以下、添付の図面を参照しながら、第1実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されており、シートクッションS1およびシートバックS2を備えている。
図2に示すように、車両用シートSは、シートフレームF(図3参照)に、ウレタンフォームなどからなるパッドPと、布地や皮革などからなる表皮U1,U2を被せることで構成されている。
パッドPは、シートクッションS1のパッドを構成するクッションパッドP1と、シートバックS2のパッドを構成するバックパッドP2を含む。クッションパッドP1は、内部に形成された通気路A1と、上側の面から通気路A1に連通する複数の通気穴H1とを有している。また、バックパッドP2は、内部に形成された通気路A2と、前側の面から通気路A2に連通する複数の通気穴H2とを有している。
通気路A1,A2は、後述するダクトDにより送風装置70と接続されている。送風装置70は、シロッコファンであり、後述するパンフレーム12の下側に配置されている。送風装置70は、パンフレーム12にブラケット71を介して取り付けられている。車両用シートSは、送風装置70から送風された空気を、ダクトDと通気路A1,A2を通して通気穴H1,H2からシートに座った乗員に向けて吹き出すように構成されている。
図3に示すように、シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するバックフレームF2とを含む。シートクッションS1は、クッションフレームF1をクッションパッドP1と表皮U1で覆うことで構成されており、シートバックS2は、バックフレームF2をバックパッドP2と表皮U2で覆うことで構成されている(図1参照)。
クッションフレームF1は、左右のクッションサイドフレーム11と、パンフレーム12と、後部フレームとしてのリアパイプ13と、フロントパイプ14(図6参照)とを備えている。左右のクッションサイドフレーム11は、シートクッションS1の左右のフレームを構成する部材であり、左右方向に対向した状態で離間して配置されている。クッションサイドフレーム11は、板金からなり、前後に長い長尺状に形成されている。
パンフレーム12は、板金からなり、左右のクッションサイドフレーム11の前部同士を連結している。図6に示すように、リアパイプ13とフロントパイプ14は、金属製のパイプ材からなり、前後に離間して配置され、左右のクッションサイドフレーム11を連結している。詳しくは、リアパイプ13が左右のクッションサイドフレーム11の後部同士を連結しており、フロントパイプ14が左右のクッションサイドフレーム11の前部同士を連結している。フロントパイプ14は、パンフレーム12の下側に配置されている。
左右のクッションサイドフレーム11の間には、支持部材30が配置されている。支持部材30は、シートに座った乗員からの荷重を受ける部材であり、複数のワイヤ部材31と、ワイヤ部材31をつなぐ複数の樹脂部材32とを有している。ワイヤ部材31は、金属製の線材からなり、左右に交互に屈曲しながら前後に延びている。ワイヤ部材31は、左右に並んだ状態で配置され、パンフレーム12とリアパイプ13に架け渡された状態で設けられている。樹脂部材32は、樹脂からなり、インサート成形によりワイヤ部材31の一部の全周を覆った状態でワイヤ部材31と一体に形成されている。
図3に示すように、バックフレームF2は、左右の板金フレーム22と、パイプフレーム23と、下部フレームとしてのロアフレーム24と、架橋フレーム25とを備えている。左右の板金フレーム22は、左右方向に対向した状態で離間して配置されている。板金フレーム22は、板金からなり、上下に長い長尺状に形成されている。
パイプフレーム23は、金属製のパイプ材からなり、略上下に延びる左右のアッパーサイドフレーム23Aと、アッパーサイドフレーム23Aの上端同士を連結するアッパーフレーム23Bとを有している。左右のアッパーサイドフレーム23Aは、下部が板金フレーム22の上部に接続されていることで、左右の板金フレーム22とともに、シートバックS2の左右のフレームを構成する左右のバックサイドフレーム21を形成している。ロアフレーム24は、板金からなり、左右のバックサイドフレーム21の下部同士を連結している。架橋フレーム25は、板金からなり、左右のバックサイドフレーム21の上部同士を連結している。
クッションサイドフレーム11の後部とバックサイドフレーム21の下部とは、リクライニング機構RLを介して回動可能に連結されている。これにより、車両用シートSは、シートバックS2がシートクッションS1に対して前後に回動可能となっている。
図2に示すように、ダクトDは、シートクッションS1およびシートバックS2のパッドP(P1,P2)に形成された通気路A1,A2と送風装置70を接続する部材である。ダクトDは、複数の部品を接続してなる。具体的には、図4に示すように、ダクトDは、第1の部品としての第1ダクト部材110と、第2の部品および第3の部品としての第2ダクト部材120と、第4の部品としての第3ダクト部材130と、第4ダクト部材140とを有している。
第1ダクト部材110は、略前後に延びるロア管部111と、ロア管部111の後端から後に凸となるように湾曲しながら上方に延びる湾曲管部112と、湾曲管部112の上端から略上方に延びる第1接続管部113とを有している。ロア管部111は、前端部が送風装置70に接続されている(図2参照)。
第2ダクト部材120は、第1ダクト部材110の後部に接続されており、略上下に延びるように設けられている。第2ダクト部材120は、第2接続管部121と、第2接続管部121の上に設けられたフレキシブル部としての第1蛇腹部122と、第1蛇腹部122の上に設けられた第3接続管部123とを有している。第2接続管部121は、第1ダクト部材110の第1接続管部113が内側に嵌るようなサイズに形成されている。第1蛇腹部122は、可撓性を有するとともに伸縮自在となっている。
第3ダクト部材130は、第2ダクト部材120の上端に接続されている。第3ダクト部材130は、略上下に延びる第4接続管部131と、第4接続管部131の上端から左斜め上方(左右方向における車両用シートSの中央に向けて斜め上方)に延びる第1アッパー管部132と、第1アッパー管部132の上端から左(左右方向における車両用シートSの中央)に向けて延びる第2アッパー管部133と、第2アッパー管部133から略前方に延びるバック接続管部134とを有している。第4接続管部131は、第2ダクト部材120の第3接続管部123の内側に嵌るようなサイズに形成されている。バック接続管部134は、前端部がバックパッドP2に形成された通気路A2に接続されている(図2参照)。
第4ダクト部材140は、第1ダクト部材110の前部に接続されており、略上下に延びるように設けられている。第4ダクト部材140は、第2蛇腹部141と、第2蛇腹部141の上に設けられたクッション接続管部142と、第2蛇腹部141の下に設けられた左右の接続壁部143とを有している。第2蛇腹部141は、可撓性を有するとともに伸縮自在となっている。クッション接続管部142は、クッションパッドP1に形成された通気路A1に接続されている(図2参照)。接続壁部143は、第2蛇腹部141の下端から下方に向けて延び、第1ダクト部材110のロア管部111を左右から挟むように設けられている。
図5(a)に示すように、第1ダクト部材110は、第1接続部C1に設けられた第1係合部151および第2係合部152を有しており、第2ダクト部材120は、第1接続部C1に設けられた第3係合部153および第4係合部154を有している。第1接続部C1は、第1ダクト部材110と第2ダクト部材120との接続部である。具体的には、第1接続部C1は、第1ダクト部材110の第1接続管部113と第2ダクト部材120の第2接続管部121とが接続されて重なった部分である。第1接続部C1は、略上下に延びている。言い換えると、ダクトDは、略上下に延びる部分が第1接続部C1を含む。
第1係合部151および第2係合部152は、第1接続管部113の左右の側面から左右方向外側に突出した形状の凸部である。第3係合部153および第4係合部154は、凸部としての係合部151,152が係合する左右に貫通した略矩形の穴であり、第2接続管部121の左右の側壁に設けられている。第3係合部153は、第1係合部151に係合し、第4係合部154は、第2係合部152に係合する。
また、第3ダクト部材130は、第2接続部C2に設けられた第5係合部161および第6係合部162を有しており、第2ダクト部材120は、第2接続部C2に設けられた第7係合部163および第8係合部164を有している。第2接続部C2は、第2ダクト部材120と第3ダクト部材130との接続部である。具体的には、第2接続部C2は、第2ダクト部材120の第3接続管部123と第3ダクト部材130の第4接続管部131とが接続されて重なった部分である。第2接続部C2は、略上下に延びている。言い換えると、ダクトDは、略上下に延びる部分が第2接続部C2を含む。
第5係合部161および第6係合部162は、第4接続管部131の左右の側面から左右方向外側に突出した形状の凸部である。第7係合部163および第8係合部164は、係合部161,162が係合する左右に貫通した略矩形の穴であり、第3接続管部123の左右の側壁に設けられている。第7係合部163は、第5係合部161に係合し、第8係合部164は、第6係合部162に係合する。
また、図5(b)に示すように、第1ダクト部材110は、ロア管部111に設けられた第9係合部171および第10係合部172を有しており、第4ダクト部材140は、接続壁部143に設けられた第11係合部173および第12係合部174を有している。第9係合部171および第10係合部172は、ロア管部111の左右の側面から左右方向外側に突出した形状の凸部である。第11係合部173および第12係合部174は、係合部171,172が係合する左右に貫通した略矩形の穴である。第11係合部173は、第9係合部171に係合し、第12係合部174は、第10係合部172に係合する。なお、第1ダクト部材110には、ロア管部111から分岐して略上方に延び、第4ダクト部材140の内側に嵌る第5接続管部114が設けられている。
係合部151,152,161,162,171,172は、図5に示す断面視において略三角形状をなしている。具体的に、係合部151,152,161,162,171,172は、当接面151A,152A,161A,162A,171A,172Aと、傾斜面151B,152B,161B,162B,171B,172Bとを有している。当接面151A,152A,161A,162A,171A,172Aは、第2ダクト部材120または第4ダクト部材140が延びる方向(図5の上下方向)に対して略直交する平面となっている。また、傾斜面151B,152B,161B,162B,171B,172Bは、当接面151A,152A,161A,162A,171A,172Aの左右方向外側の端から、対応する接続管部113,131,114の先端に向かうにつれてダクトDの左右方向中央に近づくように傾斜した面となっている。
第1係合部151および第3係合部153は、第1接続部C1の右側面に設けられており、第2係合部152および第4係合部154は、第1接続部C1の左側面に設けられている。また、第5係合部161および第7係合部163は、第2接続部C2の右側面に設けられており、第6係合部162および第8係合部164は、第2接続部C2の左側面に設けられている。また、第9係合部171は、ロア管部111の右側面に設けられており、第10係合部172は、ロア管部111の左側面に設けられている。また、第11係合部173は、右の接続壁部143に設けられており、第12係合部174は、左の接続壁部143に設けられている。
図2に示すように、ダクトDは、シートクッションS1とシートバックS2とに跨がって配置されている。詳しくは、ダクトDは、主に、第1ダクト部材110と第4ダクト部材140がシートクッションS1に配置され、第3ダクト部材130がシートバックS2に配置され、第2ダクト部材120がシートクッションS1とシートバックS2を跨ぐように配置されている。
図6に示すように、ダクトDは、第1ダクト部材110が、支持部材30の下側で、左右方向におけるシートクッションS1の中央(中央面CP)よりも右に配置されている。第1ダクト部材110は、前端部がパンフレーム12の下側に配置された送風装置70に接続され、ロア管部111が略後方に向けて延びている。図7に示すように、湾曲管部112は、左右方向から見て、リアパイプ13の下方で後に凸となる略U字状に湾曲している。さらに説明すると、湾曲管部112は、支持部材30の後端部を避けるように、支持部材30の後端部の下側、後側、上側を通るように湾曲している。第1接続管部113は、リアパイプ13の前側を通って上方のシートバックS2に向けて略上下に延びている。
また、ダクトDは、第2ダクト部材120が略上下に延び、クッションフレームF1とバックフレームF2を跨ぐように配置されている。図8に示すように、ダクトDは、第2ダクト部材120の上端に接続された第3ダクト部材130の第1アッパー管部132および第2アッパー管部133が、中央面CPに向けて延び、第2アッパー管部133から略前方に延びるバック接続管部134がバックパッドP2に形成された通気路A2に接続されている(図2参照)。湾曲管部112、第1接続部C1(第1接続管部113と第2接続管部121)、第1蛇腹部122、第2接続部C2(第3接続管部123と第4接続管部131)は、左右方向において中央面CPよりも右のクッションサイドフレーム11に寄った位置に位置している。
図7に示すように、ダクトDは、略上下に延びる部分が、リアパイプ13およびロアフレーム24の前側を通ってシートクッションS1からシートバックS2に向かうように配置されている。詳しくは、第1接続部C1がリアパイプ13の前側を通るように配置されており、また、第2接続部C2および第1アッパー管部132がロアフレーム24の前側を通るように配置されている。
また、ダクトDは、第1接続部C1が前後方向から見てリアパイプ13と重なるように配置されている。また、ダクトDは、第2接続部C2および第1アッパー管部132が前後方向から見てロアフレーム24と重なるように配置されている。
ダクトDの、リアパイプ13の前側に位置する部分である第1接続部C1の流路断面の形状は、図4に示すように、前後方向の寸法D11が前後方向に直交する左右方向の寸法D12よりも小さくなっている。また、ダクトDの、ロアフレーム24の前側に位置する部分である第2接続部C2の流路断面の形状は、前後方向の寸法D21が左右方向の寸法D22よりも小さくなっている。すなわち、第1接続部C1(第1接続管部113と第2接続管部121)および第2接続部C2(第3接続管部123と第4接続管部131)は、いずれも前後に扁平な断面形状を有している。
図7に戻って、第1蛇腹部122は、リアパイプ13よりも上に位置している。さらに説明すると、第1蛇腹部122は、リアパイプ13とロアフレーム24の略間に位置している。詳しくは、第1蛇腹部122は、リアパイプ13とロアフレーム24を最短距離で結ぶ方向(矢印参照)において、リアパイプ13とロアフレーム24の間に位置している。
クッションフレームF1とクッションパッドP1を覆うシートクッションS1の表皮U1は、クッションフレームF1を構成するリアパイプ13に、当該表皮U1の端部に設けたフックU11を引っ掛けることでリアパイプ13に固定されている。
以上説明した本実施形態によれば、ダクトDは、第1接続部C1付近がリアパイプ13の前側を通ってシートクッションS1からシートバックS2に向かうように配置されているので、リアパイプ13によってダクトDの第1接続部C1付近を後から保護することができる。これにより、後席の乗員の足がダクトDの第1接続部C1付近に当たるのを抑制することができる。また、ダクトDがリアパイプ13の後側を通らないので、シートクッションS1の表皮U1に設けられたフックU11をリアパイプ13に固定するときに、ダクトDが邪魔にならないため、表皮U1をリアパイプ13に固定する作業を容易にすることができる。
また、ダクトDは、第2接続部C2付近がロアフレーム24の前側を通ってシートクッションS1からシートバックS2に向かうように配置されているので、ロアフレーム24によってダクトDの第2接続部C2付近を後から保護することができる。これにより、後席の乗員の足が第2接続部C2付近に当たるのを抑制することができる。
また、ダクトDは、第1蛇腹部122がリアパイプ13よりも上に位置するので、シートクッションS1の後部に後席の乗員の足が当たったとしてもリアパイプ13で受け止めることができる。これにより、リアパイプ13によって後席の乗員の足がダクトDの軟らかい第1蛇腹部122に当たるのを抑制することができる。
また、ダクトDは、第1蛇腹部122がリアパイプ13とロアフレーム24の間に位置するので、シートクッションS1の後部やシートバックS2の下部に後席の乗員の足が当たったとしてもリアパイプ13やロアフレーム24で受け止めることができる。これにより、リアパイプ13やロアフレーム24によって後席の乗員の足が第1蛇腹部122に当たるのを抑制することができる。
また、ダクトDは、第1接続部C1が前後方向から見てリアパイプ13と重なるように配置されているので、シートクッションS1の後部に後席の乗員の足が当たったとしてもリアパイプ13で受け止めることができる。これにより、リアパイプ13によって後席の乗員の足が第1ダクト部材110と第2ダクト部材120との接続部に当たるのを抑制することができる。
また、ダクトDは、第2接続部C2が前後方向から見てロアフレーム24と重なるように配置されているので、シートバックS2の下部に後席の乗員の足が当たったとしてもロアフレーム24で受け止めることができる。これにより、ロアフレーム24によって後席の乗員の足が第2ダクト部材120と第3ダクト部材130との接続部に当たるのを抑制することができる。
また、リアパイプ13の前側に位置する第1接続部C1の流路断面の形状は、前後の寸法D11が左右の寸法D12よりも小さいので、第1接続部C1を前後に薄くすることができる。これにより、リアパイプ13の前側においてダクトDを前後方向にコンパクトに配置することができるので、車両用シートSが前後方向に大型化するのを抑制することができる。
また、ロアフレーム24の前側に位置する第2接続部C2の流路断面の形状は、前後の寸法D21が左右の寸法D22よりも小さいので、第2接続部C2を前後に薄くすることができる。これにより、ロアフレーム24の前側においてダクトDを前後方向にコンパクトに配置することができるので、車両用シートSが前後方向に大型化するのを抑制することができる。
また、ダクトDがU字状に湾曲した湾曲管部112を有しているので、ダクトDの剛性を向上させることができる。また、ダクトDが湾曲管部112において支持部材30の後端部を避けるように湾曲していることで、ダクトDと、リアパイプ13の下方に配置される支持部材30との干渉を抑制することができる。また、別の言い方をすれば、湾曲管部112によってダクトDと支持部材30との干渉が抑制されていることで、乗員からの荷重を受ける支持部材30の前後の寸法を確保することができるので、車両用シートSの支持の安定性や座り心地を向上させることができる。
また、第1係合部151と第2係合部152が凸部であり、第3係合部153と第4係合部154が当該凸部が係合する穴であるので、第1ダクト部材110と第2ダクト部材120を簡単な構成で接続することができる。第2ダクト部材120と第3ダクト部材130との接続、および、第1ダクト部材110と第4ダクト部材140との接続についても同様のことが言える。
また、シートクッションS1に乗員が座って、その重みでクッションパッドP1や支持部材30が下に撓んだとき、第1ダクト部材110の位置が下に下がり、第1ダクト部材110に第2ダクト部材120から抜けようとする力が作用することがあるが、この場合には、係合部151,152の当接面151A,152Aが係合部153,154の縁に引っ掛かるので、第1ダクト部材110が第2ダクト部材120から外れるのを抑制することができる。
また、シートバックS2をシートクッションS1に対して前に回動させたとき、第3ダクト部材130がシートバックS2とともに回動することで、第3ダクト部材130に第2ダクト部材120から抜けようとする力が作用することがあるが、この場合には、係合部161,162の当接面161A,162Aが、係合部163,164の縁に引っ掛かるので、第3ダクト部材130が第2ダクト部材120から外れるのを抑制することができる。
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、右側が「左右方向一方側」に相当し、左側が「左右方向他方側」に相当する。また、以下では、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、第1実施形態と異なる点について詳細に説明する。
図9に示すように、フレーム部材としてのバックフレームF2は、パイプフレーム26と、板金フレーム27,28と、架橋フレーム25と、ワイヤフレーム29とを備えている。
パイプフレーム26は、金属製のパイプを略矩形に屈曲し、下部でパイプの端同士を溶接により接続したフレームであり、略上下に延びる左右のサイドフレーム26Aと、一対の連結部としてのアッパーフレーム26Bおよびロアフレーム26Cとを有している。アッパーフレーム26Bおよびロアフレーム26Cは、左右に延びており、左右方向に直交する直交方向、具体的には、上下方向に離間して配置されている。アッパーフレーム26Bは、左右のサイドフレーム26Aの上端同士を連結しており、ロアフレーム26Cは、左右のサイドフレーム26Aの下端同士を連結している。
板金フレーム27,28は、板金からなる。板金フレーム27は、上下に長い長尺状に形成され、パイプフレーム26の右側の部分に溶接されている。右のサイドフレーム26Aと板金フレーム27は、右のバックサイドフレーム21を構成している。また、板金フレーム28は、パイプフレーム26の左側の下端部を抱持した状態でパイプフレーム26に溶接されている。左のサイドフレーム26Aと板金フレーム28は、左のバックサイドフレーム21を構成している。一対のサイド部としての左右のバックサイドフレーム21は、左右方向に離間して配置されている。
ワイヤフレーム29は、金属製のワイヤ(ロッド)を略C字形状に屈曲してなるフレームであり、左側に位置するバックサイドフレーム21に固定されている。詳しくは、ワイヤフレーム29は、上端部が左のサイドフレーム26Aの上下方向中央部付近に溶接により固定され、下端部が左のサイドフレーム26Aの下端部に溶接により固定されている。
図10(a)に示すように、ダクトDは、第1筒状部材としての第1ダクト部材110と、第2筒状部材としての第2ダクト部材120と、第3ダクト部材130と、第4ダクト部材140とを接続してなる。本実施形態において、第3ダクト部材130の第1アッパー管部132Aは、第4接続管部131の上端から略後方に向けて延びている。また、第2アッパー管部133Aは、第1アッパー管部132Aの後端から右(左右方向における車両用シートSの中央)に向けて延びてバック接続管部134につながっている。
図10(b)に示すように、第1ダクト部材110は、第1接続部C1に設けられた第1係合凸部155を有しており、第2ダクト部材120は、第1接続部C1に設けられた第1係合凹部156を有している。第1係合凸部155は、第1接続管部113の外周面から第1接続管部113の外側に向けて突出する形状の凸部であり、第1接続管部113の外周面の全周にわたって設けられている。第1係合凹部156は、第2接続管部121の内周面に形成された凹部であり、第2接続管部121の内周面の全周にわたって設けられている。第1ダクト部材110と第2ダクト部材120は、第1接続管部113を第2接続管部121の内側に挿入して、第1係合凸部155と第1係合凹部156を係合させることで接続されている。
また、図10(c)に示すように、第2ダクト部材120は、第2接続部C2に設けられた第2係合凹部166を有しており、第3ダクト部材130は、第2接続部C2に設けられた第2係合凸部165を有している。第2係合凹部166は、第3接続管部123の内周面に形成された凹部であり、第3接続管部123の内周面の全周にわたって設けられている。第2係合凸部165は、第4接続管部131の外周面から第4接続管部131の外側に向けて突出する形状の凸部であり、第4接続管部131の外周面の全周にわたって設けられている。第2ダクト部材120と第3ダクト部材130は、第4接続管部131を第3接続管部123の内側に挿入して、第2係合凸部165と第2係合凹部166を係合させることで接続されている。
なお、係合凸部と係合凹部は、係合凸部を、第2接続管部121や第3接続管部123などの外側に配置される管部の内周面に管部の内側に向けて突出する形状に設け、係合凹部を、第1接続管部113や第4接続管部131などの内側の挿入される管部の外周面に管部の内側に向けて凹む形状に設ける構成としてもよい。
図11に示すように、ダクトDは、ロア管部111が、支持部材30の下側で、中央面CPよりも左に配置されている。ロア管部111は、略前後に延びており、前端部が送風装置70に接続されている。本実施形態において、支持部材30は、左右に並ぶ複数の、具体的には、3つのワイヤ部材31を備えている。各ワイヤ部材31は、前部フレームとしてのパンフレーム12とリアパイプ13に架け渡された状態で設けられている。ダクトDの一部は、左右方向において、最も外側に配置されたワイヤ部材31よりも外側に位置している。詳しくは、ダクトDは、ロア管部111の後端部の左側部分が、左右方向において、最も左側に配置されたワイヤ部材31よりも外側に位置している。
図12に示すように、ダクトDは、湾曲管部112、第1接続部C1、第1蛇腹部122、第2接続部C2および第1アッパー管部132Aが、シートバックS2の左右方向において、中央(中央面CP)よりも左の端に寄った位置に配置されている。言い換えると、ダクトDは、上下に延びる部分が、シートバックS2の左右方向において、中央面CPよりも左の端に寄った位置に配置されている。
図13に示すように、ダクトDは、上下に延びる部分が、リアパイプ13およびロアフレーム26Cの前側を通ってシートクッションS1からシートバックS2に向かうように配置されている。詳しくは、ダクトDの上下に延びる部分は、湾曲管部112と、第1接続部C1と、第1蛇腹部122と、第2接続部C2を含む。ダクトDは、湾曲管部112の上端部と第1接続部C1がリアパイプ13の前側を通るように配置されており、第1蛇腹部122の上端部と第2接続部C2がロアフレーム26Cの前側を通るように配置されている。さらに説明すると、湾曲管部112の上端部と第1接続部C1は、前後方向において、リアパイプ13とクッションパッドP1の間に配置されており、第1蛇腹部122の上端部と第2接続部C2は、前後方向において、ロアフレーム26CとバックパッドP2の間に配置されている。
シートバックS2は、シートクッションS1に対して前後に回動可能(リクライニング可能)に構成されており、第1蛇腹部122は、シートバックS2がシートクッションS1に対して立ち上がった図13に示す着座状態で、全体として後方に凸となる弧状に湾曲している。より詳しく説明すると、本実施形態において、第1蛇腹部122は、着座状態で、上端部が前方に凸となる弧状(上側の矢印参照)に湾曲し、上端部よりも下側の部分が後方に凸となる弧状(下側の矢印参照)に湾曲していることで、略S字形状をなすように湾曲している。また、第1蛇腹部122は、その一部、具体的には、下端部が、クッションパッドP1とバックパッドP2の間に位置している。
本実施形態において、車両用シートSは、カバー部材DCを備えている。
カバー部材DCは、表皮U1,U2と同様の布地や皮革などからなり、可撓性を有している。カバー部材DCは、例えば、図10に示すように、断面視略C字形状をなすシート状の部材の向かい合う端部同士を縫い合わせて筒状とし、ダクトDに被せることでダクトDに取り付けられる。図13に戻って、カバー部材DCは、主に第1蛇腹部122と第2接続部C2を覆うように取り付けられている。カバー部材DCが第1蛇腹部122を覆っていることで、カバー部材DCは、ダクトDの、シートクッションS1とシートバックS2に跨がる部分を覆っている。
また、ダクトDは、重なり部としての第1接続部C1がリアパイプ13に接触した状態で配置されている。第1接続部C1は、第1ダクト部材110の第1接続管部113が、第2ダクト部材120の第2接続管部121の内側に挿入されて重なった部分である。ダクトDは、第1接続部C1の、第1係合凸部155および第1係合凹部156が設けられた部分よりも下側の部分が、リアパイプ13に接触している。なお、第1接続部C1は、図13に示した構成とは逆に、第2ダクト部材120の第2接続管部121が、第1ダクト部材110の第1接続管部113の内側に挿入されて重なった構成であってもよい。第2接続部C2についても同様である。
図14および図15に示すように、パッド部材としてのクッションパッドP1およびバックパッドP2は、それぞれ、ダクトDが配置される凹部としての切欠65,75を有している。
詳しくは、図14に示すように、クッションパッドP1は、クッションパッド中央部PC1と、クッションパッド中央部PC1よりも上に張り出した左右のクッションパッド側部PS1とを有している。切欠65は、クッションパッド中央部PC1の後端部の左側が切り欠かれて、後、左および上下が開放された形状を有している。切欠65には、主に、ダクトDの上下に延びる部分である第1接続部C1と湾曲管部112(図13参照)の上側部分が配置される。
また、図15に示すように、バックパッドP2は、バックパッド中央部PC2と、バックパッド中央部PC2よりも前に張り出した左右のバックパッド側部PS2とを有している。切欠75は、バックパッド中央部PC2の下端部の左側が切り欠かれて、下および前後が開放された形状を有している。図13に示すように、切欠75には、主に、ダクトDの上下に延びる部分である第1蛇腹部122の上側部分と第2接続部C2が配置される。
図14に示すように、クッションパッドP1は、上側の面に、シートクッションS1の表皮U1(図13参照)を吊り込むための吊り込み溝G1を有している。吊り込み溝G1は、前後に延びる左右一対の第1吊り込み溝G11と、一対の第1吊り込み溝G11の後端同士をつなぐ第2吊り込み溝G12と、第2吊り込み溝G12よりも前で一対の第1吊り込み溝G11同士をつなぐ第3吊り込み溝G13とを有している。第1吊り込み溝G11は、クッションパッド中央部PC1と左右のクッションパッド側部PS1との境界部にそれぞれ形成されている。ダクトDの一部は、左右方向において、左右一対の第1吊り込み溝G11よりも外側に位置している。詳しくは、ダクトDは、ロア管部111の後端部の左側部分が、左右方向において、一方の第1吊り込み溝G11、具体的には、左側に位置する第1吊り込み溝G11よりも外側に位置している。
図9に示すように、表皮部材としての表皮U2は、下が開いた略袋状に形成され、バックフレームF2とバックパッドP2に上から被せられてバックフレームF2とバックパッドP2を覆っている。表皮U2は、左右方向から見て、パイプフレーム26のアッパーフレーム26Bとロアフレーム26Cの周りを囲むように配置される。図13に示すように、表皮U2は、左右方向から見て、表皮本体510と、第1端部520と、第2端部530とを有している。
表皮本体510は、第1端部520および第2端部530を除く、表皮U2の本体部分であり、バックフレームF2とバックパッドP2の主に前側、上側および左右を覆っている。
第1端部520は、左右方向から見た、表皮U2の一方の端部である。第1端部520は、左右方向から見て、シートバックS2の乗員側である前側から、シートバックS2の乗員側とは反対側である後側に向けてバックパッドP2の下側を通って延びており、シートバックS2の後側で第2端部530の被係合部材570に留められている。
第2端部530は、左右方向から見て、第1端部520と反対の端部である。第2端部530は、シートバックS2の後側で上側から下側に向けて延びており、バックフレームF2とバックパッドP2の後側を覆っている。
図16に示すように、第1端部520は、第1舌部521と、第2舌部522と、第3舌部523と、係合部材としての第1係合部材540と、第2係合部としての第2係合部材550と、第3係合部材560とを有している。
第1舌部521は、表皮本体510の下端から、ダクトDの上下に延びる部分の右側を通って前側から後側に向けて延びる部分である。第1舌部521の自由端部521Aは、その左側の端部が、第2舌部522と交差するように、左右方向において第2舌部522の左側の縁と略同じ位置まで延びている。このため、第1舌部521は、略L字形状をなしている。
第2舌部522は、表皮本体510の下端から、ダクトDの上下に延びる部分の左側を通って前側から後側に向けて延びる帯状の部分である。表皮U2には、表皮本体510の下側の縁と、第1舌部521の左側の縁と、第2舌部522の右側の縁とによって、ダクトDの上下に延びる部分を通すための開口部511が形成されている。
第3舌部523は、第1舌部521の自由端部521Aの左側の端から、左右方向外側かつ図16に示す姿勢における斜め上方に延びるように設けられている。
第1係合部材540は、樹脂からなり、第1舌部521に設けられている。具体的には、第1係合部材540は、第1舌部521の自由端部521Aの図16に示す姿勢における前側の面に、縫い付けたり、接着したりすることで、第1舌部521に取り付けられている。第1係合部材540は、第1係合部541と、板状部542とを有している。第1係合部541は、第2端部530の被係合部材570に係合する部分であり、左右に長いフック状に形成されている。板状部542は、平らな板状の部分であり、第1係合部541の左側の端から左側に向けて延びている。
第2係合部材550は、樹脂からなり、第2舌部522に設けられている。具体的には、第2係合部材550は、第2舌部522の自由端部の図16に示す姿勢における上側の面に、縫い付けたり、接着したりすることで、第2舌部522に取り付けられている。第2係合部材550は、第2端部530の被係合部材570に係合する部分であり、フック状に形成されている。第2舌部522の第2係合部材550が取り付けられる面と、第1舌部521の第1係合部材540が取り付けられる面は、第1端部520(表皮U2)の同じ側の面である。
第3係合部材560は、樹脂からなり、第3舌部523に設けられている。具体的には、第3係合部材560は、第3舌部523の図16に示す姿勢における上端部かつ左端部の前側の面に、縫い付けたり、接着したりすることで、第3舌部523に取り付けられている。第3係合部材560は、フック状に形成されている。第3舌部523の第3係合部材560が取り付けられる面と、第1舌部521の第1係合部材540が取り付けられる面は、第1端部520(表皮U2)の同じ側の面である。
第2端部530は、被係合部としての被係合部材570を有している。被係合部材570は、樹脂からなる平らな板状の部材であり、第2端部530に設けられている。具体的には、被係合部材570は、第2端部530の自由端部531の図16に示す姿勢における前側の面に、縫い付けたり、接着したりすることで、第2端部530に取り付けられている。被係合部材570は、表皮U2よりも硬い部材である。
次に、車両用シートSの製造方法、詳しくは、表皮U2の取付方法について説明する。なお、表皮U2を取り付ける場合には、表皮U2を取り付ける前に、先にダクトDを取り付けておく。
表皮U2を取り付ける場合、まず、図9に示すように、バックフレームF2を覆うバックパッドP2に、表皮U2を上から被せる。次に、第1端部520を、バックパッドP2の下側を通してバックパッドP2の後側に配置する。詳しくは、図16に示すように、第1舌部521と第3舌部523を、ダクトDの上下に延びる部分の右側を通してバックパッドP2の後側に配置し、第2舌部522を、ダクトDの上下に延びる部分の左側を通してバックパッドP2の後側に配置する。
次に、第2舌部522に設けられた第2係合部材550を、図17に示すように、第1舌部521の左側の端部に係合する。詳しくは、第2舌部522(図16参照)を第1舌部521の自由端部521Aの左側の端部の前側を通し、第2係合部材550を自由端部521Aの左側の端部に係合する。これにより、フック状の第2係合部材550は、自由端部521Aの左側の端部と、第1係合部材540の板状部542とを挟んだ状態で、第1舌部521と板状部542の両方に係合する。
次に、第1端部520を第2端部530に留める。詳しくは、図18(a),(b)に示すように、第2端部530の自由端部531を前側に折り返して、被係合部材570と自由端部531を、第1係合部材540のフック状の第1係合部541に差し込むとともに、フック状の第2係合部材550に差し込む。
これにより、図18(a)に示すように、第1係合部541が、第1舌部521と、第2端部530の自由端部531と、被係合部材570を挟んだ状態で、第1端部520の第1舌部521が第2端部530に留められる。また、図18(b)に示すように、第2係合部材550が、第2舌部522と、第1係合部材540の板状部542と、第1舌部521と、第2端部530の自由端部531と、被係合部材570を挟んだ状態で、第1端部520の第2舌部522が第2端部530に留められる。
次に、図19に示すように、第3舌部523をバックフレームF2のワイヤフレーム29に取り付ける。詳しくは、第3舌部523を、左のバックサイドフレーム21の下部に沿って後側から左右方向外側に配置し、第3係合部材560を、左右方向外側からワイヤフレーム29の下部の略前後に延びる部分に引っ掛ける。これにより、第3舌部523がワイヤフレーム29に留められ、表皮U2がバックフレームF2に留められる。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、クッションパッドP1やバックパッドP2が、ダクトDの上下に延びる部分が配置される切欠65,75を有するので、ダクトDと、クッションパッドP1やバックパッドP2との干渉を抑制することができる。これにより、クッションパッドP1やバックパッドP2からダクトDに不必要な力が作用するのを抑制することができる。また、ダクトDをコンパクトに配置することができるので、車両用シートSが大型化するのを抑制することができる。
また、ダクトDの上下に延びる部分(湾曲管部112の上端部と第1接続部C1)が前後方向においてリアパイプ13とクッションパッドP1の間に配置されているので、リアパイプ13とクッションパッドP1によりダクトDが前後に動くのを抑制することができる。また、ダクトDの上下に延びる部分(第1蛇腹部122の上端部と第2接続部C2)が前後方向においてロアフレーム26CとバックパッドP2の間に配置されているので、ロアフレーム26CとバックパッドP2によりダクトDが前後に動くのを抑制することができる。
また、シートバックS2がシートクッションS1に対してリクライニング可能に構成され、ダクトDの上下に延びる部分が第1蛇腹部122を有し、第1蛇腹部122の一部がクッションパッドP1とバックパッドP2の間に位置しているので、シートバックS2のリクライニング動作にダクトDを追従させることができる。
また、第1蛇腹部122が着座状態で後方に凸となる弧状に湾曲しているので、シートバックS2のリクライニング動作にダクトDを良好に追従させることができる。
また、ダクトDの一部が左右方向において一対の第1吊り込み溝G11よりも外側に位置しているので、乗員が座ったときの荷重によりクッションパッドP1が下方に向けて撓んだ場合であっても、ダクトDに不必要な力が作用するのを抑制することができる。
また、ダクトDの一部が左右方向において最も外側に配置されたワイヤ部材31よりも外側に位置しているので、乗員が座ったときの荷重によりワイヤ部材31(支持部材30)が下方に向けて撓んだ場合であっても、ダクトDに不必要な力が作用するのを抑制することができる。
また、ダクトDは、第1接続部C1がリアパイプ13に接触しているが、第1接続部C1は、第1ダクト部材110の第1接続管部113と第2ダクト部材120の第2接続管部121とが重なっていることで剛性が高いため、ダクトDの、リアパイプ13に接触する部分の剛性を高くすることができる。これにより、ダクトDの一部がリアパイプ13(シートフレームF)に接触した状態で配置される構成で、ダクトDの変形を抑制することができる。
また、シートバックS2がシートクッションS1に対してリクライニング可能に構成され、車両用シートSが、ダクトDの、シートクッションS1とシートバックS2に跨がる部分を覆うカバー部材DCを備えるので、ダクトDがカバー部材DCで覆われ、シートクッションS1とシートバックS2の間から直接露出しない。これより、ダクトDを備える車両用シートSの見た目をよくすることができる。
また、表皮U2の第1端部520が、第1舌部521と、第2舌部522と、第1係合部材540と、第2係合部材550とを有するので、ダクトDと表皮U2との干渉を抑制しつつ、表皮U2の第1端部520を被係合部材570に留めることができる。
また、第1係合部材540が、第2係合部材550が係合する板状部542を有するので、第1舌部521と板状部542の両方に第2係合部材550を係合させることができる。これにより、第1舌部521と第2舌部522をしっかりと留めることができるので、第1端部520を被係合部材570にしっかりと留めることができる。
また、被係合部材570が第2端部530に設けられているので、第1端部520と第2端部530、すなわち、表皮U2の端部同士を互いに留めることができる。これにより、例えば、バックフレームF2に第1端部520を留める部分と第2端部530を留める部分をそれぞれ設ける必要がないため、バックフレームF2などを簡単な構成とすることができる。
また、表皮U2がバックフレームF2のワイヤフレーム29に留められる第3舌部523を有するので、表皮U2をバックフレームF2に留めることができる。これにより、表皮U2をしっかりと取り付けることができる。
以上に実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、図20に示す変形例では、シートバックS2(バックパッドP2)は、下部に形成された第1通気路A21と、第1通気路A21の上方で第1通気路A21とは独立して形成された(第1通気路A21とつながっていない)第2通気路A22とを有している。また、ダクトDは、第1通気路A21に接続する第1ダクト部としての第3ダクト部材130と、第3ダクト部材130から分岐して延び、第2通気路A22に接続する第2ダクト部としての第5ダクト部材180とを有している。
第3ダクト部材130は、第4接続管部131の上端から略上方に延びる分岐管部135をさらに有している。第1のバック接続管部134は、前端部がバックパッドP2の下部に形成された第1通気路A21に接続されている。
第5ダクト部材180は、略上下に延びる第3アッパー管部181と、第3アッパー管部181の上端から左斜め上方に延びる第4アッパー管部182と、第4アッパー管部182の上端から略前方に延びる第2のバック接続管部183とを有している。第3アッパー管部181は、第3ダクト部材130の分岐管部135の上端が内側に嵌るようなサイズに形成されており、下端が第3ダクト部材130の分岐管部135に接続されている。第2のバック接続管部183は、前端部がバックパッドP2の、第1通気路A21の上に形成された第2通気路A22に接続されている。
このような構成によれば、ダクトDによって送風装置70と複数の通気路A21,A22とを接続できるので、シートバックS2の座面の広範囲において空気を吹き出す構成を実現することができる。
なお、図20に示したような構成は、シートバックS2とともに、または、シートバックS2の代わりに、シートクッションS1に適用してもよい。すなわち、シートクッションS1が、第1通気路と第2通気路を有し、例えば、ダクトDをシートクッションS1の下側で分岐させて、第1通気路と第2通気路に個別に接続するようにしてもよい。これによれば、シートクッションS1の座面の広範囲において空気を吹き出す構成を実現することができる。
また、ダクトDは、前記実施形態で説明した構成に対し、左右対称の形状を有する構成であってもよい。また、ダクトDは、例えば、湾曲する部分(湾曲管部112)を備えない構成であってもよい。また、前記実施形態では、ダクトDがフレキシブル部として第1蛇腹部122を有していたが、これに限定されず、フレキシブル部は、可撓性を有するものであれば、その構成は特に問わない。また、前記実施形態では、ダクトDが複数の部品を接続してなるものであったが、これに限定されず、単一の部品からなるものであってもよい。
また、前記第1実施形態では、第1係合部151と第2係合部152が外側に突出した形状の凸部であり、第3係合部153と第4係合部154が凸部が係合する穴であったが、これに限定されない。例えば、第1係合部および第2係合部は内側に突出した形状の凸部であってもよい。また、第3係合部と第4係合部が凸部であり、第1係合部と第2係合部が穴であってもよい。また、穴は、貫通した穴ではなく、有底の穴(凹部)であってもよい。また、第1係合部と第2係合部は互いに異なる構成、例えば、一方が凸部、他方が穴であってもよい。第3係合部と第4係合部についても同様である。また、以上は、他の係合部(161~164,171~174)についても同様のことが言える。また、ダクトは接続部に係合部が設けられていない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、後部フレームとしてパイプ材からなるリアパイプ13を例示したが、これに限定されず、例えば、後部フレームは、板金からなる板状のフレームであってもよい。また、前記第1実施形態では、下部フレームとして板金からなる板状のロアフレーム24を例示したが、これに限定されず、例えば、下部フレームは、パイプ材からなるフレームであってもよい。
また、前記実施形態では、ダクトDの上下に延びる部分が、シートバックS2の左右方向において、中央よりも右または左の端に寄った位置に配置されていたが、これに限定されない。例えば、図21に示すように、ダクトDは、上下に延びる部分が、シートバックS2の左右方向において、端よりも中央(中央面CP)に近い位置に配置されていてもよい。詳しくは、ダクトDは、シートクッションS1の下で前後に延び、前端部が図示しない送風装置に接続されるロア管部110Aと、ロア管部110Aの後端から略上方に延びるリア管部120Aと、リア管部120Aの上端から前方に延びてバックパッドP2に接続されるバック接続管部130Aとを有している。ダクトDは、ロア管部110Aと、上下に延びる部分であるリア管部120Aと、バック接続管部130Aが、シートバックS2の左右方向において、端よりも中央面CPに近い位置、具体的には、中央面CPと重なる位置に配置されている。このような構成によれば、ダクトDの長さを短くすることができる。
図21に示す変形例において、リア管部120Aは、クッションフレームF1のリアパイプ13とバックフレームF2のロアフレーム26Cの前側を通ってシートクッションS1からシートバックS2に向かうように配置されている。クッションパッドP1は、後端部の左右方向中央部に、リア管部120Aが配置される切欠66を有している。また、バックパッドP2は、下端部の左右方向中央部に、リア管部120Aが配置される切欠76を有している。切欠66,76は、上下および後が開放された形状を有している。
また、前記実施形態では、ダクトDのロア管部111の一部が、左右方向において、最も外側に配置されたワイヤ部材31よりも外側に位置していたが、これに限定されず、例えば、ダクトの全体が、最も外側に配置されたワイヤ部材よりも外側に位置していてもよい。また、ダクトの全体が、最も外側に配置された2つのワイヤ部材の間に位置していてもよい。
また、前記実施形態では、ダクトDのロア管部111の一部が、左右方向において、一対の第1吊り込み溝G11よりも外側に位置していたが、これに限定されず、例えば、ダクトの全体が、前後に延びる一対の吊り込み溝よりも外側に位置していてもよい。また、ダクトの全体が、前後に延びる一対の吊り込み溝の間に位置していてもよい。
また、前記実施形態では、第1蛇腹部122の下端部(フレキシブル部の一部)がクッションパッドP1とバックパッドP2の間に位置していたが、これに限定されず、例えば、フレキシブル部の全体がクッションパッドとバックパッドの間に位置していてもよい。また、シートバックがシートクッションに対してリクライニングしない構成であれば、フレキシブル部以外の部分がクッションパッドとバックパッドの間に位置していてもよい。また、ダクトは、フレキシブル部を備えない構成であってもよい。
また、前記実施形態では、ダクトDの第1接続部C1(重なり部)がバックフレームF2のリアパイプ13に接触した状態で配置されていたが、これに限定されない。例えば、ダクトは、全体として硬質で変形しにくい構成であれば、重なり部以外の部分がフレームに接触した状態で配置されていてもよい。また、ダクトは、フレームと接触しないように、フレームから離間した状態で配置されていてもよい。
また、前記第2実施形態では、第1係合部材540(係合部材)が第1係合部541と板状部542とを有し、板状部542に第2係合部材550が係合する構成であったが、これに限定されず、例えば、係合部材は、板状部を備えない構成であってもよい。言い換えると、前記第2実施形態では、第2係合部材550(第2係合部)が第1舌部521と板状部542の両方に係合する構成であったが、第2係合部が第1舌部だけに係合する構成であってもよい。
また、前記第2実施形態では、表皮U2(表皮部材)が、ワイヤフレーム29に留められる第3舌部523を有し、バックフレームF2(フレーム部材)に留められる構成であったが、これに限定されない。例えば、表皮部材は、第3舌部を備えない構成であってもよい。すなわち、表皮部材をフレーム部材に留めない構成であってもよい。また、ワイヤフレームは、表皮部材を留めること以外に用途がないのであれば、フレーム部材がワイヤフレームを備えない構成であってもよい。
また、前記第2実施形態で説明した、表皮部材の第1端部の構成、および、表皮部材をフレーム部材のワイヤフレームに留める構成は、シートバックではなく、シートクッションに適用してもよい。この場合、クッションフレームが「フレーム部材」に相当し、第1端部は、シートクッションの乗員側である上側から、シートクッションの乗員側とは反対側である下側に向けて、例えば、クッションパッドの後側を通って延びて、シートクッションの下側で被係合部に留められる。さらに言えば、第1舌部は、ダクトの左右方向一方側を通って上側から下側に向けて延び、第2舌部は、ダクトの左右方向他方側を通って上側から下側に向けて延びる。
また、前記第2実施形態では、第1端部520が留められる被係合部材570(被係合部)が第2端部530に設けられていたが、これに限定されず、例えば、被係合部は、フレーム部材などに設けられていてもよい。言い換えると、表皮部材の第1端部は、第2端部に留められる構成ではなく、フレーム部材などに留められる構成であってもよい。
また、前記第2実施形態では、カバー部材DCが表皮U1,U2と同様の布地や皮革などからなる軟らかい部材であったが、例えば、シートバックがシートクッションに対してリクライニングしない構成であれば、カバー部材は、表皮よりも硬い部材であってもよい。また、車両用シートは、カバー部材を備えない構成であってもよい。
また、前記第2実施形態では、ダクトの上下に延びる部分が配置される凹部として切欠65,75を例示したが、これに限定されない。例えば、前記第2実施形態では、図14に示したように、クッションパッドP1の凹部(切欠65)が後、左および上下が開放された形状を有していたが、左と上下だけが開放された形状であってもよい。すなわち、クッションパッドP1の凹部は、上下方向から見て、一方向だけが開放された形状であってもよい。また、前記第2実施形態では、図15に示したように、バックパッドP2の凹部(切欠75)が下と前後が開放された形状を有していたが、下と後だけが開放された形状であってもよい。すなわち、バックパッドP2の凹部は、前側が閉じた形状であってもよい。
また、前記実施形態では、送風装置70としてシロッコファンを例示したが、これに限定されず、例えば、プロペラファンやターボファンなどであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが通気穴H1,H2から空気を吹き出すように構成されていたが、これに限定されず、例えば、通気穴から空気を吸い込むように構成されていてもよい。通気穴から空気を吸い込む構成を、図20に示した形態で適用すると、シートバックやシートクッションの座面の広範囲において空気を吸い込む構成を実現することができる。
また、送風装置は、例えば、羽根車の回転方向を切り替えることで、送風と吸引を切り替えることができるものであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが送風装置70を備えていたが、車両用シート自体は送風装置を備えない構成であってもよい。言い換えると、送風装置は、車両用シートが搭載される自動車の車体に設けられていてもよい。この場合、車両用シートは、ダクトが、例えば、車体に設けられた空気の吹出口または吸引口に接続される構成とすることができる。
また、前記実施形態では、ダクトDにより送風装置と接続される通気路が、シートクッションおよびシートバックの両方に形成されていたが、これに限定されず、シートクッションおよびシートバックのいずれか一方だけに形成された構成であってもよい。
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載されるシートであってもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。