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JP7523012B1 - ペプチドフラグメント及びその利用 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007523012000001
【課題】細胞膜透過性が向上したペプチドフラグメントを提供する。
【解決手段】ここで開示されるペプチドフラグメントは、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)を含み、アミノ酸残基の合計が10以下である。
【選択図】図1

Description

本開示は、ペプチドフラグメント及びその利用に関する。
従来から、ヒトやそれ以外の哺乳動物等の細胞(真核細胞)内にポリペプチド、核酸等の外来物質を導入し、当該細胞(さらには該細胞から成る組織や器官)の形質を転換させること或いは当該細胞の機能を改善・向上させることが行われている。
上述した技術には、例えば、細胞の外部から細胞膜を通過して細胞質内に外来物質を導入させる細胞膜透過性ペプチド(cell-penetrating peptide:CPP)が用いられる。例えば、特許文献1~3には、疾患の治療に用いられる核酸医薬品の技術が開示されており、細胞膜透過性ペプチドにより核酸を細胞内に導入する技術が開示されている。
米国特許出願公開第2022/0387601号明細書 米国特許出願公開第2022/0364085号明細書 米国特許出願公開第2022/0364084号明細書
細胞膜透過性ペプチドは、上述のように核酸等の外来物質を細胞内部へと導入するツールとして利用されており、その導入効率の向上が望まれている。
本開示により、細胞膜透過性を有するペプチドフラグメント(合成ペプチド)が提供される。一態様におけるペプチドフラグメントは、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)を含み、アミノ酸残基の合計が10以下である。好ましい態様では、ペプチドフラグメントはアミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る。
配列番号1に示すアミノ酸配列を含むペプチドフラグメントは、優れた細胞膜透過性を発揮する。そのため、当該ペプチドフラグメントを含む構築物は、細胞外部から細胞内部(少なくとも細胞質内)へと導入される。
また、本開示により、真核細胞の外部から当該細胞の内部に目的とする外来物質を導入することができる外来物質導入用の構築物(以下、単に「構築物」ともいう)が提供される。ここで開示される構築物は、ペプチドフラグメントと、上記ペプチドフラグメントのN末端側及び/又はC末端側に結合した外来物質とを含みアミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る。
かかる構築物によれば、上記外来物質を真核細胞の外部から当該細胞の内部(例えば、少なくとも細胞質)に導入することができる。
いくつかの態様では、上記外来物質はポリペプチド、核酸、色素および薬剤から成る群より選択される少なくとも1種の有機化合物である。これにより、多様な機能を有する有機化合物を真核細胞内に導入することができる。
いくつかの態様では、上記外来物質は、上記ペプチドフラグメントのC末端側に配置される。これにより、構築物を効率よく真核細胞の内部へ導入することができる。
また、本開示により、真核細胞の外部から少なくとも該細胞の細胞質内に目的とする外来物質をインビトロまたはインビボにおいて導入する方法が提供される。ここで開示される方法は、(1)ここで開示される構築物を用意する工程と、(2)上記構築物を、目的とする真核細胞を含む試料中に供給する工程とを包含する。これにより、目的とする外来物質を真核細胞の内部に導入することができる。
いくつかの態様では、上記構築物を導入する対象の真核細胞が哺乳類細胞である。これにより、哺乳類細胞の内部に目的とする外来物質を導入することができる。
図1は、NSC-34細胞の培養液に対し、例1~8の構築物またはFAMを添加して培養した後、当該細胞をフローサイトメータにより解析することで得られた各例の平均蛍光強度(MFI)を示すグラフである。
以下、ここで開示される技術のいくつかの実施形態について説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、本技術の実施に必要な事柄(例えばペプチドの化学合成法、細胞培養技法、ペプチドや核酸を成分として含む構築物の調製に関するような一般的事項)は、細胞工学、生理学、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、遺伝学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
また、ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において、アミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記で表す場合がある。なお、本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
また、本明細書において、「合成ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみ独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成あるいは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の組成物中で安定して存在し得るペプチド(ペプチドフラグメント)をいう。ここで「ペプチド」とは、1または複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマー(ダイマー、トリマー、オリゴマーを含む)を指す用語であり、アミノ酸残基の数によって限定されない。
また、本明細書において、ペプチドまたはタンパク質を構成するアミノ酸残基は、特に断りがない限り、L体であってもよく、D体であってもよい。
なお、本明細書中に記載されるアミノ酸配列は、常に左側がN末端側であり右側がC末端側を表す。
いくつかの態様において、ここで開示されるペプチドフラグメントは、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)を含む。また、ペプチドフラグメントは、例えば、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る。ここで開示されるペプチドフラグメントは、例えば、合成ペプチドである。
上述した特許文献1~3には、アミノ酸配列:RRRRRRG(配列番号2)から成る細胞膜透過性ペプチドが開示されている。本発明者は、当該細胞膜透過性ペプチドの細胞膜透過性を向上させるため、鋭意検討を行い、ここで開示されるペプチドフラグメントを創出した。後述する試験例からも明らかなように、ここで開示されるペプチドフラグメントは、配列番号2から成る細胞膜透過性ペプチドよりも優れた細胞膜透過性を発揮する。そのため、ここで開示されるペプチドフラグメントを含む構築物は、真核細胞の細胞膜の外部から内部へと効率よく導入される。
ここで開示されるペプチドフラグメントのアミノ酸残基の数は、細胞膜透過性を損なわれない限りにおいて限定されるものではない。ペプチドフラグメントを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、12以下、11以下、または10以下であり得る。
また、ここで開示されるペプチドフラグメントは、細胞膜透過性を損なわない限りにおいて、配列番号1の改変配列を含んでもよい。ここで、「改変配列」とは、1個または数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列(改変アミノ酸配列)である。
本明細書における改変配列の典型例としては、例えば、1個、2個または3個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列や、所定のアミノ酸配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等が挙げられる。同類置換の典型例としては、例えば、塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列(例えばアルギニン残基とリジン残基との相互置換)等が挙げられる。
ここで開示される構築物は、ここで開示されるペプチドフラグメントと、外来物質とを含む。外来物質は、ペプチドフラグメントのN末端側及び/又はC末端側に結合している。
構築物は、例えば、ペプチドフラグメントのN末端側及び/又はC末端側に、外来物質を直接的または間接的に結合(連結)することによって設計・構築される。ペプチドフラグメントと外来物質とが間接的に結合している場合には、例えば、ペプチドフラグメントと外来物質との間にリンカーが配置される。リンカーは、特に限定されるものではないが、ペプチド性リンカーであってもよく、非ペプチド性リンカーであってもよい。また、ペプチド性リンカーと非ペプチド性リンカーの併用であってもよい。なお、ペプチドフラグメントと外来物質を直接的または間接的に結合する方法は、特に限定されず、従来公知の種々の科学的手法に従って実施することができる。
ペプチド性リンカーは、1または2以上のアミノ酸残基で構成され得る。ペプチド性リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、特に限定されない。ペプチド性リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、1以上または2以上である。また、ペプチド性リンカーを構成するアミノ酸残基の数は、例えば、10以下または5以下である。いくつかの態様において、ペプチド性リンカーを構成するアミノ酸配列は、立体障害を生じさせず、かつ、柔軟なアミノ酸配列である。このようなペプチド性リンカーは、例えば、グリシン、アラニン、及び/又はセリンを含み得る。また、いくつかの態様において、ペプチド性リンカーはβアラニンを含み得る。
非ペプチド性リンカーとしては、特に限定されるものではないが、例えばアルキルリンカー、PEG(ポリエチレングリコール)リンカー、アミノヘキサノイルスペーサ等が挙げられる。また、非ペプチド性リンカーとして、ホモ二官能性基またはヘテロ二官能性基を備える架橋剤を用いてもよい。架橋剤が有する一般的な官能基としては、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル(NHSエステル)、マレイミド、アジドおよびヨードアセトアミド等が挙げられる。このなかでも、NHSエステルは、アミンと中性以上のpHで効率良く反応して結合することができる。また、マレイミドは、SH基と選択的に反応して結合することができる。例えば、マレイミドを含む架橋剤を使用する場合には、システイン残基をペプチドフラグメントのN末端またはC末端にリンカーとして付加する、若しくは、N末端またはC末端にシステイン残基を備えるペプチドフラグメントを準備することでペプチドフラグメントと架橋剤との結合を容易に実現できる。
ホモ二官能性基を有する好適な架橋剤としては、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ-EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ-DST)等が挙げられる。特に、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)を好ましく使用し得る。
また、ヘテロ二官能性基を有する好適な架橋剤としては、N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、スクシンイミジル4-[マレイミドフェニル]ブチレート(SMPB)、スクシンイミジル4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、N-(γ-マレイミドブチロキシ)スクシンイミドエステル(GMBS)、m-マレイミドプロピオニックアシド-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MPS)及びN-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)等を好ましく用いることができる。特に、反応性官能基にNHSエステルおよびマレイミドを備えたEMCSやMBSを好ましく用いることができる。
外来物質は、真核細胞内に導入可能な分子サイズおよび化学的性質を有しているものであれば特に限定されず、例えば、有機化合物または無機化合物であり得る。有機物は、例えば、アミノ酸、ポリペプチド、核酸、色素、薬剤等を含む。外来物質は、1種を単独で含んでもよく、2種以上を含んでもよい。外来物質を2種以上含む場合には、ペプチドフラグメントのN末端側またはC末端側に2種以上の外来物質が結合していてもよい。また、ペプチドフラグメントのN末端側およびC末端側にそれぞれ1種または2種以上の外来物質が結合していてもよい。
外来物質がポリペプチドの場合、採用するポリペプチド(アミノ酸配列)は、特に限定されない。本明細書において、「ポリペプチド」とは、複数のアミノ酸がペプチド結合により結合した構造を有するポリマー(ダイマー、トリマー、オリゴマーを含む)をいう。ペプチド結合の数(即ち、アミノ酸残基数)によって限定されない。ポリペプチドとして、例えばアミノ酸残基数が2~100程度のペプチド、アミノ酸残基数が100~300程度のポリペプチド、若しくはタンパク質(典型的には300以上のアミノ酸残基から成る高分子化合物)のような、比較的アミノ酸残基数が多いものも外来物質として採用し得る。当該分野においては、ポリペプチドとタンパク質とは厳密に区分されるものではない。
ポリペプチドを構成するアミノ酸残基数の上限は特に限定されないが、合成(生合成、化学合成)の容易性の観点から、例えば、1000以下、600以下、500以下、400以下、または300以下であることが好ましい。
ポリペプチドは、種々の細胞や組織(器官)の発生、分化、増殖、がん化、ホメオスタシス(恒常性)、代謝の調節、等の機能にかかわるポリペプチドの成熟型あるいは前駆体(プロ型、プレプロ型を包含する。)であり得る。また、ポリペプチドは機能が従来知られていないポリペプチドであってもよい。ここで開示される技術により、機能が知られていないポリペプチドの細胞内(生体組織内)における機能の解明を行うことができる。
例えば、外来物質を導入する対象となる真核細胞が哺乳類細胞(ヒト又はその他哺乳動物)の幹細胞である場合、当該幹細胞の分化誘導に関与する種々の生理活性を有するポリペプチドの成熟型またはその前駆体の利用が好ましい。なお、「幹細胞」は、体性幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells:iPS細胞)を包含する。また、外来物質を導入する対象となる真核細胞ががん細胞(腫瘍細胞)である場合、当該がん細胞(腫瘍細胞)のアポトーシス誘導に関与する種々のポリペプチドの利用が好ましい。あるいは、この場合においては、がん細胞(腫瘍細胞)が免疫監視機構の機能を抑制することを阻害し得るポリペプチドの利用が好ましい。さらに、導入の対象となる真核細胞が細菌感染細胞やウイルス感染細胞である場合、当該感染細胞のアポトーシス誘導に関与する種々のポリペプチドや、当該感染細胞において細菌もしくはウイルスが増殖することを抑制し得るポリペプチドや、当該感染細胞から細菌もしくはウイルスの感染が拡大することを抑制し得るポリペプチドの利用が好ましい。
なお、ペプチドフラグメントと同様、外来物質としてのポリペプチドは、その機能を保持する限りにおいて、1個または数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成される改変アミノ酸配列を含んでいてもよい。
外来物質がポリペプチドである場合には、例えば、該ポリペプチドを構成するアミノ酸配列と、ペプチドフラグメントを構成するアミノ酸配列とを含むようにペプチド鎖を設計し、該ペプチド鎖を生合成あるいは化学合成することによって、ポリペプチドをペプチドフラグメントに直接結合した構築物を作製することができる。
外来物質として採用される核酸の種類は、特に限定されるものではなく、例えば、いわゆる核酸医薬品を含み得る。本明細書において「核酸」とは、ヌクレオチドの重合体をいい、DNA、RNA、およびDNAとRNAとの両方を含むDNA/RNAハイブリッド(DNA-RNAキメラともいう。)を包含する。また、「核酸」は、塩基数によって限定されない。核酸は一本鎖(ヘアピン型一本鎖を含む)でもよく、二本鎖であってもよい。また、核酸を構成するヌクレオチドは、リン酸部、糖部、または塩基部に修飾基を含んでいてもよい。核酸医薬の種類は特に限定されず、例えば、siRNA、miRNA、アンチセンス、アプタマー、デコイ、リボザイム、CpGオリゴ等が挙げられる。
外来物質として採用される色素の種類は、特に限定されない。色素は、例えばFAMやFITC等の種々の蛍光色素化合物を含み得る。構築物が色素を含むことで、構築物の導入が評価し易くなる。例えば、顕微鏡観察(例えば蛍光顕微鏡観察)、フローサイトメトリー、免疫化学的手法(例えばウエスタンブロットや免疫細胞染色等)等を使用して、真核細胞への導入効率を評価することができる。
外来物質として採用される薬剤の種類は、特に限定されない。薬剤は、例えば、5-フルオロウラシル(5FU)等の核酸系抗腫瘍剤を含む抗腫瘍剤やアジドチミジン(AZT)等の抗ウイルス剤等の種々の有機化合物を含み得る。
構築物において、ペプチドフラグメントのC末端側に外来物質が結合している場合には、ペプチドフラグメントのN末端側のアミノ酸残基のα-アミノ基がアセチル化されていることが好ましい。詳細なメカニズムは不明だが、真核細胞中のタンパク質の多くはN末端側のアミノ酸のα-アミノ基はアセチル化修飾されるため、このような構成であれば、構築物の細胞内での安定性が向上し得る。
また、構築物は、C末端側のアミノ酸残基がアミド化されていることが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基をアミド化すると、かかる構築物の細胞質内または核内における構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)が向上し得る。また、カルボキシル基がアミド化されることで、構築物の親水性が向上するため、かかる構築物の水系溶媒への溶解性を向上させることができる。かかる水系溶媒としては、例えば、水、種々の緩衝液、生理食塩水(例えばPBS)、細胞培養液等が挙げられる。
例えば、ペプチドフラグメントのN末端側に外来物質が結合している構築物の場合、ペプチドフラグメントのC末端側のアミノ酸残基のカルボキシル基がアミド化されていることが好ましい。また、例えば外来物質がポリペプチドであり、かかるポリペプチドがペプチドフラグメントのC末端側に結合している場合は、当該ポリペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基をアミド化することが好ましい。
ペプチドフラグメントまたは構築物のうちペプチド部分(外来物質としてのポリペプチド、ペプチドフラグメント、及びペプチド性リンカー)は、例えば、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。即ち、市販のペプチド合成機を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(N末端アセチル化、C末端アミド化等)部分を有する上記ペプチド部分を合成することができる。なお、上記方法でペプチド鎖の一部のみを合成してもよく、例えば、ペプチドフラグメントのみ、または、ペプチドフラグメントとペプチド性リンカー部分とを含むペプチド鎖を合成してもよい。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいてペプチドフラグメントまたは構築物のペプチド部分を生合成により作製してもよい。即ち、所望するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を合成する。そして、合成したポリヌクレオチド(DNA)と該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチド部分を単離し、必要に応じてリフォールディング、精製等を行うことによって、目的のペプチド部分を得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本技術を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
また、構築物のペプチド部分の製造には、例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。例えば、目的のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(即ち設計した人工ポリペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、目的のポリペプチド(人工ポリペプチド)を製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち、構築物のペプチド部分のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド部分の合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のペプチド部分をインビトロで合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の(株)セルフリーサイエンスから入手可能)が市販されている。
構築物のペプチド部分をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。例えば、ペプチド部分を構成するアミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、かかるアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。また、ポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。こうして得られるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
なお、外来物質としての核酸についても、上述した製造方法と同様に準備することができる。
ここで開示される構築物は、外来物質の機能に基づく用途の組成物の有効成分として好適に使用し得る。なお、構築物は、外来物質の機能を失わない限りにおいて塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸または有機酸を付加反応させることにより得られ得る酸付加塩を使用することができる。従って、本明細書および請求の範囲に記載の「構築物」は、かかる塩形態のものを包含し得る。
構築物は、使用形態に応じて医薬(薬学)上許容され得る種々の担体を含み得る組成物の有効成分として使用され得る。
上記担体としては、例えば、希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体が好ましい。かかる担体としては、外来物質導入用構築物の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。また、かかる担体は、適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得、或いはリポソームであってもよい。また、医薬用組成物に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
組成物の形態は、特に限定されない。例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏などの形態が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水または適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
構築物(主成分)および種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本技術を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
本開示により、ここで開示される構築物を用いて、生体内(インビボ)、または、生体外(インビトロ)において真核細胞の外部から当該細胞の内部に目的とする外来物質を導入する方法が提供される。ここで、「真核細胞の内部」とは、細胞膜で囲まれた真核細胞の内側のことをいい、例えば、細胞質、サイトゾル、細胞内小器官(例えば、核、ミトコンドリア、小胞体、微小管、リソソーム、ゴルジ等)等を含む。ここで開示される方法では、例えば、構築物を真核細胞の少なくとも細胞質(さらには、細胞内小器官)に導入することができる。
ここで開示される方法では、おおまかにいって、以下の(1)~(2)の工程:
(1)ここで開示される構築物を用意する工程と、
(2)上記構築物を、目的とする真核細胞を含む試料中に供給する工程と
を包含する。また、ここで開示される方法では、さらに、上記(2)の工程の後、(3)の工程として、上記構築物が供給された試料をインキュベートして、該試料中の真核細胞の内部にかかる構築物を導入する工程を含み得る。
上記「真核細胞」は、インビボにおいては、例えば種々の組織、臓器、器官、血液、およびリンパ液等を包含する。上記「真核細胞」は、インビトロにおいては、例えば生体から摘出された種々の細胞塊、組織、臓器、器官、血液、およびリンパ液ならびに、セルライン等を包含する。真核細胞としては、例えば、哺乳類、鳥類、魚類、両生類、爬虫類、昆虫などの動物界由来の細胞、菌界由来の細胞、植物界由来の細胞等が挙げられるが、好ましくはヒトまたはヒト以外の哺乳動物の細胞(哺乳類細胞)であり得る。
ここで開示される方法は、例えば、ここで開示される構築物を含む組成物を準備して
、真核細胞を含む試料中に供給する。インビボにおいて、かかる組成物は、その形態および目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって患者(即ち生体)の患部(例えば悪性腫瘍組織、ウイルス感染組織、炎症組織等)に所望する量だけ投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものや軟膏等のゲル状若しくは水性ジェリー状のものを、直接所定の組織(即ち、例えば腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、炎症細胞等を含む組織や器官等の患部)に投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。経口投与の場合は、消化管内での消化酵素分解を抑止すべくカプセル化や保護(コーティング)材の適用が好ましい。
生体外(インビトロ)においては、培養している真核細胞に対し、構築物または組成物の適当量を、少なくとも1回、目的とする真核細胞の培養液に供給するとよい。1回当たりの供給量および供給回数は、培養する真核細胞の種類、細胞密度(培養開始時の細胞密度)、継代数、培養条件、培地の種類、等の条件によって異なり得るため特に限定されない。例えば、培養液中のペプチドフラグメント濃度が概ね0.05μM以上100μM以下の範囲内、例えば0.5μM以上50μM以下の範囲内、また例えば1μM以上30μM以下の範囲内となるように1回、2回またはそれ以上の複数回添加することが好ましい。また、構築物添加後のインキュベート時間についても、真核細胞の種類及び各種条件により異なり得るため特に限定されない。例えば、0.5時間以上、1時間以上、4時間以上、8時間以上、20時間以上であり得る。なお、インキュベートの条件についても、真核細胞の種類により異なり得るため、特に限定されるものではないが、例えば、5%CO雰囲気下、37℃下でインキュベートすることができる。
なお、インビトロにおける導入方法について、一例を後述の試験例において示している。
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)を含み、アミノ酸残基の合計が10以下である、ペプチドフラグメント。
項2:アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る、項1に記載のペプチドフラグメント。
項3:ペプチドフラグメントと、記ペプチドフラグメントのN末端側及び/又はC末端側に結合した外来物質とを含む構築物であって、上記ペプチドフラグメントが、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る、構築物。
項4:上記外来物質が、ポリペプチド、核酸、色素および薬剤から成る群より選択される少なくとも1種の有機化合物である、項3に記載の構築物。
項5:上記外来物質が、上記ペプチドフラグメントのC末端側に結合している、項3または4に記載の構築物。
項6:真核細胞の外部から該細胞の内部に目的とする外来物質をインビトロにおいて導入する方法であって、
(1)項3~5のいずれか一項に記載の構築物を用意する工程と、
(2)上記構築物を、目的とする真核細胞を含む試料中に供給する工程と
を含む方法。
項7:上記構築物を導入する対象の上記真核細胞が哺乳類細胞である、項6に記載の方法。
以下、ここで開示される技術に関するいくつかの試験例を説明するが、ここで開示される技術をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
<構築物の準備>
例1~8において、それぞれ表1に示す構築物を準備した。表1に示すように、各例において、配列番号1~8のいずれかから成るペプチドフラグメント(合成ペプチド)と、該ペプチドフラグメントのC末端に結合した蛍光色素であるFAM(C2112:5(6)-Carboxyfluorescein、分子量376.3、励起波長495nm、蛍光波長520nm)とから構成される構築物を準備した。なお、各例において、ペプチドフラグメントのN末端のアミノ酸残基のアミノ基はアセチル化されたものを準備した。また、各例の構築物をそれぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、構築物の濃度が2mMのサンプル溶液を調製した。また、蛍光色素のFAMをDMSOで溶解した2mMのFAM溶液を調製した。以下、説明のため、例Xで用いる構築物を構築物X、サンプル溶液をサンプル溶液Xと呼称する。
<細胞膜透過性の評価>
真核細胞としてNSC-34細胞(mouse motor neuron-like hybrid cell line)を使用し、上記調製した構築物の細胞膜透過性を評価した。
(例1)
NSC-34細胞を培養培地である10%FBS(fetal bovine serum)含有DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium(富士フィルム和光純薬株式会社製、Cat No. 044-29765))で培養した。
培養プレートに接着したNSC-34細胞をPBSで洗浄後、0.25%トリプシン/EDTA溶液を添加し、37℃中で3分間インキュベートを行った。該インキュベート後、上記10%FBS含有DMEMを加え、トリプシンを不活性化させた後、150×gで5分間の遠心分離を行い細胞を沈殿させた。遠心分離によって生じた上清を取り除いた後、沈殿(細胞ペレット)に上記10%FBS含有DMEMを加え、凡そ2×10cells/mLの細胞懸濁液を調製した。該細胞懸濁液を市販の6穴(ウェル)プレート(AGCテクノグラス株式会社製)のウェルに1mL加え、細胞を播種し(凡そ2×10cells/ウェル)、細胞がウェルの底面に接着するまで2~3時間インキュベートした。その後、上記調製した2mMサンプル溶液1を上記10%FBS含有DMEMで希釈し、サンプル濃度が20μMのサンプル溶液1を準備した。そして、該ウェルに上記20μMサンプル溶液1を1mL添加した(即ち、ウェル中の培養液の構築物1の濃度が10μM、DMSO濃度が0.5%となるようにした)。細胞を5%CO条件下で、37℃で20時間インキュベートを行った。
20時間のインキュベート後、ウェルから培養上清を取り除き、1mLのPBSでウェル中の細胞を2回洗浄した。次に、ウェルに100μLの0.25%トリプシン/EDTA溶液を添加し、37℃中で3分間インキュベートを行った。該インキュベート後、ウェルに900μLの上記10%FBS含有DMEMを添加することでトリプシンを不活性化し、ウェル中の細胞懸濁液をチューブに移して細胞を回収した。その後、さらに共洗いしてウェル中に残った細胞を上記チューブへと回収した。このチューブを4℃、210×gの条件で5分間遠心分離を行った。遠心分離後、上清を取り除き、沈殿(細胞ペレット)を1mLのPBSで懸濁(洗浄)し、上記と同じ条件で遠心分離を行った。そして、上清を取り除き、構築物含有培地で培養した細胞(細胞ペレット)を得た。
上記得られた細胞(細胞ペレット)について、フローサイトメータを用いて細胞膜透過性の解析を行った。フローサイトメータとして、On-Chip Flowcytometer(株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ(On-Chip Biotechnologies Co., LTD.)製)を使用した。
かかる解析のために、上記得られた細胞ペレットを50μLのOn-chip T bufferで懸濁し、解析用の細胞懸濁液を用意した。
上記のフローサイトメータを用いて前方散乱(forward scatter:FSC)および側方散乱(side scatter:SSC)に基づくゲーティングを行い、解析対象とする細胞集団についてのゲートを設定し、かかるゲート内の細胞集団について、蛍光強度を測定した。なお、解析する該細胞集団の細胞数が凡そ10000個となるように設定し、解析を行った。蛍光強度の測定には、FAMの蛍光波長を検出可能な上記フローサイトメータの蛍光検出器FL2(最適検出波長543nm付近)を使用した。かかる測定結果について、市販の解析ソフト「FlowJo」(TreeStar社製)を用いて解析を行い、測定対象細胞集団の平均蛍光強度(mean fluorescence intensity:MFI)を得た。
(例2~8)
例2~8では、サンプル溶液1の代わりにサンプル溶液2~8のいずれかを用いた以外は例1と同様に実施した。
(例9)
例9では、サンプル溶液1の代わりにFAM溶液を使用した以外は例1と同様に実施した。なお、かかるFAM溶液の濃度はサンプル溶液1の濃度(即ち、ウェル中の培養液のFAM濃度が10μM、DMSO濃度が0.5%)と同じになるように用いた。
例1~9で得られたMFIの結果を表1および図1に示す。
Figure 0007523012000002
上述したように、例8において用いた構築物に含まれるペプチドフラグメントは特許文献1~3等で開示されている細胞膜透過性ペプチドである。本試験では、このペプチドフラグメントの末端またはアミノ酸残基の間にSN(セリン上記-アスパラギン残基)を付加または挿入を行い、細胞膜透過性の評価を行った。その結果、表1および図1に示すように、驚くべきことに、例5で用いたアミノ酸配列:RRRRSNRRGから成るペプチドフラグメントを含む構築物において、特に優れた細胞膜透過性を発揮することがわかった。
なお、詳細なデータは示していないが、本発明者の検討によって、RRRRSNRRGから成るアミノ酸配列から成るペプチドフラグメントと、外来物質としてポリペプチド、核酸、または薬剤を外来物質として含む構築物は、効率よく真核細胞の外部から当該細胞の内部に導入されることが確認された。
以上、ここで開示される技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本開示によれば、真核細胞(特に細胞壁を有しないヒトやそれ以外の哺乳動物に代表される種々の動物細胞)の外部から当該細胞の内部に、目的とする外来物質を導入可能なペプチドフラグメント及び該ペプチドフラグメントを有する構築物が提供される。かかる構築物を利用することにより、目的の細胞に目的の外来物質を効果的に導入させ、該外来物質が導入された細胞並びに器官等の生体組織を得ることができる。また、ここで開示されるペプチドフラグメント又は構築物をドラッグデリバリー技術に利用し、各種疾患に対する治療薬(例えば、眼科治療等の治療薬)が提供することができ得る。また、外用薬(例えば、点眼薬等)の有効成分又は添加物として、ここで開示されるペプチドフラグメント又は構築物を利用することができ得る。

Claims (5)

  1. アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成る、ペプチドフラグメント。
  2. ペプチドフラグメントと、
    前記ペプチドフラグメントのN末端側又はC末端側に結合した物質と
    を含む構築物であって、
    前記ペプチドフラグメントが、アミノ酸配列:RRRRSNRRG(配列番号1)から成り、
    前記物質が、ポリペプチド、核酸、色素および薬剤から成る群より選択される少なくとも1種の有機化合物である、構築物。
  3. 前記物質が、前記ペプチドフラグメントのC末端側に結合している、請求項2に記載の構築物。
  4. 真核細胞の外部から該細胞の内部に目的とする物質をインビトロにおいて導入する方法であって、
    (1)請求項2~3のいずれか一項に記載の構築物を用意する工程と、
    (2)前記構築物を、目的とする真核細胞を含む試料中に供給する工程と
    を含む方法。
  5. 前記構築物を導入する対象の前記真核細胞が哺乳類細胞である、請求項4に記載の方法。
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