溝部213pに沿うように配置している。また、固定部30pに係る線状部材は、切断部212pの長手方向Xへの移動に伴って線状部材がメッシュ状部材10から解ける(押し出される)ように挿通させている。固定部30pに係る線状部材は切断部212pの動きと連動できるように一端部を切断部212pに固定している。固定部30pに係る線状部材は、切断部212pで押しやすくするために切断部212pの進行方向と逆側の端部を太く、平面上に形成することが好ましい。固定部30pに係る線状部材は樹脂や金属のように固い非吸収性素材を用いることが好ましいが、吸収性素材を用いてもよい。また、第2挟持部220においてメッシュ状部材10は第1実施形態と同様に固定部30の線状部材によって第2挟持部220と一体化するように構成している(図11参照)。
<処置方法>
次に本変形例に係る処置方法について説明する。患者に対するポートの形成は第1実施形態と同様である。次に、術者は、メッシュ状部材10の寸法を小さくして固定部30、30pによってメッシュ状部材10をステープラ200pと一体化する。ステープラ200pにおける第2挟持部220とメッシュ状部材10との一体化は第1実施形態と同様である。
第1挟持部210pとメッシュ状部材10の一体化については、上記のように切断部212pの移動に伴って固定部30pに係る糸状部材がメッシュ状部材10から押し出されるように線状部材を切断部212pに取り付け、メッシュ状部材10に挿通させる。
次の操作である切開部の形成、ステープラ200の体内への挿入、ステープラ200による切断部位の挟持は第1実施形態と同様である。次に、術者は操作部230を操作して第1挟持部210pからステープルを放出するとともに切断部212pによって切断予定部位を切断する。この際に切断予定部位には切断部212pによって切断部位が形成されるとともに、ステープルによって切断部位の周囲が縫合される。また、切断部212pの移動に伴ってメッシュ状部材10pを第1挟持部210pと一体化させていた線状部材は第1挟持部210pから押し出されることでメッシュ状部材10pと第1挟持部210pの一体化が解除されてメッシュ状部材10pは寸法の小さい状態から扁平形状に変形(展開)する(図39参照)。メッシュ状部材10pは、接合部20によって略円状に形成される。なお、固定部30pに係る糸状部材は必要に応じて鉗子等の器具を用いて第1挟持部210から抜き取ってもよい。
第2挟持部220とメッシュ状部材10pの一体化の解除は第1実施形態と同様である。これにより、メッシュ状部材10pがステープラ200から分離し、第1部分12、13と第2部分14、15とが接合部20によって一体化したメッシュ状部材10が切断部位の端部である口側A1と肛門側A2に配置される。以降の操作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように本変形例では、ステープラ200pにおける第1挟持部210pの周囲に配置したメッシュ状部材10pに線状部材を挿通等させることによって、メッシュ状部材10pを第1挟持部210pと一体化するように構成している。第1挟持部210pとメッシュ状部材10pを一体化する線状部材は、切断部212pの移動に伴って第1挟持部210pから押し出されてメッシュ状部材10pは寸法の小さい状態から展開する。このように構成することによって、ステープラ200pの切断部212pによって切断部位を形成する通常の操作によってメッシュ状部材10pと第1挟持部210pとの一体化を解除することができる。
(第2実施形態)
図41は第2実施形態に係る医療器具100qの面方向における寸法を小さくしてステープラ200と一体化する際を示す図である。第1実施形態では固定部30が糸のような線状部材をメッシュ状部材10と第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかに巻き付けることによってメッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくし、線状部材の切断により寸法の小さくなったメッシュ状部材10を扁平形状に展開すると説明したが、固定部の構成は上記に限定されない。
固定部は以下のように構成することができる。なお、本実施形態において医療器具100qを構成するメッシュ状部材10、接合部20、ステープラ200、300は第1実施形態と同様に構成しているため、共通する構成の説明を省略する。
医療器具100qを構成する固定部30qは、本実施形態において図41に示すようにステープラ200に対する取り付けおよび取り外しを可能に構成している。固定部30qは、メッシュ状部材10とともにステープラ200の第1挟持部210または第2挟持部220に取り付けられることによってメッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくするように構成している。固定部30qは、本実施形態において図41に示すキャップのように片側に底面を有し、他方が開口した筒状の取り付け部材を備える。固定部30qは、ステープラ200から取り外すことによってメッシュ状部材10を扁平形状に展開させることができる。
固定部30qは、開口した部位に面方向の寸法を小さくしたメッシュ状部材10と第1挟持部210または第2挟持部220のいずれかを取り付けることができる。固定部30qは、長手方向Xから見た面積に対して固定部30qの底面の面積を第1挟持部210等に対してわずかに大きくすることで固定部30qに第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10を差し込む際にメッシュ状部材10が展開しないようにできる。固定部30qは、弾性材料で構成でき、当該弾性材料は生体吸収性材料でもよく、生体吸収性材料でなくてもよい。固定部30qに係る取り付け部材は上述のように有底の凹部のように形成しており、部材の弾性により取り付け状態でメッシュ状部材10を寸法が小さくなった状態で固定する。固定部30qに係る取り付け部材は、メッシュ状部材10の端部に設置できる。
<処置方法>
次に本実施形態に係る処置方法について説明する。患者の腹部におけるポートの形成は第1実施形態と同様である。次に、術者は、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態において固定部30qの取り付け部材によってメッシュ状部材10とステープラ200の第1挟持部210を一体化させる。術者は同様の操作を第2挟持部220に対しても行う。
その後の腹部への切開部の形成、メッシュ状部材10と一体になったステープラ200の腹腔内への挿入は第1実施形態と同様である。次に、術者は、鉗子等の器具を用いてステープラ200から固定部30qの取り付け部材を取り外す。これにより、メッシュ状部材10が寸法の小さい状態で第1挟持部210または第2挟持部220と一体化されていた状態が解除され、メッシュ状部材10は面方向に展開するように変形する。鉗子による固定部30qの取り付け部材のメッシュ状部材10からの取り外しはステープラ200の腹腔内挿入後から打抜き部350による打ち抜きまでの間に行うことができる。その後の手技は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように固定部30qは、ステープラ200に取り付けおよび取り外し可能であって、メッシュ状部材10の寸法が小さくなるようにメッシュ状部材10の少なくとも一部の形状を規制する取り付け部材を備える。メッシュ状部材10は、固定部30qの取り付け部材によってステープラ200に取り付けられた状態において寸法が小さくなり、ステープラ200から取り外すことによって寸法が小さい状態から扁平形状に展開可能に構成している。
このように固定部30qの第1挟持部210または第2挟持部220に対する取り付けおよび取り外しという比較的簡単な作業によってメッシュ状部材10の寸法を小さくしたり、展開したりすることができる。
(第2実施形態の変形例1)
図42は第2実施形態の変形例1に係る医療器具100rの固定部30rを示す図である。第2実施形態では固定部30qは一方が底面を有し、他方が開口したキャップのような取り付け部材を備えると説明したが、固定部30rは以下のように構成してもよい。なお、本変形例において医療器具100rを構成するメッシュ状部材10、接合部20、ステープラ200、300は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
固定部30rは、本変形例において図42に示すようにリングのような環状部材の周方向における一部を切り欠いた形状を取り付け部材として備える。換言すれば、固定部30rは、いわゆるアルファベットのCの字のような形状を備えるように構成している。固定部30rは、上記のような環状部材の一部を切り欠く形状の内部に第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10を配置することによってメッシュ状部材10の寸法が小さくなった状態を維持する。
固定部30rの取り付け部材は、第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10から取り外すことによってメッシュ状部材10を寸法の小さくなった状態から扁平形状に展開させることができる。固定部30rに係る取り付け部材は、弾性材料を含むように構成でき、当該弾性材料は生体吸収性材料であっても生体吸収性材料でなくてもよい。固定部30rに係る取り付け部材は、メッシュ状部材10への取り付け状態において部材の弾性によりメッシュ状部材10の寸法が小さくなった状態を維持する。固定部30rに係る取り付け部材は、Cの字の内部にメッシュ状部材10を配置できれば、第2実施形態のようにメッシュ状部材10のいずれかの場所1か所以上に設置することができる。
なお、ステープラ200を用いた処置方法は第2実施形態に係る固定部30qの取り付け部材の代わりに固定部30rの取り付け部材を用いる程度である。そのため、説明を省略する。
以上説明したように本変形例では固定部30rに係る取り付け部材が環状部材の周方向における一部を欠いたような形状を備える。固定部30rに係る取り付け部材は、当該環状部材の内部に第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10を挟持してメッシュ状部材10の寸法を小さくしている。また、固定部30rの上記環状部材からステープラ200およびメッシュ状部材10を取り外すことによってメッシュ状部材10を寸法が小さくなった状態から扁平形状に展開可能に構成している。
このように固定部30rの上記環状部材のステープラ200およびメッシュ状部材10に対する取り付けおよび取り外しという比較的簡単な操作で第2実施形態と同様にメッシュ状部材10の寸法を小さくしたり、扁平形状に展開したりすることができる。
(第2実施形態の変形例2)
図43は第2実施形態の変形例2に係る医療器具100sの固定部30sによってメッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態を示す図である。第2実施形態の変形例1では周方向における形状の一部を切り欠いた環状部材によってメッシュ状部材10をステープラ200と一体化するとともに寸法を小さくすると説明したが、固定部30sは以下のように構成することもできる。本変形例において固定部30sは、図43に示すように起点P1を備え、P1から開閉する一対のアーム31sを備えたクリップのような部材を含むように構成してもよい。固定部30sの取り付け部材は、一対のアーム31sの間隔を広げたり、狭めたりすることによって、第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10を挟持したり、当該挟持を解除したりできる。固定部30sに係るクリップのような部材は比較的硬い材料を含むように構成している。当該硬い材料は生体吸収性材料でもよく、生体吸収性材料でなくてもよい。固定部30sに係る取り付け部材は、メッシュ状部材10に対していずれか一か所以上の場所に設置することができる。
なお、本変形例に係る医療器具100sの固定部30s以外の構成は第1実施形態と同様であり、医療器具100sを用いた処置方法は第2実施形態に係る固定部30qの取り付け部材の代わりに固定部30sの取り付け部材を用いる程度である。そのため、説明を省略する。
以上説明したように本変形例では固定部30sに係る取り付け部材が起点P1を備え、起点P1から開閉可能な一対のアーム31sを備えるように構成している。これにより、一対のアーム31sによって第1挟持部210及び第2挟持部220のいずれかとメッシュ状部材10を挟持してメッシュ状部材10の面方向の寸法を小さくしたり、当該挟持の解除によってメッシュ状部材10を扁平形状に展開したりできる。
(第2実施形態の変形例3)
図44は第2実施形態の変形例3に係る医療器具100tの固定部30tによってメッシュ状部材10の寸法が小さくなった状態を示す図、図45は図44に示す固定部30tをメッシュ状部材10から取り外した状態を示す図である。
第2実施形態および第2実施形態の変形例1、2では固定部30q、30r、30sの取り付け部材がメッシュ状部材10とともに第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかに取り付けられてメッシュ状部材10の寸法を小さくすると説明したが、固定部の取り付け部材は以下のように構成することもできる。
なお、本実施形態において医療器具100tを構成するメッシュ状部材10、接合部20、ステープラ200、300は第1実施形態と同様に構成しているため、共通する構成の説明を省略する。
医療器具100tを構成する固定部30tは、図44に示すように略コの字、Uの字、または凹部のように形成したフック部材を含む。固定部30tに係るフック部材は、本変形例においてメッシュ状部材10を第1挟持部210または第2挟持部220の挟持面に配置した状態で折り曲げて面方向の寸法を小さくしている。固定部30tに係るフック部材は、第1挟持部210および第2挟持部220とは接触せずにメッシュ状部材10の折り曲げられた円弧部分の端部を挟持するように配置し得る。
これにより、ステープラ200を体外から体内に挿入する場合等のようにメッシュ状部材10を一定時間、寸法を小さくした状態に維持できる。
<処置方法>
次に、本変形例に係る医療器具100tを用いた処置方法について説明する。患者の腹部におけるポートの形成は第1実施形態と同様である。次に、術者は、メッシュ状部材10をステープラ200の挟持面に配置した状態から折り曲げ、折り曲げた端部を固定部30tに係るフック部材によって挟持してメッシュ状部材10の寸法を小さくした状態を維持させる。術者はこの操作を第1挟持部210と第2挟持部220に対して各々行う。
その後の腹部への切開部の形成、ステープラ200の腹腔内への挿入は第1実施形態と同様である。次に、術者は鉗子等の器具を用いて固定部30tに係るフック部材をメッシュ状部材10から取り外す(図45参照)。これにより、メッシュ状部材10が寸法の小さい状態から展開して扁平形状に変形する。その後の手技は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように、固定部30tは、ステープラ200には取り付けられず、挟持面に配置された状態から折り曲げられたメッシュ状部材10の端部を挟持するように構成している。これにより、固定部30tのフック部材でメッシュ状部材10を挟持すればメッシュ状部材10の寸法を小さくでき、フック部材をメッシュ状部材10から取り外せばメッシュ状部材10を寸法が小さい状態から扁平形状に変形(展開)させることができる。
(第3実施形態)
図46は第3実施形態に係る医療器具100vの固定部30vによってメッシュ状部材10を包囲した状態を示す図、図47は固定部30vによるメッシュ状部材10の包囲を解除した状態を示す図、図48は固定部30vを示す図である。
第2実施形態では固定部30q、30r、30s、30tの取り付け部材をメッシュ状部材10に取り付けた状態から術者が鉗子等によって固定部に係る取り付け部材をメッシュ状部材10から取り外すと説明したが、固定部30vは以下のように構成することもできる。なお、ステープラ200、300、メッシュ状部材10、および接合部20は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
固定部30vは、本実施形態においてリング状部材を備える。固定部30vのリング状部材は、図48に示すようにリング部31v、32vと、連結部33vと、を備える。
リング部31v、32vは、メッシュ状部材10の寸法が小さくなるようにメッシュ状部材10の少なくとも一部を包囲する。リング部31v、32vは、環形状を備え、展開状態(扁平形状)のメッシュ状部材10を包囲できない一方で、折り畳む等によって寸法の小さくなったメッシュ状部材10の少なくとも一部を包囲できるように構成している。リング部31vとリング部32vによって第1挟持部210と一体化される第1部分12、13と第2挟持部220と一体化される第2部分14、15の各々を寸法の小さくなった状態で包囲することができる。なお、図46では図示の便宜上、第1挟持部210のみに固定部30vのリング状部材を挿通させているが、固定部30vは、メッシュ状部材10の寸法を小さくした状態で第2挟持部220とメッシュ状部材10に挿通させて寸法の小さくなったメッシュ状部材10を包囲することができる。
リング部31v、32vは、寸法の小さくなったメッシュ状部材10に挿通させた状態から図47に示すように固定部30vを長手方向Xにスライド移動させることによってリング部31v、32vによるメッシュ状部材10の包囲を解除可能に構成している。
連結部33vは、リング部31vとリング部32vの距離が一定以上にならないようにリング部31vとリング部32vを連結する。固定部30vに係るリング状部材は、糸またはリボン状のような形状から形成でき、柔軟性のある吸収性素材または非吸収性の素材を含むことができる。また、固定部30vに係るリング部材は、メッシュ状部材10の端部近傍に配置することができる。
<処置方法>
次に本実施形態に係る医療器具100vを用いた処置方法について説明する。ポートの形成は第1実施形態と同様である。次に、術者は、メッシュ状部材10の寸法を小さくした状態でリング部31v、32vを第1挟持部210および第2挟持部220のいずれかと第1部分12、13と第2部分14、15のいずれかの組み合わせに挿通させることによって、メッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態を維持させる。これにより、メッシュ状部材10は図46に示すように寸法が小さくなった状態でステープラ200と一体化される。
次に、術者は切開部を形成し、そこから第1挟持部210と第2挟持部220を閉じたステープラ200を腹腔内に挿入する。次に、術者は、第1挟持部210と第2挟持部220を開き、第1挟持部210と第2挟持部220によって切断予定部位を挟持する。
第1挟持部210と第2挟持部220によって切断予定部位を挟持する際に腸管のような生体器官を第1挟持部210と第2挟持部220の間に押し込むことによってメッシュ状部材10に対する固定部30vに係るリング状部材の位置をスライド移動できる。これにより、図46、図47に示すように固定部30vに係るリング状部材のリング部31v、32vが第1挟持部210と一体化したメッシュ状部材10と第2挟持部220と一体化したメッシュ状部材10を各々包囲していた状態から包囲しない状態に遷移し得る。
これにより、リング部31v、32vによるメッシュ状部材10の包囲が解消され、メッシュ状部材10が寸法の小さい状態から扁平形状に展開しうる。次に、術者は第1挟持部210を動作させて切断部212によって大腸を切断するとともにステープルによって切断部位の周辺を縫合する。これにより、第1部分13と第2部分15が接合部20により切断部位の周辺と一体化して口側A1の切断部位を覆い、第1部分12と第2部分14が接合部20により切断部位の周辺と一体化して肛門側A2の切断部位を覆う。以降は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように本実施形態では固定部30vがリング状部材を備える。固定部30vに係るリング状部材は、メッシュ状部材10の寸法が小さくなるようにメッシュ状部材10の一部を包囲し、メッシュ状部材10の少なくとも一部を包囲した箇所からスライド移動することによってメッシュ状部材10の包囲が解除される。
このようにメッシュ状部材10の展開を第1挟持部210と第2挟持部220による生体器官の挟持といったステープラ200の通常の操作に関連づけることによって、特別な操作をせずにメッシュ状部材10を寸法の小さくなった状態から展開させることができる。
(第4実施形態)
図49は第4実施形態に係る医療器具100wを示す図である。第1実施形態では医療器具100が固定部30によって面方向における寸法を小さくした状態においてステープラ200と一体化すると説明した。ただし、医療器具100wは固定部30を備えず、第1挟持部210と第2挟持部220によってメッシュ状部材10を挟持することによってメッシュ状部材10の面方向における寸法を小さくした状態を維持してもよい。
すなわち、本実施形態に係る医療器具100wは、図42に示すようにメッシュ状部材10がジグザグに折り畳まれた状態においてステープラ200の第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持される。医療器具100wは、メッシュ状部材10と、接合部20と、を備える(図6参照)。メッシュ状部材10は、第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持された状態から第1挟持部210と第2挟持部220によって挟持された部分を中心に略90度程度、メッシュ状部材10をひねるように形状付けを行うように構成している。
これにより、メッシュ状部材10は、上記ひねりによってメッシュ状部材10の展開する方向を変えて展開後のメッシュ状部材10を切断後の切断部位の端面に沿わせ易くすることができる。
<処置方法>
本実施形態に係る医療器具100wを用いた処置方法は、ポートの形成が第1実施形態と同様である。次に、術者は、上記のようにメッシュ状部材10をひねるように形状付けすることによってメッシュ状部材10の面方向の寸法を小さくして第1挟持部210と第2挟持部220によってメッシュ状部材10を挟持してステープラ200に一体化する。
次に、術者は患者の臍のあたりに切開部を形成し、そこからメッシュ状部材10を挟持したステープラ200を腹腔内に挿入する。次に、術者は第1挟持部210と第2挟持部220を開く。この際にメッシュ状部材10は展開し、上記ひねりによってメッシュ状部材10は切断後の生体器官の切断部位の端面に沿い易くなるように変形する。この状態で術者はステープラ200を操作してステープルを放出するとともに切断部212を移動させて切断部位を形成し、切断部位周辺をメッシュ状部材10とともに縫合する。以降の操作は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明したように本実施形態では医療器具100wに固定部を設けず、ステープラ200に係る第1挟持部210と第2挟持部220とでメッシュ状部材10を挟持した際にメッシュ状部材10をひねるように形状づけしている。このように構成することによって、医療器具100wを簡易に構成しつつ、寸法を小さくした状態から第1挟持部210と第2挟持部220を開いた際に展開したメッシュ状部材10を切断部位の端面に沿わせ易くすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上述した第1実施形態から第4実施形態までと各実施形態の変形例は、各々の実施形態または変形例を適宜置換、組み合わせたものも本発明の一実施形態に含まれる。例えば、第1実施形態の変形例12では第2挟持部220においてメッシュ状部材10の寸法を小さくする構成に第1実施形態に係る固定部30の線状部材を用いると説明した。
ただし、上記以外にも第1実施形態の変形例12では第2挟持部220におけるメッシュ状部材10の寸法を小さくする構成として第2実施形態や第2実施形態の変形例1、2、3等の固定部30q、30r、30sのいずれかの構成を用いてもよい。