JP7509361B2 - 炎症性腸疾患の診断を補助する方法 - Google Patents
炎症性腸疾患の診断を補助する方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7509361B2 JP7509361B2 JP2022538017A JP2022538017A JP7509361B2 JP 7509361 B2 JP7509361 B2 JP 7509361B2 JP 2022538017 A JP2022538017 A JP 2022538017A JP 2022538017 A JP2022538017 A JP 2022538017A JP 7509361 B2 JP7509361 B2 JP 7509361B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- sample
- human
- prohaptoglobin
- inflammatory bowel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/68—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
- G01N33/6893—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/543—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
- G01N33/544—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals the carrier being organic
- G01N33/545—Synthetic resin
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2470/00—Immunochemical assays or immunoassays characterised by the reaction format or reaction type
- G01N2470/04—Sandwich assay format
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2800/00—Detection or diagnosis of diseases
- G01N2800/06—Gastro-intestinal diseases
- G01N2800/065—Bowel diseases, e.g. Crohn, ulcerative colitis, IBS
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Immunology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Hematology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Pathology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
本発明は、前記した状況に鑑みなされたもので、炎症性腸疾患を特異的に判定できる炎症性腸疾患の診断を補助する方法の提供を課題とする。
「[1]被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定すること、及び前記ヒトプロハプトグロビン量を指標として、被験者が炎症性腸疾患であると判定することを含む、炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[2]前記判定が、前記ヒトプロハプトグロビン量が基準値以上の場合に、被験者が炎症性腸疾患であると判定することである、前記[1]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[3]前記測定が、下記工程(A-1)~(A-4)を含む、前記[1]又は[2]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(A-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(A-2)前記工程(A-1)で得られた試料からヒトプロハプトグロビンを分離する工程、
(A-3)前記工程(A-2)で得られたヒトプロハプトグロビンと前記抗体1とを接触させて、ヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(A-4)前記工程(A-3)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[4]前記工程(A-2)を電気泳動法で行う、前記[3]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[5]前記測定が、下記工程(B-1)~(B-4)を含む、前記[1]又は[2]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(B-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(B-2)前記工程(B-1)で得られた試料と前記抗体1とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(B-3)前記工程(B-2)で得られた複合体を分離する工程、
(B-4)前記工程(B-3)で分離した複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[6]前記工程(B-3)を電気泳動法で行う、前記[5]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[7]前記測定が、下記工程(C-1)~(C-3)を含む、前記[1]又は[2]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[8]前記抗体1と前記抗体2のいずれか一方が不溶性担体に固定化されており、他方が標識物質で標識されている、前記[7]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[9]前記測定が、下記工程(D-1)~(D-4)を含む、前記[1]又は[2]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(D-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(D-2)前記工程(D-1)で得られた試料と、前記抗体1と、前記抗体1とは認識するエピトープが異なる、ヒトプロハプトグロビンのα鎖を認識する抗体である抗体1-2と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のプロハプトグロビンと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を形成させる工程、
(D-3)前記(D-2)で得られたプロハプトグロビンと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を分離する工程、
(D-4)前記工程(D-3)で分離した複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[10]前記工程(D-3)をキャピラリー電気泳動で行う、前記[9]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[11]被験者由来試料が血清、血漿、又は全血である、前記[1]~[10]の何れか一つに記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
[12]被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定することを特徴とする、炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[13]配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1及び還元剤を含む、炎症性腸疾患の診断補助用検査キット。
[14]ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2を更に含んでなる、前記[13]に記載の診断補助用検査キット。
[15]前記抗体1とは認識するエピトープが異なる、ヒトプロハプトグロビンのα鎖を認識する抗体である抗体1-2を更に含んでなる、前記[14]に記載の診断補助用検査キット。
[16]被験者由来試料中のヒトプロハプトグロビンの量を測定する測定部を有する、炎症性腸疾患診断補助用装置。
[17]更に測定部における測定で得られた測定値が基準値以上か否かを判定する判定部を有する、前記[16]に記載の炎症性腸疾患診断補助用装置。
[18]更に、前記ヒトプロハプトグロビン量が基準値以上であるか否かを決定することを含む、前記[12]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[19]前記測定が、下記工程(A-1)~(A-4)を含む、前記[12]又は[18]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法:
(A-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(A-2)前記工程(A-1)で得られた試料からヒトプロハプトグロビンを分離する工程、
(A-3)前記工程(A-2)で得られたヒトプロハプトグロビンと前記抗体1とを接触させて、ヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(A-4)前記工程(A-3)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[20]前記工程(A-2)を電気泳動法で行う、前記[19]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[21]前記測定が、下記工程(B-1)~(B-4)を含む、前記[12]又は[18]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法:
(B-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(B-2)前記工程(B-1)で得られた試料と前記抗体1とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(B-3)前記工程(B-2)で得られた複合体を分離する工程、
(B-4)前記工程(B-3)で分離した複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[22]前記工程(B-3)を電気泳動法で行う、前記[21]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[23]前記測定が、下記工程(C-1)~(C-3)を含む、前記[12]又は[18]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法:
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[24]前記抗体1と前記抗体2のいずれか一方が不溶性担体に固定化されており、他方が標識物質で標識されている、前記[23]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[25]前記測定が、下記工程(D-1)~(D-4)を含む、前記[12]又は[18]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法:
(D-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(D-2)前記工程(D-1)で得られた試料と、前記抗体1と、前記抗体1とは認識するエピトープが異なる、ヒトプロハプトグロビンのα鎖を認識する抗体である抗体1-2と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のプロハプトグロビンと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を形成させる工程、
(D-3)前記(D-2)で得られたプロハプトグロビンと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を分離する工程、
(D-4)前記工程(D-3)で分離した複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。
[26]前記工程(D-3)をキャピラリー電気泳動で行う、前記[25]に記載の炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法。
[27]被験者由来試料が血清、血漿、又は全血である、前記[12]又は[18]~[26]の何れか一つに記載の炎症性腸疾患診断を補助するためのデータを得る方法。
また、前記方法は、すべてin vitroで実施される。
本発明にかかる炎症性腸疾患とは、一般に炎症性腸疾患として分類される潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む。好ましくは潰瘍性大腸炎およびクローン病である。
プロハプトグロビン(proHaptglobin)は、α鎖及とβ鎖の二つのサブユニットが結合したヘテロダイマーで、ハプトグロビンの前駆体である。プロハプトグロビンは、complement C1r subcomponent-like protein(C1RL)のセリンプロテアーゼ活性によりα鎖とβ鎖に切断され、両鎖がジスルフィド結合を介して連結したハプトグロビンとなる。本発明に係るプロハプトグロビンは、ヒト由来のヒトプロハプトグロビンを指す。
本発明に係るヒトプロハプトグロビンを、以下「proHpt」と略記する。
本発明の炎症性腸疾患の診断を補助する方法は、
「被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のproHpt量を測定すること、及び前記proHpt量を指標として、被験者が炎症性腸疾患であると判定することを含む、炎症性腸疾患の診断を補助する方法。」
である。
本発明において、試料中のproHpt量を測定するために用いられる試料としては、被験者であるヒト由来の、血清、血漿、血液(全血)、膵液、唾液、リンパ液、髄液等の体液、大腸及び小腸等の腸組織、該組織の抽出液,該組織の組織切片、該組織の洗浄液、あるいはこれらから調製されたもの等が挙げられる。中でも、血清、血漿、又は血液(全血)が好ましい。血清又は血漿がより好ましく、血清が特に好ましい。
本発明の炎症性腸疾患の診断を補助する方法においては、炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得るためにproHpt量を測定するが、該工程に係るproHpt量の測定方法は、「被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて被験者由来試料中のproHpt量を測定する方法」である。
前記したように、Hptはα鎖とβ鎖がジスルフィド結合を介して連結している。そこで、Hptを還元処理してHptのα鎖とβ鎖を連結しているジスルフィド結合を切断すると、Hptはα鎖とβ鎖に解離する。一方、proHptのα鎖とβ鎖は還元処理しても解離しない。
ジチオストイトール(DTT)、2―メルカプトエタノール、又は3-メルカプト-1,2-プロパンジオールが好ましい。
本発明に係るproHptの測定方法に用いられる「配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体」を、以下、「本発明に係る抗体1」、又は単に「抗体1」と略記する。
Hptのα2鎖のアミノ酸配列は、記配列番号3で表される。そして配列番号1で表されるアミノ酸配列を、そのN末端から51番目~56番目、及び110番目~115番目の二ヶ所に有する。
すなわち、Hptのα鎖も配列番号1のアミノ酸配列を持つ。従って、本発明に係る抗体1として、Hptのα鎖の配列番号1の領域に結合する抗体も用いることができる。
選択されたハイブリドーマを培養し、培養上清を採取する。その培養上清を通常のELISA法、間接免疫蛍光法や、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後にポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜を用いるウェスタンブロット免疫染色法等に供して、proHptを特異的に認識し、且つ配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体を産生する細胞(ハイブリドーマ)を選択する。
本発明の炎症性腸疾患の診断を補助する方法において、該方法に用いられるデータを得るためにproHpt量を測定する工程は、抗体1を用いて還元処理した試料中のproHpt量を測定すればよい。その測定方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、簡易イムノクロマトグラフィーによる測定法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、キャピラリーチップ電気泳動法、質量分析法、免疫比ろう法、免疫比濁法等の免疫凝集法に準じた測定法、イムノブロット法等が挙げられる。
(A-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(A-2)前記工程(A-1)で得られた試料からproHptを分離する工程、
(A-3)前記工程(A-2)で得られたproHptと前記抗体1とを接触させて、proHptと抗体1との複合体を形成させる工程、
(A-4)前記工程(A-3)で得られた複合体の量を測定することにより、proHpt量を測定する工程。
(B-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(B-2)前記工程(B-1)で得られた試料と前記抗体1とを接触させて、前記試料中のproHptと抗体1との複合体を形成させる工程、
(B-3)前記工程(B-2)で得られた複合体を分離する工程、
(B-4)前記工程(B-3)で分離した複合体の量を測定することにより、proHpt量を測定する工程。
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、proHptのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のproHptと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、proHpt量を測定する工程。
前記方法Aの具体的な方法としては、例えばウエスタンブロッティング法による方法がある。
次いで、還元処理した試料を、定法に従ってSDS-PAGE,等電点電気泳動,二次元電気泳動等の電気泳動に付して、proHptを試料中の他の蛋白質と分離した後、ゲル中のproHptをウエスタンブロッティングの常法に従い、PVDF膜(Polyvinylidene Difluoride)やニトロセルロース膜等のブロット膜に移動(ブロッティング)および固定化する。転写方法としては、電気転写等の方法が挙げられる。
転写後のブロット膜を本発明に係る抗体1(一次抗体)を含有する溶液に含侵させて、ブロット膜上のproHptと抗体1とを反応させ、proHptと抗体1との複合体を形成させる。次いで測定可能な標識物質で標識された標識抗体(標識二次抗体)を含有する溶液に含侵させて反応させることにより、ブロット膜上にproHptと抗体1と標識二次抗体との複合体を形成させる。次いで、標識抗体の標識物質に応じて適当な発色基質を反応させて、泳動画分を検出する。泳動画分の泳動位置から、分子量 57kDaの画分をproHptの分離画分と決定し、その画分の標識物質に由来する量又は蛋白量を測定し、被験者由来試料中のproHpt量とする。
前記方法Bの具体的な方法としては、例えばウエスタンブロッティング法又はELISA法による方法がある。
方法Bをウエスタンブロッティング法により実施する方法を例にとり、以下に説明する。
次いで、得られた試料について、定法に従ってSDS-PAGE、等電点電気泳動、二次元電気泳動等の電気泳動に付して、該複合体を試料中の他の蛋白質と分離する。次いでゲル中の該複合体を、ウエスタンブロッティングの常法に従い、PVDF膜(Polyvinylidene Difluoride)やニトロセルロース膜等のブロット膜に移動(ブロッティング)および固定化する。
転写後のブロット膜を、測定可能な標識物質で標識された標識抗体(標識二次抗体)を含有する溶液に含侵させて反応させることにより、ブロット膜上にproHptと抗体1と標識二次抗体との複合体を形成させる。次いで、標識抗体の標識物質に応じた適当な発色基質を反応させて、泳動画分を検出する。泳動画分の泳動位置から、分子量 57kDaの画分をproHptの分離画分と決定し、その画分の標識物質に由来する量又は蛋白量を測定し、被験者由来試料中のproHpt量とする。
また該標識物質の標識方法及び該標識の測定方法等の具体例及び好ましい例も同様である。標識物質を検出するために、ウエスタンブロッティング用の市販の発光試薬(ImmunoStar Zeta、富士フイルム和光純薬(株)製)等を用いてもよい。
被験者由来試料を、20w/v% 2-メルカプトエタノールを含有する緩衝液及び精製水と混合することにより還元処理する。次いで、得られた試料を、定法に従ってSDS-PAGEに付す。得られた泳動ゲルを、ウエスタンブロッティングの常法に従い、PVDF膜(Polyvinylidene Difluoride)やニトロセルロース膜等のブロット膜にブロッティングおよび固定化する。
転写後のブロット膜を本発明に係る抗体1(例えば10-7G2A)を含有する緩衝液液に含侵させる。次いでペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体を含有する溶液に含侵させる。次いで、反応後のブロット膜をPBS-T等の緩衝液で洗浄後、ImmunoStar Zeta(富士フイルム和光純薬(株)製)等のペルオキシダーゼ発光基質を含有する溶液に浸漬させて、発色させる。発色後のブロット膜を精製水等で洗浄して、反応を停止させる。各画分の発光シグナル値を検出することにより、proHptに相当する分子量 57kDaの画分をproHpt画分と決定する。その画分の標識物質に由来する量を測定する。別に、濃度既知のproHptを含有する試料を用いて同様の測定を行う。被験者由来試料を用いた測定で得られた標識物質に由来する量の、濃度既知のproHptを含有する試料を用いて同様の測定を行って得られた標識物質に由来する量に対する比率を、被験者由来試料中のproHptの量とする。
前記方法Cの具体的な方法としては、例えば本発明に係る抗体1と、proHptのβ鎖に結合する抗体(抗体2)を用いた免疫学的測定方法が挙げられる。
還元処理した試料を、本発明に係る抗体1及びproHptのβ鎖に結合する抗体と接触させて、抗体1とproHptとproHptのβ鎖に結合する抗体との複合体を形成させる。得られた当該複合体の量を測定する。以上の方法により、proHptを特異的に測定することができる。
該抗体を、以下、「本発明に係る抗体2」、又は単に「抗体2」と記載する。
市販のβ鎖サブユニットのリコンビナント品を用いてもよい。例えばRecombinant Human Haptoglobulin beta protein (ab63120)(Abcam plc.製)が挙げられる。
方法Cにおいて、サンドイッチ法による測定方法としては、被験者由来試料と該抗体1と該抗体2とを接触させて、proHptと該抗体1と該抗体2との複合体を形成させ、当該複合体の量を測定する方法が挙げられる。
また、発色反応を停止させるには、例えば反応液に1~6Nの塩酸等の酵素活性阻害剤を添加する等、通常この分野で行われている反応停止方法を利用すればよい。
還元処理した試料を本発明に係る抗体1と反応させると、抗体1はproHptのα鎖に結合する。次いで、proHptのβ鎖を認識する抗体(本発明に係る抗体2)を標識物質で標識した標識抗体2を反応させると標識抗体2はproHptのβ鎖に結合する。そこで、得られた抗体1-proHpt-標識抗体2の複合体の量を測定することにより、被検試料中のproHpt量を得ることができる。
次いで、還元処理した被験者由来試料を、本発明に係る抗体1(例えば10-7G2A)を固定化した不溶性担体(本発明に係る抗体1を0.1ng~0.1mg含有)と接触させ、4~40℃で3分~20時間反応させて不溶性担体上に、本発明に係る抗体1とproHptの複合体、及び本発明に係る抗体1と還元処理で解離したHptのα鎖の複合体を生成させる。次に、通常の洗浄処理を行うと、還元処理で解離したHptのβ鎖は除去される。その後、PODで標識した抗体2を含有する溶液10~100μL(抗体2を0.01ng~0.1mg含有)と4~40℃で3分~20時間反応させて、抗体1-proHpt―標識抗体2の複合体を不溶性担体上に生成させる。続いて、TMBZ溶液等の発色液を添加した後、一定時間反応させ、1N HCl等の反応停止液を加えて反応を停止させ、波長450nmの吸光度を測定する。
一方、濃度既知のproHptについて前記と同じ試薬を用い同様の操作を行って測定値と濃度の検量線を作成する。前記測定で得られた測定値を、当該検量線にあてはめることにより、proHptの量を求める。
又は、濃度既知のproHptについて前記と同じ試料を用い同様の操作を行って、同様に吸光度を測定する。被験者由来試料を用いて得られた吸光度の、濃度既知のproHptを用いて得られた吸光度に対する比率を求め、この値を被験者由来試料中のproHpt濃度の相対値(relative unit)としてもよい。
キャピラリー電気泳動法を利用した、方法CによるproHpt量の測定法について、以下に説明する。
キャピラリー電気泳動法又はキャピラリーチップ電気泳動法でproHptを測定するには、前記した方法で還元処理した被験者由来試料を用い、例えばJ.Chromatogr. 593 253-258 (1992)、Anal.Chem. 64 1926-1932 (1992)、WO2007/027495等に記載の方法に準じて行えばよい。
即ち、被験者由来試料を前記した方法により還元処理して、試料中のHptをα鎖とβ鎖に解離させる。
次いで、還元処理した試料と、標識物質で標識した本発明に係る抗体1と、proHptのβ鎖を認識する抗体(抗体2)とを混合し、25~40℃保温下に5~30分、好ましくは10秒~15分反応させる。該反応により、proHptと標識抗体1との複合体、還元処理で生じたHptのα鎖と抗体1との複合体2、及び還元処理で生じたHptのβ鎖と抗体2との複合体3が生じる。その後、生じた複合体1と、複合体2及び複合体3を、例えばキャピラリーチップ電気泳動により分離し、例えば蛍光検出器等により標識物質に由来する量を測定する。得られた複合体1由来の測定値を、濃度既知のproHpt溶液を使用して予め作成しておいたproHpt濃度と該測定値との関係を表す検量線に当てはめることにより、試料中のproHpt濃度を求めることができる。
方法D:下記工程(D-1)~(D-4)を含む方法:
(D-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(D-2)前記工程(D-1)で得られた試料と、前記抗体1と、前記抗体1とは認識するエピトープが異なる、proHptのα鎖を認識する抗体である抗体1-2と、proHptのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、proHptと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を形成させる工程、
(D-3)前記(D-2)で得られたproHptと抗体1と抗体1-2と抗体2との複合体を分離する工程、
(D-4)前記工程(D-3)で分離した複合体の量を測定することにより、proHpt量を測定する工程。
即ち、被験者由来試料を前記した方法により還元処理して、試料中のHptをα鎖とβ鎖に解離させる。
次いで、還元処理した試料と、標識物質で標識した抗体1と、proHptのβ鎖を認識する抗体(抗体2)と、proHptのα鎖を認識する抗体(抗体1-2)を混合し、25~40℃保温下に5~30分、好ましくは10秒~15分反応させる。該反応により、proHptと標識抗体1と抗体2と抗体1-2との複合体、還元処理で生じたHptのα鎖(α1、α2)と標識抗体1と抗体1-2の複合体2、及び還元処理で生じたHptのβ鎖と標識抗体2の複合体3、が生じる。その後、得られた反応溶液を、例えばキャピラリーチップ電気泳動により複合体1と、複合体2及び複合体3とを分離し、例えば蛍光検出器等により標識物質に由来する量を測定する。得られた複合体1由来の測定値を、濃度既知のproHpt溶液を使用して予め作成しておいたproHpt濃度と該測定値との関係を表す検量線に当てはめることにより、被験者由来試料中のproHpt濃度を求めることができる。
また、キャピラリー電気泳動及びキャピラリーチップ電気泳動の具体的な実施方法及びそれに用いられる本発明に係る抗体1-2以外の試薬等の詳細は、前記した[方法C]において説明した通りである。
本発明の炎症性腸疾患の診断を補助する方法は、被験者由来試料中のproHpt量を、前記した「2.proHptの測定方法]に記載された測定方法により測定することにより、その測定結果に基づいて判定するという、炎症性腸疾患の診断を補助する方法である。
一方、本発明の炎症性腸疾患の判定方法により被験者である患者が炎症性腸疾患に罹患していない可能性がある又はその可能性が低いと判定された場合には、前記侵襲的検査は行わずに、必要に応じて経過観察を行うという治療方針を選択することができる。
本発明の炎症性腸疾患の診断を補助するためのキット(以下、「本発明のキット」と略記する場合がある。)は、「「配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体(本発明に係る抗体1)及び還元剤」を構成試薬として含むものである。
本発明に係る炎症性腸疾患の診断補助用装置(以下、「本発明に係る補助用装置」と略記する。)は、少なくとも(1)測定部を備えている。更に、(2)判定部、(3)出力部及び(4)入力部の一つ以上を備えていてもよい。
尚、要すれば、測定部では、測定された測定値に基づいて、前記本発明のバイオマーカーの量を算出するように構成されていてもよい。
又は、本発明に係る補助用装置における判定部は、測定部にて得られた被験者由来試料中のproHptの量を測定する測定部、及び前記proHptの量を指標として、被験者が炎症性腸疾患に罹患しているかを判定するように構成されている。
例えば、測定部にて測定された測定値を、あらかじめ設定された基準値(カットオフ値)と比較して、該基準値以上であるか、又は該基準値未満であるかを判定するように構成されていてもよい。
本発明に係る炎症性腸疾患を治療する方法(以下、「本発明に係る治療方法」と略記する。)は、被験者由来試料中の本発明のバイオマーカーの量を測定し、得られた測定結果に基づいて被験者が炎症性腸疾患に罹患しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて炎症性腸疾患に罹患しているおそれがある又は炎症性腸疾患に罹患しているおそれが高いと判定された患者に適切な治療を施すことによりなされる。
尚、本発明に係る治療方法における被験者由来試料、マーカー、測定、判定等については、前記<3.炎症性腸疾患の診断を補助する方法>の項で説明した通りであり、その好ましい例、具体例等も同じである。
(1)精製proHptの調製
1)proHptのプラスミド構築
ヒトハプトグロビン 遺伝子型2 (Hpt2)を含むpcDNA3.1-Hyg (+) vector (Invitrogen, Carlsbad, USA)を、公知の方法(Narisada M, Kawamoto S, Kuwamoto K, Moriwaki K, Nakagawa T, Matsumoto H, et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2008;377:792-6.)に従い、以下の方法で調製した。
ヒトハプトグロビン発現ベクターを構築するために、ヒトハプトグロビン 遺伝子型2 (Hpt2)の塩基配列の161番アミノ酸のアルギニンをグルタミンに置換したアミノ酸配列をコードするDNA配列を設計し、合成した。なお、161番アミノ酸のアルギニンは、C1RLにより切断される部分である。
得られたDNA配列を鋳型として用い、以下の条件で、PCRを行った。
Rプライマー:GGCATCCAGGTGTCCACCCAGGATCTGCTGCACTGGGTTTGCC(配列番号5)
98℃、10秒で初期熱変性の後、98℃で10秒→50℃で2分→68℃で8分を1サイクル行った後、以下の条件で30サイクルPCRを行った。
熱変性:98℃、10秒
アニーリング:50℃、15秒
伸長反応:68℃、8分
得られたベクターが上記アミノ酸が置換されたHpt2のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むことを、シーケンシング分析で確認した。
HEK293T (ヒト胎児腎由来)はAmerican Type Culture Collection (ATCC, Manassas, VA)から入手した。HEK 293Tは、10% fetal bovine serum (非動化処理、HyClone, Logan, UT), 100 U/mL penicillin,及び100 μg/mL streptomycin(Nacalai Tesque Inc)を添加した高グルコース DMEM培地(ナカライテスク(株)製)で、湿分含有大気中、37 ℃、5 % CO2、95%空気の条件下に培養した。
培養後、HEK293T細胞を、上記「1)proHptのプラスミド構築」で得られたアミノ酸変異Hpt2遺伝子を含む発現ベクターpcDNA3.1-Hyg (+)で遺伝子導入した。24時間培養後、培地にハイグロマイシンB(富士フィルム和光純薬(株)製)を添加し、形質導入した細胞を2~3週間培養し、proHpt過剰安定発現形質導入体を得た。
ProHpt生産物を proHpt過剰発現proHpt産物を含有するHEK293T細胞の培養上清からproHpt産物を回収し、10-7G2A (本発明者等の特許出願:PCT/JP2020/020669) を結合した担体を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーで精製した。精製したproHptの濃度はNano Drop 1000 spectrophotometer (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を用いて測定した。
潰瘍性大腸炎患者(n=45)、クローン病患者(n=20)、大腸癌患者(n=20)、及び健常人(n=20)の血清 0.25μL、試料用緩衝液1(0.2 M Tris-HCl pH 6.8, 8 w/v% SDS, 40 w/v % グリセロール, 0.02 w/v % BPB, 20 w/v % 2-メルカプトエタノール) 5μL、精製水14.75 μLを混合したものを試料とした。
前記(1)で調製した精製proHpt 1μL(proHptとして7.4 μg)、試料用緩衝液1 5μL、精製水14.0 μLを混合したものをポジティブコントロールとした。
前記(2)で調製した試料20 μLについて、7.5 %ポリアクリルアミドゲル(富士フイルム和光純薬(株)製)を用いたSDS-PAGE (7.5% gel)を行った。得られた泳動ゲルを、Bio-Rad社のブロッティングシステムを用いて、セミドライでPVDF膜にプロトコールに従いブロッティングした。転写したPVDF膜を、5 %スキムミルク (0.05 % TBS-T, 室温)を用いて1時間室温でブロッキング処理した。次いで、10-7G2A(5% スキムミルクで7500倍希釈)を4℃で一晩反応させた。反応後のPVDF膜を0.05 % TBS-Tで3回洗浄後、5%スキムミルク、10000倍希釈した二次抗体(西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(プロメガ社製))をりん酸緩衝液で200倍希釈した液に浸漬し、室温で1時間反応させた。反応後のPVDF膜をPBS-Tで3回洗浄後、ImmnunoStar Zeta(化学発光試薬、富士フイルム和光純薬(株)製)を含有する溶液に5分間浸漬させて、発色させた。発色後、精製水でPVDF膜を洗浄して反応を停止させた
各画分の発光シグナル値をImageQuant LAS-4000(GEヘルスケア・ジャパン(株)製)を用いて発光シグナルをそれぞれ検出した。
ポジティブコントロールを用いて同様に処理し、発光シグナルを検出した。
また、ポジティブコントロール画分の精製proHptの画分の発光シグナル値を、ポジティブコントロールの発光シグナル値とした。
被験者由来試料を用いた前記測定で得られたproHpt画分の発光シグナル値の、前記測定で得られたポジティブコントロール画分の発光シグナル値に対する比率を求めた(ProHpt(%))。
有意差検定は、予測分析ソフトウェアであるJMP pro 14を用い、Wilcoxon検定により行った、すべてのペアのノンパラメトリックな比較を表す。
(4)結果
得られた結果を図1に示す。
また、測定結果を表1に示す。
以上の結果から、10-7G2Aを用い、proHpt量を指標として本発明の判定方法を実施することにより、炎症性腸疾患を健常人や大腸癌と識別することができる。
比較例1.市販のゾヌリンキットを用いたproHpt量の測定
(1)10-7G2Aを用いたproHptの測定(実施例2)
Hptの表現型がHpt2-1もしくはHpt2-2である潰瘍性大腸炎患者(n=59)の血清を用い、実施例1と同じ方法で、血清中のproHpt量を測定した。
抗ゾヌリン抗体を含む市販のHuman zonulin ELISA kit(CUSABIO TECHNOLOGY LLC製)により、上記「(1)本発明によるproHptの測定」で用いた潰瘍性大腸炎患者の血清を用いて、キットに添付のプロトコルに従い、ゾヌリン(プロハプトグロビンの別名)の測定を行った。
市販のゾヌリン測定キットを用いたproHptの測定で得られた測定値(ng/mL)を横軸に、本発明によるproHptの測定で得られた測定値(%)を縦軸にとったグラフを図2に示す。
図2から明らかな通り、市販のゾヌリン測定キットを用いて潰瘍性大腸炎患者の血清中のproHpt量を測定することはできなかった(測定値は全て感度以下)が、同じ試料を用い、本発明に係る10-7G2Aを用いた測定では、proHpt量を測定することができた。
以上のことから、本発明に係るproHptの測定方法によれば、proHptを測定することができることがわかる。
一方、市販のゾヌリン測定キットを用いても、潰瘍性大腸炎患者のproHpt量を測定することができないので、潰瘍性大腸炎の判定が行えないことがわかる。
(1)試料及び試薬類の調製
1)試料
潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者、大腸癌患者、及び健常人の血清 0.25μL、試料用緩衝液1(0.2 M Tris-HCl pH 6.8, 8 w/v% SDS, 40 w/v % グリセロール, 0.02 w/v % BPB, 20 w/v % 2-メルカプトエタノール) 5μL、精製水14.75 μLを混合したものを試料とした。
10-7G2A抗体(本発明に係る抗体1)をポリスチレンビーズ1個に0.6 μgを固相した後、BSAやカゼインでブロッキングし抗体ビーズを得た。
測定には自動化学発光酵素免疫分析装置SphereLight Wakoを使用し、以下の方法で測定した。
10-7G2A抗体の抗体ビーズ1個が入った反応槽に試料10 μLと2% BSAを含むMOPS緩衝液130 μLを加え、37 ℃約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄する。次に酵素標識抗体液を140 μL加え37℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄する。更に、基質液70 μLと過酸化水素液70 μLを加え、発光量を測定した。
一方、実施例1(1)で調製した精製proHptを用い2%BSAを含むMOPS緩衝液で0、0.05、0.1、0.5、1、5、10 μg/mLに希釈して、上記方法と同様に測定し検量線を作成する。当該検量線に上記測定結果を当てはめ試料中のproHpt濃度を算出した。
(3)結果
実施例1と同様に、proHpt量は、炎症性腸疾患患者(潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者)の場合は健常者及び大腸癌患者の場合と比較して、有意に高くなった。また、潰瘍性大腸炎の場合に、健常者及び大腸癌患者に対してより有意に高くなった。
以上の結果から、本発明に係る抗体1と抗体2を用い、proHpt量を指標として本発明の判定方法を実施することにより、炎症性腸疾患を健常人や大腸癌と識別することができることが明らかとなった。
Claims (16)
- 被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定することを含み、前記ヒトプロハプトグロビン量を指標とする、、炎症性腸疾患の診断を補助する方法であって、
前記還元処理が、前記被験者由来試料中のヒトハプトグロビンのα鎖とβ鎖を連結しているジスルフィド結合を切断する処理である、方法。 - 前記測定が、下記工程(A-1)~(A-4)を含む、請求項1に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(A-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(A-2)前記工程(A-1)で得られた試料からヒトプロハプトグロビンを分離する工程、
(A-3)前記工程(A-2)で得られたヒトプロハプトグロビンと前記抗体1とを接触させて、ヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(A-4)前記工程(A-3)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。 - 前記工程(A-2)を電気泳動法で行う、請求項2に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 前記測定が、下記工程(B-1)~(B-4)を含む、請求項1に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(B-1)被験者由来試料を還元処理する工程
(B-2)前記工程(B-1)で得られた試料と前記抗体1とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1との複合体を形成させる工程、
(B-3)前記工程(B-2)で得られた複合体を分離する工程、
(B-4)前記工程(B-3)で分離した複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。 - 前記工程(B-3)を電気泳動法で行う、請求項4に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 前記測定が、下記工程(C-1)~(C-3)を含む、請求項1に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法:
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。 - 前記抗体1と前記抗体2のいずれか一方が不溶性担体に固定化されており、他方が標識物質で標識されている、請求項6に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定することを含み、前記ヒトプロハプトグロビン量を指標とする、炎症性腸疾患の診断を補助する方法であって、下記工程(C-1)~(C-3)を含む方法;
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。 - 前記(C-1)の還元処理が、前記被験者由来試料中のヒトハプトグロビンのα鎖とβ鎖を連結しているジスルフィド結合を切断する処理である、請求項8に記載の方法。
- 前記抗体1と前記抗体2のいずれか一方が不溶性担体に固定化されており、他方が標識物質で標識されている、請求項8又は9に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 前記ヒトプロハプトグロビン量が基準値以上の場合に、被験者が炎症性腸疾患であると判定する、請求項1~10のいずれか1項に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 被験者由来試料が血清、血漿、又は全血である、請求項1~11のいずれか1項に記載の炎症性腸疾患の診断を補助する方法。
- 被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定することを含み、前記ヒトプロハプトグロビン量を指標とする、炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法であって、
前記還元処理が、前記被験者由来試料中のヒトハプトグロビンのα鎖とβ鎖を連結しているジスルフィド結合を切断する処理である、方法。 - 被験者由来試料を還元処理した後、配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1を用いて前記試料中のヒトプロハプトグロビン量を測定することを含み、前記ヒトプロハプトグロビン量を指標とする、炎症性腸疾患の診断を補助するためのデータを得る方法であって、下記工程(C-1)~(C-3)を含む方法;
(C-1)被験者由来試料を還元処理する工程、
(C-2)前記工程(C-1)で得られた試料と、前記抗体1と、ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2とを接触させて、前記試料中のヒトプロハプトグロビンと抗体1と抗体2との複合体を形成させる工程、
(C-3)前記工程(C-2)で得られた複合体の量を測定することにより、ヒトプロハプトグロビン量を測定する工程。 - 配列番号1で表されるアミノ酸配列に特異的に結合する抗体である抗体1及び還元剤を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法に用いる、炎症性腸疾患の診断補助用検査キット。
- ヒトプロハプトグロビンのβ鎖を認識する抗体である抗体2を更に含んでなる、請求項15に記載の診断補助用検査キット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020124881 | 2020-07-22 | ||
JP2020124881 | 2020-07-22 | ||
PCT/JP2021/027099 WO2022019298A1 (ja) | 2020-07-22 | 2021-07-20 | 炎症性腸疾患の診断を補助する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2022019298A1 JPWO2022019298A1 (ja) | 2022-01-27 |
JP7509361B2 true JP7509361B2 (ja) | 2024-07-02 |
Family
ID=79729607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022538017A Active JP7509361B2 (ja) | 2020-07-22 | 2021-07-20 | 炎症性腸疾患の診断を補助する方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20230228769A1 (ja) |
EP (1) | EP4187246A4 (ja) |
JP (1) | JP7509361B2 (ja) |
WO (1) | WO2022019298A1 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008507704A (ja) | 2004-07-23 | 2008-03-13 | アスペンビオ, ファーマ, インコーポレイテッド | 虫垂炎を診断するための方法およびデバイス |
JP2012507723A (ja) | 2008-11-03 | 2012-03-29 | シェーリング コーポレイション | 炎症性腸疾患生物マーカーおよび関連治療方法 |
JP2012529508A (ja) | 2009-06-10 | 2012-11-22 | ユニバーシティ オブ メリーランド,ボルチモア | 腸透過性のegfrおよびpar2調節 |
WO2017204295A1 (ja) | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 和光純薬工業株式会社 | 消化器癌の判定方法 |
WO2020241617A1 (ja) | 2019-05-29 | 2020-12-03 | 富士フイルム和光純薬株式会社 | 抗ヒトハプトグロビン抗体、及びこれを用いた炎症性腸疾患の判定方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS531372B2 (ja) | 1972-04-03 | 1978-01-18 | ||
JP3070418B2 (ja) | 1993-11-16 | 2000-07-31 | 和光純薬工業株式会社 | 糖蛋白質の分別測定法 |
DE602006011756D1 (de) | 2005-09-02 | 2010-03-04 | Wako Pure Chem Ind Ltd | Komplexformierungs- und -trennungsverfahren |
US7723045B2 (en) | 2006-02-10 | 2010-05-25 | The Regents Of The University Of California | Assays to predict atherosclerosis and dysfunctional high-density lipoprotein |
WO2009062022A1 (en) * | 2007-11-07 | 2009-05-14 | Alba Therapeutics Corporation | Methods and compositions for the diagnosis of crohn's disease |
KR101582416B1 (ko) * | 2014-06-30 | 2016-01-06 | 가톨릭대학교 산학협력단 | 프로합토글로빈을 이용한 간암 진단방법 |
-
2021
- 2021-07-20 JP JP2022538017A patent/JP7509361B2/ja active Active
- 2021-07-20 EP EP21847073.0A patent/EP4187246A4/en active Pending
- 2021-07-20 WO PCT/JP2021/027099 patent/WO2022019298A1/ja unknown
-
2023
- 2023-01-20 US US18/157,250 patent/US20230228769A1/en active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008507704A (ja) | 2004-07-23 | 2008-03-13 | アスペンビオ, ファーマ, インコーポレイテッド | 虫垂炎を診断するための方法およびデバイス |
JP2012507723A (ja) | 2008-11-03 | 2012-03-29 | シェーリング コーポレイション | 炎症性腸疾患生物マーカーおよび関連治療方法 |
JP2012529508A (ja) | 2009-06-10 | 2012-11-22 | ユニバーシティ オブ メリーランド,ボルチモア | 腸透過性のegfrおよびpar2調節 |
WO2017204295A1 (ja) | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 和光純薬工業株式会社 | 消化器癌の判定方法 |
WO2020241617A1 (ja) | 2019-05-29 | 2020-12-03 | 富士フイルム和光純薬株式会社 | 抗ヒトハプトグロビン抗体、及びこれを用いた炎症性腸疾患の判定方法 |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
MORISHITA, K. et al.,Identification of the epitope of 10-7G glycan antibody to recognize cancer-associated haptoglobin,Analytical Biochemistry,2020年01月22日,Vol.593, No.113588,pp.1-6 |
本岡渓 ほか,次世代型糖鎖抗体を使った画期的な炎症性腸疾患バイオマーカーの開発,第38回日本糖質学会年会要旨集,2019年07月26日,p.202 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP4187246A1 (en) | 2023-05-31 |
JPWO2022019298A1 (ja) | 2022-01-27 |
US20230228769A1 (en) | 2023-07-20 |
EP4187246A4 (en) | 2024-02-07 |
WO2022019298A1 (ja) | 2022-01-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2021167805A (ja) | SARS−CoV−2感染症を診断するための方法および試薬 | |
JPWO2004081047A1 (ja) | モノクローナル抗体及びこれを産生するハイブリドーマ | |
WO1994004563A1 (en) | PEPTIDES CONTAINING RESPECTIVE AMINO ACID SEQUENCES SELECTED FROM AMONG THOSE OF LIPOPROTEIN(a) AND APOLIPOPROTEIN(a), ANTIBODIES RESPECTIVELY RECOGNIZING THESE AMINO ACID SEQUENCES, AND METHOD OF ASSAYING WITH THESE ANTIBODIES | |
JP7317379B2 (ja) | 潰瘍性大腸炎及び原発性硬化性胆管炎の検査方法 | |
JP2008175814A (ja) | 尿中タンパク質分子の検出・定量による糖尿病性腎症の検査方法及びそれに使用するキット | |
JP5252339B2 (ja) | Pad4及び抗pad4抗体の測定方法並びに関節リウマチの検出方法 | |
JP2000515854A (ja) | 脳タンパク質s―100の存在の測定方法 | |
CN107110848B (zh) | 以脱氧羟腐胺缩赖氨酸合酶基因作为指标使用的动脉硬化及癌的检测方法 | |
JP6606552B2 (ja) | 特異的に精製された抗プレセプシン抗体 | |
JP7509361B2 (ja) | 炎症性腸疾患の診断を補助する方法 | |
JP7570075B2 (ja) | 抗ヒトハプトグロビン抗体、及びこれを用いた炎症性腸疾患の判定方法 | |
CN109313193B (zh) | 消化道癌的判定方法 | |
CN106220722B (zh) | Dkk1自身抗体识别的抗原多肽及其用途 | |
CN102213722B (zh) | 一种检测蛋白表达水平的试剂盒在制备诊断肝细胞癌的试剂盒中的应用 | |
EP4189396A1 (en) | Improved epitope for detecting and/or quantifying autoantibodies against alpha-fetoprotein | |
WO1996012507A1 (en) | Antibody reagent for detecting dissecting aortic aneurysm and use thereof | |
JP2915530B2 (ja) | ラミニン フラグメント | |
JP4916409B2 (ja) | 固形癌の検査方法 | |
JP5750646B2 (ja) | Scca2濃度測定によるアレルギー疾患の検査方法 | |
JP2878317B2 (ja) | ラミニン測定試薬 | |
JPWO2009022632A1 (ja) | 新規肝癌マーカー | |
JP2024137479A (ja) | 免疫チェックポイント阻害薬による治療効果を予測する方法、上記治療効果を予測するためのデータを得るための方法、上記治療効果を予測する方法又は上記データを得るための方法におけるプロハプトグロビン量の測定のための検査キット | |
JP3582234B2 (ja) | IgA腎症特異的フィブロネクチン断片、その検出方法およびキット | |
JP2023547188A (ja) | 住血吸虫感染症の検出のためのタンパク質 | |
JP2022083307A (ja) | 卵巣がんの診断を補助する方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20230110 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20230111 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20231114 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20240105 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20240312 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20240528 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20240611 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7509361 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |