以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(気化式熱交換器の全体構成)
図1~図11を参照して、本実施形態による気化式熱交換器100の構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による気化式熱交換器100は、生鮮食品などを冷凍・冷蔵するための冷熱機器として構成されている。気化式熱交換器100は、筐体1と、空気流路ブロック2と、冷媒流路ブロック3と、給水部4と、送風ファン5とを備える。また、後述するように、空気流路ブロック2は、複数の平板部材20を含み、冷媒流路ブロック3は、複数の扁平管30を含む。
ここで、水平面内において空気流路ブロック2と、冷媒流路ブロック3とが隣接する方向をX方向とし、水平面内においてX方向に直交する方向をY方向とする。また、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向(鉛直方向)とする。
筐体1は、略直方体形状を有する。筐体1は、空気流路ブロック2、2つの冷媒流路ブロック3、および、送風ファン5を内部(内部空間11a)に収容する第1ケース部11と、第1ケース部11のY2方向側(背面側)に取り付けられる第2ケース部12と、第1ケース部11のZ1方向側(上方向側)に取り付けられる第3ケース部13とを含む。
図2に示すように、本実施形態では、筐体1の第1ケース部11の内部(内部空間11a)には、空気流路ブロック2と冷媒流路ブロック3とが水平方向(X方向)に隣接して配置されている。具体的には、冷媒流路ブロック3は、空気流路ブロック2とは分離して設けられている。そして、冷媒流路ブロック3は、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bを含む。また、空気流路ブロック2は、第1冷媒流路ブロック3aと第2冷媒流路ブロック3bとの間に挟まれるように水平方向(X方向)に隣接して配置されている。なお、第1冷媒流路ブロック3aと第2冷媒流路ブロック3bとは、同様の構成を有している。以後の説明では、第1冷媒流路ブロック3aと第2冷媒流路ブロック3bとの区別なく、冷媒流路ブロック3として説明する。
図3に示すように、第1ケース部11のY2方向側(背面側)には、第2ケース部12が配置されている。また、第1ケース部11のZ1方向側(上方向側)には、第3ケース部13が配置されている。第1ケース部11の内部空間11aは、Y2方向側(背面側)の第2ケース部12の内部空間12aに連通する。また、第1ケース部11の内部空間11aは、Z1方向側(上方向側)の第3ケース部13の内部空間13aに連通する。第1ケース部11は、Y1方向側(正面側)の端部に開口11bを有している。また、第1ケース部11は、Z2方向側(下方向側)の端部に開口11cを有している。第1ケース部11の内部空間11aは、Z2方向側(下方向側)の端部の開口11cを介して外部空間に連通する。
また、開口11bは、それぞれ、複数の送風ファン5に対応して複数設けられている。また、複数の開口11bおよび複数の送風ファン5は、それぞれ、Z方向に並ぶように設けられている。複数の送風ファン5は、後述する空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dに空気を送り込む。
また、送風ファン5からの空気(外気)を空気流路ブロック2の平板部材20に導く導風板14が内部空間11aに設けられている。導風板14は、板状の部材であり、複数の送風ファン5の各々によって吸い込まれた空気を区切るように送風ファン5の上下に設けられている。導風板14は、複数の送風ファン5の各々の吸い込んだ空気が干渉し合わないように、水平面(XY平面)に沿うように設けられている。
第2ケース部12は、図3に示すように、内部空間12aを有している。第2ケース部12の内部空間12aは、後述する空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dを介して外部空間に連通する。
第3ケース部13は、図3に示すように、内部空間13aを有している。第3ケース部13の内部空間13aは、第2ケース部12の内部空間12aに連通する。また、第3ケース部13の内部空間13aは、第1ケース部11の内部空間11aに連通する。具体的には、第3ケース部13の内部空間13aは、第1ケース部11の冷媒流路ブロック3の後述する空気ウェット流路W1と、第1ケース部11の空気流路ブロック2の後述する空気ウェット流路W2との各々に連通する。なお、空気ウェット流路W1は、特許請求の範囲における「第1空気ウェット流路」の一例である。また、空気ウェット流路W2は、特許請求の範囲における「第2空気ウェット流路」の一例である。
また、図2および図3に示すように、本実施形態では、給水部4は、空気流路ブロック2および冷媒流路ブロック3の上方の第3ケース部13の内部空間13aに設けられる。給水部4は、後述する空気ウェット流路W1の保水部31(図8参照)と、空気ウェット流路W2の保水部22(図6参照)とに対して、上方から散水することによって水を供給する。具体的には、給水部4は、図示しない外部の給水配管から水が供給される。そして、給水部4は、Z2方向側に複数の孔(図示せず)が形成されている。給水部4は、Z2方向側に設けられた複数の孔から、連続的に水を散水することによって、保水部31および保水部22に水を供給する。
本実施形態による気化式熱交換器100では、図4に示すように、送風ファン5によって取り込まれた空気(外気)は、第1ケース部11の空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dに流入する。そして、空気ドライ流路Dにおいて冷却された空気(冷却空気)が第2ケース部12側に流入する。第2ケース部12に流入した冷却空気は、上方向(Z1方向)に向かって流通し、第3ケース部13に流入する。そして、冷却空気は、第3ケース部13から、第1ケース部11の内部に配置されている冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1と、空気ウェット流路W1とは別個に設けられた空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2とに分岐して流れる。空気ウェット流路W1および空気ウェット流路W2を通過した空気は、開口11cから装置外部へと排出される。このように、気化式熱交換器100では、第2ケース部12および第3ケース部13により、空気ドライ流路Dから空気ウェット流路W1および空気ウェット流路W2までを繋ぐダクトが形成されている。
本実施形態では、空気ドライ流路Dにおいて、流入された空気(外気)は、水平方向(Y方向)に沿って流通する。すなわち、空気ドライ流路Dに流入された空気は、水平面内において、冷媒流路ブロック3と空気流路ブロック2との隣接する方向(X方向)と直交する方向(Y2方向)に向かって流れた後、空気ウェット流路W1および空気ウェット流路W2とを鉛直方向(Z方向)の下向き(Z2方向)に流れるように構成されている。なお、空気ウェット流路W1は、水平面内において空気ドライ流路Dの空気の流通方向(Y方向)から見て左右方向(X1方向およびX2方向)の各々に空気ドライ流路Dと離間するように設けられている。したがって、空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dからの空気(冷却空気)は、X方向において中央に配置されている空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2と、空気ウェット流路W2と離間するようにX方向において左右に配置されている2つ冷媒流路ブロック3(第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3b)のそれぞれの空気ウェット流路W1との3方向に分岐して流れる。
(空気流路ブロックの構成)
図5および図6に示すように、本実施形態では、気化式熱交換器100の空気流路ブロック2は、複数の平板部材20と、複数のスペーサ部材21と、を含む。空気流路ブロック2は、平板部材20と、スペーサ部材21とをX方向において交互に積層することによって構成されている。
複数の平板部材20は、所定の間隔(一定の間隔)を隔てて対向するように並んで配置されている。言い換えると、複数の平板部材20は、所定の間隔を隔てて(等間隔に)積層されている。また、複数の平板部材20は、内部に空気が流れる空気ドライ流路Dを含む。具体的には、複数の平板部材20は、平板部材20をY方向に貫通する複数(たとえば、10個)の貫通孔20aを有している。複数の貫通孔20aは、それぞれ、Y1方向から見て略矩形形状を有している。また、複数の貫通孔20aは、Z方向において、略等間隔で並んでいる。複数の平板部材20では、貫通孔20aの内部に空気(外気)が流れる空気ドライ流路Dが形成される。すなわち、Y1方向側(正面側)に設けられた送風ファン5によって取り込まれた空気(外気)が、複数の平板部材20のY1側(空気ドライ流路Dの入り口側)から貫通孔20aの内部に流入され、平板部材20の貫通孔20aのY2側(空気ドライ流路Dの出口側)へと排出される。平板部材20は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂によって形成される。なお、平板部材20は、アルミなどの金属によって形成されていてもよい。
また、図6に示すように、本実施形態による空気流路ブロック2では、平板部材20の外表面に保水部22が設けられている。具体的には、保水部22は、複数の平板部材20のそれぞれのX1方向側の表面とX2方向側の表面との両方に、平板部材20の全体に亘って接するように設けられている。保水部22は、たとえば、接着剤によって平板部材20の表面に張り付けられる不織布を含む。また、保水部22は、たとえば、レーヨン、ナイロン、または、アクリルなどの樹脂により形成された樹脂製繊維を含む。樹脂製繊維は、静電植毛によって保水部22の不織布の表面に接合されている。なお、保水部22は、樹脂製繊維を平板部材20の表面に接着剤とともに吹き付けて接合させることにより形成されてもよい。なお、保水部22は、特許請求の範囲における「第2保水部」の一例である。
また、本実施形態では、保水部22は、平板部材20の内部の空気ドライ流路Dを流れる空気を冷却する水を保水する。保水部22は、樹脂製繊維により形成された隙間に生じる毛細管現象によって、給水部4からの水を平板部材20の外表面に保水(保持)する。そして、保水部22の水の気化による気化潜熱によって、空気ドライ流路Dを流れる空気(外気)から熱が奪われる。すなわち、空気ドライ流路Dにおいて、流入された空気(外気)が冷却され、冷却空気となって排出される。
また、複数の平板部材20の各々の間には、スペーサ部材21が配置されている。複数のスペーサ部材21は、蛇腹状に折り曲げられた板状の部材である。具体的には、スペーサ部材21は、Z方向に沿う方向に折り目を有し、山折りと谷折りとを交互に繰り返すように折り曲げられて構成されている。すなわち、スペーサ部材21は、Z方向から見て、ジグザク(Zigzag)形状を有する。そして、スペーサ部材21は、折り曲げられた折り目に沿う方向(Z2方向)に空気を流通させるように構成されている。また、スペーサ部材21は、Y1方向側からY2方向側に向かう空気(外気)の流れを妨げるように、互いに対向する保水部22(平板部材20)の間に設けられている。すなわち、スペーサ部材21は、Z方向において、平板部材20の全体に亘って隣接するように設けられている。スペーサ部材21は、たとえば、ポリプロピレンなどの樹脂によって構成されている。
また、本実施形態では、複数の平板部材20同士の間に、空気ドライ流路Dと隣接するように空気ウェット流路W2が形成される。具体的には、空気ウェット流路W2は、所定の間隔(一定の間隔)を隔てて積層された複数の平板部材20のうちの隣り合う平板部材20同士の間に形成されている。すなわち、空気ウェット流路W2は、複数の平板部材20のX1方向側とX2方向側の外表面に設けられた複数の保水部22のうちの、互いに対向する保水部22同士の間に設けられている。言い換えると、空気ウェット流路W2には、保水部22が設けられている。
そして、複数のスペーサ部材21は、空気ウェット流路W2に空気が流通可能な間隔を形成する。すなわち、空気ウェット流路W2は、保水部22とスペーサ部材21との間の隙間により形成されている。具体的には、空気ウェット流路W2は、保水部22と、保水部22に対向するスペーサ部材21との間において、スペーサ部材21のジグザク形状に対応して複数形成されている。また、空気ウェット流路W2は、Z方向において、平板部材20に設けられた空気ドライ流路Dに対して、全体に亘って隣接している。また、空気ウェット流路W2のX方向の幅が、たとえば、3mm程度となるように、複数の平板部材20は、所定の間隔を隔てて略等間隔に並んで配置される。
〈風量制限部材について〉
また、図2および図5に示すように、空気流路ブロック2は、風量制限部材23を含む。本実施形態では、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくする。風量制限部材23は、シート形状を有しており、空気ウェット流路W2の入り口を覆うように配置されている。なお、風量制限部材23は、特許請求の範囲における「風量調整部」の一例である。
具体的には、風量制限部材23は、空気流路ブロック2の上方向側(Z1方向側)に、積層されている平板部材20とスペーサ部材21との全体を覆うように配置されている。言い換えると、略直方体形状の空気流路ブロック2の上方向側(Z1方向側)の面を覆うように配置されている。
また、本実施形態では、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2と給水部4との間に配置されている。風量制限部材23は、空気の流通を制限しながら、給水部4の水が浸透することによって、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくするとともに、空気ウェット流路W2の保水部22に水を行き渡らせるように構成されている。具体的には、風量制限部材23は、給水部4から散水された水を風量制限部材23の全体に亘って浸透させる。すなわち、風量制限部材23は、給水部4からの水を空気流路ブロック2の全体の空気ウェット流路W2の入り口に浸透させる。そして、風量制限部材23は、空気流路ブロック2の全体の空気ウェット流路W2の保水部22に、給水部4からの水を行き渡らせる。
このように、風量制限部材23は、水を浸透させる部材であって、かつ、水を浸透させた状態において、流通する空気の風量を制限させる部材である。風量制限部材23は、たとえば、ろ紙、または、エアフィルターなどである。風量制限部材23は、たとえば、セルロース、ガラス繊維、または、アクリルなどの樹脂により形成された樹脂製繊維などによって形成されている。
(冷媒流路ブロックの構成)
図7および図8に示すように、気化式熱交換器100の冷媒流路ブロック3は、複数の扁平管30を含む。複数の扁平管30は、所定の間隔を隔てて対向するように並んで配置される。また、複数の扁平管30は、内部に冷媒が流れる冷媒流路Cを有する。具体的には、扁平管30は、Z方向に貫通する複数(4個)の貫通孔30aを有している。そして、貫通孔30aの内部には冷媒が流れており、冷媒流路Cが形成されている。複数の貫通孔30aは、それぞれ、Z1方向から見て、略矩形形状を有している。複数の貫通孔30aは、略等間隔でX方向に並んでいる。なお、貫通孔30aは、Z1方向から見て、円形形状を有していてもよい。複数の扁平管30は、アルミニウムなどの金属または樹脂から形成されている。
冷媒流路Cを流れる冷媒は、たとえば、フロン、水、空気、アンモニア、または、二酸化炭素などである。冷媒流路Cを流れる冷媒は、装置外部から扁平管30に連続的に供給される。そして、扁平管30の冷媒流路Cにおいて冷却された冷媒が装置外部へと送られる。具体的には、気化式熱交換器100の冷媒流路ブロック3は、Z2方向側の冷媒配管から流入される高温の冷媒を、扁平管30の中をZ2方向側からZ1方向側へ向かって流通させて冷却するとともに、Z1方向側の冷媒配管を介して冷却された低温の冷媒を装置外部へと送り出す。
また、図8に示すように、本実施形態による冷媒流路ブロック3では、扁平管30の外表面に保水部31が設けられている。具体的には、保水部31は、複数の扁平管30のそれぞれのY1方向側の表面とY2方向側の表面との両方に、扁平管30の全体に亘って接するように設けられている。保水部31は、たとえば、レーヨン、ナイロン、または、アクリルなどの樹脂により形成された樹脂製繊維を含む。樹脂製繊維は、静電植毛によって扁平管30の外表面に接合されている。なお、樹脂製繊維は、扁平管30の表面に接着剤とともに吹き付けることにより接合されてもよい。なお、保水部31は、特許請求の範囲における「第1保水部」の一例である。
また、保水部31は、扁平管30を流れる冷媒を冷却する水を保水する。保水部31は、樹脂製繊維により形成された隙間に生じる毛細管現象によって、給水部4からの水を扁平管30の外表面に保水(保持)する。そして、保水部31の水の気化による気化潜熱によって、冷媒流路Cを流れる冷媒から熱が奪われる。
図9に示すように、本実施形態では、複数の扁平管30同士の間に空気ウェット流路W1が形成されている。空気ウェット流路W1は、冷媒流路Cと隣接するように配置されている。具体的には、空気ウェット流路W1は、複数の扁平管30のY1方向側とY2方向側の外表面に設けられた複数の保水部31のうちの、互いに対向する保水部31同士の間に設けられている。言い換えると、空気ウェット流路W1には、保水部31が設けられている。そして、空気ウェット流路W1は、Z方向において、扁平管30に設けられた冷媒流路Cに対して、全体に亘って隣接している。また、空気ウェット流路W1のY方向の幅が、たとえば、3mm程度となるように、複数の扁平管30は、所定の間隔を隔てて略等間隔に並んで配置される。
なお、本実施形態では、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bの両方は、それぞれ、複数の扁平管30を含む。そして、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bの両方において、複数の扁平管30同士の間に空気ウェット流路W1が形成されている。
(気化式熱交換器における熱の移動)
次に、気化式熱交換器100における熱の移動について説明する。本実施形態では、空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dに流入された空気が、空気ウェット流路W2の保水部22の水の気化潜熱によって冷却された後、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1と、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2とに分岐して流れるように構成されている。すなわち、気化式熱交換器100は、空気ドライ流路Dにおいて予冷が行われた冷却空気を空気ウェット流路W1およびW2に流入させて、空気ウェット流路W1およびW2内における熱交換(冷却)を行うように構成されている。ここで、予冷とは、空気ウェット流路W1およびW2内に流入する空気の温度を下げることによって、空気ウェット流路W1およびW2内に流入する空気から保水部22の水が気化熱を奪いにくい温度まで予め冷却することを示す。
空気ドライ流路Dは、流入した空気(外気)を、外気よりも低い温度の空気(冷却空気)として流出させるように構成されている。また、空気ウェット流路W1およびW2は、外気よりも低い温度の空気(冷却空気)を、冷却空気の温度よりも高い温度の空気(高温多湿空気)として流出するように構成されている。
〈空気ドライ流路における空気の予冷〉
空気ドライ流路Dは、流入した空気(内部を通過する空気)を、保水部22により冷却するように構成されている。具体的には、空気ウェット流路W2の保水部22の水が気化することによって、空気ドライ流路Dの内部を流れる空気から平板部材20を介して熱(気化潜熱)が奪われる。これにより、空気ドライ流路Dの内部を流れる空気が冷却される。この際、空気ドライ流路Dには水を保水する構成を設けていないので、空気ドライ流路D内の空気は加湿されない。
空気ドライ流路Dの中では、流入された外気が加湿されることなく冷却されるため、空気ドライ流路D内の空気が加湿される場合よりも低い温度で、空気ドライ流路D内の空気の水蒸気の量が飽和する。したがって、保水部22の水の冷却による空気ドライ流路D内の空気の温度低下と、空気ドライ流路D内の空気に含まれる水蒸気の凝結熱による温度上昇とのつり合う温度が、空気ドライ流路D内の空気が加湿される場合よりも低くなる。つまり、空気ドライ流路Dでは、内部の空気に含まれる水蒸気の凝結熱による温度上昇と、保水部22の水の冷却による内部の温度低下とがつり合う温度を、内部の空気が加湿される場合よりも小さくすることが可能である。このように、空気ドライ流路Dは、空気ドライ流路Dの空気中に含まれる水蒸気が凝結する露点温度まで空気ドライ流路Dの空気を冷却可能に構成されている。
空気ドライ流路Dでは、内部の空気が露点温度になった場合、さらに冷却されると、内部の絶対湿度が飽和湿度であるため、内部の空気中の水蒸気が凝結する凝結熱が発生し、内部の空気が冷却された分だけ暖められる。したがって、空気ドライ流路Dでは、露点温度において、内部の空気に含まれる水蒸気の凝結熱と、保水部22の水による内部の冷却とがつり合う。なお、絶対湿度とは、対象とする空気中の乾き空気(水分を含まない空気)1kgに対する水蒸気の重量割合を示す。
〈空気ウェット流路における冷媒の冷却〉
空気ウェット流路W1およびW2は、空気ドライ流路Dを流出した空気(冷却空気)を流入するように構成されている。ここで、気化式熱交換器100では、空気ドライ流路Dを流出した空気(冷却空気)は、第2ケース部12の内部空間12a(図3参照)および第3ケース部13の内部空間13a(図3参照)の順に流れた後、空気ウェット流路W1およびW2に流入する。
空気ウェット流路W1およびW2は、内部を通過する空気が加熱されるように構成されている。空気ウェット流路W1は、空気ウェット流路W1を通過する空気により、空気ウェット流路W1よりも温度の高い冷媒流路C内の冷媒から熱を奪うように構成されている。空気ウェット流路W1では、冷媒流路Cを流れる冷媒から熱を奪うことにより、空気ウェット流路W1を通過する空気の温度が上昇する。そして、空気ウェット流路W1を通過する空気は、温度が上昇するため飽和水蒸気量が増える。これにより、空気ウェット流路W1では、保水部31の水の気化が行われるので、温度上昇した空気は、保水部31の水の気化によって冷却・加湿され、飽和状態に戻る。このように、空気ウェット流路W1では、空気ウェット流路W1を通過する空気が冷媒流路Cの冷媒から熱を奪いながら、保水部31から気化した水蒸気が下流側へ流される。すなわち、空気ウェット流路W1を通過する空気は、冷媒流路Cの冷媒により加熱されるとともに、保水部31から気化した水蒸気により加湿される。
また、空気ウェット流路W2は、空気ウェット流路W2を通過する空気により、空気ウェット流路W2よりも温度の高い空気ドライ流路D内の空気(外気)から熱を奪うように構成されている。空気ウェット流路W2では、空気ドライ流路Dを流れる空気(外気)から熱を奪うことにより、空気ウェット流路W2を通過する空気の温度が上昇する。そして、空気ウェット流路W2を通過する空気は、空気ウェット流路W1と同様に、温度が上昇するため飽和水蒸気量が増える。これにより、空気ウェット流路W2では、保水部22で気化が始まるので、温度上昇した空気は、保水部22の水の気化によって冷却・加湿され、飽和状態に戻る。このように、空気ウェット流路W2では、空気ウェット流路W2を通過する空気が空気ドライ流路Dの空気から熱を奪いながら、保水部22から気化した水蒸気が下流側へ流される。すなわち、空気ウェット流路W2を通過する空気は、空気ドライ流路Dの空気により加熱されるとともに、保水部22から気化した水蒸気により加湿される。
空気ウェット流路W1およびW2では、加熱された空気(高温多湿空気)を、第1ケース部11のZ2方向側の開口11c(図3参照)から外部空間に排出することにより、排熱が行われている。また、空気ウェット流路W1およびW2では、保水部31および保水部22のそれぞれにおいて気化しなかった水も、第1ケース部11のZ2方向側の開口11cから外部空間に排出される。
(風量制限部材による冷却空気の分配)
図10に示すように、本実施形態では、風量制限部材23によって、空気ドライ流路Dに流入された空気が空気ウェット流路W2の保水部22の水の気化潜熱により冷却された後、冷却された空気(冷却空気)が空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに所定の割合で分配されるように風量が調整される。
ここで、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに分配される空気の割合が不適切である場合には、装置の冷却効率が低下する。たとえば、空気ウェット流路W1に流入する空気の流量が十分ではない場合には、冷媒流路Cの冷媒を十分に冷却することができずに、装置の冷却効率が低下する。また、空気ウェット流路W2に流入する空気の流量が十分ではない場合には、空気ドライ流路Dの空気を十分に冷却することができない。すなわち、空気ウェット流路W2に流入する空気の冷却が十分ではない場合には、空気ドライ流路Dでの予冷が十分に行われずに、流入された空気(外気)を露点温度まで冷却することができない。空気ドライ流路Dにおける予冷が不十分である場合には、空気ウェット流路W1および空気ウェット流路W2に流入される冷却空気の温度が十分に低くないために、冷媒の冷却が不十分となり同様に装置の冷却効率が低下する。そこで、風量制限部材23によって、空気ドライ流路Dからの冷却空気を、冷媒流路Cの冷媒を十分に冷却しつつ、かつ、空気ドライ流路Dの空気を露点温度まで冷却することが可能なように、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに所定の割合で分配する。すなわち、所定の割合は、冷媒流路Cの冷却を十分におこなうことが可能な割合であり、空気ドライ流路Dの空気を露点温度まで冷却することが可能な割合である。
具体的には、図11に示すように、風量制限部材23によって、空気ドライ流路Dからの冷却空気のうち、40%以上60%以下の範囲の風量が空気ウェット流路W2に流入するように、風量が調整される。この場合、好ましくは、空気ドライ流路Dからの冷却空気のうち、40%の風量が空気ウェット流路W2に流入するように、風量制限部材23によって風量が調整される。
すなわち、本実施形態では、風量制限部材23は、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1に流入する空気の風量よりも、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が小さくなるように、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくする。言い換えると、風量制限部材23は、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量と、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量との割合が、6:4になるように、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を制限する。
ここで、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1は、空気ドライ流路Dと離間するように設けられている。すなわち、冷媒流路ブロック3が空気流路ブロック2の左右方向(X1方向側およびX2方向側)の各々に設けられているので、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1は、水平面内において空気ドライ流路Dの空気の流通方向(Y1方向側)から見て左右方向(X1方向側およびX2方向側)の各々に、空気ドライ流路Dと離間して配置されている。一方、空気ウェット流路W2は、空気ドライ流路Dと隣接して配置されている。したがって、空気ドライ流路Dからの冷却空気は、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2に多く流入しようとする。
本実施形態では、風量制限部材23が、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を制限することによって、空気ドライ流路Dから離間した位置に配置されている、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1に流入される空気の流量を相対的に多くするように構成されている。具体的には、風量制限部材23は、空気ドライ流路Dからの冷却空気のうち、40%の冷却空気が空気ウェット流路W2に流入するように空気の流入を制限する。そして、空気流路ブロック2の左右の各々に配置されている2つの冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1に対して、空気ドライ流路Dからの冷却空気のうち、30%ずつの冷却空気が流入される。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、空気ドライ流路Dに流入された空気が空気ウェット流路W2の保水部22の水の気化潜熱により冷却された後、冷却された空気が空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに所定の割合で分配されるように風量を調整する風量制限部材23(風量調整部)を備える。これにより、風量制限部材23によって、空気ドライ流路Dにおいて冷却された空気を、冷媒流路Cを流れる冷媒を冷却するための空気ウェット流路W1と、空気ドライ流路Dを流れる空気を冷却するための空気ウェット流路W2とに所定の割合で適切に分配することができる。そのため、空気ウェット流路W1に適切な風量の冷却された空気を分配することができるので、空気ウェット流路W1の冷却された空気によって、冷媒の冷却が不十分となることを抑制することができる。また、空気ウェット流路W2に適切な風量の冷却された空気を分配することができるので、空気ウェット流路W2の冷却された空気によって、流入される空気の冷却が不十分となることを抑制することができる。その結果、冷媒と流入される空気との両方を冷却することができるので、流入された空気を水の気化潜熱によって冷却するとともに、冷却された空気を、冷媒を冷却するための流路と流入される空気を冷却するための流路とに分配する場合に、冷却効率が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、風量調整部は、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)と空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)との少なくとも一方に流入する空気の風量を小さくする風量制限部材23を含み、風量制限部材23は、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている。このように構成すれば、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量が多すぎる場合に、風量制限部材23を、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量が少なくなるように配置すれば、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量を少なくすることができる。また、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が多すぎる場合に、風量制限部材23を、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が少なくなるように配置すれば、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を少なくすることができる。そのため、風量制限部材23によって、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2との少なくとも一方に流入する空気の風量を小さくすることができるので、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに分配される空気の風量の割合を容易に適切な割合に調整することができる。その結果、流入される空気と冷媒とが適切に冷却されるため装置の冷却効率が低下することを容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)に流入する空気の風量を小さくすることによって、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)と空気ウェット流路W2とに空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている。このように構成すれば、風量制限部材23によって空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を適切な風量となるように小さくすることができるので、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が多すぎるために、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量が不足することを抑制することができる。そのため、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が多すぎる場合にも、風量制限部材23によって空気ドライ流路Dからの空気が適切に分配されるので、冷媒が十分に冷却されないことを抑制することができる。その結果、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が多すぎる場合にも、風量制限部材23を設けることによって、装置の冷却効率が低下することを容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)は、空気ドライ流路Dに隣接する空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)とは別個に配置されるとともに、空気ドライ流路Dと離間するように設けられ、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることによって、空気ドライ流路Dと離間するように設けられた空気ウェット流路W1と、空気ドライ流路Dと隣接する空気ウェット流路W2とに、空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている。ここで、冷媒を冷却するための空気ウェット流路W1が、流入された空気が冷却される空気ドライ流路Dと離間して設けられている場合には、空気ウェット流路W2が空気ドライ流路Dの空気を冷却するために空気ドライ流路Dと隣接して配置されているので、空気ドライ流路Dから空気ウェット流路W1に流入する冷却された空気の風量が、空気ドライ流路Dから空気ウェット流路W2に流入する冷却された空気の風量に比べて少なくなる。そのため、空気ウェット流路W1が空気ドライ流路Dと離間して設けられている場合には、空気ドライ流路Dからの冷却された空気の分配が不適切となり、冷媒の冷却が不十分となる。これに対して、本実施形態では、風量制限部材23を、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることによって、空気ドライ流路Dと離間するように設けられた空気ウェット流路W1と、空気ドライ流路Dと隣接する空気ウェット流路W2とに、空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成する。このように構成すれば、空気ウェット流路W1が空気ドライ流路Dと離間して設けられている場合にも、風量制限部材23により空気ウェット流路W2に流入する空気の風量が小さくされるため、空気ドライ流路Dからの冷却された空気の適切に分配することができる。そのため、空気ウェット流路W1に適切な風量の冷却された空気を分配することができるので、空気ウェット流路W1に流入する冷却された空気の風量が不足することを抑制することができる。その結果、冷媒の冷却が不十分となることを抑制することができるので、空気ウェット流路W1が空気ドライ流路Dと離間して設けられている場合にも、装置の冷却効率が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、空気ドライ流路Dは、水平方向に沿って空気を流通させ、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)は、空気ドライ流路Dと隣接する空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)とは別個に配置されるとともに、水平面内において空気ドライ流路Dの空気の流通方向から見て左右方向の各々に空気ドライ流路Dと離間するように設けられ、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることによって、水平面内において空気ドライ流路Dの空気の流通方向から見て左右方向の各々に空気ドライ流路Dと離間するように配置された空気ウェット流路W1と、空気ドライ流路Dと隣接する空気ウェット流路W2とに、空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている。ここで、空気ドライ流路Dからの冷却された空気が、空気ウェット流路W2の左右の各々に設けられた2つの空気ウェット流路W1と、1つの空気ウェット流路W2との3方向に分配される場合には、3方向のうちの中央に設けられた空気ウェット流路W2に多くの空気が流入し、3方向のうちの左右の各々に設けられた2つの空気ウェット流路W1に分配される空気が不足する。これに対して、本実施形態では、風量制限部材23を、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることによって、水平面内において空気ドライ流路Dの空気の流通方向から見て左右方向の各々に空気ドライ流路Dと離間するように配置された空気ウェット流路W1と、空気ドライ流路Dと隣接する空気ウェット流路W2とに、空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成する。このように構成すれば、風量制限部材23によって3方向のうちの中央に設けられている空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることができるので、3方向のうちの左右の各々に設けられている空気ウェット流路W1に流入する空気の風量が不足することを抑制することができる。そのため、2つの空気ウェット流路W1と、1つの空気ウェット流路W2との3方向に、空気ドライ流路Dからの冷却された空気を適切な割合で分配することができる。その結果、空気ドライ流路Dからの冷却された空気が、空気ウェット流路W2の左右の各々に設けられた空気ウェット流路W1と、空気ウェット流路W2との3方向に分配される場合にも、冷媒の冷却を十分に行うことができるので、装置の冷却効率が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、風量制限部材23は、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)に流入する空気の風量よりも、空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)に流入する空気の風量が小さくなるように、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくするように構成されている。このように構成すれば、冷媒を冷却するための空気ウェット流路W1に、冷媒の冷却に必要な風量の冷却された空気を流入させながら、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を、空気ウェット流路W1に流入する空気の風量よりも小さくすることができる。そのため、空気ウェット流路W2の風量を、空気ウェット流路W1の風量よりも大きくする場合に比べて、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2との両方に流入される合計の風量を小さくすることができる。すなわち、装置外部から流入させる合計の風量を小さくすることができる。その結果、装置外部から空気を流入させるための送風ファン5などの構成が消費する消費エネルギーを小さくしながら、装置の冷却効率が低下することを抑制することができるので、装置全体のエネルギー効率をより上昇させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)の保水部31(第1保水部)と空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)の保水部22(第2保水部)とに対して、上方から散水することによって水を供給する給水部4をさらに備え、空気ウェット流路W1および空気ウェット流路W2は、鉛直方向に沿って空気を流通させるように構成されており、風量制限部材23は、空気ウェット流路W2と給水部4との間に配置され、空気の流通を制限しながら給水部4からの水が浸透することによって、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくするとともに、空気ウェット流路W2の保水部22に水を行き渡らせるように構成されている。このように構成すれば、風量制限部材23が、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくするとともに、空気ウェット流路W2の保水部22に水を行き渡らせるため、風量制限部材23によって、冷却された空気を空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに所定の割合で分配することに加えて、保水部22に水を行き渡らせることができる。そのため、風量制限部材23によって、保水部22の全体に亘って水を行き渡らせることによって保水部22の全体において効率よく水を気化させることができるので、冷却された空気を所定の割合に適切に分配することに加えて、保水部22の水の気化によって流入される空気をより効果的に冷却させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、風量制限部材23は、シート形状を有し、空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)に流入する空気の風量を小さくするとともに、空気ウェット流路W2の保水部22(第2保水部)に水を行き渡らせるように空気ウェット流路W2の入り口を覆うように配置されている。このように構成すれば、シート形状を有する風量制限部材23を空気ウェット流路W2の入り口を覆うように配置することによって、冷却された空気を空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)と空気ウェット流路W2とに所定の割合で分配することに加えて、シート形状の風量制限部材23を配置するだけで、空気ウェット流路W2の保水部22の水の気化による空気の冷却を、容易に効率よく行うことができる。そのため、シート形状を有する風量制限部材23を空気ウェット流路W2の入り口を覆うように配置することによって、冷却された空気を適切に分配することに加えて、空気ウェット流路W2における保水部22の水の気化による冷却をより容易に効率よく行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、内部に冷媒流路Cを有し、外表面に保水部31(第1保水部)が設けられている複数の扁平管30を含み、複数の扁平管30同士の間に空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)が形成されている冷媒流路ブロック3と、内部に空気ドライ流路Dを有し、外表面に保水部22が設けられている複数の平板部材20を含み、複数の平板部材20同士の間に空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)が形成されており、冷媒流路ブロック3とは分離して設けられた空気流路ブロック2とをさらに備え、風量制限部材23(風量調整部)は、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1と、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2とに、空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている。ここで、空気流路ブロック2において、内部に空気ドライ流路Dを有する複数の平板部材20同士の間に空気ウェット流路W2が形成されており、空気ウェット流路W1が形成されている冷媒流路ブロック3は、空気流路ブロック2とは分離して設けられているので、空気ドライ流路Dから空気ウェット流路W2へと流入する空気の風量が、空気ドライ流路Dから空気ウェット流路W1へと流入する空気の風量に比べて大きくなる。これに対して、本実施形態では、風量制限部材23を、冷媒流路ブロック3の空気ウェット流路W1と、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2とに、空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dからの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成する。このように構成すれば、空気ウェット流路W1を含む冷媒流路ブロック3と、空気ドライ流路Dおよび空気ウェット流路W2を含む空気流路ブロック2とが分離して設けられている場合にも、風量制限部材23によって、空気ウェット流路W1と空気ウェット流路W2とに流入される空気が所定の割合で適切に分配されるように風量を調整することができる。その結果、空気ウェット流路W2を含む冷媒流路ブロック3と、空気ドライ流路Dおよび空気ウェット流路W2を含む空気流路ブロック2とが分離して設けられている場合にも、装置の冷却効率が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、冷媒流路ブロック3は、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bを含み、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bの両方は、それぞれ複数の扁平管30を含み、空気流路ブロック2は、第1冷媒流路ブロック3aと第2冷媒流路ブロック3bとの間に挟まれるように水平方向に隣接して配置され、風量調整部は、空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2(第2空気ウェット流路)の入り口を覆うように配置され、空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくするシート状の風量制限部材23を含む。このように構成すれば、第1冷媒流路ブロック3aおよび第2冷媒流路ブロック3bの2つの冷媒流路ブロック3によって、空気流路ブロック2が挟まれるように水平方向に隣接して配置されている場合にも、シート状の風量制限部材23によって空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2に流入する空気の風量を小さくすることができる。そのため、2つの冷媒流路ブロック3によって、空気流路ブロック2が挟まれるように水平方向に隣接して配置されている場合にも、空気流路ブロック2の空気ドライ流路Dからの冷却された空気を、2つ冷媒流路ブロック3の各々の空気ウェット流路W1(第1空気ウェット流路)と空気流路ブロック2の空気ウェット流路W2との3つの流路に所定の割合で適切に分配することができる。その結果、2つの冷媒流路ブロック3によって、空気流路ブロック2が挟まれるように水平方向に隣接して配置されている場合にも、装置の冷却効率が低下することを抑制することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、空気流路ブロックは、第1冷媒流路ブロックおよび第2冷媒流路ブロックとの間に挟まれるように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12に示す変形例の気化式熱交換器200のように、空気流路ブロック202が、1つの冷媒流路ブロック203と隣接して配置されていてもよい。この場合には、空気流路ブロック202の上方向側(Z1方向側)の空気ウェット流路(第2空気ウェット流路)の入り口に風量制限部材(風量調整部)を配置することによって、空気流路ブロック202と冷媒流路ブロック203とのそれぞれの空気ウェット流路に流入する空気の流量を所定の割合となるように調整する。
また、上記実施形態では、風量調整部は、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路との少なくとも一方に流入する空気の風量を小さくする風量制限部材を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風量調整部は、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路とに分配される空気の風量を調整する送風ファンであってもよい。また、筐体の一部のダクト部分を風量調整部としてもよい。すなわち、空気ドライ流路の出口から、第1空気ウェット流路および第2空気ウェット流路の各々の入り口に流通する流路(ダクト部分)の断面積に差異を設けることによって、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路とに分配される空気の風量を調整するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、風量制限部材は、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくすることによって、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路とに空気ドライ流路からの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風量制限部材を、第1空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくすることによって、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路とに空気ドライ流路からの空気が所定の割合で分配されるように風量を調整するように構成されていてもよい。また、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路との両方に風量制限部材を設けるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1空気ウェット流路は、空気ドライ流路と離間するように設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1空気ウェット流路が空気ドライ流路と隣接して設けられていてもよい。すなわち、第1空気ウェット流路が第2空気ウェット流路と交互に配置されることによって、第1空気ウェット流路が空気ドライ流路と隣接して設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、風量制限部材は、第1空気ウェット流路に流入する空気の風量よりも、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量が小さくなるように、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくするように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷媒流路ブロックの第1空気ウェット流路に比べて、空気流路ブロックの第2空気ウェット流路のほうが必要とする風量が大きい場合には、風量制限部材を、第1空気ウェット流路に流入する空気の風量よりも、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量が大きくなるように、第1空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、風量制限部材は、第2空気ウェット流路と給水部との間に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風量制限部材を、給水部と第2空気ウェット流路の間に配置しなくてもよい。たとえば、風量制限部材を第2空気ウェット流路の出口に配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、風量制限部材は、シート形状を有し、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくするとともに、第2空気ウェット流路の第2保水部に水を行き渡らせるように第2空気ウェット流路の入り口を覆うように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風量制限部材は、スポンジ状であってもよい。すなわち、スポンジ状の風量制限部材を第2空気ウェット流路の入り口を覆うように配置することによって、第2空気ウェット流路に流入する空気の風量を小さくするとともに、第2空気ウェット流路の第2保水部に水を行き渡らせるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、冷媒流路ブロックは、内部に冷媒流路を有する複数の扁平管を含み、空気流路ブロックは、内部に空気ドライ流路を有する複数の平板部材を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷媒流路ブロックは、冷媒流路を有するフィンアンドチューブ型の熱交換器であってもよい。また、空気流路ブロックは、空気ドライ流路を有する扁平管によって構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、4つの貫通孔を有する扁平管によって、冷媒流路ブロックを構成するとともに、10個の貫通孔を有する平板部材によって、空気流路ブロックを構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、5つ以上、または、3つ以下の貫通孔を有する扁平管によって冷媒流路ブロックを構成してもよい。また、11個以上、または、9個以下の貫通孔を有する平板部材によって、空気流路ブロックを構成してもよい。同様に、冷媒流路ブロックを構成する扁平管の本数、および、空気流路ブロックを構成する平板部材の個数はいくつであってもよい。
また、上記実施形態では、空気ドライ流路部材に流入された空気は、水平面内において、冷媒流路ブロックと空気流路ブロックとの隣接する方向と直交する方向に向かって流れた後、第1空気ウェット流路と第2空気ウェット流路とを鉛直方向の下向きに流れるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、空気ドライ流路部材に流入された空気と、第1空気ウェット流路および第2空気ウェット流路を流れる空気とが、対向する方向に流れるようにしてもよい。また、第1空気ウェット流路を流れる空気の向きと、第2空気ウェット流路を流れる空気の向きとを、異なる向きとしてもよい。
また、上記実施形態では、風量制限部材を、空気流路ブロックの第2空気ウェット流路の全体に亘って配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風量制限部材を、第2空気ウェット流路の一部分を覆うようにして配置するように構成してもよい。