JP7519197B2 - 表面微細構造を有するアルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents
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Description
この種の電解コンデンサにおいては、その静電容量を高め、また小形化を図ることを目的に、陽極箔の実効表面積を拡大させるエッチング技術の開発が盛んに行われている。
また、本発明者等は、鉛を0.1ppm以上含有する従来の高純度アルミニウム箔(焼鈍処理による表層への鉛濃縮により表面から深さ方向に1μmまでの表層範囲内の最大鉛含有量が500ppm/nm以上)を用いた場合でも、このアルミニウム箔の表面を機械的または化学的に処理し、表層を0.1μm以上、好ましくは0.1~5μm除去することによって、表層除去後の表面から深さ方向に1μmまでの表層範囲内の最大鉛含有量を500ppm/nm未満にすることができ、上記と同様の効果が得られることを見出して、本発明を完成した。
また、上記のアルミニウム原箔は、亜鉛を3~15ppm含有していることが望ましく、亜鉛含有量が前記の範囲の場合には、マスキング処理後のエッチング処理にてピット形成を容易にすることができる。
なお、上記のアルミニウム原箔の表面粗度(Ra)については従来技術に使用される高純度アルミニウム箔程度で問題ないが、0.4μm以下であることが望ましく、電解エッチングを行う前の厚さは100~200μmであるものが一般的である。
また、本発明の製造方法にて使用されるアルミニウム原箔としては、[100]結晶方位率が60%以上であるものが好ましく、このような結晶方位率を有したアルミニウム原箔の場合には、エッチング処理により箔の表面に対して垂直な方向に延びたピットを形成することができる。
そして、レジスト膜等によりマスキングがなされたアルミニウム原箔は、その後、酸を含むエッチング液中で電解エッチングされ、ピット発生点の位置にピットが形成される。
本発明において、電解エッチングにおいて使用されるエッチング液としては、配合された酸の主成分が塩酸で、さらに硫酸、硝酸およびリン酸の少なくとも1種が配合されているものが一般的であるが、これに限定されるものではない。また、本発明では、アルミニウム箔に形成されるピットの内径(ピット径)は、用途に応じて適宜決定されるが、0.2~5.0μmの範囲が好ましい。
また、上記の本発明の製造方法を用いて形成された表面微細構造を有するアルミニウム箔は熱放射特性にも優れており、例えば、発熱源が赤外線透過波長域を有する樹脂部材で覆われている電子機器において、発熱源と樹脂部材との間に配置することにより、発熱源から放射される赤外線の波長を樹脂部材の透過波長域に変換する放熱材料としても利用可能である。
一般的な電解コンデンサ用アルミニウム箔の場合、箔の表層を0.1μm以上除去すれば効果が得られるが、深く除去しすぎるとアルミニウム組織状態が異なるなどマスキング処理におけるピット発生性に影響をおよぼす可能性もあることから、除去厚みは0.1~5.0μmが望ましい。
次に、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
アルミニウム原箔として、純度99.99%、厚み140μm、亜鉛含有量6ppm、アルミニウム原箔全体としての鉛含有量0.1ppm未満、表面から深さ方向に1μmまでの表層範囲内の最大鉛含有量500ppm/nm未満、[100]結晶方位率90%以上のアルミニウム箔を使用した。また、アルミニウム原箔は、ラップ研磨で表面を平滑化したステンレス板をアルミニウム原箔にプレスしてその表面を平滑化した後、中性洗剤および超純水を用いて表面に付着した異物や汚れを除去するために洗浄を行った。
マスキング処理に使用するレジストとして、市販の汎用ポリスチレンをアニソールに添加し、スターラーで12時間撹拌して作製したポリスチレン濃度が9.3重量%のポリスチレン溶液を使用した。
スピンコート法によりアルミニウム原箔を3000rpmで30秒間回転させ、アルミニウム原箔上で厚さ約0.5μmとなるようにレジストを塗り拡げ、ホットプレート上でレジストが塗布されたアルミニウム原箔を190℃で10分間加熱し、レジストに含まれる溶媒のアニソールを除去した。
さらに、熱ナノインプリント法により成形温度140℃、成形圧力5MPa、成形時間180秒の条件でマスキングパターンをレジストに転写した。この際、熱ナノインプリント用のモールドには、凸部の径が1.7μmであり、凸部の高さが1.5μmであり、凸部のピッチが3μmである凹凸が形成された樹脂製のナノインプリント用フィルムモールドを使用した。そして、酸素リアクティブイオンエッチング(RIE)によりナノインプリント残膜を除去した。
図1の左側の(a)には、このようにして製造された電解エッチングアルミニウム箔(本発明品)の表面および、断面レプリカの電子顕微鏡写真(いずれも倍率1000倍)が示されており、この顕微鏡写真から、鉛含有量0.1ppm未満のアルミニウム原箔を用いた場合には、アルミニウム箔表面の崩れも少なく、マスキング処理された開口に対応するきれいなピットが多く発生していることがわかる。
比較例として、従来技術で多く使用されている亜鉛含有量が2ppm(偏析法による高純度アルミニウム箔製造上除去できない量)、アルミニウム原箔全体としての鉛含有量が1.0ppm、表面から深さ方向に1μmまでの表層範囲内の最大鉛含有量が3600ppm/nm、[100]結晶方位率90%以上のアルミニウム原箔(以下「従来原箔」という)を用い、上記製造例と同様にしてマスキング処理およびエッチング処理を行い、電解エッチングアルミニウム箔を製造した。
図1の右側の(b)には、このようにして製造された電解エッチングアルミニウム箔の表面および、断面レプリカの電子顕微鏡写真(いずれも倍率1000倍)が示されており、この顕微鏡写真から、鉛含有量1.0ppmのアルミニウム原箔を用いた場合には、アルミニウム箔表層の横走りピットの発生による表面崩れが多く発生し、マスキング処理された開口に沿ったピットが発生せず、正常なトンネルピットの形成状態も悪いことがわかる。
従来原箔をラップ研磨し、箔の表層を5μm除去した。このように処理されたアルミニウム箔の表面から深さ方向1μmまでの範囲内の最大鉛含有量を測定したところ500ppm/nm未満であった。
その後、前記実施例1と同様にして、マスキング処理を行い、熱ナノインプリント法によりマスキングパターンをレジストに転写し、RIEによりナノインプリント残膜を除去し、電解エッチングを行った。
このようにして得られた電解エッチングアルミニウム箔(本発明品)を、表層除去を行っていない従来原箔を用いて得られた電解エッチングアルミニウム箔(従来品)と比較した。
これに対し、図2(b)の写真は、鉛含有量が1.0ppmである従来原箔を用いてマスキング処理後にエッチング処理して製造されたアルミニウム箔(従来品)のピット形成状態を示しており、この電子顕微鏡写真から、箔に表面荒れが発生してマスキングに沿った正常なトンネルピット発生ができていないことが確認された。
本発明の製造方法によって製造された表面微細構造を有するアルミニウム箔は、高い静電容量を有する中高圧用の電解コンデンサへの使用に特に適したものであり、電子機器の小形化、高電圧化を図ることができる。また、このような表面微細構造を有するアルミニウム箔は発熱源が樹脂部材で覆われている電子機器の放熱材料としても有用である。
Claims (3)
- エッチング液中で電流を印加し、マスキング処理されたアルミニウム原箔を電解エッチングすることにより表面にピットが形成された表面微細構造を有する中高圧電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法において、
焼鈍処理にて表層に鉛が濃縮されたアルミニウム箔の表面を機械的または化学的に処理し、箔の表面から深さ方向に1μmまでの表層範囲内の最大鉛含有量が500ppm/nm未満であるアルミニウム原箔を準備する準備工程と、
前記アルミニウム原箔の表面上のピットの発生点の位置を制御するために、前記アルミニウム原箔の表面にマスキング処理を施すピット発生点制御工程と、
前記ピット発生点制御工程後に、前記アルミニウム原箔をエッチング処理することによってピットを形成するピット形成工程と
を備えることを特徴とする表面微細構造を有する中高圧電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。 - 前記準備工程において、準備される前記アルミニウム原箔は、亜鉛を3~15ppm含有することを特徴とする請求項1に記載の表面微細構造を有するアルミニウム箔の製造方法。
- 前記準備工程において、準備される前記アルミニウム原箔の、原箔全体としての鉛含有量が0.1ppm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面微細構造を有するアルミニウム箔の製造方法。
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