本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。ハッチングは、切断面を示す。一点鎖線は、基準線又は中心線である。二点鎖線は、想像線である。破線は、かくれ線である。
<インクジェット記録装置10>
インクジェット記録装置10について図1~6を参照して説明する。実施形態では、インクジェット記録装置10を特定するための方向を、第一座標軸方向、第二座標軸方向、第三座標軸方向、列方向、幅方向、高さ方向、第一回転方向、第二回転方向及び第三回転方向という。第二座標軸方向は、同一平面内で第一座標軸方向に直交する。第三座標軸方向は、第一座標軸方向及び第二座標軸方向の両方向に直交する。第一座標軸方向及び第二座標軸方向を水平方向とし、第三座標軸方向を鉛直方向とする。第一座標軸方向の一方側を「第一側」といい、第一座標軸方向の他方側を「第二側」という。第二座標軸方向の一方側を「第三側」といい、第二座標軸方向の他方側を「第四側」という。第三座標軸方向の一方側を「第五側」といい、第三座標軸方向の他方側を「第六側」という。第三座標軸方向の第五側を鉛直方向の上側とし、第三座標軸方向の第六側を鉛直方向の下側とする。幅方向は、同一平面内で列方向に直交する。高さ方向は、列方向及び幅方向の両方向に直交する。列方向の一方側を「第七側」といい、列方向の他方側を「第八側」という。幅方向の一方側を「第九側」といい、幅方向の他方側を「第十側」という。第一回転方向は、列方向に沿った第一回転軸を中心とする。第二回転方向は、幅方向に沿った第二回転軸を中心とする。第三回転方向は、高さ方向に沿った第三回転軸を中心とする。インクジェット記録装置10で記録される柄とこの柄に対応する柄データ及び記録データとを特定するための方向を、縦方向及び横方向という。縦方向は、列方向に対応する。横方向は、縦方向に直交する。縦方向の一方側を「第十一側」といい、縦方向の他方側を「第十二側」という。横方向の一方側を「第十三側」といい、横方向の他方側を「第十四側」という。
インクジェット記録装置10は、記録媒体90の立体曲面91に柄を記録する(図1,4参照)。図1,4で立体曲面91の一部に付した模様及び後述する図10で立体曲面91の全体に付した模様は、記録済みの柄に対応する。実施形態では、記録媒体90は、平面視円形の形状を有する。更に、立体曲面91は、径方向(放射方向)の外周側から中心側に向かって凸状となる均一な湾曲面(球面状の湾曲面)とする。径方向は、第三座標軸方向の鉛直軸を中心とし、第一座標軸方向及び第二座標軸方向を含む。但し、立体曲面91のこのような立体形状は例示である。立体曲面91は、立体形状を有する各種の曲面を含む。
柄の記録に複数色のインクを用いることで、インクジェット記録装置10は、立体曲面91にフルカラーの柄を記録することができる。インク色の例としては、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックが挙げられる。但し、柄の記録には、これらとは異なる色のインクを用いてもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。実施形態は、インク色を区別することなく説明する。
インクジェット記録装置10は、載置台15と、第一支持具16と、第二支持具17と、インクジェットヘッド20と、インク流路30と、移動ロボット40と、制御装置50とを備える(図1参照)。図1では、インクジェットヘッド20の図示は簡略化する。
載置台15には、立体曲面91が第三座標軸方向の第五側となる状態で記録媒体90が載せ置かれる(図1参照)。記録媒体90は、載置台15上の一定の位置に予め定めた向きで載せ置かれる。インクジェット記録装置10は、載置台15上の一定の位置に支持された記録媒体90の立体曲面91に柄を記録する。実施形態では、記録媒体90及び立体曲面91は、上述した形状を有する。そのため、記録媒体90を載置台15に載せ置く場合、記録媒体90の向きは、立体曲面91を第三座標軸方向の第五側とする点を除き考慮されない。載置台15は、柄の記録時、記録媒体90を一定の位置に支持する。
第一支持具16には、インクジェットヘッド20が搭載される。即ち、第一支持具16は、インクジェットヘッド20を支持する。インクジェットヘッド20は、複数のノズル21を含む(図2~6参照)。実施形態では、複数のノズル21が設けられるインクジェットヘッド20の面を「吐出面22」という(図2,3,5,6参照)。幅方向は、吐出面22内で列方向に直交する。柄の記録時、吐出面22は、立体曲面91と高さ方向に対向する(図5参照)。複数のノズル21は、吐出面22で開口する(図2,3,5,6参照)。複数のノズル21は、吐出面22で列方向に整列する(図2~4,6参照)。複数のノズル21は、高さ方向にインクを吐出する。インクは、立体曲面91に着弾する。インクジェットヘッド20は、複数のノズル21から立体曲面91に向けて高さ方向にインクを吐出し、立体曲面91に柄を記録する(図1,4及び後述する図10参照)。吐出面22が水平な状態である場合、高さ方向は、第三座標軸方向に一致する。図2~6では、複数のノズル21のうちの1つのノズル21に対して符号「21」を付している。
インクジェットヘッド20は、供給口23と、内部流路24とを含む(図2,6参照)。供給口23は、インク流路30の第二インク流路34に接続される。第二インク流路34を流れたインクは、供給口23を通過してインクジェットヘッド20内に流入する。インク流路30及び第二インク流路34については後述する。内部流路24は、供給口23と複数のノズル21とを繋ぐ。供給口23から流入したインクは、内部流路24を流れて複数のノズル21に到達する。
内部流路24は、本流部25と、複数の支流部26とを含む(図2,6参照)。本流部25は、供給口23から連続し、列方向に沿って形成される。供給口23から流入したインクは、本流部25を流れる。複数の支流部26は、本流部25から分岐し、複数のノズル21にそれぞれ繋がる。本流部25から流入したインクは、支流部26をそれぞれ流れて各ノズル21に到達する。図2,6では、複数の支流部26のうちの1本の支流部に対して符号「26」を付している。
インク流路30は、メインタンク31と、サブタンク32と、第一インク流路33と、第二インク流路34とを含む(図1参照)。メインタンク31は、インクを貯留する。サブタンク32は、次のインクを貯留する。前述のインクは、メインタンク31から供給され、インクジェットヘッド20に供給される。第一インク流路33は、メインタンク31とサブタンク32とを接続する。第二インク流路34は、サブタンク32とインクジェットヘッド20とを接続する。
インクは、サブタンク32内から第二インク流路34に流出する。更に、インクは、第二インク流路34を流れ、供給口23を通過してインクジェットヘッド20内に流入する。その後、インクは、上述した通り、内部流路24を流れる。サブタンク32内のインクは、ノズル21から吐出されることで減少する。サブタンク32内のインク量が下限値未満又は以下となった場合、メインタンク31に貯留されたインクが第一インク流路33を介してサブタンク32に供給される。
サブタンク32は、第二支持具17に搭載される。即ち、第二支持具17は、サブタンク32を支持する。図1では、第二支持具17は一部を省略し、サブタンク32を搭載する部分を示す。第二支持具17は、移動ロボット40のロボットアームの所定の位置又は第一支持具16の所定の位置に取り付けてもよい。但し、このようなサブタンク32の設置構造及び第二支持具17の取付位置は例示である。サブタンク32の設置構造及び第二支持具17の取付位置は、諸条件を考慮して適宜決定される。第二支持具17が移動ロボット40のロボットアーム又は第一支持具16に取り付けられる場合、第一インク流路33は、移動ロボット40の駆動に伴う第二支持具17の移動に対応可能な状態で設けられる。
インクジェット記録装置10は、移動ロボット40として垂直多関節ロボットを採用する(図1参照)。移動ロボット40の軸数は、第一軸A1、第二軸A2、第三軸A3、第四軸A4、第五軸A5及び第六軸A6の6軸である。垂直多関節ロボットは、既に実用化され公知である。従って、移動ロボット40の構造に関する説明は省略する。
移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を相対移動及び相対回転させる(図1,4,5参照)。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向、第二座標軸方向及び第三座標軸方向に相対移動させる。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一回転方向、第二回転方向及び第三回転方向に相対回転させる。第一回転方向、第二回転方向及び第三回転方向の各回転方向への相対回転は、第一軸A1、第二軸A2、第三軸A3、第四軸A4、第五軸A5及び第六軸A6のうちの所定の一軸又は複数軸回りにロボットアームを回転させて行われる。移動ロボット40は、立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対位置を変更し、立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対姿勢を一定とする。移動ロボット40は、柄の記録時、立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対位置を変更させつつ、立体曲面91と吐出面22とを一定の間隔及び角度(向き)で対向させる。
移動ロボット40による次の第一相対移動は、次の第一移動及び第二移動を含む。第一相対移動では、インクジェットヘッド20が立体曲面91に対して第一座標軸方向に相対移動する。第一移動は、第一座標軸方向の第一側から第二側への相対移動である。第二移動は、第一座標軸方向の第二側から第一側への相対移動である。第一相対移動に関し、位置P1は位置P0~P1への第二移動の移動終端であり、位置P3は位置P2~P3への第一移動の移動終端であり、位置P5は位置P4~P5への第二移動の移動終端であり、位置P7は位置P6~P7への第一移動の移動終端であり、位置P9は位置P8~P9への第二移動の移動終端であり、位置P11は位置P10~P11への第一移動の移動終端である。移動ロボット40による次の第二相対移動は、次の第三移動及び第四移動を含む。第二相対移動では、インクジェットヘッド20が立体曲面91に対して第二座標軸方向に相対移動する。第三移動は、第二座標軸方向の第三側から第四側への相対移動である。第四移動は、第二座標軸方向の第四側から第三側への相対移動である。移動ロボット40による次の第三相対移動は、次の第五移動及び第六移動を含む。第三相対移動では、インクジェットヘッド20が立体曲面91に対して第三座標軸方向に相対移動する。第五移動は、第三座標軸方向の第五側から第六側への相対移動である。第六移動は、第三座標軸方向の第六側から第五側への相対移動である。柄の記録時、移動ロボット40は、第一移動と第二移動との間に第二相対移動を実行する(図4参照)。換言すれば、移動ロボット40は、第一移動後に第二相対移動を実行し、第二移動後に第二相対移動を実行する。実施形態では、柄の記録時の第二相対移動は、第三移動となる(図4参照)。
移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向に相対移動させる場合、列方向を第一座標軸方向に直交させ、且つ立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第三座標軸方向に相対移動させる(図4,5参照)。即ち、移動ロボット40は、第一相対移動の実行時、第三相対移動を実行する。その際、移動ロボット40は、列方向を第一座標軸方向に直交させた姿勢で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を相対移動させる。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第三回転方向に相対回転させずに第一回転方向に相対回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ離間距離D1を一定とする(図4,5参照)。更に、移動ロボット40は、前述の場合、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第二回転方向に相対回転させなくてもよい(図4,5参照)。実施形態では、移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第二回転方向及び第三回転方向の両方向に相対回転させずに第一回転方向に相対回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ離間距離D1を一定とする。図5で符号「T」を付した二点鎖線で示す3本の直線は、3つの対向位置PBのそれぞれにおける接平面Tに対応する。
離間距離D1は、吐出面22の基準位置PAと立体曲面91の対向位置PBとの間隔である(図5参照)。離間距離D1は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、離間距離D1の決定には、後述する基準値が考慮される。基準位置PAは、吐出面22のノズル領域Bの中心としてもよい(図3参照)。吐出面22で複数のノズル21は、ノズル領域Bに設けられる。ノズル領域Bは、次の第一辺、第二辺、第三辺及び第四辺を四辺とする矩形の形状ということもできる。第一辺及び第二辺は幅方向に沿い、第三辺及び第四辺は列方向に沿う。第一辺は、複数のノズル21で最も列方向の第七側にあるノズル21(後述する「第一ノズルN1」参照)の列方向の第七側端と接する。第二辺は、複数のノズル21で最も列方向の第八側にあるノズル21(後述する「第二ノズルN2」参照)の列方向の第八側端と接する。第三辺は、複数のノズル21で最も幅方向の第九側にあるノズル21の幅方向の第九側端と接する。第四辺は、複数のノズル21で最も幅方向の第十側にあるノズル21の幅方向の第十側端と接する。実施形態では、ノズル21の数は7個であり、7個のノズル21は同一形状を有し且つ列方向に1列に配列される(図2,3,6参照)。この場合、基準位置PAは、7個のノズル21のうちの中央のノズル21の位置に一致する。対向位置PBは、高さ方向において基準位置PAから最も近い立体曲面91の位置である(図5参照)。
基準位置PAは、上記とは異なるノズル領域B内の位置又は吐出面22内の位置としてもよい。基準位置PAは、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、基準位置PAの決定には、立体曲面91の立体形状及び吐出面22での複数のノズル21の配置が考慮される。ノズル21の数及び配置について、7個及び1列は例示である。ノズル21の数及び配置は、諸条件を考慮して適宜決定される。
第一支持具16は、移動ロボット40のロボットアームの先端に取り付けられる(図1参照)。上述した通り、インクジェットヘッド20は、第一支持具16に搭載される。従って、移動ロボット40による立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対移動は、第一支持具16を移動させることで行われる。更に、移動ロボット40による立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対回転は、第一支持具16を回転させることで行われる。移動ロボット40は、立体曲面91への柄の記録時、インクジェットヘッド20の姿勢を変更させつつ、インクジェットヘッド20の第一座標軸方向の位置(座標値)、第二座標軸方向の位置(座標値)及び第三座標軸方向の位置(座標値)を変更する。
インクジェット記録装置10では、柄の記録に先立ち、柄を記録する記録媒体90を対象として移動ロボット40に対するティーチングが行われる。このティーチングは、立体曲面91に対するインクジェットヘッド20の移動経路及び姿勢を設定する。柄の記録時、移動ロボット40は、ティーチングによって設定された動作を実行する。
実施形態では、移動経路は、位置P0を始点とし、位置P1~P10を順次通り、位置P11を終点とする(図4参照)。移動ロボット40は、位置P0~P1への移動時、位置P4~P5への移動時及び位置P8~P9への移動時、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の第二側から第一側に移動させる(図4参照)。その際、移動ロボット40は、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の第二側から中央にかけて第三座標軸方向の第六側から第五側に移動させ、その後、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の中央から第一側にかけて第三座標軸方向の第五側から第六側に移動させる(図4,5参照)。
移動ロボット40は、位置P2~P3への移動時、位置P6~P7への移動時及び位置P10~P11への移動時、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の第一側から第二側に移動させる(図4参照)。その際、移動ロボット40は、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の第一側から中央にかけて第三座標軸方向の第六側から第五側に移動させ、その後、インクジェットヘッド20を第一座標軸方向の中央から第二側にかけて第三座標軸方向の第五側から第六側に移動させる(図4,5参照)。図5は、位置P4~P5への移動時又は位置P6~P7への移動時に対応する。但し、図5は模式図であり、図5では第一支持具16及びインクジェットヘッド20の図示は簡略化する。
移動ロボット40は、位置P0~P1への移動時、位置P2~P3への移動時、位置P4~P5への移動時、位置P6~P7への移動時、位置P8~P9への移動時及び位置P10~P11への移動時、インクジェットヘッド20を第三座標軸方向に移動させる場合、上述した状態で動作する(図4,5参照)。即ち、移動ロボット40は、列方向を第一座標軸方向に直交させる。更に、移動ロボット40は、インクジェットヘッド20を第二回転方向及び第三回転方向に回転させずに第一回転方向に回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ離間距離D1を一定とする。
移動ロボット40は、位置P0~P1、位置P2~P3、位置P4~P5、位置P6~P7、位置P8~P9及び位置P10~P11で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、設定角θAを一定の角度に保持する。設定角θAは、第二座標軸方向と列方向とのなす角である(図6参照)。設定角θAは、位置P0~P1への移動時、位置P2~P3への移動時、位置P4~P5への移動時、位置P6~P7への移動時、位置P8~P9への移動時及び位置P10~P11への移動時、それぞれ異なる角度に設定される。実施形態で「異なる角度」は、値及び向きの一方又は両方の相違を意味する。
上述した通り、立体曲面91は、径方向(放射方向)の外周側から中心側に向かって凸状となる均一な湾曲面(球面状の湾曲面)である。この場合、位置P0~P1への移動時の列方向及び位置P10~P11への移動時の列方向は、第三座標軸方向を対称軸として線対称となる。これら移動時の設定角θAは、第二座標軸方向に反対向きの同じ角度となる。位置P2~P3への移動時の列方向及び位置P8~P9への移動時の列方向は、第三座標軸方向を対称軸として線対称となる。これら移動時の設定角θAは、第二座標軸方向に反対向きの同じ角度となる。位置P4~P5への移動時の列方向及び位置P6~P7への移動時の列方向は、第三座標軸方向を対称軸として線対称となる。これら移動時の設定角θAは、第二座標軸方向に反対向きの同じ角度となる。これに対して、位置P0~P1への移動時の列方向、位置P2~P3への移動時の列方向及び位置P4~P5への移動時の列方向は、同じ向きに傾斜する。但し、これら移動時の設定角θAは、異なる角度となる。位置P6~P7への移動時の列方向、位置P8~P9への移動時の列方向及び位置P10~P11への移動時の列方向は、同じ向きに傾斜する。但し、これら移動時の設定角θAは、異なる角度となる。
移動ロボット40は、位置P1~P2への移動時、位置P3~P4への移動時、位置P5~P6への移動時、位置P7~P8への移動時及び位置P9~P10への移動時、インクジェットヘッド20を第二座標軸方向の第三側から第四側に移動させる。実施形態では、移動ロボット40は、このような場合にインクジェットヘッド20を第三座標軸方向に移動させない。即ち、移動ロボット40は、立体曲面91への柄の記録途中に第二相対移動を実行する場合、第三相対移動を実行しない。但し、移動ロボット40は、このような場合に第三相対移動を実行し、インクジェットヘッド20を第三座標軸方向に移動させてもよい。柄の記録途中に第二相対移動を実行する場合の第三相対移動の実行又は未実行は、立体曲面91の立体形状に応じて適宜決定される。
図4は、位置P0,P3,P4,P7,P8,P11における第一座標軸方向の位置を一定とし、且つ位置P1,P2,P5,P6,P9,P10における第一座標軸方向の位置を一定とすることで次の移動経路の経路部分(矢印にて図示)を一定の長さで図示する。但し、このような位置P0~P11における第一座標軸方向の位置の設定は説明の簡略化のためである。実際には、位置P0~P11における第一座標軸方向の位置は、上述したティーチングによって適宜設定される。位置P0,P3,P4,P7,P8,P11における第一座標軸方向の位置が一定ではなく、位置P1,P2,P5,P6,P9,P10における第一座標軸方向の位置が一定ではないとする。この場合、位置P1~P2への移動、位置P3~P4への移動、位置P5~P6への移動、位置P7~P8への移動及び位置P9~P10への移動では、移動ロボット40は、第二相対移動及び第一相対移動を実行する。即ち、移動ロボット40は、柄の記録時、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一相対移動の第一移動又は第二移動の移動終端に相対移動させた状態で、第三移動と、第一移動又は第二移動とを実行する。
制御装置50は、接続インターフェース51と、プロセッサ52と、ストレージ53と、メモリ54とを備える(図1参照)。実施形態では、接続インターフェースを「接続I/F」と記載する。接続I/F51は、通信用のインターフェースを含む。制御装置50は、接続I/F51を介して移動ロボット40及び情報処理装置60と接続され、移動ロボット40及び情報処理装置60と通信する。接続I/F51には、情報処理装置60から出力された記録データ及び媒体情報が入力される。記録データは、立体曲面91に記録される柄に対応する画像データである。記録データのデータ形式の例としては、ビットマップ及びTIFF(Tagged Image File Format)が挙げられる。媒体情報は、特定の記録媒体を指定する。柄の記録対象とする記録媒体が記録媒体90であるとする。この場合、媒体情報は、記録媒体90を指定する。
プロセッサ52は、演算処理を実行し、インクジェット記録装置10で実行される各種動作を制御する。例えば、プロセッサ52は、柄の記録を制御する。ストレージ53は、プロセッサ52が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ53の例としては、フラッシュメモリが挙げられる。ストレージ53は、ROMを含んでもよい。ストレージ53は、インクジェット記録装置10で実行される各種動作用のプログラムを記憶する。メモリ54は、プロセッサ52がプログラムを実行する際の記憶領域となる。メモリ54には、処理の実行途中に所定のデータが所定の記憶領域に記憶される。
インクジェット記録装置10は、立体曲面91への柄の記録を柄の全体を縦方向に分割させた柄部分毎に繰り返すことで、立体曲面91に柄の全体を記録する(図1,4及び後述する図10参照)。柄の縦方向は、列方向に対応する。インクジェットヘッド20は、立体曲面91に対して第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動する場合、複数のノズル21から高さ方向にインクを吐出する。インクジェットヘッド20は、立体曲面91に対する第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向への相対移動時、次の吐出領域内のノズル21をインク吐出用とする。吐出領域は、ノズル領域B内で立体曲面91との高さ方向の間隔が基準値以下又は未満となる。基準値は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、基準値は、「0mm<基準値≦5mm」の範囲の所定値に設定される。
インク吐出用のノズル21の数及び組み合わせは、柄の記録対象となる記録媒体の立体曲面の次の要素に応じて変化する。前述の要素の例としては、立体曲面の第二座標軸方向における曲率が挙げられる。実施形態の移動経路(図4参照)を例とする。この移動経路は、位置P0~P1、位置P2~P3、位置P4~P5、位置P6~P7、位置P8~P9及び位置P10~P11の6つの経路部分を含む。これら6つの経路部分を比較した場合、所定の経路部分では、インク吐出用のノズル21の数及び組み合わせの一方又は両方が他の一部の経路部分又は他の全部の経路部分と異なることがある。但し、位置P0~P1の経路部分及び位置P10~P11の経路部分を比較した場合、これらのインク吐出用のノズル21の数及び組み合わせは同じとなることがある。このことは、位置P2~P3の経路部分及び位置P8~P9の経路部分を比較した場合、及び位置P4~P5の経路部分及び位置P6~P7の経路部分を比較した場合についても同じである。
立体曲面91に対するインクジェットヘッド20の第一座標軸方向への相対移動に関し、移動経路が上述した6つの経路部分を含む場合(図4参照)、立体曲面91に記録される柄は、列方向に6つの柄部分に分割される。但し、このような移動経路の設定及び柄の分割数は例示である。柄は、吐出領域に配置されるノズル21に対応させて列方向に適宜分割される。7個のノズル21を含むインクジェットヘッド20(図2,3,6参照)で吐出領域がM個のノズル21を含むとする。この場合、柄は、次の方式に従い複数の柄部分に適宜分割される。前述の方式は、分割後の柄部分の列方向の寸法を次の第三ノズル及び第四ノズルの中心間距離以下とする。第三ノズルは、M個のノズル21で最も列方向の第七側に配置される。第四ノズルは、M個のノズル21で最も列方向の第八側に配置される。
<情報処理装置60>
情報処理装置60について図1,4,7~10を参照して説明する。情報処理装置60は、接続I/F61と、プロセッサ62と、ストレージ63と、メモリ64と、操作器65と、表示器66とを備える(図1参照)。情報処理装置60は、接続I/F61を介して制御装置50と接続され、制御装置50と通信する。接続I/F61は、インクジェット記録装置10に記録データ及び媒体情報を出力する。
プロセッサ62は、演算処理を実行し、情報処理装置60で実行される各種動作を制御する。例えば、プロセッサ62は、画像処理(図8参照)を実行する。画像処理は、インクジェット記録装置10での柄の記録用の記録データを生成する。記録データは、画像処理で柄データから生成される。インクジェット記録装置10は、記録データに従いインクを吐出し、立体曲面91に柄を記録する。画像処理については後述する。
ストレージ63は、プロセッサ62が読み取り可能な記憶媒体である。ストレージ63の例としては、ハードディスク及びフラッシュメモリが挙げられる。ストレージ63は、ROMを含んでもよい。ストレージ63は、各種のプログラムを記憶する。ストレージ63に記憶されるプログラムの例としては、OS(Operating system)、画像編集用のプログラム及び画像処理用のプログラムが挙げられる。画像編集用のプログラム及び画像処理用のプログラムは、ストレージ63に事前にインストールされる。
画像編集用のプログラムは、柄データを生成する。柄データは、立体曲面91に記録される柄を含む(図7上段、図9上段及び図10参照)。画像編集用のプログラムによれば、立体曲面91に記録される柄をデザインすることができる。画像編集用のプログラムとしては、公知のアプリケーションプログラムを採用することができる。画像編集用のプログラムの例としては、アドビ社製のイラストレーター(登録商標)及びフォトショップ(登録商標)が挙げられる。従って、画像編集用のプログラムに関するこの他の説明は省略する。
立体曲面91に記録する柄は、画像編集用のプログラムで立体曲面91の平面視形状に合わせてデザインされる。柄データで柄の形状は、立体曲面91の平面視形状に対応する。実施形態では、柄データに含まれる柄の形状は、立体曲面91の平面視形状に一致する(図7上段及び図9上段参照)。立体曲面91の平面視形状を設定間隔D2で第二座標軸方向に6等分割させたこの平面視形状の部分を「平面視領域R1,R2,R3,R4,R5,R6」という(図7上段及び図9参照)。図7上段及び図9上段で円形の柄の外周に沿って二点鎖線で示す円は、立体曲面91の平面視形状と、平面視領域R1~R6の一部とを示す。図9下段で柄部分の外周に沿って二点鎖線で示す円弧は、平面視領域R1~R6の一部を示す。設定間隔D2、平面視領域R1~R6及び柄部分については後述する。
画像処理用のプログラムは、デバイスドライバであってもよい。画像処理用のプログラムがデバイスドライバである場合、このプログラムは、プリンタドライバと称される。画像処理用のプログラムには、立体曲面91の立体形状から特定される第二サイズ情報が登録される。第二サイズ情報は、立体曲面91に沿った立体曲面91の長さを示す。例えば、公知の3次元測定機によれば、第二サイズ情報を測定することができる。画像処理用のプログラムには、記録媒体90を測定対象として公知の3次元測定機を用いて測定される立体曲面91の実測値を第二サイズ情報として登録してもよい。
この他、記録媒体90が所定の製品の部品又は部材であり、設計用のプログラムを用いて設計されるとする。設計用のプログラムの例としては、3次元CAD(Computer-Aided Design)が挙げられる。更に、次の機能を有する3次元CADが実用化されている。前述の機能は、3次元モデルの設計値を出力する。3次元モデルは3次元CADを用いて設計され、その設計値は3次元モデルの所定の寸法を示す。画像処理用のプログラムには、記録媒体90の3次元モデルを出力対象として3次元CADのような公知の設計用のプログラムが出力する立体曲面91の設計値を第二サイズ情報として登録してもよい。
第二サイズ情報は、上述した一定の態様で載置台15に載せ置かれた記録媒体90(図1参照)を基準とした立体曲面91のサイズを示す。実施形態では、第二サイズ情報及び後述する第一サイズ情報の単位をドット数とする。例えば、「ミリメートル」と「ドット数」との関係は、「ドット数=ミリメートル÷25.4×解像度(dpi)」となる。この式中の「ミリメートル」の例としては、上述した立体曲面91の測定値又は設計値が挙げられる。この式中の「解像度(dpi)」の例としては、柄データの解像度が挙げられる。第二サイズ情報の例としては、次の第一長さ及び第二長さが挙げられる。第一長さは、第一座標軸方向に立体曲面91に沿った立体曲面91の長さである。第二長さは、第二座標軸方向に立体曲面91に沿った立体曲面91の長さである。実施形態では、第二サイズ情報として、第一長さ及び第二長さを用いる(図7下段参照)。第二長さは、第一座標軸方向の中心位置で測定される。説明の便宜上、第一長さ及び第二長さの最小値を1ドットとする。この場合、立体曲面91の第二座標軸方向の第三側端及び第四側端の第一長さは1ドットとなる。
公知の3次元測定機又は設計用のプログラム(3次元CAD)によって立体曲面91の測定値又は設計値として254mmが取得されているとする。柄データの解像度が200dpiであるとする。この場合、第二長さは、上述した式から2000ドット(254÷25.4×200)となる。
メモリ64は、プロセッサ62が各種のプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。メモリ64は、処理の実行途中に処理で利用される所定のデータ及び情報を所定の記憶領域に記憶する。操作器65は、情報処理装置60に対する各種指示の入力を受け付ける。プロセッサ62は、操作器65で受け付けられた指示に対応する指令を取得する。表示器66は、各種の情報及び画像を表示する。操作器65の例としては、キーボード及びマウスが挙げられる。この他、操作器65は、タッチパッドを含んでもよい。この場合、操作器65は、表示器66と共にタッチパネルとなる。表示器66の例としては、液晶ディスプレイが挙げられる。
情報処理装置60は、画像処理のプログラムをストレージ63に記憶し、プロセッサ62が画像処理を実行する点で、パーソナルコンピュータのような公知の情報処理装置と相違する。換言すれば、情報処理装置60は、前述の点を除き、公知の情報処理装置が備える構成を備え、これと同様の処理を実行する。従って、情報処理装置60に関するこの他の説明は省略する。
<画像処理>
画像処理について図1,3,4,7~10を参照して説明する。プロセッサ62は、操作器65で画像処理(図8参照)の開始が指示され、この開始指示に対応する実行指令を取得した場合に画像処理を開始する。画像処理用のプログラムがプリンタドライバであるとする。この場合、画像編集用のプログラムの実行時、操作器65は、このプログラムで生成された柄の記録の開始指示を受け付ける。これに伴い、プロセッサ62は、この開始指示に対応する実行指令を取得する。プロセッサ62は、この実行指令の取得に応じて画像処理用のプログラムを実行する。換言すれば、画像処理は、画像編集用のプログラムによるプロセスによって開始される。実施形態では、前述の実行指令は、図7上段及び図9上段の柄データを指定する情報と、記録媒体90を指定する媒体情報とを含む。画像処理は、図7上段及び図9上段の柄データ及び図7下段の記録媒体90を対象とする。
図8の画像処理を開始させたプロセッサ62は、柄データを取得する(S11)。画像編集用のプログラムで柄データが生成された後、この柄データがストレージ63に記憶されているとする。この場合、プロセッサ62は、ストレージ63から柄データを読み出し、これを取得する。画像処理が画像編集用のプログラムによるプロセスによって開始されていたとする。この場合、プロセッサ62は、画像編集用のプログラムによるプロセスから柄データを取得する。プロセッサ62は、柄データをメモリ64に記憶する。
続けて、プロセッサ62は、柄データを縦方向に分割する(S13)。S13では、画像データを分割する公知の画像処理技術を採用することができる。従って、この画像処理技術に関する説明は省略する。柄データは、縦方向に設定間隔D2で分割される(図7上段及び図9参照)。実施形態では、設定間隔D2は、柄データを縦方向に6等分割する。6個の分割された柄データの部分を「分割柄データ1,2,3,4,5,6」という。但し、分割柄データ1~6を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「分割柄データ」という。図7上段及び図9上段で柄データの内部に一点鎖線で示す直線は、柄データの分割位置C1,C2,C3,C4,C5を示す。
実施形態では、画像処理で分割柄データ1から生成される記録データの部分を「分割記録データ1」という。同様に、画像処理で分割柄データ2,3,4,5,6から生成される分割記録データの部分を「分割記録データ2,3,4,5,6」という。分割記録データ1~6を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「分割記録データ」という。柄データの分割数「6」は例示である。このことは、上述した立体曲面91の平面視形状の分割数「6」についても同じである。但し、柄データの分割数と立体曲面91の平面視形状の分割数とは同じとなる(図7上段及び図9上段参照)。
設定間隔D2は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、設定間隔D2は、第二座標軸方向における立体曲面91の曲率を考慮して決定してもよい。この他、設定間隔D2は、第一ノズルN1と第二ノズルN2との列方向の中心間距離D3(図3参照)に対応させてもよい。第一ノズルN1はインクジェットヘッド20の全てのノズル21で最も列方向の第七側に配置され、第二ノズルN2はこの全てのノズル21で最も列方向の第八側に配置される(図3参照)。
S13でプロセッサ62は、分割柄データ1~6を取得する(図9下段参照)。プロセッサ62は、分割柄データ1~6をメモリ64に記憶する。上述した通り、柄データで柄の形状は、立体曲面91の平面視形状に対応する。そのため、分割柄データ1に含まれる柄部分は、平面視領域R1に対応する。分割柄データ2に含まれる柄部分は、平面視領域R2に対応する。分割柄データ3に含まれる柄部分は、平面視領域R3に対応する。分割柄データ4に含まれる柄部分は、平面視領域R4に対応する。分割柄データ5に含まれる柄部分は、平面視領域R5に対応する。分割柄データ6に含まれる柄部分は、平面視領域R6に対応する。更に、この点に関し、実施形態では、上述した通り、柄データに含まれる柄の形状は、立体曲面91の平面視形状に一致する(図7上段及び図9上段参照)。そのため、分割柄データ1に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R1の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ1」参照)。分割柄データ2に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R2の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ2」参照)。分割柄データ3に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R3の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ3」参照)。分割柄データ4に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R4の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ4」参照)。分割柄データ5に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R5の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ5」参照)。分割柄データ6に含まれる柄部分の外形は、平面視領域R6の外形と同じ形状を有する(図9下段の「分割柄データ6」参照)。
その後、プロセッサ62は、分割柄データ1~6のうちの1つを処理対象として選択する(S15)。処理対象として選択される分割柄データは、S15~S21の処理の対象とされていない分割柄データのうちの1つである。例えば、今回のS15が、画像処理開始後、最初の実行である場合、プロセッサ62は、分割記録データ1を選択する。その後、プロセッサ62は、後述するS21が否定(S21:No)され、S15が繰り返される度に分割記録データ2,3,4,5,6をこの順に選択する。
次に、プロセッサ62は、第一サイズ情報を取得する(S17)。第一サイズ情報は、柄のサイズを示す。柄のサイズの例としては、柄データに含まれる柄の横方向サイズ、及びこの柄の縦方向サイズが挙げられる。実施形態では、第一サイズ情報として、横方向サイズ及び縦方向サイズを用いる(図7上段及び図9参照)。説明の便宜上、横方向サイズ及び縦方向サイズの最小値を、第二サイズ情報の第一長さ及び第二長さと同様、1ドットとする。プロセッサ62は、S17をS15で処理対象とした分割柄データに対して実行する。S17でプロセッサ62は、第一サイズ情報として、処理対象の分割柄データに含まれる柄部分の横方向サイズと、この柄部分の縦方向サイズとを取得する(図9下段参照)。更に、この柄部分の横方向サイズに関し、プロセッサ62は、縦方向の第十一側端の横方向サイズと、縦方向の第十二側端の横方向サイズとを取得する(図9下段参照)。プロセッサ62は、処理対象の分割柄データに関連付けて縦方向の第十一側端の横方向サイズ、縦方向の第十二側端の横方向サイズ及び縦方向サイズをメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ1が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ1に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「1ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「W1ドット」と、縦方向サイズ「H1ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ1」参照)。
S15で分割柄データ2が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ2に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「W1ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「W2ドット」と、縦方向サイズ「H2ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ2」参照)。
S15で分割柄データ3が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ3に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「W2ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「W3ドット」と、縦方向サイズ「H3ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ3」参照)。
S15で分割柄データ4が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ4に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「W3ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「W4ドット」と、縦方向サイズ「H4ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ4」参照)。
S15で分割柄データ5が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ5に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「W4ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「W5ドット」と、縦方向サイズ「H5ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ5」参照)。
S15で分割柄データ6が処理対象として選択されているとする。S17でプロセッサ62は、分割柄データ6に含まれる柄部分について、縦方向の第十一側端の横方向サイズ「W5ドット」と、縦方向の第十二側端の横方向サイズ「1ドット」と、縦方向サイズ「H6ドット」とを取得する(図9下段の「分割柄データ6」参照)。
分割柄データ1~6に含まれる柄部分の縦方向サイズに関し、実施形態では、柄は、縦方向の全領域に配置され、且つS13で柄データは縦方向に設定間隔D2で6等分割される(図7上段及び図9上段参照)。従って、分割柄データ1~6では、柄部分の縦方向サイズH1~H6は同じとなる(図7上段及び図9参照)。S17では、画像データに含まれる柄を解析する次のような画像処理技術を採用することができる。例えば、前述の画像処理技術は、画像データを形成する画素の色情報から画像データに含まれる柄を特定し、特定された柄のサイズを取得する。画素の色情報の例としては、RGB値が挙げられる。このような画像処理技術は公知である。従って、この画像処理技術に関する説明は省略する。
S17を実行後、プロセッサ62は、第二サイズ情報を取得する(S19)。実施形態では、立体曲面91をこれの平面視形状の分割数「6」と同じ分割数で分割させた立体曲面91の部分を「曲面領域Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6」という(図7下段参照)。曲面領域Q1は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R1に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R1は、曲面領域Q1の平面視形状を示す。曲面領域Q1は、分割柄データ1に対応する。曲面領域Q2は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R2に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R2は、曲面領域Q2の平面視形状を示す。曲面領域Q2は、分割柄データ2に対応する。曲面領域Q3は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R3に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R3は、曲面領域Q3の平面視形状を示す。曲面領域Q3は、分割柄データ3に対応する。曲面領域Q4は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R4に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R4は、曲面領域Q4の平面視形状を示す。曲面領域Q4は、分割柄データ4に対応する。曲面領域Q5は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R5に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R5は、曲面領域Q5の平面視形状を示す。曲面領域Q5は、分割柄データ5に対応する。曲面領域Q6は、立体曲面91の平面視形状における平面視領域R6に一致する(図7参照)。換言すれば、平面視領域R6は、曲面領域Q6の平面視形状を示す。曲面領域Q6は、分割柄データ6に対応する。
S19でプロセッサ62は、第二サイズ情報として、曲面領域Q1~Q6のうち、処理対象の分割柄データに対応する曲面領域の第一長さ及び第二長さを取得する。更に、この曲面領域の第一長さに関し、プロセッサ62は、第二座標軸方向の第三側端の第一長さと、第二座標軸方向の第四側端の第一長さとを取得する。実施形態では、曲面領域Q1~Q6を対象とする第二長さは、曲面領域Q1~Q6の第一座標軸方向の中心位置で第二座標軸方向に曲面領域Q1~Q6に沿った曲面領域Q1~Q6の長さである(図7下段参照)。プロセッサ62は、処理対象の分割柄データに対応する曲面領域に関連付けて第二座標軸方向の第三側端の第一長さ、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ及び第二長さをメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ1が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q1について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「1ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「L1ドット」と、第二長さ「M1ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q1」参照)。
S15で分割柄データ2が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q2について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「L1ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「L2ドット」と、第二長さ「M2ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q2」参照)。
S15で分割柄データ3が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q3について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「L2ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「L3ドット」と、第二長さ「M3ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q3」参照)。
S15で分割柄データ4が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q4について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「L3ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「L4ドット」と、第二長さ「M4ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q4」参照)。
S15で分割柄データ5が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q5について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「L4ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「L5ドット」と、第二長さ「M5ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q5」参照)。
S15で分割柄データ6が処理対象として選択されているとする。S19でプロセッサ62は、曲面領域Q6について、第二座標軸方向の第三側端の第一長さ「L5ドット」と、第二座標軸方向の第四側端の第一長さ「1ドット」と、第二長さ「M6ドット」とを取得する(図7下段の「曲面領域Q6」参照)。
S19を実行後、プロセッサ62は、第一サイズ情報と第二サイズ情報とのサイズ比に合わせて柄データを変形し、分割記録データを生成する(S21)。S21でプロセッサ62は、柄データの変形を処理対象の分割柄データ毎に実行し、この分割柄データに対応する分割記録データを生成する。その際、プロセッサ62は、前述のサイズ比として、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比を取得する。
第一サイズ比は、縦方向の第十一側端の横方向サイズと第二座標軸方向の第三側端の第一長さとの比であり、次の式(1)により算出される。第二サイズ比は、縦方向の第十二側端の横方向サイズと第二座標軸方向の第四側端の第一長さとの比であり、次の式(2)により算出される。第三サイズ比は、縦方向サイズと第二長さとの比であり、次の式(3)により算出される。実施形態では、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比を区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「サイズ比」という。
第一サイズ比=第二座標軸方向の第三側端の第一長さ÷縦方向の第十一側端の横方向サイズ・・・(1)
第二サイズ比=第二座標軸方向の第四側端の第一長さ÷縦方向の第十二側端の横方向サイズ・・・(2)
第三サイズ比=第二長さ÷縦方向サイズ・・・(3)
プロセッサ62は、処理対象の分割柄データを縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比に合わせて変形する。プロセッサ62は、処理対象の分割柄データを縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比に合わせて変形する。プロセッサ62は、処理対象の分割柄データを縦方向に第三サイズ比に合わせて変形する。プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて処理対象の分割柄データを横方向及び縦方向に変形することで、この分割柄データから分割記録データを生成する。プロセッサ62は、分割記録データをメモリ64に記憶する。
サイズ比と柄データの変形との関係について、「サイズ比=1」は柄データの未変形を意味し、「サイズ比>1」は柄データの拡大を意味し、「サイズ比<1」は柄データの縮小を意味する。柄データの変形は、柄データの拡大と、柄データの縮小とを含む。柄データの未変形は、柄データの等倍での変形ということもできる。つまり、サイズ比と分割柄データの変形との関係について、「サイズ比=1」は分割柄データの未変形を意味し、「サイズ比>1」は分割柄データの拡大を意味し、「サイズ比<1」は分割柄データの縮小を意味する。分割柄データの変形は、分割柄データの拡大と、分割柄データの縮小とを含む。分割柄データの未変形は、分割柄データの等倍での変形ということもできる。
S15で分割柄データ1が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「1」を取得し、第二サイズ比として「L1/W1」を取得し、第三サイズ比として「M1/H1」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ1を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「1」に合わせて変形する。但し、上述した通り、サイズ比「1」は未変形を意味するから、プロセッサ62は、実質的には分割柄データ1を縦方向の第十一側端で横方向に変形しない。プロセッサ62は、S21でこの処理を省略してもよい。プロセッサ62は、分割柄データ1を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「L1/W1」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ1を縦方向に第三サイズ比「M1/H1」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ1を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ1を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ1をメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ2が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「L1/W1」を取得し、第二サイズ比として「L2/W2」を取得し、第三サイズ比として「M2/H2」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ2を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「L1/W1」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ2を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「L2/W2」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ2を縦方向に第三サイズ比「M2/H2」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ2を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ2を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ2をメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ3が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「L2/W2」を取得し、第二サイズ比として「L3/W3」を取得し、第三サイズ比として「M3/H3」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ3を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「L2/W2」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ3を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「L3/W3」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ3を縦方向に第三サイズ比「M3/H3」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ3を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ3を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ3をメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ4が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「L3/W3」を取得し、第二サイズ比として「L4/W4」を取得し、第三サイズ比として「M4/H4」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ4を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「L3/W3」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ4を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「L4/W4」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ4を縦方向に第三サイズ比「M4/H4」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ4を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ4を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ4をメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ5が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「L4/W4」を取得し、第二サイズ比として「L5/W5」を取得し、第三サイズ比として「M5/H5」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ5を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「L4/W4」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ5を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「L5/W5」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ5を縦方向に第三サイズ比「M5/H5」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ5を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ5を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ5をメモリ64に記憶する。
S15で分割柄データ6が処理対象として選択されているとする。S21でプロセッサ62は、第一サイズ比として「L5/W5」を取得し、第二サイズ比として「1」を取得し、第三サイズ比として「M6/H6」を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ6を縦方向の第十一側端で横方向に第一サイズ比「L5/W5」に合わせて変形する。プロセッサ62は、分割柄データ6を縦方向の第十二側端で横方向に第二サイズ比「1」に合わせて変形する。但し、上述した通り、サイズ比「1」は未変形を意味するから、プロセッサ62は、実質的には分割柄データ6を縦方向の第十二側端で横方向に変形しない。プロセッサ62は、S21でこの処理を省略してもよい。プロセッサ62は、分割柄データ6を縦方向に第三サイズ比「M6/H6」に合わせて変形する。これに伴い、プロセッサ62は、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ6を横方向及び縦方向に変形させた分割記録データ6を生成する。プロセッサ62は、分割記録データ6をメモリ64に記憶する。
画像処理の開始後、最初のS21でプロセッサ62は、分割柄データ1から生成された分割記録データ1をメモリ64に記憶する。その後、後述するS23が否定(S23:No参照)されて処理がS15に戻った状態で実行されるS21では、プロセッサ62は、S15で新たに処理対象とされた分割柄データ1以外の分割柄データから新たに生成された分割記録データ1とは異なる分割記録データをメモリ64に順次記憶する。この場合、プロセッサ62は、新たに生成された分割記録データをメモリ64に記憶済みの記録データの後端(縦方向の第十二側端)に結合する。例えば、S15で分割柄データ2が新たに処理対象とされた場合、プロセッサ62は、分割記録データ2をメモリ64に記憶済みの記録データ(分割記録データ1)の後端(縦方向の第十二側端)に結合する。S15で分割柄データ6が新たに処理対象とされた場合、プロセッサ62は、分割記録データ6をメモリ64に記憶済みの次の記録データの後端(縦方向の第十二側端)に結合する。前述の記録データでは、分割記録データ1~5が縦方向の第十一側から第十二側に分割記録データ1,2,3,4,5の順で結合する。
新たに生成された分割記録データをメモリ64に記憶済みの記録データの後端(縦方向の第十二側端)に結合する場合、プロセッサ62は、新たに生成された分割記録データの先端(縦方向の第十一側端)をメモリ64に記憶済みの記録データの後端(縦方向の第十二側端)に合わせる。更に、前述の場合、プロセッサ62は、新たに生成された分割記録データの横方向の中心位置をメモリ64に記憶済みの記録データの横方向の中心位置に揃える。記録データへの分割記録データの結合には、公知の画像処理技術を採用することができる。従って、この画像処理技術に関する説明は省略する。
S21を実行後、プロセッサ62は、S13で柄データから分割された全ての分割柄データ1~6がS17~S21の処理対象として選択されたかを判断する(S23)。全ての分割柄データ1~6が選択されていない場合(S23:No)、プロセッサ62は、処理をS15に戻す。その後、プロセッサ62は、S15以降の処理を繰り返して実行する。全ての分割柄データ1~6が選択されている場合(S23:Yes)、プロセッサ62は、処理をS25に移行する。
S25でプロセッサ62は、接続I/F61に対して記録データ及び媒体情報をインクジェット記録装置10に出力させる。これに伴い、接続I/F61は、記録データ及び媒体情報をインクジェット記録装置10に出力する。実施形態では、媒体情報は、記録媒体90を指定する。インクジェット記録装置10では、プロセッサ52は媒体情報によりティーチングによって設定された動作を特定し、移動ロボット40はこの特定された動作を実行する。更に、プロセッサ52は、柄の記録を制御する。インクジェットヘッド20は、立体曲面91に対して上述したように相対移動及び相対回転しつつ、記録データに従ったインクの吐出を実行する。
実施形態では、インクジェット記録装置10は、立体曲面91への柄の記録を柄の全体を縦方向に分割させた柄部分毎に繰り返すことで、立体曲面91に柄の全体を記録する(図1,4,10参照)。プロセッサ62は、立体曲面91への柄の記録が上述した方式で分割された柄部分毎に実行されるように記録データを縦方向に6分割し、接続I/F61に対してこの分割された記録データの部分をインクジェット記録装置10に順次出力させる。S25での記録データの分割位置は、柄データの分割位置C1,C2,C3,C4,C5及びS21で分割記録データ1~6をそれぞれ結合させた縦方向の位置とは関係しない。上述した通り、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20が第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動する場合、インク吐出用のノズル21の数が変化することがある。S25での記録データの分割位置は、このノズル21の数に応じて適宜決定してもよい。このような記録データの出力方式は、既に実用化された技術である。従って、これに関するこの他の説明は省略する。プロセッサ62は、記録データが全て出力された後、画像処理を終了する。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド20と、移動ロボット40とを備える(図1参照)。インクジェットヘッド20は、複数のノズル21を含む(図2~6参照)。複数のノズル21は、立体曲面91にインクを吐出する。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を相対移動及び相対回転させる(図1,4,5参照)。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向、第二座標軸方向及び第三座標軸方向に相対移動させる。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一回転方向、第二回転方向及び第三回転方向に相対回転させる。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向に相対移動させる場合、列方向を第一座標軸方向に直交させ、且つ立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第三座標軸方向に相対移動させる(図4,5参照)。移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第二回転方向及び第三回転方向の両方向に相対回転させずに第一回転方向に相対回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ基準位置PAと対向位置PBとの間の離間距離D1を一定とする(図4,5参照)。インクジェットヘッド20は、立体曲面91に対して第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動する場合、複数のノズル21から高さ方向にインクを吐出する。
そのため、第一座標軸方向及び第二座標軸方向に対して列方向及び幅方向を固定させて立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させることができる。立体曲面91と複数のノズル21とを第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対的に平行移動させることができる(図5参照)。立体曲面91の所望の位置にインクを着弾させることができる。インクジェット記録装置10は、立体曲面91に合わせて柄を記録することができる(図1,4,10参照)。立体曲面91に高品質な柄を記録することができる。
(2)移動ロボット40は、位置P0で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P1へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P2へと相対移動させる(図4参照)。即ち、移動ロボット40は、位置P0における第二座標軸方向の位置で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P1へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P1における第二座標軸方向の位置から位置P2における第二座標軸方向の位置へと相対移動させる。位置P1における第二座標軸方向の位置は、位置P0における第二座標軸方向の位置と同じである。
移動ロボット40は、位置P2で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P3へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P4へと相対移動させる(図4参照)。即ち、移動ロボット40は、位置P2における第二座標軸方向の位置で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P3へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P3における第二座標軸方向の位置から位置P4における第二座標軸方向の位置へと相対移動させる。位置P3における第二座標軸方向の位置は、位置P2における第二座標軸方向の位置と同じである。
移動ロボット40は、位置P4で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P5へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P6へと相対移動させる(図4参照)。即ち、移動ロボット40は、位置P4における第二座標軸方向の位置で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P5へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P5における第二座標軸方向の位置から位置P6における第二座標軸方向の位置へと相対移動させる。位置P5における第二座標軸方向の位置は、位置P4における第二座標軸方向の位置と同じである。
移動ロボット40は、位置P6で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P7へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P8へと相対移動させる(図4参照)。即ち、移動ロボット40は、位置P6における第二座標軸方向の位置で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P7へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P7における第二座標軸方向の位置から位置P8における第二座標軸方向の位置へと相対移動させる。位置P7における第二座標軸方向の位置は、位置P6における第二座標軸方向の位置と同じである。
移動ロボット40は、位置P8で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P9へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P10へと相対移動させる(図4参照)。即ち、移動ロボット40は、位置P8における第二座標軸方向の位置で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P9へと相対移動させた状態で、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P9における第二座標軸方向の位置から位置P10における第二座標軸方向の位置へと相対移動させる。位置P9における第二座標軸方向の位置は、位置P8における第二座標軸方向の位置と同じである。その後、移動ロボット40は、位置P10で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を位置P11へと相対移動させる。
そのため、立体曲面91に対するインクジェットヘッド20の第二座標軸方向の位置を変更させ、立体曲面91に対するインクジェットヘッド20の第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向への相対移動を繰り返すことができる。立体曲面91全体への柄の記録を複数回に分けて行うことができる。
(3)移動ロボット40は、位置P0~P1、位置P2~P3、位置P4~P5、位置P6~P7、位置P8~P9及び位置P10~P11で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、設定角θAを一定の角度に保持する。設定角θAは、第二座標軸方向と列方向とのなす角である(図6参照)。立体曲面91への柄の記録時、設定角θAは、位置P0~P1への移動時、位置P2~P3への移動時、位置P4~P5への移動時、位置P6~P7への移動時、位置P8~P9への移動時及び位置P10~P11への移動時、異なる角度に設定される。そのため、立体曲面91とインクジェットヘッド20との相対移動を立体曲面91の立体形状に沿わせることができる。
(4)情報処理装置60でプロセッサ62は、画像処理を実行する(図8参照)。画像処理でプロセッサ62は、柄データを取得する(図8のS11参照)。柄データは、立体曲面91の平面視形状に対応する形状の柄を含む(図7上段及び図9上段参照)。プロセッサ62は、この柄の第一サイズ情報を柄データから取得する(図8のS17参照)。プロセッサ62は、立体曲面91に沿った立体曲面91の第二サイズ情報を取得する(図8のS19参照)。プロセッサ62は、第一サイズ情報と第二サイズ情報とのサイズ比に合わせて柄データを変形させて記録データを生成する(図8のS21参照)。そのため、立体曲面91の立体形状に合った記録データを生成することができる。インクジェット記録装置10は、立体曲面91に合わせて柄を記録することができる(図1,4,10参照)。
(5)画像処理でプロセッサ62は、更に、分割柄データ1~6に柄データを分割する(図8のS13参照)。図8のS17でプロセッサ62は、分割柄データ1~6の各分割柄データに含まれる柄部分の第一サイズ情報を取得する。プロセッサ62は、分割柄データ1~6の各分割柄データに含まれる柄部分について、第一サイズ情報として、縦方向の第十一側端及び第十二側端の横方向サイズと、縦方向サイズとを取得する。図8のS19でプロセッサ62は、立体曲面91の曲面領域Q1~Q6の各曲面領域の第二サイズ情報を取得する。プロセッサ62は、曲面領域Q1~Q6の各曲面領域について、第二サイズ情報として、第二座標軸方向の第三側端及び第四側端の第一長さと、第二長さとを取得する。
図8のS21でプロセッサ62は、分割記録データ1~6を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ1及び曲面領域Q1、分割柄データ2及び曲面領域Q2、分割柄データ3及び曲面領域Q3、分割柄データ4及び曲面領域Q4、分割柄データ5及び曲面領域Q5、及び分割柄データ6及び曲面領域Q6の各組み合わせについて、第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比を取得する(上述の式(1)~(3)参照)。プロセッサ62は、分割柄データ1及び曲面領域Q1の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ1を変形させて分割記録データ1を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ2及び曲面領域Q2の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ2を変形させて分割記録データ2を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ3及び曲面領域Q3の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ3を変形させて分割記録データ3を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ4及び曲面領域Q4の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ4を変形させて分割記録データ4を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ5及び曲面領域Q5の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ5を変形させて分割記録データ5を生成する。プロセッサ62は、分割柄データ6及び曲面領域Q6の第一サイズ比、第二サイズ比及び第三サイズ比に合わせて分割柄データ6を変形させて分割記録データ6を生成する。
そのため、曲面領域Q1の立体形状に合った分割記録データ1を生成することができる。曲面領域Q2の立体形状に合った分割記録データ2を生成することができる。曲面領域Q3の立体形状に合った分割記録データ3を生成することができる。曲面領域Q4の立体形状に合った分割記録データ4を生成することができる。曲面領域Q5の立体形状に合った分割記録データ5を生成することができる。曲面領域Q6の立体形状に合った分割記録データ6を生成することができる。
(6)画像処理でプロセッサ62は、分割記録データ1~6を含む記録データをインクジェット記録装置10に出力させる(図8のS25参照)。そのため、インクジェット記録装置10でのインクの吐出を立体曲面91の立体形状に合った記録データによって実行させることができる(図1,4参照)。記録データは、立体曲面91の立体形状に合った柄を含む。インクジェット記録装置10は、立体曲面91の全体にこの柄を記録することができる(図10参照)。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
(1)画像処理(図8参照)では、第二サイズ情報の第二長さを、曲面領域Q1~Q6の第一座標軸方向の中心位置で第二座標軸方向に曲面領域Q1~Q6に沿った曲面領域Q1~Q6の長さとした(図7下段参照)。画像処理では、第二長さは、次の式(4)により算出される値としてもよい。式(4)中、「第三長さ」は平面視領域R1~R6の各平面視領域の第二座標軸方向の長さであり、「角度θB」は曲面領域Q1~Q6の各曲面領域の第二座標軸方向の第三側端及び第四側端を結ぶ次の仮想直線の傾き(第二座標軸方向に対する傾斜角)である。前述の仮想直線では、第二座標軸方向の第三側端及び第四側端は、第一座標軸方向の位置が一致する。第三長さは、この仮想直線における第二座標軸方向の第三側端及び第四側端と同じ第一座標軸方向の位置で測定される。
第二長さ=第三長さ÷cosθB ・・・(4)
曲面領域Q1の第二長さは、平面視領域R1の第三長さ及び曲面領域Q1の角度θBから式(4)によって算出される。曲面領域Q2の第二長さは、平面視領域R2の第三長さ及び曲面領域Q2の角度θBから式(4)によって算出される。曲面領域Q3の第二長さは、平面視領域R3の第三長さ及び曲面領域Q3の角度θBから式(4)によって算出される。曲面領域Q4の第二長さは、平面視領域R4の第三長さ及び曲面領域Q4の角度θBから式(4)によって算出される。曲面領域Q5の第二長さは、平面視領域R5の第三長さ及び曲面領域Q5の角度θBから式(4)によって算出される。曲面領域Q6の第二長さは、平面視領域R6の第三長さ及び曲面領域Q6の角度θBから式(4)によって算出される。上記同様、立体曲面91の平面視形状を設定間隔D2で第二座標軸方向に6等分割し、且つ第一座標軸方向の中心位置を基準とした場合、平面視領域R1~R6の各平面視領域の第三長さは、設定間隔D2に一致する。式(4)から算出される第二長さは、曲面領域Q1~Q6の各曲面領域における上述の仮想直線の長さということもできる。
(2)情報処理装置60では、プロセッサ62が画像処理(図8参照)を実行し、柄データから記録データを生成する(図8のS11~S23参照)。その後、プロセッサ62は、接続I/F61に対して記録データ及び媒体情報をインクジェット記録装置10に出力させる(図8のS25参照)。画像処理は、インクジェット記録装置10で実行されてもよい。この場合、ストレージ53は、柄データを記憶する。柄データは、上記同様、情報処理装置60で事前に生成されてもよい。制御装置50は、操作器65と同様の操作器を備える。更に、制御装置50は、表示器66と同様の表示器を備えてもよい。プロセッサ52は、この操作器にて画像処理の開始が指示され、この開始指示に対応する実行指令を取得した場合に画像処理を開始する。実行指令は、柄データを指定する情報と、媒体情報とを含む。画像処理は、上記同様、前述の2つの情報により指定された柄データ及び記録媒体を対象とする。
プロセッサ52は、ストレージ53から柄データを取得し(図8のS11参照)、図8のS13~S23を上記同様に実行する。図8のS25は省略される。図8のS23が肯定された場合(図8のS23:Yes参照)、プロセッサ52は、画像処理を終了する。その後、プロセッサ52は、メモリ54に記憶された記録データに従った柄の記録を制御する。媒体情報で記録媒体90が指定されていたとする。この場合、プロセッサ52は、記録媒体90を対象とした柄の記録を制御する。
(3)移動ロボット40が立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合に実行する動作として、次の態様を例示した(図4,5参照)。前述の態様では、移動ロボット40は、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第二回転方向及び第三回転方向の両方向に相対回転させずに第一回転方向に相対回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ離間距離D1を一定とする。即ち、移動ロボット40は、位置P0~P1、位置P2~P3、位置P4~P5、位置P6~P7、位置P8~P9及び位置P10~P11で立体曲面91に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、設定角θA(図6参照)を一定の角度に保持する。
実施形態で例示する記録媒体90の立体曲面91に対して、記録媒体の立体曲面がより複雑な立体形状を有することも想定される。このような場合、移動ロボット40は、この立体曲面に対してインクジェットヘッド20を第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向に相対移動させる場合、この立体曲面に対してインクジェットヘッド20を第三回転方向に相対回転させずに第一回転方向及び第二回転方向の両方向に相対回転させて吐出面22を接平面Tと平行とし、且つ離間距離D1を一定としてもよい。複雑な立体形状を有する立体曲面に対するインクジェットヘッド20の1回分の第一座標軸方向及び第三座標軸方向の両方向への相対移動時、この相対移動を複雑な立体曲面の立体形状に沿わせることができる。