本開示の一態様に係る車両用シート空調装置は、車両のシートに用いられる車両用シート空調装置であって、送風機と、通風路選択切替部と、前記通風路選択切替部を制御する制御部と、前記送風機によって、前記シートに人が着座する側の面である座面に設けられる第1吸気口から吸いこまれた空気を、前記通風路選択切替部まで導く第1通風路と、前記送風機によって、前記第1吸気口と異なる吸気口であり前記シートにおける前記座面以外の個所に設けられる第2吸気口から吸いこまれた空気を、前記通風路選択切替部まで導く第2通風路と、前記送風機によって前記第1通風路及び前記第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、前記通風路選択切替部から前記シートに設けられる吐出口まで導く第3通風路とを備え、前記第1吸気口は前記車両の車室内に向かって開口しており、前記第1吸気口及び前記第2吸気口は、前記吐出口よりも鉛直下方に配置され、少なくとも、前記第1吸気口、前記第2吸気口及び前記吐出口が前記シートに設けられ、かつ、前記第1通風路、前記第2通風路の一部、前記通風路選択切替部、前記送風機、及び、前記第3通風路が前記シートに内蔵され、前記通風路選択切替部は、前記第3通風路に空気を導くために、前記第1通風路を前記第3通風路に接続する第1モードと、前記第2通風路を前記第3通風路に接続する第2モードと、前記第1通風路及び前記第2通風路を前記第3通風路に接続する第3モードとを有し、前記制御部は、前記第1モード、前記第2モード及び前記第3モードのうちからいずれかのモードを選択することで、前記通風路選択切替部のモードを切替える。
これによれば、従来の車両用シート空調装置のように、車両の車室内を空調するための車両用の空調装置と車両用シート空調装置とを接続するダクトの有無にかかわらず、本開示の車両用シート空調装置では、送風機によって、シートの周囲に対流もしくは滞留している空気を吸気し、吸気した空気を吐出口から人に対して吹き付けることができる。この
ため、従来の車両用シート空調装置に比べて、本開示の車両用シート空調装置では、車両における構造を簡易にすることができる。
また、車両用シート空調装置では、第1吸気口がシートの座面に設けられ、第2吸気口がシートの座面以外の個所に設けられ、吐出口もシートに設けられる。つまり、シートの周囲に対流もしくは滞留している空気を吸気し、吸気した空気を吐出口から人に対して吹き付けるための構成を備えている。さらに、車両用シート空調装置では、第1通風路、第2通風路の一部、通風路選択切替部、送風機及び第3通風路がシートに内蔵されている。つまり、シートに着座している人の状態に適した空調を行うための構成要素を全てシートに内蔵している。このため、従来の車両用シート空調装置に比べて、本開示の車両用シート空調装置では、構成を簡素化することができる。
また、車両用シート空調装置では、通風路選択切替部によって、第1吸気口から吸気した空気だけを吐出口から吐出させたり、第2吸気口から吸気した空気だけを吐出口から吐出させたり、第1吸気口及び第2吸気口の両方から同時に吸気した空気を吐出口から吐出させたりすることができる。つまり、第1吸気口と第2吸気口とのそれぞれ異なる吸気口から空気を吸気することができ、異なる吸気口から吸気した空気のそれぞれ又は混合した空気を、吐出口から個別に吐出することができるため、吐出口から吐出される空気の温度を異ならせることができる。このため、車両用シート空調装置によれば、シートの吐出口から吐出される空気を切替えることで、シートに着座している人の状態に適した空調を行うことができる。
したがって、この車両用シート空調装置は、車両における構造の複雑化を抑制するとともに、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
特に、第1吸気口及び第2吸気口は吐出口よりも鉛直下方に配置されているため、例えば人の下肢と対応する個所に第1吸気口を設け、人の身体に影響を与え難い個所に第2吸気口を設け、人の上半身と対応する個所に吐出口を設けることもできる。この場合、第1吸気口及び第2吸気口の少なくとも一方から空気を吸い込むことで気流を発生させるとともに、吸気した空気を吐出口から吐出することで人に空気を吹き付けることができる。これにより、人の身体を包み込むような気流を生み出すことができるため、シートに着座している人に対して周囲に空調空気を留めることができ、最小限の空調エネルギーで快適な空調環境を提供することができる。
さらに、前記通風路選択切替部は、前記第1通風路を前記第3通風路に接続する第1モードを有する。
これによれば、例えば第1吸気口から吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。また、吐出口から空気が吐出されることで人の上半身に吹き付けられた空気は、座面の第1吸気口から吸気される、つまり、吐出口からシートに着座している人の上半身を介して第1吸気口に吸気される。このため、人の上半身から臀部及び大腿部までを包み込むような気流を生み出すことができる。
例えば、車両用の空調装置の冷房運転時に長時間シートに人が着座している場合、車両用の空調装置の暖房運転時の場合等では、座面と接している人の臀部及び大腿部が発汗により蒸れることがある。しかし、車両用シート空調装置では、第1吸気口から周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができるため、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。このため、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
さらに、前記通風路選択切替部は、前記第2通風路を前記第3通風路に接続する第2モードを有する。
これによれば、例えば第2吸気口から吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。したがって、第2吸気口が車両用の空調装置から吐出される空気を吸い込める位置(例えばシートの下部)に配置された場合、冷風及び温風を素早く人の上半身に吹き付けることにより、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちになる。本開示の車両用シート空調装置によれば、シートに着座した人に対して、第2吸気口から吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。特に、車両用の空調装置の冷房運転時では、冷やされた空気を第2吸気口から取り込むことができるため、シートに着座した人を冷やすことができる。
また、外気温が低い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が低くなっている。本開示の車両用シート空調装置によれば、シートに着座した人に対して、第2吸気口から吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。特に、車両用の空調装置の暖房運転時では、暖められた空気を第2吸気口から取り込むことができるため、シートに着座した人を温めることができる。したがって、この車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
さらに、前記通風路選択切替部は、前記第1通風路及び前記第2通風路を前記第3通風路に接続する第3モードを有する。
これによれば、例えば第1吸気口及び第2吸気口から吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。また、吐出口から空気が吐出されることで人の上半身に吹き付けられた空気は、座面の第1吸気口から吸気される、つまり、吐出口からシートに着座している人の上半身を介して第1吸気口に吸気される。このため、人の上半身から臀部及び大腿部までを包み込むような気流を生み出すことができる。
例えば、車両用の空調装置の冷房運転時において、当該空調装置の吹き出し空気温度が下がりきったものの、車室内の温度が充分低下していない場合がある。本開示の車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人に対して、第1吸気口から吸気したシート周囲の空気と、第2吸気口から吸気した車両用の空調装置に冷やされた空気とを混合し、混合した空気を人の上半身に吹き付けることができる。このため、シートに着座した人の上半身が過度に冷えてしまうことを抑制し、緩やかに冷房することができる。また、第1吸気口から周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができるため、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。したがって、この車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
さらに前記制御部は、前記第1モード、前記第2モード及び前記第3モードのうちからいずれかのモードを選択することで、前記通風路選択切替部のモードを切替える。
これによれば、制御部は、第1モード、第2モード及び第3モードのうちからいずれかのモードを選択することができるため、シートに着座している人に応じた空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置は、前記車両の車室内の温度を検
知する第1温度センサと、前記シートに着座している人の表面温度を検出する第2温度センサとを備え、前記制御部は、前記第1温度センサが検知した第1温度を示す情報及び前記第2温度センサが検知した第2温度を示す情報に基づいて、前記通風路選択切替部のモードを切替える。
これによれば、車室内の温度である第1温度とシートに着座している人の表面温度の温度である第2温度とを検知することができる。これにより、第1温度及び第2温度に応じて通風路選択切替部のモードを自動的に切替えることができるため、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記第1温度センサが検知した前記第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、前記第2温度センサが検知した前記第2温度が第1表面温度以上である場合、前記通風路選択切替部に前記第2モードを実行させる。
例えば外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちになる。この際には、第1温度は人が快適と感じる温度に設定した設定車室温度以上である。さらに、第1表面温度をシートに着座する人が非常に暑いと感じる温度に設定した場合、第2温度が第1表面温度以上である場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、当該空調装置で冷やされた空気を第2吸気口から取り込むことができるため、シートに着座した人を冷やすことができる。したがって、この車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記第1温度センサが検知した前記第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、前記第2温度センサが検知した前記第2温度が第1表面温度未満で、前記第1表面温度よりも低い温度である第2表面温度以上である場合、前記通風路選択切替部に前記第3モードを実行させる。
例えば外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、車両用の空調装置による冷房が効き始めているものの、未だ車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上の場合がある。さらに、第1表面温度未満で、第2表面温度以上の温度範囲をシートに着座する人が暑いと感じる温度に設定した場合、第2温度が上記温度範囲である場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、車両用シート空調装置は、冷え切っていない車室内の空気(例えば常温の空気)と、当該空調装置で冷やされた空気とを取り込むことができる。車両用シート空調装置は、車室内の常温の空気と、冷やされた空気とを混合し、混合した空気を人に向けて吹き出すことができるため、シートに着座した人を冷えすぎることなく、適度に冷やすことができる。したがって、この車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記第1温度センサが検知した前記第1温度が設定車室温度未満であり、かつ、前記第2温度センサが検知した前記第2温度が第2表面温度未満で、前記第2表面温度よりも低い温度である第3表面温度以上である場合、前記通風路選択切替部に前記第1モードを実行させる。
例えば車両用の空調装置による冷房が安定して効いており、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度未満になった場合で、さらに、第2表面温度未満で、第3表面温度以上の温度範囲をシートに着座する人がやや暑い又は適切と感じる温度に設定した場合、第2温度が上記温度範囲になる場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、車両用シート空調装置は、第1吸気口から周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができる。また、車両用シート空調装置は、吸気した空気を人に向けて吹き出すことができるため、シートに着座した人に空気を吹き付けることができる。したがって、この車両用シート空調装置によれば、シートに着座している人を包み込むような気流を発生するので、人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記車両の車室内の温度を検知する第1温度センサを備え、前記制御部は、前記第1温度センサが検知した前記車室内の温度を示す情報、及び、予め設定された目標温度を示す情報を取得し、前記車室内の温度と当該情報に示される前記目標温度との差に基づいて目標吐出温度を算出し、算出した目標吐出温度に応じて前記通風路選択切替部のモードを切替える。
これによれば、目標温度に応じてモードを切替えることができるため、目標温度を人に好ましい温度に設定すれば、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、車室内の温度と、前記車両に搭載される車両用の空調装置から空調空気が吐出され続ける経過時間との相関を示すテーブルに基づいて、前記通風路選択切替部のモードを切替える。
これによれば、テーブルに基づいて通風路選択切替部のモードを自動的に切替えることができる。その結果、車両用の空調装置に依存せずに車両用シート空調装置を制御することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記シートは、シートバックを有し、前記吐出口は、前記シートバックに形成されている。
これによれば、吐出口から空気が吐出されれば、人の上半身に空気を吹き付けることができる。このため、人の上半身を冷ましたり暖めたりすることができ、実質的に人の全身を冷ましたり暖めたりすることもできる。このため、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記第1吸気口は、前記座面の中央部、及び、外縁部に形成されている。
これによれば、臀部及び大腿部と座面との間において、座面の中央部に形成されている第1吸気口から空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。また、座面の外縁部に形成されている第1吸気口は、人の臀部及び大腿部に覆われ難い位置に形成されているため、シート周囲の空気を吸気することができる。例えば、座面の中央部に形成されている第1吸気口から空気を吸気することができなくても、座面の外縁部に形成されている第1吸気口から空気を吸気することができるため、吐出口から空気を吐出することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記外縁部は、前記座
面の奥部、及び、前端部の少なくともいずれかである。
これによれば、外縁部に設けられた第1吸気口は、人がシートに着座しても、人の臀部及び大腿部によって塞がれ難くなる。このため、人の臀部及び大腿部によって塞がれていない第1吸気口をより確度高く確保できるので、吸気できなくなる可能性をさらに抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記吐出口は、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所と対応する位置に配置されている。
これによれば、吐出口から空気が吐出されれば、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所に空気を吹き付けることができる。このため、人の身体を部分的に冷ましたり暖めたりすることができ、実質的に人の全身を冷ましたり暖めたりすることもできる。このため、シートに着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の一態様に係る車両用シート空調装置は、前記車両の前記シートである運転席と助手席は、シートバックを有し、前記第2吸気口は、前記シートバックにおける、前記助手席と対向する前記運転席の側面部、前記運転席に着座する人と接触する表面部と反対側の裏面部、及び、前記運転席の前記側面部から前記裏面部に跨る角部のいずれかに形成されている、又は、前記シートバックにおける、前記運転席と対向する前記助手席の側面部、前記助手席に着座する人と接触する表面部と反対側の裏面部、及び、前記助手席の前記側面部から前記裏面部に跨る角部のいずれかに形成されている。
これによれば、第2吸気口の位置を側面部、裏面部又は角部に設けることができるため、第2吸気口の配置の自由度を確保することができる。また、第2吸気口を運転席及び助手席の側面部だけでなく、運転席及び助手席の裏面部に跨って形成することができるため、第2吸気口の開口面積をできるだけ大きくすることができる。このため、第2吸気口は、空調ユニットから吹き出された空気をより効率的に吸い込むことができる。
さらに通常、車両に搭載されている車両用の空調ユニットの吐出口(以下、空調ユニットの吐出口ということがある)は、車両のインスツルメントパネルに設けられている。空調ユニットの吐出口は、運転席及び助手席等に向けて、空調した空気である空調空気を吹き出す。
本開示の車両用シート空調装置では、第2吸気口が運転席と助手席との間に設けられているため、空調ユニットの吐出口から吹き出された空調空気は、周囲を空調した後に、第2吸気口から吸い込まれる。このため、車室内における空調効率を低下させ難い。
また、車両用の空調ユニットの吐出口と第2吸気口との間の空間に人等が存在し難い位置に第2吸気口が配置されるので、空調ユニットの吐出口から吹き出された空調空気が、運転席及び助手席に着座する人によって妨げられ難くなる。
したがって、本開示の車両用シート空調装置では、車室内における空調効率の低下を抑制するとともに、車両用の空調ユニットから吹き出された空気を効率的に吸い込み人に向けて吹き出すことができる。
特に、人の体格差、着座姿勢等の外乱の影響に左右されずに、第2吸気口が空調空気を含んだ周囲の空気を吸気することができる。このため、車両用の空調ユニットの空調空気
を再利用することで車両のエネルギー消費を抑制することができる。
また、この構成では、車両用の空調ユニットと車両用シート空調装置とを接続するダクトを設ける必要が無いため、車両用シート空調装置では、製造コストが高騰化し難い。また、ダクトを設けることも無いため、車室内が狭くなり難い。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記車両には、前記運転席と前記助手席との間にセンターコンソールが設けられ、前記第2吸気口は、前記センターコンソールよりも高い位置に配置されている。
これによれば、第2吸気口の位置を一定の高さに配置することができるため、空調ユニットの吐出口と第2吸気口との間がセンターコンソール等の障害物によって妨げられ難くなる。このため、第2吸気口は、空調ユニットから吹き出された空気を効率的に吸い込むことができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記運転席及び前記助手席のそれぞれは、前記シートバックにシートフレームを内蔵した構成を有し、前記運転席及び前記助手席の並び方向に沿って見た場合に、前記第2吸気口は、前記シートフレームと重なっている、又は、前記シートフレームよりも前記運転席に着座する人と接触する表面部と反対側の裏面部側に配置されている。
これによれば、人が運転席及び助手席に着座した際に、運転席及び助手席のクッション性を確保することができるため、人に対して違和感を与え難くすることができる。さらに、人の手の動きにより吸気が妨げられる可能性を低減することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記第2通風路は、前記第2吸気口から前記送風機に至るまでの間において、前記第2吸気口から鉛直上方側に上り傾斜している。
これによれば、例えば人が飲み物をこぼしても、飲み物である液体が第2吸気口よりも奥に侵入し難くなる。このため、第2通風路の内部に配置されている送風機等の電装装置の故障を抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記第2吸気口には、通気性を有するカバーが設けられている。
これによれば、第2吸気口からの空気の吸気性を確保しつつ、第2吸気口が形成されている運転席及び助手席の見栄えを損ねないようにすることができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記第2吸気口は前記角部に形成されるとともに、前記カバーは前記角部に設けられ、前記角部の前記側面部に対応する前記カバーの通気性は、前記角部の前記裏面部に対応する前記カバーの通気性よりも高い。
これによれば、第2吸気口を角部に形成することで、吸気風量を十分に確保することができる。さらに、角部の裏面部側からは、後部座席に着座する人の足によって舞い上げられた埃を吸うことがある。このため、車両用シート空調装置では、角部の裏面部側の通気性を下げることで、埃の吸い込みを抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置は、前記吐出口に設けられ、前記
吐出口から吹き出される空気を所定の方向に導くフィンを備えている。
これによれば、運転席及び助手席に着座した人の姿勢に沿った空気を、その人に吹き付けることができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記フィンは、前記吐出口の高さ方向の中央よりも鉛直上方側に配置されている。
これによれば、車室等のような狭い空間においても、コアンダ効果によって吐出口から吹き出される空気の風軸を制御することができる。このため、運転席及び助手席に着座した人の姿勢に沿った空気を、その人に吹き付けることができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置は、前記制御部に電気的に接続され、前記吐出口近傍に配置された吐出口温度センサを備え、前記制御部は、前記吐出口温度センサが検知した温度に応じて前記送風機を制御する。
これによれば、運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける空気の温度を検知することができるため、温度に応じて送風機の風量を適切に調節することができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記吐出口温度センサが検知した温度が閾値以上であれば、前記送風機の風量を第1風量にし、前記吐出口温度センサが検知した温度が前記閾値未満であれば、前記送風機の風量を、前記第1風量よりも小さい風量である第2風量にする。
これによれば、例えば、冷房運転時は運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける風の温度が低ければ、送風機の風量を弱めたり、運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける風の温度が高ければ、送風機の風量を強めたりすることができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記通風路選択切替部のモードが第1所定期間に亘り維持されている際に、前記吐出口温度センサが検知した温度に基づく前記送風機の制御を行う。
これによれば、第1温度センサ及び第2温度センサによる制御と両立できるように、第1温度センサ及び第2温度センサによる制御を優先し、安定したら吐出口温度センサによる送風機制御を行うことができる。このため、この車両用シート空調装置では、より細かい温度、風量調整をすることができる。その結果、より快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記第1通風路、前記第2通風路、及び前記第3通風路の少なくともいずれかの通風路内に配置された三次元構造体を備える。
これによれば、運転席及び助手席に人が着座しても、第2通風路が押しつぶされることなく空気を導くことができるため、第2通風路は、送風機によって第2吸気口から吐出口に空気を導くことができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本開示の他の態様に係る車両用シート空調装置において、前記制御部は、前記通風路選択切替部が前記第2モード以外であって、前記第1温度センサ及び前記第2温度センサが検出する温度変化が第2所定期間に亘り所定温度範囲以内である際に、前記通風路選択切替部を一時的に前記第2モードに切替える。
これによれば、第2モードのみが座面から吸気をしないため、第2モード以外のモードから第2モードに切替わることで体を包み込む気流が一時的に無くなる。このため、シートに着座している人は、気流の変化を感知しやすくなる。また、温度が安定した状態が続き、シートに着座している人の緊張が緩む可能性がある場合に、吐出口から温度差のある空気を吹き出すことができる。このため、車両用シート空調装置では、シートに着座している人に対して注意喚起することができる。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形等の表現を用いている。例えば、略矩形は、完全に矩形状であることを意味するだけでなく、実質的に矩形状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略矩形状は、本開示による効果を奏し得る範囲において矩形状という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
以下の説明において、シートの前後方向をX軸方向と称し、シートの上下方向をZ軸方向と称す。さらに、シートの左右方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向のそれぞれに垂直な方向をY軸方向と称す。また、X軸方向における、シートの前側をプラス方向側と称し、シートの後側をマイナス方向側と称す。また、Y軸方向における、シートの左側(図1を見て右手前側)をプラス方向側と称し、その反対側をマイナス方向側と称す。また、右側とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の右側であり、Y軸マイナス方向である。また、左側とは、シートに人が着座したとき、車両の進行方向に対して人の左側であり、Y軸プラス方向である。また、Z軸方向における、シートの上側をプラス方向側と称し、シートの下側をマイナス方向側と称す。図2以降においても、同様に適用する。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
<構成:シート1>
図1は、実施の形態1における車両用シート空調装置3が備えられたシート1の外観を示す斜視図である。図1では、実線の矢印が第1通風路31に導かれる空気に対応し、破線の矢印が第2通風路32に導かれる空気に対応し、一点鎖線の矢印が第3通風路33に導かれる空気に対応している。図2のaは、図1のII-II線における車両用シート空調装置3が備えられたシート1の外観を示す斜視図及びそのシート1を示す断面図である。図2のbは、図2のaの破線で示す枠部における拡大断面図である。図3は、実施の形態1における車両用シート空調装置3を示すブロック図である。
図1及び図2に示すように、例えば車両等に装備されているシート1は、人の上半身に空気を吹き付けることで、シート1に着座する人を冷やしたり暖めたりする。具体的には
、シート1は、シート1に着座する人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部等にシート1に用いられた吐出口33aから空気を吹き付けることで、人の身体を冷やしたり暖めたりすることが可能である。また、臀部及び大腿部に対応する個所から空気を吸い込むことで気流を発生させ、臀部及び大腿部とシート1との間の蒸れを抑制したりすることも可能である。このようなシート1は、人が着座するための座部10と、シートバック13と、ヘッドレスト15と、車両用シート空調装置3と、電源部70とを備える。
[座部10]
図1及び図2のaに示すように、座部10は、シート1に着座する人の臀部及び大腿部等を支えるシートクッションである。座部10は、クッション材に相当する第1シートパッド11aと、その第1シートパッド11aを覆う第1シートカバー11bとを有する。
第1シートパッド11aは、例えばウレタンフォーム等からなり、座部本体を構成する。第1シートパッド11aは、厚みのある略矩形の板状であり、X-Y平面と略平行な姿勢で配置される。第1シートパッド11aは、着座する人の臀部及び大腿部等を支える。
第1シートパッド11aには、第1シートカバー11bのZ軸プラス方向側の面である座面11cの第1通気口12aから吸気した空気を導くための第1通風路31が設けられている。
なお、図2のaでは、第1通気口12aと第1通風路31とが一対一で対応している例を示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、図2のaの破線で示した部分において、図2のbの拡大図に示すように、1つの第1通風路31に対して第1通気口12aが複数形成された構成であってもよい。図2のbの場合、複数の第1通気口12aのそれぞれは、1つの第1通風路31に対応することとなる。例えば、1つの第1通風路31に対して複数の第1通気口12aと連通するように、第1シートパッド11aと第1シートカバー11bとの間にスポンジ状のクッション部材11eが配置されていてもよい。
第1吸気口31aは、シート1に人が着座する側のシート1の部分である座面11cに形成されている。つまり、第1吸気口31aは、車室内に向けて開口している。
本実施の形態では、第1吸気口31aは、複数形成されている。具体的には、第1吸気口31aは、シート1に人が着座する側の面である座面11cの中央部11c1、及び、外縁部11c2に形成されている。本実施の形態では、外縁部11c2は、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸プラス方向側の外縁部11c2、及び、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸マイナス方向側の外縁部11c2である。中央部11c1の第1吸気口31aは、X軸方向に沿って複数形成され、外縁部11c2の第1吸気口31aは、中央部11c1の第1吸気口31aに対してY軸プラス方向及びY軸マイナス方向側にそれぞれ配置され、X軸方向に沿って複数形成されている。つまり、第1シートパッド11aのZ軸プラス方向側の面には、X軸方向に沿って複数形成された第1吸気口31aが、Y軸方向に並ぶように複数列形成されている。
また、第1シートパッド11aには、Z軸マイナス方向側の面に形成された第2吸気口32aから吸気した空気を導くための第2通風路32が設けられている。
また、第2吸気口32aは、シート1に人が着座する側の面である座面11c以外の個所に形成されている。つまり、第2吸気口32aは、車室内に向けて開口している。本実施の形態では、第2吸気口32aは、座面11c以外のシート1における所定個所に形成されている。なお、本実施の形態では、第2吸気口32aも第1吸気口31aと同様に車
室内に向けて開口している例について説明したが、この構成に限定されない。例えば、第2吸気口32aは、車両に搭載される空調装置(図示せず)と接続される構成であってもよい。
また、第1シートパッド11aには、車両用シート空調装置3の構成要素である第1通風路31及び第2通風路32の他に、当該構成要素である第3通風路33の一部、送風機34及び通風路選択切替部35等が設けられている。送風機34の駆動によって、第1シートパッド11a内の第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方に空気が流入する。第1シートパッド11aに形成された第1通風路31及び第2通風路32は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
第1シートカバー11bは、第1シートパッド11aを覆うカバーである。第1シートカバー11bは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
第1シートカバー11bには、空気を吸気するための第1通気口12aが形成されている。第1通気口12aは、座部10に人が着座する側の面(Z軸プラス方向側の面)である座面11cであり、車両用シート空調装置3の第1吸気口31aと対応する位置に形成されている。本実施の形態では、第1通気口12aは、第1シートカバー11bに対してX軸方向に沿って複数形成され、かつ、Y軸方向に並ぶ複数の列が形成されている。図1では、実線の矢印が第1通気口12aに対応している。
第1通気口12aから吸い込まれた空気は、車両用シート空調装置3の第1吸気口31aに導かれ、第1吸気口31aから吸気されて第1通風路31に導かれる。このため、第1通気口12aは、車両用シート空調装置3の駆動による第1吸気口31aからの吸引力によって、座面11c上に対流する空気を吸引する吸気口ともなる。なお、第1通気口12aは、第1通風路31の一部であってもよい。この場合、第1通気口12aは第1吸気口の一例となる。
なお、本実施の形態では、第1シートカバー11bは、第2吸気口32aを覆っていてもよい。この場合、第1吸気口31aに対応する第1通気口12aと同様に、第2吸気口32aに対応する通気口が第1シートカバー11bに形成されていてもよい。当該通気口から吸気された空気は、第2通風路32に導かれてもよい。
[シートバック13]
シートバック13は、シート1に着座する人の肩峰、背部及び腰部を支える背もたれ部である。シートバック13は、Z軸方向に沿って長尺であり、座部10に対して立上るように配置される。シートバック13は、クッション材に相当する第2シートパッド13aと、その第2シートパッド13aを覆う第2シートカバー13bとを有する。
第2シートパッド13aは、例えばウレタンフォーム等からなり、Y軸を中心に回動可能な姿勢で配置される。第2シートパッド13aは、着座する人の肩峰、背部及び腰部等を支える。
第2シートパッド13aには、第1通気口12aから吸気された空気を吐出するための第3通風路33の一部等が設けられている。第2シートパッド13aには、送風機34の駆動によって第1シートパッド11a内の第1通風路31に流入した空気、及び、第1シートパッド11a内の第2通風路32に流入した空気の少なくとも一方が、第3通風路33に導かれて吐出口33aから吐出される。吐出口33aは、シートバック13の第2シートパッド13aに形成されている。第2シートパッド13aに形成された第3通風路3
3は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
第2シートカバー13bは、第2シートパッド13aを覆うカバーである。第2シートカバー13bは、例えば革カバー、繊維カバー等である。
第2シートカバー13bには、吸気された空気を吐出するための第2通気口12bが形成されている。第2通気口12bは、座部10に着座した人と対向する面(X軸プラス方向側の面)であり、第3通風路33の吐出口33aと対応する位置に形成されている。吐出口33aは、第1吸気口31a及び第2吸気口32aよりも鉛直上方、つまりZ軸プラス方向側に配置されている。本実施の形態では、第2通気口12bは、第2シートカバー13bに対して複数形成されている。複数の第2通気口12bは、例えば、シート1に着座する人の右肩から左肩に渡って点在している。例えば、複数の第2通気口12bは、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所と対応する第2シートカバー13bの部分に形成されている。
複数の第2通気口12bは、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方を経由して、第3通風路33に導かれて吐出口33aから吐出された空気が通過する。つまり、車両用シート空調装置3の駆動によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方を経由して、第3通風路33に導かれた空気が吐出口33aから吐出されると、当該空気が第2通気口12bに導かれる。このため、第2通気口12bは、シート1の外部に空気を吐出する吐出口ともなる。なお、第2通気口12bは、第2通風路32の一部であってもよい。この場合、第2通気口12bは吐出口の一例となる。
[ヘッドレスト15]
ヘッドレスト15は、シート1に着座する人の頭部を支える頭あて部である。ヘッドレスト15は、シートバック13のZ軸プラス方向側の端部に固定されている。
なお、第3通気口12cは、ヘッドレスト15に形成されていてもよい。つまり、第3通風路33の一部がヘッドレスト15に設けられていてもよい。
[車両用シート空調装置3]
車両用シート空調装置3は、車両のシート1に用いられ、シート1に着座した人に向けて、人の後ろから空気を吹き付けることができる空調装置である。車両用シート空調装置3は、シート1の周囲に対流する空気を吸気し、吸気した空気を人に吹き付けることで、送風を実行する。このため、シート1の周囲の温度が常温よりも高ければ温風となり、常温よりも低ければ冷風となる。なお、車両用シート空調装置3には、暖房及び冷房を実行できるエアコンディショナが搭載されていてもよい。
図2及び図3に示すように、車両用シート空調装置3は、送風機34と、第1通風路31と、第2通風路32と、通風路選択切替部35と、第3通風路33と、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、制御部60と、操作部65とを備える。
送風機34は、シート1の第1シートカバー11bに形成された第1通気口12a、及び、第1シートパッド11aに形成された第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、吸気した空気を第2シートパッド13aに形成された第2通気口12bから吐出することができる。具体的には、送風機34は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に駆動制御されることで、第1通気口12aを介して第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方、通風路選択切替部35並びに第3通風路33を経由して吐出口33aから吐
出する。
また、送風機34は、シート1の座部10に内蔵されている。具体的には、送風機34は、第1シートパッド11aの内部に配置されている。送風機34が駆動すると、第1シートカバー11bの第1吸気口31a及び第2吸気口32aからは、空気が吸気される。
また、送風機34は、通風路選択切替部35の下流側に配置されている。具体的には、第1吸気口31aから吐出口33aまで流れる空気の流路、及び、第2吸気口32aから吐出口33aまで流れる空気の流路において、送風機34は、通風路選択切替部35よりも下流側に配置されている。つまり、送風機34は、通風路選択切替部35から吐出口33aに至るまでの間に配置されている。本実施の形態では、送風機34は、第3通風路33上に配置されている。なお、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から通風路選択切替部35に空気が流れ、かつ、通風路選択切替部35から吐出口33aに空気が流れればよいため、第3通風路33の外側に配置されていてもよい。また、送風機34は、第1シートパッド11aの外側に配置されてもよく、配置位置は特に限定されない。
第1通風路31は、シート1に内蔵されている。具体的には、第1通風路31は、座部10の座面11cから送風機34に至るように、座部10の内部に配置されている。
また、第1通風路31は、送風機34によって、シート1の座部10に設けられた第1吸気口31aから吸気された空気を、通風路選択切替部35まで導く。第1通風路31内では、通風路選択切替部35に選択された場合に、空気が流れる。第1通風路31は、例えば通気ダクトで構成されている。
第1通風路31の一端は第1吸気口31aを形成し、他端は通風路選択切替部35に接続されている。つまり、第1通風路31は第1吸気口31aから通風路選択切替部35に至っている。
また、第1吸気口31aは、座部10に人が着座する側の面(座面11c)から空気を吸気することが可能であり、第1シートカバー11bの第1通気口12aと対応している。Z軸方向に沿って見た場合に、第1吸気口31aは、第1通気口12aと重なっている。本実施の形態では、第1吸気口31aは、第1通気口12aを介して空気を吸い込むが、直接的に空気を吸い込む構成であってもよい。
第2通風路32は、シート1に内蔵されている。具体的には、第2通風路32は、座部10に人が着座する側の面(座面11c)以外の個所から送風機34に至るように、座部10の内部に配置されている。
第2通風路32は、第1通風路31と異なる通風路である。第2通風路32は、送風機34によって、シート1の座部10に設けられる第2吸気口32aから吸気された空気を通風路選択切替部35に導く。第2通風路32内では、通風路選択切替部35に選択された場合に、空気が流れる。第2通風路32は、例えば通気ダクトで構成されている。
第2通風路32の一端は第2吸気口32aを形成し、他端は通風路選択切替部35に接続されている。つまり、第2通風路32は、第2吸気口32aから通風路選択切替部35に至っている。
また、第2吸気口32aは、第1吸気口31aと異なる吸気口である。第2吸気口32aは、座部10に人が着座する側の面(座面11c)以外の個所に形成されている。本実
施の形態では、第2吸気口32aは、座面11cと反対側の面(座部10のZ軸マイナス方向側の面)に形成され、シート1の下側(Z軸マイナス方向側)に存在する空気を吸気することができる。
通風路選択切替部35は、シート1の座部10に内蔵されている。具体的には、通風路選択切替部35は、送風機34よりも上流側である第1吸気口31a及び第2吸気口32a側に設けられている。
また、通風路選択切替部35は、第3通風路33に空気を導くために、第1通風路31及び第2通風路32のうちの少なくとも一方の通風路に選択して切替えることで、切替えられた第1通風路31及び第2通風路32のうちの少なくとも一方に導かれた空気を第3通風路33に導く。通風路選択切替部35は、例えばダンパ等で構成され、空気の流路つまり通風路を切替えることができる。通風路選択切替部35は、第1通風路31だけから導かれた空気、第2通風路32だけから導かれた空気、第1通風路31及び第2通風路32の両方同時に導かれた空気のいずれかを、選択的に第3通風路33に導くことができる。
具体的には、通風路選択切替部35は、第1モードと、第2モードと、第3モードとを有する。第1モードは、第1通風路31と第3通風路33とを接続するモードである。第1モードは、第1通風路31だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで吐出口33aから空気を吐出する。第2モードは、第2通風路32と第3通風路33とを接続するモードである。第2モードは、第2通風路32だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで吐出口33aから空気を吐出する。第3モードは、第1通風路31及び第2通風路32と第3通風路33とを接続するモードである。第3モードは、第1通風路31及び第2通風路32から同時に導かれた空気を第3通風路33に導いて混合することで吐出口33aから混合された空気を吐出する。通風路選択切替部35は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に駆動制御されることで、第1モード、第2モード、及び、第3モードのいずれかのモードに選択する。
第3通風路33は、第1通風路31及び第2通風路32と異なる通風路である。第3通風路33は、送風機34によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、通風路選択切替部35からシート1に設けられる吐出口33aまで導く。具体的には、第3通風路33は、第1吸気口31aから吸気されて第1通風路31に導かれた空気だけを吐出口33aに導いたり、第2吸気口32aから吸気されて第2通風路32に導かれた空気だけを吐出口33aに導いたりする。また、第3通風路33は、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気されて第1通風路31及び第2通風路32に同時に導かれた空気を混合して吐出口33aに導いたりする。第3通風路33は、例えば通気ダクトで構成されている。第3通風路33の一端は吐出口33aを形成し、他端は通風路選択切替部35に接続されている。なお、第3通風路33は、送風機34を介して通風路選択切替部35に接続されていてもよい。吐出口33aは、第2シートカバー13bの第2通気口12bと対応している。X軸方向に沿って見た場合に、吐出口33aは、第2通気口12bと重なっている。本実施の形態では、吐出口33aは、第2通気口12bを介して空気を吐出するが、直接的に空気を吐出する構成であってもよい。
第3通風路33は、シート1に内蔵されている。具体的には、第3通風路33の一部は、座部10の内部に配置され、第3通風路33の残りの一部は、シートバック13の内部に配置されている。
第3通風路33は、通風路選択切替部35から吐出口33aに至っている。本実施の形態では、第3通風路33は、第1シートパッド11a内の通風路選択切替部35から第2
シートパッド13aまで延びている。また、本実施の形態では、第3通風路33は、第2シートカバー13bにおけるヘッドレスト15近傍まで延びている。第3通風路33の一端である吐出口33aは、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所と対応する位置に配置されている。
このような第1通風路31、第2通風路32及び第3通風路33の構成により、第1吸気口31a、第2吸気口32a及び吐出口33aは、以下の関係がある。第1吸気口31a及び第2吸気口32aは、吐出口33aよりも鉛直下方に配置されている。また、第2吸気口32aは、第1吸気口31aよりも鉛直下方に配置されている。これにより、人の臀部及び大腿部に対応する個所、及び、シート1の座面11c以外の個所から吸気した空気を、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部等に対応する個所から吐出することで、シート1に着座した人を包み込む気流を生み出す。
また、車両用シート空調装置3では、第1吸気口31a、第2吸気口32a及び吐出口33aはシート1に設けられ、かつ、第1通風路31、第2通風路32、第3通風路33、送風機34及び通風路選択切替部35はシート1に内蔵されている。つまり、シート1に着座した人を包み込む気流を生み出す構成要素の全てがシート1に設けられているため、車両用シート空調装置3の構成を簡素化することができる。
[第1温度センサ51、第2温度センサ52]
第1温度センサ51は、車両の車室内の温度を検知する。本実施の形態では、第1温度センサ51が検知する車室内の温度の一例として、第1温度センサ51は、人が存在する空間の車室内の温度を検知する。例えば、第1温度センサ51は、シート1、第1通風路31、第2通風路32、又は、第3通風路33等に設けられていてもよい。この場合、第1温度センサ51が検知する車室内の温度の一例として、第1温度センサ51は、第1通風路31、第2通風路32、又は、第3通風路33を流れる空気の温度を検知してもよい。例えば、第1温度センサ51は、車両用の空調装置に予め備えられている温度センサであってもよい。この場合、第1温度センサ51が検知する車室内の温度の一例として、第1温度センサ51は、車両用の空調装置の吹出口の温度を検知してもよい。第1温度センサ51は、当該車室内の温度である第1温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
第2温度センサ52は、シート1に着座している人の表面温度を検出する。本実施の形態では、第2温度センサ52は、車両の車室内に配置され、シート1に着座している人を観察可能な位置に配置されている。例えば、第2温度センサ52は、シート1に着座している人を撮像する撮像装置等である。第2温度センサ52は、当該表面温度である第2温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。なお、第2温度センサ52は、撮像装置等により第2温度を検知するものに限定されず、例えばシート1の表面に配置した温度センサの情報から第2温度を間接的に検知する構成であってもよい。
なお、車両用シート空調装置3には、車両の外部の温度を検知する外気温センサ、車両に照射される日射量を検知する日射量センサ、第1吸気口31aにおける空気の温度を検知する温度センサ、第1吸気口31aにおける空気の湿度を検知する湿度センサ、シート1に着座している人の皮膚温度を検知する皮膚温度センサ、シート1の表面温度を検知する温度センサ等のセンサが設けられていてもよい。これらのセンサは、検知した温度を示す情報、又は、湿度を示す情報を制御部60に出力してもよい。
なお、車両用シート空調装置3には、人の状態を検知するセンサが設けられていてもよい。人の状態は、人の発汗状態、着座期間等である。例えば、センサは、シート1に着座した人の着座期間を検知するセンサを含んでいてもよく、人を撮像する撮像装置を含んで
いてもよい。着座期間を検知するセンサは、例えば車両の起動期間に基づいて着座期間を検知してもよく、人の存在を検知し続けている期間である着座期間を検知してもよい。当該センサは、着座期間を示す情報を検知した結果として制御部60に出力してもよい。また、センサは、人を撮像することで、人の発汗状態を検知してもよい。センサは、人の発汗状態を示す情報を検知した結果として制御部60に出力してもよい。
[制御部60]
制御部60は、送風機34及び通風路選択切替部35を制御する。制御部60は、送風機34及び通風路選択切替部35に流す電流をオンオフしたり、電流値を変更することで送風機34の出力を制御したりするマイクロコンピュータである。
制御部60は、第1モード、第2モード及び第3モードのうちからいずれかのモードを選択することで、通風路選択切替部35のモードを切替える。また、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度を示す情報、及び、第2温度センサ52が検知した第2温度を示す情報に基づいて、通風路選択切替部35のモードを切替える。なお、本実施の形態では第1温度センサ51と第2温度センサ52の両方を用いている例を示すが、第2温度センサ52は無くてもよい。
具体的には、制御部60は、第1温度センサ51が検知した車室内の温度、及び、第2温度センサ52が検知したシート1に着座している人の表面温度に基づいて、通風路選択切替部35のモードを切替える制御を実行する。より具体的には、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第2モードを実行させる。また、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満で、第2表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第3モードを実行させる。第2表面温度は、第1表面温度よりも低い温度である。また、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度未満であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第2表面温度未満で、第3表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第1モードを実行させる。第3表面温度は、第2表面温度よりも低い温度である。設定車室温度、第1表面温度、及び、第2表面温度のそれぞれは、予め設定された温度(閾値)であり、任意に設定変更できる。
なお、人がシート1に着座した際における、車両の外部の温度、車両に照射される日射量、第1吸気口31aにおける空気の温度、第1吸気口31aにおける空気の湿度、シート1に着座している人の皮膚温度、シート1の表面温度等に基づいて、制御部60は、通風路選択切替部35のモードを切替える制御、送風機34の風量を調節する制御を実行してもよい。
[操作部65]
操作部65は、車両に搭載された入力インターフェイスであり、人の操作入力を受け付けることで、例えば車両用の空調装置の温度及び風量等の設定指示を制御部60に出力する。例えば、操作部65は、人の操作入力を受け付けることで、モード切替の指示を制御部60に出力することができる。なお、操作部65は、車両用のコントロールパネル、タブレット端末、スマートフォン等である。また、操作部65は、上記した設定車室温度、第1表面温度、及び、第2表面温度の設定指示を制御部60に出力するようにしてもよい。
[電源部70]
電源部70は、制御部60等を介して、送風機34及び通風路選択切替部35に電力を
供給する電源回路である。ここでは、電源部70は図示しないバッテリから供給される直流電源である。電源部70は、制御部60によって制御されることで、送風機34及び通風路選択切替部35に供給する電流を調節する。
<処理>
図4は、実施の形態1における車両用シート空調装置3の処理を示すフローチャートである。図5Aは、第2モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。図5Bは、第3モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。図5Cは、第1モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。
なお、図4に示す制御部60の制御は、冷房時の例として述べる。
まず、図4に示すように、第1温度センサ51は、車両の車室内の温度(第1温度)を検知する。また、第2温度センサ52は、シート1に着座している人の表面温度(第2温度)を検出する。第1温度センサ51が検知した検知結果として、第1温度センサ51は車室内の温度である第1温度を示す情報を制御部60に出力する。また、第2温度センサ52が検知した検知結果として、第2温度センサ52はシート1に着座している人の表面温度である第2温度を示す情報を制御部60に出力する。
制御部60は、第1温度センサ51から第1温度を示す情報、及び、第2温度センサ52から第2温度を示す情報を取得する(S11)。制御部60は、取得した第1温度を示す情報及び第2温度を示す情報に基づいて、通風路選択切替部35のモードを切替える。
具体的には、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度以上であるか否かを判定する(S12)。
制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度以上である場合(S12でYES)、通風路選択切替部35に第2モードを実行させる(S13)。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS11に戻り処理を繰り返す。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上となりがちである。さらに、第2温度が第1表面温度以上であれば、シート1に着座している人が非常に暑いと感じていることがある。このため、図5Aに示すように、車両用の空調装置によって冷やされている車室の空気を第2吸気口32aから吸気し、吸気した当該空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。その結果、シート1に着座している人の表面温度を下げることができる。図5Aでは、第2通風路32に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度よりも低い、又は、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満である場合(S12でNO)、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満で、第2表面温度以上(第1温度範囲内)であるか否かを判定する(S14)。
制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満で、第2表面温度以上で
ある場合(S14でYES)、通風路選択切替部35に第3モードを実行させる(S15)。そして、制御部60は処理を終了し、ステップS11に戻り処理を繰り返す。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、車両用の空調装置による冷房が効き始めているものの、未だ車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上の場合がある。さらに、第2温度が第1表面温度未満、第2表面温度以上であれば、車室内の温度が未だ高い状態であるので、シート1に着座している人が暑いと感じていることがある。このため、図5Bに示すように、車両用の空調装置によって冷やされている車室の空気を第2吸気口32aから吸気し、かつ、シート1の座面11c側の第1吸気口31aからも空気を吸気して、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気された空気を第3通風路33で混合する。混合した空気は、空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。第3モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度は、第2モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度よりも高くなりがちになる。このように、これらの空気が混合されることで、冷たさがやや抑えられた空気となるため、シート1に着座している人を冷やし過ぎないようにすることができる。図5Bでは、第1通風路31及び第2通風路32に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度よりも低い、又は、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満で、第2表面温度以上の範囲外である場合(S14でNO)、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度未満であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第2表面温度未満で、第3表面温度以上(第2温度範囲内)であるか否かを判定する(S16)。制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度未満であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第2表面温度未満で、第3表面温度以上である場合(S16でYES)、通風路選択切替部35に第1モードを実行させる(S17)。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS11に戻り処理を繰り返す。
例えば、車両用の空調装置による冷房が安定して効いており、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度未満になった場合で、さらに、第2温度が第2表面温度未満、第3表面温度以上であれば、車室内の温度が設定車室温度よりも少し低いくらいで適切だが、シート1に着座している人が適度又はやや暑いと感じている。このため、図5Cに示すように、シート1の座面11c側の第1吸気口31aから空気を吸気し、吸気した当該空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。第1モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度は、第2モード及び第3モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度よりも高くなりがちになる。このため、シート1に着座している人の体感温度を冷えすぎないように下げることができる。図5Cでは、第1通風路31に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
また、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上、または、第2温度センサ52が検知した第2温度が第3表面温度未満である場合(S16でNO)、ステップS11に戻り処理を繰り返す。
なお、この処理では、ステップS12、S14、S16において、判定処理の順番は、適宜入れ替えてもよい。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3は、車両のシート1に用いられる車両用シート空調装置3であって、送風機34と、通風路選択切替部35と、通風路選択切替部35を制御する制御部60と、送風機34によって、シート1に人が着座する側の面である座面11cに設けられる第1吸気口31aから吸いこまれた空気を、通風路選択切替部35まで導く第1通風路31と、送風機34によって、第1吸気口31aと異なる吸気口でありシート1における座面11c以外の個所に設けられる第2吸気口32aから吸いこまれた空気を、通風路選択切替部35まで導く第2通風路32と、送風機34によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、通風路選択切替部35からシート1に設けられる吐出口33aまで導く第3通風路33とを備える。また、第1吸気口31aは車両の車室内に向かって開口している。また、第1吸気口31a及び第2吸気口32aは、吐出口33aよりも鉛直下方に配置されている。また、少なくとも、第1吸気口31a、第2吸気口32a及び吐出口33aがシート1に設けられ、かつ、第1通風路31、第2通風路32の一部、通風路選択切替部35、送風機34、及び、第3通風路33がシート1に内蔵されている。また、通風路選択切替部35は、第3通風路33に空気を導くために、第1通風路31を第3通風路33に接続する第1モードと、第2通風路32を第3通風路33に接続する第2モードと、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続する第3モードとを有する。そして、制御部60は、第1モード、第2モード及び第3モードのうちからいずれかのモードを選択することで、通風路選択切替部35のモードを切替える。
これによれば、従来の車両用シート空調装置のように、車両の車室内を空調するための車両用の空調装置と車両用シート空調装置とを接続するダクトの有無にかかわらず、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、送風機34によって、シート1の周囲に対流もしくは滞留している空気を吸気し、吸気した空気を吐出口33aから人に対して吹き付けることができる。このため、従来の車両用シート空調装置に比べて、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、車両における構造を簡易にすることができる。
また、車両用シート空調装置3では、第1吸気口31aがシート1の座面11cに設けられ、第2吸気口32aがシート1の座面11c以外の個所に設けられ、吐出口33aもシート1に設けられる。つまり、シート1の周囲に対流もしくは滞留している空気を吸気し、吸気した空気を吐出口33aから人に対して吹き付けるための構成を備えている。さらに、車両用シート空調装置3では、第1通風路31、第2通風路32の一部、通風路選択切替部35、送風機34及び第3通風路33がシート1に内蔵されている。つまり、シート1に着座している人の状態に適した空調を行うための構成要素を全てシート1に内蔵している。このため、従来の車両用シート空調装置3に比べて、本開示の車両用シート空調装置3では、構成を簡素化することができる。
また、車両用シート空調装置3では、通風路選択切替部35によって、第1吸気口31aから吸気した空気だけを吐出口33aから吐出させたり、第2吸気口32aから吸気した空気だけを吐出口33aから吐出させたり、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの両方から同時に吸気した空気を吐出口33aから吐出させたりすることができる。つまり、第1吸気口31aと第2吸気口32aとのそれぞれ異なる吸気口から空気を吸気することができ、異なる吸気口から吸気した空気のそれぞれ又は混合した空気を、吐出口33aから個別に吐出することができるため、吐出口33aから吐出される空気の温度を異ならせることができる。このため、車両用シート空調装置3によれば、シート1の吐出口33aから吐出される空気を切替えることで、シート1に着座している人の状態に適した空調を行うことができる。
したがって、この車両用シート空調装置3は、車両における構造の複雑化を抑制するとともに、シート1に着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
特に、第1吸気口31a及び第2吸気口32aは吐出口33aよりも鉛直下方に配置されているため、例えば人の下肢と対応する個所に第1吸気口31aを設け、人の身体に影響を与え難い個所に第2吸気口32aを設け、人の上半身と対応する個所に吐出口33aを設けることもできる。この場合、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸い込むことで気流を発生させるとともに、吸気した空気を吐出口33aから吐出することで人に空気を吹き付けることができる。これにより、人の身体を包み込むような気流を生み出すことができるため、シート1に着座している人に対して周囲に空調空気を留めることができ、最小限の空調エネルギーで快適な空調環境を提供することができる。
さらに、通風路選択切替部35は、第1通風路31を第3通風路33に接続する第1モードを有する。
これによれば、例えば第1吸気口31aから吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。また、吐出口33aから空気が吐出されることで人の上半身に吹き付けられた空気は、座面11cの第1吸気口31aから吸気される、つまり、吐出口33aからシート1に着座している人の上半身を介して第1吸気口31aに吸気される。このため、人の上半身から臀部及び大腿部までを包み込むような気流を生み出すことができる。
例えば、車両用の空調装置の冷房運転時に長時間シート1に人が着座している場合、車両用の空調装置の暖房運転時の場合等では、座面11cと接している人の臀部及び大腿部が発汗により蒸れることがある。しかし、車両用シート空調装置3では、第1吸気口31aから周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができるため、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。このため、シート1に着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
さらに、通風路選択切替部35は、第2通風路32を第3通風路33に接続する第2モードを有する。
これによれば、例えば第2吸気口32aから吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。したがって、第2吸気口32aが車両用の空調装置から吐出される空気を吸い込める位置(例えばシート1の下部)に配置された場合、冷風及び温風を素早く人の上半身に吹き付けることにより、シート1に着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちになる。本実施の形態の車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座した人に対して、第2吸気口32aから吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。特に、車両用の空調装置の冷房運転時では、冷やされた空気を第2吸気口32aから取り込むことができるため、シート1に着座した人を冷やすことができる。
また、外気温が低い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が低くなっている。本実施の形態の車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座した人に対して、第2吸気口32aから吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。特に、車両用の空調装置の暖房運転時では、暖められた空気を第2吸気口32aから取り込むことができるため、シート1に着座した人を温めることができる。したがって、この車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人に対して快適な空調環境を提供することができる。
さらに、通風路選択切替部35は、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続する第3モードを有する。
これによれば、例えば第1吸気口31a及び第2吸気口32aから吸気した空気を人の上半身に空気を吹き付けることができる。また、吐出口33aから空気が吐出されることで人の上半身に吹き付けられた空気は、座面11cの第1吸気口31aから吸気される、つまり、吐出口33aからシート1に着座している人の上半身を介して第1吸気口31aに吸気される。このため、人の上半身から臀部及び大腿部までを包み込むような気流を生み出すことができる。
例えば、車両用の空調装置の冷房運転時において、当該空調装置の吹き出し空気温度が下がりきったものの、車室内の温度が充分低下していない場合がある。本実施の形態の車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人に対して、第1吸気口31aから吸気したシート1周囲の空気と、第2吸気口32aから吸気した車両用の空調装置に冷やされた空気とを混合し、混合した空気を人の上半身に吹き付けることができる。このため、シート1に着座した人の上半身が過度に冷えてしまうことを抑制し、緩やかに冷房することができる。また、第1吸気口31aから周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができるため、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。したがって、この車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
さらに、制御部60は、第1モード、第2モード及び第3モードのうちからいずれかのモードを選択することで、通風路選択切替部35のモードを切替える。
これによれば、制御部60は、第1モード、第2モード及び第3モードのうちからいずれかのモードを選択することができるため、シート1に着座している人に応じた空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3は、車両の車室内の温度を検知する第1温度センサ51と、シート1に着座している人の表面温度を検出する第2温度センサ52とを備える。そして、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度を示す情報及び第2温度センサ52が検知した第2温度を示す情報に基づいて、通風路選択切替部35のモードを切替える。
これによれば、車室内の温度である第1温度とシート1に着座している人の表面温度の温度である第2温度とを検知することができる。これにより、第1温度及び第2温度に応じて通風路選択切替部35のモードを自動的に切替えることができるため、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第2モードを実行させる。
これによれば、例えば外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちになる。この際には、第1温度は人が快適と感じる温度に設定した設定車室温度以上である。さらに、第1表面温度をシート1に着座する人が非常に暑いと感じる温度に設定した場合、第2温度が第1表面温度以上である場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、当該空調装置で冷やされた空気を第2吸気口32aから取り込むことができるため、シート1に着座した人を冷やすことができる。したがって、この車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、制御部60は、第1温度センサ51が検知した第1温度が設定車室温度以上であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第1表面温度未満で、第1表面温度よりも低い温度である第2表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第3モードを実行させる。
例えば外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、車両用の空調装置による冷房が効き始めているものの、未だ車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上の場合がある。さらに、第1表面温度未満で、第2表面温度以上の温度範囲をシート1に着座する人が暑いと感じる温度に設定した場合、第2温度が上記温度範囲である場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、車両用シート空調装置3は、冷え切っていない車室内の空気(例えば常温の空気)と、当該空調装置で冷やされた空気とを取り込むことができる。車両用シート空調装置3は、車室内の常温の空気と、冷やされた空気とを混合し、混合した空気を人に向けて吹き出すことができるため、シート1に着座した人を冷えすぎることなく、適度に冷やすことができる。したがって、この車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、制御部60は、第1温度センサが検知した第1温度が設定車室温度未満であり、かつ、第2温度センサ52が検知した第2温度が第2表面温度未満で、第2表面温度よりも低い温度である第3表面温度以上である場合、通風路選択切替部35に第1モードを実行させる。
例えば車両用の空調装置による冷房が安定して効いており、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度未満になった場合で、さらに、第2表面温度未満で、第3表面温度以上の温度範囲をシート1に着座する人がやや暑い又は適切と感じる温度に設定した場合、第2温度が上記温度範囲になる場合がある。
これによれば、上記の場合、車両用の空調装置の冷房運転時では、車両用シート空調装置3は、第1吸気口31aから周囲の空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の周囲に気流を発生させることができる。また、車両用シート空調装置3は、吸気した空気を人に向けて吹き出すことができるため、シート1に着座した人に空気を吹き付けることができる。したがって、この車両用シート空調装置3によれば、シート1に着座している人を包み込むような気流を発生するので、人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、シート1は、シートバック13を有する。そして、吐出口33aは、シートバック13に形成されている。
これによれば、吐出口33aから空気が吐出されれば、人の上半身に空気を吹き付けることができる。このため、人の上半身を冷ましたり暖めたりすることができ、実質的に人の全身を冷ましたり暖めたりすることもできる。このため、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、第1吸気口31aは、座面11cの中央部11c1、及び、外縁部11c2に形成されている。
これによれば、臀部及び大腿部と座面11cとの間において、座面11cの中央部11c1に形成されている第1吸気口31aから空気を吸気することで、人の臀部及び大腿部の蒸れを抑制することができる。また、座面11cの外縁部11c2に形成されている第1吸気口31aは、人の臀部及び大腿部に覆われ難い位置に形成されているため、シート1周囲の空気を吸気することができる。例えば、座面11cの中央部11c1に形成されている第1吸気口31aから空気を吸気することができなくても、座面11cの外縁部11c2に形成されている第1吸気口31aから空気を吸気することができるため、吐出口33aから空気を吐出することができる。
また、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、吐出口33aは、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所と対応する位置に配置されている。
これによれば、吐出口33aから空気が吐出されれば、人の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の個所に空気を吹き付けることができる。このため、人の身体を部分的に冷ましたり暖めたりすることができ、実質的に人の全身を冷ましたり暖めたりすることもできる。このため、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
(実施の形態1の変形例1)
本変形例では、第2吸気口132aがシートバック13に設けられる点で、実施の形態1の車両用シート空調装置と相違する。本変形例おける他の構成は、実施の形態1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図5Dは、実施の形態1の変形例1において第2モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。図5Eは、実施の形態1の変形例1において第3モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。図5Fは、実施の形態1の変形例1において第1モードを実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。
本変形例では、車両用シート空調装置3aの第2通風路132は、送風機34によって、シートバック13の第2シートカバー13bに設けられる第2吸気口132aから吸気された空気を通風路選択切替部35に導く。通風路選択切替部35に選択された場合に、第2通風路132内では空気が流れる。
本変形例では、第2吸気口132aは、シートバック13の側面に形成されている。また、本変形例では、第2吸気口132aが車室の床面に対して配置される高さは、車室の床面に対して、吐出口33aが配置される高さよりも下側に配置されている。
本変形例の車両用シート空調装置3aの空気の流れについて、図5D~図5Fを用いて説明する。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、人が車両に乗車した直後では、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上となりがちである。さらに、第2温度が第1表面温度以上であれば、シート1に着座している人が非常に暑いと感じていることがある。このため、図5Dに示すように、車両用の空調装置によって冷やされている車室
の空気を第2吸気口132aから吸気し、吸気した当該空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。その結果、シート1に着座している人の表面温度を下げることができる。図5Dでは、第2通風路132に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
例えば、外気温が高い場合、日射量が多い場合等において、車両用の空調装置による冷房が効き始めているものの、未だ車室内の温度(第1温度)が設定車室温度以上の場合がある。さらに、第2温度が第1表面温度未満、第2表面温度以上であれば、車室内の温度が未だ高い状態であるので、シート1に着座している人が暑いと感じていることがある。このため、図5Eに示すように、車両用の空調装置によって冷やされている車室の空気を第2吸気口132aから吸気し、かつ、シート1の座面11c側の第1吸気口31aからも空気を吸気して、第1吸気口31a及び第2吸気口132aから同時に吸気された空気を第3通風路33で混合する。混合した空気は、空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。第3モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度は、第2モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度よりも高くなりがちになる。このように、これらの空気が混合されることで、冷たさがやや抑えられた空気となるため、シート1に着座している人を冷やし過ぎないようにすることができる。図5Eでは、第1通風路31及び第2通風路132に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
例えば、車両用の空調装置による冷房が安定して効いており、車室内の温度(第1温度)が設定車室温度未満になった場合で、さらに、第2温度が第2表面温度未満、第3表面温度以上であれば、車室内の温度が設定車室温度よりも少し低いくらいで適切だが、シート1に着座している人が適度又はやや暑いと感じている。このため、図5Fに示すように、シート1の座面11c側の第1吸気口31aから空気を吸気し、吸気した当該空気を吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している人に吹き付けることができる。第1モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度は、第2モード及び第3モードにおいて吐出口33aから吐出される空気の温度よりも高くなりがちになる。このため、シート1に着座している人の体感温度を冷えすぎないように下げることができる。図5Fでは、第1通風路31に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
(実施の形態1の変形例2)
本変形例では、シート1の座面11cの前端部E1、奥部E2、右端部E3及び左端部E4に第1吸気口31aが設けられている点で、実施の形態1の車両用シート空調装置等と相違する。本変形例おける他の構成は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図6は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置3bが備えられたシート1の外観を示す斜視図である。
図6に示すように、第1吸気口31aは、座面11cの中央部11c1、及び、外縁部11c2に形成されている。外縁部11c2は、座面11cの奥部E2、及び、前端部E1の少なくともいずれかである。このため、第1吸気口31aは、座面11cの中央部11c1に設けられ、さらに、座面11cの奥部E2、及び、前端部E1の少なくともいずれかに設けられている。また、外縁部11c2は、さらに、右端部E3及び左端部E4の少なくとも一方を含んでいてもよい。
本変形例において、第1吸気口31aは、座面11cの前端部E1、奥部E2、右端部E3及び左端部E4の全てに設けられている。座面11cの前端部E1は、座面11cの
中央部11c1に対して前側である。座面11cの奥部E2は、座面11cの中央部11c1に対して後側である。座面11cの右端部E3は、座面11cの中央部11c1に対して右側である。座面11cの左端部E4は、座面11cの中央部11c1に対して左側である。右端部E3及び左端部E4は、座部10の両峰部である。
奥部E2、前端部E1、右端部E3及び左端部E4に形成されている第1吸気口31aは、人がシート1に着座した際に、臀部及び大腿部によって塞がれ難い位置に配置されることになる。
このような、本変形例に係る車両用シート空調装置3bにおいて、外縁部11c2は、座面11cの奥部E2、及び、前端部E1の少なくともいずれかである。
これによれば、外縁部11c2に設けられた第1吸気口31aは、人がシート1に着座しても、人の臀部及び大腿部によって塞がれ難くなる。このため、人の臀部及び大腿部によって塞がれていない第1吸気口31aをより確度高く確保できるので、吸気できなくなる可能性をさらに抑制することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、目標吐出温度に応じてモードを切替える点で、実施の形態1の車両用シート空調装置3と相違する。本実施の形態おける他の構成は、実施の形態1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図7は、実施の形態2における車両用シート空調装置3を示すブロック図である。
本実施の形態において、図7に示すように、制御部60は、車両用の空調装置90に対して指示を出力することで、車両用の空調装置90の吹出口から吹き出される空調空気の温度及び風量の少なくとも一方を調節させる。車両用の空調装置90は、車両用シート空調装置3の構成要件に含まれていてもよく含まれていなくてもよい。
本実施の形態において、実施の形態1の第2温度センサは、車両用シート空調装置3に備えられていなくてもよく、本実施の形態では、必須の構成要件ではない。
<処理>
図8は、実施の形態2における車両用シート空調装置3の処理を示すフローチャートである。図9は、目標吐出温度に応じて、通風路選択切替部35のモード切替えを示す模式図である。
図8に示すように、第1温度センサ51は、車両の車室内の温度を検知する。第1温度センサ51が検知した検知結果として、第1温度センサ51は車室内の温度である第1温度を示す情報を制御部60に出力する。制御部60は、第1温度センサ51から第1温度を示す情報を取得する。また、制御部60は、車両用の空調装置90、人の操作入力を受け付ける操作部65等から、目標温度を示す情報を取得する。制御部60は、取得したそれぞれの情報に基づいて、車室内の温度と目標温度との差を算出する(S21)。目標温度は、予め設定された温度であり、例えば、車両用の空調装置90に設定されている設定温度、人の所望の設定温度等である。
制御部60は、算出した当該差によって、車室内の温度を目標温度にすべく、吐出口33aから吐出される空気の目標吐出温度を算出する(S22)。
制御部60は、算出した目標吐出温度に応じてモードを選択する(S23)。制御部60が決定したモードは、例えば、図9に示すように、目標吐出温度に応じて選択される。具体的には、制御部60は、算出した目標吐出温度が温度Xb以上であれば第1モードを選択し、算出した目標吐出温度が温度Xb未満の温度Xa以上であれば第3モードを選択し、算出した目標吐出温度が温度Xa未満であれば第2モードを選択する。
なお、車両走行中による車両周囲環境の変化から、モード間の切替が戻る場合がある。この場合は、モード間の頻繁な切替を抑制するために、図9に示すようにヒステリシスを有するように切替わる。
なお、モードの選択において、実施の形態1の図4を用いてもよく、本実施の形態には限定されない。
制御部60は、算出した目標吐出温度に応じて送風機34の出力(つまり送風量)を決定する(S24)。例えば、制御部60は、冷房時で目標温度が通常の25℃程度の場合に目標吐出温度が低くなるほど、送風機34の送風量を大きくしてもよく、人の表面温度を示す情報を取得して人の表面温度が高ければ、送風機34の送風量を大きくしてもよい。
制御部60は、ステップS23で選択したモードが第3モードであるか否かを判定する(S25)。
制御部60は、ステップS23で選択したモードが第3モードである場合(S25でYES)、第3モードにおける第1吸気口31aから吸気した空気と、第2吸気口32aから吸気した空気との混合割合を調節する(S26)。制御部60は、目標吐出温度が高くなるほど、第1吸気口31aから吸気した空気よりも、第2吸気口32aから吸気した空気の方の割合を多くしたりする。制御部60は、通風路選択切替部35の開度(空気の流入量)を制御することで、第1吸気口31aから吸気した空気における第3通風路33への流入量と、第2吸気口32aから吸気した空気における第3通風路33への流入量との混合割合を調節することができる。
制御部60は、ステップS23で選択したモードが第3モードでない場合(S25でNO)、ステップS26を経由した場合、ステップS23で選択したモードを実行する(S27)。そして、制御部60は、処理を終了する。
また、制御部60は、以下に示す制御を行ってもよい。ここで、以下に説明する制御は、冷房時の例を中心に述べる。
なお、制御部60は、車両の外部の温度を検知する外気温センサから車両の外部の温度を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される車両の外部の温度が高いほど、算出した目標吐出温度を低い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、車両に照射される日射量を検知する日射量センサから日射量を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される日射量が多いほど、算出した目標吐出温度を低い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、第1吸気口31aにおける空気の温度を検知する温度センサから、当該空気の吸気温度を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出
温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される吸気温度が高いほど、算出した目標吐出温度を低い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、第1吸気口31aにおける空気の湿度を検知する湿度センサから、当該空気の吸気湿度を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される吸気湿度が高いほど、算出した目標吐出温度を高い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、シート1に着座している人の皮膚温度を検知する皮膚温度センサから人の皮膚温度を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される表面温度が高いほど、算出した目標吐出温度を低い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、シート1の表面温度を検知するセンサ(例えば赤外線センサ)から、シート1の表面温度を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該情報に示される表面温度が高いほど、算出した目標吐出温度を低い温度に補正してもよい。
なお、制御部60は、撮像装置から、シート1に着座している人を撮像することで、人の特性を示す情報を取得すると、当該情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。人の特性は、人の姿勢、性別、体格、人種、覚醒度等である。制御部60は、人の特性に応じて人が暑がりか又は寒がりか否かを判定し、判定した結果に基づいて目標吐出温度を高い温度、又は、低い温度に補正してもよい。また、制御部60は、操作部65を介して車両用の空調装置を操作入力される入力情報に基づいて、人が暑さに敏感な人か又は寒さに敏感な人か否かを判定し、判定した結果に基づいて目標吐出温度を補正してもよい。例えば、制御部60は、暑さに敏感な人であれば、目標吐出温度を低い温度に補正する。また、人が眠気を覚えている場合(覚醒度が低い場合)、制御部60は、目標吐出温度を低い温度に補正する。このように、人の特性及び人の嗜好によって、目標吐出温度を補正してもよい。
なお、制御部60は、車両に搭載された心拍センサからセンシング情報を取得すると、当該センシング情報に基づいて、算出した目標吐出温度を補正してもよい。例えば、当該センシング情報に基づいて人の冷え疲れであることが判定されると、制御部60は、を高い温度に補正してもよい。心拍センサは、例えば、シートに内蔵されるシートヒータ、ステアリングヒータ等を用いて実現してもよい。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、車両の車室内の温度を検知する第1温度センサ51を備え、制御部60は、第1温度センサ51が検知した車室内の温度を示す情報、及び、予め設定された目標温度を示す情報を取得し、車室内の温度と当該情報に示される目標温度との差に基づいて目標吐出温度を算出し、算出した目標吐出温度に応じて通風路選択切替部35のモードを切替える。
これによれば、目標温度に応じてモードを切替えることができるため、目標温度を人に好ましい温度に設定すれば、シート1に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
本実施の形態においても、上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態3)
本実施の形態では、車室内の温度と経過時間との相関を示すテーブルに基づいてモードを自動的に切替える点で、実施の形態2の車両用シート空調装置3と相違する。本実施の形態おける他の構成は、実施の形態2と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図10は、実施の形態3における車両用シート空調装置3を示すブロック図である。
図10に示すように、制御部60は、記憶部61を有する。記憶部61には、車室内の温度と、車両に搭載される車両用の空調装置から空調空気が吐出され続ける経過時間との相関を示すテーブルが記憶されている。当該テーブルは、後述する図12で示される。制御部60は、記憶部61からテーブルを読み出し、読み出したテーブルを用いて、車室内の温度に応じて時間経過とともに通風路選択切替部35のモードを自動的に切替える。また、制御部60は、操作部65からの指示を取得することで、通風路選択切替部35のモード切替えを、自動的なモード切替又は手動的なモード切替に変更することができる。
なお、本実施の形態3では、車室内の温度と、車両用の空調装置から空調空気が吐出され続ける経過時間との相関をテーブルとして記憶する構成を示したが、それに限定されるものではなく、両者の相関を示す近似式を予め求めて、記憶部61に近似式を記憶するようにしてもよい。そして、制御部60は、経過時間を近似式に代入して車室内の温度を計算することにより求めてもよい。
また、制御部60は、タイマ等の計時部によって、経過時間を計測することができる。計時部は、制御部60に搭載されていてもよく、制御部60と別体として設けられていてもよい。
また、制御部60は、車両周辺の温度(以下、初期車両周辺温度という。)を示す情報を取得し、取得した当該情報に基づいて車室内の温度を推定する。つまり、制御部60は、初期車両周辺温度に基づいて車室内の温度である推定温度(以下、推定初期室内温度という。)を推定する。初期車両周辺温度は、車両に搭載される温度センサ、車両外部の装置等から取得してもよい。
記憶部61は、ROM(Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置である。なお、制御部60は記憶部61を有していなくてもよく、記憶部61は、制御部60の外部に設けられ、制御部60に対して情報通信可能に接続されていてもよい。
記憶部61には、推定初期室内温度ごとに、現在室内温度と車両用の空調装置から空調空気が吐出され続ける経過時間との相関を示すテーブルが記憶されている。
<処理>
図11は、実施の形態3における車両用シート空調装置3の処理を示すフローチャートである。図11では、車両用の空調装置が冷房運転する場合を例示している。図12は、目標吐出温度に応じて、通風路選択切替部35のモード切替えを示す模式図、及び、経過時間と推定温度との関係を示す模式図である。また、以下では、第2モード、第3モード及び第1モードのこの順番でモードが自動的に切替わる様子を例示する。なお、図11において、実施の形態2で説明した図8のフローチャートと同じ処理には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
図11に示すように、制御部60は、まず、初期車両周辺温度を示す情報を取得する(S31)。
次に、制御部60は、取得した当該情報に基づいて推定初期室内温度を算出する(S32)。例えば、図12では、制御部60は、初期車両周辺温度を示す情報を取得することで、制御部60は、推定初期室内温度Tr0を算出する。
なお、制御部60は、日射量センサ、車室内の温度センサ、車室内の湿度センサ、皮膚温度センサ、シート1の表面温度を検知する温度センサ等に基づいて得られた情報によって、推定初期室内温度Tr0を補正してもよい。図11のフローチャートでは、この処理を行っていない。
制御部60は、記憶部61から、図12の現在室内温度Trと経過時間との相関を示すテーブルを読み出す。制御部60は、記憶部61から読み出した当該テーブルに基づいて、経過時間に応じた現在室内温度Trを算出する(S33)。つまり、制御部60は、当該テーブルに基づいて、推定初期室内温度Tr0を起点として、経過時間とともに、車両用の空調装置を駆動した場合に変化する現在室内温度Trを算出する。例えば、図12では、車両用の空調装置を駆動し続けることで、制御部60は、当該テーブルに基づいて、経過時間t1が経過した時に、現在室内温度Tr1になったと算出する。
このあと、制御部60は、目標吐出温度を求め(S22)、モードを選択し(S23)、送風量を決定し(S24)、第3モードの場合(S25でYES)、第3モードの混合割合を調節し(S26)、選択されたモードを実行する(S27)が、これらの動作は図8と同じため、詳細な説明を省略する。
次に、制御部60は、現在室内温度Trが目標温度に到達したか否かを判断する(S34)。現在室内温度Trが目標温度に到達すれば(S34でYES)、制御部60は、図11の処理を終了する。一方、現在室内温度Trが目標温度に到達していなければ(S34でNO)、制御部60は、ステップS33に戻り、現在室内温度Trが目標温度に到達するまでステップS33以降の処理を繰り返す。
このような処理により、図12に示すように、モードが第2モード、第3モード及び第1モードの順番に自動的に切替わる。つまり、制御部60は、現在室内温度TrがTr1になれば、第2モードから第3モードに切替え、現在室内温度TrがTr2になれば、第3モードから第1モードに切替える。
なお、制御部60は、上記処理において、操作部65から自動的なモード切替の終了指示がある場合、手動的なモード切替に変更してもよい。この場合、制御部60は、切替えられたモードをそのまま実行してもよい。
なお、車両走行中による車両周囲環境の変化から、第2モード、第3モード及び第1モードのこの順番と逆の順番でモードが切替わる場合もあり、上記説明に限定されない。逆方向に順番が切替わる場合は、モード間の頻繁な切替えを抑制するために、図12に示すようにヒステリシスを有するように切替わる。
なお、暖房運転する場合であっても、モードを切替える順番は上記と同じである。この場合、図12の経過時間と現在室内温度Trの関係は、経過時間軸方向に対して上下反転した関係になる。つまり、暖房運転する場合では、経過時間と現在室内温度Trとの関係は、時間が経過するとともに、現在室内温度Trが上昇した後、一定となるように収束する。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態に係る車両用シート空調装置3において、制御部60は、車室内の温度と、車両に搭載される車両用の空調装置から空調空気が吐出され続ける経過時間との相関を示すテーブルに基づいて、通風路選択切替部35のモードを切替える。
これによれば、テーブルに基づいて通風路選択切替部35のモードを自動的に切替えることができる。その結果、車両用の空調装置に依存せずに車両用シート空調装置3を制御することができる。
本実施の形態においても、上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態4)
本実施の形態では、制御部60が温度変化に応じて一時的に第2モードに切替える点で、実施の形態2の車両用シート空調装置3と相違する。本実施の形態おける他の構成は、実施の形態2と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
制御部60は、通風路選択切替部35が第2モード以外であって、第1温度センサ51及び第2温度センサ52が検出する温度変化が第2所定期間に亘り所定温度範囲以内である際に、通風路選択切替部35を一時的に第2モードに切替える。ここで、第2所定期間は、緊張が途切れることが想定される数十分程度である。具体的な例を挙げると、第2所定期間は、30分程度である。なお、あくまでも一例であり、第2所定期間は、30分に限定されない。ここで、所定温度範囲とは、温度が安定していると想定される数℃程度の範囲である。具体的な例を挙げると、所定温度範囲は、1、2℃程度である。なお、あくまでも一例であり、所定温度範囲は、1、2℃に限定されない。
<処理>
図13は、実施の形態4における車両用シート空調装置3の処理を示すフローチャートである。
制御部60は、現時点において、通風路選択切替部35が第2モード以外を選択しているか否かを判定する(S41)。
制御部60は、現時点において、通風路選択切替部35が第2モードを選択しており、通風路選択切替部35が第2モード以外を選択していない場合(S41でNO)、フローチャートを終了する。
一方、制御部60は、現時点において、通風路選択切替部35が第2モード以外を選択している場合(S41でYES)、第1温度センサ51及び第2温度センサ52のそれぞれが検出した温度において、その温度変化が所定温度範囲以内であるか否かを判定する。
制御部60は、温度変化が所定温度範囲以内でないことを判定した場合(S42でNO)、フローチャートを終了する。
一方、制御部60は、温度変化が所定温度範囲以内であることを判定した場合(S42でYES)、温度変化が第2所定期間経過したか否かを判定する(S43)。
制御部60は、温度変化が第2所定期間経過していないことを判定した場合(S43でNO)、ステップS41に処理を戻す。
一方、制御部60は、温度変化が第2所定期間経過したことを判定した場合(S43でYES)、通風路選択切替部35が一時的に第2モードを選択するように制御する。これにより、通風路選択切替部35は、現時点で選択しているモードから第2モードに切替える(S44)。
制御部60は、通風路選択切替部35が一時的に第2モードに選択してから第3所定期間経過したか否かを判定する(S45)。
制御部60は、通風路選択切替部35が一時的に第2モードに選択してから第3所定期間経過していないことを判定した場合(S45でNO)、ステップS44に処理を戻す。
一方、制御部60は、通風路選択切替部35が一時的に第2モードに選択してから第3所定期間経過したことを判定した場合(S45でYES)、通風路選択切替部35が第2モードに選択する直前のモードを選択するように制御する。これにより、通風路選択切替部35は、第2モードから切替え直前のモードに切替える。通風路選択切替部35のモードは、選択していたモードに戻る。そして、制御部60は、フローチャートを終了する。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3の作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態における車両用シート空調装置3において、制御部60は、通風路選択切替部35が第2モード以外であって、第1温度センサ51及び第2温度センサ52が検出する温度変化が第2所定期間に亘り所定温度範囲以内である際に、通風路選択切替部35を一時的に第2モードに切替える。
これによれば、第2モードのみが座面11cから吸気をしないため、第2モード以外のモードから第2モードに切替わることで体を包み込む気流が一時的に無くなる。このため、シート1に着座している人は、気流の変化を感知しやすくなる。また、温度が安定した状態が続き、シート1に着座している人の緊張が緩む可能性がある場合に、吐出口から温度差のある空気を吹き出すことができる。このため、車両用シート空調装置3では、シート1に着座している人に対して注意喚起することができる。
本実施の形態においても、上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態5)
本実施の形態では、シート1の側面から空気を吸込む構成等の点で、実施の形態1等の車両用シート空調装置と相違する。本実施の形態おける他の構成は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
<構成>
図14は、車両100の車室内に配置された実施の形態5における車両用の空調ユニット2bの外観を示す斜視図である。図15は、実施の形態5における車両用シート空調装置3cの外観を示す斜視図である。
図14に示すように、車両100には、運転席及び助手席と、センターコンソール2aと、空調ユニット2bとが設けられている。
運転席及び助手席は、人が着座するためのシート1であり、車両100の幅方向(左右方向)に沿って並んでいる。センターコンソール2aは、運転席と助手席との間である車両100の中央部分に設けられ、運転席と助手席とを区切っている。なお、運転席と助手席との間とは、運転席と助手席との隙間の空間だけでなく、運転席及び助手席を含めた運転席から助手席までの意味である。センターコンソール2aは、車両100に備えられている。センターコンソール2aは、車両100の長さ方向に沿って長尺であり、車両100のインスツルメントパネルに接続されている。空調ユニット2bは、車室内を空調するための空調装置である。具体的には、空調ユニット2bは、車両100の車体に搭載され、車両100のインスツルメントパネルで覆われている。本実施の形態では、車両100の幅方向(左右方向)の中央部分に配置されているエアコンディショナ等の空調ユニット2bの吐出口2cを例示している。
図14及び図15に示すように、車両100等に装備されているシート1は、人の上半身に空気を吹き付けることで、シート1に着座する人を冷やしたり暖めたりする。具体的には、シート1は、シート1に着座する人の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部等に空気を吹き付けることで人の身体を冷やしたり暖めたりすることが可能である。また、シート1の側面に設けられた第2吸気口532aから空気を吸い込み、第2吸気口532aと車両100用の空調ユニット2bの吐出口2cとの間に気流を発生させることで、車両100の車室内を空調することも可能である。シート1は、運転席及び助手席の総称である。本実施の形態では、シート1の一例として運転席を用いて説明する。
このような車両100は、シート1を有する車両用シート空調装置3cと、電源部70とを備えている。
[車両用シート空調装置3c]
車両用シート空調装置3cは、車両100の車室を空調する空調装置である。車両用シート空調装置3cは、シート1に着座した人に向けて、人の後ろから空気を吹き付けることができる。車両用シート空調装置3cは、シート1の周囲に滞留する空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吐出することで、送風を実行する。このため、シート1の周囲の温度が常温よりも温度が高ければ温風となり、常温よりも温度が低ければ冷風となる。なお、車両用シート空調装置3cには、暖房及び冷房を実行できるエアコンディショナが搭載されていてもよい。
図16は、実施の形態5における車両用シート空調装置3cを示す平面図である。図17は、実施の形態5における車両用シート空調装置3cを示す側面図である。図16及び図17では、車両用シート空調装置3cの内部を露出した状態で示している。図18は、実施の形態5における車両用シート空調装置3cを示すブロック図である。
図15~図18に示すように、車両用シート空調装置3cは、シート1と、送風機34と、第2通風路532と、吐出口温度センサ50と、制御部60とを備える。
図15~図17に示すように、第2シートパッド13aには、第2吸気口532aから吸気した空気を吐出口33aから吹き出すための第2通風路532と、第2通風路532において第2吸気口532aから吐出口33aに空気を導くための送風機34とが設けられている。送風機34の駆動によって、第2シートパッド13aに設けられた第2吸気口532aに空気が流入し、流入した空気が第2通風路532に導かれて吐出口33aから吹き出す。
図17に示すように、シートフレーム13cは、シートバック13に内蔵されている。
シートフレーム13cは、第2シートパッド13aが取付けられることで、第2シートパッド13aを所定の姿勢で支持することができる骨格部材である。シートフレーム13cは、座部10に対してY軸を中心に回動可能となるように、第1シートパッド11aに支持されている。
第2シートカバー13bには、空気を吸気するための第1通気口12aと、吸気された空気を吹き出すための第2通気口12bとが形成されている。
第1通気口12aは、Y軸プラス方向側の側面部13a1(シート1に人が着座したときの左側の側面部13a1)であり、車両100の助手席と対向する位置であり、第2吸気口532aと対応する位置に形成されている。本実施の形態では、第1通気口12aは、第2シートカバー13bに対して複数形成されている。
第1通気口12aは、吸い込まれる空気が通過する。つまり、送風機34の駆動によって、第1通気口12aの周囲に存在している空気が第1通気口12a及び第2吸気口532aを介して第2通風路532に導かれる。このため、第1通気口12aは、第2吸気口532aからの吸引力によって、第1通気口12aの周囲に存在している空気を吸引する第2吸気口ともなる。なお、第1通気口12aは、第2通風路532の一部であってもよい。この場合、第1通気口12aは第2吸気口532aの一例となる。
第2通気口12bは、シート1に着座した人と対向する面(X軸プラス方向側の面)であり、第2通風路532の吐出口33aと対応する位置に形成されている。第2通気口12bは、第1通気口12aよりも高い位置に配置されている、つまり鉛直上方又はZ軸プラス方向側に配置されている。本実施の形態では、第2通気口12bは、第2シートカバー13bに対して複数形成されている。
第2通気口12bは、第2通風路532に導かれて第2吸気口532aから吐出された空気が通過する。つまり、送風機34の駆動によって第2通風路532に導かれた空気が吐出口33aから吐出されると、当該空気が第2通気口12bに導かれる。このため、第2通気口12bは、シート1の外部に空気を吹き出す吐出口ともなる。なお、第2通気口12bは、第2通風路532の一部であってもよい。この場合、第2通気口12bは吐出口33aの一例となる。
なお、本実施の形態では、上述したようにシート1の一例として運転席を用いて説明しているが、シート1の一例が助手席である場合も同様である。シート1の一例が助手席である場合、運転席とX-Z平面に対して面対称の構成となる。
ヘッドレスト15は、シート1に着座する人の頭部を支える頭あて部である。ヘッドレスト15は、シートバック13のZ軸プラス方向側の端部に固定されている。
なお、第2通気口12bは、ヘッドレスト15に形成されていてもよい。つまり、第2通風路532の一部がヘッドレスト15に設けられていてもよい。
[送風機34]
図16~図18に示すように、送風機34は、第2吸気口532aから吐出口33aに空気を送る。送風機34は、シート1の第2シートパッド13aに形成された第1通気口12aから空気を吸気し、吸気した空気を第2シートパッド13aに形成された第2通気口12bから吹き出させることができる。具体的には、送風機34は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に駆動制御されることで、第1通気口12aを介して第2吸気口532aから空気を吸気させ、吸気した空気が第2通風路532に導かれて吐出口33
aから吹き出させる。
送風機34は、第2吸気口532aから直接的に又は間接的に空気を吸気するために第2通風路532に設けられている、つまり第2シートパッド13aの内部に配置されている。送風機34は、例えば、シートフレーム13cに固定されていてもよい。なお、本実施の形態では、送風機34は、第2通風路532上に配置されているが、第2通風路532に空気が流れる流路を形成できれば、第2通風路532の外側に配置されていてもよい。送風機34は、シートバック13の外側に配置されてもよく、配置位置は特に限定されない。
[第2通風路532]
第2通風路532は、送風機34によって第2吸気口532aから吸いこまれた空気を吐出口33aに導く。つまり第2通風路532内では、空気が流れる。また、第2通風路532は、第2吸気口532aから吸いこまれた空気をシート1のシートバック13に設けられる吐出口33aから吹き出す。第2通風路532は、例えば通気ダクトで構成されている。第2通風路532は、第2吸気口532aと吐出口33aとを接続する、つまり第2通風路532の一端は第2吸気口532aを形成し、他端は吐出口33aを形成している。
第2吸気口532aは、シート1の側面部13a1から空気を吸気することが可能である。第2吸気口532aには、通気性を有する第2シートカバー13bが設けられている。具体的には、第2シートカバー13bの第1通気口12aが形成されている第1部分が第2吸気口532aを覆うことで、第2吸気口532aからの吸気性が確保される。第2シートカバー13bの第1部分は、カバーの一例である。なお、本実施の形態では、第2吸気口532aは、第1通気口12aを介して空気を吸い込むが、直接的に空気を吸い込む構成であってもよい。
また、第2吸気口532aの構成について、図19を用いて説明する。
図19は、図15のXIX-XIX線における車両用シート空調装置3cの断面図である。図19のaに示すように、第2吸気口532aは、シート1の側面部13a1だけに形成されている。図19のaは、図14等に対応している。また、図19のbに示すように、第2吸気口532aは、シート1に着座する人と接触する表面部13a2と反対側の裏面部13a3だけに形成されていてもよい。また、図19のcに示すように、第2吸気口532aは、シート1の側面部13a1から裏面部13a3に跨る角部に形成されていてもよい。
図15~図17に示すように、吐出口33aは、第2吸気口532aから吸い込まれた空気であって、シート1のX軸プラス方向側の表面部13a2から、第2通風路532に導かれた空気を吹き出すことが可能である。吐出口33aには、通気性を有する第2シートカバー13bが設けられている。具体的には、第2シートカバー13bの第2通気口12bが形成されている第2部分が吐出口33aを覆うことで、吐出口33aからの吹き出し性が確保される。第2シートカバー13bの第2部分も、カバーの一例である。なお、本実施の形態では、吐出口33aは、第2通気口12bを介して空気を吹き出すが、直接的に空気を吹き出す構成であってもよい。
また、吐出口33aには、吐出口33aから吹き出される空気を所定の方向に導くフィン33bが設けられている。なお、フィン33bは、Y軸を中心に回動可能な姿勢で配置されてもよい。この場合、フィン33bの姿勢を傾けることで、吐出口33aから吹き出す空気の向きを可変させることができる。なお、フィン33bは、図18の制御部60に
よって回動可能に制御されてもよい。
また、フィン33bは、吐出口33aの高さ方向の中央よりも鉛直上方側に配置されている。つまり、フィン33bは、吐出口33aの高さ方向の中央よりも鉛直下方側に配置されていない。フィン33bが設けられた吐出口33aから空気が吹き出されると、粘性流体としての空気がコアンダ効果によってフィン33bに引き寄せられるため、フィン33bの表面に沿って吐出口33aから空気が吹き出され、下降気流を容易に生み出すことができる。
このようなフィン33bは、車両用シート空調装置3cの構成要素として備えられている。なお、フィン33bは、吐出口33aに設けられていなくてもよく、車両用シート空調装置3cの必須の構成要素ではない。
また、第2通風路532内には、図15、図16及び図20に示すように、1以上の三次元構造体39が配置されている。図20は、三次元構造体39の斜視図である。三次元構造体39は、六角形状の複数の管39aが1つに束ねられた、ハニカム構造状をなしている。三次元構造体39は、長さ方向において空気が通過できるように開口している。三次元構造体39は、第2通風路532に導かれる空気に沿う姿勢で設けられることで、第2通風路532内において一定の強度を確保している。本実施の形態では、三次元構造体39は、第2通風路532の吐出口33aに近い部分に設けられることが好ましい。シート1に着座した際に、人がシートバック13に凭れても、三次元構造体39により第2通風路532が押しつぶされることが抑制され、空気の導通をより確保することができる。なお、本実施の形態では、管39aは六角形状であるが、これに限定されず、5の角数以下7の角数以上の多角形でもよい。なお、三次元構造体39は、複数種類の多角形の管で構成されていてもよい。なお、本実施の形態では、三次元構造体39は、管状であるが、板状つまり六角形状の複数の開口が形成された網状であってもよい。
このような三次元構造体39は、車両用シート空調装置3cの構成要素として備えられている。なお、三次元構造体39は、第2通風路532に設けられていなくてもよく、車両用シート空調装置3cの必須の構成要素ではない。
このような、第2通風路532は、図16及び図17に示すように、第1送風路232aと、第2送風路232bとを有する。
第1送風路232aは、第2吸気口532aからY軸マイナス方向に沿って第2シートパッド13aの中央部分まで延びた後に、屈曲してZ軸プラス方向に沿って所定量だけさらに延びている。第1送風路232aは、図16に示すように、X軸方向に沿って見た場合にL字状である。第1送風路232aの一端は、第2吸気口532aを構成し、第1送風路232aの他端は、第2送風路232bと連通(接続)している。第1送風路232aの内部には送風機34が配置されている。
第2吸気口532aは、センターコンソール2aよりも高い位置に配置されている。つまり、第2吸気口532aは、センターコンソール2aよりも鉛直上方に配置されている。これにより、例えば、第2吸気口532aは、車両100のインスツルメントパネルの中央部分に配置されているエアコンディショナ等の空調ユニット2bの吐出口2cと対応する高さに配置されることになるため、空調ユニット2bの吐出口2cから吹き出された空調空気を含んだ、運転席と助手席との間に滞留している空気を吸い込むことができる。
また、図17のaに示すように、運転席及び助手席の並び方向(Y軸方向)に沿ってシートバック13を見た場合に、第2吸気口532aは、シートフレーム13cと重なって
いる、又は、図17のbに示すように、第2吸気口532aは、シートフレーム13cよりも運転席に着座する人と接触する表面部13a2と反対側の裏面部13a3側に配置されている。本実施の形態では、Y軸方向に沿ってシートバック13を見た場合、第2吸気口532aは、シートフレーム13cと重なっている。
第2送風路232bは、第1送風路232aが延びた先端からY軸プラス方向及びY軸マイナス方向に沿って両側にさらに延びている。第2送風路232bは、図16に示すように、X軸方向に沿って見た場合に直線状である。第2送風路232bは、実質的に吐出口33aを構成している。吐出口33aを構成する第2送風路232bには、フィン33bが設けられている。
また、吐出口33aは、第2吸気口532aよりも高い位置に配置されている、つまり第2吸気口532aよりもZ軸プラス方向(鉛直上方)に配置されている。また、吐出口33aは、図16の位置に限定されず、人の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部のうちの少なくとも1以上の個所と対応する位置に配置されている。
また、図15及び図16に示すように、第1送風路232a及び第2送風路232bの少なくとも一方には、三次元構造体39が設けられている。本実施の形態では、第1送風路232aには、三次元構造体39が設けられている。なお、吐出口33aに近い部分として第2送風路232bに設けられていてもよいが、吐出口33aを塞がないように設けられる。
このような車両用シート空調装置3cの構成により、運転席と助手席の間に滞留している空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、人の頭部、首、肩峰、背部、腰部、臀部及び大腿部に対応する個所から吹き出すことで、シート1に着座した人を包み込む気流を生み出す。
また、吐出口33aから空気が吹き出される際に、吐出口33aの中央よりも鉛直上方側において、フィン33bと第2送風路232bの内壁との間、隣り合う2つのフィン33bの間に気流が発生して、フィン33bの表面及び第2送風路232bの内壁面に沿って空気が移動することで、コアンダ効果によって吐出口33aの中央よりも鉛直下方側においても吐出口33aから空気の移動が生じる、つまり空気が吹き出される。コアンダ効果によって、吐出口33aから吹き出される空気は、X軸方向に対してZ軸マイナス方向側に流れる。このため、シートに着座している人の頭部から大腿部までを包み込むような気流を発生させることができる。つまり、運転席及び助手席に着座した人の姿勢に沿った空気を、その人に吹き付けることができる。
[吐出口温度センサ50]
図16~図18に示すように、吐出口温度センサ50は、吐出口33a近傍に配置され、吐出口33a近傍の温度を検知する。例えば、吐出口温度センサ50は、吐出口33aから吹き出される空気の温度を検知することができる。なお、吐出口温度センサ50は、吐出口33aの内部つまり第2送風路232b内に配置されていてもよく、第2通風路532の外側である吐出口33aの周囲に配置されていてもよい。吐出口温度センサ50は、当該温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
[制御部60]
制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度に応じて送風機34を制御する。例えば、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値以上であれば、送風機34の風量を第1風量にする。また、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値未満であれば、送風機34の風量を、第1風量よりも小さい風量である第2風
量にする。つまり、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が高ければ送風機34の風量を強めるように制御し、吐出口温度センサ50が検知した温度が低ければ送風機34の風量を弱めるように制御する。なお、閾値は、例えば18℃程度であるが、温度は適宜設定することができてもよく18℃には限定されない。例えば、閾値は、季節に応じて変化させてもよい。
<シミュレーション結果>
図21は、吐出口から吹き出される空気の流速のシミュレーション結果を示す図である。図21のa1はフィンを設けていない吐出口を示し、図21のa2は図21のa1の吐出口から吹き出される空気の流速を示すシミュレーション結果である。図21のb2は吐出口の高さ方向の中央にフィンを設けた場合の吐出口を示し、図21のb2は図21のb1の吐出口から吹き出される空気の流速を示すシミュレーション結果である。図21のc1は吐出口の高さ方向の中央よりも鉛直上方に1つのフィンを設けた場合の吐出口を示し、図21のc2は図21のc1の吐出口から吹き出される空気の流速を示すシミュレーション結果である。図21のd1は吐出口の高さ方向の中央に1つのフィンと、この中央よりも鉛直上方にさらに1つのフィンを設けた場合の吐出口を示し、図21のd2は図21のd1の吐出口から吹き出される空気の流速を示すシミュレーション結果である。なお、図21のa1、b1、c1、d1では、Y軸方向に沿って見た場合の第2通風路の模式図である。
図21のa2では、吐出口から吹き出された空気は、吐出口の開口面と直交する法線方向に延びていることがわかる。図21のb2の場合でも、図21のa2の場合とさほどの差異が表れていない。一方、図21のc2及び図21のd2では、図21のa2及び図21のb2の場合よりも、弧を描くように、X軸方向に対してZ軸マイナス方向側に空気が流れていることがわかる。
このため、本実施の形態では、フィン33bを吐出口33aの高さ方向の中央よりも鉛直上方側に配置する構成とした。
<処理>
図22は、実施の形態における車両用シート空調装置3cの処理を示すフローチャートである。
まず、図22に示すように、吐出口温度センサ50は、吐出口33a近傍の温度を検知する(S51)。吐出口温度センサ50は、当該温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。制御部60は、吐出口温度センサ50から温度を示す情報を取得する。制御部60は、取得した当該情報に示される温度、つまり吐出口温度センサ50が検知した吐出口33a近傍の温度に応じて送風機34を制御する。
次に、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値以上であるか否かを判定する(S52)。
制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値以上である場合(S52でYES)、送風機34の風量を第1風量にするように制御する(S53)。具体的には、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値以上であれば、送風機34の風量を「強」にすることで、送風機34の風量を強くする。
制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値未満である場合(S52でNO)、送風機34の風量を、第1風量よりも小さい風量である第2風量にするように制御する(S54)。具体的には、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が
閾値未満であれば、送風機34の風量を「弱」にすることで、送風機34の風量を強くする。そして、制御部60は処理を終了する。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3cの作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3cは、車両のシート1である運転席と助手席は、シートバック13を有し、第2吸気口532aは、シートバック13における、助手席と対向する運転席の側面部13a1、運転席に着座する人と接触する表面部13a2と反対側の裏面部13a3、及び、運転席の側面部13a1から裏面部13a3に跨る角部のいずれかに形成されている、又は、シートバック13における、運転席と対向する助手席の側面部13a1、助手席に着座する人と接触する表面部13a2と反対側の裏面部13a3、及び、助手席の側面部13a1から裏面部13a3に跨る角部のいずれかに形成されている。
これによれば、第2吸気口532aの位置を側面部13a1、裏面部13a3又は角部に設けることができるため、第2吸気口532aの配置の自由度を確保することができる。また、第2吸気口532aを運転席及び助手席の側面部13a1だけでなく、運転席及び助手席の裏面部13a3に跨って形成することができるため、第2吸気口532aの開口面積をできるだけ大きくすることができる。このため、第2吸気口532aは、空調ユニットから吹き出された空気をより効率的に吸い込むことができる。
さらに通常、車両100に搭載されている車両用の空調ユニット2bの吐出口2c(以下、空調ユニット2bの吐出口2cということがある)は、車両100のインスツルメントパネルに設けられている。空調ユニット2bの吐出口2cは、運転席及び助手席等に向けて、空調した空気である空調空気を吹き出す。
本実施の形態の車両用シート空調装置3cでは、第2吸気口532aが運転席と助手席との間に設けられているため、空調ユニット2bの吐出口2cから吹き出された空調空気は、周囲を空調した後に、第2吸気口532aから吸い込まれる。このため、車室内における空調効率を低下させ難い。
また、車両用の空調ユニット2bの吐出口2cと第2吸気口532aとの間の空間に人等が存在し難い位置に第2吸気口532aが配置されるので、空調ユニット2bの吐出口2cから吹き出された空調空気が、運転席及び助手席に着座する人によって妨げられ難くなる。
したがって、車両用シート空調装置3cでは、車室内における空調効率の低下を抑制するとともに、車両用の空調ユニット2bから吹き出された空気を効率的に吸い込み人に向けて吹き出すことができる。
特に、人の体格差、着座姿勢等の外乱の影響に左右されずに、第2吸気口532aが空調空気を含んだ周囲の空気を吸気することができる。このため、車両用の空調ユニット2bの空調空気を再利用することで車両のエネルギー消費を抑制することができる。
また、この構成では、車両用の空調ユニット2bと車両用シート空調装置3cとを接続するダクトを設ける必要が無いため、車両用シート空調装置3cでは、製造コストが高騰化し難い。また、ダクトを設けることも無いため、車室内が狭くなり難い。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、車両100には、運転席と
助手席との間にセンターコンソール2aが設けられている。そして、第2吸気口532aは、センターコンソール2aよりも高い位置に配置されている。
これによれば、第2吸気口532aの位置を一定の高さに配置することができるため、空調ユニット2bの吐出口2cと第2吸気口532aとの間がセンターコンソール2a等の障害物によって妨げられ難くなる。このため、第2吸気口532aは、空調ユニット2bから吹き出された空気を効率的に吸い込むことができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、運転席及び助手席のそれぞれは、シートバック13にシートフレーム13cを内蔵した構成を有する。そして、運転席及び助手席の並び方向に沿って見た場合に、第2吸気口532aは、シートフレーム13cと重なっている、又は、シートフレーム13cよりも運転席に着座する人と接触する表面部13a2と反対側の裏面部13a3側に配置されている。
これによれば、人が運転席及び助手席に着座した際に、運転席及び助手席のクッション性を確保することができるため、人に対して違和感を与え難くすることができる。さらに、人の手の動きにより吸気が妨げられる可能性を低減することができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、第2吸気口532aには、通気性を有するカバーが設けられている。
これによれば、第2吸気口532aからの空気の吸気性を確保しつつ、第2吸気口532aが形成されている運転席及び助手席の見栄えを損ねないようにすることができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cは、吐出口33aに設けられ、吐出口33aから吹き出される空気を所定の方向に導くフィン33bを備えている。
これによれば、運転席及び助手席に着座した人の姿勢に沿った空気を、その人に吹き付けることができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、フィン33bは、吐出口33aの高さ方向の中央よりも鉛直上方側に配置されている。
これによれば、車室等のような狭い空間においても、コアンダ効果によって吐出口33aから吹き出される空気の風軸を制御することができる。このため、運転席及び助手席に着座した人の姿勢に沿った空気を、その人に吹き付けることができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cは、制御部60に電気的に接続され、吐出口33a近傍に配置された吐出口温度センサ50を備える。そして、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度に応じて送風機34を制御する。
これによれば、運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける空気の温度を検知することができるため、温度に応じて送風機34の風量を適切に調節することができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、制御部60は、吐出口温度センサ50が検知した温度が閾値以上であれば、送風機34の風量を第1風量にし、吐出
口温度センサ50が検知した温度が閾値未満であれば、送風機34の風量を、第1風量よりも小さい風量である第2風量にする。
これによれば、例えば、運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける風の温度が低ければ、送風機34の風量を弱めたり、運転席及び助手席に着座した人に吹き付ける風の温度が高ければ、送風機34の風量を強めたりすることができる。
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3cにおいて、第1通風路31、第2通風路532、及び第3通風路33の少なくともいずれかの通風路内に配置された三次元構造体39を備える。
これによれば、運転席及び助手席に人が着座しても、第2通風路532が押しつぶされることなく空気を導くことができるため、第2通風路532は、送風機34によって第2吸気口532aから吐出口33aに空気を導くことができる。このため、運転席及び助手席に着座している人に対してより快適な空調環境を提供することができる。
(実施の形態5の変形例1)
本変形例では、図23に示すように第2通風路131の一部が上り傾斜している点で、実施の形態の車両用シート空調装置3cと相違する。図23は、実施の形態5の変形例1における車両用シート空調装置3cが備えられたシートを示す平面図である。本変形例おける他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
第2通風路131は、第2吸気口532aから送風機34に至るまでの間において、第2吸気口532aから鉛直上方側に上り傾斜している。具体的には、第1送風路232aは、少なくとも第2吸気口532aから送風機34に至るまでの間において、X-Y平面に対して上り傾斜している。このため、送風機34は、第2吸気口532aよりも高い位置(鉛直上方)に配置されている。
このような、本変形例に係る車両用シート空調装置3cにおいて、第2通風路131は、第2吸気口532aから送風機34に至るまでの間において、第2吸気口532aから鉛直上方側に上り傾斜している。
これによれば、例えば人が飲み物をこぼしても、飲み物である液体が第2吸気口532aよりも奥に侵入し難くなる。このため、第2通風路131の内部に配置されている送風機34等の電装装置の故障を抑制することができる。
本変形例においても上述と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態5の変形例2)
本変形例では、第2吸気口532aはシートバック13の角部に設けられている点で、実施の形態5の車両用シート空調装置等と相違する。本変形例おける他の構成は、実施の形態5等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図24は、実施の形態5の変形例2における車両用シート空調装置3cの角部に形成された第2吸気口532aを示す断面図である。
第2吸気口532aは、シートバック13における、運転席の側面部13a1から裏面部13a3に跨る角部に形成されている。つまり、第2吸気口532aは、シート1の側
面部13a1から車室に向けて開口し、かつ、シート1の裏面部13a3から車室に向けて開口している。
カバーは、角部に設けられている。これにより、カバーは、第2吸気口532aを覆っている。
角部の側面部13a1に対応するカバーの通気性は、角部の裏面部13a3に対応するカバーの通気性よりも高い。例えば、カバーには、第2通風路532に空気を案内するための貫通孔が形成されている。このため、角部の裏面部13a3に対応するカバーの貫通孔の開口面積は、角部の側面部13a1に対応するカバーの貫通孔の開口面積よりも小さい。これにより、角部の側面部13a1に対応するカバーの通気性と、角部の裏面部13a3に対応するカバーの通気性とを調節することができる。
本変形例では、角部の側面部13a1に対応するカバーの第2吸気口532aは、高通気部32a1と呼ぶ。また、角部の裏面部13a3に対応するカバーの第2吸気口532aは、低通気部32a2と呼ぶ。なお、角部の側面部13a1に対応するカバーは、例えば、カバーが布製であり、高通気部32a1は低通気部32a2に比べ、布の目が粗くなるように構成する。
このように、本変形例における車両用シート空調装置において、第2吸気口532aは角部に形成されるとともに、カバーは角部に設けられている。そして、角部の側面部13a1に対応するカバーの通気性は、角部の裏面部13a3に対応するカバーの通気性よりも高い。
これによれば、第2吸気口532aを角部に形成することで、吸気風量を十分に確保することができる。さらに、角部の裏面部13a3側からは、後部座席に着座する人の足によって舞い上げられた埃を吸うことがある。このため、車両用シート空調装置3cでは、角部の裏面部13a3側の通気性を下げることで、埃の吸い込みを抑制することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、車両用シート空調装置3dが吐出口温度センサ50をさらに備える点で、実施の形態1の車両用シート空調装置等と相違する。本実施の形態おける他の構成は、実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
図25は、実施の形態6における車両用シート空調装置3dを示すブロック図である。
図25に示すように、車両用シート空調装置3は、送風機34、通風路選択切替部35、第1温度センサ51、第2温度センサ52、制御部60、操作部65等の他に、吐出口温度センサ50を備えている。
吐出口温度センサ50は、制御部60に電気的に接続されている。
また、吐出口温度センサ50は、例えば、吐出口33a近傍に配置され、吐出口33a近傍の温度を検知する。図25に示すように、吐出口温度センサ50は、当該温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
制御部60は、通風路選択切替部35のモードが第1所定期間に亘り維持されている際に、吐出口温度センサ50が検知した温度に基づく送風機34の制御を行う。ここで、第
1所定期間は、モードの安定が想定される数分程度である。具体的な例を挙げると、第1所定期間は、5分程度である。なお、あくまでも一例であり、第1所定期間は、5分に限定されない。
<処理>
図26は、実施の形態6における車両用シート空調装置3dの処理を示すフローチャートである。
図26では、図4と同一の処理、及び、図22と同一の処理については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
制御部60は、ステップS11~S13の処理を経た場合、ステップS11、S12でNO、S14でYES、S15の処理を経た場合、又は、ステップS11、S12でNO、S14でNO、S16、S17の処理を経た場合、ステップS61に進む。
次に、制御部60は、通風路選択切替部35のモードが第1所定期間に亘り維持されているか否かを判定する(S61)。
通風路選択切替部35のモードが第1所定期間に亘り維持されていないことを制御部60が判定した場合(S61でNO)、図26のフローチャートを終了する。そして、制御部60は、ステップS11から処理を繰り返す。
一方、通風路選択切替部35のモードが第1所定期間に亘り維持されていることを制御部60が判定した場合(S61でYES)、吐出口温度センサ50は、吐出口33a近傍の温度を検知する(S62)。吐出口温度センサ50は、検知した当該温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
次に、制御部60は、当該温度を示す情報を取得する。
そして、制御部60は、ステップS52でYES、S53の処理を経た場合、ステップS52でNO、S54の処理を経た場合、図26のフローチャートを終了する。そして、制御部60は、ステップS11から処理を繰り返す。
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3dの作用効果について説明する。
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3dにおいて、制御部60は、通風路選択切替部35のモードが第1所定期間に亘り維持されている際に、吐出口温度センサ50が検知した温度に基づく送風機34の制御を行う。
これによれば、第1温度センサ51及び第2温度センサ52による制御と両立できるように、第1温度センサ51及び第2温度センサ52による制御を優先し、安定したら吐出口温度センサ50による送風機34制御を行うことができる。このため、この車両用シート空調装置3dでは、より細かい温度、風量調整をすることができる。その結果、より快適な空調環境を提供することができる。
本実施の形態においても、上述と同様の作用効果を奏する。
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1~6に基づいて説明したが、本開示は、これら実
施の形態1~3等に限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置において、シートには、シートヒータが備えられていてもよい。シートヒータは、車両等のシートの座部及びシートバックの少なくとも一方に設けられ、発熱して加熱することで、人の背部、腰部、臀部、大腿部及び等を温める。シートヒータは、加熱設定によりシートを加熱し、非加熱設定によりシート1を加熱しない。シートヒータは、第1シートパッドと第1シートカバーとの間、第2シートパッドと第2シートカバーとの間に配置されてもよい。シートヒータは、基材と、ヒータ線とを有していてもよい。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成された不織布、布状のウレタン等の発泡性樹脂等であってもよい。ヒータ線は、ヒータ線に供給する電力を制御するための制御部と電気的に接続され、制御部で制御された電源部からの電力によって、発熱する導電線であってもよい。制御部は、ヒータ線に流す電流をオンオフしたり、電流値を変更することでヒータ線の発熱量を制御したりすることができてもよい。なお、シートヒータには、温度センサが設けられていてもよい。この場合、当該温度センサは、第1温度センサの一例となる。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置において、第1吸気口及び第2吸気口の少なくとも一方は、シートバックに形成されていてもよい。また、第2吸気口は、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)の吐出口(例えばセンターコンソール内のダクト)に対向するように設けられていてもよい。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置において、車両用シート空調装置は、送風機の風量を調節する機能を有していてもよい。この場合、制御部は、冷房時の際、送風機の風量を「強」にした場合、目標吐出温度を低い温度に補正してもよく、送風機の風量を「弱」にした場合、目標吐出温度を高い温度に補正してもよい。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置には、暖房及び冷房を実行できるエアコンディショナ等の空調装置が別途搭載されていてもよい。また、車両用シート空調装置は、車両用の空調装置から吹き出された空調空気を直接的に吸気することができてもよい。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置において、シートには、シートヒータが備えられていてもよい。シートヒータは、車両等のシートの座部及びシートバックの少なくとも一方に設けられ、発熱して加熱することで、人の背部、腰部、臀部、大腿部及び等を温める。シートヒータは、加熱設定によりシートを加熱し、非加熱設定によりシートを加熱しない。シートヒータは、第1シートパッドと第1シートカバーとの間、第2シートパッドと第2シートカバーとの間に配置されてもよい。シートヒータは、基材と、ヒータ線とを有していてもよい。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成された不織布、布状のウレタン等の発泡性樹脂等であってもよい。ヒータ線は、ヒータ線に供給する電力を制御するための制御部と電気的に接続され、制御部で制御された電源部からの電力によって、発熱する導電線であってもよい。制御部は、ヒータ線に流す電流をオンオフしたり、電流値を変更することでヒータ線の発熱量を制御したりすることができてもよい。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置において、運転席において、吸気口は、助手席側に配置されているが、助手席側とは反対側の側面部に配置されていてもよい。また、助手席において、吸気口は、運転席側に配置されているが、運転席側とは反対側の側面部に配置されていてもよい。
また、上記各実施の形態2に係る車両用シート空調装置3には、図7の制御部60と電気的に接続された図25の吐出口温度センサ50が設けられていてもよい。つまり、実施の形態2に係る図7の車両用シート空調装置3を実施の形態6の車両用シート空調装置3dと同様の構成にしてもよい。また、図8のフローチャートにおいて、ステップS27の後に、図26のステップS61、S62を追加してもよい。この場合も、この車両用シート空調装置では、より細かい温度、風量調整をすることができる。その結果、より快適な空調環境を提供することができる。この場合においても、実施の形態6の車両用シート空調装置3dと同様の作用効果を奏する。
また、上記各実施の形態3に係る車両用シート空調装置3には、図10の制御部60と電気的に接続された図25の吐出口温度センサ50が設けられていてもよい。つまり、実施の形態3に係る図10の車両用シート空調装置3を実施の形態6の車両用シート空調装置3dと同様の構成にしてもよい。また、図11のフローチャートにおいて、ステップS34の後に、図26のステップS61、S62を追加してもよい。この場合も、この車両用シート空調装置では、より細かい温度、風量調整をすることができる。その結果、より快適な空調環境を提供することができる。この場合においても、実施の形態5の車両用シート空調装置と同様の作用効果を奏する。
また、上記各実施の形態1~6に係る車両用シート空調装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
なお、上記各実施の形態1~6において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1~6は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
その他、実施の形態1~6に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1~6における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。