JP7586070B2 - 電極膜用スラリー組成物の製造方法、電極膜の製造方法、電池用電極の製造方法、及び非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1~5では、分散剤の種類を特定することで導電材分散液の初期の分散性を改善することが検討されているが、導電材分散液に活物質及びバインダー樹脂を添加して合材スラリーを作製する段階にいおいて、カーボンナノチューブの分散性及び安定性が低下する現象まで十分に検討されていない。
<1>カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、及びアミド系有機溶媒(C)を含むカーボンナノチューブ分散液と、活物質(D)、分子量10,000未満である低分子酸性化合物(E)、フッ素系重合体(F)、及びアミド系有機溶媒(C’)を含む電極膜用スラリー前駆体とをそれぞれ用意すること、及び前記カーボンナノチューブ分散液と前記電極膜用スラリー前駆体とを混合することを含む、電極膜用スラリー組成物の製造方法。
<3>前記ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)は、重量平均分子量が5,000以上500,000以下である、上記<1>又は<2>に記載の電極膜用スラリー組成物の製造方法。
<4>前記カーボンナノチューブ分散液において、カーボンナノチューブ濃度x(質量%)と、動的粘弾性測定によるカーボンナノチューブ分散液の25℃及び周波数1Hzでの複素弾性率y(Pa)とが、下記式(1)、式(2)、及び式(3)の関係を満足する、上記<1>から<3>のいずれか1項に記載の電極膜用スラリー組成物の製造方法。
y<17x (1)
y<120 (2)
0.1≦x≦10 (3)
<6>上記<1>から<4>のいずれか1項に記載の製造方法によって電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び前記電極膜用スラリー組成物を用いて集電体に電極膜を作製することを含む、電池用電極の製造方法。
<7>負極、正極及び電解質を含む非水電解質二次電池を製造する方法であって、前記負極及び前記正極のいずれか一方の電極を作製する工程は、上記<1>から<4>のいずれか1項に記載の製造方法によって電極膜用スラリー組成物を作製すること、前記電極膜用スラリー組成物を用いて集電体に電極膜を作製することを含む、非水電解質二次電池の製造方法。
本実施形態の電極膜用スラリー組成物の製造方法は、カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、及びアミド系有機溶媒(C)を含むカーボンナノチューブ分散液と、電極活物質(D)、分子量が10,000未満である低分子酸性化合物(E)、フッ素系重合体(F)、及びアミド系有機溶媒(C’)を含む電極膜用スラリー前駆体とをそれぞれ用意すること、及びカーボンナノチューブ分散液と電極膜用スラリー前駆体とを混合することを含むことを特徴とする。
カーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、及びアミド系有機溶媒(C)を含むものである。
重合体(B)は、ニトリル基含有構造単位を含むため、優れた柔軟性及び結着力による安定性を発揮することができる。従って、カーボンナノチューブ分散液と電極膜用スラリー前駆体とを混合し、得られた電極膜用スラリー組成物を用いて膜状に形成する電極膜中でも良好な導電ネットワークを維持することができる。
・重合体(B)に含まれる脂肪族炭化水素構造単位、及びニトリル基含有構造単位の合計の含有量が、重合体(B)の質量を基準として80質量%以上100質量%以下である重合体(B)。合計の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
・重合体(B)に含まれる脂肪族炭化水素構造単位、ニトリル基含有構造単位、及びアミド基含有構造単位の合計の含有量が、重合体(B)の質量を基準として80質量%以上100質量%以下である重合体(B)。合計の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
・重合体(B)に含まれる脂肪族炭化水素構造単位、ニトリル基含有構造単位、アミド基含有構造単位、及びカルボキシル基含有構造単位の合計の含有量が、重合体(B)の質量を基準として80質量%以上100質量%以下である重合体(B)。合計の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。
・ニトリル基含有構造単位の含有量が、重合体(B)の質量を基準として15質量%以上50質量%以下であり、重合体の重量平均分子量が、5,000以上500,000以下であり、より好ましくは10,000以上400,000以下である。
・ニトリル基含有構造単位の含有量が、重合体(B)の質量を基準として15質量%以上50質量%以下であり、重合体の重量平均分子量が、5,000以上500,000以下であり、より好ましくは10,000以上400,000以下であり、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が70以下である。
カーボンナノチューブ分散液は上述のpHが9.0以上であることが好ましい。カーボンナノチューブ分散液のpHは、9.0以上14.0以下が好ましく、9.0以上13.0以下がより好ましい。pHが上記範囲を上回ると、電池内での各種原料及び外装材等の腐食、またはバインダーのゲル化といった現象が生じやすくなる。
カーボンナノチューブ分散液において、重合体(B)の含有量は、カーボンナノチューブ分散液の質量を基準として(カーボンナノチューブ分散液の質量を100質量%として)、特に限定されないが、0.01~20質量%が好ましく、0.05~10質量%がより好ましく、0.1~8質量%がさらに好ましい。
カーボンナノチューブ分散液に重合体(B)に加えてその他の分散剤が含まれる場合は、カーボンナノチューブ分散液において、重合体(B)及びその他の分散剤の含有量の合計は、カーボンナノチューブ(A)100質量部に対し、0.1~200質量部が好ましく、0.5~100質量部がより好ましく、1.0~80質量部がさらに好ましい。
カーボンナノチューブ分散液に重合体(B)に加えてその他の分散剤及びその他の高分子化合物が含まれる場合は、カーボンナノチューブ分散液において、高分子化合物の含有量の合計は、カーボンナノチューブ分散液の質量を基準として(カーボンナノチューブ分散液の質量を100質量%として)、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。さらに、カーボンナノチューブ分散液には重合体(B)及びその他の分散剤以外のその他の高分子化合物は実質的に含まれなくてもよい。
カーボンナノチューブ分散液の固形分量は、0.5~30質量%であることが好ましく、1.0~25質量%であることがより好ましく、2.0~20質量%であることがさらに好ましい。
y<17x (1)
y<120 (2)
0.1≦x≦10 (3)
電極膜用スラリー前駆体は、電極活物質(D)、低分子酸性化合物(E)、フッ素系重合体(F)、及びアミド系有機溶媒(C’)を含むものである。
低分子酸性化合物(E)としては、具体的には、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、ソルビン酸等の不飽和カルボン酸;安息香酸、サリチル酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸等のジカルボン酸;無水酢酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物;酒石酸、クエン酸、グリセリン酸等のヒドロキシ酸;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの無機酸及び有機酸は対イオンを有していてもよい。
電極膜用スラリー前駆体において、低分子酸性化合物(E)は、電極膜用スラリー前駆体の質量を基準として(電極膜用スラリー前駆体の質量を100質量%として)、0.005~2.0質量%であることが好ましく、0.01~1.0質量%であることがより好ましく、0.02~0.5質量%であることがさらに好ましい。
電極膜用スラリー前駆体において、フッ素系重合体(F)は、電極膜用スラリー前駆体の質量を基準として(電極膜用スラリー前駆体の質量を100質量%として)、0.1~10質量%であることが好ましく、0.3~8質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることがさらに好ましい。
低分子酸性化合物(E)は、活物質(D)に由来する塩基性の不純物を中和する観点から、活物質(D)100質量部に対し0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~5質量部であることがより好ましく、0.03~1質量部であることがさらに好ましく、0.05~0.5質量部であることが一層好ましい。また、これらの範囲で、電極膜用スラリー前駆体をカーボンナノチューブ分散液と混合する際に、低分子酸性化合物(E)の作用によるカーボンナノチューブの分散性の低下を防止することができる。
低分子酸性化合物(E)は、フッ素系重合体(F)100質量部に対し1.0~30質量部であることが好ましく、2.0~20質量部であることがより好ましく、3.0~10質量部であることがさらに好ましい。
フッ素系重合体(F)は、電極膜用スラリー組成物の構成に応じて調節すればよいが、活物質(D)100質量部に対し0.1~30質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
電極膜用スラリー前駆体の固形分量は、60~95質量%であることが好ましく、65~93質量%であることがより好ましく、70~90質量%であることがさらに好ましい。
なお、電極膜用スラリー前駆体の各成分の含有量及び固形分量は、所望の電極膜用スラリー組成物の各成分の含有量に合わせて適宜調節するとよい。
混合方法としては、従来公知の様々な方法を行うことができる。電極膜用スラリー前駆体の混合では、活物質(D)とフッ素系重合体(F)との固形分を均一に混合するために、例えば、プラネタリーミキサー、自転公転式ミキサー等を用いることができる。プラネタリーミキサーは、自転しながら公転するブレードによって原料が撹拌されることで大きな剪断力によって混合効率を高めることができる。自転公転式ミキサーは、原料が投入される容器を自転しながら公転することで、原料に剪断力及び遠心力を与えて、混合効率を高めることができる。自転公転式ミキサーとしては、例えば、株式会社シンキー製「あわとり練太郎」(商品名)シリーズ等が挙げられる。また、電極膜用スラリー前駆体は上記したカーボンナノチューブ分散液で説明した分散装置を用いて混合してもよい。
電極膜用スラリー組成物は、カーボンナノチューブ分散液と電極膜用スラリー前駆体とを混合して得られるものである。具体的には、電極膜用スラリー組成物は、カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、及びアミド系有機溶媒(C)、並びに、活物質(D)、低分子酸性化合物(E)、フッ素系重合体(F)、及びアミド系有機溶媒(C’)を含むことができる。
電極膜用スラリー組成物において、低分子酸性化合物が後添加されると分散系の安定性が崩れ組成物の増粘又はカーボンナノチューブの凝集を引き起こすことがある。カーボンナノチューブ分散液及び電極膜用スラリー前駆体を予め用意することで、カーボンナノチューブ分散液において重合体(B)によってカーボンナノチューブの分散性を維持しておき、電極膜用スラリー前駆体において低分子酸性化合物とフッ素系重合体と活物質とを混合しておくことで、特に低分子酸性化合物と活物質とを相互作用させておくことで、カーボンナノチューブ分散液と電極膜用スラリー前駆体とを混合した後もカーボンナノチューブの良好な分散性及び安定性を維持することができる。
電極膜用スラリー組成物において、フッ素系重合体(F)の含有量は、活物質100質量部に対し、0.1~30質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
電極膜用スラリー組成物において、低分子酸性化合物(E)の含有量は、活物質の含有量に応じて適宜調節すればよいが、活物質100質量部に対し、0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~5質量部であることがより好ましく、0.03~1質量部であることがさらに好ましく、0.05~0.5質量部であることが一層好ましい。
電極膜用スラリー組成物の固形分量は、電極膜用スラリー組成物の質量を基準として(電極膜用スラリー組成物の質量を100質量%として)、30~90質量%であることが好ましく、30~80質量%であることがより好ましく、40~75質量%であることがさらに好ましい。
電極膜用スラリー組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、濡れ浸透剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、レベリング剤等のその他の任意成分をさらに含んでもよい。また、電極膜用スラリー組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、カーボンナノチューブ以外の導電材、重合体(B)及びフッ素系重合体(F)以外の高分子化合物をさらに含んでもよい。これらの任意成分は、カーボンナノチューブ分散液と電極膜用スラリー前駆体との混合の前にそれぞれの組成物に添加されてもよく、混合処理の間又は混合処理の後等に任意のタイミングで添加されてもよい。なお、カーボンナノチューブ分散液には、電極膜用スラリー前駆体との混合の前において、活物質(D)、低分子酸性化合物(E)、及びフッ素系重合体(F)は添加されないことが好ましい。また、電極膜用スラリー前駆体には、カーボンナノチューブ分散液との混合の前において、カーボンナノチューブ(A)、及びニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)は添加されないことが好ましい。
電極膜の製造方法は、例えば、電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び電極膜用スラリー組成物を用いて電極膜を作製することを含むことができる。電極膜用スラリー組成物を作製する方法は上記した通りである。
電池用電極の製造方法は、例えば、電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び電極膜用スラリー組成物を用いて集電体に電極膜を作製することを含むことができる。電極膜用スラリー組成物を作製する方法は上記した通りである。集電体及び電極膜の詳細については上記した通りである。
非水電解質二次電池の製造方法は、例えば、負極、正極及び電解質を含む非水電解質二次電池を製造する方法であって、負極及び正極のいずれか一方の電極を作製する工程は、電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び電極膜用スラリー組成物を用いて電極基材上に電極膜を作製することを含むことができる。電極膜用スラリー組成物を作製する方法は上記した通りである。集電体及び電極膜の詳細については上記した通りである。
負極としては、例えば、集電体上に負極活物質を含む電極膜用スラリー組成物を塗工し、乾燥させて膜を作製した電極膜を使用することができる。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8320GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを3本直列に繋ぎ、充填剤には順に東ソー株式会社製「TSK-GEL SUPER AW-4000」、「AW-3000」、及び「AW-2500」を用い、オーブン温度40℃、溶離液として30mMトリエチルアミン及び10mM LiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用い、流速0.6mL/minで測定した。測定サンプルは前記溶離液からなる溶剤を用いて1%の濃度となるように濃度を調整し、20マイクロリットル注入した。重量平均分子量はポリスチレン換算値である。
共重合体のムーニー粘度は、それを溶解することができる溶媒を含む共重合体溶液より測定試料を調製して測定する。NMPに溶解している場合、共重合体のNMP溶液を水で凝固させた後メタノールで洗浄し、温度60℃で12時間真空乾燥し、測定試料とした。測定試料40gを使用し、日本工業規格JIS K6300-1に準拠して温度100℃でL形ローターを使用してムーニー粘度(ML1+4、100℃)を測定した。
粘度値の測定は、B型粘度計(東機産業株式会社製「BL」)を用いて、カーボンナノチューブ分散液の温度25℃にて、カーボンナノチューブ分散液をヘラで十分に撹拌した後、B型粘度計ローター回転速度60rpmにて直ちに行った。測定に使用したローターは、粘度値が100mPA・s未満の場合はNo.1を、100以上500mPa・s未満の場合はNo.2を、500以上2,000mPa・s未満の場合はNo.3を、2,000以上10,000mPa・s未満の場合はNo.4のローターをそれぞれ用いた。低粘度であるほど分散性が良好であり、高粘度であるほど分散性が不良である。得られたカーボンナノチューブ分散液が明らかに分離又は沈降しているものは分散性不良とした。
判定基準
◎:500mPa・s未満(優良)
○:500mPa・s以上2,000mPa・s未満(良)
△:2,000mPa・s以上10,000mPa・s未満(可)
×:10,000mPa・s以上、沈降又は分離(不良)
カーボンナノチューブ分散液の複素弾性率及び位相角は、直径60mm、2°のコーンにてレオメーター(Thermo Fisher Scientific株式会社製RheoStress1回転式レオメーター)を用い、25℃、周波数1Hzにて、ひずみ率0.01%から5%の範囲で動的粘弾性測定を実施することで評価した。得られた複素弾性率が小さいほど分散性が良好であり、大きいほど分散性が不良である。また、得られた位相角が大きいほど分散性が良好であり、小さいほど分散性が不良である。
複素弾性率 判定基準
◎:20Pa未満(優良)
○:20Pa以上60Pa未満(良)
△:60Pa以上120Pa未満(可)
×:120Pa以上(不良)
位相角 判定基準
◎:45°以上(優良)
○:10°以上45°未満(良)
△:2°以上5°未満(可)
×:2°未満(不良)
正極用合材スラリーを、ギャップ175μmのアプリケーターを用いてPETフィルム(厚さ100μm)に塗工し、70℃の熱風オーブンで10分、120℃の熱風オーブンで15分乾燥させて、導電性評価用の正極膜を得た。正極合材層の表面抵抗率(Ω/□)は、株式会社三菱化学アナリテック製:ロレスターGP、MCP-T610を用いて測定した。測定後、PETフィルム上に形成した正極合材層の厚みを乗じて、体積抵抗率(Ω・cm)とした。正極合材層の厚みは、膜厚計(株式会社NIKON製、DIGIMICRO MH-15M)を用いて、正極膜中の3点を測定して正極膜の平均値を求め、正極膜の平均値とPETフィルムの膜厚との差として求めた。
判定基準
◎:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が10未満(優良)
〇:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が10以上20未満(良)
×:正極合材層の体積抵抗率(Ω・cm)が20以上(不良)
非水電解質二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工株式会社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流1mA(0.02C))を行った後、放電電流10mA(0.2C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を3回繰り返した後、充電電流10mA(0.2C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流(1mA(0.02C))を行い、放電電流0.2C及び3Cで放電終止電圧3.0Vに達するまで定電流放電を行って、それぞれ放電容量を求めた。レート特性は0.2C放電容量と3C放電容量の比、以下の式1で表すことができる。
(式1)
レート特性=3C放電容量/3回目の0.2C放電容量×100(%)
判定基準
◎:レート特性が80%以上(優良)
〇:レート特性が60%以上80%未満(良)
×:レート特性が60%未満(不良)
非水電解質二次電池を25℃の恒温室内に設置し、充放電装置(北斗電工株式会社製、SM-8)を用いて充放電測定を行った。充電電流25mA(0.5C)にて充電終止電圧4.3Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流2.5mA(0.05C))を行った後、放電電流25mA(0.5C)にて、放電終止電圧3Vで定電流放電を行った。この操作を200回繰り返した。サイクル特性は25℃における3回目の0.5C放電容量と200回目の0.5C放電容量の比、以下の式2で表すことができる。
(式2)
サイクル特性=3回目の0.5C放電容量/200回目の0.5C放電容量×100(%)
判定基準
◎:サイクル特性が85%以上(優良)
〇:サイクル特性が80%以上85%未満(良)
×:サイクル特性が80%未満(不良)
(重合体1の調製)
表1に示す組成に従い、ステンレス製重合反応器に、アクリロニトリル(AN)30部、1,3-ブタジエン(BD)70部、オレイン酸カリ石ケン3部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t-ドデシルメルカプタン(TDM)0.55部、及びイオン交換水200部を加えた。窒素雰囲気下において、撹拌しながら、45℃で20時間の重合を行い、転化率90%で重合を終了した。未反応のモノマーを減圧ストリッピングにより除き、固形分濃度約30%のアクリロニトリル-共役ジエン系ゴムラテックスを得た。続いて、ラテックスにイオン交換水を追加して全固形分濃度を12%に調整し、容積1Lの撹拌機付きオートクレーブに投入して、窒素ガスを10分間にわたり流して内容物中の溶存酸素を除去した。水素化触媒としての酢酸パラジウム75mgを、パラジウムに対して4倍モルの硝酸を添加したイオン交換水180mLに溶解して調製した触媒液を、オートクレーブに添加した。オートクレーブ内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間の水素化反応を行った。その後、内容物を常温に戻し、オートクレーブ内を窒素雰囲気とした後、固形分を乾燥させて重合体1を回収した。重合体1の水素添加率は99.6%であり、重量平均分子量(Mw)は150,000であった。アクリロニトリル-共役ジエン系ゴムにおいて、アクリロニトリル-共役ジエン系ゴムの質量を基準として、共役ジエン単量体単位の含有量は70%であり、ニトリル基含有単量体単位の含有量は30%であった。また、重合体1において、重合体1の質量を基準として、アルキレン構造単位を含む脂肪族炭化水素構造単位の含有量は70%であり、ニトリル基含有単量体単位の含有量は30%であった。これらの単量体単位の含有量及び構造単位の含有量は、単量体の使用量から求めた質量割合である(以下、同様である。)。重合体1のムーニー粘度(ML1+4、100℃)を測定したところ、50であった。
使用するモノマー組成を、表1に従って変更し、使用する分子量調整剤であるt-ドデシルメルカプタンの含有量を、目標とする重合体のムーニー粘度になるように、適宜変更し、重合体2~5を作製した。重合体5ではモノマー組成にアクリルアミド(AAm)がさらに含まれる。その他の手順は上記重合体1の作製と同様である。得られた重合体2~5の重量平均分子量及びムーニー粘度の測定結果は表1に示す通りであった。
(CNT分散液1)
表2に示す組成に従い、ステンレス容器に、アミド系有機溶媒(C)としてNMP94部、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)として重合体1を1部を加え、ステンレス容器を40℃で加温しながらディスパーで均一に攪拌し、重合体1を溶解させた。続いて、ステンレス容器の加温を停止し、25℃で冷却しつつ、該溶液にカーボンナノチューブ(A)として100T5部をディスパー撹拌しながらゆっくりと添加した後、角穴ハイシアスクリーンを装着したハイシアミキサー(SILVERSON製)にてグラインドゲージでの粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散処理を行った。次に、ステンレスタンクから、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバースト10、スギノマシン製)に被分散液を供給し、追加分散処理を行った。追加分散処理は、シングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて25回パス式分散処理を行い、CNT分散液1を得た。
表2に示す組成に従い、カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)及びアミド系有機溶媒(C)の種類と添加量を変更した以外はCNT分散液1と同様にしてCNT分散液2~5及び10~15を得た。
表2に示す組成に従い、ステンレス容器に、アミド系有機溶媒(C)としてNMP93.8部を、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)として重合体1を1部加え、ステンレス容器を40℃で加温しながらディスパーで均一に攪拌し、重合体1を溶解させた。続いて、ステンレス容器の加温を停止し、25℃で冷却しつつ、該溶液にその他の添加剤として、エタノールアミン0.2部を加え、カーボンナノチューブ(A)として100T5部をディスパー撹拌しながらゆっくりと添加していき、角穴ハイシアスクリーンを装着したハイシアミキサー(SILVERSON製)にてグラインドゲージでの粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散処理を行った。次に、ステンレスタンクから、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバースト10、スギノマシン製)に被分散液を供給し、追加分散処理を行った。追加分散処理は、シングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて25回パス式分散処理を行い、CNT分散液6を得た。
表2に示す組成に従い、カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、その他の添加剤、アミド系有機溶媒(C)の種類と添加量を変更した以外はCNT分散液6と同様にしてCNT分散液7及び9を得た。
表2に示す組成に従い、ステンレス容器に、アミド系有機溶媒(C)としてNMP94部を、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)として重合体1を0.6部とその他の添加剤としてPVPを0.4部加え、ステンレス容器を40℃で加温しながらディスパーで均一に攪拌し、重合体1を溶解させた。続いて、ステンレス容器の加温を停止し、25℃で冷却しつつ、該溶液を加え、カーボンナノチューブ(A)として100T5部をディスパー撹拌しながらゆっくりと添加していき、角穴ハイシアスクリーンを装着したハイシアミキサー(SILVERSON製)にてグラインドゲージでの粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散処理を行った。次に、ステンレスタンクから、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバースト10、スギノマシン製)に被分散液を供給し、追加分散処理を行った。追加分散処理は、シングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて25回パス式分散処理を行い、CNT分散液8を得た。
表2に示す組成に従い、ステンレス容器に、アミド系有機溶媒(C)としてNMP94部を、その他の添加剤としてPVPを1部加え、ステンレス容器を40℃で加温しながらディスパーで均一に攪拌し、PVPを溶解させた。続いて、ステンレス容器の加温を停止し、25℃で冷却しつつ、該溶液を加え、カーボンナノチューブ(A)として100T5部をディスパー撹拌しながらゆっくりと添加していき、角穴ハイシアスクリーンを装着したハイシアミキサー(SILVERSON製)にてグラインドゲージでの粒度が250μm以下になるまでバッチ式分散処理を行った。次に、ステンレスタンクから、配管を介して高圧ホモジナイザー(スターバースト10、スギノマシン製)に被分散液を供給し、追加分散処理を行った。追加分散処理は、シングルノズルチャンバーを使用し、ノズル径0.25mm、圧力100MPaにて25回パス式分散処理を行い、比較用CNT分散液1を得た。
表2に示す組成に従い、カーボンナノチューブ(A)の種類及び添加量、及びアミド系有機溶媒(C)の添加量を変更した以外は比較用CNT分散液1と同様にして比較用CNT分散液2を得た。
カーボンナノチューブ「100T」:K-Nanos 100T(Kumho Petrochemical株式会社製、多層CNT、外径10~15nm)
カーボンナノチューブ「Flotube9110」:Cnano FT9110CNT(Cnano Technology Ltd製、多層CNT、平均外径11nm)
カーボンナノチューブ「BT1003M」:LUCAN BT1003M(LG Chem Ltd製、多層CNT、平均外径13nm)
カーボンナノチューブ「8A」:JENOTUBE8A(株式会社JEIO製、多層CNT、外径6~9nm)
分散剤「HNBR」:Zetpol(登録商標) 2000L(日本ゼオン株式会社製、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)65、アクリロニトリル含有量36.2%)
エタノールアミン:2-アミノエタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)
NaOH:水酸化ナトリウム、顆粒状(富士フイルム和光純薬株式会社製)
PVP:ポリビニルピロリドン(株式会社日本触媒製「ポリビニルピロリドン K-30」)
y<17x (1)
y<120 (2)
0.1≦x≦10 (3)
(スラリー前駆体1)
表4に示す組成に従い、容量150mLのプラスチック容器に、活物質(D)としてNMC87.03部と、フッ素系重合体(F)としてPVDF-1の10質量%NMP溶液12.43部(PVDF-1を固形分として1.243部含む)を加えた後、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。続いて、低分子酸性化合物(E)として、安息香酸の10%NMP溶液を0.533部(安息香酸を固形分として0.053部含む)を加え、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで20分間撹拌し、スラリー前駆体1を得た。スラリー前駆体の固形分は88.33質量%であり、活物質(D)及びフッ素系重合体(F)の比率は電極膜用スラリー組成物の比率(活物質(D):フッ素系重合体(F):CNT(A)=98:1.4:0.6)を踏まえて調製した。また、低分子酸性化合物(E)は、活物質(D):低分子酸性化合物(E)の比率が100:0.061となるように添加した。
表4に示す組成に従い、活物質(D)、フッ素系重合体(F)及び低分子酸性化合物(E)の種類を変更した以外はスラリー前駆体1と同様にしてスラリー前駆体2~9を得た。
表4に示す組成に従い、容量150mLのプラスチック容器に、活物質(D)としてNMC87.03部と、フッ素系重合体(F)としてPVDF-1の10質量%NMP溶液12.43部(PVDF-1を固形分として1.243部含む)を加えた後、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。続いて、その他の酸性化合物として、イソバン-10の10%NMP溶液を0.533部(イソバン―10を固形分として0.053部含む)を加え、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで20分間撹拌し、比較用スラリー前駆体1を得た。
表4に示す組成に従い、その他の酸性化合物の種類を変更した以外は比較用スラリー前駆体1と同様にして比較用スラリー前駆体2を得た。
活物質「NMC」:NCM811(Ningbo Ronbay New Energy Technology社製、組成:LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、固形分100%)
活物質「NCA」:HED(登録商標)NAT-7050(BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社製、組成:LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、固形分100%)
比較添加剤「イソバン-10」:クラレ社製、重量平均分子量160,000~170,000、揮発分≦4%
比較添加剤「ポリアクリル酸」:富士フイルム和光純薬株式会社製、ポリアクリル酸25,000、分子量25,000
フッ素系重合体「PVDF-1」:ポリフッ化ビニリデン クレハKFポリマー W#7300(クレハ社製)、固形分100%
フッ素系重合体「PVDF-2」:極性官能基を有するポリフッ化ビニリデン Solef#5130(Solvey株式会社製)、固形分100%
低分子酸性化合物には、安息香酸、アジピン酸、コハク酸、o-フタル酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、酢酸を用いおり、これらは富士フイルム和光純薬株式会社製より入手可能である。
(実施例1-1)
表5に示す処方に従い、活物質(D):フッ素系重合体(F):CNT(A)が質量比で98:1.4:0.6となるように、CNT分散液と電極膜用スラリー前駆体とを秤量して、容量150mLのプラスチック容器に添加し、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、電極膜用スラリー組成物を得た。電極膜用スラリー組成物の固形分は72質量%とした。
得られた電極膜用スラリー組成物を集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間にわたり乾燥させて電極の単位面積当たりの目付量が20mg/cm2となるように調整した。さらにロールプレス(株式会社サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、電極層の密度が3.1g/cm3となる正極1aを作製した。
CNT分散液及び電極膜用スラリー前駆体の種類を変更した以外は実施例1-1と同様の方法により、正極2a~21a、比較用正極1a~5aを作製した。
(比較例1-6)
表6に示す処方に従い、活物質(D):フッ素系重合体(F):CNT(A)が質量比で98:1.4:0.6となるように電極膜用スラリー組成物を調製した。まず、容量150mLのプラスチック容器にCNT分散液1と、フッ素系重合体(F)としてPVDF-1の10質量%NMP溶液とを加えた後、固形分調整用のNMPを予め添加した(NMP添加量は最終の電極膜用スラリー組成物として、固形分が72%となるように調製した)。その後、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、バインダー樹脂含有CNT分散液を得た。続いて、活物質(D)としてNMCを添加し、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで20分間撹拌して、電極膜用スラリー組成物を得た。この添加順序を比較手順1とする。
得られた電極膜用スラリー組成物を集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間にわたり乾燥させて電極の単位面積当たりの目付量が20mg/cm2となるように調整した。さらにロールプレス(株式会社サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、電極層の密度が3.1g/cm3となる比較正極6aを作製した。
(比較例1-7)
表6に示す処方に従い、活物質(D):フッ素系重合体(F):CNT(A)が質量比で98:1.4:0.6となるように電極膜用スラリー組成物を調製した。まず、容量150mLのプラスチック容器にCNT分散液1と、フッ素系重合体(F)としてPVDF-1の10質量%NMP溶液とを加えた後、固形分調整用のNMPを予め添加した(添加量は最終の電極膜用スラリー組成物として、固形分が72%となるように調製した)。その後、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、バインダー樹脂含有CNT分散液を得た。続いて、活物質(D)としてNMCを添加し、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した後、低分子酸性化合物(E)として、安息香酸の10質量%NMP溶液を添加し、自転及び公転ミキサーを用いて、2,000rpmで20分間撹拌して、電極膜用スラリー組成物を得た。また、低分子酸性化合物(E)は、活物質(D):低分子酸性化合物(E)の比率が100:0.061となるように添加した。この添加順序を比較手順2とする。
得られた電極膜用スラリー組成物を集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にアプリケーターを用いて塗工した後、電気オーブン中で120℃±5℃で25分間にわたり乾燥させて電極の単位面積当たりの目付量が20mg/cm2となるように調整した。さらにロールプレス(株式会社サンクメタル製、3t油圧式ロールプレス)による圧延処理を行い、電極層の密度が3.1g/cm3となる比較正極7aを作製した。
表6に示す処方に従い、CNT分散液及び電極膜用スラリー前駆体の種類を変更した以外は比較例1-7と同様の方法により、比較正極8a~13aを作製した。
得られた正極の抵抗を評価し、結果を表7に示す。
(実施例1-1~1-21、比較例1-1~1-13)
下記の標準負極と表5及び表6に示す正極とをそれぞれ50mm×45mm、及び45mm×40mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロプレンフィルム)とをアルミ製ラミネート袋に挿入し、電気オーブン中、70℃で1時間乾燥させた。続いて、アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で、電解液を2mL注入し、アルミ製ラミネート袋を封口して電池1a~21a、比較電池1a~13aを作製した。用いた電解液は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒を作製し、さらに添加剤として、VC(ビニレンカーボネート)を電解液100部に対して1部加えた後、LiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水電解液である。
容量150mLのプラスチック容器にアセチレンブラック(デンカ株式会社製、デンカブラック(登録商標)HS-100)と、CMCと、水とを加えた後、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌した。さらに負極活物質として人造黒鉛を添加し、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで150秒間撹拌した。続いてSBRを加えて、自転及び公転ミキサー(株式会社シンキー製あわとり練太郎、ARE-310)を用いて、2,000rpmで30秒間撹拌し、標準負極用合材スラリーを得た。標準負極用合材スラリーの固形分は48質量%とした。標準負極用合材スラリー中の負極活物質:導電材:CMC:SBRの固形分比率は97:0.5:1:1.5とした。なお、上記に記した略号は、以下を意味する。
HS-100:デンカブラックHS-100(デンカ株式会社製、アセチレンブラック、平均一次粒子径48nm、比表面積39m2/g)
人造黒鉛:CGB-20(日本黒鉛工業株式会社製)、固形分100%
CMC:#1190(ダイセルファインケム株式会社製)、固形分100%
SBR:TRD2001(JSR株式会社製)、固形分48%
以上のように、電極膜用スラリー組成物においてカーボンナノチューブの分散性と安定性とを両立することで、電極膜中で良好な分散状態を維持して効率的な導電ネットワークを形成することができ、レート特性及びサイクル特性が良好な電池を製造することができた。
Claims (7)
- カーボンナノチューブ(A)、ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)、及びアミド系有機溶媒(C)を含むカーボンナノチューブ分散液と、
活物質(D)、分子量10,000未満である低分子酸性化合物(E)、フッ素系重合体(F)、及びアミド系有機溶媒(C’)を含む電極膜用スラリー前駆体とをそれぞれ用意すること、及び
前記カーボンナノチューブ分散液と前記電極膜用スラリー前駆体とを混合することを含む、電極膜用スラリー組成物の製造方法。 - 前記ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)において、ニトリル基含有構造単位の含有量が、重合体(B)の質量を基準として15質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の電極膜用スラリー組成物の製造方法。
- 前記ニトリル基含有構造単位を含む重合体(B)は、重量平均分子量が5,000以上500,000以下である、請求項1又は2に記載の電極膜用スラリー組成物の製造方法。
- 前記カーボンナノチューブ分散液において、カーボンナノチューブ濃度x(質量%)と、動的粘弾性測定によるカーボンナノチューブ分散液の25℃及び周波数1Hzでの複素弾性率y(Pa)とが、下記式(1)、式(2)、及び式(3)の関係を満足する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電極膜用スラリー組成物の製造方法。
y<17x (1)
y<120 (2)
0.1≦x≦10 (3) - 請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法によって電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び前記電極膜用スラリー組成物を用いて電極膜を作製することを含む、電極膜の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法によって電極膜用スラリー組成物を作製すること、及び前記電極膜用スラリー組成物を用いて集電体に電極膜を作製することを含む、電池用電極の製造方法。
- 負極、正極及び電解質を含む非水電解質二次電池を製造する方法であって、前記負極及び前記正極のいずれか一方の電極を作製する工程は、請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法によって電極膜用スラリー組成物を作製すること、前記電極膜用スラリー組成物を用いて集電体に電極膜を作製することを含む、非水電解質二次電池の製造方法。
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