JP7540931B2 - 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子の多層化、高精細化が飛躍的に進み、半導体素子の歩留まり及びスループット(収量)の更なる向上が要求され、研磨パッドに対してはディフェクトフリーとともに、ディッシングのない高平坦化性が要望されている。これらの要求を満たして高精度のCMPを行うためには、研磨終点の判定が必要となり、希望の表面特性や平面状態に到達した時点を検知しなければならず、光学的測定による終点の検出が行われてきている。
すなわち、本発明は以下を提供する。
前記研磨層は、被研磨物を研磨するための研磨面を備え、前記研磨パッドは前記研磨面からその反対面へと貫通している貫通孔を有しており、
前記透光性樹脂部材は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されており、且つ
前記透光性樹脂部材は、その研磨面側の表面に親水性モノマーがグラフト重合されている、前記研磨パッド。
〔2〕 前記透光性樹脂部材の研磨面側の表面の水接触角が80度以下である、〔1〕に記載の研磨パッド。
〔3〕 前記親水性モノマーが、アクリル系モノマーである、〔1〕又は〔2〕に記載の研磨パッド。
〔4〕 グラフト化された前記表面の樹脂が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリキシリルビオローゲン、ポリエチレンイミン及びポリビニルピリジニウムクロライドから選択される複合体形成ポリマーでイオンコンプレックスが形成されている、〔3〕に記載の研磨パッド。
〔5〕 前記研磨面を上面としその反対面を下面とした場合に、前記透光性樹脂部材のグラフト化された表面が前記研磨面よりも低い、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の研磨パッド。
〔6〕 前記研磨面が溝を有する、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の研磨パッド。
〔7〕 前記溝がエンボス溝である、〔6〕に記載の研磨パッド。
〔8〕 前記研磨面を上面としその反対面を下面とした場合に、前記透光性樹脂部材のグラフト化された表面が前記溝の最下部と同じ位置にあるかそれよりも低い、〔6〕又は〔7〕に記載の研磨パッド。
〔9〕 研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の前記貫通孔の形状が円形である、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の研磨パッド。
〔10〕 前記研磨層が有する貫通孔を第1貫通孔とするとき、前記研磨パッドは、前記第1貫通孔よりも小さい円相当径を有する第2貫通孔を有する他の層を更に含み、
前記他の層は、前記研磨層の研磨面とは反対側に位置しており、
前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが少なくとも部分的に重なっており、
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、前記透光性樹脂部材が前記第1貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材が配置されている、〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の研磨パッド。
〔11〕 研磨層と、少なくとも一面に親水性モノマーがグラフト重合されている透光性樹脂部材とを用意する工程、
研磨層に貫通孔を設ける工程、及び
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、前記透光性樹脂部材が貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材を配置する工程、ここで前記透光性樹脂部材のグラフト化した面が研磨面側になるように配置されている、
を含む、〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
〔12〕 前記透光性樹脂部材の前記少なくとも一面を、プラズマグラフト処理する工程を更に含む、〔11〕に記載の製造方法。
本発明の研磨パッドは、透光性樹脂部材及び研磨層を有する研磨パッドであって、前記研磨層は、被研磨物を研磨するための研磨面を備え、前記研磨パッドは前記研磨面からその反対面へと貫通している貫通孔を有しており、前記透光性樹脂部材は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されており、且つ前記透光性樹脂部材は、その研磨面側の表面に親水性モノマーがグラフト重合されている、前記研磨パッドである。
また、本発明の研磨パッドは、透光性樹脂部材及び研磨層を有する研磨パッドであって、前記研磨層は、被研磨物を研磨するための研磨面を備え、前記研磨パッドは前記研磨面からその反対面へと貫通している貫通孔を有しており、前記透光性樹脂部材は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されており、且つ前記透光性樹脂部材の研磨面側の表面の樹脂は、親水性モノマーを構成単位として含む重合体をその側鎖に有する、前記研磨パッドと言い換えてもよい。
本発明の研磨パッドは、透光性樹脂部材、即ち窓部材を有する。透光性樹脂部材を通して被研磨物に光を照射することにより、被研磨物が希望の表面特性や平面状態に到達した時点を検出することができる。光学的終点検出には、可視光(白色光)のレーザーやランプ等を用いる。
透光性樹脂部材は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されている。ここで、「研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されている」とは、研磨パッドの研磨面から厚さ方向に貫通孔内を見た場合に、透光性樹脂部材が確認できるように配置されていることを意図したものであり、(1)図2~3のように透光性樹脂部材が研磨層に設けられた貫通孔の側面(側壁)に接する(又は接着する)ようにして配置されている場合や、(2)図4のように研磨層の下層に研磨層の有する貫通孔の円相当径よりも小さい円相当径を有する貫通孔を有する他の層を設け、研磨層の貫通孔と他の層の貫通孔のサイズの差から生じる露出部7上に透光性樹脂部材を配置する場合や、(3)図5のように透光性樹脂部材を研磨層と他の層との間に挟み込み、透光性樹脂部材の一部が貫通孔内に露出するように配置されている場合や、(4)図6のように研磨層と他の層の両方に貫通孔を設け、そのいずれか又は両方の貫通孔の側面と接する(又は接着する)ようにして透光性樹脂部材が配置されている場合を含む概念である。これらの中でも、(1)、(2)又は(4)が好ましく、(1)又は(2)がより好ましく、(2)がさらにより好ましい。
本発明の研磨パッドは、透光性樹脂部材の研磨面側の表面に親水性モノマーがグラフト重合されている。
本明細書及び特許請求の範囲において、「透光性樹脂部材の研磨面側の表面に親水性モノマーがグラフト重合されている」とは、研磨面側の表面の透光性樹脂に、親水性モノマーがグラフト重合により結合していることをいう。したがって、透光性樹脂部材の研磨面側の表面に存在する樹脂は、その側鎖に、親水性モノマーを構成単位として含む重合体を有する。
プラズマ処理とは、不活性ガス雰囲気下で放電することにより、前記不活性ガスの電離作用によって生じるプラズマを固体表面に照射する処理をいう。
前記プラズマ処理における不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、酸素ガス、ヘリウムガス、ネオンガスおよびキセノンガス等が挙げられる。
プラズマの生成は、プラズマを生成するための公知方法のいずれによっても行なうことが出来る。例えば、高周波発生器に連結された平行板電極の間にモノマーを真空下で入れ、真空室の外部又は内部のいずれかの平行板を用いてプラズマを生成させることが出来る。また外部誘導コイルによって電場をつくらせ、イオン化ガスのプラズマを発生させてもよく、また反対に荷電した電極に間隔をおいて直接真空室に入れてプラズマを生成させてもよい。
親水性モノマーとしては、不飽和二重結合を有する親水性モノマーが好ましく、ビニル基またはアリル基を有する親水性モノマーがより好ましい。
グラフト化に用いる親水性モノマーとしては、親水性のモノマーであれば特に制限はなく、従来知られたモノマーを用いることが出来る。親水性モノマーの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン;アクリル酸、メタクリル酸、P-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-メタアクリロイルオキシエチルスルホン酸、3-メタアクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、並びにこれらの酸のアンモニウム塩、及びアルカリ金属塩、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及びジエチルアミノエルメタクリレート、2ビニルビリジン及び4ビニルビリジンの塩酸、硝酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸又は塩化エチルの4級化物が挙げられる。これらの中でも、アクリル系モノマーが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2ヒドロキシエチルメタクリレート、2ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、N,Nジメチルアミノエチルメタクリレート又はN,Nジメチルアミノエチルアクリレートがより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がさらにより好ましく、アクリル酸がさらにより好ましい。
親水性モノマーとしては1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、アクリル系モノマーでグラフト化した表面の樹脂が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリキシリルビオローゲン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジニウムクロライド及びポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドから選択される複合体形成ポリマーで分子間相互作用により結びついていることが好ましく、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドで分子間相互作用により結びついていることがより好ましい。グラフト重合による高分子鎖と複合体形成ポリマーとの間に分子間相互作用、例えば、水素結合、イオン結合などが働いてイオンコンプレックスからなる複合体が形成される。
複合体形成ポリマーと複合体を形成することにより、グラフト基に存在するイオンと複合体形成ポリマーの対イオンにより、水分子の吸着点が増えるため、接触角がさらに低下し、透光性樹脂部材表面の親水性を更に高めることができる。また、表面に水膜が形成されやすくなるため、研磨屑等の汚れが付着・固着しにくくなる。
複合体形成ポリマーによる複合体化は、例えば、親水性モノマーをグラフト重合させた透光性樹脂部材を複合体形成ポリマー水溶液中に所定時間浸漬することにより、形成させることができる。
本発明の研磨パッドは、透光性樹脂部材の研磨面側の表面の水接触角が80度以下である。水接触角は、60度以下であることが好ましく、50度以下であることがより好ましく、30度以下であることがさらにより好ましく、20度以下であることがさらにより好ましく、1~20度であることがさらにより好ましく、2~15度であることがさらにより好ましく、3~10度であることがさらにより好ましい。水接触角が上記範囲内であると、透光性樹脂部材(窓部材)の研磨面側の表面への研磨屑の付着、固着を防ぎやすい。
水接触角が上記範囲内であることにより、透光性樹脂部材(窓部材)の研磨面側の表面への研磨屑の付着、固着を防ぎやすくなる理由としては、以下のように推察される。
上記の通り、本発明の研磨パッドは、グラフト化により、透光性樹脂部材の研磨面側の表面の樹脂が長い側鎖を有し、側鎖に水分子が吸着しつつ、隣り合う側鎖同士は同じ電荷を帯びているため反発するため、水分子が多数吸着し、濡れ性が向上すると考えられるが、このとき、透光性樹脂部材の研磨面側の表面の水接触角が80度以下の親水性であることにより、側鎖部分に付着した水分子が水の膜を形成しやすくなり研磨屑がスラリーとともに透光性樹脂部材から排出されやすくなるため、結果として研磨屑の付着や固着を抑えることができるものと考えられる。
従来の研磨パッドで使用されている窓部材は、一般に水接触角が80度超である。窓部材の全面が80度以下の水接触角を持つ窓を用いた場合、スラリーによって窓が膨潤、変形し、研磨領域から剥がれ落ちたり、スラリー漏れを引き起こす可能性がある。そのため、窓部材材料としては水接触角が80度超の疎水性を有する窓部材が好ましく、研磨面側の表面だけを80度以下の水接触角とすることが好ましい。本発明としては、研磨面側の表面の樹脂のみがグラフト化されており、これにより研磨面側の表面の水接触角が80度以下である(側面や裏面の水接触角は80度超である)透光性樹脂部材を用いることが好ましい。
貫通孔は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、研磨面からその反対面へと貫通している孔である。貫通孔は、厚み方向に対して平行に又は研磨面に対して垂直に研磨層を貫通していることが好ましい。
貫通孔は研磨層中に1個設けられていてもよく、互いに離間し且つ独立している2個以上の貫通孔が設けられていてもよい。
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の貫通孔の形状又は研磨面における貫通孔の形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、八角形等が挙げられる。或いは、同一又は異なる複数の上記形状が互いに部分的に重なり合った形状であってもよい。これらの中でも、研磨屑が溜りやすい隅部を形成しない円形が特に好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、円相当径とは、測定対象の図形が有する面積に相当する、真円の直径のことである。
貫通孔の円相当径は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見たときの貫通孔の円相当径であり、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た時の貫通孔の形状が円形である場合は直径に相当する。
貫通孔の円相当径に特に制限はないが、5~40mmが好ましく、5~30mmがより好ましく、10~28mmがさらにより好ましい。
また、研磨面における貫通孔の面積は、研磨面の全面積に対して0.003~0.5%であることが好ましく、0.004~0.4%であることがより好ましく、0.05~0.3%であることがさらにより好ましい。
研磨層を構成する樹脂としては、ポリウレタン、ポリウレタンポリウレア等のポリウレタン系樹脂;ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のビニル系樹脂;ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のポリサルホン系樹脂;アセチル化セルロース、ブチリル化セルロース等のアシル化セルロース系樹脂;ポリアミド系樹脂;及びポリスチレン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、圧縮特性や柔軟性を考慮すれば、ポリウレタン樹脂がより好ましい。
研磨層は1種類の樹脂から構成されていてもよく、2種以上の樹脂から構成されていてもよい。
また、研磨層は連続気泡を有するものが好ましい。ここでいう連続気泡とは隣り合う気泡同士が互いに連通孔によりつながった空間を有する発泡を示す。具体的には湿式成膜法による樹脂や乾式成形、射出成形によるフォームでよい。好ましくは湿式成膜法によるもので、良好な屈伸運動が期待できる。
本明細書において、湿式成膜法による樹脂とは、湿式成膜法により成膜された樹脂(好ましくはポリウレタン樹脂)を意味する。湿式成膜法は、成膜する樹脂を有機溶媒に溶解させ、その樹脂溶液をシート状の基材に塗布後に凝固液中に通して樹脂を凝固させる方法である。湿式成膜された樹脂は、一般に、複数の涙形状(teardrop-shaped)気泡(異方性があり、研磨パッドの研磨面から底部に向けて径が大きい構造を有する形状)を有する。従って、湿式成膜された樹脂は、複数の涙形状気泡を有する樹脂と言い換えることもできる。複数の涙形状気泡は連続気泡の形態であることが好ましい。
本発明の研磨パッドは、研磨層の研磨面に溝が設けられていることが好ましい。溝は研磨層を貫通しておらず、貫通孔と区別することができる。
溝としては、研磨面にエンボス加工を施すことで得られるエンボス溝、切削工具により切削加工を施すことで得られる切削溝が挙げられる。これらの中でもエンボス溝が好ましい。エンボス溝などの溝を設けることにより、研磨面にバリが出にくく、仕上げ研磨に適した研磨パッドを得ることができる。
溝の深さは研磨層の厚みよりも小さい限り特に制限はないが、研磨層の厚みの50~90%であることが好ましく、60~80%であることがより好ましい。被研磨物の研磨により溝が消失すると研磨スラリーの流排出性が失われ研磨性能が低下するため研磨パッドは寿命となることから、溝深さは深いことが好ましい。他方、エンボス溝の溝深さを大きくするためには加工圧力を上げる、或いは加工温度を上げる必要があり、それにより研磨層裏面の基材(PET)が変形したり、研磨層表面が劣化する可能性がある。溝の深さが上記範囲内であると、これらの問題が生じにくい。
溝の断面形状は特に限定されず、円弧状であってもよく、U字状、V字状、矩形状、台形状及びその他の多角形状であってもよく、これら2種以上の形状の組み合わせであってもよい。また、溝の数や形状も特に制限はなく、研磨パッドの使用目的などに合わせて適宜溝数や形状を調整すればよい。形状としては、格子状、放射状、同心円状、ハニカム状などが挙げられ、それらを組み合わせてもよい。
また、本発明の研磨パッドは、研磨層の表面を研削(バフ処理)により開口していてもよく、スライスしていてもよい。
また、従来の研磨パッドにおいては、一般に、透光性樹脂部材の上面4’を溝の最下部8’と同じ位置にあるかそれよりも低い位置にすると、スラリーや研磨屑が溝から排出されにくくなるため、経時的に光透過率が低下するという問題が生じ得る。これに対し、本発明の研磨パッドは、研磨屑が透光性樹脂部材の表面に付着・固着しづらいため、光低下率の低下を抑えることができる。また、特に本発明の一態様の研磨パッド(図4の研磨パッド)では、第1貫通孔内の凹部に入り込んだ研磨屑が研磨加工中の遠心力により第1貫通孔の側面に移動した後、その一部が溝から排出されずに残っていたとしても、円相当径の小さい第2貫通孔からは見えにくくなるため、光透過率の低下を更に防ぐことが出来る。これにより、安定した光検出が可能となる。
本明細書において、ショアA硬度とは、日本工業規格(JIS K7311)に準じて測定した値を意味する。
本発明の研磨パッドは、研磨層のショアA硬度が、5~70度(°)であることが好ましく、8~65度であることがより好ましい。研磨層のショアA硬度が上記範囲内であると、研磨屑が被研磨物に過度に接触されることが抑制されるため、スクラッチが発生しにくくなる。
また、本発明の研磨パッドは、研磨層が透光性樹脂部材よりも軟質であることが好ましく、透光性樹脂部材よりもショアA硬度が低いことがより好ましい。
本明細書において、圧縮率とは、軟らかさの指標であり、圧縮弾性率とは、圧縮変形に対する戻りやすさの指標である。
圧縮率及び圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、以下の通りである。
無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を5分間かけた後の厚さt1を測定する。次に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定する。
圧縮率は、圧縮率(%)=100×(t0-t1)/t0の式で算出することができる(なお、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2である)。
圧縮弾性率は、圧縮弾性率(%)=100×(t0’-t1)/(t0-t1)の式で算出することが出来る(なお、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2である)。
研磨層の圧縮率は、1~60%が好ましく、3~50%がより好ましい。研磨層の圧縮弾性率は、50~100%であることが好ましく、60~98%であることがより好ましい。圧縮率及び圧縮弾性率が上記範囲内であると、貫通孔上を被研磨物が通過する際に研磨層が圧縮され、また、被研磨物によって押し込まれた後の回復性に優れるため、研磨層の屈伸運動により貫通孔内部でスラリーの流れができ、貫通孔内にスラリーが留まることなく循環し、スラリーと共に貫通孔内に入った研磨屑が圧縮・回復の動作で貫通孔外に排出されやすくなる。これにより、貫通孔内に研磨屑が堆積することが防ぎやすくなる。
厚みは、日本工業規格(JIS K6505)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、以下の通りである。
縦、横10cm角の試料を準備する。試料の表面を上にして測定器に載せる。荷重100g/cm2をかけた加圧面を試料上に下し、5秒後の厚さを測定する。1枚につき5ヶ所測定しその平均値を厚さとする。なお、10cm角の試料が取れない場合は5ヶ所の平均とする。
研磨層の厚みに特に制限はないが、0.5~2mmであることが好ましく、0.75~1.55mmがさらにより好ましい。
本発明の研磨パッドは、研磨層以外の層(他の層)を有していてもよい。他の層は、研磨層の研磨面とは反対側の面に1層または2層以上存在してもよい。他の層は、研磨層と同様に貫通孔を有する。
また、研磨層の貫通孔と他の層の貫通孔の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、研磨パッドを研磨面側から厚さ方向に見た場合に、研磨層の貫通孔と他の層の貫通孔とが少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。これにより、透光性樹脂部材に光を照射した場合に光が透光性樹脂部材を透過する。
この態様の研磨パッドは、研磨面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔と第2貫通孔とが少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。また、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、透光性樹脂部材が第1貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材が配置されていることが好ましい。
ここで、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、透光性樹脂部材が第1貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材が配置されているとは、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に第1貫通孔内を見た場合に、透光性樹脂部材が確認できることをいう。
また、第1貫通孔5は、研磨パッド1を研磨面側から厚さ方向に見た場合に、他の層3の一部(以下、他の層の露出部7という)と第2貫通孔6の少なくとも一部とが露出されるように配置されることが好ましい。これにより、透光性樹脂部材4を、第1貫通孔5内であって且つ他の層3の第2貫通孔6及び露出部7上に配することができる。好ましくは、第1貫通孔5は、第1貫通孔5を研磨面側から見た場合に、他の層3の一部と第2貫通孔6の全てとが露出されるように配置される。また、透光性樹脂部材4は、第1貫通孔5内に設けられ、且つ他の層3の露出部7と接着されていることが好ましい。
図4を参照すると、本発明の研磨パッド1の厚さ方向断面において、第1貫通孔5は、第2貫通孔6と露出部7上にある研磨層2に設けられている。なお、露出部7を備える他の層3と研磨層2との間に更なる他の層を有していてもよく、この場合、更なる他の層に存在する貫通孔は研磨層2の貫通孔(第1貫通孔)と同一の断面形状(研磨面と水平方向の断面形状)を有し、研磨面から厚さ方向に見た場合に第1貫通孔5と完全に重なっていることが好ましい。透光性樹脂部材4は、第2貫通孔6と露出部7上であって且つ研磨層2の第1貫通孔5と更なる他の層の貫通孔の内部に配置されていることが好ましい。
本発明の研磨パッドは、厚さ方向に対して垂直に切断した場合の第1貫通孔の断面形状と第2貫通孔の断面形状とが同じ形状を有していても異なる形状を有していてもよいが、同じ形状を有することが好ましい。
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の第2貫通孔の形状、研磨パッドの厚さ方向に対して垂直に切断した場合の第2貫通孔の断面形状、及び/又は他の層表面における第2貫通孔の形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、八角形やこれらの形状が複合された形状等が挙げられる。或いは、同一又は異なる複数の上記形状が互いに部分的に重なり合った形状であってもよい。これらの中でも、円形が特に好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、第2貫通孔の円相当径は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見たときの第2貫通孔の円相当径であり、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た時の第2貫通孔の形状が円形である場合は直径に相当する。
第1貫通孔の円相当径は第2貫通孔の円相当径より大きいことが好ましい。第1貫通孔の円相当径が第2貫通孔の円相当径より大きい限り第2貫通孔の円相当径に特に制限はないが、第2貫通孔の円相当径は1~20mmが好ましく、2~18mmがより好ましく、5~15mmがさらにより好ましい。また、第1貫通孔の円相当径と第2貫通孔の円相当径との差に特に制限はないが、第1貫通孔の円相当径が第2貫通孔の円相当径より5~30mm大きいことが好ましく、6~25mm大きいことがより好ましく、7~20mm大きいことがさらにより好ましい。
また、研磨パッドの研磨面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の外周部が第2貫通孔の外周部の全部を覆うようにして設けられており、且つ第1貫通孔の円相当径が第2貫通孔の円相当径よりも5~30mm大きいことが好ましく、6~25mm大きいことがより好ましく、7~20mm大きいことがさらにより好ましく、8~20mm大きいことがさらにより好ましく、9~20mm大きいことがさらにより好ましく、10~20mm大きいことがさらにより好ましい。
また、研磨パッドの研磨面側から厚さ方向に見た場合に、第1貫通孔の外周部が第2貫通孔の外周部の全部を覆うようにして設けられており、且つ第1貫通孔の円相当径が、第2貫通孔の円相当径の1.5~4倍であることが好ましく、2~4倍であることがより好ましく、2.5~3倍であることがさらにより好ましい。
第1貫通孔と第2貫通孔との大きさの違いが上記範囲内であると、第1貫通孔内の凹部に入り込んだスラリーや研磨屑は研磨加工中の遠心力により第1貫通孔の外周側に移動し、円相当径の小さい第2貫通孔からは見えにくくなるため、透光性樹脂部材に光を照射した際に研磨屑による光路の塞ぎを防ぐことが出来る。従って、優れた光透過率を維持することができ、研磨中に安定した終点検出の信号強度を得ることができる。また、露出部の面積が十分に広いため、透光性樹脂部材と他の層との接着強度を保つことができ、透光性樹脂部材の剥離を防止できる。
また、大部分のスラリーが凹部の側面に移動し、少量のスラリーのみが透光性樹脂部材の表面に存在していたとしても、本発明の研磨パッドはスラリーの有無による光透過率のバラツキが生じにくいため、安定した光検出が可能となる。
研磨層が連通孔を持つ連続気泡を有すると、研磨層に設けた第1貫通孔の側面にも連続気泡が開くため、その一部が研磨表面又は溝領域まで連通する。これにより、研磨中に第1貫通孔内に入り込んだスラリーや研磨屑が、研磨加工時に発生する遠心力により第1貫通孔側面に移動し、連通孔を持つ連続気泡を通って研磨面や溝領域へと排出されるため、研磨屑が第1貫通孔内に蓄積することによる経時的な光透過率の低下を防ぐことができ、研磨パッドの長寿命化につながる。
透光性樹脂部材が他の層の第2貫通孔の側面に接着されていることにより、研磨に利用可能な研磨層の厚みが最大となり、ドレッシングや研磨中の摩耗により研磨面が削られても透光性樹脂部材が研磨面に突出することがなく、スクラッチの発生を低減することができる。一般に、研磨パッドの研磨層が軟質であればあるほど、研磨パッドがウエハに押し付けられることにより研磨パッドが沈み込み、透光性樹脂部材が突出してしまうリスクがあり、突出が生じた研磨パッドは被研磨物の研磨に用いることができなくなる。この態様の研磨パッドは、透光性樹脂部材の突出を防ぐことができるため、研磨パッドの長寿命化を図ることができる。また、透光性樹脂部材を研磨層に接合させず、第2貫通孔の側面に接着するように配置させると、第1貫通孔に入った研磨屑が溝や研磨表面に排出されやすくなるよう研磨層に伸縮機構を持たせたとしても、透光性樹脂部材の接着部で歪みが発生しにくく、これにより透光性樹脂部材の剥離を抑制することができる。
他の層を構成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系シート、塩化ビニル系シート、酢酸ビニル系シート、ポリイミド系シート、ポリアミド系シート、フッ素樹脂系シートや樹脂含浸不織布、不織布や織布等が挙げられる。また、他の層は、スラリーが内部に浸透しない非多孔質なシートであることが好ましい。これら中でも、スラリーが内部に浸透しない非多孔質なシートであって、物理的特性(例えば、寸法安定性、厚み精度、加工性、引張強度)、経済性等の観点から、他の層はポリエステル系シートがより好ましく、そのなかでもポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製シートが特に好ましい。
他の層と研磨層とを貼り合わせる方法又は他の層と別の他の層とを貼り合わせる方法としては、例えば、片面又は両面に粘着剤を塗着したPETシート等のシートを他の層として用い、この粘着剤を介して他の層と研磨層又は別の他の層とを接着させることができる。粘着剤を塗着していないPETシート等のシートを他の層として用意し、これとは別に研磨層又は別の他の層と粘着剤とを用意して、粘着剤を介して他の層と研磨層又は別の他の層とを接着させることもできる。
本発明の研磨パッドは、例えば、下記の方法により製造することができる。
本発明の製造方法は、研磨層と、少なくとも一面に親水性モノマーがグラフト重合されている透光性樹脂部材とを用意する工程、研磨層に貫通孔を設ける工程、及び研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、前記透光性樹脂部材が貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材を配置する工程(ここで前記透光性樹脂部材のグラフト化した面が研磨面側になるように配置されている)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。
である。
各工程について説明する。
本工程において、研磨層と、少なくとも一面に親水性モノマーがグラフト重合されている透光性樹脂部材とを用意する。
本明細書及び特許請求の範囲において、「少なくとも一面に親水性モノマーがグラフト重合されている」とは、少なくとも一面の透光性樹脂に親水性モノマーがグラフト重合により結合されていることをいう。
透光性樹脂部材としては、一面のみが親水性モノマーがグラフト重合されていることが好ましい。
研磨層及び透光性樹脂部材としては、それぞれ上記のものを用いることが出来る。研磨層及び透光性樹脂部材は、それぞれ市販のものを用いてもよく、製造したものを用いてもよい。市販の透光性樹脂部材としては、ポリエステル樹脂からなる三菱ケミカル株式会社製「ダイアホイルT910E」、「ダイアホイルT600E」、東洋紡株式会社製「コスモシャインA4300」、「コスモシャインA2330」、「コスモシャインTA017」、「コスモシャインTA015」、「コスモシャインTA042」、「コスモシャインTA044」、「コスモシャインTA048」、「ソフトシャインTA009」、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる三菱ケミカル株式会社製「アクリプレンHBXN47」、「アクリプレンHBS010」、帝人化成株式会社製「パンライトフィルムPC-2151」、株式会社カネカ製「サンデュレンSD009」、「サンデュレンSD010」、ポリカーボネート樹脂からなる住友化学株式会社製「C000」、帝人化成株式会社製「ユーピロンH-3000」、アクリル樹脂/ポリカーボネート樹脂からなる住友化学株式会社製「C001」、アクリル樹脂からなる住友化学株式会社製「S000」、「S001G」、「S014G」、三菱ケミカル株式会社製「アクリプレンHBS006」、脂環式ポリオレフィン樹脂からなる日本ゼオン株式会社製「ゼオノアZF14」、「ゼオノアZF16」、JSR株式会社製「アートンフィルム」等を市販品として入手することができる。研磨層を製造する場合は、例えば、特許第5421635号、特許第5844189号を参照してポリウレタン樹脂を湿式成膜し、PET樹脂からなる可撓性シートと貼り合わせることで製造することができる。
本工程において、研磨層に貫通孔を設ける。貫通孔は、研磨層の研磨面からその反対面へと貫通している孔である。研磨層に貫通孔を設ける方法としては、例えば、円形、楕円形、多角形等の抜型(好ましくは円形の抜型)を用いて研磨層の厚さ方向に穴を開けることにより貫通孔を設けることができる。抜型を用いることにより、研磨パッドの研磨層を厚さ方向に対して垂直に切断して得られる任意の研磨層断面における貫通孔の円相当径が、他の任意の研磨層断面における貫通孔の円相当径と同一とすることができる。
本工程において、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、透光性樹脂部材が貫通孔内に存在するように透光性樹脂部材を配置する。このとき、透光性樹脂部材のグラフト化した面が研磨面側になるように配置される。
透光性樹脂部材が貫通孔内に存在するように透光性樹脂部材を配置する方法としては、例えば、(1)図2~3のように透光性樹脂部材を研磨層に設けられた貫通孔の側面に接する(又は接着する)ようにして、透光性樹脂部材を配置する方法や、(2)図4のように研磨層の下層により小さい円相当径の貫通孔を有する他の層を設け、研磨層の貫通孔と他の層の貫通孔のサイズの差から生じる露出部上に透光性樹脂部材を配置することにより、透光性樹脂部材が貫通孔内に見えるように透光性樹脂部材を配置する方法や、(3)図5のように透光性樹脂部材を研磨層と他の層との間に挟み込み、透光性樹脂部材の一部分を貫通孔内に露出させる方法や、(4)図6のように研磨層とその下層に設けた他の層の両方に同じ形状の貫通孔を設け、そのいずれか又は両方の貫通孔の側面と接する(又は接着する)ようにして透光性樹脂部材を配置する方法などが挙げられる。これらの中でも、(1)、(2)又は(4)が好ましく、(1)又は(2)がより好ましく、(2)がさらにより好ましい。
また、本発明の製造方法は、研磨層が備える貫通孔(第1貫通孔)よりも小さい円相当径を有する第2貫通孔を他の層に設ける工程を有していてもよい。
本発明の研磨パッドにより加工される被研磨物としては、ベアシリコン、半導体デバイスが挙げられる。中でも、本発明の研磨パッドは、半導体デバイスの研磨、特に仕上げ研磨に適しており好ましい。
スラリーとしては、水を含むスラリー(水性スラリー)であれば特に制限なく用いることが出来る。例えば、コロイダルシリカスラリー、酸化セリウムスラリーなどが挙げられる。
縦20mm、横20mm、厚さ0.15mmのアクリル樹脂シート(三菱ケミカル(株)製、アクリプレンHBS006)に対し、アルゴンガスを流量10sccs、反応時間2分、圧力50Paとしてプラズマ処理を行った。次いで、アクリル酸40mol%の水溶液中に浸漬し、窒素ガスをバブリングさせながら80℃で1時間グラフト重合反応を行った後、蒸留水中で2時間超音波洗浄を行い、80℃で6時間真空乾燥を施した。得られた透光性樹脂部材を、実施例1の透光性樹脂部材として用いた。
縦20mm、横20mm、厚さ0.15mmのアクリル樹脂シート(三菱ケミカル(株)製、アクリプレンHBS006)に対し、アルゴンガスを流量10sccs、反応時間2分、圧力50Paとしてプラズマ重合を行った。次いで、アクリル酸40mol%の水溶液中に浸漬し、窒素ガスをバブリングさせながら80℃で1時間グラフト重合反応を行った後、蒸留水中で2時間超音波洗浄を行い、80℃で6時間真空乾燥を施した。グラフト重合済みのアクリル樹脂シートをポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(分子量43000)の5重量%水溶液25ml中に30分間撹拌しながら高分子間錯形成反応を行なつた。次いでこのフイルムを水洗後、乾燥し、ポリマー複合体を形成した。得られた透光性樹脂部材を、実施例2の透光性樹脂部材として用いた。
縦20mm、横20mm、厚さ0.15mmのアクリル樹脂シート(三菱ケミカル(株)製、アクリプレンHBA001PアクリプレンHBS006)を、比較例1の透光性樹脂部材として用いた。
縦20mm、横20mm、厚さ0.15mmのアクリル樹脂シート(三菱ケミカル(株)製、アクリプレンHBA001PアクリプレンHBS007)に対し、アルゴンガスを流量10sccs、反応時間2分、圧力50Paとしてプラズマ処理を行った。得られた透光性樹脂部材を、比較例2の透光性樹脂部材として用いた。
親水性の経時変化を評価するため、実施例1~2、比較例1~2の透光性樹脂部材を作製してから2日後、2週間後における水の接触角を測定した。水接触角は、自動接触角計DropMaster DM500(協和界面科学社製)を用いて、以下の方法により測定した。
(1)注射筒に蒸留水を入れディスペンサを取り付け、DM500にセットする。
(2)測定試料を5mm×50mm の サイズにカットし、ステージに貼り付ける。
(3)解析ソフトを立ち上げ、接触角測定[液滴法]を選択し、各パラメータを設定する。
測定までの待ち時間:1000ms
測定時間間隔:1000ms
連続測定回数:180回
(4)測定する液滴量、イメージモニタ上の注射針位置を設定し、イメージモニタのフォーカス値を最適化する。
(5)試料に液滴を着滴させ測定を開始し、測定開始から10秒後の水接触角を読み取る。
水接触角測定試験の結果を表1に示す。
測定の結果、2日後、2週間後の接触角がいずれも80度(°)以下である場合を〇、そうではない場合を×として評価した。
実施例1~2、比較例1~2の透光性樹脂部材を用いて、以下のようにして研磨パッドを製造した。
100%モジュラス7. 8MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂の(30質量部)及びDMF(70質量部)を含む溶液100質量部に、別途DMF60質量部、水5質量部を添加し、混合することにより樹脂含有溶液を得た。得られた樹脂含有溶液を、濾過することにより、不溶成分を除去した。前記溶液をポリエステルシート上にナイフコータを用いて塗布厚みが0. 8mmとなるようキャストした。その後、樹脂含有溶液をキヤストしたポリエステルシートを凝固浴(凝固液は水)に浸漬し、該樹脂含有溶液を凝固させた後、ポリエステルシートを剥離し洗浄・乾燥させて、ポリウレタン樹脂シートを得た。得られたポリウレタン樹脂シートの表面をバフ処理し厚みを0. 73mmとしたのち、バフ処理面と反対面側に厚み0. 188mmのPET製の樹脂基材を接着剤で貼り合わせ、ポリウレタン樹脂シートの表面側からエンボス加工を施し、表面に溝幅を1mm、溝間隔を4mm、溝深さを0.45mmとした断面矩形状で格子パターンの溝を設けた。溝付きポリウレタン樹脂シートを直径740mmの円形に抜型により打ち抜き、溝処理面側の円形ポリウレタン樹脂シートの中心から半径の1/2となる位置の同心円上に、直径18mmの円形抜型で等間隔且つ互いに独立して3か所に穴を開け、第1貫通孔を設けた。上記樹脂基材のポリウレタン樹脂シートが貼り合わされていない面側に、第2の層として片側に離型紙を有する厚さ約0. 1mm、直径790mmの円形両面テープ(PET基材厚み0. 023mm、PET基材の表面及び裏面における粘着性成分厚みは共に004mm)を接着し、ポリウレタン樹脂シートと同じ径になるよう、余剰の両面テープをカットした。続いて直径18mmの第1貫通孔に直径9mmの円形抜型を嵌め込み、両面テープと離型紙を貫通させるよう第2貫通孔を開けた。この時、第1貫通孔の中心と第2貫通孔の中心が略同一となるよう穴あけを行った。実施例1、実施例2、比較例1、比較例2で作製した透明樹脂部材をそれぞれ直径17mmとなるよう3枚切り出し、第1貫通孔内にリング状に露出した両面テープと透明樹脂部材を接着させ研磨パッドを製造した。
次に、研磨対象物として、ラインがタングステン(W)であり、スペースがTEOS(酸化ケイ素膜)であるパターン基板を準備し、各研磨パッドを用いて下記条件で500枚の基板を研磨したのち、エネルギー分散型X線分光器(EDS)で透光性樹脂部材の断面を観察し、透光性樹脂部材の研磨面側の表面に残留物が付着しているかどうかを評価した。
使用研磨機:EBARA F-REX300
研磨圧力:2.5psi
研磨パッド:研磨パッド:フジボウ愛媛(株)社製 H600
研磨剤:Planar社製、型番「BSL8176C」
ドレッサー:3M社製ダイヤモンドドレッサー、型番「A188」
パッドブレイク 30N×30分、ダイヤモンドドレッサー54rpm、定盤回転数80rpm、超純水200mL/min
コンディショニング:Ex-situ、30N、4スキャン、16秒
研磨:定盤回転数70rpm、ヘッド回転数71rpm、スラリー流量200mL/min
研磨時間:約60秒
その結果を表1に示す。
プラズマ処理のみ行った比較例2では、2日後の接触角は未処理品より小さくなっているものの、2週間後には未処理品同等の接触角になっており、プラズマ処理による表面改質効果が失われていた。また、EDSの測定では透光性樹脂部材表面にSi元素が確認でき、親水性が十分ではない窓部表面にSiが堆積したものと考えられる。
一方、グラフト重合処理を施した実施例1は2週間たっても低い接触角が維持され、グラフトポリマーを複合体化した実施例2は実施例1よりさらに接触角が低くなり、2週間後もその接触角が維持できていた。また、実施例1、2のどちらでもEDSの測定でSi元素は確認できなかった。
以上の結果、実施例1~2の透光性樹脂部材を含む研磨パッドは、透光性樹脂部材(窓部材)の研磨面側の表面への研磨屑の付着、固着を低減することができ、安定した光検出が可能となることが分かった。
2…研磨層
3…他の層
4…透光性樹脂部材
4’…透光性樹脂部材の最上部
5…貫通孔(第1貫通孔)
6…第2貫通孔
7…露出部
8…溝
8’…溝の最下部
9…グラフト化された表面部
Claims (10)
- 透光性樹脂部材及び研磨層を有する研磨パッドであって、
前記研磨層は、被研磨物を研磨するための研磨面を備え、前記研磨パッドは前記研磨面からその反対面へと貫通している貫通孔を有しており、
前記透光性樹脂部材は、研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、貫通孔内に透光性樹脂部材が存在するように配置されており、
前記透光性樹脂部材は、その研磨面側の表面に親水性モノマーがグラフト重合されており、
前記親水性モノマーが、アクリル系モノマーであり、且つ
グラフト化された前記表面の樹脂が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリキシリルビオローゲン、ポリエチレンイミン及びポリビニルピリジニウムクロライド、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドから選択される複合体形成ポリマーでイオンコンプレックスが形成されている、
前記研磨パッド。 - 前記透光性樹脂部材の研磨面側の表面の水接触角が80度以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
- 前記研磨面を上面としその反対面を下面とした場合に、前記透光性樹脂部材のグラフト化された表面が前記研磨面よりも低い、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
- 前記研磨面が溝を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
- 前記溝がエンボス溝である、請求項4に記載の研磨パッド。
- 前記研磨面を上面としその反対面を下面とした場合に、前記透光性樹脂部材のグラフト化された表面が前記溝の最下部と同じ位置にあるかそれよりも低い、請求項4又は5に記載の研磨パッド。
- 研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合の前記貫通孔の形状が円形である、請求項1~6のいずれか1項に記載の研磨パッド。
- 前記研磨層が有する貫通孔を第1貫通孔とするとき、前記研磨パッドは、前記第1貫通孔よりも小さい円相当径を有する第2貫通孔を有する他の層を更に含み、
前記他の層は、前記研磨層の研磨面とは反対側に位置しており、
前記研磨パッドを研磨表面側から厚さ方向に見た場合に、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが少なくとも部分的に重なっており、
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、前記透光性樹脂部材が前記第1貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材が配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の研磨パッド。 - 研磨層と、少なくとも一面に親水性モノマーがグラフト重合されている透光性樹脂部材とを用意する工程、
研磨層に貫通孔を設ける工程、及び
研磨パッドの研磨面側から研磨パッド厚さ方向に見た場合に、前記透光性樹脂部材が貫通孔内に存在するように前記透光性樹脂部材を配置する工程、ここで前記透光性樹脂部材のグラフト化した面が研磨面側になるように配置されている、
を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨パッドの製造方法。 - 前記透光性樹脂部材の前記少なくとも一面を、プラズマグラフト処理する工程を更に含む、請求項9に記載の製造方法。
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