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JP7569991B2 - 着色木材の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、着色木材の製造方法に関する。
従来より、木材を熱処理して濃色化することにより、木材本来の木目や節等を引き立て、木材の木味感を高める処理が行われている。特許文献1では、木材を茶褐色に着色させる処理方法を開示している。具体的には、高温高圧容器の内部に水蒸気を供給しつつ木材を圧縮し、更に高温の水蒸気を供給して木材を酸化・成分変化させることで、木材を茶褐色に着色させている。
また、特許文献2では、木質材を加熱することによって、調色木質材を製造する方法において、木質材を加熱する前に、木質材の表面に多価カルボン酸の水溶液を付着させることを開示している。具体的には、まず、板状の木質材の一面に多価カルボン酸水溶液を塗布し、木質材を自然乾燥させる。そして、当該木質材を熱盤プレス機にセットし、熱盤を200℃に加熱して、木質材に30秒間の熱圧締処理を施すことにより、調色木質材を得ている。特許文献2の熱圧締処理では、水蒸気雰囲気下で処理を行う必要がないため、密閉容器を備える大型で複雑な処理装置が不要である。
特開平8-155909号公報 特開2013-95037号公報
ここで、近年、家具や無垢の床材に使用され、厚みのある木材についても着色することが要望されている。しかし、特許文献1の処理方法により1cm以上の厚みのあるブロック状木材を着色した場合、熱処理の最終段階において高圧状態から大気圧に降圧する際に木材の表面が過度に乾燥するため、木材の割れが生じてしまうという問題がある。
また、特許文献2では、水蒸気雰囲気下で加熱せず、乾式処理により着色している。つまり、特許文献2では、木質材を乾燥させて水分が抜けた後に、熱と多価カルボン酸により着色している。そのため、木質材に色ムラが生じやすく、さらに、くすんだ色目になるという問題がある。
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、乾式処理よりも鮮やかに着色しつつも、着色時における木材の割れを低減することができ、さらに着色処理条件を緩和することが可能な着色木材の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様に係る着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程と、を含む。水蒸気処理における温度は110℃以上160℃以下であり、圧力は当該温度における飽和水蒸気圧である。
本開示の第二の態様に係る着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程と、水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させる工程と、水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させた後、不活性雰囲気下で加熱する工程と、を含む。水蒸気処理における温度は110℃以上160℃以下であり、圧力は当該温度における飽和水蒸気圧である。
図1は、本実施形態に係る着色木材の製造方法の一例を示す説明図である。 図2は、本実施形態に係る着色木材の製造方法の他の例を示す説明図である。 図3は、本実施形態に係る着色木材の製造方法のさらに他の例を示す説明図である。 図4(a)はブロック状の木材を示す概略図であり、図4(b)は集成材を示す概略図であり、図4(c)は突板を示す概略図である。 図5は、本実施形態に係る着色木材の製造方法のさらに他の例を示す説明図である。 図6(a)は、実施例3において、着色処理後の木材の表面を観察した結果を示す写真である。図6(b)は、実施例3において、各木材に含浸させた水溶液の組成を示す図である。 図7(a)は、実施例3において、着色処理後の木材の木口を観察した結果を示す写真である。図7(b)は、実施例3において、各木材に含浸させた水溶液の組成を示す図である。
以下、図面を用いて本実施形態に係る着色木材の製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
[第一実施形態]
本実施形態に係る着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま高温高圧で水蒸気処理する工程と、を有している。
図1は、本実施形態に係る着色木材の製造方法のフローを示している。本実施形態の製造方法では、第一の工程として、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる。木材の形状は、ブロック状であればよく、例えば板状に加工されたものを例示することができる。なお、板状の木材の厚みは特に限定されないが、例えば10mm以上40mm以下とすることができる。
木材としては、床、壁、天井などの建材、造作部材、家具、工芸品などに使用される各種の樹種からなる木材を挙げることができる。木材の樹種は特に限定されないが、例えば、スギ、カラマツ、ベイマツ、ゴムの木、カバ、ブナ、ナラ、ビーチ、オーク、チーク、ハードメープル、チェリー、ウォールナット、ホワイトアッシュ、マホガニー及びイエローバーチからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。これらの木材は高級感があり意匠性が高いことから、これらの木材を着色させることにより、建材、造作部材、家具、工芸品に好適に用いることができる。
また、木材としては、主に日本をはじめ東南アジア等で短期間に大径木となる早生樹を使用することもできる。具体的には、木材は、センダン、チャンチンモドキ、ハンノキ、ユリノキ、ユーカリ、ポプラ、アカシアマンギウム及びファルカタからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。早生樹は、成長が早く比較的安価であることから、植林にて十分に供給することが可能な樹種である。ここで、早生樹は、広年輪幅の部分が広く年輪の曲率が大きいことから寸法変化に異方性が発生してしまう。そのため、早生樹を乾燥する際、局部的に大きな収縮応力が発生し、乾燥割れが発生しやすい。ただ、後述するように、有機酸及び糖類には寸法安定化効果があるため、早生樹の内部にこれらを含浸させることにより、収縮を抑制することができる。そのため、本実施形態では、木材として早生樹も好適に用いることができる。
なお、木材は、含水率が高い生の状態であってもよく、含水率が低い乾燥状態であってもよい。木材の含水率が高い状態であっても、道管中の水分と有機酸水溶液とを置換することができるため、木材の内部に有機酸水溶液を含浸させて着色することができる。なお、木材としては、人工的に乾燥釜などで乾燥させ、含水率を下げた人工乾燥材(KD材)を用いてもよい。この際、KD材の含水率は、7~25%とすることが好ましい。なお、木材の含水率は、日本産業規格JIS Z2101(木材の試験方法)に基づき測定することができる。
ここで、生の状態のブロック状の木材(生材)は、常温で保管した場合、乾燥による割れや変色が発生する場合がある。また、生材へ製材する原木も乾燥割れや変色が発生する可能性があるため、気温が低い冬季から春季に輸入している。さらに、生材に製材した後は、割れや変色を防ぐために、冷凍又は冷蔵による保管が必須となる。加えて、断面略円形の原木からブロック状の木材を製材するため、歩留りは低下する。また、海外から原木を輸入してブロック状の木材に製材する場合、製材時に廃棄部分が発生することから、輸入時は廃棄部分を含んだ状態で輸送していることになる。そのため、生材及び原木を長距離輸送する場合には、輸送コスト及び保管コストが高くなる傾向にある。
これに対し、乾燥された木材(KD材)は、生材を乾燥する工程は必要になるものの、乾燥状態であるため、割れや変色のリスクが低い。さらに、KD材は、常温での保管が可能である。このように、KD材は、輸送コスト及び保管コストを低減することができる。
なお、原木の伐採地と本実施形態の製造方法を実施する場所が近い場合には、原木を長距離輸送する必要がない。そのため、この場合、木材としては、乾燥工程が必要なKD材を用いなくとも、生材を用いることが好ましい。
上述の木材に含浸させる有機酸水溶液は、水に有機酸を溶解させることにより、調製することができる。有機酸としては、後述するように、有機酸水溶液を含浸させた木材を高温高圧で水蒸気処理することにより着色させる有機化合物を用いることができる。具体的には、有機酸は、カルボン酸、スルホン酸及びスルフィン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
なお、有機酸は、カルボン酸であることが好ましく、2価以上のカルボン酸であることがより好ましい。カルボン酸を含浸した木材を高温高圧の水蒸気と接触させた場合、木材の組成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンが変質しやすくなるため、木材の着色をより促進することが可能となる。
カルボン酸は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、フタル酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタル酸(1,5-ペンタン二酸)、グルコン酸、グルタコン酸、ペンテン二酸からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、カルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸及びコハク酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであることがより好ましい。クエン酸、リンゴ酸及びコハク酸を用いることにより、鮮やかな赤みを帯びた着色木材を容易に得ることができる。さらに、これらのカルボン酸は、天然由来の材料から得ることができるため、環境負荷を低減することが可能となる。
有機酸水溶液において、有機酸の含有量は3~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。有機酸水溶液における有機酸の含有量がこの範囲内であることにより、水蒸気処理により木材を着色しつつも、後述するように、有機酸による木材の寸法安定化効果を得ることができる。
有機酸水溶液は、糖類をさらに含有することが好ましい。有機酸水溶液が有機酸と糖類の両方を含有することにより、木材の着色を促進しつつも、木材の寸法安定性を高めることができる。具体的には、有機酸と糖類の両方を含有した有機酸水溶液を木材に含浸させた後、水蒸気処理することにより、有機酸の効果により木材の濃色を促進して、赤みを増やすことができる。また、糖類は、水分子の代わりに木材の細胞壁中の微小空隙に入り込んで充填され、乾燥時においても蒸発することなく当該微小空隙に留まることができる。そして、糖類によって細胞壁を膨潤状態に維持できることから、いわゆる「かさ効果」によって、得られる着色木材の収縮を抑制することができる。
糖類は、単糖、二糖、オリゴ糖及び多糖からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。単糖としては、フルクトース、キシロース、リボース、アラビノース、ラムノース、キシルロース、デオキシリボース等が挙げられる。二糖としては、スクロース、マルトース、トレハロース、ツラノース、ラクツロース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、メリビウロース、ガラクトスクロース、ルチヌロース、プランテオビオース等が挙げられる。オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、スタキオース等が挙げられる。多糖としては、デンプン、アガロース、アルギン酸、グルコマンナン、イヌリン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、グリコーゲン、セルロース等が挙げられる。
ここで、糖類は、フルクトース、マルトース、キシロース及びスクロースからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。これらの糖類は入手が容易であり、さらに、有機酸と共に着色木材の寸法安定性をより高めることが可能となる。
有機酸水溶液において、糖類の含有量は3~30質量%であることが好ましく、3~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることがさらに好ましい。有機酸水溶液における糖類の含有量がこの範囲内であることにより、糖類による着色木材の寸法安定化効果を得ることができる。
なお、有機酸と糖類は水への溶解性が高いため、有機酸水溶液は有機溶剤を含まなくてもよい。また、有機酸水溶液が有機溶剤を含まないことにより、環境負荷を低減し、人体への安全性を高めることができる。
有機酸水溶液をブロック状の木材に含浸させる方法は、特に限定されない。例えば、木材を有機酸水溶液に浸漬して放置することにより、木材に有機酸水溶液を含浸させることができる。なお、木材に対する有機酸水溶液の含浸を早めるために、有機酸水溶液を満たした耐圧容器に木材を投入して加圧することが好ましい。この際、加圧する圧力は特に限定されないが、例えば0.3~10.0MPaとすることが好ましい。
木材に対して有機酸水溶液を含浸させる際、有機酸水溶液の温度は特に限定されないが、例えば80℃以下とすることが好ましい。また、有機酸水溶液の温度は常温とすることもできる。
また、木材に対する有機酸水溶液の含浸を早めるために、耐圧容器に木材を投入した状態で減圧して、木材の内部の空気を除去した後に、木材を有機酸水溶液に浸漬してもよい。これにより、木材の道管の内部に有機酸水溶液が浸透しやすくなるため、木材に有機酸水溶液をすばやく含浸させることができる。
ここで、ブロック状の木材に有機酸水溶液を含浸させる際、有機酸水溶液は、木材の全体、つまり木材の中心部まで含浸していることが好ましい。これにより、有機酸の作用により、木材の中心部まで着色することができる。ただ、必ずしも木材の中心部に有機酸水溶液を含浸させる必要はなく、少なくとも木材を着色させる部位に有機酸水溶液を含浸させればよい。
本実施形態の製造方法では、第二の工程として、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理を行う。具体的には、まず、有機酸水溶液を含浸した木材を、例えば耐圧容器の内部に投入する。この際、有機酸水溶液を含浸した木材を乾燥させず、湿潤状態のままで投入することが好ましい。有機酸水溶液を含浸した木材を乾燥させた後に水蒸気処理を行った場合、木材を着色することはできるものの、くすんだ色になったり、鮮やかさが欠けてしまう場合がある。そのため、有機酸水溶液を含浸した木材は、湿潤状態のままで水蒸気処理を行うことが好ましい。
次に、耐圧容器の内部を加熱しつつ水蒸気を導入することにより、有機酸水溶液を含浸した木材に対して、水蒸気雰囲気下で加熱処理を行う。この際、木材の加熱温度は110℃以上160℃以下とすることが好ましく、木材に対する圧力は当該温度における飽和水蒸気圧とすることが好ましい。有機酸水溶液を含浸した木材を、このような高温高圧の水蒸気雰囲気下で加熱することにより、木材の組成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンが有機酸により加水分解する。これにより、木材の赤みが増して濃色化する。
なお、木材の加熱温度は110℃以上160℃以下とすることが好ましく、110℃以上150℃以下とすることがより好ましく、110℃以上140℃以下とすることがさらに好ましい。有機酸を含浸した木材を、160℃を超える高温で加熱した場合、木材の劣化が進行して強度及び耐久性が低下する可能性がある。また、当該木材を110℃未満の低温で加熱した場合、有機酸による加水分解反応が進行し難いため、濃色化が不十分となる可能性がある。そのため、木材の加熱温度は上記温度範囲とすることが好ましい。
有機酸水溶液を含浸した木材に対する水蒸気処理の時間は、特に限定されない。例えば、水蒸気処理の温度を高めることにより、木材の濃色化が促進される。さらに、有機酸水溶液に含まれる有機酸の濃度を高めることによっても、木材の濃色化が促進される。また、木材の樹種又は有機酸の種類によっても、濃色化の進行度合いが異なる。そのため、水蒸気処理の温度、有機酸水溶液に含まれる有機酸の濃度、木材の樹種、有機酸の種類によって、水蒸気処理の時間を調整することが好ましい。例えば、有機酸水溶液を含浸した木材に対する水蒸気処理の時間は、0.5時間以上とすることができる。
このような水蒸気処理を行った後、耐圧容器の内部を高圧状態から大気圧に降圧して、木材を耐圧容器から取り出す。
本実施形態の製造方法では、第三の工程として、水蒸気処理を行った木材を乾燥させて、木材内部の余分な水分を除去する。乾燥条件は特に限定されないが、例えば自然乾燥とすることができる。また、加熱して乾燥させてもよく、例えば60℃以下の温度で乾燥させてもよい。さらに、乾燥雰囲気も特に限定されず、例えば大気下で乾燥させてもよい。また、乾燥雰囲気における湿度を徐々に低下させながら、木材内部の水分を除去してもよい。そして、この乾燥工程を経ることにより、着色化された木材を得ることができる。
ここで、有機酸及び糖類は木材内部の微小空間に留まるため、乾燥時における木材の収縮を抑制し、寸法安定性を高めることができる。そのため、水蒸気処理を行った木材を上述のように乾燥させても、木材の変形や割れを抑制することができる。
このように、本実施形態の着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程とを含む。そして、水蒸気処理における温度は110℃以上160℃以下であり、圧力は当該温度における飽和水蒸気圧である。
本実施形態の製造方法では、有機酸及び水蒸気処理により、木材の組成成分の加水分解が促進され、木材が濃色化する。そのため、従来の処理方法と同程度の着色レベルを達成するのに、より低熱量(低温)の処理で済むことから、木材の熱処理条件を緩和することができる。
さらに、有機酸は木材の寸法を安定化する効果があることから、従来の方法に比べて、同じ着色度(加水分解レベル)であっても、乾燥時の割れ、変形、収縮の発生を低減することができる。また、有機酸の寸法安定化効果により、水蒸気処理後の利用過程での不良の発生を抑制することができる。特に、木材を水蒸気処理した後、乾燥木材を製造する工程において、割れなどの不良の発生を抑制することができる。
なお、特許文献2のように、水蒸気雰囲気下で加熱せずに乾式で着色した場合、得られる木材はくすんだ色目になる。また、生材を水蒸気雰囲気下で加熱した場合には鮮やかに着色することができるが、乾燥材に水のみを含浸させて加熱すると、得られる木材はくすんだ色目になってしまう。これに対して、本実施形態の製造方法は、木材に有機酸水溶液を含浸させて加熱しているため、有機酸の効果により、生材を熱処理した場合と同様に鮮やかに着色することができる。
本実施形態の着色木材の製造方法は、水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させる工程をさらに含むことが好ましい。水蒸気処理した木材を乾燥させて余分な水分を除去することにより、建材、造作部材、家具、工芸品など、様々な用途に好適に用いることができる。
なお、本実施形態の着色木材は、寸法安定性を高めるために寸法安定化樹脂をさらに含ませてもよい。具体的には、水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させる前に寸法安定化樹脂を含浸させてもよい。このような寸法安定化樹脂は、グリコール系樹脂、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。ただ、有機酸及び糖類はそれ自体で寸法安定化効果を有すること、寸法安定化樹脂は高価な場合があることから、着色木材に寸法安定化樹脂を含浸させなくてもよい。
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る着色木材の製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
上述のように、有機酸水溶液を用いて高温高圧の水蒸気処理を行うことにより、厚みのある木材であっても、鮮やかな色に着色でき、さらに寸法安定性も高めることができる。そして、上述の製造方法を用いることにより、厚みのある着色木材だけでなく、着色され、かつ、割れ発生が少ない突板も得ることができる。
図2は、本実施形態に係る、着色された突板の製造方法のフローを示している。本実施形態の製造方法は、第一の工程として、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させている。なお、本工程は、第一実施形態と同様に行うことができ、有機酸、木材及び糖類も上述のものを使用することができる。
次に、第二の工程として、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理を行う。これにより、木材の着色を促進しつつも、有機酸による着色木材の寸法安定性を高めることができる。また、木材に上述の糖類を含ませることにより、寸法安定性をより高めることができる。なお、本工程も、第一実施形態と同様に行うことができる。
次いで、第三の工程として、水蒸気処理を行ったブロック状の木材をスライスすることにより、突板を得る。なお、スライスする際、ブロック状の木材は湿潤状態であることが好ましい。木材が湿潤状態であることにより、切削抵抗を低減することができる。
木材をスライスする方法は特に限定されず、例えばスライサー又はロータリーレースを用いて行うことができる。また、スライサーは、縦突スライサー及び横突スライサーのいずれも用いることができる。なお、本明細書において、「スライス」は、鋸を用いて木材を切断する方法を除いている。つまり、鋸を用いて木材を切断した場合、加工屑が発生し、突板を得る際の歩留まりが低下してしまう。しかしながら、スライサー又はロータリーレースを用いて木材を切断した場合には、加工屑が殆ど発生しないため、突板を得る際の歩留まりを高めることができる。
木材をスライスして得られる突板の厚みは特に限定されないが、例えば0.1mm~3mmとすることが好ましく、0.15mm~0.50mmとすることがより好ましい。
ここで、本実施形態に係る、着色された突板の製造方法は、上述の水蒸気処理工程とスライス工程との間に、ブロック状である複数の木材を突き合わせて集成接着することにより、集成材を得る集成材生成工程をさらに有していてもよい。
具体的には、ます、図3及び図4(a)に示すように、ブロック状の木材1に有機酸水溶液を含浸させた後、高温高圧の水蒸気処理を施す。次に、図4(b)に示すように、水蒸気処理を施した複数の木材1を集成接着して、集成材2を作製する。なお、図4(b)に示す集成材2は、単板幅方向に沿って二列に木材1を突き合わせ、さらに、単板厚さ方向に見て乱貼り状となるように各列の木材1を長手方向にずらして集成している。
木材1を集成接着する際の接着剤は特に限定されず、水性ビニルウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、水性イソシアネート樹脂系接着剤等の水性接着剤を用いることができる。
そして、図4(c)に示すように、複数の木材1からなる集成材2をスライスすることにより、突板10を得ることができる。集成材2のスライスの方法は特に限定されず、上述と同様に、例えばスライサーを用いて行うことができる。
上述のようにして得られた突板は、基材に接着され、各種製品の表面化粧材として使用される。なお、基材への突板の接着方法は二種類あり、突板を一度乾燥させた後に接着剤で貼る方式と、突板を湿潤状態のまま接着剤で貼る方式である。図4(c)で示すような集成単板の場合は、乾燥により集成層が破断する可能性があるため、湿潤状態のまま接着剤で貼る方式で使用されるのが普通である。
ここで、木材は、水蒸気処理より材料の劣化が生じるため、水蒸気処理が進む、つまり濃色化するにつれて乾燥時の収縮量が大きくなり、割れなどが発生し易くなる。そのため、有機酸及び糖類を含浸せず水蒸気処理した木材から得られた突板を湿潤状態で基材に接着する場合、単板割れが発生し易く、接着後に反るなどの現象が起きる。特に、突板の厚みが大きくなるほど割れの抑制が困難になり、反りの発生も大きくなる。しかしながら、本実施形態では、有機酸を含浸した木材1からなる集成材2をスライスすることにより、突板10を得ている。そのため、有機酸や糖類の寸法安定化効果に起因して基材への接着時に突板10の割れや反りが抑制される。よって、従来ではワレや反り発生が顕著で基材への接着が困難であった、より濃色化した木材からスライスした突板であっても、基材への接着が可能になる。また、湿潤状態の突板を一度乾燥させて使用する際にも、上記同様の効果が期待できる。
集成材2をスライスして得られる突板10の厚みは特に限定されないが、例えば0.1mm~3mmとすることが好ましく、0.15mm~0.50mmとすることがより好ましい。
このように、本実施形態の着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程とを含む。また、本実施形態の製造方法は、水蒸気処理したブロック状の木材をスライスすることにより、突板を得る工程をさらに含む。本実施形態の製造方法では、有機酸及び水蒸気処理により、木材の組成成分の加水分解を促進して、鮮やかに着色された突板を得ることができる。また、有機酸は木材の寸法を安定化する効果があることから、突板の乾燥時の割れ、変形、収縮の発生の抑制が期待できる。
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る着色木材の製造方法について、図面に基づき詳細に説明する。
木材は、使用する環境によって、腐食などの劣化が発生することがある。このような腐食は、主に生物活動の結果で発生し、さらに水分及び紫外線などの環境要因で促進される。そのため、野外で使用する木材には、腐食を抑制するために、木材保存薬剤を含浸処理する場合がある。一方で、ケミカルレス及びノンケミカル的な木材保存法も注目されており、代表的な処理法として熱処理が挙げられる。
木材の耐朽性を向上させる熱処理としては、非酸素下や過熱水蒸気下で木材を高温処理することにより、木材成分を変性させる方法がある。そして、このような熱処理により耐朽性が向上した木材としては、過熱水蒸気下で熱処理を施したサーモウッド、窒素ガス下で熱処理を施したエステックウッド、蒸煮処理後に乾燥させた木材に、窒素ガス下で熱処理を施したPlatoウッドが知られている。
ここで、Platoウッドは、150℃~180℃、圧力10bar(約10kg/cm)で3~5時間蒸煮処理後、乾燥して含水率を10%程度まで低下させ、150℃~190℃で14~16時間加熱炉内で加熱することにより、得られる木材である。なお、当該加熱炉内での加熱は、窒素雰囲気下で行う。このようなPlatoウッドは、EU規格による耐腐朽性試験では高い耐朽性が認められたとの報告がある。一方で、非特許文献では、JIS K1571により評価した結果、顕著な耐朽性の向上は確認できなかったと報告されている。このように、従来の熱処理は、耐朽性を向上させるために更なる改良の余地があった。
非特許文献:花田健介、他2名、「Plato熱処理材の耐朽性・耐蟻性」、木材保存、公益社団法人日本木材保存協会、2006年、第32巻第1号、p.13-19
本実施形態の着色木材の製造方法は、鮮やかな色に着色され、かつ、寸法安定性も向上した着色木材に対して、さらに耐朽性を高めたことを特徴とする。
図5は、本実施形態に係る、耐朽性が向上した着色木材の製造方法のフローを示している。本実施形態の製造方法は、第一の工程として、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させている。なお、本工程は、第一実施形態と同様に行うことができ、有機酸、木材及び糖類も上述のものを使用することができる。
次に、第二の工程として、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理を行う。これにより、木材の着色を促進することができる。また、木材に上述の有機酸及び糖類を含ませることにより、後述する乾燥工程における寸法安定性を高め、乾燥時における木材の割れ抑制することができる。なお、本工程も、第一実施形態と同様に行うことができる。
次いで、第三の工程として、水蒸気処理を行った木材を乾燥させて、木材内部の余分な水分を除去する。本工程も、第一実施形態と同様に行うことができる。この乾燥工程を経ることにより、着色化された木材を得ることができる。
そして、第四の工程として、水蒸気処理及び乾燥処理を行った木材に対して、不活性雰囲気下で加熱する処理を行う。木材に対して不活性雰囲気下で熱処理を行うことにより、木材の腐朽の起点となりやすい非結晶領域を分解することができる。
不活性雰囲気下での熱処理条件は、木材の非結晶領域を分解することが可能な条件とすることが好ましい。具体的には、不活性雰囲気下、140℃以上220℃以下で加熱することが好ましい。加熱時間は、木材の種類及び大きさにより調整することが好ましいが、例えば12~72時間とすることができる。また、不活性雰囲気は、酸素濃度を低減した雰囲気であり、例えば、窒素ガス雰囲気又は過熱水蒸気雰囲気とすることができる。なお、過熱水蒸気は、飽和水蒸気を加熱したガスであることから、酸素を殆ど含有していないガスである。
このような不活性雰囲気下での加熱工程により、木材の腐朽の起点となる非結晶領域が分解して減少する。そのため、腐食を抑制するための木材保存薬剤を使用しなくても、耐朽性を高めることが可能となる。さらに、本実施形態の製造方法では、有機酸を含有した木材に対して、不活性雰囲気下で熱処理を施している。有機酸は、木材の着色を促進するだけでなく、木材の非結晶領域の分解を促進することができるため、当該非結晶領域の分解を低温で進行させることが可能となる。
ここで、木材を熱処理した場合、高温処理による分解反応が起きるため、通常、体積の収縮が生じる可能性がある。しかし、本実施形態の着色木材の製造方法では、寸法安定化効果がある有機酸を木材に含浸しているため、不活性雰囲気下で熱処理した場合でも、木材の収縮を抑制することが期待できる。さらに、熱処理された木材は、一般的に粘りが低下した材料となる。これは木材の粘りを起こしている非結晶領域、つまり水が吸着しやすい場所が分解されてしまうためである。しかし、本実施形態の着色木材は、少なくとも有機酸が含浸されており、さらに糖類も含浸されている場合がある。このような有機酸及び糖類は、セルロースの繊維間に侵入して、木材に柔軟性を付与する効果もある。そのため、本実施形態の着色木材は、一般的な熱処理木材に比べて粘りを維持することが期待できる。
このように、本実施形態の着色木材の製造方法は、有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程と、を含む。当該製造方法は、さらに水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させる工程と、水蒸気処理したブロック状の木材を乾燥させた後、不活性雰囲気下で加熱する工程と、を含む。そして、水蒸気処理における温度は110℃以上160℃以下であり、圧力は当該温度における飽和水蒸気圧である。
本実施形態の製造方法では、有機酸及び水蒸気処理により、木材の組成成分の加水分解が促進され、木材を鮮やかな色に濃色化することができる。さらに、本実施形態の製造方法では、不活性雰囲気下での熱処理により、腐朽の起点となる非結晶領域が分解して減少させているため、着色木材の耐朽性を高めることができる。
本実施形態の着色木材の製造方法において、不活性雰囲気は窒素雰囲気又は過熱水蒸気雰囲気であることが好ましい。
なお、本実施形態の着色木材は鮮やかな色に濃色化されており、さらに耐朽性も高いため、外装材、ウッドデッキなどのエクステリアの用途に用いることができる。
以下、本実施形態における着色木材の製造方法を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(試験サンプルの調製)
まず、木材として、幅が100mm、長さが300mm、厚みが28mmのイエローバーチの乾燥材(KD材)を4枚準備した。なお、当該木材は、幅が100mm、長さが1200mm、厚みが28mmのイエローバーチのKD材を四等分することにより得たものである。
次に、有機酸であるコハク酸、糖類であるマルトース及び水を表1に示す割合で混合することにより、実施例1-1、実施例1-2及び比較例1-2の水溶液を調製した。なお、実施例1-2の水溶液は、有機酸と糖類が合計で20質量%の水溶液である。また、比較例1-1は、有機酸及び糖類は使用せず、水のみとした。
Figure 0007569991000001
次いで、実施例1-1、実施例1-2及び比較例1-2の水溶液、並びに比較例1-1の水をそれぞれ耐圧容器内に入れ、上述のイエローバーチKD材を一枚ずつ浸漬した。そして、イエローバーチKD材を水溶液に浸漬させた状態で、雰囲気圧力を0.3MPaとして1時間保持する加圧含浸処理を行った。
次に、含浸処理後の各イエローバーチ材を水溶液から取り出した後、耐圧容器を用いて、水蒸気処理を行った。なお、水蒸気処理は、イエローバーチ材が湿潤した状態で行った。また、水蒸気処理において、温度は140℃とし、圧力はこの温度における飽和水蒸気圧とし、時間は90分とした。
そして、水蒸気処理後の各イエローバーチ材を、4日間自然乾燥させた後、さらに50℃で24時間乾燥させることにより、実施例1-1、実施例1-2、比較例1-1及び比較例1-2の各試験サンプルを得た。
(評価)
上述のようにして得られた実施例1-1、実施例1-2、比較例1-1及び比較例1-2の各試験サンプルについて、寸法変化率及び表面の色を測定した。
<寸法変化率測定>
各試験サンプルに関し、水溶液含浸前のイエローバーチKD材の幅寸法と、水蒸気処理及び乾燥後のサンプルの幅寸法を測定した。そして、次の数式1より、各試験サンプルの寸法変化率を求めた。各試験サンプルの寸法変化率を表2に示す。
[数1]
寸法変化率(%)=[(水溶液含浸前の幅寸法)-(乾燥後の幅寸法)]/[水溶液含浸前の幅寸法]×100
Figure 0007569991000002
<測色>
色差計を用いて、各試験サンプルの表面の明度L、及び色相と彩度を示す色度a,bを測定した。なお、明度L及び色度a,bは、各試験サンプルの濃色部(心材)と淡色部(辺材)を3箇所ずつ測定した平均値とした。各試験サンプルの表面の明度L及び色度a,bの測定結果を表2に合わせて示す。
表2に示すように、実施例1-1の試験サンプルは、比較例1-1の試験サンプルと寸法変化率が殆ど変わらないが、明度Lが低下している。ここで、木材を熱処理により濃色化した場合、木材の表面は明度Lが低下することが知られている。そのため、同じ水蒸気処理条件でも、有機酸を使用した実施例1-1は、熱着色が促進されることが分かる。また、実施例1-1の試験サンプルは有機酸による熱着色が促進されているにも関わらず、実施例1-1と比較例1-1の各試験サンプルは寸法変化率が同程度である。そのため、有機酸により、木材の寸法安定化効果も発現すると考えられる。
ここで、表2に示すように、実施例1-2の試験サンプルは、比較例1-1の試験サンプルに比べて寸法変化率が良好となっている。これは糖類の含浸による寸法安定化効果である。そして、実施例1-2の試験サンプルは、比較例1-1及び比較例1-2の各試験サンプルよりも濃色化している。このことから、有機酸と糖類の両方を含む水溶液を使用することにより、木材の熱着色が促進され、さらに寸法安定性も向上することが分かる。
[実施例2]
まず、実施例1と同様に、幅が75mm、長さが300mm、厚みが28mmのイエローバーチの乾燥材(KD材)を複数枚準備した。さらに、幅が75mm、長さ300mm、厚みが28mmのイエローバーチの生材を複数枚準備した。
次に、有機酸であるクエン酸、糖類であるスクロース及び水を表3に示す割合で混合することにより、実施例2-1及び実施例2-2の水溶液を調製した。なお、これらの水溶液は、有機酸と糖類が合計で20質量%の水溶液である。また、比較例2-1及び比較例2-2では有機酸及び糖類は使用せず、水のみとした。
Figure 0007569991000003
次いで、実施例2-1及び実施例2-2の水溶液、並びに比較例2-1及び比較例2-2の水を、それぞれ耐圧容器内に入れ、上述のイエローバーチKD材を6枚ずつ浸漬した。そして、イエローバーチKD材を浸漬させた状態で、雰囲気圧力を0.3MPaとして1時間保持する加圧含浸処理を行った。
次に、含浸処理後の各イエローバーチ材を水溶液から取り出した後、耐圧容器を用いて水蒸気処理を行った。なお、水蒸気処理は、イエローバーチ材が湿潤した状態で行った。また、水蒸気処理において、温度は表3に示す温度とし、圧力はこの温度における飽和水蒸気圧とし、時間は75分とした。さらに、参考例として、イエローバーチの生材に対して、耐圧容器を用いて水蒸気処理を行った。なお、生材の水蒸気処理において、温度は140℃とし、圧力はこの温度における飽和水蒸気圧とし、時間は75分とした。
そして、水蒸気処理後の各イエローバーチ材を、(1)温度50℃、湿度95%、5時間;(2)温度45℃、湿度90%、118時間;(3)温度45℃、湿度79%、116時間;(4)温度50℃、湿度65%、240時間の順で乾燥させた。このようにして、実施例2-1、実施例2-2、比較例2-1、比較例2-2及び参考例の各試験サンプルを得た。
(評価)
上述のようにして得られた実施例2-1、実施例2-2、比較例2-1及び比較例2-2の各試験サンプルについて、実施例1と同様に寸法変化率を測定した。各試験サンプルの寸法変化率を表4に示す。
Figure 0007569991000004
また、実施例2-1、実施例2-2、比較例2-1、比較例2-2及び参考例の各試験サンプルについて、実施例1と同様に、表面の明度L及び色度a,bを測定した。各試験サンプルの明度L及び色度a,bの最大値、最小値及び平均値を表5に示す。
Figure 0007569991000005
表4より、実施例2-1及び実施例2-2の試験サンプルは、比較例2-1及び比較例2-2の試験サンプルに比べて寸法変化率が減少しており、寸法安定性が良好となっている。これは、上述のように、有機酸及び糖類の含浸による寸法安定化効果と考えられる。さらに、水蒸気処理条件が同じである実施例2-2及び比較例2-1を比較すると、実施例2-2の試験サンプルは、比較例2-1の試験サンプルよりも明度Lが低下している。そのため、有機酸を使用した実施例2-2は、熱着色が促進されることが分かる。
ここで、表5より、実施例2-1の明度Lは、比較例2-1と比較例2-1の間の数値となっている。そして、表3より実施例2-1の水蒸気処理温度は120℃であり、比較例2-1の130℃及び比較例2-2の140℃よりも10~20℃低い。これは、木材に有機酸を含浸したことで、濃色化の原因である木材成分の変性がより低温で起きたためと考えられる。このように水蒸気処理温度が低くなることにより、水蒸気処理にかかる高熱費のコストを削減することができ、さらに水蒸気処理に用いる装置のスペックを下げることも可能である。
また、木材の熱着色での濃色化は、温度だけでなく、時間も重要な要因となっている。例えば、実施例2-2と同じ処理温度(130℃)で時間を短くすることにより、比較例2-1及び比較例2-2と同程度の濃色を実現することができる。そのため、有機酸を使用することにより、水蒸気処理の時間の短縮化も図ることができる。
ここで、参考例の試験サンプルは、乾燥を行っていない生材のイエローバーチ材に対して水蒸気処理を行ったものである。そして、表5では、参考例の試験サンプルに対する測色結果も示している。表5に示すように、比較例2-1及び比較例2-2の試験サンプルは、参考例の試験サンプルに比べてa値が低下していることが分かる。このことから、比較例2-1及び比較例2-2のように、一度乾燥を行った後に、水を含浸して水蒸気処理を行うと、生材の水蒸気処理品に比べて、「くすんだ色」又は「鮮やかさが無い」と評価される。
これに対して、KD材を用いた実施例2-1及び2-2の試験サンプルのa値は、生材を用いた参考例の試験サンプルと同程度か、それよりも向上している。これは、上述の実施例1の結果と合わせると、有機酸を含浸した効果であると考えられる。
[実施例3]
(試験サンプルの調製)
まず、裏表で源平の木取材であり、幅が150mmであるイエローバーチの乾燥材を切断し、幅が75mm、長さが150mm、厚みが28mmのイエローバーチKD材を複数枚準備した。次に、有機酸としてクエン酸、リンゴ酸及びコハク酸を準備し、糖類としてフルクトース(六炭糖)、マルトース(六炭糖であるグルコースの二糖類)及びキシロース(五炭糖)を準備した。
そして、図6(b)に示す有機酸及び糖類をそれぞれ水に添加して混合することにより、各水溶液を調製した。なお、これらの水溶液における有機酸及び糖類の濃度は、クエン酸及びコハク酸並びにフルクトース、マルトース及びキシロースが10質量%であり、リンゴ酸のみが5質量%である。つまり、図6(b)の上段の左端の水溶液は、10質量%のクエン酸のみ含有する有機酸水溶液を示し、上段の右端の水溶液は、10質量%のキシロースと5質量%のリンゴ酸を含有する有機酸水溶液を示す。なお、図6(b)の下段の左から4番目は、有機酸及び糖類を含まない水のみを示す。
次いで、図6(b)に示す各水溶液を、それぞれ耐圧容器内に入れ、上述のイエローバーチKD材を浸漬した。そして、イエローバーチKD材を浸漬させた状態で、雰囲気圧力を8MPaとして4時間保持する加圧含浸処理を行った。
次に、含浸処理後の各イエローバーチ材を水溶液から取り出した後、耐圧容器を用いて、水蒸気処理を行った。なお、水蒸気処理は、イエローバーチ材が湿潤した状態で行った。また、水蒸気処理において、温度は140℃とし、圧力はこの温度における飽和水蒸気圧とし、時間は90分とした。
そして、水蒸気処理後の各イエローバーチ材を、4日間自然乾燥させた後、さらに50℃で24時間乾燥させることにより、図6(b)の水溶液を用いた各試験サンプルを得た。
(評価)
上述のようにして得られた各試験サンプルについて、表面及び木口の状態を目視で観察した。具体的には、各試験サンプルの表面及び木口をプレーナーで処理した後、オイルを塗布した。その後、各試験サンプルの表面及び木口を目視で観察した。
図6(a)は、図6(b)に示す各水溶液を用いて着色処理を行った試験サンプルの表面を観察した結果を示している。具体的には、図6(a)の上段の左端の木材は、図6(b)の上段の左端の水溶液(クエン酸のみ含有する有機酸水溶液)を用いた試験サンプルの表面の観察結果を示している。図6(a)に示すように、水のみを含浸させたブランクの試験サンプル(下段の左から4番目)と比べて、有機酸のみを含む水溶液、並びに有機酸及び糖類を含む水溶液を含浸させた試験サンプルは、全体として濃色化して赤みを帯びていることが分かる。これに対し、糖類のみを含む水溶液を含浸させた試験サンプルは、ブランクの試験サンプルと略同等の色であり、着色性に差異を認めることができなかった。そのため、KD材に有機酸を含浸させて水蒸気処理を行うことにより、低温かつ短時間での濃色化ができることが分かる。
次に、上述のようにして得られた各試験サンプルについて、木口の色及び割れの状態を目視で観察した。図7(a)は、図7(b)に示す各水溶液を用いて着色処理を行った試験サンプルの木口を観察した結果を示している。図7(b)は、図6(b)と同様に、各試験サンプルに含浸させた水溶液の組成を示している。
図7(a)に示すように、水のみを含浸させたブランクの試験サンプル(右段の上から4番目)と比べて、有機酸のみを含む水溶液、並びに有機酸及び糖類を含む水溶液を含浸させた試験サンプルは、全体として濃色化して赤みを帯びていることが分かる。これに対し、糖類のみを含む水溶液を含浸させた試験サンプルは、ブランクの試験サンプルと略同等の色であることが分かる。
また、水のみを含浸させた試験サンプルは、少なくとも大きな割れ目Cが3つ発生しており、さらに細かな割れ目も複数確認できる。これに対して、有機酸のみを含む水溶液、糖類のみを含む水溶液、並びに有機酸及び糖類を含む水溶液を含浸させた試験サンプルは、ブランクの試験サンプルに比べて割れの発生が減少していることが分かる。このことから、KD材に有機酸及び/又は糖類を含浸させて水蒸気処理を行うことにより、寸法の収縮を抑制できることが分かる。
以上の結果より、KD材に有機酸を含浸させて水蒸気処理を行うことにより、低温かつ短時間での濃色を可能にしながらも、寸法の収縮を抑制できることが分かる。また、KD材に有機酸及び糖類を含浸させて水蒸気処理を行うことにより、低温かつ短時間での濃色を可能にしながらも、寸法の収縮をさらに抑制できることが分かる。そして、この効果はKD材だけでなく、生材の水蒸気処理においても同様の効果が得られる。なお、木材に含浸できる有機酸及び糖類は多様に存在するため、これらの組み合わせ及び適用樹種により熱処理時の色変化を把握して適用すればよい。
[実施例4]
(試験サンプルの調製)
まず、実施例1と同様に、幅が100mm、長さが300mm、厚みが28mmのイエローバーチの乾燥材(KD材)を準備した。次に、実施例2-1と同じ工程により、有機酸及び糖類の含浸、水蒸気処理、並びに乾燥を行った。次いで、乾燥後の木材に対して、耐圧容器を用いて窒素ガス雰囲気下で170℃、24時間の加熱処理を行った。このようにして、実施例4-1の試験サンプルを得た。
また、幅が100mm、長さ300mm、厚みが28mmのイエローバーチの生材を準備した。次に、実施例2の参考例と同じ工程により、水蒸気処理及び乾燥を行った。次いで、乾燥後の木材に対して、耐圧容器を用いて窒素ガス雰囲気下で170℃、24時間の加熱処理を行った。このようにして、比較例4-1の試験サンプルを得た。なお、比較例4-1は、Platoウッドに類似の処理を行ったサンプルである。表6では、使用木材、有機酸及び糖類の含浸条件、水蒸気処理条件、並びに窒素ガス雰囲気下での熱処理条件を纏めて示す。
Figure 0007569991000006
(評価)
実施例4-1及び比較例4-1の試験サンプル(試験体)について、JIS K1571:2010(木材保存剤-性能基準及びその試験方法)の「5.2 防腐性能」、「5.2.1 室内試験」、「5.2.1.1 注入処理用」に準拠して、耐朽性の評価を行った。なお、耐候操作は行わず、抗菌操作及び補正操作を実施した。さらに、対照試験体として、スギ辺材についても同じ評価を行った。
そして、抗菌操作又は補正操作の前後における試験体の質量から、数式2及び数式3に基づき質量減少率を算出した。
[数2]
抗菌操作による質量減少率(%)
=[(抗菌操作前の質量-抗菌操作後の質量)/(抗菌操作前の質量)]×100
[数3]
補正操作による質量減少率(%)
=[(補正操作前の質量-補正操作後の質量)/(補正操作前の質量)]×100
なお、熱処理した試験体(実施例4-1及び比較例4-1の試験サンプル)の補正後の質量減少率は、抗菌操作試験体の質量減少率から補正操作試験体の平均質量減少率を減じたものとした。評価結果を表7に纏めて示す。
Figure 0007569991000007
表7に示すように、供試菌がオオウズラタケの場合、実施例4-1の試験サンプルの質量減少率は9%であったのに対して、比較例4-1の試験サンプルの質量減少率は57%であり、対照試験体の質量減少率は64%であった。また、供試菌がカワラタケの場合、実施例4-1の試験サンプルの質量減少率は1%であったのに対して、比較例4-1の試験サンプルの質量減少率は7%であり、対照試験体の質量減少率は36%であった。
このように、実施例4-1の試験サンプルは、比較例4-1の試験サンプルと比較して、質量減少率が大幅に低下していることから、耐朽性が大きく向上していることが分かる。さらに、表6に示すように、実施例4-1における不活性雰囲気下の処理温度は、比較例4-1よりも30℃低いにもかかわらず、耐朽性が向上していることから、有機酸により木材の非結晶領域の分解が促進されたものと推測される。
なお、JIS K1571において、オオウズラタケ及びカワラタケの両方に対して質量減少率が3%以下ならば防腐性能の基準を満たすため、防腐性能がある材料として認められる。そして、実施例4-1の試験サンプルは、カワラタケについては基準を満たしているものの、オオウズラタケについては基準を満たすために更なる検討が必要となる。ただ、Platoウッドに類似の処理を行った比較例4-1の試験サンプルに比べて、実施例4-1の試験サンプルは防腐性能が高まっていることから、本実施形態の着色木材はPlatoウッドよりも耐朽性が向上していると推測される。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
特願2021-010556号(出願日:2021年1月26日)の全内容は、ここに援用される。
本開示によれば、乾式処理よりも鮮やかに着色しつつも、着色時における木材の割れを低減することができ、さらに着色処理条件を緩和することが可能な着色木材の製造方法を提供することができる。
1 ブロック状の木材
2 集成材
10 突板

Claims (11)

  1. 有機酸を含有する有機酸水溶液を、ブロック状の木材に含浸させる工程と、
    前記有機酸水溶液を含浸した湿潤状態のブロック状の前記木材を、湿潤状態のまま、高温高圧で水蒸気処理する工程と、
    を含み、
    前記水蒸気処理における温度は110℃以上160℃以下であり、圧力は前記温度における飽和水蒸気圧である、着色木材の製造方法。
  2. 前記有機酸水溶液は、糖類をさらに含有する、請求項1に記載の着色木材の製造方法。
  3. 前記有機酸は、2価以上のカルボン酸である、請求項1又は2に記載の着色木材の製造方法。
  4. 前記カルボン酸は、クエン酸、リンゴ酸及びコハク酸からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の着色木材の製造方法。
  5. 前記有機酸水溶液において、前記有機酸の含有量は3~30質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の着色木材の製造方法。
  6. 前記糖類は、フルクトース、マルトース、キシロース及びスクロースからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の着色木材の製造方法。
  7. 前記有機酸水溶液において、前記糖類の含有量は3~30質量%である、請求項2又は6に記載の着色木材の製造方法。
  8. 前記水蒸気処理したブロック状の前記木材を乾燥させる工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の着色木材の製造方法。
  9. 前記水蒸気処理したブロック状の前記木材をスライスすることにより、突板を得る工程をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の着色木材の製造方法。
  10. 前記水蒸気処理したブロック状の前記木材を乾燥させた後、不活性雰囲気下で加熱する工程をさらに含む、請求項8に記載の着色木材の製造方法。
  11. 前記不活性雰囲気は窒素雰囲気又は過熱水蒸気雰囲気である、請求項10に記載の着色木材の製造方法。
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