以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
第一の実施形態
図1は、第一の実施形態にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。図2は、第一の実施形態にかかる波長変更部14の平面図である。図3は、第一の実施形態にかかる第一パルスP1、第二パルス(波長変換前)P2a、第二パルス(波長変換後)P2b、第三パルスP3のタイミングチャートである。なお、図3においては、波長に応じて、パルスを示す線の太さおよび線の種類(実線または破線)を変えて図示している。
第一の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12、波長変更部(PPLN)14、ミラー15、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)16、フィルタ(F)172、174、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bを備える。
励起レーザ(パルスレーザ出力部)10は、所定の波長W1[nm]のレーザ光を、所定の周波数(例えば、2kHz)の第一パルスP1(図3参照)として出力する。励起レーザ10は、例えば、Yb:YAGレーザである。
音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12は、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて2つの光路OP1、OP2のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。なお、2つの光路OP1、OP2は、それぞれ、音響光学変調器12の0次光の光路および1次光の光路である。音響光学変調器12の回折効率ηが0の場合は、第一パルスP1は、光路OP1のみを進行する。回折効率ηが0を超える場合は、第一パルスP1は、光路OP1および光路OP2を進行する。音響光学変調器12が受けた第一パルスP1のパワーをIとすると、光路OP1にはパワーI・(1-η)のパルスが進行し、光路OP2にはパワーI・ηのパルスが進行する。
このように、音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12は、進行光であって2つの光路OP1、OP2のうちの一方OP1を進行するものの第一パワーI・(1-η)と、進行光であって2つの光路OP1、OP2のうちの他方OP2を進行するものの第二パワーI・ηとの比であるパワー比(1-η:η)を変更することができる。なお、進行光とは、2つの光路OP1、OP2の各々を進行した光である。
音響光学変調器12には、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120から回折効率制御信号が与えられる。回折効率ηは、回折効率制御信号のパワーPにより変化する。回折効率制御信号のパワーPは、0以上Pmax以下である。回折効率制御信号は、図示省略したトランスデューサにより、電気信号から音響波に変化して、音響光学変調器12に与えられる。
図6は、回折効率制御信号のパワーPと、回折効率ηとの関係を示す図である。回折効率制御信号のパワーPが0[W]の場合、回折効率η=0となる。0<P<P0において、回折効率ηは単調増加する。P=P0のときに、ηは最大値ηmaxをとる。P0<P<Pmaxにおいて、回折効率ηは単調減少する。
図15は、波長変更部(PPLN)14の出力が光路OP1から出力される場合の第一パワーI・(1-η)および第二パワーI・ηを示す図である。図16は、波長変更部(PPLN)14の出力が光路OP2から出力される場合の第一パワーI・(1-η)および第二パワーI・ηを示す図である。
図15を参照して、回折効率η=0(図15(a)参照)の場合、第一パワーはI、第二パワーは0となる。回折効率η=η11(>0)(図15(b)参照)の場合、第一パワーはI(1-η11)、第二パワーはI・η11となる。回折効率η=η21(>η11)(図15(c)参照)の場合、第一パワーはI(1-η21)、第二パワーはI・η21となる。このように、回折効率ηが増加するにつれて、第一パワーが減少していく。
図16を参照して、回折効率η=ηmax(図16(a)参照)の場合、第一パワーはI(1-ηmax)、第二パワーはI・ηmaxとなる。回折効率η=η12(<ηmax)(図16(b)参照)の場合、第一パワーはI(1-η12)、第二パワーはI・η12となる。回折効率η=η22(<η12)(図16(c)参照)の場合、第一パワーはI(1-η22)、第二パワーはI・η22となる。このように、回折効率ηが減少するにつれて、第二パワーが減少していく。
音響光学変調器12と波長変更部(PPLN)14との間に図示省略した光減衰器を設けてもよい。
波長変更部(PPLN)14は、2つの光路OP1、OP2の各々を進行した進行光(である第二パルスP2a)を受け、進行光のパワーが発振閾値(後述する)を超えた場合に、それぞれ異なった波長に変更して出力する。波長変更部14の出力が、第二パルス(波長変換後)P2bである。なお、波長変更部(PPLN)14は、PPLNである。また、波長変更部14は、OPO(光パラメトリック発振)またはOPG(光パラメトリック発生)である。
図9は、波長変更部(PPLN)14の励起光エネルギとシグナル光エネルギとの関係を示す図である。ただし、励起光は光路OP1、OP2から与えられ、シグナル光は光路OP1、OP2から出力される。すると、光路OP1から与えられる励起光(進行光)は音響光学変調器12の0次光であり、この励起光により生じるシグナル光(波長変更部14の出力)が光路OP1から出力される。また、光路OP2から与えられる励起光(進行光)は音響光学変調器12の1次光であり、この励起光により生じるシグナル光(波長変更部14の出力)が光路OP2から出力される。
波長変更部14は、OPOまたはOPGであるため、発振閾値が存在する。すなわち、励起光エネルギ(進行光のパワー)が発振閾値を超えると、シグナル光(波長変更部14の出力)が出力される。励起光エネルギが発振閾値を超えている場合、励起光エネルギが大きくなれば、シグナル光のエネルギも増大する。
なお、光路OP1から与えられる励起光(0次光)の発振閾値は、光路OP2から与えられる励起光(1次光)の発振閾値よりも大きい。ただし、これは一例に過ぎず、励起光(0次光)の発振閾値が、励起光(1次光)の発振閾値よりも小さい場合もあり得る。また、励起光(0次光)の発振閾値が、励起光(1次光)の発振閾値と等しい場合もあり得る。
なお、上記のように、光路OP1、OP2ごとに、発振閾値が定まっている。
音響光学変調器12は、進行光のうちいずれか一つの光路(OP1またはOP2)を進行した進行光のみのパワー(第一パワーI・(1-η)または第二パワーI・η)が、発振閾値を超えるようにする。
例えば、図15に示すような場合は、光路OP1を進行した進行光のみのパワー(第一パワーI・(1-η))が、発振閾値を超えるようにする。
回折効率η=0(図15(a)参照)の場合、第一パワーIが発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ01となり、光路OP1より出力される。第二パワー0は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP2より出力されることはない。
回折効率η=η11(>0)(図15(b)参照)の場合、第一パワーはI(1-η11)、第二パワーはI・η11となる。第一パワーI(1-η11)が発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ11となり、光路OP1より出力される。なお、回折効率η=0の場合に比べて、第一パワーがI・η11だけ小さくなるため、波長変更部14の出力J11もJ01より小さくなる。また、第二パワーI・η11は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP2より出力されることはない。
回折効率η=η21(>η11)(図15(c)参照)の場合、第一パワーはI(1-η21)、第二パワーはI・η21となる。第一パワーI(1-η21)が発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ21となり、光路OP1より出力される。なお、回折効率η=η11の場合に比べて、第一パワーがI・(η21-η11)だけ小さくなるため、波長変更部14の出力J21もJ11より小さくなる。また、第二パワーI・η21は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP2より出力されることはない。
このように、音響光学変調器12は、第一パワーI・(1-η)が発振閾値を超える場合に、パワー比(1-η:η)を二種類以上とることができるようする。例えば、パワー比を、1:0(図15(a)参照)、1-η11:η11(図15(b)参照)、1-η21:η21(図15(c)参照)とすることができる。これにより、波長変更部14の出力をJ01(図15(a)参照)からJ11(図15(b)参照)へ、J11(図15(b)参照)からJ21(図15(c)参照)へと減衰させることができる。
パワー比は最低二種類とることができればよく、例えば、パワー比を、1-η11:η11(図15(b)参照)、1-η21:η21(図15(c)参照)とすることも考えられる。これにより、波長変更部14の出力をJ11(図15(b)参照)からJ21(図15(c)参照)へと減衰させることができる。
例えば、図16に示すような場合は、光路OP2を進行した進行光のみのパワー(第二パワーI・η)が、発振閾値を超えるようにする。
回折効率η=ηmax(図16(a)参照)の場合、第二パワーはI・ηmaxが発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ02となり、光路OP2より出力される。第一パワーI(1-ηmax)は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP1より出力されることはない。
回折効率η=η12(<ηmax)(図16(b)参照)の場合、第一パワーはI(1-η12)、第二パワーはI・η12となる。第二パワーI・η12が発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ21となり、光路OP2より出力される。なお、回折効率η=ηmaxの場合に比べて、第二パワーがI・(ηmax-η12)だけ小さくなるため、波長変更部14の出力J12もJ02より小さくなる。また、第一パワーI(1-η12)は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP1より出力されることはない。
回折効率η=η22(<η12)(図16(c)参照)の場合、第一パワーはI(1-η22)、第二パワーはI・η22となる。第二パワーI・η22が発振閾値を超え、波長変更部14の出力はJ22となり、光路OP2より出力される。なお、回折効率η=η12の場合に比べて、第二パワーがI・(η12-η22)だけ小さくなるため、波長変更部14の出力J22もJ12より小さくなる。また、第一パワーI(1-η22)は発振閾値未満であるため、波長変更部14の出力が光路OP1より出力されることはない。
このように、音響光学変調器12は、第二パワーI・ηが発振閾値を超える場合に、パワー比(1-η:η)を二種類以上とることができるようする。例えば、パワー比を、1-ηmax:ηmax(図16(a)参照)、1-η12:η12(図16(b)参照)、1-η22:η22(図16(c)参照)とすることができる。これにより、波長変更部14の出力をJ02(図16(a)参照)からJ12(図16(b)参照)へ、J12(図16(b)参照)からJ22(図16(c)参照)へと減衰させることができる。
パワー比は最低二種類とることができればよく、例えば、パワー比を、1-η12:η12(図16(b)参照)、1-η22:η22(図16(c)参照)とすることも考えられる。これにより、波長変更部14の出力をJ12(図16(b)参照)からJ22(図16(c)参照)へと減衰させることができる。
ここで、図1および図3を参照して、音響光学変調器12が第一パルスP1の奇数番目(1、3、…番目)のパルスを受けた時点では、光路OP1を進行した進行光のみのパワー(第一パワーI・(1-η))が、発振閾値を超えるようにする。光路OP2を進行した進行光のパワー(第二パワーI・η)は発振閾値未満となる。例えば、音響光学変調器12が第一パルスP1の1番目のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η11:η11(図15(b)参照)とする。音響光学変調器12が第一パルスP1の3番目のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η21:η21(図15(c)参照)とする。
また、音響光学変調器12が第一パルスP1の偶数番目(2、4、…番目)のパルスを受けた時点では、光路OP2を進行した進行光のみのパワー(第二パワーI・η)が、発振閾値を超えるようにする。光路OP1を進行した進行光のパワー(第一パワーI・(1-η))は発振閾値未満となる。例えば、音響光学変調器12が第一パルスP1の2番目のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η12:η12(図16(b)参照)とする。音響光学変調器12が第一パルスP1の4番目のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η22:η22(図16(c)参照)とする。
これにより、音響光学変調器12は、複数の光路OP1、OP2の各々から、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(2個)で割った値の周波数(1kHz)を有し、かつそれぞれ位相が180度異なるパルスである第二パルス(波長変換前)P2aを出力する(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
タイミング制御回路(タイミング制御部)19は、音響光学変調器(光路決定部)12の出力を、第一パルスP1の出力のタイミングに合わせる。タイミングを合わせた結果は、図3を参照して上述したとおりである。なお、タイミング制御回路19は、励起レーザ(パルスレーザ出力部)10から、第一パルスP1の出力のタイミングに同期した信号を受け、この信号に基づき、音響光学変調器12の出力タイミングを制御する。
図3を参照して、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値を超えている1、3、…番目のパルス)を受けて、第二パルスP2b(波長W2[nm])に変換する。ただし、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値未満の2、4、…番目のパルス)を受けても、第二パルスP2b(波長W2[nm])を出力することはない。
また、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値を超えている2、4、…番目のパルス)を受けて、第二パルスP2b(波長W3[nm])に変換する。ただし、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値未満の1、3、…番目のパルス)を受けても、第二パルスP2b(波長W2[nm])を出力することはない。
図10は、回折効率制御信号のパワーPと、第二パルスP2bのパワーとの対応関係を示す図である。回折効率制御信号のパワーPが0のときは、回折効率η=0であり(図6参照)、第二パルスP2b(光路OP1を進行するもの)のパワーはJ01となる(図15(a)参照)。パワーPが増大するにつれて、回折効率ηが増加し(図6参照)、第二パルスP2b(光路OP1を進行するもの)のパワーは減少していく(図15参照)。やがて、第二パルスP2a(光路OP1を進行したもの)が発振閾値以下となり、第二パルスP2b(光路OP1を進行するもの)は出力されなくなる。
また、パワーPが増大するにつれて、回折効率ηが増加し(図6参照)、第二パルスP2a(光路OP2を進行したもの)が発振閾値を超えるようになり、第二パルスP2b(光路OP2を進行するもの)が出力されるようになる(図16参照)。
第二パルスP2bが光路OP1のみを進行する(光路OP2は進行しない)場合の、第二パルスP2bのパワーの範囲を出力範囲1という。光路OP1のみを進行する第二パルスP2bのパワーを、出力範囲1内で調整できる。
第二パルスP2bが光路OP2のみを進行する(光路OP1は進行しない)場合の、第二パルスP2bのパワーの範囲を出力範囲2という。光路OP2のみを進行する第二パルスP2bのパワーを、出力範囲2内で調整できる。
図2を参照して、波長変更部14は、LN結晶基板142、分極反転部144を有する。なお、図2においては、図示の便宜上、図1とは異なり、LN結晶基板142のx軸方向を紙面の横方向とを平行に図示している。
分極反転部144は、進行光(である第二パルスP2a)が伝播するものである。分極反転部144は、光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播するものと、光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播するものとがある。なお、分極反転部144は、図2おいては、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)であるが、これに限らず、例えば、PPLT(リチウムタンタレート)またはPPKTPでもよい。
光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144は、所定の間隔D1をあけて配置されている。光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144は、所定の間隔D2をあけて配置されている。所定の間隔は進行光ごとに異なる。すなわち、所定の間隔D1と、所定の間隔D2とは異なる。
LN結晶基板142には、分極反転部144が形成されている。LN結晶基板142は、ただ一つであり、分極反転部144の全てが形成されている。なお、第一の実施形態においては、LN結晶基板142は、LN結晶基板でなくとも、非線形光学結晶基板であればよい。他の実施形態においても同様に、LN結晶基板にかえて、非線形光学結晶基板を使用できる。
光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144の図心144cは、LN結晶基板142のx軸に平行な直線上に配置されている。光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144の図心144cも、LN結晶基板142のx軸に平行な直線上に配置されている。なお、分極反転部144の図心144cは、分極反転部144に均一に重力が作用しているとした場合の重心と一致する。
ミラー15は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP2を進行したものを受け、ダイクロイックミラー16に向けて反射する。
ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)16は、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP1を進行したものを、波長変更部14から受ける。ダイクロイックミラー16は、さらに、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP2を進行したものを、ミラー15から受ける。さらに、ダイクロイックミラー16は、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したものとを合波し、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3を出力する。
ただし、波長変更部14の出力には、励起レーザ10の出力する波長W1[nm]のレーザ光(励起光)と、波長変更部14によって生じる赤外域のアイドラ光とが混入している。なお、レーザ光(励起光)を波長変更部14に与えると、光パラメトリック発生により、シグナル光と上述のアイドラ光とが生じる。シグナル光が、波長変更部14の出力(第二パルス(波長変換後)P2b)である(他の実施形態の波長変更部においても同様)。
フィルタ(F)172、174は、それぞれ、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP1、OP2を進行したものから、ポンプ光およびアイドラ光を除去して、ダイクロイックミラー16、ミラー15に出力する。なお、ポンプ光およびアイドラ光がフォトダイオード132a、132bに入らないようにするために、フィルタ172、174は、それぞれ、ハーフミラー130a、130bと波長変更部14との間に配置されている。
光ファイバ(MMF)18は、ダイクロイックミラー16の出力する第三パルスP3をその一端で受け、他端から出力する。
ハーフミラー130a、130bは、それぞれ、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP1、OP2を進行したものの一部を反射して、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bに与える。
フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bは、それぞれ、ハーフミラー130a、130bを介して受けた波長変更部14の出力を測定する。
回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120は、音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12に、回折効率制御信号(パワー比変更信号)を与える。回折効率制御信号により、回折効率ηが変動し、ひいては、パワー比(1-η:η)が変動する。
図7は、回折効率制御部120の構成を示す機能ブロック図である。回折効率制御部120は、搬送波源122、変調信号出力部124、ミキサ(混合器)126、アンプ(振幅変更器)128a、128bを有する。
搬送波源122は、搬送波を出力する。変調信号出力部124は、電圧が可変な変調信号を出力する。ミキサ(混合器)126は、搬送波と、変調信号とを混合して、被変調信号を出力する。ミキサ126は、LOポート、IFポート、RFポートを有している。例えば、LOポートには搬送波を与え、IFポートには変調信号を与え、RFポートから被変調信号を出力するようにすることが考えられる。アンプ(振幅変更器)128a、128bは、被変調信号の振幅を変更して回折効率制御信号(パワー比変更信号)を出力する。
図8は、変調信号の電圧と、回折効率制御信号のパワーPとの対応関係を示す図である。変調信号の電圧が0から増加するにしたがい、回折効率制御信号のパワーPも0からPmaxまで増加する。
このように、変調信号の電圧を変更することにより、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)を変更することができる。例えば、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120の変調信号出力部124が、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bの測定結果に基づき、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)の大きさを変更し、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)を変更する。
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
まず、励起レーザ10が、所定の波長W1[nm]のレーザ光を、所定の周波数(例えば、2kHz)の第一パルスP1(図3参照)として出力する。第一パルスP1は、音響光学変調器12に与えられる。タイミング制御回路19が、音響光学変調器12の出力タイミング(図3参照)を制御する。
また、回折効率制御部120が、回折効率制御信号を、音響光学変調器12に与えて、回折効率ηを調整する(図6参照)。
音響光学変調器12が、第一パルスP1の奇数番目(1、3、…番目)のパルスを受けた時点では、光路OP1を進行した進行光のみのパワー(第一パワーI・(1-η))が、発振閾値を超えるようにする。よって、光路OP1を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(2個)で割った値の周波数(1kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
音響光学変調器12が、第一パルスP1の偶数番目(2、4、…番目)のパルスを受けた時点では、光路OP2を進行した進行光のみのパワー(第二パワーI・η)が、発振閾値を超えるようにする。よって、光路OP2を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(2個)で割った値の周波数(1kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
しかも、光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは180度異なる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)は、波長変更部14において所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW2[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、ダイクロイックミラー16に与えられる。
光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)は、波長変更部14において所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW3[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、ミラー15により反射されてから、ダイクロイックミラー16に与えられる。
波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、波長W2[nm]のものと、波長W3[nm]のものとがダイクロイックミラー16により合波され、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3となる。
第三パルスP3は、光ファイバ18の一端に与えられ、他端から出力される。
なお、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bは、ハーフミラー130a、130bを介して、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bに与えられる。フォトダイオード132a、132bの測定結果に応じて、回折効率制御部120が、音響光学変調器12に与える回折効率制御信号の大きさを決定する。
第一の実施形態によれば、第三パルスP3を、光ファイバ18から出力することができる。第三パルスP3は、波長W2[nm]のパルス光が照射されてから、すぐに(例えば、500マイクロ秒)別の波長W3[nm]のパルス光を照射されるものである。すなわち、第一の実施形態によれば、ある波長のパルス光を照射してから、すぐに別の波長のパルス光を照射することができる。
また、第一の実施形態によれば、図15を参照して、光路OP2を進行した進行光のパワー(第二パワーI・η)を大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP2から出力されないようにする)、光路OP1を進行した進行光のパワー(第一パワーI・(1-η))を小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1より)を減衰させることにより、レーザ光出力装置1の出力(第三パルスP3)の調整ができる。
さらに、第一の実施形態によれば、図16を参照して、光路OP1を進行した進行光のパワー(第一パワーI・(1-η))を大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP1から出力されないようにする)、光路OP2を進行した進行光のパワー(第二パワーI・η)を小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP2より)を減衰させることにより、レーザ光出力装置1の出力(第三パルスP3)の調整ができる。
このような波長変更部14の出力の減衰は、1/2波長板および偏光子を有する可変光アッテネータにおいて1/2波長板をモータにより回転させる場合に比べて(特許文献3を参照)、高速かつ小型の装置で行うことができる。
第一変形例
なお、第一の実施形態においては、分極反転部144の図心144cが、LN結晶基板142のx軸に平行な直線上に配置されているが(図2参照)、分極反転部144の図心144cの配置については、以下のような変形例が考えられる。
図4は、第一の実施形態の第一変形例にかかる波長変更部14の平面図である。なお、図4においては、図示の便宜上、図1とは異なり、図2と同様に、LN結晶基板142のx軸方向を紙面の横方向とを平行に図示している。
図4を参照して、第一の実施形態の第一変形例にかかる波長変更部14においては、進行光(光路OP1を進行する第二パルスP2a)が伝播する分極反転部144が、所定の間隔D1をあけて配置されおり、その図心144cが進行光(光路OP1を進行する第二パルスP2a)の進行方向に平行な直線上(例えば、進行方向上)に配置されている。また、進行光(光路OP2を進行する第二パルスP2a)が伝播する分極反転部144が、所定の間隔D2をあけて配置されおり、その図心144cが進行光(光路OP2を進行する第二パルスP2a)の進行方向に平行な直線上(例えば、進行方向上)に配置されている。
上記のような第一の実施形態の第一変形例によれば、分極反転部144の縦の長さ(Y軸方向の長さ)を、第一の実施形態の場合に比べて、短くすることができる。
また、第一の実施形態においては、波長変更部14に分極反転部144を設けることとされているが(図2および図4参照)、分極反転部144を設けないで、進行光が伝播する非線形光学結晶を有する変形例も考えられる。例えば、波長変更部14を、BPM(複屈折位相整合)によるOPO(光パラメトリック発振)、SHG(第2高調波発生)またはTHG(第3高調波発生)などとすることができる。
第二変形例
なお、第一の実施形態においてはLN結晶基板142が一つしかないが、LN結晶基板を伝播する進行光ごとに設ける変形例が考えられる。
図5は、第一の実施形態の第二変形例にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。第一の実施形態と相違する部分は、ロンボイドプリズム131、波長変更部(PPLN)14a、14bであり、他の部分は第一の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
ロンボイドプリズム131は、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP2を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP1から離れるように変更する。
波長変更部(PPLN)14aは、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])を音響光学変調器12から受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W2[nm])に変換する。波長変更部14aの構成は、図2または図4のうち、所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
波長変更部(PPLN)14bは、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])をロンボイドプリズム131から受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W3[nm])に変換する。波長変更部14bの構成は、図2または図4のうち、所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
なお、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板とは別のものである。すなわち、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板とは、伝播する進行光(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したもの)ごとに設けられている。
第一の実施形態の第二変形例によれば、LN結晶基板が、伝播する進行光(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したもの)ごとに設けられているので、所定の間隔D1およびD2に応じた分極反転部144の製造条件を設定でき、波長変更部14a、14bの製造が容易となる。
第三変形例
なお、第一の実施形態においては、ある波長W2[nm]の「一つ」のパルス光を照射してから、すぐに別の波長W3[nm]の「一つ」のパルス光を照射する(図3のP3参照)が、ある波長W2[nm]の「複数」のパルス光(所定時間範囲TR1内)を照射してから、すぐにある波長W3[nm]の「複数」のパルス光(所定時間範囲TR2内)を照射する(図11のP3参照)ような変形例が考えられる。
また、この変形例にかかるレーザ光出力装置1は、第一パルスP1の周波数が一定しない点が、第一パルスP1の周波数が一定である(例えば、2kHz)第一の実施形態と異なる。
図11は、第一の実施形態の第三変形例にかかる第一パルスP1、第二パルス(波長変換前)P2a、第二パルス(波長変換後)P2b、第三パルスP3のタイミングチャートである。なお、図11においては、波長に応じて、パルスを示す線の太さおよび線の種類(実線または破線)を変えて図示している。また、図11においては、回折効率η=η11、η12の場合を図示している。
励起レーザ(パルスレーザ出力部)10は、所定の波長W1[nm]のレーザ光を、第一パルスP1(図11参照)として出力する。励起レーザ10は、例えば、Yb:YAGレーザである。図11を参照して、第一パルスP1は、所定時間範囲TR1、TR2ごとに出力される疑似ランダム信号(例えば、M系列信号)である。なお、所定時間範囲TR1、TR2の長さは、M系列信号の1周期に相当する。また、第一パルスP1は疑似ランダム信号であるため、第一実施形態とは異なり、その周波数は一定していない。
音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12は、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて2つの光路OP1、OP2のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。
例えば、図11を参照して、音響光学変調器12が、第一パルスP1の所定時間範囲TR1内の複数のパルスを受けた時点では、光路OP1を進行した進行光のみのパワー(第一パワーI・(1-η))が、発振閾値を超えるようにする。光路OP2を進行した進行光のパワー(第二パワーI・η)は発振閾値未満となる。例えば、音響光学変調器12が第一パルスP1の所定時間範囲TR1内の複数のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η11:η11(図15(b)参照)とする。
また、音響光学変調器12が、第一パルスP1の所定時間範囲TR2内の複数のパルスを受けた時点では、光路OP2を進行した進行光のみのパワー(第二パワーI・η)が、発振閾値を超えるようにする。光路OP1を進行した進行光のパワー(第一パワーI・(1-η))は発振閾値未満となる。例えば、音響光学変調器12が第一パルスP1の所定時間範囲TR2内の複数のパルスを受けた時点では、パワー比を1-η12:η12(図16(b)参照)とする。
これにより、音響光学変調器12は、第一パルスP1の内の所定時間範囲TR1、TR2内にある複数のパルスであり、かつそれぞれ所定時間範囲が異なる(重複しない)パルスである第二パルス(波長変換前)P2a(発振閾値を超えるもののみ)を、複数の光路OP1、OP2の各々から出力する。
すなわち、音響光学変調器12は、光路OP1から、第一パルスP1の内の所定時間範囲TR1内にある複数のパルスを出力する(図9のP2a(OP1)参照)。さらに、音響光学変調器12は、光路OP2から、第一パルスP1の内の所定時間範囲TR2内にある複数のパルスを出力する(図9のP2a(OP2)参照)。第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(P2a(OP1))(発振閾値を超えるもののみ)と、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(P2a(OP2))(発振閾値を超えるもののみ)とは、所定時間範囲が異なる(重複しない)。
波長変更部(PPLN)14は、複数の光路OP1、OP2の各々を進行した進行光(である第二パルスP2a)を受け、それぞれ異なった波長に変更して出力する。波長変更部14の出力が、第二パルス(波長変換後)P2bである。
図11を参照して、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値を超えるもののみ)を受けて、第二パルスP2b(波長W2[nm])に変換する。また、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])(発振閾値を超えるもののみ)を受けて、第二パルスP2b(波長W3[nm])に変換する。
第一の実施形態の第三変形例によれば、第三パルスP3を、光ファイバ18から出力することができる。第三パルスP3は、波長W2[nm]の複数のパルス光が照射されてから、すぐに別の波長W3[nm]の複数のパルス光を照射されるものである。すなわち、第一の実施形態の第三変形例によれば、ある波長のパルス光を照射してから、すぐに別の波長のパルス光を照射することができる。
第二の実施形態
第二の実施形態にかかるにかかるレーザ光出力装置1は、第一の実施形態におけるダイクロイックミラー(合波器)(DCM)16にかえて、凸レンズ(平行化部)(L1)13、およびアクロマートレンズ(集束部)(L2)160を備えたものである。
図12は、第二の実施形態にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。図13は、第二の実施形態にかかる波長変更部14の平面図である。
第二の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12、凸レンズ(平行化部)(L1)13、波長変更部(PPLN)14、アクロマートレンズ(集束部)(L2)160、フィルタ(F)172、174、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bを備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、音響光学変調器(光路決定部)(AOM)12、フィルタ(F)172、174、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
凸レンズ(平行化部)(L1)13は、2つの光路OP1、OP2の各々を進行した進行光の進行方向を平行にする。なお、平行化部として、凸レンズ13にかえて、プリズムを用いることも可能である。
なお、凸レンズ(平行化部)13の出力の間の距離の最大値をYmaxとすれば、Ymaxは、凸レンズ13からアクロマートレンズ16までに位置する光路OP1と光路OP2との間の距離となる(図13参照)。
波長変更部(PPLN)14は、第一の実施形態と同様であるが、凸レンズ(平行化部)13の出力、すなわち2つの光路OP1、OP2の各々を進行した進行光が凸レンズ13を透過したもの(である第二パルスP2a)を受け、凸レンズ(平行化部)13の出力のパワーが発振閾値を超えた場合に、それぞれ異なった波長に変更して出力する。波長変更部14の出力が、第二パルス(波長変換後)P2bである。
なお、音響光学変調器12の出力のいずれか一つ(例えば、光路OP1を進行するもの)が、凸レンズ13の光軸を通過するようにしてもよい。この場合、凸レンズ13は、光路OP1を進行するものの進行方向を変えないが、光路OP2を進行するものの進行方向を変えて光路OP1と平行にする。
図3を参照して、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])を受けて、第二パルスP2b(波長W2[nm])に変換する(発振閾値を超えているもののみ)。また、波長変更部14は、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])を受けて、第二パルスP2b(波長W3[nm])に変換する(発振閾値を超えているもののみ)。なお、波長変更部14の発振閾値については、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する(図9参照)。
図13を参照して、波長変更部14は、LN結晶基板142、分極反転部144を有する。なお、図2においては、図1と同様に、LN結晶基板142のX軸方向を紙面の横方向とを平行に図示している。
分極反転部144は、凸レンズ13の出力(である第二パルスP2a)が伝播するものである。分極反転部144は、光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播するものと、光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播するものとがある。なお、分極反転部144は、図13おいては、PPLN(周期分極反転ニオブ酸リチウム)であるが、これに限らず、例えば、PPLT(リチウムタンタレート)またはPPKTPでもよい。
光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144は、所定の間隔D1をあけて配置されている。光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144は、所定の間隔D2をあけて配置されている。所定の間隔は凸レンズ13の出力ごとに異なる。すなわち、所定の間隔D1と、所定の間隔D2とは異なる。
LN結晶基板142には、分極反転部144が形成されている。LN結晶基板142は、ただ一つであり、分極反転部144の全てが形成されている。なお、第二の実施形態においては、LN結晶基板142は、LN結晶基板でなくとも、非線形光学結晶基板であればよい。他の実施形態においても同様に、LN結晶基板にかえて、非線形光学結晶基板を使用できる。
光路OP1を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144の図心144cは、LN結晶基板142のX軸に平行な直線上に配置されている。光路OP2を進行する第二パルスP2aが伝播する分極反転部144の図心144cも、LN結晶基板142のX軸に平行な直線上に配置されている。なお、分極反転部144の図心144cは、分極反転部144に均一に重力が作用しているとした場合の重心と一致する。
なお、波長変更部14の出力には、第二パルスP2bの他にも、励起レーザ10の出力する波長W1[nm]のレーザ光(励起光)と、波長変更部14によって生じる赤外域のアイドラ光とが混入している。なお、レーザ光(励起光)を波長変更部14に与えると、光パラメトリック発生により、シグナル光と上述のアイドラ光とが生じる。シグナル光が、波長変更部14の出力(第二パルス(波長変換後)P2b)である(他の実施形態の波長変更部においても同様)。
アクロマートレンズ(集束部)(L2)160は、波長変更部14の出力を受けて集束する。アクロマートレンズ160は、凸レンズ160a、凹レンズ160bを有する。凸レンズ160aは凹レンズ160bよりも励起レーザ10に近く配置されている。凹レンズ160bの凹面に、凸レンズ160aの凸面が接している。
アクロマートレンズ160は、第二パルスP2b(波長W2[nm])(光路OP1を進行したもの)と、第二パルスP2b(波長W3[nm])(光路OP2を進行したもの)との間の波長の違いによる焦点距離の違い(色収差)を少なくしたレンズである。
なお、波長W2[nm]と波長W3[nm]との差が小さい場合は、集束部として、アクロマートレンズ160にかえて、単一の凸レンズ160aを用いてもよい。
光ファイバ(MMF)18はコアを有し、コアは端面18Eを有する。光ファイバ18は、アクロマートレンズ160の出力を、コアの端面18Eで受ける。アクロマートレンズ160が、波長変更部14の出力を、コアの端面18Eに集束する。
波長変更部14の出力を、コアの端面18Eに集束させるためには、アクロマートレンズ160の焦点距離をfとし、光ファイバ18の開口数をNAとしたとき、NA>Ymax/(2f)であることが好ましい。
光ファイバ(MMF)18は、コアの端面18Eに集束された波長変更部14の出力(第三パルスP3)(図3参照)を、他端から出力する。
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
励起レーザ10、音響光学変調器12およびタイミング制御回路19に関する動作は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
光路OP1を進行する進行光は、凸レンズ13をその光軸方向にまっすぐ透過して、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(2個)で割った値の周波数(1kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2a(図3参照)となる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路OP2を進行する進行光は、凸レンズ13により進行方向を光路OP1と平行に変えながら凸レンズ13を透過して、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(2個)で割った値の周波数(1kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2a(図3参照)となる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
しかも、光路OP1を進行する進行光が凸レンズ13を透過したもの(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP2を進行する進行光が凸レンズ13を透過したもの(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは180度異なる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路OP1を進行する進行光が凸レンズ13を透過したもの(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)は、波長変更部14において所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW2[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2b(図3参照)となり、フィルタ172により、励起光およびアイドラ光が除去されて、アクロマートレンズ16に与えられる。
光路OP2を進行する進行光が凸レンズ13を透過したもの(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)は、波長変更部14において所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW3[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2b(図3参照)となり、フィルタ174により、励起光およびアイドラ光が除去されて、アクロマートレンズ16に与えられる。
波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、波長W2[nm]のものと、波長W3[nm]のものとがアクロマートレンズ16により光ファイバ18のコアの端面18Eに集束され、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3(図3のP3と同じ波形である)となる。
第三パルスP3は、光ファイバ18の他端から出力される。
ハーフミラー130a、130b、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bおよび回折効率制御部120に関する動作は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。
第二の実施形態によれば、第一の実施形態と同様な効果を奏する。
しかも、第二の実施形態によれば、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、波長W2[nm]のものと、波長W3[nm]のものとを合波する合波器(例えば、ダイクロイックミラー)が不要となる。ダイクロイックミラーは、光軸の調整および第二パルス(波長変換後)P2bの波長W2[nm]および波長W3[nm]の変更への対応が難しいので、ダイクロイックミラーを不要とすることで、労力の軽減を図ることができる。
なお、第二の実施形態においては、第一の実施形態の第三変形例(図11参照)と同様に、ある波長W2[nm]の「複数」のパルス光(所定時間範囲TR1内)を照射してから、すぐにある波長W3[nm]の「複数」のパルス光(所定時間範囲TR2内)を照射するようにしてもよい。
変形例
なお、第二の実施形態においてはLN結晶基板142が一つしかないが、LN結晶基板を伝播する進行光ごとに設ける変形例が考えられる。
図14は、第二の実施形態の変形例にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。第二の実施形態と相違する部分は、波長変更部(PPLN)14a、14bであり、他の部分は第二の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
波長変更部(PPLN)14aは、第二パルスP2aのうち光路OP1を進行したもの(波長W1[nm])を音響光学変調器12から凸レンズ13を介して受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W2[nm])に変換する。波長変更部14aの構成は、図13のうち、所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
波長変更部(PPLN)14bは、第二パルスP2aのうち光路OP2を進行したもの(波長W1[nm])を音響光学変調器12から凸レンズ13を介してから受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W3[nm])に変換する。波長変更部14bの構成は、図13のうち、所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
なお、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板とは別のものである。すなわち、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板とは、伝播する凸レンズ13の出力(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したもの)ごとに設けられている。
第二の実施形態の変形例によれば、LN結晶基板が、伝播する進行光(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したもの)ごとに設けられているので、所定の間隔D1およびD2に応じた分極反転部144の製造条件を設定でき、波長変更部14a、14bの製造が容易となる。
第三の実施形態
第一および第二の実施形態にかかるレーザ光出力装置1においては、光路が2つ(光路OP1および光路OP2)設けられている。したがって、光ファイバ18の他端から出力される第三パルスの波長もW2およびW3の2種類となる。
しかし、光路は2つを超えてもよい。第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1においては、光路が3つ(光路OP1、光路OP2および光路OP3)設けられており、この点が第一の実施形態と異なる。したがって、光ファイバ18の他端から出力される第三パルスの波長もW2、W3およびW4の3種類となる。
第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、光路決定部として2個の音響光学変調器(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)を用いる点が第一の実施形態にかかるレーザ光出力装置1と主に異なる。
図17は、第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。図18は、第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1における光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)の近傍の拡大図である。
第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、光減衰器(ATT)11a、11b、11c、第一音響光学変調器(AOM)12a、第二音響光学変調器(AOM)12b、ロンボイドプリズム13a、13b、波長変更部(PPLN)14a、14b、14c、ミラー154、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)162、164、フィルタ(F)172、174、176、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、レンズ(L)192、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、130c、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132b、132cを備える。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bは、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、回折効率制御部120は、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132bおよび132cの測定結果に基づき、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)の大きさを変更し、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)を変更する。
ハーフミラー130cは、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP3を進行したものの一部を反射して、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132cに与える。
フォトダイオード(出力測定部)(PD)132cは、ハーフミラー130cを介して受けた波長変更部14の出力を測定する。
励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19は、第一の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、光ファイバ(MMF)18は、ダイクロイックミラー164の出力する第三パルスP3を、レンズ(L)192を介して、その一端で受け、他端から出力する。また、タイミング制御回路19は、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)の出力タイミングを制御する。
ミラー154は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP3を進行したものを受け、ダイクロイックミラー162に向けて反射する。
ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)162は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP2を進行したものと、ミラー154からの反射光(第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP3を進行したもの)とを合波し、ダイクロイックミラー164に向けて反射する。
ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)164は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP1を進行したものと、ダイクロイックミラー162からの光(第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP2を進行したものと、光路OP3を進行したものとを合波したもの)とを合波し、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3を出力する。
光路決定部は、第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12bを有する。第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12bの平面形状は、双方ともに、長方形である。
第一音響光学変調器(AOM)12aの長い方の辺は、第一パルスP1を受ける。第一音響光学変調器(AOM)12aの短い方の辺は、光路OP2に対し、左回りにθB(ブラッグ角)だけ傾いている。
第二音響光学変調器(AOM)12bの長い方の辺は、第一音響光学変調器12aの出力を受ける。第二音響光学変調器(AOM)12bの短い方の辺は、光路OP2に対し、右回りにθB(ブラッグ角)だけ傾いている。
第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて複数の光路OP1、OP2のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。第三の実施形態においては、第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1の一つずつを、回折(光路OP1)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP2にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP2)(回折効率η=0の場合)させて出力する。
第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一音響光学変調器12aの出力を受け、第一音響光学変調器12aの出力のパルス一つずつについて一つ以上の光路OP1、OP2、OP3のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。第三の実施形態においては、第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一パルスが直進(光路OP2)したものを受けて回折(光路OP3)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP2にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP2)(回折効率η=0の場合)させて出力し、第一パルスが回折(光路OP1)したものを受けて直進(光路OP1)(回折効率η=0)させて出力する。
これにより、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)は、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて3つの光路OP1、OP2、OP3のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。
例えば、図18を参照して、光路決定部が第一パルスP1の1+3N番目(1、4、7、…番目)(ただし、Nは0以上の整数)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与えない。すると、第一パルスP1の1+3N番目のパルスは、光路OP1(図18参照)を進行する(光路OP2にも発振閾値未満のパルスが出力される)。
また、光路決定部が第一パルスP1の2+3N番目(2、5、8、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aにも、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与えない。すると、第一パルスP1の2+3N番目のパルスは、光路OP2(図18参照)を進行する。
また、光路決定部が第一パルスP1の3+3N番目(3、6、9、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aには音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与える。すると、第一パルスP1の3+3N番目のパルスは、光路OP3(図18参照)を進行する(光路OP2にも発振閾値未満のパルスが出力される)。
これにより、光路決定部は、3つの光路OP1、OP2、OP3の各々から、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(3個)で割った値の周波数(2/3kHz)を有し、かつそれぞれ位相が120度異なるパルスである第二パルス(波長変換前)P2aを出力する(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
これにより、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)は、(1)第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することにより、3つの光路OP1、OP2、OP3のうちの2つの光路(光路OP1、OP2)のうちの一方を進行するものの第一パワーと、他方を進行するものの第二パワーとの比であるパワー比を変更することができ、(2)第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、3つの光路OP1、OP2、OP3のうちの2つの光路(光路OP2、OP3)のうちの一方を進行するものの第一パワーと、他方を進行するものの第二パワーとの比であるパワー比を変更することができる。
ロンボイドプリズム13aは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP1を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP1から離れるように変更する。ロンボイドプリズム13bは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP3を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP3から離れるように変更する。
光減衰器(ATT)11a、11b、11cは、光路OP1を進行した光(ロンボイドプリズム13aの出力)、光路OP2を進行した光、光路OP3を進行した光(ロンボイドプリズム13bの出力)を減衰させて、波長変更部(PPLN)14a、14b、14cに与える。
波長変更部(PPLN)14a、14bは、第一の実施形態の第二変形例(図5参照)と同様であり、説明を省略する。
波長変更部(PPLN)14cは、第二パルスP2aのうち光路OP3を進行したもの(波長W1[nm])をロンボイドプリズム13bから受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W4[nm])に変換する。波長変更部14cの構成は、図2または図4のうち、所定の間隔D2(ただし、所定の間隔D2をD3に変更する)をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
なお、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板と、波長変更部14cの有するLN結晶基板とは別のものである。すなわち、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板と、波長変更部14cの有するLN結晶基板とは、伝播する進行光(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したものと、光路OP3を進行したもの)ごとに設けられている。
フィルタ(F)172、174、176は、波長変更部(PPLN)14a、14b、14cの出力から、ポンプ光およびアイドラ光を除去して、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)164、162、ミラー154に出力する。なお、ポンプ光およびアイドラ光がフォトダイオード132a、132b、132cに入らないようにするために、フィルタ172、174、176は、それぞれ、ハーフミラー130a、130b、130cと波長変更部14a、14b、14cとの間に配置されている。
レンズ(L)192は、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)164の出力を受け、光ファイバ(MMF)18に与える。
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
まず、励起レーザ10が、所定の波長W1[nm]のレーザ光を、所定の周波数(例えば、2kHz)の第一パルスP1として出力する。第一パルスP1は、光路決定部の第一音響光学変調器(AOM)12aに与えられる。タイミング制御回路19が、光路決定部の出力タイミングを制御する。
光路決定部が第一パルスP1の1+3N番目(1、4、7、…番目)(ただし、Nは0以上の整数)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与えない。すると、第一パルスP1の1+3N番目のパルスは、光路OP1(図12参照)を進行する。よって、光路OP1を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(3個)で割った値の周波数(2/3kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路決定部が第一パルスP1の2+3N番目(2、5、8、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aにも、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与えない。すると、第一パルスP1の2+3N番目のパルスは、光路OP2(図12参照)を進行する。よって、光路OP2を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(3個)で割った値の周波数(2/3kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路決定部が第一パルスP1の3+3N番目(3、6、9、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aには音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与える。すると、第一パルスP1の3+3N番目のパルスは、光路OP3(図12参照)を進行する。よって、光路OP3を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(3個)で割った値の周波数(2/3kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
しかも、光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは120度異なる。光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP3を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは120度異なる。光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP3を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは240度異なる。
光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13aにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11aにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14aに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14aに与えられた光は、波長変更部14aにおいて所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW2[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)172によりポンプ光およびアイドラ光が除去されてから、ダイクロイックミラー164に与えられる。
光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、光減衰器(ATT)11bにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14bに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14bに与えられた光は、波長変更部14bにおいて所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW3[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)174によりポンプ光およびアイドラ光が除去され、ダイクロイックミラー162により反射されてから、ダイクロイックミラー164に与えられる。
光路OP3を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13bにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11cにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14cに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14cに与えられた光は、波長変更部14aにおいて所定の間隔D3をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW4[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)176によりポンプ光およびアイドラ光が除去され、ミラー154により反射されてから、ダイクロイックミラー162を介して、ダイクロイックミラー164に与えられる。
波長変更部14a、14b、14cの出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、波長W2[nm]のものと、波長W3[nm]のものと、波長W4[nm]のものとがダイクロイックミラー164により合波され、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3となる。
第三パルスP3は、レンズ(L)192を透過して、光ファイバ(MMF)18に与えられる。
第三の実施形態によれば、複数の光路を3個(光路OP1、OP2、OP3)に増やすことができる。これにより、第三パルスP3は、波長W2[nm]のパルス光が照射されてから、すぐに(例えば、500マイクロ秒)別の波長W3[nm]のパルス光を照射される。しかも、波長W3[nm]のパルス光が照射されてから、すぐに(例えば、500マイクロ秒)さらに別の波長W4[nm]のパルス光を照射される。すなわち、第三の実施形態によれば、ある波長のパルス光を照射してから、すぐに別の波長のパルス光を照射し、すぐにさらに別の波長のパルス光を照射することができる。このように、第三の実施形態によれば、3種類の波長のパルス光を照射することが可能となる。
また、第三の実施形態においては、第一の実施形態と同じく、LN結晶基板142は、ただ一つであり、分極反転部144の全てが形成されているようにしてもよい。
また、第三の実施形態によれば、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することにより、光路OP2(またはOP1)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP2(またはOP1)から出力されないようにする)、光路OP1(またはOP2)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1(またはOP2)より)を減衰させることができる。
なお、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することによって光路OP2を進行した進行光のパワーを小さくした場合、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を最大値に固定しておけば、光路OP3を進行した進行光のパワーを小さくすることができる。
また、第三の実施形態によれば、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、光路OP3(またはOP2)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP3(またはOP2)から出力されないようにする)、光路OP2(またはOP3)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP2(またはOP3)より)を減衰させることができる。
なお、第三の実施形態においては、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)の動作について、以下のような変形例が考えられる。
図21は、第三の実施形態の変形例にかかるレーザ光出力装置1における光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)の近傍の拡大図である。
第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて複数の光路OP1、OP2のいずれか一つに光路を決定して出力する。例えば、第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1の一つずつを、回折(光路OP1)または直進(光路OP2)させて出力する。ここまでは、第三の実施形態と同じである。
ここで、第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一音響光学変調器12aの出力を受け、第一音響光学変調器12aの出力のパルス一つずつについて一つ以上の光路OP1、OP2、OP3のいずれか一つに光路を決定して出力する。第三の実施形態の変形例においては、第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一パルスが直進(光路OP2)したものを受けて直進させ(光路OP2)(回折させない点が第三の実施形態と異なる)、第一パルスが回折(光路OP1)したものを受けて回折(光路OP3)または直進(光路OP1)させて(回折させることがある点が第三の実施形態と異なる)出力する。
なお、第二音響光学変調器(AOM)12bの短い方の辺は、光路OP1に対し、左回りにθB(ブラッグ角)だけ傾いている。
また、第三の実施形態の変形例によれば、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することにより、光路OP2(またはOP1)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP2(またはOP1)から出力されないようにする)、光路OP1(またはOP2)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1(またはOP2)より)を減衰させることができる。
なお、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することによって光路OP1を進行した進行光のパワーを小さくした場合、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を最大値に固定しておけば、光路OP3を進行した進行光のパワーを小さくすることができる。
また、第三の実施形態の変形例によれば、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、光路OP3(またはOP1)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP3(またはOP1)から出力されないようにする)、光路OP1(またはOP3)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1(またはOP3)より)を減衰させることができる。
なお、第三の実施形態およびその変形例において、第二の実施形態のように、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)16にかえて、凸レンズ(平行化部)(L1)13、およびアクロマートレンズ(集束部)(L2)160を備えるようにしてもよい。
第四の実施形態
第一および第二の実施形態にかかるレーザ光出力装置1においては、光路が2つ(光路OP1および光路OP2)設けられている。したがって、光ファイバ18の他端から出力される第三パルスの波長もW2およびW3の2種類となる。
しかし、光路は2つを超えてもよい。第四の実施形態にかかるレーザ光出力装置1においては、光路が4つ(光路OP1、光路OP2、光路OP3および光路OP4)設けられており、この点が第一の実施形態と異なる。したがって、光ファイバ18の他端から出力される第三パルスの波長もW2、W3、W4およびW5の4種類となる。
第四の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、第三の実施形態と同じく2個の音響光学変調器(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)を用いながら、4種類の波長のパルス光を照射する点が第三の実施形態にかかるレーザ光出力装置1と主に異なる。
図19は、第四の実施形態にかかるレーザ光出力装置1の構成を示す図である。図20は、第四の実施形態にかかるレーザ光出力装置1における光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)の近傍の拡大図である。
第四の実施形態にかかるレーザ光出力装置1は、励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、光減衰器(ATT)11a、11b、11c、11d、第一音響光学変調器(AOM)12a、第二音響光学変調器(AOM)12b、ロンボイドプリズム13c、13d、13e、13f、波長変更部(PPLN)14a、14b、14c、14d、ミラー154、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)161、162、164、フィルタ(F)172、174、176、178、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、レンズ(L)192、回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、130c、130d、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132b、132c、132dを備える。以下、第三の実施形態と同様な部分は同一の符号を付して説明を省略する。
回折効率制御部(パワー比変更信号付与部)120、ハーフミラー130a、130b、130c、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132b、132cは、第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。ただし、回折効率制御部120は、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132a、132b、132cおよび132dの測定結果に基づき、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)の大きさを変更し、回折効率制御信号のパワーP(パワー比変更信号の大きさ)を変更する。
ハーフミラー130dは、波長変更部14の出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP4を進行したものの一部を反射して、フォトダイオード(出力測定部)(PD)132dに与える。
フォトダイオード(出力測定部)(PD)132dは、ハーフミラー130dを介して受けた波長変更部14の出力を測定する。
励起レーザ(パルスレーザ出力部)10、光減衰器(ATT)11a、11b、11c、波長変更部(PPLN)14a、14b、14c、ミラー154、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)162、164、フィルタ(F)172、174、176、光ファイバ(MMF)18、タイミング制御回路(タイミング制御部)19、レンズ(L)192は、第三の実施形態と同様であり、説明を省略する。
ただし、ミラー154は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP4を進行したものを受け、ダイクロイックミラー161に向けて反射する。ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)162は、第二パルス(波長変換後)P2bのうち、光路OP2を進行したものと、ダイクロイックミラー161からの反射光とを合波し、ダイクロイックミラー164に向けて反射する。フィルタ(F)176は、波長変更部(PPLN)14cの出力から、ポンプ光およびアイドラ光を除去して、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)161に出力する。
フィルタ(F)178は、波長変更部(PPLN)14dの出力から、ポンプ光およびアイドラ光を除去して、ミラー154に出力する。なお、ポンプ光およびアイドラ光がフォトダイオード132dに入らないようにするために、フィルタ178は、ハーフミラー130dと波長変更部14dとの間に配置されている。
光路決定部は、第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12bを有する。第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12bの平面形状は、双方ともに、長方形である。
第一音響光学変調器(AOM)12aの長い方の辺と、第二音響光学変調器(AOM)12bの長い方の辺とは、互いに平行である。なお、光路OP4は、第一音響光学変調器(AOM)12aの短い方の辺に対し、右回りにθB(ブラッグ角)だけ傾いている。第一音響光学変調器(AOM)12aの長い方の辺は第一パルスP1を受け、第二音響光学変調器(AOM)12bの長い方の辺は第一音響光学変調器12aの出力を受ける。
第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて複数の光路OP1、OP4のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。第四の実施形態においては、第一音響光学変調器(AOM)12aは、第一パルスP1の一つずつを、回折(光路OP1)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP4にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP4)(回折効率η=0の場合)させて出力する。
第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一音響光学変調器12aの出力を受け、第一音響光学変調器12aの出力のパルス一つずつについて一つ以上の光路OP1、OP2、OP3、OP4のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。第四の実施形態においては、第二音響光学変調器(AOM)12bが、第一音響光学変調器(AOM)12aの出力のパルス一つずつを、回折(光路OP2、OP3)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP1、OP4にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP1、OP4)(回折効率η=0の場合)させて出力する。より詳細には、第二音響光学変調器(AOM)12bは、第一パルスが直進(光路OP4)したものを受けて回折(光路OP2)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP4にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP4)(回折効率η=0の場合)させて出力し、第一パルスが回折(光路OP1)したものを受けて回折(光路OP3)(回折効率η>0の場合、ただし、光路OP1にも発振閾値未満のパルスが出力される)または直進(光路OP1)(回折効率η=0の場合)させて出力する。
これにより、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)は、第一パルスP1を受け、第一パルスP1の一つずつについて4つの光路OP1、OP2、OP3、OP4のいずれか一つ以上に光路を決定して出力する。
光路決定部が第一パルスP1の1+4N番目(1、5、9、…番目)(ただし、Nは0以上の整数)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与えない。すると、第一パルスP1の1+4N番目のパルスは、光路OP1(図20参照)を進行する(光路OP4にも発振閾値未満のパルスが出力される)。
また、光路決定部が第一パルスP1の2+4N番目(2、6、10、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与える。すると、第一パルスP1の2+4N番目のパルスは、光路OP2(図20参照)を進行する(光路OP4にも発振閾値未満のパルスが出力される)。
また、光路決定部が第一パルスP1の3+4N番目(3、7、11、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与える。すると、第一パルスP1の3+4N番目のパルスは、光路OP3(図20参照)を進行する(光路OP4、OP1にも発振閾値未満のパルスが出力される)。
また、光路決定部が第一パルスP1の4+4N番目(4、8、12、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aには音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与えない。すると、第一パルスP1の4+4N番目のパルスは、光路OP4(図20参照)を進行する。
これにより、光路決定部は、4つの光路OP1、OP2、OP3、OP4の各々から、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(4個)で割った値の周波数(1/2kHz)を有し、かつそれぞれ位相が90度異なるパルスである第二パルス(波長変換前)P2aを出力する(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
これにより、光路決定部(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)は、(1)第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することにより、4つの光路OP1、OP2、OP3、OP4のうちの2つの光路(光路OP1、OP4)のうちの一方を進行するものの第一パワーと、他方を進行するものの第二パワーとの比であるパワー比を変更することができ、(2)第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、4つの光路OP1、OP2、OP3、OP4のうちの2つの光路((光路OP1、OP3)または(光路OP2、OP4))のうちの一方を進行するものの第一パワーと、他方を進行するものの第二パワーとの比であるパワー比を変更することができる。
ロンボイドプリズム13cは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP1を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP1から離れるように変更する。ロンボイドプリズム13eは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP2を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP2から離れるように変更する。ロンボイドプリズム13fは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP3を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP3から離れるように変更する。ロンボイドプリズム13dは、第二パルス(波長変換前)P2aのうち、光路OP4を進行したものを受け、光路を平行に、かつ光路OP4から離れるように変更する。
光減衰器(ATT)11dは、光路OP4を進行した光(ロンボイドプリズム13dの出力)を減衰させて、波長変更部(PPLN)14dに与える。
波長変更部(PPLN)14dは、第二パルスP2aのうち光路OP4を進行したもの(波長W1[nm])をロンボイドプリズム13dから受けて、発振閾値を超えるもののみを第二パルスP2b(波長W5[nm])に変換する。波長変更部14bの構成は、図2または図4のうち、所定の間隔D2(ただし、所定の間隔D2を、D1、D2およびD3のいずれとも異なるD4に変更する)をあけて配置されている分極反転部144と、それが形成されているLN結晶基板142とに相当する。
なお、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板と、波長変更部14cの有するLN結晶基板と、波長変更部14dの有するLN結晶基板とは別のものである。すなわち、波長変更部14aの有するLN結晶基板と、波長変更部14bの有するLN結晶基板と、波長変更部14cの有するLN結晶基板と、波長変更部14dの有するLN結晶基板とは、伝播する進行光(光路OP1を進行したものと、光路OP2を進行したものと、光路OP3を進行したものと、光路OP4を進行したもの)ごとに設けられている。
次に、第四の実施形態の動作を説明する。
まず、励起レーザ10が、所定の波長W1[nm]のレーザ光を、所定の周波数(例えば、2kHz)の第一パルスP1として出力する。第一パルスP1は、光路決定部の第一音響光学変調器(AOM)12aに与えられる。タイミング制御回路19が、光路決定部の出力タイミングを制御する。
光路決定部が第一パルスP1の1+4N番目(1、5、9、…番目)(ただし、Nは0以上の整数)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与えない。すると、第一パルスP1の1+4N番目のパルスは、光路OP1(図14参照)を進行する。よって、光路OP1を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(4個)で割った値の周波数(1/2kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路決定部が第一パルスP1の2+4N番目(2、6、10、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bには音響波を与える。すると、第一パルスP1の2+4N番目のパルスは、光路OP2(図14参照)を進行する。よって、光路OP2を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(4個)で割った値の周波数(1/2kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路決定部が第一パルスP1の3+4N番目(3、7、11、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aに音響波を与え、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与える。すると、第一パルスP1の3+4N番目のパルスは、光路OP3(図14参照)を進行する。よって、光路OP3を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(4個)で割った値の周波数(1/2kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる(ただし、発振閾値未満のパルスを無視する)。
光路決定部が第一パルスP1の4+4N番目(4、8、12、…番目)のパルスを受けた時点では、第一音響光学変調器(AOM)12aには音響波を与えず、第二音響光学変調器(AOM)12bにも音響波を与えない。すると、第一パルスP1の4+4N番目のパルスは、光路OP4(図14参照)を進行する。よって、光路OP4を進行する進行光は、所定の周波数(例えば、2kHz)を複数の光路の個数(4個)で割った値の周波数(1/2kHz)を有する第二パルス(波長変換前)P2aとなる。
しかも、光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP3を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相と、光路OP4を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a)の位相とは90度ずつ異なる。
光路OP1を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13cにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11aにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14aに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14aに与えられた光は、波長変更部14aにおいて所定の間隔D1をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW2[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)172によりポンプ光およびアイドラ光が除去されてから、ダイクロイックミラー164に与えられる。
光路OP2を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13eにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11bにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14bに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14bに与えられた光は、波長変更部14bにおいて所定の間隔D2をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW3[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)174によりポンプ光およびアイドラ光が除去され、ダイクロイックミラー162により反射されてから、ダイクロイックミラー164に与えられる。
光路OP3を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13fにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11cにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14cに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14cに与えられた光は、波長変更部14cにおいて所定の間隔D3をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW4[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)176によりポンプ光およびアイドラ光が除去され、ダイクロイックミラー161により反射されてから、ダイクロイックミラー162を介して、ダイクロイックミラー164に与えられる。
光路OP4を進行する進行光(第二パルス(波長変換前)P2a:波長W1[nm])は、ロンボイドプリズム13dにより光路が変化させられ、光減衰器(ATT)11dにより減衰されて、波長変更部(PPLN)14dに与えられる。さらに、波長変更部(PPLN)14dに与えられた光は、波長変更部14dにおいて所定の間隔D4をあけて配置されている分極反転部144を伝播し、波長がW5[nm]に変換され、第二パルス(波長変換後)P2bとなり、フィルタ(F)178によりポンプ光およびアイドラ光が除去され、ミラー154により反射されてから、ダイクロイックミラー161、162を介して、ダイクロイックミラー164に与えられる。
波長変更部14a、14b、14c、14dの出力する第二パルス(波長変換後)P2bのうち、波長W2[nm]のものと、波長W3[nm]のものと、波長W4[nm]のものと、波長W5[nm]のものとがダイクロイックミラー164により合波され、所定の周波数(2kHz)を有する第三パルスP3となる。
第三パルスP3は、レンズ(L)192を透過して、光ファイバ(MMF)18に与えられる。
第四の実施形態によれば、第三の実施形態と同じく、2個の音響光学変調器(第一音響光学変調器(AOM)12aおよび第二音響光学変調器(AOM)12b)を用いながら、第三の実施形態よりも多い4種類の波長のパルス光を照射することが可能となる。
また、第四の実施形態においては、第三の実施形態と同じく、LN結晶基板142は、ただ一つであり、分極反転部144の全てが形成されているようにしてもよい。
また、第四の実施形態によれば、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することにより、光路OP4(またはOP1)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP4(またはOP1)から出力されないようにする)、光路OP1(またはOP4)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1(またはOP4)より)を減衰させることができる。
なお、第一音響光学変調器(AOM)12aの回折効率を変更することによって光路OP1(またはOP4)を進行した進行光のパワーを小さくした場合、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を最大値に固定しておけば、光路OP3(またはOP2)を進行した進行光のパワーを小さくすることができる。
また、第四の実施形態によれば、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、光路OP3(またはOP1)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP3(またはOP1)から出力されないようにする)、光路OP1(またはOP3)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP1(またはOP3)より)を減衰させることができる。
また、第四の実施形態によれば、第二音響光学変調器(AOM)12bの回折効率を変更することにより、光路OP4(またはOP2)を進行した進行光のパワーを大きくしていくことで(ただし、発振閾値未満として、波長変更部14の出力が光路OP4(またはOP2)から出力されないようにする)、光路OP2(またはOP4)を進行した進行光のパワーを小さくすることができ、これにより、波長変更部14の出力(光路OP2(またはOP4)より)を減衰させることができる。
なお、第四の実施形態において、第二の実施形態のように、ダイクロイックミラー(合波器)(DCM)16にかえて、凸レンズ(平行化部)(L1)13、およびアクロマートレンズ(集束部)(L2)160を備えるようにしてもよい。