本開示は、遺伝子操作された細菌、その医薬組成物、ならびに高フェニルアラニン血症に関連する障害をモジュレートおよび治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、非天然フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)をコードし、哺乳動物においてフェニルアラニンを処理し、低減させることができる遺伝子を含む。したがって、遺伝子操作された細菌およびこれらの細菌を含む医薬組成物は、PKUを含む、高フェニルアラニン血症に関連する状態を治療および/または予防するために、体内のフェニルアラニンを非毒性分子に代謝するために使用され得る。特定の態様では、遺伝子操作された細菌を含む組成物は、高フェニルアラニン血症に関連する障害を治療および/または予防するために本開示の方法において使用され得る。
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。これらの定
義は、本開示の残りの部分を考慮して、および当業者によって理解されるように読まれるべきである。他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。さらなる定義が詳細な説明の全体を通して記載されている。
「高フェニルアラニン血症(Hyperphenylalaninemia)」、「高フェニルアラニン血症(hyperphenylalaninemic)」、および「過剰なフェニルアラニン」は、体内の増加したまたは異常に高い濃度のフェニルアラニンを指すために本明細書において交換可能に使用される。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症の診断シグナルは、少なくとも2mg/dL、少なくとも4mg/dL、少なくとも6mg/dL、少なくとも8mg/dL、少なくとも10mg/dL、少なくとも12mg/dL、少なくとも14mg/dL、少なくとも16mg/dL、少なくとも18mg/dL、少なくとも20mg/dL、または少なくとも25mg/dLの血中フェニルアラニンレベルである。本明細書において使用される場合、高フェニルアラニン血症に関連する疾患には、限定されないが、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症、および瀬川病が含まれる。罹患者は、進行性および不可逆性の神経学的欠損、精神遅滞、脳症、てんかん、湿疹、低成長、小頭症、振戦、四肢痙攣、および/または低色素沈着を患う可能性がある(Leonard 2006年)。高フェニルアラニン血症はまた、他の状態、例えば肝疾患に続発する可能性がある。
「フェニルアラニンアンモニアリアーゼ」および「PAL」は、フェニルアラニンをtrans-ケイ皮酸およびアンモニアに変換または処理するフェニルアラニン代謝酵素(PME)を指すために使用される。trans-ケイ皮酸は、毒性が低く、哺乳動物における肝臓酵素によって、尿中に分泌される馬尿酸に変換される。PALは、過剰のフェニルアラニンを代謝するための酵素PAHの代わりになり得る。PAL酵素活性はTHB補因子活性を必要としない。いくつかの実施形態では、PALは原核生物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。代替の実施形態では、PALは真核生物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、PALは、限定されないが、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、フォトラブダス・ルミネセンス(Photorhabdus luminescens)、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を含む、細菌種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、PALは、アナベナ・バリアビリスに由来するPAL遺伝子によってコードされ、本明細書において「PAL1」と称される(Moffittら、2007年)。いくつかの実施形態では、PALは、フォトラブダス・ルミネセンスに由来するPAL遺伝子によってコードされ、本明細書において「PAL3」と称される(Williamsら、2005年)。いくつかの実施形態では、PALは、酵母種、例えば、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)に由来するPAL遺伝子によってコードされる(Gilbertら、1985年)。いくつかの実施形態では、PALは、植物種、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に由来するPAL遺伝子によってコードされる(Wannerら、1995年)。PALの任意の適切なヌクレオチドおよびアミノ酸配列、またはその機能的断片が使用され得る。
「フェニルアラニンヒドロキシラーゼ」および「PAH」は、補因子テトラヒドロビオ
プテリンと併せてヒト体内でチロシンを作製するためにフェニルアラニンの芳香族側鎖のヒドロキシル化を触媒する酵素を指すために使用される。PAHをコードするヒト遺伝子は、22位と24.2位との間の第12染色体の長(q)腕に位置する。PAHのアミノ酸配列は哺乳動物の間で高度に保存されている。ヒトおよび哺乳動物PAHについての核酸配列は周知であり、広く利用可能である。PAHについての完全長ヒトcDNA配列は1985年に報告された(Kwokら、1985年)。PAHの活性断片もまた周知である(例えば、Kobeら、1997年)。
「L-アミノ酸デアミナーゼ」および「LAAD」は、それらのそれぞれのケト酸、アンモニア、および過酸化水素を生成するためにL-アミノ酸の立体特異的酸化的脱アミノ化を触媒する酵素を指すために使用される。例えば、LAADはフェニルアラニンのフェニルピルベートへの変換を触媒する。多数のLAAD酵素が当該分野において公知であり、それらの多くは、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、およびモルガネラ属(Morganella)などの細菌、または毒液に由来する。LAADはフェニルアラニン分解の速い反応速度を特徴とする(Houら、Appl Microbiol Technol.2015年10月;99(20):8391~402頁;「Production of phenylpyruvic acid from L-phenylalanine using an L-amino acid deaminase from Proteus mirabilis:comparison of enzymatic and whole-cell biotransformation approaches」)。大部分の真核生物および原核生物のL-アミノ酸デアミナーゼは細胞外であるが、プロテウス種LAADは、酵素活性が存在する周辺質間隙に外側で面している細胞膜(内膜)に局在している。この局在化の結果として、内膜を通る細胞質へのフェニルアラニン輸送は、プロテウス属LAADにより媒介されるフェニルアラニン分解に必要とされない。フェニルアラニンは、トランスポーターを必要とせずに外膜を通して周辺質に容易に取り込まれ、基質の利用可能性を改善するトランスポーターの必要性を取り除く。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、限定されないが、プロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌を含む、細菌種に由来するLAAD遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)である。いくつかの実施形態では、細菌種は、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるLAADは、周辺質間隙に面しており、周辺質間隙において触媒活性を生じる細胞膜に局在している。
「フェニルアラニン代謝酵素」または「PME」は、フェニルアラニンを分解することができる酵素を指すために使用される。当該技術分野において公知の任意のフェニルアラニン代謝酵素は、遺伝子操作された細菌によってコードされ得る。PMEには、限定されないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、アミノトランスフェラーゼ、L-アミノ酸デアミナーゼ(L-AAD)、およびフェニルアラニンデヒドロゲナーゼが含まれる。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼまたはアミノトランスフェラーゼとの反応は補因子を必要とするが、L-AADおよびPALはさらなる補因子を全く必要としない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるPMEは補因子を必要とする。いくつかの実施形態では、この補因子は、遺伝子操作された細菌の投与と同時または連続して提供される。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は補因子を産生することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はフェニルアラニンヒドロキシラーゼをコードする。いくつかの実施形態では
、遺伝子操作された細菌はフェニルアラニンデヒドロゲナーゼをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はアミノトランスフェラーゼをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるPMEは補因子を必要としない。理論に束縛されるものではないが、補因子の必要性がないことは、酵素によるフェニルアラニン分解の速度が基質の利用可能性に依存し、補因子の利用可能性によって制限されないことを意味する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって産生されるPMEはPALである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって産生されるPMEはLAADである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPMEの組合せをコードする。
いくつかの実施形態では、PMEの触媒活性は酸素レベルに依存する。いくつかの実施形態では、PMEは微好気的条件下で触媒的に活性である。非限定的な例として、LAAD触媒活性は酸素に依存する。いくつかの実施形態では、LAADは微好気的条件などの低酸素条件下で活性である。本発明のいくつかの実施形態では、PMEは、例えば結腸に見出されるような非常に低いレベルの酸素で、または酸素の非存在下で機能する。非限定的な例として、PAL活性は酸素の存在に依存しない。
特定の実施形態では、新たなまたは改善されたPMEは、当該分野において公知または本明細書に記載される方法に従って同定され得、遺伝子操作された細菌によってコードされる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる酵素は、ウイルス、原核生物または真核生物から単離された野生型酵素である。いくつかの実施形態では、酵素配列は、安定性または触媒活性などの酵素の1つまたは複数の特異的性質を増加させるようにさらに修飾または突然変異されている。
「フェニルアラニン代謝産物」とは、フェニルアラニンの分解の結果として生成される代謝産物を指す。代謝産物は、基質としてフェニルアラニンを使用して酵素によってフェニルアラニンから直接的に、またはフェニルアラニン代謝産物基質に対して作用する、代謝経路の下流の異なる酵素によって間接的に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PMEをコードする遺伝子操作された細菌によって産生される。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PAH活性から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたPAHから直接的または間接的に生じる。いくつかの実施形態では、代謝産物はチロシンである。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、不完全なPAH活性に起因してPKU患者の血液または尿中に蓄積する。このようなPKU代謝産物の非限定的な例は、フェニルピルビン酸およびフェニル-乳酸である。他の例には、フェニルアセテート、フェニルエチルアミン、およびフェニルアセチルグルタミンが含まれる。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PAL作用から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたPALから直接的または間接的に生じる。このようなPAL代謝産物の非限定的な例は、trans-ケイ皮酸および馬尿酸である。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、LAAD作用から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたLAADから直接的または間接的に生じる。このようなLAAD代謝産物の例は、フェニルピルベートおよびフェニル乳酸である。
「フェニルアラニントランスポーター」は、フェニルアラニンを細菌細胞に輸送することができる膜輸送タンパク質を指すために使用される(例えば、Piら、1991年を参照のこと)。大腸菌(Escherichia coli)において、pheP遺伝子は、フェニルアラニン輸送を担う高親和性フェニルアラニン特異的パーミアーゼをコードす
る(Piら、1998年)。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、限定されないが、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、および大腸菌を含む、細菌種に由来するpheP遺伝子によってコードされる。他のフェニルアラニントランスポーターには、aroP遺伝子によってコードされ、高親和性でフェニルアラニンを含む3つの芳香族アミノ酸を輸送し、PhePと一緒に、フェニルアラニン取り込みの最大の部分を担うアーゲネラル(Aageneral)アミノ酸パーミアーゼが含まれる。さらに、低レベルのフェニルアラニン輸送活性は、LIV-I/LS系の活性まで追跡され、そのLIV-I/LS系は、2つの周辺質結合タンパク質である、LIV結合タンパク質(LIV-I系)およびLS結合タンパク質(LS系)、ならびに膜成分であるLivHMGFからなる分枝鎖アミノ酸トランスポーターである。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、細菌種に由来するaroP遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、LIV結合タンパク質およびLS結合タンパク質ならびに細菌種に由来するLivHMGF遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、pheP、aroP、およびLIV-I/LS系から選択される1種より多いフェニルアラニントランスポーターを含む。
「フェニルアラニン」および「Phe」は、式C6H5CH2CH(NH2)COOHを有するアミノ酸を指すために使用される。フェニルアラニンは、チロシン、ドーパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリンの前駆体である。L-フェニルアラニンは必須アミノ酸であり、食品タンパク質中に主に見出されるフェニルアラニンの形態である。立体異性体D-フェニルアラニンは食品タンパク質中により少ない量で見出され、DL-フェニルアラニンは両方の形態の組合せである。フェニルアラニンは、L-フェニルアラニン、D-フェニルアラニン、およびDL-フェニルアラニンのうちの1つまたは複数を指すことができる。
「作動可能に連結している」とは、核酸配列、例えばcisで作用する核酸配列の発現を可能にするように調節領域配列に結合している、例えばPALをコードする遺伝子を指す。調節領域は、目的の遺伝子の転写を誘導することができ、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、タンパク質認識部位、誘導性エレメント、プロモーター制御エレメント、タンパク質結合配列、5’および3’非翻訳領域、転写開始部位、終止配列、ポリアデニル化配列、およびイントロンを含んでもよい核酸である。
「誘導可能なプロモーター」とは、1つまたは複数の遺伝子に作動可能に連結している調節領域を指し、遺伝子の発現は前記調節領域の誘導因子の存在下で増加する。
「直接的に誘導可能なプロモーター」とは、フェニルアラニン代謝酵素、例えばPALをコードする遺伝子に作動可能に連結している調節領域を指し、前記調節領域の誘導因子の存在下で、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。「間接的に誘導可能なプロモーター」とは、2つ以上の調節領域、例えば、第1の分子、例えば、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結している第2の調節領域を調節できる、転写調節因子をコードする遺伝子に作動可能に連結している第1の調節領域を含む調節系を指す。第1の調節領域の誘導因子の存在下で、第2の調節領域は活性化または抑制され得、それによってフェニルアラニン代謝酵素の発現を活性化または抑制する。直接的に誘導可能なプロモーターおよび間接的に誘導可能なプロモーターの両方は、「誘導可能なプロモーター」に包含される。
「外因性環境条件」とは、上記のプロモーターが直接的または間接的に誘導される設定または状況を指す。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の消化管に特異
的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の上部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の下部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の小腸に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件とは、健康または疾患状態における哺乳動物の消化管に特異的である分子または代謝産物、例えばプロピオネートの存在を指す。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素、微好気的、または嫌気的条件である。
「外因性環境条件」とは、本明細書に記載されるプロモーターが誘導される設定または状況を指す。「外因性環境条件」という語句は、操作された微生物に対して外部であるが、宿主対象環境に対して内因性または天然である環境条件を指すことを意味する。したがって、「外因性」および「内因性」は、環境条件が哺乳動物の身体に対して内因性であるが、無傷微生物細胞に対して外部または外因性である環境条件を指すために交換可能に使用され得る。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の上部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の下部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の小腸に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素、微好気的、または嫌気的条件である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管に特異的である分子または代謝産物、例えばプロピオネートである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、組織特異的または疾患特異的代謝産物または分子である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は低pH環境である。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された微生物はpH依存性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された微生物は、酸素レベル依存性プロモーターを含む。いくつかの態様では、細菌は酸素レベルを検知できる進化した転写因子を有する。異なるシグナル伝達経路が異なる酸素レベルによって誘発され得、異なる動態を伴って発生する。
「酸素レベル依存性プロモーター」または「酸素レベル依存性調節領域」とは、1つまたは複数の酸素レベル感受性転写因子が結合できる核酸配列を指し、対応する転写因子の結合および/または活性化は下流の遺伝子発現を活性化する。
酸素レベル依存性転写因子の例には、限定されないが、FNR、ANR、およびDNRが含まれる。対応するFNR応答性プロモーター、ANR応答性プロモーター、およびDNR応答性プロモーターは当該分野において公知である(例えば、Castiglioneら、2009年;Eiglmeierら、1989年;Galimandら、1991年;Hasegawaら、1998年;Hoerenら、1993年;Salmonら、2003年を参照のこと)。非限定的な例は表1に示される。
非限定的な例において、プロモーター(PfnrS)は、環境酸素が低いかまたは全くない条件下で高度に発現することが知られている、大腸菌Nissleフマレートおよび硝酸レダクターゼ遺伝子S(fnrS)に由来した(DurandおよびStorz、2010年;Boysenら、2010年)。PfnrSプロモーターは、Nissleにおいて天然に見出される包括的転写調節因子FNRによって嫌気的条件下で活性化される。嫌気的条件下で、FNRは二量体を形成し、その制御下で特異的遺伝子のプロモーターにおける特異的配列に結合し、それによってそれらの発現を活性化する。しかしながら、好気的条件下で、酸素はFNR二量体における鉄-硫黄クラスターと反応し、それらを不活性型に変換する。このように、PfnrS誘導性プロモーターはタンパク質またはRNAの発現をモジュレートするために採用される。PfnrSは、本出願において、FNRS、fnrS、FNR、P-FNRSプロモーターおよびプロモーターPfnrSを示す他のそのような関連した指定として交換可能に使用される。
本明細書において使用される場合、「非天然」核酸配列とは、通常、細菌に存在しない核酸配列、例えば内因性配列の追加のコピー、または細菌の異なる種、株、もしくは亜株由来の配列などの異種配列、または同じ亜型の細菌由来の非修飾配列と比較して修飾および/もしくは突然変異されている配列を指す。いくつかの実施形態では、非天然核酸配列は合成の天然に存在しない配列である(例えば、Purcellら、2013年を参照のこと)。非天然核酸配列は、調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットにおける1つもしくは複数の遺伝子であってもよい。いくつかの実施形態では、「非天然」とは、天然において互いに同じ関係で見出されない2つ以上の核酸配列を指す。非天然核酸配列はプラスミドまたは染色体上に存在し得る。さらに、任意の調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの複数のコピーが細菌に存在してもよく、調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの1つまたは複数のコピーは、突然変異されてもよいか、または別様で本明細書に記載されるように変化されてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、コピー数を高めるために、または複数の異なる機能を実行する遺伝子カセットの複数の異なる成分を含むように同じ調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの複数のコピーを含むように操作される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、天然では前記遺伝子に付随していない直接的または間接的に誘導可能なプロモーター、例えば、PALをコードする遺伝子に作動可能に連結しているFNRプロモーターまたはLAADに作動可能に連結しているParaBADプロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子を含む。
「構成的プロモーター」とは、その制御下および/またはそれが作動可能に連結しているコード配列または遺伝子の連続的な転写を促進することができるプロモーターを指す。構成的プロモーターおよびバリアントは当該分野において周知であり、限定されないが、BBa_J23100、構成的大腸菌σSプロモーター(例えば、osmYプロモーター(国際遺伝子操作機構(International Genetically Engineered Machine)(iGEM)標準生物学的パーツ登録所(Registry of Standard Biological Parts)名称BBa_J45992;BBa_J45993))、構成的大腸菌σ32プロモーター(例えば、htpGヒートショックプロモーター(BBa_J45504))、構成的大腸菌σ70プロモーター(例えば、lacqプロモーター(BBa_J54200;BBa_J56015)、大腸菌CreABCDリン酸検知オペロンプロモーター(BBa_J64951)、GlnRSプロモーター(BBa_K088007)、lacZプロモーター(BBa_K119000;BBa_K119001);M13K07遺伝子Iプロモーター(
BBa_M13101);M13K07遺伝子IIプロモーター(BBa_M13102)、M13K07遺伝子IIIプロモーター(BBa_M13103)、M13K07遺伝子IVプロモーター(BBa_M13104)、M13K07遺伝子Vプロモーター(BBa_M13105)、M13K07遺伝子VIプロモーター(BBa_M13106)、M13K07遺伝子VIIIプロモーター(BBa_M13108)、M13110(BBa_M13110))、構成的バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)σAプロモーター(例えば、プロモーターveg(BBa_K143013)、プロモーター43(BBa_K143013)、PliaG(BBa_K823000)、PlepA(BBa_K823002)、Pveg(BBa_K823003))、構成的バチルス・サブティリスσBプロモーター(例えば、プロモーターctc(BBa_K143010)、プロモーターgsiB(BBa_K143011))、サルモネラ(Salmonella)プロモーター(例えば、サルモネラ由来のPspv2(BBa_K112706)、サルモネラ由来のPspv(BBa_K112707))、バクテリオファージT7プロモーター(例えば、T7プロモーター(BBa_I712074;BBa_I719005;BBa_J34814;BBa_J64997;BBa_K113010;BBa_K113011;BBa_K113012;BBa_R0085;BBa_R0180;BBa_R0181;BBa_R0182;BBa_R0183;BBa_Z0251;BBa_Z0252;BBa_Z0253))、バクテリオファージSP6プロモーター(例えば、SP6プロモーター(BBa_J64998))、およびそれらの機能的断片が含まれる。
「消化管」とは、食物の移動および消化、栄養素の吸収、ならびに老廃物の排出を担う器官、腺、管、および系を指す。ヒトにおいて、消化管は、口から始まり肛門で終わり、食道、胃、小腸、および大腸をさらに含む、胃腸(GI)管を含む。消化管はまた、脾臓、肝臓、胆嚢、および膵臓などの副器官および腺を含む。上部胃腸管は、食道、胃、および小腸の十二指腸を含む。下部胃腸管は、小腸の残りの部分、すなわち空腸および回腸、ならびに大腸の全て、すなわち盲腸、結腸、直腸、および肛門管を含む。細菌は、消化管全体にわたって、例えば胃腸管において、特に腸において見出され得る。
本明細書において使用される場合、「遺伝子配列」という用語は、遺伝子配列、例えば核酸配列を指すことを意味する。遺伝子配列または遺伝学的配列(genetic sequence)は、完全な遺伝子配列または部分的な遺伝子配列を含むことを意味する。遺伝子配列または遺伝学的配列は、タンパク質またはポリペプチドをコードする配列を含むことを意味し、また、タンパク質またはポリペプチドをコードしない遺伝学的配列、例えば、調節配列、リーダー配列、シグナル配列、または他の非タンパク質コード配列を含むことを意味する。
「微生物」とは、典型的に単細胞からなる微視的、超微視的、または超顕微鏡的なサイズの生物または微生物を指す。微生物の例には、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、特定の藻類、および原生動物が含まれる。いくつかの態様では、微生物は、目的の1つまたは複数の治療分子またはタンパク質を産生するように操作される(「操作された微生物」)。特定の態様では、微生物は、その環境、例えば消化管から特定の代謝産物または他の化合物を吸収し、異化するように操作される。特定の態様では、微生物は、特定の有益な代謝産物または他の化合物(合成または天然に存在する)を合成し、それらをその環境中へ放出するように操作される。特定の実施形態では、操作された微生物は操作された細菌である。特定の実施形態では、操作された微生物は操作されたウイルスである。
「非病原性細菌」とは、宿主において疾患または有害な反応を引き起こすことができない細菌を指す。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陽性細菌である。いくつかの実施形態では、非
病原性細菌は、消化管の常在微生物叢に存在する共生細菌である。非病原性細菌の例には、限定されないが、バチルス属(Bacillus)、バクテイロデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エシェリキア属(Escherichia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)、例えば、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サブティリス、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・サブティリス(Bacteroides subtilis)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium
lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium
longum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactococcus lactis)、およびサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces
boulardii)が含まれる(Sonnenbornら、2009年;Dinleyiciら、2014年;米国特許第6,835,376号;米国特許第6,203,797号;米国特許第5,589,168号;米国特許第7,731,976号)。天然の病原性細菌は、病原性を低減または取り除くように遺伝子操作されてもよい。
「プロバイオティクス」は、適量の微生物を含有する宿主生物に対して健康の利点を与えることができる、生きている非病原性の微生物、例えば細菌を指すために使用される。いくつかの実施形態では、宿主生物は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、宿主生物はヒトである。非病原性細菌のいくつかの種、株、および/または亜型は、現在、プロバイオティクスとして認識されている。プロバイオティクス細菌の例には、限定されないが、ビフィドバクテリア属(Bifidobacteria)、エシェリキア属、ラクトバチルス属、およびサッカロミセス属、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、大腸菌株Nissle、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・プランタルム、およびサッカロミセス・ブラウディが含まれる(Dinleyiciら、2014年;米国特許第5,589,168号;米国特許第6,203,797号;米国特許第6,835,376号)。プロバイオティクスは細菌のバリアントまたは突然変異株であってもよい(Arthurら、2012年;Cuevas-Ramosら、2010年;Olierら、2012年;Nougayredeら、2006年)。非病原性細菌は、所望の生物学的特性、例えば生存率を向上または改善させるように遺伝子操作されてもよい。非病原性細菌は、プロバイオティクス特性を提供するように遺伝子操作されてもよい。プロバイオティクス細菌は、プロバイオティクス特性を向上または改善さ
せるように遺伝子操作されてもよい。
本明細書において使用される場合、「安定に維持された」または「安定な」細菌は、非天然遺伝子物質、例えばPAL遺伝子を保有する細菌宿主細胞を指すために使用され、その非天然遺伝子物質が保持され、発現され、および/または増殖されるように、それは宿主ゲノム内に組み込まれるか、または自己複製染色体外プラスミド上で増殖する。安定な細菌は、in vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管内で生存および/または増殖できる。例えば、安定な細菌は、PAL遺伝子を保有するプラスミドまたは染色体が宿主細胞中で安定に維持される、PAL遺伝子を含む遺伝子組換え細菌であってもよく、それによりPALは宿主細胞中で発現され得、宿主細胞はin
vitroおよび/またはin vivoで生存および/または増殖できる。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質、例えば、PAL遺伝子またはPAH遺伝子の発現の安定性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質、例えば、PAL遺伝子またはPAH遺伝子の発現レベルに影響を及ぼす。
本明細書において使用される場合、「モジュレートする」および「治療する」という用語ならびにそれらの同語源語は、疾患、障害、および/もしくは状態、またはそれらのうちの少なくとも1つの識別できる症状の改善を指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、必ずしも患者によって識別できるとは限らない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、物理的(例えば、識別できる症状の安定化)、生理的(例えば、物理的パラメータの安定化)のいずれかまたは両方で、疾患、障害、および/または状態の進行を阻害することを指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、疾患、障害、および/もしくは状態の進行を遅らせること、またはそれらの進行を反転させることを指す。本明細書において使用される場合、「予防する」およびその同語源語は、発症を遅延させること、あるいは所与の疾患、障害および/もしくは状態またはそのような疾患、障害、および/もしくは状態に関連した症状に罹るリスクを低減させることを指す。
治療を必要とするものは、特定の医学的疾患を既に有する個体、および疾患を有するリスクがあるか、または最終的に疾患に罹り得る個体を含んでもよい。治療の必要性は、例えば、疾患の発生、疾患の存在もしくは進行、または疾患を有する対象の治療に対する受容の可能性に関連する1つまたは複数のリスク因子の存在によって評価される。原発性高フェニルアラニン血症、例えばPKUは、治癒が知られていない先天的遺伝子突然変異によって引き起こされる。高フェニルアラニン血症はまた、他の状態、例えば肝疾患に続発する可能性がある。高フェニルアラニン血症を治療することは、過剰なフェニルアラニンおよび/または関連する症状を低減させるか、または取り除くことを包含することができ、必ずしも基礎疾患を取り除くことを包含する必要はない。
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」とは、生理学的に適切な担体および/または賦形剤などの他の成分との本発明の遺伝子操作された細菌の調製物を指す。
交換可能に使用されてもよい「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与される細菌性化合物の生物学的活性および特性を無効にしない担体または希釈剤を指す。助剤はこれらの語句に含まれる。
「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に加えられる不活性な物質を指す。例には、限定されないが、重炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチ
レングリコール、ならびに例えばポリソルベート20を含む界面活性剤が含まれる。
「治療有効用量」および「治療有効量」という用語は、症状の発症の予防、遅延、または状態、例えば高フェニルアラニン血症の症状の改善をもたらす化合物の量を指すために使用される。治療有効量は、例えば、重症度を治療し、予防し、低減させ、発症を遅延させ、および/または過剰なフェニルアラニンレベルに関連する疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発生のリスクを低減させるのに十分であり得る。治療有効量、および投与の治療有効頻度は、当該分野において公知であり、以下に説明される方法によって決定され得る。
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、「ポリペプチド(単数)」および「ポリペプチド(複数)」を含み、アミド結合(すなわちペプチド結合)によって直線状に連結しているアミノ酸モノマーからなる分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖(複数可)を指し、特定の長さの生成物を指すわけではない。したがって、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「オリゴペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸の鎖(複数可)を指すために使用される任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義の範囲内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、または交換可能に使用されてもよい。「ジペプチド」という用語は、2つの連結しているアミノ酸のペプチドを指す。「トリペプチド」という用語は、3つの連結しているアミノ酸のペプチドを指す。「ポリペプチド」という用語はまた、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、タンパク質分解的切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含む、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すことを意図する。ポリペプチドは、天然の生物学的起源に由来してもよいか、または組換え技術によって産生されてもよい。他の実施形態では、ポリペプチドは、本発明の遺伝子操作された細菌またはウイルスによって産生される。本発明のポリペプチドは、約3個以上、5個以上、10個以上、20個以上、25個以上、50個以上、75個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1000個以上、または2,000個以上のアミノ酸のサイズであってもよい。ポリペプチドは、定義された三次元構造を有してもよいが、必ずしもこのような構造を有する必要はない。定義された三次元構造を有するポリペプチドは折り畳まれたと称され、定義された三次元構造を保有しないが、多数の異なる立体配座を採用できるポリペプチドは折り畳まれていないと称される。「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、タンパク質もしくはタンパク質の一部に対応するアミノ酸配列を指してもよいか、または非タンパク質配列、例えば、調節ペプチド配列、リーダーペプチド配列、シグナルペプチド配列、リンカーペプチド配列、および他のペプチド配列から選択される配列に対応するアミノ酸配列を指してもよい。
「単離された」ポリペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体とは、その天然の環境に存在しないポリペプチドを指す。特定の精製レベルは必要とされない。限定されないが、細菌または哺乳動物細胞を含む宿主細胞中で発現される組換えにより産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、断片化、または部分的もしくは十分に精製されている天然または組換えポリペプチドがそうであるように、本発明の目的においては、単離されたとみなされる。組換えペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質とは、組換えDNA技術によって産生された、すなわちポリペプチドをコードする外因性組換えDNA発現構築物によって形質転換された細胞、微生物または哺乳動物から産生されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。ほとんどの細菌培養物中で発現されるタンパク質またはペプチドは、典型的にグリカンを含まない。前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体またはバリアント、およびそれらの任意の組合せもまた、ポリペプチドとして含まれる。「断片」、「バリアント」、「誘導体」および「類似体」という用語は、元のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似したアミノ酸配列を有す
るポリペプチドを含み、対応する元のポリペプチドの少なくとも1つまたは複数の特性を保持する任意のポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドの断片は、タンパク質分解断片、および欠失断片を含む。断片はまた、特異的抗体もしくは生物活性断片または本明細書に記載される任意のポリペプチドに由来する免疫学的に活性な断片を含む。バリアントは天然に存在してもよいか、または天然に存在しなくてもよい。天然に存在しないバリアントは、当該分野において公知の突然変異誘発法を使用して産生され得る。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含んでもよい。
ポリペプチドはまた、融合タンパク質も含む。本明細書において使用される場合、「バリアント」という用語は、元のペプチドまたは元のペプチドと十分に類似する配列を含む融合タンパク質を含む。本明細書において使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、2つ以上の異なるタンパク質のアミノ酸配列を含むキメラタンパク質を指す。典型的に、融合タンパク質は周知のin vitro組換え技術から生じる。融合タンパク質は、その融合タンパク質の成分である個々の元のタンパク質と類似した構造機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)、および/または類似した調節機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)、および/または類似した生化学機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)および/または免疫学的活性(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)を有してもよい。「誘導体」は、限定されないが、20個の標準的なアミノ酸の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドを含む。2つのペプチド間の「類似性」は、1つのペプチドのアミノ酸配列を第2のペプチドの配列と比較することによって決定される。1つのペプチドのアミノ酸は、それが同一または保存的アミノ酸置換である場合、第2のペプチドの対応するアミノ酸と類似している。保存的置換には、Dayhoff,M.O.、ed.、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5、National Biomedical Research Foundation、Washington,D.C.(1978年)、およびArgos、EMBO J.8(1989年)、779~785頁に記載されているものが含まれる。例えば、以下の群の1つに属するアミノ酸は保存的変化または置換を表す:-Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;-Cys、Ser、Tyr、Thr;-Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;-Lys、Arg、His;-Phe、Tyr、Trp、His;および-Asp、Glu。
本明細書において使用される場合、「十分に類似する」という用語は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能的活性を有するように、第2のアミノ酸配列と比較して十分または最低限の数の同一または等価のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸配列を意味する。例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一である共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列は、十分に類似していると本明細書において定義される。好ましくは、バリアントは本発明のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似している。このようなバリアントは、一般に、本発明のペプチドの機能的活性を保持する。バリアントは、1つまたは複数のアミノ酸の欠失、付加、および/または置換によって、天然および野生型ペプチドとアミノ酸配列がそれぞれ異なるペプチドを含む。それらは天然に存在するバリアントおよび人工的に設計されたバリアントであってもよい。
本明細書において使用される場合、「リンカー」、「リンカーペプチド」または「ペプチドリンカー」または「リンカー」という用語は、2つのポリペプチド配列を接続または
連結する、例えば2つのポリペプチドドメインを連結する合成または非天然もしくは天然に存在しないアミノ酸配列を指す。本明細書において使用される場合、「合成」という用語は、天然に存在しないアミノ酸配列を指す。例示的なリンカーが本明細書に記載される。さらなる例示的なリンカーは米国特許出願公開第20140079701号に提供されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書において使用される場合、「コドン最適化配列」という用語は、既存のコード配列から修飾された、あるいは例えば、コード配列から転写された転写RNA分子の発現宿主細胞もしくは生物における翻訳を改善するように、またはコード配列の転写を改善するように設計された配列を指す。コドンの最適化には、限定されないが、発現宿主生物のコドンの選好性に適合するように、コード配列についてのコドンを選択することを含むプロセスが含まれる。
多くの生物は、成長ポリペプチド鎖において特定のアミノ酸の挿入をコードするために特定のコドンを使用するためのバイアスまたは選好性を示す。コドンの選好性またはコドンバイアス、生物間でのコドン使用頻度の差異は、遺伝暗号の縮重によって許容され、多くの生物の間で文書により十分に立証されている。コドンバイアスは、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、次に、そのメッセンジャーRNA(mRNA)は、とりわけ、翻訳されるコドンの特性および特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞における選択されたtRNAの優性は、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンの反映である。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいた所与の生物における最適な遺伝子発現のために調整され得る。
本明細書において使用される場合、「分泌系」または「分泌タンパク質」という用語は、目的のタンパク質または治療タンパク質を微生物、例えば細菌細胞質から分泌または排出することができる天然または非天然の分泌機構を指す。分泌系は、単一タンパク質を含んでもよいか、または複合体、例えばHlyBDにおいて構築される2つ以上のタンパク質を含んでもよい。グラム陰性細菌についての分泌系の非限定的な例には、修飾されたIII型鞭毛、I型(例えば、溶血素分泌系)、II型、IV型、V型、VI型、およびVII型分泌系、耐性-結節形成-分裂(resistance-nodulation-division)(RND)多剤排出ポンプ、種々の単一膜分泌系が含まれる。グラム陽性細菌についての分泌系の非限定的な例には、SecおよびTAT分泌系が含まれる。いくつかの実施形態では、目的のタンパク質は、目的のタンパク質または治療タンパク質を特異的分泌系へ誘導するためのRNAまたはペプチド起源のいずれかの「分泌タグ」を含む。いくつかの実施形態では、分泌系は、操作した細菌から目的のタンパク質を分泌する前にこのタグを除去することができる。例えば、V型自己分泌媒介性分泌(auto-secretion-mediated secretion)において、N末端ペプチド分泌タグは、天然のSec系によって細胞質から周辺質区画への「パッセンジャー」ペプチドの転位の際に除去される。さらに、自己分泌因子が外膜を横切って移行すると、C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断によって除去され得、それによって目的のタンパク質を細胞外環境に放出する。]]
本明細書において使用される場合、「トランスポーター」という用語は、分子、例えば、アミノ酸、毒素、代謝産物、基質などを細胞外環境から微生物へ取り込むための機構、例えばタンパク質(複数可)を指すことを意味する。
本明細書において使用される場合、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に反対であることが示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解さ
れるべきである。
「および/または」という語句は、列挙における要素の間で使用される場合、(1)単一の列挙された要素のみが存在すること、または(2)列挙の1つより多い要素が存在することのいずれかを意味することを意図する。例えば、「A、Bおよび/またはC」は、その選択が、A単独;B単独;C単独;AおよびB;AおよびC;BおよびC;またはA、B、およびCであってもよいことを示す。「および/または」という語句は、列挙における要素の「少なくとも1つ」または「1つもしくは複数」と交換可能に使用されてもよい。
細菌
本発明の遺伝子操作された細菌は過剰のフェニルアラニンを低減させることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は非病原性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は共生細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はプロバイオティクス細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、病原性を低減させるか、または取り除くように修飾または突然変異された天然の病原性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陽性細菌である。例示的な細菌には、限定されないが、バチルス属、バクテイロデス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリア属、クロストリジウム属、エンテロコッカス属、大腸菌、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、サッカロミセス属、およびスタフィロコッカス属、例えば、バチルス・コアグランス、バチルス・サブティリス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・サブティリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロングム、クロストリジウム・ブチリカム、エンテロコッカス・フェシウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ラクティス、およびサッカロミセス・ブラウディが含まれる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・サブティリス、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、クロストリジウム・ブチリカム、大腸菌Nissle、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、およびラクトバチルス・ラクティスからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、最も特徴付けられたプロバイオティクスの1つに進化している腸内細菌科(Enterobacteriaceae family)のグラム陰性細菌である、大腸菌株Nissle 1917(E.coli Nissle)である(Ukenaら、2007年)。その株はその完全な無害により特徴付けられ(Schultz、2008年)、GRAS(一般に安全と認識されている(generally recognized as safe))状態を有する(Reisterら、2014年、下線は筆者による)。ゲノムシークエンシングにより、大腸菌Nissleが重要なビルレンス因子(例えば、大腸菌α-溶血素、P-線毛付着因子)を欠失していることが確認された(Schultz、2008年)。さらに、大腸菌Nissleは病原性接着因子を保有せず、腸毒素または細胞毒素を全く産生せず、侵襲性ではなく、尿路病原性ではないことが示されている(Sonnenbornら、2009年)。早くも1917年に、大腸菌Nissleは、治療的使用のために、Mutaflorと呼ばれる医薬用カプセルにパッケージ化された。大腸菌Nissleの治療効果および安全性は納得できるように証明されていることは一般に認められている(Ukenaら
、2007年)。
当業者は、本明細書に開示される遺伝子組換えが、細菌の他の種、株、および亜型に適合され得ることを理解する。さらに、1つまたは複数の異なる種由来の遺伝子が互いに導入されてもよく、例えば、ロドスポリジウム・トルロイデス由来のPAL遺伝子は大腸菌において発現され得(Sarkissianら、1999年)、原核生物および真核生物のフェニルアラニンアンモニアリアーゼは配列相同性を共有することが知られている(XiangおよびMoore、2005年)。
非修飾大腸菌Nissleおよび本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、消化管もしくは血清中の防御因子によって(Sonnenbornら、2009年)、または投与後数時間もしくは数日の死滅スイッチ(kill switch)の活性化によって破壊され得る。このように、遺伝子操作された細菌は継続的な投与を必要とする場合がある。いくつかの実施形態では、滞留時間はヒト対象について計算される。in vivoでの滞留時間は、本発明の遺伝子操作された細菌について計算され得る(例えば、図38を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPALをコードする遺伝子を含み、PAL遺伝子は直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、細菌は非天然PAL遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌は天然のPAL遺伝子のさらなるコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは天然ではPAL遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPAHをコードする遺伝子を含み、PAH遺伝子は直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、細菌は非天然のPAH遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌は天然のPAH遺伝子のさらなるコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは天然ではPAH遺伝子に付随していない。
遺伝子操作された細菌はフェニルアラニントランスポーター(PheP)をコードする遺伝子をさらに含む。特定の実施形態では、細菌は、フェニルアラニントランスポーターをコードする天然遺伝子のさらなるコピーを含み、フェニルアラニントランスポーター遺伝子は、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。代替の実施形態では、細菌は、非天然フェニルアラニントランスポーターをコードする遺伝子を含み、フェニルアラニントランスポーター遺伝子は、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。両方の実施形態は、「非天然」フェニルアラニントランスポーターという用語に包含される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、天然ではpheP遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、同じプロモーターは、PhePおよびPALまたはPAHの発現を制御する。
いくつかの実施形態では、PAL、PAH、および/またはphePに作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特異的な外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の小腸に特異的な外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特異的である分子または代謝産物、例えばプロピオネートの存在によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、テトラサイクリンへの曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子によっ
て直接的または間接的に誘導される。
高フェニルアラニン血症の低減
本発明の遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素(PME)をコードする遺伝子を含み、高フェニルアラニン血症を低減させることができる。
フェニルアラニン代謝酵素の例には、限定されないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、アミノトランスフェラーゼ、L-アミノ酸デアミナーゼ(L-AAD)、およびフェニルアラニンデヒドロゲナーゼが含まれる。フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼまたはアミノトランスフェラーゼとの反応は補因子を必要とするが、L-AADおよびPALは追加の補因子を全く必要としない。理論に束縛されるものではないが、補因子を必要としないことは、遺伝子操作された細菌によってコードされる酵素によるフェニルアラニン分解が基質の利用可能性に依存し、補因子の利用可能性によって制限されないことを意味する。
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL;EC4.3.1.24)は、L-フェニルアラニンをアンモニアおよびtrans-ケイ皮酸に変換する反応を触媒する酵素である。フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、L-Pheに特異的であり、L-チロシンにはより低い程度で特異的である。PALによって触媒される反応は、trans-ケイ皮酸およびアンモニアを生じるためのL-フェニルアラニンの自然発生する、非酸化的脱アミノ化である。哺乳動物酵素(PAH)と異なり、PALは単量体であり、補因子を必要としない(MacDonaldら、Biochem Cell Biol 2007年;85:273~82頁. A modern view of phenylalanine ammonia lyase)。微生物において、それは、微生物が唯一の炭素および窒素源としてL-フェニルアラニン(L-Phe)を利用することを可能にする異化作用の役割を有する。一実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPAL遺伝子を含む。PALは、フェニルアラニンを非毒性レベルのtransケイ皮酸およびアンモニアに変換することができる。trans-ケイ皮酸(TCA)は、TCA代謝産物である安息香酸および馬尿酸にさらに変換され得る(Sarkissianら、J Mass Spectrom.2007年6月;42(6):811~7頁;Quantitation of phenylalanine and its trans-cinnamic,benzoic and hippuric acid metabolites in biological fluids in a single GC-MS analysis)。PAL酵素活性はTHB補因子活性を必要としない。
いくつかの実施形態では、PALは、限定されないが、アクロモバクター・キシロソキシダンス、シュードモナス・アエルギノーザ、フォトラブダス・ルミネセンス、アナベナ・バリアビリス、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンスを含む、細菌種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、細菌種はフォトラブダス・ルミネセンスである。いくつかの実施形態では、細菌種は、アナベナ・バリアビリスである。いくつかの実施形態では、PALは、真核生物種、例えば、酵母種、植物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。複数の異なるPALタンパク質が当該分野において公知である。遺伝子操作された細菌は、PAL遺伝子が発現されると、同じ条件下で同じ細菌亜型の非修飾細菌より多くのフェニルアラニンを変換する。したがって、PALを含む遺伝子操作された細菌は、PKUを含む、高フェニルアラニン血症に関連する状態を治療するために、体内のフェニルアラニンを非毒性分子に代謝するために使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、アナベナ・バリアビリスPAL(「PAL1」)を発現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フォトラブダス・ルミネセンスPAL(「PAL3」)を発現する。目的のPAL配列の非限
定的な例は表2に示される。
LAADは、イミノ酸中間体を介してアンモニアおよび過酸化水素の生成と共に、立体特異的酸化、すなわち酸素を消費する、L-アミノ酸のα-ケト酸への脱アミノ化を触媒する。L-AADは、ヘビ毒、および多くの細菌(Bifulcoら、2013年)、具体的にはプロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌の細胞膜に見出される。L-AAD(EC 1.4.3.2)は二量体構造を有するフラビン酵素である。各サブユニットは、非共有結合フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子)を含有し、外部補因子を全く必要としない。プロテウス・ミラビリスは2種類のL-AADを含有する(DuerreおよびChakrabarty 1975年)。1つは広範な基質特異性を有し、脂肪族および芳香族L-アミノ酸のケト酸、典型的にはL-フェニルアラニンへの酸化を触媒する(GenBank:U35383.1)(Baekら、Journal of Basic Microbiology 2011年、51、129~135頁;「Expression and characterization of
a second L-amino acid deaminase isolated from Proteus mirabilis in Escherichia coli」)。他の種類は塩基性L-アミノ酸に対して主に作用する(GenBank:EU669819.1)。細菌、真菌、および植物源由来のLAADは、窒素源としてL-アミノ酸(すなわち、酵素活性によって産生されたアンモニア)の利用に関与するように見える。ほとんどの真核生物および原核生物のL-アミノ酸デアミナーゼは、膜結合型であるプロテウス種LAAD由来を除いて、細胞外に分泌される。プロテウス・ミラビリスにおいて、L-AADは、酵素活性が存在する周辺質間隙に外側で面している細胞膜に位置することが報告されている(Pelmont Jら、(1972年)「L-amino acid oxidases of Proteus mirabilis:general properties」 Biochimie 54:1359~1374頁)。
一実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はLAAD遺伝子を含む。LAADはフェニルアラニンを非毒性レベルのフェニルピルベートに変換することができ、そのフェニルピルベートはまた、例えば肝臓酵素によってフェニルラクテートにさらに分解され得る。フェニルピルベートは血液脳関門を横切ることができず、LAADにより、別の潜在的に有毒な代謝産物の蓄積を可能にせずに脳内のフェニルアラニンのレベルを低減させることができる。いくつかの実施形態では、LAADは、限定されないが、プロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌を含む、細菌種に由来するLAAD遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ミラビリスである。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ブルガリスである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はプロテウス・ミラビリスLAAD酵素GenBank:U35383.1を発現する。目的のLAAD配列の非限定的な例は表2に示される。いくつかの実施形態では、LAAD酵素はヘビ毒に由来する。本発明によれば、遺伝子操作された細菌は、LAAD遺伝子が発現されると、同じ条件下で同じ細菌亜型の非修飾細菌より多くのフェニルアラニンを変換する。したがって、LAADを含む遺伝子操作された細菌は、PKUを含む高フェニルアラニン血症に関連する状態を治療するために、体内のフェニルアラニンを非毒性分子に代謝するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は天然に存在するような野生型酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は野生型配列に対する突然変異を含む酵素をコードする。いくつかの実施形態では、突然変異は酵素の安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、突然変異は酵素の触媒活性を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、表2に列挙されたタンパク質の1つまたは複数をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番
号1~8のいずれかの配列を含むポリペプチドの1つまたは複数をコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号1~8の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、突然変異を含む、表2の1つまたは複数の酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型PAHをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異PAHをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型PALをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異PALをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型LAADをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異LAADをコードする。所望の特性を有する酵素をスクリーニングする方法は、当該分野において公知であり、本明細書に記載される。
PME、例えば、PAL、LAAD、またはPAH遺伝子は、遺伝子操作された細菌におけるプラスミドまたは染色体上に存在し得る。いくつかの実施形態では、PME遺伝子は構成的プロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、PME遺伝子は、本明細書に記載されているような外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、PME遺伝子は、哺乳動物の消化管に特異的な分子または代謝産物の存在下などの外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現される。一実施形態では、PME遺伝子は、低酸素、微好気的、または嫌気的条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現され、PME遺伝子、例えばPAL遺伝子の発現は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的環境下で活性される。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、哺乳動物の消化管などの低酸素または嫌気的条件によって直接的または間接的に誘導されるPAL遺伝子をコードする。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、限定されないが、胃、十二指腸、および回腸を含む、近位腸に見出される条件などの酸素化、低酸素、または微好気的条件によって直接的または間接的に誘導されるLAAD遺伝子をコードする。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、哺乳動物の消化管に天然に存在する環境要因によって直接的または間接的に誘導されるPME遺伝子をコードする。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、哺乳動
物の消化管に天然には存在しない環境要因、例えばアラビノースによって直接的または間接的に誘導されるPME遺伝子をコードする。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、炎症状態下で哺乳動物の消化管に天然に存在する環境要因によって直接的または間接的に誘導されるPME遺伝子をコードする。
細菌は、酸素レベルを検知することができる進化した転写因子を有する。異なるシグナル伝達経路は異なる酸素レベルによって誘発され得、異なる動態を伴って発生する。酸素レベル依存性プロモーターは、1つまたは複数の酸素レベル検知転写因子が結合できる核酸配列であり、対応する転写因子の結合および/または活性化は下流の遺伝子発現を活性化する。一実施形態では、PME遺伝子は酸素レベル依存性プロモーターの制御下で発現される。より具体的な態様では、PAL遺伝子は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的環境下で活性化される酸素レベル依存性プロモーターの制御下にある。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フマル酸および硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)プロモーターの制御下で発現されるPME、例えばPALを含む。大腸菌において、FNRは、好気的から嫌気的代謝への転換を制御する主要な転写活性化因子である(Undenら、1997年)。嫌気的状態において、FNRは、嫌気的増殖への適応に関与する数百の遺伝子を活性化する活性DNA結合タンパク質に二量体化する。好気的状態において、FNRは酸素による二量体化が阻止され、不活性である。いくつかの実施形態では、複数の異なるFNR核酸配列は遺伝子操作された細菌に挿入される。代替の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、代替の酸素レベル依存性プロモーター、例えばANRプロモーター(Rayら、1997年)、DNRプロモーター(Trunkら、2010年)の制御下で発現されるPME、例えばPALを含む。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝は消化管などの低酸素または嫌気的環境において特に活性化される。
シュードモナス・アエルギノーザにおいて、アルギニンデイミナーゼおよび硝酸還元の嫌気的調節(ANR)転写調節因子は、「酸素制限または嫌気的条件下で誘導可能な生理学的機能の発現に必要とされる」(Wintelerら、1996年;Sawers 1991年)。シュードモナス・アエルギノーザANRは大腸菌FNRと相同であり、「コンセンサスFNR部位(TTGAT----ATCAA)はANRおよびFNRによって効率的に認識された」(Wintelerら、1996年)。FNRと同様に、嫌気的状態において、ANRは嫌気的増殖に対する適応を担う多数の遺伝子を活性化する。好気的状態において、ANRは不活性である。シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、およびシュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)の全てはANRの機能的類似体を有する(Zimmermannら、1991年)。ANRによって調節されるプロモーター、例えば、arcDABCオペロンのプロモーターは当該分野において公知である(例えば、Hasegawaら、1998年を参照のこと)。
FNRファミリーはまた、「シュードモナス・アエルギノーザの嫌気的硝酸塩呼吸」(Hasegawaら、1998年)のためにANRと併せて必要とされる転写調節因子である、異化型硝酸塩呼吸調節因子(DNR)(Araiら、1995年)も含む。特定の遺伝子について、FNR結合モチーフは、「おそらくDNRによってのみ認識される」(Hasegawaら、1998年)。外因性環境条件および対応する調節領域によって制御される任意の適切な転写調節因子が使用され得る。非限定的な例には、ArcA/B、ResD/E、NreA/B/C、およびAirSRが含まれ、その他は当該分野において公知である。
FNRプロモーター配列は当該分野において公知であり、任意の適切なFNRプロモーター配列は本発明の遺伝子操作された細菌において使用され得る。任意の適切なFNRプロモーターは任意の適切なPALと組み合わされてもよい。非限定的なFNRプロモーター配列は表3に提供され、非限定的なPAL配列もまた、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、配列番号9、配列番号10、nirB1プロモーター(配列番号11)、nirB2プロモーター(配列番号12)、nirB3プロモーター(配列番号13)、ydfZプロモーター(配列番号14)、強力なリボソーム結合部位に融合したnirBプロモーター(配列番号15)、強力なリボソーム結合部位に融合したydfZプロモーター(配列番号16)、嫌気的に誘導される小RNA遺伝子であるfnrS(fnrS1プロモーター配列番号9またはfnrS2プロモーター配列番号17)、crp結合部位に融合したnirBプロモーター(配列番号18)、およびcrp結合部位に融合したfnrS(配列番号19)のうちの1つまたは複数を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20のDNA配列またはその機能的断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同である核酸配列を含む。
他の実施形態では、PME、例えばPALは、転写活性化因子、例えばCRPについて
の結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーターの制御下で発現される。CRP(環状AMP受容体タンパク質またはカタボライト活性化タンパク質すなわちCAP)は、グルコースなどの急速に代謝可能な炭水化物が存在する場合、あまり有益ではない炭素源の取り込み、代謝、および同化を担う遺伝子を抑制することによって細菌において主要な調節的役割を果たす(Wuら、2015年)。グルコースに対するこの選好性は、グルコース抑制、および炭素カタボライト抑制と呼ばれている(Deutscher、2008年;GorkeおよびStulke、2008年)。いくつかの実施形態では、PME、例えばPAL発現は、CRP結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、PAL発現は、CRP結合部位に融合したFNRプロモーターによって制御される。これらの実施形態では、環状AMPは、グルコースが環境中に存在しない場合にCRPに結合する。この結合により、CRPの立体配座変化が引き起こされ、CRPがその結合部位に強く結合することを可能にする。次いで、CRP結合は、直接的タンパク質間相互作用を介してFNRプロモーターに対してRNAポリメラーゼを動員することにより、PME遺伝子、例えばPAL遺伝子の転写を活性化する。グルコースの存在下で、環状AMPはCRPに結合せず、PME、例えばPAL遺伝子転写が抑制される。いくつかの実施形態では、転写活性化因子についての結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)は、例えば、グルコースをin vitroで増殖培地に添加することによって十分な量のグルコースが存在する場合に、PME、例えばPALが嫌気的条件下で発現されないこと確実にするために使用される。
別の実施形態では、PME、例えばLAADは、発現がグルコースの存在下で抑制されるように、転写活性化因子、例えばCRPについての結合部位に融合した誘導可能なプロモーターの制御下で発現される。
いくつかの実施形態では、LAADはFNRプロモーターの制御下にはない。LAADはフェニルアラニンのフェニルピルベートへの分解を触媒するために酸素を必要とする。したがって、最低限の活性である厳密に嫌気的条件下でLAAD発現を誘導することは望ましくない(図25)。
いくつかの実施形態では、PME、例えば、PALまたはLAADは、環境(例えば、哺乳動物の消化管)内の特異的分子または代謝産物に対して応答する誘導可能なプロモーターの制御下で発現される。例えば、短鎖脂肪酸プロピオネートは、消化管に局在する主要な微生物発酵代謝産物である(Hosseiniら、2011年)。一実施形態では、PAL遺伝子発現はプロピオネートにより誘導可能なプロモーターの制御下にある。より特定の実施形態では、PME遺伝子発現は、哺乳動物の消化管内のプロピオネートの存在によって活性化されるプロピオネートにより誘導可能なプロモーターの制御下にある。健康および/または疾患状態において、哺乳動物の消化管に見出される任意の分子または代謝産物はPME遺伝子発現を誘導するために使用され得る。非限定的な例には、プロピオネート、ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、血液凝固因子II、VII、IX、およびX、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、肝炎抗原および抗体、アルファフェトプロテイン、抗ミトコンドリア、平滑筋、および抗核抗体、鉄、トランスフェリン、フェリチン、銅、セルロプラスミン、アンモニア、およびマンガンが含まれる。代替の実施形態では、PME、例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子発現は、糖アラビノースの存在下で活性化されるParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、LAAD発現はParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、LAADの発現は好気的または微好気的条件下で発生する。
いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は、テトラサイクリンへの曝露によって誘導さ
れるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、遺伝子発現は、当該分野において公知の方法、例えば、リボソーム結合部位の最適化、転写調節因子の操作、および/またはmRNA安定性の増加によってさらに最適化される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALが宿主細胞において発現され得、宿主細胞がin vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管中で生存および/または増殖できるように、PAL遺伝子を保有する安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は2つ以上の異なるPAL遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は同じPAL遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、低酸素または嫌気条的件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADが宿主細胞において発現され得、宿主細胞がin vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管中で生存および/または増殖できるように、LAAD遺伝子を保有する安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は2つ以上の異なるLAAD遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は同じLAAD遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、例えばアラビノースまたはテトラサイクリンによって誘導可能であるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体に存在し、例えばアラビノースによって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANR、またはDNR、および異なる細菌種由来の対応するプロモーターを含む。非天然の酸素レベル依存性転写調節因子およびプロモーターは、同じ条件下で細菌における天然の転写調節因子およびプロモーターと比較して、低酸素または嫌気的環境において、前記プロモーターに作動可能に連結している遺伝子、例えばPALの転写を増加させる。特定の実施形態では、非天然の酸素レベル依存性転写調節因子は、ナイセリア・ゴノレア(N.gonorrhoeae)由来のFNRタンパク質である(例えば、Isabellaら、2011年を参照のこと)。いくつかの実施形態では、対応する野生型の転写調節因子はインタクトなままであり、野生型活性を保持する。代替の実施形態では、対応する野生型の転写調節因子は、野生型活性を低減させるか、または除去するように欠失または突然変異される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型の酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANR、またはDNR、および同じ亜型の細菌由来の野生型のプロモーターと比較して突然変異されている対応するプロモーターを含む。突然変異した
プロモーターは、同じ条件下で野生型のプロモーターと比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型の転写調節因子への結合を向上させ、前記プロモーター、例えばPALに作動可能に連結している遺伝子の転写を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型の酸素レベル依存性プロモーター、例えば、FNR、ANR、またはDNRプロモーター、および同じ亜型の細菌由来の野生型の転写調節因子に対して突然変異されている対応する転写調節因子を含む。突然変異した転写調節因子は、同じ条件下で野生型の転写調節因子と比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型プロモーターへの結合を向上させ、前記プロモーター、例えばPALに作動可能に連結している遺伝子の転写を増加させる。特定の実施形態では、突然変異した酸素レベル依存性転写調節因子は、二量体化およびFNR活性を向上させるアミノ酸置換を含むFNRタンパク質である(例えば、Mooreら、2006年を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、酸素レベル検知転写調節因子をコードする内因性遺伝子、例えばFNR遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子はプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は同じプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子は染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は異なる染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は同じ染色体上に存在する。いくつかの場合、発現安定性を向上させるために誘導可能なプロモーターの制御下で酸素レベル検知転写調節因子を発現することが有益であり得る。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素の発現を制御する同じプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子およびフェニルアラニン代謝酵素はプロモーター領域から多岐に転写される。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、血中フェニルアラニンを少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍低減させるために、哺乳動物の消化管の低酸素環境などの外因性環境条件下でPALを産生する。特定の非修飾細菌は感知できるレベルのフェニルアラニンプロセシングを有さない。これらの細菌の遺伝子組換え型を使用した実施形態では、フェニルアラニンのPAL媒介性プロセシングは外因性環境条件下で感知できる。フェニルアラニンは当該分野において公知の方法、例えば、血液採取および質量分析によって測定され得る。いくつかの実施形態では、シンナメートはPAL活性を評価するために当該分野において公知の方法によって測定される。シンナメート産生はフェニルアラニン分解と直接的に相関し、いくつかの実施形態では、シンナメートは、株活性についての代替のバイオマーカーとして使用され得る(図16B)。シンナメートは肝酵素によって馬尿酸にさらに分解され得、両方は実施例24~26に記載されるように測定され得る。いくつかの実施形態では、PAL発現はPAL活性を評価するために当該分野において公知の方法によって測定される。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、同じ条件下で同じ亜型の非修飾細菌と比較して、血中フェニルアラニンを少なくとも約1.5倍、少なくとも約2
倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍低減させるためにLAADを産生する。特定の非組換え細菌は感知できるレベルのフェニルアラニンプロセシングを有さない。これらの細菌の遺伝子組換え型を使用した実施形態では、フェニルアラニンのLAAD媒介性プロセシングは外因性環境条件下で感知できる。フェニルアラニンは当該分野において公知の方法、例えば、血液採取および質量分析によって測定され得る。LAADにより生成した分解産物であるピルビン酸およびフェニルピルベートは、実施例24~26に記載されるように質量分析を使用して測定され得、LAAD活性のさらなる読み出し情報として使用され得る。
いくつかの実施形態では、PME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHは、低コピープラスミド上で発現される。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは非誘導条件下で発現の漏れを減少させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、PME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHは、高コピープラスミド上で発現される。いくつかの実施形態では、高コピープラスミドは、PME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH発現を増加させるのに有用であり得、それによってフェニルアラニンの代謝を増加させ、高フェニルアラニン血症を低減させる。いくつかの実施形態では、高コピープラスミド上で発現されるPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHを含む遺伝子操作された細菌は、異種phePおよび天然phePのさらなるコピーの非存在下で、低コピープラスミド上で発現される同じPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHを含む遺伝子操作された細菌と比較してフェニルアラニン代謝を増加させないか、またはフェニルアラニンレベルを減少させない。高および低コピープラスミド上の同じPME遺伝子、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子を含む遺伝子操作された細菌が生成された。例えば、高コピープラスミドおよび低コピープラスミド上のPAL1またはPAL3のいずれかが生成され、各々は代謝され、フェニルアラニンを同様のレベルまで低減させた(図15)。したがって、いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝の律速段階はフェニルアラニン利用可能性である(例えば、図16を参照のこと)。これらの実施形態では、細胞へのフェニルアラニン輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を向上させることが有益であり得る。phePと併せて、低コピーPALプラスミドでさえ、試験試料からPheをほぼ完全に除去することができる(例えば、図16Aを参照のこと)。さらに、phePを組み込んでいるいくつかの実施形態では、高フェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を向上させ、形質転換した細菌上の負の選択圧を低減させるために、併用して低コピーPAL発現プラスミドを使用することがさらに有益であり得る。代替の実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは高コピープラスミドと併用して使用される。
いくつかの実施形態では、トランスポーターはフェニルアラニン分解を増加させることができない。例えば、プロテウス・ミラビリスLAADは、酵素触媒作用が周辺質で発生する細胞膜に局在する。フェニルアラニンは、トランスポーターを必要とせずに外膜を容易に横切ることができる。したがって、遺伝子操作された細菌がLAADを発現する実施形態では、トランスポーターは、フェニルアラニン代謝を必要としなくてもよいか、または改善しなくてもよい。
いくつかの実施形態では、PME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は染色体上で発現される。いくつかの実施形態では、染色体からの発現はPMEの発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は、遺伝子操作された細菌に
おける1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は、大腸菌Nissleにおける以下の挿入部位:malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、およびmalP/Tのうちの1つまたは複数において細菌ゲノムに挿入される。任意の適切な挿入部位が使用されてもよい(例えば、図36を参照のこと)。挿入部位は、ゲノム内、例えば、(栄養要求株を作製するために)thyAなどの生存および/もしくは増殖に必要とされる遺伝子内、ゲノム複製部位付近などのゲノムの活性領域内、ならびに/またはアラビノースオペロンのAraBとAraCとの間などの、意図しない転写のリスクを低減させるために分岐プロモーターの間のいずれの場所にあってもよい。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADの1個より多いコピー、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多いコピーが、遺伝子操作された細菌における1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体に組み込まれる。PME遺伝子の1個より多いコピーは、同じPME遺伝子の1個より多いコピーまたは異なるPME遺伝子の1個より多いコピーであってもよい。
例示的な構築物は以下の4~13に示される。表4は、染色体への挿入のためのPhePおよびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号21)を示し、pheP配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表5は、高コピープラスミド上でPAL1およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号22)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表6は、高コピープラスミド上のPAL3およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号23)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表7は、高コピープラスミド上のPAL1およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号24)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表8は、高コピープラスミド上のPAL3およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号25)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表9は、低コピープラスミド上のPAL1およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号26)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表10は、低コピープラスミド上のPAL3およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号27)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表11は、低コピープラスミド上のPAL1およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号28)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表12は、低コピープラスミド上のPAL3およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号29)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表13は、phePをコードする遺伝子、TetRをコードする遺伝子、および染色体への挿入のためのTetプロモーター配列を含む例示的な構築物の配列(配列番号30)を示し、pheP配列には下線を引き、TetR配列は四角で囲い、FNRプロモーター配列は太字である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は配列番号21~30のいずれかのうちの1つまたは複数の配列を含む遺伝子配列を含有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号21~30の配列のうちのいずれかと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つまたは複数の配列を含む遺伝子配列を含有する。
フェニルアラニン輸送
PAL1およびPAL3の各々は、遺伝子操作された大腸菌Nissleにおいて高コピープラスミドおよび低コピープラスミド上で発現された。驚くべきことに、各々の構築物は、フェニルアラニンを同様のレベルまで代謝し、低減させ(図15)、フェニルアラニン代謝の律速段階はフェニルアラニン利用可能性であった(図16)。したがって、いくつかの実施形態では、細胞へのフェニルアラニン輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を向上させることが有益である。予想外に、低コピーPALプラスミドでさえ、phePと併用して発現されると、試験試料からPheをほぼ完全に除去することができる(図16A)。さらに、高フェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を向上させ、形質転換した細菌上の負の選択圧を低減させるために、phePと併用して低コピーPAL発現プラスミドを使用することはさらに有益であり得る。代替の実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは高コピープラスミドと併用して使用される。
遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニントランスポーターをコードする遺伝子をさらに含む。フェニルアラニントランスポーターは、細胞へのフェニルアラニン輸送を向上させるために、本発明の遺伝子操作された細菌において発現され得るか、または修飾され得る。
PhePは、細菌細胞にフェニルアラニンを輸送できる膜輸送タンパク質である(例えば、Piら、1991年を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されていない。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は天然のpheP遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は非天然のpheP遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、その天然のプロモーター、誘導可能なプロモーター、天然のプロモーターより強力なプロモーター、例えば
GlnRSプロモーターもしくはP(Bla)プロモーター、または構成的プロモーターによって制御されるpheP遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子の発現を制御する同じプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子ならびにフェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子は、プロモーター領域から多岐に転写される。いくつかの実施形態では、PheP、フェニルアラニン代謝酵素、および転写調節因子をコードする遺伝子の各々の発現は、異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、PheP、フェニルアラニン代謝酵素、および転写調節因子をコードする遺伝子の発現は、同じプロモーターによって制御される。
いくつかの実施形態では、遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されず、天然のpheP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下でゲノム内に挿入される。代替の実施形態では、天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌種由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下でゲノム内に挿入される。
いくつかの実施形態では、遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されず、天然のpheP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌種由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
いくつかの実施形態では、天然のpheP遺伝子は突然変異誘発され、フェニルアラニン輸送の増加を示す突然変異体が選択され、突然変異誘発されたpheP遺伝子は単離され、遺伝子操作された細菌に挿入される(例えば、Piら、1996年;Piら、1998年を参照のこと)。本明細書に記載されるフェニルアラニントランスポーター修飾はプラスミドまたは染色体上に存在し得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、1つまたは複数のさらなるコピーの天然の大腸菌Nissle pheP遺伝子が、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で大腸菌Nissleゲノム内に挿入される。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で、大腸菌Nissleゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissle
における天然のpheP遺伝子は修飾されず、1つまたは複数のさらなるコピーの天然の大腸菌Nissle pheP遺伝子は、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
大腸菌は、芳香族アミノ酸を蓄積するための5つの異なる輸送系(AroP、Mtr、PheP、TnaB、およびTyrP)を有することが報告されている。aroP遺伝子によってコードされる一般的なアミノ酸ペルメアーゼは、フェニルアラニンを含む3つの芳香族アミノ酸を高親和性で輸送し、PhePと一緒に、フェニルアラニン取り込みの大部分を担うと考えられている。さらに、フェニルアラニンの低レベルの蓄積が芳香族アミノ酸トランスポーター欠損大腸菌株(ΔaroP ΔpheP Δmtr Δtna ΔtyrP)において観察され、LIV-I/LS系の活性まで追跡され、そのLIV-I/LS系は、2つの周辺質結合タンパク質である、LIV結合タンパク質(LIV-I系)およびLS結合タンパク質(LS系)、ならびに膜成分、LivHMGFからなる分枝鎖アミノ酸トランスポーターである(Koyanagiら、およびその中の参考文献;Identification of the LIV-I/LS System as the Third Phenylalanine Transporter in Escherichia coli K-12)。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はaroP遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissleにおける天然のaroP遺伝子は修飾されず、天然の大腸菌Nissle aroP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、プラスミド上または染色体中で、PMEの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはaraBADプロモーター、PMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のaroP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のaroP遺伝子のコピーは、プラスミド上または染色体中で、PMEの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーターもしくはAraBADプロモーター、またはPMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、あるいは構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、同じまたは異なる誘導可能なまたは構成的プロモーターの制御下で、AroPおよびPhePを含む。
いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は染色体上で発現される。いくつかの実施形態では、染色体からの発現はphePの発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は遺伝子操作された細菌における1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体内に組み込まれる。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は、大腸菌Nissleにおける以下の挿入部位:malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、およびmalP/Tのうちの1つまたは複数において細菌ゲノム内に挿入される。任意の適切な挿入部位が使用されてもよい(例えば、図36を参照のこと)。挿入部位は、ゲノム内、例えば、(栄養要求株を作製するために)thyAなどの生存および/もしくは増殖に必要とされる遺伝子内、ゲノム複製部位付近などのゲノムの活性領域内、ならびに/またはアラビノース
オペロンのAraBとAraCとの間などの、意図しない転写のリスクを低減させるために分岐プロモーターの間のいずれの場所にあってもよい。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は複数の作用機構および/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。特定の実施形態では、細菌は、染色体上の異なる組み込み部位(例えば、malE/K、yicS/nepI、malP/T、agaI/rsmI、およびcea)において挿入される酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS-PAL3)の制御下でPALの5つのコピー、および染色体上の異なる組み込み部位(例えば、lacZ)において挿入される酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS-pheP)の制御下でフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1つのコピーを含むように遺伝子操作される。より特定の態様では、細菌は、カナマイシン耐性遺伝子、およびthyA栄養要求性をさらに含むように遺伝子操作され、thyA遺伝子は欠失され、および/または非関連遺伝子と置き換えられる。
複数の作用機構
いくつかの実施形態では、細菌は、複数の作用機構(MoA)、例えば、(例えば、コピー数を向上させるために)同じ生成物の複数のコピーを生成する回路または複数の異なる機能を実行する回路を含むように遺伝子操作される。挿入部位の例には、限定されないが、malE/K、yicS/nepI、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、malP/T、dapA、およびcea、ならびに図36に示されるその他が含まれる。例えば、遺伝子操作された細菌は、4つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、araC/BAD、およびlacZにおいて挿入されたPALの4つのコピーを含んでもよい。遺伝子操作された細菌はまた、4つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、yicS/nepI、agaI/rsmI、およびceaにおいて挿入されたPALの4つのコピー、ならびに異なる組み込み部位、例えば、lacZにおいて挿入されたフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1つのコピーを含んでもよい(図13B)。あるいは、遺伝子操作された細菌は、3つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、およびlacZにおいて挿入されたPALの3つのコピー、ならびに3つの異なる挿入部位、例えば、dapA、cea、およびaraC/BADにおいて挿入されたフェニルアラニントランスポーター遺伝子の3つのコピーを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、(1)野生型または(安定性または代謝活性を増加させるための)突然変異型においてフェニルアラニンを分解するためPAL、PAH、LAAD、(2)野生型または(安定性または代謝活性を増加させるための)突然変異型においてフェニルアラニンを取り込むためのトランスポーターPhePまたはAroP、(3)分泌および細胞外フェニルアラニン分解のためのPAL、PAH、LAAD、および/またはPheP、(4)本明細書に記載されているような分泌機構の成分、(5)栄養要求性、例えば、デルタThyA、(6)限定されないが、カナマイシンまたはクロラムフェニコール耐性を含む抗生物質耐性、(7)本明細書に記載されているように酸素代謝に関与する遺伝子の突然変異/欠失ならびに(8)内因性Nissleフェニルアラニン合成経路の遺伝子の突然変異/欠失(例えば、Phe栄養要求性についてデルタPheA)のうちの1つまたは複数を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/
またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下に)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAHの1つまたは複数のコピーおよびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAHの1つまたは複数のコピーおよびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよびトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモータ
ーの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、PAHの1つまたは複数のコピー、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、PAHの1つまたは複数のコピー、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよび/またはトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、PMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。PMEおよび/またはトランスポーターは、低または高コピープラスミドに含まれるPMEおよび/またはトランスポーターと組み合わせて、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよびトランスポーターは本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、PMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモー
ターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。PMEおよびトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、配置されたPMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの3つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの3つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモー
ターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEおよびフェニルアラニントランスポーターを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEおよびフェニルアラニントランスポーターを含み、また、栄養要求性および/または抗生物質耐性も含む。本明細書に記載される分泌系は、複数の作用機構を有する遺伝子操作された細菌においてPMEを分泌するために利用される。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、(野生型遺伝子に加えて)PhePの2つのさらなるコピーを含む。これにより、PheP遺伝子の1つが突然変異を獲得する場合に冗長性が提供される。一実施形態では、PheP遺伝子はlacZおよびagal/rsmlにおいて挿入される。一実施形態では、PhePの2つのコピーはPfnrSプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL3の3つのコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、malEK、malPT、yicS/neplにおいて挿入されたPAL3の3つのコピーを含む。一実施形態では、PAL3の3つのコピーの発現はPfnrSプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAADの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はアラビノースオペロンにおいて挿入されたLAADの1コピーを含む。一実施形態では、LAADは内因性ParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子
操作された細菌は抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性、例えばデルタThyAを含まない。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗生物質耐性を含まない。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性も、栄養要求性、例えばデルタThyAも含まない。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、例えばPAL3、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、例えばPAL3、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、PhePの2つのコピー(内在性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに抗生物質耐性遺伝子を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに抗生物質耐性遺伝子および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、さらに抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内在性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、お
よびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌はSYN-PKU705である。一実施形態では、SYN-PKU705は抗生物質耐性をさらに含む。一実施形態では、SYN-PKU705は、栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。一実施形態では、SYN-PKU705は、抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。
表14は、本開示の遺伝子操作された細菌の非限定的な例を含む。特定の実施形態では、表14の遺伝子操作された細菌は分泌のためのPMEをさらに含む。
分泌
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌細胞質から目的のタンパク質または治療用タンパク質、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌することができる天然の分泌機構(例えば、グラム陽性細菌)または非天然の分泌機構(例えば、グラム陰性細菌)をさらに含む。多くの細菌は細菌細胞外被を横切って基質を輸送するために高度な分泌系に進化している。小分子、タンパク質、およびDNAなどの基質は、細胞外間隙または周辺質(消化管内腔または他の間隙など)内に放出され得、標的細胞内に注入され得るか、または細菌膜に付随され得る。
グラム陰性細菌において、分泌機構は内膜および外膜の一方または両方に及んでもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は非天然の二重膜貫通分泌系をさらに含む。二重膜貫通分泌系には、限定されないが、I型分泌系(T1SS)、II型分泌系(T2SS)、III型分泌系(T3SS)、IV型分泌系(T4SS)、VI型分泌系(T6SS)、および多剤排出ポンプの耐性-結節形成-分裂(RND)ファミリーが含まれる(本明細書に参照として組み込まれる、Pugsley 1993年;Gerlachら、2007年;Collinsonら、2015年;Costaら、2015年;Reevesら、2015年;WO2014138324A1)。このような分泌系の例は図3~6に示される。グラム陰性のような細胞外被を有するマイコバクテリア(Mycobacteria)もまた、VII型分泌系(T7SS)をコードできる(Stanleyら、2003年)。T2SSを除いて、二重膜貫通分泌物は一般に、基質を細菌細胞質から細胞外間隙内または標的細胞内に直接輸送する。対照的に、外膜のみを貫通するT2SSおよび分泌系は二段階機構を使用することができ、基質は内膜貫通トランスポーターによって最初に周辺質へ移行し、次いで外膜に移動するか、または細胞外間隙内に分泌される。外膜貫通分泌系には、限定されないが、V型分泌またはオートトランスポーター系(T5SS)、curli線毛分泌系、および線毛構築のためのシャペロン-アッシャー経路が含まれる(Saier、2006年;Costaら、2015年)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、赤痢菌(Shigell
a)、サルモネラ属(Salmonella)、大腸菌、ビブリオ属(Bivrio)、バークホルデリア属(Burkholderia)、エルシニア属(Yersinia)、クラミジア属(Chlamydia)、またはシュードモナス属(Pseudomonas)由来のIII型またはIII型様分泌系(T3SS)をさらに含む。T3SSは、タンパク質を細菌細胞質からニードル複合体を介して宿主細胞質に輸送できる。T3SSは、細菌細胞質から分子を分泌するが、宿主細胞質内に分子を注入しないように修飾され得る。したがって、分子は消化管腔または他の細胞外間隙内に分泌される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、前記修飾されたT3SSを含み、目的のタンパク質または治療用タンパク質を細菌細胞質から分泌できる。いくつかの実施形態では、異種タンパク質またはペプチド、例えば、目的のタンパク質または治療用タンパク質、例えば、PAH、PALまたはLAADなどの分泌された分子は、目的のタンパク質または治療用タンパク質が細菌から分泌することを可能にするIII型分泌配列を含む。
いくつかの実施形態では、鞭毛III型分泌経路が、目的の分子、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌するために使用される。いくつかの実施形態では、不完全な鞭毛が、ペプチドを天然の鞭毛成分のN末端鞭毛分泌シグナルに組換えにより融合することによって、目的の治療用ペプチド、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌するために使用される。このように、細胞内で発現されたキメラペプチドは、内膜および外膜を横切って周囲の宿主環境内に動員され得る。
いくつかの実施形態では、V型オートトランスポーター分泌系が、治療用ペプチド、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌するために使用される。比較的大きなタンパク質フラックスを扱う機構および能力の簡潔さに起因して、V型分泌系は組換えタンパク質の細胞外産生にとって魅力的である。図10に示されるように、治療用ペプチド(星印)は、オートトランスポーターのN末端分泌シグナル、リンカー、およびベータ-ドメインに融合され得る。N末端シグナル配列はタンパク質をSecA-YEG機構に導き、これは、タンパク質を、内膜を横切って周辺質に移動させ、続いてシグナル配列を切断する。ベータ-ドメインはBam複合体(「ベータ-バレル構築機構(Beta-barrel assembly machinery)」)に動員され、そこでベータ-ドメインは折り畳まれ、ベータ-バレル構造として外膜に挿入される。治療用ペプチド、例えば、PAH、PALまたはLAADは、リンカー配列の前のベータ-バレル構造の中空孔に通される。細胞外環境に曝露されると、治療用ペプチド、例えば、PAH、PALまたはLAADは、自己触媒的切断(Bam複合体の左側)によって、または膜結合ペプチダーゼ(ブラックシザー(black scissor);Bam複合体の右側)をリンカーにおける相補的(complimentary)プロテアーゼ切断部位にターゲティングすることによってリンカー系から解放され得る。したがって、いくつかの実施形態では、異種タンパク質またはペプチド、例えば、目的のタンパク質または治療用タンパク質などの分泌分子は、分子が細菌から分泌できるようにオートトランスポーターのN末端分泌シグナル、リンカー、およびベータ-ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、溶血素ベースの分泌系が、目的の分子、例えば、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌するために使用される。I型分泌系は、それらのパッセンジャーペプチドを細胞質から細胞外間隙に直接移行させる利点を与え、他の分泌型の2段階プロセスを不要にする。図11は、尿路病原性大腸菌のアルファ-溶血素(HlyA)を示す。この経路は、ATP結合カセットトランスポーターであるHlyB;膜融合タンパク質であるHlyD;および外膜タンパク質であるTolCを使用する。これらの3つのタンパク質の集合体は内膜および外膜の両方を通るチャネルを形成する。天然では、このチャネルはHlyAを分泌するために使用されるが、本開示の治療用ペプチドを分泌するために、HlyAの分泌シグナル含有C末端部分が、このペプチドの分泌を媒介するように治療用ペプチド(星印)のC末端部分に融合される。
代替の実施形態では、遺伝子操作された細菌は非天然の単一膜貫通分泌系をさらに含む。単一膜貫通エクスポーターは、分泌系の成分として機能してもよいか、または基質を独立して輸送してもよい。このようなエクスポーターには、限定されないが、ATP結合カセットトランスロカーゼ、鞭毛/毒性関連トランスロカーゼ、コンジュゲーション関連トランスロカーゼ、一般的な分泌系(例えば、大腸菌におけるSecYEG複合体)、マイコバクテリアおよびグラム陽性細菌のいくつかの種類(例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、ラクトバチルス・ジョンソニ、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))における補助的分泌系ならびにツイン-アルギニン透過(TAT)系が含まれる(Saier、2006年;RigelおよびBraunstein、2008年;Albiniakら、2013年)。一般的な分泌およびTAT系の両方は、切断可能なN末端シグナルペプチドを有する基質を周辺質に輸送でき、生物薬剤生産という観点から調査されていることが知られている。しかしながら、TAT系は折り畳まれた基質を輸送することができるので、早すぎるまたは不正確な折り畳みの可能性を排除するという点で、特定の利点を与えることができる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌はTATまたはTAT様系を含み、細菌細胞質由来の目的のタンパク質または治療用タンパク質、例えば、PAH、PALまたはLAADを分泌することができる。当業者は、本明細書に開示される分泌系が、細菌の異なる種、株、および亜型において作用するように修飾されてもよく、および/または異なるペイロードを送達するように適合されてもよいことを理解する。
タンパク質、例えば、治療用ポリペプチド、例えば、PAH、PALまたはLAADを細胞外間隙に移行するために、ポリペプチドは最初に細胞内で翻訳され、内膜を横切って動員され、最終的に外膜を横切って動員されなければならない。多くのエフェクタータンパク質(例えば、治療用ポリペプチド)-特に真核生物起源のもの-は、三次および四次構造を安定化させるためにジスルフィド結合を含有する。外膜を横切ってポリペプチドを移行させるために、これらの結合は周辺質シャペロンの支援を受けて酸化周辺質区画内で正確に形成することができるが、ジスルフィド結合は還元されなければならず、タンパク質は再び折り畳まれなくなる。
グラム陰性細菌-特にジスルフィド結合を必要とするもの-において適切に折り畳まれたタンパク質を分泌する1つの方法は、不安定化した外膜を有する細菌において周辺質を標的とすることである。このように、タンパク質は酸化環境内に動員され、適切に折り畳まれ得る。組織化された細胞外分泌系とは対照的に、次いでタンパク質は膜漏出によって正確に折り畳まれた形態で周辺質間隙を回避することができる。したがって、これらの「漏出性」グラム陰性突然変異体は生物活性の適切にジスルフィド結合したポリペプチドを分泌することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、「漏出性」または不安定化外膜を有する。漏出を誘導するための細菌外膜の不安定化は、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlplを含む、強固なペプチドグリカン骨格に外膜をつなぎ止めることを担う遺伝子を欠失させるか、または突然変異誘発することよって達成され得る。Lppは、1個の細胞当たり約500,000個のコピーで存在する細菌細胞中の最も豊富なポリペプチドであり、ペプチドグリカンに対する細菌細胞壁の主要な「ステープル」として機能する。Silhavy,T.J.、Kahne,D.およびWalker,S. The
bacterial cell envelope. Cold Spring Harb Perspect Biol 2、a000414(2010年)。TolA-PALおよびOmpA複合体は、Lppと同様に機能し、漏出性表現型を生成するための他の欠失標的である。さらに、周辺質プロテアーゼが失活すると、漏出性表現型が観察され
た。周辺質にはタンパク質が非常に高密度に充填され、したがってタンパク質の代謝回転を促進するためにいくつかの周辺質タンパク質をコードする。degS、degPまたはnlpIなどの周辺質プロテアーゼの除去は、周辺質タンパク質の過剰な蓄積を促すことによって漏出性表現型を誘導することができる。プロテアーゼの突然変異はまた、これらのプロテアーゼによって標的化された分解を阻止することによってエフェクターポリペプチドを保存することができる。さらに、これらの突然変異の組合せは、細胞生存を大きく犠牲にせずに細胞の漏出性表現型を相乗的に向上させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は1つまたは複数の欠失または突然変異した膜遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は欠失または突然変異したlpp遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、ompA、ompA、およびompF遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、tolA、tolB、およびpal遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数の欠失または突然変異した周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、degS、degP、およびnlplから選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、lpp、ompA、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlpl遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。
細胞生存に対する妨害を最小化するために、漏出性表現型は、1つもしくは複数の膜または例えば、lpp、ompA、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlplから選択される周辺質プロテアーゼ遺伝子を誘導可能なプロモーターの制御下に配置することによって誘導可能になり得る。例えば、lppまたは他の細胞壁安定タンパク質または周辺質プロテアーゼの発現は、治療用ポリペプチドが送達される(分泌される)のに必要とされる条件において抑制され得る。例えば、誘導条件下で、転写リプレッサータンパク質または設計されたアンチセンスRNAが発現され得、これにより標的膜または周辺質プロテアーゼ遺伝子の転写または翻訳が低減する。反対に、特定のペプチドの過剰発現は、不安定化した表現型、例えば、コリシンまたはTolAの第3のトポロジカルドメインの過剰発現をもたらし得、ペプチド過剰発現は、治療ポリペプチドが送達される(分泌される)のに必要とされる条件において誘導され得る。これらの種類のストラテジーは、壊れやすい、漏出性表現型をバイオマス産生から分離する。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、誘導可能なプロモーターの制御下で1つもしくは複数の膜および/または周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。
表15および表16はグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌についての分泌系を列挙している。それらは、操作された細菌由来のポリペプチド、目的のタンパク質または治療用タンパク質を分泌するために使用され得、Milton H.Saier,Jr.Microbe/Volume 1、Number 9、2006年「Protein Secretion Systems in Gram-Negative Bacteria
Gram-negative bacteria possess many protein secretion-membrane insertion systems that apparently evolved independently」に概説されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PME、例えば、PAH、PALおよび/またはLAADの分泌のための本明細書に記載される天然または非天然の分泌系を含む。いくつかの実施形態では、分泌系は、修飾されたIII型鞭毛、I型(例えば、溶血素分泌系)、II型、IV型、V型、VI型、およびVII型分泌系、耐性-結節形成-分裂(RND)多剤排出ポンプ、単一膜分泌系、Secおよび、TAT分泌系から選択される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって分泌されたPMEはプロテアーゼに対する耐性を増加させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、投与される1つまたは複数のPMEは、Sarkissianら、2011年、Mol Genet Metab.2011年11月;104(3):249~254頁に記載されるように修飾され、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、分泌されたPALはAv-p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。いくつかの実施形態では、分泌されたPALはPEG-Av-p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。
いくつかの実施形態では、分泌のための1つまたは複数のPMEは、本明細書に記載されるように誘導可能なプロモーターの制御下にある。一例では、1つまたは複数のPMEはFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気的条件下で産生され、分泌される。いくつかの実施形態では、分泌のためのPMEはParaBADプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、分泌のためのPMEは構成的プロモーターの制御下にある。
1つまたは複数のPMEが微生物から分泌または輸送されるいくつかの実施形態では、操作された微生物は分泌タグを含む遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、PMEは、PMEを特異的分泌系に誘導するためにRNAまたはペプチド起源のいずれかの「分泌タグ」を含む。例えば、I型溶血素分泌系についての分泌タグは、アルファ溶血素タンパク質(HlyA)のC末端53アミノ酸においてコードされる。HlyA分泌シグナル。
HlyBは孔を形成するために内膜に挿入し、HlyDはHlyBをTolC(外膜孔)と整列させ、それによって内膜および外膜を通るチャネルを形成する。C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断によって除去され得、それによってPMEを細胞外環境に放出する。
V型自己分泌系はN末端Sec依存性ペプチドタグ(内膜)およびC末端タグ(外膜)
を利用する。これは細胞質から周辺質に到達するようにSec系を使用する。次いでC末端タグは外膜に挿入し、「パッセンジャータンパク質」が通る孔を形成する。外膜を横切ると、パッセンジャー(抗がん分子)は、自己触媒的インテイン様機構によって、または膜結合プロテアーゼ(すなわちOmpT)を介してのいずれかで、膜に埋め込まれたC末端タグから放出される。N末端タグはSec系によって除去される。したがって、いくつかの実施形態では、分泌系は、PME、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADを操作された細菌から分泌する前に、このタグを除去することができる。V型自己分泌媒介性分泌において、N末端ペプチド分泌タグは、天然Sec系による細胞質から周辺質区画への「パッセンジャー」ペプチドの移行の際に除去される。さらに、自己分泌因子が外膜を横切って移行すると、C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断よって除去され得、それによって抗がん分子を細胞外環境に放出する。
鞭毛修飾III型分泌において、タグはmRNAの5’非翻訳領域においてコードされ、したがって切断/除去するためのペプチドタグは存在しない。この修飾系は、「シリンジ」部分を含有せず、代わりに、両方の膜を横切り、形成している鞭毛を通って外部へ移行するように鞭毛構造の基底小体を孔として使用する。fliC/fliD遺伝子(鞭毛「尾部」/鞭をコードする)が破壊される場合、鞭毛は完全に形成することができず、これにより全体の分泌が促される。いくつかの実施形態では、尾部は完全に除去され得る。III型の従来の分泌系において、基底小体は鞭毛に非常に似ているが、「尾部」/鞭の代わりに、従来のT3SSは、宿主細胞内のパッセンジャータンパク質を注入するためのシリンジを有する。分泌タグはN末端ペプチド(長さは異なり、いくつかの異なるタグが存在する、PCT/US14/020972を参照のこと)によってコードされ。N末端タグはこの分泌系におけるポリペプチドから除去されない。
いくつかの実施形態では、PMEは、大腸菌CFT073のアルファ-溶血素(hlyA)のC末端の53アミノ酸(C末端分泌タグ)との融合タンパク質として発現される。
酸素消費酵素
LAAD触媒活性は酸素に依存し、したがって腸、例えば結腸における嫌気的環境において活性ではない場合がある。酸素は胃腸管のより近位の区画に存在する。
健康なマウスにおいて測定された酸素圧が表17に示される。Heら、Proc Natl Acad Sci USA.1999年4月13日;96(8):4586~91頁;「Noninvasive measurement of anatomic structure and intraluminal oxygenation in
the gastrointestinal tract of living mice with spatial and spectral EPR imaging」、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。近位から遠位胃腸管までの著しい酸素勾配。Heらによって示されるように、胃腸管に沿って見られる観察された酸素勾配はプロセスの組合せによって説明され得る。理論に束縛されるものではないが、飲み込んだ場合、食物は最初に周囲室内空気の酸素圧で平衡化される。胃およびその後の小腸への通過中に、酸素は粘膜を横切って拡散するので酸素レベルは減少し得る。毛細管レベルの酸素(すなわち、5~10torr;ref.9)との平衡化の漸進的なプロセスが発生し得る。結腸への通過中に、そこへの多くの細菌定着により、酸素化のさらなる減少が生じる。最後に、遠位結腸の内腔は、予想されるように、この部位における多量の嫌気的細菌に基づいて、著しい低酸素状態を示す。
図25Bに示されるように、LAAD活性は、好気的条件下よりも低いレベルではあるが、微好気的条件において保持される(図25Aおよび図25B)。したがって、LAADは、胃、十二指腸、空腸、および回腸などの腸のより近位の領域において活性であり得る。遺伝子操作された細菌によって発現されるLAADは、有益には、FNRプロモーターの制御下の場合、結腸において発現され得るPALと異なる区画において活性であり得ることが本開示の一部として意図される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PMEが胃腸系全体にわたって発現され、活性であるように、異なる酸素需要量を有し、および/または異なる酸素条件下で誘導される2つの酵素を発現する。例えば、第1の酵素、例えば、酸素の存在に依存するLAADは、構成的または誘導可能なプロモーター(ParaBADなど)の制御下で胃、十二指腸および回腸のうちの1つまたは複数において発現され、第2の酵素、例えば、PALは、FNRプロモーターの制御下で結腸において発現される。
いくつかのストラテジーが、酸素制限条件下でLAAD活性をさらに増加させるために利用され得る。例えば、大量の酸素を消費する他の酵素の活性は減少または消失され得る。1つのそのような酵素はNADHデヒドロゲナーゼである。大腸菌は2つのNADHデヒドロゲナーゼ;nuoおよびndh2を有し、これらの酵素の両方のノックアウトが酸素消費量を80%減少させることが示されている。いくつかの実施形態では、制限酸素を保存するため、すなわちLAADを発現する遺伝子操作された細菌において、より低い外因性酸素条件下でLAADを機能させるためにさらなる手段が取られる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は酸素消費に関与する1つまたは複数の遺伝子において突然変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、一方または両方の大腸菌NADHデヒドロゲナーゼはノックアウトされる。いくつかの実施形態では、ノックアウトされたNADHデヒドロゲナーゼはnuoである。いくつかの実施形態では、ノックアウトされたNADHデヒドロゲナーゼはndh2である。いくつかの実施形態では、nuoおよびndh2はノックアウトされる。cydB(高親和性末端酸化酵素のサブユニット)、cydD(シトクロムDを作製するために必要とされる酵素)、およびcyoABC(低親和性シトクロム酸化酵素のサブユニット)などの、呼吸鎖における酵素を含む、大腸菌の酸素代謝に関与する他の酵素もまたノックアウトされ得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、cydB、cydD、およびcyoABCから選択される1つまたは複数の遺伝子におけるノックアウト突然変異/欠失を保有する。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、胃において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、十二指腸において活性を示す。一実施形
態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、空腸において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、回腸において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、結腸において活性を示す。
必須遺伝子および栄養要求株
本明細書において使用される場合、「必須遺伝子」という用語は、細胞増殖および/または生存に必要とされる遺伝子を指す。細菌の必須遺伝子は当業者に周知であり、遺伝子の指向性欠失ならびに/またはランダム突然変異誘発およびスクリーニングによって同定され得る。(例えば、ZhangおよびLin、「DEG 5.0,a database of essential genes in both prokaryotes
and eukaryotes」、Nucl Acids Res、2009年;37:D455-D458ならびにGerdesら、「Essential genes on metabolic maps」、Curr Opin Biotechnol、2006年;17(5):448~456頁を参照のこと、それらの各々の全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる)。
「必須遺伝子」は、生物が生存している状況および環境に依存し得る。例えば、必須遺伝子の突然変異、修飾、または除去により、栄養要求株になる本開示の遺伝子操作された細菌が得られ得る。栄養要求性の修飾は、細菌がその必須栄養素を産生するのに必要な遺伝子を欠いているため、生存または増殖に必須の外部から加えられた栄養素の非存在下で細菌を死滅させることを意図する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌のいずれかもまた、細胞生存および/または増殖に必要な遺伝子の欠失または突然変異を含む。一実施形態では、必須遺伝子はDNA合成遺伝子、例えばthyAである。別の実施形態では、必須遺伝子は細胞壁合成遺伝子、例えばdapAである。さらに別の実施形態では、必須遺伝子は、アミノ酸遺伝子、例えばserAまたはMetAである。対応する野生型遺伝子産物が細菌において産生されない限り、限定されないが、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1を含む、細胞生存および/または増殖に必要な任意の遺伝子が標的化されてもよい。表18は、栄養要求性株を産生するために破壊または欠失され得る例示的な細菌遺伝子を列挙する。これらには、限定されないが、オリゴヌクレオチド合成、アミノ酸合成、および細胞壁合成に必要な遺伝子が含まれる。
表19は、経管栄養の24時間後および48時間後に検出したときのマウスの消化管における種々のアミノ酸栄養要求株の生存を示す。これらの栄養要求株は、大腸菌のNissle株ではないBW25113を使用して生成した。
例えば、チミンは細菌細胞増殖に必要とされる核酸であり、その非存在下では、細菌は細胞死を受ける。thyA遺伝子は、dUMPをdTMPに変換することによってチミン合成における第1段階を触媒する酵素である、チミジル酸シンテターゼをコードする(Satら、2003年)。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、thyA遺伝子が欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているthyA栄養要求株である。thyA栄養要求株は、例えば、in vitroで増殖培地にチミンを添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いチミンレベルの存在下で十分な量のチミンが存在する場合にのみ増殖できる。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、細菌が哺乳動物の消化管に存在する場合に相補される遺伝子の栄養要求性である。十分な量のチミンがないと、thyA栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌細胞が栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
ジアミノピメリン酸(DAP)は、リシン生合成経路内で合成されるアミノ酸であり、細菌細胞壁成長に必要とされる(Meadowら、1959年;Clarksonら、1971年)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌のいずれかは、dapDが欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているdapD栄養要求株である。例えば、in vitroでDAPを増殖培地に添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いDAPレベルの存在下で、十分な量のDAPが存在する場合にのみdapD栄養要求株は増殖できる。十分な
量のDAPがないと、dapD栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌細胞が栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
他の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、uraAが欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているuraA栄養要求株である。uraA遺伝子は、ピリミジンウラシルの取り込みおよびその後の代謝を促進する膜結合性トランスポーターであるUraAをコードする(Andersenら、1995年)。uraA栄養要求株は、例えば、in vitroで増殖培地にウラシルを添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いウラシルレベルの存在下で十分な量のウラシルが存在する場合にのみ増殖できる。十分な量のウラシルがないと、uraA栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌が、栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば、消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
複合的な集団において、細菌がDNAを共有することは可能である。非常にまれな状況において、栄養要求性細菌株は、ゲノム欠失を修復し、栄養要求株を恒久的に救出する非栄養要求性株からDNAを受け取ることができる。したがって、1つより多い栄養要求株で細菌株を操作することにより、栄養要求性を救出するのに十分な時間、DNA転移が発生する可能性を大きく減少させることができる。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、細胞生存および/または増殖に必要な2つ以上の遺伝子の欠失または突然変異を含む。
必須遺伝子の他の例には、限定されないが、yhbV、yagG、hemB、secD、secF、ribD、ribE、thiL、dxs、ispA、dnaX、adk、hemH、lpxH、cysS、fold、rplT、infC、thrS、nadE、gapA、yeaZ、aspS、argS、pgsA、yefM、metG、folE、yejM、gyrA、nrdA、nrdB、folC、accD、fabB、gltX、ligA、zipA、dapE、dapA、der、hisS、ispG、suhB、tadA、acpS、era、rnc、ftsB、eno、pyrG、chpR、lgt、fbaA、pgk、yqgD、metK、yqgF、plsC、ygiT、pare、ribB、cca、ygjD、tdcF、yraL、yihA、ftsN、murI、murB、birA、secE、nusG、rplJ、rplL、rpoB、rpoC、ubiA、plsB、lexA、dnaB、ssb、alsK、groS、psd、orn、yjeE、rpsR、chpS、ppa、valS、yjgP、yjgQ、dnaC、ribF、lspA、ispH、dapB、folA、imp、yabQ、ftsL、ftsI、murE、murF、mraY、murD、ftsW、murG、murC、ftsQ、ftsA、ftsZ、lpxC、secM、secA、can、folK、hemL、yadR、dapD、map、rpsB、infB、nusA、ftsH、obgE、rpmA、rplU、ispB、murA、yrbB、yrbK、yhbN、rpsI、rplM、degS、mreD、mreC、mreB、accB、accC、yrdC、def、fmt、rplQ、rpoA、rpsD、rpsK、rpsM、entD、mrdB、mrdA、nadD、hlepB、rpoE、pssA、yfiO、rplS、trmD、rpsP、ffh、grpE、yfjB、csrA、ispF、ispD、rplW、rplD、rplC、rpsJ、fusA、rpsG、rpsL、trpS、yrfF、asd、rpoH、ftsX、ftsE、ftsY、frr、dxr、ispU、rfaK、kdtA、coaD、rpmB、dfp、dut、gmk、spot、gyrB、dnaN、dnaA、rpmH、rnpA、yidC、tnaB、glmS、glmU、wzyE、hemD、hemC、yigP、ubiB、ubiD、hemG、secY、rplO、rpmD、rpsE、rplR、rplF、rpsH、rpsN、rpl
E、rplX、rplN、rpsQ、rpmC、rplP、rpsC、rplV、rpsS、rplB、cdsA、yaeL、yaeT、lpxD、fabZ、lpxA、lpxB、dnaE、accA、tilS、proS、yafF、tsf、pyrH、olA、rlpB、leuS、lnt、glnS、fldA、cydA、infA、cydC、ftsK、lolA、serS、rpsA、msbA、lpxK、kdsB、mukF、mukE、mukB、asnS、fabA、mviN、rne、yceQ、fabD、fabG、acpP、tmk、holB、lolC、lolD、lolE、purB、ymfK、minE、mind、pth、rsA、ispE、lolB、hemA、prfA、prmC、kdsA、topA、ribA、fabI、racR、dicA、ydfB、tyrS、ribC、ydiL、pheT、pheS、yhhQ、bcsB、glyQ、yibJ、およびgpsAが含まれる。他の必須遺伝子は当業者に公知である。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は合成リガンド依存性必須遺伝子(SLiDE)細菌細胞である。SLiDE細菌細胞は、特定のリガンドの存在下でのみ増殖する1つまたは複数の必須遺伝子において突然変異を有する合成栄養要求株である(LopezおよびAnderson、「Synthetic Auxotrophs
with Ligand-Dependent Essential Genes for a BL21(DE3)Biosafety Strain」、ACS Synth Biol 2015年;4(12):1279~1286頁、その全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、SLiDE細菌細胞は必須遺伝子における突然変異を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、pheS、dnaN、tyrS、metG、およびadkからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345Cのうちの1つまたは複数を含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345Cを含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188Lのうちの1つまたは複数を含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188Lを含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:L36V、C38A、およびF40Gのうちの1つまたは複数を含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異L36V、C38A、およびF40Gを含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:E45Q、N47R、I49G、およびA51Cのうちの1つまたは複数を含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異E45Q、N47R、I49G、およびA51Cを含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:I4L、L5I、およびL6Gのうちの1つまたは複数を含むadkである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異I4L、L5I、およびL6Gを含むadkである。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はリガンドによって相補される。いくつかの実施形態では、リガンドは、ベンゾチアゾール、インドール、2-アミノベンゾチアゾール、インドール-3-酪酸、インドール-3-酢酸、およびL-ヒスチジンメチルエステルからなる群から選択される。例えば、metGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドール、2-アミノベンゾチアゾール、インドール-3-酪酸、インドール-3-酢酸、またはL-ヒスチジンメチルエステルによって相補される。dnaNにおける突然変異(H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345
C)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドール、または2-アミノベンゾチアゾールによって相補される。pheSにおける突然変異(F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188L)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2-アミノベンゾチアゾールによって相補される。tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2-アミノベンゾチアゾールによって相補される。adkにおける突然変異(I4L、L5IおよびL6G)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたはインドールによって相補される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、それをリガンドに対して栄養要求性にする1つより多い突然変異必須遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌細胞は2つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)およびmetGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)を含む。他の実施形態では、細菌細胞は3つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)、metGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)、およびpheSにおける突然変異(F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188L)を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、必須遺伝子が、図43~47に示されるアラビノース系を使用して置き換えられている条件付き栄養要求株である。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は栄養要求株であり、また、本明細書に記載される死滅スイッチ成分および系のいずれかなどの死滅スイッチ回路も含む。例えば、遺伝子操作された細菌は、細胞生存および/または増殖に必要とされる必須遺伝子、例えばDNA合成遺伝子、例えばthyA、細胞壁合成遺伝子、例えばdapAおよび/またはアミノ酸遺伝子、例えばserAもしくはMetAにおける欠失または突然変異を含んでもよく、また、環境条件および/もしくはシグナル(記載されるアラビノース系など)に応答して発現される1つもしくは複数の転写活性化因子によって調節されるか、または外因性環境条件および/もしくはシグナル(本明細書に記載されるリコンビナーゼ系など)を検知すると発現される1つもしくは複数のリコンビナーゼによって調節される毒素遺伝子も含んでもよい。他の実施形態は、Wrightら、「GeneGuard:A Modular Plasmid System Designed for
Biosafety」、ACS Synth Biol、2015年;4(3):307~316頁に記載されており、その全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は栄養要求株であり、また、本明細書に記載される死滅スイッチ成分および系のいずれかなどの死滅スイッチ回路、ならびに条件付き複製起点などの別のバイオセキュリティー系も含む(Wrightら、2015年)。
Phe栄養要求性の付加はまた、フェニルアラニン分解速度を増加させるための有用性も有することができる。例えば、pheA遺伝子の欠失により、フェニルアラニン栄養要求性がもたらされる。内因性細菌のフェニルアラニン産生の停止によって、環境からの取り込みの増加を促すことができ、また、環境から取り込まれたフェニルアラニンの分解の増加ももたらすことができる。
遺伝子調節回路
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、本明細書に記載される構築物を発現するための多層遺伝子調節回路を含む(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/184,811号を参照のこと)。遺伝子調節回路は、フ
ェニルアラニン代謝酵素を産生するか、または栄養要求株を救出する突然変異細菌をスクリーニングするのに有用である。特定の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の目的の遺伝子を産生する遺伝子操作された細菌を選択する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびT7ポリメラーゼによって調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、T7ポリメラーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子;フェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、T7ポリメラーゼによって誘導されるT7プロモーターに作動可能に連結している第2の遺伝子または遺伝子カセット;およびT7ポリメラーゼを阻害できる抑制因子であるlysYをコードする第3の遺伝子を含む。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。LysYは構成的に発現され(P-lac構成的)、さらにT7ポリメラーゼを阻害する。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、T7ポリメラーゼはlysY阻害を克服するのに十分なレベルで発現され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。いくつかの実施形態では、lysY遺伝子はさらなるFNR結合部位に作動可能に連結している。酸素の非存在下では、FNRは上記のようにT7ポリメラーゼ発現を活性化するために二量体化し、また、lysY発現を阻害する。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびプロテアーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌はmf-lonプロテアーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子;Tet調節領域(TetO)に作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;およびTetリプレッサー(TetR)に連結しているmf-lon分解シグナルをコードする第3の遺伝子であって、TetRはTet調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。mf-lonプロテアーゼは、mf-lon分解シグナルを認識でき、TetRを分解することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リプレッサーは分解されず、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、それによってmf-lonプロテアーゼの発現を誘導する。mf-lonプロテアーゼは、mf-lon分解シグナルを認識し、TetRを分解し、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびリプレッサーにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、第1のリプレッサーをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;構成的プロモーターを含む第1の調節領域に作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;および第2のリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、第2のリプレッサーは、第1の調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。第3の遺伝子は構成的プロモーターを含む第2の調節領域に作動可能に連結しており、第1のリプレッサーは第2の調節領域に結合でき、第2のリプレッサーの発現を阻害することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、第1のリプレッサーは発現されず、第2のリプレッサーは発現され、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下
では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、第1のリプレッサーは発現され、第2のリプレッサーは発現されず、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
これらの実施形態において有用なリプレッサーの例には、限定されないが、ArgR、TetR、ArsR、AscG、LacI、CscR、DeoR、DgoR、FruR、GalR、GatR、CI、LexA、RafR、QacR、およびPtxSが含まれる(米国特許出願公開第20030166191号)。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)および調節性RNAにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、調節性RNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子、およびフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、構成的プロモーターに作動可能に連結しており、フェニルアラニン代謝酵素の翻訳を阻害するmRNAヘアピンを産生できるヌクレオチド配列にさらに連結している。調節性RNAは、mRNAヘアピンを除去でき、リボソーム結合部位を介して翻訳を誘導することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、調節性RNAは発現されず、mRNAヘアピンはフェニルアラニン代謝酵素が翻訳されるのを防ぐ。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、調節性RNAが発現され、mRNAヘアピンが除去され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびCRISPRにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、Cas9タンパク質;CRISPRガイドRNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;フェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、構成的プロモーターを含む調節領域に作動可能に連結している、第2の遺伝子または遺伝子カセット;および構成的プロモーターに作動可能に連結しているリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、リプレッサーは調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。第3の遺伝子は、CRISPRガイドRNAに結合できるCRISPR標的配列にさらに連結しており、CRISPRガイドRNAへの前記結合はCas9タンパク質による切断を誘導し、リプレッサーの発現を阻害する。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、ガイドRNAは発現されず、リプレッサーは発現され、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、ガイドRNAが発現され、リプレッサーは発現されず、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびリコンビナーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子、および構成的プロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、配向が反転し(3’から5’)、リコンビナーゼ結合部位に隣接し、リコンビナーゼは、その配向を戻す(5’から3’)ことによって第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を誘導するためにリコンビナーゼ結
合部位に結合できる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現されず、遺伝子または遺伝子カセットは3’から5’配向のままであり、機能的フェニルアラニン代謝酵素は産生されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現され、遺伝子または遺伝子カセットは5’から3’配向に戻り、機能的フェニルアラニン代謝酵素が産生される(例えば、図42を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)ならびにポリメラーゼによりおよびリコンビナーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;T7プロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子であって、T7ポリメラーゼはT7プロモーターに結合でき、フェニルアラニン代謝酵素の発現を誘導することができる、第3の遺伝子を含む。T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子は、配向が反転し(3’から5’)、リコンビナーゼ結合部位に隣接し、リコンビナーゼは、その配向を戻す(5’から3’)ことによってT7ポリメラーゼ遺伝子の発現を誘導するためにリコンビナーゼ結合部位に結合できる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現されず、T7ポリメラーゼ遺伝子は3’から5’配向のままであり、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現され、T7ポリメラーゼ遺伝子は5’から3’配向に戻され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される(例えば、図43を参照のこと)。
プラスミド上で発現される合成遺伝子回路は短期間で十分に機能できるが、長期間では能力および/または機能を喪失する(Daninoら、2015年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、長時間にわたって目的の遺伝子を発現するための安定な回路を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)を産生でき、毒素(hok)および寿命の短い抗毒素(sok)を同時に産生する毒素-抗毒素系をさらに含み、プラスミドの喪失により、寿命の長い毒素によって細胞を死滅させる(Daninoら、2015年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、バチルス・サブティリスプラスミドpL20由来のalp7をさらに含み、細胞分裂の間、均等な分離を確実にするためにプラスミドを細胞極に押すことができる繊維を産生する(Daninoら、2015年)。
宿主-プラスミド相互依存性
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はまた、宿主-プラスミド相互依存性を生じるように修飾されているプラスミドも含む。特定の実施形態では、相互依存性宿主-プラスミドプラットフォームはGeneGuard(Wrightら、2015年)である。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、(i)必要な複製開始タンパク質がtransで提供される条件付き複製起点;(ii)ゲノム転座を介して宿主によって救出され、富栄養培地における使用にも適合している栄養要求性の修飾;および/または(iii)広域スペクトル毒素をコードする核酸配列を含む。毒素遺伝子は、プラスミドDNA自体を、抗毒素を発現しない株(例えば、野性型細菌)にとって不利なものにすることによって、プラスミドが分散しないように選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、抗生物質選択を行わずに少なくとも100世代にわたって安定である。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは宿主の増殖を妨げない。GeneGuardプラスミドは、本発明の遺伝子操作された細菌において意図的でないプラスミド増殖を大いに減少させるた
めに使用される。
相互依存性宿主-プラスミドプラットフォームは、単独で、または本明細書に記載されるものなどの他のバイオセーフティ機構(例えば、死滅スイッチ、栄養要求性)と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドを含む。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数の死滅スイッチを含む。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。さらに他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミド、1つもしくは複数の死滅スイッチ、および/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。
死滅スイッチ
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はまた、死滅スイッチを含む(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/183,935号および第62/263,329号を参照のこと)。死滅スイッチは、外部刺激に応答して遺伝子操作された細菌を能動的に死滅させることを意図する。細菌が生存のための必須栄養素を欠いているために細菌が死滅する栄養要求性突然変異とは対照的に、死滅スイッチは、細胞死を引き起こす微生物内の毒性分子の産生を誘導する環境における特定の要因によって誘発される。
死滅スイッチを含む細菌は、例えば、実験室環境の外部でのバイオ燃料産生微生物の拡散を制限するためにin vitroで研究目的のために操作されている。疾患を治療するためにin vivo投与用に操作された細菌もまた、異種遺伝子(複数可)、例えば、フェニルアラニン代謝酵素の発現および送達後、または対象が治療効果を受けた後の特定の時間で死滅するようにプログラムされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、死滅スイッチは、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)および/またはフェニルアラニントランスポーター遺伝子の酸素レベル依存性発現後、しばらくすると、細菌を死滅させるように活性化される。いくつかの実施形態では、死滅スイッチは、フェニルアラニン代謝酵素および/またはフェニルアラニントランスポーター遺伝子の酸素レベル依存性発現後、遅延様式で活性化される。あるいは、細菌は、細菌が疾患部位の外側に拡散した後、死滅するように操作されてもよい。具体的には、微生物による対象の長期間の定着、対象内の目的の領域の外側(例えば、消化管の外側)での微生物の拡散、または環境への対象の外部での微生物の拡散(例えば、対象の便を介して環境に拡散する)を阻止することは有用であり得る。死滅スイッチにおいて使用され得るこのような毒素の例には、限定されないが、バクテリオシン、リシン、および細胞膜を溶解すること、細胞DNAを分解すること、または他の機構によって細胞死を引き起こす他の分子が含まれる。このような毒素は個々にまたは組み合わせて使用されてもよい。それらの産生を制御するスイッチは、例えば、転写活性化(トグルスイッチ;例えば、Gardnerら、2000年を参照のこと)、翻訳(リボレギュレーター)、またはDNA組換え(リコンビナーゼベースのスイッチ)に基づいてもよく、嫌気状態または反応性酸素種などの環境刺激を検知できる。これらのスイッチは、単一の環境要因によって活性化され得るか、または細胞死を誘導するためにAND、OR、NANDおよびNOR論理的構成において複数の活性化因子を必要としてもよい。例えば、ANDリボレギュレータースイッチは、細胞膜を透過性にし、細胞を死滅させる、リシンの発現を誘導するためにテトラサイクリン、イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)、およびアラビノースによって活性化される。IPTGは、後でアラビノースおよびテトラサイクリンの添加によって活性化される、エンドリシンおよびホリンmRNAの発現を誘導する。3つ全ての誘導因子が細胞死を引き起こすために存在しなければならない。死滅スイッチの例は当該分野において公知である(Calluraら、2010年)。
死滅スイッチは、毒素が環境条件または外部シグナルに応答して産生されるように設計されてもよいか(例えば、細菌は外部刺激に応答して死滅する)、または代替として、環境条件がもはや存在しないかもしくは外部シグナルが停止すると、毒素が産生されるように設計されてもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、例えば低酸素環境において外因性環境シグナルを検知した後に死滅するようにさらにプログラムされる。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子を含み、その発現は環境条件またはシグナルに応答して誘導され、最終的に細胞を死滅させる毒素の発現をもたらす1つまたは複数の組換え事象を引き起こす。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングであり、その細菌毒素は次いで、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後、構成的に発現される。一実施形態では、細菌毒素の構成的発現は遺伝子操作された細菌を死滅させる。これらの種類の死滅スイッチ系において、操作された細菌細胞が外因性環境条件を検知し、目的の異種遺伝子を発現すると、組換え細菌細胞はもはや生存できない。
本開示の遺伝子操作された細菌が、少なくとも1つの組換え事象を引き起こす環境条件またはシグナルに応答して1つまたは複数のリコンビナーゼを発現する別の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、外因性環境条件またはシグナルに応答して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、抗毒素は毒素の活性を阻害し、それによって遺伝子操作された細菌の死滅を遅延させる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現されなくなると、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。
別の実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第2のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第2のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、外因性環境条件に応答して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、外因性環境条件が存在する場合、抗毒素は毒素の活性を阻害し、それによって遺伝子操作された細菌の死を遅延させる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現されなくなると、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2の
リコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第2のリコンビナーゼによる第3のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第3のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第1の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第1の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第1の除去酵素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、第1の除去酵素は第1の必須遺伝子を除去する。一実施形態では、プログラムされた組換え細菌細胞は、第1の必須遺伝子が除去された後に生存できない。
一実施形態では、第1のリコンビナーゼは、第2の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子をさらにフリッピングする。一実施形態では、第2の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2の除去酵素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、第1の必須遺伝子および第2の必須遺伝子の両方が除去されると、遺伝子操作された細菌は死滅するか、またはもはや生存できない。一実施形態では、第1の必須遺伝子が除去されるか、または第2の必須遺伝子が第1のリコンビナーゼによって除去されるかのいずれかの場合、遺伝子操作された細菌は死滅するか、またはもはや生存できない。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、少なくとも1つの組換え事象が発生した後に死滅する。別の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、少なくとも1つの組換え事象が発生した後にもはや生存できない。
これらの実施形態のいずれかにおいて、リコンビナーゼは、BxbI、PhiC31、TP901、BxbI、PhiC31、TP901、HK022、HP1、R4、Int1、Int2、Int3、Int4、Int5、Int6、Int7、Int8、Int9、Int10、Int11、Int12、Int13、Int14、Int15、Int16、Int17、Int18、Int19、Int20、Int21、Int22、Int23、Int24、Int25、Int26、Int27、Int28、Int29、Int30、Int31、Int32、Int33、およびInt34、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択されるリコンビナーゼであってもよい。
上記の死滅スイッチ回路において、毒素は環境要因またはシグナルの存在下で産生される。死滅スイッチ回路の別の態様では、毒素は環境要因の存在下で抑制され得(すなわち、産生されず)、次いで環境条件または外部シグナルがもはや存在しなくなると、産生され得る。このような死滅スイッチは抑制ベースの死滅スイッチと呼ばれ、細菌細胞がアラビノースまたは他の糖などの外部要因またはシグナルの存在下でのみ生存できる系を表す。毒素が外部要因またはシグナルの存在下で抑制される(および外部シグナルが除去されると活性化される)、例示的な死滅スイッチ設計は図43~47に示される。本開示は、外因性環境においてアラビノースまたは他の糖を検知すると、1つまたは複数の異種遺伝子を発現する組換え細菌細胞を提供する。この態様では、組換え細菌細胞は、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子、ならびにaraBADプロモーター(ParaBAD)の制御下の1つまたは複数の遺伝子を含有する。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターの制御下で遺伝子の転写を抑制する立体配座を
取る。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、それをaraBADプロモーターに結合させ、活性化させ得る立体配座変化を受け、そのaraBADプロモーターは、毒素遺伝子の発現を抑制する、所望の遺伝子、例えばTetRの発現を誘導する。この実施形態では、毒素遺伝子はアラビノースまたは他の糖の存在下で抑制される。アラビノースが存在しない環境では、TetR遺伝子は活性化されず、毒素が発現され、それによって細菌を死滅させる。アラビノース系はまた、必須遺伝子を発現するために使用され得、必須遺伝子はアラビノースまたは他の糖の存在下でのみ発現され、アラビノースまたは他の糖が環境に存在しない場合、発現されない。
したがって、1つまたは複数の異種遺伝子が、外因性環境においてアラビノースを検知すると発現されるいくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種遺伝子はaraBADプロモーターの制御下で直接的または間接的に存在する。いくつかの実施形態では、発現される異種遺伝子は、以下:異種治療遺伝子、抗毒素をコードする異種遺伝子、リプレッサータンパク質もしくはポリペプチドをコードする異種遺伝子、例えばTetRリプレッサー、細菌細胞に見出されない必須タンパク質をコードする異種遺伝子、および/または調節タンパク質もしくはポリペプチドをコードする異種のうちの1つまたは複数から選択される。
Para、ParaB、ParaC、およびParaBADを含む、アラビノース誘導性プロモーターは当該分野において公知である。一実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは大腸菌由来である。いくつかの実施形態では、ParaCプロモーターおよびParaBADプロモーターは、一方の方向において異種遺伝子の発現を制御するParaBADプロモーター、および他方の方向において異種遺伝子の発現を制御するParaC(ParaBADプロモーターに近接し、それと反対の鎖にある)である両方向性プロモーターとして作動する。アラビノースの存在下では、両方のプロモーターからの両方の異種遺伝子の転写が誘導される。しかしながら、アラビノースの非存在下では、両方のプロモーターからの両方の異種遺伝子の転写は誘導されない。
本開示の1つの例示的な実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、少なくとも以下の配列:テトラサイクリンリプレッサー(TetR)タンパク質をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーター、AraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaCプロモーター、およびTetRタンパク質によって抑制されるプロモーターに作動可能に連結している細菌毒素をコードする異種遺伝子を有する死滅スイッチを含有する。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はParaBADプロモーターを活性化し、そのParaBADプロモーターはTetRタンパク質の転写を活性化し、次にそのTetRタンパク質は毒素の転写を抑制する。しかしながら、アラビノースの非存在下では、AraCはParaBADプロモーターからの転写を抑制し、TetRタンパク質は発現されない。この場合、異種毒素遺伝子の発現は活性化され、毒素が発現される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し、組換え細菌細胞は死滅する。一実施形態では、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子は構成的プロモーターの制御下にあり、したがって構成的に発現される。
本開示の一実施形態では、遺伝子操作された細菌は構成的プロモーターの制御下で抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、毒素はTetRタンパク質による抑制に起因して発現されず、抗毒素タンパク質が細胞内に蓄積する。しかしながら、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質は発現されず、毒素の発現が誘導される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し始める。組換え細菌細胞は、毒素タンパク質が細胞内の抗毒素タンパク質の量と等しいか、またはそれを超える量で存在すると、もはや生存できず、組換え細菌細胞は毒素によって死滅する。
本開示の別の実施形態では、遺伝子操作された細菌はParaBADプロモーターの制御下で抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、TetRおよび抗毒素が発現され、抗毒素は細胞内に蓄積し、毒素はTetRタンパク質による抑制に起因して発現されない。しかしながら、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質および抗毒素の両方は発現されず、毒素の発現が誘導される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し始める。組換え細菌細胞は、毒素タンパク質が発現されると、もはや生存できず、組換え細菌細胞は毒素によって死滅する。
本開示の別の例示的な実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、少なくとも以下の配列:組換え細菌細胞に見出されない(および生存のために必要とされる)必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーター、およびAraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaCプロモーターを有する死滅スイッチを含有する。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はParaBADプロモーターを活性化し、そのParaBADプロモーターは必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子の転写を活性化し、組換え細菌細胞を生存させることができる。しかしながら、アラビノースの非存在下では、AraCはParaBADプロモーターからの転写を抑制し、生存に必要な必須タンパク質は発現されない。この場合、組換え細菌細胞はアラビノースの非存在下で死滅する。いくつかの実施形態では、組換え細菌細胞に見出されない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーターの配列は、すぐ上に記載されているTetR/毒素死滅スイッチ系と併せて細菌細胞内に存在し得る。いくつかの実施形態では、組み換え細菌細胞に見出されない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーターの配列は、すぐ上に記載されているTetR/毒素/抗毒素死滅スイッチ系と併せて細菌細胞内に存在し得る。
さらに他の実施形態では、細菌は、寿命の短い抗毒素および寿命の長い毒素の両方を産生するプラスミドを有するプラスミド安定系を含んでもよい。この系において、細菌細胞は毒素を中和するために等量の毒素および抗毒素を産生する。しかしながら、細胞がプラスミドを喪失した場合/とき、寿命の短い抗毒素が減衰し始める。抗毒素が完全に減衰すると、細胞を死滅させる寿命の長い毒素の結果として細胞は死滅する。
いくつかの実施形態では、本開示の操作された細菌は上記の死滅スイッチ回路のいずれかの成分をコードする遺伝子をさらに含む。
上記の実施形態のいずれかでは、細菌毒素は、リシン、Hok、Fst、TisB、LdrD、Kid、SymE、MazF、FlmA、Ibs、XCV2162、dinJ、CcdB、MazF、ParE、YafO、Zeta、hicB、relB、yhaV、yoeB、chpBK、hipA、ミクロシンB、ミクロシンB17、ミクロシンC、ミクロシンC7~C51、ミクロシンJ25、ミクロシンColV、ミクロシン24、ミクロシンL、ミクロシンD93、ミクロシンL、ミクロシンE492、ミクロシンH47、ミクロシンI47、ミクロシンM、コリシンA、コリシンE1、コリシンK、コリシンN、コリシンU、コリシンB、コリシンIa、コリシンIb、コリシン5、コリシン10、コリシンS4、コリシンY、コリシンE2、コリシンE7、コリシンE8、コリシンE9、コリシンE3、コリシンE4、コリシンE6、コリシンE5、コリシンD、コリシンM、およびコリシンDF13、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれかでは、抗毒素は、抗リシン、Sok、RNAII、IstR、RdlD、Kis、SymR、MazE、FlmB、Sib、ptaRNA1、yafQ、CcdA、MazE、ParD、yafN、イプシロン、HicA、relE、pr
lF、yefM、chpBI、hipB、MccE、MccECTD、MccF、Cai、ImmE1、Cki、Cni、Cui、Cbi、Iia、Imm、Cfi、Im10、Csi、Cyi、Im2、Im7、Im8、Im9、Im3、Im4、ImmE6、クロアシン免疫タンパク質(Cim)、ImmE5、ImmD、およびCmi、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
一実施形態では、細菌毒素は遺伝子操作された細菌に対して殺菌性である。一実施形態では、細菌毒素は遺伝子操作された細菌に対して静菌性である。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される遺伝子操作された細菌は栄養要求株である。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1栄養要求株から選択される栄養要求株である。いくつかの実施形態では、操作された細菌は1つより多い栄養要求性を有し、例えば、それらはΔthyAおよびΔdapA栄養要求株であってもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される遺伝子操作された細菌は、本明細書において提供される死滅スイッチ回路のいずれかなどの死滅スイッチ回路をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、誘導可能なプロモーターおよび反転した毒素配列の制御下で1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、誘導可能なプロモーターおよび1つまたは複数の反転した除去遺伝子の制御下で1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含み、除去遺伝子は必須遺伝子を欠失している酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、TetRリプレッサー結合部位を有するプロモーターの制御下で毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子およびParaBADなどの、アラビノースによって誘導される誘導可能なプロモーターの制御下でTetRをコードする遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子を含む栄養要求株であり、本明細書に記載される死滅スイッチ回路のいずれかなどの、死滅スイッチ回路をさらに含む。
上記の遺伝子操作された細菌のいくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、細菌内のプラスミド上に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターにプラスミド上で作動可能に連結している。他の実施形態では、フェニルアラニン代謝酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、細菌染色体内に存在し、低酸素または嫌気条件下で誘導されるプロモーターに染色体内で作動可能に連結している。
医薬組成物および製剤
本発明の遺伝子操作された細菌を含む医薬組成物は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患、例えばPKUを治療、管理、改善、および/または予防するために使用され得る。単独で、または予防剤、治療剤、および/もしくは薬学的に許容される担体と組み合わせて1つまたは複数の遺伝子操作された細菌を含む本発明の医薬組成物が提供される。特
定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される遺伝子組換えを含むように操作された細菌の1つの種、株、または亜型を含む。代替の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される遺伝子組換えを含むように各々操作された細菌の2つ以上の種、株、および/または亜型を含む。
本明細書に記載される医薬組成物は、製剤学的用途のための組成物への活性成分の処理を容易にする、賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を使用して従来の方式で製剤化され得る。医薬組成物を製剤化する方法は当該分野において公知である(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照のこと)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸溶コーティングされてもよいか、またはコーティングされなくてもよい、錠剤、粒剤、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット、または粉剤を形成するように錠剤化、凍結乾燥、直接圧縮、従来の混合、溶解、造粒、粉状化、乳化、カプセル化、封入、または噴霧乾燥に供される。適切な製剤は投与経路に依存する。
本明細書に記載される遺伝子操作された細菌は、任意の適切な剤形(例えば、液体、カプセル、サシェ、硬質カプセル、軟質カプセル、錠剤、腸溶コーティング錠剤、懸濁粉末、顆粒、または経口投与用のマトリクス持続放出製剤)で、および任意の適切な種類の投与(例えば、経口、局所、注射、即時放出、パルス放出、遅延放出、または持続放出)のための医薬組成物に製剤化され得る。遺伝子操作された細菌についての適切な投薬量は、約105~1012細菌、例えば約105細菌、約106細菌、約107細菌、約108細菌、約109細菌、約1010細菌、約1011細菌、または約1011細菌の範囲であり得る。組成物は、1日に1回もしくは複数回、1週に1回もしくは複数回、1カ月に1回もしくは複数回投与されてもよい。組成物は、食事の前、間、または後に投与され得る。一実施形態では、医薬組成物は、対象が食事を食べる前に投与される。一実施形態では、医薬組成物は現在の食事とともに投与される。一実施形態では、医薬組成物は、対象が食事を食べた後に投与される。
遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、増粘剤、希釈剤、バッファー、緩衝剤、界面活性剤、中性またはカチオン性脂質、脂質複合体、リポソーム、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容される担体または薬剤を含む医薬組成物に製剤化され得る。例えば、医薬組成物は、限定されないが、重炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、ならびに例えばポリソルベート20を含む界面活性剤の付加を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、重炭酸ナトリウム溶液、例えば1モルの重炭酸ナトリウム溶液(例えば胃などの酸性細胞環境を緩衝するため)中で製剤化され得る。遺伝子操作された細菌は中性または塩形態として投与および製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するアニオンなどのアニオンと形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオンなどのカチオンと形成される塩が含まれる。
本明細書に開示される遺伝子操作された細菌は、局所的に投与されてもよく、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、噴霧、エアロゾル、溶液、エマルションの形態、または当業者に周知の他の形態で製剤化されてもよい。例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照のこと。一実施形態では、噴霧可能ではない局所剤形に関して、局所適用に適合し、水より大きい動粘性係数を有する担
体または1つもしくは複数の賦形剤を含む、粘性から半固体または固体形態が利用される。適切な製剤には、限定されないが、滅菌され得るか、または種々の特性、例えば浸透圧に影響を与える助剤(例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、バッファー、または塩)と混合され得る、溶液、懸濁剤、エマルション、クリーム、軟膏、粉剤、塗布薬、膏薬などが含まれる。他の適切な局所剤形には、噴霧可能なエアロゾル調製物が含まれ、固体または液体不活性担体と組み合わせた活性成分が、加圧された揮発性物質(例えば、フレオンなどのガス状推進剤)と共に混合物中またはスクイーズボトル内に充填される。保湿剤または保水剤もまた、医薬組成物および剤形に加えられてもよい。このようなさらなる成分の例は当業者に周知である。一実施形態では、本発明の組換え細菌を含む医薬組成物は衛生製品として製剤化されてもよい。例えば、衛生製品は、抗菌製剤、または発酵ブロスなどの発酵製品であってもよい。衛生用品は、例えば、シャンプー、コンディショナー、クリーム、ペースト、ローション、およびリップクリームであってもよい。
本明細書に開示される遺伝子操作された細菌は、経口投与され、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして製剤化されてもよい。経口用途のための医薬組成物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体賦形剤を使用し、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、所望の場合、適切な助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理して作製され得る。適切な賦形剤には、限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボメチルセルロースナトリウム(sodium carbomethylcellulose)などのセルロース組成物;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの生理学的に許容されるポリマーが含まれる。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩などの崩壊剤もまた、添加されてもよい。
錠剤またはカプセルは、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、スクロース、グルコース、ソルビトール、デンプン、ガム、カオリン、およびトラガカント);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、安息香酸ナトリウム、L-ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);錠剤崩壊剤(例えば、デンプン、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、糖、セルロース誘導体、シリカ粉末);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製されてもよい。錠剤は当該分野において周知の方法によってコーティングされ得る。コーティングシェルが存在してもよく、一般的な膜には、限定されないが、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリ無水物、他の生分解性ポリマー、アルギン酸-ポリリシン-アルギン酸(APA)、アルギン酸-ポリメチレン-co-グアニジン-アルギン酸(A-PMCG-A)、ヒドロキシメチルアクリレート-メチルメタクリレート(hydroymethylacrylate-methyl methacrylate)(HEMA-MMA)、多層HEMA-MMA-MAA、ポリアクリロニトリル塩化ビニル(PAN-PVC)、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム(AN-69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)、封入シリカ、硫酸セルロース/アルギ酸ナトリウム/ポリメチレン-co-グアニジン(CS/A/PMCG)、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸カルシウム、k-カラギーナン-ローカストビーンガムゲルビーズ、ジェラン-キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、カラギー
ナン、デンプンポリ-無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸、および腸溶コーティングポリマーが含まれる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、消化管または消化管の特定の領域、例えば大腸に放出するために腸溶コーティングされる。胃から結腸までの典型的なpHプロファイルは、約1~4(胃)、5.5~6(十二指腸)、7.3~8.0(回腸)、および5.5~6.5(結腸)である。いくつかの疾患では、pHプロファイルは変更されてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは放出部位を特定するために特定のpH環境で分解される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのコーティングが使用される。いくつかの実施形態では、外側コーティングおよび内側コーティングは異なるpHレベルにて分解される。
経口投与用の液体調製物は、使用前に水または他の適切なビヒクルを用いて構成するための溶液、シロップ、懸濁剤、または乾燥製剤の形態を取ることができる。このような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、または分画植物油);および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される薬剤を用いて従来の手段によって調製され得る。調製物はまた、必要に応じて緩衝塩、香味料、着色剤、および甘味剤を含有してもよい。経口投与用の調製物は、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌の徐放、制御放出、または持続放出のために適切に製剤化され得る。
一実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、小児対象への投与に適した組成物に製剤化され得る。当該分野において周知のように、子供は、異なる胃内容排出速度、pH、胃腸透過性など含む、多くの態様において成人と異なる(Ivanovskaら、2014年)。さらに、小児の製剤許容性ならびに投与経路および味覚特質などの好みが、許容される小児の服薬順守を達成するのに重要である。したがって、一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は、飲み込みやすいもしくは溶解可能な剤形、または香味料、甘味料、もしくは味覚遮断剤を加えた組成物などの、より口当たりの良い組成物を含んでもよい。一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物はまた、成人への投与にも適していてもよい。
一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は、溶液、シロップ、懸濁剤、エリキシル剤、懸濁剤または溶液として復元するための粉末、分散性/発泡性錠剤、チュアブル錠、グミキャンディー、ロリポップ、アイスキャンディー、トローチ、チューインガム、経口薄片、口腔内崩壊錠、サシェ、軟質ゼラチンカプセル、散剤経口粉末、または顆粒を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、キャンディー弾力性、所望のかみごたえのある稠度(chewy consistency)、およびより長い保存期間を与える、ゼラチンベースから作製されたグミキャンディーである。いくつかの実施形態では、グミキャンディーはまた、甘味料または香味料を含んでもよい。
一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は香味料を含んでもよい。本明細書において使用される場合、「香味料」は、製剤に明確な味および香りを与える物質(液体または固体)である。香味料はまた、製剤の嗜好性を改善するのにも役立つ。香味料には、限定されないが、イチゴ、バニラ、レモン、ブドウ、バブルガム、およびチェリーが含まれる。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体と共に経口投与されてもよい。化合物はまた、硬質または軟質シェルゼラチン
カプセルに封入されてもよく、錠剤に圧縮されてもよく、または対象の食事に直接組み込まれてもよい。経口治療投与のために、化合物は賦形剤と共に組み込まれてもよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハーなどの形態で使用されてもよい。非経口投与以外によって化合物を投与するために、その不活性化を阻止するために物質で化合物をコーティングするか、または物質と共に化合物を同時投与することが必要な場合がある。
別の実施形態では、本発明の組換え細菌を含む医薬組成物は、食べられる製品、例えば食品であってもよい。一実施形態では、食品は、ミルク、濃縮乳、発酵乳(ヨーグルト、酢乳、フローズンヨーグルト、乳酸菌発酵飲料)、粉ミルク、アイスクリーム、クリームチーズ、ドライチーズ、豆乳、発酵豆乳、野菜-果物ジュース、果物ジュース、スポーツドリンク、菓子、キャンディー、乳児用食品(乳児用ケーキなど)、栄養食品、動物飼料、または栄養補助食品である。一実施形態では、食品は発酵乳製品などの発酵食品である。一実施形態では、発酵乳製品はヨーグルトである。別の実施形態では、発酵乳製品は、チーズ、ミルク、クリーム、アイスクリーム、ミルクセーキ、またはケフィアである。別の実施形態では、本発明の組換え細菌は、プロバイオティクスとして機能することが意図される他の生細菌細胞を含有する調製物中に組み合わされる。別の実施形態では、食品は飲料である。一実施形態では、飲料は、果物ジュースベースの飲料または植物もしくはハーブ抽出物を含有する飲料である。別の実施形態では、食品はゼリーまたはプディングである。本発明の組換え細菌の投与に適した他の食品は当該分野において周知である。例えば、それらの各々の全内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0359894号および米国特許出願公開第2015/0238545号を参照のこと。さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、パン、ヨーグルト、またはチーズなどの食品に注入され、噴霧され、または振りかけられる。
いくつかの実施形態では、組成物は、腸溶コーティングされているか、またはコーティングされていない、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、または微小錠剤によって、腸内投与、空腸内投与、十二指腸内投与、回腸内投与、胃バイパス投与、または結腸内投与用に製剤化される。医薬組成物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤の基剤を使用して、坐剤または停留浣腸などの直腸組成物に製剤化されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液、またはエマルションであってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤を含有してもよい。
本明細書に記載される遺伝子操作された細菌は、鼻腔内投与されてもよく、エアロゾル形態、噴霧、ミストで、または液滴の形態で製剤化されてもよく、便宜上、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用して加圧パックまたは噴霧器からエアロゾル噴霧提示の形態で送達されてもよい。加圧エアロゾル投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入具または注入器における使用のための(例えば、ゼラチンの)カプセルおよびカートリッジは、化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有して製剤化されてもよい。
遺伝子操作された細菌は、デポー製剤として投与され、製剤化されてもよい。このような長時間作用する製剤は、移植または静脈内注射、皮下注射、局所注射、直接注射、もしくは点滴を含む、注射によって投与されてもよい。例えば、組成物は、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化されてもよい。
いくつかの実施形態では、単回剤形の薬学的に許容される組成物が本明細書に開示される。単回剤形は液体または固体形態であってもよい。単回剤形は、修飾せずに患者に直接投与されてもよいか、または投与前に希釈もしくは復元されてもよい。特定の実施形態では、単回剤形は、複数の錠剤、カプセル、丸薬などを含む経口用量を含む、ボーラス形態、例えば、単回注射、単回経口用量で投与されてもよい。代替の実施形態では、単回剤形は、例えば点滴によって一定の期間にわたって投与されてもよい。
医薬組成物の単回剤形は、医薬組成物をより少ない一定量、単回投与容器、単回投与液体形態、または腸溶コーティングされてもよいか、もしくはコーティングされていなくてもよい、錠剤、顆粒、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット、もしくは粉末などの単回投与固体形態に分けることによって調製されてもよい。固体形態の単回用量は、患者に投与する前に液体、典型的には滅菌水または生理食塩水を加えることによって復元されてもよい。
他の実施形態では、組成物は制御放出または持続放出系において送達され得る。一実施形態では、ポンプが制御または持続放出を達成するために使用されてもよい。別の実施形態では、ポリマー材料が本開示の治療の制御または持続放出を達成するために使用されてもよい(例えば、米国特許第5,989,463号を参照のこと)。持続放出製剤に使用されるポリマーの例には、限定されないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコライド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコライド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。持続放出製剤に使用されるポリマーは、不活性で、浸出可能な不純物を含まず、保管時に安定であり、滅菌され、生分解性であり得る。いくつかの実施形態では、制御または持続放出系は予防または治療標的に近接して配置されてもよく、それによって全身用量の一部しか必要とされない。当業者に公知の任意の適切な技術が使用されてもよい。
投薬レジメンは治療応答を提供するように調節されてもよい。投薬は、疾患の重症度および応答性、投与経路、治療の時間的経過(数日から数カ月から数年)、および疾患の改善時期を含む、いくつかの要因に依存し得る。例えば、単一ボーラスが一度に投与されてもよく、いくつかの分割用量が所定の期間にわたって投与されてもよく、または用量は、治療状況によって示されるように減少もしくは増加されてもよい。投薬量についての仕様は活性化合物の特有の特徴および達成される特定の治療効果によって決定される。投薬量の値は、軽減されるべき状態の種類および重症度によって変わり得る。任意の特定の対象について、特定の投薬レジメンは、個々の必要性および治療を行う医師の専門的判断に従って経時的に調節されてもよい。本明細書において提供される化合物の毒性および治療効果は、細胞培養または動物モデルにおける標準的な薬剤的手順によって決定され得る。例えば、LD50、ED50、EC50、およびIC50が決定され得、毒性と治療効果との間の用量比(LD50/ED50)が治療指数として計算され得る。有毒な副作用を示す組成物が、副作用を低減させるために潜在的な損傷を最小化するための注意深い変更を行って使用されてもよい。投薬は最初に細胞培養アッセイおよび動物モデルから推定されてもよい。in vitroおよびin vivoアッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための広範な投薬量を決定する際に使用され得る。
成分は、別個に、または例えば、活性剤の量を示すアンプルもしくはサシェなどの密閉容器中の乾燥した凍結乾燥粉末もしくは水を含まない濃縮物として、単位剤形で一緒に混合されて供給される。投与様式が注射による場合、注射のための滅菌水または生理食塩水のアンプルが、成分が投与前に混合され得るように提供され得る。
医薬組成物は薬剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封容器にパッケージ化されてもよい。一実施形態では、医薬組成物の1つまたは複数は、密閉容器中の乾燥滅菌した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給され、対象への投与のために適切な濃度に(例えば水または生理食塩水を用いて)復元され得る。一実施形態では、予防もしくは治療剤または医薬組成物の1つまたは複数は、2℃から8℃の間で保存された密閉容器中の乾燥滅菌凍結乾燥粉末として供給され、復元後、1時間以内、3時間以内、5時間以内、6時間以内、12時間以内、24時間以内、48時間以内、72時間以内、または1週間以内に投与される。凍結乾燥剤形のために原則として0~10%のスクロース(最適には0.5~1.0%)の抗凍結剤が含まれてもよい。他の適切な抗凍結剤には、トレハロースおよびラクトースが含まれる。他の適切な増量剤には、グリシンおよびアルギニン(それらのいずれも0~0.05%の濃度で含まれてもよい)、ならびにポリソルベート-80(最適には0.005~0.01%の濃度で含まれる)が含まれる。さらなる界面活性剤には、限定されないが、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が含まれる。医薬組成物は注射溶液として調製されてもよく、吸収または分散を増加させるために使用されるアジュバント、例えばヒアルロニダーゼなどの、アジュバントとして有用な薬剤をさらに含んでもよい。
治療方法
本発明の別の態様は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状(複数可)の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、疾患は、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症および瀬川病からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症はその他の疾患、例えば、肝疾患に続発する。いくつかの実施形態では、本発明は、限定はしないが、神経障害、知能障害、脳症、てんかん、湿疹、成長障害(reduced growth)、小頭症、振戦、四肢痙縮および/または色素沈着低下を含む、これらの疾患に関連する1つまたは複数の症状(複数可)を低減、回復させるか、または排除するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療する対象は、ヒト患者である。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、高フェニルアラニン血症、例えば、PKUに関連する疾患または障害を治療するために、食餌中のフェニルアラニンを代謝することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時に送達する。その他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時には送達しない。研究によって、小腸への膵分泌およびその他の腺分泌物は、高レベルのタンパク質、酵素およびポリペプチドを含有し、これらの異化反応の結果として産生されるアミノ酸は「腸管再循環」として知られるプロセスで血中に再吸収されることが示された(Chang、2007年;Sarkissian等、1999年)。したがって、小腸内の高いフェニルアラニンレベルは部分的には食物摂取とは無関係である可能性があり、PALによる分解に利用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌および食物タンパク質は、絶食またはフェニルアラニン制限食の期間後に送達する。これらの実施形態では、高フェニルアラニン血症に罹患している患者は、実質的に通常の食事またはフェニルアラニンを含まない食事よりも制限の少ない食事を再開することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、高フェニルアラニン血症、例えば、PKUに関連する疾患を治療するために、他の原料、例えば、血液からフェニルアラニンを代謝することができる。これらの実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時に送達する必要はなく、例えば、血液から消化管までフェニルアラニン勾配が形成され、遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを代謝し、高フェニルアラニン血症を低減
させる。
この方法は、本明細書で記載した細菌の少なくとも1種の遺伝子操作された種、株、またはサブタイプを含む医薬組成物を調製し、この医薬組成物を治療有効量で対象に投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、液体懸濁液で経口投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、ジェルカップで凍結乾燥し、経口投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、栄養チューブまたは胃シャントによって投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、直腸内、例えば、浣腸剤によって投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、局所的、小腸内、空腸内、十二指腸内、回腸内および/または結腸内に投与する。
特定の実施形態では、本明細書で記載した医薬組成物は、対象のフェニルアラニンレベルを低減させるために投与する。いくつかの実施形態では、本発明の開示の方法は、対象のフェニルアラニンレベルを未治療または対照の対象のレベルと比較して少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ超低減させる。いくつかの実施形態では、低減は医薬組成物の投与前後の対象のフェニルアラニンレベルを比較することによって測定する。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症を治療または回復させる方法は、状態または障害の1つまたは複数の症状を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ超改善させる。
医薬組成物の投与前、投与中および投与後に、対象のフェニルアラニンレベルは、血液、血清、血漿、尿、腹水、脳脊髄液、糞便、小腸粘膜擦過物、組織から収集した試料および/または以下の1つまたは複数の内容物:胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸および肛門管から収集した試料などの生物学的試料で測定することができる。いくつかの実施形態では、方法には、フェニルアラニンを低減させるために本発明の組成物を投与することを含めることができる。いくつかの実施形態では、方法には、対象におけるフェニルアラニンを検出不可能なレベルに低減させるために、本発明の組成物を投与することを含めることができる。いくつかの実施形態では、方法には、フェニルアラニン濃度を検出不可能なレベル、または治療前の対象のフェニルアラニンレベルの約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%もしくは80%未満に低減させるために、本発明の組成物を投与することを含めることができる。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleである。遺伝子操作された細菌は、例えば、消化管内もしくは血清中の防御因子によって(Sonnenborn等、2009年)、または死滅スイッチの活性化によって、投与の数時間または数日後に破壊されることがある。したがって、遺伝子操作された細菌を含む医薬組成物は、治療有効用量および頻度で再投与してもよい。マウスにおいてin vivoにおけるNissleの滞留期間の長さを図38に示す。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は投与後の数時間以内または数日以内に破壊されず、消化管で増殖して定着することができる。
本発明の方法は、医薬組成物を単独で、または1つまたは複数の治療薬とさらに組み合わせて投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、補因子テトラヒドロビオプテリン(例えば、クバン/サプロプテリン)、大型中性アミノ酸(例えば、チロシン、トリプトファン)、グリコマクロペプチド、プロバイオテック(例えば、VSL3)、酵素(例えば、ペグ化PAL)、および/またはフェニルケトン尿症の治療で使用されるその他の薬剤(Al HafidおよびChristodoulou、2015年)と併せて投与する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数の組換えによって生成したPME酵素、例えば、組換えPAL、LAADまたはPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、組換え酵素は、安定性および/または送達を改善するためにさらに製剤化する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はペグ化する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素は融合タンパク質として送達する。このような融合タンパク質の非限定的な例は、PMEと細胞に取り込むための形質導入ドメインとの融合物である。このような形質導入ドメインまたは細胞貫通ペプチドの非限定的な例はTATペプチドである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はナノ粒子中に製剤化する。このようなナノ粒子の非限定的な例は、デキストラン硫酸/キトサンPMEナノ粒子である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はPME小球体として送達する。このような小球体の非限定的な例は、アルギン酸バリウムPME小球体である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素は非結晶性シリカPME粒子として送達する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALおよびPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALおよびLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAHおよびLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL、PAHおよびLAADと組み合わせて投与する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化PALと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化PAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化LAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL-ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH-ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD-ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL-小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH-小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD-小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL-シリカ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH-シリカ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD-シリカ粒子と組み合わせて投与する。
いくつかの実施形態では、組換え酵素補充療法または置換療法、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADを遺伝子操作された細菌なしに投与する。
いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPALである。いくつか
の実施形態では、PALは、その内容全体を参考として本明細書に組み込んだSarkissian等、2011年、Mol Genet Metab.2011年11月;104(3):249~254頁で記載された通りに改変する。いくつかの実施形態では、PALはAv-p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。いくつかの実施形態では、PALはPEG-Av-p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。
いくつかの実施形態では、PALはペグ化する。一実施形態では、ペグ化PALはアナベナ・バリアビリス由来である。一実施形態では、ペグ化PALはフォトラブダス・ルミネセンス由来である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAHである。一実施形態では、PAHはヒトPAHである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはLAADである。いくつかの実施形態では、投与したLAADタンパク質は、プロテウス・ミラビリスから得られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPMEはPALおよびPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPALおよびLAADである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAHおよびLAADである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAL、PAHおよびLAADである。
いくつかの実施形態では、組換え酵素は、安定性および/または送達を改善するためにさらに製剤化する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はペグ化する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素は融合タンパク質として送達する。このような融合タンパク質の非限定的な例は、PMEと細胞に取り込むための形質導入ドメインとの融合物である。このような形質導入ドメインまたは細胞貫通ペプチドの非限定的な例はTATペプチドである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はナノ粒子中に製剤化する。このようなナノ粒子の非限定的な例は、デキストラン硫酸/キトサンPMEナノ粒子である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はPME小球体として送達する。このような小球体の非限定的な例は、アルギン酸バリウムPME小球体である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素は非結晶性シリカPME粒子として送達する。
いくつかの実施形態では、ペグ化PALを投与する。いくつかの実施形態では、ペグ化LAADを投与する。いくつかの実施形態では、プロテウス・ミラビリス由来のペグ化LAADを投与する。いくつかの実施形態では、ペグ化PAHを投与する。
一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのPAL融合タンパク質を投与する。一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのLAAD融合タンパク質を投与する。一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのPAH融合タンパク質を投与する。いくつかの実施形態では、PALナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAHナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、LAADナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAL小球体を投与する。いくつかの実施形態では、PAH小球体を投与する。いくつかの実施形態では、LAAD小球体を投与する。いくつかの実施形態では、PAL-シリカ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAH-シリカ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、LAAD-シリカ粒子を投与する。
いくつかの実施形態では、PME、例えば、PAH、PALおよび/またはLAADはアプロチニン、例えば、アプロチニン40mg/mlと共に製剤化する。
いくつかの実施形態では、PMEは遺伝子治療薬として送達する。いくつかの実施形態では、CRISPR技術を使用する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPME
、例えば、PAL、LAADおよび/またはPAHを送達するために、遺伝子治療ベクターを使用する。遺伝子治療ベクターは当業界では公知で、限定はしないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。あるいは、製剤化した、または裸のPME遺伝子DNAもしくはRNAを送達することができる。
1つまたは複数のさらなる治療薬の選択において肝心なことは、薬剤(複数可)が本発明の遺伝子操作された細菌と適合すること、例えば、薬剤(複数可)が細菌を妨害したり、死滅させたりしてはならないことである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は食物と一緒に投与する。他の実施形態では、医薬組成物は食物を食べる前後に投与する。医薬組成物は、1つまたは複数の食事の改善、例えば、低フェニルアラニン食と組み合わせて投与することができる。医薬組成物の投与量および投与頻度は、疾患の症状の重症度および進行に基づいて選択することができる。適切な治療有効用量および/または投与頻度は、治療する臨床医が選択することができる。
本発明の方法にはまた、本明細書で記載した医薬組成物を含むキットが含まれる。キットには、限定はしないが、使用説明書、その他の試薬、例えば、標識、さらなる治療薬、対象におけるフェニルアラニンレベルまたは高フェニルアラニン血症に関連するその他の分子もしくは代謝物のレベルを測定するための装置または材料、投与用に本発明の医薬組成物を調製するための装置またはその他の材料および対象に投与するための装置またはその他の材料を含む、1つまたは複数のその他の構成要素を含めることができる。使用説明書には、例えば、高フェニルアラニン血症の患者における推奨投与量および/または投与形式などの治療的応用のための指導を含めることができる。キットはさらに、1つまたは複数の別々の医薬品調製物において、少なくとも1つのさらなる治療薬、および/または適切ならば製剤化された本発明の1つまたは複数の遺伝子操作されたさらなる細菌株を含有することができる。
いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物を対象に投与するために使用する。いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物を単独で、または1つまたは複数のさらなる治療薬と組み合わせて対象に投与するために使用する。いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物の対象への投与前、投与中、投与後の対象におけるフェニルアラニンレベル(例えば、血中フェニルアラニンレベル)を測定するために使用する。特定の実施形態では、キットは、血液フェニルアラニンレベルが増加するか、または異常に高いとき、医薬組成物を単独で、または1つまたは複数のさらなる治療薬と組み合わせて投与および/または再投与するために使用する。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症の診断シグナルは、少なくとも2mg/dL、少なくとも4mg/dL、少なくとも6mg/dL、少なくとも8mg/dL、少なくとも10mg/dL、少なくとも12mg/dL、少なくとも14mg/dL、少なくとも16mg/dL、少なくとも18mg/dL、少なくとも20mg/dLまたは少なくとも25mg/dLの血中フェニルアラニンレベルである。
表20は、古典的PKU患者の平均のフェニルアラニンレベルをベースにした、標的分解速度の非限定的例を示す。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約8.01μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約2μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.6から約8.01μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.2から約2.67μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約0.6μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.22から約0.9μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.3から約1.21μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.54から約2.16μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.13から約4.53μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.84から約7.38μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.61から約6.43μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約2から約8.01μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.1から約1μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1から約2μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの
実施形態では、遺伝子操作された細菌は約2から約3μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約3から約4μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約4から約5μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約5から約6μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約6から約7μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約7から約8μmol/109CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は0.15μmol/109CFU/時間未満の標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約8.01μmol/109CFU/時間超の標的低減速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約178mgと2382mgとの間の標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は1.08mmolから14.42mmolの標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、低減は1.08mmol未満である。いくつかの実施形態では、低減は14.42mmol超である。
いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、古典的PKUフェニルアラニンレベルをベースにしている。いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、軽度PKUで認められたフェニルアラニンレベルをベースにしている。いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、軽度高フェニルアラニン血症で認められたフェニルアラニンレベルをベースにしている。
in vivoにおける治療
本発明の遺伝子操作された細菌は、in vivoにおいて、例えば動物モデルにおいて評価することができる。高フェニルアラニン血症に関連する疾患または疾患の任意の適切な動物モデルを使用することができる(例えば、Sarkissian等、1999年参照)。いくつかの実施形態では、動物モデルは、PKUのマウスモデルである。特定の実施形態では、PKUのマウスモデルは、PAH突然変異体BTBRマウス(BTBR-Pahenu2、Jackson Laboratories)である。これらの実施形態では、マウスモデルは、Pah遺伝子のエクソン7に化学的に(ENU)誘導したホモ接合体ミスセンス変異(T835C)を含有し、アミノ酸263のフェニルアラニンからセリンへの置換(F263S)を引き起こす。この残基は、結晶構造分析によって示されたようにPAH酵素の活性部位に位置し、PAH活性の完全な消失を引き起こす。通常の食餌では、これらの突然変異マウスは変化していない対照と比較して、血清フェニルアラニンレベルの10から20倍の増加を示す。本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、強制経口投与によって動物に投与することができ、治療の有効性は、例えば、治療前後の血中フェニルアラニンおよび/またはケイ皮酸塩を測定することによって判定する。動物モデルでは、GI管内での遺伝子操作された細菌の滞留時間は、ヒトにおける滞留時間よりも短いことがあることに注意されたい。動物を殺処分し、組織試料を収集して分析する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の投与によって生じるいかなる潜在的毒性も判定するために、薬物動態学的および薬力学的研究は非ヒト霊長類において実行することができる。遺伝子操作された細菌の薬物動態および薬物動力学。このような試験の非限定的例を実施例30および31に記載する。
いくつかの実施形態では、LAADを発現する遺伝子操作された細菌は、糞において特異的に検出することができ、その他の大腸菌株と区別することができる。フェニルアラニンデアミナーゼ試験「フェニルアラニン斜面寒天培地」は、この目的のために使用することができる。フェニルアラニン寒天は、微生物がフェニルアラニンを使用して、フェニルアラニンをフェニルピルビン酸に変換することができるかどうかを判定するために使用する。フェニルアラニン寒天上に試料を含有する試験管に試験化学物質を添加すると、フェニルピルビン酸が緑色の化合物に変換され、試験結果が陽性であることを示す。野生型大腸菌は、フェニルアラニンからフェニルピルビン酸を生成することができその他の大腸菌株からの区別を可能にする酵素をコードしないので、フェニルピルビン酸を生成しない。遺伝子操作された細菌は、当業界で公知のPCRをベースにした試験によってフェニルピルビン酸を生成することができるその他の細菌種から区別することができる。例えば、種特異的配列を増幅することができる。例えば、様々な細菌の変換された領域を増幅する汎用PCRは、標本のスクリーニングにおいていかなる病原体も検出するのに理想的である。この目的のために、16SrRNA遺伝子の変換された領域を汎用PCRの標的遺伝子として使用することができ、この16SrRNA遺伝子は、多数の細菌種を区別することができる種特異的領域を含有する。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニンデアミナーゼ試験は、糞便試料において遺伝子操作された細菌を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態では、PCRをベースにした試験は、その他の細菌種から遺伝子操作された細菌を区別するために実行することができる。
スクリーニング方法
本開示のいくつかの実施形態では、遺伝子操作株は、例えば、PME酵素活性を増加させるか、または株がフェニルアラニンを取り込む能力を増加させるために、スクリーニング方法および選択方法を使用することによって改善することができる。いくつかの実施形態では、スクリーニングは、PME活性が改善した細菌株を作製するために役立つ。いくつかの実施形態では、スクリーニングは、フェニルアラニン取り込み能力が改善した細菌株を作製するために役立つ。いくつかの実施形態では、スクリーニングによって、PME活性が改善し、基質取り込みも増強された細菌株を同定することができる。使用することができるスクリーニング方法の非限定的例を本明細書で記載する。
生体分子を輸送する能力が増強した細菌株の作製
培養が簡単で、生成時間が短く、集団密度が非常に高く、ゲノムが小さいので、微生物は時間尺を短縮して特有の表現型に進化させることができる。適応実験室進化(ALE)は、好ましい表現型を有する株を進化させる選択圧下で微生物を継代する方法である。最も一般的には、炭素/エネルギー源の利用を増加させるか、または株を環境ストレス(例えば、温度、pH)に適合させて、それによって、炭素基質またはストレス下で増殖することができる突然変異株が、集団におけるあまり適合していない株を打ち負かし、最終的に集団で優位を占めるようにするために、ALEを適用する。
これと同じ方法を、栄養要求株を作製することによって任意の必須代謝物に適用することができる。栄養要求株は、必須代謝物を合成することができない株で、したがって、増殖するための培地に代謝物を供給しなければならない。この場合、栄養要求株を作製し低量の代謝物で継代することによって、得られた優位な株は、この必須代謝物を獲得して取り込む能力が高まっているはずである。
例えば、アミノ酸を産生する生合成経路が破壊された場合、前記アミノ酸を高い親和性で捕捉することができる株をALEによって進化させることができる。最初に、増殖を支持する最小限の濃度が確立するまで、栄養要求性アミノ酸の様々な濃度で株を増殖させる
。次に、この株をこの最小限の濃度で継代し、アミノ酸濃度を規則正しい間隔で低下させて希釈した。徐々に、アミノ酸に対して-増殖限界濃度で-最も競争力がある細胞が優位な集団になる。これらの株はおそらくアミノ酸-トランスポーターに突然変異を有していて、必須かつ制限されているアミノ酸を取り込む能力が増強しているのだろう。
同様に、アミノ酸を形成するために上流の代謝物を使用することができない栄養要求株を使用することによって、上流の代謝物を効率的に取り込むことができるだけでなく、代謝物を必須の下流の代謝物に変換することができる株を進化させることができる。これらの株はまた、上流の代謝物の取り込みを増加させるように突然変異を進化させるが、下流の酵素の発現もしくは反応速度が増加した、または基質利用が競合する経路が低減した突然変異を含有していてもよい。
以前の実施例では、微生物に本来備わっている代謝物は栄養要求性変異によって必須となったので、内在性代謝物を増殖限界で補給することによって選択を行った。しかし、非天然化合物を消費することができる表現型は、その消費を必須化合物の産生に結びつけることによって進化させることができる。例えば、必須化合物または必須化合物の前駆体を産生することができる異なる生物の遺伝子を単離した場合、この遺伝子を組換えによって異種宿主に導入し、発現させることができる。この新たな宿主株はこうして以前の非代謝性基質から必須栄養素を合成する能力を有するようになる。これによって、すぐ下流の代謝物を変換することができない栄養要求株を作製し、非天然化合物の増殖限界量で選択して組換え酵素を同時発現させることによって、類似のALE方法を適用することができる。これは、非天然基質の輸送、異種酵素の発現および活性ならびに下流の天然酵素の発現および活性に突然変異を引き起こすこととなる。この方法の重要な必要条件は、非天然代謝物の消費を増殖に必須の代謝物の産生に結びつける能力であることを強調したい。
選択機構の基礎を確立し、補給の最小限レベルを確立したら、実際のALE実験を進めることができる。この方法全体を通じて、いくつかのパラメータは注意深くモニターしなければならない。培養物は指数増殖期で維持し、飽和/定常期に至らないようにすることが重要である。これは、増殖速度を各継代およびその後の希釈中に点検し、それに応じて調整しなければならないことを意味している。希釈が大幅になるような程度まで増殖速度が上昇したら、増殖速度が低下し、選択圧が増加し、継代中の小集団の偏りが大きくなるほど希釈が著しくならないように、栄養要求性補給の濃度を減少させるべきである。さらに、規則正しい間隔で細胞を希釈して、固体培地で増殖させ、ALE培養で認められる増殖速度表現型を確認するために個々のクローンを試験するべきである。
いつ停止するかを予測して、ALE実験を停止するにはまた用心を要する。進化誘導の成功は実験全体を通じて「スクリーニングした」突然変異体の数と直接結びつき、突然変異は一般的にDNA複製中のエラーの関数なので、累積した細胞分裂(CCD)はスクリーニングした突然変異体総数の代わりとなる。以前の研究によって、様々な炭素源で増殖させるために有益な表現型は約1011.2CCD1で単離することができることが示された。この割合は、DNA複製エラーを増加させる原因となる化学的変異誘発物質、例えば、N-メチル-N-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)を培養物に添加することによって高めることができる。しかし、継代の継続が増殖速度の限界に達するか、または増殖速度の改善をもたらされない場合、集団の適応度はかなり最大に収束しており、ALE実験を停止することができる。
ALE実験の結果、細胞は希釈して、固体培地で単離して、培養フラスコの増殖表現型に合致する増殖表現型についてアッセイするべきである。次に、選択したもののうち最良の性能のものをゲノムDNAのために用意し、全ゲノム配列決定に送る。配列決定によって、改善した表現型をもたらすことができるゲノム全体に生じた突然変異を明らかにする
はずであるが、サイレント変異(利益はもたらさないが、所望する表現型を損なわない変異)も含まれるはずである。NTGまたはその他の化学的変異誘発物質の存在下で進化させた培養物では、さらによりサイレ揮毫ントな自然突然変異がある。現在の状態で最良の性能の株に満足したならば、使用者はこの株の適用を進めることができる。そうでなければ、ゲノム操作技術によって変異を親株に再導入することによって、進化した株から関与する変異を解析することができる。Lee,D.-H.、Feist,A.M.、Barrett,C.L.& Palsson,B.O.「Cumulative Number of Cell Divisions as a Meaningful Timescale for Adaptive Laboratory Evolution of Escherichia coli.」PLoS ONE 6、e26172(2011年)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、ALE法は、フェニルアラニン取り込みが改善した遺伝子操作された細菌を同定するために使用することができる。
PME活性を改善するための特異的なスクリーニング
遺伝子選択を使用するスクリーニングは、遺伝子操作された細菌におけるフェニルアラニン消費を改善するために実行する。毒性のあるフェニルアラニン類似体は、細胞タンパク質に組み込まれることによって作用(MOA)機構を発揮し、細胞死をもたらす。パラログp-フルオロ-DL-フェニルアラニンおよびオルソログo-フルオロ-DL-フェニルアラニンなどのこれらの化合物は、活性が増加したPAL酵素を選択するための非標的アプローチに有用である。これらの毒性化合物は、細胞タンパク質に取り込まれるよりもPALによって非毒性代謝物に代謝され得ると仮定すると、フェニルアラニン分解活性が改善した遺伝子操作された細菌は、高レベルのこれらの化合物に耐性があり、これに基づいてスクリーニングし、選択することができる。
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以下の実施例は、本開示の実施形態の例である。当業者ならば、本開示の趣旨または範囲を変化させることなく実施することができる数々の改変および変更を認識するだろう。このような改変および変更は、本開示の範囲内に包含される。実施例は、決して本開示を限定しない。
PALプラスミドの構築
大腸菌NissleにおけるPAL産生の誘導を容易にするために、アナベナ・バリアビリス(「PAL1」)またはフォトラブダス・ルミネセンス(「PAL3」)のPAL遺伝子、ならびに転写および翻訳エレメントを合成し(Gen9、Cambridge、MA)ベクターpBR322にクローニングした。PAL遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下に置いた。誘導FNRプロモーターまたはTetプロモーターの制御下にあるPAL1およびPAL3それぞれについて低コピーおよび高コピープラスミドを生成した。FNRプロモーターの例を表3に示す。これらの構築物の構成およびヌクレオチド配列を図6~9に示す。しかし、上記のように、その他のプロモーターを使用してPAL遺伝子を発現させてもよく、その他のPAL遺伝子を使用してもよく、その他のフェニルアラニン代謝制御遺伝子を使用してもよい。
大腸菌の形質転換
本明細書で記載したプラスミドはそれぞれ、以下のステップにしたがって、本明細書で記載した試験のために大腸菌Nissleに形質転換した。試験管、溶液およびキュベットは全て予め4℃まで冷却した。大腸菌Nissleを一晩培養したものを、アンピシリンを含有する溶原培地(LB)5mLで1:100に希釈し、OD600が0.4~0.6に達するまで増殖させた。次に大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を4℃の水1mLに再懸濁した。再度、大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を4℃の水0.5mLに再懸濁した。再度、大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を最後に4℃の水0.1mLに再懸濁した。電気穿孔器を2.5kVに設定した。プラスミド(0.5μg)を細胞に添加し、ピペットで混合し、冷却した滅菌キュベットにピ
ペットで入れた。乾燥したキュベットを試料チャンバーに入れ、電気パルスを印加した。室温のSOC培地1mLをすぐに添加し、混合物を培養試験管に移し、37℃で1時間インキュベートした。アンピシリンを含有するLBプレートに細胞を広げ、一晩インキュベートした。
PAL1とPAL2を発現する高コピープラスミドと低コピープラスミドとの間のフェニルアラニン代謝の比較
同じPAL遺伝子、低コピープラスミドもしくは高コピープラスミド(SYN-PKU101 and SYN-PKU102)にPAL3または低コピープラスミドもしくは高コピープラスミド(SYN-PKU201およびSYN-PKU202)にPAL3を含む遺伝子操作された細菌のin vitroにおけるフェニルアラニン代謝についてアッセイした。
遺伝子操作された細菌は、無水テトラサイクリン(ATC)で誘導し、次に、フェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地で2時間増殖させた。試料は、0時間後、4時間後および23時間後に取り出し、実施例24~26に記載したようにフェニルアラニン(図15A)およびトランス-ケイ皮酸(TCA)(図15B)濃度を質量分析によって判定した。
高コピープラスミドおよび低コピープラスミド株は、フェニルアラニンを類似のレベルまで代謝し、低減させることが見いだされた(図15)。フェニルアラニンレベルの大きな低減およびTCAレベルの増加が、PAL3を発現する株で認められた。
フェニルアラニントランスポーター-PhePの細菌染色体への組み込み
いくつかの実施形態では、細胞へのフェニルアラニンの輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を高めることが有利であり得る。したがって、誘導性プロモーターによって駆動される天然の高親和性フェニルアラニントランスポーター、PhePの第2のコピーを相同組み換えによってNissleゲノムに挿入した。構築物の構成を図11に示す。pheP遺伝子をPtetプロモーターの下流に置き、テトラサイクリンリプレッサー、TetRは分岐して転写させた(例えば、図11を参照のこと)。この配列はGenewizによって合成された(Cambridge、MA)。合成したTetR-PheP構築物を染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを最初に使用して、Nissle lacZ座に相同なDNAの1000bp配列をR6K複製開始点プラスミドpKD3に付加した。これは、NissleゲノムのlacZ座に組み込むために、これらの相同腕の間にクローニングされたDNAを標的とする(図10)。ギブソンアッセンブリを使用してTetR-PheP断片をこれらの腕の間にクローニングした。PCRを使用して、相同腕の全配列ならびに相同腕の間にpheP配列を含有するこのプラスミドからこの領域を増幅した。このPCR断片を使用して、エレクトロコンピテントNissle-pKD46、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子をコードする温度感受性プラスミドを含有する株を形質転換した。形質転換後、細胞を2時間増殖させてからクロラムフェニコール20μg/mLに37℃で播種した。37℃で増殖させることによって、pKD46プラスミドをキュアリングする。無水テトラサイクリン(ATC)誘導性phePを含有する形質転換体は、lacマイナス(lac-)およびクロラムフェニコール耐性であった。
フェニルアラニン分解に対するフェニルアラニントランスポーターの影響
フェニルアラニン分解に対するフェニルアラニントランスポーターの影響を判定するた
めに、染色体に組み込まれたTetプロモーターによって駆動されるphePのコピーの存在下または非存在下で、低コピー(LC)または高コピー(HC)プラスミドのPAL1またはPAL3を発現する遺伝子操作された細菌によって実現した、フェニルアラニン分解およびトランス-ケイ皮酸塩蓄積を評価した。
in vitroにおける試験では、インキュベーションは全て37℃で実施した。Tetプロモーターによって駆動するPAL遺伝子を含むプラスミドで形質転換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:100に希釈した。細胞を震盪(200rpm)しながら対数期初期まで増殖させた。無水テトラサイクリン(ATC)を培養物に100ng/mLの濃度で添加し、PALの発現を誘導し、細菌をさらに2時間増殖させた。その後、細菌をペレットにして、洗浄し、最少培地に再懸濁し、フェニルアラニン4mMを補給した。実施例24~26に記載したように、質量分析によってフェニルアラニンを定量するために0時間後、2時間後および4時間後(図16A)、ケイ皮酸を定量するために2時間後および4時間後(図16B)に一定量を取り出した。図16に示したように、PALと併せてphePを発現させると、PAL単独またはpheP単独と比較してフェニルアラニンの分解が著しく増強する。特に、phePをさらにコピーすることによって4時間でフェニルアラニン(4mM)の分解が完了する(図16A)。図16Bは、誘導して2時間後および4時間後の試料中のケイ皮酸塩レベルを示す。ケイ皮酸塩産生はフェニルアラニン分解に直接関与するので、これらのデータは、フェニルアラニン消失がフェニルアラニン異化反応によるものであり、ケイ皮酸塩は株の活性の代替バイオマーカーとして使用できることを示唆している。PheP過剰発現は、遺伝子操作された細菌のフェニルアラニン代謝を改善する。
結論として、phePと併せると、低コピーPAL発現プラスミドであっても試験試料からほとんど完全にフェニルアラニンを排除することができる(図16Aおよび16B)。さらに、特定の理論に拘束されることは望まないが、phePを組み込むいくつかの実施形態では、高いフェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を増強するために、および形質転換した細菌に対する負の選択圧を低減させるために、低コピーPAL発現プラスミドを併せて使用するとさらに有利であり得る。他の実施形態では、高コピーPAL発現プラスミドと併せてフェニルアラニントランスポーターを使用する。
FNRプロモーター活性
異なるFNRプロモーターのプロモーター活性を測定するために、lacZ遺伝子ならびに転写および翻訳エレメントを合成し(Gen9、Cambridge、MA)、ベクターpBR322にクローニングした。lacZ遺伝子は、表3で開示したFNRプロモーター配列の例のいずれかの制御下に置いた。これらの構築物のヌクレオチド配列を表21~28(配列番号31~38)に示す。しかし、上記のように、lacZ遺伝子は、その他の誘導性プロモーターの活性を分析するためにそれらのプロモーターによって駆動することができ、その他の遺伝子をプロモーター活性の指標としてlacZ遺伝子の代わりに使用することもできる。あるいは、ベータ-ガラクトシダーゼをレポーターとして使用することもでき、結果の例を図18に示す。
表21は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr1(配列番号3)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB1遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合物を含み、この翻訳融合物はlacZコーディング領域の8番目のコドンにインフレームで融合している。Pfnr1配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表22は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr2(配列番号6)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合物を含み、この翻訳融合物はlacZコーディング領域の8番目のコドンにインフレームで融合している。Pfnr2配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表23は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr3(配列番号7)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB遺伝子とlacZ遺伝子の転写融合物を含み、この転写融合物は強力なリボソーム結合部位に融合したプロモーター領域のみを使用する。Pfnr3配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表24は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr4(配列番号8)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子およびlacZ遺伝子の転写融合物を含む。Pfnr4配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表25は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr5(配列番号9)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、lacZに融合した嫌気的に誘導される低分子RNA遺伝子、fnrS1の転写融合物を含む。Pfnrs配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表26は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr3(配列番号7)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB遺伝子とPAL3遺伝子の転写融合物を含み、この転写融合物は強力なリボソーム結合部位に融合したプロモーター領域のみを使用する。Pfnr3配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表27は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr4(配列番号8)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子およびPAL3遺伝子の転写融合物を含む。Pfnr4配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表28は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnrs(配列番号9)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、PAL3に融合した嫌気的に誘導される低分子RNA遺伝子、fnrS1の転写融合物を含む。Pfnrs配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下
線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
前述したように、プラスミドはそれぞれ、大腸菌Nissleに形質転換した。形質転
換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:200に希釈した。細胞は、250rpmで震盪しながら好気的に、または90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的に増殖させた。インキュベーション4~6時間後、試料を収集し、β-ガラクトシダーゼアッセイ(Miller、 1972年)を実施することよってプロモーター活性を分析した。図20に示したように、FNRプロモーターの活性は、好気的条件と比較して嫌気的条件下で大いに増強された。
FNRプロモーターの活性測定
FNRプロモーター駆動遺伝子発現の動力学を判定するために、低コピーfnrS-lacZ融合遺伝子を保有する大腸菌株(図19A)を250rpmで震盪しながら好気的に増殖させた。培養物は1時間後に分割し、37℃で好気的に、または(90%N2、5%CO2および5%H2を供給した)Coy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした。プロモーター活性は、標準比色アッセイ(Miller、1972年)を使用してβ-ガラクトシダーゼ活性の関数として測定した。図19Bは、fnrSプロモーターは嫌気的条件下で1時間以内に高レベルの遺伝子発現の駆動を開始することを示す。酸素の存在下および非存在下の両方における、lacZを発現する細菌細胞培養物の増殖曲線を図19Cに示す。
組換え大腸菌におけるFNRプロモーターによるPALの産生
FNRプロモーターの例のいずれかによって駆動されるPAL遺伝子を含むプラスミドで形質転換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:200に希釈した。細菌細胞はさらに、Tetプロモーターによって駆動され、染色体に組み込まれるpheP遺伝子を含むことができる。ATCを培養物に100ng/mLの濃度で添加してphePの発現を誘導し、細胞は、250rpmで震盪しながら好気的に、または90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的に増殖させた。4時間インキュベートした後、細胞をペレットにして、洗浄し、0.5%グルコースおよびフェニルアラニン4mMを補給したM9最少培地に再懸濁した。フェニルアラニン定量のために、0時間後、2時間後、4時間後および24時間後に一定量を収集した(図20)。図20Bに示したように、FNRプロモーターによって駆動されるPAL3を発現する遺伝子操作された細菌は、好気的条件下と比較して嫌気的条件下で培地からフェニルアラニンをより効率的に除去する(図20A)。PAL3と併せてphePを発現するとさらにフェニルアラニンのレベルが減少した。
phePを過剰発現する、または過剰発現しない組換え大腸菌におけるフェニルアラニン分解
SYN-PKU304およびSYN-PKU305株はPAL3遺伝子を保有する低コピープラスミドおよびlacZ座に組み込まれたphePのコピーを含有する。SYN-PKU308およびSYN-PKU307株はまた、PAL3遺伝子を保有する低コピープラスミドを含有するが、lacZ座にはphePのコピーは組み込まれていない。4つの株全てにおいて、PAL3およびpheP(適用するならば)の発現は、酸素レベル依存性プロモーターによって制御される。
染色体にphePを有する、および有さない操作された大腸菌Nissleにおけるフェニルアラニン分解の速度を決定するために、SYN-PKU304およびSYN-PKU307を一晩培養したものを、アンピシリンを含有するLBで1:100に希釈し、SYN-PKU308およびSYN-PKU305を一晩培養したものを、カナマイシンを含有するLBで1:100に希釈した。全株を1.5時間増殖させた後、培養物を90%
N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄して、アッセイ緩衝液1mLに再懸濁した。アッセイ緩衝液は、0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびフェニルアラニン4mMを補給したM9最少培地を含有した。
活性をアッセイするために、コロニー形成単位(cfu)の開始カウントを系列希釈および播種を使用して定量した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、各細胞アッセイから一定量を30分毎に3時間にわたって取り出した。具体的には、細菌細胞150μLをペレットにして、上清をLC-MS分析のために収集し、細胞を含まないアッセイ培地をゼロ時間点として使用した。図21は、染色体(SYN-PKU304およびSYN-PKU305;左)にphePを有する株ならびに染色体にphePを欠如した株(SYN-PKU308およびSYN-PKU307;右)で認められたフェニルアラニン分解を示す。これらのデータは、pheP過剰発現は、合成プロバイオティクスにおいてフェニルアラニン分解速度を増加させるために重要であることを示す。
染色体にPAL3を1個または複数挿入した株の活性
挿入部位および挿入数の遺伝子操作された細菌の活性に対する影響を評価するために、様々な染色体位置に異なるPAL3を1個挿入した株および複数のPAL3を挿入した株のin vitro活性を測定した。
細胞をLB中で一晩増殖させ、1:100に希釈した。増殖1.5時間後に、培養物を90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をフェニルアラニン50mMを含有するアッセイ緩衝液に再懸濁した。290nmの吸光度によるトランス-ケイ皮酸塩定量のために、細胞アッセイから一定量を20分毎に1.5時間にわたって取り出した。結果を図22および23および表39および表40に示す。図22は、染色体の様々な位置に単一のPAL3挿入を含む株のトランス-ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示す。図23は、染色体の様々な位置に複数のPAL3挿入を含む株のトランス-ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示す。
染色体にPAL3の5個のコピーを有する株の活性
嫌気的に(FNR)制御されたPAL3の5個のコピーが組み込まれ、lacZ座に組み込まれた嫌気的に制御されたphePを含む株、株SYN-PKU511の活性を評価した。
遺伝子操作された細菌を一晩増殖させ、希釈して、さらに2.5時間増殖させた。次に、培養物を90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。フェニルアラニンを含有する培地(フェニルアラニン4mM)中で3.5時間誘導した後、全細胞抽出物を30分毎に3時間にわたって調製し、フェニルアラニンを質量分析によって定量した。結果を図24に示す。細胞のin vitro活性は8μmol/時間/1e9細胞であった。フェニルアラニンレベルは2時間後に元のレベルの約半分に低下した。
LAADを発現する株の活性
LAAD発現がPAL3に対して代替の、追加の、または補足的なフェニルアラニン分解手段として使用できるかどうかを評価するために、Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを発現する高コピープラスミドを含有する遺伝子操作された株、SYN-PKU401の能力を、様々な細胞濃度および様々な酸素レベルで測定した。
SYN-PKU401を一晩培養したものを1:100に希釈し、対数期初期まで増殖させてからATC(100ng/ml)で2時間誘導した。細胞を遠心分離し、以下の通りにインキュベートした。
細胞(1ml)は、14ml培養管内で好気的にインキュベートし、250rpmで震盪した(図25AおよびB)。微好気的条件では、細胞(1ml)は1.7mlコニカル管内で震盪せずにインキュベートした。細胞は、90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした(図25B)。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出し、結果を図25Aおよび25Bに示す。図25Aは、細胞濃度依存性好気的活性を示す。好気的条件における活性は約50μmol/時間/1e9細胞であり、いくらかの活性は微好気的条件下で保持され、環境空気未満の酸素濃度の環境下での活性を可能にし得る。微好気的条件下でのSYN-PKU401の活性を、嫌気的条件下のSYN-PKU304と比較したが、活性は細胞密度に依存しているようである。
表41および表42は目的のLAAD構築物を含有する。表41は、プラスミドにプロテウス・ミラビリス由来のLAADをコードする遺伝子およびTetリプレッサー遺伝子およびTetプロモーター配列およびRBSおよびリーダー領域を含む構築物の1例の配列を示しており、配列番号39、LAAD配列には下線を引いてあり、TetR配列はイタリック体で、Tetプロモーター配列は太字で、RBSおよびリーダー領域は下線を引いたイタリック体である。表42は、araCをコードする遺伝子およびプロテウス・ミラビリス由来のLAADをコードする遺伝子および内在性アラビノースオペロンに染色体挿入するためのアラビノース誘導性プロモーター(ParaBAD)配列を含む構築物の1例の配列を示しており(配列番号40)、araC配列には下線を引いてあり、ParaBADプロモーター配列は太字で、LAAD配列はイタリック体で、RBSおよびリーダー領域は下線を引いたイタリック体である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は配列番号20~42のDNA配列に
少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは少なくとも約99%相同な核酸配列またはそれらの機能的断片を含む。
PKUのマウスモデルにおけるPAL発現細菌の有効性
in vivoにおける試験のために、BTBR-Pahenu2マウスをJackson Laboratoryから入手し、PKUのモデルとして使用するためにホモ接合型に交配した。TetプロモーターからPAL3を発現する低コピーpSC101複製開始点のプラスミドならびにゲノムに組み込まれたTetプロモーターによって駆動されるphePの1個のコピーを保有する細菌(SYN-PKU302)を増殖させた。SYN-PKU1は、投与前にATCによって2時間誘導した。細菌をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁し、109ATC誘導性SYN-PKU302または対照Nissle細菌を強制経口投与によってマウスに投与した。
試験開始時に、マウスにATC100マイクログラム/mLおよび5%スクロースを補給した水を与えた。マウスは、一晩(10時間)固形飼料を除去することによって絶食させ、フェニルアラニンの基準レベルを決定するために翌日下顎出血によって血液試料を収集した。血液試料をヘパリン化試験管に収集し、2Gで20分管遠心分離して血漿を生成し、その後取り出して-80℃で保存した。マウスに固形飼料を再度与え、既にATCで2時間誘導した細菌100μL(5×109CFU)を1時間後に強制経口投与した。マウスは固形飼料に2時間戻した。血漿試料は、前述したように調製した。
図26Aは給餌前後のフェニルアラニンレベルを示し、図26Bは、給餌前後の血中フェニルアラニンレベルのパーセント(%)変化を雌雄群平均として示す(p<0.01)。図26に示したように、SYN-PKU1で治療したPKUマウスは、対照と比較して給餌後の血清フェニルアラニンレベル上昇の著しい低減を示す。
フェニルアラニン皮下曝露後のPAL発現細菌の有効性
ストレプトマイシン耐性大腸菌Nissle(SYN-PKU901)を凍結保存物から1010細胞/mLの密度まで増殖させた。lacZ座に組み込まれたTetプロモーターの制御下にphePの1個のコピーおよびTetプロモーター制御下にPAL3を発現する高コピープラスミドを含有する細菌(SYN-PKU303)をA600が0.25になるまで増殖させ、その後ATC(100ng/mL)によって4時間誘導した。細菌を遠心分離して、洗浄して、炭酸水素緩衝液に1×1010細胞/mLの密度まで再懸濁してから-80℃で凍結した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、-6日から-3日)開始して、ホモ接合体BTBR-Pahenu2マウス(約6~12週齢)を、フェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウス
を治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、H2O(n=30)、SYN-PKU901(n=33)またはSYN-PKU303(n=34)200μLをマウスに強制経口投与によって投与した。フェニルアラニン曝露2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定した。
図27は、フェニルアラニン注射の2時間後(図27A)および4時間後(図27B)の基準濃度に対するフェニルアラニン血中濃度を示す。これらのデータは、フェニルアラニンの皮下注射がホモ接合体enu2/enu2マウスにおいて高フェニルアラニン血症を引き起こし、SYN-PKU303の経口投与がフェニルアラニン曝露後の血中フェニルアラニンレベルを対照群と比較して有意に低下させる(4時間後でp<0.00001)ことを示唆している。さらに、これらの結果によって、経口投与した遺伝子操作された細菌および遺伝子操作されていない親Nissleは、食餌曝露に関係なく血中フェニルアラニンレベルに有意な影響を及ぼし得ることが確認される。したがって、PKU特異的プロバイオティクスは、食餌と併せて同時投与する必要がないこともある。
全身フェニルアラニンに対するPAL発現細菌の用量応答活性
ストレプトマイシン耐性大腸菌Nissle(SYN-PKU901)を凍結保存物から1010細胞/mLの密度まで増殖させた。lacZ座に組み込まれたPfnrSプロモーターの制御下にphePの1個のコピーおよびPfnrSプロモーター制御下にPAL3を発現する低コピープラスミドを含有する細菌(SYN-PKU304)をA600が0.25になるまで増殖させ、その後細菌発酵槽を窒素で4時間パージすることによって嫌気的に誘導した。細菌を遠心分離して、洗浄して、炭酸水素緩衝液に5×109細胞/mLの密度で再懸濁してから-80℃で凍結した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、-6日から-3日)開始して、マウスをフェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウスを治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、H2O200μL(n=12)、SYN-PKU901 200μL(n=33)またはSYN-PKU304 100μL、200μLもしくは400μL(各投与群についてn=12)をマウスに強制経口投与によって投与した。フェニルアラニン投与2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定した。
図30は、フェニルアラニン注射後の基準濃度に対するフェニルアラニン血中濃度を示す。これらのデータは、フェニルアラニンの皮下注射後の、SYN-PKU304治療したマウスの血中フェニルアラニンレベルのモック治療(H2O)または親株(SYN-PKU901)の投与と比較した用量依存的減少を示している(*30%減少;p<0.05)。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
in vivoおよびin vitroにおけるフェニルアラニン活性の相関を比較す
るために、SYN-PKU304(PAL3を発現する低コピープラスミドを含有し、LacZ座にPfnrS-phePの染色体挿入を有する)をSYN-PKU901(in
vivoにおいてストレプトマイシン耐性を有する対照Nissle株)と比較した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、-6日から-3日)開始して、ホモ接合体BTBR-Pahenu2マウス(約6~12週齢)を、フェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウスを治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、細菌をマウスに強制経口投与によって投与した。
細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、4e10cfu/mLで、炭酸水素1Mに9:1に混合した。各マウスに全部で800μL、または2.9e10cfu/マウスを強制経口投与した。
フェニルアラニン曝露2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定し、1時間当たりのフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図32に示す。測定した総代謝活性は81.2μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低下は全体で45%(P<0.05)であった。これら同じ細胞のin vitro活性は2.8μmol/時間/1e9細胞を示した。
さらに、様々な代謝物を測定して、2次代謝物が遺伝子操作された細菌のフェニルアラニン消費の速度を評価するための追加的パラメータとして使用できるかどうかを判定した。PAH活性がPKUで低減する場合、蓄積したフェニルアラニンはPKU特異的代謝物フェニルピルビン酸に変換され、さらにフェニル乳酸に変換され得る。遺伝子操作された細菌の存在下で、フェニルアラニンはPALによってPAL特異的代謝物トランス-ケイ皮酸に変換され、次に肝酵素によって馬尿酸にさらに変換され得る(図32)。血液試料のフェニルピルビン酸、フェニル酢酸、トランス-ケイ皮酸および馬尿酸を実施例24~26に記載したように分析した。結果を図32C、32D、32Eおよび32Fに示したところ、これらは図32Aおよび32Bに示したフェニルアラニン分解と一致する。SYN-PKU304については、PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらにSYN-PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解はPKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示唆している。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
SYN-PKU517(PALの2染色体挿入(2×fnrS-PAL(malEK、malPT))およびpheP染色体挿入(fnrS-pheP(lacZ))、thyA栄養要求性(kan/cm)を含む)をSYN-PKU901と比較した。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与した。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、4e10cfu/mLを炭酸水素1Mに9:1に混合した。各マウスに
全部で800μL、または3.6e10cfu/マウスを強制経口投与した。
前述のように、血液試料を収集し、基準と比較したフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図33Aおよび33Bに示す。測定した総代謝活性は39.6μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低減は全体で17%(P<0.05)であった。これらの同じ細胞のin vitro活性は1.1μmol/時間/1e9細胞を示した。
フェニルアラニンおよびPKUおよびPAL代謝物の絶対レベルを図33C、33D、33Eおよび33Fに示したところ、図33Aおよび33Bに示したフェニルアラニン分解と一致する。SYN-PKU517については、PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらに、SYN-PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解は、PKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示している。
いくつかの実施形態では、尿を予定された時点で収集し、フェニルアラニンレベルならびにPALおよびPKU代謝物のレベルを分析する。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
SYN-PKU705(PALの3染色体挿入(3×fnrS-PAL(malEK、malPT、yicS/nepl))およびphePの2染色体挿入(2×fnrS-pheP(lacZ、agal/rsml))およびLAAD(内在性アラビノースオペロン内に組み込まれたParaBADプロモーターによって駆動される)を含む)をSYN-PKU901と比較した。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与した。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、5e10cfu/mLを炭酸水素1Mで9:1に混合した。各マウスに全部で800μL、または3.6e10cfu/マウスを強制経口投与した。注意:この株はLAAD遺伝子を含有するが、この試験では誘導されなかった。
前述のように、血液試料を収集し、基準と比較したフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図34Aに示す。測定した総代謝活性は133.2μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低減は全体で30%(P<0.05)であった。これらの同じ細胞のin vitro活性は3.7μmol/時間/1e9細胞を示した。
フェニルアラニンおよびPKUおよびPAL代謝物の絶対レベルを図34C、34D、34Eおよび34Fに示したところ、図34Aおよび34Bに示したフェニルアラニン分解と一致した。PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらに、SYN-PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解は、PKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示している。測定した総代謝活性は、PAL3プラスミドをベースにした株SYN-PKU304の測定した総代謝活性よりも大きく、フェニルアラニンの全体の低減はSYN-PKU304に近づいた(45%と比較して30%)。
いくつかの実施形態では、尿は予定の時点で収集し、フェニルアラニンレベルならびにPALおよびPKU代謝物のレベルを分析する。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)LAAD
遺伝子操作された細菌によるフェニルアラニン分解に対するP.プロテウスLAADの適合性をさらにin vivoで評価する。細菌株SYN-PKU401(Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを含む高コピープラスミドを含む)をSYN-PKU901と比較する。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与する。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後ATCを添加して細胞をさらに2時間増殖させる。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、保存するために凍結する。細胞を氷上で解凍し、再懸濁する。細胞を炭酸水素1Mで9:1に混合する。各マウスに全量800μLを4回で、または全量で2×109から1×1010の範囲の細菌を強制経口投与する。血液試料を前記の実施例で記載したマウスから収集し、フェニルアラニン、フェニルピルビン酸、フェニル酢酸、トランス-ケイ皮酸および馬尿酸レベルを分析する。フェニルアラニンおよび総代謝活性の低減量全体を計算する。
組換え大腸菌におけるフェニルアラニン分解に対するpHの影響
SYN-PKU304およびSYN-PKU302におけるフェニルアラニン分解速度が低pHによって影響を受けるかどうかを判定するために、両株の一晩培養物をLBで1:100に希釈し、震盪しながら(250rpm)37℃で増殖させた。増殖1.5時間後に、ATC(100ng/mL)をSYN-PKU302およびSYN-PKU304の培養物に添加し、Coy嫌気性チャンバー(90%N2、5%CO2および5%H2を供給した)に入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄し、アッセイ緩衝液(0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびPhe4mMを含むM9最少培地)に再懸濁し、濃度を5e9細胞/mLにした。アッセイ緩衝液は、HCl1Mを使用してpHの値を7.25~2.25の範囲で徐々に低下させて調製した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、各細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出した。図39に示したように、フェニルアラニン分解速度は、両株SYN-PKU302(図39A)およびSYN-PKU304(図39B)におけるアッセイ緩衝液のpHが低下するにつれて減少した。
ジペプチドおよびトリペプチドの分解
SYN-PKU304およびSYN-PKU705の一晩培養した株を1:100に希釈し、対数初期まで増殖させてから、PALおよびphePを誘導するために嫌気的条件に転換した。SYN-PKU705の1培養物はまた、アラビノースで誘導してLAADタンパク質を誘導した。本試験の焦点は、ジおよびトリペプチドの形状に隔離したとき、PKU株がPheを分解することができるかどうかを判定することであった。株を誘導した後、細胞を遠心分離し、M9最少培地、0.5%グルコース、MOPS50mMおよびPheまたはPheを含有する、ジもしくはトリペプチド50mMを含有するアッセイ緩衝液に再懸濁した。上清試料を20分毎に全部で80分間にわたって取り出し、上清をUV-Vis分光光度計で分析して、290nmの吸光度(トランス-ケイ皮酸の吸収ピーク)を測定した。結果を表43に示すが、PKU株はジおよびトリペプチドの形状であってもPheを迅速に分解することができることが示された。
染色体挿入を使用した細菌株の遺伝子操作
phePおよび/またはPAL3遺伝子を大腸菌NissletゲノムのFNR応答性プロモーターの制御下に直接組み込んだ細菌株を構築した。以下に記載した方法は、染色体挿入を含む遺伝子操作された細菌株(例えば、SYN-PKU902および/または表14に挙げた組み込み株のいずれか)のために使用することができる。
SYN-PKU902株(lacZ::PfnrS-PAL3-pheP)は、lacZ座に組み込まれたPAL3の1個のコピーおよびphePの1個のコピーを含有し、両遺伝子は単一のfnrSプロモーターに作動可能に連結し、バイシストロニックメッセージで同時転写される(図41)。表21は、PAL3およびpheP遺伝子がFNRプロモーターの1例の制御下で同時転写される構築物の1例の配列を示し(配列番号31)、FNRプロモーター配列は太字で、PAL3配列は四角で囲い、pheP配列には下線を引き、リボソーム結合部位は網掛けで強調してある。
PfnrS-PAL3-PheP配列を染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを使用して、Nissle lacZ座に相同なDNAの1000bp配列をノックインノックアウト(KIKO)プラスミドのフリッパーゼ再結合標的(FRT)部位に隣接したクロラムフェニコール耐性(cmR)カセットの両側に付加した。次に、ギブソンアッセンブリを使用して、FRT-cmR-FRT部位近傍の、これらの相同腕の間のPfnrS-PAL3-pheP DNA配列をクローニングした。断片挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、lacZ::FRT-cmR-FRT::PfnrS-PAL3-pheP::lacZ領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子をコードする温度感受性プラスミドを含有するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。37℃で増殖させることによって、温度感受性プラスミドをキュアリングした。断片の染色体組み込みが成功した形質転換体をクロラムフェニコール20μg/mLで選択した。
SYN-PKU501株(malPT::PfnrS-PAL3、lacZ::PfnrS-pheP)は、malP/T座に組み込まれたPAL3の1個のコピーおよびlacZ座に組み込まれたphePの1個のコピーを含有し、両遺伝子は別々のfnrSプロモーターに作動可能に連結している(表28;配列番号38参照)。SYN-PKU502株(malPT::PfnrS-PAL3、lacZ::PfnrS-PAL3-pheP)は、malP/T座にfnrSプロモーターの制御下に組み込まれたPAL3の1
個のコピー(表28;配列番号38参照)、ならびにlacZ座に組み込まれたPAL3-pheP構築物を含有し、lacZ座の両遺伝子は単一のfnrSプロモーターに作動可能に連結しており、バイシストロニックメッセージで同時転写される(表21;配列番号31参照)。
PfnrS-PAL3配列(配列番号38)をSYN-PKU501およびSYN-PKU502の大腸菌Nissle染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを使用してDNA相同体の1000bp配列をKIKOプラスミドのFRTに隣接したカナマイシン耐性(knR)カセットの両側のNissle malPおよびmalT座に付加した。次に、ギブソンアッセンブリを使用して、FRT-knR-FRT部位近傍の、これらの相同腕の間のPfnrS-PAL3 DNA配列をクローニングした。断片挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、malP::FRT-knR-FRT::PfnrS-PAL3::malT領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、lacZ座にPfnrS-phePまたはバイシストロニックPfnrS-PAL3-phePを既に含有し、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子を発現するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。断片の組み込みが成功した形質転換体をカナマイシン50μg/mLで選択した。これらの同じ方法を使用して、PfnrS-PAL3配列(配列番号38)をSYN-PKU506およびSYN-PKU507のmalE/K挿入部位に組み込むことができるベクターを作製した。
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをベースにしたスイッチは、PAL3発現の活性化に使用することができる。SYN-PKU601株(malPT::PfnrS-Int5、rrnBUP-PAL3;lacZ::PfnrS-pheP)は、mal/T座に組み込まれた、PfnrSプロモーターに作動可能に連結したInt5リコンビナーゼならびに強力な構成的プロモーターの制御下にPAL3の1個のコピーを含有する(図42)。表45は、PfnrS-Int5の1例、rrnBUP-PAL3構築物の配列(配列番号42)を示しており、PfnrS、Int5およびPAL3の方向は逆向きである。Int5配列は太字で、PfnrS配列は四角で囲い、PAL3配列には下線を引き、リコンビナーゼ部位は下線を引いた太字である。リボソーム結合部位は網掛けで強調し、rrnBUP構成的プロモーター配列は波線で囲ってある。いかなる強力なプロモーターも使用することができるが、PAL3の高発現をもたらすためにUPエレメント含有大腸菌rrnBUPプロモーターを選択した(Estrem等、1998年)。SYN-PKU601はまた、lacZ座に組み込まれたphePの1個のコピーを含有する。
SYN-PKU601株を構築するために、PfnrS駆動Int5遺伝子およびrrnBUP駆動リコンビナーゼに隣接したPAL3遺伝子配列をGenewiz(Cambridge、MA)によって合成した。ギブソンアッセンブリを使用してDNA相同体の1000bp配列をPfnrS-Int5の両側、rrnBUP-PAL3 DNA配列の両側のNissle malPおよびmalT座に付加し、相同腕の間のこの配列をクローニングした。断片のKIKOプラスミドへの挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、PfnrS-Int5、rrnBUP-PAL3領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、lacZ座にPfnrS-phePを既に含有し、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子を発現するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。PfnrS-PAL3断片のmalPT遺伝子間領域への組み込みが成功した形質転換体をカナマイシン50μg/mLで選択した。この戦略はまた、PAL3発現にT7ポリメラーゼ活性を必要とするリコンビナーゼをベースにした株を構築するために使用することができる(図43)。表46は、PfnrS-Int5、rrnBUP-T7構築物の1例の配列(配列番号43)を示しており、PfnrS、Int5およびT7ポリメラーゼ遺伝子の方向は
逆向きである。Int5配列は太字で、PfnrS配列は四角で囲い、T7ポリメラーゼ配列には下線を引いて、リコンビナーゼ部位は下線を引いた太字である。リボソーム結合部位は網掛けで強調し、rrnBUP構成的プロモーター配列は波線で囲ってある。表44は、PT7-PAL3構築物の1例の配列を示しており、PT7配列は網掛けで強調し、リボソーム結合部位には下線を引き、PAL3配列は太字である。
PARA-Int5構築物、PT7-PAL3構築物およびPLac-T7ポリメラーゼ構築物を含むSYN-PKU602株を構築するために(図44)、ギブソンアッセンブリは本質的に前述したように使用した。
表48は、Ara座に組み込むためのPARA-Int5構築物の1例の配列(配列番号45)を示す。Int5配列は太字で、TSSおよびRBS部位を含有するPara配列には下線を引いて、AraC配列はイタリック体である。
DeltaThyAの生成
栄養要求突然変異は、必須栄養素を産生するための必要な遺伝子(複数可)が欠如していることにより生存または増殖に必須の栄養素の外部からの添加がない場合、細菌の死滅を引き起こす。栄養要求性が改変した遺伝子操作された細菌を生成するために、オリゴヌクレオチド合成に必須の遺伝子、thyAを欠失させた。大腸菌NissleにおけるthyA遺伝子の欠失は、チミジンを補給しなければLBプレートでコロニーを形成することができない株を生じる。
thyA::camPCR断片は、以下のようにPCRを3回使用して増幅した。100μmの濃度で使用したプライマーの配列を表49に示す。
1回目のPCRでは、鋳型としてpKD3 1ng、2×phusion 25μL、プライマーSR36およびSR38 0.2μLおよびDMSOを0、0.2、0.4もしくは0.6μL含有するPCR反応物4×50μLを、ヌクレアーゼを含まない水で50μLの体積にして、以下のサイクル条件下で増幅した。
ステップ1:98℃30秒
ステップ2:98℃10秒
ステップ3:55℃15秒
ステップ4:72℃20秒
ステップ2~4を30回反復
ステップ5:72℃5分
その後、各PCR反応物5μLをアガロースゲルで泳動し、適切な大きさのPCR産物を確認した。PCR産物は、ZymocleanゲルDNA回収キットを使用して製造者の指示に従い残存するPCR反応物から精製し、ヌクレアーゼを含まない水30μLで溶出した。
2回目のPCRでは、1回目から精製したPCR産物1μLを、プライマーSR33およびSR34 0.2μL以外は前述した通りのPCR反応物4×50μLにおいて鋳型として使用した。サイクル条件は、1回目のPCR反応で前述したものと同じであった。PCR産物をアガロースゲルで泳動して増幅を確認し、精製して、前述のように30μLで溶出した。
3回目のPCRでは、2回目から精製したPCR産物1μLをプライマーSR43およびSR44以外は前述した通りのPCR反応物4×50μLにおいて鋳型として使用した。サイクル条件は、1回目および2回目で記載したものと同じであった。増幅を確認し、PCR産物を精製し、前述のように溶出した。濃度および純度は、分光光度計を使用して測定した。得られた直鎖DNA断片は、thyAの上流に相同な92bp、frt部位に隣接したクロラムフェニコールカセットおよびthyA遺伝子の下流に相同な98bpを含有し、組換え用に増殖させたpKD46を含有する大腸菌Nissle1917株に形質転換した。エレクトロポレーション後、チミジン3mMを含有するSOC培地1mlを添加し、細胞を震盪しながら37℃で2時間回復させた。その後、細胞を10000×gで1分間ペレットにして、上清を廃棄し、細胞ペレットはチミジン3mMを含有するLB100μLに再懸濁し、thy3mMおよびクロラムフェニコール20μg/mlを含有するLB寒天プレートに広げた。細胞を37℃で一晩インキュベートした。LBプレートに出現したコロニーを再度画線した。+cam20μg/ml+または-thy3mM。(thyA栄養要求株は、thy3mMを補給した培地でのみ増殖する)。
次に、抗生物質耐性をpCP20形質転換で除去した。pCP20は酵母Flpリコンビナーゼ遺伝子、FLP、クロラムフェニコールおよびアンピシリン耐性遺伝子、ならびに温度感受性複製を有する。選択した抗生物質を含有するLB培地で細菌を37℃でOD600=0.4~0.6になるまで増殖させた。細胞1mLを以下の通りに洗浄した:細胞を16000×gで1分間ペレットにした。上清を廃棄し、ペレットを氷冷10%グリセロール1mLに再懸濁した。この洗浄ステップは3回反復した。最終的なペレットを氷冷10%グリセロール70μLに再懸濁した。次に、細胞をpCP20プラスミドDNA
1ngでエレクトロポレートし、チミジン3mMを補給したSOC1mLをすぐにキュベットに添加した。細胞を再懸濁し、培養試験管に移して、30℃で1時間増殖させた。その後、細胞を10000×gで1分間ペレットにして、上清を廃棄し、細胞ペレットはチミジン3mMを含有するLB100μLに再懸濁し、thy3mMおよびカルベニシリン100μg/mlを含有するLB寒天プレートに広げ、30℃で16~24時間増殖させた。次に、形質転換体を非選択的に(抗生物質無しで)42℃でコロニー精製した。
コロニー精製した形質転換体を試験するために、コロニーをピペットチップで42℃プレートから採取し、LB10μLに再懸濁した。細胞懸濁液3μLをピペットで一連の3枚のプレート、Cam(37℃;宿主株のゲノムにおけるCamR遺伝子の有無の試験)、Amp(30℃、pCP20プラスミドにおけるAmpRの有無の試験)およびLBのみ(クロラムフェニコールカセットおよびpCP20プラスミドを欠如した所望する細胞)に37℃で移した。CamでもAmpプレートでも増殖しない場合、コロニーはキュアリングしたと考えられ、コロニーを採取し、LBプレートに再度画線して単一のコロニーを得て、37℃で一晩増殖させた。
フェニルアラニンの定量(ダンシルクロリド誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のフェニルアラニンレベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、ダンシルクロリド誘導体化プロトコールを以下のように使用し
た。
試料調製
フェニルアラニン標準物(1000、500、250、100、20、4および0.8μg/mL水溶液)を調製した。氷上で、試料10μLをV底ポリプロピレン96ウェルプレートにピペットで入れ、L-フェニル-d5-アラニン内部標準物1μg/mLを含む60%アセトニトリル190μLを添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、希釈した試料5μLをV底96ウェルポリプロピレンプレート内の誘導体化混合物(NaHCO3 10mM pH9.7 85μLおよびダンシルクロリド10mg/mL(アセトニトリルで希釈)10μL)95μLmに添加しプレートを密封加熱してよく混合した。誘導体化するために試料を60℃で45分間インキュベートし、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、誘導体化した試料20μLを丸底96ウェルプレート内の0.1%ギ酸を含む水180μLに添加し、プレートを密封加熱してよく混合した。
LC-MS/MS法
フェニルアラニンは、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表50および表51に記載する。タンデム質量分析の詳細は表52に記載する。
トランス-ケイ皮酸の定量(トリフルオロエチルアミン誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のトランス-ケイ皮酸レベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、トリフルオロエチルアミン誘導体化プロトコールを以下のように使用した。
試料調製
トランス-ケイ皮酸標準物(500、250、100、20、4および0.8μg/mL水溶液)を調製した。氷上で、試料10μLをピペットでV底ポリプロピレン96ウェルプレートに入れた。次に、トランス-ケイ皮酸-d7内部標準物2μg/mLを含む80%アセトニトリル30μLを添加し、プレートを密封加熱してよく混合し、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、希釈した試料20μLを丸底96ウェルポリプロピレンプレート内のMES10mM pH4、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド(EDC)20mM、トリフルオロエチルアミン20mM 180μLに添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、試料を室温で1時間インキュベートした。
LC-MS/MS法
トランス-ケイ皮酸は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表53および表54に記載する。タンデム質量分析詳細を表55に記載する。
フェニルアラニン、トランス-ケイ皮酸、フェニル酢酸、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、馬尿酸および安息香酸の定量(2-ヒドラジノキノリン誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のフェニルアラニン、トランス-ケイ皮酸、フェニル酢酸、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、馬尿酸および安息香酸レベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、2-ヒドラジノキノリン誘導体化プロトコールを以下のように使用した。
試料調製
水に各標準物250、100、20、4、0.8、0.16および0.032μg/mLを含有する標準溶液を調製した。氷上で、試料10μLをピペットでV底ポリプロピレン96ウェルプレートに移し、L-フェニル-d5-アラニン1μg/mL、馬尿酸-d5 1μg/mLおよびトランス-ケイ皮酸-d7内部標準物0.25μg/mLを含むアセトニトリルに、2-ヒドラジノキノリン(2-HQ)、ジピリジルジスルフィドおよびトリフェニルホスフィン50mMを含有する誘導体化溶液90μLを添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、誘導体化のために試料を60℃で1時間インキュベートし、その後4000rpmで5分間遠心分離した。丸底96ウェルプレート内で、誘導体化試料20μLを、0.1%ギ酸を含む水180μLに添加した。プレートを密封加熱してよく混合した。
LC-MS/MS法
2-HQによって誘導体化された代謝物は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表56および表57に記載する。タンデム質量分析の詳細を表58に記載する。
染色体挿入およびプラスミドを保有する株の相対的な有効性
染色体挿入を有する遺伝子操作された細菌株とプラスミドを保有する遺伝子操作された細菌株との間のフェニルアラニン分解速度を比較するために、一晩培養物をLBで1:100に希釈し、震盪しながら(250rpm)37℃で増殖させた。増殖1.5時間後に、培養物を90%N2、5%CO2、5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄し、アッセイ緩衝液(0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびPhe4mMを含むM9最少培地)に再懸濁した。30分から90分のフェニルアラニン分解速度(すなわち、アッセイ溶液の消失)またはケイ皮酸塩蓄積を1e9細胞に正規化した。表59は、全株の正規化した速度を示し、遺伝子操作されたプラスミドを保有する株および染色体挿入を含む遺伝子操作された株の非限定的例の遺伝子型および活性について記載している。
改善されたPhe消費のスクリーニング
遺伝子選択を使用するスクリーニングは、遺伝子操作された細菌におけるフェニルアラニン消費を改善するために実行する。毒性のあるフェニルアラニン類似体は、細胞タンパク質に組み込まれることによって作用機構(MOA)を発揮し、細胞死をもたらす。これらの化合物は、活性が増加したPAL酵素を選択するための非標的アプローチへの有用性を評価した。これらの毒性化合物は、細胞タンパク質に取り込まれるよりもPALによって非毒性代謝物に代謝され得ると仮定すると、フェニルアラニン分解活性が改善した遺伝子操作された細菌は、高レベルのこれらの化合物に耐性があり、これをベースにしてスクリーニングし、選択することができる。
様々な遺伝子操作された細菌株ならびに対照Nissleを2つの類似体、p-フルオロ-DL-最小のフェニルアラニン(p-fluoro-DL-minimum phenylalanine)およびo-フルオロ-DL-フェニルアラニン(図35)の漸増濃度で処置した。最小阻止濃度(MIC)を判定し、野生型Nissleに対する変化倍率を判定した。結果を表60に示す。
これらの結果は、パラ類似体はphePによって容易に取り込まれるものと考えられ、PALの基質となる可能性があり、オルソログはphePによって容易に取り込まれるものと考えられ、PALの基質となる可能性があることを示している。結果として、これらの化合物は活性の大きなPAL酵素をスクリーニングするために有用である。
カニクイザルにおいて毎日28日間にわたって経鼻胃管投与した後の、遺伝子操作された細菌の反復投与の薬物動態および薬力学的試験(非GLP)
遺伝子操作された細菌または大腸菌Nissleの単独投与によって生じるいかなる潜在的毒性も評価するために、雌カニクイザルに毎日28日間にわたって経鼻胃管(NG)投与した後に遺伝子操作された細菌および大腸菌Nissleの薬物動態および薬力学を試験する。カニクイザルを選択するのは、この種が系統学的にも生理学的にもヒトに密接に関係していて、非臨床毒性試験のために通常使用される種であるからである。遺伝子操作された細菌は、ヒトにおいて推奨される投与経路と同じ経鼻胃管投与によって投与する。動物の全体的な健康状態(臨床的所見)、体重、臨床病理(血清化学、血液学および血液凝固)を追跡する。血漿のアンモニアレベルを分析し、糞便試料の細菌負荷を調べる。
遺伝子操作された株は、染色体に組み込まれたPAL3の1つまたは複数のコピーおよび染色体に組み込まれたPhePの1つまたは複数のコピーを含み、それぞれFNRSプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株はまた、アラビノース誘導性プロモーター、例えば、ParaBADによって駆動されるLAADの1つまたは複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、これらの株はさらに、栄養要求性変異、例えば、deltaThyAを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はさらに、抗生物質耐性、例えばカナマイシン耐性を含む。いくつかの実施形態で
は、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性変異を含まない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性を含まない。
材料、動物および投与計画
試験は、米国食品医薬品局によって発行された医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準(連邦行政規則集の21巻、第58章;1979年6月20日施行)および医薬品の安全性試験の実施基準のOECD原則(C[97]186/最終;1997年施行)を遵守して実施する。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(米国学術研究会議、2011年)に記載された推奨に基づいて個々に収容する。
試験に使用した動物は、3~8歳(最初の身体検査時)の3~6kg(最初の身体検査時)の実験用に生産された非ナイーブ雌カニクイザル(Macaca fascicularis)(SNBL USA飼育、カンボジア産)である。
試験期間中、動物にはPMI LabDiet(登録商標)Fiber-Plus(登録商標)サル用食餌5049ビスケットを1日2回与えた。動物は、投薬前に少なくとも2時間、および投薬後1時間以内は絶食させた。動物はまた、必要な場合は特定の手順で絶食させた(例えば、血清化学用の採血の前、糞便収集前)。食餌は汚染物質を定期的に分析し、製造者の指示範囲内であることを確認する。試験の成績を妨害するレベルでは汚染物質は存在しないと予想される。食品分析記録は、試験施設の記録に保持される。
動物には全て、新鮮な飲用水を自由に与える。水は定期的に汚染物質を分析する。試験の成績を妨害するレベルでは汚染物質は存在しない。動物には、試験期間を通じて果実、野菜、その他の栄養補助食品およびケージエンリッチメント装置を与える。
以前に隔離した動物は、投与開始(1日目)前に7日間試験室に馴化させる。最後の投薬は28日目に行う。動物を試験群に割り当てるために、体重を組み込んだ層別ランダム化方式を使用する。表61に示したように動物を群に割り当てて処置する。
Nissle対照および遺伝子操作された細菌の保存物は、2.2%グルコースおよびチミジン3mMを含む1×PBSに溶かした15%グリセロール溶液で1×109cfu/mLおよび1×1011cfu/mLに調製し、86から-60℃で維持する(表61参照)。炭酸水素ナトリウムを含む20%グリセロールで作製したPBSを対照媒体として使用する。炭酸塩濃度は0.36Mで、炭酸水素ナトリウムとしては0.12Mである(表XXX参照)。各投与日に、細菌および媒体対照を冷凍庫から取り出し、氷上に置き、解凍して、投与するまで氷上に置く。
動物に0.1×109または1×1012cfu/動物で投与する。動物には全て経鼻胃管投与(NG)によって投与し、その後対照/媒体を1日1回28日間にわたってフラッシュする。各群の炭酸水素塩の濃度および体積は表YYYに明記する。バイアルは、シリンジで用量を抜き取る前に、少なくとも3回反転させる。投与部位および投与時間(フラッシュの終了時間)を記録する。
分析
全体条件:臨床的観察は、各動物について馴化の2日目に開始して1日2回実施する。最初の観察は午前中、居室清掃前である。2回目の観察は、AM観察の4時間後以降である。投与期間中、2回目の観察は用量投与の4時間後(±10分)に実施する。必要ならば、さらに臨床的観察を実施する。
体重:各動物の体重を最初の給餌の6日前、1、8、15、22および29日目ならびに用量投与前にも測定する。必要ならば、随時体重測定をさらに行う。
血液収集:血液は、拘束した、意識下にある動物の末梢静脈から収集する。可能なときはいつでも血液は1回の採血で収集し、その後適切に分割する。検体収集頻度を表62にまとめて示す。
血液学:血液約1.3mLを2mL K2EDTA試験管に入れてAdvia自動分析装置を用いて調べる。測定するパラメータは、白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球分布幅、血小板、平均血小板容積、白血球百分率(絶対値):好中球絶対数、リンパ球絶対数、単核球絶対数、好酸球絶対数、好塩基球絶対数、網状赤血球パーセントおよび網状赤血球絶対数である。
血液凝固:血液約1.3mLを1.8mL 3.2%クエン酸ナトリウム試験管に入れて調べる。以下の血液凝固パラメータ:活性化部分トロンボプラスチン時間、フィブリノーゲンおよびプロトロンビン時間は、STACompact自動分析器を使用して判定する。クエン酸ナトリウム処理した血漿は、分析前に-60から-86℃で保存し、分析後廃棄する。
血清化学:動物は、試料を取り出す前に4時間絶食させる。以下のパラメータ:アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン量、カルシウム、総コレステロール、クレアチニンキナーゼ、クレアチニン、グルコース、無機リン、総タンパク質量、トリグリセリド、ナトリウム、カリウム、グロブリン塩化物、アルブミン/グロブリン比、血中尿素窒素およびガンマグルタミルトランスフェラーゼは、4mL血清分離器試験管内で血液約1mL
を用いてAU680分析器を使用して試験する。
残存した血清は-60から-86℃で保存し、試験終了前に廃棄する。
血漿試料:動物は、試料を取り出す前に4時間絶食させる。血液試料は、表YYYに挙げた目標とする時点に大腿静脈から収集する。血液チューブに目標とする量の血液を分取した後、鉱物油約0.05mLを添加して血液表面を覆う。試験管を反転させずに、氷冷ラックに置く。血液試料収集日および時間を記録した。血液試料の最小量は、2mlヘパリンリチウム試験管に収集した1mlである。収集して15分以内に、試料を2から8℃で遠心分離して、血漿を得る。血漿をバイアルに移し、-60から-86℃で保存する。検体は分析する前にドライアイス上で保存する。検体の分析は、血液アンモニア分析器を使用して実行する。
フェニルアラニン、トランス-ケイ皮酸、および馬尿酸は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定する。
糞便試料収集:表YYYに挙げた目標とする時点で動物当たり2つの糞便試料を収集する。試料収集日および時間を記録する。PBS約5mLを含む50mLファルコンチューブを容器として使用する(糞便が液体の場合、PBSは添加しない)。糞便試料の重さを測定するために、検体採取前後の容器の重さを調べる。試料は、各動物のケージの底から収集する。新鮮で汚染されていない試料を得るために、残存する食品は除去し、収集前に残渣および/または水を除去するためにケージ受け皿を清掃して拭く。試料は収集直後に氷上に置く。試料は、分析するまで-20から-15℃で保存する。検体分析は、PCR分析法を使用して実行する。
4週間回復させたカニクイザルにおける4週間毒性試験(GLP)
遺伝子操作された細菌の投与によって生じるいかなる潜在的毒性も評価するために、遺伝子操作された細菌を雌カニクイザルにGLP条件下で毎日28日間にわたって経鼻胃管(NG)投与した後に薬物動態および薬力学を試験する。
遺伝子操作された株は、染色体に組み込まれたPAL3の1つまたは複数のコピーおよび染色体に組み込まれたPhePの1つまたは複数のコピーを含み、それぞれFNRSプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株はまた、アラビノース誘導性プロモーター、例えば、ParaBADによって駆動されるLAADの1つまたは複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、これらの株はさらに、栄養要求性変異、例えば、deltaThyAを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はさらに、抗生物質耐性、例えばカナマイシン耐性を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性変異を含まない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性を含まない。
試験は、米国食品医薬品局によって発行された医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(連邦行政規則集の21巻、第58章;1979年6月20日施行)および医薬品の安全性試験の実施基準のOECD原則(C[97]186/最終;1997年施行)を遵守して実施する。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(米国学術研究会議、2011年)に記載された推奨に基づいて個々に収容する。
材料は全てGMP基準で製造すること以外は本質的に実施例29に記載したように、動物に対して遺伝子操作された細菌または対照媒体を投与する。投与は、表63にまとめて
示す。さらに、動物は14日間馴化し、投与期間は毎日28日間で、その後28日間休薬する。さらに、動物は組織学的分析を実施するために試験終了時に安楽死させる。
試験分析は、表64に記載したように実施する。血液学、血液凝固、血清化学および血漿試料パラメータは、本質的に実施例30に記載した通りで、実施例30で記載した方法を使用して分析する。糞便試料の収集および分析は、本質的に実施例30に記載した通りである。
PME分泌用にHlyAタグを有する遺伝子操作された細菌
PME分泌用の構築物は、表65に示したように作製した。その後、この配列に、例え
ば、HISタグをC末端分泌配列の前に挿入してタグ付けする。大腸菌は低コピープラスミドの構築物で形質転換する。分泌したPMEは、アフィニティークロマトグラフィー(Hisタグ)を使用して培地から単離する。PME分子量は、ウェスタンブロットによって確認する。精製した酵素の活性は、フェニルアラニン含有緩衝液中でin vitroアッセイで試験する。代謝物は、実施例24~26で記載したように経時的に測定する。
さらに構築物を含む遺伝子操作された細菌
PME分泌用の構築物は、表66に示したように作製した。