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JP7644599B2 - ベーカリーミックス用油脂組成物、ベーカリーミックス、ベーカリーミックスの製造方法、ベーカリー製品用生地、ベーカリー製品用生地の製造方法、ベーカリー製品、およびベーカリー製品の製造方法 - Google Patents

ベーカリーミックス用油脂組成物、ベーカリーミックス、ベーカリーミックスの製造方法、ベーカリー製品用生地、ベーカリー製品用生地の製造方法、ベーカリー製品、およびベーカリー製品の製造方法 Download PDF

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JP7644599B2 JP2020216303A JP2020216303A JP7644599B2 JP 7644599 B2 JP7644599 B2 JP 7644599B2 JP 2020216303 A JP2020216303 A JP 2020216303A JP 2020216303 A JP2020216303 A JP 2020216303A JP 7644599 B2 JP7644599 B2 JP 7644599B2
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Description

本発明は、ベーカリーミックス用油脂組成物、ベーカリーミックス、ベーカリーミックスの製造方法、ベーカリー製品用生地、ベーカリー製品用生地の製造方法、ベーカリー製品、およびベーカリー製品の製造方法に関する。
油脂は、ベーカリー製品の食感を左右するものとして、重要な役割を果たしている。例
えば、ベーカリー製品に、パーム系油脂や極度硬化油等の油脂を使用することで、製造時の作業性や製造されるベーカリー製品の品質を向上させる技術が開発されている。
具体的に、例えば、特許文献1では、パーム系油脂にパームステアリンを配合した油脂であって、当該油脂中のPOO含量が20重量%以下、POP含量が20重量%以下、トリ飽和トリグリセライド含量が7~20重量%とすることで、従来にない幅広い温度域において良好な可塑性を示し、かつ、乳化剤及び硬化油を含有せずとも、パン生地等への練り込み作業性(製パン時等における作業性)が良好であり、焼成して得られるパン等製品の食感も良好となる練り込み用油脂が開示されている。
また、特許文献2では、可塑性油中水型乳化物中ハイエルシン菜種油の極度硬化油を6~20重量%含み、常温で液体である油脂を5~50重量%含み、油相のSFCが10℃で30%~50%、35℃で10%以上とすることで、ドウへの折込作業が良好に行え、かつ常温流通の温度環境においても品質上の問題がないロールイン用可塑性油中水型乳化物が開示されている。
また、特許文献3では、油分が70~100質量%の油脂組成物であって、パーム油を分別して得られた低融点部及び/又はパーム油を分別して得られる低融点部をさらに処理して得られた油脂(油脂A)を、油分中に70質量%以上含有することで、口どけが良く、油性感が抑えられた焼菓子を製造できる焼菓子練り込み用油脂組成物が開示されている。
さらに、特許文献4では、融点30~80℃の固形油脂2~10質量%、融点25℃以下の液状油脂2~10質量%、及び粉末油脂2~10質量%を含むことで、成形生地としたときの保形性に優れ、且つもちもちした食感を有するドーナツを提供し得るドーナツ用ミックスが開示されている。
特開2005-278594号公報 特開2010-233547号公報 特開2017-216894号公報 特開2014-14320号公報
前述の通り、ベーカリー製品に、パーム系油脂や極度硬化油等の油脂を使用することで、製造時の作業性や製造されるベーカリー製品の品質を向上させる技術が開発されつつあるが、用いられる油脂は生地へ練り込まれてあるいは折り込まれて使用される技術が大多数である(特許文献1~3参照)。また、特許文献4のように、ドーナツ用ミックスに油脂を含有させる技術も存在するが、更なる技術の向上が望まれている実情もある。
そこで、本技術では、口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感の良好なベーカリー製品を製造し得るベーカリーミックス用油脂組成物を提供することを主目的とする。
本願発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の油脂を特定の配合で含有する油脂組成物を、生地に練り込むあるいは折り込むのではなく、ベーカリーミックスの製造の際に、穀粉類や澱粉類等のベーカリーミックスに必要な材料を含む粉体状の材料(以下、粉体材料ともいう)に混合することにより、口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感の良好なベーカリー製品を製造することに成功し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、まず、極度硬化油:2~15質量%と、
パーム由来油脂(前記極度硬化油に属するパーム由来油脂を除く):20~60質量%と、
液状油(前記パーム由来油脂に属する液状油を除く):25~78質量%と、を含有し、
ベーカリーミックスの粉体材料に混合するための、ベーカリーミックス用油脂組成物を提供する。
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物において、前記パーム由来油脂のヨウ素価は、50以上とすることができる。
また、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物において、前記パーム由来油脂は、低融点画分とすることができる。
本技術では、次に、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物を含有する、ベーカリーミックスを提供する。
本技術に係るベーカリーミックスにおいて、前記ベーカリーミックス用油脂組成物の含有量は、0.1~20質量%とすることができる。
本技術に係るベーカリーミックスは、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合する混合工程を行うことで、製造することができる。
本技術では、また、本技術に係るベーカリーミックスが用いられた、ベーカリー製品用生地を提供する。
本技術に係るベーカリー製品用生地は、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合してベーカリーミックスを製造する工程と、
該ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程と、
を行うことで、製造することができる。
本技術では、さらに、本技術に係るベーカリーミックス、または本技術に係るベーカリー製品用生地が用いられた、ベーカリー製品を提供する。
本技術に係るベーカリー製品は、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合してベーカリーミックスを製造する工程と、
該ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程と、
該ベーカリー製品用生地を用いてベーカリー製品を製造する工程と、
を行うことで、製造することができる。
本技術によれば、口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感の良好なベーカリー製品を製造することができる。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<ベーカリーミックス用油脂組成物>
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、(1)極度硬化油と、(2)パーム由来油脂(前記極度硬化油に属するパーム由来油脂を除く)と、(3)液状油(前記パーム由来油脂に属する液状油を除く)と、を含有する。また、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、生地練り込み用あるいは折り込み用の油脂ではなく、ベーカリーミックスの粉体材料と混合して用いることを特徴とする油脂組成物である。以下、各油脂材料について、詳細に説明する。
(1)極度硬化油
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、極度硬化油を2~15質量%含有する。極度硬化油の含有量が2質量%未満であったり、15質量%を超えたりすると、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感が不良になる。
本技術において、極度硬化油は、1種または2種以上を組み合わせた油脂に水素添加し、不飽和脂肪酸の二重結合のほぼすべてに水素を付加したものをいう。ここで、水素添加する方法は、公知の方法で行うことができる。水素添加の方法としては、ニッケル等の金属触媒を用いて、不飽和脂肪酸の二重結合に水素を付加させる方法等を挙げることができる。例えば、米極度硬化油、菜種極度硬化油、ハイエルシン菜種極度硬化油、大豆極度硬化油、コーン極度硬化油、サフラワー極度硬化油、ヒマワリ極度硬化油、綿実極度硬化油、パーム極度硬化油、牛脂極度硬化油、豚脂極度硬化油等が挙げられ、これらを1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本技術において、極度硬化油としては、パーム由来油脂に水素添加したパーム極度硬化油が好ましい。パーム極度硬化油を使用することによって、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物における極度硬化油の含有量は、2~15質量%の範囲で自由に設定することができるが、好ましくは3~13.5質量%、より好ましくは4~12質量%である。極度硬化油の含有量をこの範囲に設定することで、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
(2)パーム由来油脂(前記極度硬化油に属するパーム由来油脂を除く、以下同じ)
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、パーム由来油脂を20~60質量%含有する。パーム由来油脂の含有量が20質量%未満であったり、60質量%を超えたりすると、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感が不良になる。
本技術において、パーム由来油脂は、パームの果実から採取した油であり、例えば、未精製のパーム油や、未精製のパーム油を物理的もしくは化学的精製方法で精製した精製パーム油、未精製もしくは精製パーム油を一回以上分別して得られたパーム分別油等を、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。分別方法は、特に限定されず、例えばヘキサン、アセトン等の溶剤を用いた溶剤分別法、または溶剤を用いないドライ分別法等があり、分別後に脱色、脱臭等の精製工程を行うこともできる。パーム分別油の具体例としては、パームオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクション(PMF)等である。本技術において、パーム由来油脂としては、低融点画分であることが好ましく、上昇融点が30℃以下であることが好ましく、24℃以下であることがより好ましい。具体的には、例えば、パームオレインが好ましい。パームオレインを用いることによって、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物におけるパーム由来油脂の含有量は、20~60質量%の範囲で自由に設定することができるが、好ましくは25~55質量%、より好ましくは30~50質量%である。パーム由来油脂の含有量をこの範囲に設定することで、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
本技術において、パーム由来油脂のヨウ素価は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、50以上が好ましく、53~67が好ましく、55~65が更に好ましい。2種以上のパーム由来油脂(例えば、50以下のパーム由来油脂と50以上のパーム由来油脂)を組み合わせて、ヨウ素価を調節することもできる。ヨウ素価が50以上のパーム由来油脂を用いることで、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
(3)液状油(前記パーム由来油脂に属する液状油を除く、以下同じ)
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、液状油を25~78質量%含有する。液状油の含有量が25質量%未満であったり、78質量%を超えたりすると、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感が不良になる。
本技術において、液状油は、常温(25℃)で液状の油である。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、紅花油、綿実油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、オリーブ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、米糠油、小麦胚芽油、魚油、藻類油等を使用することができる。また、水素添加油脂、グリセリンと脂肪酸のエステル化油、エステル交換油、分別油脂等も適宜使用することができる。さらに、遺伝子組換えの技術を用いて品種改良した植物から抽出したものであってもよく、例えば、菜種油、ヒマワリ油、紅花油、大豆油等では、オレイン酸含量を高めたハイオレイックタイプの品種から得られた油脂を使用することができる。また、これらの油脂の2種以上を組み合わせた混合油脂を用いることができる。
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物における液状油の含有量は、25~78質量%の範囲で自由に設定することができるが、好ましくは35~75質量%、より好ましくは40~70質量%である。液状油の含有量をこの範囲に設定することで、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
(4)その他
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物には、本技術の効果を損なわない限り、必要に応じて、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル等の抗酸化剤;シリコーン等の消泡剤;ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等の乳化剤;香料、色素、呈味剤等の食用油脂に使用できる食品添加物等を含んでいてもよい。
本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物は、以上説明した各種材料を、所定の配合で、常法により混合することで製造することができる。具体的には、各種材料を混合し、所定の温度にて撹拌均一化しながら、油脂結晶を融解させることで、本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物を製造することができる。
<ベーカリーミックス>
本技術に係るベーカリーミックスは、前述した本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物を含有する。本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されないが、0.1~20質量%とすることが好ましく、0.5~17質量%とすることがより好ましく、1~15質量%とすることが更に好ましく、3~12質量%とすることがより更に好ましい。本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量を、0.1~20質量%とすることで、製造されるベーカリー製品の口溶けや、崩壊感・サクミ等の食感をより向上させることができる。
本技術に係るベーカリーミックスには、前述した本技術に係るベーカリーミックス用油脂組成物の他に、一般的なベーカリーミックスに用いられている材料や添加物を1種または2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。例えば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、米粉、大豆粉、オーツ粉、そば粉、ヒエ粉、アワ粉、トウモロコシ粉等の穀粉類;澱粉類(加工澱粉類を含む);大豆蛋白質、小麦グルテン、卵粉末、脱脂粉乳等の蛋白素材;食物繊維;澱粉分解物、デキストリン、ぶどう糖、ショ糖、オリゴ糖、マルトース等の糖質類;食塩、炭酸カルシウム等の塩類;膨張剤、増粘剤、乳化剤、酵素、pH調整剤、ビタミン類、イーストフード、甘味料、香辛料、調味料、ミネラル類、色素、香料等を適宜含有させることができる。
本技術に係るベーカリーミックスは、以上説明した各種材料を、所定の配合で、常法により混合することで製造することができる。具体的には、前記ベーカリーミックス用油脂組成物と、ベーカリーミックスの粉体材料と、を混合する工程を行うことで、本技術に係るベーカリーミックスを製造することができる。例えば、ベーカリーミックスの主体となる穀粉類や澱粉類とその他の材料とを予め混合した粉体材料に、ベーカリーミックス用油脂組成物を混合してもよいし、穀粉類や澱粉類のみからなる粉体材料に、ベーカリーミックス用油脂組成物を混合した後、残りの材料を混合してもよい。本技術では、ベーカリーミックスの主体となる穀粉類や澱粉類とその他の材料とを予め混合した粉体材料に、ベーカリーミックス用油脂組成物を混合する方法が好ましい。穀粉類や澱粉類とその他の材料とを予め混合することで、より均一に混合しやすくなる。また、前述のベーカリーミックス用油脂組成物の配合になるように、前記ベーカリーミックス用油脂組成物の各種材料を別々に粉体材料に混合する工程を行うことで、本技術に係るベーカリーミックスを製造することもできる。本技術では、予め調製された前記ベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合する工程を行うことが好ましい。前記ベーカリーミックス用油脂組成物を予め調製することで、より均一に混合しやすくなる。より好ましくは、ベーカリーミックスの主体となる穀粉類や澱粉類とその他の材料とが予め混合された粉体材料と、予め調製されたベーカリーミックス用油脂組成物と、を混合する工程である。
<ベーカリー製品用生地>
本技術に係るベーカリー製品用生地は、前述した本技術に係るベーカリーミックスを用いることを特徴とする。すなわち、本技術に係るベーカリー製品用生地は、本技術に係るベーカリーミックスを用いて製造された生地である。
本技術に係るベーカリー製品用生地は、冷蔵、チルド、冷凍等の状態、すなわち、冷蔵バッター、冷凍バッター、冷蔵生地玉、成形冷蔵生地、冷凍生地玉、成形冷凍生地、ホイロ済み冷凍生地等の形態で流通させることが可能である。
本技術に係るベーカリー製品用生地は、一般的なベーカリー製品用生地の製造方法を自由に選択して用いることができる。具体的には、例えば、前述したベーカリーミックスを製造する工程と、該ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程と、を少なくとも行うことで、本技術に係るベーカリー製品用生地を製造することができる。ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程としては、例えば、本技術に係るベーカリーミックスと、水、全卵等の液状材料と、必要に応じてその他の材料と、を混合、混捏し、一次発酵、分割、成形、二次発酵等を、必要に応じて適宜選択して行うことができる。また、オールインミックス法、別立て法、共立て法、冷蔵発酵法、ストレート法、ノータイム法等の一般的なベーカリー製品用生地の製造方法も適宜選択して行うことができる。
<ベーカリー製品>
本技術に係るベーカリー製品は、前述した本技術に係るベーカリーミックス、またはベーカリー製品用生地を用いることを特徴とする。すなわち、本技術に係るベーカリー製品は、本技術に係るベーカリーミックス、またはベーカリー製品用生地を用いて製造されたベーカリー製品である。
本技術に係るベーカリー製品としては、例えば、パン、イーストドーナツ、ピザ、中華まんじゅう等のパン類、マフィン、ケーキドーナツ、スコーン、ワッフル、クッキー、サブレ、ビスケット、スポンジケーキ、パイ、ホットケーキ、バターケーキ、カステラ等の菓子類等が挙げられる。
本技術に係るベーカリー製品は、一般的なベーカリー製品の製造方法を自由に選択して用いることができる。具体的には、例えば、前述したベーカリーミックスを製造する工程と、前述したベーカリー製品用生地を製造する工程と、該ベーカリー製品用生地を用いてベーカリー製品を製造する工程と、を少なくとも行うことで、本技術に係るベーカリー製品を製造することができる。ベーカリー製品用生地を用いてベーカリー製品を製造する工程としては、例えば、本技術に係るベーカリー製品用生地を、必要に応じて、一次発酵、分割、成形、二次発酵等を行い、加熱することでベーカリー製品を製造することができる。加熱方法は特に限定されず、焼成、蒸し、油ちょう、マイクロ波加熱等、本技術の効果を損なわない限り、1種または2種以上の加熱方法を自由に選択して用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<実験例1>
実験例1では、異なる組成のベーカリーミックス用油脂組成物を含有するベーカリーミックスを用いてベーカリー製品を製造した場合や、油脂組成物の混合のタイミングの違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(崩壊感)への影響を調べた。実験例1では、ベーカリー製品の一例として、マフィンを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスの製造
市販のミキサーに、下記の表1に示す配合で粉体材料を投入し、均一になるまで混合して、油脂無添加マフィンミックスを調製した。下記の表2に記載の配合に基づき油脂材料を混合し、80℃に加温して撹拌均一化しながら油脂結晶を融解させて、ベーカリーミックス用油脂組成物を製造した。油脂無添加マフィンミックスと、60℃以下まで降温したベーカリーミックス用油脂組成物とを、市販のミキサーに投入し、均一になるまで混合してマフィンミックスを製造した。マフィンミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の配合量は7質量%とした。なお、液状油はキャノーラ油(昭和産業株式会社)、パーム由来油脂はパームオレイン(IV60)(昭和産業株式会社)、極度硬化油はパーム極度硬化油(横関油脂株式会社)を使用した。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例1~12、比較例2~5]
ミキサー(Max Watts 325、KitchenAid)に、前記で製造したマフィンミックス100質量部、全卵40質量部、水15質量部を加え、低速で1分間、中低速で1分間混合した。さらに、サラダ油10質量部、水24質量部を加え、低速で1分間、中低速で1分間混合してマフィン生地を調製した。なお、混合にはフラットビーターを使用した。調製したマフィン生地を、マフィンカップ(K-6(45H)ATK、伊藤景パック産業株式会社)に50gずつ分注し、オーブン(AX-SP300-R、シャープ)を用いて、190℃で20分間焼成し、マフィンを製造した。
[比較例1]
前記で製造したマフィンミックスの代わりに、油脂無添加マフィンミックス93質量部を使用し、サラダ油と同時に表2に記載の配合の油脂組成物(油脂材料を混合し、80℃に加温して、撹拌均一化しながら油脂結晶を融解させて調製)を7質量部添加した以外は、前記実施例1~12、および比較例2~5と同様の方法でマフィンを製造した。
(3)評価
製造したマフィンを室温まで放冷した後、口溶けおよび食感(崩壊感)についての官能評価を行った。官能評価は、10名のパネルが下記基準に従って評価を行い、平均点を算出した。
[口溶け]
5:ざらつきやねちゃつきがなく、非常に良好
4:ざらつきやねちゃつきが少なく、良好
3:ざらつきやねちゃつきがややあるが、やや良い
2:ざらつきやねちゃつきがあり、悪い
1:ざらつきやねちゃつきが強く、非常に悪い
[食感(崩壊感)]
5:崩壊感が強く、非常に良好
4:崩壊感があり、良好
3:崩壊感がやや弱いが、やや良い
2:崩壊感が弱く、悪い
1:崩壊感がなく、非常に悪い
(4)結果
評価結果を下記表2に示す。
(5)考察
表2に示す通り、極度硬化油の含有量が2~15質量%の範囲内、パーム由来油脂の含有量が20~60質量%の範囲内、液状油の含有量が25~78質量%の範囲内であり、かつ、ベーカリーミックスを製造する際に、粉体材料にベーカリーミックス用油脂組成物を混合した実施例1~12は、口溶けおよび食感とも良好な結果であった。
一方、実施例2と同一の油脂組成物を用いた場合であっても、ベーカリー製品用生地の製造時に、油脂組成物を生地に練り込んだ比較例1は、口溶けおよび食感とも不良であった。
また、極度硬化油を用いなかった比較例2、極度硬化油の含有量が15質量%を超える比較例3、パーム由来油脂を用いなかった比較例4、および液状油を用いずパーム由来油脂の含有量が60質量%を超える比較例5についても、口溶けおよび食感とも不良であった。
<実験例2>
実験例2では、ヨウ素価の異なるパーム由来油脂を用いたベーカリーミックス用油脂組成物を用いてベーカリー製品を製造した場合の、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感への影響を調べた。実験例2でも、ベーカリー製品の一例として、マフィンを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスの製造
下記の表3に記載の配合に基づき、前記実験例1と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスを製造した。なお、液状油はキャノーラ油(昭和産業株式会社)、極度硬化油はパーム極度硬化油(横関油脂株式会社)を使用した。パーム由来油脂として、PMF(IV48)、精製パーム油(IV53)、パームオレイン(IV56)は太陽油脂株式会社、パームオレイン(IV64、IV67)は昭和産業株式会社のものを使用した。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例13~17]
実験例1の実施例1~12、および比較例2~5と同様の方法で、マフィンを製造した。
(3)評価
実験例1と同様の方法で、口溶けおよび食感(崩壊感)についての官能評価を行った。
(4)結果
評価結果を下記表3に示す。
(5)考察
表3に示す通り、ヨウ素価が50未満のパーム由来油脂を用いた実施例13に比べて、ヨウ素価が50以上のパーム由来油脂を用いた実施例14~17の方が、口溶けおよび食感とも優れることが分かった。この結果から、ヨウ素価が50以上のパーム由来油脂を用いることで、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感をより向上させることが分かった。
<実験例3>
実験例3では、ベーカリーミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(崩壊感)への影響を調べた。実験例3でも、ベーカリー製品の一例として、マフィンを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスの製造
下記の表4に記載の配合に基づき、マフィンミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の配合量を表4に記載のとおり変更した以外は前記実験例1と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスを製造した。なお、使用した油脂材料は実験例1と同様である。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例18~24]
実験例1の実施例1~12、および比較例2~5と同様の方法で、マフィンを製造した。
(3)評価
実験例1と同様の方法で、口溶けおよび食感(崩壊感)についての官能評価を行った。
(4)結果
評価結果を下記表4に示す。
(5)考察
表4の実施例18の結果に示す通り、ベーカリーミックス中ベーカリーミックス用油脂組成物の含有量が0.5質量%であっても、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感は、満足いくものであったが、含有量が増えるにしたがって、口溶けおよび食感の評価が向上することが分かった。この結果から、本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の下限値は、0.1質量%とすることが好ましく、0.5質量%とすることがより好ましく、1質量%とすることが更に好ましく、3質量%とすることがより更に好ましいことが分かった。
実施例23および24の結果に示す通り、ベーカリーミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の含有量が15質量%以上になっても、口溶けおよび食感は十分に満足いくものであったが、含有量が15質量%を超えると、含有量が増えるにしたがって、口溶けおよび食感の評価が少しずつ低下することが分かった。また、ベーカリーミックス中にベーカリーミックス用油脂組成物を20質量%含有させた場合、ベーカリーミックスを保管した際に、油染みが発生する場合があった。この結果から、本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の上限値は、20質量%とすることが好ましく、17質量%とすることがより好ましく、15質量%とすることが更に好ましく、12質量%とすることがより更に好ましいことが分かった。
<実験例4>
実験例4では、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する液状油や極度硬化油の種類の違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(崩壊感)への影響を調べた。実験例4でも、ベーカリー製品の一例として、マフィンを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスの製造
下記の表5に記載の配合に基づき、前記実験例1と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびマフィンミックスを製造した。なお、キャノーラ油、コーン油、ハイオレイックヒマワリ油、パームオレイン(IV60)は昭和産業株式会社、米油はボーソー油脂株式会社、極度硬化油はすべて横関油脂株式会社のものを使用した。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例25~30]
実験例1の実施例1~12、および比較例2~5と同様の方法で、マフィンを製造した。
(3)評価
実験例1と同様の方法で、口溶けおよび食感(崩壊感)についての官能評価を行った。
(4)結果
評価結果を下記表5に示す。また、下記表5には、比較のために、前記実験例1の実施例2の結果も併記した。
(5)考察
表5の実施例25~27の結果に示す通り、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する液状油の種類を変更しても、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感の評価結果は、実施例2の評価結果と同様に良好であった。実施例28~30の結果に示す通り、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する極度硬化油については、菜種極度硬化油、高エルシン酸菜種極度硬化油、または大豆極度硬化油を用いた場合よりも、パーム極度硬化油を用いた実施例2の評価結果の方が、優れていた。この結果から、極度硬化油としては、パーム極度硬化油を用いることが好ましいことが分かった。
<実験例5>
実験例5では、異なる組成のベーカリーミックス用油脂組成物を含有するベーカリーミックスを用いてベーカリー製品を製造した場合や、油脂組成物の混合のタイミングの違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(サクミ)への影響を調べた。実験例5では、ベーカリー製品の一例として、ケーキドーナツを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスの製造
市販のミキサーに、下記の表6に示す配合で粉体材料を投入し、均一になるまで混合して、油脂無添加ケーキドーナツミックスを調製した。表7に記載の配合に基づき、前記実験例1と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスを製造した。ケーキドーナツミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の配合量は7質量%とした。なお、使用した油脂材料は実験例1と同様である。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例31~40、比較例7~10]
ミキサー(KTM-10、関東混合機工業株式会社)に、ケーキドーナツミックス100質量部、全卵5質量部、水あめ4質量部、水22質量部を加え、低速で1分間混合して混合物を得た。さらに、混合物を中低速で2分半混合してケーキドーナツ生地を調製した。ケーキドーナツ生地をカッター(カッターサイズ48mm)で円環状に成型した。こうして得られた円環状のケーキドーナツ生地を180℃の油(NEWフライオイルSI、Jオイルミルズ株式会社)で4分間フライして、円環状のケーキドーナツを製造した。
[比較例6]
前記で製造したケーキドーナツミックス100質量部のかわりに、油脂無添加ケーキドーナツミックス93質量部を使用し、生地調製時に表7に記載の配合の油脂組成物を7質量部添加した以外は、実施例31~40、比較例7~10と同様の方法でケーキドーナツを製造した。
(3)評価
製造したケーキドーナツを室温まで放冷した後、口溶けおよび食感(サクミ)についての官能評価を行った。口溶けの官能評価については実験例1と同様の方法で、食感(サクミ)の官能評価については、10名のパネルが下記基準に従って評価を行い、平均点を算出した。
[食感(サクミ)]
5:サクミが強く、非常に良好
4:サクミがあり、良好
3:サクミがやや弱いが、やや良い
2:サクミが弱く、悪い
1:サクミがなく、非常に悪い
(4)結果
評価結果を下記表7に示す。
(5)考察
表7に示す通り、極度硬化油の含有量が2~15質量%の範囲内、パーム由来油脂の含有量が20~60質量%の範囲内、液状油の含有量が25~78質量%の範囲内であり、かつ、ベーカリーミックスを製造する際に、粉体材料にベーカリーミックス用油脂組成物を混合した実施例31~40は、口溶けおよび食感とも良好な結果であった。
一方、実施例33と同一の油脂組成物を用いた場合であっても、ベーカリー製品用生地の製造時に、油脂組成物を生地に練り込んだ比較例6は、口溶けおよび食感とも不良であった。
また、極度硬化油を用いなかった比較例7、極度硬化油の含有量が15質量%を超える比較例8、パーム由来油脂を用いなかった比較例9、および液状油を用いずパーム由来油脂の含有量が60質量%を超える比較例10についても、口溶けおよび食感とも不良であった。
<実験例6>
実験例6では、ヨウ素価の異なるパーム由来油脂を用いたベーカリーミックス用油脂組成物を用いてベーカリー製品を製造した場合の、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(サクミ)への影響を調べた。実験例6でも、ベーカリー製品の一例として、ケーキドーナツを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスの製造
下記の表8に記載の配合に基づき、前記実験例5と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスを製造した。なお、使用した油脂材料は実験例2と同様である。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例41~45]
実験例5の実施例31~40、および比較例7~10と同様の方法で、ケーキドーナツを製造した。
(3)評価
実験例5と同様の方法で、口溶けおよび食感(サクミ)についての官能評価を行った。
(4)結果を表8に示す。
(5)考察
表8に示す通り、ヨウ素価が50未満のパーム由来油脂を用いた実施例41に比べて、ヨウ素価が50以上のパーム由来油脂を用いた実施例42~45の方が、口溶けおよび食感とも優れることが分かった。この結果から、ヨウ素価が50以上のパーム由来油脂を用いることで、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感をより向上させることが分かった。
<実験例7>
実験例7では、ベーカリーミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(サクミ)への影響を調べた。実験例7でも、ベーカリー製品の一例として、ケーキドーナツを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスの製造
下記の表9に記載の配合に基づき、ケーキドーナツミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の配合量を表9に記載の通り変更した以外は前記実験例5と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスを製造した。なお、使用した油脂は実験例1と同様である。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例46~52]
実験例5の実施例31~40、および比較例7~10と同様の方法で、ケーキドーナツを製造した。
(3)評価
実験例5と同様の方法で、口溶けおよび食感(サクミ)についての官能評価を行った。
(4)結果
評価結果を下記表9に示す。
(5)考察
表9の実施例46の結果に示す通り、ベーカリーミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の含有量が0.5質量%であっても、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感は、満足いくものであったが、含有量が増えるにしたがって、口溶けおよび食感の評価が向上することが分かった。この結果から、本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の下限値は、0.1質量%とすることが好ましく、0.5質量%とすることがより好ましく、1質量%とすることが更に好ましく、3質量%とすることがより更に好ましいことが分かった。
実施例51および52の結果に示す通り、ベーカリーミックス中のベーカリーミックス用油脂組成物の含有量が15質量%以上になっても、口溶けおよび食感は十分に満足いくものであったが、含有量が15質量%を超えると、含有量が増えるにしたがって、口溶けおよび食感の評価が少しずつ低下することが分かった。また、ベーカリーミックス中にベーカリーミックス用油脂組成物を20質量%含有させた場合、ベーカリーミックスを保管した際に、油染みが発生する場合があった。この結果から、本技術に係るベーカリーミックスにおけるベーカリーミックス用油脂組成物の含有量の上限値は、20質量%とすることが好ましく、17質量%とすることがより好ましく、15質量%とすることが更に好ましく、12質量%とすることがより更に好ましいことが分かった。
<実験例8>
実験例8では、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する液状油や極度硬化油の種類の違いによる、製造されたベーカリー製品の口溶けおよび食感(サクミ)への影響を調べた。実験例8でも、ベーカリー製品の一例として、ケーキドーナツを製造した。
(1)ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスの製造
下記の表10に記載の配合に基づき、前記実験例5と同様の方法で、ベーカリーミックス用油脂組成物、およびケーキドーナツミックスを製造した。なお、キャノーラ油、ハイオレイックヒマワリ油、パームオレイン(IV60)は昭和産業株式会社、極度硬化油はすべて横関油脂株式会社のものを使用した。
(2)ベーカリー製品の製造
[実施例53および54]
実験例5の実施例31~40、および比較例7~10と同様の方法で、ケーキドーナツを製造した。
(3)評価
実験例1と同様の方法で、口溶けおよび食感(サクミ)についての官能評価を行った。
(4)結果
評価結果を下記表10に示す。また、下記表10には、比較のために、前記実験例5の実施例33の結果も併記した。
(5)考察
表10の実施例53の結果に示す通り、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する液状油の種類を変更しても、製造されるベーカリー製品の口溶けおよび食感の評価結果は、実施例33の評価結果と同様に良好であった。実施例54の結果に示す通り、ベーカリーミックス用油脂組成物に配合する極度硬化油については、菜種極度硬化油を用いた場合よりも、パーム極度硬化油を用いた実施例33の評価結果の方が、優れていた。この結果から、極度硬化油としては、パーム極度硬化油を用いることが好ましいことが分かった。

Claims (8)

  1. 極度硬化油:2~15質量%と、
    パーム由来油脂(前記極度硬化油に属するパーム由来油脂を除く):20~60質量%と、
    液状油(前記パーム由来油脂に属する液状油を除く):25~78質量%と、を含有し、
    ベーカリーミックスの粉体材料に混合するための、ベーカリーミックス用油脂組成物。
  2. 前記パーム由来油脂のヨウ素価が、50以上である、請求項1に記載のベーカリーミックス用油脂組成物。
  3. 前記パーム由来油脂は、低融点画分である、請求項1または2に記載のベーカリーミックス用油脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のベーカリーミックス用油脂組成物を含有する、ベーカリーミックス。
  5. 前記ベーカリーミックス用油脂組成物を0.1~20質量%含有する、請求項4に記載のベーカリーミックス。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載のベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合する混合工程を含む、ベーカリーミックスの製造方法。
  7. 請求項1から3のいずれか一項に記載のベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料と、を混合してベーカリーミックスを製造する工程と、
    該ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程と、
    を含む、ベーカリー製品用生地の製造方法。
  8. 請求項1から3のいずれか一項に記載のベーカリーミックス用油脂組成物と、粉体材料
    と、を混合してベーカリーミックスを製造する工程と、
    該ベーカリーミックスを用いてベーカリー製品用生地を製造する工程と、
    該ベーカリー製品用生地を用いてベーカリー製品を製造する工程と、
    を含む、ベーカリー製品の製造方法。
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