JP7596076B2 - フォトクロミック物品および眼鏡 - Google Patents
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Description
第一には、高い硬度を有すること。高硬度の保護層を設けることによって、フォトクロミック物品の耐久性を高めることができるからである。
第二には、溶剤耐性に優れること。フォトクロミック物品の製造工程においては、通常、層を形成した後、形成された層の表面の清浄化のために溶剤による拭き取り処理が行われる。この拭き取り処理において保護層がダメージを受けてしまうと、フォトクロミック物品に曇りや光学的欠陥が発生する原因となってしまうからである。
1種以上の(メタ)アクリレートを含み、かつ(メタ)アクリレートの全量に対して、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを70.0質量%以上含む、フォトクロミック物品の保護層形成用重合性組成物(以下、単に「保護層形成用重合性組成物」または「組成物」とも記載する。)、
に関する。
以下、上記組成物について、更に詳細に説明する。
上記組成物は重合性組成物であって、1種以上の重合性化合物を含む。本発明および本明細書において、「重合性化合物」とは、1分子中に重合性基を1つ以上有する化合物である。上記組成物は、重合性化合物として、1種以上の(メタ)アクリレートを含み、かつ(メタ)アクリレートの全量を100質量%として、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを70.0質量%以上含む。
脂環式の2官能(メタ)アクリレートとは、脂環構造を有し、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が2つである化合物をいうものとする。上記組成物は、(メタ)アクリレートの全量に対して、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを70.0質量%以上含む。このことが、上記組成物から形成される保護層が、高い硬度と優れた溶剤耐性を示すことができる理由であると、本発明者は考えている。より高い硬度とより優れた溶剤耐性を示すことができる保護層をフォトクロミック物品に設けることを可能とする観点から、上記組成物は、(メタ)アクリレートの全量に対して、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを75.0質量%以上含むことが好ましく、80.0質量%以上含むことがより好ましく、85.0質量%以上含むことが更に好ましく、90.0質量%以上含むことが一層好ましく、95.0質量%以上含むことがより一層好ましい。一形態では、上記組成物は、(メタ)アクリレートの全量が、脂環式の2官能(メタ)アクリレートであることもできる。上記組成物は、脂環式の2官能(メタ)アクリレートを、一形態では1種のみ含むことができ、他の一形態では2種以上含むことができる。2種以上の脂環式の2官能(メタ)アクリレートが含まれる場合、上記の脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有率は、2種以上の合計含有率である。この点は、他の成分に関する含有率についても同様である。
脂環式の2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。脂環式の2官能(メタ)アクリレートの分子量は、例えば200~400の範囲であることができるが、この範囲に限定されるものではない。本発明および本明細書において、重合体についての分子量は、化合物の構造解析により決定された構造式または製造する際の原料仕込み比から算出した理論分子量を採用している。脂環式の2官能(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基として、アクリロイル基のみを含んでもよく、メタクリロイル基のみを含んでもよく、アクリロイル基およびメタクリロイル基を含んでもよい。
上記組成物は、一形態では、(メタ)アクリレートとして脂環式の2官能(メタ)アクリレートに加えて1種以上の他の(メタ)アクリレートを含むことができ、他の一形態では、(メタ)アクリレートとして脂環式の2官能(メタ)アクリレートのみを含むことができる。前者の形態の場合、脂環式の2官能(メタ)アクリレートとともに含まれる他の(メタ)アクリレートについては、特に制限はなく、各種(メタ)アクリレートの1種または2種以上を使用することができる。他の(メタ)アクリレートとしては、例えば、単官能、2官能、3官能、4官能および5官能(メタ)アクリレートを挙げることができ、非環状であっても環状であってもよい。「非環状」とは、環状構造を含まないことを意味する。これに対し、「環状」とは、環状構造を含むことを意味する。環状構造を含む(メタ)アクリレートは、環状構造として脂環構造を有するものであってもよく、他の環状構造を有するものであってもよい。脂環構造については、脂環式の2官能(メタ)アクリレートに関する先の記載を参照できる。上記組成物において、他の(メタ)アクリレートの含有率は、(メタ)アクリレートの全量に対して、30.0質量%以下、25.0質量%以下、20.0質量%以下、15.0質量%以下であることができる。また、上記組成物において、他の(メタ)アクリレートの含有率は、(メタ)アクリレートの全量に対して、0質量%、0質量%以上、0質量%超、1.0質量%以上、5.0質量%以上または10.0質量%以上であることができる。
上記組成物は、重合性化合物として少なくとも1種以上の(メタ)アクリレートを含み、一形態では(メタ)アクリレート以外の他の重合性化合物を1種以上含むことができ、他の一形態では重合性化合物として(メタ)アクリレートのみを含むことができる。他の重合性化合物については、特に制限はなく、公知の重合性化合物の1種以上を使用することができる。上記組成物は、重合性化合物の全量を100質量%として、(メタ)アクリレートを80.0質量%以上、85.0質量%以上、90.0質量%以上または95.0質量%以上含むことができ、重合性化合物の全量が(メタ)アクリレートであることもできる。
本発明の一態様は、フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、上記組成物を硬化させた硬化層である保護層と、を有するフォトクロミック物品に関する。
以下、上記フォトクロミック物品について、更に詳細に説明する。
(フォトクロミック化合物)
フォトクロミック化合物としては、フォトクロミック性を示す公知の化合物を使用することができる。フォトクロミック化合物は、例えば紫外線に対してフォトクロミック性を示すことができる。例えば、フォトクロミック化合物としては、フルギミド化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、インデノ縮合ナフトピラン化合物等のフォトクロミック性を示す公知の骨格を有する化合物を例示できる。フォトクロミック化合物は、1種単独で使用することができ、2種以上を混合して使用することもできる。上記組成物のフォトクロミック化合物の含有率は、フォトクロミック層の質量を100質量%として、例えば0.1~15質量%程度とすることができるが、この範囲に限定されるものではない。
フォトクロミック層は、フォトクロミック化合物を1種以上含む重合性組成物を硬化させた硬化層であることができる。フォトクロミック層を形成するための重合性組成物に含まれる重合性化合物等の各種成分については、フォトクロミック物品に関する公知技術を適用できる。保護層との密着性の観点からは、フォトクロミック層は、重合性化合物として(メタ)アクリレートを含む重合性組成物を硬化した硬化層であることが好ましい。
上記フォトクロミック物品は、上記保護層形成用重合性組成物を硬化させた硬化層である保護層を有する。保護層は、フォトクロミック層の表面に直接設けることができ、フォトクロミック層の上に位置する層の表面に設けることもできる。フォトクロミック層と保護層との間に位置し得る層としては、プライマー層等を挙げることができる。保護層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、25μm以上であることが一層好ましい。また、保護層の厚さは、45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。上記保護層は、フォトクロミック物品の耐久性向上に寄与することができる。また、更なる処理(例えば後述の硬化層の形成)が行われるまでの間、フォトクロミック層を保護してフォトクロミック層に傷が発生することを抑制することもできる。
上記フォトクロミック物品は、一形態では、光学物品であることができる。光学物品には、眼鏡レンズ、ゴーグル用レンズ、サンバイザーのバイザー(ひさし)部分、ヘルメットのシールド部材等の各種物品が包含される。例えば、上記フォトクロミック物品は、光学物品の種類に応じて選択した基材上にフォトクロミック層と保護層とを有することができる。基材の一例として、眼鏡レンズ基材は、プラスチックレンズ基材またはガラスレンズ基材であることができる。ガラスレンズ基材は、例えば無機ガラス製のレンズ基材であることができる。レンズ基材としては、軽量で割れ難く取扱いが容易であるという観点から、プラスチックレンズ基材が好ましい。プラスチックレンズ基材としては、(メタ)アクリル樹脂をはじめとするスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アリル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR-39)等のアリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物とジエチレングリコールなどのヒドロキシ化合物との反応で得られたウレタン樹脂、イソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させたチオウレタン樹脂、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物を含有する硬化性組成物を硬化した硬化物(一般に透明樹脂と呼ばれる。)を挙げることができる。レンズ基材としては、染色されていないもの(無色レンズ)を用いてもよく、染色されているもの(染色レンズ)を用いてもよい。レンズ基材の屈折率は、例えば、1.60~1.75程度であることができる。ただしレンズ基材の屈折率は、上記範囲に限定されるものではなく、上記の範囲内でも、上記の範囲から上下に離れていてもよい。本発明および本明細書において、屈折率とは、波長500nmの光に対する屈折率をいうものとする。また、レンズ基材は、屈折力を有するレンズ(いわゆる度付レンズ)であってもよく、屈折力なしのレンズ(いわゆる度なしレンズ)であってもよい。
上記フォトクロミック物品は、「基材/フォトクロミック層/保護層」の層構成を有することができる。層構成に関して、「/」は、他の層を介さずに直接接している形態と、他の層の一層以上を介して設けられている形態とを包含する意味で使用する。例えば、基材とフォトクロミック層との間には、上記のようにプライマー層が存在し得るが、基材とフォトクロミック層とが直接接する場合もある。また、一形態では、上記フォトクロミック物品は、「基材/フォトクロミック層/保護層/他の硬化層」の層構成を有することができる。かかる層構成において、他の硬化層は、一般にハードコート層と呼ばれる硬化層であることができる。保護層に加えてハードコート層を設けることにより、フォトクロミック物品の耐久性をより一層高めることができる。また、一形態では、ハードコート層を設けることにより、フォトクロミック物品の耐衝撃性を高めることもできる。一形態では、上記の他の硬化層は、上記保護層と他の層を介さずに直接接することができる。
本発明の一態様は、眼鏡レンズである上記フォトクロミック物品を備えた眼鏡に関する。この眼鏡に含まれる眼鏡レンズの詳細については、先に記載した通りである。上記眼鏡は、かかる眼鏡レンズを備えることにより、例えば屋外ではフォトクロミック層に含まれるフォトクロミック化合物が太陽光の照射を受けて発色することでサングラスのように防眩効果を発揮することができ、屋内に戻るとフォトクロミック化合物が退色することで透過性を回復することができる。上記眼鏡について、フレーム等の構成については、公知技術を適用することができる。
<眼鏡レンズ(フォトクロミック物品)の作製>
プラスチックレンズ基材(HOYA社製商品名EYAS;中心肉厚2.5mm、半径75mm、S-4.00)を10質量%水酸化ナトリウム水溶液(液温60℃)に5分間浸漬処理した後に純水で洗浄し乾燥させた。その後、このプラスチックレンズ基材の凸面(物体側表面)にプライマー層を形成した。詳しくは、水系ポリウレタン樹脂液(ポリカーボネートポリオール系ポリウレタンエマルジョン;粘度100CPS、固形分濃度38質量%)を温度25℃相対湿度50%の環境においてプラスチックレンズ基材の凸面にスピンコート法により塗布した後、15分間自然乾燥させることにより、厚さ5.5μmのプライマー層を形成した。
上記プライマー層の上に、以下のように調製したフォトクロミック層形成用重合性組成物をスピンコート法により塗布して塗布層を形成した。この塗布層の表面に向かって窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この塗布層を硬化させてフォトクロミック層を形成した。形成されたフォトクロミック層の厚さは45μmであった。
上記フォトクロミック層の上に、以下のように調製した保護層形成用重合性組成物をスピンコート法により塗布して塗布層を形成した。この塗布層の表面に向かって窒素雰囲気中(酸素濃度500ppm以下)で紫外線(波長405nm)を照射し、この塗布層を硬化させて保護層を形成した。形成された保護層の厚さは15μmであった。
プラスチック製容器に、トリメチロールプロパントリメタクリレート20質量部、BPEオリゴマー(2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン)35質量部、EB6A(ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート)10質量部、平均分子量532のポリエチレングリコールジアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート10質量部からなるラジカル重合性組成物を調製した。このラジカル重合性組成物100質量部に対し、フォトクロミック化合物として下記クロメン1を3質量部、光安定化剤LS765(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート)を5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製イルガキュア245)を5質量部、紫外線重合開始剤としてCGI-1870(BASF製)0.6質量部を添加して十分に撹拌混合を行った組成物に、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製KBM503)を撹拌しながら6質量部滴下した。その後、自転公転方式撹拌脱泡装置にて2分間脱泡することで、フォトクロミック層形成用重合性組成物を得た。
プラスチック製容器内で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)86.7質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート4.3質量部、イソボルニルアクリレート8.7質量部、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Resin B.V.社製Omnirad819)0.3質量部を、混合して十分に撹拌した後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして、実施例1の保護層形成用重合性組成物を調製した。
実施例1の保護層形成用重合性組成物において、脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有率は、(メタ)アクリレートの全量に対して87.0質量%である。
保護層形成用組成物を、以下の方法で調製した点以外、実施例1と同様の方法で眼鏡レンズを作製した。
プラスチック製容器内で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)99.0質量部およびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Resin B.V.社製Omnirad819)1.0質量部を、混合して十分に撹拌した後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして、実施例2の保護層形成用重合性組成物を調製した。
実施例2の保護層形成用重合性組成物では、(メタ)アクリレートは脂環式の2官能(メタ)アクリレートのみであるため、脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有率は、(メタ)アクリレートの全量に対して100質量%である。
保護層形成用組成物を、以下の方法で調製した点以外、実施例1と同様の方法で眼鏡レンズを作製した。
プラスチック製容器内で、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(脂環式の2官能(メタ)アクリレート)68.0質量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート20.0質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート12.0質量部およびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IGM Resin B.V.社製Omnirad819)0.3質量部を、混合して十分に撹拌した後、自転公転方式撹拌脱泡装置で脱泡した。こうして、比較例1の保護層形成用重合性組成物を調製した。
比較例1の保護層形成用重合性組成物において、脂環式の2官能(メタ)アクリレートの含有率は、(メタ)アクリレートの全量に対して68.0質量%である。
(1)硬度の評価
上記の各眼鏡レンズについて、エリオニクス社製超微小押し込み硬さ試験機ENT-2100を用いて、保護層の表面に荷重100mgfをかけて圧子を押し込んだ。このときに圧子の侵入した表面積を押し込み深さから測定し、「荷重/圧子の侵入した表面積」としてマルテンス硬さを求めた。マルテンス硬さは、荷重Fをかけて圧子を所定の押し込み量hまで押し込んだときに、荷重Fを圧子の侵入した表面積で除した値と定義される。試験荷重が負荷された状態で測定される硬さであり、負荷増加時の荷重-押し込み深さ曲線の値から求められる。
上記の各眼鏡レンズの保護層の表面を、アセトンを染み込ませた布で拭き取った。拭き取り後の保護層の表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
Good:面粗れなし
Damaged:面粗れが認められる。
マグネティックスターラーを備えたガラス製の容器にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、メタノール30質量部、および水分散コロイダルシリカ(固形分40質量%、平均粒子径15nm)28質量部を加え十分に混合し、5℃で24時間撹拌を行った。次に、プロピレングリコールモノメチルエーテル15質量部、シリコ-ン系界面活性剤0.05質量部、および硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ-トを1.5質量部加え、十分に撹拌した後、ろ過を行ってハードコーティング液(ハードコート層形成用重合性組成物)を調製した。
上記で作製した各眼鏡レンズの保護層の表面に、アセトンによる拭き取り処理を施した後、上記ハードコーティング液をディップコート法(引き上げ速度20cm/分)でコーティングした。その後、炉内温度100℃の熱処理炉内で60分加熱硬化することにより、厚さ3μmのハードコート層(有機ケイ素系硬化層)を形成した。
こうしてハードコート層が形成された各眼鏡レンズを目視で観察したところ、実施例1の眼鏡レンズおよび実施例2の眼鏡レンズは、比較例1の眼鏡レンズよりも透明性に優れていた。これは、表1に示されているように、実施例1の眼鏡レンズおよび実施例2の眼鏡レンズの保護層が比較例1の眼鏡レンズの保護層と比べて溶剤耐性に優れているため、ハードコート層形成前に行われた溶剤による拭き取り処理において面粗れが生じ難かったことによるものと考えられる。
保護層形成用重合性組成物に、組成物の全量を100質量%として、0.3質量%の紫外線吸収剤(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、商品名Tinubin479(BASF社製))を添加した点以外、実施例1と同様に、基材、プライマー層、フォトクロミック層、保護層およびハードコート層をこの順に有する眼鏡レンズを作製した。
各眼鏡レンズの物体側表面に対し、キセノンランプを使用してエアロマスフィルターを介して15分間(900秒)光照射し、フォトクロミック層中のフォトクロミック化合物を発色させた。この発色時の透過率(測定波長:550nm)を大塚電子工業社製分光光度計により測定した。上記光照射は、JIS T7333:2005に規定されているように放射照度および放射照度の許容差が下記表2に示す値となるように行った。
上記紫外線照射後の眼鏡レンズについて、一旦暗室に置きフォトクロミック化合物を退色させた後に上記と同様に発色時透過率を求めた。紫外線照射前に対して紫外線照射後の発色時透過率の上昇が小さいほど、耐候性に優れると評価することができる。実施例1の眼鏡レンズについては、「(紫外線照射後の発色時透過率)-(紫外線照射前の発色時透過率)」の値は2.8%であった。これに対し、実施例3の眼鏡レンズについても同様の評価を行ったところ、「(紫外線照射後の発色時透過率)-(紫外線照射前の発色時透過率)」の値は0.3%であった。
その後、QUV紫外線蛍光管式促進耐候試験機(Q-Lab社製)において、眼鏡レンズの物体側表面に向けて0.2W/m2の照射条件で紫外線を1週間照射した。
上記紫外線照射後の眼鏡レンズについて、上記と同様にYI値を求めた。紫外線照射前に対して紫外線照射後のYI値の上昇が小さいほど、耐候性に優れると評価することができる。実施例1の眼鏡レンズについては、「(紫外線照射後のYI値)-(紫外線照射前のYI値)」の値は9.9%であった。これに対し、実施例3の眼鏡レンズについても同様の評価を行ったところ、「(紫外線照射後のYI値)-(紫外線照射前のYI値)」の値は4.6%であった。
Claims (11)
- フォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層と、
重合性組成物(ただし、(a)酸の作用により分解して親水性が増大する基を有し、フッ素原子及びケイ素原子から選択される少なくとも1種を含む基を有する樹脂と(b)酸発生剤とを含有する重合性組成物を除く)を硬化させた硬化層である保護層と、
を有するフォトクロミック物品であって、
前記重合性組成物は、
1種以上の(メタ)アクリレートを含み、かつ(メタ)アクリレートの全量に対して、脂環式の2官能アクリレートを95.0質量%超含み、
組成物の全量に対して、(メタ)アクリレートを80.0質量%以上含み、かつ
前記脂環式の2官能アクリレートは、R1-(L1)n1-Q-(L2)n2-R2で表される構造を有する化合物であり、
Qは炭素数3~20の二価の脂環式炭化水素基を表し、
R1およびR2はそれぞれ独立に(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、R 1 およびR 2 の少なくとも一方はアクリロイル基またはアクリロイルオキシ基を表し、
L1およびL2はそれぞれ独立に炭素数1~6のアルキレン基を表し、
n1およびn2はそれぞれ独立に0または1を表す、フォトクロミック物品。 - 前記重合性組成物はラジカル重合開始剤を更に含む、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
- 前記重合性組成物は紫外線吸収剤を更に含む、請求項1または2に記載のフォトクロミック物品。
- 前記保護層の厚さは、10~45μmの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- 基材を更に有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- 前記基材と、前記フォトクロミック層と、前記保護層と、有機ケイ素系硬化層と、をこの順に有する、請求項5に記載のフォトクロミック物品。
- 眼鏡レンズである、請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- ゴーグル用レンズである、請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- サンバイザーのバイザー部分である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- ヘルメットのシールド部材である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフォトクロミック物品。
- 請求項7に記載の眼鏡レンズを備えた眼鏡。
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