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JP7600007B2 - スクラップ落下のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム並びにプレス装置の品質判定方法 - Google Patents

スクラップ落下のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム並びにプレス装置の品質判定方法 Download PDF

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JP7600007B2 JP2021047551A JP2021047551A JP7600007B2 JP 7600007 B2 JP7600007 B2 JP 7600007B2 JP 2021047551 A JP2021047551 A JP 2021047551A JP 2021047551 A JP2021047551 A JP 2021047551A JP 7600007 B2 JP7600007 B2 JP 7600007B2
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Description

本発明は、プレス装置で発生するスクラップの落下のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム、並びに該シミュレーション方法を用いたプレス装置の品質判定方法に関する。
プレス製品の製造過程では、プレス装置で板材であるワークを絞り形成した後、ワークのスクラップ部分を切断して廃棄するトリム工程が存在する。
トリム工程では、ワークから切断されたスクラップをプレス装置に設けられたスクラップシュートに落下させる。しかしながら、スクラップが想定不可能な動作によりプレス装置内に残留してしまうと、その後のプレス製品の加工で不良品が発生する要因や、プレス金型が破損する要因となる。
このような問題を解決するために、プレス装置を設計する際に、スクラップがスクラップシュートへ落下する動作をシミュレートする技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、コンピュータ内で、プレス装置と、該プレス装置でプレス加工されたワークから生じるスクラップとを仮想的に作成し、このスクラップがスクラップシュートへ落下して外部へ排出される動作を仮想的に再現するシミュレーション方法が記載されている。
特開2016-134174号公報
従来のシミュレーション方法では、スクラップ発生時に重力のみを作用させてスクラップを自由落下させている。そのため、プレス装置の同一部位で発生する同一形状のスクラップでは、落下動作は一通りとなるが、実際に製造されたプレス装置では、スクラップの落下動作はその都度変化する。これは、スクラップの発生時に、重力以外の力、例えば、切断時のプレス金型の上型からの押圧力、板材自体の弾性変形による復元力、スクラップ自体の慣性モーメント、空気抵抗力など、が作用しているためと考えられる。
しかしながら、これらの力の大きさは重力に比べて小さく、スクラップの発生時ごとに微妙に変化するものであるから、これらの力を数値計算してシミュレーションに付加することは困難である。また、各力をシミュレーションの演算式に付加すると、計算量が膨大になってしまうという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、シミュレーションにおける計算量の増加を抑制しながら、プレス装置におけるスクラップの落下動作を精度よく予測することができるスクラップ落下のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム、並びに該シミュレーション方法を用いたプレス装置の品質判定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、プレス装置のプレス金型と、該プレス金型で加工されるワークから発生したスクラップと、該スクラップを前記プレス装置の外部へ案内するスクラップシュートとを三次元モデル化し、前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下して外部へ排出される様子を予測するスクラップ落下のシミュレーション方法であって、前記ワークから発生した前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下する落下初期時に、前記スクラップに対して、重力と、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力とを作用させる工程を含むことを特徴とする。
この構成によれば、シミュレーションにおいて、スクラップをスクラップシュートへ仮想的に落下させる際に、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力を作用させているので、プレス装置で発生したスクラップの落下動作がその都度変化する。これにより、スクラップの発生時に、スクラップに作用する重力以外の様々な力を個々に数値計算することなく、スクラップの落下動作がその都度に変化する様子を再現することができるので、シミュレーションにおける計算量の増加を抑制しながら、プレス装置におけるスクラップの落下動作を精度よく予測することができる。
また、本発明の一実施形態は、前記シミュレーション方法において、前記スクラップの落下速度が所定の閾値を超えた場合に、前記スクラップの減速処理を行う工程を含むことを特徴とする。
この構成によれば、シミュレーションのための計算量の増加を抑制しながら、精度の高いシミュレーションを行うことができる。具体的には、シミュレーションのための計算量を低減するために、スクラップの落下速度を計算する時間の間隔を長くすると、シミュレーション上で、スクラップがスクラップシュートへ食い込む現象が生じる。この状態でシュートからスクラップが受ける反力を計算すると、反力が過剰に大きくなり、シミュレーション精度が低下する。また、このような事態を解消するために、落下速度を計算する時間の間隔を短くすると、計算量が膨大になってしまう。これに対し、落下速度を減速処理することで、落下速度を計算する間隔を長くして計算量の増加を抑制しながら、スクラップがスクラップシュートに当たった際に、過剰な反力を受けることを抑制してシミュレーション精度を向上することが可能となる。
また、本発明の一実施形態は、前記シミュレーション方法において、前記ランダムな大きさの力は、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向で設定されることを特徴とする。
この構成によれば、落下するスクラップに対してX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向にランダムな大きさの力が作用するので、スクラップがスクラップシュートへ落下する際に生じ得る多様な落下動作を再現することができる。
また、本発明の一実施形態は、プレス装置のプレス金型と、該プレス金型で加工されるワークから発生したスクラップと、該スクラップを前記プレス装置の外部へ案内するスクラップシュートとを三次元モデル化し、前記スクラップが前記スクラップシュートを経て外部へ排出される動作を予測するスクラップ落下のシミュレーションプログラムであって、前記ワークから発生した前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下する落下初期時に、前記スクラップに対して、重力と、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力とを作用させるステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、スクラップの発生時に、スクラップに作用する重力以外の様々な力を個々に数値計算することなく、スクラップの落下動作がその都度に変化する様子を再現することができるので、シミュレーションにおける計算量の増加を抑制しながら、プレス装置におけるスクラップの落下動作を精度よく予測することができる。
また、本発明の一実施形態は、前記シミュレーション方法を用いたプレス装置の品質判定方法において、前記シミュレーション方法を用いて、前記スクラップを前記スクラップシュートへ落下させる動作を所定回数繰り返す反復工程と、前記反復工程で、前記スクラップが前記スクラップシュートを経て前記外部に排出された確率を算出する確率算出工程と、前記確率が所定の閾値未満の場合に、前記プレス装置の設計品質が低いと判定する判定工程と、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、上述したシミュレーション方法を用いて、スクラップの落下動作を所定回数繰り返すことにより、落下動作がそれぞれ異なるスクラップが、スクラップシュートに詰まるか否かを予測することができる。また、スクラップがスクラップシュートを経て外部へ排出された確率が所定の閾値未満の場合、すなわち、スクラップがスクラップシュートで詰まる等により、外部へ排出されない確率が比較的高い場合に、プレス装置の設計品質が低いと判定されるので、この判定結果に基づいてプレス装置の設計変更を行うことで、プレス装置の設計品質の向上を図ることができる。
本発明に係るスクラップ落下のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラム、並びに該シミュレーション方法を用いたプレス装置の品質判定方法によれば、シミュレーションにおける計算量の増加を抑制しながら、プレス装置におけるスクラップの落下動作を精度よく予測することができる。
プレス装置を示す概略図である。 図1のA-A線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係るシミュレーション方法及びプレス装置の設計品質判定方法を実行するためのシミュレーションシステムを示すブロック図である。 スクラップ落下のシミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。 スクラップの減速処理を説明する図である。 スクラップに作用させるランダム力を説明する図である。 プレス装置の設計品質判定方法の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、プレス装置50を示す概略図である。プレス装置50は、板材であるワーク70をプレス加工するとともに、ワーク70のスクラップ部分を切断するトリミングを実施する。図1に示すように、プレス装置50は、プレス金型54と、ワーク70から切断されたスクラップ72をプレス装置50の外部へ案内するスクラップシュート56とを備える。
プレス金型54は、ワーク70に対してトリミング加工を実施する部位であり、設置現場に固定される下型66と、下型66に対して上下動自在な上型61とを備える。下型66は、下型本体67上に支持される下切刃68を備える。上型61は、下型66上に載置されたワーク70を抑えるパッド62と、カムスライダ64と、上切刃65とを備えている。カムスライダ64は、上型61の下降動作によって下型本体67に設けられたカムドライバ69に当接してワーク70側へ前進移動し、上型61の上昇動作によって後退移動する。上切刃65は、下切刃68と対向するように、カムスライダ64に設けられている。
ワーク70は、プレス金型54の上切刃65と下切刃68とによって切断され、切断されたワーク70の一部は、スクラップ72としてプレス装置50のスクラップシュート56へ落下する。
スクラップシュート56は、プレス金型54の下切刃68の下方側に配置され、上下方向に対して傾斜して延びている。図示例では、スクラップシュート56と下型本体60とが一体に形成されている。図2に示すように、スクラップシュート56は、上下方向に延びる両側壁56a、56bと、両側壁56a、56bの下端部を繋ぐ底壁56cと、を有し、上方が開口している。底壁56cの上面は平滑に形成されており、この上面に沿ってスクラップ72が傾斜方向の下方側へ滑走し、プレス装置50の外部へ排出される。
本実施形態のスクラップ落下のシミュレーション方法は、プレス装置50でワーク70が切断されることにより発生したスクラップ72が、スクラップシュート56へ落下し、このスクラップシュート56を通ってプレス装置50の外部へ排出されるまでの過程をシミュレーションする。プレス装置50の設計段階で、プレス装置50の設定データに基づいてスクラップ72が落下して排出される様子をシミュレートすることで、スクラップ72がプレス装置50内に残留してしまうという不具合を設計時に解消することが可能となる。以下、本実施形態のスクラップ落下のシミュレーション方法について説明する。
図3は、本実施形態のスクラップ落下のシミュレーション方法を実行するためのシミュレーションシステム10を示すブロック図である。本実施形態のシミュレーションシステム10は、スクラップ落下のシミュレーションに加え、シミュレーション結果を用いて、プレス装置50の設計品質の判定を行う判定機能を有している。このシミュレーションシステム10は、マイクロコンピュータや、パーソナルコンピュータ等の単一のコンピュータ、或いは、ネットワークを介して相互に接続される複数のコンピュータにより構成される。
シミュレーションシステム10は、情報入力手段である入力装置12と、記憶手段である外部記憶装置14と、制御手段である演算装置16と、表示手段である表示装置18と、を備える。
入力装置12は、例えば、キーボード、マウス及び/又はタッチパネル等の入力手段を用いて構成することができる。
外部記憶装置14は、演算装置16に接続される外部メモリであって、磁気ディスクや光ディスク等で構成することができる。
演算装置16は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、情報処理部である中央処理装置(CPU)、RAMやROM等の内部メモリ、及び、他の装置と交信するための入出力インターフェース等を備えている。演算装置16の情報処理部は、CPUに限られず、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)等とすることができる。
この演算装置16は、内部メモリや外部記憶装置14に記憶させたスクラップ落下のシミュレーションプログラム、演算装置16が読み取り可能な記録媒体に記録されたスクラップ落下のシミュレーションプログラム、或いは、図示していないネットワークや通信装置を介して外部からロードしたスクラップ落下のシミュレーションプログラムをCPUで実行することができる。このシミュレーションプログラムにより、演算装置16は、入力装置12で指示された解析対象であるプレス装置50及びワーク70を疑似的にプレス加工及びトリミングして、ワーク70から発生したスクラップ72がスクラップシュート56へ落下して外部へ排出される様子をシミュレートする。
上述した流動シミュレーションは、演算装置16に備えられた、モデル構築部22と、ランダム力設定部24と、減速処理部26と、確率算出部30と、判定部32とを備えている。
モデル構築部21は、プレス装置50、ワーク70及びスクラップ72の形状データを読み込んで、これらの三次元モデルを構築する。形状データは、入力装置12や外部記憶装置14を介して演算装置16に入力することができる。本実施形態では、これらの設計を行う際に使用するCADデータを用いて三次元モデルを作成している。
ランダム力設定部24は、スクラップ72の落下初期時に作用させるランダムな大きさの力Fを所定の大きさの範囲内で設定する。このランダムな大きさの力F(以下、「ランダム力F」とも称する)は、以下の式(1)で示すランダム関数によって表すことができる。
force=(上限値,下限値)・・・・・式(1)
本実施形態では、以下の式(2)(3)(4)に示すように、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向に対してランダム力Fが設定されている。
X方向force=(上限値xup,下限値xlow)・・・・・式(2)
Y方向force=(上限値yup,下限値ylow)・・・・・式(3)
Z方向force=(上限値zup,下限値zlow)・・・・・式(4)
本実施形態では、一例として、Y方向の正方向を重力方向に設定し、下限値ylow=0に設定している。また、上限値xup、上限値yup及び上限値zupを正の値に設定し、下限値xlow及び下限値zlowを負の値に設定している。スクラップ72に作用させるランダム力Fは、式(2)~(4)で設定されたX方向、Y方向及びZ方向の力の合力である。ランダム力Fは、スクラップ72に作用する重力の大きさよりも小さくなるように、力の大きさの範囲が設定されている。
減速処理部26は、スクラップ72の落下速度Vが所定の閾値Vth(以下、「速度閾値Vth」とも称する)を超えた場合に、スクラップ72の減速処理を行う。減速処理は、予め設定された規則に従って行われ、本実施形態では、速度閾値Vthを超えた場合に、以下の式(5)に示すように、スクラップ72の落下速度Vの大きさを半減する処理を行う。
V=V/2・・・・・式(5)
確率算出部30は、スクラップ落下のシミュレーションの結果に基づいて、シミュレーション上でスクラップ72がプレス装置50の外部に適切に排出された確率を算出する。判定部30は、確率算出部30で算出された確率に基づいて、プレス装置50の設計品質が低いか否かを判定する。
演算装置16で解析されたスクラップ落下のシミュレーション結果は、表示装置18に表示される。表示装置18は、情報を視覚的に表示可能な装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び/又はブラウン管ディスプレイ等により構成することができる。表示装置18には、シミュレーション結果のみならずシミュレーション過程を表示させることができる。
次に、図4のフローチャートを用いて、シミュレーションシステム10によるスクラップ落下のシミュレーション方法について説明する。
図4に示すように、ステップS10では、外部記憶装置14及び/又は演算装置16の内部メモリから、各種の形状データ及び計算条件データが読み込まれる。形状データは、プレス装置50、ワーク70及びスクラップ70の形状データを含み、ワーク70が加工されることによる形状変化のデータも含む。計算条件データは、プレス金型54の上型61の可動サイクル時間(例えば6秒)、プレス金型54の加圧力、スクラップ72を落下させる時間Te(例えば4秒)、落下時間Teを等分割したシーンのコマ数N(Nは2以上の整数)、上述したランダム関数の上限値及び下限値、重力の大きさ、スクラップ70がスクラップシュート56に当接した際に、スクラップシュート56から受ける反力の条件等が含まれる。次のステップS12では、読み込まれた形状データから、モデル構築部22により三次元モデルが作成される。
次のステップS14では、スクラップ72の落下動作を行う回数M(Mは1以上の整数)が設定される。回数Mは入力装置12で指示された数とすることができる。次のステップS16では、スクラップ72の落下動作の回数mがリセット処理され、回数m=1に設定される。
次のステップS18では、スクラップ72の落下動作について、シーンn=1が設定される。ここで、nは、数値条件データで読み込まれたコマ数Nの各シーンの番号であり、1~Nの整数である。シーン1は、ワーク70の切断によりスクラップ72が発生した場面、すなわち、スクラップ72の落下初期時の場面に設定されている。
次のステップS20では、ランダム力設定部24により、上述した式(2)~(4)のランダム関数に基づき、ランダム力Fが設定される。次のステップS22では、重力とランダム力Fとをシーン1のスクラップ72に作用させる。これらの力により、スクラップ72の落下動作が開始される。
次のステップS24では、スクラップ72の落下速度Vが所定の速度閾値Vthを超えているか否かが判定される。速度閾値Vthを超えている場合、続くステップS26で、減速処理部26により、落下速度Vの減速処理が実行される。
図5は、スクラップ72の減速処理を説明する図である。スクラップ72に対して減速処理を実施しない場合、シミュレーションのための計算量を低減するために、スクラップ72の落下速度を計算する時間の間隔を長くする(すなわち、コマ数Nの値を小さくする)と、図5の仮想線で示すスクラップ72のように、シミュレーション途中のシーンnにおいて、スクラップ72がスクラップシュート56へ食い込む現象が生じることがある。このような食い込み現象は、現実のプレス装置50では発生しないが、シミュレーションにおいて、この食い込み状態を基に、スクラップシュート56からスクラップ72が受ける反力を計算すると、反力が過剰に大きくなり、スクラップ72がスクラップシュート56から跳ね返る現象(以下、「跳ね返り現象」とも称する)が生じる虞がある。跳ね返り現象の発生を解消するためには、落下速度を計算する時間の間隔を短くする(すなわち、コマ数Nの値を大きくする)ことが有効であるが、コマ数Nを増やすと、計算量が膨大になってしまう。
スクラップ72は、スクラップシュート56に当接する直前で落下速度Vが最大になるため、本実施形態では、この落下速度Vに閾値を設け、落下速度Vが速度閾値Vthを超えた場合に、減速処理することで、上述した跳ね返り現象の発生を防止しながら、スクラップ72の落下速度Vを計算する間隔を長くして計算量の増加を抑制している。これにより、スクラップ72がスクラップシュート56に当たった際に、過剰な反力を受けることを抑制してシミュレーション精度を向上することができる。
減速処理が実施された後、続くステップS28では、スクラップ72の落下時間が、設定されたスクラップ72の落下時間Teを超過しているか否かが判定される。落下時間Teは、スクラップ72がプレス装置50内に残留することがなく、スクラップシュート56を経て外部へ排出されるまでの時間に設定されている。なお、ステップS24で、落下速度Vが速度閾値Vth以下の場合には、減速処理を行わずに、ステップS28へ進む。
ステップS28で、時間Teを超過していない場合、続くステップS30で、シーンnがカウンタ処理され、再びステップS24から処理が続行される。ステップS28で、時間Teを超過している場合、続くステップS32において、スクラップ72の落下動作の回数mが、設定された回数M以上であるか否かが判定される。回数mが設定回数M未満の場合、続くステップS34で回数mがカウンタ処理され、再びステップS18から処理が続行(すなわち、新たに、スクラップ72をシーン1の落下初期位置から落下させる処理が続行)される。
図6は、スクラップ72に作用させるランダム力Fを説明する図である。回数m=1の落下動作では、スクラップ72の落下初期時に、ランダム関数を用いてランダム力F1が付与される。また、回数m=2の落下動作では、スクラップ72の落下初期時に、ランダム力F2が付与される。このように、ランダム関数を用いることで、回数mが変わる毎に、スクラップ72に作用するランダム力Fは変化する。なお、落下初期時にスクラップ72に作用させる重力は一定である。
一方、ステップS32で、回数mが設定回数M以上の場合には、ステップS36へ進み、シミュレーションの結果(スクラップ72の詰まりの有無、スクラップ72の落下の軌跡など)が表示装置18のディスプレイ等に表示される。本実施形態では、スクラップ72の詰まりが発生した場合に、スクラップ72がプレス装置50内に詰まった状態をディスプレイに表示させるようにしている。図1に示す例では、スクラップシュート56に詰まったスクラップ72を仮想線で示しており、これにより、詰まりが発生した箇所を視覚的に認識できるようにしている。
上述したように、本実施形態に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムでは、スクラップ落下のシミュレーションにおいて、スクラップ72をスクラップシュート56へ仮想的に落下させる際に、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力Fを作用させることで、スクラップ72の落下動作をその都度、変化させることができる。これにより、実際に製造されたプレス装置50において、スクラップ72の発生時にスクラップ72に作用する重力以外の力(例えば、切断時のプレス金型54の上型61からの押圧力、ワーク70及びスクラップ72の弾性変形による復元力、スクラップ72自体の慣性モーメント、空気抵抗力、上切刃64及び下切刃68のシャー角による力、など)によって、その都度変化するスクラップ72の落下動作をシミュレーション上で再現することができる。
また、ランダム関数を用いてランダム力Fを設定するようにしているので、スクラップ72の発生時に作用する重力以外の力を個別に数値計算することなく、スクラップの落下動作を毎回変化させることができるので、シミュレーションにおける計算量の増加を抑制しながら、プレス装置50におけるスクラップ72の落下動作を精度よく予測することができる。また、本実施形態では、スクラップ72に対してX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向にランダムな大きさの力を作用させているので、スクラップ72がスクラップシュート46へ落下する際に生じ得る多様な落下動作を再現することができる。
また、本実施形態のシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムでは、スクラップ72の落下速度が所定の速度閾値Vthを超えた場合に、スクラップ72の減速処理を行うことで、シミュレーションのための計算量を抑えながら、シミュレーション上で、スクラップ72の跳ね返り現象が発生することを抑制し、精度の高いシミュレーションを実施することができる。
次に、図7のフローチャートを用いて、シミュレーションシステム10によるプレス装置50の設計品質判定方法について説明する。
図7に示すように、ステップS50では、スクラップ72の落下動作を行う回数Mが設定される。回数Mは2以上の整数に設定される。回数Mは入力装置12で指示された数とすることができる。次のステップS52では、スクラップ72の落下動作の回数mがリセット処理され、回数m=1に設定される。
続くステップS54では、上述したシミュレーション方法によって、スクラップ落下のシミュレーションが実行される。ステップS54の処理は、上述したシミュレーション方法のステップS18からステップS28の処理及びステップS30の処理と同様であるため、ここでは詳細を省略する。
続くステップS56では、スクラップ72の落下動作の回数mが、設定された回数M以上であるか否かが判定される。回数mが設定回数M未満の場合、続くステップS34で回数mがカウンタ処理され、再びステップS18から処理が続行(すなわち、新たに、スクラップ72をシーン1の落下初期位置から落下させる処理が続行)される。このように、スクラップ落下のシミュレーションは、設定された回数Mに達するまで所定回数繰り返される(反復工程)。
一方、ステップS56で、回数mが設定回数M以上の場合には、ステップS60へ進み、確率算出部30により、上述した反復工程で、スクラップ72がスクラップシュート56を経てプレス装置50の外部へ排出された確率Rが算出される(確率算出工程)。例えば、回数M=200であり、そのうち、スクラップ72が適切に外部へ排出された回数Q=180(すなわち、スクラップ72の残留が生じた回数=20)の場合、確率R=180/200*100(%)となる。
次のステップS62では、算出された確率Rが、所定の閾値Rth未満であるか否かが判定される。閾値Rthは、入力装置12により適宜設定することができる。ステップS62で、確率Rが閾値Rth未満である場合、続くステップS64で設計品質が低いと判定される(判定工程)。一方、ステップS62で確率Rが閾値Rth以上である場合、続くステップS66で設計品質が良好であると判定される(判定工程)。ステップS64又はステップS66の判定が実施されると、次のステップS68へ進み、シミュレーション結果とともに、判定結果が表示装置18のディスプレイ等に表示される。
上述したように、本実施形態のプレス装置50の設計品質判定方法では、先述したスクラップ落下のシミュレーション方法を用いて、スクラップ72の落下動作を所定回数繰り返すことにより、落下動作がそれぞれ異なるスクラップ72が、スクラップシュート56に詰まるか否かを予測することができる。また、スクラップ72がスクラップシュート56を経てプレス装置50の外部へ排出された確率を算出し、この確率に基づいて設計品質を判定することで、プレス装置50の設計品質の向上を図ることができる。例えば、スクラップ72がスクラップシュート56で詰まる等により、プレス装置50の外部へ排出されない確率が比較的高い場合には、プレス装置50の設計品質が低いと判定され、この判定結果に基づいてプレス装置50の設計変更を行うことができる。
例えば、設計品質が低いと判定された場合には、図2に示すように、スクラップシュート56の底面の形状をV字状に設計変更して、落下しやすくなるように設計変更することができる。また、例えば、スクラップ72の落下開始位置と、スクラップシュート56との間に、スクラップ72の落下姿勢を変化させるための棒状部材を設置し、この棒状部材にスクラップ72が当接することで、スクラップ72が詰まることなく適切に排出されるように、落下動作を制御する設計を行うことができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 シミュレーションシステム
12 入力装置
14 外部記憶装置
16 演算装置
18 表示装置
50 プレス装置
54 プレス金型
56 スクラップシュート
61 上型
66 下型
70 ワーク
72 スクラップ
F1,F2 ランダム力

Claims (5)

  1. プレス装置のプレス金型と、該プレス金型で加工されるワークから発生したスクラップと、該スクラップを前記プレス装置の外部へ案内するスクラップシュートとを三次元モデル化し、前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下して外部へ排出される様子を予測するスクラップ落下のシミュレーション方法であって、
    前記ワークから発生した前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下する落下初期時に、前記スクラップに対して、重力と、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力とを作用させる工程を含むことを特徴とするシミュレーション方法。
  2. 前記スクラップの落下速度が所定の閾値を超えた場合に、前記スクラップの減速処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記ランダムな大きさの力は、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの方向で設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーション方法。
  4. プレス装置のプレス金型と、該プレス金型で加工されるワークから発生したスクラップと、該スクラップを前記プレス装置の外部へ案内するスクラップシュートとを三次元モデル化し、前記スクラップが前記スクラップシュートを経て外部へ排出される動作を予測するスクラップ落下のシミュレーションプログラムであって、
    前記ワークから発生した前記スクラップが前記スクラップシュートへ落下する落下初期時に、前記スクラップに対して、重力と、所定の大きさの範囲内でランダムな大きさの力とを作用させるステップを含むことを特徴とするシミュレーションプログラム。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載のシミュレーション方法を用いたプレス装置の品質判定方法において、
    前記シミュレーション方法を用いて、前記スクラップを前記スクラップシュートへ落下させる動作を所定回数繰り返す反復工程と、
    前記反復工程で、前記スクラップが前記スクラップシュートを経て前記外部に排出された確率を算出する確率算出工程と、
    前記確率が所定の閾値未満の場合に、前記プレス装置の設計品質が低いと判定する判定工程と、
    を含むことを特徴とするプレス装置の品質判定方法。
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