以下の説明では、本開示の特定の実施形態を示す添付の図面を参照する。構造物および動作が異なる他の実施形態も本開示の範囲から逸脱しない。
本開示の例示的な実施形態は、欠陥のある心臓弁を修復するためのデバイスおよび方法を対象とする。送達するための天然の弁の修復デバイスおよびシステムの様々な実施形態が本明細書に開示され、特に除外されない限り、これらの選択肢の任意の組合せを得ることができることに留意されたい。言い換えると、開示されたデバイスおよびシステムの個々の構成要素は、互いに相容れないか、それとも物理的に不可能でない限り、組み合わせることができる。
本明細書に記載のように、1つまたは複数の構成要素が、連結される、接合される、付けられる、結合される、取り付けられる、または別の方法で相互連結されると記述される場合、このような相互連結は、構成要素間のように直接であることも、1つまたは複数の中間構成要素を使用するなどにより間接的であることもある。また本明細書に記載のように、「部材」、「構成要素」または「部分」に言及することは、単一の構造上の部材、構成要素または要素に限定されるものではなく、構成要素、部材または要素のアセンブリを含み得る。さらに本明細書に記載のように、用語の「実質的に」および「約」は、所与の値または状態に(好ましくはその10%以内、より好ましくはその1%以内、最も好ましくはその0.1%以内で)少なくとも近い(およびその値または状態を含む)と定義される。
図1および図2は、それぞれ拡張期および収縮期のヒトの心臓Hの切断図である。右心室RVおよび左心室LVはそれぞれ、右心房RAおよび左心房LAから三尖弁TVおよび僧帽弁MV、すなわち房室弁によって分離される。加えて、大動脈弁AVは左心室LVを上行大動脈AAから分離し、肺動脈弁PVは右心室を肺動脈から分離する。これらの弁のそれぞれは、それぞれの開口部にわたって内向きに伸長する柔軟な弁尖(たとえば、図4および図5に示される弁尖20、22)を有し、これらの弁尖は流れ中で一緒になって、すなわち「接合」して、一方向流体遮断面を形成する。本出願の天然の弁修復システムは、主として僧帽弁MVに関して記述される。したがって、左心房LAおよび左心室LVの解剖学的構造が非常に詳細に説明される。本明細書で記述されるデバイスはまた、他の天然の弁を修復するのにもまた使用できること、たとえばこのデバイスは、三尖弁TV、大動脈弁AV、および肺動脈弁PVを修復するのに使用できることを理解されたい。
左心房LAは、肺から酸素化血液を受け取る。図1に見られる拡張期(diastolic phaseまたはdiastole)の間、先に(収縮期の間に)左心房LAに集められた血液は、左心室LVが拡張することによって僧帽弁MVを通過して左心室LVに入る。図2に見られる収縮期(systolic phaseまたはsystole)には、左心室LVは収縮して、強制的に血液を大動脈弁AVおよび上行大動脈から身体の中へ通す。収縮の間、僧帽弁MVの弁尖は閉じて、血液が左心室LVから元の左心房LAの中へ逆流することを防止し、血液は肺静脈から左心房に集められる。1つの例示的な実施形態では、本出願によって記述されるデバイスは、欠陥のある僧帽弁MVの機能を修復するために使用される。すなわち、デバイスは、僧帽弁の弁尖が閉じて、血液が左心室LVから元の左心房LAの中へ逆流することを防止するのに役立つように構成される。縫合糸またはクリップを使用することを記述する従来技術では、大きい逆流を処置するために多数の縫合糸またはクリップおよび追加の支持体をしばしば必要とするのとは異なり、本出願において記述されるデバイスは、逆流開口部の充填材として機能する接合要素のまわりで天然の弁尖を容易に把持および固定するように設計されている。本出願では、接合要素、スペーサ、スペーサ要素、および接合形成(coaptation)要素という用語は、僧帽弁または三尖弁などの、天然の心臓弁の間の空間の一部を埋める構成要素を指す。
次に図1~図7を参照すると、僧帽弁MVは2つの弁尖、前弁尖20および後弁尖22を含む。僧帽弁MVはまた、弁尖20、22を取り巻く不定の密度の組織の繊維質リングである弁輪24を含む。図3を参照すると、僧帽弁MVは、腱索10によって左心室LVの壁に係留されている。腱索10は、乳頭筋12(すなわち、腱索の基部および左心室の壁の中にある筋肉)を僧帽弁MVの弁尖20、22に連結する索状腱である。乳頭筋12は、僧帽弁MVの動きを制限し、僧帽弁が逆戻りしないようにする働きをする。僧帽弁MVは、左心房LAおよび左心室LV内の圧力変化に応じて開閉する。乳頭筋は、僧帽弁MVを開いたり閉じたりしない。むしろ乳頭筋は、血液を全身に循環させるのに必要な高い圧力に抗して僧帽弁MVを固定する。乳頭筋および腱索は、合わせて弁下器官として知られており、僧帽弁が閉じているときに左心房LAの中へ僧帽弁MVが脱出することを防ぐように機能する。
様々な疾患過程で、心臓Hの天然の弁の1つまたは複数の適切な機能を損なうことがある。これらの疾患過程には、変成過程(たとえば、バーロー病、線維弾性欠乏)、炎症過程(たとえば、リウマチ性心疾患)、および感染過程(たとえば、心内膜炎)が含まれる。加えて、以前の心臓発作による左心室LVまたは右心室RVの損傷(すなわち、冠動脈疾患に続く心筋梗塞)または他の心臓疾患(たとえば、心筋症)では、天然の弁の幾何形状が変形することがあり、この変形により天然の弁が機能不全を引き起こす。しかし、僧帽弁MVの手術などの弁手術を受ける患者の大多数は、天然の弁(たとえば、僧帽弁MV)の弁尖(たとえば、弁尖20、22)の機能不全を引き起こす変性疾患を患っており、この機能不全の結果として脱出および逆流が生じる。
一般に、天然の弁は2つの異なる状態、すなわち(1)弁狭窄、および(2)弁逆流、で正常に機能しなくなり得る。弁狭窄は、天然の弁が完全に開かず、それによって血流障害が生じるときに起こる。典型的には、弁狭窄は、弁の弁尖に石灰化物質が蓄積する結果として生じ、この蓄積により弁尖が厚くなり、順方向血流を可能にするように弁を完全に開く機能が損なわれる。
弁機能不全の第2のタイプである弁逆流は、弁の弁尖が完全に閉じず、それによって血液が前室に戻って漏洩することになる(たとえば、血流が左心室から左心房へ漏洩することになる)ときに生じる。天然の弁が逆流性、すなわち無能になる3つの主要な機構があり、これには、カーペンティアのI型、II型、およびIII型の機能不全が含まれる。カーペンティアI型機能不全は、正常に機能している弁尖が互いにそれて密封止ができない(すなわち、弁尖が適切に接合しない)ような、弁輪の拡張を伴う。I型の機能不全には、心内膜炎にあるような弁尖の穿孔が含まれる。カーペンティアのII型機能不全は、接合面上の天然の弁の1つまたは複数の弁尖の脱出を伴う。カーペンティアのIII型機能不全は、弁尖が弁輪の面の下に異常に拘束されるような、天然の弁の1つまたは複数の弁尖の動きの制約を伴う。弁尖制約は、リウマチ性疾患(Ma)または心室の拡張(IIIb)によって引き起こされ得る。
図4を参照すると、健康な僧帽弁MVが閉状態にあるとき、前弁尖20と後弁尖22とは接合し、これにより血液が左心室LVから左心房LAへ漏洩することが防止される。図5を参照すると、逆流は、僧帽弁MVの前弁尖20および/または後弁尖22が収縮期の間に左心房LAの中へ変位したときに起こる。この接合の障害により、前弁尖20と後弁尖22との間に隙間26が生じ、この隙間により、収縮期の間に血液が左心室LVから左心房LAの中へ逆に流される。前に論述したように、弁尖(たとえば、僧帽弁MVの弁尖20、22)が正常に機能しなくなり得る多種多様な異なる方法があり、それによって逆流を招き得る。
図6を参照すると、いくつかの状況で、患者の僧帽弁MVには、僧帽弁が閉状態にあるときに(すなわち、収縮期の間に)前弁尖20と後弁尖22との間に広い隙間26があり得る。たとえば、隙間26は、約5mmから約15mmの間などの、約7.5mmから約12.5mmの間などの、約10mmなどの約2.5mmから約17.5mmの間の幅Wを有し得る。いくつかの状況では、隙間は15mmよりも大きい幅Wを有し得る。上述の状況のいずれでも、前弁尖20と後弁尖22とを係合して隙間26を閉じ、僧帽弁MVを通る血液の逆流を防止することができる弁修復デバイスが望まれる。
狭窄または逆流はどの弁にも影響を及ぼし得るが、狭窄は、大動脈弁AVまたは肺動脈弁PVに影響を及ぼすことが主として見出され、逆流は、僧帽弁MVまたは三尖弁TVに影響を及ぼすことが主として見出されている。弁狭窄も弁逆流も心臓Hの作業負荷を増大させ、未治療のままの場合には、心内膜炎、うっ血性心不全、恒久的な心臓損傷、心停止などの非常に深刻な病状を招き、最終的には死を招き得る。心臓の左側(すなわち、左心房LA、左心室LV、僧帽弁MV、および大動脈弁AV)は血液流を全身に循環させることを主に担っているので、僧帽弁MVまたは大動脈弁AVの機能不全が特に問題となり、しばしば生命を危うくする。それに応じて、心臓の左側のかなり高い圧力の故に、僧帽弁MVまたは大動脈弁AVの機能不全がより問題となることが多い。
正常に機能しない天然の心臓弁は、修復または置換することができる。修復は通常、患者の天然の弁を保存および補正することを含む。置換は通常、患者の天然の弁を生物学的または機械的代替物に置き換えることを含む。通常、大動脈弁AVおよび肺動脈弁PVは狭窄をより起こしやすい。弁尖が受けた狭窄損傷は不可逆的であるので、狭窄大動脈弁または狭窄肺動脈弁の最も通常の治療は、弁を取り除き、外科的に移植される心臓弁に置き換えること、または弁を経カテーテルの心臓弁に置換することである。僧帽弁MVおよび三尖弁TVは弁尖の変形をより起こしやすく、この変形は、上述のように、僧帽弁または三尖弁が適正に閉じることを妨げ、心室から心房へ血液を逆流すなわちバックフローさせる(たとえば、変形僧帽弁MVは、左心室LVから左心房LAへ逆流すなわちバックフローさせる)。心室から心房への血液の逆流すなわちバックフローは弁閉鎖不全症を招く。僧帽弁MVまたは三尖弁TVの構造または形状の変形は、修復可能であることが多い。加えて、逆流は機能不全になっている腱索10によって起こることがあり(たとえば、腱索は伸びたり断裂したりすることがある)、この腱索は、血液を左心房LAの中へ逆流させるように前弁尖20および後弁尖22を逆戻りさせる。機能不全の腱索10により生じるこれらの問題は、腱索または僧帽弁の構造体を修復することによって(たとえば、影響を受けた僧帽弁の部分において弁尖20、22を固定することによって)、修復することができる。
本明細書で開示されるデバイスおよび手順では、例示のために僧帽弁の構造を修復することに言及する。しかし、本明細書で提示されるデバイスおよび概念は、あらゆる天然の弁、ならびに天然の弁の任意の構成要素を修復するために使用できることを理解されたい。たとえば、次に図7を参照すると、本明細書で提示されるデバイスおよび概念のいずれも、三尖弁TVを修復するのに使用することができる。たとえば、本明細書で提示されるデバイスおよび概念のいずれも、前弁尖30、中隔弁尖32、および後弁尖34のいずれか2つの間に使用して、右心室から右心房への血液の逆流を防止することができる。加えて、本明細書で提示されるデバイスおよび概念のいずれも、弁尖30、32、34の3つすべてに一緒に使用して、右心室から右心房への血液の逆流を防止することができる。すなわち、本明細書で提示される弁修復デバイスは、3つの弁尖30、32、34の間の中心に設置することができる。
例示的な移植可能な補綴デバイスは、接合要素と少なくとも1つのアンカーとを有する。接合要素は、天然の心臓弁口の中に配置されて空間を埋め、より効果的な封止部を形成する助けになり、それによって、上述の逆流を低減または防止するように構成される。接合要素は、血液不浸透性であるか、または血液に対して耐性を有する、構造物を有することができ、この構造物は、心室収縮中に天然の弁尖が接合要素の周囲で閉じて、血液が左心室または右心室からそれぞれ左心房または右心房に逆に流れ込むことを阻止できるようにする。補綴デバイスは、2つまたは3つの天然の弁尖を封止するように構成することができる。すなわち、このデバイスは天然の僧房弁(二尖弁)および三尖弁に使用することができる。接合要素は、場合により本明細書ではスペーサと呼ばれる。その理由は、完全に閉じずに、不適正に機能している天然の僧帽弁または三尖弁の間の空間を接合要素が埋めることができるからである。
接合要素(たとえば、スペーサ、接合部分要素、など)は、様々な形状を有することができる。他の実施形態では、接合要素は、断面が円形の形状の細長い円筒形状を有することができる。いくつかの実施形態では、接合要素は楕円の断面形状、三日月形の断面形状、長方形の断面形状、または他の様々な非円筒形状を有することができる。接合要素は、左心房の中または近傍に配置される心房部と、左心室の中または近傍に配置される心室部すなわち下部と、天然の僧帽弁尖の間に伸長する側面と、を有することができる。三尖弁に使用するように構成された実施形態では、心房部すなわち上部は右心房の中または近傍に配置され、心室部すなわち下部は右心室の中または近傍に配置され、側面は天然の三尖弁弁尖の間に伸長する。
アンカーは、接合要素が2つの天然の弁尖の間に配置されるように、天然の僧帽弁尖の一方または両方にデバイスを固定するように構成することができる。三尖弁に使用するように構成された実施形態では、接合要素が3つの天然の弁尖の間に配置されるように、アンカーは、デバイスを三尖弁弁尖のうちの1つ、2つ、または3つに固定するように構成される。いくつかの実施形態では、アンカーは、接合要素の心室部に隣接する位置において接合要素に付くことができる。いくつかの実施形態では、アンカーは、接合要素もまた取り付けられるシャフトまたは作動ワイヤなどの、作動要素に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素は、シャフト、または作動ワイヤの長手方向軸に沿ってアンカーおよび接合要素のそれぞれを別々に動かすことによって、互いに別個に配置することができる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素は、シャフトまたは作動ワイヤの長手方向軸に沿ってアンカーと接合要素とを一緒に動かすことによって、同時に配置することができる。アンカーは、弁尖がアンカーによって把持されるように移植された場合に、天然の弁尖の後ろに位置するように構成することができる。
補綴デバイスは、送達シースを通して移植されるように構成することができる。接合要素およびアンカーは、径方向に圧縮された状態へ圧縮可能にすることができ、また圧縮圧力が解放されたときに径方向に拡張された状態へ自己拡張可能にすることができる。デバイスは、接合要素とアンカーとの間に隙間を作り出すためにアンカーが、最初に静止圧縮された接合要素から径方向に拡張されるように構成することができる。次に、天然の弁尖が隙間に配置される。接合要素は径方向に拡張して接合要素とアンカーとの間の隙間を閉じ、接合要素とアンカーとの間に弁尖を捕捉することができる。いくつかの実施形態では、アンカーおよび接合要素は、自己拡張するように任意選択で構成される。様々な実施形態の移植方法は異なってもよく、各実施形態について以下でより全面的に論じる。これらおよび他の送達方法に関する追加の情報は、特許文献1~4に記載されており、各々全体として参照により本明細書に組み込まれている。これらの方法は、生きている動物、または、解剖用死体、解剖用死体の心臓、模擬実験装置(たとえば、体の一部、組織などが模擬される)などの模擬実験で実行できる。
開示された補綴デバイスは、アンカーが弁尖に連結されて、デバイスを左心房の方へ付勢する高い収縮圧力に耐えるために天然の軸索からの張力を利用するように構成することができる。拡張期の間、デバイスは、アンカーによって把持されている弁尖にかかる圧縮力および保持力に依拠することができる。
次に図8~図14を参照すると、概略的に示された移植可能な補綴デバイス100が配備の様々な段階で示されている。デバイス100は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス100は、適切な任意の弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の修復システム)の一部として弁組織20、22と係合するように配置することができる。
デバイス100は、送達シースまたは送達のための手段102から配備され、接合部または接合部分104およびアンカー部106を含む。デバイス100の接合部分104は、天然の弁(たとえば、天然の僧帽弁、三尖弁など)の弁尖の間に移植されるように適合され、作動要素112(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフト、作動チューブなど)に摺動可能に取り付けられている接合要素または接合のための手段110を備える。アンカー部106は、開状態と閉状態との間で作動され、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素または作動のための手段112を作動するとデバイス100のアンカー部106が開閉して、移植中に天然の弁尖を把持する。作動要素112(たとえば、ワイヤ、シャフト、チューブ、ねじ、ラインなど)は、広範な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素は、作動要素(たとえば、ワイヤ、シャフト、チューブ、ねじなど)が回転するとアンカー部106が接合部104に対して動くように、ねじ山を付けることができる。あるいは、作動要素は、作動要素112を押すか引っ張るとアンカー部106が接合部104に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
デバイス100のアンカー部106は、キャップ114と接合要素または接合のための手段110との間に部分124、126、128によって連結される外側パドル120および内側パドル122を含む。部分124、126、128は、以下で述べるすべての位置の間で動くように結合する、かつ/または可撓性とすることができる。外側パドル120、内側パドル122、接合要素または接合のための手段110、およびキャップ114を部分124、126、および128によって相互連結することにより、デバイスを本明細書に示される位置および動きに制約することができる。
いくつかの実装形態において、作動要素または作動のための手段112(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフトなど)は、送達シースおよび接合要素または接合のための手段110を通って、アンカー部106の遠位連結部のキャップ114まで伸長する。作動要素または作動のための手段112を伸長し引き込むと、接合要素または接合のための手段110とキャップ114との間の間隔がそれぞれ増大し低減する。カラーまたは他の取り付け要素により、接合要素または接合のための手段110を送達シースまたは送達のための手段102に取り外し可能に取り付け、これによって作動要素または作動のための手段112は作動時にカラーまたは他の取り付け要素および接合要素または接合のための手段110内を摺動して通り、アンカー部106のパドル120、122を開閉する。
次に図11を参照すると、アンカー部106は、取り付け部または把持部材を含む。図示の把持部材は、基部もしくは固定アーム132、可動アーム134、返しまたは固定のための他の手段136、および結合部138を含む、返し付き留め具130を備える。固定アーム132は、内側パドル122に取り付けられ、結合部138は接合要素または接合のための手段110に隣接して配置されている。返し付き留め具は平坦な面を有し、パドルの凹部に嵌まらない。むしろ、返し付き留め具の平坦部分は、内側パドル122の表面に対向して配置される。結合部138は、返し付き留め具130の固定アーム132と可動アーム134との間にスプリング力を与える。結合部138は、可撓性結合、ばね結合、旋回結合などの適切な任意の結合とすることができる。いくつかの実施形態では、結合部138は、固定アーム132および可動アーム134と一体化して形成された材料からなる可撓性部片である。固定アーム132は、内側パドル122に取り付けられており、可動アーム134が開かれて返し付き留め具130が開くと共に返し、または固定のための手段136が露出するときに、内側パドル122に対して静止したままである。いくつかの実装形態において、返し付き留め具130は、可動アーム134に取り付けられた作動ライン116に張力を加えることによって開かれ、それによって可動アーム134が結合部138を支点にして関節動作をするか、屈曲するか、または旋回する。他の作動機構も可能である。
移植時に、パドル120、122は、たとえば、パドル120、122と接合要素もしくは接合のための手段110との間で天然の弁尖または天然の僧帽弁弁尖を把持するように、開閉され得る。返し付き留め具130は、弁尖を返し、または固定のための手段136と係合させることによって、また弁尖を可動アーム134と固定アーム132との間に挟み付けることによって、天然の弁尖を把持し、かつ/またはさらに固定するために使用することができる。返し付き留め具130の返し、もしくは固定のための手段136は、弁尖との摩擦を増大させるか、または部分的にもしくは完全に弁尖を穿孔することができる。作動ライン116は別々に作動することができ、それにより、各返し付き留め具130は別々に開閉することができる。別々に動作することにより、一度に1つずつ弁尖が把持されることが可能になり、あるいは、不十分に把持された弁尖の留め具130を、他方の弁尖の成功した把持を変えなくても再配置することが可能になる。返し付き留め具130は、内側パドル122の位置に対して開閉することができ(内側パドルが開位置にある限り)、それによって弁尖が、特定の状況で必要とされる様々な状態で把持されることが可能になる。
返し付き留め具130は、送達シースまたは送達のための手段102を通って返し付き留め具130まで伸長する取り付けられている作動ライン116を引っ張ることによって、別々に開くことができる。作動ライン116は、たとえばライン、糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルなどの、多種多様な形を取ることができる。返し付き留め具130にはばね負荷をかけることができ、それにより閉位置において返し付き留め具130は、把持された天然の弁尖にピンチ力を継続して与える。このピンチ力は、内側パドル122の位置にかかわらず一定のままである。返し付き留め具130の返しまたは固定のための手段136は、天然の弁尖を穿孔して天然の弁尖をさらに固定することができる。
次に図8を参照すると、デバイス100は、送達シースから配備するための細長い、すなわち完全に開いた状態で示されている。デバイス100は、完全に開いた状態で送達シースに装填される。その理由は、完全に開いた状態では占める空間が最少になり、最小のカテーテルを使用すること(または、所与のカテーテルサイズに対して最大のデバイス100を使用すること)が可能になるからである。細長い状態においてキャップ114は、アンカー部106のパドル120、122が完全に伸長されるように、接合要素または接合のための手段110から間隔があけられる。いくつかの実施形態では、外側パドル120の内側と内側パドル122の内側との間に形成される角度は、約180度である。返し付き留め具130は送達シースまたは送達のための手段102による配備中、閉状態に保持され、それにより、返しまたは固定のための手段136(図11)は、シースまたは患者の心臓の組織を引っかけたり損傷させたりすることがない。
次に図9を参照すると、デバイス100は、図8と同様に、細長く絡み合う状態で示されているが、返し付き留め具130は完全開位置にあり、返し付き留め具130の固定位置と可動位置との間で、約140度から約200度まで、約170度から約190度までの範囲内、または約180度にある。パドル120、122および返し付き留め具130を完全に開くと、デバイス100の移植時に、患者の解剖学的構造からの絡まりの取り除きまたは脱離のしやすさが改善することが分かった。
次に図10を参照すると、デバイス100が、短くなった、すなわち完全に閉じた状態で示されている。短くなった状態のデバイス100のサイズがコンパクトなことにより、心臓内部におけるより容易な操作および配置が可能になる。デバイス100を細長い状態から短くなった状態へ移すために、作動要素または作動のための手段112が引き込まれてキャップ114が接合要素または接合のための手段110の方へ引っ張られる。外側パドル120と内側パドル122との間の継手または可撓性接続部126は、接合要素または接合のための手段110の方へ引っ込められるキャップ114から外側パドル120に作用する圧縮力がパドル120、122または把持要素を半径方向外向きに移動させるように、移動を制約される。開位置から閉位置への動きの間、外側パドル120は、作動要素または作動のための手段112となす鋭角を維持する。外側パドル120は、任意選択で閉位置の方へ付勢することができる。同じ動きの間、内側パドル122は、開位置の接合要素または接合のための手段110から離れる向きになるにつれてかなり大きい角度を経て動き、閉位置の接合要素または接合のための手段110の側面に沿って折りたたまれる。いくつかの実施形態では、内側パドル122は外側パドル120よりも薄く、かつ/または細く、また内側パドル122に連結された結合部すなわち可撓性部分126、128は薄く、かつ/またはより可撓性にすることができる。たとえば、この可撓性の増加により、外側パドル120をキャップ114に連結する結合部すなわち可撓性部分124よりも大きい動きが可能になる。いくつかの他の実施形態では、外側パドル120は内側パドル122よりも細い。内側パドル122に連結された結合部すなわち可撓性部分126、128は、たとえば、外側パドル124をキャップ114に連結する結合部すなわち可撓性部分120よりも大きい動きを可能にするために、より可撓性にすることができる。一実施形態において、内側パドル122は、外側パドルと同じ幅、または実質的に同じ幅とすることができる(たとえば、図65A参照)。
次に図11~図13を参照すると、デバイス100は、不完全に開いている、すぐに把持できる状態で図示されている。完全に閉じた状態から不完全に開いた状態へ移るために、作動要素または作動のための手段112が伸長されてキャップ114を接合要素または接合のための手段110から押し離し、それによって外側パドル120が引っ張られ、次に外側パドルが内側パドル122を引っ張って、アンカー部106が不完全に広がる。作動ライン116はまた、引っ張られて留め具130を開き、それにより弁尖を把持することができる。図11に示された例では、内側パドル122と外側パドル120との対は、単一の作動要素または作動のための手段112によって別々にではなく一致して動く。また、留め具130の位置は、パドル122、120の位置に依存する。たとえば、図10を参照すると、パドル122、120を閉じると留め具もまた閉じる。
図11Aは、パドル120、122が独立して制御可能である例示的な実施形態を示す。図11Aに示されたデバイス100Aは、2つの別個のキャップ114A、114Bに結合されている、2つの独立した作動要素112A、112Bとして構成されている作動要素をデバイス100Aが含むことを除いて、図11に示されたデバイスと類似している。第1の内側パドルおよび第1の外側パドルを完全に閉じた状態から不完全に開いた状態へ移すために、作動要素または作動のための手段112Aが伸長されてキャップ114Aを接合要素または接合のための手段110から押し離し、それによって外側パドル120が引っ張られ、次に外側パドルが内側パドル122を引っ張って、第1のアンカー部106が不完全に広がる。第2の内側パドルおよび第2の外側パドルを完全に閉じた状態から不完全に開いた状態へ移すために、作動要素または作動のための手段112Bが伸長されてキャップ114を接合要素または接合のための手段110から押し離し、それによって外側パドル120が引っ張られ、次に外側パドルが内側パドル122を引っ張って、第2のアンカー部106が不完全に広がる。図11Aで示された独立したパドル制御は、本出願によって開示されたデバイスのいずれでも実施することができる。
次に図12を参照すると、作動ライン116の一方が伸長されて、留め具130の一方が閉じることを可能にする。次に図13を参照すると、他方の作動ライン116が伸長されて、他方の留め具130が閉じることを可能にする。作動ライン116のどちらかまたは両方を繰り返し作動して、返し付き留め具130を繰り返し開閉することができる。
次に図14を参照すると、デバイス100は、完全に閉じられ、配備された状態で図示されている。送達シースまたは送達のための手段102および作動要素または作動のための手段112は引き込まれ、パドル120、122および留め具130は完全に閉じた位置のままである。配備された後、デバイス100は、機械的な掛止によって完全に閉じた位置に維持することができ、あるいは、鋼、他の金属、プラスチック、複合材などのばね材料、またはニチノールなどの形状記憶合金を使用することによって、閉じたままになるように付勢することができる。たとえば、継ぎ目のある、すなわち可撓性の部分124、126、128、138、および/または内側パドルおよび外側パドル122、および/または追加の付勢構成要素(図28の構成要素524参照)は、鋼などの金属、またはニチノールなどの形状記憶合金で形成する(ワイヤ、シート、チューブ、またはレーザ焼結粉末として生成する)ことができ、外側パドル120を接合要素または接合のための手段110のまわりで閉じておく、かつ返し付き留め具130を天然の弁尖のまわりに挟み付けておくように付勢される。同様に、返し付き留め具130の固定アーム132および可動アーム134は、弁尖を挟み付けるように付勢される。いくつかの実施形態では、取り付けまたは結合部124、126、128、138、および/または内側パドルおよび外側パドル122および/または追加の付勢構成要素(図28の構成要素またはフレーム524参照)は、移植後にデバイスを閉状態に維持するために、金属またはポリマー材料などの他の適切な任意の弾性材料で形成することができる。
次に図226~図231を参照すると、移植可能なデバイス100は、カバー140を設けられた状態で図示されている。カバー140は、微細網のポリエチレン布などの布材料であってよい。布カバーは、スペーサの表面の血液封止をすること、および/または速やかな組織内部成長を助長することができる。カバー140は、デバイス100の異なる部分を各々が覆う第1のカバー部分142および第2のカバー部分144を備えている。いくつかの実施形態において、第1のカバー部分142および第2のカバー部分144のうちの一方の一部は、第1のカバー部分142および第2のカバー部分144のうちの他方の一部と重なり合う。第1のカバー部分142および第2のカバー部分144は、第1のカバー部分142および第2のカバー部分144のうちの一方と重なり合う重なり部分146を備えることができる。
次に図226~図229を参照すると、第1のカバー部分142および第2のカバー部分144の様々な配置が、重なり合う部分146なしで図示されている。次に図226を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142(細線クロスハッチングで表されている)は、キャップ114から伸長して、キャップ114、外側パドル120、内側パドル122、および留め具130の固定アーム132を覆う。単一材料片であってよい、第2のカバー144(細線クロスハッチングによって表される)は、接合要素または接合のための手段110を覆う。
次に図227を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142は、キャップ114から伸長して、キャップ114、外側パドル120、内側パドル122、留め具130の固定アーム132および可動アーム134を覆う。図226のカバー140と同様に、第2のカバー144は、接合要素または接合のための手段110を覆う。
次に図228を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142は、キャップ114から伸長して、キャップ114、外側パドル120、内側パドル122、および留め具130の固定アーム132を覆う。単一材料片から作ることができる、第2のカバー144は、接合要素または接合のための手段110を覆い、接合要素または接合のための手段110から伸長して留め具130の可動アーム134を覆う。
次に図229を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142は、キャップ114から伸長して、キャップ114および外側パドル120を覆う。単一材料片から作ることができる、第2のカバー144は、接合要素または接合のための手段110を覆い、接合要素または接合のための手段110から伸長して内側パドル、ならびに留め具130の固定アーム132および可動アーム134を覆う。
次に図230~図231を参照すると、第1のカバー部分142および第2のカバー部分144の配置が、重なり合う部分146を含むように図示されている。次に図230を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142は、キャップ114から伸長して、キャップ114、外側パドル120、内側パドル122、ならびに留め具130の固定アーム132および可動アーム134を覆う。単一材料片から作ることができる、第2のカバー144は、接合要素または接合のための手段110を覆い、接合要素または接合のための手段110から伸長して第1のカバー142によって覆われる可動アーム134の一部と重なり合う重なり部分146を含む。
次に図231を参照すると、単一材料片から作ることができる、第1のカバー部分142は、キャップ114から伸長して、キャップ114、外側パドル120、内側パドル122、および留め具130の固定アーム132を覆う。単一材料片から作ることができる、第2のカバー144は、接合要素または接合のための手段110および留め具130の可動アーム134を覆う。第1のカバー142は、固定アーム132および内側パドル122から伸長して第2のカバー144によって覆われる可動アーム134および接合要素または接合のための手段110の一部と重なり合う重なり部分146も備える。
次に図15~図20を参照すると、図8~図14の移植可能なデバイス100が、心臓Hの天然の僧帽弁MVの中に送達され移植されて示されている。図示され、かつ/または説明される方法およびステップは、生きている動物、または、解剖用死体、解剖用死体の心臓、模擬実験装置(たとえば、体の一部、心臓、組織などが模擬される)などの模擬実験で実行できる。
次に図15を参照すると、送達シースが左心房LAの中へ中隔を通して挿入され、デバイス100が完全に開いた状態で送達シースから配備されている。次に作動要素または作動のための手段112が引き込まれて、デバイス100が図16に示された完全に閉じた状態へ移る。図17で分かるように、デバイス100は、心室LVの中への僧帽弁MV内の所定の位置に入れられ、不完全に開き、それにより弁尖20、22を把持することができる。次に図18を参照すると、作動ライン116が伸長されて留め具130の一方が閉じ、それによって弁尖20が捕捉される。図19は他方の作動ライン116を示し、これは次に伸長されて他方の留め具130を閉じ、それによって残りの弁尖22が捕捉されている。図20で分かるように、次に送達シースまたは送達のための手段102および作動要素または作動のための手段112および作動ライン116が引き込まれ、デバイス100が完全に閉じられ、天然の僧帽弁MV内に配備される。
次に図21を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス200またはそのフレームが示されている。いくつかの実施形態において、デバイス200は、任意選択のスペーサ部材202、布カバー(図示せず)、およびスペーサ部材202から伸長するアンカー204を含む。各アンカー204の端部は、スペーサ部材202のそれぞれの支柱に、それぞれのスリーブ206によって結合することができ、これらのスリーブは、アンカー204の連結部およびスペーサ部材202の支柱のまわりに圧着または溶接することができる。1つの例示的な実施形態では、掛止機構がスペーサ部材202をアンカー204にスリーブ206内で結び付けることができる。たとえば、スリーブは、スペーサ部材202およびアンカー204の各端部からなる外側形状と一致する、またはそれよりもわずかに小さい内側形状を有するように機械加工することができ、それによりスリーブは、連結部に摩擦嵌合することができる。1つまたは複数の返しすなわち突起208は、スペーサ部材202のフレームに装着することができる。返しすなわち突起208の自由端は、丸い、とがっている、返しが付いているなど、様々な形状を備えることができる。突起208は、アンカー204によって天然の弁尖に対し保持力を作用させることができ、このアンカーは、天然の弁尖をスペーサ部材202の中へ強制的に内向きにするように形作られている。
次に図22を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス300またはそのフレームが示されている。いくつかの実施形態において、補綴スペーサデバイス300は、環状スペーサ部材302、布カバー(図示せず)、およびスペーサ部材302から伸長するアンカー304を含み、補綴スペーサ部材200と同様に構成することができる。1つまたは複数の返しすなわち突起306は、スペーサ部材302のフレームに装着することができる。突起306の端部は、ストッパー308を備えることができる。突起のストッパー308は、多種多様な異なる方法で構成することができる。たとえば、ストッパー308は、突起306が天然の弁尖を係合および/または穿孔することができる程度を制限するように構成することができ、かつ/またはストッパーは、突起306が組織を穿孔した後に突起306が組織から離脱することを防止するように構成することができる。
補綴スペーサデバイス300のアンカー304は、各アンカー304の曲線がアンカー204よりも大きい半径を含むことを除いて、補綴スペーサデバイス200のアンカー204と同様に構成することができる。そのため、アンカー304はスペーサ部材302の、アンカー204よりも相対的に大きい部分を覆う。これにより、たとえば、天然の弁尖組織をさらに保護するために、天然の弁尖に対するアンカー304の締め付け力を天然の弁尖の比較的大きい面にわたって分散させることができる。
補綴スペーサデバイスに関するさらなる詳細は、たとえば特許文献4および5に見出すことができ、これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。デバイス200、300は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス200、300は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に図23~図27を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス400およびその構成要素の例示的な実施形態が示されている。デバイス400は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス400は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に図23を参照すると、補綴スペーサすなわち接合デバイス400は、接合部404およびアンカー部406を含むことができ、アンカー部406は、複数のアンカー408を含む。接合部404は、接合部材すなわちスペーサ部材410を含む。アンカー部406は、複数のパドル420(たとえば、図示の実施形態では2つ)、および複数の留め具430(たとえば、図示の実施形態では2つ)を含む。第1すなわち近位のカラー411、および第2のカラーすなわちキャップ414が、接合部404とアンカー部406とを互いに動かすために使用される。
図25に示されるように、アンカー408の第1の連結部425は、接合部材すなわちスペーサ部材410の第1の部分417に結合され、そこから伸長することができ、アンカー408の第2の連結部421は、第1のカラー414に結合することができる。近位カラー411は、接合部材410の第2の部分419に結合することができる。
接合部材410およびアンカー408は、多種多様な方法で結合することができる。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材410およびアンカー408は、接合部材410およびアンカー408を単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、編まれたか織られた材料から接合部材410およびアンカー408を形成することによって達成することができる。他の実施形態では、接合部材410およびアンカー408は、溶接、締結具、接着剤、結合連結部、糸、摩擦嵌合、かしめ、および/または他の結合の手段によって結合することができる。
次に図24を参照すると、アンカー408は、第1の部分すなわち外側パドル420と、結合部423によって分離された第2の部分すなわち内側パドル422と、を備えることができる。この態様では、内側パドル422が脚の上部に似ており、外側パドル420が脚の下部に似ており、結合部423が脚の膝に似ているという点で、アンカー408は脚と同様に構成されている。いくつかの実施形態において、内側パドル部分422、外側パドル部分420、および結合部423は、金属織物などの、連続した織物のストリップから形成される。いくつかの実施形態において、織物のストリップは織物の複合ストリップである。
アンカー408は、キャップ414を近位カラー411に対して軸方向に、したがってアンカー408を接合部材410の第1の部分すなわち遠位部分417と第2の部分すなわち近位部分419との間に伸長する長手方向軸に沿って接合部材410に対して動かすことによって、様々な形態の間を移動するように構成することができる。たとえば、アンカー408は、キャップ414を接合部材410から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。まっすぐな形態では、パドル部分は、デバイスの長手方向軸の方向に並び、すなわちまっすぐになり、アンカー408の結合部423は、接合部材410の長手方向軸に隣接する(たとえば、図59に示された形態に類似している)。まっすぐな形態から、アンカー408は、接合部材410に向かって動かすことによって、完全に折りたたまれた形態(たとえば、図23)へ移ることができる。最初はキャップ414が接合部材410および/またはデバイスの別の部分に向かって動くにつれて、アンカー408は、結合部423、425、421において折れ曲がり、結合部423は、図24~図25に示されているように、接合部材410の長手方向軸に対して径方向外向きに、また接合部材410の第1の部分414に向かって軸方向に動く。キャップ414が継続して接合部材410に向かって動くにつれて、結合部423は、図23に示されているように、接合部材410の長手方向軸に対して径方向内向きに、また接合部材410の近位部分419に向かって軸方向に動く。
いくつかの実施形態では、アンカー408がまっすぐな形態であるとき(たとえば、図59参照)、アンカー408の内側パドル422と接合部材410との間の角度は約180度になることができ、アンカー408が完全に折りたたまれた形態であるとき(図23参照)、アンカー408の内側パドル422と接合部材410との間の角度は約0度になることができる。アンカー408は、アンカー408の内側パドル422と接合部材410との間の角度が約10度~170度、または約45度~135度になることができるように、様々な部分的に折りたたまれた形態で配置することができる。
アンカー408がまっすぐな、または実質的にまっすぐな形態(たとえば、接合部材410に対して約120度~180度)まで伸長することができるように補綴スペーサデバイス400を構成すると、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、これにより、補綴スペーサデバイス400の径方向のひだの輪郭を縮小することができる。また、天然の弁尖を把持するためのより大きい開口を設けることによって、天然の弁尖を把持しやすくすることができる。加えて、比較的細い、まっすぐな形態により、補綴スペーサデバイス400を送達装置の中に配置および/または回収するときに、補綴スペーサデバイス400が天然の解剖学的構造体(たとえば、腱索)に絡まることを防止する、またはその可能性を低減することができる。
再び図24を参照すると、留め具430は、アタッチメントすなわち固定部432、およびアームすなわち可動部434を備えることができる。アタッチメントすなわち固定部432は、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合または締結の手段を用いるなど、様々な方法でアンカー408の内側パドル422に結合することができる。
いくつかの実施形態において、可動部434は、開いた形態(たとえば、図24)と閉じた形態(図23および図25)との間で固定部432に対して関節動作するか、屈曲するか、または旋回することができる。いくつかの実施形態では、留め具430は閉じた形態へ付勢することができる。いくつかの実施形態において、開いた形態では、固定部432および可動部434は、天然の弁尖を固定部432と可動部434との間に配置できるように、互いに離れるように屈曲するか、または旋回する。いくつかの実施形態において、閉じた形態では、固定部432および可動部434は互いの方に向かって屈曲するか、または旋回し、それによって天然の弁尖を固定部432と可動部434との間に固定する。
図26~図27を参照すると、留め具430が上面斜視図に示されている。固定部432は(図26~図27には1つだけ示されている)、1つまたは複数の開口433(たとえば、図示の実施形態では3つ)を備えることができる。開口433のうちの少なくともいくつかは、固定部432をアンカー408に結合するために使用することができる。たとえば、糸および/または締結具が開口433を通り抜けて伸長して、固定部432をアンカー408に結合することができ、あるいは、溶接、接着剤など、他のアタッチメントを使用することができる。
可動部434は、1つまたは複数の側梁431を備えることができる。図示のように2つの側梁が含まれる場合、側梁は、スロット431Aを形成するように間隔をおいて配置することができる。スロット431Aは、固定部432を受け入れるように構成することができる。可動部434はまた、ばね部434Aを含むこともでき、このばね部は固定部432と、ばね部434Aの反対側に配置された返し支持部434Aと、に結合されている。
返し支持部434Bは、返し436Aおよび/または天然の弁尖組織を摩擦で係合する他の手段などの、グリッパー要素またはアタッチメント要素を備えることができる。グリッパー要素436Aは、天然の弁尖組織を係合および/または穿孔して、弁尖を留め具430の固定部432と可動部434との間に保持するのに役立つように構成することができる。
返し支持部434Bはまたハトメ435を備えることもでき、このハトメを使用して返し支持部434Bを、固定部432に対して可動部434を屈曲するか、または旋回させるように構成された作動機構に結合することができる。留め具430を作動機構に結合することに関するさらなる詳細は、以下で提示される。
いくつかの実施形態では、留め具430は、ニチノールなどの形状記憶材料、ステンレス鋼、および/または形状記憶ポリマーから形成することができる。いくつかの実施形態では、留め具430は、一片の平坦なシート材料(たとえば、ニチノール)またはチューブを図26に示される形態、または同様もしくは異なる形態にレーザ切削し、次に、図27に示される形態に留め具430を形状設定することによって形成することができる。
このようにして留め具430を形状設定することにより、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、留め具430は、形状設定された形態(たとえば、図27)から平坦な形態(たとえば、図26)へ、または留め具430の径方向のひだの輪郭を縮小する他の形態へ、任意選択で圧縮することができる。たとえば、返しは、任意選択で平坦な形態へ圧縮することができる。径方向のひだの輪郭を縮小することにより、送達装置のカテーテルシャフトに対する補綴スペーサデバイス400の追従性および回収可能性を改善することができる。その理由は、補綴スペーサデバイス400がカテーテルシャフトを通して送られる、またはカテーテルシャフトの中に回収されるときに、返し440がアンカー408の方へ径方向内向きに向いているからである(たとえば、図33参照)。これにより、返し430がカテーテルシャフトを引っかける、または削ることを防止する、またはその可能性を低減することができる。
加えて、留め具430を図27に示された形態に形状設定することにより、留め具430が閉じた形態のときの留め具430の締め付け力を増大させることができる。これは、可動部434が形状設定された形態に向かってさらに動くことをアンカー408が防止するので、留め具430がアンカー408に取り付けられているときに(たとえば、図25)、可動部434が、可動部434が達成できる位置を越える第1の位置(たとえば、図27)まで、固定部432に対して形状設定されているからである。この結果、留め具430がアンカー408に取り付けられている、かつ閉じた形態のときに、可動部434が予荷重を有することになる(すなわち、締め付け力がゼロよりも大きい)。したがって、留め具430を図27の形態に形状設定することにより、留め具430の締め付け力を、閉じた形態に形状設定されている留め具と比較して増大させることができる。
留め具430の予負荷の大きさは、可動部434が固定部432に対して形状設定される際の角度を調整することによって変えることができる。たとえば、可動部434と固定部432との間の相対的な角度を増大させると予負荷が増大し、可動部434と固定部432との間の相対的な角度を低減させると予負荷が低減する。これは、結合部、ヒンジ、材料などの形態に基づくなど、他の方法でも調整できる。
いくつかの実施形態では、近位カラー411および/または接合部材410は、血液が近位カラー411および/または接合部材410から流れ出ることを低減または防止するように構成された止血封止部413を備えることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、止血封止部413は、図23に示される複数の可撓性フラップ413Aを備えることができる。いくつかの実施形態において、フラップ413Aは、封止形態から開いた形態へ旋回して、送達装置のシャフトが第2のカラー410を通って伸長することを可能にするように構成することができる。1つの例示的な実施形態では、フラップ413Aは、送達装置のシャフトのまわりに封止部を形成する。送達装置のシャフトが取り除かれたときに、フラップ413Aは、開いた形態から封止形態に戻るように構成することができる。
次に図23Aを参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス400Aの例示的な実施形態が示されている。デバイス400Aは、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス400Aは、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
補綴スペーサまたは接合デバイス400Aは、接合部404Aおよびアンカー部406Aを含むことができ、アンカー部406Aは、複数のアンカー408Aを含む。接合部404Aは、接合部材またはスペーサ部材410Aを含む。アンカー部406Aは、複数のパドル420A(たとえば、図示の実施形態では2つ)、および複数の留め具430A(たとえば、図示の実施形態では2つ)を含む。第1のまたは近位カラー411A、および第2のカラーまたはキャップ414Aが、接合部404Aとアンカー部406Aとを互いに動かすために使用される。
接合部材410Aは、カラー411Aに組み付けられた近位部分419Aからアンカー408Aに連結する遠位部分417Aまで伸長する。接合部材410Aおよびアンカー408Aは、様々な方法で一緒に結合され得る。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材410Aおよびアンカー408Aは、接合部材410およびアンカー408を単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、編まれたか織られた材料の連続するストリップ401Aから接合部材410Aとアンカー408Aとを形成することによって達成することができる。
アンカー408Aは、ヒンジ部分425Aによって接合部材410Aに、ヒンジ部分421Aによってキャップ414Aに取り付けられる。アンカー408Aは、結合部423Aによって分離された第1の部分すなわち外側パドル420Aおよび第2の部分すなわち内側パドル422Aを備えることができる。結合部423Aは、キャップ414Aにヒンジ動作可能に取り付けられているパドルフレーム424Aに取り付けられている。この態様では、内側パドル422Aが脚の上部に似ており、外側パドル420Aが脚の下部に似ており、結合部423Aが脚の膝に似ているという点で、アンカー408Aは脚と同様に構成されている。図示の例では、内側パドル部分422A、外側パドル部分420A、および結合部423Aは、金属織物などの、連続した織物のストリップ410Aから形成される。
アンカー408Aは、キャップ414Aを近位カラー411Aに対して軸方向に、したがってアンカー408Aをキャップ414Aと近位カラー411Aとの間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に接合部材410Aに対して動かすことによって、様々な形態の間を移動するように構成することができる。たとえば、アンカー408は、キャップ414Aを接合部材410Aから離れるように動かすことによってまっすぐな形態(図60A参照)として配置することができる。まっすぐな形態では、パドル部分420A、422Aは、デバイスの長手方向軸の方向に並ぶか、またはまっすぐになり、アンカー408Aの結合部423Aは、接合部材410Aの長手方向軸に隣接する(たとえば、図60Aに示された形態に類似している)。まっすぐな形態から、アンカー408は、接合部材410に向かって動くことによって、完全に折りたたまれた形態(たとえば、図23A)へ移ることができる。最初に、キャップ414Aが接合部材410Aに向かって動くにつれて、アンカー408Aは、結合部421A、423A、425Aにおいて折れ曲がり、結合部423Aは、図53A~図54Aに示されているように、デバイス400Aの長手方向軸に対して径方向外向きに、また接合部材410Aの遠位部分417Aに向かって軸方向に動く。キャップ414Aが継続して接合部材410Aに向かって動くにつれて、結合部423Aは、図23Aに示されているように、デバイス400Aの長手方向軸に対して径方向内向きに、また接合部材410Aの近位部分419Aに向かって軸方向に動く。
いくつかの実施形態では、アンカー408Aがまっすぐな形態であるとき(たとえば、図60A参照)、アンカー408Aの内側パドル422Aと接合部材410Aとの間の角度は約180度になることができ、アンカー408Aが完全に折りたたまれた形態であるとき(図23A参照)、アンカー408Aの内側パドル422Aと接合部材410Aとの間の角度は約0度になることができる。アンカー408Aは、アンカー408Aの内側パドル422Aと接合部材410Aとの間の角度が約10度~170度、または約45度~135度になることができるように、様々な部分的に折りたたまれた形態で配置することができる。
アンカー408Aがまっすぐな、または実質的にまっすぐな形態(たとえば、接合部材410Aに対して約120度~180度)まで伸長することができるように補綴スペーサデバイス400Aを構成すると、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、これにより、補綴スペーサデバイス400Aの径方向のひだの輪郭を縮小することができる。また、天然の弁尖を把持するためのより大きい開口を設けることによって、天然の弁尖を把持しやすくすることができる。加えて、比較的細い、まっすぐな形態により、補綴スペーサデバイス400Aを送達装置の中に配置および/または回収するときに、補綴スペーサデバイス400Aが天然の解剖学的構造体(たとえば、腱索)に絡まることを防止する、またはその可能性を低減することができる。
留め具430Aは、アタッチメントすなわち固定部432C、およびアームすなわち可動部434Cを備えることができる。アタッチメントすなわち固定部432Cは、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合の手段を用いるなど、様々な方法でアンカー408Aの内側パドル422Aに結合することができる。留め具430Aは、留め具430に類似している。
いくつかの実施形態において、可動部434Cは、開いた形態(たとえば、図54A)と閉じた形態(図53A)との間で固定部432Cに対して関節動作するか、屈曲するか、または旋回することができる。いくつかの実施形態では、留め具430Aは閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部432Cおよび可動部434Cは、天然の弁尖を固定部432Aと可動部434Aとの間に配置できるように、互いに離れるように関節動作するか、旋回するか、または屈曲することができる。閉じた形態では、固定部432Cおよび可動部434Cは互いの方に向かって関節動作するか、旋回するか、または屈曲し、それによって天然の弁尖を固定部432Cと可動部434Cとの間に固定する。
ストリップ401Aは、カラー411A、キャップ414A、パドルフレーム424A、留め具430Aに取り付けられて、接合部404Aおよびデバイス400Aのアンカー部406Aの両方を形成する。例示されている実施形態において、接合部材410A、ヒンジ部分421A、423A、425A、外側パドル420A、および内側パドル422Aは、連続するストリップ401Aから形成される。連続するストリップ401Aは、単一の材料層であるか、または2つもしくはそれ以上の層を含むことができる。いくつかの実施形態において、デバイス400Aの一部分は、材料のストリップ401Aの単一の層を有し、他の部分は、材料のストリップ401Aの複数の重なり合うか、または上に載る層から形成される。たとえば、図23Aは、材料のストリップ401Aの複数の重なり合う層から形成された接合部材410Aおよび内側パドル422Aを示している。材料の単一の連続するストリップ401Aは、デバイス400Aの様々な配置で始まり、終わるものとしてよい。材料のストリップ401Aの終端は、デバイス400Aの同じ配置または異なる配置にあってよい。たとえば、図23Aの図示の実施形態では、材料のストリップは、内側パドル422Aの配置で始まり、終わる。
次に図30Aを参照すると、例示的な移植可能なデバイス400Aは、カバー440Aで覆われた状態で図示されている。カバー440Aは、接合部材410A、カラー411A、キャップ414A、パドル420A、422A、パドルフレーム424A、および留め具430A上に配置されている。カバー440Aは、補綴スペーサデバイス400Aを通り抜ける血流を防止または低減するように、かつ/または天然の組織の内部成長を促進するように構成することができる。いくつかの実施形態では、カバー440Aは、PET、ベロア、または他の適切な織物などの、布または織物とすることができる。他の実施形態では、織物の代わりに、またはこれに加えて、カバー440Aは、補綴スペーサデバイス400Aに施されるコーティング(たとえば、ポリマー材料、シリコーンなど)を含むことができる。
次に図28~図30を参照すると、移植可能な補綴デバイス500(たとえば、補綴スペーサデバイス)の例示的な実施形態が示されている。移植可能なデバイス500は、図8~図20に概略的に示されているデバイス100が取ることのできる多くの異なる形態のうちの1つである。デバイス500は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス500は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
補綴スペーサデバイス500は、接合要素すなわちスペーサ部材510、外側パドル520を含む複数のアンカー508、内側パドル522、留め具530、第1のカラーすなわち近位カラー511、および第2のカラーすなわちキャップ514を備えることができる。補綴スペーサデバイス500のこれらの構成要素は、補綴スペーサデバイス400の対応する構成要素と同じに、または実質的に同様に構成することができる。
補綴スペーサデバイス500は、また、複数のパドル伸長部材すなわちパドルフレーム524を含むこともできる。パドルフレーム524は丸い三次元形状で構成することができ、第1の連結部526がキャップ514に結合され、そこから伸長しており、第2の連結部528が第1の連結部526の反対側に配置されている。パドルフレーム524は、接合部材510のまわりに外側パドル520よりも周方向に広く伸びるように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、パドルフレーム524のそれぞれは、接合部材510の周囲の約半分を取り囲んで伸長し(図29に示される通り)、外側パドル520は、接合部材510の周囲の半分未満を取り囲んで伸長する(図28に示される通り)。パドルフレーム524はまた、たとえば、接合部材510の外径を越えて横方向に(すなわち、接合部材510の長手方向軸に垂直に)伸長するように構成することもできる。図示の例では、内側パドル522および外側パドル520は、パドルフレーム524に連結されている連続した織物のストリップから形成することができる。たとえば、内側パドル部分および外側パドル部分は、パドルフレームの連結部に、内側パドル部分と外側パドル部分との間の可撓性連結部において連結することができる。
パドルフレーム524はさらに、パドルフレーム524の連結部528が結合部523に連結される、または軸方向に隣接するように構成することができる。パドルフレーム524の連結部は、補綴スペーサデバイス500が折りたたまれた形態のとき(たとえば、図28~図30参照)、外側パドル520と内側パドル522との間、パドル部分520の外側、内側パドル部分の内側、または結合部523の上部に配置することができる。各パドルフレーム524間の連結部、外側パドル520および内側パドル522を形成する単一のストリップ、キャップ514、および接合要素は、これらの部分のそれぞれを、本明細書に記載の動きおよび位置に制約することができる。特に、結合部523は、外側パドル520と内側パドル522との間のその連結によって、またパドルフレームとのその連結によって制約される。同様に、パドルフレーム524は、結合部523(したがって、内側パドルおよび外側パドル)およびキャップへのその取り付けによって制約される。
このようにしてパドルフレーム524を構成することにより、外側パドル520単独と比較して表面積の増加が実現する。この表面積の増加により、天然の弁尖を把持および固定しやすくなる。表面積の増加によりまた、天然の弁尖組織をさらに保護するために、天然の弁尖に対するパドル520およびパドルフレーム524の締め付け力を天然の弁尖の比較的広い面にわたって分散させることができる。
パドルフレーム524の表面積の増加によりまた、天然の弁尖が全体的に接合部材510のまわりに接合するように、天然の弁尖を補綴スペーサデバイス500に固定することが可能になる。こうすることにより、たとえば、天然の弁尖の封止を改善し、したがって僧帽弁逆流を防止またはさらに低減することができる。
図30を参照すると、補綴スペーサデバイス500は、カバー540も含むことができる。いくつかの実施形態では、カバー540は、接合部材510、パドル520、522、および/またはパドルフレーム524に配置することができる。カバー540は、補綴スペーサデバイス500を通り抜ける血流を防止または低減するように、かつ/または天然の組織の内部成長を促進するように構成することができる。他の実施形態では、カバー540は、PETなどの布または織物、ベロア、または他の適切な織物とすることができる。いくつかの実施形態では、織物の代わりに、またはそれに加えて、カバー540は、補綴デバイス500に塗布されるコーティング(たとえば、ポリマー、シリコーンなど)を含むことができる。
図31~図32は、アンカー部506のアンカー508および留め具530が開位置にある、図28および図29の移植可能な補綴デバイス500を示す。デバイス500は送達シース(図示せず)から配備され、接合部504およびアンカー部506を含む。デバイス500は、完全に伸長された状態すなわち脱出状態で送達シースに装填される。その理由は、完全に伸長された状態すなわち脱出状態では、占める空間が最小であり最小のカテーテルを使用できるからである(図35参照)。あるいは、完全に伸長された位置では、所与のカテーテルサイズに対して最大のデバイス500を使用することが可能になる。デバイスの接合部504は、天然の弁(たとえば、僧帽弁、三尖弁など)の天然の弁尖の間に移植するための接合要素510を備える。挿入物516Aが接合要素510の内側に配置される。挿入物516Aおよび接合要素510は、作動要素512(たとえば、作動ワイヤ、ロッド、シャフト、チューブ、ねじ、糸、ラインなど)に摺動可能に取り付けられる。デバイス500のアンカー508は、キャップ514および接合要素510に柔軟に連結されている外側パドル520および内側パドル522を含む。作動要素または作動のための手段512を作動するとデバイス500のアンカー508を開閉して、移植中に天然の弁尖を把持する。
作動要素512は、送達シース(図示せず)、近位カラー511、接合要素510、挿入物516Aを通って伸長し、キャップ514まで伸長する。作動要素512を伸長し、引っ込めることにより、接合要素510とキャップ514との間の間隔をそれぞれ増大し、また減少する。接合要素510とキャップ514との間の間隔のこの変化により、デバイスのアンカー部506が別々の位置の間を動く。
近位カラー511は任意選択でカラー封止部513を含み、このカラー封止部は、デバイス500の移植中に作動要素または作動のための手段512のまわりの封止部を形成し、また、作動要素512が取り除かれると密閉して、移植後の接合要素510の内部を通る血流に対してデバイス500の近位端を閉じるか、または実質的に閉じる。いくつかの実施形態では、カプラーまたは結合のための手段2214(図145参照)が、近位カラー511および接合要素510を送達シースに取り外し可能に係合させ取り付ける。いくつかの実施形態では、カプラーまたは結合のための手段2214は、作動要素512を取り除くとカプラーまたは結合のための手段2214のフィンガー(図145参照)が開いて近位カラー511を解放できるように、作動要素512によって近位カラー511のまわりに閉じておかれる。
近位カラー511および接合要素510内の挿入物516Aは、作動中に作動要素512に沿って摺動してアンカー508のパドル520、522を開閉する。図32Aおよび図32Bを参照すると、いくつかの実施形態でキャップ514は、挿入物516Aの封止開口517の中に密封嵌合する封止突起516を任意選択で含む。1つの例示的な実施形態では、キャップ514は封止開口を含み、挿入物516Aは封止突起を含む。挿入物516Aは、接合要素510の遠位開口515(図31)の内側に密封嵌合することができ、接合要素510は内部が中空である。図32Aを参照すると、キャップ514の封止突起516は、挿入物516Aの開口517Bに密封係合して、デバイス500が移植されたとき、かつ/または閉位置にあるときに、接合要素510の遠位端を血流に対して閉じるか、または実質的に閉じておく。
1つの例示的な実施形態では、キャップ514と挿入物516Aとの間の封止係合の代わりに、挿入物516Aは、近位カラーのカラー封止部513のような封止部を任意選択で含むことができ、このカラーは、デバイス500の移植中に作動要素または作動のための手段512のまわりに封止部を形成し、作動要素512が取り除かれたときにきつく閉じる。このような封止部は、移植後に接合要素510の遠位端を血流に対して閉じるか、または実質的に閉じることができる。
接合要素510およびパドル520、522は、織られた、編まれた、または他の任意の適切な方法で形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した柔軟な材料などの、金属織物であってよい可撓性材料から形成することができる。この材料は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料とすることができる。パドルフレーム524は、内側パドル522と接合要素510との間に付加的なピンチ力を与え、接合要素510と弁尖との間のより適切な封止のために接合要素510の側面まわりの弁尖を包む助けになる。いくつかの実施形態では、図30で示されたカバー540は、パドルフレーム524のまわりに伸長する。
留め具530は、基部すなわち固定アーム532、可動アーム534、返し536、および結合部538を含む。固定アーム532は内側パドル522に取り付けられ、結合部538は接合要素510に隣接して配置されている。返し付き留め具は平坦な面を有し、パドルの凹部に嵌まらない。むしろ、返し付き留め具の平坦部は、内側パドル522の面に当てて配置される。たとえば、固定アーム532は、孔すなわちスロット533を通して糸(図示せず)で内側パドル522に取り付けられる。固定アーム532は、ねじまたは他の締結具、固定スリーブ、機械的な掛止または留め金、溶接、接着剤など、任意の適切な手段で内側パドル522またはデバイスの別の部分に取り付けることができる。固定アーム532は、可動アーム534が開かれて返し付き留め具530が開き、返し536が露出するとき、内側パドル522に対して固定されているか、または実質的に固定されたままである。返し付き留め具530は、可動アーム534の孔535に取り付けられた作動ライン(図示せず)に張力を加えることによって開かれ、それによって可動アーム534が結合部538を支点にして旋回するか、または屈曲する。
移植中、アンカー508は開閉されて、天然の僧帽弁弁尖がパドル520、522と接合要素510との間に把持される。返し付き留め具530は、弁尖を返し536と係合することによって、また弁尖を可動アーム534と固定アーム532の間に挟み付けることによって、天然の弁尖をさらに固定する。留め具530の返し536は、弁尖との摩擦を増大させ、あるいは弁尖を部分的または完全に穿孔することができる。作動ラインは別々に作動することができ、それにより、各返し付き留め具530は別々に開閉することができる。別々に動作することにより、一度に1つずつ弁尖が把持されることが可能になり、あるいは、不十分に把持された弁尖の留め具530を、他方の弁尖の成功した把持を変えなくても再配置することが可能になる。返し付き留め具530は、内側パドル522が閉じていないときに開閉することができ、それによって弁尖を、特定の状況で必要とされる様々な位置で把持できるようになる。
次に図33を参照すると、上述のデバイスなどの移植可能な補綴デバイスに使用するための例示的な返し付き留め具600が示されている。しかしながら、多種多様な異なる返し付き留め具を使用することができる。使用できる返し付き留め具の例は、それだけには限らないが、本出願、および参照により本明細書に組み込まれている、かつ/または本出願が優先権を主張する出願のいずれかにおいて開示されている、返し付き留め具のいずれかを含む。図示の例では、返し付き留め具600は、上層602および下層604から形成される。留め具600の2層設計は、薄い材料のシートを使用することを可能にし、それによって、天然の弁尖を成功裏に保持するために必要な留め具600の強度を維持しながら、単一の厚いシートから形成された留め具と比べて留め具600の柔軟性が改善する。
返し付き留め具600は固定アーム610、結合部620、および返し部640を有する可動アーム630を含む。上層602および下層604は同様の形状を有し、いくつかの実施形態では、返し部640において互いに取り付けられる。しかし、上層602および下層604は、別の位置または追加の位置において互いに取り付けることもできる。結合部620にはばね負荷がかけられており、それにより、固定アーム610および可動アーム630は、返し付き留め具600が閉状態にあるときに互いの方に向けて付勢される。移植可能な補綴デバイスと組み合わされるとき、固定アーム610は補綴デバイスの一部分に取り付けられる。留め具600は、可動アーム630に取り付けられた作動ラインを結合部620のばね力に打ち勝つまで引っ張ることによって開かれる。
固定アーム610は、可動アーム630の2つの側梁631間の結合部620から伸長する材料の舌部611から形成される。舌部611は、側梁631を越えたところの中立位置から側梁631と平行な、または実質的に平行な予負荷がかかった位置まで舌部611を動かすには力を加えなければならないように、結合部620によって側梁631の間に付勢される。舌部611は、舌部611に取り付けられ側梁631と係合するように外向きに伸長している任意選択のT字形クロスバー614によって、予負荷がかかった位置に保持される。1つの例示的な実施形態では、クロスバーは省略され、舌部611は内側パドル522に取り付けられ、内側パドル522は留め具を予負荷がかかった位置に維持する。2層留め具の適用例では、上層602および下層604、または上層だけを内側パドルに付けることができる。いくつかの実施形態では、舌部が中立位置にあるときの固定アーム610と可動アーム630との間の角度は、約30度から約100度、30度から約90度、または約30度から約60度、または約40度から約50度、または約45度である。
舌部611は、固定アーム610を移植可能なデバイスに取り付ける糸(図示せず)を受け入れるための孔612を含む。固定アーム610は、ねじまたは他の締結具、固定スリーブ、機械的な掛止または留め金、溶接、接着剤などを用いて、移植可能なデバイスに取り付けることができる。いくつかの実施形態では、孔612は、留め具600を移植可能なデバイスに取り付けている糸を損傷することなく層602、604の摺動に対応するために、細長いスロットまたは楕円形の孔になっている。
結合部620は、固定アーム610の舌部611から可動アーム630の側梁631まで伸長する2つの梁ループ622によって形成される。いくつかの実施形態では、梁ループ622は、さらなる柔軟性を得るために舌部611および側梁631よりも細い。梁ループ622はそれぞれ、舌部611から伸長する中心部624、および側梁631まで伸長する外側部626を含む。梁ループ622は、中心部624および外側部626を曲げることによって、いくらか渦巻きまたは螺旋の形状に曲げられ、それによって舌部611と側梁631との間にオフセットすなわち段差628が形成される。段差628により、天然の弁の天然の弁尖が把持された後にこれを収容するための空間がアーム610、630の間に得られる。いくつかの実施形態では、段差628は、約0.5ミリメートルから約1ミリメートル、または約0.75ミリメートルである。
上面図で見た場合、梁ループは「Ω様の」形状を有する。梁ループ622のこの形状は、固定アーム610および可動アーム630が、留め具材料を塑性変形することなく互いにかなり動くことを可能にする。たとえば、いくつかの実施形態では、舌部611は、可動アーム630を約45度越える中立位置から、可動アーム630から約140度ないし約200度まで、約170度から約190度まで、または約180度に及ぶ完全に開いた位置まで、留め具材料を塑性変形することなく屈曲するか、または旋回させることができる。いくつかの実施形態では、留め具材料は開いている間に、閉位置の固定アームと可動アームとの間のピンチ力を低減することなく、または実質的に低減することなく塑性変形する。
舌部611に予負荷をかけると、留め具600が、閉じたときに天然の弁尖にかかるピンチ力またはクリップ力を維持できるようになる。舌部611に予負荷をかけることにより、閉じたときにピンチ力がほとんどまたは全く与えられない従来技術のクリップと比べて、顕著な利点が得られる。加えて、ばね力を用いて留め具600を閉じることは、1度だけのロック閉鎖機構を使用するクリップと比べて留め具600が、閉じたときに十分なピンチ力を依然として維持しながら弁尖への再配置のために繰り返し開閉できるので、著しい改善になる。加えて、ばね負荷留め具はまた、閉位置で(組織内部成長後に)ロックするデバイスと比較して、デバイスの容易な除去をある期間にわたって可能にする。1つの例示的な実施形態では、留め具もパドルもその閉位置に向けてばね付勢され(閉位置でロックされるのとは異なり)、これにより、組織内部成長後のデバイスの容易な除去を可能にすることができる。
可動アーム630の返し部640は、ハトメ642、返し644、および返し支持体646を含む。留め具600の返し部を可動アーム630の端部の方に配置すると、留め具600が開かれたときの返し644と固定アーム630との間の空間が増大し、それによって、移植中に留め具600が弁尖を成功裏に把持する能力が向上する。この間隔によりまた、返し644が再配置のために弁尖からより確実に係合解除できるようになる。いくつかの実施形態では、留め具の返しは、ピンチ力および局所的な弁尖応力をさらに分散させるために、長手方向軸に互い違いに配置することができる。
返し644は、結合部620から同じ距離で横方向に間隔をあけて配置されて、留め具を長手方向の一列に配置された返しよりも弁尖把持に対して堅牢にしながらも、弁尖組織にかかるピンチ力のより優れた分散を実現する。いくつかの実施形態では、返し644は、ピンチ力および局所的な弁尖応力をさらに分散させるために、互い違いに配置することができる。
返し644は下層604から形成され、返し支持体646は上層から形成される。いくつかの実施形態では、返しは上層602から形成され、返し支持体は下層604から形成される。返し644を2つの層602、604のうちの一方だけに形成すると返しを薄くすることができ、したがって、厚さが2倍の同じ材料から形成された返しよりも実際上鋭くなる。返し支持体646は、返し644を堅くするために返し644の下部に沿って伸長して、弁尖組織の穿孔および保持がさらに改善する。いくつかの実施形態では、返し644の端部は、適切な任意の鋭利にする手段を使用してさらに鋭利にされる。
返し644は、最小のピンチ力またはクリップ力で天然の弁尖の組織を容易に穿孔するように、可動アーム630から角度が付けられている。返し644は、約45度から約75度、または約45度から約60度、または約48度から約56度、または約52度の角度で可動アームから伸長する。返し644の角度は、天然の弁尖から移植物を引き離す力により、返し644が組織にさらに係合することが助長され、それによって、より適切な保持が確実になるという点で、さらなる利点をもたらす。返し600に弁尖を保持することは、留め具600が閉じているときにT字形クロスバーが返し644の近くに位置することによって、さらに改善することができる。この配置では、返し644によって穿孔された組織は、クロスバー614の位置で可動アーム630に挟み付けられ、それによって組織は、それが返し644の上を通り過ぎるとS字形の曲がりくねった経路に形作られる。したがって、弁尖を留め具600から引き離す力は、弁尖が逃げることができる前に組織が返し644にさらに係合することを助長することになる。たとえば、拡張期中の弁尖張力は、返しが弁尖の端部部分に向けて引っ張られることを助長し得る。S字形経路では拡張期中の弁尖張力を、弁尖を返しとより緊密に係合させるために利用することができる。
留め具600の各層602、604は、ニチノールなどの形状記憶合金のシートからレーザ切断される。上層602は下層604に位置合わせされ取り付けられる。いくつかの実施形態では、層602、604は、可動アーム630の返し部640において取り付けられる。たとえば、層602、604は、返し部640においてのみ取り付けられて、層の残りの部分が互いに摺動できるようにすることができる。固定アーム610、返し644および返し支持体646、ならびに梁ループ622などの、組み合わされた層602、604の各部分は、所望の状態へ曲げられる。層602、604は一緒に曲げられ形状設定されても、別々に曲げられ形状設定されてから一緒に接合されてもよい。そのとき留め具600は形状設定処理を受け、それにより材料の内部力が、外部力による変形を受けた後に、設定された形状に戻る傾向がある。形状設定の後に、舌部611はその予負荷がかけられた位置まで動き、それによりクロスバー614を取り付けることができる。1つの例示的な実施形態では、留め具600は任意選択で、送達シースによって送達するために完全に平坦にし、心臓の中に配備された後に拡張させることができる。留め具600は、可動アーム630に取り付けられた作動ライン、糸、ワイヤ、ロッド、カテーテルなど(図示せず)への張力を印加し解放することによって開かれ閉じられる。いくつかの実施形態において、作動ラインまたは糸は、可動アーム630の返し部640近くのハトメ642に挿入され、送達シースに戻る前に可動アーム630に巻き付く。いくつかの実施形態では、中間糸ループがハトメを通して作られ、ライン/糸はその中間ループに挿入される。中間ループの代替実施形態を、糸ループの代わりに、可動アームに取り付けられた織物または別の材料から構成することができる。
糸材料の中間ループは、作動ライン/糸と留め具材料との間の摩擦に相関して作動ライン/糸が受ける摩擦を低減する。糸がハトメ642または中間ループを通ってループになると、作動ライン/糸の両端が送達シースの中へ戻る(たとえば、図8)。糸は、糸の一端を、糸の他端が引っ張られハトメまたは中間ループを通って送達シースの中へ戻るまで近位に引っ張ることによって取り除くことができる。
次に図34を参照すると、留め具430、530などの返し付き留め具によって把持された弁尖20、22の一方の拡大図が示されている。弁尖20、22は、留め具430、530の可動アーム434、534と固定アーム432、532との間に把持されている。図34に示されるように、弁尖20、22の組織は返し436、536によって穿孔されていないが、いくつかの実施形態では、返し436、536は、不完全または完全に弁尖20、22を穿孔することができる。可動アーム434、534に対する返し436、536の角度および高さは、弁尖20、22を留め具430、530の中に固定するための助けになる。特に、天然の弁尖から移植物を引き離す力により、返し436、536が組織にさらに係合することが助長され、それによって、より適切な保持が確実になる。返し430、530に弁尖20、22を保持することが、留め具430、530が閉じているときに固定アーム432、532が返し436、536の近くに位置することによって、さらに改善される。この配置では、組織は、固定アーム432、532および可動アーム434、534および返し436、536によって、S字形の曲がりくねった経路に形作られる。したがって、弁尖を留め具430、530から引き離す力は、弁尖が逃げることができる前に組織が返し436、536にさらに係合することを助長することになる。たとえば、上述のように、拡張期中の弁尖張力は、返しを弁尖の端部部分に向けて引っ張ることを助長し得る。S字形経路では拡張期中の弁尖張力を、弁尖を返しにより緊密に係合させるために利用することができる。
次に図35~図46を参照すると、心臓Hの天然の僧帽弁MVの中に送達され移植されている、移植可能なデバイス500が示されている。図示され、かつ/または説明される方法およびステップは、生きている動物、または、解剖用死体、解剖用死体の心臓、模擬実験装置(たとえば、体の一部、心臓、組織などが模擬される)などの模擬実験で実行できる。
上述のように、デバイス500は、接合要素510を覆うカバー540(図30参照)、留め具530、内側パドル522および/または外側パドル520を有する。デバイス500は、送達シース502から配備され、接合部504および複数のアンカー508(すなわち、図示の実施形態では2つ)を含むアンカー部506を備えることができる。デバイスの接合部504は、作動要素または作動のための手段512に摺動可能に取り付けられている天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植するための接合要素510を含む。作動要素または作動のための手段512を作動するとデバイス500のアンカー508を開閉して、移植中に僧帽弁弁尖20、22を把持する。
デバイス500のアンカー508は、キャップ514および接合要素510に柔軟に連結されている外側パドル520および内側パドル522を含む。作動要素512は、捕捉機構503(図41参照)、送達シース502、および接合要素510を通って、アンカー部506に連結されたキャップ514まで伸長する。作動要素512を伸長し、引っ込めることにより、接合要素510とキャップ514との間の間隔をそれぞれ増大し、また減少する。図35~図46で示された例では、内側パドル522と外側パドル520との対は、単一の作動要素512によって別々にではなく一致して動く。また、留め具530の位置は、パドル522、520の位置に依存する。たとえば、図45を参照すると、パドル522、520を閉じると留め具もまた閉じる。1つの例示的な実施形態では、デバイス500は、パドル520、522が図11Aの実施形態と同じように独立して制御可能になるように製作することができる。
捕捉機構503のフィンガーが、カラー511を送達シース502に取り外し可能に取り付ける。カラー511および接合要素510は、作動中に作動要素512に沿って摺動してアンカー部506のアンカー508を開閉する。いくつかの実施形態では、捕捉機構503は、作動要素512を取り除くと捕捉機構503のフィンガーが開いてカラー511を、したがって接合要素510を解放できるように、作動要素512によってカラー511のまわりに閉じておかれる。
いくつかの実施形態において、接合要素510および/またはパドル520、522は、織られた、編まれた、または他の任意の適切な方法で形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した柔軟な材料などの、金属織物であってよい可撓性材料から形成することができる。この可撓性材料は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の可撓性材料とすることができる。他の構成も可能である。
返し付き留め具530は、基部すなわち固定アーム532、可動アーム534、返し536(図41参照)、および結合部538を含む。固定アーム532は、内側パドル522に取り付けられ、結合部538は、接合要素510の近くに配置される。糸(図示せず)が固定アーム532を内側パドル522に取り付ける。固定アーム532は、ねじまたは他の締結具、固定スリーブ、機械的な掛止または留め金、溶接、接着剤など、任意の適切な手段で内側パドル522および/またはデバイスの別の部分に取り付けることができる。固定アーム532は、可動アーム534が開かれて返し付き留め具530が開き、返し536が露出するときに、固定されているか、または実質的に固定されたままである。返し付き留め具530は、可動アーム534に取り付けられた留め具制御部材または作動ライン537に張力を加えることによって開かれ、それによって可動アーム534が結合部538を支点にして旋回するか、または屈曲する。
移植中、アンカー508は開閉されて、天然の弁尖がパドル520、522と接合要素510との間に把持される。外側パドル520は、弁尖20、22をより確実に把持するために湾曲した形状の接合要素510のまわりに適合する、幅広い湾曲した形状を有する。外側パドル520の湾曲した形状および丸い縁部はまた、弁尖組織の断裂を防止する。返し付き留め具530は、弁尖を返し536と係合させることによって、また弁尖を可動アーム534と固定アーム532との間に挟み付けることによって、天然の弁尖をさらに固定する。留め具530の返し536は、弁尖との摩擦を増大させ、あるいは弁尖を部分的または完全に穿孔することができる。作動ラインは別々に作動することができ、それにより、各返し付き留め具530は別々に開閉することができる。別々に動作することにより、一度に1つずつ弁尖が把持されることが可能になり、あるいは、不十分に把持された弁尖の留め具530を、他方の弁尖の成功した把持を変えなくても再配置することが可能になる。返し付き留め具530は、内側パドル522が閉じていないときに完全に開閉することができ、それによって弁尖を、特定の状況で必要とされる様々な状態で把持できるようになる。
デバイス500は、完全に開いた、または完全に伸長した位置で送達シースに装填される。その理由は、完全に開いた、または完全に伸長した位置では、占める空間が最小であり最小のカテーテル(または、所与のカテーテルサイズに対して最大のデバイス500)を使用できるからである。次に図35を参照すると、送達シースが左心房LAの中へ中隔を通して挿入され、デバイス500が完全に開いた状態で送達シース502から配備される。次に作動要素512が引き込まれて、デバイス500が、図36~図37に示された完全に閉じた状態へ移り、次に、図38に示されるように、僧帽弁MVに向けて移動される。次に図39を参照すると、デバイス500が僧帽弁MV(または、別の弁に移植される場合には、他の天然の弁)と位置合わせされると、作動要素512が伸長されてパドル520、522が不完全な開位置に開き、留め具制御部材または作動ライン537が引き込まれて返し付き留め具530が、弁尖把持の用意をするために開く。次に、図40~図41に示されるように、不完全に開いたデバイス500が僧帽弁MVに、弁尖20、22が内側パドル522と、接合要素510および開いた返し付き留め具530の内側と、の間に適正に配置されるまで、挿入される。図42は、両方の留め具530が閉じているデバイス500を示すが、一方の留め具530の返し536が一方の弁尖22を取り逃している。図42~図44で分かるように、所定の場所を外れた留め具530は再び開閉されて、取り逃された弁尖22を適正に把持する。両方の弁尖20、22が適正に把持されると、作動要素512が引き込まれてデバイス500は、図45に示された完全に閉じた位置に移る。デバイス500が天然の僧帽弁MVに完全に移植された状態で、作動要素512が引き抜かれて、捕捉機構503が近位カラー511から解放される。配備された後、デバイス500は、掛止などの機械的手段を用いて完全な閉位置に維持すること、または、鋼などのばね材料、および/またはニチノールなどの形状記憶合金を使用することにより閉じたままに付勢することができる。たとえば、パドル520、522は、鋼またはニチノール形状記憶合金で形成する(ワイヤ、シート、チューブ、またはレーザ焼結粉末として生成する)ことができ、外側パドル520を内側パドル522、接合要素510のまわりで閉じておく、かつ返し付き留め具530を天然の弁尖20、22のまわりに挟み付けておくように付勢される。
デバイス500は、多種多様な異なる形状およびサイズを有することができる。図6および図6A~図6Eを参照すると、例示的な実施形態では、接合要素510は、図6で示された天然の弁の隙間26などの弁逆流開口部の隙間充填材として機能する。図6Aを参照すると、接合要素510が2つの対向する弁尖20、22の間に配備されるので、弁尖は、接合要素510の領域内で互いに接合せず、代わりに接合要素510に接合する。この接合により、弁尖20、22が近づく必要がある距離が低減する。弁尖接近距離が低減する結果として、いくつかの利点がもたらされ得る。たとえば、接合要素および結果として得られた接近により、機能性弁疾患の大きい隙間(たとえば、図6参照)などの深刻な僧帽弁の解剖学的構造を修復しやすくすることができる。接合要素510により、天然の弁が接近しなければならない距離が減少するので、天然の弁の応力を低減または最小化することができる。弁尖20、22の接近距離が短いと、必要な近づける力を小さくすることができ、その結果、弁尖の張力が小さくなり、弁輪の直径減少が少なくなり得る。弁輪の縮小が少ない(または弁輪の縮小がない)と、弁開口部面積の減少が、スペーサがないデバイスと比較して少なくなり得る。結果として、接合要素510は弁内外の勾配を低減することができる。
1つの例示的な実施形態では、パドルフレーム524は接合要素510の形状に一致する。1つの例では、接合要素510がパドルフレーム524よりも広い場合、対向する弁尖20、22の間に間隔(隙間)がデバイス500によって作り出され得る。図6A~図6Eを参照すると、1つの例示的な実施形態でパドルは、接合要素510の形状すなわち幾何形状に一致するように構成される。結果として、パドルは、接合要素510と天然の弁との両方に嵌合することができる。図6Dおよび図6Eを参照すると、1つの例示的な実施形態でパドル524は、接合要素510を取り囲む。したがって、弁尖20、22が接合要素510に接合されるか、または押し付けられると、弁尖20、22は接合要素510をその全体で完全に取り囲み、すなわち「抱き込み」、したがって、接合部材510の中央面および横面の少量の漏洩を防止することができる。図6Bおよび図6Cは、天然の弁尖20、22に取り付けられた弁修復デバイス500を僧帽弁の心室側から示す。図6Aは、僧帽弁弁尖20、22に取り付けられた弁修復デバイス500を僧帽弁の心房側から示す。図6Aおよび図6Bを参照すると、パドルが接合要素510の幾何形状に一致する幾何形状を有する場合、弁尖20、22は、接合要素のまわりに、かつ/またはスペーサの全長に沿って接合することができる。図6Eを参照すると、概略的な心房図/外科図が、スペーサ幾何形状に一致するパドルフレーム(本当の心房図からは実際には見えない)を示す。パドルによって近づけられた対向する弁尖20、22(その端部もまた本当の心房図では見えない)は、接合要素510を取り囲む、すなわち「抱き込む」。
図6B~図6Eを参照すると、パドルフレーム524は接合要素510の形状に一致するので、弁尖20、22は、パドルフレーム524によって接合要素のまわりに、接合要素510の横面601および中央面603を含めて、完全に接合することができる。接合要素510の横面および中央面に弁尖20、22をこのように接合することは、弁尖が近づく必要のある距離が、接合要素510が存在することにより最小になるという上で述べたことと矛盾するように見える。しかし、弁尖20、22が近づく必要のある距離は、接合要素510が逆流隙間に正確に配置され、逆流隙間が接合要素510の幅(中央~横)よりも小さい場合には、やはり最小化される。
図6Aおよび図6Eを参照すると、接合要素510は、多種多様な異なる形を取ることができる。1つの例示的な実施形態では、上部から見たとき(および/または上部からの断面図;図95~図102参照)、接合要素は楕円形または長円形を有する。楕円または長円の形状では、パドルフレーム524を接合要素の形状に一致させることができ、かつ/または横方向漏洩を低減することができる(図65~図83参照)。
上述のように、接合要素510は、位置601、603において弁尖が接合要素510に近づく必要のある距離を低減することによって、対向する弁尖の張力を低減することができる。位置601、603において弁尖接近の距離が低減することにより、弁尖の応力および勾配が低減することになり得る。加えて、上でも説明したように、天然の弁の弁尖20、22は、横方向漏洩を防止するために接合要素を取り囲む、すなわち「抱き込む」ことができる。1つの例示的な実施形態では、接合要素の幾何形状特性は、デバイス500のこれら2つの特性を保存および増大するように設計することができる。図2Aを参照すると、左室流出路(LVOT)図から分かるように、弁尖20、22の解剖学的構造は、弁尖の内側が自由端部部分で接合し、また弁尖20、22が互いに離れて後退または広がり始めるようなものである。弁尖20、22は、各弁尖が僧帽弁輪と出会うまで心房の方向に広がる。
1つの例示的な実施形態では、弁修復デバイス500およびその接合要素510は、弁尖20、22の幾何形状的な解剖学的構造に一致するように設計される。弁封止を達成するために、弁修復デバイス500は、接合要素510の中央位置601および横方向位置603を含めて接合要素を完全に囲んで、天然の弁尖を接合要素に接合するように設計することができる。加えて、位置601、603において弁尖を接合要素510と接触させるために必要な力を低減することにより、弁尖の応力および勾配を最小限にすることができる。図2Bは、接合要素510のテーパ付きまたは三角形の形状が、どのようにして天然の弁の幾何形状、およびその(弁輪に向かって)拡張する弁尖の性質に自然に適合するかを示す。
図6Dは、接合要素510およびパドルフレーム524の幾何形状をLVOT視点から示す。この図で分かるように、接合要素510は、弁尖20、22の内面が接合する必要がある、かつ接合要素が心房に向かって伸長するにつれて寸法が増大するところに近い領域において寸法が小さくなる、テーパ付き形状を有する。図示の天然の弁の幾何形状は、テーパ付きの接合要素幾何形状によって対応される。さらに図6Dを参照すると、テーパ付きの接合要素幾何形状は、図示の(弁輪に向かって)拡張しているパドルフレーム524形状と共に、弁尖の下方端部への接合を達成し、応力を低減し、かつ弁内外の勾配を最小化する助けになり得る。
図6Cを参照すると、1つの例示的な実施形態では、接合要素510およびパドルフレーム524の残りの部分の形状を、天然の弁およびデバイス500の交連内図に基づいて画定することができる。これらの形状の2つの要素は、接合要素510との弁尖接合、および接合により弁尖にかかる応力の低減である。図6Cおよび図67を参照すると、弁尖20、22の両方を接合要素510に接合するためにも、接合要素510および/またはパドル524によって弁尖20、22に加わる応力を低減するためにも、接合要素510は丸い、または丸みのある形状を有することができ、パドルフレーム524は、パドルの一方の脚からパドルの他方の脚にまで及ぶ全半径範囲を有することができる。接合要素の丸い形状および/または図示のパドルフレームの全体に丸みのある形状は、弁尖20、22にかかる応力を広い湾曲した係合領域607全体にわたって分散させる。たとえば、図6Cで、弁尖20が拡張周期中に開こうとすると、パドルフレームによって弁尖20、22にかかる力は、パドルフレーム524の丸みのある全体の長さに沿って分配される。
図67を参照すると、1つの例示的な実施形態では、パドルフレーム524の全体に丸みのある形状と協働するために、かつ/または接合要素510との弁尖接合、および接合要素510の側面または中央面601、603における弁尖と弁尖との接合を最大化するために、交連内図の接合要素の形状は丸い形状に追従する。図67を参照すると、この図の接合要素の丸い形状は、パドルフレーム524の形状に実質的に追従しているか、それに近い。
1つの例示的な実施形態では、接合要素510の全体形状は、外科図(上面図-図70参照)から見たときには長円または楕円の断面であり、LVOT図(側面図-図69参照)から見たときにはテーパ付きの形状または断面であり、交連内図(図68参照)から見たときには実質的に丸い形状または丸みのある形状である。1つの例示的な実施形態では、これら3つの幾何形状を混合したものは結果として、上述の利益を達成する図示の接合要素510の三次元形状になる。
1つの例示的な実施形態では、接合要素の寸法は、一人の患者が必要とする移植物の数(好ましくは1つ)を、低弁内外勾配を同時に維持しながら最小にするように選択される。1つの例示的な実施形態では、スペーサの最上部の前部後部距離X47Bは約5mmであり、スペーサの中央横方向距離X67Dは、その最も幅広いところで約10mmである。1つの例示的な実施形態では、デバイス500の全体幾何形状は、これら2つの寸法および上述の全体形状策略に基づくことができる。デバイスの開始点として別の前部後部距離X47Bおよび中央横方向距離X67Dを用いることにより、寸法が異なるデバイスが得られることはすぐに明らかになるはずである。さらに、他の寸法および上述の形状策略を用いることによってもまた、寸法が異なるデバイスが得られる。
Table A(表1Aおよび表1B)、Table B(表2)、およびTable C(表3)は、いくつかの例示的な実施形態のデバイス、およびデバイスの構成要素の寸法の値および範囲の例を提示する。しかし、デバイスは多種多様な異なる形状およびサイズを有することができ、Table A(表1Aおよび表1B)、Table B(表2)、およびTable C(表3)に提示された寸法の値または寸法の範囲のすべてまたはいずれかを有する必要はない。Table A(表1Aおよび表1B)は、デバイス、およびデバイスの構成要素の、単位がミリメートルの長さ寸法X、および単位がミリメートルの長さ寸法範囲の各例を提示する。Table B(表2)は、デバイス、およびデバイスの構成要素の、単位がミリメートルの半径寸法R、および単位がミリメートルの半径寸法範囲の各例を提示する。Table C(表3)は、デバイス、およびデバイスの構成要素の、単位が度の角寸法α、および単位が度の角寸法範囲の各例を提示する。寸法のそれぞれの下付き文字は、その寸法が最初に現れる図面を示す。
次に図47~図61を参照すると、移植可能なデバイス500が様々な状態および形態で示されている。移植可能なデバイス500は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス500は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
移植可能なデバイス500は、近位部すなわち取り付け部505、接合要素510(たとえば、スペーサなど)、内側アンカー部すなわち内側パドル522、外側アンカー部すなわち外側パドル520、アンカー伸長部材すなわちパドルフレーム524、および遠位部507を有する。内側パドル522は、接合要素510と外側パドル520の間に取り付けられる(たとえば、結合可能に取り付けられるなど)。外側パドル520は、内側パドル522と遠位部507との間に取り付けられる(たとえば、結合可能に取り付けられるなど)。パドルフレーム524は、遠位部507においてキャップ514に取り付けられ、内側パドル522と外側パドル520との間の結合部523まで伸長する。いくつかの実施形態では、パドルフレーム524は、パドル522、520を形成する材料よりも剛性で堅い材料から形成され、それによりパドルフレーム524は、パドル522、520の支持体になる。1つの例示的な実施形態では、内側パドル522は堅く、比較的堅く、剛性であり、剛性の部分を有し、かつ/または堅くする部材または留め具530の固定部によって堅くされる。内側パドルを堅くすることにより、デバイスは、本明細書に図示され記載された様々な異なる位置に移動することが可能になる。内側パドル522、外側パドル520、接合部はすべて、デバイス500が本明細書に図示され記載された動きおよび位置に制約されるように、本明細書に記載された通りに相互連結することができる。
次に図47~図48を参照すると、デバイス500は閉状態の形で示されている。閉じられると、内側パドル522は、外側パドル520と接合要素510との間に配置される。いくつかの実施形態では、デバイス500は、僧帽弁MVの天然の弁尖20、22を把持するために開閉できる留め具すなわち把持部材530(図48)を含む。留め具530は、内側パドル522に取り付けられ、内側パドルと共に動き、内側パドル522と接合要素510との間に配置される。
次に図49~図51を参照すると、デバイス500は不完全に開いた状態で示されている。デバイス500は、作動要素または作動のための手段512によって不完全に開いた位置へ移り、この作動要素または作動のための手段は、取り付け部505および接合要素510を通り、遠位部507に取り外し可能に係合することができる。作動要素512は、取り付け部505と遠位部507との間の距離Dが、作動要素512が伸長されるにつれて増大するように取り付け部505を通って伸長される。図49~図51で示された例では、内側パドル522と外側パドル520との対が単一の作動要素512によって別々にではなく一致して動く。また、留め具530の位置は、パドル522、520の位置に依存する。たとえば、図48を参照すると、パドル522、520を閉じると留め具もまた閉じる。1つの例示的な実施形態では、デバイス500は、パドル520、522が図11Aと同じように独立して制御可能になるように製作することができる。
作動要素512を伸長することにより、外側パドル520およびパドルフレーム524の下部が引き下げられる。外側パドル520およびパドルフレーム524は、内側パドル522を引き下げる。ただし、内側パドル522は、外側パドル520およびパドルフレーム524に連結されている。取り付け部505および接合要素510は所定の位置に保持されているので、内側パドル522は開く方向に屈曲するか、または旋回することになる。内側パドル522、外側パドル520およびパドルフレームはすべて、図49に示された状態まで曲がる。パドル522、520およびフレーム524を開くと、接合要素510と内側パドル522との間に、天然の弁尖20を受け入れ把持する隙間520Aが形成される。
上述のように、デバイス500のいくつかの実施形態は、留め具すなわち把持部材530を含む。デバイス500が少し開かれると、留め具530が露出する。いくつかの実施形態では、閉じた留め具530(図50)を開くことができ(図51)、それによって、天然の弁尖20、22を受け入れ捕捉するための第2の開口すなわち隙間530Aが作り出される。留め具530の隙間530Aの広がりは、内側パドル522が接合要素510から開いた範囲までに制限される。
次に図52~図54を参照すると、デバイス500は横方向に伸長された、すなわち開状態で示されている。デバイス500は、上述の作動要素512を伸長し続けることによって横方向に伸長された、すなわち開状態に移り、それによって取り付け部505と遠位部507との間の距離Dが増加する。作動要素512を伸長し続けることで、外側パドル520およびパドルフレーム524が引き下げられ、それによって内側パドル522が接合要素510から離れてさらに開くことになる。横方向に伸長された、すなわち開状態では、内側パドル522はデバイス500の他の状態よりも大きく水平に伸長し、接合要素510に対して約90度の角度を形成する。同様に、パドルフレーム524は、デバイス500が横方向に伸長された、すなわち開状態にあるときに、その最大に伸長された状態にある。横方向に伸長された、すなわち開状態で形成された拡大隙間520Bにより、留め具530が接合要素510に係合する前に留め具530がさらに開くことが可能になり(図54)、それによって隙間530Aのサイズが増大する。
次に図55~図57を参照すると、デバイス500が4分の3伸長された状態で示されている。デバイス500は、上述の作動要素512を伸長し続けることによって4分の3伸長された状態に移り、それによって取り付け部505と遠位部507との間の距離Dが増大する。作動要素512を伸長し続けることで、外側パドル520およびパドルフレーム524が引き下げられ、それによって内側パドル522が接合要素510から離れてさらに開くことになる。4分の3伸長された状態では、内側パドル522は、接合要素510に対して90度を越えて約135度まで開いている。パドルフレーム524は、横方向に伸長された、すなわち開状態よりも広がりが少なく、作動要素512がさらに伸長するにつれて作動要素512に向かって内向きに移動し始める。外側パドル520もまた、作動要素512に向かって反対に曲がる。横方向に伸長された、すなわち開状態と同様に、横方向に伸長された、すなわち開状態で形成された拡大隙間520Bにより、留め具530がさらに開くことが可能になり(図57)、それによって隙間530Aのサイズが増大する。
次に図58を参照すると、デバイス500がほとんど完全に伸長された状態で示されている。デバイス500は、上述の作動要素512を伸長し続けることによってほとんど完全に伸長された状態に移り、それによって取り付け部505と遠位部507との間の距離Dが増大する。作動要素512を伸長し続けることで、外側パドル520およびパドルフレーム524が引き下げられ、それによって内側パドル522が接合要素510から離れてさらに開くことになる。ほとんど完全に伸長された状態では、内側パドル522は、接合要素510に対して約180度に近づき始める。内側パドルはこの状態まで移動するが、外側パドル520およびパドルフレーム524は、接合要素510に対して90度以上は決して移動したり曲がったりしない。ほとんど完全に伸長された状態では、内側パドル522および外側パドル520はいくらか湾曲した形状を有し得る。
次に図59~図61を参照すると、デバイス500が完全に伸長された状態で示されている。デバイス500は、上述の作動要素512を伸長し続けることによってほとんど完全に伸長された状態に移り、それによって取り付け部505と遠位部507との間の距離Dが、デバイス500で許容できる距離まで増大する。作動要素512を伸長し続けることで、外側パドル520およびパドルフレーム524が引き下げられ、それによって内側パドル522が接合要素510から離れてさらに開くことになる。外側パドル520およびパドルフレーム524は、作動要素に近い位置まで移動する。完全に伸長された状態では、内側パドル522は、接合要素510に対して約180度まで開いている。内側パドル522および外側パドル520は、完全に伸長された状態にまっすぐに引き伸ばされて、パドル522、520の間に約180度の角度を形成する。デバイス500の完全に伸長された状態では、パドル間の隙間520Bのサイズが最大になり、いくつかの実施形態において、留め具530もまた、留め具530の部分間で約180度(図61)まで完全に開くことが可能になる。デバイス500の状態は最も細い形態になる。すなわち、デバイス500の完全に伸長された状態は、試みられた移植からデバイス500を脱出させるのに望ましい状態であり得るか、または送達カテーテルにデバイスを入れるのに望ましい状態であり得る。
次に図47A、図48A~図48H、図53A~図53C、図54A~図54D、図60A~図60D、および図61A~図61Dを参照すると、移植可能なデバイス500Aが様々な状態および形態で示されている。移植可能なデバイス500Aは、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス500Aは、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
移植可能なデバイス500Aは、近位部すなわち取り付け部505A、接合要素510A、内側アンカー部すなわち内側パドル522A、外側アンカー部すなわち外側パドル520A、アンカー伸長部材すなわちパドルフレーム524A、および遠位部507Aを有する。内側パドル522Aは、たとえば結合部525Aにより、接合要素510Aと、結合部523Aにより、外側パドル520Aと、の間に取り付けられる(たとえば、結合可能に取り付けられるなど)。外側パドル520Aは、たとえば結合部523Aにより、内側パドル522Aと、たとえば、結合部521Aにより、遠位部507Aと、の間に取り付けられる(たとえば、結合可能に取り付けられるなど)。パドルフレーム524Aは、遠位部507Aにおいてキャップ514A(図48A)に取り付けられ、内側パドル522Aと外側パドル520Aとの間の結合部523Aまで伸長する。いくつかの実施形態では、パドルフレーム524Aは、パドル522A、520Aを形成する材料よりも剛性で堅い材料から形成され、それによりパドルフレーム524Aは、パドル522A、520Aの支持体になる。パドルフレーム524Aは、結合部523A(図65A)を受けるための開口部またはスロット524B(図70A)などの連結部を備える。いくつかの実施形態において、内側パドル522Aは堅く、比較的堅く、剛性であり、剛性の部分を有し、かつ/または堅くする部材または留め具530Cの固定部によって堅くされる。内側パドルを堅くすることにより、デバイスは、本明細書に図示され記載された様々な異なる位置に移動することが可能になる。内側パドル522A、外側パドル520A、および接合要素はすべて、デバイス500Aが本明細書に図示され記載された動きおよび位置に制約されるように、本明細書に記載された通りに相互連結することができる。
接合要素510A、内側パドル522A、外側パドル520Aは、接合要素510Aおよびパドル520A、522Aを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって取り付けることができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、編まれたか織られた材料の連続するストリップ501Aから接合要素510Aとパドル520A、522Aとを形成することによって達成することができる。
連続するストリップ501Aは、カラー511D、キャップ514A、パドルフレーム524A、留め具530Cに取り付けられる。例示されている実施形態において、接合要素510A、ヒンジ部分または結合部521A、523A、525A、外側パドル520A、および内側パドル522Aは、連続するストリップ501Aから形成される。連続するストリップ501Aは、単一の材料層であるか、または2つもしくはそれ以上の層を含むことができる。いくつかの実施形態において、デバイス500Aの一部分は、材料のストリップ501Aの単一の層を有し、他の部分は、材料のストリップ501Aの複数の重なり合うか、または上に載る層から形成される。たとえば、図47Aは、材料のストリップ501Aの複数の重なり合うか、または上に載る層から形成された接合要素510Aおよび内側パドル522Aを示している。その結果、接合要素510Aおよび内側パドル522Aは、材料501Aの単一の層から形成される外側パドル520Aに対して剛性が高い。材料の単一の連続するストリップ501Aは、デバイス500Aの様々な配置で始まり、終わるものとしてよい。材料のストリップ501Aの終端は、デバイス500Aの同じ配置または異なる配置にあってよい。たとえば、図47Aの図示の実施形態では、材料のストリップは、内側パドル522の配置で始まり、終わる。
留め具530Cは、アタッチメントすなわち固定部532C、アームすなわち可動部534C、返し536C、および結合部538Cを備えることができる。アタッチメントすなわち固定部532Cは、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または接合要素510Aの近くに配置されている結合部538Cと結合するための他の手段などの様々な方法で内側パドル522Aに結合することができる。留め具530Cは、留め具430に類似するものとしてよい。
可動部534Cは、開いた形態(たとえば、図54A)と閉じた形態(図48A)との間で固定部532Cに対して旋回するか、または屈曲することができる。いくつかの実施形態では、留め具530Cは閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部532Cおよび可動部534Cは、天然の弁尖を固定部532Cと可動部534Cとの間に配置できるように互いに離れるように旋回するか、または屈曲する。閉じた形態では、固定部532Cおよび可動部534Cは互いの方に向かって旋回するか、または屈曲し、それによって天然の弁尖を固定部532Cと可動部534Cとの間に固定する。固定アーム532Cは、可動アーム534Cが開かれて返し付き留め具530Cが開き、返し536Cが露出するときに、固定されているか、または実質的に固定されたままである。返し付き留め具530Cは、可動アーム534Cに取り付けられた作動ライン537Aに張力を加えることによって開かれ、それによって可動アーム534Cが結合部538Cを支点にして旋回するか、または屈曲する。
次に図47、および図48A~図48Hを参照すると、デバイス500Aは閉位置の形で示されている。デバイス500Aの側面図は、図48B、図48C、および図48Fでは、図48D、図48E、および図48Gの前面図から、図48Hでは底面図から示されている。デバイス500Aは、側面よりも、前面から見たときの方が狭い。側面から、デバイス500Aは、丸みのある、デバイス500Aの遠位部507Aに向かって先細りの概して逆さの台形の形状を有する。前面から、デバイス500Aは、遠位部507Aに向かっていくぶん先細りの概して丸みのある、長方形の形状を有する。図48Hに示されているデバイス500Aの底面図で分かるように、デバイス500Aは、下部から見たときに(またたとえば、図70Aで分かるように上部から見たときに)概して丸みのある長方形の形状を有する。
デバイス500Aの閉じた形態では、内側パドル522Aは、外側パドル520Aと接合要素510Aとの間に配置される。いくつかの実施形態では、デバイス500Aは、僧帽弁MVの天然の弁尖20、22を把持するために開閉できる留め具すなわち把持部材530C(図48)を含む。留め具530Cは、内側パドル522Aに取り付けられ、内側パドル522Aと共に動き、内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に配置される。
次に図48B~図48Dを参照すると、デバイス500Aは、送達デバイス502Aに取り付けられた状態で示されている。送達デバイス502Aは、取り付け部505Aと解放可能に係合する作動可能部材またはフィンガー503Aを有する。作動要素512Aが、送達デバイス502Aからキャップ514Aまで補綴デバイス500Aの取り付け部505Aおよび接合要素510Aを通して伸長する。作動要素512を伸長し引き込むと、以下で説明されているように、デバイス500Aが開閉する。作動ライン/糸537Aは、送達デバイス502Aから伸長し留め具530Cに付く。張力が、留め具530Cを開くように糸537に加えられ、留め具530Cが閉じることを可能にするように解放され得る。デバイス500Aは、図48F~図48Gにおいて配備された状態で送達デバイス502Aから分離されて示されている。
次に図48Cおよび図48Eを参照すると、デバイス500Aはカバー540Aと共に示されている。カバー540Aは、単一の材料片から、または互いに当接するか、または結合された複数のセグメントから、形成することができる。図示の実施形態では、カバー540Aは、外側または下側カバー541Aおよび内側または上側カバー543Aを有する。外側カバー541Aは、キャップ514A、外側パドル520A、内側パドル522A、および留め具530Cを覆う。内側カバー543Aは、接合要素510Aと、内側パドル522Aおよび留め具530Cの近位端と、を覆い、接合要素510Aは、内側パドル522Aおよび留め具530Cと接触する。カバー540Aは、微細網のポリエチレン布などの布材料であってよい。布カバーは、スペーサの表面の血液封止をすること、および/または速やかな組織内部成長を助長することができる。
次に図53A~図53Dおよび図54A~図54Dを参照すると、デバイス500Aは横方向に伸長された、すなわち開いた位置で示されている。デバイス500Aは、取り付け部505Aおよび接合要素510Aを通り、遠位部507Aに取り外し可能に係合することができる作動要素または作動のための手段512Aによって開いた位置へ移る。作動要素512Aは、取り付け部505Aと遠位部507Aとの間の距離D2が、作動要素512Aが伸長されるにつれて増大するように取り付け部505Aを通って伸長される。図53A~図53Dおよび図54A~図54Dで示された例では、内側パドル520Aと外側パドル522Aとの対は、単一の作動要素512Aによって別々にではなく一致して動く。また、留め具530Cの位置は、パドル520A、522Aの位置に依存する。たとえば、図48Aを参照すると、パドル520A、522Aを閉じると留め具530Cもまた閉じる。1つの例示的な実施形態では、デバイス500Aは、パドル520A、522Aが図11Aの実施形態と同じように独立して制御可能になるように製作することができる。
作動要素512Aを伸長することにより、外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aの底部が引き下げられ、デバイス500Aは閉じた位置から不完全に開いている位置に移る。外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aは、内側パドル522Aを引き下げる。ただし、内側パドル522Aは、外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aに連結されている。取り付け部505Aおよび接合要素510Aは所定の位置に保持されているので、内側パドル522Aは開く方向に旋回するか、または屈曲することになる。内側パドル522A、外側パドル520Aおよびパドルフレームはすべて、図53Aに示された位置まで屈曲する。パドル522A、520Aおよびフレーム524を開くと、接合要素510Aと内側パドル522Aとの間に、天然の弁尖20を受け入れ、把持することができる隙間520Dが形成される。
作動要素512Aを伸長し続けることで、外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aが引き下げられ、それによって内側パドル522Aが接合要素510Aから離れてさらに開くことになる。横方向に伸長された、すなわち開位置では、内側パドル522Aはデバイス500Aの他の位置よりも大きく水平に伸長し、接合要素510Aに対して約90度の角度を形成する。同様に、パドルフレーム524Aは、デバイス500Aが横方向に伸長された、すなわち開位置にあるときに、その最大に伸長された状態にある。横方向に伸長された、すなわち開位置で形成された拡大隙間520Dにより、留め具530Cが接合要素510Aに係合する前に留め具530Cがさらに開くことが可能になり(図54A)、それによって不完全に開いた位置と比較して隙間530Dのサイズが増大する。
上述のように、デバイス500Aのいくつかの実施形態は、留め具すなわち把持部材530Cを含む。デバイス500Aが開かれると、留め具530Cが露出する。いくつかの実施形態では、閉じた留め具530C(図53A~図53D)を開くことができ(図54A~図54D)、それによって、天然の弁尖20、22を受け入れ捕捉するための第2の開口すなわち隙間530Dが作り出される。留め具530Cの隙間530Dの広がりは、内側パドル522Aが接合要素510Aから開いた範囲までに制限される。
次に図60A~図60Dおよび図61A~図61Dを参照すると、デバイス500Aは完全に伸長した位置で示されている。デバイス500Aは、上述の作動要素512Aを伸長し続けることによって完全に伸長された状態に移り、それによって取り付け部505Aと遠位部507Aとの間の距離D2が、デバイス500Aで許容できる最大距離まで増大する。作動要素512Aを伸長し続けることで、外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aが引き下げられ、それによって内側パドル522Aが接合要素510Aからさらに離れて伸長することになる。外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aは、作動要素に近い位置まで移動する。完全に伸長された状態では、内側パドル522Aは、接合要素510Aに対して約180度まで開いている。内側パドル522Aおよび外側パドル520Aは、完全に伸長された状態にまっすぐに、または実質的にまっすぐに引き伸ばされて、パドル522A、520Aの間に約180度の角度を形成する。デバイス500Aの完全に伸長された状態では、パドル間の隙間520Dのサイズが最大になり、いくつかの実施形態において、留め具530Cもまた、留め具530Cの部分間で約180度(図61A)まで完全に開くことが可能になる。デバイス500Aの状態は最も細い形態になる。したがって、デバイス500Aの完全に伸長された状態は、試みられた移植からデバイス500Aを脱出させるのに望ましい状態であり得るか、または送達カテーテルにデバイスを入れるのに望ましい状態であり得る。
次に図197~図198を参照すると、図60Cの部分の拡大図が示されている。次に図197を参照すると、内側カバー543Aは近位部519Bから遠位部517Aまで接合要素510Aを覆うことが分かる。いくつかの実施形態において、内側カバー543Aは、微細網のポリエチレン布などの布材料の平坦なシート(図201参照)から形成され、接合要素510Aのまわりに折りたたまれ、ステッチ545Aで適所に保持される。次に図198を参照すると、外側カバー541Aは、留め具530Cおよび内側パドル522Aを覆うことが分かる。内側カバー543Aのカラー部548Aは、接合要素510Aに最も近い、留め具530Cおよび内側パドル522Aの一部分を覆う。内側カバー543Aの移行部(Transition portion)547Aは接合要素510Aからカラー部548Aまで伸長し、接合要素510Aと留め具530Cおよび内側パドル522Aとの間で移行が滑らかに行われ、これにより、天然の組織は、移植時にデバイス500A上で捕捉されない。
次に図199を参照すると、デバイス500Aの分解組立図が示されている。接合要素510A、外側パドル520A、および内側パドル522Aは、上述のように、単一の材料のストリップ501Aから形成される。カラー511D、キャップ514A、パドルフレーム524A、および留め具530Cは材料のストリップ501Aに組み付けられてデバイス500Aを形成する。キャップ514Aは、保持ボルト566Aのねじ山付き部分568Aと係合するねじ山付きボア564Aを有する保持ナット562Aを受け入れるためのロックアパーチャ561Aを伴う保持本体部560Aを備える。保持ボルト566Aのねじ山付き部分568Aは、アパーチャ527B内に挿入されて、保持本体部560Aとナット562Aを係合させキャップ514Aを材料のストリップ501Aに取り付ける。
いくつかの実施形態において、堅くする部材539Cは、内側パドル522Aに取り付けられ、内側パドル522Aを堅くして、内側パドルが様々な位置の間で移動するときに内側パドルをまっすぐな、または実質的にまっすぐな形態に維持する。堅くする部材539C内の切欠539Dは、堅くする部材539Cおよび留め具の両方が内側パドル522Aに取り付けられるときに堅くする部材539Cが固定アーム532Cのまわりに嵌合できるように留め具530Cの固定アーム532Cを受け入れるように整形されている。固定アーム532Cと同様に、堅くする部材539Cは、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合の手段を用いるなど、様々な方法で内側パドル522Aに結合することができる。
次に図200を参照すると、接合要素510Aの近位部519Bに取り付けられているカラー511Aの拡大図が示されている。カラー511Aは、送達デバイス502Aのフィンガー503Aと解放可能に係合するための突起511Eを備える。カラー511A内のアパーチャ515Aは、作動要素512Aを受け入れる。接合要素510Aの近位部519Bは外へ広がっており、カラー511Dを接合要素510Aの近位部519Bに取り付けるためのカラー511Dのアーチ形開口513Aに挿入される2つのループ519Dを形成する。ループ519Dは、材料のストリップ501Aを折りたたむことによって形成され、それにより第1の層581Aおよび第2の層582Aを形成する。いくつかの実施形態では、アーチ形開口部513Aは、に類似している開口部(図示せず)を含む。
次に図201~図202を参照すると、キャップ514Aの拡大図および分解組立図がそれぞれ示されている。図201は、材料のストリップ501Aの遠位部527Aに取り付けられているキャップ514Aの拡大図を示している。保持本体部560A、保持ナット562A、および保持ボルト566Aは、パドルフレーム524Aを材料のストリップ501Aの遠位部527Aに取り付けるように連携する。特に、保持ボルト566Aは、遠位部527A(図202)のアパーチャ527Bに挿入され、材料のストリップ501Aに沿ってキャップ514Aが動くのを妨げる。保持本体部560Aのチャネル560Bおよびボルト566Aのフランジ567Aは、遠位部527Aに対するキャップ514Aを通る通路514Bを形成する。
次に図202を参照すると、キャップ514Aの構成要素は、キャップ514Aおよびパドルフレーム524Aの構成要素の特徴が分かりやすいように、また遠位部527Aへのキャップ514Aの組み付け時にそれらの特徴がどのように連動するかを示すように分解組立図で示されている。材料のストリップ501Aの周りに組み立てることができる複数の構成要素からキャップ514Aを形成することで、材料のストリップ501Aが折りたたまれて接合要素510Aおよびパドル520A、522Aを形成し、カラー511Dおよびパドルフレーム524Aを通して織られた後にキャップ514Aを取り付けることができる。
保持本体部560Aは、保持ナット562Aを受け入れるためのロックアパーチャ561Aを備える。ロックアパーチャ561Aは、概して長方形の形状を有し、パドルフレーム524Aの取り付け部524Cを受け入れる2つの対向するロックチャネル561Bを備える。保持本体部560Aの底部に形成された横方向ロックチャネル561Cは、ロックチャネル561Bと同じ幅を有する。パドルフレーム524Aは、パドルフレーム524Aをキャップ514Aに固定するために横方向ロックチャネル561Cと係合するフック部524Eを形成する取り付け部524C内の切り込み524Dを備える。
保持ナット562Aは、フランジ563Bから遠位方向に伸長する長方形のロック本体部563Aを含む。ロック本体部563Aは、ロックチャネル561Bを妨げないように残しながら保持本体部560Aのロックアパーチャ561Aに摺動可能に係合するように構成されている。したがって、ロック本体部563Aをロックアパーチャ561A内に挿入して、パドルフレーム524Aの取り付け部524Cをロックチャネル561B内にロックすることができる。フランジ563B内の切り込み563Cは、パドルフレーム524Aの取り付け部524Cを収容する。ねじ山付きボア564Aは、保持ボルト566Aを受け入れるように保持ナット562Aを貫通して形成される。
保持ボルト566Aは、フランジ567Aから伸長するねじ山付き部分568Aを備える。ねじ山付き部分568Aは、遠位部527Aのアパーチャ527Bに挿入され、保持ナット562Aのねじ山付きボア564Aに螺合する。フランジ567Aは、デバイス500Aの遠位部507Aに丸みのある端部をもたらす丸みのある形状を有する。フランジ567Aは、キャップ514Aの構成要素を一緒に結合するために組み立て中にボルト566Aを回すことができるようにボルト566Aと係合する工具(図示せず)を受け入れるための開口部567Bを備える。
パドルフレーム524Aおよびキャップ514Aを遠位部527Aに組み付けるために、パドルフレーム524Aを強く締めて、取り付け部524Cがロックアパーチャ561Aのロックチャネル561Bに挿入され得るように取り付け部524Cの幅を狭める。パドルフレーム524Aが拡張を可能にされたときに、取り付け部524Cが外向きに拡張して、切り込み524Dは保持本体部560Aと係合し、フック部524Eは横方向ロックチャネル561Cと係合する。次いで、保持ナット562Aは、ロック部563Aが各パドルフレーム524Aの2つの取り付け部524Cの間に配置された状態で、ロックアパーチャ561A内に挿入され、それによって、パドルフレーム524Aを保持本体部560Aと係合させてロックする。組み立てられたパドルフレーム524A、保持本体部560A、および保持ナット562Aは、ねじ山付きボア564Aがアパーチャ527Bと整列するように遠位部527A上に配置され、ボルト566Aのねじ山付き部分568Aはアパーチャ527Bに挿入されてねじ山付きボア564Aと螺合する。次いで、ボルト566Aはフランジ567Aが保持本体部560Aに係合するまで締め付けられ、キャップ514Aは遠位部527Aにしっかりと組み付けられる。
次に図203および図204を参照すると、カバー540Aの部分が平坦な材料のシートから切断されて示されている。カバー540Aは、外側カバー541Aおよび内側カバー543Aを含む。カバー541A、543Aの各々は、デバイス500Aの異なる部分に取り付けるための異なる形状のセグメントまたは部分を含む。特に、カバー541A、543Aは、装置500Aの部分間の移行を滑らかにして、キャッチポイントを減らし、デバイス500に滑らかな外観を提供するように整形されている。
カバー541A、543Aの様々なセグメントは、デバイス500Aの端部に取り付けるように整形されている中間部から伸長している。他の実施形態では、デバイス500Aの端部に取り付けるカバー541A、543Aの部分は、カバー541A、543Aの端部に配置されるか、またはカバー541A、543Aの中間部と端部との間の任意の場所に配置することができる。カバー541A、543Aの様々な部分は、デバイス500Aのそれらの部分を包み込むように整形することができる。カバー540Aは、微細網のポリエチレン布などの任意の好適な材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、カバーは、単一の材料片から形成される。他の実施形態では、カバーは、縫合、接着剤、溶接、または同様の手段などの任意の好適な手段によって、デバイスに取り付けられ、かつ/または一緒に結合される任意の数の材料片から形成することができる。
図60Cおよび図204を参照すると、外側カバー541Aは、中間部580から端部588まで外向きに伸長している。中間部580は、デバイス500Aのキャップ514Aに取り付けられるように整形されている。外側パドル部分582は、中間部580から内側パドルおよび内側留め具部分584まで伸長している。内側パドルおよび内側留め具部分584は、外側パドル部分582から外側可動留め具部分586まで伸長している。外側可動留め具部分586は、内側パドルおよび内側留め具部分584から端部588まで伸長している。
外側パドル部分582は、外側パドル部分582がデバイス500Aの外側パドル520Aおよびパドルフレーム524Aに取り付けることができるように外側カバー541Aの他の部分よりも広い幅の分だけ横方向に伸長するウィング部583を備える。内側パドルおよび内側留め具部分584は、内側パドル522A、固定アーム532C、および可動アーム534Cの内面(返しがある側)に取り付けられる。外側の留め具部分586は、留め具530Cの可動アーム534Cの外面(返しのない側)に取り付けられる。外側カバー541Aの端部588は、留め具530Cの外側にある留め具530Cの結合部538Cの近くに終端する。内側パドルおよび内側留め具部分584は、留め具530Cの返し536Cが外側カバー541Aを通って突出し、天然の心臓弁の組織と係合することを可能にする開口部585を備える。
図60Cおよび図203を参照すると、内側カバー543Aは、中間部590から端部598まで外向きに伸長している。中間部590は、デバイス500Aのカラー511Dに取り付けられるように構成されている。中間部590内の開口部591は、中間部590がカラー511Dに取り付けられたときに突起511Eが送達デバイス502Aによって係合され得るようにカラー511Dから突起511Eを露出させる。接合部592は、中間部590から可撓性ヒンジ部分594まで伸長している。接合部592の縁に沿った孔593は、接合部592の各々が、たとえば、ステッチ545Aなどによって、接合要素510Aのまわりに折りたたまれた後、一緒に結合されることを可能にする。可撓性ヒンジ部分594は、接合部592から移行部596まで伸長している。移行部596は、可撓性ヒンジ部分594から端部598まで伸長している。移行部596の縁に沿った孔597は、移行部596の各々が、内側パドル522Aおよび留め具530Cの端部に巻き付けられ、ステッチまたは他の好適な固定手段によってそれ自体に固定されることを可能にする。可撓性ヒンジ部分594は、図198で分かるようにデバイス500Aが開かれたときに接合要素510Aと留め具530Cとの間の隙間を橋渡しする。
次に図62A~図64Cを参照すると、移植可能なデバイス700が示されている。移植可能なデバイス700は、弁尖20、22を返し付き留め具すなわち把持デバイス704に当てて把持するために開閉する、パドル702を有する。パドル702は、弁尖20、22を把持できるパドル702と把持デバイス704との間に開口706を作り出すように動く。デバイス700は、天然の心臓弁MV、TVの広い隙間26(図6)を閉じるように構成することができる。加えて、移植可能なデバイス700は、本出願で論じたデバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス700は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁尖20、22に係合するように配置することができる。デバイス700は、本出願で論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス700は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
図62Aを参照すると、デバイス700のパドル702は、パドル702と把持部材704との間に幅Wの開口706を作り出すために、外向きの方向Xに移動、回転、または旋回する。幅Wは、たとえば、7.5mmから約12.5mmまでの間など、約10mmなど、約5mmから約15mmの間とすることができる。代替実施形態では、幅Wは5mm未満とする、または15mmより大きくすることができる。
図62Bを参照すると、デバイス700のパドル702は、開口706の幅がHになるように外向きの方向Zに動く。幅Hは、たとえば、約10mmから約20mmまでの間など、約12.5mmから約17.5mmまでの間など、約15mmなど、約10mmから約25mmまでの間とすることができる。いくつかの実施形態では、幅Hは10mm未満とするか、または25mmより大きくすることができる。いくつかの実施形態では、幅Hと幅Wの比は、約4対1以下など、約3対1以下など、約2対1以下など、約1.5対1以下など、約1.25対1以下など、約1対1など、約5対1以下とすることができる。デバイス700は、パドル702が外向きの方向Xに移動、回転、または旋回し、次に外向きの方向Zに移動して、パドル702と把持部材704との間に幅Hの開口706を作り出すように構成することができる。任意選択で、デバイス700は、パドルが外向きの方向Zに動き、次に外向きの方向Xに移動または旋回して、パドル702と把持部材704との間に幅Hを作り出すように構成することができる。加えて、デバイス700は、パドル702が外向きの方向Xに移動または旋回し、同時に外向きの方向Zに移動して、パドル702と把持部材704との間に幅Hを作り出すように構成することができる。
図63A~図63Cは、パドル702が外向きの方向Xに移動、回転、または旋回し、続いて外向きの方向Zに移動してより広い開口706が作り出される、移植可能なデバイス700を示す。図63Aは、パドル702が把持部材704に係合しているように閉じた状態の移植可能なデバイス700を示す。図63Bを参照すると、パドル702は外向きの方向Xに移動または旋回して、弁組織を受け入れるための幅Wの開口706を作り出している。図63Cを参照すると、パドル702が外向きの方向Xに移動または旋回した後に、パドル702は、開口706の幅がHになるように外向きの方向Zに移動する。弁組織がパドル702と把持部材704との間の開口706に受け入れられた後、弁修復デバイスは、弁修復デバイス700を弁組織に固定するために、閉状態(図63Aに示される)に戻される。移植可能なデバイス700は、本出願において論じた移植可能なデバイスの任意の他の特徴を含むことができ、また移植可能なデバイス700は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
図64A~図64Cは、パドル702が外向きの方向Zに動き、続いて外向きの方向Xに移動、伸長、または旋回してより広い開口706が作り出される、移植可能なデバイス700を示す。図64Aは、パドル702が把持部材704に係合しているように閉じた状態の移植可能なデバイス700を示す。図64Bを参照すると、パドル702は外向きの方向Zに移動して、弁組織を受け入れるための幅Wの開口706を作り出している。図64Cを参照すると、パドル702が外向きの方向Zに移動した後に、パドル702は、開口706の幅がHになるように外向きの方向Xに移動または旋回している。弁組織がパドル702と把持部材704との間の開口706に受け入れられた後、移植可能なデバイス700は、移植可能なデバイス700を弁組織に固定するために、閉状態(図64Aに示される)に戻される。移植可能なデバイス700は、本出願において論じた移植可能なデバイスの任意の他の特徴を含むことができ、また移植可能なデバイス700は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
図63A~図63Cは、パドル702が移動または旋回してから離れて広がるデバイス700を示し、図64A~図64Cは、パドル702が広がってから移動または旋回するデバイス700を示すが、代替実施形態では、デバイス700は、同時に広がり、移動または旋回することができるパドル702を含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、パドル702は互いに独立して広がり、移動または旋回することができる。すなわち、図63A~図63Cおよび図64A~図64Cに示された弁修復デバイス700の実施形態、ならびに、各パドル702が広がることと、移動または旋回することと、が同時に完了する実施形態では、パドル702は互いに独立して制御することができる。
次に図65~図83を参照すると、例示的な移植可能なデバイス500が閉状態で示されている。次に図65~図66を参照すると、デバイス500は、近位部505から遠位部507まで伸長し、接合部510、内側パドル522、外側パドル520、およびパドルフレーム524を含む。いくつかの実施形態では、外側パドル520はパドルフレーム524まで、かつ/またはそのまわりに伸長し、パドルフレーム524を囲むための複数の層を有することができる。近位部505は、送達デバイスを取り付けるためのカラー11(図示せず)を含み得る。遠位部507はキャップ514を含むことができ、このキャップは、外側パドル520に取り付けられ(たとえば、結合可能に取り付けられるなど)、また、デバイス500を開閉するために作動要素(図示せず)に係合されて、本出願に記載のように天然の弁に移植しやすくなる。
次に図67~図68を参照すると、デバイス500の前面図が示されている。デバイス500は形状が、垂直前後間平面550のまわりに対称であるか、または実質的に対称であり、また近位部505よりも遠位部507において概して狭い。接合要素510およびパドルフレーム524の形状は、デバイス500が移植中に腱索などの心臓の構造体を捕捉したり引っかけたりしないようにするために、丸みがあるか、または概して丸みがある。この理由のために、近位カラー511(図68)およびキャップ514(図68)もまた、縁部が丸い。前面または後面から見ると、パドルフレーム524は、遠位端507から上向きおよび外向きに伸長して、前面および後面から見たときの接合要素510の形状とほぼ一致する、丸みのある、または概して丸みのある形状であることが分かる。したがって、接合要素510およびパドルフレーム524は一般に、前面または後面から見たデバイス500の形状を画定する。加えて、パドルフレーム524の丸みのある形状、および対応する接合要素の丸みのある形状により、弁尖応力をより広い面全体にわたって分散させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、パドルフレーム524および/または接合要素510は、別の形状を有することができる。
次に図69を参照すると、デバイス500の側面図が示されている。前面図および後面図(図67~図68)と同様に、デバイス500は、側面から見たときに垂直側面間平面552のまわりに対称、または実質的に対称である形状を有する。遠位部507もまた、デバイス500を側面から見たときに近位部505よりも概して細い。接合要素510はまた任意選択で、デバイス500の遠位部507に向かって細くなるテーパが付いた、または全体的にテーパが付いた形状を有する。しかし、いくつかの例示的な実施形態では、接合要素には、それがデバイスの近位部からデバイスの遠位部へ伸長するにつれてテーパが付いていない。
デバイス500の丸みのある外観は、内側パドル522と外側パドル520とが結合されているパドル520、522の丸い形状、およびパドルフレーム524の丸い形状によってさらに明らかにされる。しかし、パドル520、522およびパドルフレーム524は、多種多様な異なる形状を取ることができる。たとえば、パドル520、522およびパドルフレーム524は、上端に沿って丸みがあってもよいが、パドル520、522および/またはパドルフレームの側面は平坦または実質的に平坦でもよい。パドル520、522を平坦に、または実質的に平坦にすることによって、2つのデバイスを天然の弁の弁尖に横に並べて移植することができ、これら2つのデバイスは互いに同一平面、または実質的に同一平面にある。
閉じたパドル520、522は、天然の組織を受け入れるように構成された内側パドル522と接合要素510との間に隙間542を形成する。図69から分かるように、接合要素510が細くなることにより隙間542には、デバイスの遠位部507に隙間542が接近するにつれて幅が拡大する、いくぶん涙滴の形状が与えられる。遠位部507に向かって隙間542の幅が広くなることにより、パドル520、522は、隙間542に把持された組織に近位部505のより近くで接触することが可能になる。
パドルフレーム524は、外向きに曲がるか広がる前に、遠位部507から近位部505に向かってデバイス500のほぼ中部3分の1まで垂直に伸長し、それによりフレーム524の連結部は、外側パドル520の内側に折りたたまれた内側パドル522によって形成された隙間544を通過する。しかし、他の実施形態では、フレームの連結部は内側パドル522の内側、または外側パドル520の外側に配置される。外側パドル520は、前面または後面から見たときに、接合要素510のものと類似している丸みのある形状をしている(図67~図68)。すなわち、デバイス500は丸い形状、または実質的に丸い形状をしている。デバイス500の丸い形状は特に、デバイス500を上部から見たとき(図70~図71)または底部から見たとき(図72~図73)に見える。
次に図70~図71を参照すると、デバイス500の上面図が示されている。デバイス500は、上部から見たときに形状が、前後間平面550のまわりで対称であるか、または実質的に対称であり、また側面間平面552のまわりでも対称であるか、または実質的に対称である。接合要素510の開口部519Aは、デバイス500の近位部505において見ることができる。図70で分かるように、接合要素510は内部を中空とすることができる。図71に示された近位カラー511は、接合要素510に固定して接合要素510を閉鎖することができる。
1つの例示的な実施形態では、接合要素は平坦ではなく、すべての面が湾曲している。たとえば、本明細書に記載の接合要素510は、多様な異なる曲率半径を有する一連の混合面から形成することができる。接合要素510は、上面から見たときに楕円の、または概して楕円の形状を有する。しかし、いくつかの例示的な実施形態では、接合要素510は、上面から見たときに別の形状を有し得る。たとえば、接合要素は、長方形、正方形、ひし形、長円形、または任意の他の形状を有し得る。パドルフレーム524はそれぞれ、半径が接合要素510よりも小さい弓形の形状を有し、それにより、内側パドル522およびパドルフレーム524と接合要素510との間に形成された隙間542は、それがデバイス500の左側面551および右側面553に近づくにつれて狭くなる。したがって、弁尖20、22などの天然の組織は、デバイス500の左側面551および右側面553に向かってパドルフレーム524と接合要素510との間に挟み付けられる傾向がある。
次に図72~図73を参照すると、デバイス500の底面図が示されている。上面図(図70~図71)と同様に、デバイス500は、底部から見たときの形状が、前後間平面550のまわりに対称であるか、または実質的に対称であり、また側面間平面552のまわりにも対称であるか、または実質的に対称である。キャップ514が図73に示されており、外側パドル520およびパドルフレーム524に継ぎ合わせ可能に取り付けることができる。
パドルフレーム524は、デバイス500の遠位部507から外向きに左側面551および右側面553へ、側面間平面552から狭小角度すなわち微小角度で伸長する。パドルフレーム524は、デバイス500の近位部に向かってパドルフレーム524が伸長するにつれて側面間平面552からさらに広がって(図69)、最終的に図70~図71に見られる弓形を形成する。
次に図74~図83を参照すると、デバイス500の斜視図および断面図が示されている。次に図74を参照すると、デバイス500は、接合要素510の近位部に近い断面75で切られて示されている。次に図75を参照すると、図74の断面75から見たデバイス500の断面が示されている。平面75の位置において、接合要素510は丸い、または概して丸い形状を有し、ローブが前後面550に沿って配置されている。パドルフレーム524と接合要素510との間の隙間542は、中心幅543の三日月に似た形を形成する。上記のように、隙間542は、隙間542が左側面551および右側面553へ近づくにつれて狭くなる。
次に図76を参照すると、デバイス500は、遠位部507と接合要素510の近位部505との間の行程の約4分の3に位置する断面77で切られて示されている。次に図77を参照すると、図76の断面77から見たデバイス500の断面が示されている。平面75の位置において、接合要素510は、向きが側面間平面552に沿っている楕円の、または概して楕円の形状を有する。パドルフレーム524と接合要素510との間の隙間542は、中心幅543が図75に見られる中心幅543よりも小さい三日月形、または三日月に似た形を形成する。平面77の位置において隙間542の幅543は、デバイスの中心に向かって狭くなり、隙間542が左側面551および右側面553に近づくにつれていくらか広くなった後に再び狭くなる。したがって、天然の組織は、接合要素510の上への行程の約4分の3の、隙間542の中心において挟み付けられる。
次に図78を参照すると、デバイス500は、遠位部507と接合要素510の近位部505との間の行程の約半分に位置する断面79で切られて示されている。次に図79を参照すると、図78の断面79から見たデバイス500の断面が示されている。平面79の位置において、接合要素510は、向きが側面間平面552に沿っている楕円の、または概して楕円の形状を有する。パドルフレーム524は、左側面551および右側面553の近くで接合要素510に非常に接近または接触しているのを見ることができる。隙間542は三日月形、または概して三日月形であり、平面77に沿って見た隙間542(図77)よりも幅が広い。
次に図80を参照すると、デバイス500は、遠位部507と接合要素510の近位部505との間の行程の約4分の1に位置する断面81で切られて示されている。次に図81を参照すると、図80の断面81から見たデバイス500の断面が示されている。平面81の位置において、接合要素510は、向きが側面間平面552に沿っている、図77に見られる楕円形よりも狭い、楕円の、または概して楕円の形状を有する。パドルフレーム524は、左側面551および右側面553の近くで接合要素510に非常に接近または接触しているのを見ることができる。隙間542は三日月形、または概して三日月形であり、平面79に沿って見た隙間542(図79)よりも幅が広い。
次に図82を参照すると、デバイス500は、接合要素510の遠位部507の近くに位置する断面83で切られて示されている。次に図83を参照すると、図82の断面83から見たデバイス500の断面が示されている。平面83の位置において、接合要素510は、向きが側面間平面552に沿っている、楕円の、または概して楕円の形状を有し、この楕円の形状は、接合要素510がデバイス500の遠位部507に向かって細くなるにつれて、図79に見られる楕円形状よりも狭くなる。パドルフレーム524は、左側面551および右側面553の近くで接合要素510に非常に接近または接触しているのを見ることができる。内側パドル522は図81では見えないが、隙間542は三日月形、または概して三日月形であり、平面81に沿って見た隙間542(図81)よりも幅が広い。
次に、図65A、図66A、図67A、図68A、図70A、図71A、図72A、図73A、図74A、図75A、図76A、図77A、図78A、図79A、図80A、図81A、図82A、および図83Aを参照すると、例示的な移植可能なデバイス500Aが、閉じた状態で示されている。次に図65Aおよび図66Aを参照すると、デバイス500Aは、近位部505Aから遠位部507Aまで伸長し、接合部510A、内側パドル522A、外側パドル520A、およびパドルフレーム524Aを含む。近位部505Aは、送達デバイスを取り付けるためのカラー511D(図示せず)を含み得る。遠位部507Aはキャップ514Aを含むことができ、このキャップ514Aは、外側パドル520に取り付けられ(たとえば、継ぎ合わせ可能に取り付けられる、など)、またデバイス500Aを開閉するように作動要素(図示せず)に係合され、本出願に記載のように僧帽弁に移植することを円滑にする。
次に図67Aおよび図68Aを参照すると、デバイス500Aの前面図が示されている。デバイス500Aは、垂直前後間平面550Aのまわりに対称であるか、または実質的に対称であり、パドルフレーム524Aに沿うよりも遠位部507Aのところで概して狭い形状を有する。接合要素510Aおよびパドルフレーム524Aの形状は、デバイス500Aが移植中に腱索などの心臓の構造体を捕捉したり引っかけたりしないようにするために、概して丸みのある長方形の形状である。この理由のために、近位カラー511D(図68A)およびキャップ514A(図68A)もまた、丸い縁部を有することができる。前面または後面から見ると、パドルフレーム524Aは、前面および後面から見たときに遠位部507Aから接合要素510Aよりも幅が広く、おおよそ平行である側部を有する形状まで上向きおよび外向きに伸長する、概して丸みのある長方形の形状を有することが分かる。したがって、パドルフレーム524Aは一般に前面または後面から見たときにデバイス500Aの形状を画定する。それに加えて、パドルフレーム524の丸みのある長方形の形状は、弁尖応力をより広い面全体にわたって分散させることができる。いくつかの例示的な実施形態では、パドルフレーム524Aおよび/または接合要素510Aは、別の形状を有することができる。
前面図および後面図(図67Aおよび図68A)と同様に、デバイス500Aは、側面(たとえば、図47A)から見たときに垂直側面間平面552A(図70A)のまわりに対称であるか、または実質的に対称である形状を有する。遠位部507Aは、また、デバイス500Aを側面から見たときに近位部505Aよりも概して細い。図48Bに例示されている実施形態では、接合要素510Aには、それがデバイス500Aの近位部505Aからデバイス500Aの遠位部507Aへ伸長するにつれてテーパが付いていない。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、接合要素には、それがデバイスの近位部からデバイスの遠位部へ伸長するにつれてテーパが付いている(たとえば、図47)。
デバイス500Aの概して丸みのある特徴は、内側パドル520Aおよび外側パドル522Aが一緒に結合されているパドル520A、522Aの丸い形状によってさらに明らかにされる。しかしながら、パドル520A、522Aおよびパドルフレーム524Aは、多種多様な異なる形状を取ることができる。たとえば、パドル520A、522Aおよびパドルフレーム524Aは、上端に沿って丸みがあり、側面(たとえば、デバイス500Aの前側および後側に配置されているパドルフレーム524Aの側面)では平坦であるか、または実質的に平坦であってよい。パドル520A、522Aを側面では平坦に、または実質的に平坦にすることによって、2つのデバイスを天然の弁尖に横に並べて移植することができ、これら2つのデバイスは互いに同一平面上に、または実質的に同一平面にある。
閉じたパドル520A、522Aは、天然の組織を受け入れるように構成された内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に隙間542Aを形成する。図48Bおよび図48Fで分かるように、接合要素510Aの近位端は、隙間542Aがデバイスの遠位部507Aに近づくにつれ隙間542Aが近位部505Aに向かって狭くなるようにおおよそドッグボーンの形状を有する。取り付け部507Aに向かって隙間542Aの幅が狭くなることにより、パドル520A、522Aは、隙間542に把持された組織に近位部505Aのより近くで接触することが可能になる。
パドルフレーム524Aは、外向きに曲がるか、または広がる前に遠位部507Aから近位部505Aに向かってデバイス500Aの中ほどの約3分の1のところまで垂直に伸長し、それによりフレーム524Aの連結部524Bは、外側パドル520Aの内側に折りたたまれた内側パドル522Aによって形成された隙間544Aを通過する。しかしながら、他の実施形態では、フレームの連結部は内側パドル522Aの内側、または外側パドル520Aの外側に配置される。外側パドル520Aは、前面または後面から見たときに、接合要素510Aのものと類似している丸みのある長方形の形状をしている(図67Aおよび図68A)。したがって、デバイス500Aは丸みのある長方形の形状を有している。デバイス500Aの丸みのある長方形の形状は特に、デバイス500Aを頂部から見たとき(図70Aおよび図71A)または底部から見たとき(図72Aおよび図73A)に見える。
次に図70Aおよび図71Aを参照すると、デバイス500Aの上面図が示されている。デバイス500Aは、上部から見たときに形状が、前後間平面550Aのまわりに対称であるか、または実質的に対称であり、また側面間平面552Aのまわりにも対称であるか、または実質的に対称である。接合要素510Aの近位開口部519Cは、デバイス500Aの近位部505Aにおいて見ることができる。作動要素512Aは、接合要素510Aが作動要素512Aのまわりに巻き付くように開口部519Cを通して受け入れられる。いくつかの実施形態において、開口部519Cは、材料のストリップ(以下で詳しく説明される)の折りたたまれ重なり合う層の間に作動要素512Aを挿入することによって形成される。他の実施形態において、開口部519Cは、接合要素510Aが丸い、または概して丸い形状になるようにブランクまたは治具のまわりに接合要素510Aを形成する材料のストリップ501Aの折りたたまれた層を形状設定することによって形成される。図71Aに示された近位カラー511Dは、接合要素510Aに固定して接合要素510Aを閉鎖することができる。近位カラー511Dは、接合要素510Aを形成する材料のストリップ501Aの折りたたまれた層によって形成される開口部546Aと係合する取り付け部513Aを備える。いくつかの実施形態において、取り付け部513Aは、カラー511D内の孔であり、材料のストリップ501Aは、デバイス500Aの組み立て時に材料のストリップ501Aを折りたたむ前にカラー511Dに挿入されなければならない。いくつかの実施形態において、取り付け部513Aは、材料のストリップ501Aを折りたたむ前、または折りたたんだ後に材料のストリップ501Aを受け入れる開放スロット(たとえば、パドルフレーム524Aの取り付け部524B)である。
上で述べたように、接合要素510Aは、頂部から見たときに概して長方形の形状を有する。いくつかの例示的な実施形態では、接合要素510Aは、頂部から見たときに別の形状を有し得る。たとえば、接合要素は、丸い形、正方形、ひし形、長円形、または任意の他の形状を有し得る。パドルフレーム524Aは、各々、パドルフレーム524Aが長方形の接合要素510Aを囲むように頂部から見たときに丸みのある長方形の形状を有する。したがって、弁尖20、22などの、天然の組織は、内側パドル522Aおよびパドルフレーム524Aと接合要素510Aとの間に形成された隙間542A内に均等に挟み付けられるか、または圧縮される傾向を有する。
次に図72Aおよび図73Aを参照すると、デバイス500Aの底面図が示されている。上面図(図70Aおよび図71A)と同様に、デバイス500Aは、底部から見たときの形状が、前後間平面550Aのまわりに対称であるか、または実質的に対称であり、また側面間平面552Aのまわりにも対称であるか、または実質的に対称である。材料のストリップ501Aの遠位部527Aは、図73Aに示されているキャップ514Aを受け入れるためのアパーチャ527Bを備える。
パドルフレーム524Aは、デバイス500Aの遠位部507Aから外向きに左側面551Aおよび右側面553Aへ、側面間平面552Aから狭い角度すなわちわずかな角度で伸長する。パドルフレーム524Aは、パドルフレーム524Aがデバイス500A(図65A)の近位部505Aに向かって伸長するときに前後間平面550Aに対して概して一定の距離を保ちながら側面間平面552Aからさらに遠ざかる方向に伸長して最終的に図70Aおよび図71Aに示されている丸みのある長方形の形状を形成する。
1つの例示的な実施形態では、デバイス500Aの寸法は、一人の患者が必要とする移植物の数(好ましくは1つ)を、低弁内外勾配を同時に維持しながら最小にするように選択される。1つの例示的な実施形態では、デバイス500Aの前部後部距離Y47Iは最も幅広いところで10mm未満であり、スペーサの中央横方向距離Y67Cは、その最も幅広いところで6mm未満である。1つの例示的な実施形態では、デバイス500Aの全体幾何形状は、これら2つの寸法および上述の全体形状策略に基づくことができる。デバイス500Aの開始点として別の前部後部距離Y47Iおよび中央横方向距離Y67Cを用いることにより、寸法が異なるデバイスが得られることはすぐに明らかになるはずである。さらに、他の寸法および上述の形状策略を用いることによってもまた、寸法が異なるデバイスが得られる。
Table D(表4)およびTable E(表5)は、いくつかの例示的な実施形態のデバイス500A、およびデバイス500Aの構成要素の寸法の値および範囲の例を提示する。しかし、デバイス500Aは多種多様な異なる形状およびサイズを有することができ、Table D(表4)およびTable E(表5)に提示された寸法の値または寸法の範囲のすべてまたはいずれかを有する必要はない。Table D(表4)は、デバイス500A、およびデバイス500Aの構成要素の、単位がミリメートルの長さ寸法Y、および単位がミリメートルの長さ寸法範囲の各例を提示する。Table B(表2)は、デバイス500A、およびデバイス500Aの構成要素の、単位がミリメートルの半径寸法S、および単位がミリメートルの半径寸法範囲の各例を提示する。寸法のそれぞれの下付き文字は、その寸法が最初に現れる図面を示す。
次に図74A、図75A、図76A、図77A、図78A、図79A、図80A、図81A、図82A、および図83Aを参照すると、デバイス500Aの斜視図および断面図が示されている。次に図74Aを参照すると、デバイス500Aは、接合要素510Aの近位部に近い断面75Aで切られて示されている。次に図75Aを参照すると、図74Aの断面75Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。平面75Aの位置において、接合要素510Aは、概して丸みのある長方形の形状を有する。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、幅542Bを有する。上で述べたように、隙間542Aは、一貫した、または概して一貫した幅を有する。
次に図76Aを参照すると、デバイス500Aは、遠位部507Aと接合要素510Aの近位部505Aとの間の行程の約4分の3に位置する断面77Aで切られて示されている。次に図77Aを参照すると、図76Aの断面77Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。図76Aおよび図77Aで分かるように、デバイス500Aを形成する材料のストリップ501Aは、接合要素510Aの領域内に4つの層を形成するように重ねられる。材料のストリップ501Aの単一の層は、内側パドル522Aおよび外側パドル520Aの各々を形成する。平面75Aの位置において、接合要素510Aは、向きが側面間平面552Aに沿っている概して長方形の形状を有する。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、見えている。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、図75Aに示されている幅542Bよりも大きい幅542Bを有する。外側パドル520Aと内側パドル522Aとの間の隙間544Aは、パドルフレーム524Aの取り付け部524Bを受け入れるための一貫した、または概して一貫した幅544Bを有する。
次に図78Aを参照すると、デバイス500Aは、遠位部507Aとデバイス500Aの近位部505Aとの間の行程の約2分の1に位置する断面79Aで切られて示されている。次に図79Aを参照すると、図78Aの断面79Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。図78Aおよび図79Aで分かるように、デバイス500Aを形成する材料のストリップ501Aは、接合要素510Aの領域内に4つの層を、内側パドル522Aの領域内に2つの層を、外側パドル520Aの領域内に1つの層を形成するように重ねられる。平面79Aの位置において、接合要素510Aは、向きが側面間平面552Aに沿っている概して長方形の形状を有する。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、図77Aに示されている幅542Bと同じか、またはほぼ同じである幅542Bを有する。
次に図80Aを参照すると、デバイス500Aは、遠位部507Aとデバイス500Aの近位部505Aとの間の行程の約4分の1に位置する断面81Aで切られて示されている。次に図81Aを参照すると、図80Aの断面81Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。図80Aおよび図81Aで分かるように、デバイス500Aを形成する材料のストリップ501Aは、接合要素510Aの領域内に4つの層を、内側パドル522Aの領域内に2つの層を形成するように重ねられ、外側パドル520Aが単一の層によって形成される。平面81Aの位置において、接合要素510Aは、向きが側面間平面552Aに沿っている概して長方形の形状を有する。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、図79Aに示されている中央幅542Bとほぼ同じである幅542Bを有する。
次に図82Aを参照すると、デバイス500Aは、遠位部507Aとデバイス500Aの近位部505Aとの間の行程の約4分の1に位置する断面83Aで切られて示されている。次に図83Aを参照すると、図82Aの断面83Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。図82Aおよび図83Aで分かるように、デバイス500Aを形成する材料のストリップ501Aは、接合要素510Aの領域内に4つの層を、内側パドル522Aの領域内に2つの層を形成するように重ねられ、単一の層が外側パドル520Aを形成する。平面83Aの位置において、接合要素510Aは、向きが側面間平面552Aに沿っている概して長方形の形状を有する。内側パドル522Aと接合要素510Aとの間の隙間542Aは、図81Aに示されている中央幅542Bとほぼ同じである幅542Bを有するアーチ形形状を形成する。
次に図84~図88、図86A、図87A、および88Aを参照すると、留め具すなわち接合可能な把持部材がない、例示的な移植可能なデバイス100、500、500Aが示されている。むしろ、図84~図88、図86A、図87A、および図88Aに示された例示的なデバイス100、500、500Aは、天然の心臓弁の組織を把持しやすくするために、返しすなわち把持部材800/800Aおよび/または802/802Aがデバイスのアンカー部の接合要素またはパドルの部分に一体化している。
次に図84を参照すると、接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス100が示されている。上述のように、デバイス100は送達シースまたは送達のための手段102から配備され、接合部104およびアンカー部106を含む。デバイス100の接合部104は、接合要素または接合のための手段110を含み、これは、天然の弁(たとえば、僧帽弁MVなど)の弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素または接合のための手段110を通って遠位キャップ114まで伸長する作動要素すなわち作動シャフト112に摺動可能に取り付けられる。
デバイス100のアンカー部106は、遠位キャップ114と接合要素または接合のための手段110との間に連結されている、外側パドル120および内側パドル122を含む。アンカー部106は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素または作動のための手段112を作動するとデバイス100のアンカー部分106を開閉して、移植中に天然の弁尖20、22を把持する。
図84に示されたデバイス100は、接合可能な留め具または把持要素ではなく、接合要素または接合のための手段110に配置された返し部800を含み、接合要素または接合のための手段110のそれぞれの側面に少なくとも1つの返し部800がある。デバイス100のアンカー部106が閉じているとき、内側パドル122と接合要素または接合のための手段110との間に把持された組織が、返し部800に押し付けられる。返し部800は鋭くすることができ、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス100から後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800は、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図85を参照すると、別個の接合可能な留め具がない例示的な移植可能なデバイス100が示されている。上述のように、デバイス100は送達シースまたは送達のための手段102から配備され、接合部104およびアンカー部106を含む。デバイス100の接合部104は、接合要素または接合のための手段110を含み、これは、天然の弁または僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素または接合のための手段110を通って遠位キャップ114まで伸長する作動要素112(たとえば、作動ワイヤ、シャフト、ロッド、糸、ラインなど)に摺動可能に取り付けられる。
デバイス100のアンカー部106は、遠位キャップ114と接合要素または接合のための手段110との間に連結されている、外側パドル120および内側パドル122を含む。アンカー部106は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具などの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素または作動のための手段112を作動するとデバイス100のアンカー部分106が開閉して、移植中に天然の弁尖20、22を把持する。
図85に示されたデバイス100は、別個の接合可能な留め具または把持要素ではなく、内側パドル122に配置された返し部800を含み、内側パドル122のそれぞれの側面に少なくとも1つの返し部800がある。デバイス100のアンカー部106が閉じているとき、内側パドル122と接合要素または接合のための手段110との間に把持された組織が、返し部800に押し付けられる。返し部800は鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス100から後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800は、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図86を参照すると、接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500が示されている。上述のように、デバイス500は、接合部504およびアンカー部506を含む。デバイス500の接合部504は、接合要素510を含み、この接合要素は、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510を通って遠位キャップ514まで伸長する作動要素または作動のための手段512に摺動可能に取り付けられる。
デバイス500のアンカー部506は、遠位のキャップ514と接合要素510との間に連結されている、外側パドル520および内側パドル522を含む。アンカー部506は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素512を作動すると、デバイス500のアンカー部506が開閉して、移植中に天然の弁の弁尖20、22が把持される。
デバイス500は、接合可能な留め具または把持要素ではなく、内側パドル522に配置された返し部800を含み、内側パドル522のそれぞれの側面に任意選択で複数の返し部800がある。デバイス500のアンカー部506が閉じているとき、内側パドル522と接合要素550との間に把持された組織が、返し部800に押し付けられる。返し部800は鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500から後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800は、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図86Aを参照すると、接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500Aが示されている。上述のように、デバイス500Aでは、接合要素510Aは、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510Aを通って遠位キャップ514Aまで伸長する作動要素または作動のための手段(図示せず)に摺動可能に取り付けられる。デバイス500は、また、遠位キャップ514Aと接合要素510Aとの間に接続される外側パドル520Aおよび内側パドル522Aも備える。デバイス500Aは、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素を作動するとデバイス500Aのパドル520A、522Aを開閉して、移植中に天然の弁尖20、22を把持する。
デバイス500Aは、接合可能な留め具または把持要素ではなく、内側パドル522Aに配置された返し部800Aを含み、内側パドル522Aのそれぞれの側面に任意選択で複数の返し部800Aがある。デバイス500Aが閉じているとき、内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に把持された組織が、返し部800Aに押し付けられる。返し部800Aは鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500Aから後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800Aは、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図87を参照すると、別個の接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500が示されている。上述のように、デバイス500は、接合部502およびアンカー部506を含む。デバイス500の接合部502は、接合要素510を含み、この接合要素は、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510を通って遠位キャップ514まで伸長する作動要素または作動のための手段512に摺動可能に取り付けられる。
デバイス500のアンカー部506は、遠位キャップ514と接合要素510との間に連結されている、外側パドル520および内側パドル522を含む。アンカー部506は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素512を作動すると、デバイス500のアンカー部506が開閉して、移植中に天然の弁の弁尖20、22が把持される。
デバイス500は、別個の接合可能な留め具または把持要素ではなく、接合要素510に配置された返し部800を含み、接合要素510のそれぞれの側面に複数の返し部800がある。デバイス500のアンカー部506が閉じているとき、内側パドル522と接合要素510との間に把持された組織が、返し部800に押し付けられる。返し部800は鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500から後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800は、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図87Aを参照すると、接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500Aが示されている。上述のように、デバイス500Aは、接合要素510Aを有することができ、この接合要素は、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510Aを通って遠位キャップ514Aまで伸長する作動要素または作動のための手段(図示せず)に摺動可能に取り付けられる。デバイス500は、また、遠位キャップ514Aと接合要素510Aとの間に接続される外側パドル520Aおよび内側パドル522Aも備える。デバイス500Aは、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素を作動すると、デバイス500Aのパドル520A、522Aが開閉して、移植中に天然の弁尖20、22が把持される。
デバイス500Aは、別個の接合可能な留め具または把持要素ではなく、接合要素510Aに配置された返し部800Aを含み、接合要素510Aのそれぞれの側面に複数の返し部800Aがある。デバイス500Aが閉じているとき、内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に把持された組織が、返し部800Aに押し付けられる。返し部800Aは鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500Aから後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800Aは、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。
次に図88を参照すると、別個の接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500が示されている。上述のように、デバイス500は、接合部502およびアンカー部506を含む。デバイス500の接合部502は、接合要素510を含み、この接合要素は、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510を通って遠位キャップ514まで伸長する作動要素または作動のための手段512に摺動可能に取り付けられる。
デバイス500のアンカー部506は、遠位キャップ514と接合要素510との間に連結されている、外側パドル520および内側パドル522を含む。アンカー部506は、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素512を作動すると、デバイス500のアンカー部506が開閉して、移植中に天然の弁尖20、22が把持される。
デバイス500は、接合可能な留め具または把持要素ではなく、接合要素510に配置された返し部800を含み、接合要素510のそれぞれの側面に少なくとも1つの返し部800が含まれる。上述の図87に示されているデバイス500と同様に、デバイス500はまた、内側パドル522に配置された返し部802を含み、それぞれ内側パドル522には少なくとも1つの返し部802がある。
デバイス500のアンカー部506が閉じているとき、内側パドル522と接合要素550との間に把持された組織が、返し部800、802に押し付けられる。返し部800、802は鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500から後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800、802は、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。接合要素510の返し部800と内側パドル522の返し部802との組合せにより、把持された組織は、それが返し部800、802の上を通過するときに、S字形の曲がりくねった経路に形成される。したがって、組織をデバイス500から引き離す力は、組織が逃げることができる前に、返し部800、802に組織がさらに係合することを助長することになる。
次に図88Aを参照すると、接合可能な留め具または把持要素を含まない、例示的な移植可能なデバイス500Aが示されている。上述のように、デバイス500Aは、接合要素510Aを有することができ、この接合要素は、天然の弁または天然の僧帽弁MVの弁尖20、22間に移植されるように適合されており、接合要素510Aを通って遠位キャップ514Aまで伸長する作動要素または作動のための手段(図示せず)に摺動可能に取り付けられる。デバイス500は、また、遠位キャップ514Aと接合要素510Aとの間に接続される外側パドル520Aおよび内側パドル522Aも備える。デバイス500Aは、開状態と閉状態との間で作動可能であり、たとえば、パドル、留め具、および/または同様のものなどの、把持要素などの多種多様な形を取ることができる。作動要素を作動すると、デバイス500Aのパドル520A、522Aが開閉して、移植中に天然の弁尖20、22が把持される。
デバイス500Aは、接合可能な留め具または把持要素ではなく、接合要素510Aに配置された返し部800Aを含み、接合要素510Aのそれぞれの側面は少なくとも1つの返し部800Aを備える。デバイス500Aはまた、内側パドル522Aに配置された返し部802Aを含み、それぞれ内側パドル522Aには少なくとも1つの返し部802Aがある。
デバイス500Aが閉じているとき、内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に把持された組織が、返し部800A、802Aに押し付けられる。返し部800A、802Aは鋭く、それにより天然の組織に係合し、いくつかの実施形態では天然の組織を穿孔し、組織がデバイス500Aから後戻りすることを防止する。いくつかの実施形態では、返し部800A、802Aは、天然の組織との係合を向上させるために下向きに角度が付けられる。接合要素510Aの返し部800Aと内側パドル522Aの返し部802Aとの組合せにより、把持された組織は、それが返し部800A、802Aの上を通過するときに、S字形の曲がりくねった経路に形成される。したがって、組織をデバイス500Aから引き離す力は、組織が逃げることができる前に、返し部800A、802Aに組織がさらに係合することを助長することになる。
次に図89~図102を参照すると、例示的なデバイス500の接合要素510およびパドル520、522が示されている。接合要素510およびパドルは、多種多様な異なる材料から作ることができる。接合要素510およびパドル520、522は、様々な材料、たとえば、織られるか、編まれるか、電子紡績された、または他の任意の好適な方法で堆積されるか、または形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した材料または柔軟な材料などの、金属織物のうちの1つまたは複数から形成することができる。この材料は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料とすることができる。
1つの例示的な実施形態では、接合要素は、ニチノール線が編まれた網などの、金属線が編まれた網から作られる。1つの例示的な実施形態では、接合要素510は、40本から85本までの間のワイヤなど、45本から60本までの間のワイヤなど、約48本または48本のニチノール線など、25本から100本までの間のワイヤが編まれた網で作られる。
接合要素は、ポリエチレン布などの布で覆うことができる。接合要素510は、その全体を微細網のポリエチレン布などの布カバーで取り囲むことができる。布カバーは、スペーサの表面の血液封止をすること、および/または速やかな組織内部成長を助長することができる。
接合要素510を構築するために、編まれたニチノール線網などの形状記憶材料を使用すると、結果として自己拡張可能になり、全方向に可撓性になり得る接合要素が得られ、かつ/または、接合要素がかしめられ、かつ/または曲げられたときの応力が小さくなる。この材料は、単一の部片、二等分を結合したもの、あるいは溶接、接着剤などによる任意の適切な方法で一緒に固定または結合されている、複数の部分または部片とすることができる。
次に図89~図90を参照すると、デバイス500は近位部505から遠位部507まで伸長し、接合要素510、内側パドル522、および外側パドル520を含む。接合要素510は、近位開口519Aおよび遠位開口515(図92および図94)を含む。接合要素510の近位開口519Aは、接合要素510の近位部519に形成される。接合要素510は、たとえば、結合部525によって内側パドル522に継ぎ合わせ可能に連結される。内側パドル522は、たとえば、結合部523によって外側パドル520に継ぎ合わせ可能に連結される。外側パドル520は、結合部521によって遠位部527に取り付けられる(たとえば、継ぎ合わせ可能に取り付けられる、など)。接合隙間542は、内側パドル522と接合要素510との間に形成される。パドル隙間544は、たとえば図90に示されるように、パドル520、522が折りたたまれたときに内側パドル522と外側パドル520との間に形成される。
次に図91を参照すると、デバイス500の前面図が示されている(その後面図は同一である)。接合要素510は、近位部519、中間部518、および遠位部517を含む。近位部519は、近位開口519Aを含む。遠位部517は遠位開口515を含み、結合部525に連結される。接合要素510の形状は、デバイス500が移植中に腱索などの心臓の構造体を捕捉したり引っかけたりしないようにするために、丸みがある、または概して丸みがある。
次に図92を参照すると、デバイス500の側面図が示されている。前から見たデバイス500と同様に、デバイス500の遠位部507は、デバイス500を側面から見たときにデバイス500の近位部505よりも概して細い。接合要素510は、近位部519において、近位開口519Aから中間部518まで外向きに広がる。次いで接合要素510は、中間部518において、近位部519から遠位部517までテーパが付いている、すなわち細くなる。遠位部517は、細いまま推移してから2つの結合部525に分かれる。デバイス500の概して丸みのある外観は、内側パドル522と外側パドル520とを継ぎ合わせ可能に連結する結合部523の丸い形状、および外側パドル520の外向きに曲がった形状によってさらに明らかにされる。
内側パドル522と接合要素510との間に形成された接合隙間542は、天然の弁尖を受け入れるように構成される。接合要素510が細くなることにより隙間542には、デバイス500の遠位部507に隙間542が接近するにつれて幅が拡大する、いくぶん涙滴の形状が与えられる。遠位部507に向かって隙間542の幅が広くなることにより、内側パドル522は、隙間542に把持された組織に近位部505のより近くで接触することが可能になり、ピンチ力が、パドル520、522の長さ、および本出願に記載のものなどの、他の固定要素すなわちアンカー要素によって得られる機械的利点の結果として大きくなる。
次に図93を参照すると、デバイス500の上面図が示されている。接合要素510の近位開口519Aは、デバイス500の近位部505において見ることができ、接合要素510は内部が中空であることが分かる。接合要素510は、上部から見たときに楕円の、または概して楕円の形状を有する。パドル520、522は、突き出る長方形の形状に見えるが、パドル520、522は横方向に伸長することができ、弓形の、すなわち三日月に似た形状を有する。
次に図94を参照すると、デバイス500の底面図が示されている。接合要素510の遠位開口515は、デバイス500の遠位部507において見ることができ、接合要素510は内部が中空であることが分かる。接合要素510は、上部から見たときに楕円の、または概して楕円の形状を有する。パドル520、522は、突き出る長方形の形状に見えるが、パドル520、522は横方向に伸長することができ、弓形の、すなわち三日月に似た形状を有する。接合要素510の遠位部517は、結合部525と結合するために2つに分かれているのが見える。
次に、図89A、図90A、図91A、図92A、図93A、図94A、図95A、図96A、図97A、図98A、図99A、図100A、図101A、および図102Aを参照すると、材料のストリップ501A(たとえば、材料の単一の連続するストリップ、材料の複合ストリップなど)によって形成されたデバイス500Aの部分、すなわち、接合要素510Aおよびパドル520A、522Aが示されている。接合要素510Aおよびパドルは、多種多様な異なる材料から作ることができる。接合要素510Aおよびパドル520A、522Aは、織られた、編まれた、電子紡績された、または他の任意の適切な方法で堆積されるか、または形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した材料もしくは柔軟な材料などの、金属織物であってよい材料から形成することができる。この材料は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料としてもよい。
1つの例示的な実施形態では、接合要素510A、内側パドル522A、および外側パドル520Aは、材料の単一の連続するストリップ501Aから作られる。材料のストリップ501Aは、織られた、編まれた、電子紡績された、または他の任意の適切な方法で堆積されるか、または形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した材料もしくは柔軟な材料などの、金属織物であってよい材料から形成することができる。この材料は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料としてもよい。1つの例示的な実施形態では、材料のストリップ501Aは、40本から85本までの間の紐など、45本から60本までの間の紐など、約48本または48本のニチノール線など、25本から100本までの間の紐が編まれた網で作られる。
次に、図205~図207を参照すると、材料のストリップ501Aに使用することができる例示的な織られた、または編まれた材料4000が示されている。次に図205を参照すると、材料4000の拡大平面図が示されている。材料4000は、第1の縁4002から第2の縁4004まで伸長している。縁4002、4004は、中心部分または場4006を取り囲む。材料4000は、ニチノール線などの、中心紐4020を一緒に編むか、または織ることによって形成される。縁紐4010は、縁4002、4004に沿って材料4000を通って長手方向に伸長する。中心紐4020は、中心紐4020が縁紐4010のまわりに巻き付くように織られるか、または編まれる。中心紐4020を縁紐4010のまわりに巻き付けることで、縁4002、4004の近くの材料4000は中心部分4006の材料に比べて厚くなり、図206に示されているように、材料4000を端部から見たときに浅裂またはドッグボーン様形状を形成する。したがって、材料4000の縁4002、4004は、中心部分4006よりも可撓性が低い。縁紐4010および中心紐4020は、直径が類似しているものとしてよく、約0.06ミリメートルから約0.18ミリメートルまでの範囲の直径を有することができる。いくつかの実施形態において、縁紐4010は、中心紐4020に比べて直径が大きく、それにより、縁4002、4004を、中心部分4006に比べて堅くするか、または剛性を高めることができる。たとえば、縁紐4010は、0.07ミリメートルから約0.27ミリメートルまでの範囲、または約0.17ミリメートルの直径を有することができ、中心紐4020は、約0.04ミリメートルから約0.15ミリメートルまでの範囲、または約0.009ミリメートルの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、縁4002、4004は、たとえば、縁紐4010に対して金属材料--たとえば、ニチノール--および中心紐4020に対して布またはプラスチック材料--たとえば、ポリエチレン--など、縁紐4010および中心紐4020に対して異なる材料を使用することによって中心部分4006よりも可撓性を低くされる。代替的に、縁紐4010および中心紐4020は、中心紐4020の可撓性が縁紐4010よりも高くなるように材料の可撓性を変える異なる化学および/または熱プロセスを受ける同じ材料から作ることができる。
次に図207を参照すると、材料4000の折りたたまれた部分は、4つの層4000A、4000B、4000C、4000Dを有するセクションを形成するように互いの上に層状に重ねられる。中心部分4006に比べて厚い縁4002、4004を有する、個別の層の浅裂形状は、中心部分4006の配置における材料4000の層4000A、4000B、4000C、4000Dの間に3つの隙間4001A、4001B、4001Cを形成する。外側隙間4001A、4001Cは、外層4000A、4000Dと隣接する中間層4000B、4000Cとの間に形成される。
本開示において説明されているように、デバイス500Aの接合要素510Aは、材料4000などの、材料の4つの層から形成することができる。材料4000の層が接合要素510Aを形成するために使用されるときに、デバイス500Aの作動要素512Aは、材料4000の4つの層の中心に形成された中間間隙4001Bに挿入されるものとしてよい。作動要素512Aは、隙間4001Bの幅よりも大きい直径を有することができ、したがって作動要素512Aを挿入すると、中間隙間4001Bは開いている、隣接する外側隙間4001A、4001Cを引き伸ばしてサイズを縮小する。いくつかの実施形態において、作動要素512Aを挿入することで、いずれかの側の中心本体部分4006は4つの積み重ねられた縁部分4002、4004の厚さより大きい厚さになるまで外向きに出っ張る。
接合要素510Aおよびパドル520A、522Aは、ポリエチレン布などの布で覆うことができる。接合要素510Aおよびパドル520A、522Aは、その全体を微細網のポリエチレン布などの布カバー(たとえば、カバー540A)で取り囲むことができる。布カバーは、スペーサの表面の血液封止をすること、および/または速やかな組織内部成長を助長することができる。
接合要素510Aおよびパドル520A、522Aを構築するために、編まれたニチノール線網などの形状記憶材料を使用すると、結果として自己拡張可能になり、全方向に可撓性になり得る接合要素およびパドルが得られ、かつ/または、かしめられ、かつ/または曲げられたときの歪みが小さくなる。この材料は、単一の部片、二等分を結合したもの、あるいは溶接、接着剤などによる任意の適切な方法で一緒に固定または結合されている、複数の部分または部片とすることができる。
次に図89Aおよび図90Aを参照すると、デバイス500Aは、近位部505Aから遠位部507Aまで伸長し、接合要素510A、内側パドル522A、および外側パドル520Aを含む。材料の単一の連続するストリップ501Aは、2つの端部501Bの間に伸長し、折りたたまれて接合要素510A、内側パドル522A、および外側パドル520Aを形成する。デバイス500Aのいくつかの部分は、材料のストリップ501Aの複数の層から形成される。たとえば、材料のストリップ501Aは、接合要素510Aの領域内に4つの層を、内側パドル522Aの領域内に2つの層を形成するように重ね合わされる。
接合要素510Aおよびパドル520A、522Aは、材料のストリップ501Aの結合部によって、一緒に継ぎ合わせ可能に連結される。接合要素510Aは、結合部525Aによって内側パドル522Aに継ぎ合わせ可能に連結される。内側パドル522Aは、結合部523Aによって外側パドル520Aに継ぎ合わせ可能に連結される。外側パドル520Aは、結合部521Aによって遠位部527Aに取り付けられる(たとえば、継ぎ合わせ可能に取り付けられる、など)。遠位部527A内のアパーチャ527Bは、キャップ514Aと係合する。
様々な隙間が、材料のストリップ501Aが所望の形状に折りたたまれたときにデバイス500Aの部分の間に形成される。接合隙間542Aは、内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に形成される。パドル隙間544Aは、たとえば図90Aに示されるように、パドル520A、522Aが折りたたまれたときに内側パドル520Aと外側パドル522Aとの間に形成される。カラー隙間または開口部546Aは、材料のストリップ501Aが折りたたまれて接合要素510Aの近位部519Bを形成するときに形成される。
次に図91Aを参照すると、デバイス500Aの前面図が示されている(その後面図は同一である)。接合要素510Aは、パドル520A、522Aの結合部523Aより上に伸長する近位部519Bを含む。接合要素510Aの遠位部517Aは、前または後から見たときにパドル520A、522Aによって隠され、デバイス500Aに長く狭い丸みのある長方形の形状を与える。接合要素510Aの形状は、デバイス500Aが移植中に腱索などの心臓の構造体を捕捉したり引っかけるのを防ぐのを助ける。
次に図92Aを参照すると、デバイス500Aの側面図が示されている。デバイス500Aの遠位端507Aは、側面からデバイス500Aを見たときにデバイス500Aの近位端505Aよりも概して狭く、概して鋭利でない、丸みのある形状を形成する。接合要素510Aは、近位部519B、中間部518A、および遠位部517Aを含む。近位部519Bは、中間部518Aから外向きに広がり、カラー511D(図48A)と係合する。接合要素510Aの中間部518Aは、側面から見たときにまっすぐであるか、または概してまっすぐである。遠位部517Aは、たとえば、結合部525Aによって内側パドル522Aに取り付けられる(たとえば、継ぎ合わせ可能に取り付けられる、など)。デバイス500Aの概して丸みのある特徴は、パドル520A、522Aを継ぎ合わせ可能に連結する結合部523Aの丸い形状によってさらに明らかにされる。外側パドル520Aを遠位部527Aに連結する結合部521Aは、また、丸みがあり、材料のストリップ501Aから平坦な、または概して平坦な遠位部527Aに組み付けられるキャップ514A(図48A)への形状の移行をしやすくする。
内側パドル522Aと接合要素510Aとの間に形成された接合隙間542Aは、天然の組織を受け入れるように構成される。接合要素510Aの中間部518Aおよび内側パドル522Aが概してまっすぐであることにより、隙間542Aは、近位部519Bがカラー511D(図48A)と係合するように外向きに広がる狭い上側端部と一貫するか、または概して一貫するものとなる。したがって、内側パドル522Aは、隙間542A内に把持された組織と、近位部505Aのより近くで接触し、そこで、挟む力が、パドル520A、522Aの長さ、および本出願に記載のものなどの、他の固定要素すなわちアンカー要素によって得られる機械的利点の結果としてより大きな力となる。
上述のように、デバイス500Aの接合要素510Aおよびパドル520A、522Aは、材料のストリップ501Aを折りたたむことによって形成される。次いで、折りたたまれている材料のストリップ501Aが広げられ、カラー511D、キャップ514A、およびパドルフレーム524Aなどの他の構成要素と共に組み立てられる。材料のストリップ501Aは、所望の形状に形成された後に形状設定され、これにより材料のストリップ501Aは、他の構成要素との組み立て後に所望の形状に戻る。いくつかの実施形態では、材料のストリップ501Aが所望の半径で適切な配置に折りたたまれることを確実にするために、材料のストリップ501Aが折りたたまれ、形状設定されるときに治具が使用される。
再び図92Aを参照すると、デバイス500Aの折りたたみおよび形状設定を支援するための治具570Aの部分が示されている。材料のストリップ501Aは、材料のストリップ501Aが所望の形状を形成するように治具570Aのまわりに折りたたまれた状態で示されている。治具570Aを使用して材料のストリップ501Aをデバイス500Aの形状に折りたたむために、材料のストリップ501Aは、内側パドル522Aの配置で一方の端部501Bと共に配置される。ストリップ501Aは、端部501Bから遠位方向507Bに伸長されて内側パドル522Aの第1の層581Aを形成し、第1の治具部分572Aのまわりに伸長されてヒンジ部分525Aの第1の層581Aを形成し、次いで近位方向505Bに伸長されて接合要素510Aの第1の層581Aを形成する。材料の第1の層581Aは、接合隙間542Aを取り囲む内側パドル522Aおよび接合要素510Aの側面を形成する。次いで、ストリップ501Aは、第2の治具部分574Aのまわりに巻き付けられて、接合要素510Aの近位部分519Bおよび開口部546Aのうちの1つを形成する。次いで、ストリップ501Aは、第1の層581Aに沿って遠位方向に伸長されて、接合要素510Aの第2の層582Aを形成する。次いで、ストリップ501Aは、第1の治具部分572Aのまわりに巻き戻され、結合部またはヒンジ部分525Aの第2の層582Aを形成し、近位方向505Aに戻って、内側パドル522Aの第2の層582Aを形成する。次いで、ストリップ501Aは、第3の治具部分576Aのまわりに巻き付けられて、結合部523Aを形成する。次いで、ストリップ501Aは、内側パドル522Aに沿って遠位方向に伸長し、外側パドル520Aを形成した後、第4の治具部分578Aのまわりに折りたたまれ、結合部521を形成する。次いで、ストリップ501Aは、横方向に伸長されて、遠位部分527を形成する。次いで、治具570Aに通すストリップ501Aの引き回し作業が、デバイス500Aの第2の半分を形成するために、治具570Aの反対側に逆の順序で実行される。すなわち、ストリップ501Aは、次いで、第4、第3、第1、第2、および第1の治具部分578A、576A、574A、572A(第2の時間)に巻き付けられて、デバイス500Aの第2の半分を形成する。上述のようにストリップ501Aが治具部分に巻き付けられた後、形状設定作業が実行される。例示されている治具の部分は、丸みのある、または概して円形の形状を有するが、それらの部分は、材料のストリップ501Aの折りたたみおよび整形を支援するために任意の形状を有することができる。治具570Aは、材料のストリップ501Aに係合するために、より多くまたはより少ない部分を有することができる。
次に図93Aを参照すると、デバイス500Aの上面図が示されている。デバイス500Aの各半分の第1および第2の層581A、582Aは、接合デバイス510Aの4つの層を形成する。接合デバイス510Aの近位開口部519Cは、2つの第2の層582Aの間に形成される。いくつかの実施形態において、開口部519Cは、材料のストリップ501Aの形状設定後に材料のストリップ501Aの折りたたまれ重なり合う層の間に作動要素512A(図示せず)を挿入することによって形成される。他の実施形態において、開口部519Cは、上から見たときに接合要素510Aが丸い、または概して丸い形状になるように追加の治具部分(図示せず)のまわりに材料のストリップ501Aの折りたたまれた層581A、582Aを形状設定することによって形成される。
次に図94Aを参照すると、デバイス500Aの底面図が示されている。材料のストリップ501Aの遠位部527Aは、キャップ514Aを受け入れるためのアパーチャ527Bであるように、示されている。接合要素510Aおよび外側パドル520Aは、下から見たときに概して丸みのある長方形の形状を有する。
次に図95~図102を参照すると、デバイス500の斜視図および断面図が示されている。次に図95を参照すると、デバイス500は、接合要素510の近位部に近い断面96で切られて示されている。次に図96を参照すると、図95の断面96から見たデバイス500の断面が示されている。平面96の位置において、接合要素510は、接合要素510の側面に沿った部分が厚い、楕円の、または概して楕円の形状を有する。遠位開口515は近位部から見ることができ、接合要素510は内部が中空である。
次に図97を参照すると、デバイス500は、遠位部507と接合要素510の近位部505との間の行程のおよそ半分に位置する断面98で切られて示されている。次に図98を参照すると、図97の断面98から見たデバイス500の断面が示されている。平面98の位置において、接合要素510は、図96の楕円形状よりも大きい楕円の、または概して楕円の形状を有する。
次に図99を参照すると、デバイス500は、遠位部507と接合要素510の近位部505との間の行程のおよそ4分の1に位置する断面100で切られて示されている。次に図100を参照すると、図99の断面100から見たデバイス500の断面が示されている。平面100の位置において、接合要素510は、図98に見える楕円形状よりも狭い楕円の、または概して楕円の形状を有する。
次に図101を参照すると、デバイス500は、接合要素510の遠位部507の近くに位置する断面102で切られて示されている。次に図102を参照すると、図101の断面102から見たデバイス500の断面が示されている。平面102の位置において、接合要素510は、図100に見える楕円形状よりも小さい、かつ接合要素510が結合部525と結合するときに分かれる、楕円の、または概して楕円の形状を有する。
次に、図95A、図96A、図97A、図98A、図99A、図100A、図101A、および図102Aを参照すると、材料の単一の連続するストリップ501Aによって形成されたデバイス500Aの部分の斜視図および断面図が示されている。次に図95Aを参照すると、デバイス500Aは、接合要素510Aの近位部に近い断面96Aで切られて示されている。次に図96Aを参照すると、図95Aの断面96Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。平面96Aの位置において、接合要素510は、長方形の、または概して長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、作動要素(図示せず)が接合要素510Aの層582Aの間に挿入されると、接合要素510Aは、側面から見たときにはまっすぐなままであるが、断面平面96Aから見たときには外向きに曲がって丸みのあるまたは概して丸みのある形状を形成する。
次に図97Aを参照すると、デバイス500Aは、接合要素510Aの近位部に近い断面98Aで切られて示されている。次に図98Aを参照すると、図97Aの断面98Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。平面98Aの位置において、接合要素510は、長方形の、または概して長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、作動要素(図示せず)が接合要素510Aの層582Aの間に挿入されると、接合要素510Aは、側面から見たときにはまっすぐなままであるが、断面平面98Aから見たときには外向きに曲がって丸みのあるまたは概して丸みのある形状を形成する。
次に図99Aを参照すると、デバイス500Aは、接合要素510Aの近位部に近い断面100Aで切られて示されている。次に図100Aを参照すると、図99Aの断面100Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。平面100Aの位置において、接合要素510は、長方形の、または概して長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、作動要素(図示せず)が接合要素510Aの層582Aの間に挿入されると、接合要素510Aは、側面から見たときにはまっすぐなままであるが、断面平面100Aから見たときには外向きに曲がって丸みのあるまたは概して丸みのある形状を形成する。
次に図101Aを参照すると、デバイス500Aは、接合要素510Aの近位部に近い断面102Aで切られて示されている。次に図102Aを参照すると、図101Aの断面102Aから見たデバイス500Aの断面図が示されている。平面102Aの位置において、接合要素510は、長方形の、または概して長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、作動要素(図示せず)が接合要素510Aの層582Aの間に挿入されると、接合要素510Aは、側面から見たときにはまっすぐなままであるが、断面平面102Aから見たときには外向きに曲がって丸みのあるまたは概して丸みのある形状を形成する。
次に図103~図105を参照すると、カバーされた部分およびカバーされていない部分を有する、例示的な移植可能な補綴デバイス100が示されている。デバイス100は、天然の僧帽弁MVに移植され、天然の弁尖20、22に固定されて示されている。上述のように、デバイス100は、接合要素または接合のための手段110、パドル120、留め具130、およびキャップ114を含む。パドル120および留め具130は、デバイス100を僧帽弁MVの把持された天然の弁尖20、22に固定するために、閉状態にある。デバイス100の近位部105は左心房LAに露出しており、デバイス100の遠位部107は左心室LVに露出している。
次に図103を参照すると、デバイス100は、接合要素または接合のための手段110およびキャップ114の全体を覆うカバー900付きで示されている。いくつかの実施形態では、カバー900は、PET、ベロア、電子紡績、堆積、または他の好適な材料などの、布または織物またはポリマーとすることができる。他の実施形態では、織物の代わりに、またはこれに加えて、カバーは、シリコーンなどの、補綴スペーサデバイスおよび/または機械的封止機構に適用されるコーティング(たとえば、ポリマー)を含むことができ、またインターロック結合を使用することができる。カバー900は、織られた、編まれた、または他の任意の適切な方法で形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した柔軟な材料などの、金属織物から形成することができる。カバー900は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料とすることができる。カバー900は、近位部105において接合要素または接合のための手段110を通り抜ける血流を防止し、またデバイス100と弁尖20、22との間の封止材にもなる。したがって、カバー900は、デバイス100の位置において天然の弁を通り抜ける血流を防止する助けになる。カバー900はまた、再循環血流が遠位部107からデバイス100に入ることを防止する。
次に図104を参照すると、デバイス100はカバー1000付きで示されており、このカバーは、デバイス100の近位部105から、天然の弁尖20、22に係合する接合要素または接合のための手段110の部分まで、接合要素または接合のための手段110を部分的に覆う。いくつかの実施形態では、カバーは、PET、ベロア、または他の適切な織物などの、布または織物とすることができる。他の実施形態では、織物の代わりに、またはこれに加えて、カバーは、補綴スペーサデバイスに適用されるコーティング(たとえば、ポリマー)を含むことができる。カバー1000は、織られた、編まれた、または他の任意の適切な方法で形成された網、またはレーザカットもしくは別法で切断した柔軟な材料などの、金属織物から形成することができる。カバー1000は、布、形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の柔軟な材料としてもよい。したがって、カバー1000は、近位部105において接合要素または接合のための手段110を通り抜ける血流を防止する。
次に図105を参照すると、デバイス100はカバー1100付きで示されており、このカバーは、天然の弁尖20、22に係合する接合要素または接合のための手段110の部分から遠位部107に向かって延伸する、接合要素または接合のための手段110を部分的に覆う。カバー1100はまた、キャップ114も覆う。いくつかの実施形態では、カバーは、PET、ベロア、または他の適切な織物などの、布または織物とすることができる。他の実施形態では、織物の代わりに、またはこれに加えて、カバーは、補綴スペーサデバイスに適用されるコーティング(たとえば、ポリマー)を含むことができる。カバー1100は、織られた、編まれた、または他の任意の適切な方法で形成された網から形成することができる。カバー1100は、布、ポリマー、シリコーン、電子紡績材料、堆積材料、および/または形状設定機能を得るための形状記憶合金ワイヤ(ニチノールなど)、または人体に移植するのに適している他の任意の可撓性材料としてもよい。したがって、血流は、接合要素または接合のための手段110には入ることができるが、遠位部107に向けて配置されたカバー1100によって、デバイスを通り抜けることが防止される。カバー1100はまた、再循環血流が遠位部107からデバイス100に入ることを防止する。
次に図106~図109を参照すると、移植可能な補綴デバイスの例示的な接合要素1200が示されている。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。図106を参照すると、接合要素1200は、2つのキャップ1201間に伸長する円筒形の、または概して円筒形の形状を有する。しかし、接合要素1200は、本明細書に記載の形状のいずれかなど、任意の形状を有することができる。1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向は制御することができる。たとえば、前部および後部の方向(移植されたとき)、中央および横の方向(移植されたとき)、または両方向における接合要素の幅/サイズは、制御された状態で拡張(または縮小)することができる。接合要素1200は、網の材料から作ることができる。次に図107を参照すると、概して円筒形の接合要素1200の網壁は、キャップ1201から距離1204だけ外向きに伸長している。次に図108を参照すると、軸方向の力1208が接合要素1200のキャップ1201に加えられて、接合要素1200が軸方向に圧縮されている。接合要素1200を軸方向に圧縮することにより、接合要素1200は、距離1204が増大するように外向きの方向1210に拡張する、すなわち膨れる。
接合要素1200は、多種多様な異なる方法で圧縮することができる。たとえば、ねじ連結を使用して接合要素の2つの端部を一緒に引っ張る、または接合要素の2つの端部を別々に押すことができる。たとえば、カラーを接合要素の各端部に設けることができる。カラーの一方は、ねじ山付きシャフトにねじ係合することができ、他方のカラーは、そのシャフトに回転可能に連結される。シャフトを一方向に回転させると、これらのカラーは一緒に引っ張られる。シャフトを反対方向に回転させると、これらのカラーは別々に動く。
接合要素1200を本出願の移植可能な補綴デバイスに組み込むと、接合要素が拡張して、接合要素とパドルおよび/または把持部材との間に把持された組織を外向きに押さえ付けることが可能になる。
次に図106A、図108A、図106B、および図108Bを参照すると、図106~図109で示された実施形態と類似している、移植可能な補綴デバイスの例示的な接合要素1200が示されている。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。図106Aを参照すると、接合要素1200は、2つのキャップ1201間に伸長する円筒形の、または概して円筒形の形状を有する。しかし、接合要素1200は、本明細書において開示された形状のいずれかなど、任意の形状を有することができる。図106Aおよび図108Aで示された例では、接合要素1200は、スロット1205付きチューブ1203を備える。たとえば、チューブ1203は、ニチノールなどの形状記憶合金から作ることができ、スロットは、レーザカットなど、チューブに切り込むことができる。スロットは、チューブを形成する材料に、材料がチューブに成形される前に切り込むことができる。
1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向を制御することができる。たとえばスロット1205の形態および/またはチューブの形状設定は、拡張した接合要素1200の形状を制御するように選択することができる。たとえば、スロット1205および/または形状設定の形態は、前部および後部の方向、ならびに/または中央および横の方向において接合要素の幅/サイズが拡張(および/または縮小)する態様を決定し得る。図106Aを参照すると、概して円筒形の接合要素1200のチューブ壁は、キャップ1201から外向きに距離1204だけ伸長することができる。次に図108Aを参照すると、軸方向の力1208および/または回転力1209は接合要素1200のキャップ1201に加えて、接合要素1200を図106Aで示された形態から図108Aで示された形態へ拡張させることができる。図示の例では、接合要素1200を軸方向に圧縮し、かつ接合要素をねじると、接合要素1200は、距離1204が増大するように外向きの方向1210に拡張する、すなわち膨れる。
図106Bおよび図108Bを参照すると、接合要素1200は多種多様な異なる方法で圧縮することができる。たとえば、ねじ連結1221を使用して、接合要素の2つの端部を一緒に引っ張り、接合要素を第1の方向にねじる、または接合要素の2つの端部を別々に押し、接合要素を第2の方向にねじることができる。たとえば、カラーを接合要素の各端部に設けることができる。カラーの一方は、ねじ山付きシャフトにねじ係合することができ、他方のカラーは、そのシャフトに固定して連結される。シャフトを一方向に回転させると、これらのカラーは一緒に引っ張られ、カラーは互いに第1の方向に回転する。シャフトを反対方向に回転させると、これらのカラーは別々に動き、カラーは互いに第2の方向に回転する。ねじ連結のピッチは、接合要素1200が圧縮される距離と接合要素がねじられる角度との比を設定するように選択することができる。
図106A、図108A、図106B、および図108Bで示された接合要素1200を本出願の移植可能な補綴デバイスに組み込むと、接合要素が拡張して、接合要素とパドルおよび/または把持部材との間に把持された組織を外向きに押さえ付けることが可能になる。
図106Cおよび図108Cは、移植可能な補綴デバイスの制御可能に拡張可能な接合要素1200の例示的な実施形態を示す。接合要素1200は、それ自体でカバー付きで、または本明細書に記載の接合要素のいずれの内部でも(接合要素を拡張するために)使用することができる。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。図106Cを参照すると、接合要素1200は、旋回可能に連結されたアーム1231の対を有する。旋回可能に連結されたアーム1231の対は、それぞれ2つのキャップ1201の間に伸長しており、旋回可能にキャップに連結されている。図示の例では、旋回可能に連結されたアーム1231の2つの対がある。しかし、旋回可能に連結されたアームの1つ、3つ、4つ、または任意の数の対があり得る。
1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向を制御することができる。たとえば、旋回可能に連結されたアームの2つの対(図示)は、前部および後部の方向ならびに/または中央および横の方向の一方においてだけ接合要素の幅/サイズを変更するために含まれ得る。旋回可能に連結されたアーム1231の4つの対は、前部および後部の方向ならびに中央および横の方向の両方において接合要素の幅/サイズを変更するために含まれ得る。旋回可能に連結されたアーム1231の4つの対が含まれる場合、アームは、接合要素1200を異なる方向に別々に拡張(収縮)させるために、異なる長さおよび/または旋回点位置を有することができる。たとえば、アームの長さは、前部および後部の方向よりも中央および横の方向に大きく拡張するように選択することができる。
次に図108Cを参照すると、軸方向の力1208は、接合要素1200のキャップ1201に印加して、接合要素1200を図106Cで示された形態から図108Cで示された形態へ拡張させることができる。図示の例では、旋回可能に連結されたアーム1231を軸方向に圧縮すると、旋回可能連結部1233すなわち膝関節は、距離1204が増大するように外向きの方向1210に広がる。
図106Cおよび図108Cを参照すると、接合要素1200は多種多様な異なる方法で圧縮することができる。たとえば、ねじ連結1221を使用して、接合要素の2つの端部を一緒に引っ張る、または接合要素の2つの端部を別々に押すことができる。たとえば、カラーを接合要素の各端部に設けることができる。カラーの一方は、ねじ山付きシャフト1244にねじ係合することができ、他方のカラーは、そのシャフトに回転可能に連結される。シャフトを一方向に回転させると、これらのカラーは一緒に引っ張られる。シャフトを反対方向に回転させると、これらのカラーは別々に動く。
図106Cおよび図108Cに示された接合要素1200を本出願の移植可能な補綴デバイスに組み込むと、接合要素が拡張して、接合要素とパドルおよび/または把持部材との間に把持された組織を外向きに押さえ付けることが可能になる。
図106Dおよび図108Dは、移植可能な補綴デバイスの拡張可能な接合要素1200の例示的な実施形態を示す。接合要素1200は、それ自体で(カバー付きで)(図106Eおよび図108E参照)、または本明細書に記載の接合要素のいずれかの内部で(接合要素を拡張するために)使用することができる。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。図106を参照すると、接合要素1200は、中心支持部材1243、1つまたは複数の旋回可能に連結されたアーム1241、および連結ライン1245を有する。各アーム1241は、旋回可能な連結部から中心支持部材1243まで伸長する。各連結ライン1245は、中心支持部材1243および旋回可能に連結されたアーム1241につながれる。連結ライン1245の長さにより、連結アームが中心支持部材1243から旋回する角度が設定される。図示の例では、旋回可能に連結された2つのアーム1241がある。しかし、旋回可能に連結された1つ、3つ、4つ、または任意の数のアームがあり得る。
1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向は制御することができる。たとえば、旋回可能に連結された2つのアームは、前部および後部の方向ならびに/または中央および横の方向の一方だけで接合要素の幅/サイズを変更するために含まれ得る。旋回可能に連結された4つのアーム1241は、前部および後部の方向ならびに中央および横の方向の両方で接合要素の幅/サイズを変更するために含まれ得る。旋回可能に連結された4つのアーム1241が含まれる場合、アームおよび/または連結ライン1245は、接合要素1200を異なる方向に別々に拡張(収縮)させるために、異なる長さおよび/または旋回点位置を有することができる。たとえば、アームおよび/または連結ラインの長さは、前部および後部の方向よりも中央および横の方向に大きく拡張するように選択することができる。
アーム1241は、収縮位置(図106D)から拡張位置(図108D)まで動かすことができる。たとえば、アーム1241は、ばねまたは他の付勢手段によって拡張位置に向けて付勢することができる。図示の例では、糸などの拘束具1247が、アーム1241を収縮位置に保持する。拘束具1247は、接合要素1200を図106Dに示された形態から図108Dに示された形態まで拡張させるために取り外す、または破断することができる。
図106Eおよび図108Eは、接合要素がカバー材料1253を含むことを除いて、図106Dおよび図108Dで示された実施形態と類似している例示的な実施形態を示す。カバー材料1253は、中心支持部材1243から各アーム1241まで伸長することができる。カバー材料1253は連結ライン1245と一緒に使用することができ、あるいは、カバー材料は連結ライン1245の必要性を無くすことができる。
次に図106Fを参照すると、図106~図109で示された実施形態と類似している、移植可能な補綴デバイスの例示的な接合要素1200が示されている。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。図106Fを参照すると、接合要素1200は、2つのキャップ1201の間に伸長するコイル1263によって画定されている。接合要素1200は、本明細書において開示された形状のいずれかなど、任意の形状を有することができる。コイル1263は、ニチノールなどの形状記憶合金から作ることができる。
1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向を制御することができる。たとえばコイル1263の形状設定は、拡張した接合要素1200の形状を制御するように選択することができる。たとえば、形状設定の構成により、前部および後部の方向、ならびに/または中央および横の方向において接合要素の幅/サイズが拡張(および/または縮小)する態様を決定することができる。軸方向の力1208および/または回転力1209は、接合要素1200のキャップ1201に印加して、接合要素1200を図106Fで示された形態から拡張または収縮させることができる。図示の例では、コイル1263を軸方向に伸長し、コイル1263をねじると、コイルは内向きの方向1211に収縮し、コイル1263を軸方向に圧縮し、コイルを反対方向にねじると、コイルは外向きの方向に拡張する、すなわち膨れる。
図106Fを参照すると、接合要素1200は多種多様な異なる方法で圧縮することができる。たとえば、ねじ連結1221を使用して、接合要素の2つの端部を一緒に引っ張り、接合要素を第1の方向にねじる、または接合要素の2つの端部を別々に押し、接合要素を第2の方向にねじることができる。たとえば、カラーをコイル1263の各端部に固定して連結することができる。カラーの一方は、ねじ山付きシャフトにねじ係合することができ、他方のカラーは、そのシャフトに固定して連結される。シャフトを一方向に回転させると、これらのカラーは一緒に引っ張られ、カラーは互いに第1の方向に回転する。シャフトを反対方向に回転させると、これらのカラーは別々に動き、カラーは互いに第2の方向に回転する。ねじ連結のピッチは、接合要素1200が圧縮される距離と接合要素がねじられる角度との比を設定するように選択することができる。
図106Fで示された接合要素1200を本出願の移植可能な補綴デバイスに組み込むと、接合要素が拡張して、接合要素とパドルおよび/または把持部材との間に把持された組織を外向きに押さえ付けることが可能になる。
図106G~図106Iは、拡張可能な接合要素1200の例示的な実施形態を示す。図106G~図106Iで示された例では、接合要素を拡張するために、接合要素は流体媒体によって膨張させられる。流体媒体は、多種多様な異なる形を取ることができる。接合要素1200を膨張させるために使用できる流体の例には、それだけには限らないが、空気、ゲル、水、血液、発泡材料などが含まれる。接合要素1200は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。
図106Gを参照すると、接合要素1200は外層1271(たとえば、本明細書において開示された接合要素110、510のいずれか)、および内層1273すなわちバルーンを有することができる。接合要素1200は、本明細書において開示された形状のいずれかなど、任意の形状を有することができる。図106Gおよび図1086で示された例では、内層1273は外層1271の中に配置され、外層の内面と同じ、または概して同じ形状を有することができる。内層は、バルーンおよび血管形成デバイスを作るために従来から使用されているゴムまたは他の材料など、拡張可能な材料から作ることができる。外層1271は、ニチノールなどの形状記憶合金から作ることができる。
図106Hおよび図106Iを参照すると、1つの例示的な実施形態では、接合要素1200の拡張の方向を制御することができる。図106Hで示された例では、内層1273は、任意選択で連結できる2つのバルーンを備える。しかし、任意の数のバルーンを使用することができる。たとえば、内層は、3つ、4つ、または任意の数のバルーンを備えることができる。各バルーンは個別に膨張させて、接合要素1200の拡張の形状を制御することができる。バルーンが一緒に連結される場合、連結はまた、拡張の形状に影響を及ぼし得る。106Hで示された例では、バルーンは平面1275すなわち領域に沿って連結されている。内層1273の方向1277における拡張は、平面1275に沿った連結部故に、方向1279における拡張よりも少ない。そのため、この例では、膨張による拡張は、中央および横の方向における拡張に限定する、または実質的に限定することができる。
複数のバルーンを使用すること、およびバルーン間に任意の連結部を構成することにより、前部および後部の方向ならびに/または中央および横の方向において接合要素の幅/サイズが拡張(および/または縮小)する態様を決定することができる。
図106Iで示された例では、内層1273は、1つまたは複数の支持体1281すなわち支柱を備える。1つの支持体1281が図示されているが、任意の個数を使用することができる。たとえば、内層は2つ、3つ、4つ、または任意の数の支持体を備えることができる。支持体1281は、内層を複数の個別に膨張可能なチャンバに分割することができ、あるいは支持体は、個別のチャンバを封止することができず、いずれかのチャンバに加えられた膨張流体がすべてのチャンバを充填する。個別に膨張可能なチャンバがある場合、チャンバは個別に膨張させて、接合要素1200の拡張の形状を制御することができる。支持体はまた、拡張の形状に影響を及ぼし得る。106Iで示された例では、支持体1281は、内層1273の方向1277における拡張を低減するかまたは無くす。そのため、この例では、膨張による拡張は、中央および横の方向における拡張に限定する、または実質的に限定することができる。
複数の個別に膨張可能なチャンバを使用すること、および/または支持体1281を構成することにより、前部および後部の方向ならびに/または中央および横の方向において接合要素の幅/サイズが拡張(および/または縮小)する態様を決定することができる。
図106G~図106Iで示された接合要素1200を本出願の移植可能な補綴デバイスに組み込むと、接合要素が拡張して、接合要素とパドルおよび/または把持部材との間に把持された組織を外向きに押さえ付けることが可能になる。
次に図110~図111を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス1300が示されている。デバイス1300は、前述のデバイス100と類似しており、接合要素1310、パドル1320、および留め具すなわち把持部材1330を含む。次に図111を参照すると、接合要素1310の上面図が示されている。図111で分かるように、接合要素1310は楕円の、または概して楕円の形状の断面を有する。接合要素1310は中心開口を含まず、発泡材などの材料の固体片から形成することができる。発泡材料の固体片から接合要素1310を形成すると、血液が接合要素1310の中心を通って流れることが防止され、それによって、血液が捕捉されるおそれがある場所が実質的に無くなる。デバイス1300は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス1300は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴デバイス1300は、多種多様な異なる方法で開閉することができる。たとえば、スリーブが、パドルに係合しパドルを開くために、接合要素を覆って摺動可能に配置され得る。あるいは、パドルは、留め具を開くラインまたは糸を引っ張ることによって開くことができ、この留め具の動きでパドルを開くことができる。しかし、デバイス1300を開閉する任意の機構を使用することができる。
次に図112~図128を参照すると、移植可能な補綴デバイスの例示的なパドルフレーム1400が示されている。パドルフレーム1400は、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。パドルフレーム1400は、ニチノール、または他の任意の適切な材料などの、一片の材料1402から形成される。パドルフレーム1400は、キャップ取り付け部1410からパドル連結部1420まで伸長し、近位部1422、中間部1424、および遠位部1426を有する。いくつかの実施形態では、パドルフレーム1400は、カバー(図30参照)、内側パドル520および/または外側パドル522をパドルフレーム1400に固定するための、取り付け部1440を含む。いくつかの実施形態では、パドルフレーム1400は、たとえばデバイスのかしめ中にパドル1400の両側を中心面1404に向けて折り曲げやすくするために、第5の湾曲部1438の位置で細くなっている。
パドルフレーム1400は、丸みのある三次元の形状で第1の取り付け部1412との間に伸長し、近位部1422、中間部1424、および遠位部1426を経由して第2の取り付け部1414に戻る。丸みのある三次元形状を作るために、パドルフレーム1400は、第1の取り付け部1412と第2の取り付け部1414との間でパドルフレーム1400が伸長するにつれて複数の位置で曲げられる、すなわち湾曲される。取り付け部1412、1414はそれぞれ、キャップに取り付けるための切り込み1416、1418を含む。パドルフレーム1400は、領域1419で曲がる。領域1419は、パドルフレーム1400を曲げることにより生じる応力を広い領域にわたって分散させる幅広部1417を含むことができる。また、切り込み1416、1418は、丸みを付けた切り込み1415を切り込みの各端部に含むこともできる。丸みを付けた切り込み1415は、曲げ領域1419と、パドルフレーム1400がキャップに連結する領域と、の張力緩和部として機能する。
パドルフレーム1400は、第1の湾曲部1430において中間平面すなわち中心平面1404から(図115)湾曲して、パドルフレーム1400の形状を広いものにする。図117で分かるように、パドルフレーム1400はまた、第1の湾曲部1430の位置において正面平面1406からも湾曲する。パドルフレーム1400は、第2の湾曲部1432において、第1の湾曲部1430の外向きの方向から湾曲してフレーム1400の側面を形成する。パドルフレームは、第2の湾曲部1432の位置において、正面平面1406から継続して傾斜する。いくつかの実施形態では、第2の湾曲部1432は、第1の湾曲部1430よりも大きい半径を有する。パドルフレーム1400は、正面平面1406から見たときにパドルフレーム1400が第2の湾曲部1432の円弧の形で継続して湾曲するにつれて、第3の湾曲部1434において正面平面1406から湾曲する。第3の湾曲部1434におけるこの湾曲により、フレーム1400が、したがって天然の弁尖が、中心線または正面平面1406から次第に離れることになる。このように中心線から離れることにより、弁尖組織が弁輪に向かって広がることになり、その結果、弁尖組織にかかる応力が小さくなり得る。パドルフレーム1400は、フレーム1400が正面平面1406から継続して湾曲するにつれて、第4の湾曲部1436において横平面1404に向かって湾曲する。パドルフレーム1400の丸みのある三次元形状は、パドルフレーム1400の両側面を結合する第5の湾曲部1438によって閉じられる。図116および図118で分かるように、パドルフレーム1400は、フレーム1400が取り付け部1420から閉鎖部または遠位部1426まで伸長するにつれて、形状が弓形、または概して弓形になる。フレームの中間部1424は、閉鎖部1426よりも正面平面1406に近接して、中間部1424の両側に丸みのある、翼状の形が与えられ、この中間部は、本発明の移植可能なデバイスのパドルと接合要素(図示せず)との間に天然の組織を把持する間、接合要素(図示せず)の湾曲面に係合する。
図191を参照すると、例示的な実施形態では、パドルフレーム1400のフラットブランク1403は、フラットシートの材料から切り出すこと、たとえばレーザカットすることができる。図192を参照すると、次にカットされたブランク1403は折り曲げて、三次元形状のパドルフレーム1400を形成することができる。
図193および図194を参照すると、1つの例示的な実施形態では、パドルフレーム1400は、パドル520、522が閉じた形態のときに接合要素510に対する、すなわち接合要素に向ける締め付け力が増大するように形状設定することができる。これはパドルフレームが、閉位置に対して(たとえば、図194)、第1の位置に対して(たとえば、図139)形状設定されているからであり、この位置は、デバイス500の中心平面552を越えているなど、接合要素の反対側を越えているなど、接合要素の反対側の外側パドルを越えているなど、内側パドル520が接合要素に係合する位置を越えている。図194を参照すると、パドルフレーム1400は曲げられており、たとえば縫い付けることによって、内側パドル522および外側パドル520に固定され取り付けられている。こうすることによりパドルフレームは、パドルフレーム1400が閉じた形態のときに予負荷を有することになる(すなわち、接合要素に対する、すなわち接合要素に向ける締め付け力がゼロよりも大きくなる)。したがって、パドルフレーム1400を図193の形態に形状設定すると、パドルフレーム1400の締め付け力を、閉じた形態に形状設定されているパドルフレーム(図194)と比較して増大させることができる。
パドルフレーム1400の予負荷の大きさは、パドルフレーム1400が接合要素510に対して形状設定される角度を調整することによって変えることができる。パドルフレーム1400が閉位置を過ぎてさらに遠くに形状設定されるほど、予負荷が大きくなる。
パドルフレーム1400の各湾曲部は互いに独立していてよく、すなわち、1つの湾曲が別の湾曲の開始前に完了しており、あるいは、各湾曲部は一緒にされてもよく、すなわち、パドルフレーム1400は複数の方向に同時に湾曲する。
次に、図112A、図114A、図115A、図116A、図117A、および図118Aを参照すると、移植可能な補綴デバイスのための例示的なパドルフレーム1400Aが示されている。パドルフレーム1400Aは、本出願に記載の移植可能な補綴デバイスのいずれとも一緒に使用することができる。各パドルフレーム1400Aは、ニチノール、または他の任意の適切な材料などの、一片の材料1402Aから形成される。各パドルフレーム1400Aは、キャップ取り付け部1410Aからパドル連結部1420Aまで伸長し、近位部1422A、中間部1424A、および遠位部1426Aを有する。
各パドルフレーム1400Aは、丸みのある三次元の形状で第1の取り付け部1412Aの間に伸長し、近位部1422、中間部1424、および遠位部1426を経由して第2の取り付け部1414に戻る。丸みのある三次元形状を作るために、各パドルフレーム1400Aは、第1の取り付け部1412Aと第2の取り付け部1414Aとの間でパドルフレーム1400Aが伸長するにつれて複数の位置で曲げられるか、または湾曲させられる。取り付け部1412A、1414Aはそれぞれ、キャップに取り付けるための切り込み1416A、1418Aを含む。パドルフレーム1400Aは、領域1419Aで曲がる。領域1419Aは、パドルフレーム1400Aを曲げることにより生じる応力を広い領域にわたって分散させる幅広部1417Aを含むことができる。また、切り込み1416A、1418Aは、丸みを付けた切り込み1415Aを切り込み1416A、1418Aの各端部に含むこともできる。丸みを付けた切り込み1415Aは、曲げ領域1419Aと、パドルフレーム1400Aがキャップに連結する領域と、の張力緩和部として機能する。
各パドルフレーム1400Aは、第1の湾曲部1430Aにおいて中間平面すなわち中心平面1404A(図116A)から湾曲して、パドルフレーム1400Aの形状を広いものにする。図114Aで分かるように、パドルフレーム1400Aはまた、第1の湾曲部1430Aの位置において正面平面1406Aからも湾曲する。パドルフレーム1400Aは、第2の湾曲部1432において、第1の湾曲部1430の外向きの方向から湾曲して、正面平面1406Aから見たときに中心平面1404Aに平行であるか、または実質的に平行であるフレーム1400Aの側面1433Aを形成する。パドルフレームは、第2の湾曲部1432Aの位置において、正面平面1406Aから継続して傾斜する。いくつかの実施形態では、第2の湾曲部1432Aは、第1の湾曲部1430Aよりも大きい半径を有する。パドルフレーム1400Aは、中間部1424A内の第3の湾曲部1434Aにおいて正面平面1406Aから向かって湾曲して戻るが、パドルフレーム1400Aの側面1433Aは、中心平面1404Aに平行なままであるか、または実質的に平行なままである。パドルフレーム1400Aは、第4の湾曲部1436Aにおいて二度目に中心平面1404Aから湾曲し、中間部1424Aおよび遠位部1426Aの残りの部分を通して中心平面1404Aから継続して湾曲する。パドルフレーム1400Aの丸みのある三次元形状は、パドルフレーム1400Aの遠位端1426Aの丸みのあるコーナーを形成する第5の湾曲部1438Aによって側面1433Aに接続されている端部1442Aによって閉じられる。
端部1442Aは、パドルフレーム1400Aがパドル(図示せず)およびカバー(図示せず)に取り付けられることを可能にする特徴を収容するために、パドルフレーム1400Aの残りの部分よりも広くすることができる。たとえば、端部1442Aは、上述した材料のストリップ401A、501Aなどの、材料のストリップの一部を受け入れるためのスロット1444Aを含むことができる。端部1442Aの開口部1446Aは、材料のストリップをスロット1444Aに挿入することを可能にする。端部1442Aは、カバー(図30A参照)をパドルフレーム1400Aに固定するための取り付け孔1440Aを備えることもできる。
図116Aおよび図117Aで分かるように、パドルフレーム1400Aは、フレーム1400が取り付け部1410Aからパドル連結部1420Aの閉鎖端部まで伸長するときに概して丸みのある長方形の形状を有する。フレームの中間部1424Aは、遠位部1426Aよりも正面平面1406Aに近接して、中間部1424Aの両側に丸みのある、翼状の形が与えられ、この中間部は、本明細書で説明されている移植可能なデバイスのパドル(図示せず)と接合要素との間に天然の組織を把持する間、接合要素(図示せず)の前面および後面に係合する。
図195および図196を参照すると、パドルフレーム1400Aは、上述したデバイス500Aなどの、例示的な移植可能なデバイスのカラー514Aに組み付けられて示されている。1つの例示的な実施形態では、パドルフレーム1400Aは、パドル520A、522Aが閉じた形態のときに接合要素510Aに対する、すなわち接合要素に向ける締め付け力が増大するように形状設定することができる。これは、パドルフレーム1400Aが、第1の位置(たとえば、図195)への閉位置(たとえば、図196)に対して形状設定されているからであり、これは、デバイス500A(たとえば、図70A)の中心平面552Aを越えているなど、接合要素の反対側を越えているなど、接合要素の反対側の外側パドルを越えているなど、内側パドル522Aが接合要素510Aに係合する位置を越えている。第1の位置において、パドルフレーム1400Aの側面1433Aは、一方のパドルフレーム1400Aの側面1433Aがわずかに横方向に移動して、各フレーム1400Aの端部1442Aが互いに、かつ側面1433Aに接触してそれ以上の移動を妨げるまで他のパドルフレーム1400Aの側面1433Aを越えた移動を可能にするという点で絡み合っている。
パドルフレーム1400Aの予負荷の大きさは、パドルフレーム1400Aが接合要素510Aに対して形状設定される角度を調整することによって変えることができる。パドルフレーム1400Aが形状設定される位置が閉位置から遠く離れるほど、パドルフレーム1400Aが開位置に移動するときに予負荷力はさらに大きくなる。
パドルフレーム1400Aの各湾曲部は互いに独立していてよく、すなわち、1つの湾曲が別の湾曲の開始前に完了しており、あるいは、各湾曲部は一緒にされてもよく、すなわち、パドルフレーム1400Aは複数の方向に同時に湾曲する。
図191および図192に示されているパドルフレーム1400のように、例示的な実施形態では、パドルフレーム1400Aは、たとえば、レーザ切断によって、材料の平坦なシートから切断される平坦なブランクから形成することができる。次いで、切断されたブランクを曲げて、パドルフレーム1400Aの三次元形状を形成することができる。
次に図119~図120を参照すると、パドルフレーム1400が、拡張された状態(図119)および圧縮された状態(図120)で示されている。パドルフレーム1400は、パドルが送達デバイス1450の中に配置されるとき、圧縮された状態にある。図119を参照すると、パドルフレーム1400は拡張された状態から、パドルをX方向に圧縮し、パドルの長さをY方向に伸長することによって、圧縮された状態に移される。パドル1400が圧縮された状態にあるとき、パドルは幅Hを有する。幅Hは、約5mmから約6mmまでの間など、たとえば約4mmから約7mmの間とすることができる。代替実施形態では、幅Hは4mm未満または7mm超とすることができる。いくつかの実施形態では、圧縮されたパドル1400の幅Hは、送達デバイス1450の送達開口1452の幅Dと等しい、または実質的に等しい。拡張された状態のパドルの幅Wと圧縮された状態のパドルの幅Hとの比は、約3対1以下など、約2対1以下など、約1.5対1以下など、約1.25対1以下など、約1対1以下など、たとえば約4対1以下とすることができる。代替実施形態では、幅Wと幅Hとの比は4対1よりも大きくすることができる。図120は、図119で示された状態から圧縮された連結部1410を示す。しかし、いくつかの例示的な実施形態では、連結部1410は圧縮されない。たとえば連結部1410は、連結部1410がキャップ514に連結されている場合、圧縮されない。図112Aおよび図114A~図118Aに示されているパドルフレーム1400Aは、同様に圧縮され得る。
次に図121~図124を参照すると、例示的な移植可能なデバイス500が、デバイスのアンカー部506が開閉されると圧縮されるか引き伸ばされるパドルフレームと共に、開状態および閉状態で示されている。パドルフレーム1524は、上述のパドルフレーム1400と似ている。次に図121を参照すると、アンカー部506が閉状態で示されている。次に図122を参照すると、パドルフレーム1524は、第1の幅W1および第1の長さL1を有する。次に図123を参照すると、アンカー部506が開状態で示され、パドルフレーム1524は伸長された状態にある(図124)。デバイス500のアンカー部506を開くことにより、パドルフレーム1524が接合部510から外向きに移動、伸長、または旋回され、伸長された状態へ移される。伸長された状態では、パドルフレーム1524は、第2の長さすなわち伸長された長さL2、および第2の幅すなわち伸長された幅W2を有する。伸長された状態では、パドルフレーム1524は、第2の長さL2が第1の長さL1よりも長くなり、第2の幅W2が第1の幅W1よりも狭くなるように、長くなり狭くなる。この実施形態の1つの利点は、パドルフレームが狭くなり、弁尖の把持中の腱の係合を少なくできることである。しかし、パドルフレームは、移植物が閉じられて弁尖の支持が強化されるとき、幅が広くなる。この実施形態の別の利点は、パドルフレームもまた、脱出状態で狭くなり長くなることである。伸長された、細長い状態すなわち脱出状態においてパドルサイズがより狭いと、少ない腱の係合と、脱出の容易さの向上と、が可能になり得る。
次に図125~図128を参照すると、例示的な移植可能なデバイス500が、デバイスのアンカー部506が開閉されると圧縮されるか引き伸ばされるパドルフレームと共に、開状態および閉状態で示されている。パドルフレーム1624は、上述のパドルフレーム1400と類似している。次に図125を参照すると、アンカー部506が閉状態で示されている。次に図126を参照すると、パドルフレーム1624は第1の幅W1および第1の長さL1を有する。次に図127を参照すると、アンカー部506が開状態で示され、パドルフレーム1624は圧縮された状態にある(図128)。デバイス500のアンカー部506を開くと、パドルフレーム1624が接合部510から外向きに移動、伸長、または旋回され、圧縮された状態へ移される。圧縮された状態では、パドルフレーム1624は、第2の長さすなわち圧縮された長さL2、および第2の幅すなわち圧縮された幅W2を有する。圧縮された状態では、パドルフレーム1624は、第2の長さL2が第1の長さL1よりも短くなり、第2の幅W2が第1の幅W1よりも広くなるように、短くなり広くなる。
次に図129~図136を参照すると、ロック封止または固定封止することができる、例示的な移植可能な補綴デバイスが示されている。次に図129を参照すると、磁石によって閉状態にロックまたは保持することができる、例示的な移植可能な補綴デバイス500が示されている。上述のように、デバイス500は、接合要素510およびパドル520を含む。パドル520は、より詳細に上述したように、天然の心臓弁の弁尖20、22を把持するために開閉する。接合要素510は1つまたは複数の磁石1700を含み、パドル520は1つまたは複数の磁石1702を含む。磁石1700、1702は、パドル520の磁石1702が接合要素510の磁石1700に引き付けられ、磁石1700、1702間の磁気吸引力でパドル520を閉状態に保持するように、反対の極が向かい合っている。いくつかの実施形態では、磁石1700、1702は、磁石1700を接合要素内で動かすこと(回転させるなど)によって移植可能なデバイス500をロックおよびロック解除できるように、プログラムされるか、極性のパターン付きポリ磁石になっている。たとえば、磁石1700は、第1の向きのパドル520の磁石1702を引き付けるように、また磁石1700が第2の向きに90度回転したときにパドル520の磁石1702に反発するように、構成することができる。
次に図130~図131を参照すると、弾性バンド1800によって閉状態にロックまたは保持できる、例示的な移植可能な補綴デバイス500が示されている。弾性バンド1800は、任意の可撓性材料から作ること、および任意の形態を有することができる。たとえば、弾性バンドは巻かれたニチノールを含むことができ、ステント状の構造などを有することができる。
上述のように、デバイス500は、接合要素510、パドル520、および返し付き留め具530を含む。パドル520および返し付き留め具530は、より詳細に前述したように、天然の心臓弁の弁尖20、22を把持するために開閉する。パドル520は、上述のように、作動要素または作動のための手段512を作動することによって、開状態(図130)と閉状態(図131)との間で動く。弾性バンド1800は、デバイス500を閉状態にロックまたは保持するように配置することができる。デバイス500が開状態にあるとき(図130)、バンド1800は、緩和または係合解除した状態でパドル520を囲むように配置される。たとえば、バンド1800は、デバイスの遠位部507に近いパドル520のテーパ付きの部分などの、開いたデバイス500の細い部分を囲むように配置することができる。デバイス500が閉状態にあるとき(図131)、バンド1800は、係合した状態でパドル520を囲むように配置される。いくつかの実施形態では、バンド1800が係合状態にあるとき、バンドはデバイス500の最も幅広い部分を囲むように配置されるか、またはデバイス500の中心を囲むように配置され得る。
バンド1800は、係合解除状態から、閉じる方向すなわち係合する方向1802に係合状態まで、糸(図示せず)または他の、バンド1800を動かす適切な手段によって移動される。バンド1800を移動することにより、パドル520を閉じる方向1804に動かすことができ、それによって、デバイス500がバンド1800のただ一度の移動で閉じられ固定される。代替的に、デバイス500を閉じ、バンド1800を係合位置に移動して、デバイス500を閉状態に固定することができる。
次に図132を参照すると、付勢部材1900によって閉状態にロックまたは保持できる、例示的な移植可能な補綴デバイス500が示されている。上述のように、デバイス500は、接合要素510、パドル520、および返し付き留め具530を含む。パドル520は、接合要素510を通ってキャップ514まで伸長する作動要素512によって、開状態と閉状態との間を動く。パドル520および返し付き留め具530は、より詳細に前述したように、天然の心臓弁の弁尖20、22を把持するために開閉する。閉状態では、デバイス500を弁組織に固定するために、パドル520および留め具530が、弁尖20、22の組織に係合し、かつ互いに係合する。
付勢部材1900(たとえば、ばね)は、キャップ514を接合要素510に向けて付勢し、それによってデバイス500を閉状態に向けて付勢するように構成される。デバイス500が送達デバイス(図示せず)によって弁組織に送達され取り付けられた後、送達デバイスは患者の体から取り出され、付勢部材1900はデバイス500を閉状態に維持して、デバイス500が弁組織から脱離することを防止する。
次に図133~図134を参照すると、掛止によって閉状態にロックまたは保持できる、例示的な移植可能な補綴デバイス2000が示されている。デバイス2000は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス2000は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
デバイス2000は、上述した他の移植可能なデバイスと類似しており、パドル2002および把持部材すなわち留め具2004を含む。パドル2002は、パドル2002と把持部材2004との間の隙間2006で天然の弁尖20、22を把持するために開閉する。デバイス2000はまた、パドル2002に取り付けられた掛止部材2008を含み、ここで掛止部材2008は、デバイス2000が閉状態にあるときにパドル2002を把持部材2004に取り付けるように構成されている。いくつかの実施形態では、掛止部材2008は、二次的な掛止機構として働き、他の機構が機能しなくなったときにデバイス2000を閉状態に保つように構成される。
図133を参照すると、デバイス2000は開状態にあり、弁組織20、22が、パドル2002と把持部材2004との間の隙間すなわち開口2006に配置されている。図134を参照すると、デバイス2000は、弁組織20、22がパドル2002と把持部材2004との間に固定されるように、閉状態に移されている。デバイス2000は、たとえば本出願に記載のいずれかの方法など、任意の適切な方法で閉状態に移すことができる。デバイス2000が閉状態に移されたとき、掛止部材2008が弁組織20、22を刺し、把持部材2004に挿入すなわち通されて、パドル2002を把持部材2004に固定する。掛止部材2008は、パドル2002を把持部材2004に固定できる、たとえば、金属、プラスチックなど、任意の適切な形を取ることができる。
次に図135~図136を参照すると、掛止によって閉状態にロックまたは保持できる、例示的な移植可能な補綴デバイス2000が示されている。図135~図136では、デバイス2000は接合要素2010を含む。図135を参照すると、デバイス2000は開状態にあり、弁組織20、22が、パドル2002と把持部材2004との間の隙間すなわち開口2006に配置されている。図136を参照すると、デバイス2000は、弁組織20、22がパドル2002と把持部材2004との間に固定されるように、閉状態に移されている。デバイス2000は、たとえば本出願に記載のいずれかの方法など、任意の適切な方法で閉状態に移すことができる。デバイス2000が閉状態に移されたとき、掛止部材2008が弁組織20、22を刺し、把持部材2004に挿入すなわち通されて、パドル2002を把持部材2004に固定する。図示の実施形態では、掛止部材2008は、把持部材2004を越えて接合要素2010の中へ突き出る。いくつかの実施形態では、掛止部材2008は、接合要素2010の一部分に掛止することによって、または接合要素2010の材料を穿孔することによって、接合要素2010に固定することができる。掛止部材2008は、パドル2002を把持部材2004に固定できる、たとえば金属、プラスチックなどの、任意の適切な形を取ることができる。
次に図137~図145を参照すると、移植可能な補綴デバイスおよびこのデバイスを使用する方法の様々な実施形態が示されており、これらのデバイスおよび方法により、移植可能な補綴デバイスによって把持された天然の組織を解放することが容易になる。デバイスは、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイスは、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に図137を参照すると、引き伸ばし可能な留め具すなわち把持部材を備えたデバイス2100が示されている。デバイス2100は送達シース2102から送達され、接合要素2110、パドル2120、および留め具すなわち把持部材2130を有する。把持部材2130は、返し2132および引き伸ばし可能部2134を含む。引き伸ばし可能部2134により、留め具2130が引き伸ばし方向2136に引き伸ばされることが可能になる。作動ラインまたは作動糸2104は、送達シース2102から留め具2130まで伸長する。ライン/糸2104を引き込み方向2106に引き込むと、留め具2130は完全に伸長された状態へと開き、伸びる。いくつかの実施形態では、留め具2130は主として、一旦留め具2130が完全に開いた状態において伸びる。返し2132が引き伸ばし方向2136に動くことにより、天然の組織からのきれいな係合解除が可能になる。いくつかの実施形態では、引き伸ばし可能部2134は、返し2132が天然の組織に入る方向と反対、または実質的に反対の方向に弁組織から抜け出るように引き伸ばし可能部が動くように、構成される。代替的に、留め具2130は、天然の組織を断裂せずに天然の組織からの係合解除ができるように、別の方法で伸長可能にすることができる。たとえば、結合部2131は、留め具2130の返し2132が方向2136に引っ張られることを可能にするように構成することができる。
次に図138~図143を参照すると、弁組織を補綴デバイス500から解放する方法の2つの例示的な実施形態が示されている。上述のように、デバイス500は、接合要素510、内側パドル522、外側パドル520、および返し付き留め具530を含む。デバイス500は送達シース502から配備される。作動要素512は、接合要素510を通ってキャップ514まで伸長する。作動要素512を作動するとパドル520、522が開閉して、デバイスを開閉する。返し付き留め具530は、返し536、移動可能なアーム534、および固定アーム532を含む。固定アーム532は内側パドル522に取り付けられ、それにより留め具530は、内側パドル522が動くと一緒に動く。留め具制御部材または減衰ライン/糸537は、送達シース502から留め具530の可動アーム534まで伸長する。
図138~図141は、把持された弁組織を解放する例示的な方法を示す。図138~図141で示された例では、デバイスは、組織解放に関与するデバイス500の部分の動きをより明確に示すために、開いた状態、または実質的に開いた状態で示されている。しかし実際には、組織解放の方法は、図142および図143で示された、さらに閉じた状態のデバイス500によって実施される可能性が高い。すなわち、パドルおよび留め具は、留め具を動かして弁組織を解放する前に、図138~図141で示されているように大きく開かれる可能性が高くない。パドルおよび留め具は、弁組織を解放する前には、図142および図143で示されているように少しだけ開かれる可能性が高い。図138~図141で示された例において動くのと同じ部分が、図142~図143で示された例においても動く。
次に図138を参照すると、デバイス500は開いているか、または実質的に開いている状態で、閉状態の留め具530と共に示されている。留め具制御部材または作動ライン/糸537を引き込むと、留め具530の可動アーム534が、不完全に開いた状態(図139)にまで、次いで完全に開いた状態(図140)にまで関節動作するか、屈曲するか、または旋回する。次に図141を参照すると、留め具530が完全に開いた状態になった後に(図140)、作動ライン/糸537を引き込み方向560にさらに引き込むと、可動アーム534、返し536、および内側パドル522が上向きに組織解放方向に引っ張られる。接合要素に最も近い内側パドル522の部分523は、上向きに方向562に曲がって、この引き込み方向560の動きを可能にする。留め具530と接合要素510との間に、小さい隙間G140が任意選択であり得る。内側パドルは、この小さい隙間において(小さい隙間がある場合)、または隙間がない場合は接合要素510と内側パドルとの間の連結部または結合部523において、曲がることができる。この内側パドル522の曲がる動き562によりまた、任意選択で外側パドル520が下向きに移動または旋回し得る。返し536の組織解放方向560の動きは、天然の組織からのきれいな係合解除を可能にする。返しは、可動アーム534に対して、組織から解放しやすくなる角度θ(図138参照)とすることができる。たとえば、角度θは、20度~50度など、25度~45度など、約30度または30度など、10度~60度の間とすることができる。
次に図142~図143を参照すると、デバイス500はわずかに開いた状態、すなわちわずかに閉じた状態で示されている。上述のように、図138~図141で示された例のものと同じデバイス500の部分は、図142および図143で示された例において動く。不完全に開いた状態、すなわち不完全に閉じた状態で、作動ライン/糸537を引き込み方向560にさらに引き込むと、可動アーム534、返し536、および内側パドル522が上向きに引っ張られる。接合要素に最も近い内側パドル522の部分は、方向562に曲がるか持ち上げられて、動き560が可能になる。上述のように、留め具530と接合要素510との間に、小さい隙間G140が任意選択であり得る。内側パドルは、この小さい隙間において(小さい隙間がある場合)、または隙間がない場合は接合要素510と内側パドルとの間の連結部において、曲がる(562)ことができる。返し536が方向560に動くことにより、弁組織が返しから解放される。内側パドル522を持ち上げることによりまた、任意選択で、外側パドル520を外向きに開き方向564に強制的に動かすこともできる。外側パドル520の任意選択の外向きの動き564は、パドルおよび接合要素によって把持組織に印加されたピンチ力を緩和する。組織にかかるピンチ力を緩和することはまた、返しから組織を解放する助けにもなる。1つの例示的な実施形態では、デバイス500は、図143で示された状態から図140または図141で示された状態へ移されて、デバイスを天然の組織から完全に係合解除する。
図144~図152は、例示的な送達アセンブリ2200およびその構成要素を示す。図144を参照すると、送達アセンブリ2200は、移植可能な補綴スペーサデバイス500(または本出願に記載のいずれかの他の移植可能なデバイス)と、送達装置2202と、を備えることができる。送達装置2202は、複数のカテーテルおよびカテーテル安定装置を備えることができる。たとえば、図示の実施形態では、送達装置2202は、第1のカテーテル2204、第2のカテーテル2206、第3のカテーテル2208、およびカテーテル安定装置2210を含む。第2のカテーテル2206は、第1のカテーテル2204を同軸で経由して伸長し、第3のカテーテル2208は、第1のカテーテル2204および第2のカテーテル2206を同軸で経由して伸長する。補綴スペーサデバイス500は、以下でさらに説明するように、送達装置2202の第3のカテーテル2208の遠位端部に解放可能に結合することができる。
図示の実施形態では、送達アセンブリ2200は、たとえば、補綴スペーサデバイス500を天然の弁内に経血管アプローチ(たとえば、天然の僧帽弁MVに経中隔送達アプローチなど)によって移植するように構成されている。他の実施形態では、送達アセンブリ2200は、ヒトの心臓の大動脈弁、三尖弁、または肺動脈弁の領域内に補綴スペーサデバイス500を移植するように構成することができる。また、送達アセンブリ2200は、経中隔、経大動脈、経心室などを含む、様々な送達方法のために構成することができる。
図146を参照すると、補綴スペーサデバイス500の第1のカラーすなわちキャップ514は、穴516Bを含むことができる。いくつかの実施形態では、図145に示されるように、穴516Bは、送達装置2202の作動要素または作動手段512の遠位端512Bの、対応する雄ねじに解放可能に係合するように構成された雌ねじを備えることができる。
再び図146を参照すると、補綴スペーサデバイス500の第2のカラーすなわち近位カラー511は、キャップ514の穴516Bと軸方向に位置合わせされている、中心開口部511Cを含むことができる。近位カラー511の中心開口部511Cは、図145に示されるように、送達装置2202の作動要素、作動シャフト、または作動手段512を摺動可能に受け入れるように構成することができる。いくつかの実施形態では、近位カラー511および/または接合要素510は、作動要素または作動手段512が中心開口部511Cから引き抜かれたときに中心開口部511Cを封止するように構成された封止部材(図示されていないが、たとえば図23に示された封止部材413参照)を有することができる。
図146に示されるように、近位カラー511は、複数の係合部分すなわち突起511A、および複数の案内開口511Bを含むこともできる。突起511Aは、径方向外向きに伸長することができ、また案内開口511Bに対して周方向にオフセットすることができる(たとえば約90度だけ)。案内開口511Bは、中心開口511Cから径方向外側に配置することができる。近位カラー511の突起511Aおよび案内開口511Bは、図145に示されるように、送達装置2202のカプラーまたは結合のための手段2214と解放可能に係合するように構成することができる。
再び図144を参照すると、上述のように、送達装置2202は、第1のカテーテル2204および第2のカテーテル2206を含むことができる。第1のカテーテル2204および第2のカテーテル2206は、たとえば、移植場所(たとえば、心臓の天然の僧帽弁または三尖弁領域)にアクセスするために、かつ/または第3のカテーテル2208を移植場所に配置するために使用することができる。
第1のカテーテル2204および第2のカテーテル2206はそれぞれ、第1のシース2216および第2のシース2218を備えることができる。カテーテル2204、2206は、シース2216、2218が操縦可能になるように構成することができる。第1のカテーテル2204に関するさらなる詳細を、たとえば、参照によりその全体で本明細書に組み込まれている特許文献6に見出すことができる。第2のカテーテル2206に関するさらなる詳細を、たとえば、参照によりその全体で本明細書に組み込まれている特許文献7に見出すことができる。
さらに図144を参照すると、送達装置2202はまた、上述のように、第3のカテーテル2208を含むこともできる。第3のカテーテル2208は、たとえば、補綴スペーサデバイス500を移植場所に送達し、操作、配置、および/または配備するために使用することができる。
図148を参照すると、第3のカテーテル2208は、作動要素すなわち内側シャフト512、カプラーまたは結合のための手段2214、外側シャフト2220、ハンドル2222(概略的に図示)、および留め具制御部材または作動ライン537を備えることができる。外側シャフト2220の近位端部2220aは、ハンドル2222に結合され、そこから遠位に伸長することができ、外側シャフト2220の遠位端部2220bは、カプラーまたは結合のための手段2214に結合することができる。作動要素または作動手段512の近位端部512Aは、作動つまみ2226に結合することができる。作動要素または作動手段512は、つまみ2226(概略的に図示)からハンドル2222を経由し、外側シャフト2220を経由し、またカプラーまたは結合のための手段2214を経由して遠位に伸長することができる。作動要素または作動手段512は、外側シャフト2220およびハンドル2222に対して可動にすることができる(たとえば、軸方向に、および/または回転可能に)。留め具制御部材または作動ライン537は、ハンドル2222および外側シャフト2220を通って伸長することができ、またハンドルおよび外側シャフトに対して軸方向に可動とすることができる。留め具制御部材/作動ライン537はまた、作動要素または作動手段512に対して軸方向に可動とすることもできる。
図145~図146に示されるように、第3のカテーテル2208の作動要素または作動手段512(たとえば、作動シャフトなど)は、補綴スペーサデバイス500のキャップ512に解放可能に結合することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、作動要素または作動手段512の遠位端部512Bは、補綴スペーサデバイス500の穴516Bの雌ねじと解放可能に係合するように構成された雄ねじを備えることができる。そのため、作動要素または作動手段512を補綴スペーサデバイス500のキャップ514に対して第1の方向(たとえば、時計回り)に回すと、作動要素または作動手段512がキャップ514に解放可能に固定される。作動要素または作動手段512を補綴スペーサデバイス500のキャップ514に対して第2の方向(たとえば、反時計回り)に回すと、作動要素または作動手段512がキャップ514から解放される。
次に図145~図147を参照すると、第3のカテーテル2208のカプラーまたは結合のための手段2214は、補綴スペーサデバイス500の近位カラー511に解放可能に結合することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、カプラーまたは結合のための手段2214は、複数の可撓性アーム2228および複数の安定装置部材2230を備えることができる。可撓性アーム2228は、アパーチャ2232、ポート2233(図146)、およびハトメ2234(図147)を備えることができる。可撓性アーム2228は、第1の形態すなわち解放形態(図146)と第2の形態すなわち結合形態(図145および図147)との間で移動または旋回するように構成することができる。第1の形態では、可撓性アーム2228は、安定装置部材2230に対して径方向外向きに伸長する。第2の形態では、可撓性アーム2230は安定装置部材2230と軸方向に平行に伸長し、ハトメ2234は、図147に示されるように径方向に重なり合う。可撓性アーム2228は、第1の形態に向けて付勢されるように構成(たとえば、形状設定)することができる。
補綴スペーサデバイス500は、カプラーまたは結合のための手段2214の安定装置部材2230を補綴スペーサデバイス500の案内開口511Bに挿入することによって、カプラーまたは結合のための手段2214に解放可能に結合することができる。次いで、カプラーまたは結合のための手段2214の可撓性アーム2228は、補綴スペーサデバイス500の突起511Aが可撓性アーム2228のアパーチャ2232の中へ径方向に伸長するように、第1の形態から第2の形態へ径方向内向きに移動または旋回することができる。可撓性アーム2228は、作動要素または作動手段512(たとえば、作動シャフトなど)の遠位端部512Bをハトメ2234の開口2236に通して挿入することによって、第2の形態に保持することができ、こうすることにより、可撓性アーム2228が第2の形態から第1の形態へと径方向外向きに移動または旋回することが防止され、それによって、補綴スペーサデバイス500がカプラーまたは結合のための手段2214に解放可能に結合される。
補綴スペーサデバイス500は、作動要素または作動手段512の遠位端部512Bがハトメ2234の開口2236から引っ込むように作動要素または作動手段512をカプラーまたは結合のための手段2214に対して近位に引き込むことによって、カプラーまたは結合のための手段2214から解放することができる。こうすることにより、可撓性アーム2228が、第2の形態から第1の形態へと径方向外向きに移動または旋回することが可能になり、この旋回により、補綴スペーサデバイス500の突起511Aが可撓性アーム2228のアパーチャ2232から引き抜かれる。安定装置部材2230は、可撓性アーム2228が解放される間およびその後、補綴スペーサデバイス500の案内開口511Bに挿入されたままとすることができる。こうすると、たとえば、可撓性アーム2228が解放される間に補綴スペーサデバイス500が動くこと(たとえば、シフトおよび/またはロックすること)を防止することができる。次いで、安定装置部材2230は、カプラーまたは結合のための手段2214を補綴スペーサデバイス500に対して近位に引っ込めることによって、補綴スペーサデバイス500の案内開口511Bから引き抜くことができ、それによって、補綴スペーサデバイス500がカプラーまたは結合のための手段2214から解放される。
図148を参照すると、第3のカテーテル2208の外側シャフト2220は、ハンドル2222に結合されている近位端部2220aと、カプラーまたは結合のための手段2214に結合されている遠位端部2220bと、の間に軸方向に伸長する、細長いシャフトとすることができる。外側シャフト2220はまた、近位端部2220aと遠位端部2220bとの間に配置された中間部2220cを含むこともできる。
図149を参照すると、外側シャフト2220は、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2238および複数の制御部材ルーメン2240(たとえば、図示の実施形態では4つ)を含む、軸方向に伸長する複数のルーメンを備えることができる。いくつかの実施形態では、外側シャフト2220は、4つよりも多い(たとえば6つ)、または少ない(たとえば2つ)制御部材ルーメン2240を備えることができる。
作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2238は、作動要素または作動手段512を受け入れるように構成することができ、制御部材ルーメン2240は、1つまたは複数の留め具制御部材または作動ライン537を受け入れるように構成することができる。ルーメン2238、2240はまた、作動要素または作動手段512および留め具制御部材/ライン537がそれぞれのルーメン2238、2240に対して軸方向に、および/または回転可能に可動であり得るように、構成することもできる。特定の実施形態では、ルーメン2238、2240は、ルーメン2238、2240内の摩擦を低減するように構成されたライナーまたはコーティングを備えることができる。たとえば、ルーメン2238、2240は、PTFEを含むライナーを備えることができる。
さらに図148~図149を参照すると、外側シャフト2220は、金属およびポリマーを含む、様々な材料から形成することができる。たとえば、1つの特定の実施形態では、近位端部2220aはステンレス鋼を含むことができ、遠位部2220bおよび中間部2220cはREBAX(たとえば、PEBAX(登録商標))を含むことができる。外側シャフト2220はまた、各部2220a、2220bおよび2220cを覆ってリフローされるポリマーなどの外側カバーまたはコーティングを備えることもできる。
外側シャフト2220は、ルーメン2238、2240から径方向外側に配置された1つまたは複数のコイル部2242を含むことができる。たとえば、1つの特定の実施形態では、外側シャフト2220は第1のコイル2242a、第2のコイル2242b、および第3のコイル2242cを備えることができる。第1のコイル2242aは径方向に最も外側のコイルとすることができ、第3のコイル2242cは径方向に最も内側のコイルとすることができ、第2のコイル2242bは径方向において第1のコイル2242aと第3のコイル2242cとの間に配置することができる。
コイル部2242は、様々な材料および/または形態を備えることができる。たとえば、コイル部2242はステンレス鋼から形成することができる。1つの特定の実施形態では、第1のコイル2242aおよび第3のコイル2242cは、左巻き形態で巻かれたステンレス鋼コイルを含み、第2のコイル2242bは右巻き形態で巻かれたステンレス鋼コイルを含む。
コイル部2242はまた、様々なピッチを備えることもできる。1つまたは複数のコイル2242のピッチは、1つまたは複数の別のコイル2242のピッチと同じとすることも別とすることもできる。1つの特定の実施形態では、第1のコイル2242aおよび第2のコイル2242bは、第1のピッチ(たとえば、0.74インチ)を有することができ、第3のコイルは、第2のピッチ(たとえば、0.14インチ)を含むことができる。
外側シャフト2220はまた、第3のコイル2242cから径方向内側に配置されたタイ層2244を含むこともできる。タイ層2244は、REBAX(たとえば、PEBAX(登録商標))などのポリマーを含む、様々な材料から形成することができる。
図150~図152に示されるように、第3のカテーテル2208のハンドル2222は、ハウジング2246、作動ロック機構2248、留め具制御機構2250、およびフラッシュ機構2252を含むことができる。図150を参照すると、ハウジング2246の遠位端部は、外側シャフト2220の近位端部2220aに結合することができる。作動ロック機構2248、留め具制御機構2250、およびフラッシュ機構2252は、ハウジング2246の近位端に結合することができる。作動ロック機構2248は、ハウジング2246および外側シャフト2220に対して作動要素または作動手段512の位置を選択的にロックするように構成することができる。留め具制御機構2250はまた、留め具制御部材または作動ライン537の近位端部に結合することもでき、また、留め具制御部材537をハンドル2222に対して固定するように、かつ留め具制御部材537を外側シャフト2220および作動要素または作動手段512に対して動かすように構成することができる。フラッシュ機構2252は、外側シャフト2220を患者の脈管構造に挿入する前に、外側シャフト2220を(たとえば、生理食塩水を用いて)フラッシュするように構成することができる。
図151~図152に示されるように、ハンドル2222のハウジング2246は、本体2254と、本体2254の遠位端部に結合された先端部2256と、を備えることができる。本体2254および先端部2256は、締結具2258および/またはピン2260(たとえば図示の実施形態において示される)、接着剤、および/または他の結合手段を含む、様々な方法で結合することができる。ハウジング2246は、ポリマー(たとえば、ポリカーボネート)を含む、様々な材料から形成することができる。
ハウジング2246の本体2254は、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2262(たとえば、作動シャフトルーメン、作動チューブなど)と、制御部材ルーメン2264(図152)と、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2262(図151)につながるフラッシュルーメン2266と、を含む、複数のルーメンを備えることができる。図152に示されるように、本体2254はまた、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2262および制御部材ルーメン2264内に少なくとも部分的にそれぞれ配置されている作動チューブ2268および制御部材チューブ2270を含む、複数のチューブ(たとえば、ハイポチューブ)を含むこともできる。チューブ2268、2270は、ルーメン2262、2264それぞれに対して軸方向に可動(たとえば、摺動可能)とすることができる。
作動チューブまたはルーメン2268の近位端は、本体2254から近位に伸長することができ、また、つまみ2226、および作動要素または作動手段512の近位端部512Aに結合することができる。制御部材チューブ2270の近位端は、本体2254から近位に伸長することができ、また、留め具制御機構2250および留め具制御部材537に結合することができる。
チューブ2268、2270の遠位端は、ハウジングまたは本体部2254に対してチューブ2268、2270の軸方向の動きを制限するためにストッパーに係合するように構成された、フランジ2272、2274を備えることができる。たとえば、フランジ2272、2274は、チューブ2268、2270がルーメン2262、2264それぞれの近位端から完全に引っ込むことを防止するために、本体2254のそれぞれの面(たとえば、リップ)に接触するように構成することができる。
作動チューブまたはルーメン2268は、作動要素または作動手段512の近位端部を受けるように、かつそれに結合されるように構成することができる。制御部材チューブ2270は、以下でさらに説明するように、留め具制御機構2250の一部分を受けるように構成することができる。チューブ2268、2270は、ポリマーおよび金属(たとえば、ステンレス鋼)を含む、様々な材料から形成することができる。
いくつかの実施形態では、本体2254は、ルーメンからの、ならびにシャフトおよび/またはチューブまわりの、血液漏洩を防止または低減するように構成された複数の封止部材2276(たとえば、Oリング)を含むことができる。封止部材は、たとえば締結具2278(たとえば、中空ロックねじまたはソケットジャムセットねじ)によって、本体2254に対して固定することができる。
図152に示されるように、ハウジング2246の先端部2256は、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2280(たとえば、作動シャフトルーメンなど)および制御部材ルーメン2282を含む、複数のルーメンを備えることができる。先端部2256の作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2280は、本体2254の作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2262と同軸に伸長することができる。先端部2256の制御部材ルーメン2282の近位端は、先端部2256の近位端において本体2254の制御部材ルーメン2264と位置合わせすることができる(すなわち、ルーメン2282、2264は同一平面にある)。制御部材ルーメン2282は、ある角度(すなわち、本体2254の制御部材ルーメン2264に対する角度)で近位端から伸長することができ、制御部材ルーメン2282の遠位端は、先端部2256の遠位端に向かう位置において先端部2256の作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2280とつながることができる。言い換えると、ルーメン2282の近位端は第1の平面(すなわち、本体2254の制御部材ルーメン2264の平面)にあり、ルーメン2282の遠位端は第2の平面(すなわち、本体2254の作動シャフトルーメンまたは作動手段ルーメン2262の平面)にある。
図151に示されるように、先端部2256の作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2280は、外側シャフト2220の近位端部を受け入れるように構成することができる。外側シャフト2220の近位端部は、接着剤、締結具、摩擦嵌め、および/または他の結合手段などを用いる多くの方法で、先端部2256に結合することができる。
さらに図151を参照すると、ハンドル2222の作動ロック機構2248は、ハウジング2246の本体2254の近位端部と、作動チューブ2268と、に結合することができる。作動ロック機構2248は、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きを選択的に制御するように構成することができる。こうすると、作動要素または作動手段512(作動チューブ2268に結合されている)と、外側シャフト2220(ハウジング2246の先端部2256に結合されている)と、の間の相対的な動きが選択的に制御される。
いくつかの実施形態では、作動ロック機構2248は、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きを防止するロック形態と、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きを可能にする解放形態と、を備えることができる。いくつかの実施形態では、作動ロック機構2248は、1つまたは複数の中間形態を含むように構成することができ(すなわち、ロック形態および解放形態に加えて)、この中間形態では、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きが可能になるが、この相対的な動きをもたらすのに必要な力は、作動ロック機構が解放形態にあるときよりも大きくなる。
例示的な実施形態の図151に示されるように、作動ロック機構2248は、ロック(たとえばテューイボースト(Tuohy-Borst)アダプタ)2284、およびカプラー(たとえば、メスルアーカプラー)2286を備えることができる。カプラー2286は、ロック2284の遠位端に取り付け、ハウジング2246の本体2254の近位端に結合することができる。作動チューブ2268は、ロック2284およびカプラー2286を同軸に通って伸長することができる。そのため、ロック2284のつまみ2288を第1の方向(たとえば、時計回り)に回すと、作動チューブ2268に対するロック2284の摩擦による係合を増大させ、それによって、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きをより困難にする、または完全に阻止することができる。ロック2284のつまみ2288を第2の方向(たとえば、反時計回り)に回すと、作動チューブ2268に対するロック2284の摩擦による係合を減少させ、それによって、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きをより容易にすることができる。
他の実施形態では、作動ロック機構2248は、作動チューブ2268とハウジング2246との間の相対的な動きを阻止するように構成された別の構造を備えることができる。たとえば、ロック機構2248は、弁のプランジャー部が作動チューブ2268に選択的に係合するコック弁のように構成されたロックを含むことができる。
留め具制御機構2250は、アクチュエータ部材2290および1つまたは複数のロック部材2292(たとえば、図示の実施形態では2つ)を備えることができる。アクチュエータ部材2290の遠位端部は制御部材チューブ2270に結合することができ、この制御部材チューブは、図151に最もよく示されているように、ハウジング2246の本体2254の近位端から伸長する。ロック部材2292は、アクチュエータ部材2290の近位端部に結合することができる。
図示の実施形態に示されるように、アクチュエータ部材2290は、任意選択で、第1の側面部2294と、連結ピン2298によって第1の側面部2294に選択的に結合された第2の側面部2296と、を備えることができる。アクチュエータ部材2290は、連結ピン2298が第1の側面部2294および第2の側面部2296を通して挿入されるときに、第1の側面部2294および第2の側面部2296が一緒に動くように構成することができる。連結ピン2298が引き抜かれると、第1の側面部2294と第2の側面部2296とを互いに相対的に動かすことができる。こうすることにより、留め具制御部材またはライン537(ロック要素2292によって第1の側面部2294および第2の側面部2296に解放可能に結合されている)が個別に作動されることが可能になり得る。
第1の側面部2294と第2の側面部2296との間の連結部は、連結ピン2298が引き抜かれているときに、第1の側面部2294および第2の側面部2296が、軸方向に(すなわち、近位および遠位に)は動くことができるが互いに回転可能には動くことができないように構成することができる。こうすることは、たとえば、第1の側面部2294をキースロットすなわちキー溝付きで構成し、第2の側面部2296を、第1の側面部2294のキースロットすなわちキー溝と合致するキー突起すなわちキー舌部付きで構成することによって達成することができる。これにより、たとえば、留め具制御部材/ライン537が外側シャフト2220に対してねじれることを防止する、またはその可能性を低減することができる。
第1の側面部2294および第2の側面部2296は、軸方向に伸長するルーメン2201を含むことができる。ルーメン2201の遠位端は、制御部材チューブ2270の近位端部を受けるように構成することができる。ルーメン2201の近位端は、ロック部材2292の一部分を受けるように構成することができる。
ロック部材2292は、留め具制御部材537と、アクチュエータ部材2290のそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296と、の間の相対的な動きを選択的に制御するように構成することができる。ロック部材2292は、留め具制御部材537とそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296との間の相対的な動きを防止するロック形態と、留め具制御部材537とそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296との間の相対的な動きを可能にする解放形態と、を備えることができる。いくつかの実施形態では、ロック部材2292はまた、1つまたは複数の中間形態を含むように構成することもでき(すなわち、ロック形態および解放形態に加えて)、この中間形態では、留め具制御部材537とそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296との間の相対的な動きが可能になるが、この相対的な動きをもたらすのに必要な力は、ロック部材2292が解放形態にあるときよりも大きくなる。
図示の実施形態に示されるように、ロック部材2292はコック弁と同様に構成することができる。すなわち、つまみ2203を第1の方向(たとえば、時計回り)に回すと、留め具制御部材/ライン537に対するロック部材2292間の摩擦による係合を増大させ、留め具制御部材537とそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296との間の相対的な動きをより困難にする、または完全に阻止することができる。つまみ2203を第2の方向(たとえば、反時計回り)に回すと、留め具制御部材537に対するロック部材2292間の摩擦による係合を減少させ、留め具制御部材537とそれぞれの第1の側面部2294または第2の側面部2296との間の相対的な動きをより容易にすることができる。他の実施形態では、作動ロック部材2292は、留め具制御部材537のロック部材2292間の相対的な動きを阻止するように構成された別の構造を備えることができる。
フラッシュ機構2252は、フラッシュチューブ2205および弁2207(たとえば、コック弁)を備えることができる。フラッシュチューブ2205の遠位端は、フラッシュルーメン2266に結合することができ、またフラッシュルーメンと、したがって本体2254の作動シャフトルーメンまたは作動手段ルーメン2262と流体連通することができる。フラッシュチューブ2205の近位端は、弁2207と結合することができる。このようにして、フラッシュ機構2252は、外側シャフト2220を患者の脈管構造に挿入する前に、外側シャフト2220を(たとえば、生理食塩水を用いて)フラッシュするように構成することができる。
留め具制御部材537または作動ラインは、以下でさらに説明するように、留め具530の形態を操作するように構成することができる。図148に示されるように、留め具制御部材またはライン537のそれぞれは、糸(たとえば、ワイヤ、糸など)ループとして構成することができる。制御部材537の近位端部は、留め具制御機構2250の近位端部から近位に伸長することができ、留め具制御機構2250のロック機構2292に解放可能に結合することができる。
ロック機構2292から、留め具制御部材または作動ライン537はループを形成することができ、この留め具制御部材は、留め具制御機構2250のルーメン2201を通り、制御部材チューブ2270、ハンドル2222の制御部材ルーメン2264、2282を通り、かつ外側シャフト2220の制御部材ルーメン2240を通って遠位に伸長する。留め具制御部材537は、ルーメン2240から、たとえば、カプラーまたは結合のための手段2214のポート2233(図146)を通って径方向外向きに伸長することができる。留め具制御部材537は次に、留め具530の開口535を通って伸長することができる。次に、留め具制御部材537は、近位にカプラーまたは結合のための手段2214へと逆に伸長して、径方向内向きにカプラーまたは結合のための手段2214のポート2233を通り、次いで外側シャフト2220とハンドル2222とを近位に通り、留め具制御機構2250のロック機構2292に至る。
図148では、留め具530の開口535を通り抜けて伸長する留め具制御部材またはライン537を示すために、留め具制御部材537は緩めて示されており、留め具530は不完全に開いている。しかし、通常では留め具制御部材537が緩んでいるとき、留め具530は閉じた形態である。
図示の実施形態に示されるように、留め具制御部材または作動ライン537のそれぞれは、外側シャフト2220の複数のルーメン2240を通って伸長することができる。たとえば、留め具制御部材537のそれぞれは、2つのルーメン2240を通ってループを作ることができる。他の実施形態では、留め具制御部材537のそれぞれは、単一のルーメン2240内に配置することができる。他の実施形態では、複数の留め具制御部材537を単一のルーメン2240内に配置することができる。
留め具制御部材または作動ライン537が留め具530に結合されている状態で、留め具制御機構2250は、留め具530を開いた形態と閉じた形態との間で作動するのに使用することができる。留め具530は、アクチュエータ部材2290をつまみ2226およびハウジング2246に対して近位に動かすことによって開くことができる。これにより、留め具制御部材537の張力が増大し、留め具530が閉じた形態から開いた形態へ移ることになる。留め具530は、アクチュエータ部材2290をつまみ2226およびハウジング2246に対して遠位に動かすことによって閉じることができる。これにより、留め具制御部材537の張力が減少し、留め具530が開いた形態から閉じた形態へ移ることが可能になる。留め具530は、ピン2298を取り外し、第1の側面部2294または第2の側面部2296を互いに、また、つまみ2226およびハウジング2246に対して動かすことによって、個別に作動することができる。
ハンドル2222が、図150~図151に最もよく示されているように組み立てられると、作動要素または作動手段512は、つまみ2226から、作動チューブ2268を通り、ハウジング2246の作動ルーメン2262、2280を通り、外側シャフト2220の作動ルーメン2238を通り、カプラーまたは結合のための手段2214を通って、遠位に伸長することができる。
次に図153~図160を参照すると、送達アセンブリ2200が、たとえば、補綴スペーサデバイス500を心臓Hの天然の僧帽弁MVに経中隔送達アプローチを用いて移植するために使用されている。図153~図160は、心臓Hに移植されている移植可能な補綴デバイス100を示す、前述の図15~図20と類似しており、また、心臓Hに移植されている移植可能な補綴デバイス500を示す、前述の図35~図46と類似している。図示され、かつ/または説明される方法およびステップは、生きている動物、または、解剖用死体、解剖用死体の心臓、模擬実験装置(たとえば、体の一部、心臓、組織などが模擬される)などの模擬実験で実行できる。
図示されていないが、案内ワイヤを患者の脈管構造(たとえば、大腿静脈)の中に、導入器シースを通して挿入することができる。案内ワイヤは、大腿静脈から、下大静脈を経由して右心房に入り、心房中隔IASを経由して(たとえば、卵円窩を経由して)、左心房LAの中へと前進させることができる。第1のカテーテル2204の第1のシース2216は、図153に示されるように、第1のシース2216の遠位端部が左心房LAに配置されるように、案内ワイヤに被せて前進させることができる。
補綴スペーサデバイス500が第3のカテーテル2208に結合され(たとえば、図145に示されるように)、径方向に圧縮された送達形態として構成されている状態で、補綴スペーサデバイス500は、第2のカテーテル2206の第2のシース2218の遠位端において、第1のシース2216に装填することができる。第1のシース2216は、補綴スペーサデバイス500を送達形態に保持する。他の実施形態では、径方向に圧縮された送達形態は、軸方向に細長い形態(たとえば、図153に示された形態に似ている)とすることができる。いくつかの実施形態では、径方向に圧縮された送達形態は、軸方向に短縮された形態(たとえば、図155に示された形態に類似している)とすることができる。補綴スペーサデバイス500に沿った第2のカテーテル2206と、第3のカテーテル2208と、は、図153に示されるように、シース2218の遠位端部が第1のシース2216の遠位端部から露出し、左心房LAに配置されるように、一緒に第1のカテーテル2404を通して前進させることができる。
図153に示されるように、補綴スペーサデバイス500は、外側シャフト2220、および第3のカテーテル2208の作動要素または作動手段512を第1のシース2216に対して遠位に前進させることによって、および/または第1のシース2216を外側シャフト2220および作動要素または作動手段512に対して引き込むことによって、第1のシース2216から露出させ、それによって、アンカー508のパドル520、522を強制的に第1のシース2216から出すことができる。第1のシース2216から露出させた後、パドル520、522は、第3のカテーテル2208の作動要素または作動手段512を第3のカテーテル2208の外側シャフト2220に対して引き込むことによって、および/または作動要素または作動手段512に対して外側シャフト2220を前進させることによって折りたたみ、それによって、パドル520、522を図153に示された形態から図154に示された形態へ、次いで図155に示された形態へと曲げることができる。こうすることは、たとえば、作動ロック機構2248を解放形態に配置し(たとえば、つまみ2288をハンドル2222に対して反時計回りに回すことによって)、次いでつまみ2226をハウジング2246に対して近位に動かすことによって、達成することができる。別の選択肢は、作動要素または作動のための手段512を能動的に摺動することはできるが、作動要素または作動のための手段がそれ自体では動くことがないという、十分な摩擦を維持するようにロックつまみ2288を設定することである。この手順のどの時点においても、医師は、作動要素または作動手段512と外側シャフト2220との相対位置、したがってパドル520、522の位置を、作動ロック機構2248を作動することによってロックすることができる。
補綴スペーサデバイス500は次に、図155に示されるように、第2のカテーテル2206の第2のシース2218を操作する(すなわち、操縦する、かつ/または曲げる)ことによって、天然の僧帽弁MVに対して同軸に配置することができる。補綴スペーサデバイス500はまた、パドル520、522が僧帽弁MVの天然の弁尖20、22と整列するように、天然の僧帽弁MVに対して回転させることもできる(たとえば、ハウジング2246を回転させることによって)。
補綴スペーサデバイス500のパドル520、522は次に、つまみ2226をハウジング2246に対して遠位に動かすことによって、図156に示された形態へと不完全に開く(すなわち、接合要素510に対して径方向外向きに動かす)ことができる。補綴スペーサデバイス500は次に、天然の僧帽弁MVの弁輪を通して、少なくとも部分的に左心室LVの中へ前進させることができる。補綴スペーサデバイス500は次に、パドル520、522が弁尖20、22の心室部の後ろに(たとえば、A2/P2位置に)配置され、接合要素510が弁尖20、22の心房側に配置されるように、少し引き込まれる。
この形態では、天然の弁尖20、22は、天然の弁尖を留め具530で捕捉することによって、パドル520、522に対して固定することができる。天然の弁尖20、22は、アクチュエータ部材2290を作動することによって同時に、または別々に把持することができる。たとえば、図157は別々の弁尖把持を示す。この把持は、ピン2298をアクチュエータ部材2290から取り外し、第1の側面部2294または第2の側面部2296を互いに、また、つまみ2226およびハウジング2246に対して動かすことによって、達成することができる。第1の側面部2294または第2の側面部2296をつまみ2226およびハウジング2246に対して遠位に動かすと、天然の弁尖20、22に対して留め具530が閉じる(たとえば、図157に示された左側の留め具530によって示されるように)。第1の側面部2294または第2の側面部2296をつまみ2226およびハウジング2246に対して近位に動かすと、留め具530が開く(たとえば、図157に示された右側の留め具530によって示されるように)。留め具530が閉じられた後、医師は、留め具530の位置決めを調整するために留め具530を再び開くことができる。
天然の弁尖20、22の両方が留め具530の中に固定されている状態で、医師は、つまみ2226をハウジング2246に対して近位に動かすことができる。これにより、図158に示されるように、パドル520、522が、したがって天然の弁尖20、22が、径方向内向きに接合要素510へ引っ張られる。このとき医師は、位置決めおよび/または逆流の低減を確認することができる。位置決めまたは取り外しが望ましい場合、医師は、パドル520、522および/または留め具530を再び開くことができる。
所望の位置決めおよび/または逆流の低減が達成された後、医師は、補綴スペーサデバイス500を送達装置2202から解放することができる。留め具530は、留め具制御部材または作動ライン537をロック部材2292から解放することによって、および留め具制御部材または作動ライン537の糸を留め具530の開口535から抜くことによって、送達装置2202から解放することができる。補綴スペーサデバイス500のキャップ514は、作動要素または作動手段512が穴516Bから引っ込むようにつまみ2226をハウジング2246に対して第2の方向に回すことによって、送達装置2202から解放することができる。そうすると作動要素または作動手段512は、つまみ2226をハウジングまたは本体部2254に対して近位に引っ張ることによって、補綴スペーサデバイス500を通して近位に引き込むことができる。補綴スペーサデバイス500の近位カラー511は、作動要素または作動手段512の遠位端部がカプラーまたは結合のための手段2214のハトメ2234から引っ込むように作動要素または作動手段512をカプラーまたは結合のための手段2214に対して近位に引き込むことによって、送達装置2202から解放することができる。これにより、カプラーまたは結合のための手段2214の可撓性アーム2228が、近位カラー511の突起511Aから径方向外向きに動くことが可能になる。そうするとカプラーまたは結合のための手段2214の安定装置部材2230は、ハウジング2246を近位に引っ張ることによって近位カラー511の案内開口511Bから引き抜かれ、それによって、図159に示されるように、補綴スペーサデバイス500を送達装置2202から解放することができる。
次に、第3のカテーテル2208のシャフト512、2220は、第2のカテーテル2206の第2のシース2218の中に近位に引き込むことができ、第2のカテーテル2206の第2のシース2218は、第1のカテーテル2204の第1のシース2216の中に近位に引き込むことができる。次に、カテーテル2204、2206、2208を近位に引き込み、患者の脈管構造から取り出すことができる。
補綴スペーサデバイス500がA2/P2位置に移植された状態で、天然の僧帽弁MVは、図160に示されるように、心室拡張中に二開口を備える。心室収縮中には、天然の弁尖20、22の側面は、補綴スペーサデバイス500の周囲全体に接合して、僧帽弁逆流を防止または低減することができる。
次に図161~図162を参照すると、送達装置2200のハンドル2300の例示的な実施形態が示されている。図161を参照すると、ハンドル2300は、ハウジング2302、作動制御機構2304、留め具制御機構2250、およびフラッシュ機構(図示されていないが、たとえば図150のフラッシュ機構2252参照)を備えることができる。ハウジング2302は、本体2306および先端部2256を含むことができる。ハウジング2302の先端部2256は、外側シャフト2220の近位端部に結合することができる。作動制御機構2304、留め具制御機構2250、およびフラッシュ機構2252は、ハウジング2302の本体2306の近位端に結合することができる。
ハンドル2300は、ハウジング2302に対する作動制御機構2304の第1のつまみ2318の回転の動きにより作動チューブ2268および作動要素または作動手段512の軸方向の動きが生じるようにハンドル2300が構成されていることを除いて、ハンドル2222と同様に構成することができるのに対して、ハンドル2222は、ハウジング2246に対するつまみ2226の軸方向の動きにより、作動チューブ2268および作動要素または作動手段512の軸方向の動きが生じるように構成される。
上述のように、ハウジング2302は、本体2306および先端部2256を含むことができる。図162を参照すると、ハウジング2302の本体2306は、作動ルーメン2308、制御部材ルーメン2310、およびフランジ部2312を備えることができる。フランジ部2312は、本体2306の近位端部から軸方向に、かつ作動ルーメン2308のまわりに環状に伸長することができる。
本体2306のフランジ部2312は、1つまたは複数の周方向溝2314、穴(図示せず)、および案内ピン2316を備えることができる。溝2314は、以下でさらに説明するように、作動制御機構2304と相互作用するように構成することができる。穴は、フランジ部2312の外径から内径まで径方向内向きに伸長することができ、また案内ピン2316を受け入れるように構成することができる。案内ピン2316は、穴の中に部分的に配置することができ、また案内ピン2316が作動ルーメン2308の中に付き出るように穴から径方向内向きに伸長することができる。
さらに図162を参照すると、作動制御機構2304は、第1のつまみ2318、取り付けピン2320、駆動ねじ2322、コレット2324、および第2のつまみ2326を備えることができる。第1のつまみ2318は、遠位端部2328および近位端部2330を有することができる。第1のつまみ2318は、遠位端部2328の内径が近位端部2330の内径よりも相対的に大きくなるように構成することができる。遠位端部2328は、遠位端部2328の外径から内径まで径方向内向きに伸長する開口2332を備えることができる。
再び図161を参照すると、遠位端部2328の内径は、第1のつまみ2318の遠位端部2328が本体2306のフランジ部2312を覆って伸長することができるように構成することができる。開口2332(図162)は、第1のつまみ2318がフランジ2312を覆って配置されたときに、軸方向に溝2314と整列するように構成することができる。取り付けピン2320は、第1のつまみ2318の開口2332を通り抜けてフランジ2313の溝2314の中へ伸長するように構成することができる。この方法では、取り付けピン2320により、第1のつまみ2318とフランジ2312との間の相対的な回転の動きが可能になり、相対的な軸方向の動きが阻止される。
第1のつまみ2318の近位端部2330の内径には、駆動ねじ2322の対応する雄ねじ2334と係合するように構成された雌ねじ(図示せず)を有することができる。図162に示されるように、駆動ねじ2322は、雄ねじ2334全体にわたって軸方向に伸長するスロット2336を有することができる。スロット2336は、フランジ部2312の案内ピン2316を受け入れるように構成することができる。そのため、ハンドル2300が組み立てられ(図161)、第1のつまみ2318がフランジ2312に対して回されたときに、案内ピン2316により、駆動ねじ2322が第1のつまみ2318と一緒に回転することが阻止され、駆動ねじ2322は第1のつまみ2318およびフランジ2312に対して軸方向に動くことになる。このようにして、第1のつまみ2318を第1の方向(たとえば、時計回り)に回すと、駆動ねじが本体部2306に対して遠位に動き、第1のつまみ2318を第2の方向(たとえば、反時計回り)に回すと、駆動ねじが本体部2306に対して近位に動く。
駆動ねじ2322はまた、図162に示されるように、ルーメン2338を有することもできる。ルーメン2338は、作動チューブ2268が駆動ねじ2322を通り抜けて伸長することができるように構成することができる。ルーメン2338は、コレット2324の遠位端部2340もまたルーメン2338の近位端部に挿入することができる。
第2のつまみ2326は、第1の、遠位の部分2342および第2の、近位の部分2344を備えることができる。第1の部分2342は、駆動ねじ2322の雄ねじ2334に対応する雌ねじ(図示せず)を含むことができる。第2の部分2344は、コレット2324の近位端部2346と係合するように構成された円錐形の内面を備えることができる。
組み立てられたとき(図161)、作動チューブ2268は、駆動ねじ2322のルーメン2338を通り抜け、コレット2324を通り抜け、第2のつまみ2326を通り抜けて伸長することができる。第2のつまみ2326は、コレット2324に被せて配置することができ、第2のつまみの第1の部分2342の雌ねじは、駆動ねじ2322の雄ねじ2334とねじ係合することができる。したがって、第2のつまみ2326を駆動ねじ2322に対して第1の方向(たとえば、時計回り)に回すことにより、第2のつまみ2326の第2の部分2344は、コレット2324の近位端部2346に向かって動くことになり、したがって、コレット2324を径方向内側に作動チューブ2268に対して付勢する。その結果、作動チューブ2268および駆動ねじ2322は、第1のつまみ2318が本体部2306に対して回されると、軸方向に一緒に動く。第2のつまみ2326を駆動ねじ2322に対して第2の方向(たとえば、反時計回り)に回すことにより、第2のつまみ2326の第2の部分2344は、コレット2324の近位端部2346から遠くへ動くことになり、したがって、コレット2324が作動チューブ2268に対して径方向外側に動くことが可能になる。その結果、作動チューブ2268および駆動ねじ2322は、互いに対して動くことができる。
補綴スペーサデバイス500が送達装置2202の作動要素または作動手段512および外側シャフト2220に結合されている状態で、医師は、ハンドル2300の作動制御機構2304を使用して、補綴スペーサデバイス500のパドル520、522を補綴スペーサデバイス500のスペーサ部材202に対して操作することができる。作動制御機構2304は、第2のつまみ2326を駆動ねじ2322に対して第1の方向に回して、作動チューブ2268を、したがって作動要素または作動手段512を駆動ねじ2322に固定することによって、作動させることができる。そうすると医師は、第1のつまみ2318をハウジング2302に対して回すことができ、これにより、駆動ねじ2322が、したがって作動チューブ2268および作動要素または作動手段512がハウジング2302に対して、したがって外側シャフト2220に対して軸方向に動く。これにより、ひいては、パドル520、522(キャップ514を介して作動要素または作動手段512に結合されている)が、接合要素510(カプラーまたは結合のための手段2214および近位カラー511を介して外側シャフト2220に結合されている)に対して動くことになる。
補綴スペーサデバイス500は、第2のつまみ2326を駆動ねじ2322に対して第2の方向に回すことによって、送達装置2202から解放することができる。これにより、作動チューブ2268を、したがって作動要素または作動手段512を駆動ねじ2322に対して動かすことが可能になる。そうすると送達装置2202のシャフト512、2220は、上述のように、補綴スペーサデバイス500のそれぞれのカラーから取り出すことができる。
作動制御機構2304を備えた送達装置を構成することにより、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、ハンドル2300の第1のつまみ2318を作動するために必要な回す力は、ハンドル2300のつまみ2226を作動するために必要な軸方向の力よりも小さくすることができる。
作動制御機構2304はまた、パドル520、522の相対的により精密な制御を行うこともできる。その理由は、作動要素または作動手段512の軸方向の動きは、つまみ2226の軸方向の動きによってではなく、第1のつまみ2318の回転、および駆動ねじ2322のねじピッチによって制御されるからである。言い換えると、作動制御機構2304は、たとえば、第1のつまみ2318の1回転で作動要素または作動手段512が小さい軸方向の距離(たとえば、1mm)を動くように構成できるのに対し、つまみ2226を、したがってシャフト512を小さい刻み(たとえば、1mm)で軸方向に動かすことは比較的困難である。
加えて、作動制御機構2304は、不注意で作動要素または作動手段512を動かすこと、および解放することを防止または低減することができる。たとえば、作動制御機構2304は、作動要素または作動手段512を動かすのに第1のつまみ2318を回す動きが必要であるので、つまみ2226に不注意で触れた場合に作動要素または作動手段512が動くことを防止する、またはその可能性を低減させることができる。また、医師は、つまみ2226を回して作動要素または作動手段512を補綴スペーサデバイス500のキャップ514から解放し、作動要素または作動手段512を近位に引き込むことができるようになる前に、第2のつまみ2326を回して作動チューブ2268を駆動ねじ2322から解放しなければならない。この2段階解放手順により、医師が補綴スペーサデバイス500を送達装置2202から不注意で解放する可能性を低減することができる。
図163~図164は、カプラー2400および近位カラー2402の例示的な実施形態を示す。図示されていないが、カプラー2400は、カプラーまたは結合のための手段2214と同様に外側シャフト2220(図149)の遠位端部に結合することができる。図示のように、近位カラー2402は、近位カラー511(図146)と同様に接合要素510の近位端部に結合することができる。そのため、カプラー2400および近位カラー2402はそれぞれ、たとえば、送達アセンブリ2200のカプラーまたは結合のための手段2214および近位カラー514の代わりに使用して、補綴スペーサデバイス500を外側シャフト2220(図149)に解放可能に結合することができる。
図164を参照すると、カプラー2400は、軸方向に伸長するルーメン2404と、複数の径方向に伸長する開口2406と、を備えることができる。ルーメン2404は、作動要素または作動手段512(図163)を受け入れるように構成することができる。開口2406は、以下でさらに説明するように、近位カラー2402を受け入れるように構成することができる。
近位カラー2402は、複数の近位に伸長するタブすなわちフィンガー2408を備えることができる。フィンガー2408の自由端部2410は、その上に形成された、径方向に伸長する突起2412を有することができる。フィンガー2408は、第1の状態すなわち静止状態(図164)と第2の状態すなわち偏向状態(図163)との間で移動または旋回するように構成することができる。第1の状態では、フィンガー2408の自由端部2410は、径方向内向きに互いに押す。第2の状態では、フィンガー2408の自由端部2410は、互いに径方向に間隔があけられている。
図163を参照すると、カプラー2400および近位カラー2402は、近位カラー2402のフィンガー2408をカプラー2400の中に配置することによって、解放可能に結合される。次に、作動要素または作動手段512は、カプラー2400のルーメン2404を通して、また近位カラー2402のフィンガー2408を通して前進させることができ、それによって、フィンガー2408の自由端2410が、第1の状態から第2の状態へと径方向外向きに移動または旋回することになる。フィンガー2408の突起2412およびカプラー2400の開口2406は、突起2412が開口2406の中へ伸長するように回転可能に整列させることができ、それによってカプラー2400が近位カラー2402に解放可能に結合する。カプラー2400は、作動要素または作動手段512を近位カラー2402のフィンガー2408から引き込むことによって、近位カラー2402から解放することができる。これにより、フィンガー2408の自由端部2410が第2の状態から元の第1の状態へと移動または旋回することが可能になり、フィンガー2408の突起2412がカプラー2400の開口2406から引っ込み、それによって、カプラー2400が近位カラー2402から解放される。
いくつかの実施形態では、近位カラー2402のフィンガー2408は、フィンガー2408が第1の状態にあるときに止血封止部を作るように構成することができる。この止血封止部は、補綴スペーサデバイス500が患者に移植されたときに、近位カラー2402から血液が流れ出ることを防止または低減することができる。
図165~図166は、キャップ2500、作動要素または作動手段2502(たとえば、作動シャフトなど)、および解放部材(たとえば、ワイヤ)2504の例示的な実施形態を示し、これらは、たとえば送達アセンブリ2200と共に使用することができる。図示されていないが、キャップ2500は、補綴スペーサデバイス500の遠位部に結合することができる。作動要素または作動手段2502の近位部(図示せず)は、作動チューブ2268およびつまみ2226に結合することができる。近位端部から、作動要素または作動手段2502はハンドル2222(図150)を通り抜け、外側シャフト2220(図150)を通り抜けて、補綴スペーサデバイス500(図145)の中へと遠位に伸長することができる。作動要素または作動手段2502の遠位端部は、補綴スペーサデバイス500のキャップ2500に解放可能に結合することができる。そのため、キャップ2500および作動要素または作動手段2502は、たとえば、それぞれ送達アセンブリ2200のキャップ514および作動要素または作動手段512の代わりに使用することができる。
図166を参照すると、キャップ2500は、中心穴2506と、キャップ2500の側面2510に形成(たとえば、レーザカット)された舌部すなわちタブ2508と、を備えることができる。舌部2508には、開口2512が形成(たとえば、レーザカット)されていてよい。中心穴2506は、作動要素または作動手段2502の遠位端部を受け入れるように構成することができる。舌部2508は、第1の形態すなわち静止形態(図166)から第2の形態すなわち偏向形態(図165)へと、キャップ2500の側面2510に対して移動可能または旋回可能とすることができる。第1の形態では、舌部2508は側面2510と同一平面上にあってよい。第2の形態では、舌部2508は、中心穴2506の中へ突き出るように側面2510に対して径方向内向きに伸長することができる。
舌部2508は、たとえば、図165および図166に示されるように、キャップ2500を作動要素または作動手段2502に解放可能に結合するために使用することができる。たとえば、作動要素または作動手段2502は、キャップ2500の中心穴2506に挿入することができる。次に舌部2508を、舌部2508が作動要素または作動手段2502を押すように、第1の形態から第2の形態へと径方向内向きに押すことができる。次に解放部材2504を、解放部材2504の遠位端部2514が舌部2508の開口2512を通り抜けて伸長するように、遠位に前進させることができる。したがって、解放部材2504は、第2の形態において舌部2508を作動要素または作動手段2502に当てて保持し、それによって、キャップ2500が作動要素または作動手段2502に解放可能に結合される。
キャップ2500は、解放部材2504の遠位端部2514が舌部2508の開口2512から引っ込むように解放部材2504を近位に引き込むことによって、作動要素または作動手段2502から解放することができる。これにより、舌部が第2の状態から元の第1の状態へ径方向外向きに動き、それによって、キャップ2500を作動要素または作動手段2502から解放することが可能になる。
この形態は、いくつかの利点をもたらすことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、キャップ2500および作動要素または作動手段2502をねじ山なしで形成することができる。ねじ山を取り除くと、キャップ2500および作動要素または作動手段2502の製造が容易になり、かつ/または低コストになる。作動要素または作動手段2502からねじ山を取り除くとまた、作動要素または作動手段2502が送達アセンブリ2200の他の構成要素を捕捉したり引っかけたりする可能性を低減することもできる。
図167~図168は、カプラー2600、近位カラー2602、キャップ2604、および作動要素または作動手段2606(たとえば、作動シャフトなど)の例示的な実施形態を示し、これらは、たとえば送達アセンブリ2200と共に使用することができる。図167を参照すると、カプラー2600は、外側シャフト2220の遠位端部に結合することができる。近位カラー2602は、補綴スペーサデバイス500(概略的に部分断面で図示)の近位部に結合することができ、キャップ2604は、補綴スペーサデバイス500の遠位部に結合することができる。作動要素または作動手段2606の近位部(図示せず)は、作動チューブ2268およびつまみ2226に結合することができる。近位端部から、作動要素または作動手段2606はハンドル2222(図150)を通り抜け、外側シャフト2220(図150)を通り抜けて、補綴スペーサデバイス500(図145)の中へと遠位に伸長することができる。作動要素または作動手段2606の遠位端部は、補綴スペーサデバイス500のキャップ2604に解放可能に結合することができる。そのため、カプラー2600、近位カラー2606、キャップ2604、および作動要素または作動手段2606は、たとえば、それぞれカプラーまたは結合のための手段2214、近位カラー511、キャップ514、および送達アセンブリ2200の作動要素または作動手段512の代わりに使用することができる。
図168を参照すると、カプラー2600は、連結部2608、複数のピン2610(たとえば、図示の実施形態では3つ)、および1つまたは複数の固定部材2612(たとえば、図示の実施形態では3つ)を備えることができる。ピン2610および固定部材は連結部2600に結合され、そこから遠位に伸長することができる。
連結部2608は、作動要素または作動手段2606を摺動可能に受け入れるように構成された、軸方向に伸長するルーメン2614を有することができる。いくつかの実施形態では、連結部2608はまた、図167に示されるように、外側シャフト2220の遠位端部に挿入するように構成された、引っ込み外向き面2615を有することもできる。
図168に最もよく示されるように、ピン2610は、周方向に互いに、かつ固定部材2612に対して間隔をあけることができる。固定部材2612は、周方向に互いに間隔をあけることができる。いくつかの実施形態では、ピン2610および固定部材2612は、連結部2608上に、交代型のパターン(たとえば、ピン-固定部材-ピンなど)で構成することができる。
図167を参照すると、ピン2610は、近位カラー2602の開口2616の中へ伸長するように構成することができる。いくつかの実施形態では、固定部材2612は、糸ループとすることができる。固定部材2612は、近位カラー2602の開口2616を通り抜けて、作動要素または作動手段2606のまわりに伸長するように構成することができる。図を分かりやすくするために、作動要素または作動手段2606のまわりに伸長する固定部材2612が1つだけ、図167に示されている。
再び図168を参照すると、開口2616に加えて、近位カラー2602は、開口2616の径方向内側に配置された中心ルーメン2618を備えることができる。中心ルーメン2618は軸方向に伸長することができ、図167に示されるように、作動要素または作動手段2606を摺動可能に受け入れるように構成することができる。
キャップ2604は、図167に示されるように、作動要素または作動手段2606が摺動可能にキャップ2604を通り抜けて伸長することができるように、スリーブ状に構成することができる。
作動要素または作動手段2606は、作動要素または作動手段2606の遠位端部2622に、またはその近くに配置された、径方向膨張可能部2620を備えることができる。径方向膨張可能部2620は、圧縮形態から膨張形態へ選択的に膨張可能になるように構成することができる。径方向膨張可能部2620は、径方向膨張可能部2620が圧縮形態のとき、径方向膨張可能部2620の外径がキャップ2604の内径、近位カラー2602の中心ルーメン2618およびカプラー2600のルーメン2614よりも小さくなるように構成することができる。径方向膨張可能部2620が膨張形態のとき、径方向膨張可能部2620の外径は、キャップ2604の内径よりも大きくなる。したがって、膨張形態では、径方向膨張可能部2620は、遠位端部2622がキャップ2604に対して近位に動くことを阻止することができる。
図167に示されるように、補綴スペーサデバイス500は、ピン2610および固定部材2612を近位カラー2602にそれぞれの開口2616から挿入することによって、外側シャフト2220および作動要素または作動手段2606に解放可能に結合することができる。径方向膨張可能部2620が圧縮形態の状態では、作動要素または作動手段2606は、径方向膨張可能部2620がキャップ2604に対して遠位に配置されるように、カプラー2600のルーメン2614を通り抜け、近位カラー2602のルーメン2618および固定部材2612を通り抜け、キャップ2604を通り抜けて、遠位に前進させることができる。次に、作動要素または作動手段2606の径方向膨張可能部2620は、圧縮形態から膨張形態へと膨張させ、それによって、補綴スペーサデバイス500を外側シャフト2220および作動要素または作動手段2606に解放可能に結合することができる。
補綴スペーサデバイス500は、作動要素または作動手段2606の径方向膨張可能部2620を圧縮し、作動要素または作動手段2606をキャップ2604から、また近位カラー2602の固定部材2612およびルーメン2618から近位に引き込むことによって、外側シャフト2220および作動要素または作動手段2606から解放することができる。次に、外側シャフト2220は、ピン2610および固定部材2612が近位カラー2602の開口2616から引っ込むように、補綴スペーサデバイス500に対して近位に引き込まれ、それによって、補綴スペーサデバイス500を外側シャフト2220および作動要素または作動手段2606から解放することができる。
図169~図170は、留め具制御部材の例示的な実施形態を示し、この留め具制御部材は、送達アセンブリ2200の留め具制御部材537の代わりに使用することができる。図170を参照すると、留め具制御部材2700は、スリーブ2702、連結部材2704、および解放部材2706を備えることができる。連結部材2704および解放部材2706は、スリーブ2702を通って軸方向に伸長することができ、またスリーブ2702に対して可動とすることができる。
スリーブ2702の近位端部(図示せず)は、制御部材チューブ2270に結合することができ、スリーブ2708の遠位端部は、以下でさらに説明するように、連結部材2704および解放部材2706によって、補綴スペーサデバイス500の留め具530に解放可能に結合することができる。
連結部材2704は、たとえば、送達装置2202の留め具制御部材2250から、制御部材チューブ2270を通り抜け、スリーブ2702を通り抜け、留め具530の開口535を通り抜けて遠位に伸長する、糸ループとすることができる。連結部材2704は、解放部材2706によって補綴スペーサデバイス500の留め具530に解放可能に結合することができる。
解放部材2706は、たとえば、送達装置2202の留め具制御機構2250から、制御部材チューブ2270を通り抜け、スリーブ2702を通り抜け、連結部材2704のループを通り抜けて遠位に伸長するワイヤとすることができる。このようにして、解放部材2706は、連結部材2704が留め具530の開口535から引っ込むことを阻止することによって、連結部材2704を、したがってスリーブ2702を留め具530に解放可能に結合することができる。連結部材2704は、解放部材2706を連結部材2704のループから引き抜くこと、および連結部材2704を留め具530の開口535から引き抜くことによって、留め具530から解放することができる。
スリーブ2702が、連結部材2704および解放部材2706によって補綴スペーサデバイス500の留め具530に解放可能に結合された状態で、留め具530は、スリーブ2702を外側シャフト2220および作動要素または作動手段512に対して軸方向に動かすことによって、作動することができる(一緒に、または別々に)。この作動は、たとえば、制御チューブ2268を介してスリーブ2702に結合されているアクチュエータ部材2290をハウジング2246および作動チューブ2268に対して動かすことによって達成することができる。アクチュエータ部材2290をハウジング2246および作動チューブ2268に対して近位に動かすと、留め具530を開くことができ、またアクチュエータ部材2290をハウジング2246および作動チューブ2268に対して遠位に動かすと、留め具530を閉じることができる。
スリーブ2702は比較的剛性であるので(たとえば、留め具制御部材537と比較して)、スリーブ2702は、留め具530を押して閉じるために使用することができる(閉状態に留め具530を付勢することの代わりに、またはそれに加えて)。このように押すことができると、天然の弁尖が留め具530の中に把持され、したがってパドル520、522に固定されることを確実にする助けになり得る。
図171は、案内レールまたは案内のための手段2800の例示的な実施形態を示す。案内レールまたは案内のための手段2800は、たとえば、補綴スペーサデバイス500の留め具530に結合することができる。いくつかの実施形態では、留め具制御部材2700は、図170に関して上述したのと同様に、スネアのようにして案内レールまたは案内のための手段2800に解放可能に結合することができる。
留め具制御部材2700を、直接に留め具530にではなく案内レールまたは案内のための手段2800に結合することにより、留め具530が開形態と閉形態との間で動くときに、留め具制御部材2700が案内レールまたは案内のための手段2800に沿って長手方向に摺動することが可能になる。このように摺動することにより、留め具530が作動されるときに、留め具制御部材2700がパドル520、522に対して比較的一定の角度を維持することが可能になる。たとえば、留め具制御部材2700は、留め具530が引っ張られて開くときに、案内レールまたは案内のための手段2800の第1の摺動部2802に向かって外向きに摺動することができ、また留め具制御部材2700は、留め具530が押されて閉じるときに、案内レールまたは案内のための手段2800の第2の摺動部2804に向かって内向きに摺動することができる。したがって、これにより、留め具制御部材2700を作動するために必要な力を低減することができる。たとえば、スリーブ2702は、留め具530の可動部がその完全な円弧の動きによってスイングするときに、実質的によりまっすぐのままであることができる。これは、案内レールまたは案内のための手段2800上で摺動する動きによる。摺動すること、および実質的にまっすぐのままであることによって、スリーブの曲がる程度が制限される。
図172は、シャフト2900の例示的な実施形態を示す。シャフト2900は、たとえば、第3のカテーテルの外側シャフト2220の代わりに、送達装置500と共に使用することができる。シャフト2900は、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2902(たとえば、作動シャフトルーメン、作動チューブなど)と、作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2902から径方向外側に配置された複数の制御部材ルーメン2904(たとえば、図示の実施形態では4つ)と、を含む、軸方向に伸長する複数のルーメンを備えることができる。制御部材ルーメン2904は、互いに間隔をあけることができ、また作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2902のまわりに周方向に均等に分布させることができる。たとえば、制御部材ルーメン2904のそれぞれは、隣接する制御部材ルーメン2904から約90度に置くことができる。
作動要素ルーメンまたは作動手段ルーメン2902は、作動要素または作動手段512を受け入れるように構成することができ、制御部材ルーメン2904は、留め具制御部材または作動ライン537を受け入れるように構成することができる。ルーメン2902、2904はまた、作動要素または作動手段512および留め具制御部材/ライン537をそれぞれルーメン2902、2904に対して可動にできるように(たとえば、軸方向に、および/または回転可能に)構成することもできる。特定の実施形態では、ルーメン2902、2904は、それぞれルーメン2902と作動要素または作動手段512との間、およびルーメン2904と留め具制御部材/ライン537との間の摩擦を低減するように構成された、ライナーまたはコーティング(たとえば、PTFE、ポリマー、ヒドロゲルなど)を備えることができる。
シャフト2900は、金属およびポリマーを含む、様々な材料から形成することができる。たとえば、1つの特定の実施形態では、シャフト2900は第1の部分2906、第2の部分2908、および第3の部分2910を備えることができる。第1の部分2906は径方向に最も外側の部分とすることができ、第3の部分2910は径方向に最も内側の部分とすることができ、第2の部分2908は、径方向において第1の部分2906と第3の部分2910との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、第1の部分2906および第3の部分2910はポリマー材料(たとえば、PEBAXまたは他の、55DのD型ショアデュロメータ値を有する材料)から形成することができ、第2の部分2908は、金属材料(たとえば、編組ステンレス鋼)から形成することができる。
このようにしてシャフト2900を構成すると、たとえば、シャフト2900の遠位端部の制御をさらに改善することができる。たとえば、この構成により、シャフト2900が近位端部で回されたとき(たとえば、ハンドル2222のハウジング2246を回すことによって)、シャフト2900の遠位端部における「むち打ち」(たとえば、急な、または突然の動き)を防止または低減することができる。そのため、医師が補綴スペーサデバイスを回転させて補綴スペーサデバイスのアンカーを天然の弁尖と整列させるときなどの移植処置の間、医師は、シャフト2900の遠位端部をより精密に制御することができ、したがって、補綴スペーサデバイス(たとえば、スペーサデバイス500)をより精密に制御することができる。
いくつかの実施形態では、ハンドル2222のハウジング2246は、制御部材ルーメン2904に結合されている4つの制御部材ルーメン2264、2282(すなわち、それぞれが4つ)を備えることができることに留意されたい。そのため、留め具制御部材またはライン537のそれぞれの部分は、別々のルーメンの中で、ハンドル2222の留め具制御機構2250から補綴スペーサデバイス500まで遠位に伸長することができる。
図173を参照すると、作動要素512は中空とすることができ、それにより、係留ラインすなわち係留糸3000を作動要素512に通してデバイス500まで伸長させることができる。作動要素512はデバイス500を通り抜けて伸長し、キャップ514に取り付けられる。係留ライン3000を送達アセンブリ2200のカプラーに対して引き込み方向Xに引き込むと、係留ライン3000の長さが低減し、それによって、送達アセンブリ2200のカプラーは、デバイス500に向かって再捕捉方向Yに動く。
再び図173を参照すると、デバイス500は、天然の弁に送達および移植された後のように閉状態で示されている。デバイス500が移植された後、送達アセンブリ2200のカプラーは開かれ、デバイスから再捕捉方向Xに移動され、それにより、何らかの調整が望ましいことがあるかどうかを見るためにデバイス500の動作を監視することができる。デバイス500にさらなる調整が望ましい場合、係留ライン3000が引き込み方向Xに引き込まれ、それにより、送達アセンブリ2200のカプラーがデバイス500に向かって再捕捉方向Yに移動する。
次に図174を参照すると、送達アセンブリ2200のカプラーは、デバイス500を再捕捉するのに適している位置にまで移動している。所定の位置になると、各可動アーム2228の作動ライン3002は、作動方向Aに引き込まれて、可動アーム2228が、デバイス500の近位カラー511のまわり近くへ、閉じる方向Bに移動する。いくつかの実施形態では、係留ライン3000は、天然の弁が開閉するときに動き回ることがあるデバイス500の再捕捉を助けるために、作動ライン3002と同時に調整される。
次に図175を参照すると、可動アーム2228は、近位カラー511のまわりに閉じられている。次に作動要素512が遠位方向Cに、可動アーム2228の固定部2234を通して、係留ライン3000に沿ってデバイス500の中に入れられる。デバイス500を再捕捉および固定するために、作動要素512のねじ付き端部512Bが、図176に示されたキャップ514のねじ付きレセプタクル516Bにねじ付けされる。
図174Aおよび図175Aは、送達アセンブリ2200のカプラーをデバイス500のカラー511に再結合するために使用できる機構の例を示す。図174Aおよび図175Aの例では、作動要素512は中空とすることができ、それにより、係留ラインすなわち係留糸3000は、作動要素512に通してデバイス500まで伸長させることができる。図174および図175で示された実施形態のように、係留ライン3000を引き込み方向Xに引き込むと、送達アセンブリ2200のカプラーがデバイス500に向かって再捕捉方向Yに移動する。
次に図174Aおよび図175Aを参照すると、送達アセンブリ2200のカプラーは、デバイス500を再捕捉するのに適している位置にまで移動されている。所定の位置になると、可動アーム2228のまわりに嵌合する閉スリーブ3003が送達アセンブリ2200のカプラーの上で閉方向Cに進められて、可動アーム2228を内向きに、デバイス500の近位カラー511のまわりで閉方向Dに押す。いくつかの実施形態では、係留ライン3000は、天然の弁が開閉するときに動き回ることがあるデバイス500の再捕捉を助けるために、閉スリーブ3003と同時に調整される。
次に図175Aを参照すると、可動アーム2228は、近位カラー511を囲んで閉じられている。次に作動要素512が遠位方向Eに、係留ライン3000に沿ってデバイス500の中に入れられる。デバイス500を再捕捉および固定するために、作動要素512のねじ付き端部512Bが、図176に示されたキャップ514のねじ付きレセプタクル516Bにねじ付けされる。
次に図177~図178を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス3100が示されている。デバイス3100は、移植可能な補綴デバイス3110およびカプラー3120を含む。作動要素または作動手段すなわちワイヤ3130は、カプラー3120を通り抜けてデバイス3110まで伸長して、デバイス3110を開閉することができる。デバイス3110は、本出願に記載された例示的な移植可能な補綴デバイスと類似しており、開口3114と径方向に配置されたアパーチャ3116とを有する近位カラー3112を含む。カプラー3120は、開位置と閉位置との間で動くことができる可動アームすなわち可動フィンガー3122を有する。可動アーム3122は、デバイス3110の近位カラー3112のアパーチャ3116に係合するように構成された突起3124を含む。可動アーム3122は内向きに付勢されており、そのため、作動要素または作動手段3130を遠位方向Yに、カプラー3120に通して可動アーム3122の間で動かすと、可動アーム3122が外向きに広がり、その結果、突起3124はアパーチャ3116に係合する。図示の実施形態では、突起3124とアパーチャ3116との係合を容易にするために、突起3124およびアパーチャ3116にテーパが付いている。作動要素または作動手段3130を引き込み方向Xに動かすことにより、可動アーム3122が内向きに動き、その結果、突起3124がアパーチャ3116と係合解除することが可能になる。このようにしてデバイス3110は、カプラー3120によって解放および再捕捉することができる。
次に図179~図181を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス3200が示されている。デバイス3200は、移植可能な補綴デバイス3210およびカプラー3220を含む。作動要素または作動手段すなわちワイヤ3230は、カプラー3220を通り抜けてデバイス3210まで伸長して、デバイス3210を開閉することができる。デバイス3210は、本出願に記載された例示的な移植可能な補綴デバイスと類似しており、開口3214および径方向に配置されたアパーチャ3216を有する近位カラー3212を含む。
カプラー3220は、開位置と閉位置との間で動くことができる可動アームすなわち可動フィンガー3222を有する。可動アーム3222は、デバイス3210の近位カラー3212のアパーチャ3216に係合するように構成された突起3224を含む。可動アーム3222は内向きに付勢されており、そのため、作動要素または作動手段3230を遠位方向Yに、カプラー3220に通して可動アーム3222の間で動かすと、可動アーム3222が外向きに広がり、その結果、突起3224はアパーチャ3216に係合する。作動要素または作動手段3230を引き込み方向Xに動かすことにより、可動アーム3222が内向きに動き、その結果、突起3224がアパーチャ3216と係合解除することが可能になる。このようにしてデバイス3210は、カプラー3220によって解放および再捕捉することができる。
作動要素3230(たとえば、作動ワイヤ、シャフト、チューブなど)は中空とすることができ、それにより、係留ラインすなわち係留糸3232は、作動要素3230に通してデバイス500まで伸長させることができる。作動要素3230は、デバイス3210の開口3214を通り抜けて伸長し、固定部3218に取り付けられる。係留ライン3232を引き込み方向X(図180)に引き込むと、係留ライン3232の長さが低減し、それによって、カプラー3220は、可動アーム3222が図180に示されるようにデバイス3210の開口3214に挿入されるように、デバイス3210に向かって動く。
次に図181を参照すると、カプラー3220がデバイス3210を再捕捉する位置まで移動された後に、作動要素3230は遠位方向に移動されて、カプラー3220がデバイス3210に再結合する。作動要素3230は可動アーム3222に係合し、それによって、突起3224は、外向きの方向Aに動いてデバイス3210のアパーチャ3216に係合する。図示の実施形態では、突起3224とアパーチャ3216との係合を容易にするために、突起3224およびアパーチャ3216にテーパが付いている。いくつかの実施形態では、係留ライン3232は、作動ラインの緩みを取り除き、カプラー3220とデバイス3210との間の係合を維持するために、作動要素または作動手段3230が伸長されると同時に調整される。
次に図182~図183を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス3300が示されている。デバイス3300は、移植可能な補綴デバイス3310およびカプラー3320を含む。作動要素または作動手段すなわちワイヤ3330は、カプラー3320を通り抜けてデバイス3310まで伸長して、デバイス3310を開閉することができる。デバイス3310は、本出願に記載された例示的な移植可能な補綴デバイスと類似しており、開口3314と径方向に配置されたアパーチャ3316とを有する近位カラー3312を含む。
カプラー3320は、開位置と閉位置との間で動くことができる可動アームすなわち可動フィンガー3322を有する。可動アーム3322は、デバイス3310の近位カラー3312のアパーチャ3316に係合するように構成された遠位の突起3324を含む。可動アーム3322はまた、作動要素または作動手段3330を受け入れるように構成されたアパーチャ3328を有する、内部突起3326を含む。閉状態では、内部アパーチャ3328は、作動要素または作動手段3330からオフセットされている。作動要素または作動手段3330は、オフセットされたアパーチャ3328に係合するために、テーパ付き端部3332を有する。連続するアパーチャ3328が作動要素または作動手段3330のテーパ付き端部3332に係合されると、可動アーム3322は外向きに動いて開口3314に係合する。
可動アーム3322は内向きに付勢されており、そのため、作動要素または作動手段3330を遠位方向Yに、カプラー3320に通して可動アーム3322の間で動かすと、可動アーム3322が外向きに広がり、その結果、突起3324はアパーチャ3316に係合する。作動要素または作動手段3330を引き込み方向Xに動かすことにより、可動アーム3322が内向きに動き、その結果、突起3324がアパーチャ3316と係合解除することが可能になる。このようにしてデバイス3310は、カプラー3320によって解放および再捕捉することができる。いくつかの実施形態では、補綴デバイス3300はデバイス3200と類似しており、デバイス3300が再捕捉されることを可能にする係留ライン(図示せず)を含む。
次に図184~図185を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス3400が示されている。デバイス3400は、移植可能な補綴デバイス3410およびカプラー3420を含む。作動要素または作動手段すなわちワイヤ3430は、カプラー3420を通り抜けてデバイス3410まで伸長して、デバイス3410を開閉することができる。デバイス3410は、本出願に記載された例示的な移植可能な補綴デバイスと類似しており、開口3414と径方向に配置されたアパーチャ3416とを有する近位カラー3412を含む。
カプラー3420は、開位置と閉位置との間で動くことができる可動アームすなわち可動フィンガー3422を有する。可動アーム3422は、デバイス3410の近位カラー3412のアパーチャ3416に係合するように構成された遠位の突起3424を含む。可動アーム3422はまた、作動要素または作動手段3430を受け入れるように構成されたアパーチャ3428を有する、内部突起3426を含む。閉状態では、内部アパーチャ3428は、作動要素または作動手段3430からオフセットされている。作動要素または作動手段3430は、オフセットされたアパーチャ3428に係合するために、テーパ付き端部3432を有する。連続するアパーチャ3428が作動要素または作動手段3430のテーパ付き端部3432に係合されると、可動アーム3422は内向きに動いて開口3414に係合する。
可動アーム3422は外向きに付勢されており、そのため、作動要素または作動手段3430を遠位方向Yに、カプラー3420に通して可動アーム3422の間で動かすと、可動アーム3422が内向きに引き込まれ、その結果、突起3424はアパーチャ3416に係合する。作動要素または作動手段3430を引き込み方向Xに動かすことにより、可動アーム3422が外向きに広がり、その結果、突起3424がアパーチャ3416と係合解除することが可能になる。このようにしてデバイス3410は、カプラー3420によって解放および再捕捉することができる。いくつかの実施形態では、補綴デバイス3400はデバイス3200と類似しており、デバイス3400が再捕捉されることを可能にする係留ライン(図示せず)を含む。
図186を参照すると、移植可能な補綴デバイスを配置および作動するための作動要素または作動手段3500が示されている。作動要素または作動手段3500は、保持シャフト3530に被さって嵌まる中空位置決めシャフト3510および中空のデバイスシャフト3520を含み、この保持シャフトは、中空位置決めシャフト3510およびデバイスシャフト3520を連結部3502において一緒に保持する。中空位置決めシャフト3510は送達デバイス3504から伸長し、デバイスシャフト3520に結合すると、移植可能なデバイス3506が移植に適している場所に配置されることを可能にする。中空位置決めシャフト3510とデバイスシャフト3520との間の連結部3502の場所は、移植可能なデバイス内の多種多様な異なる位置とすることができる。たとえば、連結部3502は、デバイスの近位部にあり得るかデバイスの遠位部にあり得る。
中空位置決めシャフト3510は、突出部3512および窪んだ受け入れ部3514を含むことができる。デバイスシャフト3520もまた、突出部3522および窪んだ受け入れ部3524を含むことができる。中空位置決めシャフト3510とデバイスシャフト3520とが結合されるとき、中空位置決めシャフト3510の突出部3512は、デバイスシャフト3520の受け入れ部3524に受け入れられ、デバイスシャフト3520の突出部3522は、中空位置決めシャフト3510の受け入れ部3514に受け入れられる。
中空位置決めシャフト3510およびデバイスシャフト3520は、多種多様な異なる方法で連結することができる。たとえば、中空位置決めシャフト3510は、穴すなわちチャネル3516を含むことができ、このチャネルは、突出部3512、3522がそれぞれ受け入れ部3514、3524に配置されると、中空のデバイスシャフト3520の穴すなわちチャネル3526と心合わせされる。開口3516、3526が心合わせされ、保持シャフト3530が開口3516、3526の中にX方向に入れられると、中空位置決めシャフト3510およびデバイスシャフト3520は一緒に保持される。保持シャフト3530が開口3516、3526からZ方向に取り出されると、突出部3512、3522は、デバイス3506が中空位置決めシャフト3510から分離されるように、受け入れ部3514、3524から取り出すことができる。
さらに図186を参照すると、いくつかの実施形態では、中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520が互いに固定されると、アパーチャ3540が中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520の間の境界面3542に作り出される。アパーチャ3540は、中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520の間に制御ライン3544を固定して、留め具または把持部材(図示せず)を別々に制御できるように構成される。すなわち、アパーチャ3540は、中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520が一緒に結合されたときにライン3544がアパーチャ3540に対して動かないように構成される。中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520が分離すると、ライン3544はアパーチャ3540から解放され、移植可能なデバイス3506から取り外すことができる。次にライン3544は、カテーテルの中に引き込まれて留め具把持部材を解放することができる。
次に図187を参照すると、作動機構すなわち制御機構3600が示されている。制御機構3600は、移植可能な補綴デバイスの移植のために、第1の留め具すなわち把持部材3610および第2の留め具すなわち把持部材3620を開閉して天然の弁尖を把持するように使用することができる。制御機構3600は、第1の把持部制御部材3612および第2の把持部制御部材3622を含む。第1の把持部制御部材3612は、第1の把持部材3610をX方向の両方向に動かすように構成され、第2の把持部制御部材3622は、第1の把持部材3620をZ方向の両方向に動かすように構成される。第1の把持部材3610がX方向に動くことにより、第1の把持部材3610と第1のパドル3614との間の第1の開口3616の幅Wが調整され、第2の把持部材3620がZ方向に動くことにより、第2の把持部材3620と第2のパドル3624との間の第2の開口3626の幅Hが調整される。
図示の実施形態では、把持部制御部材3612、3622は、たとえば、カテーテル、可撓性ロッド、剛性ワイヤなどのプッシュ/プルリンク3611、3621として構成される作動ライン、およびカプラー3613、3623を含む。各プッシュ/プルリンク3611、3621は、送達デバイス3602から伸長し、カプラー3613、3623によって、対応する把持部材3612、3622に取り外し可能に取り付けられる。リンク3611は、Y方向に押され引っ張られるように構成される。リンク3611がY方向に動くことにより、把持部材3610はX方向に動く。同様に、リンク3621は、M方向に押され引っ張られるように構成され、リンク3621がM方向に動くことにより、把持部材3620はZ方向に動く。
次に図188および図188Aを参照すると、本出願に記載のデバイスなどの移植可能な補綴デバイスに使用するための、作動機構すなわち制御機構3700が示されている。作動機構3700は、上述の留め具または把持部材などの、移植可能なデバイスの一部分を押すこと、および引っ張ることを可能にする。機構3700は、送達デバイス3702から伸長する第1の制御部材3710および第2の制御部材3720を含む。送達デバイス3702は、シースまたはカテーテルなどの、任意の適切なデバイスとすることができる。第1の制御部材3710は、第1の糸3712および第1の可撓性ワイヤ3714を含み、第2の制御部材3720は、第2の糸3722および第2の可撓性ワイヤ3724を含む。第1の可撓性ワイヤ3714および第2の可撓性ワイヤ3724は、送達デバイス3702から伸長し、それぞれが、留め具すなわち把持部材に係合するための第1の糸3712および第2の糸3722を受け入れるためのループ3716、3726を含む。第1の糸3712および第2の糸3722のそれぞれは、送達デバイス3702から、第1のループ3716および第2のループ3726の一方をそれぞれ通り抜け、元の送達デバイス3702の中へ伸長する。図188で示された例では、各糸3712、3722は、ループ3716、3726の一方を一度通り抜けて伸長する。図188Aで示された例では、各糸3712、3722は、ループ3716、3726の一方を二度通り抜けて伸長する。いくつかの実施形態では、第1の制御部材3712および第2の制御部材3722は、別々の送達デバイス3702から伸長する。糸3712、3722は、上述の例示的な返し付き留め具の可動アームに取り外し可能に取り付けられる。ワイヤ3714、3724それぞれの第1のループ3716および第2のループ3726は、ループ3716、3726が、対応する返し付き留め具に係合して可動アームに係合できるように、対応する糸3712、3722に沿って動くことができる。すなわち、糸3712、3722は、可動アームを開方向に引っ張るために使用され、ワイヤ3714、3724は可動アームを閉方向に押すために使用される。ワイヤ3714、3724は、たとえば、鋼合金、ニッケルチタン合金、もしくは任意の他の金属、またはプラスチック材料で作ることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ3714、3724は、直径を約0.10mmから約0.35mmまでの間、約0.15mmから約0.30mmまでの間、および約0.20mmから約0.25mmまでの間とすることができる。ワイヤ3714、3724は糸3712、3722とは別のルーメンから出て行くように図示されているが、一実施形態では、ワイヤ3714、3724は1つのルーメンを1つの糸と共用することができる。
図188および図188Aの例では、ワイヤ3714、3724は、剛性もしくは半剛性のチューブ、または押圧可能なコイルに置き換えることができる。チューブまたは押圧可能なコイルは、1つのルーメンを1つの糸ループと共用することができ、この糸ループは、チューブまたは押圧可能なコイルの内側に配置することができる。チューブまたは押圧可能なコイルは、各糸ループの片側または両側の上に前進させて押すことができる。チューブ、押圧可能なコイル、またはワイヤは、不要のときにカテーテルの中に必要に応じて引き込むことができる。
次に図189を参照すると、作動機構すなわち制御機構3800の例示的な実施形態は、第1のカテーテル3811、第2のカテーテル3821、およびワイヤまたは糸などの単一のライン3830を含む。第1のカテーテル3811およびライン3830は、第1の把持部材3810をX方向に動かすように構成され、第2のカテーテル3821およびライン3830は、第2の把持部材3820をZ方向に動かすように構成される。把持部材3810がX方向に動くことにより、第1の把持部材3810と第1のパドル3814との間の第1の開口3816の幅Wが調整され、第2の把持部材3820がZ方向に動くことにより、第2の把持部材3820と第2のパドル3824との間の第2の開口3826の幅Hが調整される。ライン3830は、送達デバイス3802からカテーテル3811、3821を通り抜けて伸長し、把持部材3810、3820両方の開口に通される。各カテーテル3811、3821は、対応する把持部材3810、3820に係合し、これを動かすように構成される。具体的には、第1のカテーテル3811はY方向に押されるように構成されている一方で、ライン3830は第2のカテーテル3821から繰り出される、すなわちライン3830の張力が低減される。第1のカテーテル3811はY方向に引っ張られるように構成されている一方で、ライン3830は第1のカテーテル3811の中に引っ張り込まれる、すなわちラインの張力が増大される。第1のカテーテル3811がY方向に動くと、第1のカテーテル3811が第1の把持部材3810をX方向に動かすことになる。同様に、第2のカテーテル3821はM方向に押されるように構成されている一方で、ライン3830は第1のカテーテル3811から繰り出される、すなわちライン3830の張力が低減される。第2のカテーテル3821はM方向に引っ張られるように構成されている一方で、ライン3830は第2のカテーテル3821の中に引っ張り込まれる、すなわちライン3830の張力が増大される。第2のカテーテル3821がM方向に動くと、第2のカテーテル3821が第2の把持部材3820をZ方向に動かすことになる。一代替実施形態では、図189を参照して上述した制御部材3800は、ループのある第1の可撓性ワイヤ(たとえば、図188に示された、ループ3716のある可撓性ワイヤ3714)と、ループのある第2の可撓性ワイヤ(たとえば、図188に示された、ループ3726のある可撓性ワイヤ3724)と、を含むことができ、単一のライン3830は、ワイヤ3714のそれぞれのループ3716、3726を通り抜けて伸長する。
図190を参照すると、作動機構すなわち制御機構3900の例示的な実施形態は、糸またはワイヤなどの単一のライン3930を含み、このラインは、第1の留め具すなわち把持部材3910および第2の留め具すなわち把持部材3920に取り外し可能に取り付けられ、また移植可能なデバイスのシャフトまたは位置決めシャフト3904とシャフトまたはデバイスシャフト3906との間に取り外し可能に固定される。2本のシャフト3904、3906として説明されているが、これらは、たとえば、ライン3930のループを通過する単一のシャフトとして構成することも可能であり、ラインを解放するためにループから引き込み可能であるものとしてよい。シャフト3904、3906は、より詳細に上述した中空位置決めおよびデバイスシャフト3510、3520と類似している。単一のライン3930は、単一のライン3930が把持部材3910、3920を別々に制御できるように、シャフト3904、3906の間の連結部3908に連結される。すなわち、ライン3930の第1の部分3932がY方向に動くことにより、第1の把持部材3910と第1のパドル3914との間の幅Wが調整されるが、第2の把持部材3920と第2のパドル3924との間の幅Hは調整されない。同様に、ライン3930の第2の部分3934がY方向に動くことにより、第2の把持部材3920と第2のパドル3924との間の幅Hが調整されるが、第1の把持部材3910と第1のパドル3914との間の幅Wは調整されない。弁修復デバイスが閉状態になり、天然の弁組織に固定された後に、位置決めシャフト3904はデバイスシャフト3906から分離される。シャフト3904、3906を分離すると、ライン3930が連結部3908から解放される。次にライン3930は、ライン3930の一端をカテーテル3902の中へ引っ張り込むことによって、カテーテル3902の中に引き込まれて把持部材3910、3920を解放することができる。ライン3930の一端をカテーテル3902の中へ引っ張り込むと、ライン3930の他端は把持部材3910、3920を通り抜け、カテーテル3902の中へ引っ張り込まれる。本明細書に記載のラインのいずれも、このようにして引き込むことができる。ここでは単一のラインとして説明されているが、ライン3930がそれぞれの留め具または把持部材3910、3920に類似の方法で連結する2本の別々のラインであり、これらの別々のラインの各々はシャフト3904、3906に取り付けられるか、または組み合わされた単一のシャフト(たとえば、2本のラインの端部のところのループを通過し、引っ込められて2本のラインを解放することができるシャフト)に取り付けられる、類似の形態も使用可能であろう。
次に、図208A、図208B、図209A、および図209Bを参照すると、本出願において説明されているデバイスなどの、例示的な移植可能な補綴デバイス4100が、天然の弁尖20、22に固定されて示されている。デバイス4100は、接合またはスペーサ要素4102およびアンカー4104を備える。アンカー4104は、デバイス4100を弁尖20、22に取り付ける。図208Bで分かるように、第1および第2の隙間26A、26Bは、デバイス4100が配備された後も、閉じた弁尖20、22の間に残る。接合要素4102は、第1および第2の補助膨張可能接合またはスペーサ要素4106、4108を含み、これらは図208Aおよび図208Bにおいて萎んだ状態で示されている。
次に図209A、図209Bを参照すると、デバイス4100は、補助接合要素4106、4108を膨張させた状態で示されている。第1および第2の補助接合要素4106、4108は、第1および第2の隙間26A、26Bを埋めるために膨張させることができる。隙間26A、26Bを埋めることで、弁尖20、22がデバイス4100のまわりをより完全にシールすることができる。補助接合要素4106、4108は、第1の補助接合要素4106を第2の補助接合要素4108とは異なるサイズに膨張させて、異なるサイズの隙間26A、26Bを埋めることができるように、独立して膨張可能である。
次に図210Aおよび図210Bを参照すると、本開示の移植可能な補綴デバイスと共に使用するための例示的な膨張可能な接合またはスペーサ要素4200が示されている。次に図210Aを参照すると、拡張可能な接合要素4200が圧縮状態で示されている。拡張可能な接合要素4200は、保持要素4204によって圧縮状態で保持されているコイル状ワイヤ4202から形成される。接合要素4200が所望の位置に置かれた後、作動ラインまたは作動糸4206は、保持要素4204を作動方向4208に引っ張るために使用される。保持要素4204を除去することで、接合要素4200を拡張方向4210に拡張して、より大きく拡張されたサイズにすることができる。接合要素4200は、図208A、図208B、図208C、および図208Dの実施形態において補助接合要素4016、4018として使用することができる。
次に、図211Aおよび図211Bを参照すると、本出願で説明されているデバイスなどの、例示的な移植可能な補綴デバイス4300が示されている。デバイス4300は、近位端4301から遠位端4303まで伸長する。上述のデバイス4100と同様に、デバイス4300は、図211Aに萎んだ状態で示されている第1および第2の補助膨張可能接合またはスペーサ要素4306、4308を有する接合またはスペーサ要素4302を備える。各補助接合要素4306、4308は、近位端4306A、4308Aから遠位端4306B、4308Bまで伸長する。次に図211Bを参照すると、デバイス4300は、補助接合要素4306、4308を膨張させた状態で示されている。膨張したときに、近位端4306A、4308Aおよび遠位端4306B、4308Bは、補助接合要素4306、4308が矢印4310で示されているように近位端4306A、4308Aから遠位端4306B、4308Bに進むにつれサイズが増加するような異なるサイズを有する。いくつかの実施形態において、近位端は遠位端よりも大きい。補助接合要素4306、4308の変化する幅は、弁尖(図示せず)とデバイス4300との間の接合を改善し、弁尖の間の隙間のサイズは、デバイス4300の近位端から遠位端4301、4303に向かって変化する。
次に、図212A、図212B、図213A、図213B、図214、図215A、図215B、図216A、図216B、図217A、図217B、および図218を参照すると、本出願で説明されているデバイスなどの、例示的な移植可能な補綴デバイス4400が示されている。図212A、図212B、図213A、図213B、および図214を参照すると、デバイス4400は、接合またはスペーサ要素4402と、アンカー4404と、取り付け部4406と、を備える。取り付け部4406は、接合要素4402から伸長して、補助接合またはスペーサ要素4410を受け入れるねじ山付きロッドである。補助接合要素4410は、取り付け開口4412およびスペーサ本体部4414を備える逆L字形状を有する。取り付け開口4412は、補助接合要素4410をデバイス4400に取り付けるための取り付け部4406を受け入れる。スペーサ本体部4414は、接合要素4402の一辺に沿って伸長し、弁尖間の隙間(たとえば、図208Bに示されている隙間26A、26B)を埋める。補助接合要素4410は、任意の好適な形状を有することができ、上述の膨張可能なスペーサ4106、4108、4306、4308のように、幅およびサイズを変えることができる。
図214を参照すると、補助接合要素4410は、デバイス4400に組み付けられて示されている。補助接合要素4410は、デバイス4400が天然の弁尖(図示せず)の間に移植され、アンカー4404を介して適所に固定された後に、デバイス4400の取り付け部4406に取り付けることができる。図215Aおよび図215Bで分かるように、補助接合要素4410は、デバイス4400に取り付けられた後に、ナット4408で取り付け部4406に固定される。いくつかの実施形態では、補助接合要素4410の取り付け開口4412は、補助接合要素4410をデバイス4400から完全に取り外すことなく補助接合要素4410の位置の横方向調整を可能にするためのスロットである。すなわち、ナット4408を緩めて、デバイス4400への組み付け後に補助接合要素4410の位置を調整することができる。
次に、図216A、図216B、図217A、図217Bを参照すると、デバイス4400および補助接合要素またはスペーサ4410は、補助接合要素4410をデバイス4400に取り付けるための、上述したねじ山付きロッドおよびナット4408とは異なる手段を備えて示されている。図216Aおよび図216Bに示されているデバイス4400は、取り付け部4406を取り囲む円形の磁石4407を備える。図217Aおよび図217Bに示されている補助接合要素4410は、取り付け開口4412(スロットではなく、孔として示されている)を取り囲む同様の形状の磁石4413を含む。補助接合要素4410がデバイス4400に組み付けられたときに、2つの磁石4407、4413の反対側の極が互いに向き合い、磁気的引力によって互いに引き付けられ、補助接合要素4410をデバイス4400に保持する。いくつかの実施形態では、複数の磁石が、デバイス4400および/または補助接合要素4410上に設けられている。
次に図218を参照すると、デバイス4400に取り付けるための両面補助接合要素4420が示されている。補助接合要素4420は、取り付け開口4422が2つの接合部4424の間に配置されている逆U字形状を有する。上述の補助接合部4410と同様に、取り付け開口4422は、取り付け部4406を受け入れ、補助接合要素4420をデバイス4400に取り付ける。接合部4424は、接合要素4402の両側に沿って伸長し、弁尖間の隙間(たとえば、図208Bに示されている隙間26A、26B)を埋める。補助接合要素4420は、任意の好適な形状を有することができ、上述の膨張可能なスペーサ4106、4108、4306、4308のように、幅およびサイズを変えることができる。
次に、図219A、図211Bを参照すると、本出願で説明されているデバイスなどの、例示的な移植可能な補綴デバイス4500が示されている。デバイス4500は、接合またはスペーサ要素4502および接合要素4502の対向する側に配置されている取り付け部4504を備える。取り付け部4504は、変化する形状およびサイズ(図220A~図220E)の補助接合またはスペーサ要素を受け入れるように構成される。例示されている実施形態では、取り付け部4504は、補助接合要素(図220A~図220E)のポストまたはピン4512を受け入れる輪として示されている。上で示されているスペーサ4410と同様に、図220A~図220Eに示されている補助接合要素4510A、4510B、4520A、4520B、4530A、4530B、4540A、4540B、4550A、4550Bは、接合要素4502の一辺または両辺に沿って伸長し、弁尖間の隙間(たとえば、図208Bに示されている隙間26A、26B)を埋める。異なるサイズおよび形状の隙間に対応できるように、様々な補助接合要素4510A、4510B、4520A、4520B、4530A、4530B、4540A、4540B、4550A、4550Bは、半円形、丸みのある三角形、または様々なサイズの他の好適な形状を備える。異なるサイズおよび形状の補助接合要素4510A、4510B、4520A、4520B、4530A、4530B、4540A、4540B、4550A、4550Bは、接合要素4502に取り付けることができ、接合要素4502の対向する側で異なる形状およびサイズを有する隙間に対応することができる。
次に図221~図223を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス4600が示されている。次に、図221を参照すると、デバイス4600は、ニチノールなどの平坦な材料のシート4602から、複数の支柱から形成された格子状の形状に切断されて示されている。デバイス4600の接合部4604は、デバイス4600が三次元形状に形成されたときに接合要素4600から外向きに拡張する補助接合部4606を含む。補助接合部4606は、補綴デバイスが拡張される前に湾曲しているより長い支柱であってよい。次に、図223を参照すると、デバイスが拡張されたときに、より長い湾曲した支柱が拡張して、補助接合部4606を形成する。拡張された補助接合部4606は、デバイス4600が天然の弁尖20、22の間に移植されたときに天然の弁尖20、22の間の隙間26を埋めるか、または部分的に埋める。いくつかの実施形態では、デバイスの接合部4604は、カバー(図示せず)で覆われており、これは微細網のポリエチレン布などの布材料であってよい。布カバーは、スペーサの表面の血液封止をすること、および/または速やかな組織内部成長を助長することができる。
次に図224~図225を参照すると、例示的な移植可能な補綴デバイス4700が示されている。次に、図224を参照すると、デバイス4700は、ニチノールなどの平坦な材料のシート4702から切断されて示されている。デバイス4700は、接合部4704と、内側パドル部分4706と、外側パドル部分4708と、中間部4710と、を含む。次に、図225を参照すると、デバイス4700は、三次元形状に折りたたまれて示されている。材料4702は、材料4702の各側の様々な部分が整列するように中間部4710で折りたたまれる。接合部4704が整列されると、材料4702の切欠のマトリクスが、接合部4704を、上述の接合要素の形状に類似する三次元形状に形成する。
次に図232~図243を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス4800の例示的な実施形態が示されている。デバイス4800は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス4800は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に、図232~図233を参照すると、補綴スペーサ、または接合デバイス4800は、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー4813によって、送達シースまたは送達のための手段4802から配備することができる。デバイス4800は、接合部4804および2つまたはそれ以上のアンカー4808を有するアンカー部4806を備えることができる。接合部4804は、スペーサ、たとえば、接合部材または要素4810を含む。各アンカー4808は、外側パドル4820および留め具4830を備え、各々開閉できる。
第1の、すなわち近位のカラー4811、および第2のカラーすなわちキャップ4814が、接合部4804とアンカー部4806とを互いに対して動かすために使用される。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段4812の作動で、上述の方式で移植するときに僧帽弁弁尖を把持するためにデバイス4800のアンカー部4806を開閉する。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段4812は、多種多様な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素4812(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフトなど)はねじ山を付けられ、これにより、作動要素4812が回転することでアンカー部4806を接合部4804に対して移動するものとしてよい。あるいは、作動要素4812は、作動要素4812を押しかつ/または引っ張ることでアンカー部4806が接合部4804に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
接合部材4810は、カラー4811に組み付けられた近位部4819からアンカー4808に連結する遠位部4817まで伸長する。接合部材4810およびアンカー4808は、様々な方法で一緒に結合され得る。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材4810およびアンカー4808は、任意選択で、接合部材4810とアンカー4808とを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、単一の編まれたか織られた材料から接合部材4810およびアンカー4808を形成することによって達成することができる。一実施形態では、構成要素は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。
アンカー4808は、内側可撓性部分または内側パドル4822によって接合部材4810に取り付けられ、外側可撓性部分4821によってキャップ4814に取り付けられる。アンカー4808は、一対の外側パドル4820を備えることができる。いくつかの実施形態では、アンカー4808は、可撓性部分によって結合された内側パドル4822および外側パドル4820を備え得る。パドル4820、4822は、キャップ4814に柔軟に取り付けられたパドルフレーム4824に取り付けられている。
いくつかの実施形態では、アンカー4808は、キャップ4814を近位カラー4811に対して、したがってアンカー4808を接合部材4810に対してキャップ4814と近位カラー4811との間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に動かすことによって様々な形態の間を移動するように構成される。たとえば、アンカー4808は、キャップ4814を接合部材4810から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。アンカー4808は、また、キャップ4814を接合部材4810に向かって動かすことによって閉じた形態に位置決めすることもできる。キャップ4814が作動要素または作動ワイヤ4812によって接合部材4810に向かって最後まで引っ張られたときに、パドル4820は、接合部材4810の中間またはクランプ部4815および任意の天然の組織(たとえば、図示されていない弁尖)に対して閉じられ、接合部材4810とパドル4820との間に捕捉され、デバイス4800を天然の組織に固定するように挟まれる。
接合部材4810の中間部4815は、パドル4820--特にパドルフレーム4824--からの圧縮に対してより良好な抵抗をもたらすために、接合部材4810の他の部分よりも堅いか、または高い剛性を有するものとしてよい。したがって、パドル4820と接合部材4810との間の天然の組織のより堅い把持がもたらされる。接合部材4810が編まれたか、または織られたワイヤから形成されるいくつかの実施形態では、中間部4815は、より大きな直径のワイヤから形成され、それにより中間部をより堅くし圧縮に対する抵抗を高めることができる。いくつかの実施形態では、接合部材4810は、レーザカットされた平坦なシートまたはチューブから形成され(図224~図225参照)、中間部4815が高められた剛性および圧縮に対する抵抗を有するように切断され得る。
本明細書の様々な実施形態では、接合部材(たとえば、接合部材4810など)は、拡張可能な部分(たとえば、拡張可能な部分4840など)を含む。拡張可能な部分は、1つまたは複数の拡張可能な接合またはスペーサ部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部分は、少なくとも第1および第2の接合またはスペーサ部材(および、任意選択で、追加の拡張可能な部材)を含み、たとえば、拡張可能な部分4840は、引き込み状態(図232~図235)から拡張状態(図236~図243)まで接合部材4810から伸長する少なくとも第1の拡張可能な接合またはスペーサ部材4842および第2の拡張可能な接合またはスペーサ部材4844を含むことができる。第1の拡張可能な接合部材(たとえば、4842)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、4844)は、対称的に(図236~図239)および/または非対称的に(図240~図243)拡張して、天然の心臓弁がデバイスの周り(たとえば、デバイス4800の周り)で閉じるときに収縮期において弁尖20と弁尖22との間に残された異なる形状の隙間26A、26Bに対応することができる。
拡張可能な部分は、図258~図273の複数の例に図示されているように多種多様な異なる方法で伸長され、かつ/または引っ込められ得る。たとえば、拡張可能な部分は、拡張状態に付勢され、引き込み力を印加することによって引き込み状態に移動され得るか(たとえば、図268~図269)、拡張可能な部分は、引き込み状態に付勢され、拡張力を印加することによって拡張状態に移動され得るか(たとえば、図270~図271)、または、拡張可能な部分は、中立位置を有することができ、拡張力を印加することによって拡張状態に移動され、引き込み力を印加することによって引き込み状態に移動され得る(たとえば、図258~図267)。付勢力(含まれるとき)は、様々な異なる方法で印加され得る。たとえば、拡張可能な部分は、別個のばね部材によって付勢されてよく、かつ/または拡張可能な部分は、付勢された形態に形状設定される形状記憶材料から作られてよい。拡張可能な部分は、縫合糸を用いて(たとえば、図260~図263および図270~図271)、作動要素4812に類似した剛体作動要素または作動部材を用いて(たとえば、図256~図259および図264~図267)、膨張可能なバルーンを用いて、および/または他の方法で、デバイスの移植時に医師が拡張可能な部分の拡張量を制御できるように、拡張状態および引き込み状態に移動され得る。
第1の拡張可能な接合部材(たとえば、4842)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、4844)は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。同様に、第1の拡張可能な接合部材(たとえば、4842)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、4844)は、デバイス(たとえば、デバイス4800)が移植された後に閉じた弁尖20と弁尖22との間に残っている類似のサイズ(図238~図239)または異なるサイズ(図242~図243)の第1の隙間26Aおよび第2の隙間26Bを埋めるために、同じ量または異なる量だけ作動され得る。
拡張可能な部分4840は、上述の補助スペーサまたは接合要素(たとえば、デバイス4100の補助接合要素4106、4108)に類似している。拡張可能な部分4840は、剛性がより高い中間部4815比べて高い可撓性または柔軟性を有し、デバイス4800の移植中に医師によって積極的に拡張され、かつ引っ込められ得る。拡張可能な部分4840の可撓性または柔軟さはまた、弁尖20、22が移植されたデバイス4800に対して閉じるときに、拡張可能な部分4840の表面が天然の弁尖20、22の形状に適合することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材4842および第2の拡張可能な接合部材4844は、たとえば、図256~図271に図示され、以下でさらに詳細に説明される接合部材などの、接合部材4810の中間部4815に形成された1つまたは複数の開口または陥凹部から外向きに拡張するように形成され得る。すなわち、拡張可能な接合部材4840は、任意選択で、第1の拡張可能な接合部材4842および第2の拡張可能な接合部材4844を形成するために、拡張可能な接合部材4840の一部が接合部材4810の開口を通して外向きに拡張可能であるように、接合部材4810とは別個に形成され、接合部材4810内に配置され得る。あるいは、拡張可能な接合部材4840は、中間部4815と一体化して形成され、屈曲して中間部4815を出入りすることができる。この屈曲は、拡張可能な接合部材4840が、接合部材4810の陥凹部を通って外向きに伸長し、第1の拡張可能な接合部4842および第2の拡張可能な接合部4844を形成することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材4842および第2の拡張可能な接合部材4844は、たとえば、図256~図257に例示され、以下でさらに詳細に説明される接合部材など、接合部材4810内に配設され、遠位端4817の内部に取り付けられる、ニチノールワイヤなどの、材料の編まれるか、または織られたチューブから形成され得る。チューブの近位端を押すことで、チューブの側部を接合部材4810内の開口に通して外に拡張させて第1の拡張可能な接合部材4842および第2の拡張可能な接合部材4844を形成し、チューブの近位端を引っ張ることで、チューブの側部を引っ込めて、第1の拡張可能な接合部材4842および第2の拡張可能な接合部材4844を接合部材4810に向かってかつ/または接合部材4810の中に引き込ませる。
拡張可能な部分4840の第1の接合部材4842および第2の接合部材4844は、また、接合部材4842、4844を接合部材4810から外向きに拡張するように膨張させられる1つまたは複数のバルーンから形成され、かつ/またはそれによって拡張され得る。1つまたは複数のバルーンは、機械的手段によってバルーン内に注入される生理食塩水を用いて、または化学的に反応して拡張しバルーンを拡張させる2つまたはそれ以上の構成要素の混合で膨張させることができる。
拡張可能な部分4840の第1の接合部材4842および第2の接合部材4844は、たとえば、図272~図273に図示され、以下でさらに詳細に説明されているデバイスなど、拡張状態でロックされ、第1の接合部材4842、および第2の接合部材4844を引っ込めるようにロック解除されることが可能な内部機構の操作--すなわち回転--を通じて拡張させられる成形シリコーン材料から形成され得る。
留め具4830は、アタッチメントすなわち固定部4832、およびアームすなわち可動部4834を備えることができる。アタッチメントすなわち固定部4832は、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合の手段を用いるなど、様々な方法でアンカー4808のパドル部分4820に結合するか、または連結することができる。留め具4830は、本明細書に記載される留め具430に類似しているか、または同じであってよい。
可動部4834は、開いた形態と閉じた形態との間で固定部532Cに対して移動するか、旋回するか、または屈曲することができる。いくつかの実施形態では、留め具4830は、連結部4838によって閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部4832および可動部4834は、天然の弁尖を固定部4832と可動部4834との間に配置できるように互いに離れるように移動するか、屈曲するか、または旋回する。閉じた形態では、固定部4832および可動部4834は互いの方に向かって移動するか、屈曲するか、または旋回し、それによって天然の弁尖を固定部4832と可動部4834との間に固定する。
各留め具4830は、プッシュロッドまたはチューブ4813がカラー4811を適所に保持している間に、送達シースまたは送達のための手段4802を通って留め具4830の可動部4834まで伸長する取り付けられているアクチュエータまたは作動ライン4816を引っ張ることによって、別々に開くことができる。アクチュエータまたは作動ライン4816は、たとえばライン、糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のものなどの、多種多様な形態を取り得る。留め具4830はばね仕掛けであるか、または他の何らかの形で付勢され、それにより閉位置において留め具4830は、把持された天然の弁尖にピンチ力を継続して与えることができる。このピンチ力は、パドル部分4820の位置にかかわらず一定のままである。留め具4830の返しまたは固定のための手段4836は、天然の弁尖を穿孔して天然の弁尖をさらに固定することができる。
次に図244~図255を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス4900の例示的な実施形態が示されている。デバイス4900は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス4900は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に、図244~図255を参照すると、補綴スペーサまたは接合デバイス4900は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス4900は、2つまたはそれ以上のアンカー4908を有する接合部4904およびアンカー部4906を含むことができる。接合部4904は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素4910を含む。各アンカー4908は、外側パドル4920および任意選択の留め具を含むことができ、この留め具は、この実施形態では図示されていないが、本明細書で説明されている留め具の実施形態のいずれかの形態を取ることができる。
第1すなわち近位のカラー4911、および第2のカラーすなわちキャップ4914が、接合部4904とアンカー部4906とを互いに対して動かすために使用される。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段(この実施形態では図示せず)の作動で、上述の方式で移植するときに天然の僧帽弁弁尖を把持するためにデバイス4900のアンカー部4906を開閉する。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段(たとえば、作動ワイヤ、シャフト、ロッド、など)は、広範な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素はねじ山を付けられ、これにより、作動要素が回転することでアンカー部分4906を接合部分4904に対して移動するものとしてよい。あるいは、作動要素は、作動要素を押すかつ/または引っ張るとアンカー部4906が接合部4904に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
接合部材4910は、カラー4911に組み付けられた近位部4919からアンカー4908に連結する遠位部4917まで伸長する。接合部材4910およびアンカー4908は、多種多様な方法で結合することができる。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材4910およびアンカー4908は、任意選択で、接合部材4910とアンカー4908とを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、単一の編まれたか織られた材料片から接合部材4910およびアンカー4908を形成することによって達成することができる。しかしながら、一実施形態では、構成要素は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。
アンカー4908は、内側可撓性部分または内側パドル4922によって接合部材4910に取り付けられ、外側可撓性部分4921によってキャップ4914に取り付けられる。アンカー4908は、一対の外側パドル4920を備えることができる。いくつかの実施形態では、アンカー4908は、可撓性部分によって結合されている内側パドル4922および外側パドル4920を備えることができる。パドル4920は、キャップ4914に柔軟に取り付けられたパドルフレーム4924に取り付けられている。
アンカー4908は、キャップ4914を近位カラー4911に対して、したがってアンカー4908を接合部材4910に対してキャップ4914と近位カラー4911との間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に動かすことによって様々な形態の間を移動するように構成することができる。たとえば、アンカー4908は、キャップ4914を接合部材4910から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。アンカー4908は、また、キャップ4914を接合部材4910に向かって動かすことによって閉じた形態として配置することもできる。キャップ4914が作動ワイヤまたは他の作動要素(図示せず)によって接合部材4910に向かって最後まで引っ張られたときに、パドル4920は、接合部材4910の中間またはクランプ部4915および任意の天然の組織(たとえば、図示されていない弁尖)に対して閉じられ、接合部材4910とパドル4920との間に捕捉され、デバイス4900を天然の組織に固定するように挟まれる。
接合部材4910の中間部4915は、パドル4920--特にパドルフレーム4924--からの圧縮に対してより良好な抵抗をもたらすために、接合部材4910の他の部分よりも堅いか、または高い剛性を有するものとしてよい。したがって、パドル4920と接合部材4910との間の天然の組織のより堅い把持が達成され得る。接合部材4910が編まれたか、または織られたワイヤから形成されるいくつかの実施形態では、中間部4915は、より大きな直径のワイヤから形成され、それにより圧縮に対する抵抗を高めることができる。いくつかの実施形態では、接合部材4910は、レーザカットされた平坦なシートまたはチューブから形成され、中間部4915が高められた剛性および圧縮に対する抵抗を有するように切断され得る。
図示の接合部材4910は、引き込み状態または非拡張状態(図244~図255)から拡張状態(図236~図243および図248の破線を参照)まで接合部材4910から伸長する少なくとも第1の拡張可能な接合またはスペーサ部材4942および第2の拡張可能な接合またはスペーサ部材4944を含む拡張可能な部分4940も含む。第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、対称的に(図236~図239参照)および/または非対称的に(図240~図243参照)拡張して、天然の心臓弁がデバイス4900の周りで閉じるときに拡張期において弁尖20と弁尖22との間に残された異なる形状の隙間26A、26Bに対応することができる。
拡張可能な部分は、図258~図273に例示されているように多種多様な異なる方法で伸長され、かつ/または引っ込められ得る。たとえば、拡張可能な部分は、拡張状態に付勢され、引き込み力を印加することによって引き込み状態に移動され得るか(たとえば、図268~図269)、拡張可能な部分は、引き込み状態に付勢され、拡張力を印加することによって拡張状態に移動され得るか(たとえば、図270~図271)、または、拡張可能な部分は、中立位置を有することができ、拡張力を印加することによって拡張状態に移動され、引き込み力を印加することによって引き込み状態に移動され得る(たとえば、図258~図267)。付勢力(含まれるとき)は、様々な異なる方法で印加され得る。たとえば、拡張可能な部分は、別個のばね部材によって付勢されてよく、かつ/または拡張可能な部分は、付勢された形態に形状設定される形状記憶材料から作られてよい。拡張可能な部分は、縫合糸を用いて(たとえば、図260~図263および図270~図271)、作動要素4812に類似した剛体作動要素または作動部材を用いて(たとえば、図256~図259および図264~図267)、膨張可能なバルーンを用いて、および/または他の方法で、デバイス4900の移植時に医師が拡張可能な部分4940の拡張量を制御できるように、拡張状態および引き込み状態に移動され得る。
第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。同様に、第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、デバイス4900が配備された後に閉じた弁尖20と弁尖22との間に残っている類似のサイズ(図238~図239参照)または異なるサイズ(図242~図243参照)の第1の隙間26Aおよび第2の隙間26Bを埋めるために、同じ量または異なる量だけ作動され得る。
拡張可能な部分4940は、上述の補助スペーサまたは接合要素(たとえば、デバイス4100の補助接合要素4106、4108)に類似している。拡張可能な部分4940は、剛性がより高い中間部4915に比べて高い可撓性または柔軟性を有し、任意選択で、デバイス4900の移植中に医師によって積極的に拡張され、かつ引っ込められ得る。拡張可能な部分4940の可撓性または柔軟さはまた、弁尖20、22が移植されたデバイス4900に対して閉じるときに、拡張可能な部分4940の表面が天然の弁尖20、22の形状に適合することを可能にする。
いくつかの実装形態では、第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、中間部4915と同じ単一の編まれるか、または織られた構造、または単一のレーザカットされた構造によって形成されることなどによって、接合部材4910と一体化して形成され得る。
第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、接合部材4910の中間部4915に形成された開口または陥凹部から外向きに拡張するか、または屈曲するように形成することもできる。すなわち、拡張可能な接合部材4940は、任意選択で、図266~図267を見ると分かるように、第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944を形成するために、拡張可能な接合部材4910の一部が接合部材4910内の開口または陥凹部を通して外向きに拡張可能であるように、接合部材4910内に配置され得る。
第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944は、たとえば、図256~図257に例示され、以下でさらに詳細に説明される接合部材など、接合部材4910内に配設され、遠位端4917の内部に取り付けられる、ニチノールワイヤなどの、材料の編まれるか、または織られたチューブから形成され得る。チューブの近位端を押すと、チューブの側部が拡張して、第1の拡張可能な接合部材4942および/または第2の拡張可能な接合部材4944を外向きに押す。チューブの近位端を引っ張ると、チューブの側部が引っ込められ、第1の拡張可能な接合部材4942および第2の拡張可能な接合部材4944が接合部材4910に向かってかつ/またはその中に引っ込められる。
例示的な一実施形態では、拡張可能な部分4940の第1の接合部材4942および第2の接合部材4944は、中間部4915から外向きに拡張するように膨張させられる1つまたは複数のバルーンから形成され、かつ/またはそれを含むことができる。1つまたは複数のバルーンは、機械的手段によってバルーン内に注入される、生理食塩水などの流体を用いて、または化学的に反応して拡張しバルーンを拡張させる2つまたはそれ以上の構成要素の混合で膨張させることができる。拡張可能な部分4940の第1の接合部材4942および第2の接合部材4944は、たとえば、図272~図273に図示され、以下でさらに詳細に説明されているデバイスなど、拡張状態でロックされ、第1の接合部材4942、および第2の接合部材4944を引っ込めるようにロック解除されることが可能な内部機構の操作--すなわち回転--を通じて拡張させられる成形シリコーン材料から形成され得る。
拡張可能な部分4940は、中間部4915が拡張可能な部分4940に対して凹むように接合部材4910の少なくとも中間部またはクランプ部4915よりも広くすることができ、これにより凹んだ縁部4946が拡張可能な部分4940と中間部4915との間に形成される。凹んだ縁部4946はパドルフレーム4924の形状と同様に整形されてよく、それにより凹んだ縁部4946の領域内で接合部材4910とパドルフレーム4924との間に捕捉された天然の組織にピンチ力を強くして印加し、それによってパドルフレーム4924と接合要素4910の隆起した部分との間に弁尖をしっかりと固定する。図274を見ると分かるように、内側パドル4924および接合要素4910に取り付けられた留め具4930は、デバイス4900によって捕捉された弁尖20、22の経路が滑らかな曲線を辿るように凹んだ中間部4915内に配置され、それによって弁尖20、22が留め具4930によって挟まれるところで弁尖20、22にかかる応力を低減することができる。
次に図256~図273を参照すると、様々な拡張可能な接合部および拡張可能なスペーサ部のための作動機構が示されている。拡張可能なスペーサ部は、静止状態または引き込み状態の接合部材の内側に配置される。拡張可能なスペーサ部は、接合要素の1つまたは複数の開口を通して外向きに拡張することができる。図256~図273に示されているデバイスは、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。明確にするために、図256~図273に示されているデバイスは、本明細書で開示されているアンカー部およびアンカーのいずれかと組み合わされ得る接合部のみを含む。以下で説明されている拡張可能な接合部は、ニチノールワイヤなどの材料の編まれたか、または織られたチューブから形成することができる、したがって長手方向軸に沿ってチューブを圧縮すると、チューブの側部が外向きに拡張し、長手方向軸に沿ってチューブを伸長すると、チューブの側部が引っ込む。
次に図256~図257を参照すると、移植可能な補綴デバイス5000の接合部5004が示されている。デバイス5000は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5000は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5000は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5000は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5004は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5010を含む。デバイス5000は、接合部材5010に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5013によって、送達シースまたは送達のための手段5002から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5042を含む拡張可能な接合部5040が接合部材5010内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5042は、引き込み状態または非拡張状態(図256)から拡張状態(図257)に接合部材5010から伸長する。拡張可能な接合部5040は、近位端5044と遠位端5046との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5040をデバイス5000の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。作動要素または作動部材5048は、送達デバイス5002から拡張可能な接合部5040の近位端5044に伸長する。拡張可能な接合部5040の遠位端5046は、接合部材5010に固定される。
拡張可能なスペーサ部材5042は、作動要素または作動部材5048を遠位方向5050に伸長して拡張可能な接合部5040を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5042を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。拡張状態では、拡張可能な接合部材5042は、接合部材5010の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5042は、作動要素/部材5048を送達デバイス5002に向けて引っ張ることによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5042は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
次に図258~図259を参照すると、移植可能な補綴デバイス5100の接合部5104が示されている。デバイス5100は、本出願において論じた移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5100は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示された任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5100は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5100は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5104は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5110を含む。デバイス5100は、接合部材5100に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5113によって、送達シースまたは送達のための手段5102から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5142を含む拡張可能な接合部5140が接合部材5110内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5142は、引き込み状態または非拡張状態(図258)から拡張状態(図257)に接合部材5110から伸長する。拡張可能な接合部5140は、近位端5144と遠位端5146との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5140をデバイス5100の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。第1の作動要素または作動部材5148は、送達デバイス5102から拡張可能な接合部5140の近位端5144に伸長する。第1の作動要素/部材5148の代わりに--またはそれに加えて--拡張可能な接合部5140の近位端5144は、接合部材5110に固定され得る。第2の作動要素または作動部材5149は、送達デバイス5102から拡張可能な接合部5140の遠位端5146に伸長する。
拡張可能なスペーサ部材5142は、第1の作動要素/部材5148を静止した状態に保持しながら第2の作動要素/部材5149を近位方向5150に引き込み、拡張可能な接合部5140を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5142を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。第1の作動要素/部材5148は、任意選択で第2の作動要素/部材5149が引っ込められているのと同時に伸長され得る。拡張状態では、拡張可能な接合部材5142は、接合部材5110の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5142は、第2の作動要素/部材5149を送達デバイス5102から遠ざかるように押すことによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5142は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
次に図260~図261を参照すると、移植可能な補綴デバイス5200の接合部5204が示されている。デバイス5200は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5200は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5200は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5200は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5204は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5210を含む。デバイス5200は、接合部材5210に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5213によって、送達シースまたは送達のための手段5202から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5242を含む拡張可能な接合部5240が接合部材5210内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5242は、引き込み状態または非拡張状態(図260)から拡張状態(図261)に接合部材5210から伸長する。拡張可能な接合部5240は、近位端5244と遠位端5246との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5240をデバイス5200の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。剛体作動要素または作動部材5248は、送達デバイス5202から拡張可能な接合部5240の近位端5244に伸長する。剛体作動部材5248の代わりに--またはそれに加えて--拡張可能な接合部5240の近位端5244は、接合部材5210に固定され得る。可撓性作動要素/部材または縫合糸5249は、送達デバイス5202から拡張可能な接合部5240の遠位端5246に伸長する。
拡張可能なスペーサ部材5242は、剛体作動要素/部材5248を静止した状態に保持しながら可撓性作動要素/部材5249を近位方向5250に引き込み、拡張可能な接合部5240を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5242を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。剛体作動要素/部材5248は、任意選択で可撓性作動要素/部材5249が引っ込められているのと同時に伸長され得る。拡張状態では、拡張可能な接合部材5242は、接合部材5210の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能な接合部5240が拡張方向に付勢される実施形態では、拡張可能なスペーサ部材5242は、可撓性作動要素/部材5249の張力を解放し、拡張可能な接合部5242が引き込み状態に戻ることを可能にすることによって、引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5242は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
次に図262~図263を参照すると、移植可能な補綴デバイス5300の接合部5304が示されている。デバイス5300は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5300は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5300は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5300は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5304は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5310を含む。デバイス5300は、接合部材5310に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5313によって、送達シースまたは送達のための手段5302から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5342を含む拡張可能な接合部5340が接合部材5310内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5342は、引き込み状態または非拡張状態(図262)から拡張状態(図263)に接合部材5310から伸長する。拡張可能な接合部5340は、近位端5344と遠位端5346との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5340をデバイス5300の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。剛体作動要素または作動部材5348は、送達デバイス5302から拡張可能な接合部5340の近位端5344に伸長する。剛体作動要素/部材5348の代わりに--またはそれに加えて--拡張可能な接合部5340の近位端5344は、接合部材5310に固定され得る。可撓性作動要素/部材または縫合糸5349は、送達デバイス5302から拡張可能な接合部5340の遠位端5346を通り近位端5344に伸長する。可撓性作動要素/部材5349を、遠位端5346を通り近位端5344に戻るように引き回すことで、拡張可能な接合部5340を圧縮するときに機構上の利点が得られる。
拡張可能なスペーサ部材5342は、剛体作動要素/部材5348を静止した状態に保持しながら可撓性作動要素/部材5349を近位方向5350に引き込み、拡張可能な接合部5340を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5342を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。剛体作動要素/部材5348は、任意選択で可撓性作動要素/部材5349が引っ込められているのと同時に伸長され得る。拡張状態では、拡張可能な接合部材5342は、接合部材5310の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能な接合部5340が拡張方向に付勢される実施形態では、拡張可能なスペーサ部材5342は、可撓性作動要素/部材5349の張力を解放し、拡張可能な接合部5342が引き込み状態に戻ることを可能にすることによって、引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5342は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
次に図264~図265を参照すると、移植可能な補綴デバイス5400の接合部5404が示されている。デバイス5400は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5400は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5400は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5400は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5404は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5410を含む。デバイス5400は、接合部材5410に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5413によって、送達シースまたは送達のための手段5402から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5442を含む拡張可能な接合部5440が接合部材5410内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5442は、引き込み状態または非拡張状態(図264)から拡張状態(図265)に接合部材5410から伸長する。拡張可能な接合部5440は、近位端5444と遠位端5446との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5440をデバイス5400の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。作動要素または作動部材5448は、送達デバイス5402から拡張可能な接合部5440の近位端5444に伸長する。拡張可能な接合部5440の遠位端5446は、接合部材5410に固定される。
拡張可能なスペーサ部材5442は、作動要素/部材5448を遠位方向5450に伸長して拡張可能な接合部5440を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5442を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。拡張状態では、拡張可能な接合部材5442は、接合部材5410の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5442は、作動要素/部材5448を送達デバイス5402に向けて引っ張ることによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5442は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
ロック部材5460は、近位端5444と遠位端5446との間に伸長し、ロック解除状態とロック状態との間で変更可能なロック5462を備える。ロック解除状態では、ロック部材5460は、拡張可能な接合部5440の拡張および収縮に伴って自由に拡張および収縮する。ロック状態では、ロック部材5460は、拡張可能な接合部5440が拡張する、または収縮するのを阻止する。ロック5462は、作動要素/部材5448の作動時に任意の位置でロック部材5460をロックして、拡張可能なスペーサ部材5442を拡張状態と引き込み状態との間の任意の所望の位置にロックするようにロックされ得る。
次に図266~図267を参照すると、移植可能な補綴デバイス5500の接合部5504が示されている。デバイス5500は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5500は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5500は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5500は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5504は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5510を含む。デバイス5500は、接合部材5510に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5513によって、送達シースまたは送達のための手段5502から配備することができる。
第1の拡張可能なスペーサ部材5542および第2の拡張可能なスペーサ部材5543を含む第1の拡張可能な接合部5540および第2の拡張可能な接合部5541が接合部材5510内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5542、5543は、引き込み状態または非拡張状態(図266)から拡張状態(図267)に接合部材5510から伸長する。第1の拡張可能な接合部5540および第2の拡張可能な接合部5541は、近位端5544、5545と遠位端5546、5547との間に伸長し、その各々は、第1の拡張可能な接合部5540をデバイス5500の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。第1の作動要素または作動部材5548および第2の作動要素または作動部材5549は、送達デバイス5502から拡張可能な接合部5544、5541の近位端5544、5545に伸長する。拡張可能な接合部5540、5541の遠位端5546、5547は、接合部材5510に固定される。
拡張可能なスペーサ部材5542、5543は、作動要素/作動部材5548、5549を遠位方向5550、5552に伸長して拡張可能な接合部5540、5541を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5542、5543を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。拡張状態では、拡張可能な接合部材5542、5543は、接合部材5510の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5542、5543は、作動要素/部材5548、5549を送達デバイス5502に向けて引っ張ることによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5542、5543は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
第1の拡張可能な接合部5540および第2の拡張可能な接合部5541は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。同様に、第1の拡張可能な接合部材5540および第2の拡張可能な接合部材5541は、デバイス4900が配備された後に閉じた弁尖20と弁尖22との間に残っている類似のサイズ(図238~図239参照)または異なるサイズ(図242~図243参照)の第1の隙間26Aおよび第2の隙間26Bを埋めるために、同じ量または異なる量だけ作動され得る。たとえば、図267に示されているように、第2の拡張可能な接合部5541は、第2の拡張可能なスペーサ部材5543が第1の拡張可能なスペーサ部材5542よりもさらに外向きに伸長するように第1の拡張可能な接合部5540が遠位方向5550に作動されるよりもさらに遠位方向5552に作動され得る。
次に図268~図269を参照すると、移植可能な補綴デバイス5600の接合部5604が示されている。デバイス5600は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5600は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5600は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5600は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5604は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5610を含む。デバイス5600は、接合部材5610に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5613によって、送達シースまたは送達のための手段5602から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5642を含む拡張可能な接合部5640が接合部材5610内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5642は、引き込み状態または非拡張状態(図268)から拡張状態(図269)に接合部材5610から伸長する。拡張可能な接合部5640は、近位端5644と遠位端5646との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5640をデバイス5600の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。作動要素/部材または縫合糸5648は、送達デバイス5602から拡張可能な接合部5640の近位端5644に伸長する。拡張可能な接合部5640の遠位端566は、接合部材5610に固定される。
付勢部材5660(たとえば、ばね、弾性材料、弾性バンドなど)が、拡張可能な接合部5640の近位端5644と遠位端5646との間に伸長する。付勢部材5660は、拡張可能な接合部5640が伸長方向に付勢されるように近位端5644に伸長力5650を印加する。すなわち、付勢部材5660は、近位端5644および遠位端5646を一緒に移動させる。作動要素/部材5648は、近位端5644に引き込み力5652を印加して、拡張可能な接合部5640を引き込み状態に保持する。任意選択で、付勢部材5660は、引き込み力を印加して、近位端5644および遠位端5646に離れて行く傾向を持たせることによって、拡張可能な接合部5640を引き込み方向に付勢し得る。そのような配置において、近位端5644は、接合部5610に取り付けることができ、作動要素/部材5648は、作動要素/部材5648を引っ張ることで拡張可能な接合部5640が拡張するように遠位端5646に取り付けられ得る。
拡張可能なスペーサ部材5642は、作動要素/部材5648が遠位方向5650に伸長し、付勢部材5660が近位端5644を遠位端5646に近づけて拡張可能な接合部5640を圧縮させ、それによって拡張可能なスペーサ部材5642を伸長状態へと外向き方向に移動させるように作動要素/部材5648によって印加される引き込み力5652を低減するかまたは排除することによって引き込み位置から伸長位置に移動される。拡張状態では、拡張可能な接合部材5642は、接合部材5610の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5642は、作動要素/部材5648を送達デバイス5602に向けて引っ張ることによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5642は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に伸長され、引っ込められ得る。
次に図272~図273を参照すると、移植可能な補綴デバイス5700の接合部5704が示されている。デバイス5700は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5700は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5700は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5700は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5704は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5710を含む。デバイス5700は、接合部材5710に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5713によって、送達シースまたは送達のための手段5702から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5742を含む拡張可能な接合部5740が接合部材5710内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5742は、引き込み状態または非拡張状態(図270)から拡張状態(図271)に接合部材5710から伸長する。拡張可能な接合部5740は、近位端5744と遠位端5746との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5740をデバイス5700の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。作動要素/部材または縫合糸5748は、送達デバイス5702から拡張可能な接合部5740の遠位端5746を通り近位端5744に伸長する。拡張可能な接合部5740の遠位端5746は、接合部材5710に固定される。
付勢部材5760(たとえば、ばね、弾性材料、など)が、拡張可能な接合部5740の近位端5744と遠位端5746との間に伸長する。付勢部材5760は、拡張可能な接合部5740が引き込み方向に付勢されるように近位端5744に引き込み力5750を印加する。すなわち、付勢部材5760は、近位端5744および遠位端5746を離れさせる。代替的に、付勢部材5760は、拡張力を印加して、近位端5744および遠位端5746に一緒に移動する傾向を持たせることによって拡張可能な接合部5740を拡張方向に付勢し得る。そのような配置において、作動要素/部材5748は、作動要素/部材5748を引っ張ることで拡張可能な接合部5740を引っ込ませ、かつ/または引き込み状態に保持するように近位端5746に取り付けられ得る。
拡張可能なスペーサ部材5742は、作動要素/部材5748を近位方向5752に引っ張って近位端5744を遠位端5746に向かって移動させ、拡張可能な接合部5740を圧縮し、それによって拡張可能なスペーサ部材5742を伸長状態へと外向き方向に移動させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。拡張状態では、拡張可能な接合部材5742は、接合部材5710の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5742は、作動要素/部材5748に印加される張力を低減するか、または解放することによって引き込み状態に戻され得る。したがって、拡張可能なスペーサ部材5742は、弁尖20と弁尖22との間の異なるサイズの隙間に対応できるように、選択的に拡張され、引っ込められ得る。
次に図272~図273を参照すると、移植可能な補綴デバイス5800の接合部5804が示されている。デバイス5800は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス5800は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22を係合するように配置することができる。補綴スペーサまたは接合デバイス5800は、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。デバイス5800は、本出願において開示されているアンカー部およびアンカーなどの2つまたはそれ以上のアンカー(図示せず)を有するアンカー部(図示せず)を含むことができる。接合部5804は、スペーサ、すなわち、接合部材または要素5810を含む。デバイス5800は、接合部材5810に取り付けられている、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー5813によって、送達シースまたは送達のための手段5802から配備することができる。
拡張可能なスペーサ部材5842を含む拡張可能な接合部5840が接合部材5810内に配設されている。拡張可能なスペーサ部材5842は、引き込み状態または非拡張状態(図272)から拡張状態(図273)に接合部材5810から伸長する。拡張可能な接合部5840は、近位端5844と遠位端5846との間に伸長し、その各々は、拡張可能な接合部5840をデバイス5800の別の部分に固定するためのカラーを備えることができる。作動要素または作動部材5848は、送達デバイス5802から拡張可能な接合部5840の近位端5844を通り遠位端5846へと伸長する。
回転可能なカム部材5860は、拡張可能な接合部5840の近位端5844と遠位端5846との間で作動要素/部材5848に固定して取り付けられている。拡張可能な接合部5840は、回転可能なカム部材5860による作用を受けたときに引き伸ばされ、変形され得る、成形されたシリコーンなどの弾性またはエラストマー材料から形成することができる。すなわち、拡張可能な接合部5840は、回転可能なカム部材5860によって外向きに引き伸ばされない限り、引き込み状態に向かう傾向がある。回転可能なカム部材5860は、回転可能なカム部材5860の短い方の軸が、引き込み状態にある拡張可能なスペーサ部材5842の間の距離よりも短く、回転可能なカム部材5860の長い方の軸が、伸長状態にある拡張可能なスペーサ部材5842の間の最大距離にほぼ等しい幅を有するような細長い形状を有することができる。
拡張可能なスペーサ部材5842は、第1の位置(図272)と第2の位置(図273)との間で矢印5850によって示されるように回転可能なカム部材5860を回転させることによって引き込み位置から伸長位置へと移動される。回転可能なカム部材5860は、回転可能なカム部材5860が回転すると共に拡張可能な接合部5840の内面と係合し、それにより回転可能なカム部材5860は、回転可能なカム部材5860の長い方の軸が拡張可能な接合部と係合すると共に拡張可能な接合部5840の表面を外向きに押し、それによって拡張可能なスペーサ部材5842が伸長状態へと外向き方向に移動する。拡張状態では、拡張可能な接合部材5842は、接合部材5810の開口(図示せず)を通って伸長する。拡張可能なスペーサ部材5842は、回転可能なカム部材5860をさらに回転させることによって、または回転可能なカム部材5860を逆回転させて第1の位置に戻すことによって、引き込み状態に戻すことができる。
次に図275~図306を参照すると、移植可能な補綴デバイスの拡張可能な接合アセンブリ5901が示されている。拡張可能な接合アセンブリ5901は、本明細書に開示されている移植可能な補綴デバイスのいずれか、または任意の他の移植可能な補綴デバイスなど、多種多様な異なる移植可能な補綴デバイスで使用され得る。たとえば、拡張可能な接合アセンブリは、本明細書で開示されている移植可能な補綴デバイスのうちのどれかの接合要素の代わりに使用できる。拡張可能な接合アセンブリ5901を含むこのような移植可能な補綴デバイスは、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22と係合するように位置決めされ得る。拡張可能な接合アセンブリ5901を伴うデバイスは、限定はしないが、本出願において開示されている方法のいずれかを含む、多種多様な方法で配備され得る。
拡張可能な接合アセンブリ5901は、拡張可能なスペーサまたは要素5910を含む。拡張可能な接合アセンブリ5901を有する装置は、拡張可能な接合アセンブリ5901が使用される弁修復デバイスの1つまたは複数の構成要素に取り付けられる、上で説明されているようなロッドまたはチューブなどのプッシャー(図示せず)によって、送達シースまたは送達のための手段から配備され得る。
次に図275~図279を参照すると、拡張可能な接合アセンブリ5901は、引き込みまたは非拡張状態で示されている。拡張可能な接合アセンブリ5901は、近位端5902から遠位端5904まで伸長する。拡張可能な接合アセンブリ5901は、中を通る血流を阻止し、かつ/または妨げることができるカバー、たとえば、本明細書の他のカバーと同じであり、かつ/または類似しているカバーを備え、かつ/またはそのカバーで覆われることができる。近位端5902は、デバイスを送達するためのプッシャーまたは他の機構に取り外し可能に取り付けられるように構成される。拡張可能な接合アセンブリ5901は、中央シャフト5920の周りに配置され、中央シャフト5920のリング形状のロック部5922と、中央シャフト5920の近位端に取り付けられた近位キャップ5930と、の間で伸長する拡張可能なスペーサ5910を備える。チューブ形状の作動要素または作動部材5940は、拡張可能なスペーサ5910と中央シャフト5920との間に配置され、遠位端では作動突起部5942を用いて拡張可能なスペーサ5910に、近位端では近位キャップ5930を通って伸長する作動伸長部5944によって作動プレート5950に連結される。
拡張可能なスペーサ5910は、作動要素または作動部材(図示せず)と共に作動プレート5950を時計回りに回転させて拡張可能なスペーサ5910の遠位端を時計回りに回転させることによって引き込み状態(図275~図283)から拡張状態(図298~図306)に拡張され得る。拡張可能なスペーサ5910が拡張された後、作動プレート5950は、反時計回りに回転させられて、拡張可能なスペーサ5910を拡張状態から引き込み状態に戻すか、または拡張状態と引き込み状態との間の任意の部分的に拡張された位置に戻すことができる。代替的に、拡張可能なスペーサ5910の近位端は、反時計回りに回転されて拡張可能なスペーサ5910を拡張し、時計回りに回転されて拡張可能なスペーサ5910を引き込ませることも可能である。拡張可能なスペーサ5910の特性に応じて、他の回転配置も可能である、すなわち、他の例示的な拡張可能なスペーサは、近位端が静止した状態に保持されている間に遠位端の反時計回りの回転によって、または遠位端が静止した状態に保持されている間に近位端の時計回りの回転によって拡張され得る。以下でさらに詳細に説明されるように、拡張可能なスペーサ5910と中央シャフト5920との間の相互作用は、操作者が拡張可能なスペーサ5910の拡張量を段階的に調整して、拡張および収縮の大きさに対する正確な制御を行うことを可能にする。
次に、図280を参照すると、拡張可能な接合アセンブリ5901の構成要素の特徴をよりよく説明し、構成要素がどのように組み合わされるかを示すために、拡張可能な接合アセンブリ5901の構成要素が分解図で示されている。拡張可能なスペーサ5910は、拡張可能な接合アセンブリ5901の最も外側の構成要素であり、拡張可能なスペーサ5910は作動されて、外向きに拡張されて弁尖の天然の組織(図示せず)と係合させられ得る。拡張可能なスペーサ5910の遠位端のロック部5916は、中央シャフト5920のリング形状のロック部5922と係合し、拡張可能なスペーサ5910の近位端は、近位キャップ5930の保持スロット5936と係合するタブまたは伸長部5913を備える。チューブ形状の作動要素/部材5940は、半径方向において中央シャフト5920と拡張可能なスペーサ5910との間に配置される。中央シャフト5920の近位取り付け部5921は、近位キャップ5930のキー溝付き開口5932と係合して、近位キャップ5930が中央シャフト5920に対して回転しないように近位キャップ5930を中央シャフト5920の近位端に取り付ける。作動要素/部材5940の作動延長部5944は、近位キャップ5930の作動開口部5934を通って伸長し、作動プレート5950の作動突起部5952と係合する。作動要素/部材5940の遠位端の近くの作動突起部5942は、拡張可能なスペーサ5910と係合する。したがって、作動プレート5950を回転することで、拡張可能なスペーサ5910の遠位端は回転し、一方で、保持スロット5936はタブ5913と係合して、拡張可能なスペーサ5910の近位端の回転を妨げる。言い換えると、作動要素/部材5940および拡張可能なスペーサ5910の遠位端は、作動プレート5950と共に回転し、拡張可能なスペーサ5910の近位端、中央シャフト5920、および近位キャップ5930は、回転しない。上述のように、拡張可能なスペーサ5910の近位端および遠位端の相対的な回転は、拡張可能なスペーサ5910の拡張および引き込みを引き起こす。
次に図281~図284を参照すると、拡張可能なスペーサ5910は、引き込み状態で示されている。拡張可能なスペーサ5910は、螺旋状の開口5914によって形成された螺旋状のリブ5912を含む。拡張可能なスペーサ5910は、拡張可能なスペーサ5910の近位端と遠位端との間に多種多様な勾配を有する任意の数の螺旋状のリブ5912を有することができる。保持伸長部またはタブ5913は、拡張可能なスペーサ5910の近位端から伸長し、近位キャップ5930の保持スロット5936内に嵌合して係合するように構成される。拡張可能なスペーサ5910は、中央シャフト5920のリング形状のロック部5922と係合するためのロック部5916を備える。ロック部5916は、ロック部5916の周上に伸長する三角形の形状の鋸歯または歯5918を備え、中央シャフト5920のリング形状のロック部5922の同様の歯または鋸歯5924(たとえば、図285)と係合する形状を有する。作動穴または開口5911は、作動要素/部材5940から伸長する作動突起部5942を受け入れるためにロック部5916の近くの拡張可能なスペーサ5910内に形成される。
拡張可能なスペーサ5910は、切欠5914がレーザカットされて螺旋状のリブ5912を形成する材料のチューブから形成され得る。拡張可能なスペーサ5910は、また、圧延され、溶接される材料の平坦なシートからレーザカットされるか、材料の中実バーから機械加工されるか、または3Dプリンティングなどの付加製造技術を介して形成され得る。拡張可能なスペーサ5910は、ニチノールなどの形状設定材料、または任意の他の適切な材料から形成することができる。
次に図285~図289を参照すると、中央シャフト5920が示されている。中央シャフト5920は、遠位端の近くのリング形状のロック部5922と、近位取り付け部5921と、遠位取り付け部5926と、を含む。ロック部5922は、中央シャフト5920の残りの部分よりも大きい直径を有し、ロック部5922の周上に伸長する歯または鋸歯5924を含む。近位取り付け部5921は、近位キャップ5930のキー溝付き開口5932と接するように2つの平坦な表面を備える。近位取り付け部5921およびキー溝付き開口5932の形状は、近位キャップ5930が中央シャフト5920に対して回転することを妨げる。任意選択で、近位キャップ5930は、ねじ付きファスナー、溶接された連結部、または同様のものなどの任意の好適な手段によって、中央シャフト5920に固定され得る。近位取り付け部5921は、また、上で説明されている方法のいずれかで移植可能な補綴デバイスを送達し、開/閉するための送達ワイヤまたはロッド(図示せず)を受け入れるための開口5928を備える。遠位取り付け部5926は、移植可能な補綴デバイスのパドルを拡張可能な接合アセンブリ5901に取り付けるように構成され得る。
次に図290~図291を参照すると、近位キャップ5930が示されている。近位キャップ5930は、中央シャフトの近位取り付け部5921を受け入れるための中央キー溝付き開口5932、弓形作動スロット5934、および弓形保持スロット5936を含む、実質的に円盤状の構成要素である。作動スロット5934は、作動要素/部材5940の作動伸長部5944が近位キャップ5930を通過し、作動プレート5950と係合することを可能にする。弓形作動スロット5934の長さは、作動要素/部材5940の回転の大きさを制限し、作動要素/部材5940が特定の所定のサイズを超えて拡張可能なスペーサ5910を作動させることを防止するように構成され得る。例示的な一実施形態では、作動要素/部材5940の回転に制限またはストッパーはなく、スペーサ5910の拡張量は、スペーサそれ自体の構成によって制限される。たとえば、作動プレート5950および任意選択のタブは、プレート5950より下に位置決めされるように構成され得る。
図示の実施形態では、保持スロット5936は、拡張可能なスペーサ5910の保持伸長部またはタブ5913を受け入れ、近位キャップ5930に対して拡張可能なスペーサ5910の一端を固定する。いくつかの実施形態では、保持伸長部5913は、近位キャップ5930に溶接され、拡張可能なスペーサ5910を近位キャップ5930にしっかりと永久的に取り付ける。近位キャップ5930は、レーザカット、機械加工、または他の何らかの形で任意の好適な材料から形成され得る。
次に図292~図295を参照すると、チューブ状の作動要素/部材5940が示されている。作動要素/部材5940は、近位キャップ5930と係合する近位端から、拡張可能なスペーサ5910と係合する遠位端まで伸長する。突起部5942は、遠位端の近くの作動要素/部材5940から半径方向に伸長し、拡張可能なスペーサ5910内の開口5911と係合する。突起部5942は、たとえば図292に示されているように、ピン、外向きに折りたたまれた作動要素/部材5940の側面から切り取られたタブ、またはねじ山付きロッドもしくはねじであってよい。作動伸長部5944は、近位端から伸長し、作動プレート5950と接するための作動開口5946を備える。作動要素/部材5940は、平坦なシートからレーザカットされるか、溶接されるか、チューブからレーザカットされるか、機械加工されるか、成形されるか、または他の何らかの形で任意の好適な材料から形成され得る。
次に図296~図297を参照すると、作動プレート5950が示されている。作動プレート5950は、作動要素/部材5940の作動開口5946と係合するための作動突起部5952を備える、実質的に円盤状の構成要素である。キー溝付き中央開口5954は、作動プレートを回転させるための作動機構またはデバイス(図示せず)を受け入れる形状を有する。キー溝付き中央開口5954は、図示されているように十字形であり得るか、または作動機構を受け入れ、係合する任意の好適な形状であってよい。移植可能な補綴デバイスの配備時に、上で説明されている送達ワイヤまたはロッドは、キー溝付き中央開口5954の中心を通り、中央シャフト5920の近位端の開口5928を通り、中央シャフト5920を通り、上述のようにパドルを開閉するキャップ(図示せず)または他の構成要素に至る。正方形の形状の開口は、拡張可能な接合アセンブリを拡張し、引っ込めるための作動機構を受け入れ、係合するために送達ワイヤ(図示せず)の周りで半径方向に配置される。弓形プレート5950は、レーザカットされるか、機械加工されるか、成形されるか、鋳造されるか、または他の何らかの形で任意の好適な材料から形成され得る。
次に図298~図306を参照すると、拡張可能な接合アセンブリ5901は、拡張状態にある拡張可能なスペーサ5910と共に示されている。上で指摘したように、拡張可能なスペーサ5910は、作動プレート5950を時計回り方向5960に回転させることによって拡張され、次いで、拡張可能なスペーサ5910の遠位端も時計回り方向5962に回転することになる。作動プレート5950に印加される作動力は、作動突起部5952を通して作動要素/部材5940の作動伸長部5944に伝達される。この力は、作動要素/部材5940を通して作動突起部5942に伝達され、次いで、拡張可能なスペーサ5910のロック端5916に伝達される。作動力が作動プレート5950に印加されると、拡張可能なスペーサ5910の遠位端が拡張可能なスペーサ5910の近位端に対して時計回りに回転するように、拡張可能なスペーサ5910の近位端は、近位キャップ5930によって静止状態に保持される。
拡張可能なスペーサ5910のリブ5912は、リブ5912が螺旋形状を形成するように拡張可能なスペーサ5910の端部の間に傾斜またはピッチを有して形成される。リブ5912の勾配は、拡張可能なスペーサ5910の端部間の垂直方向の距離と、リブ5912の端部間の円周方向の距離と、によって決定される。すなわち、リブ5912は、各リブの近位端から下に伸長する垂直線と、各リブの遠位端から伸長する水平線と、によって形成される三角形の斜辺を形成する。作動プレート5950に印加される作動力によって、拡張可能なスペーサ5910の遠位端が時計回りに回転すると、円周方向の距離--すなわち、三角形の水平線--が短くなる。リブ5912の始点と終点との間のこの短い距離に対応できるように、リブ5912の中央部は、外向きに弓なりに曲がらざるを得ない。同じ長さのリブ5912は、当初よりも短くなった空間に嵌合せざるを得ない。リブ5912の勾配が小さくなると、リブ5912の開始位置と終了位置との間の距離の差が大きくなる。したがって、より浅い勾配を有するリブ5912は、拡張可能なスペーサ5910の一端の単位回転あたり、より外向きに弓なりに曲がるか、または出っ張ることになる。
拡張可能なスペーサ5910は、非対称的に拡張するように構成されてよく、それにより拡張可能な接合アセンブリ5901の近位端5902に最も近い拡張可能なスペーサ5910の幅は、拡張位置にある拡張可能な接合アセンブリ5901の遠位端5904に最も近い拡張可能なスペーサ5910の幅よりも大きいかまたは小さい。非対称的な拡張は、拡張可能なスペーサ5910の単位回転あたりのリブ5912が外向きに弓なりに曲がるかまたは出っ張る程度を増加または減少させるために、リブ5912に沿ったいくつかの場所の螺旋状のリブ5912の材料の剛性を変更して可撓性の増減を可能にするか、螺旋状のリブ5912の厚さを変更するか、または追加の螺旋状のリブ5912を使用することなど、様々な方法を通じて達成され得る。拡張可能な接合アセンブリ5901は、非対称的拡張を円滑にするために拡張可能なスペーサの全部または一部の拡張を阻止し得る、カバー、たとえば、本明細書の他のカバーと同じであり、かつ/または類似しているカバーを備え、かつ/またはそのカバーで覆われることもできる。たとえば、カバーの一部は、拡張可能な接合アセンブリの近位端5902または遠位端5904の近くで非拡張可能であってもよいが、他の部分は拡張可能であるか、または覆われていない。カバーは、螺旋状のリブ5912の拡張を制約するものとしてよく、それにより、これらは拡張可能なスペーサ5910のいくつかの部分に沿って外向きに拡張し、他の部分に沿っては拡張しないか、またはそれほど拡張しないように付勢される。
ロック部5922と近位キャップ5930との間に組み立てられるときに、拡張可能なスペーサ5910は垂直方向に拡張するように付勢され、拡張可能なスペーサ5910のロック部5916は中央シャフト5920のロック部5922と係合したままである。したがって、拡張可能なスペーサ5910のロック部5916が回転されてリブ5912を拡張するか、または引っ込めると共に、拡張可能なスペーサ5910の歯5918は、中央シャフト5920のロック部5922の歯5924を上下に摺動する。拡張可能なスペーサ5910のロック部5916は、また、拡張可能なスペーサ5910が回転されてリブ5912を拡張するか、または引っ込める前に中央シャフト5920のロック部5922から最初に係合解除されてよく、それにより、拡張可能なスペーサ5910の歯5918は中央シャフト5920のロック部5922の歯5924から引っ込められる。次いで、拡張可能なスペーサ5910は、歯5918、5924が互いに接触していない間に中央シャフト5920に対して回転され、次いで、拡張可能なスペーサ5910のロック部5916が新しいロック位置まで下げられ、中央シャフト5920のロック部5922と再び係合され得る。その結果、拡張可能なスペーサ5910を作動させるのに必要な力は、たとえば、拡張可能なスペーサ5910の材料の剛性を変えるか、螺旋状のリブ5912の厚さを変えるか、または拡張可能な接合アセンブリ5901の組み立て時に拡張可能なスペーサ5910が垂直方向に圧縮される量を変えることなど、拡張可能なスペーサ5910の垂直方向の拡張によって印加される力を増減することによって増減され得る。
拡張可能なスペーサ5910を作動させるのに必要な力は、拡張可能なスペーサ5910および中央シャフト5920のそれぞれの歯5918、5924の形状を変更することによっても変化させることができる。たとえば、異なる形状の歯5918、5924は、作動中に拡張可能なスペーサ5910のより多いまたはより少ない垂直方向の移動を必要とし得る。また、歯5918、5924は、ロック部5916が一方向にのみ回転するようにノコギリ歯形状に変更することも可能である。あるいは、歯5918、5924は、作動時の構成要素の動きを平滑化するために丸みを付けることも可能である。歯5918、5924は、両方向で回転が可能であるが、一方の方向では他方の方向よりも困難であるように、または拡張可能なスペーサ5910の巻き戻し力を打ち消すまたは相殺するように各方向で異なる傾斜を付けられることも可能である。また、歯5918、5924の量も変化させることが可能である。歯5918、5924が多ければ多いほど、拡張可能なスペーサ5910が作動される量の制御が細かく行われ、歯5918、5924が少なければ少ないほど、粗い調整が行われる。
例示的な一実施形態では、歯5918と歯5924との係合は、また、拡張可能なスペーサ5910が圧縮状態にバネで戻るかまたは巻き戻しされることを妨げる。すなわち、歯5918および歯5924の特性は、拡張したスペーサによって印加されるバネ力または巻き戻し力が、作動プレート5950に追加の力を加えることなく、歯5918が歯5924の上を横断して戻ることをさせ得ないように選択される。たとえば、歯5918、5924は、作動プレート5950に垂直方向の持ち上げ力を印加することなく拡張可能なスペーサ5910の歯5918が歯5924の上を横断して戻ることができないような正方形の形状とすることも可能である。
拡張可能なスペーサ5910または中央シャフト5920のいずれかの上の歯5918、5924は、2つの構成要素の一方に間欠的に設けられることも可能である。たとえば、歯5924は、ロック部5922の全周を通して連続的に設けられ、拡張可能なスペーサ5910のロック部5916の円周の2、3、4などの位置にのみ設けられ得る。そのような配置は、連続的に配置された歯5924の形状がロック部5922の周上で変化することを許す。たとえば、隣接する歯の勾配は、作動力が作動開始時に低く、作動が進むにつれて増加する(または低く維持される)ように増加するか、またはその逆も可能である。また、より急な勾配が間欠的に設けられ、それにより、作動プレート5950の回転の大きな増分に達したときに操作者がそのことを知るのを助けることも可能である。また、いくつかの配置は、特定の配置における正方形の形状の歯を有することもあり得、拡張可能なスペーサ5910は、その歯が係合した後に適所にロックされる。
作動機構およびロック機構は、拡張可能な接合アセンブリ5901の遠位端5904の近くに示されているが、構成要素は、近位端5902の近くにロック機構を設けるように再配置されることも可能である。また、ロック機構は、2つの拡張可能なスペーサが機構のいずれかの側に設けられている拡張可能な接合アセンブリ5901の中間の近くに設けられることも可能である。
次に図307~図310を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス6000の例示的な実施形態が示されている。この例示的な実施形態では、接合部材は、非対称的に拡張するように構成される。たとえば、拡張可能な接合部材の近位端は、拡張可能な接合部材の遠位端よりも幅を広くすることができる。この結果、先細りの形状または三角形の形状を有する拡張された接合要素がもたらされ得る。デバイス6000は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス6000は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に、図307~図308を参照すると、補綴スペーサまたは接合デバイス6000は、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー6013によって、送達シースまたは送達のための手段6002から配備することができる。デバイス6000は、2つまたはそれ以上のアンカー6008を有する接合部6004およびアンカー部6006を含むことができる。接合部6004は、スペーサ、たとえば、接合部材または要素6010を含む。各アンカー6008は、外側パドル6020、内側パドル6022、および留め具6030を備え、各々開閉できる。
第1すなわち近位のカラー6011、および第2のカラーすなわちキャップ6014が、接合部6004とアンカー部6006とを互いに対して動かすために使用される。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段6012の作動で、上述の方式で移植するときに僧帽弁弁尖を把持するためにデバイス6000のアンカー部6006を開閉する。アクチュエータ、作動要素、または作動のための手段6012は、多種多様な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素6012(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフト、など)は、ねじ山を付けられ、これにより、作動要素6012が回転することでアンカー部6006を接合部6004に対して移動するものとしてよい。あるいは、作動要素6012は、作動要素6012を押しかつ/または引っ張ることでアンカー部6006が接合部6004に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
接合部材6010は、カラー6011に組み立てられた近位部6019からアンカー6008に連結する遠位部6017まで伸長する。接合部材6010およびアンカー6008は、多種多様な方法で結合することができる。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材6010およびアンカー6008は、任意選択で、接合部材6010とアンカー6008とを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、単一の編まれたか織られた材料から接合部材6010およびアンカー6008を形成することによって達成することができる。一実施形態では、構成要素は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。
アンカー6008は、内側可撓性部分または内側パドル6022によって接合部材6010に取り付けられ、外側可撓性部分6021によってキャップ6014に取り付けられる。アンカー6008は、一対の外側パドル6020を備えることができる。いくつかの実施形態では、アンカー6008は、可撓性部分によって結合されている内側パドル6022および外側パドル6020を備えることができる。パドル6020、6022は、キャップ6014に柔軟に取り付けられたパドルフレーム6024に取り付けられている。
いくつかの実施形態では、アンカー6008は、キャップ6014を近位カラー6011に対して、したがってアンカー6008を接合部材6010に対してキャップ6014と近位カラー6011との間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に動かすことによって様々な形態の間を移動するように構成される。たとえば、アンカー6008は、キャップ6014を接合部材6010から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。アンカー6008は、また、キャップ6014を接合部材6010に向かって動かすことによって閉じた形態として配置することもできる。キャップ6014が作動要素または作動ワイヤ6012によって接合部材6010に向かって最後まで引っ張られたときに、パドル6020は、接合部材6010の中間またはクランプ部6015および任意の天然の組織(たとえば、図示されていない弁尖)に対して閉じられ、接合部材6010とパドル6020との間に捕捉され、デバイス6000を天然の組織に固定するように挟まれる。
接合部材6010の中間部6015は、パドル6020--特にパドルフレーム6024--からの圧縮に対してより良好な抵抗をもたらすために、接合部材6010の他の部分よりも堅いか、または高い剛性を有するものとしてよい。したがって、パドル6020と接合部材6010との間の天然の組織のより堅い把持がもたらされる。接合部材6010が編まれたか、または織られたワイヤから形成されるいくつかの実施形態では、中間部6015は、より大きな直径のワイヤから形成され、それにより中間部をより堅くし圧縮に対する抵抗を高めることができる。いくつかの実施形態では、接合部材6010は、レーザカットされた平坦なシートまたはチューブから形成され(図224~図225参照)、中間部6015が高められた剛性および圧縮に対する抵抗を有するように切断され得る。
本明細書の様々な実施形態では、接合部材(たとえば、接合部材6010など)は、拡張可能な部分(たとえば、拡張可能な部分6040など)を含む。拡張可能な部分は、1つまたは複数の拡張可能な接合またはスペーサ部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部分は、少なくとも第1および第2の接合またはスペーサ部材(および、任意選択で、追加の拡張可能な部材)を含み、たとえば、拡張可能な部分6040は、引き込み状態から拡張状態まで接合部材6010から伸長する、各々近位端6043および遠位端6045を有する、少なくとも第1の拡張可能な接合またはスペーサ部材6042および第2の拡張可能な接合またはスペーサ部材6044を含むことができる。第1の拡張可能な接合部材(たとえば、6042)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、6044)は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。第1の拡張可能な接合部材(たとえば、6042)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、6044)は、非対称的に拡張して、天然の心臓弁がデバイスの周り(たとえば、デバイス6000の周り)で閉じるときに収縮期において弁尖20と弁尖22との間に残された異なる形状の隙間26A、26Bに対応することができる。たとえば、拡張可能な接合部材6042、6044の近位端6043は、拡張可能な接合部材6042、6044の遠位端6045よりも幅が広くてよく、拡張可能な部分6040は先細りの形状または三角形の形状を有する。
拡張可能な部分6040は、上述の補助スペーサまたは接合要素(たとえば、デバイス4100の補助接合要素4106、4108)に類似している。拡張可能な部分6040は、剛性がより高い中間部6015と比べて高い可撓性または柔軟性を有し、デバイス6000の移植中に医師によって積極的に拡張され、かつ引っ込められ得る。拡張可能な部分6040の可撓性または柔軟さはまた、弁尖20、22が移植されたデバイス6040に対して閉じるときに、拡張可能な部分6000の表面が天然の弁尖20、22の形状に適合することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6042および第2の拡張可能な接合部材6044は、たとえば、図256~図271に図示され、上でさらに詳細に説明されている接合部材などの、接合部材6010の中間部6015に形成された1つまたは複数の開口または陥凹部から外向きに拡張するように形成され得る。すなわち、拡張可能な接合部材6040は、任意選択で、第1の拡張可能な接合部材6042および第2の拡張可能な接合部材6044を形成するために、拡張可能な接合部材6040の一部が接合部材6010の開口を通して外向きに拡張可能であるように、接合部材6010とは別個に形成され、接合部材6010内に配置され得る。あるいは、拡張可能な接合部材6040は、中間部6015と一体化して形成され、屈曲して中間部6015を出入りすることができる。この屈曲は、拡張可能な接合部材6040が、接合部材6010の陥凹部を通って外向きに伸長し、第1の拡張可能な接合部6042および第2の拡張可能な接合部6044を形成することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6042および第2の拡張可能な接合部材6044は、たとえば、図256~図257に例示され、上でさらに詳細に説明されている接合部材など、接合部材6010内に配設され、遠位端6017の内部に取り付けられる、ニチノールワイヤなどの、材料の編まれるか、または織られたチューブから形成され得る。チューブの近位端を押すことで、チューブの側部を接合部材6010内の開口に通して外に拡張させて第1の拡張可能な接合部材6042および第2の拡張可能な接合部材6044を形成し、チューブの近位端を引っ張ることで、チューブの側部を引っ込めて、第1の拡張可能な接合部材6042および第2の拡張可能な接合部材6044を接合部材6010に向かってかつ/または接合部材6010の中に引き込ませる。
拡張可能な部分6040の第1の接合部材6042および第2の接合部材6044は、また、接合部材6042、6044を接合部材6010から外向きに拡張するように膨張させられる1つまたは複数のバルーンから形成され、かつ/またはそれによって拡張され得る。1つまたは複数のバルーンは、機械的手段によってバルーン内に注入される生理食塩水を用いて、または化学的に反応して拡張しバルーンを拡張させる2つまたはそれ以上の構成要素の混合で膨張させることができる。
拡張可能な部分6040の第1の接合部材6042および第2の接合部材6044は、たとえば、図272~図273に図示され、上でさらに詳細に説明されているデバイスなど、拡張状態でロックされ、第1の接合部材6042、および第2の接合部材6044を引っ込めるようにロック解除されることが可能な内部機構の操作--すなわち回転--を通じて拡張させられる成形シリコーン材料から形成され得る。
留め具6030は、アタッチメントすなわち固定部6032、およびアームすなわち可動部6034を備えることができる。アタッチメントすなわち固定部6032は、縫合糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合の手段を用いるなど、様々な方法でアンカー6008のパドル部分6020に結合するか、または連結することができる。留め具6030は、本明細書で説明されている留め具430に類似しているか、または同じであってよい。
可動部6034は、開いた形態と閉じた形態との間で固定部6032に対して移動し、屈曲し、かつ/または旋回することができる。いくつかの実施形態では、留め具6030は閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部6032および可動部6034は、天然の弁尖を固定部6032と可動部6034との間に配置できるように互いに離れるように移動するか、屈曲するか、または旋回する。閉じた形態では、固定部6032および可動部6034は互いの方に向かって移動するか、屈曲するか、または旋回し、それによって天然の弁尖を固定部6032と可動部6034との間に固定する。
各留め具6030は、プッシュロッドまたはチューブ6013がカラー6011を適所に保持している間に、送達シースまたは送達のための手段6002を通って留め具6030の可動部6034まで伸長する取り付けられているアクチュエータまたは作動ライン6016を引っ張ることによって、別々に開くことができる。アクチュエータまたは作動ライン6016は、たとえばライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のものなどの、多種多様な形態を取り得る。留め具6030はばね仕掛けであるか、または他の何らかの形で付勢され、それにより閉位置において留め具6030は、把持された天然の弁尖にピンチ力を継続して与えることができる。たとえば、固定アーム6032は、ばね部6038によって可動アーム6034に取り付けられ得る。このピンチ力は、パドル部分6020の位置にかかわらず一定のままである。留め具6030の返しまたは固定のための手段6036は、天然の弁尖を穿孔して天然の弁尖をさらに固定することができる。
次に図311~図314を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス6100の例示的な実施形態が示されている。この例示的な実施形態では、接合部材は、非対称的に拡張するように構成される。たとえば、拡張可能な接合部材の遠位端は、拡張可能な接合部材の近位端よりも幅を広くすることができる。この結果、先細りの形状または三角形の形状を有する拡張された接合要素がもたらされ得る。デバイス6100は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス6100は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に、図311~図312を参照すると、補綴スペーサまたは接合デバイス6100は、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー6113によって、送達シースまたは送達のための手段6102から配備することができる。デバイス6100は、2つまたはそれ以上のアンカー6108を有する接合部6104およびアンカー部6106を含むことができる。接合部6104は、スペーサ、たとえば、接合部材または要素6110を含む。各アンカー6108は、外側パドル6120、内側パドル6122、および留め具6130を備え、各々開閉できる。
第1すなわち近位のカラー6111、および第2のカラーすなわちキャップ6114が、接合部6104とアンカー部6106とを互いに対して動かすために使用される。アクチュエータ、作動要素または作動のための手段6112の作動で、上述の方式で移植するときに僧帽弁弁尖を把持するためにデバイス6100のアンカー部6106を開閉する。アクチュエータ、作動要素または作動のための手段6112は、多種多様な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素6112(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフト、など)は、ねじ山を付けられ、これにより、作動要素6112が回転することでアンカー部6106を接合部6104に対して移動するものとしてよい。あるいは、作動要素6112は、作動要素6112を押しかつ/または引っ張ることでアンカー部6106が接合部6104に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
いくつかの実施形態において、接合部材6110は、カラー6111に組み付けられた近位部6119からアンカー6108に連結する遠位部6117まで伸長する。接合部材6110およびアンカー6108は、様々な方法で一緒に結合され得る。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材6110およびアンカー6108は、任意選択で、接合部材6110とアンカー6108とを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、単一の編まれたか織られた材料から接合部材6110およびアンカー6108を形成することによって達成することができる。一実施形態では、構成要素は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。
アンカー6108は、内側可撓性部分または内側パドル6122によって接合部材6110に取り付けられ、外側可撓性部分6121によってキャップ6114に取り付けられる。アンカー6108は、一対の外側パドル6120を備えることができる。いくつかの実施形態では、アンカー6108は、可撓性部分によって結合されている内側パドル6122および外側パドル6120を備えることができる。パドル部分6120、6122は、キャップ6114に可撓性を有するように取り付けられているパドルフレーム6124に取り付けられている。
いくつかの実施形態では、アンカー6108は、キャップ6114を近位カラー6111に対して、したがってアンカー6108を接合部材6110に対してキャップ6114と近位カラー6111との間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に動かすことによって様々な形態の間を移動するように構成される。たとえば、アンカー6108は、キャップ6114を接合部材6110から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。アンカー6108は、また、キャップ6114を接合部材6110に向かって動かすことによって閉じた形態に位置決めすることもできる。キャップ6114が作動要素または作動ワイヤ6112によって接合部材6110に向かって最後まで引っ張られたときに、パドル6120は、接合部材6110の中間またはクランプ部6115および任意の天然の組織(たとえば、図示されていない弁尖)に対して閉じられ、接合部材6110とパドル6120との間に捕捉され、デバイス6100を天然の組織に固定するように挟まれる。
接合部材6110の中間部6115は、パドル6120--特にパドルフレーム6124--からの圧縮に対してより良好な抵抗をもたらすために、接合部材6110の他の部分よりも堅いか、または高い剛性を有するものとしてよい。したがって、パドル6120と接合部材6110との間の天然の組織のより堅い把持がもたらされる。接合部材6110が編まれたか、または織られたワイヤから形成されるいくつかの実施形態では、中間部6115は、より大きな直径のワイヤから形成され、それにより中間部をより堅くし圧縮に対する抵抗を高めることができる。いくつかの実施形態では、接合部材6110は、レーザカットされた平坦なシートまたはチューブから形成され(図224~図225参照)、中間部6115が高められた剛性および圧縮に対する抵抗を有するように切断され得る。
本明細書の様々な実施形態では、接合部材(たとえば、接合部材6110など)は、拡張可能な部分(たとえば、拡張可能な部分6140など)を含む。拡張可能な部分は、1つまたは複数の拡張可能な接合またはスペーサ部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部分は、少なくとも第1および第2の接合またはスペーサ部材(および、任意選択で、追加の拡張可能な部材)を含み、たとえば、拡張可能な部分6140は、引き込み状態から拡張状態まで接合部材6110から伸長する、各々近位端6143および遠位端6145を有する、少なくとも第1の拡張可能な接合またはスペーサ部材6142および第2の拡張可能な接合またはスペーサ部材6144を含むことができる。第1および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、6142、6144)は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。第1の拡張可能な接合部材(たとえば、6142)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、6144)は、非対称的に拡張して、天然の心臓弁がデバイスの周り(たとえば、デバイス6100の周り)で閉じるときに心臓収縮期において弁尖20と弁尖22との間に残された異なる形状の隙間26A、26Bに対応することができる。たとえば、拡張可能な接合部材6142、6144の遠位端6145は、拡張可能な接合部材6142、6144の近位端6143よりも幅が広くてよく、拡張可能な部分6140は先細りの形状または三角形の形状を有する。
拡張可能な部分6140は、上述の補助スペーサまたは接合要素(たとえば、デバイス4100の補助接合要素4106、4108)に類似している。拡張可能な部分6140は、剛性がより高い中間部6115と比べて高い可撓性または柔軟性を有し、デバイス6100の移植中に医師によって積極的に拡張され、かつ引っ込められ得る。拡張可能な部分6140の可撓性または柔軟さはまた、弁尖20、22が移植されたデバイス6100に対して閉じるときに、拡張可能な部分6140の表面が天然の弁尖20、22の形状に適合することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6142および第2の拡張可能な接合部材6144は、たとえば、図256~図271に図示され、上でさらに詳細に説明されている接合部材などの、接合部材6110の中間部6115に形成された1つまたは複数の開口または陥凹部から外向きに拡張するように形成され得る。すなわち、拡張可能な接合部材6140は、任意選択で、第1の拡張可能な接合部材6142および第2の拡張可能な接合部材6144を形成するために、拡張可能な接合部材6140の一部が接合部材6110の開口を通して外向きに拡張可能であるように、接合部材6110とは別個に形成され、接合部材6110内に配置され得る。あるいは、拡張可能な接合部材6140は、中間部6115と一体化して形成され、屈曲して中間部6115を出入りすることができる。この屈曲は、拡張可能な接合部材6140が、接合部材6110の陥凹部を通って外向きに伸長し、第1の拡張可能な接合部6142および第2の拡張可能な接合部6144を形成することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6142および第2の拡張可能な接合部材6144は、たとえば、図256~図257に例示され、上でさらに詳細に説明されている接合部材など、接合部材6110内に配設され、遠位端6117の内部に取り付けられる、ニチノールワイヤなどの、材料の編まれるか、または織られたチューブから形成され得る。チューブの近位端を押すことで、チューブの側部を接合部材6110内の開口に通して外に拡張させて第1の拡張可能な接合部材6142および第2の拡張可能な接合部材6144を形成し、チューブの近位端を引っ張ることで、チューブの側部を引っ込めて、第1の拡張可能な接合部材6142および第2の拡張可能な接合部材6144を接合部材6110に向かってかつ/または接合部材6010の中に引き込ませる。
拡張可能な部分6140の第1の接合部材6142および第2の接合部材6144は、また、接合部材6142、6144を接合部材6110から外向きに拡張するように膨張させられる1つまたは複数のバルーンから形成され、かつ/またはそれによって拡張され得る。1つまたは複数のバルーンは、機械的手段によってバルーン内に注入される生理食塩水を用いて、または化学的に反応して拡張しバルーンを拡張させる2つまたはそれ以上の構成要素の混合で膨張させることができる。
拡張可能な部分6140の第1の接合部材6142および第2の接合部材6144は、たとえば、図272~図273に図示され、上でさらに詳細に説明されているデバイスなど、拡張状態でロックされ、第1の接合部材6142、および第2の接合部材6144を引っ込めるようにロック解除されることが可能な内部機構の操作--すなわち回転--を通じて拡張させられる成形シリコーン材料から形成され得る。
留め具6130は、アタッチメントすなわち固定部6132、およびアームすなわち可動部6134を備えることができる。アタッチメントすなわち固定部6132は、糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合の手段を用いるなど、様々な方法でアンカー6108のパドル部分6120に結合するか、または連結することができる。留め具6130は、本明細書に記載される留め具430に類似しているか、または同じであってよい。
可動部6134は、開いた形態と閉じた形態との間で固定部6132に対して移動するか、屈曲するか、かつ/または旋回することができる。いくつかの実施形態では、留め具6130は閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部6132および可動部6134は、天然の弁尖を固定部6132と可動部6134との間に配置できるように互いに離れるように移動するか、屈曲するか、または旋回する。閉じた形態では、固定部6132および可動部6134は互いの方に向かって移動するか、屈曲するか、または旋回し、それによって天然の弁尖を固定部6132と可動部6134との間に固定する。
各留め具6130は、プッシュロッドまたはチューブ6113がカラー6111を適所に保持している間に、送達シースまたは送達のための手段6102を通って留め具6130の可動部6134まで伸長する取り付けられているアクチュエータまたは作動ライン6116を引っ張ることによって、別々に開くことができる。アクチュエータまたは作動ライン6116は、たとえばライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のものなどの、多種多様な形態を取り得る。留め具6130はばね仕掛けであるか、または他の何らかの形で付勢され、それにより閉位置において留め具6130は、把持された天然の弁尖にピンチ力を継続して与えることができる。たとえば、固定アーム6132は、ばね部6138によって可動アーム6134に取り付けられ得る。このピンチ力は、パドル部分6120の位置にかかわらず一定のままである。留め具6130の返しまたは固定のための手段6136は、天然の弁尖を穿孔して天然の弁尖をさらに固定することができる。
次に図315~図318を参照すると、移植可能な補綴スペーサデバイス6200の例示的な実施形態が示されている。デバイス6200は、本出願において論じられている移植可能な補綴デバイスの任意の他の特徴を含むことができ、またデバイス6200は、任意の適切な弁修復システム(たとえば、本出願において開示されている任意の弁修復システム)の一部として弁組織20、22に係合するように配置することができる。
次に、図315~図316を参照すると、例示的な一実施形態では、補綴スペーサまたは接合デバイス6200は、デバイス6200のパドル部分6220に向かって外向きに拡張することができる拡張可能な部分6240を備えることができる。補綴スペーサまたは接合デバイス6200は、上述のようなロッドまたはチューブなどのプッシャー6213によって、送達シースまたは送達のための手段6202から配備することができる。デバイス6200は、2つまたはそれ以上のアンカー6208を有する接合部6204およびアンカー部6206を含むことができる。接合部6204は、スペーサ、たとえば、接合部材または要素6210を含む。各アンカー6208は、外側パドル6220および留め具6230を備え、各々開閉できる。
第1すなわち近位のカラー6211、および第2のカラーすなわちキャップ6214が、接合部6204とアンカー部6206とを互いに対して動かすために使用される。アクチュエータ、作動要素または作動のための手段6212の作動で、上述の方式で移植するときに僧帽弁弁尖を把持するためにデバイス6200のアンカー部6206を開閉する。アクチュエータ、作動要素または作動のための手段6212は、多種多様な異なる形態を取り得る。たとえば、作動要素6212(たとえば、作動ワイヤ、作動シャフト、など)は、ねじ山を付けられ、これにより、作動要素6212が回転することでアンカー部6206を接合部6204に対して移動するものとしてよい。あるいは、作動要素6212は、作動要素6212を押しかつ/または引っ張ることでアンカー部6206が接合部6204に対して動くように、ねじ山が付けられないこともある。
接合部材6210は、カラー6211に組み付けられた近位部6219からアンカー6208に連結する遠位部6217まで伸長する。接合部材6210およびアンカー6208は、多種多様な方法で結合することができる。たとえば、図示の実施形態に示されているように、接合部材6210およびアンカー6208は、任意選択で、接合部材6210とアンカー6208とを単一の一体の構成要素として一体化して形成することによって結合することができる。これは、たとえば、編まれたか織られたニチノールワイヤなどの、単一の編まれたか織られた材料から接合部材6210およびアンカー6208を形成することによって達成することができる。一実施形態では、構成要素は、別々に形成され、一緒に取り付けられる。
アンカー6208は、内側可撓性部分または内側パドル6222によって接合部材6210に取り付けられ、外側可撓性部分6221によってキャップ6214に取り付けられる。アンカー6208は、一対の外側パドル6220を備えることができる。いくつかの実施形態では、アンカー6208は、可撓性部分によって結合されている内側パドル6222および外側パドル6220を備えることができる。パドル6220、6222は、キャップ6214に柔軟に取り付けられたパドルフレーム6224に取り付けられている。
いくつかの実施形態では、アンカー6208は、キャップ6214を近位カラー6211に対して、したがってアンカー6208を接合部材6210に対してキャップ6214と近位カラー6211との間に伸長する長手方向軸に沿って軸方向に動かすことによって様々な形態の間を移動するように構成される。たとえば、アンカー6208は、キャップ6214を接合部材6210から離れるように動かすことによってまっすぐな形態として配置することができる。アンカー6208は、また、キャップ6214を接合部材6210に向かって動かすことによって閉じた形態として配置することもできる。キャップ6214が作動要素または作動ワイヤ6212によって接合部材6210に向かって最後まで引っ張られたときに、パドル6220は、接合部材6210の中間またはクランプ部6215および任意の天然の組織(たとえば、図示されていない弁尖)に対して閉じられ、接合部材6210とパドル6220との間に捕捉され、デバイス6200を天然の組織に固定するように挟まれる。
接合部材6210の中間部6215は、パドル6220--特にパドルフレーム6224--からの圧縮に対してより良好な抵抗をもたらすために、接合部材6210の他の部分よりも堅いか、または高い剛性を有するものとしてよい。したがって、パドル6220と接合部材6210との間の天然の組織のより堅い把持がもたらされる。接合部材6210が編まれたか、または織られたワイヤから形成されるいくつかの実施形態では、中間部6215は、より大きな直径のワイヤから形成され、それにより中間部をより堅くし圧縮に対する抵抗を高めることができる。いくつかの実施形態では、接合部材6210は、レーザカットされた平坦なシートまたはチューブから形成され(図224~図225参照)、中間部6215が高められた剛性および圧縮に対する抵抗を有するように切断され得る。
本明細書の様々な実施形態では、接合部材(たとえば、接合部材6210など)はまた、拡張可能な部分(たとえば、拡張可能な部分6240など)を含む。拡張可能な部分は、1つまたは複数の拡張可能な接合またはスペーサ部材を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張可能な部分は、少なくとも第1および第2の接合またはスペーサ部材(および、任意選択で、追加の拡張可能な部材)を含み、たとえば、拡張可能な部分6240は、引き込み状態から拡張状態まで接合部材6210から伸長する少なくとも第1の拡張可能な接合またはスペーサ部材6242および第2の拡張可能な接合またはスペーサ部材6244を含むことができる。第1の拡張可能な接合部材(たとえば、6242)および第2の拡張可能な接合部材(たとえば、6244)は、同時にまたは独立して作動されるように構成され得る。拡張可能な部分6240は、デバイス6200のパドル部分6220に向かって外向きに拡張するものとしてよく、それにより、パドル部分6220は、天然の弁尖20、22を部分的に閉じられた位置に固定し得る。
拡張可能な部分6240は、上述の補助スペーサまたは接合要素(たとえば、デバイス4100の補助接合要素4106、4108)に類似している。拡張可能な部分6240は、剛性がより高い中間部6215と比べて高い可撓性または柔軟性を有し、デバイス6200の移植中に医師によって積極的に拡張され、かつ引っ込められ得る。拡張可能な部分6240の可撓性または柔軟さはまた、弁尖20、22が移植されたデバイス6200に対して閉じるときに、拡張可能な部分6240の表面が天然の弁尖20、22の形状に適合することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6242および第2の拡張可能な接合部材6244は、接合部材6210の中間部6215に形成された1つまたは複数の開口または陥凹部から外向きに拡張するように形成することもできる。すなわち、拡張可能な接合部材6240は、任意選択で、第1の拡張可能な接合部材6242および第2の拡張可能な接合部材6244を形成するために、拡張可能な接合部材6240の一部が接合部材6210の開口を通して外向きに拡張可能であるように、接合部材6210とは別個に形成され、接合部材6210内に配置され得る。あるいは、拡張可能な接合部材6240は、中間部6215と一体化して形成され、屈曲して中間部6215を出入りすることができる。この屈曲は、拡張可能な接合部材6240が、接合部材6210の陥凹部を通って外向きに伸長し、第1の拡張可能な接合部6242および第2の拡張可能な接合部6244を形成することを可能にする。
第1の拡張可能な接合部材6242および第2の拡張可能な接合部材6244は、たとえば、図256~図257に例示され、上でさらに詳細に説明されている接合部材など、接合部材6210内に配設され、遠位端6217の内部に取り付けられる、ニチノールワイヤなどの、材料の編まれるか、または織られたチューブから形成され得る。チューブの近位端を押すことで、チューブの側部を接合部材6210内の開口に通して外に拡張させて第1の拡張可能な接合部材6242および第2の拡張可能な接合部材6244を形成し、チューブの近位端を引っ張ることで、チューブの側部を引っ込めて、第1の拡張可能な接合部材6242および第2の拡張可能な接合部材6244を接合部材6210に向かってかつ/または接合部材6210の中に引き込ませる。
拡張可能な部分6240の第1の接合部材6242および第2の接合部材6244は、また、接合部材6242、6244を接合部材6210から外向きに拡張するように膨張させられる1つまたは複数のバルーンから形成され、かつ/またはそれによって拡張され得る。1つまたは複数のバルーンは、機械的手段によってバルーン内に注入される生理食塩水を用いて、または化学的に反応して拡張しバルーンを拡張させる2つまたはそれ以上の構成要素の混合で膨張させることができる。
拡張可能な部分6240の第1の接合部材6242および第2の接合部材6240は、たとえば、図272~図273に図示され、上でさらに詳細に説明されているデバイスなど、拡張状態でロックされ、第1の接合部材6242、および第2の接合部材6244を引っ込めるようにロック解除されることが可能な内部機構の操作--すなわち回転--を通じて拡張させられる成形シリコーン材料から形成され得る。
留め具6230は、アタッチメントすなわち固定部6232、およびアームすなわち可動部6234を備えることができる。アタッチメントすなわち固定部6232は、縫合糸、接着剤、締結具、溶接、縫合、かしめ、摩擦嵌合、および/または他の結合のための手段を用いるなど、様々な方法でアンカー6208のパドル部分6220に結合するか、または連結することができる。留め具6230は、本明細書で説明されている留め具430に類似しているか、または同じであってよい。
可動部6234は、開いた形態と閉じた形態との間で固定部6232に対して移動し、屈曲し、かつ/または旋回することができる。いくつかの実施形態では、留め具6230は閉じた形態へ付勢することができる。開いた形態では、固定部6232および可動部6234は、天然の弁尖を固定部6232と可動部6234との間に配置できるように互いに離れるように移動するか、屈曲するか、または旋回する。閉じた形態では、固定部6232および可動部6234は互いの方に向かって移動するか、屈曲するか、または旋回し、それによって天然の弁尖を固定部6232と可動部6234との間に固定する。
各留め具6230は、プッシュロッドまたはチューブ6213がカラー6211を適所に保持している間に、送達シースまたは送達のための手段6202を通って留め具6230の可動部6234まで伸長する取り付けられているアクチュエータまたは作動ライン6216を引っ張ることによって、別々に開くことができる。アクチュエータまたは作動ライン6216は、たとえばライン、縫合糸、ワイヤ、ロッド、カテーテル、または同様のものなどの、多種多様な形態を取り得る。留め具6230はばね仕掛けであるか、または他の何らかの形で付勢され、それにより閉位置において留め具6230は、把持された天然の弁尖にピンチ力を継続して与えることができる。たとえば、固定アーム6232は、ばね部6238によって可動アーム6234に取り付けられ得る。このピンチ力は、パドル部分6220の位置にかかわらず一定のままである。留め具6230の返しまたは固定のための手段6236は、天然の弁尖を穿孔して天然の弁尖をさらに固定することができる。
上で述べられたように、本明細書で開示されている拡張可能な接合部は、図258~図273および図275~図306によって図示されているように、多種多様な異なる方法で伸長し、かつ/または引っ込めることができる。本明細書で開示されている様々な拡張および引き込み機構は、多種多様な異なる方法で組み合わせることもできる。たとえば、バネ仕掛けの拡張可能な接合部材(図268~図271)は、ロック部材およびロック(図264~図265)を含むことも可能であり、多種多様な作動制御機構および異なる形状の拡張可能な接合要素が天然の心臓弁の弁尖間の様々な隙間形状およびサイズに適応することを可能にする複数の拡張可能な接合部材(図266~図267)を含むことが可能である。
本開示の様々な発明の態様、概念および特徴が、例示的な実施形態の組合せで具現化されるものとして本明細書に記載され図示されていようが、これらの様々な態様、概念、および特徴は、多くの代替実施形態において個別に、またはその様々な組合せおよび下位組合せで、用いることができる。本明細書で特に除外されていない限り、すべてのこのような組合せ、および下位の組合せは、本出願の範囲内に入るものである。さらに、本開示の様々な態様、概念および特徴に関しての様々な代替形態(代替的な材料、構造、形態、方法、デバイスおよび構成要素、ならびに形状、適合性および機能に関しての代替形態など)が本明細書に記載されていようが、このような説明は、現在知られていようといまいと、または今後開発されようとされまいと、使用可能な代替実施形態の完全な、または網羅的なリストになるべきものではない。当業者であれば、本発明の態様、概念および特徴のうちの1つ以上を本出願の範囲内でさらなる実施形態および用途に容易に採り入れることが、たとえそのような実施形態が本明細書に明示的に開示されていないとしてもできるであろう。
加えて、本開示のいくつかの特徴、概念、または態様が好ましい構成または方法として本明細書に記載されているとしても、このような記載は、特に明記されていない限り、そのような特徴が要求される、または必要であることを示唆するものではない。さらに、例示的または代表的な値および範囲が、本出願を理解する助けになるように含まれることがあるが、このような値および範囲は、限定的な意味に解釈されるべきではなく、明記されている場合に限って限界の値または範囲となるべきものである。
さらに、様々な態様、特徴および概念が、発明であるとして、または開示の一部を形成するとして明示的に特定されていることもあるが、このような特定は排他的なものではなく、むしろ、このような特定の開示またはその一部として明示的に特定されることなく本明細書に完全に記載されている発明の態様、概念、および特徴があることもあり、これらの開示は代わりに添付の特許請求の範囲に示されている。例示的な方法およびプロセスについての記述は、明示されていない限り、すべての場合に必要とされるものとして全ステップを含むことに限定されることもなければ、ステップが提示されている順序が要求される、または必要であると解釈されるべきでもない。さらに、本明細書において説明されるか、または示唆されている、治療技術、方法、操作、ステップなどは、生きている動物、または、解剖用死体、解剖用死体の心臓、模擬実験装置(たとえば、身体の一部、組織などが模擬される)などの非生体模擬実験で実行できる。特許請求の範囲において使用される語は、その完全な通常の意味を有し、本明細書における実施形態についての説明によっては何ら限定されない。
[付記項1]
患者の天然の弁を修復するための弁修復デバイスであって、
開口を有する接合要素と、
前記接合要素内に配置され、前記接合要素の前記開口を通って外向きに拡張するように構成された拡張可能な接合部であって、近位端と遠位端との間に伸長する、拡張可能な接合部と、
前記拡張可能な接合部と係合して前記拡張可能な接合部を拡張し、引っ込める作動部材と、
前記患者の前記天然の弁に取り付けるように構成された少なくとも1つのアンカーを有するアンカー部と、を備える弁修復デバイス。
[付記項2]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して対称的に拡張する付記項1に記載の弁修復デバイス。
[付記項3]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して非対称的に拡張し、それにより前記拡張可能な接合部の前記遠位端は、前記拡張可能な接合部の前記近位端よりも大きい幅まで伸長する付記項1に記載の弁修復デバイス。
[付記項4]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して非対称的に拡張し、それにより前記拡張可能な接合部の前記近位端は、前記拡張可能な接合部の前記遠位端よりも大きい幅まで伸長する付記項1に記載の弁修復デバイス。
[付記項5]
前記拡張可能な接合部は、第1の拡張可能な接合部および第2の拡張可能な接合部を含み、
前記第1の拡張可能な接合部は、前記接合要素の第1の開口を通って第1の距離まで伸長し、
前記第2の拡張可能な接合部は、前記接合要素の第2の開口を通って第2の距離まで伸長する付記項1、3、または4のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項6]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を押して、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項1~5のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項7]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項1~5のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項8]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を押し、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの他方を引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項1~5のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項9]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記遠位端を通り、前記近位端まで引き回される可撓性作動部材である付記項1~8のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項10]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の近位部に取り付けられる付記項1~9のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項11]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の遠位部に取り付けられる付記項1~9のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項12]
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長し、前記拡張可能な接合部を前記伸長状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備える付記項1~11のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項13]
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長し、前記拡張可能な接合部を前記引き込み状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備える付記項1~11のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項14]
前記弁修復デバイスは、
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長するロック部材と、
ロック状態とロック解除状態とを有するロックと、をさらに備え、
前記ロック解除状態では、前記ロックは、前記近位端および前記遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するときに前記ロック部材が長さを変えることを可能にし、
前記ロック状態では、前記ロックは、前記近位端および前記遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するときに前記ロック部材が長さを変えることを妨げる付記項1~13のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項15]
前記作動部材は、第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、前記拡張可能な接合部を引き込み状態から伸長状態へと拡張させる回転可能カム部材を備える付記項1~14のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項16]
前記弁修復デバイスは、
シャフトと、
前記シャフトが伸長して通り抜けるカラーであって、前記接合要素に取り付けられている、カラーと、
前記シャフトに取り付けられたキャップであって、前記シャフトによって前記カラーから遠くへ動かすことができる、キャップと、
複数のパドル部分であって、開位置と閉位置との間で移動可能であり、前記患者の前記天然の弁に取り付けるように構成されている、複数のパドル部分と、を備え、
前記キャップが前記カラーに向かって動くことにより前記パドル部分を前記閉位置へ動かし、前記キャップが前記カラーから離れる方向に動くことにより前記パドル部分を前記開位置へ動かす付記項1~15のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項17]
前記シャフトは、拡張可能な接合部を通って伸長する付記項16に記載の弁修復デバイス。
[付記項18]
前記拡張可能な接合部は、前記弁修復デバイスの前記パドル部分に向かって拡張する付記項16または17に記載の弁修復デバイス。
[付記項19]
前記拡張可能な接合部の幅は、前記拡張可能な接合部の長さに反比例する付記項1~18のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項20]
前記拡張可能な接合部は、編まれた材料のチューブから形成される付記項1~19のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項21]
前記拡張可能な接合部は、形状記憶合金から形成される付記項1~20のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項22]
前記拡張可能な接合部は、エラストマー材料から形成される付記項1~20のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項23]
前記接合要素および前記拡張可能な接合部のうちの1つまたは複数の上に伸長するカバーをさらに備える付記項1~22のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項24]
前記接合要素は、前記弁修復デバイスが前記天然の弁に付けられたときに、前記患者の前記天然の弁の隙間を閉じるように構成されている付記項1~23のいずれか一項に記載の弁修復デバイス。
[付記項25]
拡張可能なスペーサアセンブリであって、
中央シャフトと、
前記中央シャフトの周りに回転可能に配置された作動チューブと、
前記中央シャフトに固定された第1の端部と前記ロックチューブに固定された第2の端部とを有する拡張可能なスペーサと、を備え、
前記中央シャフトに対する前記作動チューブの回転により、前記拡張可能なスペーサを拡張させる拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項26]
前記中央シャフトのロック部が、前記拡張可能なスペーサのロック部と係合して、前記スペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持する付記項25に記載の拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項27]
前記中央シャフトの歯が、前記拡張可能なスペーサの歯と係合して、前記スペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持する付記項25または付記項26に記載の拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項28]
前記スペーサの近位端が、前記中央シャフトの近位端に固定され、前記スペーサの遠位端が、前記作動チューブの遠位端に固定される付記項25~27のいずれか一項に記載の拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項29]
前記スペーサは、複数の切れ目を有するチューブを備える付記項25~28のいずれか一項に記載の拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項30]
前記スペーサは、複数の螺旋形状の切れ目を有するチューブを備える付記項25~29のいずれか一項に記載の拡張可能なスペーサアセンブリ。
[付記項31]
患者の天然の弁を修復するためのシステムであって、
送達カテーテルと、
前記送達カテーテルに結合される弁修復デバイスと、を備え、前記弁修復デバイスは、
開口を有する接合要素と、
前記接合要素内に配置され、前記接合要素の前記開口を通って外向きに拡張するように構成された拡張可能な接合部であって、近位端と遠位端との間に伸長する、拡張可能な接合部と、
前記拡張可能な接合部と係合して前記拡張可能な接合部を拡張し、引っ込める作動部材と、
前記患者の前記天然の弁に取り付けるように構成された少なくとも1つのアンカーを有するアンカー部と、を備えるシステム。
[付記項32]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して対称的に拡張する付記項31に記載のシステム。
[付記項33]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して非対称的に拡張し、それにより前記拡張可能な接合部の前記遠位端は、前記拡張可能な接合部の前記近位端よりも大きい幅まで伸長する付記項31に記載のシステム。
[付記項34]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の2つの開口を通して非対称的に拡張し、それにより前記拡張可能な接合部の前記近位端は、前記拡張可能な接合部の前記遠位端よりも大きい幅まで伸長する付記項31に記載のシステム。
[付記項35]
前記拡張可能な接合部は、第1の拡張可能な接合部および第2の拡張可能な接合部を含み、
前記第1の拡張可能な接合部は、前記接合要素の第1の開口を通って第1の距離まで伸長し、
前記第2の拡張可能な接合部は、前記接合要素の第2の開口を通って第2の距離まで伸長する付記項31、33、または34のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項36]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を押して、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項31~35のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項37]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項31~36のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項38]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を押し、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの他方を引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させる付記項31~36のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項39]
前記作動部材は、前記拡張可能な接合部の前記遠位端を通り、前記近位端まで引き回される可撓性作動部材である付記項31~38のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項40]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の近位部に取り付けられる付記項31~39のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項41]
前記拡張可能な接合部は、前記接合要素の遠位部に取り付けられる付記項31~39のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項42]
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長し、前記拡張可能な接合部を前記伸長状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備える付記項31~41のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項43]
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長し、前記拡張可能な接合部を前記引き込み状態に向けて付勢する付勢部材をさらに備える付記項31~41のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項44]
前記システムは、
前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長するロック部材と、
ロック状態とロック解除状態とを有するロックと、をさらに備え、
前記ロック解除状態では、前記ロックは、前記近位端および前記遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するときに前記ロック部材が長さを変えることを可能にし、
前記ロック状態では、前記ロックは、前記近位端および前記遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するときに前記ロック部材が長さを変えることを妨げる付記項31~43のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項45]
前記作動部材は、第1の位置と第2の位置との間で回転可能であり、前記拡張可能な接合部を引き込み状態から伸長状態へと拡張させる回転可能カム部材を備える付記項31~44のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項46]
前記弁修復デバイスは、
シャフトと、
前記シャフトが伸長して通り抜けるカラーであって、前記接合要素に取り付けられている、カラーと、
前記シャフトに取り付けられたキャップであって、前記シャフトによって前記カラーから遠くへ動かすことができる、キャップと、
複数のパドル部分であって、開位置と閉位置との間で移動可能であり、前記患者の前記天然の弁に取り付けるように構成されている、複数のパドル部分と、を備え、
前記キャップが前記カラーに向かって動くことにより前記パドル部分を前記閉位置へ動かし、前記キャップが前記カラーから離れる方向に動くことにより前記パドル部分を前記開位置へ動かす付記項31~45のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項47]
前記シャフトは、拡張可能な接合部を通って伸長する付記項31~46のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項48]
前記拡張可能な接合部は、前記弁修復デバイスの前記パドル部分に向かって拡張する付記項46または47に記載のシステム。
[付記項49]
前記拡張可能な接合部の幅は、前記拡張可能な接合部の長さに反比例する付記項31~48のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項50]
前記拡張可能な接合部は、編まれた材料のチューブから形成される付記項31から49のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項51]
前記拡張可能な接合部は、形状記憶合金から形成される付記項31~50のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項52]
前記拡張可能な接合部は、エラストマー材料から形成される付記項31~50のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項53]
前記接合要素および前記拡張可能な接合部のうちの1つまたは複数の上に伸長するカバーをさらに備える付記項31~52のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項54]
前記接合要素は、前記弁修復デバイスが前記天然の弁に取り付けられたときに前記患者の前記天然の弁の隙間を閉じるように構成されている付記項31~53のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項55]
患者の天然の弁を修復するためのシステムであって、
送達カテーテルと、
前記送達カテーテルに結合される弁修復デバイスと、を備え、前記弁修復デバイスは、
拡張可能なスペーサアセンブリを備え、前記拡張可能なスペーサアセンブリは、
中央シャフトと、
前記中央シャフトの周りに回転可能に配置された作動チューブと、
前記中央シャフトに固定された第1の端部と前記ロックチューブに固定された第2の端部とを有する拡張可能なスペーサと、を備え、
前記中央シャフトに対する前記作動チューブの回転により、前記拡張可能なスペーサを拡張させるシステム。
[付記項56]
前記中央シャフトのロック部が、前記拡張可能なスペーサのロック部と係合して、前記スペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持する付記項55に記載のシステム。
[付記項57]
前記中央シャフトの歯が、前記拡張可能なスペーサの歯と係合して、前記スペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持する付記項55または付記項56に記載のシステム。
[付記項58]
前記スペーサの近位端が、前記中央シャフトの近位端に固定され、前記スペーサの遠位端が、前記作動チューブの遠位端に固定される付記項55~57のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項59]
前記スペーサは、複数の切れ目を有するチューブを備える付記項55~58のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項60]
前記スペーサは、複数の螺旋形状の切れ目を有するチューブを備える付記項55~59のいずれか一項に記載のシステム。
[付記項61]
患者の天然の弁を修復する方法であって、
弁修復デバイスを患者の心臓内に入れるステップと、
拡張可能な接合部を外向きに拡張させて接合要素の開口に通すステップと、
前記拡張可能な接合部を作動部材と係合させて前記拡張可能な接合部を拡張し、引っ込めるステップと、
前記弁修復デバイスを前記患者の前記天然の弁に固定するステップと、を含む方法。
[付記項62]
前記拡張可能な接合部を前記接合要素の2つの開口に通して対称的に拡張するステップをさらに含む付記項61に記載の方法。
[付記項63]
前記拡張可能な接合部の遠位端が、前記拡張可能な接合部の近位端よりも大きい幅まで伸長するように、前記拡張可能な接合部を、前記接合要素の2つの開口に通して非対称的に拡張するステップをさらに含む付記項61に記載の方法。
[付記項64]
前記拡張可能な接合部の近位端が、前記拡張可能な接合部の遠位端よりも大きい幅まで伸長するように、前記拡張可能な接合部を、前記接合要素の2つの開口に通して非対称的に拡張するステップをさらに含む付記項61に記載の方法。
[付記項65]
第1の拡張可能な接合部を接合要素の第1の開口に通して第1の距離まで伸長するステップと、
第2の拡張可能な接合部を前記接合要素の第2の開口に通して第2の距離まで伸長するステップと、をさらに含む付記項61、63、および64のいずれか一項に記載の方法。
[付記項66]
前記拡張可能な接合部の近位端および遠位端のうちの一方を前記作動部材で押して、前記拡張可能な接合部を拡張させるステップをさらに含む付記項61~65のいずれか一項に記載の方法。
[付記項67]
前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を前記作動部材で引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させるステップをさらに含む付記項61~65のいずれか一項に記載の方法。
[付記項68]
前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの一方を前記作動部材で押し、前記拡張可能な接合部の前記近位端および前記遠位端のうちの他方を前記作動部材で引っ張り、前記拡張可能な接合部を拡張させるステップをさらに含む付記項61~65のいずれか一項に記載の方法。
[付記項69]
前記作動部材を、前記拡張可能な接合部の前記遠位端に通し、前記近位端まで引き回すステップをさらに含む付記項61~68のいずれか一項に記載の方法。
[付記項70]
前記拡張可能な接合部を前記接合要素の近位部に取り付けるステップをさらに含む付記項61~69のいずれか一項に記載の方法。
[付記項71]
前記拡張可能な接合部を前記接合要素の遠位部に取り付けるステップをさらに含む付記項61~69のいずれか一項に記載の方法。
[付記項72]
付勢部材を前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長させ、前記拡張可能な接合部が前記伸長状態に向けて付勢されるようにするステップをさらに含む付記項61~71のいずれか一項に記載の方法。
[付記項73]
付勢部材を前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長させ、前記拡張可能な接合部が前記引き込み状態に向けて付勢されるようにするステップをさらに含む付記項61~71のいずれか一項に記載の方法。
[付記項74]
ロック状態とロック解除状態とを有するロック部材を前記拡張可能な接合部の前記近位端と前記遠位端との間に伸長させるステップと、
前記ロック部材がロック解除状態にあるときに前記近位端および遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するに従って前記ロック部材の前記長さを変えるステップと、
前記ロック部材がロック状態にあるときに前記近位端および前記遠位端が一緒に移動するか、または離れるように移動するに従って前記ロック部材が長さを変えることを妨げるステップと、をさらに含む付記項61~73のいずれか一項に記載の方法。
[付記項75]
回転可能なカム部材を第1の位置と第2の位置との間で回転させることによって前記拡張可能な接合部を引き込み状態から伸長状態へと拡張させるステップをさらに含む付記項61~74のいずれか一項に記載の方法。
[付記項76]
複数のパドル部分を開位置と閉位置との間で移動させ、前記パドル部分を前記患者の前記天然の弁に取り付けるステップをさらに含む付記項61~75のいずれか一項に記載の方法。
[付記項77]
シャフトを前記拡張可能な接合部分に通して伸長させるステップをさらに含む付記項76に記載の方法。
[付記項78]
前記拡張可能な接合部を、前記弁修復デバイスの前記パドル部分に向かって拡張するステップをさらに含む付記項76または77に記載の方法。
[付記項79]
前記拡張可能な接合部の幅は、前記拡張可能な接合部の長さに反比例する付記項61~78のいずれか一項に記載の方法。
[付記項80]
前記拡張可能な接合部は、編まれた材料のチューブから形成される付記項61~79のいずれか一項に記載の方法。
[付記項81]
前記拡張可能な接合部は、形状記憶合金から形成される付記項61~80のいずれか一項に記載の方法。
[付記項82]
前記拡張可能な接合部は、エラストマー材料から形成される付記項61~80のいずれか一項に記載の方法。
[付記項83]
カバーを前記接合要素および前記拡張可能な接合部のうちの1つまたは複数の上に伸長させるステップをさらに含む付記項61~82のいずれか一項に記載の方法。
[付記項84]
前記患者の前記天然の弁の隙間を、前記弁修復デバイスが前記天然の弁に取り付けられるときに前記接合要素で閉じるステップをさらに含む付記項61~83のいずれか一項に記載の方法。
[付記項85]
患者の天然の弁を修復する方法であって、
弁修復デバイスを患者の心臓内に入れるステップと、
拡張可能なスペーサを前記天然の弁の2つの弁尖の間に提供するステップと、
前記拡張可能なスペーサを拡張して前記天然の弁の前記2つの弁尖の間の隙間を埋めるステップであって、前記隙間は前記スペーサの側方にある、ステップと、を含む方法。
[付記項86]
前記拡張可能なスペーサのロック部を中央シャフトのロック部と係合させて、前記拡張可能なスペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持するステップをさらに含む付記項85に記載の方法。
[付記項87]
前記中央シャフトの歯を前記拡張可能なスペーサの歯と係合させて、前記スペーサを引き込み位置、拡張位置、および前記引き込み位置と前記拡張位置との間の複数の位置に保持するステップをさらに含む付記項85または付記項86に記載の方法。
[付記項88]
前記拡張可能なスペーサの近位端が、前記中央シャフトの近位端に固定され、前記拡張可能なスペーサの遠位端が、作動チューブの遠位端に固定される付記項85~87のいずれか一項に記載の方法。
[付記項89]
前記拡張可能なスペーサは、複数の切れ目を有するチューブを備える付記項85~88のいずれか一項に記載の方法。
[付記項90]
前記拡張可能なスペーサは、複数の螺旋形状の切れ目を有するチューブを備える付記項86~89のいずれか一項に記載の方法。