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JP7552944B1 - ドライフィルム、その硬化物および、電子部品 - Google Patents

ドライフィルム、その硬化物および、電子部品 Download PDF

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JP7552944B1
JP7552944B1 JP2024029579A JP2024029579A JP7552944B1 JP 7552944 B1 JP7552944 B1 JP 7552944B1 JP 2024029579 A JP2024029579 A JP 2024029579A JP 2024029579 A JP2024029579 A JP 2024029579A JP 7552944 B1 JP7552944 B1 JP 7552944B1
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寛 柴田
和規 松戸
賢志 中山
克哉 南方
篤美 白井
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Artience Co Ltd
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Abstract

Figure 0007552944000001
【課題】光学特性、半導体素子の封止性、低温硬化性、保管安定性および、取扱性に優れたドライフィルムを提供する。
【解決手段】ラジカル重合性有機化合物と、熱ラジカル重合開始剤を含有するドライフィルムであり、熱ラジカル重合開始剤は10時間半減期温度が60℃以上170℃以下の熱ラジカル重合開始剤であるドライフィルムによって解決できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドライフィルム、その硬化物を具備する電子機器に関する。
ドライフィルムは半導体素子の封止材に用いられる。特に、光学センサモジュールにおける隔壁や、LEDを用いたディスプレイにおけるRGBの各発光素子の周囲に配置される材料には、加工性と光学適性が優れるドライフィルムが求められている。
例えば、引用文献1には光重合開始剤からなるドライフィルムが開示されている。
従来、LEDを封止する方法としては、複数のLEDが配置された領域にドライフィルムを熱プレス等で埋め込み、紫外線照射によりドライフィルムを硬化する方法が知られている。
また、引用文献2には特定のガラス転移温度、重量平均分子量の高分子樹脂とエポキシ系材料とカーボンブラックからなる遮光性のドライフィルムが開示されている。
特開2022-110251号公報 特開2022-22562号公報
近年、開発が盛んに行われているマイクロLEDは、LED同士の間隔が10~250μmと狭く、これら微小の溝に、隙間なく封止する必要があるが、従来のドライフィルムでは溝の間に十分に埋め込まれず、空隙が発生していた(封止性ともいう)。
封止後、ドライフィルムの硬化物は、マイクロLED素子の輝度を損なわないために長期間、高い透明性を維持する性能が求められていた。一方、隣接する発光素子の混色を抑制する用途においては、高い遮光性が求められるなど優れた光学特性が要求されていた。
また、部品への熱ダメージの軽減や封止工程時間の短縮の観点から、低温で素早く硬化するドライフィルムが求められていた(低温硬化性ともいう)。
加えて、長期間の経時後に硬化反応が進み、封止性能が悪化する問題があり、長期保管後も安定した封止性を維持することが求められていた(保管安定性ともいう)。
さらに表面のタックが無い作業時の取り扱いが容易なドライフィルムが求められていた(取扱性ともいう)。
そこで本発明の課題は、光学特性、封止性、低温硬化性、保管安定性および、取扱性に優れるドライフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ラジカル重合性有機化合物、熱ラジカル重合開始剤を含有するドライフィルムであって、ドライフィルムの熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が60℃以上170℃以下であることで、光学特性、封止性、低温硬化性、保管安定性および、取扱性に優れるドライフィルムになることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]記載のドライフィルム、硬化物、および電子部品を提供する。
[1]:ラジカル重合性有機化合物、熱ラジカル重合開始剤を含有するドライフィルムであって、前記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が60℃以上170℃以下であるドライフィルム。
[2]:前記ラジカル重合性有機化合物は、ガラス転移温度が-50℃以上90℃以下のラジカル重合性ポリマー(a)を含む[1]記載のドライフィルム。
[3]:前記ラジカル重合性有機化合物は、常温常圧下で液状であるラジカル重合性オリゴマー(b)およびラジカル重合性モノマー(c)の内、少なくとも一つを含む[1]記載のドライフィルム。
[4]:動的粘弾性測定により得られる80℃の貯蔵弾性率(G’80)が、5×10Pa~5×10Paであることを特徴とする[2]又は[3]記載のドライフィルム。
[5]:動的粘弾性測定により得られる80℃の損失正接の(tanδ80)が、0.3~0.7であることを特徴とする[4]記載のドライフィルム。
[6]:ドライフィルムの表面の動摩擦係数が0.5以下である[5]記載のドライフィルム。
[7]:前記ドライフィルムの全固形分100質量%中、着色剤を0.1~80質量%含有する、[6]記載のドライフィルム。
[8]:[7]記載のドライフィルムの硬化物を具備する電子機器。
本発明によれば、光学特性、封止性、低温硬化性、保管安定性、取扱性に優れたドライフィルム、硬化物、および電子部品を提供することができる。
本発明のドライフィルムの一実施態様を模式的に示す概略断面図。 半導体素子を有する基板上にドライフィルムを充填する工程を示す模式的断面図。 封止性評価に用いる試験基板を模式的に示す概略断面図。
以下、本発明のドライフィルムを、より具体的に説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される変形例も含まれる。
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値、および上限値の範囲として含むものとする。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸をいう。また、本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に1種単独でも2種以上を併用してもよい。なお、2種以上を併用する場合、含有率は合計値を用いる。
図1は、本発明の一実施形態のドライフィルム11の模式的な断面図である。図1(イ)に示されるドライフィルム11は、ドライフィルム11に、剥離ライナー12が積層された二層構造である。(ロ)に示すようにドライフィルム11の剥離ライナー12が積層された面とは反対の面に保護フィルム13を形成しても良い。ドライフィルム11は、必要に応じて、ドライフィルムと剥離ライナー12又は保護フィルム13との間に他の層を設けても良い。
本発明のドライフィルムは、半導体素子を封止するために用いることが好ましい。特に、ディスプレイ用光源として用いる複数の光半導体素子の、固定剤として用いる形態が好ましい。固定剤は、半導体素子の輝度を損なわない高透明な固定剤として用いる形態の他、光の混色を防ぐ遮光層(隔壁ともいう)として用いる形態も好ましい。複数の光半導体素子を光源とするディスプレイは、例えば、有機ELディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、マイクロLEDディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電子ペーパーなど、高品位が要求されるようなディスプレイが挙げられる。
ドライフィルムは、直接被着体に密着させて積層することが好ましい。被着体としては、前述した複数の光半導体素子(マイクロLED)の他、金属からなる基板電極部位を有するものや、バックライトモジュール、有機ELなどの複数の光半導体素子部位を有するものが挙げられる。さらに、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、ポリイミド、ガラス、ガラスエポキシ、ITOまたはポリエチレンテレフタレートなどの基板を有していても良い。
ドライフィルムは、凹凸面に対する高い追従性を有しているため、複数の光半導体素子に追従して光半導体素子の間を充填する使用方法が好適である。光半導体素子間にドライフィルムを充填し、硬化することで、ドライフィルムの硬化物は隣接する光半導体素子を基板上に固定する固定剤として機能する。ドライフィルムが着色剤を含む場合、光半導体素子間に充填し、硬化したドライフィルムの硬化物は、隣接する光半導体素子の光源を遮光し、光の混色を防ぐ隔壁として機能する。ドライフィルムは特に、マイクロサイズの光半導体素子に追従することが可能であることから、光半導体素子としてはマイクロLEDがより好適である。ドライフィルムが着色剤を含む場合、マイクロLEDディスプレイパネルの隔壁として、ドライフィルムを使用することがより好ましい。
以下、固定剤または隔壁を形成する工程の一例を、図2を用いて説明する。
工程(a):ドライフィルムの載置工程
図2(a)に一例を示すように、複数の光半導体素子を有する基板上にドライフィルム11を載置する。載置は、光半導体素子を直接覆うことが好ましい。なお、剥離ライナーを有する場合、載置後すぐに剥がしても良く、下記に示すプレス工程後に剥がしても良い。
本明細書において、複数の光半導体素子とは、2つ以上の光半導体素子であれば特に限定されない。また、光半導体素子の発光色は特に限定されず、有機EL発光素子、LED光半導体素子が適用できる。発色は例えば、赤色、緑色、青色が挙げられる。
光半導体素子の大きさは、厚さが100μm以下、平面視の面積が40,000μm以下のものが好ましく、厚さが50μm以下、平面視の面積が10,000μm以下のものがより好ましく、厚さが20μm以下、平面視の面積が2,500μm以下のものがさらに好ましい。
基板上に載置する光半導体素子同士の間隔は、例えば、10~5,000μmである。赤色、緑色、青色の光半導体素子をセットで1画素として基板上に載置する場合、画素同士の間隔は例えば10~2,000μmであって、20~1,800μmが好ましく、500~1,500μmがより好ましい。1画素中における光半導体素子同士の間隔は、例えば、10~250μmであって、10~100μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。
工程(b):プレス工程
図2(b)に示すように、プレスによってドライフィルム11を流動させ、複数の光半導体素子の間に充填する。複数の光半導体素子の間に充填したドライフィルム11は固定剤または隔壁となる。プレス方法は特に限定されないが、熱プレス、真空プレスが好ましい。プレス時の温度は、ドライフィルムの充填性の観点から、20~200℃が好ましく、50~150℃がより好ましく、60~130℃がさらに好ましく、80~120℃が最も好ましい。
光半導体素子や被着体との密着性を高めるために、プレス後、さらに加熱エージングしてもよい。加熱温度は80~250℃が好ましく、100~220℃がより好ましく、140~190℃がさらに好ましい。加熱時間は30~300分が好ましく、60~240分がより好ましく、90~180分がさらに好ましい。上記の加熱温度、加熱時間とすることで、ドライフィルムの残留応力を取り除き、密着面を平滑化することができ、固定剤または隔壁を形成するドライフィルムの熱硬化が促進される。
上記プレス工程、加熱エージング工程を経て、ドライフィルムは熱硬化し、ドライフィルムの硬化物(硬化物ともいう)となる。硬化することで固定剤または隔壁の強靭性や耐久性や向上し、被着体への密着性も増す。
加熱エージングは後述する工程(c)の後に実施してもよい。
工程(c):エッチング工程
工程(c)ではエッチングを行い、光半導体素子上のドライフィルムの硬化物を取り除く、または、薄膜化する。ドライフィルムの硬化物を取り除くことによって、発光素子の輝度を高くし、発光時の視認性を確保する。エッチング後の固定剤または隔壁の厚さは、図2(c-1)に示すように光半導体素子の厚さと同程度か、図2(c-2)に示すようにドライフィルムの厚さ以下が好ましい。なお、発光素子上からドライフィルムを完全に除去せずとも、実質的に取り除けていればよく、多少の薄膜が残存した状態でもよい。また、発光素子の輝度が十分確保されている場合はエッチング工程を実施しなくても良い。
エッチング方法は、特に限定されないが、薬剤を用いた化学的研摩などのウェットエッチング法や、研磨材を用いた物理的研摩、レーザエッチング、アルゴンプラズマや酸素プラズマを利用したプラズマエッチング、イオンビームエッチングなどのドライエッチング法が好ましい例として挙げられる。表面の凹凸を減少させる観点から、ウェットエッチング法とドライエッチング法を併用することが好ましい。
また、プラズマ処理などの物理的エッチングでもよい。エッチングの条件としては、例えば、異方性プラズマ装置にて、CF/O/Nの混合ガスを用い、出力1500~3000W、180~600秒の条件でドライエッチングすればよい。この際、CFのガス供給量としては、例えば50~100sccmであり、Oのガス供給量としては、例えば500~1000sccm、Nのガス供給量としては、例えば50~100sccmとすればよい。
<ドライフィルム>
ドライフィルムはラジカル重合性有機化合物と、熱ラジカル重合開始剤を含有する。
ドライフィルムの厚さは、例えば、0.5~100μmが好ましく、1~50μmがより好ましい。この範囲にあることでドライフィルムの封止性が優れたものになる。ドライフィルムは、単層でも2層以上の積層でも良く、厚さは後述する実施例記載の方法にて測定できる。
ドライフィルムが着色剤を含む場合、ドライフィルムの光学濃度は3以上が好ましい。光学濃度が3以上であれば十分な遮光性を保つことができる。光学濃度は着色剤の種類や含有量によって調整することができる。また、光学濃度は、後述する実施例記載の方法にて測定できる。
ドライフィルムが着色剤を含む場合、所謂光重合を主としたドライフィルムは遮光性が高い程、光がドライフィルム内部に届きにくく、未硬化部分が発生しやすいが、本願のドライフィルムは熱によって重合が進むため、内部の硬化が均一に進み、ドライフィルム内部の未硬化部が残りにくい。そのため、より高い遮光性を担保しつつ、均一に硬化させることが可能である。
ドライフィルムが着色剤を含まない場合、所謂光重合を主としたドライフィルムは、残存する光ラジカル重合開始剤によって引き起こされる黄変を主要因として透明性が低下しやすいが、本願のドライフィルムは、熱ラジカル重合開始剤を用いるため、黄変しにくい。そのため、より高い透明性を担保しつつ硬化させることが可能である。
また、所謂熱架橋反応を主としたドライフィルムは、イソシアネートなどの架橋剤が反応する際にガスを発生し、ドライフィルム内に残存する発泡を主要因として透明性が低下しやすいが、本願のドライフィルムは熱ラジカル重合開始剤を用いるためガスが発生しにくく、より高い透明性を担保できる。
なお、透明性は後述する実施例記載の方法にて測定できる。
ドライフィルムの動的粘弾性測定により得られる80℃の貯蔵弾性率(G’80)は、5×10Pa~5×10Paであることが好ましく、10×10Pa~1×10Paであることがより好ましく、50×10Pa~5×10Paであることがさらに好ましい。G’80を5×10Pa以上とすることで、半導体素子の封止のプレス工程にてドライフィルムにかかる圧力が均一に拡散されやすく、G’80を5×10Pa以下とすることで、半導体素子に追従して密着しやすくなり、半導体素子の封止性が優れたものになる。G’80はせん断モード、1Hz~10Hzの条件で測定した値であり後述する実施例記載の方法にて測定できる。
G’80を上記範囲に調節することで、ドライフィルムはプレス工程において優れた流動性を発現することができる。
なお、本発明のG’80は、ラジカル重合性有機化合物の種類、組成や含有量、熱ラジカル重合開始剤の含有量によって調整することができる。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性ポリマー(a)を含有する場合、重量平均分子量が低いもの、および/またはガラス転移温度が低いものの含有量を多くすることでG’80を低くすることができ、G’80を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性オリゴマー(b)および/またはラジカル重合性モノマー(c)を含有する場合、粘度が低いものの含有量を多くすることでG’80を低くすることができ、G’80を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。また、熱ラジカル重合開始剤の含有量多くすることでG’80を高くすることができ、G’80を低くしたい場合には、その逆に調整すればよい。
ドライフィルムの動的粘弾性測定により得られる80℃の損失正接の(tanδ80)は、0.3~0.7であることが好ましく、0.4~0.6であることがより好ましい。tanδ80を0.3以上とすることで、半導体素子の封止のプレス工程にてドライフィルムにかかる圧力が均一に拡散されやすく、tanδ80を0.7以下とすることで、半導体素子に追従して密着しやすくなり、半導体素子の封止性が優れたものになる。tanδ80は、G’80と同様の方法にて測定できる。
tanδ80を上記範囲に調節することで、プレス工程においてドライフィルムの圧力の拡散性を高めることができる。
tanδ80は、ラジカル重合性有機化合物の種類、組成や含有量、熱ラジカル重合開始剤の含有量によって調整することができる。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性ポリマー(a)を含有する場合、重量平均分子量が低いもの、および/またはガラス転移温度が低いものの含有量を多くすることでtanδ80を低くすることができ、tanδ80を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性オリゴマー(b)および/またはラジカル重合性モノマー(c)を含有する場合、粘度が低いものの含有量を多くすることでtanδ80を低くすることができ、tanδ80を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。また、熱ラジカル重合開始剤の含有量多くすることでtanδ80を高くすることができ、tanδ80を低くしたい場合には、その逆に調整すればよい。
ドライフィルムの表面の動摩擦係数は、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.35以下であることがさらに好ましい。動摩擦係数を0.5以下とすることで、半導体素子の封止のプレス工程にて半導体素子とドライフィルムの接触面におけるドライフィルムの流動が良好となり、半導体素子の封止性が優れたものになる。また、半導体素子など被着体とドライフィルムの接着の際に気泡が入りにくく、透明性が優れたものになる。
なお、動摩擦係数の下限は0以上であり、0に近いほど好ましい。動摩擦係数は、例えば後述する実施例記載の方法にて測定できる。
動摩擦係数は、ラジカル重合性有機化合物の種類、組成や含有量、熱ラジカル重合開始剤の含有量によって調整することができる。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性ポリマー(a)を含有する場合、ガラス転移温度が高いものの含有量を多くすることで動摩擦係数を低くすることができ、動摩擦係数を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性オリゴマー(b)および/またはラジカル重合性モノマー(c)を含有する場合、粘度が低いものの含有量を多くすることで動摩擦係数を低くすることができ、動摩擦係数を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。また、熱ラジカル重合開始剤の含有量多くすることで動摩擦係数を低くすることができ、動摩擦係数を高くしたい場合には、その逆に調整すればよい。
<ラジカル重合性有機化合物>
ラジカル重合性有機化合物は、熱ラジカル重合開始剤の存在下、活性化エネルギーを加えることによって重合および/または架橋によって高分子量化するラジカル重合性基を含有する有機化合物である。ラジカル重合性有機化合物は熱硬化時の収縮力を調整し、封止性と低温硬化性が好適となる。ラジカル重合性基とは、例えば、(メタ)アクリロイル基、N-ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、不飽和カルボン酸基等の不飽和二重結合を有する官能基である。ラジカル重合性有機化合物は、ラジカル重合性基を1分子中に少なくとも1個以上有し、2個以上有することが好ましく、3個以上有する(多官能)化合物がより好ましい。これによって、分子の架橋構造を取りやすくなり低温硬化性が向上する。
ラジカル重合性有機化合物の中でも(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、合成、入手が容易で、かつ取り扱いも容易であり、好ましい。また、透明性の観点からも好ましい。例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとは、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。
ウレタン(メタ)アクリレートとして好ましいものは、1種または2種以上の水酸基含有ポリエステルや水酸基含有ポリエーテルに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレートや、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート類を反応させて得られる(メタ)アクリレート等である。
水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の多塩基酸との反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、脂肪族多価アルコールとしては、例えば1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸などが挙げられる。
水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。
かかる水酸基含有(メタ)アクリル酸のうち、二価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは特に好ましく、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
イソシアネート類としては、分子中に少なくとも1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
ポリエステル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエステルとして好ましいものは、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上の1塩基酸、多塩基酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。1塩基酸としては、例えばギ酸、酢酸、酪酸、安息香酸が挙げられる。多塩基酸としては、例えばアジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートとして好ましいものは、水酸基含有ポリエーテルと、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエーテル(メタ)アクリレートである。ここで使用する水酸基含有ポリエーテルとして好ましいものは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルであって、多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが例示できる。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。
アルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとして好ましいものは、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートであり、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性有機化合物は、ラジカル重合性ポリマー(a)を含むことが好ましい。または、ラジカル重合性オリゴマー(b)およびラジカル重合性モノマー(c)の内、少なくとも一つを含むことが好ましい。
<ラジカル重合性ポリマー(a)>
ラジカル重合性ポリマー(a)(以下、ポリマー(a)とも称する)とは、上述したラジカル重合性基を含有する有機化合物であって、重量平均分子量が10,000以上1,000,000以下の高分子化合物を示す。
ラジカル重合性ポリマー(a)のガラス転移温度は、-50℃以上90℃以下が好ましく、-15℃以上65℃以下がより好ましく、0℃以上50℃以下が最も好ましい。この範囲にあることで、封止性が良好なドライフィルムにすることができる。ガラス転移温度は後述の実施例に記載の方法で測定したものである。
ラジカル重合性有機化合物の含有率は、ドライフィルムの全固形分100質量%中、10~98質量%が好ましく、40~95質量%がより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。上記含有率とすることで、封止性と低温硬化性を好適に調整できる。
<ラジカル重合性オリゴマー(b)>
ラジカル重合性オリゴマー(b)(以下、オリゴマー(b)とも称する)とは、ラジカル重合性基を含有する2~100個のモノマーに基づく構成単位を有する重合体であり、常温常圧下で液状である。また、重量平均分子量が100以上10,000未満である化合物である。
重量平均分子量は300以上8,000以下がより好ましく、400以上6,000以下がさらに好ましく、500以上4,500以下が最も好ましい。上記範囲とすることで、ドライフィルムの流動性を高め、封止性を向上することができる。
本発明における常温とは25℃であり、常圧とは1気圧である。
オリゴマー(b)の含有率は、ドライフィルムの全固形分100質量%中、0.1~70質量%が好ましく、1~50質量%より好ましく、10~50質量%がさらに好ましく、30~50質量%が最も好ましい。上記含有率とすることで、封止性と低温硬化性と取扱性を好適に調整できる。
<ラジカル重合性モノマー(c)>
ラジカル重合性モノマー(c)(以下、モノマー(c)とも称する)とは、オリゴマーやポリマーを構成するための最小構成単位のラジカル重合性基を有する化合物を意味し、常温常圧下で液状である。モノマーは、単官能モノマーであっても、多官能モノマーであってもよい。
特に、取り扱いが容易なことから(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いることができる。封止性の観点から、2~6官能の(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましく、2~3官能の(メタ)アクリレートモノマーを含むことがより好ましい。
モノマー(c)の含有率は、ドライフィルムの全固形分100質量%中、0.01~70質量%が好ましく、0.1~50質量%より好ましく、1~30質量%がさらに好ましく、1~10質量%が最も好ましい。上記含有率とすることで、封止性と低温硬化性を好適に調整できる。
ラジカル重合性有機化合物は、ラジカル重合性オリゴマー(b)又は、ラジカル重合性モノマー(c)のいずれかを含むことが好ましく、両方を含んでもよい。
ドライフィルムがオリゴマー(b)又はモノマー(c)を含む場合、ドライフィルムの取扱性の観点から、タックを抑制する目的で後述するバインダー樹脂を含有していることが好ましい。
バインダー樹脂は、オリゴマー(b)またはモノマー(c)100質量%に対して30質量%以上含有していることが好ましく、50質量%以上含有していることがより好ましい。この範囲にあることで、封止性と低温硬化性を両立させ且つ、取扱性が良好なドライフィルムにすることができる。
<熱ラジカル重合開始剤>
熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は60℃以上170℃以下であって、好ましくは80℃以上160℃以下であり、より好ましくは100℃以上150℃以下である。
熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度を60℃以上にすることで、ドライフィルムの保管安定性を保つことができ、長期保管後も良好な封止性を維持できる。また、封止時の熱プレスによって重合(硬化)が急激に進むことを防ぎ、良好な封止性を発現できる。170℃以下にすることでドライフィルムの熱硬化温度を低下させ、硬化時間を短縮することができるため、低温硬化性を向上することができる。
10時間半減期温度とは、熱ラジカル重合開始剤が熱分解によって10時間後に開始剤濃度が半分まで減少する温度である。具体的には、熱ラジカル重合開始剤のラジカルに対して、不活性な溶媒を用いて熱ラジカル重合開始剤溶液を調製し、窒素置換を行ったガラス管中に密閉する。これを所定温度にセットした恒温層に10時間浸し熱分解させて、残った熱ラジカル重合開始剤の量を測定する。これらの一連の作業を何点かの温度で実施し、プロットして得られた直線から10時間半減期温度を求めることができる。
熱ラジカル重合開始剤は、アゾ熱重合開始剤や有機過酸化物重合開始剤を用いることができる。保存安定性の観点からアゾ熱重合開始剤が好適に用いられる。熱ラジカル重合開始剤は、熱硬化時の収縮力を調整し、封止性と低温硬化性が好適となる。
10時間半減期温度が60℃以上170℃以下である、有機過酸化物重合開始剤としては、例えば、ジ-t-アミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド;
t-アミルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-アミルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、n-ブチル4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-2-エチルヘキサノイルパーオキシヘキサンなどのパーオキシエステル;
2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチルなどのパーオキシケタール;
t-アミルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;
ジベンゾイルパーオキサイド、ジノナノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;
t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネートなどのパーオキシカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
保存安定性の観点からジアルキルパーオキサイド類が好ましく、ジ-t-ブチルパーオキサイドがより好ましい。
10時間半減期温度が60℃以上170℃以下である、アゾ熱重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などの2,2’-アゾビスブチロニトリル;
1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などの1,1’-アゾビス-1-アルカンニトリル;
2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、などの2,2’-アゾビスプロピオンアミド;
その他、ジメチル1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル、2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]などが挙げられる。
また、カルボキシル基や水酸基を有するアゾ化合物は、例えば4,4’-アジビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)などが挙げられるが、これらに限定されない。
保存安定性の観点から2,2’-アゾビスプロピオンアミド類が好ましく、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)がより好ましい。
熱ラジカル重合開始剤は、ドライフィルムの全固形分100質量%中、0.01~20質量%含有することが好ましく、0.1~18質量%がより好ましく、0.8~16質量%がさらに好ましく。4.4~13質量%が最も好ましい。
上記の範囲とすることで、透明性を高めることができる。また、0.01質量%以上とすることで低温硬化性及び取扱性を優れたものにでき、20質量%以下とすることで保管安定性を優れたものにできる。
なお、熱ラジカル重合開始剤は、保管安定性の観点から光ラジカル重合開始剤と併用しないことが好ましい。
<その他成分>
本発明のドライフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、その他成分を含有しても良い。例えば、着色剤、バインダー樹脂、無機フィラー、分散剤などを添加することができる。
<着色剤>
着色剤は、ドライフィルムの硬化物を遮光層(隔壁)として用いる場合に添加する。着色剤は、黒色着色剤(顔料、染料等)を用いることが好ましい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤、窒化ジルコニウムなどが挙げられる。黒系着色剤は一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。また、黒色以外の色を呈する着色剤を組み合わせて配合して黒系着色剤として機能する着色剤を用いてもよい。
着色剤の中でも、カーボンブラックは、ラジカル重合性有機化合物への分散性、遮光性の点から特に好ましい。カーボンブラックは、一般に黒色の着色剤の用途に使用されているカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック等の公知のカーボンブラックの1種又は2種以上を用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。さらに、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを使用してもよい。
カーボンブラックをドライフィルムに配合する際は、カーボンブラック粉末を加えてもよいし、カーボンブラック分散液を加えてもよい。
カーボンブラックの平均粒子径は遮光性の観点から10nm以上500nm以下であるのが好ましく、10nm以上300nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下がさらに好ましい。なお、平均粒子径は電子顕微鏡で観察して求めた算術平均一次粒子径である。
カーボンブラックは、分散性の観点から、BET法による比表面積が50~400m/g、揮発分が0.1~10重量%、pH値が2~10の特性を有するものが好適であり、pH3~8がより好適であり、pH3~6がさらに好適である。
着色剤の配合量は、ドライフィルムの全固形分100質量%中、前記着色剤を0.1~80質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.5~40質量%であり、さらに好ましくは1~32質量%であり、最も好ましくは5~20質量%である。上記の含有量にすることで、遮光性と封止性、取扱性が良好なドライフィルムを得ることができる。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、上述のラジカル重合性基を含有せず、ラジカル重合性有機化合物とは異なる有機高分子化合物である。
又、バインダー樹脂は、ガラス転移温度-50℃以上90℃以下、重量平均分子量は、10,000以上1,000,000以下である有機高分子化合物である。バインダー樹脂は、ガラス転移温度が-15℃以上50℃以下であることがより好ましく、0℃以上25℃以下であることがさらに好ましく、重量平均分子量が25,000以上200,000以下であることがより好ましく、30,000以上100,000以下であることがさらに好ましい。
バインダー樹脂は、公知慣用の熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エピスルフィド樹脂およびポリイミド樹脂などが挙げられる。特に、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
バインダー樹脂を含有することで、ドライフィルムのべたつきを調節し、ドライフィルムの取扱性を向上することができる。
さらに、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂を含む場合、架橋構造の形成を促進するため硬化剤を含有することが好ましい。硬化剤は、熱硬化性樹脂の官能基と反応可能な官能基を複数有している。硬化剤は、例えばシランカップリング剤、エポキシ系架橋剤、酸無水物基含有化合物、イミダゾール化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジリジン化合物、アミン化合物の公知の化合物が挙げられる。硬化剤を含有することで、ドライフィルムの架橋度を調整し、低温硬化性を向上することができる。
<無機フィラー>
ドライフィルムは、無機フィラーを含有することもできる。無機フィラーを配合することによって、得られる硬化物の硬化収縮を抑制し、クラック耐性等の熱特性を向上させることができる。無機フィラーとしては従来公知の無機フィラーが使用でき、特定のものに限定されないが、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカなどのシリカ、タルク、クレー、ノイブルグ珪土粒子、ベーマイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ジルコン酸カルシウムや、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体が挙げられる。無機フィラーは球状粒子であることが好ましい。中でもシリカが好ましく、ドライフィルムの硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させる。
無機フィラーは、表面処理されていてもよい。表面処理としては、カップリング剤による表面処理や、アルミナ処理等の有機基を導入しない表面処理がされていてもよい。無機フィラーの表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよく、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理すればよい。
<ドライフィルムの形成方法>
ドライフィルムの形成方法は、特に限定されないが、好適な例としてドライフィルムを構成する成分に任意の溶剤を添加した液状のドライフィルム前駆体を塗工して溶剤を乾燥させ、ドライフィルムを形成する方法が挙げられる。溶剤の添加は塗工に適した粘度水準に調整することを目的とする。
塗工には、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、リップコーター、リバースコーター、グラビアコーター、バーコーター、カーテンコーター、ディップコーティング、スピンコーティング、シルクスクリーン、キャスティングなどの公知の塗工機や手法を用いることができる。ドライフィルム前駆体に含まれる溶剤は、塗工後、乾燥工程により除去することができる。
好ましい実施形態としては、ドライフィルム前駆体を剥離ライナーや基材などの支持体に塗布した後、塗布膜を熱風オーブン、赤外線ヒーターなどを用いて加熱乾燥することで、支持体の一方の面上にドライフィルムを形成することができる。さらに、ドライフィルムの架橋密度を上げるために、例えば特定の温度条件下にて静置するようなエージング処理や、UV等を照射しても良い。
<剥離ライナー>
剥離ライナーは、ドライフィルムを支持するものであり、該ドライフィルムを形成する際に、ドライフィルム前駆体が塗布されるフィルムである。剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。剥離ライナーの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。剥離ライナーのドライフィルム前駆体を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
<保護フィルム>
保護フィルムは、ドライフィルムの表面に塵等が付着するのを防止するとともに、取扱性を向上させる目的でドライフィルムの剥離ライナーとは反対の面に設けることが好ましい。保護フィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。保護フィルムには、ドライフィルムと接する面に、帯電防止処理、粘着処理、離型処理、凹凸処理が施されていてもよい。また、剥離ライナーとドライフィルムとの剥離力(Tl)と保護フィルムのドライフィルムとの剥離力(Th)においては、Tl<Thの関係を満たすことが好ましい。
<電子機器>
ドライフィルムの硬化物は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等のほか、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器に備えることが好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。また、実施例6,23,24、28~51は、本請求項1の範囲に整合させることを目的として参考例6,23,24、28~51に読み替えるものとする。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度はJIS‐K7121(DSC法:昇温速度10℃/分)で求めた。測定装置としては示差走査熱量測定装置(DSC2500:TAインスツルメント社製)を用いた。
実施例及び比較例に用いた材料を下記に示す。
<ラジカル重合性有機化合物>
・ラジカル重合性ポリマー(a)-1:
アクリディックA-814(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、水酸基価17.5mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-1を得た。ガラス転移温度は85℃であった。
・ラジカル重合性ポリマー(a)-2:
アクリディックA-801P(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、水酸基価50mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-2を得た。ガラス転移温度は50℃であった。
・ラジカル重合性ポリマー(a)-3:
アクリディック44-127(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、水酸基価70mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-3を得た。ガラス転移温度は35℃であった。
・ラジカル重合性ポリマー(a)-4:
アクリディックA-811(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、水酸基価34mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-4を得た。ガラス転移温度は20℃であった。
・ラジカル重合性ポリマー(a)-5:
アクリディック49-394-IM(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、水酸基価25mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-5を得た。ガラス転移温度は15℃であった。
・ラジカル重合性ポリマー(a)-6:
アクリディックA-817(DIC社製、アクリル系ポリオール樹脂、スチレン-アクリル共重合体水酸基価60mgKOH/g)100質量部に対し、溶剤(酢酸エチル)15質量部を加えて攪拌した後、カレンズAOI(2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、レゾナック社製)15質量部を加え、60℃で24時間攪拌することで、ラジカル重合性ポリマー(a)-6を得た。ガラス転移温度は95℃であった。
・ラジカル重合性オリゴマー(b)-1:ユニディック17-806(DIC社製)、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外ウレタンアクリレート樹脂。常温常圧下で液状。
・ラジカル重合性モノマー(c)-1:ライトアクリレートDPE-6A(共栄社化学社製)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。常温常圧下で液状。
<熱ラジカル重合開始剤>
熱ラジカル重合開始剤は、表1に記載の熱重合開始剤(A)~(G)を用いた。また光重合開始剤として、光重合開始剤(H)を用いた。
Figure 0007552944000002
<着色剤>
・カーボンブラックMA100(三菱ケミカル社製)
<バインダー樹脂>
・アクリディックA-801P(DIC社製、イソシアネート硬化型アクリル樹脂、水酸基価は50mgKOH/g)ガラス転移温度:50℃
[実施例1]
ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性ポリマー(a)-1固形分100質量部に対し、着色剤としてカーボンブラックMA100(三菱ケミカル社製):20質量部、溶剤としてメチルイソブチルケトン:200質量部を0.45Lの容器で混合し、ディスパーで予備分散した後、直径1.0mmのジルコニアビーズ1300質量部を充填して、シェーカー(スキャンデックスSK450:Fast & Fluid Management社製)を用いて1時間の本分散を行い、ジルコニアビーズを取り除き、黒色分散体とした。
得られた黒色分散体に、熱ラジカル重合開始剤(A):Vam-110(富士フィルム和光純薬):5質量部、希釈溶剤(メチルエチルケトン、トルエン混合溶媒)38質量部をディスパーで撹拌を行いながら順次投入し、十分に均一になるまで撹拌し、ドライフィルム前駆体(1)を得た。
ドライフィルム前駆体(1)を、厚さ75μmの剥離ライナー(三井化学東セロ社製、SP-PET-O3)の離型層上に、乾燥後の厚さが25μmになるように塗布し、80℃の熱風オーブンで加熱乾燥することで、ドライフィルムを形成して、剥離ライナーを有するドライフィルムを得た。
[実施例2~18、28~43、比較例1、2]
表2、3に示す通り、ラジカル重合有機化合物、ラジカル重合開始剤、着色剤を表2、3の組成比に変えた以外は実施例1と同様に実施例2~18、28~43、比較例1、2を得た。
表2、3の組成比は、溶剤を除く有効成分比で記載したものである。
[実施例19]
ラジカル重合性有機化合物としてラジカル重合性オリゴマー(b)-1:固形分100質量部、着色剤としてカーボンブラックMA100(三菱ケミカル社製):20質量部、溶剤としてメチルイソブチルケトン:200質量部を0.45Lの容器で混合し、ディスパーで予備分散した後、直径1.0mmのジルコニアビーズ1300質量部を充填して、シェーカー(スキャンデックスSK450:Fast & Fluid Management社製)を用いて1時間の本分散を行い、ジルコニアビーズを取り除き、黒色分散体とした。
得られた黒色分散体に、熱ラジカル重合開始剤(A):Vam-110(富士フィルム和光純薬):5質量部をディスパーで撹拌を行いながら十分に均一になるまで撹拌し、ドライフィルム前駆体(19)を得た。
ドライフィルム前駆体(19)を、厚さ75μmの剥離ライナー(三井化学東セロ社製、SP-PET-O3)の離型層上に、乾燥後の厚さが25μmになるように塗布し、80℃の熱風オーブンで加熱乾燥することで、ドライフィルムを形成して、剥離ライナーを有するドライフィルムを得た。
[実施例20~27、44~51、比較例3、4]
表2、3に示す通り、ラジカル重合有機化合物、ラジカル重合開始剤、着色剤、バインダー樹脂を表2の組成比に変えた以外は実施例19と同様に実施例20~27、44~51、比較例3、4を得た。尚、バインダー樹脂は分散後の黒色分散体を作製後添加した。
<80℃の貯蔵弾性率(G’80)及び損失正接(tanδ80)>
剥離ライナーを取り除いたドライフィルムを厚さ1mm以上になるように作成した。なお、厚さ1mmになるように塗工しても良いし、厚さ1mm以下のドライフィルムを任意の回数積層し、必要に応じてラミネートすることで、厚さ1mm以上となるようにしても良い。得られたドライフィルムを、レオメータ(TAインスツルメント社製、DHR-2)にてφ8mmの測定プローブを用いて、歪み0.1%、周波数1Hz、50℃から120℃まで昇温速度3℃/分の条件で貯蔵弾性率G’を測定し、80℃の貯蔵弾性率(G’80)を求めた。また、同時に測定した80℃の損失弾性率G’’の値をG’80で除することで、80℃の損失正接(tanδ80)を算出した。
<動摩擦係数>
40mm幅に裁断し、剥離ライナーを取り除いたドライフィルムを摩擦測定機(東洋精機製作所社製、FRICTION TESTER TR-2)に載置し、JIS K7125に規定の測定方法に準じて動摩擦係数を算出した。計5回測定し、その平均値を算出しこれを、ドライフィルムの動摩擦係数とした。
<評価項目>
いずれの評価も◎:非常に良好、〇:良好、△:実用可能とし、目標性能未達の評価を×とした。
<光学濃度>
得られたドライフィルムについて、光学濃度を測定した。光学濃度は、光学濃度計(361T卓上式透過濃度計:X-RITE社製)を用いて求めた。評価基準は下記の通りとした。尚、本評価は着色剤を含有する実施例、比較例のみに対して行った。
◎:光学濃度が3以上
〇:光学濃度が1以上3未満
×:光学濃度が1未満
<透明性>
剥離ライナーを取り除いたドライフィルムを2.5cm×10cmサイズに裁断し、厚さ1.1mmのガラス板(青板ガラス、河村久蔵商店社製)を貼付し、圧着した。得られた試験片について、紫外線フェードメーターU48(スガ試験機株式会社製)を使用してカーボンアークランプにより48時間の耐光性試験を行った。次いで、試験片をヘイズメーター(日本電色工業社、NDH8000製)を用いて、ドライフィルムのヘイズ値と全光線透過率を測定した。尚、本評価は着色剤を含有しない実施例、比較例のみに対して行った。
◎:ヘイズ1%以下、かつ、全光線透過率97%以上
〇:ヘイズ1%以上、または、全光線透過率97%以下
×:ヘイズ1%以上、かつ、全光線透過率97%以下
<封止性>
図3に示す半導体素子付き基板の凹凸を模した、試験基板(サイズ25mm×25mmのガラス板の一方面に、凹部の幅200μm、凸部の高さ5μm、凸部の幅200μmが形成された板)を用意した。
ドライフィルムを30mm×30mmサイズに裁断し、剥離ライナーが付いたまま露出されたドライフィルム面をガラス基板の凹凸部に載置した。その後、剥離ライナー面上に、クッション材として、厚さ50μmのTPX(オピュランX-44B 、三井化学東セロ社製)と、厚さ2.0mmの塩ビフィルム(セレブT、オカモト社製)を、順に積層し、さらに張り付き防止のためボール紙を積層した。次に、試験片の上方から基板面に対し5MPa、100℃の条件で20分間、プレスし、基板の凹凸にドライフィルムを充填することで、ドライフィルムを形成した。プレス後、キャリフィルム、クッション材とボール紙を剥離した。得られた試験片の基板からはみ出したドライフィルムを取り除き、基板の側面を露出させ、凹凸部分が観察できる状態にした。任意の20か所の基板の凹部について、電子顕微鏡で観察することにより、封止性を評価した。基板の凹部にドライフィルムが隙間なく密着している場合を溝が埋め込まれているとした。評価基準は下記の通りとした。
◎:埋め込まれた溝が18か所以上
〇:埋め込まれた溝が17か所以下、15か所以上
△:埋め込まれた溝が14か所以下、12か所以上
×:埋め込まれた溝が11か所以下
<低温硬化性>
得られたドライフィルムについて、露出されたドライフィルム面上に保護フィルムとして厚さ38μmのフィルム(三井化学東セロ社製、SP-PET-O1)を貼り合わせた。次いで、150℃2時間加熱硬化させた。ここで、光重合開始剤を含有したものは、UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製高圧水銀UVランプ)を用いて、出力密度120W/cm、積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射して硬化させた。
硬化させたドライフィルムは、保護フィルムと剥離ライナーを剥がして、幅30mm長さ100mmの試験片を作製した。試験片の重量を測定して、300メッシュのステンレススチール製金網に貼り付け、試験片が脱落しないように金網を折りたたみ、試験片を包んだ状態で抽出液としてメチルエチルケトンに浸漬し、40℃で24時間静置した。浸漬後、金網を取り出し、少量のメチルエチルケトンで洗浄し、100℃で30分間乾燥した後、重量を測定した。ゲル分率は下記式により算出した。
(ゲル分率)={(W2-W0)/(W1-W0)}×100
W0:金網の重量
W1:金網+試験片の重量
W2:金網+試験片の乾燥後の重量
評価基準は下記の通りとした。
〇:ゲル分率が70%以上
△:ゲル分率が40%以上70%未満
×:ゲル分率が40%未満
<ドライフィルムの保管安定性>
得られたドライフィルムに加熱促進試験を行い、加熱促進試験前のドライフィルムと同様に封止性を評価した。評価基準は下記の通りとした。
◎:40℃1時間加熱促進を行った後の封止性評価における、埋め込まれた溝の数が17か所以上
〇:40℃1時間加熱促進を行った後の封止性評価における、埋め込まれた溝が16か所以下、14か所以上
△:40℃1時間加熱促進を行った後の封止性評価における、埋め込まれた溝が13か所以下、12か所以上
×:30℃1時間加熱促進を行った後の封止性評価における、埋め込まれた溝が11か所以下
<ドライフィルムの取扱性>
得られたドライフィルムの表面のべたつき有無を指触で評価した。
〇:べたつきがないもの
△:わずかにべたつきがあるもの
×:べたつきがあるもの
評価結果を表2、3に示す。
Figure 0007552944000003

Figure 0007552944000004
比較例1に示すように、10時間半減期温度が60℃未満の場合、封止時の熱プレスや加熱促進試験開始時に急激に重合(硬化)反応が進行してしまい、封止性とドライフィルム保管安定性が目標性能未達であった。比較例2に示すように、10時間半減期温度が170℃より高いと硬化反応の開始が遅くドライフィルムの低温硬化性が目標性能未達であった。比較例3に示すように、光重合性開始剤のみを用いた場合、紫外線を照射された表面は硬化が進むがドライフィルムの内部まで硬化が進まないため、低温硬化性が目標性能未達であった。比較例4に示すように、着色剤を含まない場合は光学濃度が目標性能未達であり、光重合開始剤のみを用いた場合は光開始剤由来の黄変によって透明性が目標性能未達であった。また、比較例3、4に示すように、光重合開始剤のみを用いた場合、取扱性が目標性能未達であった。
これに対し、実施例1~51によれば、本発明のドライフィルムは、表2、3に記載の通り、光学濃度、透明性、封止性、低温硬化性、保管安定性、取扱性をバランスよく高いレベル保持していることから、光学特性、半導体素子の封止性、低温硬化性、保管安定性および、取扱性に優れるドライフィルム、硬化物、および電子部品を提供することができる。
11:ドライフィルム
12:剥離ライナー
13:保護フィルム
20:発光素子
21:基板
22:試験基板


Claims (7)

  1. 基板上に形成された複数のマイクロLEDの間隙に一括して充填することにより、遮光層を形成する用途に用いられるドライフィルムであって、
    ラジカル重合性有機化合物、熱ラジカル重合開始剤および着色剤を含有し、
    前記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が60℃以上170℃以下であり
    前記ラジカル重合性有機化合物は、ガラス転移温度が-50℃以上90℃以下であるラジカル重合性ポリマー(a)を含み、
    前記ドライフィルムの全固形分100質量%中、前記着色剤を5~80質量%含有し、
    動的粘弾性測定により得られる80℃の損失正接の(tanδ80)が、0.3~0.7であるドライフィルム。
  2. 前記ラジカル重合性有機化合物は、常温常圧下で液状であるラジカル重合性オリゴマー(b)およびラジカル重合性モノマー(c)の内、少なくとも一つを含む請求項1記載のドライフィルム。
  3. 動的粘弾性測定により得られる80℃の貯蔵弾性率(G'80)が、5×10Pa~5×10Paであることを特徴とする請求項記載のドライフィルム。
  4. ドライフィルムの表面の動摩擦係数が0.5以下である請求項記載のドライフィルム。
  5. 厚みが0.5~100μmである請求項1記載のドライフィルム。
  6. 前記熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が100℃以上170℃以下であり、前記熱ラジカル重合開始剤の配合量が、全固形分中0.01~13質量%である請求項1記載のドライフィルム。
  7. 請求項1~6いずれかに記載のドライフィルムの硬化物を具備する電子機器。
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