レイテンシを改善するための提案される主要課題は、レイテンシの要求を考慮して、LLRSを実行可能な非APステーションが、無線媒体にアクセスするための十分な機会を頻繁に確保することである。
この目的は、無線媒体上で、LLRSデータトラフィックが発生した場合に、TXOPの長さを調整することによって達成されうる。
したがって、この点において、本発明は、1つ以上のBasic Service Set(BSS)を管理するアクセスポイント(AP)を含んだ無線ネットワークにおける通信方法であって、
第1のBSSに対して拡張分散チャネルアクセス(EDCA)パラメータ(すなわち、無線媒体にアクセスしてフレームを送信するために第1のBSSの非APステーションによって適用されるべきEDCAパラメータ)を設定することと、
前記1つ以上のBSSにおいて低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)をアクティブに検出したことに応じて、前記第1のBSSのための前記EDCAパラメータを変更することと、
を含む通信方法を提供する。
このように、APは、管理するBSSの1つにおいてアクティブにLLRSを検出し、それに応じて、1つ(以上)のBSSにおけるステーションの通信パラメータを変更することができる。したがって、APは、第1のBSSのための適切な変更された通信パラメータを選択することにより、非APステーションに時間上でのTXOPを制限させ、したがって、LLRS能力を有するステーションのための無線媒体におけるアクセス機会を増やすことができる。
本発明の実施形態のオプションの特徴は添付の特許請求の範囲において定義されている。これらの特徴のいくつかについて、ここでは方法を参照して以下で説明するが、それらは装置の特徴に変換することができる。
いくつかの実施形態において、前記変更されたEDCAパラメータは、送信機会(TXOP)の最大期間を定める、変更されたTXOP制限パラメータを含む。このように、APは、第1のBSSのLLRSに対応していないステーションが無線媒体を予約することが許容される最大期間を直接制御する。したがって、APは、LLRS能力を有するステーションが上述の最大期間に対応する最小の頻度で新たに媒体アクセス機会を有することを保証しうる。
特定の実施形態において、前記変更されたTXOP制限パラメータは、変更前の前記EDCAパラメータのTXOP制限パラメータより低い。これは、BSSの非APステーションによる無線媒体へのアクセスの最大期間を減らすことを目的としている。
例えば、(より低い)TXOP制限パラメータは、
-IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において定義された、LLRSデータトラフィックのためのワーストケースのレイテンシバジェットの値の半分、例えば、最小の非ゼロ値、
-IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において定義された、LLRSデータトラフィックのためのワーストケースのレイテンシバジェットより低い、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の表9-137から又はIEEE802.11規格(RTM)、バージョン2012の表8-105からのTXOP制限値、
-IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において定義されたLLRSデータトラフィックのワーストケースのレイテンシバジェットと前記第1のBSSにおいてLLRS能力を有しない(すなわちLLRSを実装していない)非APステーションの数に(例えばアイデンティティ)基づく数との間の比、
-値0、すなわち、単一のMACサービスデータユニット(MSDU)又は管理フレームの送信に対するTXOPを制限する、
-LLRSのアクティビティがある場合のステーションのスループットへのインパクトを制限しながら、上述の文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」の要求を満たす、1024msに等しい値、
-APによって管理されると共にLLRSを実行可能な非APステーションから受信されるTSPEC情報要素において成功時の送信を完了するための時間の最大量を示すDelay Bound値に等しい又は当該値より低い値、及び、
-それぞれが、前記APによって管理されると共にLLRSを実行可能な非APステーションから受信されるTSPEC情報要素において成功時の送信を完了するための時間の最大量を示すDelay Bound値と再送信ポリシの場合に1から増加される整数Nとの間の、比に等しい又は当該比より低い値、
のうちの1つでありうる。
いくつかの実施形態において、前記TXOP制限パラメータは、異なるアクセスカテゴリのトラフィックデータに対して同一の値を有する。これは、ネットワークにおいてLLRSアクティビティが起動中であるときにTXOP期間の管理を容易にする。
変形において、より低くされた前記TXOP制限パラメータは、異なるアクセスカテゴリのトラフィックデータに対して異なる値を有する。これは、レガシの(すなわち非LLRSの)通信についてのQoSを維持することを可能とする。
いくつかの実施形態において、方法は、前記1つ以上のBSSにおける前記LLRSのアクティビティの終了を検出したことに応じて、前記第1のBSSのための設定された前記EDCAパラメータを復元する(変更して戻す)ことをさらに含む。それは、APが、以前に使用されたEDCAパラメータで、第1のBSSをリセットすることを意味する。当然ながら、APは、例えばネットワークにおける変更に起因して、EDCAパラメータの別の新しいセットを使用してもよい。したがって、より一般的には、APは、(LLRSデータトラフィックが存在する際に使用される変更されたものと比べて)より高いTXOP制限パラメータを有する新しいEDCAパラメータを設定する。
いくつかの実施形態において、前記1つ以上のBSSにおいてLLRSのアクティビティを検出することは、前記第1のBSSにおけるLLRSのアクティビティを検出することを含む。これは、LLRSを実行可能なステーションとLLRSを実行することのできないステーションとが、同一のBSSにおいて共存することを意味する。したがって、EDCAパラメータの適合は、両方のタイプの非APステーションに影響する。
変形において、前記1つ以上のBSSにおいてLLRSのアクティビティを検出することは、前記APによって管理されている前記第1のBSSと異なるBSSにおけるLLRSのアクティビティを検出することを含む。その場合、APは、有利に、非LLRS BSSのためのEDCAパラメータ(TXOP制限)のみを低下させる。LLRSを実行可能なステーションが、LLRS送信が開始される場合に、実行中のTXOPを中断又は停止することができるため、長いTXOPがLLRSデータトラフィックに固有の他のBSSにおいて存続してもよい。換言すれば、他のBSSのためのEDCAパラメータは、LLRSのアクティビティを検出したことに応じて変更されないままとされる。
いくつかの実施形態において、前記1つ以上のBSSにおいてLLRSのアクティビティを検出することは、
-前記1つ以上のBSSにおける非APステーションに対するLLRS能力を受信すること。これは、APが、ネットワークにおいて(そのAPに関連付けられた)LLRSを実行可能なステーションが存在することを認識するとすぐに、LLRSのアクティビティがあるとみなしうることを意味する、
-前記1つ以上のBSSにおける非APステーションと、LLRSデータトラフィック(すなわち、上りリンク又は下りリンクトラフィック)を、好ましくは所定のTraffic Identifierを運ぶ又は所定のアクセスカテゴリ(例えば、AC_VI又はAC_VO)のデータトラフィックを交換すること。ここで、APは、LLRDデータトラフィック交換に含まれている間はLLRSのアクティビティがあるとみなす、
-非APステーションから、LLRSデータトラフィックの要求又は必要性をシグナリングするメッセージ、例えば、所定のTXOP制限より低い特定のレイテンシを有するTSPECメッセージを受信すること(例えば、BSSのEDCAパラメータにおいて設定されているTXOP制限)、
からの1つ以上の基準を検出することを含む。
逆に、LLRSのアクティビティの終了を検出することは、LLRSを実行可能な非APステーションの全てのAPからの関連付けの解除、非APステーションとのLLRSデータトラフィックの交換の終了、又は、LLRSの観点でのステーションの必要性及び要求の終了に対応しうる。
いくつかの実施形態において、前記第1のBSSのための前記EDCAパラメータを設定することは、前記EDCAパラメータを含んだビーコンフレームをブロードキャストすることを含む。変形において、前記第1のBSSのための前記EDCAパラメータを設定することは、プローブ要求をした非APステーションへの前記EDCAパラメータを含んだプローブ応答フレームを送信することを含む。
いくつかの実施形態において、前記第1のBSSのための前記EDCAパラメータを変更することは、変更された前記EDCAパラメータを含んだビーコンフレームをブロードキャストすることを含む。このように、APは、第1のBSSの非APステーションの全てに対して新しいEDCA値を、その後に変更されたパラメータを適用するために、ブロードキャストする。
いくつかの実施形態において、前記第1のBSSのための前記EDCAパラメータは、レガシのEDCAパラメータと、前記第1のBSSの非APステーションが前記APによってマルチユーザ送信においてスケジューリングされる際に当該非APステーションのための前記レガシのEDCAパラメータを一時的に置き換えるマルチユーザEDCAパラメータとを含む。したがって、本発明は、ステーションの状態によらず、TXOPの長さに影響を与える。
上述の目的は、非APステーションを、LLRSトラフィックに専用であるか否かによらない適切なBSSに誘導することによっても、達成されうる。
この文脈において、本方法は、前記APにおいて、非APステーションに対して、前記第1のBSSとの前記非APステーションのアソシエーションを拒否する又は前記非APステーションを前記第1のBSSからアソシエーション解除するアソシエーション関連管理フレームを送信することをさらに含んでもよく、前記アソシエーション関連管理フレームは、前記APによって管理されている他のBSSが利用可能であることを示すコードを含む。このコードのおかげで、APは、非APステーションを、例えばその能力に対応するBSSへリダイレクトしうる。
ステーションによる送信のより良好な管理が達成されうる。実際、変更されたEDCAパラメータ(低減されたTXOP制限)が、(同一のBSS内でグループ化された)LLRSを実行可能でないステーションに対して、それらの送信時間を低減するために使用されうる。さらに、従来のEDCAパラメータ(したがってTXOP制限)が、(LLのアクティブな手法を通じて)それらを中断して、LLRS送信を行うことを許可する限り、(同一のBSS内でグループ化される)LLRSを実行可能なステーションに対してより長いレガシのコンテンションフリーのTXOPを提示するために使用されうる。
上述のようにEDCAパラメータを変更することに関係なく、このようなコードの仕様が単独で実装されてもよい。その目的のために、本発明は、無線ネットワークにおける通信方法であって、アクセスポイント(AP)において、
非APステーションへ、前記非APステーションの前記APによって管理される第1のベーシックサービスセット(BSS)とのアソシエーションを拒否する又は前記第1のBSSから前記非APステーションのアソシエーションを解除するアソシエーション関連管理フレームを送信することを含み、前記アソシエーション関連管理フレームは、前記APによって管理される他のBSSが利用可能であることを示すコードを含む、方法にも関係しうる。
逆に、無線ネットワークにおける通信方法は、非アクセスポイント(非AP)ステーションにおいて、
APから、前記非APステーションの当該APによって管理される第1のベーシックサービスセット(BSS)とのアソシエーションを拒否し又は当該非APステーションの当該第1のBSSからのアソシエーションの解除をするアソシエーション関連管理フレームを受信することを含んでもよく、当該アソシエーション関連管理フレームは、前記APによって管理されている他のBSSが利用可能であることを示すコードを含む。
いくつかの実施形態において、当該方法は、前記APにおいて、
前記非APステーションから能力を受信することと、
低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)に関して、前記非APステーションの能力が前記第1のBSSの能力と一致するかを判定することと、
をさらに含んでもよく、
前記アソシエーション関連管理フレームを送信することは、不一致の判定に応答して行われる。したがって、コードは、ステーションに対して、第1のBSSと互換性がないことを警告するが、他により互換性の高いBSSが存在する。当然ながら、APは、ステーションとBSSの間で能力が一致する場合に、第1のBSSとのアソシエーションを認可してもよい。
例えば、前記非APステーションはLLRSを実行可能であってもよく、前記第1のBSSはLLRSを実行可能でない非APステーションに、すなわち、非LLRSデータトラフィックに、専用でありうる(すなわち制限されうる)。したがって、その場合、コードは、第1のBSSが低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)を実行可能でない非APステーションに専用であり、LLRSを実行可能なステーションに対しては、LLRSを実行可能な非APステーションに専用でそのAPによって管理される他のBSSが利用可能であることを示す。
反対に、前記非APステーションはLLRSを実行可能でなてもよく、前記第1のBSSはLLRSを実行可能な非APステーションに専用であってもよい。この反対のケースでは、コードは、第1のBSSが低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)を実行可能な非APステーションに専用であり、LLRSを実行可能でない非APステーションのために、LLRSを実行可能でない非APステーションに専用で、そのAPによって管理される他のレガシBSSが利用可能であることを示す。
いくつかの実施形態において、本方法は、前記APにおいて、前記非APステーションから低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)の能力を受信したことに応じて、前記他のBSSを起動することをさらに含む。好ましくは、他のBSSは、この場合において、LLRSを実行可能な(すなわち、LLRSデータトラフィックに専用の)BSSである。したがって、第1のLLRSを実行可能なステーションがあることに応じて、APは、LLRSを実行可能でないステーションのための(上述のような)EDCAパラメータの適切な管理を確実にするために、専用のBSSを実行することを決定する。そして、LLRSを実行可能なステーションLLRSを実行可能なステーションは、上述のコードの送信を用いて、この新たに開始されたBSSに異動させられうる。
他の実施形態において、本方法は、前記APにおいて前記ネットワークにおけるLLRSのアクティビティを検出したことに応じて、前記第1のBSSを、LLRSを実行可能な非APステーションに制限し、又は、前記第1のBSSを、LLRSを実行可能でないステーションに制限することをさらに含む。この構成において、APは、制約のないBSSを実行して、LLRSを実行可能なステーションのみ(又は実行可能でないステーションのみ)に限定することを決定しうる。そして、この場合、LLRSを実行可能でない(又は実行可能である)ステーションは、上述のコードの送信を用いて、他のBSSに異動させられうる。
いくつかの実施形態において、本方法は、前記非APステーションにおける前記受信の後に、前記APによって管理される他のBSSとのアソシエーションを行うために、前記APへアソシエーション要求を送信することをさらに含む。反対に、本方法は、前記APにおいて前記送信の後に、前記APによって管理されている他のBSSへのアソシエーションのために、前記非APステーションからアソシエーション要求を受信することをさらに含む。この方法において、APが非APステーションをより適切なBSSへリダイレクトすることに成功したことが、非APステーションの能力がLLRSに関して他のBSSの能力と一致することを意味する。
様々なBSSの利用可能性の知識を有するために、本方法は、前記非APステーションにおいて、前記第1のBSS及び前記他のBSSをアドバタイズする1つ以上のビーコンフレームを前記APから受信することをさらに含みうる。ビーコンフレームは、送信されるAPによって送出され、APによってインスタンスが生成された複数の(例えば全ての)BSSをアドバタイズするマルチBSSビーコンフレームでありうる。これは、非APステーションが、それに関連付けるという観点で、効率的に他の適切なBSSを発見することを可能とする。
当然ながら、APは、様々なBSSを管理し、そのBSS内の様々な非APステーションに関して上述のステップ、例えば、専用のBSSにLLRSを実行可能なステーションを有すると共にLLRSを実行可能でないステーションを他のBSSに有することを試みること、を実行しうる。
また、上述の目的は、適合されたTXOP長を用いてDirect Link(DiL)又はピアツーピア(P2P)を制御することによって達成されうる。
この点において、本発明は、また、無線ネットワークにおける通信方法であって、アクセスポイント(AP)によって管理されている第1のBasic Service Set(BSS)に関連付けられている非アクセスポイント(非AP)ステーションにおいて、
前記第1のBSSのための拡張分散チャネルアクセス(EDCA)パラメータであって、前記第1のBSSの内部での送信機会(TXOP)の最大期間を定義するTXOP制限パラメータを含んだ前記EDCAパラメータを受信すること。したがって、ステーションはBSSに属し、当該BSS内での通信時に尊重すべき送信パラメータに気付いていることと、
前記TXOP制限パラメータに基づいて、ダイレクトリンク(DiL)送信のために、他の非APステーションと、TXOPの期間を交渉することと、
前記他の非APステーションとDiL送信を実行することと、
を含む通信方法を提案する。
その方法では、DiL送信が第1のBSSでは起きずに第1のBSSと同一の無線媒体上で生じるが、(P2Pの)非APステーションは、他のP2Pステーションに、APによって提供される現在の要求にTXOP期間を制限させることを強いる。したがって、P2P送信によって影響を受けるレイテンシが、なおもAPによって制御される。実際、後者は、LLRSのアクティビティが感知されたか検出されたかに応じて、上述のように(TXOP制限を含んだ)EDCAパラメータを適合しうる。
いくつかの実施形態において、前記他の(P2Pの)非APステーションは、前記第1のBSSにおいて前記APと関連付けられていない非APステーションである。このように、本発明は、APに関連付けられた非APステーションが関与する任意のDiL送信を制御する。
いくつかの実施形態では、前記TXOP期間を交渉することは、前記他の非APステーションからTXOP期間を受信することと、前記TXOP制限パラメータを前提として低減されたTXOPで応答することと、を含む。このように、APと関連付けられた非APステーションは、他のP2Pの(関連付けられていない)ステーションを介して制御を行う。
関連して、本発明は、上述の方法のいずれかのステップを実行するために構成された少なくとも1つのマイクロプロセッサを含んだ無線通信デバイスをも提供する。
本発明の他の態様は、無線デバイスにおけるマイクロプロセッサ又はコンピュータシステムによって実行されるときに、当該無線デバイスに上述のいずれかの方法を実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関連する。
本発明による方法の少なくとも一部が、コンピュータ実装されうる。したがって、本発明は、「ここで「回路」、「モジュール」、又は「システム」と一般的に呼ばれうる、全体がハードウェアの実施形態、全体が(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)ソフトウェアの実施形態、又は、ソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態を取りうる。さらに、本発明は、媒体に具現化されたコンピュータが使用可能なプログラムコードを有する表現の任意の有形媒体に具現化されたコンピュータプログラムプロダクトの形式を取りうる。
本発明がソフトウェアにおいて実装されうるため、本発明は、任意の適切な搬送媒体上でのプログラム可能なデバイスへの提供のためのコンピュータ可読媒体として具現化されてもよい。有形搬送媒体は、ハードディスクドライブ、磁気テープデバイス、又はソリッドステートメモリデバイスなどのような、記憶媒体を含みうる。過渡搬送媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音声信号、磁気信号、又は電磁信号、例えばマイクロ波もしくはRF信号などの、信号を含みうる。
ここで、本発明について、非限定的な例示の実施形態を用いて、図面を参照しながら説明する。
ここで説明される技術は、直交多重手法に基づく通信システムを含んだ様々なブロードバンド無線通信システムに使用されうる。このような通信システムは、例えば、空間分割多元接続(SDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、及びシングルキャリア周波数分割多元接続(SC-FDMA)システムを含む。SDMAシステムは、多数のユーザ端末、すなわち、無線デバイス又はステーションに属するデータを並行して送信するために、十分に異なる方向を利用しうる。TDMAシステムは、送信信号を異なるタイムスロット又はリソースユニットに分割し、各タイムスロットを異なるユーザ端末に割り当てることにより、多数のユーザ端末が同一の周波数チャネルを共有することを可能としうる。OFDMAシステムは、全体のシステム帯域幅を多数の直交するサブキャリア又はリソースユニットに分割する変調技術である、直交種は数分割多重(OFDM)を利用する。これらのサブキャリアは、トーン、ビンなどのようにも呼ばれうる。OFDMを用いて、各サブキャリアは、データで独立して変調されうる。SC-FDMAシステムは、システム帯域幅にわたって分散されたサブキャリア上での送信のためのインタリーブドFDMA(IFDMA)、隣接するサブキャリアのブロック上での送信のためのローカライズドFDMA(LFDMA)、隣接するサブキャリアの複数のブロック上での送信のためのエンハンスドFDMA(EFDMA)を利用しうる。
ここでの教示は、様々な装置(例えばステーション)に含められ(例えば、その中に実装され又はそれにより実行され)うる。いくつかの態様において、ここでの教示に従って実装される無線デバイス又はステーションは、アクセスポイント(いわゆるAP)又はそれでないもの(いわゆる非APステーション又はSTA)を含みうる。
APは、ノードB、無線ネットワーク制御装置(「RNC」)、エボルブドノードB(eNB)、5G次世代基地局(gNB)、基地局制御装置(「BSC」)、基地送受信ステーション(「BTS」)、基地局(「BS」)、送受信器機能(「TF」)、無線ルータ、無線送受信器、ベーシックサービスセット(「BSS」)、拡張サービスセット(「ESS」)、無線基地局(「RBS」)、又はいくつかの他の用語を含み、それとして実装され、又は、それとして知られうる。
非APステーションは、加入者ステーション、モバイルステーション(MS)、リモートステーション、リモート端末、ユーザ端末(UT)、ユーザエージェント、ユーザデバイス、ユーザ装置(UE)、ユーザステーション、又はいくつかの他の用語を含み、それとして実装され、又はそれとして知られうる。いくつかの実装において、STAは、セルラ電話機、コードレス電話機、セッション・イニシエーション・プロトコル(「SIP」)電話機、無線ローカルループ(「WLL」)ステーション、パーソナルデジタルアシスタント(「PDA」)、無線接続能力を有するハンドヘルドデバイス、又は、無線媒体に接続されるいくつかの他の適切な処理デバイスを含みうる。したがって、ここで教示される1つ以上の態様は、電話機(例えばセルラ電話機又はスマートフォン)、コンピュータ(ラップトップ)、タブレット、ポータブル通信デバイス、ポータブルコンピューティングデバイス(立てば、パーソナルデータアシスタント)、エンターテインメントデバイス(例えば音楽若しくは映像デバイス、又は衛星ラジオ)、全地球測位システム(GPS)デバイス、又は無線もしくは有線媒体を介して通信するように構成された他の適切なデバイス内に組み込まれうる。いくつかの態様において、非APステーションは、無線ノードでありうる。このような無線ノードは、例えば、無線又は有線通信リンクを介して、ネットワーク(例えばインターネットやセルラネットワークなどのワイドエリアネットワーク)のための又はそれに対する接続性を提供しうる。
APは、通信のために無線媒体へのアクセスを共に編成するステーションの集合を管理する。(そのAPを含んだ)ステーションは、サービスセットを形成し、そのサービスセットを本明細書において以下では(他の用語が使用されてもよいが)ベーシックサービスセット(BSS)と呼ぶ。アクセスポイントとして動作する同一の物理ステーションは、2つ以上のBSS(ひいては対応するWLAN)を管理してもよく、各BSSは、特定のベーシックサービスセット識別情報(BSSID)によって識別され、物理APにおいて実装されている別個の仮想APによって管理される。
低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)は、上位レイヤトラフィックストリームに対して提供されるサービスであり、所与の信頼性/パケットデリバリ比(PDR)及び低ジッタを伴うワーストケースのレイテンシバジェットの範囲内で、MSDU(このトラフィックストリームのデータユニット)を優先して搬送する。LLRSに関連しうるトラフィックは、レイテンシに敏感なデータ、すなわち、ゲーミング、メディアストリーミング、各超現実、仮想現実などのようなアプリケーションからのデータを含みうる。
802.11beのプロジェクト認可要請(PAR)は、ワーストケースのレイテンシの例、例えばリアルタイムゲーミングに対して5ms、を与えている。
通信ネットワークは、ネットワークにおいてLLRSトラフィックが非LLRSトラフィックより優先されることを確実にするために、LLRS又は低遅延又はLL手法と以下で称する適切な手法を採用すべきである。いくつかのLL手法は、それらがネットワークにおけるLLRSトラフィックを交換するステーションによって適用されるべきものである点で、アクティブな手法でありうる。いくつかのLL手法は、パッシブな非APステーション、すなわち、LLRSトラフィック交換に参加しないBSS内のステーションによって適用されるべきものである点で、パッシブな手法でありうる。パッシブな手法は、非LLRSトラフィックの交換のための無線ネットワークの使用を低減し、よってLLRSトラフィックを優先する。このような優先度付けは、PDRの達成及び低ジッタターゲットに有利に働く。
BSSのAPは、非APステーションが適用しなければならないであろうLL手法などの、非APステーションがそのBSSへ参加するためのLLRSの要求を宣言してもよい。専用の情報要素が、例えば適用されるべきアクティブ及び/又はパッシブなLL手法を宣言するための専用ビットを伴う管理フレームにおいて使用されてもよい。
そのBSSに参加することを望む非APステーションは、適切な場合に、自身のLLRS能力、すなわち、(一般的な又はAPによって宣言されているもの若しくはその一部である)LL手法を実行する自身の能力を宣言することができる。その宣言は、APが宣言された能力に基づいて要求されたアソシエーションを認可するか拒否するかを決定しうるような方法で、BSSとのアソシエーション手順の間になされてもよい。以下では、このような非APステーションを、LLRSを実行可能なステーションと呼ぶ。
反対に、LLRS能力を有しないステーションを、LLRSを実行可能でないステーションと呼ぶ。それらは、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac又は802.11axを含んだ以前のIEEE802.11規格の何れかに準拠したレガシの非APステーションを含む。
LLRSを実行可能な非APステーション及びLLRSを実行可能でない非APステーションは、共存し、同一の無線媒体を共有する。LLRSを実行可能なステーションが、LLRS送信のために無線媒体を使用することができるようにするために、実行中のレガシのコンテンションフリーの送信を停止することができるのに対して、これはLLRSを実行可能でないステーションには当てはまらない。これは、LLRSを実行可能でないステーションによる実行中のレガシのコンテンションフリーの送信に起因して、LLRS送信が開始前に長い時間を待機しうることとなる。
本発明は、特にLLRSに関して、送信のレイテンシを改善するために、このようなLLRSを実行可能でないステーションによる実行中のレガシのコンテンションフリーの送信に対するより良好な制御を得ようとする。
図1は、1つ以上の例示の実施形態による、LLRSトラフィックを配信するための例示のネットワーク環境10を示している。
要求する非APステーションに対して固有のAssociation IDentifier(AID)をアクセスポイント(AP)が割り当てるアソシエーション手順の間に、中央ステーション又はAP110に各通信ステーション101~107が登録する。例えば、AID(例えば非APステーションを一意に識別する16ビット値)は、交換されるフレームにおいてステーションを識別するために使用される。AP110及び関連付けられた非APステーション101~107は、ベーシックサービスセット(BSS)又は拡張サービスセット(ESS)を表しうる。
例示のアソシエーション手順を図3に示し、以下で説明する。
通信ステーション101~107,110は、一度BSSに関連付けられると、AP110の管理の下で、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の無線送信チャネル100を介してデータフレームを交換する。無線送信チャネル100は、単一のチャネルによって又は合成チャネルを形成する複数のチャネルによって構成される動作周波数帯域により定義される。
また、非APステーションは、直接無線リンク(直接リンクのためのDiL)を介して、直接、すなわち、それらのメッセージの中継局としてのAPの仲介なく、通信してもよい。直接通信の例示的な状況は、同一のプライマリチャネルを有する非APステーション間のピアツーピア(P2P)送信の存在を含む。非APステーション101及び107は、直接リンクを介してデータフレームを交換し、その2つのP2Pステーションのうちの1つがこのP2P交換のためのAPステーションとして動作する。
物理アクセスポイント110は、2つ以上のWLAN又はBSSを、すなわち、ステーションの2つ以上のグループを管理するように構成されうる(例えば図9の実施形態を参照)。各BSSは、特定のサービスセット識別子(BSSID)によって一意に特定され、物理APにおいて実装される各仮想APによって管理される。複数のBSSIDのセットの文脈の範囲内で、1つの仮想APがビーコンフレームを放射する場合、その仮想APを、「送信」BSSID又はBSS(複数のセットごとに1つのみ)と呼ぶ。複数のBSSIDのセットに属するそのAPの他のBSSIDは、「非送信」BSSID又はBSSである。送信BSSIDによって送出されるビーコンフレームは、基本プロファイルを含み、各プロファイル要素は、非送信BSSIDに対して必須であり、後述のようなEDCA及び/又はMU-EDCAパラメータを含む。
ステーション101~107、110は、EDCA(拡張分散チャネルアクセス)コンテンションを用いて互いに競い、いわゆるレガシのコンテンションフリーの送信機会(TXOP-又は「コンテンションフリーバースト期間」)が付与されるように、無線媒体100へのアクセスを獲得し、その後に、そのTXOP期間の間に、無線媒体上で(シングルユーザ(SU))データフレームを送信する。
また、ステーションは、単一のステーション(通常はAP110)が、無線ネットワークにおいてEDCAコンテンションを用いてその単一のステーションに付与されたTXOPの間に、MU送信、すなわち、他のステーションへ又は他のステーションからの複数の同時送信をスケジューリングすることが許容される、マルチユーザ(MU)手順を使用してもよい。そのようなMU手順の1つの実装は、例えば、マルチユーザアップリンク及びダウンリンクOFDMA(MU UL及びDL OFDMA)手順として、IEEE802.11ax修正規格において採用されている。
データフレームを送信するための共有されている無線媒体へのアクセスは、キャリアをセンスして、空間および時間において同時送信を分離することによって衝突を避けるための、CSMA/CA技術に主として基づく。CSMA/CAにおけるキャリアセンスは、物理および仮想機構の両方によって実行される。物理キャリアセンスは、任意のステーションのPHYレイヤに属し、電力検出及びプリアンブル検出をフレーム長の遅延と共に使用して、媒体がいつビジーであるかを判定する。仮想キャリアセンスは、MACレイヤに属し、媒体の使用を妨げることをアナウンスするMACヘッダのDurationフィールドにおいて搬送される予約情報を使用する。仮想キャリアセンス機構は、ネットワークアロケーションベクタ(NAV)と呼ばれる。媒体は、物理および仮想キャリアセンス機構の両方によって媒体がアイドルであると示される場合に、アイドルと判定される。
媒体へアクセスするために(EDCAコネテンション)、APを含んだ任意のステーションは、媒体が少なくとも事前定義された期間(例えば、フレームのタイプに応じて、SIFS、PIFS、DIFS、又はAIFS期間)の後にアイドルとセンスされた際に、(多数のタイムスロット数の後に期限切れとなるように設計された)バックオフカウンタのカウントダウンを開始する。バックオフカウンタは、いわゆるコンテンションウィンドウ[0,CW]においてランダムに選択され、ここで、CWは、CWminとCWmax(2の累乗から1を引いた値)との間から選択された整数である。Distributed Coordination Function(DCF)コンテンションベースチャネルアクセス手順とも呼ばれるこのバックオフ機構又は手順は、ランダムな間隔だけ送信時間を遅延させて、共有チャネル上での衝突の確立を低減する衝突回避機構に基づく。バックオフ時間が満了した(すなわち、バックオフカウンタが0に達した)後に、ステーションは、なおも媒体がアイドルである場合に、データフレーム又は制御フレームを送信しうる。これらのフレームは、MACヘッダの(より正確にはHEフレームのためのHE-SIG-Aフィールドにおける)Durationフィールドにおいて示されるTXOP期間だけ、無線媒体100を予約する。
ステーションは、一度媒体へのアクセスを獲得すると、シーケンスにおけるフレーム間の最小ギャップ(short inter-frame space(SIFS))を維持することにより、媒体の制御を維持する。連続するフレームは、Durationフィールドにおいて、現在のTXOPの残りの期間を示しうる。他のステーションは、SIFSより長い固定期間の間延期する必要があるため、そのシーケンスの間、媒体へのアクセスを獲得しない。この方法により、TXOPに含まれるステーションは、そのTXOPの終了まで、他のステーションによってフレームが送信されないことを確実にすることができる。
1つのステーションが媒体を占有することを防ぐために、許可されるフレーム交換シーケンスのタイプと、それらのシーケンスの期間が、ルールによって制限される。
EDCAコンテンションを管理するパラメータおよびこれらのルールは、EDCAパラメータとして知られ、APによってBSSごとに定義される。それらは、APが送信するビーコンフレームを介して、又は、非APステーションがそのBSSとアソシエートすることを試行したときにAPンいよって送信されるいわゆるプローブレスポンスフレームを介して、そのBSSの非APステーションへ送信される(以下の図XX)。
EDCAパラメータは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の図9-261及び図9-262に示されると共に図2に再現されている、EDCAパラメータセット(EDCA Parameter Set)情報要素(IE)210を通じて提供される。EDCAパラメータは、最小のコンテンションウィンドウCWmin(又はECWmin)、最大のコンテンションウィンドウCWmax(又はECWmax)、(上述のAIFS期間を定義する)AIFSN値、及び承諾されたTXOPに対する最大許容期間を定めるTXOP制限を含む。
図に示すように、これらのパラメータは、カテゴリのそれぞれに対して、標準802.11e-2005に定義されるような、(フィールド211を通じた)AC_BE、AC_BK(212)、AC_VI(213)、AC_VO(214)ごとに、提供されうる。これは、取得されたTXOPが、ステーションが特定のトラフィッククラス(AC)のデータを転送しうる期間の境界であることを意味している。TXOPが取得されると、ステーションは、そのフレームがそのACのために設定されたTXOP制限(フィールド215)を超えない場合に、データフレーム、制御フレーム、管理フレームを送信し、応答フレームを受信し続けうる。ゼロのTXOP制限は、アクセスのための再び競争する前に1つのMSDU又は管理フレームのみを送信することができることを意味することに留意されたい。
APは、QoS Infoフィールド216を用いることによって、任意のタイミングで、ACPパラメータを更新することができる。QoS Infoフィールド216は、初期的に0に設定され、ACパラメータのいずれかの変更の度にインクリメントされる、EDCA Parameter Set Update Countサブフィールドを含む。このサブフィールドは、新しいEDCA Parameter Set情報要素(IE)210を受信した非APステーションによって、EDCAパラメータのセットが変更されたか否かを判定するために使用され、したがって、次のデータ送信のためにそれらを使用するためにそのローカル値を更新する。
以下のテーブルは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の表9-137及びIEEE802.11規格(RTM)、バージョン2012の表8-105に定義されるような、様々な802.11規格に対するEDCAパラメータのデフォルト値を提供している。
802.11ax規格は、APとのMU送信に関与する非APステーションと、関与しないステーションとの間の公平性を回復させるために、EDCAパラメータの追加のセット、すなわち、MU EDCAパラメータを導入した。MU EDCAパラメータは、マルチユーザ送信においてAPによってスケジューリングされるときに、BSSのその非APステーションのためのレガシのEDCAパラメータを一時的に代用する。
また、MU EDCAパラメータは、APにより、BSSの非APステーションへ、ビーコンフレーム及び/又はプローブ応答フレームを介して送信される。MU EDCA Parameter Set情報要素のフォーマットは、802.11ax D6.1規格の図9-788o及び図9-788pにおいて説明されている。これは、MU EDCA TimerフィールドがTXOP制限フィールド615に置き換えられる店を除いて、図2のフォーマットと非常に似ている。これは、MU EDCAパラメータを用いる際に、レガシのEDCAパラメータにおいて提供されるTXOP制限が適用されるべきであることを意味する。
図3は、まだアソシエートされていない非APステーションが、BSSを管理しているAPを発見して登録することを可能とする管理フレームの例示のシーケンスを示している。これは3つのフェーズ:WLANディスカバリ、認証、およびアソシエーションを含み、これらの最後に、APがアソシエーションを認可した場合に、非APステーションが、APとの認証がなされ関連付けられた状態へと移る。なお、ステーションは、現在(他のBSSの)他のAPに関連付けられており、このBSSに参加する意思があるものであってもよい。
APとのアソシエーションの前に、非APステーションは、パッシブスキャン(パッシブディスカバリ手順)又はアクティブスキャン(アクティブ発券手順)のいずれかを通じて、チャネルを1つずつスキャンすることにより、APについての情報を収集する。
パッシブスキャンモードにおいて、ステーションは、そのステーションが特定のBSSに以前に既に接続したことがあるか否かによらず、各20MHzチャネルを連続してスキャンして、スキャンするチャネル上で(BSSのSSID-service set identifierを宣言する)ビーコンフレームをリッスンするために待機する。
ビーコンフレームは、BSSの詳細をアドバタイズする管理フレームである。それは、例えば100msごとに、APによって無線媒体上で周期的に送信される。
アクティブスキャンモードにおいて、ステーションは、各無線20MHzチャネル上でプローブ要求フレーム310を送出する。プローブ要求フレームは、ステーションが探している特定のBSS又はWLANのSSIDを含んでもよく、又は、プローブ要求フレームは、特定のSSIDを含まなくてもよく、ステーションがステーションの近傍における「任意の」BSSを探していることを意味する。
APは、プローブ要求フレームを受信したことに応答して、ステーションが少なくとも1つの共通するサポートされているデータレートを有しているか否かを確認する。互換性のあるデータレートがある場合、APは、プローブ応答フレーム320を用いて応答し、プローブ応答フレーム320の内容は、ビーコンフレームと同様であり、SSID(無線ネットワーク名)、サポートされるデータレート、必要な場合に暗号化タイプ、及び、EDCAを用いてさらなるデータ送信を行うために使用されるべき(MU-)EDCAパラメータのセットの値を含んだAPの他の802.11ケイパビリティのアドバタイズをする。
確認応答フレーム330は、ステーションにより、プローブ応答フレーム320を受信したことに応答して送信されうる。
本発明の実施形態によれば、APは、ビーコンフレーム380及びプローブ応答フレーム320を使用して、BSSに参加する非APステーションによって使用されるべきEDCAパラメータのセットの値をアドバタイズし、更新しうる。
ビーコンフレーム又はプローブ応答フレームの受信において、非APステーションは、所与のBSSとのアソシエーション手順を開始するか否かを決定しうる。
第2のフェーズは、参加するBSSがステーションによって選択された後の802.11認証である。周知の従来の認証フェーズが実行されるため、詳細については説明しない。ステーションは、低レベルの802.11認証要求フレーム340を、選択したAPへ送信する。APは、認証要求フレーム340を受信し、認証応答フレーム350で、ステーションへ応答する。
次に、ステーションは、低レベルの認証ステップからAPとの実際のアソシエーションを実行しなければならない。これは、実際の802.11の認証の次のフェーズであり、これにより、ステーションは、APがそれに同意した場合に、BSSに実際に参加する。このステージは、セキュリティ及びビットレートオプションを確定し、ステーションとAPとの間のデータリンクを確立する。この最後の交換の目的は、ステーションが、参加するBSS内で媒体にアクセスしてデータを送信するのに使用されるべきAssociation Identifier(AID)を取得することである。
その目的のために、ステーションは、アソシエーション要求フレーム360を、選択したAPへ送信する。アソシエーション要求フレームは、必要に応じて選択された暗号化タイプと、他の互換性のある802.11ケイパビリティを含む。アソシエーション要求フレーム360は、管理フレームである。
アソシエーション要求フレームにおける要素がAPのケイパビリティと一致する場合、APは、ステーションのためのAssociation ID(AID)を生成し、ステーションへのネットワークアクセスを許可する成功メッセージを伴うアソシエーション応答フレーム370で応答する。一致しない場合、アソシエーション拒否が発行されうる。
より一般的には、APは、受信したケイパビリティの宣言に基づいて、非APステーションのBSSとのアソシエーションを、認可し又は拒否しうる。その目的(認可又は拒否)のために、リザルトコードが、アソシエーション応答フレーム370において提供される。例示のコードは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の6.3.7.5.2節において列挙されており、例えば、SUCCESS、REFUSED_REASON_UNSPECIFIED、REFUSED_CAPABILITIES_MISMATCH、REFUSED_EXTERNAL_REASON、REFUSED_AP_OUT_OF_MEMORY、REFUSED_BASIC_RATES_MISMATCH、REJECTED_EMERGENCY_SERVICES_NOT_SUPPORTED、REFUSED_TEMPORARILYである。
ステーションがAPとのアソシエーションに成功すると、物理媒体100を用いて、選択されたBSSにおいてデータ転送が開始される。
また、アソシエーションされた後、非APステーション及びAPは、アソシエーション解除フレーム390を送信することにより、一方的にアソシエーションを解除することができる。また、リーズンコードが、アソシエーション解除フレーム390において提供される。多数の例示のコードが、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の9.4.1.2節に列挙されている。アソシエーション解除は、いずれの側においても拒否することはできない。
プローブ応答フレーム320、認証要求フレーム340並びに認証応答フレーム350、アソシエーション要求フレーム360並びにアソシエーション応答フレーム370、及びアソシエーション解除要求フレーム390は、シングルユーザ(SU)フォーマットとして知られる802.11のレガシフォーマットで放射される、ユニキャストされる管理フレームである。これは、(ここではAPとステーションとの間の)ポイントツーポイント通信のために使用されるフォーマットである。これらのユニキャストされる管理フレームのそれぞれは、ACKフレーム330によって受信が確認される。
図1に戻り、非APステーションは、ゲーミングクライアント、拡張/バーチャルリアリティのヘッドセット、スマートフォン、無線ディスプレイなどの様々なデバイスを表してもよく、それらの一部が、時間の経過に伴う低遅延又はLLRSデータトラフィックを交換(すなわち、送信又は/及び受信)しなければならない。LLRSデータトラフィックは、WLAN10において共存する非LLRSトラフィックより、例えばPDR、ジッタ及びレイテンシに関して、より制約されたQoS要求を有する。
例として、IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」は、LLRS(リアルタイム)のための以下のレイテンシの要求を与えている:
リアルタイムゲーミング:5msより短いレイテンシ
クラウドゲーミング:10msより短いレイテンシ
リアルタイム映像:3から10msより短いレイテンシ
ロボティクス及び産業オートメーションにおける、設備制御及び人間の安全性:1から10msより短いレイテンシ
触覚技術:1から5msより短いレイテンシ。
一部の非APステーション102、103、105は、LLRSを実行可能であり、非LLRSトラフィックよりLLRSトラフィックを優先付けるために参加することができ、LL又はLLRS手法、LLRSトラフィックを交換するステーション(アクティブステーションと呼ぶ)のためのアクティブなLL手法と所与の時刻においてLLRSトラフィック交換に参加しない非APステーション(パッシブステーションと呼ぶ)のためのパッシブなLL手法を、そのBSS内で実行することができる。非APステーション102、103、105は、逐次的に、同一のBSS内のアクティブなステーションとパッシブなステーションになりうる。非APステーション102、103、105はLLRSを実行可能である。
非APステーション103、106、107は、LLRS機能を実装していない。非APステーション103、106、107は、LLRSを実行可能でない。非APステーション103、106、107は、LLRSを含まないIEEE802.11標準規格の先行バージョン(802.11a、802.11b、802.11g、802.11n、802.11ac、又は802.11ax)に準拠したレガシステーション、又は、(例えば、LLRSが次の802.11リリースにおいてオプションとしてみなされる場合の)LLRSをサポートしないステーションでありうる。
図4は、LLRSトラフィックが送信される例示のシナリオにおける、BSSで行われるいくつかのLL手法を示している。
このシナリオでは、APは、予約されたサービス期間410をスケジューリングする。APは、その期間の開始時刻及び終了時刻をアナウンスしうる。予約されたサービス期間410は、全てが、LLRSトラフィック交換に専用であってもよく、変形例では、LLRSトラフィックと非LLRSトラフィックの両方が許容されうる。本図では、これは、予約されたLLRS期間である。
APは、予約されたサービス期間において、LLRSトラフィック交換(非APステーション105への送信421及びその後の非APステーション102からの受信)に参加する。しかしながら、これは必須ではない。予約されたLLRS期間は、代替的に、非APステーションがP2P LLRSトラフィックを直接交換するのに使用してもよい。
1つの実施形態において、IEEE802.11-20/1046r2文書において提示されている、予約されたサービス期間は保護されたTWTサービス期間である。
予約されたサービス期間に先立って、非APステーション104は、TXOP期間の間、無線媒体100へのアクセスを獲得して、非LLRSトラフィック420の送信を開始する。
ステーション104は、スケジューリングされた予約されたサービス期間410を認識しているため、自身のTXOPが終了していないが、BSSの他のステーション間でLLRSトラフィックが交換されるべき時に、自身の非LLRSトラフィック送信を停止する。このような停止動作は、ステーション104によるネットワークにおける非LLRSトラフィックの交換のための無線媒体の使用を低減するため、パッシブLL手法である。このような提言気候(又は手順)は、LLRSトラフィックに優先権を与える。
AP110は、次に、非APステーション105へLLRSトラフィックを送信することができ、非APステーション102から他のLLRSトラフィックを受信する。ステーションは、例えばLLRSトラフィックに専用の特定のネットワークリソースを使用して、LLRSトラフィック交換を実行するために、アクティブなLL手法を適用することができる。
上述の現在のTXOPの停止は、取りうるLL手法の1つの例に過ぎない。
より一般的には、LLRSを実行可能なステーションは、TXOPが終了していない間に、他のLLRSを実行可能なステーションからのLLRSデータトラフィック送信の利益になるように、自身の現在のデータ送信を停止または中断することができる。
図4の例は、時が来た時にステーション104がパッシブ手法を適用しない場合に、予約されたサービス期間内でのLLRS交換を行うことができず(又は、少なくとも干渉が発生し)、LLRSトラフィックに対するQoSの劣化を引き起こす。
非APステーションは、図3を参照して上述したようにアソシエーションの際にLLRSのケイパビリティ(又はそれができないこと)を宣言しうる。非APステーションが、例えば、P802.11-REVmd/D5.0の9.4.2.27節において定義されているExtended Capabilities情報要素(IE)を用いて、アソシエーション要求フレーム360におけるいくつかの802.11ケイパビリティを既に宣言していることに留意されたい。
本発明の実施形態によれば、BSSに参加することを望む非APステーションは、1つ以上のLL手法を適用するための自身のLLRSケイパビリティを宣言する。非APステーションは、パッシブなLLRSを実行可能であること及び/又はアクティブなLLRSを実行可能であることを宣言してもよいし、自身がLLRSを実行可能であることのみを宣言してもよい。当然ながら、LLRSを実行可能でないステーションは、適切に宣言を提供する。非APステーションによって送信される管理フレームにおけるLLRSケイパビリティのシグナリングの例について、図5および図6を参照して以下で提供する。
アソシエーション要求フレーム360においてLLRSケイパビリティを提供するための変形例において、非APステーションは、プローブ要求フレーム310を用いることを決定しうる。後者は、管理フレームでもある。したがって、LLRSケイパビリティの同様のシグナリングが使用されうる。そのシナリオにおいて、プローブ要求フレームの受信において、APは、非APステーションのLLRSケイパビリティを解析し、後述のように非APステーションとのアソシエーション手順を継続するか否かを決定しうる。
図5では、補充的なステーションケイパビリティとして、単一のビット500が既存のIEに追加される。既知のExtended Capabilities IEの場合、利用可能なビットは87番目のビットからである。したがって、例えば、LL手法を適用することができる(LLRSを実行可能-値が1に設定される)か否か(値が0に設定される)をシグナリングするために、ビット87が選択される。この段階において、アクティブなLLRSの能力とパッシブなLLRSの能力との間の区別はされない。これは、ステーションが、パッシブなLLRSとアクティブなLLRSとの両方の能力を有することを意味しうる。変形例において、ステーションが2つのケイパビリティのうちの少なくともいずれかを有することを意味しうる。
図6では、補充的なステーションケイパビリティとして、2つのビット600が既存のIEに追加される。既存のExtended Capabilities IEの場合、利用可能なビットは87番目のビットからである。ビット88及び89が、それぞれ、以下のために選択される:
-LLRSトラフィックがBSSの他のステーション間で交換されるべき際に、非APステーションがパッシブなLL手法を適用することができるか否かを、ネットワークにおいて非LLRSトラフィックを交換するための非APステーションによる無線媒体の使用を減らす旨(ビット88が1に設定される)、又はそうでない旨(ビット88が0に設定される)を、シグナリングするため。その方法では、ステーションは、パッシブなLLRSを実行可能であるか否かを宣言する。そして、
-LLRSトラフィックをBSSの他のステーションと交換しなければならない場合に、非APステーションがアクティブなLLRS手法を実行可能であるか否かを、ネット和^苦においてLLRSを交換するためのLLRSトラフィックに専用のリソースを使用する旨(ビット89が1に設定される)、又はそうでない旨(ビット90が0に設定される)を、シグナリングするため。その方法では、ステーションは、アクティブなLLRSを実行可能であるか否かを宣言する。
図6は、2つのビットを共に示しているが、実施形態は、例えば非APステーションがパッシブな(又はアクティブな)LLRSを実行可能なステーションとして又はLLRSを実行可能でないステーションとしてのみ宣言するために、2つのビットのうちの1つのみを用いることが予定されうる。
非APステーションによるこのようなシグナリング(図5および図6)により、APは、いずれの非APステーションがLLRSを実行可能であり、いずれの非APステーションがLLRSを実行可能でないかを、ひいては、いずれの非APステーションがLLRSデータトラフィックを送信すると仮定するかを、認識するようになる。後述するように、非APステーションによって宣言されたLLRSのケイパビリティが、(例えば、ビーコン380又はプローブ応答フレーム320において宣言される)BSSのLLRSの要求に一致しない場合、APは、アソシエーションを拒否しうる。
図7は、レガシステーション(すなわちLLRSを実行可能でないステーション)によって好感される非LLRSトラフィックの、LLRSデータトラフィックのためのレイテンシへの影響を、タイムラインを用いて示している。
図7aでは、無線媒体100を介して非LLRSデータトラフィック710を送信するために、例えばAPによって提供されるTXOP制限(図2)に等しい、長い期間を有するTXOP714を獲得したレガシステーション106によって実行される長い期間のTXOP714を示している。
このコンテンションフリー期間TXOP714の間に、LLRSを実行可能なステーション105は、LLRSデータトラフィック711の送信準備が完了しうる。都合悪く、レガシステーション106は、LLRS手法の機能を有していない(レガシステーション106がLLRSを実行可能でない)ため、TXOP714を停止できず、LLRSを実行可能なステーション105に対して無線媒体100を戻すことができない。
LLRSデータ送信は、レガシのコンテンションフリー期間送信機会の終了まで、延期される:LLRSを実行可能なステーション105は、EDCAを用いて、新しいコンテンションフリー期間713を獲得して、712として参照されるLLRSデータトラフィックを送信するために、TXOP714の終了まで待たなければならない。したがって、LLRSを実行可能なステーション105が自身のLLRSデータトラフィック711を送信することができる前に、大きい遅延が発生する。
遅延は、LLRSデータトラフィックに対して要求されるワーストケースのレイテンシバジェットを超えるかもしれず、それは、リアルタイムアプリケーションの品質に対して劇的なものである。例えば、LLRSデータトラフィックのワーストケースのレイテンシバジェットが2msであり、TXOP714の期間が、802.11acの映像データトラフィック(非LLRSデータトラフィック)を考慮した(表1に準拠して)3msである場合、LLRSデータトラフィックは非常に遅れて送信される。
より一般的には、この例は、パッシブなステーションがネットワーク及び空き帯域への影響を低減するためのパッシブなLL手法を適用することを受け付けない場合、LLRSデータトラフィックには優先権が与えられず、したがって、低遅延、PDR、及びジッタの要求が満たされないことを示している。
同様の考察が、アクティブなステーションに対してもなされうる。アクティブな非APステーションは、例えば、アクティブなLL手法を有効化/使用しない、例えばそれ自身の(ウェブブラウジング、メールなどのような)非LLRSデータトラフィックを不利にしないと決定しうる。しかしながら、これは、ネットワークの全体としてのLLRSの効率を不利にする。
また、以前の802.11標準において指定された(非EHT非APステーションである)ステーションは、明らかに、そのLL手法を適用することができない。それらは、この例において示すように、LLRSの効率を劇的に劣化させうる。
上述の欠点を解消するために、本発明の実施形態は、ネットワーク10において(中断を含んだ)LLRSのアクティビティが検出された際に、BSSのEDCAパラメータ、特にTXOP制限値を変更することを提供する。このような変更は、TXOP制限値、すなわち、レガシの非APステーションによって取得されたTXOPの期間を削減することを可能とする。LLRSを実行可能なステーションが、LLRSを実行可能でないステーションの意に反して、(より低いTXOP期間を前提として)媒体へのアクセスの機会をより頻繁に取得することができることになる。
そのために、APは、最初に、第1のBSSのための拡張分散チャネルアクセス(EDCA)パラメータ、すなわち、無線媒体にアクセスしてフレームを送信するために第1のBSSの非APステーションによって適用されるべきEDCAパラメータを、(例えばビーコンフレームを用いて)設定しうる。次に、APは、自身が管理している1つ又は複数のBSSにおいて低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)のアクティビティを検出したことに応じて、第1のBSSのためのEDCAパラメータを変更しうる。変更されたEDCAパラメータは、例えばビーコンフレームを通じて、関係する非APステーションに確かに送信される。
変更されたEDCAパラメータを用いて、特に低減されたTXOP制限値を用いて、レガシのステーション106は、TXOP714と同じ大きさのTXOPを予約することができなくなる。
図8は、特にLLRSデータトラフィックに対するレイテンシに対する、本発明の実施形態の技術的効果を、タイムラインを用いて示している。この図は、ネットワークにおけるLLRSのアクティビティを認識したことに応じて、変更されたEDCAパラメータを、特に低減されたTXOP制限を、APがブロードキャストした後の、BSSにおけるステーションの振る舞いを示している。
レガシのステーション106は、非LLRSデータトラフィックを送信するために、TXOP制限の制約の範囲内で、TXOP814をEDCAで予約することができる。TXOP制限が大幅に低減されうるため、TXOP814がTXOP714より短く、無線媒体がより早く解放される。したがって、LLRSを実行可能なステーション105は、図7より実質的に早期に(より低遅延で)無線媒体100にEDCAでアクセスすることができ、その後に、取得したTXOP813の間に、自身のLLRSデータトラフィック812を送信することができる。いくつかの非LLRSデータ820をなおもの有するレガシのステーション106は、媒体に再度EDCAアクセスして、TXOP制限になおも準拠して取得されたTXOP824の間にデータを送信しうる。
LLRSを実行可能なステーションが短い遅延でLLRSデータトラフィックを送信することができ、したがって、ワーストケースのレイテンシ要求を満たす傾向があるということが分かる。LLRSを実行可能でないステーションも悪くはない:TXOP714を介したデータ送信と同様のタイミングにおいて開始するが、TXOP814及びTXOP824の間の2つ(以上)の部分810及び部分820に分割された、2つ(以上の)タイミングで実行される。
EDCAパラメータの適応が、レガシステーションのバースト期間(TXOP期間)を制限することによりそのスループットに影響するため、その適応は一時的、例えば、LLRSアクティビティが実行中の間だけのものであることが好ましい。したがって、1つ以上のBSSにおけるLLRSのアクティビティの終了を検出すると、APは、設定された第1のBSSのためのEDCAパラメータを復元(再変更)しうる。
図1の場合、LLRSを実行可能でないステーション103、106、107は、LLRSを実行可能な非APステーション102、103、105と、同一のBSS内で共存しうる。その場合、LLRSのアクティビティは、その第1のBSSにおいて検出される。
しかしながら、この構成において、LLRSを実行可能なステーションも、それらが実行中のTXOPを停止してLLRSデータトラフィックを特別扱いするためのパッシブなLL手法を提供することができるが、変更されたEDCAパラメータ、具体的には削減されたTXOP制限による影響を受ける。
したがって、同一の無線媒体100を共有する2つ以上のAPが管理し、そのうちの1つ(第1のBSS)がLLRSを実行可能でないステーションに予約されており、別の1つ(第2のBSS)がLLRSを実行可能なステーションに予約されている、他の実施形態が検討されている。その方法において、LLRSを実行可能でないステーション(すなわち第1のBSS)のためにEDCAパラメータを変更することのみが可能である。第2のBSSにおいて、LLRSを実行可能なステーションは、LLRSデータのレイテンシに影響を与えることなく、非LLRSデータトラフィックを送信するためであってもより長い期間でTXOPを予約することも許容される。これは、先述したように、LLRSデータトラフィックの送信のための無線媒体を解放するために、実行中のTXOPを任意のタイミングで停止することができるからである。
この構成において、LLRSのアクティビティが、APによって管理されている、第1のBSSとは別の(第2の)BSSにおいて検出され、その別の(第2の)BSSのためのEDCAパラメータは、LLRSのアクティビティを検出したことに応じて変更されないままとされうる。
レガシのステーション103、106、107(LLRSを実行可能でないステーション)を管理するためにAP110が、LEGACY_BSSと名付けられた、第1のBSS901を生成し、LLRSを実行可能なステーション102、104、105を管理するためにAP110が、LL_BSSと名付けられた、第2のBSS902を生成する、この構成の図を図9に与える。
独立のBSSを生成することにより、又は、マルチBSSの標準機能(802.11be)を用いることにより、複数のBSSが使用可能である。LEGACY_BSS901及びLL_BSS902は、独立して更新可能な2つの異なるEDCA Parameter Set要素をAP110から受信する。上述のように、EDCA Parameter Set要素(図2)は、MU EDCA Parameter Set要素に付随しうる。
レガシの非APステーションとの後方互換性を得るために、LEGACY_BSS901は、LL_BSSが非送信BSSである間に送信BSSとなる。
マルチBSSの標準機能を用いる際に、(EDCAパラメータを含んだ)2つのBSSに関連する情報を送信するために、AP110によって単一のビーコンフレームが使用されうる。LEGACY_BSSが送信BSSであるとき、その情報(EDCAパラメータ)がまず提供される。これは、レガシのステーションが必要な通信パラメータを、そのレガシのステーションが取得することを可能とする。LEGACY_BSS情報の後に、同一のビーコンフレーム上でLL_BSS情報が送信される。
第1のBSS(LEGACY_BSS901)のためのEDCAパラメータ(例えばTXOP制限)がLLRSのアクティビティの検出に応じて変更された際に、新たなビーコンフレーム380が送信されてもよく、そこで、LL_BSS情報が無変更のまま維持されうる一方で、LEGACY_BSS情報が更新される。
図10は、ネットワークにおけるLLRSのアクティビティに応じて、EDCAパラメータが適合/変更される、本発明の実施形態のためのAPにおける大まかなステップを、フローチャートを用いて示している。本アルゴリズムは、単一BSSの実施形態とマルチBSS(LEGACY_BSS及びLLBSS)の実施形態との両方に適用される。
以下では、第1のBSSは、単一のBSS、又は、マルチBSSの場合のLEGACY_BSSを指す。
ステップ1000において、AP110は、例えば第1のBSSを生成したことに応じて又は自身のEDCAパラメータを更新する際に、第1のBSSのための(MU EDCAパラメータを含んだ)EDCAパラメータを設定する。
設定は、従来の方法で行われる:EDCAパラメータを含んだビーコンフレームをブロードキャストすること、又は、プローブ要求をした各非APステーションへ、EDCAパラメータを含んだプローブ応答フレームを送信することを含みうる。EDCAパラメータは、(MU-)EDCA Parameter Set IE(例えば図2の210)において搬送される。EDCAパラメータの値は、上述の表1に示されたものでありうる。
第1のBSSのこの状態(LEGACY STATE)は、AP110が、無線ネットワークを介して又は自身が管理するBSSにおいて検出されるLLRSのアクティビティがないことに対応する。
したがって、第1のBSSの非APステーションは、例えば図7を参照して上述したように無線媒体にアクセスする。この構成は、高いスループットのデータ送信を達成することを可能とする。
ステップ1010において、AP110は、ネットワークにおける、特に無線媒体100に関連するLLRSのアクティビティを認識することとなる。例えば、AP110は、自身が管理する1つまたは複数のBSSにおけるLLRSを検出しうる:これは、第1のBSSにおけるLLRSのアクティビティ又は他のBSS(例えば上述のLL_BSS)におけるLLRSのアクティビティでありうる。
このような検出は、AP110が、図4において説明されるようなLLRS手法に関与するように又はネットワークにおける任意のLLRS手法を検出するようにすることを含みうる。
また、APが、無線媒体100を共有する自身の(第1のBSSを含んだ)BSSにおける非APステーションのためのLLRSケイパビリティを受信することを含んでもよい。その場合、LLRSを実行可能な非APステーションが存在するとすぐに、第1のBSSの状態が後述のように(LL STATE)へ変更されうる。反対に、第1のBSSにおいて又はAPのBSSにおいてLLRSを実行可能な非APステーションがなくなるとすぐに、第1のBSSの状態が、その以前の状態(LEGACY STATE)へ設定を戻しうる。
代替的に、APが、(第1のBSSを含んだ)自身のBSSにおいて、非APステーションとのLLRSデータトラフィック(アップリンク又はダウンリンクトラフィック)の交換をすることを含みうる。データトラフィックは、LLRSトラフィックとしてそのデータトラフィックを識別するための、又は、所定のアクセスカテゴリ(例えばAC_VI又はAC_VO)のものである、所定のTraffic Identifierを運びうる。したがって、AP110が、LLRSデータ交換に関係するとすぐに、第1のBSSの状態が変更される。反対に、APとのLLRSデータ交換が終了すると、第1のBSSの状態が、その以前の状態へと設定を戻しうる。
別の選択肢は、APが、非APステーションから、LLRSデータトラフィックの要求又はニーズをシグナリングするメッセージを受信することを含みうる。これは、例えば、低遅延、すなわち、所定のTXOP制限より短い特定のレイテンシ(例えば、BSSのEDCAパラメータにおいて設定されるTXOP制限)を示すTSPECメッセージでありうる。この状況において、APがLLRSデータトラフィックの観点でステーションのニーズを認識するとすぐに、第1のBSSの状態が変更されうる。反対に、ステーションのニーズが満たされ、LLRSのニーズがそれ以上特定されなくなるとすぐに、APは、第1のBSSを以前の状態に切り戻しうる。
例えば、TSPECにおけるDelay Boundフィールドは、マイクロ秒で、存在する場合は再送を含んだ、送信成功を完了するための最大時間量を特定する。再送なしでDelay Bound < TXOP制限の場合、又は、再送ありでDelay Bound < (N+1)×TXOP制限(Nは整数、例えば即1回の再送に対してN=1)の場合に、LLRSのアクティビティが宣言されうる。
ネットワーク(例えば第1のBSS又はLL_BSS)においてLLRSのアクティビティが検出されていると、AP110は、第1のBSSのためのEDCAパラメータ、特に、TXOPの最大持続時間を定義すると共に(変更前のEDCAパラメータのTXOP制限パラメータと比較して)低減された送信機会(TXOP)制限パラメータを、変更する。これがステップ1020である。
これは、例えば以下の表に示す所定のTXOP_LL制限値に(各ACに対するフィールド215において)変更されたTXOPを伴う新しいEDCA Parameter Set IEを形成することを含む。同一のTXOP_LL制限値がAC全体を通して使用されてもよいし、ACごとにTXOP_LL制限値が異なっていてもよい。
上述のように、TXOP_LL値は、レガシの非APステーション又はLLRSを実行可能でないステーションによって送信される非LLRSデータトラフィックの影響を削減するのに役立つ。
好ましくは、TXOP_LL値は、IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において言及された、LLRSデータトラフィックのために要求されたワーストケースのレイテンシバジェットより低く(データタイプに応じて)設定される。
例として、TXOP_LL値は、
-このようなワーストケースのレイテンシバジェットの値、例えば最低の非ゼロ値、の半分、
-IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の表9-137から、又は、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2012の表8-105からのTXOP制限値であって、IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において定義されている、LLRSデータトラフィックのためのワーストケースのレイテンシバジェットより低いTXOP制限値。例えば、ワーストケースのレイテンシバジェットが2msである場合に1.504msが使用されうる、
-IEEE802.11-18/2009r6と参照される文書「IEEE802.11 Real Time Applications TIG Report」において定義されるLLRSデータトラフィックのためのワーストケースのレイテンシバジェットと、第1のBSSにおけるLLRSケイパビリティを有しない(すなわち、LLRSを実装していない)非APステーションの数に基づく数との比。これは、例えば、ワーストケースのレイテンシバジェットとLLRSを実行可能でないステーションの数との比でありうる、
-値0、すなわち、単一のMACサービスデータユニット(MSDU)又は管理フレームの送信にTXOPを制限する、
-1.024msに等しい値。これは、いずれものLLRSを実行可能でないステーションによって実行される任意のTXOPの持続期間を最小値に低減する、
-APによって管理されると共にLLRSを実行可能な非APステーションから受信されるTSPEC情報要素において送信成功を完遂するまでの時間量の最大値を示す、Delay Bound値以下の値、
-APによって管理されると共にLLRSを実行可能な非APステーションから受信されるTSPEC情報要素において送信成功を完遂するまでの時間量の最大値を示すDelay Bound値と。再送ポリシの場合に1から増加される整数Nとの比以下の値、
に設定されうる。
これは、LLRSを実行可能でないステーションの何れかによって実行される任意のTXOPの持続期間を、いずれかのLLRSを実行可能な非APステーションによって送信される低遅延データトラフィックに対して優先して、最小値へ低減する。
第1のBSSのための変更されたEDCAパラメータは、ビーコンフレームを用いて、第1のBSSにおいてブロードキャストされる。したがって、第1のBSSの各非APステーションは、自身のローカルのTXOP制限値を、変更されたTXOP_LL(i)の値に設定する。したがって、第1のBSSは、LLRSのアクティビティが共有された無線媒体上で生じている間に、状態(LL STATE)に入る。このように、第1のBSSの非APステーションは、例えば図8を参照して上述したように、より短いTXOPを用いて、無線媒体へアクセスする。
この構成は、LLRSを実行可能なステーション及びLLRSを実行可能でないステーションが同一のAP内に関連付けられている場合であっても、LLRSデータトラフィックのために、低遅延送信を達成することを可能とする。
次に、ステップ1030において、AP110は、LLRSのアクティビティが停止したかを判定する。このような判定の例示的な状況については、上で与えた。1つまたは複数のBSSにおいてLLRSのアクティビティの終了を検出したことに応じて、AP110は、ステップ100にループバックして、第1のBSSのための以前のEDCAパラメータを復元する(すなわち変更して戻す)。したがって、第1のBSSは、非APステーションがより長いTXOPを取得することができる場合、LEGACY STATEに戻る。
図1及び9に示すように、(ここでは、アソシエートされている非APステーション107とアソシエートされていないステーション101との間での)Direct Link通信も、無線媒体110上で行われうる。P2Pステーション(ここでは101及び107)は、それらが知っている可能性がある(MU-)EDCAパラメータを考慮することなく、それら自身のTXOP期間を含んだ通信パラメータを直接交渉する。
この交渉は、IEEE802.11-2007規格に記載されている、交換されるフレームのMACヘッダにおけるQoS controlフィールドを用いて、行われうる。具体的には、「QoS Data(+)CF-Poll」フレームを、TXOP期間を要求するのに(QoS controlフィールドにおける「TXOP duration requested」)使用することができ、「QoS Data(+)CF-Ack」フレームを、TXOP制限を伴って応答するのに(QoS controlフィールドにおける「TXOP limit」)使用することができる。
さらに、衝突の機会を最小化するために、そして、より堅牢な衝突検出機構として、開始するP2Pステーションが、送信機会(TXOP)の間にコンテンションフリーのバースト期間を可能にする堅牢に変調されたRTSフレーム及びCTSフレームを用いて、短い制御フレームの交換を用いて、シーケンスを開始しうる。これは、P2Pイニシエータ及びP2Pレスポンダの両方の周囲のステーションであって、その一部が、より遠隔のステーションの送信を検出することができず、したがって、近傍のノードからのフレーム送信を延長させることのみができる隠れノードでありうるステーションにおいて、NAVを設定する。
RTSフレーム及びCTSフレームは、現在のTXOPの残りの期間を知ることに使用可能であるdurationフィールドをも含む。
P2P処理は、BSSのルールに、したがって、第1のBSSのEDCAパラメータに従わない。したがって、DiL又はP2P通信は、図7に示されるものと同じ影響、LLRSデータトラフィックのレイテンシを劇的に劣化させる長いTXOP、を有する。
この状況を改善するために、第1のBSSに属してもいるP2Pステーション(ここでは、EDCAパラメータの知識を有するステーション107)は、TXOP制限パラメータに基づいて、EDCAパラメータにおいて現在適用可能なTXOP制限に基づいて、他のP2Pステーション(ここではステーション101)とP2P TXOPの期間を交渉しうる。例えば、P2P TXOPの持続期間は、TXOP制限パラメータより短くされる。したがって、第1のBSSがLEGACY STATEにある場合、P2P TXOPは、より大きい持続期間を有しうる。一方で、(LLRSのアクティビティが検出されているために)第1のBSSがLL STATEである場合、P2P TXOPは、LLRSのレイテンシの要求に準拠して、短い期間とされる。
両方のP2PステーションがそれぞれのBSSに属する場合、それらは、最小のTXOP制限値を用いて、P2P TXOP期間を交渉しうる。
実際には、P2Pステーション107は、P2Pステーション101からTXOP期間を受信し、TXOP制限パラメータを前提として、(例えば、受信したTXOP期間が、第1のBSS及び考えられるACに対して適用可能なTXOP制限パラメータより高い場合)低減されたTXOP期間で応答しうる。
ここでマルチBSSの場合に移ると、AP110は、LEGACY_BSS901とLL_BSS902とを並行して管理しうる。上述のように、LLRSを実行可能でないステーションを1つのBSS(LEGACY_BSS)に、LLRSを実行可能なステーションを別のBSS(LL_BSS)にグルーピングすることは、(LEGACY_BSSのみのための適切なEDCAパラメータを設定することにより)LLRSを実行可能でないステーションのみに対するTXOP期間に影響を与えることができる点で有利である。
APは、所与の非APステーションに対して、APによって管理されるターゲットのBSSとの非APステーションのアソシエーションを拒否し、又は、ターゲットのBSSからの非APステーションのアソシエーションを解除するアソシエーション関連管理フレームであって、APによって管理される別のBSSを示すコードを含むアソシエーション関連管理フレームを送信することが提案される。
したがって、このようなコードは、LLRSを実行可能でないステーションに、ターゲットのBSSがそれに適していない(LL_BSS)が、同一のAPにおいて他の適切なBSS(LEGACY_BSS)が利用可能であることを警告することを可能とする。代替的に、このようなコードは、LLRSを実行可能なステーションに対して、ターゲットのBSSがそれに適していない(LEGACY_BSS)が、同一のAPにおいて別のより適切なBSS(LL_BSS)が利用可能であることを、警告しうる。
このようなシグナリングは、アソシエーションフェーズの間に(すなわち、アソシエーション応答フレーム870において)起こり、又は、アソシエーション解除手順を通じて(すなわち、APからのアソシエーション解除要求又は応答フレーム390において)起こりうる。
図11aは、LEGACY_BSSに参加を望む非APステーションに対するアソシエーションフェーズの間の、APにおける、このような管理のための大まかな動作を、フローチャートを用いて、示している。
ステップ1100は、アソシエーション要求フレーム360がLEGACY_BSS901のために非APステーションから受信されたときを判定する。このBSSは、LLRSを実行可能でないステーションに予約されることに留意されたい。
したがって、ステップ1110において、APは、例えば、図5に示されるケイパビリティの宣言を用いて、要求側の非APステーションがLLRSを実行可能であるかを判定する。その方法において、APは、非APステーションのケイパビリティが低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)に関して考えられるBSSのケイパビリティと一致するかを判定する。
要求側のステーションがLLRSを実行可能でない場合、アソシエーションを認可することができ、応答(例えば従来のリザルトコードであるSUCCESSを伴うアソシエーション応答フレーム370)が、ステップ1120において、ステーションへ送信される。
要求側のステーションがLLRSを実行可能である場合、BSSは、APが形成している又は形成することができるLL_BSSと比較して、そのBSSは適切でない。
したがって、ステップ1130において、APは、低遅延BSS(LL_BSS)が既に開始されているか否かを判定する。否定的である場合、ステップ1140において、APは、第2のビーコンフレームを用いることにより又はマルチBSS機能を用いることにより、LL_BSS902を生成する。
肯定である場合又はステップ1140の後に、APは、そのアソシエーションを拒否し、要求側のLLRSを実行可能なステーションに対して、LL_BSSが利用可能であることをシグナリングする。
これは、新しく提案されたリザルトコード、例えば、REFUSED_LL_BSS_AVAILABLEを伴うアソシエーション応答フレーム370を送信する(ステップ1150)により行われる。したがって、このコードは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の6.3.7.5.2節に列挙されているリザルトコードを補う。
このようなリザルトコードを受信した要求側のLLRSを実行可能なステーションは、同一のAPの別のBSSを探索しうる。このような情報は、APによって送信されたビーコンフレームから取得されうる。別のBSS(理想的にはLL_BSS)を特定したことに応じて、要求側のステーションは、この別のBSSとアソシエートするために、アソシエーション要求フレームをAPへ送信しうる。その後、アソシエーション要求フレームを受信したAPによって、アソシエーションを受け付ける(又は受け付けない)目的で、図11bの処理が行われうる。要求側のステーションをリダイレクトするリザルトコードのおかげで、最終的に、リダイレクトされる非APステーションのケイパビリティが、リダイレクト先の別のBSSのLLRSのケイパビリティと一致することが期待される。
図11bは、LL_BSSに参加することを望む非APステーションのためのアソシエーションフェーズの間の、APによるBSS管理のための大まかな動作を、フローチャートを用いて示している。
ステップ1160は、アソシエーション要求フレーム360が、LL_BSS902のために非APステーションから受信されたときを判定する。このBSSがLLRSを実行可能なステーションに予約されていることに留意されたい。
したがって、ステップ1170において、APは、例えば図5において示されるケイパビリティの宣言を用いて、要求側の非APステーションがLLRSを実行可能であるか否かを判定する。
要求側のステーションがLLRSを実行可能である場合、アソシエーションを認可することができ、応答(例えば従来のリザルトコードSUCCESSを伴う、アソシエーション応答フレーム370)がステップ1180においてステーションへ送信される。これは、LEGACY_BSSへの参加を試みたときにリザルトコードREFUSED_LL_BSS_AVAILABLEを受信した、そして、LL_BSSにアソシエーションのために向けられた、上述のLLRSを実行可能な非APステーションの場合である。
要求側のステーションがLLRSを実行可能でない場合、そのBSSは、APが既に形成しているLEGACY_BSSと比較して適切でない。
したがって、ステップ1190において、APは、アソシエーションを拒否し、その要求側のLLRSを実行可能でないステーションに、LEGACY_BSSが利用可能であることをシグナリングする。
これは、新たに提案されたリザルトコード、例えばREFUSED_LL_BSS_RESERVED、を伴うアソシエーション応答フレーム370を送信することにより行われる。このように、このコードは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の6.3.7.5.2節において列挙されているリザルトコードを補うものである。
このようなリザルトコードを受信した要求側のLLRSを実行可能でないステーションは、同一のAPの別のBSSを探索しうる。このような情報は、APによって送信されたビーコンフレームから取得されうる。別のBSS(理想的にはLEGACY_BSS)を特定したことに応じて、要求側のステーションは、この別のBSSとのアソシエーションを行うために、APへアソシエーション要求フレームを送信しうる。その後、図11aの処理が、アソシエーションを受け付ける(又は受け付けない)目的で、アソシエーション要求フレームを受信したAPによって実行される。要求側のステーションをリダイレクトするリザルトコードのおかげで、リダイレクトされる非APステーションのケイパビリティが、リダイレクト先の別のBSSのLLRSのケイパビリティと一致することが期待される。
アソシエーションの拒否の理由を示す新たなリザルトコードREFUSED_LL_BSS_AVAILABLE及びREFUSED_LL_BSS_RESERVEDのおかげで、アソシエーション要求側の非APステーションとターゲットのBSSのLLRSのケイパビリティの不一致を判定するAPは、その要求側の非APステーションを、自身が形成している別のBSSへとリダイレクトしうる。このようなコードを受信した要求側の非APステーションは、例えばマルチBSS機能を通じて、同一のAPによって管理される別のBSSを探索し、この別のBSSとのアソシエーションを要求しうる。
図12aは、LEGACY_BSS901に属しているLLRSを実行可能な非APステーションのアソシエーション解除フェーズの間の、APによるBSS管理のための大まかな動作を、フローチャートを用いて示している。
アソシエーション解除は、第1のBSSに関連付けられた1つ(又は複数)の非APステーションと第1のBSSとの間でLLRSのケイパビリティの不一致が発生したときに行われる。したがって、APは、すでにアソシエートとされている非APステーションのケイパビリティが低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)に関して、第1のBSSのケイパビリティと一致しないかを判定しなければならない。
このような状況は、いくつかの理由で生じうる。例えば、すでに第1のBSSと(すなわち第1のBSSが存在する期間中に)関連付けられている非APステーションは、自身のLLRSのケイパビリティの宣言を変更しうる。
また、それは、ネットワークにおいてLLRSのアクティビティ(その開始又はその実質的な量)を検出し、ひいてはLEGACY_BSS及びLL_BSSの両方を形成することを(いくつかの基準に基づいて)決定するときに生じうる。換言すれば、APは、ネットワークにおいてLLRSのアクティビティを検出したことに応じて、LLRSを実行可能でないステーションに第1のBSSを制限しうる。したがって、第1のBSSは、LEGACY_BSSとなり、LLRSを実行可能なステーションは、LL_BSSへ移動すべきである。
このように、ステップ1200は、このような状況が起こり、考えられるLEGACY_BSSに適合されていない(すなわちLLRSを実行可能な)非APステーションに対して、アソシエーション解除処理をトリガするかを確認することにある。
ステップ1210において、APは、低遅延BSS(LL_BSS902)がすでに開始されているか否かを判定する。否定的である場合、ステップ1220において、APは、第2のビーコンフレームを用いることにより又はマルチBSS機能を用いることにより、LL_BSS902を生成する。
肯定的である場合又はステップ1220の後に、APは、LEGACY_BSSと一致しないLLRSケイパビリティを有するその(又はいくつかの)非APステーションのアソシエーション解除を行い、一方でLL_BSSが利用可能であることをアソシエーション解除処理下のステーションへシグナリングする。
これは、新たに提案したリーズンコード(例えばLL_BSS_AVAILABLE)を伴うアソシエーション解除要求フレーム390を送信すること(ステップ1230)によって行われる。このように、このコードは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の9.4.1.2節において列挙されているリーズンコードを補っている。
アソシエーション解除処理下であると共にこのようなリーズンコードを受信するLLRSを実行可能なステーションは、同一のAPの別のBSSを探索しうる。このような情報は、APによって送信されるビーコンフレームから取得されうる。別のBSS(理想的にはLL_BSS)を特定したことに応じて、要求側のステーションは、この別のBSSとアソシエートするために、APへ、アソシエーション要求フレームを送信しうる。そして、図11bの上述の処理が、アソシエーション解除されたLLRSを実行可能なステーションのLL_BSSとのアソシエーションを認可する目的で、APによって実行されうる(ステップ1240)。
図12bは、LL_BSS902に属しているLLRSを実行可能でないステーションのアソシエーション解除フェーズの間の、APによるBSS管理の大まかな動作を、フローチャートを用いて示している。これは、BSSが役割を交換した図12bと非常に類似している。
第1のBSSに関連付けられている1つ(又は複数)の非APステーションと、第1のBSSとの間で、LLRSのケイパビリティの不一致が生じた際に、アソシエーション解除が行われる。したがって、APは、既にアソシエートしている非APステーションのケイパビリティが低遅延で信頼性のあるサービス(LLRS)に関して、第1のBSSのケイパビリティと一致しないかを判定する必要がある。
このような状況は、いくつかの理由に対して生じうる。例えば、第1のBSSと既にアソシエートしている(すなわち、第1のBSSがある間に)非APステーションが、自身のLLRSの能力の宣言を変更しうる。
また、それは、APが、ネットワークにおいてLLRSのアクティビティ(その開始とその実質的な量とのいずれか)を検出してLEGACY_BSS及びLL_BSSの両方を形成することを(いくつかの基準に基づいて)決定したときに生じうる。換言すれば、APは、ネットワークにおいてLLRSのアクティビティを検出したことに応じて、第1のBSSを、LLRSを実行可能な非APステーションに制限しうる。このように、第1のBSSがLL_BSSとなり、LLRSを実行可能でないステーションは、LEGACY_BSSへ移動すべきである。
したがって、ステップ1250は、このような状況が発生して、考えられるLL_BSSに適合されていない(すなわちLLRSを実行可能でない)非APステーションに対するアソシエーション解除処理をトリガするかを確認することにある。
ステップ1260において、APは、レガシのBSS(LEGACY_BSS901)が既に開始されているか否かを判定する。否定の場合、ステップ1270において、APは、第2のビーコンフレームを用いることにより又はマルチBSS機能を用いることにより、LEGACY_BSS902を生成する。好ましくは、LEGACY_BSS902は、APのスイッチがオンとされるとすぐに、送信BSSとして常に生成される。実際、LEGACY_BSSは、永続的に、又は。ネットワークにおいてLLRSがアクティブである場合に「オンデマンドで」開始されてもよい。
肯定である場合又はステップ1270の後に、APは、LL_BSSとLLRSケイパビリティが一致しないその(又はいくつかの)非APステーションをアソシエーション解除し、一方でLEGACY_BSSが利用可能であることを、アソシエーション解除処理下のステーションへシグナリングする。
これは、新たに提案されたリーズンコード、例えばLL_BSS_RESERVEDを伴う、アソシエーション解除要求フレーム390を送信する(ステップ1280)ことにより、行われる。このように、このコードは、IEEE802.11規格(RTM)、バージョン2016の9.4.1.2節に列挙されるリーズンコードを補充する。
アソシエーション解除処理中であると共にこのようなリーズンコードを受信するLLRSを実行可能でないステーションは、同一のAPの他のBSSを探索しうる。このような情報は、APによって送信されるビーコンフレームから取得されうる。他のBSS、理想的にはLEGACY_BSS、を特定したことに応答して、応答するステーションは、アソシエーション要求フレームをAPへ送信し、この他のBSSとのアソシエーションを行いうる。その後、図11aの上述の処理は、アソシエーションが解除されたLLRSを実行可能でないステーションのLEGACY_BSSとのアソシエーションを認可する(ステップ1290)という視点を用いて、APによって実行されうる。
新しいリーズンコードLL_BSS_AVAILABLE及びLL_BSS_RESERVEDのおかげで、アソシエートした非APステーションとBSSとの間のLLRSケイパビリティの不一致を判定するAPが、自身が作成した他のより適合されたBSSへリダイレクトしうる。このようなコードを受信した一致していない非APステーションが、例えばマルチBSS機能を通じて同一のAPによって管理される他のBSSを探索し、このより適合するBSSとのアソシエーションを要求してもよい。
上の実施形態は、APが、LLRSデータトラフィックのためのレイテンシを改善するように、自身の1つまたは複数のBSSを動的に管理しうることを示している。
図13は、無線ネットワーク100の非APステーション101-107又はアクセスポイント110のいずれかであり、本発明の少なくとも1つの実施形態を実行するように構成された、通信デバイス1300を概略的に示している。通信デバイス1300は、好ましくは、マイクロコンピュータ、ワークステーション、又は軽量ポータブルデバイスなどのデバイスでありうる。通信デバイス1300は、好ましくは以下と接続された通信バス1313を有する:
プロセッサなどの、CPUと表される中央演算処理装置1301;
本発明の実施形態による方法の実行可能なコード又はその方法のステップ、及び、その方法を実行するために必要な変数およびパラメータを記録するように適合されたレジスタを記憶するメモリ1303;及び
無線通信ネットワーク、例えば、IEEE802.11ファミリの標準のいずれかによる通信ネットワークに、送受信アンテナ1304を介して接続される少なくとも1つの通信インタフェース1302。
好ましくは、通信バスは、通信デバイス1300に含まれる又はそれに接続される様々な要素間の通信及び相互運用性を提供する。バスの表現は限定的なものではなく、特に、中央演算処理装置は、通信デバイス1300の任意の要素に直接、又は、通信デバイス1300の他の要素を用いて、命令を伝達するように動作可能である。
実行可能コードは、読み出し専用、ハードディスクのいずれかでありうるメモリに、又は、例えばディスクなどのリムーバブルデジタル媒体に、記憶されうる。オプションの変形によれば、プログラムの実行可能コードが、実行される前に通信デバイス1300のメモリに格納されているように、インタフェース1302を介して、通信ネットワークを用いて受信されうる。
実施形態において、デバイスは、本発明の実施形態を実装するためにソフトウェアを使用するプログラマブル装置である。しかしながら、代替的に、本発明の実施形態は、全てにおいて又は部分的に、ハードウェアで(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)において)実装されうる。
図13bは、本発明を少なくとも部分的に実行するように適合された、AP110又はステーション101-107のうちの1つのいずれかである、通信デバイス1300のアーキテクチャを概略的に示すブロック図である。図示のように、デバイス1300は、物理(PHY)レイヤブロック1323、MACレイヤブロック1322、及びアプリケーションレイヤブロック1321を有する。
PHYレイヤブロック1323(ここでは、802.11標準のPHYレイヤ)は、フォーマット、20MHzチャネル又は合成チャネル上での変調又はそのチャネルからの復調、及び、使用される無線媒体100を介して、802.11フレームなどのフレームの送信または受信のタスクを有し、TXOPを予約して、(LLRS又は非LLRS)データを交換する。
MACレイヤブロック又はコントローラ1322は、好ましくは、従来の802.11axのMAC動作を実行する802.11MACレイヤ1324と、本発明を少なくとも部分的に実行するための追加のブロック1325を含む。MACレイヤブロック1322は、オプションで、CPU1301によって実行されるソフトウェアにおいて実装されうる。
好ましくは、LLRS管理モジュールと呼ばれる追加のブロック1325は、本発明の実施形態の一部を実行する。
APにおいて、LLRSのアクティビティが検出されたかに応じて、自身のBSSのEDCAパラメータを管理する。また、APは、一部の非APステーションを他のより適合されたBSSへリダイレクトするように、上述のリザルトコード又はリーズンコードを提供するために、アソシエーション手順及びアソシエーション解除手順を管理する。
非APステーションにおいて、ステーションのLLRSケイパビリティを宣言し、他のBSSを発見してそれとアソシエーションを行うために、このようなリザルトコード又はリーズンコードを処理する。
802.11MACレイヤ1324及びLLRS管理モジュール1325は、本発明の実施形態による、BSSの及び/又はDiL TXOPのLLRS管理を実行するために相互に作用する。
図の上部において、アプリケーションレイヤブロック1321は、例えば映像ストリームなどのデータパケットデータパケットを生成及び受信するアプリケーションを動作させる。アプリケーションレイヤブロック1321は、ISO標準によるMACレイヤより上のスタックレイヤの全てを表す。
本発明について、特定の実施形態を参照して上述したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にある変更が、当業者には明らかであろう。
単なる例を用いて与えられると共に添付の特許請求の範囲によってのみ決定される本発明の範囲を限定することを意図しない上述の例示的な実施形態を参照することにより、当業者であれば、さらに多数の変更及び変形がそれ自身により示唆される。具体的には、異なる実施形態からの異なる特徴が、適切であれば、交換されうる。
特許請求の範囲において、用語「comprising」は他の要素やステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除しない。異なる特徴が互いに異なる従属請求項において列挙されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。