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JP7507332B1 - 歯科用陶材 - Google Patents

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牧子 加藤
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Abstract

SiO、CeO、ZrO、及び、アルカリ土類金属の酸化物を含み、前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、30.0~50.0質量%であり、前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、10.0~50.0質量%である、歯科用陶材;並びに、前記歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法;に関する。

Description

本発明は、歯科用陶材に関する。
歯科用オペーク陶材は、フレームの金属色、又は、フレームを透過する支台歯色の遮蔽を主な目的として用いられている。
例えば、金属焼付用陶材には下地の金属色を遮蔽する必要があるため、従来よりオペーク陶材が製品にラインナップされていて、歯冠表面は金属色が見られない審美性の高い補綴物を製作することが可能であった。
また、近年、例えば、ジルコニア素材等のセラミックスは天然歯に似た透明感と色調を持つため、審美性が必要とされる歯冠作製には欠かせない材料となっている。
その一方で、近年、セラミックス、特に、ジルコニア素材の高強度及び高透明化製品の普及により、下地の金属色を十分に遮蔽できないという問題が見られていて、ジルコニア素材等のセラミックス焼付用陶材においても遮蔽性の高いオペーク陶材が必要とされている。
さらに、従来の着色された陶材粉末は白色陶材に比べて遮蔽性が得られる傾向にあるが、ブリーチ色を好むユーザーには着色された補綴物は好まれない傾向にある。ジルコニア製等のセラミックス補綴物に要求される白色度の高いブリーチ色においては、強い遮蔽性が得られないことが多く、例えば、インプラントやアバットメントを使用したケースにおいては、下地の金属色が歯冠表面に現れやすいため、より審美性の高い補綴物を製作することが要求されている。
例えば、特許文献1には、焼付時に歯科用金属基材の金属色を遮蔽するための歯科用金属遮蔽材料としてのCeO 15~50重量%、及びアルミノケイ酸塩ガラス 40~50重量%を含有することを特徴とする歯科用オペーク陶材が開示されている。
また、特許文献2には、オールセラミックス歯冠修復物を作製する陶材組成物であって、オールセラミックコア上に築成し焼成する二層より構成される陶材組成物セットにおいて、オールセラミックコア上に築盛し、焼成する第一の層は、SiO 40.0~60.0質量%、Al 8.0~14.0質量%、B 0.5~4.0質量%、NaO 3.0~6.0質量%、KO 5.0~9.0質量%、CaO 0.5~3.0質量%、MgO 0.1~2.0質量%、ZrO 5.0~15.0質量%を含むガラス組成物からなる二種以上のガラスフリットを配合してなるセラミックス歯冠用陶材第1層組成物であり、
第一の層の上に築盛し、焼成する第二の層は、SiO:50.0~70.0質量%、Al:12.0~21.0質量%、B:2.0~9.0質量%、LiO:0.05~0.2質量%、NaO:4.0~12.0質量%、KO:4.0~12.0質量%、CaO:0.5~5.0質量%、MgO:0.1~2.0質量%を含むガラス組成物からなる二種以上のガラスフリットを配合してなるセラミックス歯冠用陶材第2層組成物から構成される陶材組成物セットが開示されている。
特開平10-94550号公報 特開2007-126360号公報
しかしながら、特許文献1に開示された歯科用オペーク陶材は、歯科貴金属材料(Au、Au-Pd合金等)に焼付で用いられる陶材であり、当該陶材をセラミックス基材に焼付した場合に、陶材にクラックや破断が発生してしまうといった不具合が生じる。
また、特許文献2に開示された陶材組成物は、セラミックス歯冠用陶材の組成物であり、当該陶材をセラミックス基材に焼付することが可能であるが、遮蔽性が十分ではないことがわかった。
また、陶材の組成によっては、陶材が黒色、黄色といった色に着色することがあり、白色度が良好であり、より審美性の高い補綴物を製作するためには、優れた遮蔽性に加えて、陶材の着色を抑制することも必要とされている。
そこで、本発明は、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を抑制でき、焼成後は遮蔽性に優れ、かつ、焼成後の着色を抑制できる、歯科用陶材を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有する歯科用陶材を使用することで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1] SiO、CeO、ZrO、及び、アルカリ土類金属の酸化物を含み、
前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、30.0~50.0質量%であり、
前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、10.0~50.0質量%である、歯科用陶材。
[2] 前記ZrOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、5.0~16.0質量%である、前記[1]に記載の歯科用陶材。
[3] 更に、Al、KO、及びNaOを含み、
前記Alの含有量が、歯科用陶材100質量%中、2.0~8.0質量%、
前記KOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~7.0質量%、
前記NaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、4.0~10.0質量%、
である、前記[1]又は[2]に記載の歯科用陶材。
[4] 前記アルカリ土類金属の酸化物として、少なくとも、CaO及びBaOを含み、
前記CaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、0.2~2.0質量%、
前記BaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~8.0質量%、
である、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[5] 前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物の合計含有量が、歯科用陶材100質量%中、70.0~95.0質量%である、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[6] 前記CeOが、不透明化剤に由来するCeOである、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[7] 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体を、ISO 6872(2015)に準拠し、昇温速度10℃/分で測定して得られる30~450℃における熱膨張係数が、7.8×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満である、前記[1]~[6]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[8] 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ0.30mmの測定用サンプルの厚さ方向に対する、波長555nmの光の透過率が、10.0%以下である、前記[1]~[7]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[9] 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ1.20mmの試験片を、L色空間で測色して得られる明度Lが、90.0以上である、前記[1]~[8]のいずれか1つに記載の歯科用陶材。
[10] 前記[1]~[9]のいずれか1つに記載の歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法。
本発明によれば、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を抑制でき、焼成後は遮蔽性に優れ、かつ、焼成後の着色を抑制できる、歯科用陶材を提供することができる。
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。
本明細書において、数値範囲(例えば、各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性、各製造条件等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
すなわち、本明細書において、数値範囲について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、同一事項に対する「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
また、数値範囲について、例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」との記載に基づいて、上限値は特に規定せずに下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、下限値は特に規定せずに上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。
なお、特に言及しない限り、数値範囲として単に「XX~YY」と記載する場合、XX以上YY以下の範囲を表す。例えば、「10~90」と記載する場合、10以上90以下の範囲を表す。
前記同様、例えば、同一事項に対する「好ましくは10以上、より好ましくは30以上」の記載と「好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。また、前記同様、下限値側だけ「10以上」又は「30以上」と規定することもでき、同様に、上限値側だけ「90以下」又は「60以下」と規定することもできる。前記数値範囲の上端が「未満」である場合にも同様である。
また、本明細書において、特に言及しない限り、「陶材」との用語は、「歯科用陶材」を指す。
[歯科用陶材]
本発明の一態様である歯科用陶材は、SiO、CeO、ZrO、及び、アルカリ土類金属の酸化物を含み、前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、30.0~50.0質量%であり、前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、10.0~50.0質量%である。
前記歯科用陶材が、これらの要件を満たすことで、前述した本発明の効果を奏することができる。
<CeOの含有量>
前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、10.0質量%以上であることで、歯科用陶材の遮蔽性を向上できる。また、前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、50.0質量%以下であることで、歯科用陶材の熱膨張係数が高くなり過ぎず、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を抑制できる。
同様の観点から、前記CeOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、好ましくは15.0~45.0質量%、より好ましくは18.0~40.0質量%、更に好ましくは19.0~31.0質量%である。
<SiOの含有量>
本発明の一態様である歯科用陶材は、SiO、ZrO、及び、アルカリ土類金属の酸化物を含み、前記CeOの含有量を満たす組成においても、前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、30.0質量%以上であることで、熱膨張係数の過度な増加を抑制でき、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を抑制できる。また、前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、50.0質量%以下であることで、例えば、1000℃を超えるような焼成温度で焼成を行わずともセラミックス基材への焼付が可能となり、焼成温度を適切な範囲で調整できることから、陶材の焼成による着色を抑制できる。
したがって、本発明の効果がより奏され易くなる観点から、前記SiOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、好ましくは30.0質量%超50.0質量%以下、より好ましくは33.0~48.0質量%、更に好ましくは37.0~45.0質量%である。
<ZrO
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記ZrOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、好ましくは5.0~16.0質量%、より好ましくは6.0~15.0質量%、更に好ましくは7.5~14.5質量%である。
<アルカリ土類金属の酸化物>
前記アルカリ土類金属の酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材は、前記アルカリ土類金属の酸化物として、少なくともCaO又はBaOを含むことがより好ましく、少なくともCaO及びBaOを含むことがより好ましい。
また、本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材は、前記アルカリ土類金属の酸化物として少なくともCaO及びBaOを含み、前記CaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、0.2~2.0質量%であり、かつ、前記BaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~8.0質量%であることが更に好ましい。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記CaOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、より好ましくは0.3~1.5質量%、更に好ましくは0.4~1.0質量%である。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記BaOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、より好ましくは2.0~7.5質量%、更に好ましくは3.0~6.0質量%である。
また、本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材中、前記アルカリ土類金属の酸化物の合計含有量は、歯科用陶材100質量%中、好ましくは1.2~10.0質量%、より好ましくは2.3~9.0質量%、更に好ましくは3.4~7.0質量%である。
また、本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材において、前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物の合計含有量が、歯科用陶材100質量%中、好ましくは45.0~100質量%、より好ましくは50.0~99.0質量%、更に好ましくは55.0~98.0質量%、より更に好ましくは65.0~97.5質量%、より更に好ましくは70.0~95.0質量%、より更に好ましくは75.0~90.0質量%、より更に好ましくは78.0~86.0質量%である。
<Al、KO、及びNaO>
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材は、更に、Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上を含むことが好ましく、Al、KO、及びNaOを含むことがより好ましい。
また、本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材は、更に、Al、KO、及びNaOを含み、前記Alの含有量が、歯科用陶材100質量%中、2.0~8.0質量%であり、前記KOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~7.0質量%であり、かつ、前記NaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、4.0~10.0質量%であることが更に好ましい。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記Alの含有量は、歯科用陶材100質量%中、より好ましくは3.0~7.0質量%、更に好ましくは3.5~6.5質量%である。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記KOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、より好ましくは2.0~6.5質量%、更に好ましくは3.0質量%以上5.5質量%未満である。
本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記NaOの含有量は、歯科用陶材100質量%中、より好ましくは5.0~9.0質量%、更に好ましくは6.0~8.5質量%である。
また、前記歯科用陶材が、更に、Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上を含む場合、本発明の効果をより奏し易くする観点から、前記歯科用陶材において、前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物、並びに、Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上の合計含有量が、歯科用陶材100質量%中、好ましくは50.0~100質量%、より好ましくは55.0~100質量%、更に好ましくは65.0~98.0質量%、より更に好ましくは70.0~100質量%、より更に好ましくは75.0~100質量%、より更に好ましくは80.0~100質量%、より更に好ましくは83.5~100質量%、より更に好ましくは90.0~100質量%、より更に好ましくは95.0~100質量%、より更に好ましくは98.0~100質量%である。
本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む前記CeOは不透明化剤として配合されたものであることが好ましい。すなわち、前記CeOが不透明化剤に由来するCeOであることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含む前記CeOが不透明化剤として配合されたものである場合、前記不透明化剤として配合されるCeOの配合量は、前述したCeOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様であり、その好適な量も同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む前記SiOはガラス成分として配合されたものであることが好ましい。すなわち、前記SiOがガラス成分に由来するSiOであることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含む前記SiOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるSiOの配合量は、前述したSiOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様であり、その好適な量も同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む前記ZrOはガラス成分として配合されたものであることが好ましい。すなわち、前記ZrOがガラス成分に由来するZrOであることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含む前記ZrOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるZrOの好適な配合量は、前述したZrOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む前記アルカリ土類金属の酸化物はガラス成分として配合されたものであることが好ましい。すなわち、前記アルカリ土類金属の酸化物がガラス成分に由来するアルカリ土類金属の酸化物であることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含む前記アルカリ土類金属の酸化物がガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるアルカリ土類金属の酸化物の好適な合計配合量は、前述したアルカリ土類金属の酸化物の合計含有量に係る記載において、「合計含有量」との表記を「合計配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記アルカリ土類金属の酸化物の好適な態様として前述したCaOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるCaOの好適な配合量は、前述したCaOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
同様に、本発明の一態様において、前記アルカリ土類金属の酸化物の好適な態様として前述したBaOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるBaOの好適な配合量は、前述したBaOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む、前記CeOが不透明化剤として配合されたものであり、かつ、前記SiO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物がガラス成分として配合されたものである場合、前記不透明化剤として配合されるCeO、並びに、前記ガラス成分として配合されるSiO、ZrO及びアルカリ土類金属の酸化物の合計配合量は、前述した前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物の合計含有量に係る記載において、「合計含有量」との表記を「合計配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が、更に、Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上を含む場合、前記Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上の酸化物はガラス成分として配合されたものであることが好ましい。すなわち、前記Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上の酸化物がガラス成分に由来するものであることが好ましい。
また、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含んでいてもよい前記Alがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるAlの好適な配合量は、前述したAlの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
同様に、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含んでいてもよい前記KOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるKOの好適な配合量は、前述したKOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
同様に、本発明の一態様において、前述のとおり、前記歯科用陶材が含んでいてもよい前記NaOがガラス成分として配合されたものである場合、前記ガラス成分として配合されるNaOの好適な配合量は、前述したNaOの含有量に係る記載において、「含有量」との表記を「配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材が含む、前記CeOが不透明化剤として配合されたものであり、前記SiO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物がガラス成分として配合されたものであり、更に、前記Al、前記KO、及び前記NaOから選ばれる少なくとも1種以上がガラス成分として配合されたものである場合、前記不透明化剤として配合されるCeO、並びに、前記ガラス成分として配合されるSiO、ZrO及びアルカリ土類金属の酸化物、並びに、前記ガラス成分として配合されるAl、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上の合計配合量は、前述した前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物、並びに、Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上の合計含有量に係る記載において、「合計含有量」との表記を「合計配合量」と変更し、「歯科用陶材100質量%中」との表記を「歯科用陶材の原料成分100質量%中」と変更すること以外は同様である。
また、本発明の一態様において、前記ガラスは、前記SiO、前記ZrO及び前記アルカリ土類金属の酸化物を含むガラスであることが好ましく、前記SiO、前記ZrO及び前記アルカリ土類金属の酸化物、並びに、前記Al、KO、及びNaOから選ばれる少なくとも1種以上を含むガラスであることがより好ましい。
また、これら好適な態様であるガラスが、それぞれ、前述する各成分を含有するアルミノケイ酸塩ガラスであることが更に好ましい。
また、本明細書において、特に言及しない限り、前記「ガラス成分」とは「ガラス」を構成する一成分を指す。
また、前記「ガラス」が含む前記「ガラス成分」として表される前記各酸化物は、「ガラス」に含まれる金属成分の組成を金属酸化物で表記されたものであり、当該「ガラス」が、必ずしも前記酸化物の状態で各ガラス成分を含んでいる必要はない。ガラス、セラミックス等の陶材分野において、焼成により得られる陶材組成物の組成について、当該組成物が含む金属成分について、前述のとおり、金属酸化物換算で表記することは、本分野における技術常識である。
<その他の成分>
前記歯科用陶材は、さらに、前記成分以外のその他の成分として、その他のガラス成分に由来する成分、顔料、蛍光剤及び不透明化剤などを含むことができる。
前記その他のガラス成分に由来する成分としては、本発明の効果が奏される限り特に制限はないが、例えば、LiO、Sb、B、ZnO、SnO、Fe、P、Cl及びFからなる群より選択される少なくとも1種である。なお、これらの成分中、複数の価数をとりうる酸化物の含有量は、前記に例示した成分の価数に換算して含有量を算出する。したがって、例えば、FeOは、1/2Feに換算して算出される。
顔料又は蛍光剤としては、例えば、P、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Sn、Sb、Bi、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb及びErの群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を利用することができる。
不透明化剤としては、例えば、ZrSiO、及びSnOの群から選択される少なくとも1つの結晶質の化合物を利用することができる。顔料、蛍光剤及び遮蔽材は、1つの化合物であってもよいし、複数の化合物であってもよい。
また、本発明の一態様において、歯科用陶材における前述した各酸化物の含有量については、例えば、蛍光X線分析、原子吸光分光分析、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析等の公知の分析方法を成分別に定量可能な複数の分析機器を組み合わせて、それぞれの定量値を加算して、合計100%となるように換算することによって歯科用陶材の組成及び歯科用陶材の原料となり得るガラスの組成を確認することができる。
例えば、SiO、CeO、ZrO、CaO、BaO、Al、KO、及びNaOの含有率は、例えば、蛍光X線分析によって測定することができる。また、蛍光X線分析では検知できないLiO成分の含有率は、例えば、原子吸光分光分析によって測定することができる。同様に蛍光X線分析では定量できないB成分の含有率は、例えば、ICP発光分光分析によって測定することができる。
また、例えば、本発明の一態様において、前記歯科用陶材を構成する各成分の配合割合(ガラス成分を用いる場合、ガラス成分を含むガラスの組成又はその原料の配合割合)から算出した組成を歯科用陶材の組成とみなすこともできる。
ここで、本明細書中、前記歯科用陶材が含む前述した各酸化物は、歯科用陶材に含まれる金属成分の組成を金属酸化物換算で表記したものであり、歯科用陶材は、必ずしも前記酸化物の状態で各成分を含んでいる必要はない。前述のとおり、前記歯科用陶材の原料となり得るガラスについても同様であり、ガラス、セラミックス等の陶材分野において、焼成により得られる陶材組成物の組成について、当該組成物が含む金属成分について、前述のとおり、金属酸化物換算で表記することは、本分野における技術常識である。
<歯科用陶材の製造方法>
次に、前記歯科用陶材の製造方法の好適な一態様について説明する。ここでは、前記CeOを不透明化剤として混合し、その他の前記酸化物成分をガラス成分として混合した場合の一例を説明する。
(ガラス原料の作製)
まずは、陶材の原料ガラスを作製する。例えば、原料ガラスの各酸化物組成に相当する原料(酸化物、炭酸塩等)を準備し、混合する。次に、混合した原料をるつぼ内で好ましくは1300~1600℃で、2~8時間溶融した後、熔融物を水中で急冷してカレットを作製し、ガラスカレットをロールミルやボールミルで粉砕し、所定の粒径範囲となるように篩に掛ける。
(歯科用陶材の作製)
次に、準備した一次ガラス粉末(ガラス成分を含むガラス粉末)と不透明化剤として使用するCeOとを混合する。この時、陶材の焼成温度や色調、蛍光性の適正化を目的に、無機顔料や蛍光剤などを同時に添加、混合する場合もある。
混合の条件は、特に限定されず、含有させる成分を一括投入してもよいし、分割投入してもよい。混合する混練機は通常の混練機を用いることができる。例えば、乳鉢、二軸混練機(ツインミックス)、三軸混練機(トリミックス)、ニーダー、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
混合した粉末を好ましくは750~880℃で0.5~2.5時間熱処理する。前記熱処理温度は770~850℃がより好ましく、780~845℃が更に好ましく、790~840℃がより更に好ましい。前記熱処理温度が880℃以下であると、CeOが必要以上にガラスに熔融することがなく、CeOの不透明化剤としての効果が奏され易くなり、例えば、歯科用陶材に変色が生じる等の不具合も防止できる観点から好ましい。また、前記熱処理温度が750℃以上であると、CeOがガラスと融着し易くなり、CeOの微粉末がガラスと分離し難くなるため、例えば、歯科用陶材を溶剤と練和して使用する際に操作性不良を引き起こす等の不具合を防止できる観点から好ましい。また、前記熱処理時間は、より好ましくは0.5~2時間、更に好ましくは1~2時間である。
次に、ガラスとCeOが融着した焼成物を粗砕し、粗砕物をさらにポットミルを用いて所定の粒径範囲になるまで粉砕する。その後、篩に掛けて粉砕品から粗粒を取り除き、陶材粉末を得る。
また、本発明の一態様において、前記陶材粉末の平均粒子径は、本発明の効果が奏される限り、特に制限はないが、好ましくは1~30μm、より好ましくは2~25μm、更に好ましくは3~20μmである。
前記陶材粉末の平均粒子径とは、レーザー回折散乱法を用いた測定により求めることができる体積基準の平均粒子径(D50)を指し、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、前述した歯科用陶材の製造方法の好適な一態様で示されるように、本発明の一態様としては、少なくともSiO、ZrO及びアルカリ土類金属の酸化物を含むガラス成分として含むガラスと、不透明化剤であるCeOとを混合して得られる歯科用陶材が挙げられ、より好ましくは少なくともSiO、ZrO及びアルカリ土類金属の酸化物を含むガラス成分として含むガラスと、不透明化剤であるCeOとを混合し、熱処理して得られる歯科用陶材が挙げられる。また、各成分を混合する際の配合量及びその好適な量は、それぞれ独立に、前述した歯科用陶材の欄で説明した各成分の配合量と同様である。
当該一態様である歯科用陶材におけるSiO、ZrO、アルカリ土類金属の酸化物、CeOは、本発明の一態様である歯科用陶材の欄で前述したものと同様であり、その好適な態様も同様である。また、得られる歯科用陶材中における各成分の含有量及びその好適な態様も同様である。また、前記混合条件、並びに、前記混合後の熱処理条件及びその好適な態様も、前述した歯科用陶材の製造方法の好適な一態様で前述した内容と同様である。
<歯科用陶材の熱膨張係数>
本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を更に抑制し易くする観点から、前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体を、ISO 6872(2015)に準拠し、昇温速度10℃/分で測定して得られる30~450℃における熱膨張係数が、好ましくは7.8×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満、より好ましくは7.8×10-6/℃以上9.8×10-6/℃以下、更に好ましくは7.9×10-6/℃以上9.7×10-6/℃以下である。
前記熱膨張係数の値は、具体的には、実施例に記載の方法により算出される値を指す。
<歯科用陶材の透過率>
本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、遮蔽性がより優れ易くする観点から、前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ0.30mmの測定用サンプルの厚さ方向に対する、波長555nmの光の透過率が、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、更に好ましくは5.0%以下、より更に好ましくは3.0%以下、より更に好ましくは1.0%未満、より更に好ましくは0.9%以下である。また、前記透過率の下限値は、特に制限はないが、0%であり、例えば、0.1%であってもよい。前述のとおり、これら段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、前記透過率が、好ましくは0~10.0%、より好ましくは0~8.0%、更に好ましくは0~5.0%、より更に好ましくは0~3.0%、より更に好ましくは0%以上1.0%未満、より更に好ましくは0~0.9%であり、また、例えば、0.1~10.0%、0.1~8.0%、0.1~5.0%、0.1~3.0%、0.1%以上1.0%未満、又は0.1~0.9%であってもよい。
前記透過率の値は、具体的には、実施例に記載の方法により算出される値を指す。
<歯科用陶材の明度>
本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、審美性がより優れ易くなる観点から、前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ1.20mmの試験片を、L色空間で測色して得られる明度Lが、好ましくは90.0以上、より好ましくは91.0以上、更に好ましくは92.0以上である。
また、前記明度Lの上限値は、特に制限はないが、例えば、99.0であってもよく、98.0であってもよく、97.0であってもよい。
前述のとおり、これら段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、前記明度Lが、90.0~99.0、90.0~98.0、90.0~97.0、91.0~99.0、91.0~98.0、91.0~97.0、92.0~99.0、92.0~98.0、又は92.0~97.0であってもよい。
前記明度Lの値は、具体的には、実施例に記載の方法により算出される値を指す。
<歯科用陶材の色度>
本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、審美性がより優れ易くなる観点から、前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ1.20mmの試験片を、L色空間で測色して得られる色度aが、好ましくは-2.4~+1.2、より好ましくは-2.3~+1.1、更に好ましくは-2.2~+1.0である。
また、本発明の一態様において、前記歯科用陶材は、審美性がより優れ易くなる観点から、前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ1.20mmの試験片を、L色空間で測色して得られる色度bが、好ましくは-5.6~+7.4、より好ましくは-5.5~+7.3、更に好ましくは-5.4~+7.2である。
前記色度a及びbの値は、具体的には、実施例に記載の方法により算出される値を指す。
[歯科用陶材の補綴物の製造方法]
また、ある好適な実施態様として、前述した本発明の一態様である前記歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法が挙げられる。前記歯科用陶材の焼成温度は、好ましくは880~980℃、より好ましくは900~960℃、更に好ましくは920~940℃である。これにより、例えば、前記陶材をジルコニア冠などのセラミックス基材の上で焼結させた場合に、ジルコニア冠などのセラミックス基材の損傷を抑制することができるため好ましい。また、過熱によるセラミックス基材の変形を抑制することができるため好ましい。
[歯科用陶材の用途等]
本発明の一態様である歯科用陶材は、セラミックス基材に用いる歯科用陶材として好適に用いることができ、例えば、セラミックス製のインレー、アンレー、ラミネートベニア、及びクラウン等の歯科用補綴物の作製に用いることができる。
また、本発明の一態様である歯科用陶材ペーストを築盛する対象となるフレームとしては、特に限定されないが、好適例として、セラミックスフレームが挙げられ、前記セラミックスフレームとしては、好ましくはジルコニアフレームが挙げられる。
また、前記歯科用陶材の使用用途は特に限定されず、例えば、ボディー陶材(デンチン色陶材)、サービカル陶材、インサイザル陶材(エナメル色陶材)、トランスルーセント陶材、オペーク陶材、ステイン陶材等として使用することができる。
また、本発明の他の実施形態としては、歯を治療する(例えば、審美歯科治療、欠損歯治療、人工歯等の補綴修復治療、う蝕治療等)ための、前記歯科用陶材の使用が挙げられる。
前記したいずれの実施形態においても、前述の説明に基づいて、各成分の種類、含有量等を適宜変更でき、任意の成分について、追加、削除等の変更をすることができる。また、前記したいずれの実施形態においても、各歯科用陶材の組成と特性の値を適宜変更して組み合わせることもできる。したがって、前述した歯科用陶材は、本発明の効果を奏する限り、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的思想の範囲内において、前記の構成を種々組み合わせた実施形態を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1~7及び比較例1~4]
各実施例及び比較例の歯科用陶材を以下のように作製し、その特性を評価した。
<原料ガラスの作製>
一次ガラス粉末を作製した際に、下記表1に示す組成となるように、各原料(シリカ、アルミナ、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化イットリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、ホウ酸など)を混合した。混合した原料をるつぼの中で、1450℃で4時間溶融した。溶融物を水中で急冷してガラスカレットを作製し、前記ガラスカレットをボールミルで粉砕し、ステンレス製の#100メッシュの篩に掛けて、一次ガラス粉末を得た。
なお、表1中、「その他」と表記しているその他の成分には、Sb、Y、HfO、LiO、B、Fなどが含まれる。
Figure 0007507332000001
<陶材粉末の作製>
前記表1に示す各一次ガラス粉末、及び、不透明化剤としてのCeOを下記表2に記載の比率で混合した。なお、比較例3では、更に、不透明化剤としてTiOも混合した。混合した粉末を840℃で2時間熱処理した。
次に、ガラス及びCeO(比較例3は、ガラス、CeO及びTiO)が融着した焼成物を、ジョークラッシャーを用いて粗砕し、得られた粗砕物をさらにボールミルを用いて平均粒子径が15μmになるまで粉砕した。その後、ステンレス製の#100メッシュの篩に掛けて粉砕物から粗粒を取り除き、陶材粉末を得た。
得られた各陶材粉末中の組成を下記表3に示す。
なお、前記平均粒子径は、体積基準の平均粒子径(D50)であり、レーザー回折散乱法により求めることができる。レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD-2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて体積基準(D50)で測定することができる。
Figure 0007507332000002
[歯科用陶材の評価]
各実施例及び比較例で得られた各歯科用陶材について、その特性を以下の方法により評価した。得られた結果を下記表3に示す。
<歯科用陶材の透過率測定>
陶材粉末をペレット形状に成形し、焼成最高温度930℃、1分間の条件で焼成した試験片を両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製「C947H」)で研磨して、直径11mm、厚み0.30mmの測定用サンプルを作製した。測定は、透過濃度計X-Rite(登録商標) 361T(V)(X-Rite社製)を用い、波長555nmの光を当てて透過濃度を測定し、測定した透過濃度値を下記式(1)に入れて透過率を計算した。
透過率[%]=10-透過濃度×100 (1)

また、前記試験片を作製する際の焼成は、より具体的には、焼成前の乾燥時間5分;焼成開始温度600℃;昇温速度45℃/分;真空開始温度600℃;真空度96kPa;焼成最高温度930℃到達時に大気圧に開放(真空解除)して、1分間係留;係留後、室温(25℃)急冷;の条件で行った。
<歯科用陶材の明度及び色度の評価>
陶材粉末をペレット形状に成形し、焼成最高温度930℃、1分間の条件で焼成した試験片を両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製「C947H」)で研磨して、直径14mm、厚み1.20mmに仕上げて作製した。作製した試験片は分光測色計CM-3610A(コニカミノルタ株式会社製)を用いてD65光源、測定モードSCI、測定径/照明径=φ8mm/φ11mm、白背景にて測定を行い、L表色系(JIS Z 8781-4:2013 測色-第4部:CIE 1976 L色空間)における明度(色空間)であるL値、及び色相と彩度を示す色度であるa、bを読み取った。
なお、前記試験片を作製する際の焼成は、より具体的には、前記歯科用陶材の透過率測定の欄に記載の条件と同じ条件にて行った。
<歯科用陶材の着色有無の評価>
白色の陶材として色調の対照見本に「セラビアン(登録商標)ZR陶材 SB WHITE」を比較対照として、着色が見られないか目視にて確認をした。色調の比較をする為に用いる試料は、前述の歯科用陶材の明度及び色度の評価に用いたペレット形状の研磨面を使用した。
着色が見られなかったものは「A評価:着色なし」とし、着色が見られたものは「F評価:着色有り」と判断した。
<歯科用陶材の熱膨張係数測定>
熱膨張係数は、ISO 6872(2015)に準拠して測定した。測定に使用する試験片は、陶材粉末を棒状(直径:5mm)に成形し、焼成最高温度930℃、1分間の条件で焼成したものを20mmの長さになるように、両面#1000の耐水研磨紙(株式会社ノリタケコーテッドアブレーシブ製「C947H」)で上下面を研磨し、作製した。熱機械分析装置TMA8310(株式会社リガク製)を用いて、昇温速度10℃/分で25~500℃の範囲の前記試験片の長さの変化を測定し、30~450℃の範囲のデータ(熱膨張曲線)を採用して、30~450℃の温度範囲での熱膨張係数を算出した。
なお、前記試験片を作製する際の焼成は、より具体的には、前記歯科用陶材の透過率測定の欄に記載の条件と同じ条件にて行った。
<クラック有無の評価>
3mol%Yが固溶したZrOの焼成ペレット(下記表3中、「3Y」と記載。)と6mol%Yが固溶したZrOの焼成ペレット(下記表3中、「6Y」と記載。)を使って陶材のクラックの有無を確認した。前述の2種類の円盤形状のZrOの焼成ペレットに陶材を塗布した後、930℃、1分間の条件で焼成した後、焼成ペレットへの陶材の焼付き状態を確認した。塗布した形状のまま焼付いているものを「A評価:クラック無し」とし、陶材中に亀裂が入ったり、焼成ペレットから一部或いは全部がはがれてしまったものは「F評価:クラック有り」と判断した。
なお、前記焼成ペレットに陶材を塗布した後に行った前記陶材の焼成は、より具体的には、前記歯科用陶材の透過率測定の欄に記載の条件と同じ条件にて行った。
Figure 0007507332000003
表3の結果より、実施例1~7の歯科用陶材は、遮蔽性に優れ、焼成時の陶材の変色を抑制でき、かつ、セラミックス基材に焼付する際のクラックの発生を抑制できていることがわかる。
一方、SiOの含有量が30.0質量%未満であり、ZrOを含まない比較例1の歯科用陶材は、熱膨張係数が高く、クラックが生じてしまうことがわかる。
また、SiOの含有量が50.0質量%超であり、CeOの含有量が10.0質量%未満である比較例2の歯科用陶材は、透過率が高く、遮蔽性が劣ることがわかる。
また、CeOの含有量が10.0質量%未満であり、不透明化剤としてTiOも混合している比較例3の歯科用陶材は、焼成により変色(黒変)が生じていることがわかる。
また、ZrOを含まない比較例4の歯科用陶材は、焼成により変色(黄変)が生じていることがわかる。
本発明の歯科用陶材は、歯科用補綴物等に利用することができる。
また、近年、特に、セラミックス歯冠等の需要が益々増大し、個々の審美要求が高まっていることに伴い、歯科用陶材の使用頻度が増えることが予想されているところ、本発明の歯科用陶材はジルコニア等のセラミックスを用いた基材に対する歯科用陶材として有用である。

Claims (10)

  1. SiO、CeO、ZrO、及び、アルカリ土類金属の酸化物を含み、
    前記SiOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、30.0~50.0質量%であり、
    前記CeOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、10.0~50.0質量%である、歯科用陶材。
  2. 前記ZrOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、5.0~16.0質量%である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  3. 更に、Al、KO、及びNaOを含み、
    前記Alの含有量が、歯科用陶材100質量%中、2.0~8.0質量%、
    前記KOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~7.0質量%、
    前記NaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、4.0~10.0質量%、
    である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  4. 前記アルカリ土類金属の酸化物として、少なくとも、CaO及びBaOを含み、
    前記CaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、0.2~2.0質量%、
    前記BaOの含有量が、歯科用陶材100質量%中、1.0~8.0質量%、
    である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  5. 前記SiO、前記CeO、前記ZrO、及び、前記アルカリ土類金属の酸化物の合計含有量が、歯科用陶材100質量%中、70.0~95.0質量%である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  6. 前記CeOが、不透明化剤に由来するCeOである、請求項1に記載の歯科用陶材。
  7. 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体を、ISO 6872(2015)に準拠し、昇温速度10℃/分で測定して得られる30~450℃における熱膨張係数が、7.8×10-6/℃以上10.0×10-6/℃未満である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  8. 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ0.30mmの測定用サンプルの厚さ方向に対する、波長555nmの光の透過率が、10.0%以下である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  9. 前記歯科用陶材を焼成最高温度930℃で焼成して得られる焼成体からなる厚さ1.20mmの試験片を、L色空間で測色して得られる明度Lが、90.0以上である、請求項1に記載の歯科用陶材。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の歯科用陶材をジルコニア基材上に塗布する工程と、前記歯科用陶材を880~980℃で焼成する工程とを含む、歯科用補綴物の製造方法。
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