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JP7616164B2 - 鋼板およびその製造方法 - Google Patents

鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐候性および全伸び、耐疲労き裂伝播特性に優れた鋼板に関する。
本発明の鋼板は、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなど、屋外の大気腐食環境下で用いられ、構造安全性が強く求められる溶接構造物に好適に用いることができる。特に、本発明の鋼板は、飛来塩分量の多い海上や海岸近傍などの厳しい腐食環境下で用いられる橋梁などの構造物に好適に用いることができる。また、本発明は前記鋼板の製造方法に関する。
橋梁などの屋外で用いられる鋼構造物は、通常、何らかの防食処理を施して用いられる。例えば、飛来塩分量が少ない環境では、耐候性鋼が多く用いられている。耐候性鋼は、大気暴露環境で使用する場合に、Cu、P、Cr、Niなどの合金元素が濃化した保護性の高いさび層で表面が覆われ、これによって、腐食速度を大きく低下させた鋼材である。このような耐候性鋼を使用した橋梁は、飛来塩分量が少ない環境では、無塗装のまま数十年間の供用に耐え得ることが知られている。一方、高塩分環境では、耐候性鋼において保護性の高いさび層が形成され難く、実用的な耐候性が得難いことが知られている。このため、海上や海岸近傍などの飛来塩分量の多い環境では、普通鋼材に塗装などの防食処理を施した鋼材が一般的に用いられている。
しかしながら、塗装鋼材では、時間の経過による塗膜の劣化やさびの発生、塗膜の膨れ等により、定期的な塗り替えなどの補修が必要となる。塗り替えに伴う塗装作業は高所での作業となることが多く、作業自体が困難であるとともに作業にかかる人件費も増加する。そのため、塗装鋼材を使用する場合には、塗り替え作業によって構造物のメンテナンスコストが増大し、ひいてはライフサイクルコストが増大するという問題がある。このような理由から、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境においても、無塗装のまま使用可能な鋼材が求められている。
このような要求に対して、海岸近傍などの高飛来塩分環境において無塗装のまま使用可能な鋼材として、種々の合金元素、特にNiやCuを含有させた鋼材が開発されている。
ここで、耐食性に優れた鋼材として、例えば、特許文献1には、Cuを0.05~1.00%、Niを0.05~7.00%、Pbを0.005~2.000%含有させた高海岸耐候性鋼材が開示されている。
特許文献2には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、さらにCuを0.1~1.5%、Niを0.1~6.0%、Moを0.005~0.500%のうちから1種または2種以上を含有させた耐震性に優れた高海岸耐候性鋼材が開示されている。
特許文献3には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、Cuを0.1~2.0%、Niを0.1~6.0%、Moを0.005~1.000%のうちから1種または2種以上を含有させた耐震性に優れた高海岸耐候性鋼材が開示されている。
特許文献4には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、表層部のNiを0.3~6.0%、内層部のNiを3.0%以下含有させた海岸耐候性に優れた鋼材およびその製造方法が開示されている。
特許文献5には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、表層部のNiを1.0~6.0%、内層部のNiを3.0%以下含有させた海岸耐候性に優れた鋼材およびその製造方法が開示されている。
特許文献6には、Cuを0.1~1.5%、Niを1.52~6.00%含有させた融雪塩散布環境下における耐候性に優れた鋼材が開示されている。
特許文献7には、Cuを0.1~1.0%、Niを0.1~3.5%含有させ耐塩特性および大入熱溶接靭性に優れた鋼材が開示されている。
一方、これらの耐候性を向上させた鋼板は、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなどの構造物に広く用いられる。前記鋼板には、強度、靭性などの機械的特性および溶接性が優れることに加え、疲労特性に優れることが求められる。すなわち、上述したような構造物を使用する際には、該構造物に対して、風や波、地震による振動など、繰返し荷重がかかる。そのため、鋼板には、そのような繰返し荷重が負荷された場合でも構造物の安全性を確保できる疲労特性が求められる。特に、部材の破断といった終局的な破壊を防止するためには、鋼板の耐疲労き裂伝播性を向上させることが効果的である。
そこで、鋼板の疲労き裂伝播抵抗性を向上させるために様々な検討が行われている。
例えば、特許文献8では、湿潤硫化水素環境下での疲労き裂伝播抵抗性に優れた、タンカー用の鋼板が提案されている。前記鋼板は、フェライトおよび、ベイナイト、パーライトの1種または2種からなる混合組織を有している。また、前記鋼板では、フェライトの平均粒径が20μm以下とされている。
また、特許文献9でも、疲労き裂伝播抵抗性に優れた鋼板が提案されている。前記鋼板は、硬質部と軟質部とからなるミクロ組織を有し、前記硬質部と軟質部における硬度差が、ビッカース硬度で150以上であることを特徴としている。
特許文献10では、ベイナイトおよび面積率で38~52%のフェライトとからなるミクロ組織を有する2相鋼が提案されている。特許文献10で提案されている技術においては、フェライト相部分のビッカース硬さと、単位長さあたりに存在するフェライト相とベイナイト相の間の境界の数を制御することで疲労き裂伝播抵抗性を向上させている。
特開平11-315344号公報 特開2000-355731号公報 特開2000-355732号公報 特許第4232303号公報 特許第4232304号公報 特許第4639482号公報 特許第4792644号公報 特開平06-322477号公報 特開平07-242992号公報 特開平08-225882号公報
特許文献1~7はいずれも耐候性に言及した従来技術であるが、耐候性とともに構造物用の鋼板として重要な特性である耐疲労き裂伝播特性を両立させるという点については、全く考慮されていなかった。加えて、耐疲労き裂伝播特性を向上させるためには鋼板のミクロ組織が重要であり、ミクロ組織を制御するための製造方法についても考慮されていなかった。
また、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなどの構造物に使用される鋼材では、規格において全伸び値が規定されることが一般的である。したがって、優れた疲労き裂伝播抵抗性を有する鋼板であっても、全伸びが規格値を満たすことが求められる。
しかし、疲労き裂伝播抵抗性と全伸びは相反する性質であるため、特許文献1~10に記載されているような従来の技術では、優れた疲労き裂伝播抵抗性と全伸び両立させることができなかった。
特許文献1~10で提案されている技術においては、全伸びが考慮されていない。中でも、特許文献8~10で提案されている鋼板は、いずれも、軟質相としてのフェライトと、硬質相としてのベイナイトまたはマルテンサイトからなるミクロ組織を有している。そして、軟質相と硬質相の硬度差を拡大することによって疲労き裂伝播抵抗性を向上させている。しかし、軟質相と硬質相の硬度差が大きいと組織が不均質となり、その結果、鋼板の全伸びが低下する。
また、構造物の安全性を確保するという観点からは、鋼板には、一方向だけでなく、板厚方向、圧延方向、および幅方向のすべてにおいて疲労き裂伝播抵抗性に優れることが求められる。
一般的な構造物においては、鋼板に対して様々な方向から、自由に溶接が施されるため、疲労き裂が発生、伝播する方向は様々である。また、挟角の角部を有する溶接施工箇所では、その構造的特徴から疲労き裂の発生が不可避であり、発生した疲労き裂はまず板厚方向へ進展する傾向がある。疲労き裂による構造物の崩落を防止するためには、疲労き裂が鋼板の厚さ方向に貫通した後においても、板幅方向、圧延方向への疲労き裂進展を抑制することが重要である。
しかしながら、特許文献1~10に記載されているような従来の技術においては、上記耐疲労き裂伝播特性の方向依存性が考慮されていなかった。さらに、特許文献8~10で提案されている鋼材は、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境における耐候性が十分ではない。
本発明はかかる事情に鑑みなされたもので、橋梁などの屋外の大気腐食環境下、特には飛来塩分量の多い海上や海岸近傍などの厳しい腐食環境下で使用する場合であっても、無塗装で使用することができ、すなわち耐候性に優れ、かつ、全伸びと耐疲労き裂伝播特性にも優れた鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意研究を重ねた結果、耐候性の向上には、CuおよびNiを複合添加すること、さらに、全伸びの向上には、第1相として特定の面積率以上でベイナイトを含むこと、および、耐疲労き裂伝播特性の向上には、ベイナイトの平均結晶粒径を調整することが有効であることを知見した。さらに、前記ミクロ組織を有する鋼板は、製造条件、特に、熱間圧延における圧下率を制御することにより製造することができることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を重ねて完成させたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
[1]質量%で、
C:0.010%以上、0.200%以下、
Si:0.05%以上、1.00%以下、
Mn:0.20%以上、2.00%以下、
P:0.001%以上、0.030%以下、
S:0.0001%以上、0.0350%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下、
Cu:0.10%以上、1.50%以下、
Ni:0.10%以上、6.00%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
鋼板のミクロ組織が、面積分率で80%以上のベイナイトを含み、
前記ベイナイトの平均結晶粒径が円相当径で50μm以下であることを特徴とする鋼板。
[2]成分組成として、さらに質量%で、
Cr:3.00%以下、
Mo:1.00%以下、
W:1.00%以下、
Co:1.000%以下、
Sn:0.300%以下、
Sb:0.300%以下、
Nb:0.100%以下、
V:0.150%以下、
Ti:0.100%以下、
B:0.0050%以下、
Zr:0.100%以下、
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、
REM:0.0200%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の鋼板。
[3]前記[1]または[2]に記載の成分組成を有するスラブを1050℃以上、1250℃以下の温度域に加熱し、
前記加熱後に、スラブ加熱温度未満、Ar点以上の温度域における累積圧下率が80%以上となる熱間圧延を行うことを特徴とする鋼板の製造方法。
[4]前記[1]または[2]に記載の成分組成を有するスラブを1050℃以上、1250℃以下の温度域に加熱し、
前記加熱後に、950℃以上の温度域での累積圧下率が30%以上、
950℃未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率が30%以上となる熱間圧延を行うことを特徴とする鋼板の製造方法。
[5]前記熱間圧延後に、加速冷却を行い、
前記加速冷却において冷却開始温度がAr点以上、冷却停止温度が700℃以下、400℃以上、冷却開始から冷却停止までの鋼板表面における平均冷却速度が2.0℃/s以上であることを特徴とする[3]または[4]に記載の鋼板の製造方法。
本発明によれば、寒冷地などの低温化で使用される溶接構造物などの、特に橋梁のような屋外の大気腐食環境下で、特には飛来塩分量の多い海上や海岸近傍や凍結防止剤が散布されるような厳しい腐食環境下で使用する場合であっても無塗装で使用可能である。さらに、本発明によれば、構造物の鋼構造物のメンテナンスコスト、ひいてはライフサイクルコストを低減し、かつ、優れた耐疲労き裂伝播特性と全伸びを兼ね備えており、板厚方向、圧延方向、および幅方向のすべてにおいて耐疲労き裂伝播特性に優れており、鋼構造物の安全性を確保することが可能となる。
以下、本発明の鋼板の成分組成、鋼板特性、製造方法について順に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、本発明の鋼板の成分組成について説明する。成分組成の説明において、各成分の含有量を示す%は質量%を意味する。
C:0.010%以上、0.200%以下
Cは、鋼材の強度を上昇させる元素である。このため、Cは、構造用鋼としての所定の強度を確保するため、0.010%以上含有させる必要がある。したがって、C含有量は0.010%以上とする。一方、C含有量が0.200%を超えると、溶接性、および靭性が劣化する。したがって、C含有量は0.200%以下とする。さらに、C量を0.030%未満にすると、さび層中の非晶質さび比率が増加し、耐候性向上に有利に働く。そのため、C含有量は、好ましくは0.030%未満であり、より好ましくは0.025%以下であり、さらに好ましくは0.020%以下である。
Si:0.05%以上、1.00%以下
Siは、脱酸と強度を確保するため0.05%以上含有させる必要がある。したがって、Si含有量は0.05%以上とする。好ましくは、0.10%以上である。一方、Si含有量が1.00%を超えると、靭性および溶接性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は1.00%以下とする。Si含有量は、好ましくは0.80%以下である。
Mn:0.20%以上、2.00%以下
Mnは、鋼材の焼き入れ性の向上により強度を上昇させる元素である。このため、Mnは、構造用鋼としての所定の強度を確保するため、0.20%以上含有させる必要がある。したがって、Mn含有量は0.20%以上とする。好ましくは0.75%以上である。一方、Mn含有量が2.00%を超えると、全伸び、靭性および溶接性が劣化する。したがって、Mn含有量は2.00%以下とする。Mn含有量は、好ましくは1.80%以下である。
P:0.001%以上、0.030%以下
Pは、鋼材の耐候性の向上に寄与する元素である。このような効果を得る観点から、Pは0.001%以上含有させる必要がある。したがって、P含有量は0.001%以上とする。一方、P含有量が0.030%を超えると、溶接性および靭性が劣化する。したがって、P含有量は0.030%以下とする。
S:0.0001%以上、0.0350%以下
Sは、溶接性および靭性を劣化させる元素である。このため、S含有量は0.0350%以下とする必要がある。したがって、S含有量は0.0350%以下とする。S含有量を0.0001%未満にしようとすると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は0.0001%以上とする。
Al:0.001%以上、0.100%以下
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素である。このような効果を得るため、Alは0.001%以上含有させる必要がある。したがって、Al含有量は0.001%以上とする。好ましくは、0.005%以上、より好ましくは、0.010%以上である。一方、Al含有量が0.100%を超えると、全伸びおよび溶接性に悪影響を及ぼす。したがって、Al含有量は0.100%以下とする。Al含有量は、好ましくは0.080%未満、より好ましくは0.060%未満とする。
Cu:0.10%以上、1.50%以下
Cuは、さび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。このような効果は、Cu含有量が0.10%以上で得られる。したがって、Cu含有量は0.10%以上とする。Cu含有量は、好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、Cu含有量が1.50%を超えると、溶接性が損なわれ、また、鋼板の製造時に疵が生じやすくなる。したがって、Cu含有量は1.50%以下とする。Cu含有量は、好ましくは1.00%以下、より好ましくは0.80%以下である。
Ni:0.10%以上、6.00%以下
Niは、低温靭性を向上させ、Cuを添加した場合の熱間脆性を改善する。またさび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。このような効果は、Ni含有量が0.10%以上で得られる。したがって、Ni含有量は0.10%以上とする。Ni含有量は、好ましくは0.50%以上、より好ましくは1.00%以上であり、さらに好ましくは2.00%超え、よりさらに好ましくは2.20%以上であり、もっとも好ましくは2.40%以上である。一方、Ni含有量が6.00%を超えると、溶接性が損なわれ、過度な合金コストの上昇を招く。したがって、Ni含有量は6.00%以下とする。Ni含有量は、好ましくは5.00%未満、より好ましくは4.00%以下である。
本発明の一実施形態における鋼板は、上記元素を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することができる。
また、本発明の他の実施形態における鋼板の成分組成は、さらに以下に挙げる元素の少なくとも1つを任意に含有することができる。これらの任意元素を含有することにより、鋼板の強度、靭性、溶接性、耐候性などの特性をさらに向上させることができる。
Cr:3.00%以下
Crは、強度をさらに向上させる効果を有する元素である。また、Crは緻密なさび層を形成して耐候性をさらに向上させる効果を有する。Crを含有する場合、前記効果を得るために、Cr含有量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、Cr含有量が3.00%を超えると溶接性と靭性が損なわれ、耐候性にも悪影響を与える。そのため、Crを含有する場合にはCr含有量は3.00%以下とする。Cr含有量は、好ましくは2.00%以下、より好ましくは1.00%以下とする。
Mo:1.00%以下
Moは、鋼材のアノード反応に伴って溶出し、さび層中にMoO 2-が分布することで、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。Moを含有する場合には、このような効果を得るために、Moを0.03%以上含有させることが好ましい。一方、Mo含有量が1.00%を超えると、溶接性と靭性が損なわれ、合金コストの上昇を招く。したがって、Moを含有する場合にはMoの含有量は1.00%以下とする。Moの含有量は、好ましくは、0.80%以下、より好ましくは0.50%以下とする。
W:1.00%以下
Wは鋼材の耐候性を向上させる元素である。Wはアノード反応に伴って溶出し、さび層中にWO 2-として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。加えて、微細さびを形成させてさび層を緻密化することで、腐食因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。Wを含有する場合には、これらの効果を十分に得るために、Wを0.01%以上含有させることが好ましい。より好ましくは、0.03%以上である。一方、W含有量が1.00%を超えると、顕著な合金コスト上昇を招く。したがって、Wを含有する場合にはW含有量は1.00%以下とする。W含有量は、好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.50%以下である。
Co:1.000%以下
Coは、さび層全体に分布し、緻密なさび層を形成することにより、耐候性を向上させる効果を有する。Coを含有する場合には、この効果を得るために、Coの含有量を0.010%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.350%以上とする。一方、Co含有量を1.000%より高くしても効果が飽和することに加え、合金コストが増大する。このため、Coを含有する場合には、Co含有量を1.000%以下とする。Co含有量は、好ましくは0.500%以下とする。
Sn:0.300%以下
Snは鋼材の耐候性を向上させる元素である。Snは地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することで腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Snは、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。Snを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Snを0.005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.020%以上とする。一方、Sn含有量が0.300%を超えると、鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Snを含有する場合にはSn含有量は、0.300%以下とする。Sn含有量は、好ましくは0.100%以下であり、より好ましくは0.050%以下である。
Sb:0.300%以下
Sbは、地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することで腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Sbは、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。Sbを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Sbを0.005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.020%以上とする。一方、Sb含有量が0.300%を超えると、鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sbを含有する場合にはSb含有量は0.300%以下とする。Sb含有量は、好ましくは0.150%以下、より好ましくは0.100%以下である。
Nb:0.100%以下
Nbは、熱間圧延時のオーステナイトの再結晶を抑制し、最終的に得られる結晶粒を細粒化する効果を有する元素である。また、Nbは、空冷時に析出し、強度をさらに向上させる。Nbを含有する場合、前記効果を得るために、Nb含有量を0.005%以上とするころが好ましい。一方、Nb含有量が0.100%を超えると、焼入れ性が過剰となり、マルテンサイトが生成するため所望の組織が得られなくなり、靭性が低下する。そのため、Nbを含有する場合にはNb含有量は0.100%以下とする。Nb含有量は、好ましくは0.040%以下とする。
V:0.150%以下
Vは、空冷時に析出し、強度をさらに向上させる。また、地鉄表面近傍さび層中にVO 3-として存在することで、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。Vを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Vを0.005%以上含有させることが好ましい。一方、V含有量が0.150%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Vを含有する場合にはVの含有量は0.150%以下とする。
Ti:0.100%以下
Tiは、強度を高める元素である。Tiを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Tiを0.005%以上含有させることが好ましい。一方、Ti含有量が0.100%を超えると、靭性の劣化を招く。したがって、Tiを含有する場合にはTi含有量は0.100%以下とする。
B:0.0050%以下
Bは、焼入れ性を高め、その結果、強度をさらに向上させる効果を有する元素である。Bを含有する場合、前記効果を得るために、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0050%を超えると焼入れ性過剰となりマルテンサイトが生成して所望の組織が得られなくなるほか、溶接性が低下する。そのため、Bを含有する場合にはB含有量は0.0050%以下とする。B含有量は、好ましくは0.0030%以下とする。
Zr:0.100%以下
Zrは、強度を高める元素である。Zrを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Zrを0.005%以上含有させることが好ましい。一方、Zr含有量が0.100%を超えると、その強度向上効果が飽和する。したがって、Zrを含有する場合にはZr含有量は0.100%以下とする。
Ca:0.0100%以下
Caは、鋼中のSを固定し、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。Caを含有する場合には、このような効果を十分に得るためには、Caを0.0001%以上含有させることが好ましい。一方、Ca含有量が0.0100%を超えると、鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがって、Caを含有する場合にはCaの含有量は0.0100%以下とする。
Mg:0.0100%以下
Mgは、鋼中のSを固定し、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。Mgを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、Mgを0.0001%以上含有させることが好ましい。一方、Mg含有量が0.0100%を超えると、鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがって、Mgを含有する場合にはMg含有量は0.0100%以下とする。
REM:0.0200%以下
REM(希土類金属)は、鋼中のSを固定し、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。REMを含有する場合には、このような効果を十分に得るために、REMを0.0001%以上含有させることが好ましい。一方、REM含有量が0.0200%を超えると、鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがってREMを含有する場合にはREM含有量は0.0200%以下とする。
次に、本発明の鋼板のミクロ組織について説明する。
本発明の一実施形態における鋼板は、面積分率で80%以上のベイナイトを含み、ベイナイトの平均結晶粒径が円相当径で50μm以下であるミクロ組織を有する。なお、本発明におけるミクロ組織は、鋼板の板厚tの1/4位置(1/4t位置)におけるミクロ組織を指すものとする。各組織の面積分率および平均結晶粒径は、鋼板の表面から1/4深さにおける圧延方向に平行な断面をナイタール腐食し、観察することにより測定することができる。より具体的には、実施例に記載した方法で面積分率および平均結晶粒径を求めることができる。
ベイナイトの面積分率:80%以上
本発明において、ベイナイトは前記ミクロ組織における第1相である。ベイナイトは他の組織よりも、き裂進展の抑制効果が高い。そのため、ベイナイトの面積分率を80%以上とすることにより、疲労き裂の進展を抑制することができる。ベイナイトの面積分率が80%未満であると、所望の耐疲労き裂伝播特性を得ることができない。そのため、ベイナイトの面積分率は80%以上とする。ベイナイトの面積分率は、85%以上とすることが好ましい。
ベイナイトの平均結晶粒径:50μm以下
ベイナイトを微細化することにより、所望の靭性および全伸び特性を得ることができる。ベイナイトの平均結晶粒径が平均円相当径で50μm超では、所望の靭性が得られない。このため、ベイナイトの平均結晶粒径を平均円相当径で50μm以下とする。ベイナイトの平均結晶粒径は、好ましくは30μm以下とする。ベイナイトの平均結晶粒径は、より好ましくは20μm以下とする。一方、ベイナイトの平均結晶粒径の下限はとくに限定されないが、過度の微細化は製造を困難とすることから、実際の製造においてはベイナイトの平均結晶粒径を5μm以上とすることが好ましい。
なお、本発明におけるベイナイトは、上部ベイナイト、アシキュラーフェライト、およびグラニュラーベイナイトを包含するものとする。
本発明の一実施形態における鋼板は、ベイナイト(B)主体のミクロ組織を有する。しかし、前記ミクロ組織は、さらに任意に他の組織を含んでもよい。以下、ベイナイト以外の組織を「他の組織」という。他の組織は、例えば、マルテンサイト(Ms)、フェライト(F)およびパーライト(P)があってよい。ここで、上述しているマルテンサイトは、島状マルテンサイト、ラス状マルテンサイト、およびレンズ状マルテンサイトを包含し、上述しているフェライトは、ポリゴナルフェライトを含有し、上述しているパーライトは、パーライトおよび擬似パーライトを包含するものとする。
鋼板のミクロ組織が他の組織を含む場合、上述している他の組織の面積分率(合計面積分率)が下記のように限定されるとさらに好ましい。マルテンサイトが過剰に存在すると、局所的に高硬度な領域が形成され、強度は上昇するが、全伸びが低下し、靭性が低下するおそれがある。特に、硬度300HV以上のマルテンサイトが10%以上分散すると、300HV以上のマルテンサイトは破壊の起点(メカニズム)となるため、全伸び、靭性が大幅に低下する。そのため、硬度300HV以上のマルテンサイトが10%未満とすることが好ましい。また、フェライトが過剰に存在すると、強度の低下および疲労き裂伝播速度が悪化するほか、局所的に軟質な領域が形成され、硬度差の拡大により全伸びが悪化するおそれがある。そのため、フェライトは10%以下とすることが好ましい。さらに、この硬度差の拡大に伴い、全伸びが低下するため、異なった相の硬度差は100HV以下となるようにすることが好ましい。したがって、ベイナイト以外の組織の合計面積分率を20%以下とすることが好ましく、上述している他の組織の中で、特に300HV以上のマルテンサイトは10%未満にすることが好ましく、またフェライトは10%以下にすることが好ましく、母材において異なる相の硬度差は100以下に抑えることが好ましい。
言い換えると、本発明の一実施形態における鋼板は、
80~100%のベイナイト、0~20%のベイナイト以外の組織からなるミクロ組織を有することができる。ベイナイト以外の組織については特に300HV以上のマルテンサイトは10%未満にすることが好ましく、またフェライトは10%以下にすることが好ましい。
本発明では、板厚の上限はとくに限定されないが、本発明は比較的薄い鋼板に対してとくに好適に適用される。したがって、本発明における鋼板の板厚は、50mm以下とすることが好ましい。
本発明では、引張強さ、降伏応力、全伸び、耐疲労き裂伝播特性は特に限定されるものではないが、好適に適用される。
引張強さ
本発明の鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、優れた引張強さ(TS)を備えることができる。TSの値はとくに限定されないが、500MPa以上とすることが好ましく、530MPa以上とすることがより好ましく、550MPa以上とすることがさらに好ましい。一方、TSの上限についても限定されないが、例えば、720MPa以下とすることが好ましく、700MPa以下とすることがより好ましく、640MPa以下がさらに好ましく、620MPa以下が最も好ましい。
降伏応力
本発明の鋼板の降伏応力(YS)は特に限定されないが、例えば、420MPa以上とすることが好ましく、430MPa以上とすることがより好ましく、440MPa以上とすることがさらに好ましい。また、YSは、560MPa以下とすることが好ましく、530MPa以下とすることがより好ましく、520MPa以下とすることがさらに好ましい。
靭性
本発明の鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、優れた靭性を備える。本発明の鋼板の靭性はとくに限定されないが、靭性の指標の一つである、0℃におけるシャルピー吸収エネルギーvEを100J以上とすることが好ましく、130J以上とすることがより好ましく、150J以上とすることがさらに好ましく、200J以上とすることが最も好ましい。一方、vEの上限についても限定されないが、例えば、400J以下とすることが好ましく、300J以下とすることがより好ましく、270J以下とすることがさらに好ましい。なお、vEは実施例に記載した方法で測定することができる。
全伸び
本発明の鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、優れた全伸び(EL)を備える。ELの値はとくに限定されないが、15%以上とすることが好ましく、16%以上とすることがより好ましく、17%以上とすることがさらに好ましく、20%以上とすることが最も好ましい。ELの上限についても特に限定されないが、例えば、30%以下とすることが好ましい。なお、ELは実施例に記載した方法で測定することができる。
耐疲労き裂伝播抵特性
本発明の鋼板は、上記成分組成とミクロ組織を有する結果、板厚方向、圧延方向、および幅方向のすべてにおいて優れた疲労き裂伝播抵抗性を備えることができる。疲労き裂伝播抵抗性の指標としては、疲労き裂伝播速度(da/dN)を用いることができる。前記疲労き裂伝播速度の値はとくに限定されない。
なお、板厚方向(Z方向)における疲労き裂伝播速度は、次の(a)および(b)の条件を満たすことが好ましい。
(a)応力拡大係数範囲ΔK:15MPa/m1/2の条件における疲労き裂伝播速度が、8.75×10-9(m/cycle)以下、
(b)応力拡大係数範囲ΔK:25MPa/m1/2の条件における疲労き裂伝播速度が、4.25×10-8(m/cycle)以下
また、圧延方向(L方向)における疲労き裂伝播速度および幅方向(C方向)における疲労き裂伝播速度のいずれか一方が、次の(c)および(d)の条件を満たすことが好ましく、両方が(c)および(d)の条件を満たすことがより好ましい。
(c)応力拡大係数範囲ΔK:15MPa/m1/2の条件における疲労き裂伝播速度が、1.75×10-8(m/cycle)以下、
(d)応力拡大係数範囲ΔK:25MPa/m1/2の条件における疲労き裂伝播速度が、8.50×10-8(m/cycle)以下
次に、本発明の鋼板の製造方法について説明する。本発明の一実施形態における鋼板は、上記成分組成を有する鋼素材に対して、下記(1)(2)の工程を施し、必要に応じて(3)の工程を施すことによって製造することができる。
(1)加熱
(2)熱間圧延
(3)加速冷却
以下、各工程における条件について説明する。なお、とくに断らない限り、温度は被処理物(鋼素材または熱延鋼板)の表面温度を指すものとする。また、冷却速度は鋼板の厚さ方向の平均温度における冷却速度とする。
上記鋼素材としては、上述した成分組成を有するものであれば任意のものを用いることができる。最終的に得られる鋼板の成分組成は、使用した鋼素材の成分組成と同じである。上記鋼素材としては、例えば、鋼スラブを用いることができる。
(1)加熱工程
加熱温度:1050℃以上、1250℃以下
まず、上記鋼素材を1050℃以上、1250℃以下の温度域まで加熱する。加熱温度が1050℃未満であると、次の熱間圧延に必要な温度を確保することができない。一方、加熱温度が1250℃を超えると、鋼の結晶粒が粗大化し、靭性が劣化する。加熱工程において保持する場合は、保持時間は1時間以上が好ましい。
(2)熱間圧延
次に、加熱された上記鋼素材を熱間圧延して熱延鋼板とする。その際、本発明の条件を満たす鋼板を製造するためには、熱間圧延における累積圧下率が以下のいずれかの条件を満たす必要がある。
(2-1)
スラブ加熱温度未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率:80%以上
Ar点以上の温度域での累積圧下率を80%以上とすることにより、オーステナイト粒を微細化し、加速冷却中に変態により生成するベイナイトを微細化させる。Ar点以上での圧下率が80%を下回ると、ベイナイトの微細化が不十分となり、靭性および全伸びが劣化する。一方、Ar点以上の温度域での累積圧下率の上限は特に限定されないが、例えば、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましい。
(2-2)
スラブ加熱温度未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率:80%未満である場合でも、以下の両方の条件を満たすことで、目的の組織および特性を得ることができる。
950℃以上の温度域での累積圧下率:30%以上
950℃以上の温度域での累積圧下率を30%以上とすることにより、オーステナイト粒を微細化する。そしてその結果、加速冷却中に変態により生成するベイナイトが微細化する。累積圧下率が30%未満では、ベイナイトの微細化が不十分となり、靭性および全伸びが劣化する。一方、950℃以上の温度域での累積圧下率の上限は特に限定されないが、例えば、70%以下が好ましい。
950℃未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率:30%以上
950℃未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率を30%以上とすることにより、オーステナイト粒を微細化し、加速冷却中に変態により生成するベイナイトを微細化させる。Ar点以上での圧下率が30%を下回ると、ベイナイトの微細化が不十分となり、靭性および全伸びが劣化する。一方、950℃未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率の上限は特に限定されないが、例えば、70%以下が好ましい。
ここで、Ar点は次の式により求めることができる。
Ar(℃)=910-310C-80Mn-20Cu-15Cr-55Ni-80Moただし、上記の式における元素記号は、鋼素材における当該元素の含有量(質量%)を表し、当該元素が鋼素材に含まれていない場合にはゼロとする。
(3)加速冷却
次いで、必要に応じて上記熱間圧延工程で得た熱延鋼板を加速冷却することが好ましい。加速冷却における条件は次の通りとすると各種特性が向上する。
冷却開始温度:Ar点以上
上記加速冷却における冷却開始温度がAr点未満であるとフェライトや粗大なパーライトが過剰に析出するので、強度および疲労き裂伝播抵抗性をより向上させるためには、冷却開始温度をAr点以上とすることが好ましい。一方、冷却開始温度の上限は特に限定されないが、Ar点以上の温度域での累積圧下率を確保するという観点からは、870℃以下とすることが好ましい。
また、冷却開始温度がAr点以上であるということは、必然的に圧延終了温度がAr点以上であることを意味する。圧延終了温度がAr点未満であると、二相域圧延となり、全伸びが劣化するが、圧延終了温度がAr点以上であれば、オーステナイト単相域で圧延が行われるため、全伸びの劣化を防止できる。
冷却停止温度:700℃以下、400℃以上、
未変態オーステナイトをベイナイトに変態させるため、上記加速冷却における冷却停止温度を700℃以下とすることが好ましく、より好ましくは650℃以下とする。冷却停止温度が700℃を超える場合、フェライトが生成するため疲労き裂伝播抵抗性の上昇が小さくなる。一方、冷却停止温度が400℃未満である場合、マルテンサイトの生成量が増加する結果、靭性および全伸びが低下するため、疲労き裂伝播抵抗性の上昇が小さくなる。そのため、冷却停止温度は、400℃以上とすることが好ましく、より好ましくは410℃以上とする。
平均冷却速度:2.0℃/s以上
上述した加速冷却における平均冷却速度は、2.0℃/s以上とすることが好ましい。平均冷却速度が2.0℃/s未満ではフェライトが生成し、疲労き裂伝播抵抗性の上昇が小さくなる。また、靭性が低下するので所望の全伸びの上昇が小さくなる。なお、平均冷却速度は、加速冷却開始から加速冷却停止までの鋼板表面における平均冷却速度を指すものとする。
上記加速冷却を行う方法はとくに限定されず、任意の方法を用いることができるが、水冷を用いることが好ましい。
上記加速冷却終了後の処理はとくに限定されない。例えば、加速冷却終了後の鋼板を雰囲気中で放冷することができる。上述している放冷では、例えば、室温まで冷却することができる。また、加速冷却終了後、任意に、レベラ-により鋼板の反りを矯正することもできる。
なお、熱間圧延後、鋼板温度は直ちに低下する。そのため、本発明の鋼板は、搬送ライン上に圧延装置、加速冷却装置を設けた設備を利用するオンラインプロセスで製造することが好ましい。
以下、本発明の作用効果について、実施例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の手順で鋼板を製造した。
まず、転炉-連続鋳造法により、表1に示す成分組成を有する鋼スラブ(鋼素材)を作製した。
次に、鋼スラブを、表2に示した加熱温度に加熱し、次いで、表2に示した累積圧下率で熱間圧延して熱延鋼板とした。熱間圧延における圧延終了温度と、得られた熱延鋼板の板厚(最終板厚)を表2に併記する。その後、熱延鋼板を表2に示した条件で加速冷却して、鋼板を得た。得られた鋼板の板厚は、上述している最終板厚と同じである。
得られた鋼板のそれぞれについて、ミクロ組織、機械的特性、耐候性、および疲労き裂伝播特性を評価した。評価方法を以下に説明する。各評価の結果を表3に示す。
(ミクロ組織)
まず、鋼板の板厚方向1/4t位置から、長さ方向断面が観察面となるようにミクロ組織観察用サンプルを採取した。ここで、長さ方向断面とは、鋼板の幅方向に垂直な断面を指すものとする。次いで、前記サンプルの表面をナイタール腐食した後、400倍の光学顕微鏡と2000倍の走査電子顕微鏡(SEM)で組織をそれぞれ1枚ずつ撮影した。撮影された画像を用いて、存在する組織を同定した。さらに、画像解析ソフト(Photoshop)を用いて光学顕微鏡画像を解析し、ベイナイトの領域、フェライトの領域、パーライトの領域、マルテンサイトの領域を区分し、各々の面積分率を求めた。
さらに、ISO14577に基づいて、上記で同定されたマルテンサイトについて硬度を測定し、総マルテンサイトに対して、硬度が300HV以上となるマルテンサイトの割合を求めた。なお、その他の組織としてマルテンサイトが形成された発明例(鋼板No.6、27)において硬度が300HV以上となるマルテンサイトが総マルテンサイトに対して10%未満の割合であった。
(ベイナイトの平均結晶粒径)
さらに、上述しているミクロ組織観察用サンプルを用いて、ベイナイトの平均結晶粒径を測定した。測定においては、まず、前記サンプルの表面を鏡面研磨し、SEMに付帯するElectron Back-Scattering Pattern(EBSP)装置を用いて電子線後方散乱回折像から結晶方位を測定した。200μm四方に囲まれた領域内を0.3μm間隔で測定し、隣り合う結晶粒との結晶方位差が15°以上である粒界に囲まれた領域を結晶粒と定義し、結晶粒の平均円相当径を求めた。得られた平均円相当径をベイナイトの平均結晶粒径と見なす。
(機械的特性)
鋼板の板幅方向(C方向)から全厚引張試験片を採取した。全厚引張試験片を用い、JIS Z 2241に準拠して引張試験を実施して降伏強度(YS)、引張強さ(TS)、および全伸び(EL)を測定した。なお、測定においては、JIS Z 2241の規定に準じて使用する試験片の種類を選択した。具体的には、まず、JIS1A号試験片を使用して引張試験を行い、その結果、引張強さが650MPa以上であった実施例No.13、14、16、18、27については、JIS5号試験片を用いて引張試験を再度行い、JIS5号試験片を用いた引張試験の結果を採用した。
また、前記鋼板の板厚中心部から、圧延方向(L方向)に平行にシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2202に準拠してシャルピー衝撃試験を0℃で行い、吸収エネルギーvEを測定した。
(耐候性)
得られた鋼板のそれぞれより、50mm×50mm×4mmの試験片を採取し、試験片の端面、裏面をテープシールし、表面露出部の面積が40mm×40mmとなるように表面もテープシールした。以上により得られた試験片について、耐候性を評価した。
耐候性を評価する方法としては、実際の橋梁などの構造物において最も厳しい環境と考えられる、雨掛かりの無い桁内部の環境を模擬した腐食試験を行った。腐食試験はサンプル表面に塩分を付着させた状態で温湿度サイクルを繰り返して行った。
温湿度サイクルは、温度40℃、相対湿度40%RHの乾燥工程を11時間、その後、移行時間を1時間とった後、温度を25℃、相対湿度を95%RHの湿潤工程を11時間として、その後1時間移行時間をとり、合計24時間で1サイクルとし、実環境の温湿度サイクルを模擬した。
温湿度サイクル開始前、および7サイクルごとに、試験片表面に付着する塩分が1.4mg/dmとなるように、乾燥工程前に試験片の表面に人工海水を滴下した。
この条件にて、26週間で温湿度サイクル182サイクルの試験を行った。
また、腐食試験終了後、37%塩酸500mL、ヘキサメチレンテトラミン3.5g、ヒビロン(アイコーケミカル社製インヒビター)3mLに蒸留水を加えて1L(リットル)とした除錆溶液に、試験片を浸漬して脱錆した。なお、重量の測定は、第145回腐食防食シンポジウム資料「腐食減耗評価方法の高精度化」に記載の方法に準拠した。さらに、得られた重量と初期重量との差を求めて、それを試験片の試験対象面の面積で除することで、試験片片面の平均板厚減少量を算出した。平均板厚減少量を耐候性の指標とした。
なお、飛来塩分量約0.5mddは、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境に相当するが、これまでの知見から、本腐食試験における鋼板厚減少量(182日間)は、飛来塩分量が約0.5mddの実際の環境に182日間暴露した場合の腐食による鋼板厚減少量と同等になることがわかっている。
また、試験により得られた平均板厚減少量から外挿により100年後の腐食量を求めた場合、本腐食試験の期間にて得られる平均板厚減少量が22μm以下であれば、100年後の平均板厚減少量は層状剥離錆の発生が無い0.5mm以下と予想される。
一般に、無塗装耐候性鋼の橋梁への適用可否の目安は、100年後の板厚減少量が0.5mm以下であることが知られているので、各種鋼材に対して本腐食試験を行い、得られる平均板厚減少量が22μm以下であれば無塗装耐候性鋼の橋梁への適用が可となる。そこで、表3において、平均板厚減少量が22μm以下である場合に耐候性が優れると判定した。
(疲労き裂伝播抵抗性)
疲労き裂伝播抵抗性の指標として、板厚方向(Z方向)、圧延方向(L方向)、および幅方向(圧延方向と垂直な方向、C方向)における疲労き裂伝播速度(da/dN)を、それぞれ応力拡大係数範囲ΔK:15MPa/m1/2と25MPa/m1/2の2条件において測定した。
圧延方向および幅方向
圧延方向(L方向)における疲労き裂伝播速度は、荷重負荷方向が圧延方向となるように鋼板から採取した試験片を用いて測定した。同様に、幅方向(C方向)における疲労き裂伝播速度は、荷重負荷方向が幅方向となるように鋼板から採取した試験片を用いて測定した。前記試験片は、ASTM E647に準拠したコンパクトテンション試験片とした。上述している測定においては、クラックゲージ法に基づいて疲労き裂伝播試験を実施し、疲労き裂伝播速度を求めた。
板厚方向
一方、板厚方向(Z方向)における疲労き裂伝播速度の測定においては、片側切欠単純引張型疲労試験片を使用した。鋼板から上述している試験片を採取し、板厚方向にき裂が進展する時の疲労き裂伝播速度を測定した。
表3に示した結果から分かるように、本発明の条件を満たす鋼板は、以下の条件をすべて満たす、極めて優れた特性を備えていた。特に、優れた疲労き裂伝播抵抗性と全伸びを兼ね備えており、さらに、板厚方向、圧延方向、および幅方向のすべてにおいて疲労き裂伝播抵抗性に優れていた。これに対して、本発明の条件を満たさない比較例の鋼板は、以下の条件の少なくとも1つを満たさなかった。
TS:500MPa以上
EL:15%以上(JIS1A号試験片を使用した場合)、
EL:19%以上(JIS5号試験片を使用した場合)、
vE:100J以上
L方向およびC方向における疲労き裂伝播速度:
ΔK:15MPa/m1/2の条件において1.75×10-8(m/cycle)以下、
ΔK:25MPa/m1/2の条件において8.50×10-8(m/cycle)以下、
Z方向における疲労き裂伝播速度:
ΔK:15MPa/m1/2の条件において8.75×10-9(m/cycle)以下、
ΔK:25MPa/m1/2の条件において4.25×10-8(m/cycle)以下、
平均板厚減少量:22μm以下
Figure 0007616164000001
Figure 0007616164000002
Figure 0007616164000003

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.010%以上、0.200%以下、
    Si:0.05%以上、1.00%以下、
    Mn:0.20%以上、2.00%以下、
    P:0.001%以上、0.030%以下、
    S:0.0001%以上、0.0350%以下、
    Al:0.001%以上、0.100%以下、
    Cu:0.10%以上、1.50%以下、
    Ni:0.10%以上、6.00%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    鋼板のミクロ組織が、面積分率で80%以上のベイナイトを含み、
    前記ベイナイトの平均結晶粒径が円相当径で50μm以下であることを特徴とする鋼板。
  2. 成分組成として、質量%で、Ni:2.00%超え、6.00%以下を含有し、
    さらに質量%で、
    Cr:3.00%以下、
    Mo:1.00%以下、
    W:1.00%以下、
    Co:1.000%以下、
    Sn:0.300%以下、
    Sb:0.300%以下、
    Nb:0.100%以下、
    V:0.150%以下、
    Ti:0.100%以下、
    B:0.0050%以下、
    Zr:0.100%以下、
    Ca:0.0100%以下、
    Mg:0.0100%以下、
    REM:0.0200%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有するスラブを1050℃以上、1250℃以下の温度域に加熱し、
    前記加熱後に、スラブ加熱温度未満、Ar点以上の温度域における累積圧下率が80%以上となる熱間圧延を行うことを特徴とする鋼板の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有するスラブを1050℃以上、1250℃以下の温度域に加熱し、
    前記加熱後に、950℃以上の温度域での累積圧下率が30%以上、
    950℃未満、Ar点以上の温度域での累積圧下率が30%以上となる熱間圧延を行うことを特徴とする鋼板の製造方法。
  5. 前記熱間圧延後に、加速冷却を行い、
    前記加速冷却において冷却開始温度がAr点以上、冷却停止温度が700℃以下、400℃以上、冷却開始から冷却停止までの鋼板表面における平均冷却速度が2.0℃/s以上であることを特徴とする請求項3に記載の鋼板の製造方法。
  6. 前記熱間圧延後に、加速冷却を行い、
    前記加速冷却において冷却開始温度がAr点以上、冷却停止温度が700℃以下、400℃以上、冷却開始から冷却停止までの鋼板表面における平均冷却速度が2.0℃/s以上であることを特徴とする請求項4に記載の鋼板の製造方法。
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